(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】無線受電装置、及び無線給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20230510BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230510BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/10
H02J7/00 301D
(21)【出願番号】P 2021068654
(22)【出願日】2021-04-14
(62)【分割の表示】P 2016191654の分割
【原出願日】2016-09-29
【審査請求日】2021-04-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 博次
(72)【発明者】
【氏名】太矢 隆士
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-31085(JP,A)
【文献】特表2007-513793(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035333(WO,A1)
【文献】特開2013-236479(JP,A)
【文献】特開2013-230058(JP,A)
【文献】特開平11-66248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 - 50/90
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
G06K 17/00 - 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により無線送電装置から送電される電力を受電する受電部と、
前記無線送電装置と無線により通信を行う受電側通信部と、
前記受電部が受電した電力により、前記受電側通信部が受信したデータが書き込まれる記憶部と、
前記記憶部に前記受電側通信部が受信したデータを書き込む際に前記記憶部に給電される電力または当該電力に応じた電圧を所定の電力または所定の電圧とそれぞれ比較し、比較結果に基づいた情報を監視情報として前記受電側通信部から前記無線送電装置へ送信させる監視部と、
を備え、
前記監視部は、前記監視情報として、データの書き込みに成功したこと又はデータの書き込みに失敗したことを示す書込情報と該書込情報と異なる別情報とを含む情報を生成
し、
前記記憶部は、前記情報が書き込まれる不揮発性メモリを含む、
無線受電装置。
【請求項2】
前記監視部は、前記記憶部に給電される電力が前記所定の電力以上の場合、または前記記憶部に給電される電力に応じた電圧が前記所定の電圧以上の場合、前記記憶部にデータが正しく書き込まれたと判定した前記監視情報を前記受電側通信部から前記無線送電装置へ送信させる
請求項1に記載の無線受電装置。
【請求項3】
前記監視部は、前記記憶部に給電される電力に応じた電圧と、前記所定の電圧とを比較した比較結果を出力する比較器を含む、
請求項1または請求項2に記載の無線受電装置。
【請求項4】
前記監視部は、前記記憶部に前記監視情報を書き込んだ後、前記記憶部から読み出した前記監視情報を前記受電側通信部から前記無線送電装置へ送信させる、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無線受電装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無線受電装置と、
無線により前記無線受電装置へ電力を送電する送電部、前記無線受電装置と無線により通信を行う送電側通信部、及び前記送電側通信部から前記データを送信させる制御及び前記送電側通信部が受信した前記監視情報に基づいて前記記憶部にデータが正しく書き込まれたか否かを判定する制御を行う制御部を含む無線送電装置と、
を備えた無線給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線受電装置、及び無線給電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、非接触(ワイヤレス)で、無線により無線送電装置から無線受電装置に対して電力の送電を行い、無線受電装置が受電した電力を電池等に給電する無線給電システムが知られている。また、当該無線給電システムとして、近距離無線通信によって無線送電装置と無線受電装置との間で相互にデータの通信を行う技術が知られている。
【0003】
このような無線給電システムの無線受電装置において、無線送電装置から受電した電力が供給され、供給された電力によりデータが書き込まれる記憶部を備えたものが知られている。
【0004】
無線受電装置では、供給された電力が低い場合、記憶部に正しくデータが書き込まれなかったり、データの書込は正しく行われたものの、書き込まれたデータを長期間保持することができなかったりする場合がある。そのため、例えば、特許文献1には、書込に使用する電圧が充分高くない場合に記憶部への書込を禁止する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線送電装置から送信したデータを無線受電装置の記憶部に書き込む場合、無線送電装置では、記憶部へのデータの書込結果について、把握することが望まれている。これに対して、記憶部への書込を禁止する引用文献1に記載の技術では、例えば、記憶部への書込が行われた場合に、正しく書込が行われたか否かについては把握できない等、無線送電装置が記憶部への書込結果を把握するには充分ではない場合があった。そのため、より正確に、記憶部へのデータの書込結果について把握する技術が望まれていた。
【0007】
本開示は、記憶部へのデータの書込結果について、無線送電装置がより正確に把握することができる、無線受電装置、及び無線給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の無線受電装置は、無線により無線送電装置から送電される電力を受電する受電部と、前記無線送電装置と無線により通信を行う受電側通信部と、前記受電部が受電した電力により、前記受電側通信部が受信したデータが書き込まれる記憶部と、前記記憶部に前記受電側通信部が受信したデータを書き込む際に前記記憶部に給電される電力または当該電力に応じた電圧を所定の電力または所定の電圧とそれぞれ比較し、比較結果に基づいた情報を監視情報として前記受電側通信部から前記無線送電装置へ送信させる監視部と、を備える。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本開示の無線給電システムは、本開示の無線受電装置と、無線により前記無線受電装置へ電力を送電する送電部、前記無線受電装置と無線により通信を行う送電側通信部、及び前記送電側通信部から前記データを送信させる制御及び前記送電側通信部が受信した前記監視情報に基づいて前記記憶部にデータが正しく書き込まれたか否かを判定する制御を行う制御部を含む無線送電装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、記憶部へのデータの書込結果について、無線送電装置がより正確に把握することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の無線給電システムの一例の概略を表す構成図である。
【
図2】実施形態の無線受電装置が実行する書込監視処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】実施形態の無線送電装置が実行するデータ送信制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態の無線給電システムのその他の例の概略を表す構成図である。
【
図5】実施形態の無線給電システムのその他の例の概略を表す構成図である。
【
図6】実施形態の無線給電システムのその他の例の概略を表す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、図面を参照して、各実施形態を詳細に説明する。
【0013】
まず、本実施形態の無線給電システムの構成について説明する。
図1に、本実施形態の無線給電システム10の一例の概略を表す構成図を示す。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の無線給電システム10は、コイルアンテナ22を含む無線送電装置12と、コイルアンテナ32を含む無線受電装置14と、を備える。
【0015】
本実施形態の無線給電システム10では、無線送電装置12から無線受電装置14へ、無線により非接触(ワイヤレス)で給電を行う。本実施形態の無線給電システム10では、無線給電の一例として、電磁誘導方式を用いる場合について説明する。本実施形態の無線給電システム10では、給電を行う場合、無線送電装置12は、コイルアンテナ22に交流電流を流すことにより磁束を発生させる。その結果、無線受電装置14のコイルアンテナ32を貫く磁束が変化し、コイルアンテナ32にも交流電流が流れる。
【0016】
また、本実施形態の無線給電システム10は、近距離無線通信によって無線送電装置12と無線受電装置14との間で相互にデータの通信を行う。無線給電システム10が行う近距離無線通信は、例えば、NFC(Near Field Communication)による近距離無線通信等が挙げられる。無線送電装置12のコイルアンテナ22及び無線受電装置14のコイルアンテナ32は、無線通信に用いるアンテナ及び無線給電に用いるアンテナの両方の機能を有する。無線送電装置12及び無線受電装置14は、コイルアンテナ22及びコイルアンテナ32により、給電と情報の通信とを切り替えて行うことが可能とされている。
【0017】
無線送電装置12は、送電及び通信部(以下、「送電/通信部」という)20、コイルアンテナ22、及びマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という)24を備える。
【0018】
マイコン24は、送電/通信部20による電力の送電、及び通信に関する制御を行う。また、本実施形態のマイコン24は、無線受電装置14の不揮発性メモリ39(詳細後述)に対するデータの書込に関する制御を行う。本実施形態のマイコン24が、本発明の制御部の一例である。
【0019】
送電/通信部20には、電源電圧が入力され、マイコン24の制御に応じて、コイルアンテナ22に交流電流を流すことにより、電力を送電(給電)する。また、上述したように本実施形態の送電/通信部20は、マイコン24の制御に応じて、コイルアンテナ22を用いてと無線通信を行う。本実施形態の送電/通信部20が、本発明の送電部及び送電側通信部の一例である。
【0020】
一方、無線受電装置14は、受電/通信部30、コイルアンテナ32、抵抗素子33、監視部40、電源IC(Integrated Circuit)42、及び平滑コンデンサ44を備える。また、監視部40は、マイコン34、ADC(Analog-to-Digital Converter)36、ADC38、及び不揮発性メモリ39を含む。監視部40は、受電/通信部30から給電される電力を電源電力として駆動する。
【0021】
マイコン34は、受電/通信部30による電力の受電、及び通信に関する制御を行う。また、本実施形態のマイコン34は、監視部40全体の動作を制御し、無線送電装置12から受信したデータの不揮発性メモリ39への書き込みを監視する。
【0022】
受電/通信部30は、誘導起電力によりコイルアンテナ32を貫く磁束密度が変化し、コイルアンテナ32を交流電流が流れることにより、無線送電装置12から送電(給電)された電力の受電を行う。また、上述したように本実施形態の送電/通信部30は、マイコン34の制御に応じて、コイルアンテナ32を用いて無線通信を行う。本実施形態の受電/通信部30が、本発明の受電部及び受電側通信部の一例である。
【0023】
受電/通信部30で受電された電力は、抵抗素子33及び電源IC42を介して電池18に出力される。本実施形態の電池18は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池である。なお、電池18は、特に限定されず、給電された電力により充電可能なものであればよい。
【0024】
電源IC42は、抵抗素子33を通過した電圧を、電池18に応じた充電電圧に変換する。また、電源IC42は、電池18から出力された出力電圧をマイコン34等に応じた電圧に変換する。平滑コンデンサ44は、電源IC42から出力された電圧を平滑化する。
【0025】
本実施形態のADC36は、抵抗素子33を通過する前の電圧を検出する。一方、ADC38は抵抗素子33を通過した後の電圧を検出する。ADC36及びADC38により検出された電圧は、マイコン34に出力される。なお、本実施形態では、無線受電装置14が電力を受電している場合において、ADC36からマイコン34に出力される電圧を、第1電圧といい、ADC38からマイコン34に出力される電圧を第2電圧という。電流が抵抗素子33を通過すると、電圧降下が生じるため、マイコン34は、ADC36が検出した電圧及びADC38が検出した電圧に基づいて抵抗素子33を流れる電流値を導出することができ、これにより、受電した(給電された)電力を導出することができる。
【0026】
不揮発性メモリ39は、無線送電装置12から送信され、受電/通信部30が受信したデータが書き込まれる記憶部であり、例えば、フラッシュメモリ等である。不揮発性メモ リ39が、本発明の記憶部の一例である。
【0027】
無線送電装置12から送信されて不揮発性メモリ39に書き込むデータとしては、例えば、無線給電システム10において固有のID(Identification)等が挙げられる。
【0028】
次に本実施形態の無線給電システム10において、無線送電装置12が送信したデータを無線受電装置14の不揮発性メモリ39に書き込む際の動作について説明する。
【0029】
無線受電装置14では、無線送電装置12から受電/通信部30が受信したデータを不揮発性メモリ39に書き込む。データの書き込みを開始すると、マイコン34は、
図2に一例を示した書込監視御処理を実行する。
【0030】
ステップS100でマイコン34は、ADC36による第1電圧を取得する。
【0031】
次のステップS102でマイコン34は、第1電圧が第1閾値以上であるか否か(第1電圧≧第1閾値)を判定する。本実施形態の第1閾値は、不揮発性メモリ39にデータを書き込む際に必要となる電圧、及び書き込まれたデータを不揮発性メモリ39が予め定められた期間以上保持可能な電圧に基づいて予め定められた電圧である。なお、不揮発性メモリ39にデータを書き込む際に必要となる電圧、及び書き込まれたデータを不揮発性メモリ39が予め定められた期間以上保持可能な電圧は、例えば、実験的に得ておけばよい。第1電圧が第1閾値未満の場合、ステップS102の判定が否定判定となり、ステップS110へ移行する。
【0032】
一方、第1電圧が第1閾値以上の場合、ステップS102の判定が肯定判定となり、ステップS104へ移行する。
【0033】
ステップS104でマイコン34は、ADC38による第2電圧を取得する。
【0034】
次のステップS106でマイコン34は、第2電圧が第2閾値以上であるか否か(第2電圧≧第2閾値)を判定する。本実施形態の第2閾値は、上述した、不揮発性メモリ39にデータを書き込む際に必要となる電圧、及び書き込まれたデータを不揮発性メモリ39が予め定められた期間以上保持可能な電圧に基づいて予め定められた電圧である。なお、上述したように抵抗素子33により電圧降下が生じるため、第1閾値>第2閾値としている。
【0035】
第2電圧が第2閾値未満の場合、ステップS106の判定が否定判定となり、ステップS110へ移行する。ステップS110でマイコン34は、書き込みに誤りがあったと判定し、判定結果を表す情報を、不揮発性メモリ39と異なる、図示を省略した記憶部に、一旦、書き込んだ後、ステップS112へ移行する。
【0036】
一方、第2電圧が第2閾値以上の場合、ステップS106の判定が肯定判定となり、ステップS108へ移行する。ステップS108でマイコン34は、書き込みが正しく行われたと判定し、判定結果を表す情報を、不揮発性メモリ39と異なる、図示を省略した記憶部に、一旦、書き込んだ後、ステップS112へ移行する。
【0037】
ステップS112でマイコン34は、不揮発性メモリ39へのデータの書き込みを終了したか否かを判定する。未だ、書き込みが終了していない場合、ステップS112の判定が否定判定となり、ステップS100に戻り、上述した書き込みが正しく行われたか否かを判定する処理を繰り返す。一方、書き込みが終了した場合、ステップS112の判定が肯定判定となり、ステップS114へ移行する。
【0038】
ステップS114でマイコン34は、上記ステップS108またはステップS110の処理により記憶部に一旦、書き込まれた判定結果を表す情報に基づいて、書き込みが成功したか否かを判定する。マイコン34が、書き込みが成功したか否かを判定する方法は特に限定されない。例えば、書き込みに失敗したと判定する場合の判定条件を定めておき、当該判定条件を満たす場合は、書き込みに失敗したと判定し、当該判定条件を満たさない場合は、書き込みに成功したと判定してもよい。この場合の判定条件としては、例えば、書き込みに誤りがあったことを表す判定結果が1つでもある場合は、書き込みに失敗したと判定する条件であってもよい。また例えば、書き込みに誤りが有ったことを表す判定結果が、所定の数以上ある場合や、全ての判定結果に対する書き込みに誤りが有ったことを表す判定結果の割合が所定の割合以上である場合に、書き込みに失敗したと判定する条件であってもよい。
【0039】
なお、本実施形態では、ステップS114の判定を終了すると、マイコン34は、記憶部に、一旦、記憶させた判定結果を消去する。
【0040】
書き込みに成功したと判定した場合、ステップS114の判定が肯定判定となり、ステップS116へ移行する。
【0041】
ステップS116でマイコン34は、書き込みに成功したことを表す書込成功情報と所定の情報とを組み合わせた書込情報を生成した後、ステップS120へ移行する。所定の情報は特に限定されないが、予め無線送電装置12及び無線受電装置14の双方が共有している情報である。所定の情報としては、無線給電システム10における通信に固有の情報を用いることが好ましい。なお、書込成功情報と所定の情報とを組み合わせる方法は特に限定されない、単純に、書込成功情報と所定の情報とを繋げて1つの情報とすることにより組み合わせてもよいし、書込成功情報と所定の情報とを繋げた1つの情報を、所定の変換方法により変換することにより組み合わせてもよいが、変換した結果、書込成功情報や、後述する書込失敗情報よりも、ビット数が少ない等、簡単な情報にならないことが好ましい。
【0042】
一方、書込に失敗したと判定した場合、ステップS114の判定が否定判定となり、ステップS118へ移行する。
【0043】
ステップS118でマイコン34は、書き込みに失敗したことを表す書込失敗情報と所定の情報とを組み合わせた書込情報を生成した後、ステップS120へ移行する。所定の情報は特に限定されないが、上記ステップS116で用いるのと同一の情報であることが好ましい。また、書込失敗情報と所定の情報とを組み合わせる方法も、特に限定されないが、上記ステップS116で用いるのと同一の方法であることが好ましい。
【0044】
ステップS120でマイコン34は、上記ステップS116またはステップS118で生成した書込情報を不揮発性メモリ39に書き込む。
【0045】
次のステップS122でマイコン34は、上記ステップS120で書き込んだ書込情報を不揮発性メモリ39から読み出す。
【0046】
次のステップS124でマイコン34は、上記ステップS122で読み出した書込情報を受電/通信部30により無線受電装置14へ送信した後、本書込監視処理を終了する。
【0047】
このようにして、本実施形態の無線受電装置14のマイコン34は、書込監視処理を実行することにより、不揮発性メモリ39にデータが正しく書き込まれた(成功した)か否かを監視する。
【0048】
一方、本実施形態の無線送電装置12では、無線受電装置14の不揮発性メモリ39に書き込ませるデータを送信するために、マイコン24が、
図3に一例を示したデータ送信制御処理を実行する。
【0049】
ステップS200でマイコン24は、書き込ませるデータを送電/通信部20により無線受電装置14へ送信する。
【0050】
次のステップS202でマイコン24は、上記書込監視処理(
図2参照)のステップS124で無線受電装置14から送信された書込情報を受信したか否か判定する。未だ受信していない場合、ステップS202の判定が否定判定となり、ステップS204へ移行する。
【0051】
ステップS204でマイコン24は、データを送信してから所定時間が経過したか否かを判定する。例えば、無線送電装置12と無線受電装置14との位置が離れてしまっている場合等では、無線送電装置12が送信したデータが無線受電装置14で受信されず、また、無線受電装置14から書込情報が送信されない場合がある。このような場合を考慮して、本実施形態の無線送電装置12では、データを送信してから所定時間が経過しても書込情報を受信しない場合、無線受電装置14において、データが正しく書き込まれなかった(書込失敗)と判定するようにしている。なお、ここでの所定時間は、特に限定されないことはいうまでもない。なお、所定時間は、例えば、書き込ませるデータのデータ量に応じて予め定めておいてもよい。
【0052】
データを送信してから所定時間が経過していない場合、ステップS204の判定が否定判定となり、待機状態となる。一方、データを送信してから所定時間が経過した場合、ステップS204の判定が肯定判定となり、ステップS208へ移行する。
【0053】
ステップS208でマイコン24は、上記ステップS200で送信したのと同様のデータを、送電/通信部20により無線受電装置14へ再送信した後、ステップS200に戻る。なお、マイコン24は、データを再送信する前に、無線受電装置14において電力(電圧)が不足しているために不揮発性メモリ39にデータを正しく書き込めなかったことを考慮して、一旦、無線受電装置14に給電してもよい。
【0054】
一方、書込情報を受信した場合、ステップS202の判定が肯定判定となり、ステップS206へ移行する。
【0055】
ステップS206でマイコン24は、書込情報に基づいて、データの書込が成功したか否かを判定する。本実施形態では、一例としてマイコン24は、書込情報が書込成功情報と所定情報とを組み合わせた情報、及び書込失敗情報と所定情報とを組み合わせた情報のいずれであるかを判定する。そして、書込情報が書込成功情報と所定情報とを組み合わせた情報である場合は、データの書込に成功したと判定する。一方、書込情報が、書込失敗情報と所定情報とを組み合わせた情報である場合は、データの書込に失敗した(成功しなかった)と判定する。
【0056】
データの書込に成功しなかった場合、ステップS206の判定が、否定判定となり、上述したステップS208へ移行する。一方、データの書込に成功した場合、ステップS206の判定が肯定判定となり、本データ送信制御処理を終了する。
【0057】
なお、本実施形態の無線送電装置12が実行するデータ送信制御処理では、データの書込に成功するまで、データの再送信を繰り返すが、データを送信(再送信)する回数が所定の回数を超えた場合、データの再送信を行わず、データ送信制御処理を終了してもよい。この場合、無線受電装置14においてデータの書込に失敗したことを表す情報を、無線送電装置12内に記憶しておくか、外部に出力することが好ましい。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の無線給電システム10の無線受電装置14は、無線により無線送電装置12から送電される電力を受電し、また、無線送電装置12と無線により通信を行う受電/通信部30と、受電/通信部30が受電した電力により、受電/通信部30が受信したデータが書き込まれる不揮発性メモリ39と、不揮発性メモリ39に受電/通信部30が受信したデータを書き込む際に不揮発性メモリ39に給電される電力または当該電力に応じた電圧を監視し、監視結果に基づいて不揮発性メモリ39にデータが正しく書き込まれたか否かを表す情報を書込情報として受電/通信部30から無線送電装置12へ送信させる監視部40と、を備える。
【0059】
無線送電装置12が無線受電装置14の不揮発性メモリ39に書き込ませるデータとしては、例えば、上述したように無線給電システム10に固有のID情報等が挙げられる。本実施形態の無線給電システム10のように、無線送電装置12から送電された電力で無線受電装置14が電池18を充電する場合、電池18が未充電の状態であっても、無線送電装置12から送電(給電)される電力で、無線受電装置14を駆動させる必要がある。適切に、給電を行うためには、給電を行おうとしている無線送電装置12及び無線受電装置14が適切な組合せであること、即ち、無線送電装置12により、無線受電装置14を給電することが可能とされていることが必要である。適切な組合せで有るか否かは、例えば、上記固有のID情報を無線送電装置12及び無線受電装置14で送受信することにより確認することができる。そのため、無線受電装置14には、固有のID情報が記憶されるが、当該固有のID情報の書き換えが必要になる場合がある。
【0060】
また、無線送電装置12が無線受電装置14の不揮発性メモリ39に書き込ませるデータとしては、例えば、無線受電装置14の機能を拡張するための情報等が挙げられる。
【0061】
これらのデータは、無線受電装置14の不揮発性メモリ39に正しく書き込まれなくてはならず、無線送電装置12において、正しく書き込まれたか否かを正確に把握することが重要である。
【0062】
本実施形態の無線受電装置14では、監視部40のマイコン24が、不揮発性メモリ39にデータを書き込む際に給電される電圧を監視し、監視結果に基づいて不揮発性メモリ39にデータが正しく書き込まれたか否かを表す情報を書込情報として無線送電装置12へ送信させる。
【0063】
従って、本実施形態の無線受電装置14によれば、記憶部へのデータの書込結果について、無線送電装置12がより正確に把握することができる。
【0064】
また、本実施形態の無線受電装置14は、マイコン34が、書込情報を、不揮発性メモリ39に一旦、書き込み、不揮発性メモリ39から読み出した書込情報を、無線送電装置12へ送信する。
【0065】
単に書込に成功したか否かを表す書込成功情報や書込失敗情報をそのまま書込情報として用いた場合、単純な情報であるため、書き込み情報の書き込みに失敗すると、書込失敗情報を書き込んだはずが読み出された情報が書込成功情報となってしまう場合がある。この場合、無線送電装置12は、データが正しく書き込まれたか否かについて誤判定することになる。
【0066】
これに対して、本実施形態では、書込情報を、単に書込に成功したか否かを表す書込成功情報や、書込失敗情報ではなく、書込成功情報または書込失敗情報と、所定の情報とを組み合わせた情報としているため、上述したような誤判定が生じる可能性が抑制される。
【0067】
なお、無線受電装置14の構成は、
図1に示した一例に限定されないことはいうまでもない。例えば、
図4に示した無線給電システム10の一例のように、電源IC42を備えない構成としてもよい。この場合、電池18の充電電圧と、監視部40に電源電圧として供給される電圧とが近似した値となる。なお、この場合、電源IC42が有していた機能を、例えば、マイコン34が有する必要が生じる。
【0068】
また、例えば、無線受電装置14は、
図5に示した一例のように、ADC36及びADC38に代えて、コンパレータ46及びコンパレータ48を備えた構成としてもよい。この場合、コンパレータ46は、抵抗素子33を通過する前の電圧と第1閾値とを比較し、第1閾値を下回った場合、その旨を表す信号をマイコン34に出力する。さらにこの場合、当該信号をコンパレータ46が保持し続けることが好ましい。一方、コンパレータ48は、抵抗素子33を通過した後の電圧と第2閾値とを比較し、第2閾値を下回った場合、その旨を表す信号をマイコン34に出力する。さらにこの場合、当該信号をコンパレータ48が保持し続けることが好ましい。
【0069】
また、例えば、無線受電装置14は、
図6に示した一例のように、マイコン34に代えて、ハードウェアのみにより動作する処理回路49を備えた構成としてもよい。処理回路49を、マイコン34のように、ハードウェアとソフトウェアとが協同して動作するのではなく、ハードウェアのみにより動作する回路とすることにより、回路規模を小さくすることができ、コストを抑制することができる。また、専用の処理回路とすることで、電力の消費を抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態では、無線受電装置14がADC36及びADC38を備える形態について説明したが、無線受電装置14がADC36及びADC38のいずれか一方のみを備える形態であってもよい。なお、無線受電装置14は、ADC36及びADC38共に備えることにより、電力の検出ができるようになる。
【0071】
また、本実施形態では、電磁誘導方式により無線給電を行う無線給電システム10について説明したが、無線給電の方式はこれに限定されるものではない。例えば、磁気共鳴方式、電界結合方式、及びマイクロ波方式等であってもよい。
【0072】
また、本実施形態の無線給電システム10では、無線通信に用いるアンテナと無線給電に用いるアンテナとを共用のアンテナ(コイルアンテナ22及びコイルアンテナ32)とした形態について説明したが当該形態に限定されず、無線通信に用いるアンテナと無線給電に用いるアンテナとを別個に設けてもよい。
【0073】
また、本実施形態の無線送電装置12では、不揮発性メモリ39にデーを書き込む際の電圧を監視する形態について説明したが、当該形態に限定されるものではない。例えば、データを書き込む際の電力または電流を監視する形態としてもよい。
【0074】
また、本実施形態の無線給電システム10では、無線送電装置12から送電された電力のみを無線受電装置14が電池18に給電する形態について説明したが当該形態に限定されない。無線給電システム10は、他の充電装置等からも電池18に対して給電が可能な形態であってもよい。
【0075】
また、その他の本実施形態で説明した無線給電システム10、無線送電装置12、及び無線受電装置14の構成及び動作は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0076】
10 無線給電システム
12 無線送電装置
14 無線受電装置
20 送電/通信部
24 マイコン
30 受電/通信部
34 マイコン
40 監視部