(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】水処理情報システム
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20230511BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20230511BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20230511BHJP
【FI】
C02F1/00 D
G05B23/02 Z
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2021198199
(22)【出願日】2021-12-07
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】大部 由佳
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 博之
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/133049(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/181992(WO,A1)
【文献】特開2002-133044(JP,A)
【文献】特開2002-251505(JP,A)
【文献】特開2021-154210(JP,A)
【文献】特開2016-114977(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109489736(CN,A)
【文献】特開2021-186761(JP,A)
【文献】特開2012-237156(JP,A)
【文献】特開平08-03049(JP,A)
【文献】特開2017-162136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00- 9/20
G05B 23/02
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理装置の駆動を制御する
PLCと、
前記水処理装置の駆動により処理される水及び/又はエネルギーを測定して得た測定情報を監視する監視部と、を備えており、
前記
PLCおよび前記監視部のそれぞれが
別個のコンピュータに備えられている、水処理情報システム。
【請求項2】
前記監視部が、前記測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、前記水処理装置に関する問題点を抽出する抽出部を有している、
請求項1に記載の水処理情報システム。
【請求項3】
前記監視部が、前記問題点に基づいて、前記水処理装置に関する改善策を提示する提示部を有している、
請求項2に記載の水処理情報システム。
【請求項4】
前記提示部が、原水条件がそれぞれ異なる複数の拠点における前記測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、前記水処理装置に関する改善策を提示する、
請求項3に記載の水処理情報システム。
【請求項5】
前記提示部が提示した改善策と、前記監視部が得た前記測定情報と、を分析して分析結果を得る分析部をさらに備えており、
前記分析部が、前記分析結果を前記監視部にフィードバックする、
請求項3又は4に記載の水処理情報システム。
【請求項6】
前記測定情報には、水素イオン指数、導電率、水温、水圧、水位、水流量、熱量、消費電力が含まれる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の水処理情報システム。
【請求項7】
情報通信ネットワークを介して前記測定情報を送信する通信部をさらに備えている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の水処理情報システム。
【請求項8】
前記測定情報に含まれる値と、所定の閾値と、に基づいて、前記水処理装置を駆動させる駆動情報を生成する生成部をさらに備えている、
請求項1から7のいずれか一項に記載の水処理情報システム。
【請求項9】
前記駆動情報へのアクセス権限を管理する管理部をさらに備えている、
請求項8に記載の水処理情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水処理プラント(工場施設)を構成する装置の制御に、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)が主に用いられている。このPLCは、水処理を行うタンク、ポンプ、膜、電磁弁などの装置に接続される。PLCは、これらの装置の駆動を制御するとともに、装置の駆動により処理される水及び/又はエネルギーを測定して得た測定情報を監視する。この測定情報には、例えば処理水の水素イオン指数(pH)、導電率、水温、水圧、水位、及び水流量などが含まれる。
【0003】
この測定情報と、装置の駆動を制御するために用いられる駆動情報は、PLCに送信される。PLCが備えるCPU(Central Processing Unit)は、水処理プラント全体を総合管理する総合盤に測定情報と駆動情報とを反映させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、水処理プラントが大規模になり、PLCに接続される装置が多種多様になると、高機能かつ高性能なPLCが必要となる。その結果、導入コストが増加するという問題が生じる。装置の設置後にPLCのプログラムを更新する場合は、PLCに接続される装置が多種多様になると、更新に時間と費用を必要とする。さらに、処理される水及び/又はエネルギーを測定する計器類を増設する場合は、PLCに接続されている装置を停止する必要があるという問題が生じる。
【0005】
そこで本発明は、水処理プラントの導入コスト及び稼働コストを低減させる水処理情報システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水処理装置の駆動を制御する制御部と、前記水処理装置の駆動により処理される水及び/又はエネルギーを測定して得た測定情報を監視する監視部と、を備えており、前記制御部および前記監視部のそれぞれが異なる装置に備えられている、水処理情報システムを提供する。
前記監視部が、前記測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、前記水処理装置に関する問題点を抽出する抽出部を有していてよい。
前記監視部が、前記問題点に基づいて、前記水処理装置に関する改善策を提示する提示部を有していてよい。
前記提示部が、原水条件がそれぞれ異なる複数の拠点における前記測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、前記水処理装置に関する改善策を提示してよい。
前記提示部が提示した改善策と、前記監視部が得た前記測定情報と、を分析して分析結果を得る分析部をさらに備えており、前記分析部が、前記分析結果を前記監視部にフィードバックしてよい。
前記測定情報には、水素イオン指数、導電率、水温、水圧、水位、水流量、熱量、消費電力が含まれてよい。
情報通信ネットワークを介して前記測定情報を送信する通信部をさらに備えていてよい。
前記測定情報に含まれる値と、所定の閾値と、に基づいて、前記水処理装置を駆動させる駆動情報を生成する生成部をさらに備えていてよい。
前記駆動情報へのアクセス権限を管理する管理部をさらに備えていてよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水処理プラントの導入コスト及び稼働コストを低減させる水処理情報システムを提供できる。なお、本明細書中に記載した効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る抽出部111の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る提示部112の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る提示部112の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る分析部12の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る生成部14の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る管理部22が管理する管理情報の一例を示すテーブルである。
【
図15】本発明の一実施形態に係る水処理情報システムを実現するコンピュータ70の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための好適な形態について、添付した図面を参照しつつ説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態を示したものであり、本発明の範囲がこれらの実施形態に限定されることはない。また、それぞれの実施形態は組み合わせることができる。
【0010】
以下の実施形態の説明において、略平行、略直交のような「略」を伴った用語で構成を説明することがある。例えば、略平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、完全に平行な状態から例えば数%程度ずれた状態を含むことも意味する。他の「略」を伴った用語についても同様である。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0011】
本発明の説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施形態(水処理情報システムの例1)
2.第2の実施形態(水処理情報システムの例2)
3.第3の実施形態(水処理情報システムの例3)
4.第4の実施形態(水処理情報システムの例4)
5.第5の実施形態(水処理情報システムの例5)
6.第6の実施形態(水処理情報システムの例6)
7.第7の実施形態(水処理情報システムの例7)
8.第8の実施形態(水処理情報システムの例8)
9.ハードウェア構成
【0012】
<1.第1の実施形態(水処理情報システムの例1)>
本発明の一実施形態に係る水処理情報システムは、水処理装置の駆動を制御する制御部と、前記水処理装置の駆動により処理される水及び/又はエネルギーを測定して得た測定情報を監視する監視部と、を備えており、前記制御部および前記監視部のそれぞれが異なる装置に備えられている。
【0013】
本発明の一実施形態に係る水処理情報システムの構成例について
図1を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
図1に示されるとおり、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100は、制御部21と、監視部11と、複数の水処理装置32と、複数の測定装置31と、を備えている。制御部21および監視部11のそれぞれが異なる装置に備えられている。
【0014】
複数の水処理装置32のそれぞれは、水処理を行う。水処理装置32には、例えばタンク、ポンプ、膜、及び電磁弁などが含まれる。
【0015】
制御部21は、複数の水処理装置32のそれぞれに接続されており、複数の水処理装置32のそれぞれの駆動を制御する。
【0016】
複数の測定装置31のそれぞれは、複数の水処理装置32のそれぞれに設置されている。複数の測定装置31のそれぞれは、複数の水処理装置32のそれぞれの駆動により処理される水及び/又はエネルギーを測定して測定情報を得る。
【0017】
前記測定情報には、例えば水素イオン指数、導電率、水温、水圧、水位、水流量、熱量、消費電力などが含まれる。
【0018】
監視部11は、複数の測定装置31のそれぞれに接続されている。監視部11は、複数の測定装置31のそれぞれが得た測定情報を監視する。
【0019】
制御部21および監視部11のそれぞれは、異なる装置に備えられている。これにより、例えば制御部21をPLCとし、監視部11を安価な制御装置とすることができる。その結果、導入コスト及び稼働コストを低減させることができる。
【0020】
装置の設置後にPLCのプログラムを更新する場合は、PLCに接続される装置が削減されるため、更新に必要な時間と費用を低減できる。
【0021】
処理される水及び/又はエネルギーを測定する測定装置31を増設する場合は、PCLに接続される配線の追加工事が不要になるため、PLCに接続されている装置の停止が不要となる。
【0022】
このように、本発明によれば、水処理プラントの導入コスト及び稼働コストを低減させることができる。
【0023】
本技術の第1の実施形態に係る水処理情報システムについて説明した上記の内容は、技術的な矛盾が特にない限り、本技術の他の実施形態に適用できる。
【0024】
<2.第2の実施形態(水処理情報システムの例2)>
前記監視部が、前記測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、前記水処理装置に関する問題点を抽出する抽出部を有していてよい。このことについて
図2を参照しつつ説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
図2に示されるとおり、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100は、監視部11が、抽出部111を有している。抽出部111は、測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、水処理装置32に関する問題点を抽出する。
【0025】
抽出部111の処理について
図3を参照しつつ説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る抽出部111の処理の一例を示すフローチャートである。
【0026】
図3に示されるとおり、ステップS11において、抽出部111は、測定情報を取得する。
【0027】
ステップS12において、抽出部111は、取得した測定情報に含まれる値と、所定の閾値と、を比較する。測定情報に含まれる値が所定の閾値以上又は以下であるとき(ステップS12:Yes)、ステップS13において、抽出部111は、問題点を抽出する。
【0028】
例えば水処理に用いられる膜は、洗浄又は交換を行う時期を予測することが極めて困難である。水処理装置32が処理する水の水圧が突然異常な値になり、膜を洗浄又は交換することが多い。
【0029】
監視部11が監視する測定情報には、水処理装置32に入力される水の圧力、水処理装置32が出力する水の圧力、透過水の流量、及び濃縮水の流量などが含まれる。抽出部111は、測定情報に含まれるこれらの値の経時的変化に基づいて、膜の洗浄又は交換を行う時期が近いという問題点を抽出する。
【0030】
あるいは、冷媒を用いて冷房を駆動させる水冷式ターボ冷凍機に関する問題点を抽出部111は抽出できる。冷却塔から水冷式ターボ冷凍機に送られる冷却水の温度に基づいて、抽出部111は、水冷式ターボ冷凍機の消費電力が高いという問題点を抽出できる。
【0031】
これにより、ユーザは、水処理プラントが抱える問題点を把握することができる。さらに、ユーザは、この問題点を解決するための改善策を提案できる。この改善策が実行されることにより、水処理プラントの稼働コストが削減される。また、水処理装置が処理する水の品質が向上する。
【0032】
本技術の第2の実施形態に係る水処理情報システムについて説明した上記の内容は、技術的な矛盾が特にない限り、本技術の他の実施形態に適用できる。
【0033】
<3.第3の実施形態(水処理情報システムの例3)>
前記監視部が、前記問題点に基づいて、前記水処理装置に関する改善策を提示する提示部を有していてよい。このことについて
図4を参照しつつ説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
図4に示されるとおり、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100は、監視部11が、提示部112を有している。提示部112は、抽出部111が抽出した問題点に基づいて、水処理装置32に関する改善策を提示する。
【0034】
提示部112の処理について
図5を参照しつつ説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る提示部112の処理の一例を示すフローチャートである。
【0035】
図5に示されるとおり、ステップS21において、提示部112は、抽出部111が抽出した問題点を取得する。
【0036】
ステップS22において、提示部112は、取得した問題点に基づいて、改善策を提示する。
【0037】
例えば膜の洗浄又は交換を行う時期が近いという問題点を抽出部111が抽出したとき、提示部112は、測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、膜の洗浄又は交換を行う時期を推定して提示する。
【0038】
あるいは、水冷式ターボ冷凍機の消費電力が高いという問題点を抽出部111が抽出したとき、提示部112は、測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、冷却塔の設定温度を推定して提示する。
【0039】
この改善策が実行されることにより、水処理プラントの稼働コストが削減される。また、水処理装置が処理する水の品質が向上する。
【0040】
本技術の第3の実施形態に係る水処理情報システムについて説明した上記の内容は、技術的な矛盾が特にない限り、本技術の他の実施形態に適用できる。
【0041】
<4.第4の実施形態(水処理情報システムの例4)>
前記提示部は、原水条件がそれぞれ異なる複数の拠点における前記測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、前記水処理装置に関する改善策を提示してよい。このことについて
図6を参照しつつ説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
図6に示されるとおり、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100は、監視部11が、複数の拠点(例えば水処理プラントなど)41~45に接続されている。図示を省略するが、複数の拠点41~45のそれぞれには、測定装置31及び水処理装置32が配置されている。複数の拠点41~45のそれぞれは、原水条件、気温や湿度などの環境条件、及び設備条件などが異なる。
【0042】
提示部112は、原水条件がそれぞれ異なる複数の拠点41~45における測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、水処理装置32に関する改善策を提示する。
【0043】
提示部112の処理について
図7を参照しつつ説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係る提示部112の処理の一例を示すフローチャートである。
【0044】
図7に示されるとおり、ステップS31において、提示部112は、抽出部111が抽出した問題点を取得する。
【0045】
ステップS32において、提示部112は、複数の拠点のそれぞれの原水条件を取得する。
【0046】
ステップS33において、提示部112は、抽出部111が抽出した問題点と、複数の拠点のそれぞれの原水条件と、に基づいて、改善策を提示する。
【0047】
例えば拠点41において膜の洗浄又は交換を行う時期が推定されているとする。この場合、提示部112は、拠点41における膜の洗浄又は交換を行う時期と、拠点42における原水条件と、に基づいて、拠点42における膜の洗浄又は交換を行う時期を推定できる。
【0048】
これにより、提示部112は、例えば拠点41における測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、拠点42における水処理装置に関する改善策を提示できる。例えば拠点42よりも拠点41の方が、稼働コストが低く処理水の品質が高い場合、拠点42は拠点41のノウハウを継承できる。
【0049】
本技術の第4の実施形態に係る水処理情報システムについて説明した上記の内容は、技術的な矛盾が特にない限り、本技術の他の実施形態に適用できる。
【0050】
<5.第5の実施形態(水処理情報システムの例5)>
本発明の一実施形態に係る水処理情報システムは、前記提示部が提示した改善策と、前記監視部が得た前記測定情報と、を分析して分析結果を得る分析部をさらに備えており、前記分析部が、前記分析結果を前記監視部にフィードバックしてよい。このことについて
図8を参照しつつ説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
図8に示されるとおり、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100は、分析部12をさらに備えている。分析部12は、提示部112が提示した改善策と、監視部11が得た測定情報と、を分析して分析結果を得る。そして、分析部12は、分析結果を監視部11にフィードバックする。
【0051】
分析部12の処理について
図9を参照しつつ説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係る分析部12の処理の一例を示すフローチャートである。
【0052】
図9に示されるとおり、ステップS41において、分析部12は、提示部112が提示した改善策を取得する。
【0053】
ステップS42において、分析部12は、監視部11が得た測定情報を取得する。
【0054】
ステップS43において、分析部12は、改善策と、測定情報と、を分析して分析結果を得る。
【0055】
ステップS44において、分析部12は、分析結果を監視部11にフィードバックする。
【0056】
例えば膜の洗浄又は交換を行う時期を提示部112が推定して提示したとき、分析部12は、その時期がより最適になるように分析結果を監視部11にフィードバックする。
【0057】
分析部12による分析には、機械学習が用いられることができる。機械学習とは、あるデータの中から一定の規則を発見し、その規則に基づいて未知のデータに対する推測や予測などを実現する学習手法の一つである。機械学習については公知の技術が用いられることができる。機械学習の機能を備えたコンピュータ及び学習モデルなどを用いることにより実現できる。学習モデルは、例えば提示部112が提示した改善策と、監視部11が得た測定情報と、を関連付けて機械学習することができる。これにより、提示部112が提示する改善策の精度が向上する。
【0058】
機械学習の手法は特に限定されないが、例えば、ID3やランダムフォレストなどの決定木学習、相関ルール学習などが用いられてよい。あるいは、人工ニューラルネットワーク(ANN:Artificial Neural Network)、ディープニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)など、各種のニューラルネットワークが用いられてよい。あるいは、遺伝的プログラミング(GP:Genetic Programming)、帰納論理プログラミング(ILP:Inductive Logic Programming)、ファジィアルゴリズム、進化的アルゴリズム(EA:Evolutionary Algorithm)、強化学習(Reinforcement Learning)、サポートベクターマシン(SVM:Support Vector Machine)、クラスタリング(Clustering)、ベイジアンネットワーク(Bayesian Network)などが用いられてよい。さらには、これらの手法を組み合わせたものや、これらを深層学習(Deep Learning)の技術を用いて発展させたものであってもよい。
【0059】
これにより、抽出部111が問題点を抽出する精度、及び提示部112が改善策を提示する精度が向上する。
【0060】
本技術の第5の実施形態に係る水処理情報システムについて説明した上記の内容は、技術的な矛盾が特にない限り、本技術の他の実施形態に適用できる。
【0061】
<6.第6の実施形態(水処理情報システムの例6)>
本発明の一実施形態に係る水処理情報システムは、情報通信ネットワークを介して前記測定情報を送信する通信部をさらに備えていてよい。このことについて
図10を参照しつつ説明する。
図10は、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
図10に示されるとおり、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100は、監視部11が、通信部13を備えている。
【0062】
通信部13は、例えば、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)などの通信技術を利用して、情報通信ネットワーク61を介して測定情報を端末51に送信する。端末51は、例えばPC、タブレット、及びスマートフォンなどのコンピュータでありうる。端末51は、水処理プラントの外部に配置されていてよい。
【0063】
従来、PLCが備えるCPUは、水処理プラント内に設置されており、水処理プラント全体を総合管理する総合盤に測定情報を反映させている。そのため、ユーザが測定情報を確認するためには水処理プラント内に立ち入る必要があった。
【0064】
しかし、本発明によれば、通信部13が情報通信ネットワークを介して測定情報を水処理プラントの外部に送信する。これにより、ユーザは、水処理プラントの外部の端末51を用いて測定情報を確認できる。その結果、水処理プラントの現状、問題点、及び改善策などをユーザ間で共有できる。
【0065】
本技術の第6の実施形態に係る水処理情報システムについて説明した上記の内容は、技術的な矛盾が特にない限り、本技術の他の実施形態に適用できる。
【0066】
<7.第7の実施形態(水処理情報システムの例7)>
本発明の一実施形態に係る水処理情報システムは、前記測定情報に含まれる値と、所定の閾値と、に基づいて、前記水処理装置を駆動させる駆動情報を生成する生成部をさらに備えていてよい。このことについて
図11を参照しつつ説明する。
図11は、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
図11に示されるとおり、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100は、生成部14をさらに備えている。生成部14は、測定情報に含まれる値と、所定の閾値と、に基づいて、水処理装置32を駆動させる駆動情報を生成する。この駆動情報は制御部21に送信される。制御部21は、受信した駆動情報に基づいて、水処理装置32を駆動させる。
【0067】
生成部14の処理について
図12を参照しつつ説明する。
図12は、本発明の一実施形態に係る生成部14の処理の一例を示すフローチャートである。
【0068】
図12に示されるとおり、ステップS51において、生成部14は、測定情報を取得する。
【0069】
ステップS52において、生成部14は、取得した測定情報に含まれる値と、所定の閾値と、を比較する。測定情報に含まれる値が所定の閾値以上又は以下であるとき(ステップS52:Yes)、ステップS53において、生成部14は、駆動情報を生成する。
【0070】
例えば測定情報に含まれる水素イオン指数などの値に基づいて、生成部14は、水素イオン指数を調整するボイラ薬品の投入に関する駆動情報を生成できる。
【0071】
従来、PLCなどの制御装置は、多種多様な測定装置31からの測定情報を取得して、水処理装置32の駆動を制御している。多種多様な測定装置31からの測定情報が制御装置に送信されるため、通信回線がひっ迫して通信が遅延したり、制御装置の判定処理に時間を要したりするおそれがある。
【0072】
一方、本発明によれば、生成部14が生成した駆動情報が制御部21に送信される。つまり、例えば水素イオン指数、導電率、水温、水圧、水位、水流量、熱量、消費電力などの多種多様な測定情報が制御部21に送信されるのではなく、水処理装置32を駆動させる駆動情報のみが制御部21に送信される。
【0073】
これにより、制御部21に送信されるデータ容量が削減される。その結果、通信の遅延が防止される。また、制御部21の判定処理に要する時間も短縮される。
【0074】
本技術の第7の実施形態に係る水処理情報システムについて説明した上記の内容は、技術的な矛盾が特にない限り、本技術の他の実施形態に適用できる。
【0075】
<8.第8の実施形態(水処理情報システムの例8)>
本発明の一実施形態に係る水処理情報システムは、前記駆動情報へのアクセス権限を管理する管理部をさらに備えていてよい。このことについて
図13を参照しつつ説明する。
図13は、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100の構成例を示すブロック図である。
図13に示されるとおり、本発明の一実施形態に係る水処理情報システム100は、管理部22をさらに備えている。管理部22は、駆動情報へのアクセス権限を管理する。
【0076】
このことについて
図14を参照しつつ説明する。
図14は、本発明の一実施形態に係る管理部22が管理する管理情報の一例を示すテーブルである。
図14に示されるとおり、本発明の一実施形態に係る管理部22が管理する管理情報は、水処理装置と、当該水処理装置へのアクセス権限が付与されているアクセス権者と、が関連付けられている。この管理情報は、例えばデータベースやデータテーブルなどが用いられることにより実現できる。
【0077】
例えば水処理装置の「ポンプ」には、ユーザA及びユーザCに対してアクセス権限が付与されている。これにより、アクセス権限のないユーザが水処理装置を駆動させることにより生じる事故を防止できる。
【0078】
この管理情報は、例えばCSV(Comma Separated Value)形式で記憶されてもよいし、XML(Extensible Markup Language)形式で記憶されてもよい。
【0079】
本技術の第8の実施形態に係る水処理情報システムについて説明した上記の内容は、技術的な矛盾が特にない限り、本技術の他の実施形態に適用できる。
【0080】
<9.ハードウェア構成>
本発明の一実施形態に係る水処理情報システムは、プログラム及びコンピュータの協業により実現できる。本発明の一実施形態に係る水処理情報システムの実現に用いられるコンピュータのハードウェア構成について
図15を参照しつつ説明する。
図15は、本発明の一実施形態に係る水処理情報システムを実現するコンピュータ70の構成例を示すブロック図である。
【0081】
図15に示されるとおり、コンピュータ70は、構成要素として、CPU71、メモリ72、記憶部73、表示部74、及び通信部75などを備えることができる。それぞれの構成要素は、例えばデータの伝送路としてのバスで接続されている。
【0082】
CPU71は、コンピュータ70のそれぞれの構成要素を制御する。あるいは、CPU71は、例えば、監視部11、制御部21、抽出部111、提示部112、分析部12、及び生成部14などの構成要素として機能することができる。これらの構成要素はプログラムにより実現されることができる。このプログラムは、CPU71に読み込まれることにより、コンピュータ70に実行させることができる。
【0083】
メモリ72は、例えば、CPU71により実行されるプログラムやデータなどを一時的に記憶することができる。メモリ72は、例えばRAM(Random Access Memory)などが用いられることにより実現できる。
【0084】
記憶部73は、CPU71の処理に必要な様々なデータ(例えば所定の閾値など)を記憶する。記憶部73は、例えばストレージデバイスなどが用いられることにより実現できる。
【0085】
表示部74は、ユーザに対して情報を表示する。表示部34は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)又はOLED(Organic Light-Emitting Diode)などが用いられることにより実現できる。表示部74は、提示部112として機能することができる。
【0086】
通信部75は、例えば、インターネット、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、モバイル通信網、電話回線通信網、Bluetooth(登録商標)、NFC、又は、その他の有線若しくは無線通信を用いる通信網を介して通信する機能を有する。通信部75は、通信部13として機能することができる。
【0087】
コンピュータ70は、例えばスマートフォン端末、タブレット端末、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)、PC(Personal Computer)、サーバ、またはウェアラブル端末(HMD:Head Mounted Display、メガネ型HMD、時計型端末、バンド型端末等)でありうる。
【0088】
本発明の一実施形態に係る運動器機能評価方法を実現するプログラムは、コンピュータ70のほかのコンピュータ装置又はコンピュータシステムに格納されてもよい。この場合、コンピュータ70は、このプログラムが有する機能を提供するクラウドサービスを利用することができる。このクラウドサービスとして、例えばSaaS(Software as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)等が挙げられる。
【0089】
さらにこのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、Programmable ROM(PROM)、Erasable PROM(EPROM)、フラッシュROM、Random Access Memory(RAM))を含む。また、上記プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、上記プログラムをコンピュータに供給できる。
【0090】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりできる。
【0091】
なお、本発明は、以下のような構成をとることもできる。
[1]
水処理装置の駆動を制御する制御部と、
前記水処理装置の駆動により処理される水及び/又はエネルギーを測定して得た測定情報を監視する監視部と、を備えており、
前記制御部および前記監視部のそれぞれが異なる装置に備えられている、水処理情報システム。
[2]
前記監視部が、前記測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、前記水処理装置に関する問題点を抽出する抽出部を有している、
[1]に記載の水処理情報システム。
[3]
前記監視部が、前記問題点に基づいて、前記水処理装置に関する改善策を提示する提示部を有している、
[2]に記載の水処理情報システム。
[4]
前記提示部が、原水条件がそれぞれ異なる複数の拠点における前記測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、前記水処理装置に関する改善策を提示する、
[3]に記載の水処理情報システム。
[5]
前記提示部が提示した改善策と、前記監視部が得た前記測定情報と、を分析して分析結果を得る分析部をさらに備えており、
前記分析部が、前記分析結果を前記監視部にフィードバックする、
[3]又は[4]に記載の水処理情報システム。
[6]
前記測定情報には、水素イオン指数、導電率、水温、水圧、水位、水流量、熱量、消費電力が含まれる、
[1]から[5]のいずれか一つに記載の水処理情報システム。
[7]
情報通信ネットワークを介して前記測定情報を送信する通信部をさらに備えている、
[1]から[6]のいずれか一つに記載の水処理情報システム。
[8]
前記測定情報に含まれる値と、所定の閾値と、に基づいて、前記水処理装置を駆動させる駆動情報を生成する生成部をさらに備えている、
[1]から[7]のいずれか一つに記載の水処理情報システム。
[9]
前記駆動情報へのアクセス権限を管理する管理部をさらに備えている、
[8]に記載の水処理情報システム。
【符号の説明】
【0092】
100 水処理情報システム
11 監視部
111 抽出部
112 提示部
12 分析部
13 通信部
14 生成部
21 制御部
22 管理部
31 測定装置
32 水処理装置
41~45 拠点
51 端末
【要約】
【課題】水処理プラントの導入コスト及び稼働コストを低減させること。
【解決手段】水処理装置の駆動を制御する制御部と、前記水処理装置の駆動により処理される水及び/又はエネルギーを測定して得た測定情報を監視する監視部と、を備えており、前記制御部および前記監視部のそれぞれが異なる装置に備えられている、水処理情報システムを提供する。前記監視部が、前記測定情報に含まれる値の傾向に基づいて、前記水処理装置に関する問題点を抽出する抽出部を有していてよい。
【選択図】
図1