(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】放送通信連携サービスを実現する受信装置、端末装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/462 20110101AFI20230510BHJP
H04N 21/431 20110101ALI20230510BHJP
H04N 21/436 20110101ALI20230510BHJP
H04H 20/28 20080101ALI20230510BHJP
H04H 20/93 20080101ALI20230510BHJP
H04H 40/18 20080101ALI20230510BHJP
H04H 60/82 20080101ALI20230510BHJP
【FI】
H04N21/462
H04N21/431
H04N21/436
H04H20/28
H04H20/93
H04H40/18
H04H60/82
(21)【出願番号】P 2019093368
(22)【出願日】2019-05-17
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大礎
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 寛
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 和也
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-078381(JP,A)
【文献】特開2017-163401(JP,A)
【文献】特開2015-216546(JP,A)
【文献】国際公開第2012/161125(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04H 20/28
H04H 20/93
H04H 40/18
H04H 60/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライベートデータが格納されたサーバ、放送信号を受信すると共に前記サーバへアクセスすることで、番組の映像及び前記プライベートデータを画面表示する受信装置、及び、当該受信装置との間の連携機能によりデータの送受信を行うと共に、前記サーバへアクセスする端末装置を備え、前記プライベートデータを用いて放送及び通信を連携するサービスを実現する放送通信連携システムにおける前記受信装置であって、
前記プライベートデータを要求する際の条件を要求条件とし、前記プライベートデータを画面に提示する際の条件を提示条件とし、前記要求条件を満たす前記プライベートデータのインデックス情報をPD(プライベートデータ)情報として、
前記要求条件を、前記連携機能にて前記端末装置へ出力し、
前記端末装置から前記連携機能にて、前記プライベートデータの所在場所を含む前記PD情報を入力し、当該PD情報に含まれる前記所在場所へアクセスして前記プライベートデータを取得し、前記提示条件の示す画面レイアウトにて前記プライベートデータを提示し、前記番組の映像及び前記プライベートデータを画面表示する放送通信連携部を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置において、
前記放送通信連携部は、
前記要求条件及び前記提示条件を取得する条件取得部と、
前記条件取得部により取得された前記要求条件及び前記提示条件を、前記連携機能にて前記端末装置へ出力し、前記端末装置から前記連携機能にて、前記プライベートデータの前記所在場所を含む前記PD情報を入力するPD情報要求部と、
前記PD情報要求部により入力された前記PD情報に基づいて、取得対象の前記プライベートデータを決定すると共に、前記条件取得部により取得された前記提示条件に基づいて、前記画面レイアウトを決定するPDレイアウト決定部と、
前記PDレイアウト決定部により決定された前記取得対象の前記プライベートデータを、前記PD情報に含まれる前記所在場所へアクセスして取得するPD取得部と、
前記PDレイアウト決定部により決定された前記画面レイアウトにて、前記PD取得部により取得された前記プライベートデータを提示するPD提示部と、
前記番組の映像、前記PD提示部により提示された前記プライベートデータを画面表示する表示部と、
を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の受信装置において、
前記要求条件を、前記番組のシーンに連動した位置情報、及び前記サーバへのアクセスが行われるネットワークを含む条件とし、
前記PD情報を、前記位置情報に対応し、かつ前記ネットワーク内の前記サーバに格納されている前記プライベートデータの前記インデックス情報であって、前記プライベートデータの前記所在場所を含む情報とする、ことを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の受信装置において、
前記提示条件を、前記プライベートデータを前記番組の映像と同じ箇所に表示するか、または前記番組の映像とは別の箇所に表示するかのレイアウト種別を含む条件とする、ことを特徴とする受信装置。
【請求項5】
プライベートデータが格納されたサーバ、放送信号を受信すると共に前記サーバへアクセスすることで、番組の映像及び前記プライベートデータを画面表示する受信装置、及び、当該受信装置との間の連携機能によりデータの送受信を行うと共に、前記サーバへアクセスする端末装置を備え、前記プライベートデータを用いて放送及び通信を連携するサービスを実現する放送通信連携システムにおける前記端末装置であって、
前記プライベートデータを要求する際の条件を要求条件とし、前記プライベートデータを画面に提示する際の条件を提示条件とし、前記要求条件を満たす前記プライベートデータのインデックス情報をPD(プライベートデータ)情報として、
前記受信装置から前記連携機能にて、前記要求条件を入力し、
前記要求条件に基づいた検索にて前記サーバへアクセスし、前記プライベートデータの所在場所を含む前記PD情報を生成し、前記PD情報を、前記連携機能にて前記受信装置へ送信する検索部を備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項6】
請求項5に記載の端末装置において、
前記検索部は、
前記受信装置から前記連携機能にて、前記要求条件及び前記提示条件を入力し、前記要求条件に基づいた検索にて前記サーバへアクセスし、前記プライベートデータの所在場所を含む前記PD情報を生成し、ユーザによる画面表示の許諾操作に従い、前記PD情報を、前記連携機能にて前記受信装置へ出力するPD情報処理部と、
前記PD情報処理部により入力された前記提示条件の示す画面レイアウトにて前記プライベートデータのプレビューを表示し、前記ユーザに対して前記許諾操作を促す表示許諾処理部と、
を備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から4までのいずれか一項に記載の受信装置として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項5または6に記載の端末装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送通信連携サービスを実現する受信装置、端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送と通信とを連携するサービス(以下、「放送通信連携サービス」という。)を実現するシステムの研究開発が行われている。Hybridcast(登録商標、以下、「ハイブリッドキャスト」という。)は、放送通信連携サービスの一つであり、その技術仕様が策定されている(例えば、非特許文献1,2を参照)。
【0003】
この技術仕様には、放送通信連携サービスを実現するためのソフトウェアであるアプリケーション(以下、「ハイブリッドキャストアプリ」という。)が規定されている。ハイブリッドキャストアプリは、後述する
図1に示す放送通信連携システムにおいて、受信装置2すなわちTV受信機にて動作するアプリケーションであり、放送マネージドアプリ及び放送外マネージドアプリがある。
【0004】
放送マネージドアプリは、放送局が放送に関するサービスを直接提供するアプリケーションであり、放送局から送信される放送信号に含まれる、起動、終了等の制御信号に基づいて動作する。放送外マネージドアプリは、放送局以外のサービス事業者が放送に関するサービスを提供するアプリケーションである。
【0005】
これらのアプリケーションのうち、例えばHTML(Hypertext Markup Language)5を用いて記述された放送マネージドアプリが現在運用されている。一方、放送外マネージドアプリは、放送局がサービス事業者のアプリケーションを認可したり、認証したりする困難さから、十分な運用には至っていない。「アプリケーション」はアプリケーションプログラムの略称であり、以下、「アプリ」とも記載する。
【0006】
このような放送通信連携サービスを実現する際には、放送局及びサービス事業者の意図に沿った運用を図る必要がある。このため、アプリケーションの動作によって放送局及びサービス事業者の意図から外れたアクセス等が行われないように、アプリケーションの動作を制限する技術が提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0007】
特許文献1の技術は、アプリケーションの動作を制限する情報、及び画面制御方法のタイプ(画面の全体表示、一部表示等)を示す情報が記述されたテーブルを取得し、当該テーブルに基づいて、アプリケーションの動作をタイプ別に制御するものである。これにより、アプリケーションによる画面表示動作を制限することができる。
【0008】
また、特許文献2の技術は、端末装置が、受信装置からメッセージを受信し、予め設定されたポリシーデータ及びメッセージの送信先に基づいて、メッセージの送信可否を判定するものである。これにより、端末装置のアプリケーションによる送信動作を制限することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6432525号公報
【文献】特開2018-78383号公報
【非特許文献】
【0010】
【文献】IPTV規定、放送通信連携システム仕様、IPTVFJ STD-0010、一般社団法人IPTVフォーラム
【文献】IPTV規定、HTML5ブラウザ仕様、IPTVFJ STD-0011、一般社団法人IPTVフォーラム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
放送通信連携サービスを実現する際に、前述の放送マネージドアプリのみでは、全ての受信装置に対して同じアプリケーションが提供されることとなる。
【0012】
このため、放送マネージドアプリが動作する受信装置は、個人に合わせたカスタマイズの機能を実現するために、ユーザ識別子、利用端末のUUID(Universally Unique Identifier)等のユーザを特定する情報(ユーザ情報)を利用する場合がある。例えば、受信装置は、サーバから個人の所有するリソースを取得し、当該リソースを用いてサービスを提供する。
【0013】
ここで、ユーザの所有するリソースとは、例えばHTMLファイル、JS(JavaScript(登録商標))ファイル、CSS(Cascading Style Sheet:カスケーディングスタイルシート)ファイル、画像、テキスト等のプライベートデータである。個人に合わせたカスタマイズの機能としては、例えば所定の条件を満たすユーザの名前及び写真等のプライベートデータのコンテンツを取得し、放送の映像と共に画面表示する場合がある。
【0014】
しかしながら、放送局が提供する放送マネージドアプリを用いて、プライベートデータを利用し所定のカスタマイズの機能を実現する場合、ユーザ側にはプライバシーの懸念がある。一方、放送局側には個人情報を適切に保護する必要があり、これを実現するにはコストがかかり、大きな労力が必要となる。
【0015】
これでは、個人に合わせたカスタマイズの機能を含む放送マネージドアプリの実現が困難となり、結果として、ユーザニーズに見合う放送通信連携サービスを実現することができないという問題があった。
【0016】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、プライベートデータを用いた放送通信連携サービスを実現する際に、ユーザ情報の管理負担を軽減すると共に、不適切なアクセスを制限可能な受信装置、端末装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するために、請求項1の受信装置は、プライベートデータが格納されたサーバ、放送信号を受信すると共に前記サーバへアクセスすることで、番組の映像及び前記プライベートデータを画面表示する受信装置、及び、当該受信装置との間の連携機能によりデータの送受信を行うと共に、前記サーバへアクセスする端末装置を備え、前記プライベートデータを用いて放送及び通信を連携するサービスを実現する放送通信連携システムにおける前記受信装置であって、前記プライベートデータを要求する際の条件を要求条件とし、前記プライベートデータを画面に提示する際の条件を提示条件とし、前記要求条件を満たす前記プライベートデータのインデックス情報をPD(プライベートデータ)情報として、前記要求条件を、前記連携機能にて前記端末装置へ出力し、前記端末装置から前記連携機能にて、前記プライベートデータの所在場所を含む前記PD情報を入力し、当該PD情報に含まれる前記所在場所へアクセスして前記プライベートデータを取得し、前記提示条件の示す画面レイアウトにて前記プライベートデータを提示し、前記番組の映像及び前記プライベートデータを画面表示する放送通信連携部を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項2の受信装置は、請求項1に記載の受信装置において、前記放送通信連携部が、前記要求条件及び前記提示条件を取得する条件取得部と、前記条件取得部により取得された前記要求条件及び前記提示条件を、前記連携機能にて前記端末装置へ出力し、前記端末装置から前記連携機能にて、前記プライベートデータの前記所在場所を含む前記PD情報を入力するPD情報要求部と、前記PD情報要求部により入力された前記PD情報に基づいて、取得対象の前記プライベートデータを決定すると共に、前記条件取得部により取得された前記提示条件に基づいて、前記画面レイアウトを決定するPDレイアウト決定部と、前記PDレイアウト決定部により決定された前記取得対象の前記プライベートデータを、前記PD情報に含まれる前記所在場所へアクセスして取得するPD取得部と、前記PDレイアウト決定部により決定された前記画面レイアウトにて、前記PD取得部により取得された前記プライベートデータを提示するPD提示部と、前記番組の映像、前記PD提示部により提示された前記プライベートデータを画面表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項3の受信装置は、請求項1または2に記載の受信装置において、前記要求条件を、前記番組のシーンに連動した位置情報、及び前記サーバへのアクセスが行われるネットワークを含む条件とし、前記PD情報を、前記位置情報に対応し、かつ前記ネットワーク内の前記サーバに格納されている前記プライベートデータの前記インデックス情報であって、前記プライベートデータの前記所在場所を含む情報とする、ことを特徴とする。
【0020】
また、請求項4の受信装置は、請求項1から3までのいずれか一項に記載の受信装置において、前記提示条件を、前記プライベートデータを前記番組の映像と同じ箇所に表示するか、または前記番組の映像とは別の箇所に表示するかのレイアウト種別を含む条件とする、ことを特徴とする。
【0021】
さらに、請求項5の端末装置は、プライベートデータが格納されたサーバ、放送信号を受信すると共に前記サーバへアクセスすることで、番組の映像及び前記プライベートデータを画面表示する受信装置、及び、当該受信装置との間の連携機能によりデータの送受信を行うと共に、前記サーバへアクセスする端末装置を備え、前記プライベートデータを用いて放送及び通信を連携するサービスを実現する放送通信連携システムにおける前記端末装置であって、前記プライベートデータを要求する際の条件を要求条件とし、前記プライベートデータを画面に提示する際の条件を提示条件とし、前記要求条件を満たす前記プライベートデータのインデックス情報をPD(プライベートデータ)情報として、前記受信装置から前記連携機能にて、前記要求条件を入力し、前記要求条件に基づいた検索にて前記サーバへアクセスし、前記プライベートデータの所在場所を含む前記PD情報を生成し、前記PD情報を、前記連携機能にて前記受信装置へ送信する検索部を備えたことを特徴とする。
【0022】
また、請求項6の端末装置は、請求項5に記載の端末装置において、前記検索部が、前記受信装置から前記連携機能にて、前記要求条件及び前記提示条件を入力し、前記要求条件に基づいた検索にて前記サーバへアクセスし、前記プライベートデータの所在場所を含む前記PD情報を生成し、ユーザによる画面表示の許諾操作に従い、前記PD情報を、前記連携機能にて前記受信装置へ出力するPD情報処理部と、前記PD情報処理部により入力された前記提示条件の示す画面レイアウトにて前記プライベートデータのプレビューを表示し、前記ユーザに対して前記許諾操作を促す表示許諾処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
さらに、請求項7のプログラムは、コンピュータを、請求項1から4までのいずれか一項に記載の受信装置として機能させることを特徴とする。
【0024】
また、請求項8のプログラムは、コンピュータを、請求項5または6に記載の端末装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、プライベートデータを用いた放送通信連携サービスを実現する際に、ユーザ情報の管理負担を軽減することができ、不適切なアクセスを制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態による受信装置及び端末装置を含む放送通信連携システムの全体構成例を示す概略図である。
【
図2】受信装置及び端末装置のハードウェア及びソフトウェアの構造例を示す概略図である。
【
図3】放送通信連携システムの処理シーケンス例を説明する図である。
【
図6】具体例1の要求条件A及び提示条件Bを示す図である。
【
図7】具体例1のPD情報C及び画面レイアウトを示す図である。
【
図8】具体例2の要求条件A及び提示条件Bを示す図である。
【
図9】具体例2のPD情報C及び画面レイアウトを示す図である。
【
図10】具体例3の要求条件A及び提示条件Bを示す図である。
【
図11】具体例3のPD情報C及び画面レイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明は、プライベートデータを用いた放送通信連携サービスを実現する際に、受信装置と端末装置との間の連携機能を用いて、所定の条件を満たすように、ユーザの所有するリソースへアクセスすることを特徴とする。
【0028】
受信装置と端末装置との間の連携機能によって放送通信連携サービスを実現する場合、端末装置は、予め設定された検索範囲(アクセス範囲)においてユーザの所有するリソースへアクセスすることができる。この場合の検索範囲は、個人情報を保護する観点で問題ないことが前提となっている。
【0029】
しかしながら、端末装置にて動作するアプリによっては、リソースへのアクセスが必要以上に行われる可能性がある。そこで、放送通信連携サービスを実現する際に、検索範囲とは別の条件を満たすように、ユーザの所有するリソースへアクセスするようにした。
【0030】
これにより、端末装置においては、例えばハイブリッドキャストアプリの端末連携機能の下で、所定の条件を満たすようにアクセスが行われる。したがって、ハイブリッドキャストアプリの動作により、プライベートデータを取得する際に、放送局及びサービス事業者の意図から外れたアクセスを防ぐことができる。つまり、プライベートデータを用いた放送通信連携サービスを実現する際に、ユーザ情報の管理負担を軽減すると共に、不適切なアクセスを制限することができる。
【0031】
〔放送通信連携システム〕
まず、放送通信連携システムについて説明する。
図1は、本発明の実施形態による受信装置及び端末装置を含む放送通信連携システムの全体構成例を示す概略図である。この放送通信連携システム1は、放送局4、受信装置(TV受信機)2、端末装置3、サーバ5-1~5-M(総称して「サーバ5」という。)、サーバ6-1~6-N(総称して「サーバ6」という。)及びルータ7,8を備えて構成される。
【0032】
受信装置2及び端末装置3とサーバ5とは、例えばユーザの自宅内に設けられたLAN等のネットワーク(受信装置2、端末装置3及びサーバ5が接続された同一のネットワーク(同一NW))により接続される。また、受信装置2及び端末装置3とサーバ6とは、インターネット9等の外部のネットワーク(外部NW)及び同一NWを介して接続される。
【0033】
受信装置2は、ハイブリッドキャスト対応のテレビであり、放送局4から送信された放送信号を受信し、放送信号の映像を画面表示すると共に音声を再生する。また、受信装置2は、無線LAN等を介して端末装置3と接続することで端末装置3と連携し、データの送受信を行う。さらに、受信装置2は、サーバ5から同一NWを介して、またはサーバ6から外部NW及び同一NWを介して、アプリケーションが利用するプライベートデータ等のコンテンツを受信する。
【0034】
端末装置3は、スマートフォン、タブレット端末等の装置であり、無線LAN等を介して受信装置2と接続することで受信装置2と連携し、データの送受信を行う。また、端末装置3は、サーバ5から同一NWを介して、またはサーバ6から外部NW及び同一NWを介して、アプリケーションが利用するプライベートデータ等のコンテンツを受信する。
【0035】
放送局4は、番組の放送信号を送信する。サーバ5,6は、アプリケーションが利用するプライベートデータ等のコンテンツを格納している。
【0036】
サーバ5は、受信装置2及び端末装置3からのアクセスに伴い、コンテンツを、同一NWを介して受信装置2及び端末装置3へ送信する。サーバ6は、受信装置2及び端末装置3からのアクセスに伴い、コンテンツを、外部NW及び同一NWを介して受信装置2及び端末装置3へ送信する。
【0037】
放送通信連携サービスの形態は複数存在するが、本実施形態では、ハイブリッドキャスト技術仕様(前述の非特許文献1,2を参照)に基づき、受信装置2において、デジタル放送サービスとインターネットサービスとが連携動作することを想定する。受信装置2は、ハイブリッドキャストアプリを実行することで、サーバ5,6からコンテンツを取得する。
【0038】
また、
図1に示した放送通信連携システム1においては、ハイブリッドキャスト技術仕様に基づき、受信装置2上で動作するハイブリッドキャストアプリと、端末装置3にインストールされた端末側連携アプリとが連携動作するものとする。
【0039】
受信装置2において動作するアプリは、放送事業者が配信する放送マネージドアプリとする。端末装置3において動作する端末側連携アプリは、受信装置2と連携して動作するハイブリッドキャスト端末連携プロトコルを実装するコンパニオンアプリ等の連携アプリケーションであり、放送マネージドアプリと連携動作する1以上のサービスアプリを実行する。
【0040】
放送マネージドアプリとサービスアプリとは連携動作することにより、ユーザへ提供す るサービスを実行する。本実施形態では、サービスアプリは、端末装置3上で動作するネイティブアプリであり、アプリ間通信によって端末側連携アプリを経由して放送マネージドアプリと通信を行う。サービスアプリは、任意の手段により端末装置3に実装される。例えば、放送マネージドアプリから取得が指示されたアプリでもよく、ユーザ操作により取得されたアプリでもよく、端末装置3に予め実装されたアプリでもよい。
【0041】
図2は、
図1に示した受信装置2及び端末装置3のハードウェア及びソフトウェアの構造例を示す概略図である。受信装置2は、ハードウェア、OS(Operating System)、レジデント及びアプリ実行部の4層により構成される。アプリ実行部は、例えば放送マネージドアプリを実行するHTML5ブラウザである。
【0042】
OS上で実行されるレジデントには、メモリに常駐するソフトウェアによる放送の受信機能が搭載される。アプリ実行部で実行される放送マネージドアプリは、前述の非特許文献1により規定される拡張API(Application Programming Interface)を通して、レジデントの受信機機能にアクセスすることができる。ハードウェアは、CPU、各種メモリ、チューナー、デコーダ、通信装置、表示装置、入力装置等を含む。
【0043】
端末装置3は、ハードウェア、OS及びネイティブアプリ実行部の3層により構成される 。ネイティブアプリ実行部は、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等のOSが提供する複数のネイティブアプリを実行する。
【0044】
端末側連携アプリはネイティブアプリの一種であり、受信装置2により実行される放送マネージドアプリと連携動作する1以上のサービスアプリを実行する。サービスアプリが端末側連携アプリの機能として実装されていてもかまわない。ハードウェアは、CPU、各種メモリ、通信装置、表示装置、入力装置等を含む。
【0045】
ハイブリッドキャストにおける端末連携機能は、受信装置2のアプリ実行部で動作する 放送マネージドアプリと、端末装置3のネイティブアプリ実行部が実行する端末側連携ア プリと、サービスアプリとにより実現される。放送マネージドアプリとサービスアプリとの間では、前述の非特許文献1で規定される受信機と連携端末間のインターフェースを用いてテキストメッセージを送受信する。
【0046】
〔放送通信連携システム1の処理シーケンス〕
次に、
図1に示した放送通信連携システム1の処理シーケンスについて説明する。
図3は、放送通信連携システム1の処理シーケンス例を説明する図である。
【0047】
受信装置2は、放送マネージドアプリが動作することにより、検索及び画面提示(表示)の各種条件(要求条件A及び提示条件B)に従い、端末装置3に対してプライベートデータ(以下、「PD」という。)に関連する情報(PD情報C)の取得を要求する。
【0048】
要求条件Aは、PDを要求する際の検索条件であり、提示条件Bは、PDを画面提示(表示)する際の画面レイアウト等の条件である。PD情報Cは、取得対象のPDの所在場所等を示すインデックス情報である。
【0049】
そして、受信装置2は、放送マネージドアプリが利用する(取得対象の)PDを決定すると共に、画面レイアウトを決定し、PD情報Cに含まれる所在場所からPDを取得し、PDを画面レイアウトに従い提示する。
【0050】
端末装置3は、端末側連携アプリが動作することにより、受信装置2からのPD情報Cの取得要求に従い、予め設定された検索範囲において要求条件Aに基づき検索を行い、PD情報Cを生成する。そして、端末装置3は、ユーザによる画面表示の許諾操作を入力すると、PD情報Cを受信装置2へ送信する。
【0051】
以下、処理シーケンスについて説明する。受信装置2は、ユーザによる放送マネージドアプリ(HA)の起動の操作に従い、放送マネージドアプリを起動する(ステップS301)。
【0052】
受信装置2は、要求条件A及び提示条件Bを当該放送マネージドアプリまたはサーバ5等から取得し、PD情報Cを取得するためのPD要求、要求条件A及び提示条件Bを端末装置3へ送信する(ステップS302)。要求条件A及び提示条件Bは、放送マネージドアプリに記述されているか、またはサーバ5,6に格納されているものとする。
【0053】
端末装置3は、受信装置2からPD要求、要求条件A及び提示条件Bを受信する。そうすると、端末装置3は、予め設定された検索範囲にて要求条件AによるPDの検索を行い、PDに関連する情報及びサムネイルを取得し、PDに関連する情報に基づいてPD情報Cを生成する(ステップS303)。
【0054】
端末装置3は、PDをプレビュー表示(レイアウト付きプレビュー表示、またはPD確認用プレビュー表示)し、ユーザに対して画面表示の許諾操作を促す(ステップS304)。例えば、端末装置3は、提示条件Bに基づいた画面レイアウトにてサムネイルを表示したり、サムネイルを一覧表示したりする。
【0055】
端末装置3は、ユーザによる許諾OKの操作を入力すると、PD情報Cを受信装置2へ送信する(ステップS305)。
【0056】
受信装置2は、端末装置3からPD情報Cを受信すると、PD情報Cに基づいて、放送マネージドアプリが利用する(取得対象の)PDを決定すると共に、提示条件Bに基づいて、画面レイアウトを決定する(ステップS306)。
【0057】
そして、受信装置2は、PD情報CからPDのURLを抽出し、URLによる検索を行ってPDを取得する(ステップS307)。
【0058】
受信装置2は、ステップS306にて決定した画面レイアウトにてPDを提示する(ステップS308)。これにより、放送マネージドアプリに対する提示制御が行われ、画面レイアウトに従い、番組の映像信号及びPDが画面表示され、音声データ等を再生される。
【0059】
〔受信装置2〕
次に、
図1に示した受信装置2について説明する。
図4は、受信装置2の構成例を示すブロック図である。
【0060】
この受信装置2は、放送受信部10、放送通信連携部11及び通信部12を備えている。放送通信連携部11は、条件取得部20、PD情報要求部21、端末連携部22、PDレイアウト決定部23、PD取得部24、PD提示部25及び表示部26を備えている。放送通信連携部11は、放送マネージドアプリの動作に伴って機能する構成部である。
【0061】
放送受信部10は、放送局4から送信された放送信号を受信し、放送信号を復調して映像信号及び音声信号等を生成し、映像信号及び音声信号等を放送通信連携部11の表示部26に出力する。
【0062】
受信装置2は、ユーザによる放送マネージドアプリの起動の操作に従い、放送マネージドアプリを起動し、放送通信連携部11を機能させる。放送通信連携部11の条件取得部20は、放送マネージドアプリに記述されている要求条件A及び提示条件Bを当該放送マネージドアプリから取得するか、または、サーバ5,6から要求条件A及び提示条件Bを取得する。条件取得部20は、要求条件A及び提示条件BをPD情報要求部21に出力する。
【0063】
要求条件Aは、前述のとおり、PDを要求する際の検索条件であり、例えばPDの数、検索対象のファイルのフォーマット、サイズ及び更新日付、検索先のネットワーク、位置情報からなる。提示条件Bは、前述のとおり、PDを画面に提示する際の条件であり、例えばレイアウト種別(番組の映像と同じ箇所に表示、番組の映像とは別の箇所に表示)、表示サイズ、最大表示数からなる。
【0064】
PD情報要求部21は、条件取得部20から要求条件A及び提示条件Bを入力し、要求条件A及び提示条件Bを満たすPD情報Cを取得するために、PD要求を生成する。そして、PD情報要求部21は、PD要求、要求条件A及び提示条件Bを端末連携部22に出力する。
【0065】
PD情報要求部21は、端末連携部22から、PD要求に対応するPD情報Cを入力し、要求条件A、提示条件B及びPD情報CをPDレイアウト決定部23に出力する。
【0066】
PD情報Cは、前述のとおり、PDの所在場所等を含むPDのインデックス情報であり、例えばURL(Uniform Resource Locator)、作成日時、更新日時、サイズからなる。
【0067】
端末連携部22は、PD情報要求部21からPD要求、要求条件A及び提示条件Bを入力し、PD要求、要求条件A及び提示条件Bを端末装置3へ送信する。また、端末連携部22は、端末装置3から、PD要求に対応するPD情報Cを受信し、PD情報CをPD情報要求部21に出力する。
【0068】
PDレイアウト決定部23は、PD情報要求部21から要求条件A、提示条件B及びPD情報Cを入力する。そして、PDレイアウト決定部23は、PD情報Cに基づいて、放送マネージドアプリが利用する(取得対象の)PDを決定する。具体的には、PDレイアウト決定部23は、PD情報Cに含まれるインデックス情報が示すPDを、放送マネージドアプリが利用するPDとして決定する。また、PDレイアウト決定部23は、提示条件Bに基づいて、画面レイアウトを決定する。
【0069】
PDレイアウト決定部23は、PD情報Cから、決定したPDのURLを抽出し、URLをPD取得部24に出力する。また、PDレイアウト決定部23は、決定した画面レイアウトに関する情報(レイアウト情報)を生成し、レイアウト情報をPD提示部25に出力する。
【0070】
PD取得部24は、PDレイアウト決定部23からURLを入力し、URLによる検索指示を通信部12に出力し、通信部12から、当該検索指示に対応する検索結果であるPDを入力する。そして、PD取得部24は、PDをPD提示部25に出力する。
【0071】
通信部12は、PD取得部24からURLによる検索指示を入力し、URLによる検索指示を実行し、URLのサーバ5,6からPDを受信する。そして、通信部12は、PDをPD取得部24に出力する。
【0072】
PD提示部25は、PDレイアウト決定部23からレイアウト情報を入力すると共に、PD取得部24からPDを入力し、レイアウト情報の示す画面レイアウトにてPDを提示して提示データを生成し、レイアウト情報を含む提示データを表示部26に出力する。これにより、放送マネージドアプリに対する提示制御が行われる。
【0073】
表示部26は、放送受信部10から映像信号及び音声信号等を入力すると共に、PD提示部25からレイアウト情報を含む提示データを入力する。そして、表示部26は、レイアウト情報の示す画面レイアウトに従い、番組の映像信号及びPDを画面表示すると共に、音声データ等を再生する。
【0074】
これにより、プライベートデータを用いた放送通信連携サービスを実現する際に、ハイブリッドキャストアプリの端末連携機能を用いて、番組の映像信号と共にプライベートデータを受信装置2に画面表示することができる。この場合、画面表示されるプライベートデータは、端末装置3において、予め設定された検索範囲にて所定の要求条件Aを満たすように、ユーザの所有するリソースへアクセスして得られた情報である。
【0075】
〔端末装置3〕
次に、
図1に示した端末装置3について説明する。
図5は、端末装置3の構成例を示すブロック図である。この端末装置3は、端末連携部30、通信部31及び検索部32を備えている。検索部32は、PD情報処理部40及び表示許諾処理部41を備えている。
【0076】
この端末連携部30は、ネイティブアプリである端末側連携アプリの動作に伴って機能する構成部である。検索部32は、端末側連携アプリとアプリ間連携するサービスアプリの動作に伴って機能する構成部である。
【0077】
端末装置3は、受信装置2における放送マネージドアプリの起動に伴い、当該放送マネージドアプリと連携する端末側連携アプリを起動し、端末連携部30及び検索部32を機能させる。
【0078】
端末連携部30は、受信装置2からPD要求、要求条件A及び提示条件Bを受信し、PD要求、要求条件A及び提示条件Bを検索部32のPD情報処理部40に出力する。また、端末連携部30は、検索部32のPD情報処理部40からPD情報Cを入力し、PD情報Cを受信装置2へ送信する。
【0079】
検索部32のPD情報処理部40は、端末連携部30からPD要求、要求条件A及び提示条件Bを入力し、PD要求に基づいて、受信装置2からのPD情報Cの取得要求を認識する。そして、PD情報処理部40は、予め設定された検索範囲における要求条件Aによる検索指示を通信部31に出力する。
【0080】
例えば、予め設定された検索範囲が
図1に示した同一NWの範囲である場合、サーバ5に対して検索が行われ、予め設定された検索範囲が同一NW及び外部NWの範囲である場合、サーバ5,6に対して検索が行われる。尚、予め設定された検索範囲が同一NW及び外部NWであり、要求条件Aに同一NWの条件が含まれる場合、外部NWへの検索は行われず、同一NWのサーバ5のみに対して検索が行われる。詳細については後述する。
【0081】
PD情報処理部40は、通信部31から、当該検索指示に対応する検索結果(当該要求条件Aを満たすPDに関連する情報(PDのURL等)及び当該PDのサムネイル)を入力する。そして、PD情報処理部40は、要求条件Aを満たすPDに関する情報に基づいて、PDのURLを含むPD情報Cを生成する。
【0082】
PD情報処理部40は、検索結果、提示条件B及びPD情報Cを表示許諾処理部41に出力し、これらの出力に対応する結果を入力し、結果が許諾OKである場合、PD情報Cを端末連携部30に出力する。
【0083】
尚、PD情報処理部40は、結果が許諾NGである場合、許諾NGを端末連携部30に出力し、端末連携部30は、許諾NGを受信装置2へ送信する。この場合、受信装置2は、許諾NGを受信すると、当該PD要求がユーザにより許諾されなかったことを判断し、許諾NGを表示する等して処理を終了する。
【0084】
通信部31は、PD情報処理部40から要求条件Aによる検索指示を入力し、要求条件Aによる検索指示を実行し、予め設定された検索範囲で要求条件Aを満たすPDに関連する情報(PDのURL等)を受信する。また、通信部31は、当該PDのサムネイルを受信する。そして、通信部31は、PDに関連する情報及びサムネイルを検索結果としてPD情報処理部40に出力する。
【0085】
表示許諾処理部41は、PD情報処理部40から検索結果、提示条件B及びPD情報Cを入力し、提示条件Bに基づいた画面レイアウトにて、検索結果に含まれるサムネイルを表示し、またはサムネイルを一覧表示し、ユーザに対して画面表示の許諾操作を促す。
【0086】
表示許諾処理部41は、ユーザによる許諾OKの操作を入力すると、許諾OKの結果をPD情報処理部40に出力し、ユーザにより許諾NGの操作を入力すると、許諾NGの結果をPD情報処理部40に出力する。
【0087】
これにより、プライベートデータを用いた放送通信連携サービスを実現する際に、ハイブリッドキャストアプリの端末連携機能を用いて、予め設定された検索範囲にて所定の要求条件Aを満たすように、ユーザの所有するリソースへアクセスすることができる。その結果、予め設定された検索範囲にて所定の要求条件Aを満たすPDのURL等を取得することができ、PD情報Cを生成することができる。
【0088】
〔具体例〕
次に、
図1に示した放送通信連携システム1による、プライベートデータを用いた放送通信連携サービスの具体例について説明する。
【0089】
(具体例1)
具体例1は、クイズ番組と共に、所定のユーザ名及びその写真を表示する例である。
図6は、具体例1の要求条件A及び提示条件Bを示す図であり、
図7は、具体例1のPD情報C及び画面レイアウトを示す図である。
【0090】
要求条件Aは、「appUrl」(放送マネージドアプリのURL)、「requestId」(リクエストID)、「requestConditions」(リクエスト状態)、「maxNumberOfUsers」(ユーザの最大数)、「type」(表示タイプ)、「Extensions」(ファイルの拡張子)、「sizeLimit」(ファイルサイズの最大値)、「Subject」(対象の種類)、及び「LocationRange」(検索範囲)からなる。
【0091】
「appUrl」は、放送マネージドアプリのURLであり、放送マネージドアプリの所在場所を示す。「requestId」は、リクエストIDであり、要求条件Aに含まれる要求の番号を示す。「requestConditions」は、リクエスト状態であり、「userinformation」はユーザに関する情報を示す。「maxNumberOfUsers」は、ユーザの最大数であり、当該要求に対するユーザの最大数を示す。
【0092】
「type」は、表示タイプであり、「icon」は絵柄または写真を示し、「userName」はユーザ名を示す。「Extensions」は、ファイルの拡張子であり、「type」が「icon」の場合、「jpg」(JPEGファイル)、「png」(PNGファイル)等が設定されており、「type」が「userName」の場合、「text」(テキストファイル)が設定されている。
【0093】
「sizeLimit」は、ファイルサイズの最大値である。「Subject」は、対象の種類であり、「person」は、人間を示す。「LocationRange」は、検索対象のネットワークであり、例えば
図1に示した放送通信連携システム1において、「LAN」は同一NWを示し、「WAN」は外部NWを示す。
【0094】
図6の要求条件Aには、「requestId」=1として、ユーザの写真(アイコン)、ファイル形式(JPEGファイル等)、ファイルサイズの最大値(100MB)等が設定され、「requestId」=2として、ユーザ名、ファイル形式(テキストファイル)等が設定されている。端末装置3は、この要求条件Aを満たすPDの検索を行う。
【0095】
また、例えば
図3のステップS303において、端末装置3は、受信装置2からのPD要求に従い、予め設定された検索範囲にて要求条件AによるPDの検索を行う。ここで、予め設定された検索範囲が同一NW及び外部NWであり、要求条件Aの「LocationRange」に「LAN」(同一NW)が設定されている場合を想定する。
【0096】
この場合、要求条件Aの「LocationRange」に設定された条件である同一NWは、予め設定された検索範囲である同一NW及び外部NWよりも狭い。このため、予め設定された同一NW及び外部NWよりも制限された検索範囲の同一NWのみを検索対象のネットワークとして、PDの検索が行われる。予め設定される検索範囲は、端末装置3側で自由に変更することができ、要求条件Aは、放送マネージドアプリを提供する放送局4側にて設定される。
【0097】
これにより、放送局4側は、端末装置3側にて設定された検索範囲を、要求条件Aにて制限することができるから、ユーザ情報を管理することなく、端末装置3による不適切なアクセスを制限することができる。結果として、安定及び安心感のある放送通信連携サービスを提供することができる。
【0098】
提示条件Bは、「appUrl」(放送マネージドアプリのURL)、「layoutID」(レイアウトID)、「requestId」(リクエストID)、「layouttype」(レイアウトタイプ)、「displayArea」(表示エリア)、及び「maxNumberOfItems」(アイテムの最大数)からなる。
【0099】
「layoutID」は、レイアウトIDであり、提示条件Bに含まれるレイアウトの番号を示す。「requestId」は、リクエストIDであり、要求条件Aの「requestId」に対応する。「layouttype」は、レイアウトタイプであり、「overlay」は番組の映像と同じ箇所に表示することを示し、「sideBySide」(後述する
図8の提示条件Bを参照)は番組の映像とは別の箇所に表示することを示す。
【0100】
「displayArea」は、表示エリアであり、PDを表示する際の解像度(表示サイズ)を示す。例えば「480×480」は、当該画素数にて表示することを示す。「maxNumberOfItems」は、アイテムの最大数であり、表示する写真またはユーザ名の最大数を示す。
【0101】
図6の提示条件Bには、「layoutID」=1として、番組の映像と同じ箇所にユーザの写真及びユーザ名を480×480の解像度等にて表示することが設定されている。また、提示条件Bには、「layoutID」=2として、番組の映像と同じ箇所にユーザの写真及びユーザ名を320×180の解像度等にて表示することが設定されている。
【0102】
端末装置3は、この提示条件Bに基づいた画面レイアウトにて、ユーザの写真及びユーザ名のサムネイルを表示し、ユーザに対して画面表示の許諾操作を促す。また、受信装置2は、この提示条件Bに基づいて、画面レイアウトを決定する。
【0103】
PD情報Cは、「hcAppUrl」(放送マネージドアプリのURL)、「requestId」(リクエストID)、「personalDataID」(パーソナルデータID)、「url」(PDの所在場所(URL))、「createdDate」(作成日時)、「updatedDate」(更新日時)、「Size」(サイズ)、及び「Subject」(対象の種類)からなる。
【0104】
「hcAppUrl」は、放送マネージドアプリのURLであり、放送マネージドアプリの所在場所を示す。「personalDataID」は、パーソナルデータIDであり、PDの番号を示す。「url」は、PDの所在場所(URL)である。「createdDate」は、ファイルの作成日時であり、「updatedDate」は、ファイルの更新日時であり、「Size」は、ファイルのサイズである。「Subject」は、対象の種類であり、「user」は、ユーザを示す。
【0105】
図7のPD情報Cには、「requestId」=1として、ユーザの写真(要求条件Aの「requestId」=1の「type」=「icon」を参照)が格納されているURL、そのファイルの作成日時、更新日時及びサイズ等が設定されている。また、PD情報Cには、「requestId」=2として、ユーザ名(要求条件Aの「requestId」=2の「type」=「userName」を参照)が格納されているURL等が設定されている。端末装置3は、要求条件Aに基づいたPDの検索により、このPD情報Cを生成する。
【0106】
このように、具体例1においては、要求条件Aとして、ユーザの写真及びユーザ名等が設定されている。端末装置3は、要求条件Aに基づいた検索結果を、PD情報Cとして受信装置2のハイブリッドキャストアプリへ通知する。そして、受信装置2は、PD情報Cに基づいて、そのユーザの写真及びユーザ名を受信し、ハイブリッドキャストアプリにより、ユーザの写真及びユーザ名をクイズ番組の映像と共に表示する。
【0107】
つまり、受信装置2は、提示条件Bに基づいて決定した画面レイアウトに従い、クイズ番組の映像(
図7のα)を表示すると共に、当該映像上の所定箇所に、プライベートデータ(
図7のβ1,β2)を上書表示する。
【0108】
(具体例2)
具体例2は、番組(例えば旅行番組)のシーンと連動して、そのシーンの位置情報に対応する写真及び動画(例えば旅行先の現地で撮影された(現地の位置情報が付与された)写真及び動画)を表示する例である。
図8は、具体例2の要求条件A及び提示条件Bを示す図であり、
図9は、具体例2のPD情報C及び画面レイアウトを示す図である。
【0109】
要求条件Aは、「appUrl」(放送マネージドアプリのURL)、「requestId」(リクエストID)、「requestConditions」(リクエスト状態)、「latitude」(緯度)、「longitude」(経度)、「type」(表示タイプ)、「Extensions」(ファイルの拡張子)、「sizeLimit」(ファイルサイズの最大値)、「createdDate」(作成日時)、「updatedDate」(更新日時)、「Subject」(対象の種類)、及び「LocationRange」(検索範囲)からなる。
【0110】
「requestConditions」の「spot」は、リクエスト状態が、番組の進行する中でスポットの情報として提供されることを示す。つまり、「requestId」=1の条件は、番組の進行する中で、そのシーンの位置情報等が反映されるように生成される。「latitude」は、緯度の位置情報であり、「longitude」は、経度の位置情報である。「type」の「Photo」は、表示タイプが写真であることを示し、「Movie」は、表示タイプが動画であることを示す。その他の項目は、
図6と同様である。
【0111】
図8の要求条件Aには、「requestId」=1,3として、緯度及び経度、写真、ファイルサイズの最大値、ファイルの作成日時の範囲等が設定されている。また、「requestId」=2として、緯度及び経度、動画、ファイルの作成日時の範囲等が設定されている。
【0112】
端末装置3は、この要求条件Aに従い、緯度及び経度の所定範囲内、ファイルサイズ、作成日時、写真等の条件を満たすPDの検索を行う。
【0113】
提示条件Bは、
図6に示した提示条件Bと同様の項目から構成される。
図8の提示条件Bには、「layoutID」=1として、番組の映像と同じ箇所に写真を最大6枚まで、640×640の解像度等にて表示することが設定されている。また、「layoutID」=2として、番組の映像以外の箇所に写真及び動画を480×480の解像度等にて表示することが設定されている。また、提示条件Bには、「layoutID」=3として、番組の映像以外の箇所に写真及び動画を480×480の解像度等にて表示することが設定されている。
【0114】
端末装置3は、この提示条件Bに基づいた画面レイアウトにて、写真及び動画のサムネイルを表示し、ユーザに対して画面表示の許諾操作を促す。また、受信装置2は、この提示条件Bに基づいて、画面レイアウトを決定する。
【0115】
PD情報Cは、
図7に示したPD情報Cと同様の項目から構成される。尚、
図9のPD情報Cは、「requestId」=1において2つのPDに関する情報が設定され、「requestId」=2において1つのPDに関する情報が設定されている。
【0116】
図9のPD情報Cには、「requestId」=1の第1のPDに関する情報として、写真(要求条件Aの「requestId」=1の「type」=「Photo」を参照)が格納されているURL等が設定され、第2のPDに関する情報として、写真が格納されているURL等が設定されている。また、PD情報Cには、「requestId」=2として、動画(要求条件Aの「requestId」=2の「type」=「movie」を参照)が格納されているURL等が設定されている。端末装置3は、要求条件Aに基づいたPDの検索により、このPD情報Cを生成する。
【0117】
このように、具体例2においては、ハイブリッドキャストアプリに対し、番組のシーンと連動して位置情報が付与され、そのシーンに応じて、要求条件Aとして、位置情報に対応する写真及び動画等が設定される。
【0118】
端末装置3は、要求条件Aに基づいて、位置情報に対応する写真及び動画を検索し、その検索結果をPD情報Cとして生成する。PD情報Cには、写真等のURL、写真等の所有者、被撮影者、写真等の位置情報等が含まれる。端末装置3は、PD情報Cを受信装置2のハイブリッドキャストアプリへ通知する。
【0119】
受信装置2は、PD情報Cに基づいて、その写真及び動画を受信し、ハイブリッドキャストアプリにより、写真及び動画を番組の映像と共に表示する。
【0120】
つまり、受信装置2は、提示条件Bに基づいて決定した画面レイアウトに従い、番組の映像(
図9のα)を表示すると共に、当該映像上の所定箇所に、当該映像のシーンにおける位置情報に関連するプライベートデータ(
図9のβ1)を上書表示する。また、受信装置2は、当該映像とは異なる箇所に、当該映像のシーンにおける位置情報に関連するプライベートデータ(
図9のβ2,β3)を表示する。
【0121】
(具体例3)
具体例3は、サッカー番組のシーンと連動して、フィールドにおける選手の位置のプロットをオーバーレイ表示するプライベートアプリを利用する例である。このプライベートアプリは、ユーザ等により製作され、例えばHTMLで記述されたWebアプリであり、
図1に示した同一NWのサーバ5に格納されているものとする。
図10は、具体例3の要求条件A及び提示条件Bを示す図であり、
図11は、具体例3のPD情報C及び画面レイアウトを示す図である。
【0122】
要求条件Aは、「appUrl」(放送マネージドアプリのURL)、「requestId」(リクエストID)、「requestConditions」(リクエスト状態)、「Genre」(ジャンル)、「keywords」(キーワード)、「type」(表示タイプ)、「Extensions」(ファイルの拡張子)、「sizeLimit」(ファイルサイズの最大値)、「createdDate」(作成日時)、「updatedDate」(更新日時)、及び「Subject」(対象の種類)からなる。
【0123】
「requestConditions」の「application」は、リクエスト状態がアプリケーションであることを示す。「Genre」は、ジャンルであり、サッカーが設定されている。「keywords」は、キーワードであり、Jリーグ、チーム名、選手名、スコア及びマップ等の試合のカード情報を示す。「type」は、表示タイプであり、HTMLファイルを示す。その他の項目は、
図6及び
図8と同様である。
【0124】
図10の要求条件Aには、「requestId」=1として、Jリーグ、チーム名、選手名、スコア及びマップのカード情報、HTMLファイル等が設定されている。端末装置3は、この要求条件Aを満たすPDの検索を行う。つまり、端末装置3は、Jリーグのチーム名、選手名、スコア及びマップのカード情報等に対応するHTMLファイルの検索を行う。
【0125】
提示条件Bは、
図6及び
図8に示した提示条件Bと同様の項目から構成される。
図10の提示条件Bには、「layoutID」=1として、番組の映像と同じ箇所に、HTMLファイルの実行結果(フィールドにおける選手の位置のプロット等)を、480×1020の解像度等にて表示することが設定されている。
【0126】
端末装置3は、この提示条件Bに基づいた画面レイアウトにて、フィールドにおける選手の位置をプロットしたサムネイル等を表示する。また、受信装置2は、この提示条件Bに基づいて、画面レイアウトを決定する。
【0127】
PD情報Cは、「hcAppUrl」(放送マネージドアプリのURL)、「requestId」(リクエストID)、「personalDataID」(パーソナルデータID)、・・・、「keywords」(キーワード)から構成される。
【0128】
図11のPD情報Cには、「requestId」=1における第1のPDに関する情報として、マップを表示するHTMLファイルのURL等が設定され、第2のPDに関する情報として、スコアを表示するHTMLファイルのURL等が設定されている。
【0129】
このように、具体例3においては、ハイブリッドキャストアプリに対し、番組のシーンと連動して試合のカード情報等が付与され、要求条件Aとして、試合のカード情報等に対応するプライベートアプリのHTMLファイル等が設定される。
【0130】
端末装置3は、ユーザの操作に伴い、受信装置2に対して要求条件A等の送信を要求する。端末装置3は、受信装置2から要求条件A等を受信すると、要求条件Aに基づいて、試合のカード情報等に対応するHTMLファイルを検索し、その検索結果をPD情報Cとして生成する。PD情報Cには、HTMLファイルのURL、試合のカード情報等が含まれる。端末装置3は、PD情報Cを受信装置2のハイブリッドキャストアプリへ通知する。
【0131】
受信装置2は、PD情報Cに基づいて、そのHTMLファイルを実行させてその実行結果(例えば、フィールドにおける選手の位置のプロット情報)を受信し、サッカー番組の映像と共に、ハイブリッドキャストアプリ内のフレームにて実行結果のPDを表示する。
【0132】
つまり、受信装置2は、提示条件Bに基づいて決定した画面レイアウトに従い、サッカー番組の映像(
図11のα)を表示すると共に、当該映像上の所定箇所に、当該映像のシーンにおける選手の位置のプロット(フィールドにおけるプロット)等のプライベートデータ(
図11のβ)を上書表示する。
【0133】
以上のように、
図1に示した放送通信連携システム1によれば、受信装置2にて放送マネージドアプリが動作することにより、受信装置2に備えた放送通信連携部11のPD情報要求部21は、端末装置3に対し、要求条件A及び提示条件Bに対応するPD情報Cの取得を要求する。
【0134】
端末装置3にて端末側連携アプリが動作することにより、端末装置3に備えた検索部32のPD情報処理部40は、予め設定された検索範囲にて要求条件AによるPDの検索を行い、PDに関連する情報及びサムネイルを取得し、PDに関連する情報に基づいてPD情報Cを生成する。
【0135】
そして、表示許諾処理部41は、提示条件Bに基づいた画面レイアウトにてサムネイルを表示する等して、ユーザに対し画面表示の許諾操作を促す。PD情報処理部40は、許諾OKの操作に従い、PD情報Cを受信装置2へ送信する。
【0136】
受信装置2に備えた放送通信連携部11のPDレイアウト決定部23は、PD情報Cに基づいて、放送マネージドアプリが利用する(取得対象の)PDを決定すると共に、提示条件Bに基づいて、画面レイアウトを決定する。PD取得部24は、PD情報CからPDのURLを抽出し、URLによる検索を行ってPDを取得し、PD提示部25は、決定した画面レイアウトにてPDを表示する。
【0137】
これにより、受信装置2の画面には、画面レイアウトに従い、番組の映像信号及びPDが表示され、プライベートデータを用いた放送通信連携サービスが実現される。
【0138】
また、受信装置2がPDを取得する際に、ユーザの許諾操作等が従来と変わらない端末連携機能の中で行うことができ、ユーザ情報の管理負担を軽減することができ、プライバシーを含むコンテンツの情報利用の懸念を軽減できる。
【0139】
また、要求条件Aを満たすローカルリソースのみにアクセスするから、ユーザ側は従来と変わらない許諾操作により、放送局4側はユーザを特定することなく、プライベートデータを用いた放送通信連携サービスを実現することができる。
【0140】
したがって、プライベートデータを用いた放送通信連携サービスを実現する際に、ユーザ情報の管理負担を軽減することができ、不適切なアクセスを制限することができる。
【0141】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0142】
尚、本発明の実施形態による受信装置2及び端末装置3のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。受信装置2及び端末装置3は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。
【0143】
受信装置2に備えた放送受信部10、放送通信連携部11(条件取得部20、PD情報要求部21、端末連携部22、PDレイアウト決定部23、PD取得部24、PD提示部25及び表示部26)及び通信部12の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0144】
また、端末装置3に備えた端末連携部30、通信部31及び検索部32(PD情報処理部40及び表示許諾処理部41)の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0145】
これらのプログラムは、前記記憶媒体に格納されており、CPUに読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。
【符号の説明】
【0146】
1 放送通信連携システム
2 受信装置(TV受信機)
3 端末装置
4 放送局
5,5-1~5-M,6,6-1~6-N サーバ
7,8 ルータ
9 インターネット
10 放送受信部
11 放送通信連携部
12,31 通信部
20 条件取得部
21 PD情報要求部
22,30 端末連携部
23 PDレイアウト決定部
24 PD取得部
25 PD提示部
26 表示部
32 検索部
40 PD情報処理部
41 表示許諾処理部
A 要求条件
B 提示条件
C PD情報