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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】測定方法及び測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20230511BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G01B11/06 G
H01L21/304 621A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022070394
(22)【出願日】2022-04-21
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼内 健二郎
(72)【発明者】
【氏名】高梨 啓一
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 裕司
(72)【発明者】
【氏名】後藤 太希
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-019160(JP,A)
【文献】特開2019-140156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/06
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の面内における所定位置の厚みを測定する測定方法であって、
前記測定対象の第1面の各位置における高さと各位置を特定する情報とを対応づけた第1高さデータを取得するステップと、
前記測定対象の第2面の各位置における高さと各位置を特定する情報とを対応づけた第2高さデータを取得するステップと、
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップと、
前記所定位置における前記測定対象の厚みを、前記第1高さデータ及び前記第2高さデータのそれぞれにおいて前記所定位置を特定する情報に対応づけられた高さに基づいて算出するステップと
を含み、
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップは、前記測定対象の第1面における形状と前記測定対象の第2面における形状との差が小さくなるように、前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方の位置を合わせるステップを含む、測定方法。
【請求項2】
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップは、
前記第1高さデータから所定範囲内の各位置における高さのデータを抽出した抽出高さデータを生成するステップと、
前記抽出高さデータを前記第2高さデータに対して動かしながら重ね合わせるステップと、
前記抽出高さデータが前記第2高さデータに対して重ね合わされたときの各位置における高さの差の総和が小さくなるように、前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方の位置を合わせるステップと
を含む、請求項に記載の測定方法。
【請求項3】
測定対象の面内における所定位置の厚みを測定する測定方法であって、
前記測定対象の第1面の各位置における高さと各位置を特定する情報とを対応づけた第1高さデータを取得するステップと、
前記測定対象の第2面の各位置における高さと各位置を特定する情報とを対応づけた第2高さデータを取得するステップと、
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップと、
前記所定位置における前記測定対象の厚みを、前記第1高さデータ及び前記第2高さデータのそれぞれにおいて前記所定位置を特定する情報に対応づけられた高さに基づいて算出するステップと
前記第1高さデータの各位置に対応づけられる画素を有し、前記測定対象の第1面を撮影した第1撮影画像を取得するステップと、
前記第2高さデータの各位置に対応づけられる画素を有し、前記測定対象の第2面を撮影した第2撮影画像を取得するステップと
を含み、
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップは、前記第1撮影画像の少なくとも一部のパターンと前記第2撮影画像の少なくとも一部のパターンとの差が小さくなるように、前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方の位置を合わせるステップを含む、測定方法。
【請求項4】
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップは、
前記第1撮影画像から所定範囲内の画像を抽出した抽出画像を生成するステップと、
前記抽出画像を前記第2撮影画像に対して動かしながら重ね合わせるステップと、
前記抽出画像が前記第2撮影画像に対して重ね合わされたときの各画素の輝度の差の絶対値の平均値又は総和が小さくなるように、前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方の位置を合わせるステップと
を含む、請求項に記載の測定方法。
【請求項5】
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップは、
前記第1高さデータ及び前記第2高さデータに基づいて前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方の位置を補正するときの補正量と、前記第1撮影画像及び前記第2撮影画像に基づいて前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方の位置を補正するときの補正量とを両方とも算出するステップと、
前記第1高さデータ及び前記第2高さデータに基づいて算出した補正量と、前記第1撮影画像及び前記第2撮影画像に基づいて算出した補正量との差を算出するステップと、
算出した差が補正量一致判定値未満である場合に算出した補正量で前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの位置を補正し、算出した差が補正量一致判定値以上である場合に補正量の算出をやり直すステップと
を含む、請求項又はに記載の測定方法。
【請求項6】
前記第1撮影画像又は前記第2撮影画像の少なくとも一方を平滑化するステップを更に含む、請求項又はに記載の測定方法。
【請求項7】
測定対象の面内における所定位置の厚みを測定する測定方法であって、
前記測定対象の第1面の各位置における高さと各位置を特定する情報とを対応づけた第1高さデータを取得するステップと、
前記測定対象の第2面の各位置における高さと各位置を特定する情報とを対応づけた第2高さデータを取得するステップと、
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップと、
前記所定位置における前記測定対象の厚みを、前記第1高さデータ及び前記第2高さデータのそれぞれにおいて前記所定位置を特定する情報に対応づけられた高さに基づいて算出するステップと
前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方を平坦化するステップと
を含む、測定方法。
【請求項8】
請求項1、2、3、4又は7のいずれか一項に記載の測定方法を実行する制御部を備える測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定方法及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インサート材の厚みとキャリア本体の厚みをほぼ同一にした両面研磨装置用キャリアを製造する方法が知られている(例えば特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-140156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャリアは、両面研磨装置で使用されることによって摩耗する。インサート材として樹脂製のインサータが用いられる場合、キャリアの母材よりもインサータが摩耗しやすい。インサータの厚みの減り量に偏りが生じることによって両面研磨装置の性能が低下し得る。インサータの厚みの減り量を把握するために、インサータ形状を簡便に測定することが求められる。
【0005】
そこで、本開示の目的は、インサータ形状を簡便に測定できる測定方法及び測定装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本開示の一実施形態は、以下のとおりである。
[1]
測定対象の面内における所定位置の厚みを測定する測定方法であって、
前記測定対象の第1面の各位置における高さと各位置を特定する情報とを対応づけた第1高さデータを取得するステップと、
前記測定対象の第2面の各位置における高さと各位置を特定する情報とを対応づけた第2高さデータを取得するステップと、
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップと、
前記所定位置における前記測定対象の厚みを、前記第1高さデータ及び前記第2高さデータのそれぞれにおいて前記所定位置を特定する情報に対応づけられた高さに基づいて算出するステップと
を含む、測定方法。
[2]
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップは、前記測定対象の第1面における形状と前記測定対象の第2面における形状との差が小さくなるように、前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方の位置を合わせるステップを含む、上記[1]に記載の測定方法。
[3]
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップは、
前記第1高さデータから所定範囲内の各位置における高さのデータを抽出した抽出高さデータを生成するステップと、
前記抽出高さデータを前記第2高さデータに対して動かしながら重ね合わせるステップと、
前記抽出高さデータが前記第2高さデータに対して重ね合わされたときの各位置における高さの差の総和が小さくなるように、前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方の位置を合わせるステップと
を含む、上記[2]に記載の測定方法。
[4]
前記第1高さデータの各位置に対応づけられる画素を有し、前記測定対象の第1面を撮影した第1撮影画像を取得するステップと、
前記第2高さデータの各位置に対応づけられる画素を有し、前記測定対象の第2面を撮影した第2撮影画像を取得するステップと
を更に含み、
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップは、前記第1撮影画像の少なくとも一部のパターンと前記第2撮影画像の少なくとも一部のパターンとの差が小さくなるように、前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方の位置を合わせるステップを含む、上記[1]から[3]までのいずれか一項に記載の測定方法。
[5]
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップは、
前記第1撮影画像から所定範囲内の画像を抽出した抽出画像を生成するステップと、
前記抽出画像を前記第2撮影画像に対して動かしながら重ね合わせるステップと、
前記抽出画像が前記第2撮影画像に対して重ね合わされたときの各画素の輝度の差の絶対値の平均値又は総和が小さくなるように、前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方の位置を合わせるステップと
を含む、上記[4]に記載の測定方法。
[6]
前記第1高さデータと前記第2高さデータとで位置を合わせるステップは、
前記第1高さデータ及び前記第2高さデータに基づいて前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方の位置を補正するときの補正量と、前記第1撮影画像及び前記第2撮影画像に基づいて前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方の位置を補正するときの補正量とを両方とも算出するステップと、
前記第1高さデータ及び前記第2高さデータに基づいて算出した補正量と、前記第1撮影画像及び前記第2撮影画像に基づいて算出した補正量との差を算出するステップと、
算出した差が補正量一致判定値未満である場合に算出した補正量で前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの位置を補正し、算出した差が補正量一致判定値以上である場合に補正量の算出をやり直すステップと
を含む、上記[4]又は[5]に記載の測定方法。
[7]
前記第1撮影画像又は前記第2撮影画像の少なくとも一方を平滑化するステップを更に含む、上記[4]から[6]までのいずれか一項に記載の測定方法。
[8]
前記第1高さデータ又は前記第2高さデータの少なくとも一方を平坦化するステップを更に含む、上記[1]から[7]までのいずれか一項に記載の測定方法。
[9]
上記[1]から[8]までのいずれか一項に記載の測定方法を実行する制御部を備える測定装置。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る測定方法及び測定装置によれば、インサータ形状が簡便に測定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る測定システムの構成例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る測定システムの構成例を示す模式図である。
図3】測定対象とするキャリアプレートの構成例を示す平面図である。
図4図3の破線囲み部Aの拡大図である。
図5図4のB-B断面図である。
図6】高さデータを取得する経路の例を示す平面図である。
図7図6の経路に沿って取得された高さデータの例を示すグラフである。
図8】撮影画像の一例を示す図である。
図9】撮影画像に抽出画像を重ねて位置を合わせる動作例を示す図である。
図10】一実施形態に係る測定方法の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(ウェーハの測定装置10の構成例)
図1に示されるように、本開示の一実施形態に係る測定システム1は、測定装置10と、センサ20とを備える。測定システム1は、撮像装置30を更に備えてもよい。センサ20又は撮像装置30は、測定装置10に含まれてもよい。
【0010】
本実施形態に係る測定システム1は、センサ20によって、ウェーハの両面研磨装置で用いられるキャリアプレート80(図2等参照)の形状を測定するように構成される。測定システム1は、キャリアプレート80に限られず、両面研磨装置で用いられる他の種々の部品の形状を測定するように構成されてもよい。測定システム1は、両面研磨装置に限られず、他の種々の装置で用いられる部品の形状を測定するように構成されてもよい。測定システム1が形状を測定する対象は、測定対象とも称される。
【0011】
以下、測定システム1の構成例が説明される。
【0012】
<測定装置10>
測定装置10は、制御部12と、記憶部14と、インタフェース16とを備える。
【0013】
制御部12は、センサ20から測定対象の高さデータの測定結果を取得し、測定対象の厚みを算出する。制御部12は、インタフェース16によってセンサ20から測定結果を取得してよい。制御部12は、インタフェース16によって測定対象の厚みの算出結果を出力してよい。
【0014】
制御部12は、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。プロセッサは、制御部12の種々の機能を実現するプログラムを実行しうる。プロセッサは、単一の集積回路として実現されてよい。集積回路は、IC(Integrated Circuit)とも称される。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。
【0015】
記憶部14は、センサ20から取得した測定結果を格納してよい。記憶部14は、測定対象に関する計算結果を格納してよい。記憶部14は、磁気ディスク等の電磁記憶媒体を含んでよいし、半導体メモリ又は磁気メモリ等のメモリを含んでもよい。記憶部14は、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体を含んでよい。記憶部14は、撮像装置30から取得した測定データ等の各種情報及び制御部12で実行されるプログラム等を格納する。記憶部14は、制御部12のワークメモリとして機能してよい。記憶部14の少なくとも一部は、制御部12に含まれてよい。記憶部14の少なくとも一部は、測定装置10と別体の記憶装置として構成されてもよい。
【0016】
インタフェース16は、センサ20又は撮像装置30との間で通信可能に構成される通信モジュールを含んで構成されてよい。通信モジュールは、センサ20又は撮像装置30と有線又は無線で通信可能に接続されてよい。通信モジュールは、センサ20又は撮像装置30に直接接続されてもよいし、通信ネットワークを介して接続されてもよい。通信モジュールは、LAN(Local Area Network)等の通信インタフェースを備えてよい。通信モジュールは、赤外線通信又はNFC(Near Field communication)通信等の非接触通信の通信インタフェースを備えてもよい。通信モジュールは、4G(4th Generation)若しくはLTE(Long Term Evolution)又は5G(5th Generation)等の種々の通信方式による通信を実現してもよい。通信モジュールが実行する通信方式は、上述の例に限られず、他の種々の方式を含んでもよい。通信モジュールの少なくとも一部は、制御部12に含まれてもよい。
【0017】
インタフェース16は、制御部12による測定対象に関する計算結果をユーザに通知できるように、出力デバイスを含んで構成されてよい。出力デバイスは、画像又は文字若しくは図形等の視覚情報を出力する表示デバイスを含んでよい。表示デバイスは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ若しくは無機ELディスプレイ、又は、PDP(Plasma Display Panel)等を含んで構成されてよい。表示デバイスは、これらのディスプレイに限られず、他の種々の方式のディスプレイを含んで構成されてよい。表示デバイスは、LED(Light Emitting Diode)又はLD(Laser Diode)等の発光デバイスを含んで構成されてよい。表示デバイスは、他の種々のデバイスを含んで構成されてよい。出力デバイスは、音声を出力するスピーカ等を含んでもよい。出力デバイスは、これらの例に限られず、他の種々の態様で情報を出力できるデバイスを含んでよい。
【0018】
インタフェース16は、例えば測定装置10による測定対象の測定開始若しくは停止等の操作入力、又は、測定装置10に対する他の種々の指示入力を受け付ける入力デバイスを含んで構成されてよい。インタフェース16は、ユーザから入力された情報を制御部12に出力する。入力デバイスは、例えば、タッチパネル若しくはタッチセンサ、又はマウス等のポインティングデバイスを含んで構成されてよい。入力デバイスは、物理キーを含んで構成されてもよい。入力デバイスは、マイク等の音声入力デバイスを含んで構成されてもよい。
【0019】
<センサ20及び撮像装置30>
センサ20は、測定対象の各位置における高さを測定するように構成される。センサ20は、測定対象の各位置における高さの測定結果を測定装置10に出力する。センサ20は、各位置における高さと、各位置を特定する情報(例えば座標等)とを対応づけた高さデータを生成して測定装置10に出力してよい。
【0020】
センサ20は、例えば白色干渉センサ(白色干渉変位計)又はレーザ顕微鏡として構成されてよい。白色干渉センサ又はレーザ顕微鏡は、測定対象の外形の凹凸、すなわち測定対象の各位置における高さを測定できる。
【0021】
センサ20は、ステレオカメラ等の距離センサとして構成されてもよい。センサ20は、測定対象に接触するプローブ等を含んで構成されてもよい。センサ20は、プローブが測定対象の各位置に接触するときの高さを、測定対象の各位置における高さとして測定できる。
【0022】
撮像装置30は、測定対象の外観を撮影するように構成される。撮像装置30は、例えばカメラ又は撮像素子等を含んで構成されてよい。
【0023】
測定対象が2つの面を有する場合にセンサ20が測定対象の2つの面の各位置の高さを同時に測定できるように、測定システム1は、測定対象の各面に対応するセンサ20を備えてよい。つまり、測定システム1は、複数のセンサ20を備えてよい。また、測定システム1は、撮像装置30が測定対象の2つの面の各位置を同時に撮影できるように、測定対象の各面に対応する撮像装置30を備えてよい。つまり、測定システム1は、複数の撮像装置30を備えてよい。
【0024】
センサ20及び撮像装置30は、測定対象の各位置における高さの測定と、測定対象の各位置の撮影とをまとめて実行する一体の装置として構成されてもよい。センサ20によって高さが測定される位置は、撮像装置30が測定対象を撮影した画像に含まれる各画素に写っている位置と1対1で対応するように構成されてよい。センサ20が高さを測定する各位置の密度は、撮像装置30が測定対象を撮影した画像に含まれる各画素に対応する位置の密度よりも高くてもよいし低くてもよい。
【0025】
<ステージ50及び筐体40>
図2に示されるように、測定システム1は、筐体40を更に備えてよい。筐体40は、センサ20及び撮像装置30を設置可能に構成される。測定システム1は、ステージ50を更に備えてよい。ステージ50は、測定対象を載置可能に構成されてよい。ステージ50は、測定対象がセンサ20によって測定可能な位置に載置されるように構成される。また、ステージ50は、測定対象が撮像装置30によって撮影可能な位置に載置されるように構成されてよい。筐体40は、センサ20による測定対象の測定位置と撮像装置30による測定対象の撮影位置とが一致するように、センサ20及び撮像装置30を移動可能に構成されてもよい。
【0026】
測定対象が孔82を有するキャリアプレート80である場合、測定システム1は、孔82の周囲の形状を測定してよい。ステージ50は、センサ20が測定対象の高さデータを測定できる点(例えばセンサ20の直下)を孔82の周囲の各点が通過するように孔82を中心として回動可能に構成されてよい。
【0027】
<キャリアプレート80>
本実施形態に係る測定システム1の測定対象となるキャリアプレート80は、図3に示されるように、円盤状の母材84を含んで構成される。また、母材84の中に円形の端部81によって区切られた孔82が設けられている。孔82は、キャリアプレート80を両面研磨装置に取り付けてウェーハを研磨するときにウェーハを収容する空間に対応する。
【0028】
孔82を区切る端部81は、図4及び図5に示されるように、母材84に取り付けられたインサータ86の先端として特定される。インサータ86は、母材84に設けられている孔の縁部から孔82の内側に向けて突出するように取り付けられている。母材84の孔の縁部は、歯を有している。インサータ86は、母材84の孔の縁部の歯に噛み合うように取り付けられている。孔82を区切っている端部81、すなわちインサータ86の先端は、孔82にウェーハが収容されたときにウェーハの端面に接触し、ウェーハの位置を制限する。本実施形態において、母材84は、金属で構成されるとする。母材84は、金属に限られず他の種々の材料で構成されてよい。インサータ86は、樹脂で構成されるとする。インサータ86は、樹脂に限られず他の種々の材料で構成されてもよい。インサータ86は、ウェーハの端面に接触するので、ウェーハを損傷しにくいように構成される。
【0029】
キャリアプレート80は、図5に示されるように、第1面80Aと第2面80Bとを有する。第1面80Aは、キャリアプレート80が研磨装置で用いられるときに上側を向く面であり、キャリアプレート80の表面とも称される。第2面80Bは、キャリアプレート80が研磨装置で用いられるときに下側を向く面であり、キャリアプレート80の裏面とも称される。
【0030】
キャリアプレート80は、ウェーハの研磨に用いられた場合にウェーハとともに研磨されて薄くなる。具体的には、母材84及びインサータ86が両方とも薄くなる。インサータ86が母材84よりも軟らかい場合、インサータ86の厚みの減り量は、母材84の厚みの減り量よりも大きくなる。インサータ86の厚みは、研磨中のウェーハの位置の制御に影響を及ぼす。キャリアプレート80の孔82の内周の各点でインサータ86の厚みの減り量に偏りが生じることによって、ウェーハの研磨量に偏りが生じ得る。したがって、インサータ86の厚みの減り量の偏りを定量化するためにインサータ86の厚みを測定することが求められる。
【0031】
測定システム1は、母材84の厚みが既知であることを前提として、インサータ86の厚みを算出する。例えば、測定システム1は、キャリアプレート80の第1面80A(図5参照)の側、及び、第2面80B(図5参照)の側のそれぞれから測定した母材84の高さを基準としてインサータ86の各位置における高さを測定することによって、片面における母材84の厚みに対するインサータ86の厚みの差を算出してよい。測定システム1は、第1面80Aにおける母材84の厚みに対するインサータ86の厚みの差と第2面80Bにおける母材84の厚みに対するインサータ86の厚みの差との和を、既知の母材84の厚みから引くことによってインサータ86の厚みを算出してよい。
【0032】
測定システム1は、基準とする母材84の高さを、既知の母材84の厚みの半分の値に設定してもよい。この場合、測定システム1は、キャリアプレート80の両面において母材84の高さを基準として測定したインサータ86の高さの和を、インサータ86の厚みとして算出できる。
【0033】
(測定システム1の動作例)
上述したように、本実施形態に係る測定システム1によって、インサータ86の厚みを測定することが求められる。以下、インサータ86の厚みを測定する動作の例が説明される。
【0034】
<高さデータの測定>
センサ20は、キャリアプレート80のインサータ86の各位置の高さデータと、母材84の縁部の各位置の高さデータとを測定する。母材84において高さデータが測定される範囲は、母材84の孔の縁部の歯の部分を含んでよい。また、母材84において高さデータが測定される範囲は、母材84の歯と噛み合っているインサータ86の歯の部分から更に内側に所定距離だけ入る範囲を含んでよい。
【0035】
センサ20は、図6に例示されるように、孔82の半径方向に延びるL1及びL2で表されるそれぞれの線に沿った各位置でインサータ86又は母材84の高さデータを測定してよい。L1で表される線は、母材84の歯が無い部分、すなわちインサータ86の歯の部分を通過する。L2で表される線は、母材84の歯の部分を通過する。
【0036】
L1及びL2で表されるそれぞれの線に沿った各位置のインサータ86又は母材84の高さデータは、図7のグラフに示されるように、母材84の歯の部分を通過する場合と通過しない場合とで異なるデータとなる。図7のグラフにおいて、横軸は、孔82の半径方向の位置を表す。横軸の右方向は、孔82の内側の方向に対応する。P1は、L1で表される線の上における母材84の端の位置に対応する。P2は、L2で表される線の上における母材84の端の位置に対応する。P3は、L1及びL2で表される線の上におけるインサータ86の内側の端(端部81)の位置に対応する。縦軸は、各位置における高さの測定値を表す。
【0037】
L1で表される線に沿った各位置の高さは、図7のグラフでP1よりも左側の位置において母材84の高さに対応する。L1で表される線に沿った各位置の高さは、図7のグラフでP1からP3までの間の位置においてインサータ86の高さに対応する。L2で表される線に沿った各位置の高さは、図7のグラフでP2よりも左側の位置において母材84の高さに対応する。L2で表される線に沿った各位置の高さは、図7のグラフでP2からP3までの間の位置においてインサータ86の高さに対応する。
【0038】
P1からP2までの間において、L1で表される線に沿った各位置の高さは、母材84の歯の部分であるか否かの違いによって、L2で表される線に沿った各位置の高さよりも低い。なお、L1で表される線に沿った各位置の高さを表すグラフは、L2で表される線に沿った各位置の高さを表すグラフよりも全体として低い位置に描かれている。しかし、母材84の高さが均一であると仮定すれば、P1よりも左側の各位置の高さは、L1で表される線に沿った各位置と、L2で表される線に沿った各位置とで一致する。
【0039】
また、インサータ86の断面形状が図5に例示されるように孔82の内側に向かって細くなるテーパ形状である場合、インサータ86の高さは、孔82の内側に近づくほど低くなる。
【0040】
センサ20は、キャリアプレート80の第1面80A及び第2面80Bそれぞれで、すなわちキャリアプレート80の両面で、母材84及びインサータ86の高さを測定し、高さデータを生成する。センサ20は、生成した高さデータを測定装置10に出力する。
【0041】
<厚みの算出>
測定装置10の制御部12は、インタフェース16を介してセンサ20から高さデータを取得する。制御部12は、高さデータを記憶部14に格納してもよい。制御部12は、キャリアプレート80の両面の高さデータからキャリアプレート80の各位置における厚みを算出する。
【0042】
インサータ86の所定位置における高さデータが既知の母材84の厚みを基準として生成されている場合、制御部12は、キャリアプレート80の第1面80Aの側で測定した所定位置の高さと第2面80Bの側で測定した所定位置の高さとの和を、インサータ86の所定位置における厚みとして算出できる。
【0043】
高さデータが母材84の高さとインサータ86の所定位置における高さとの差分として生成されている場合、制御部12は、所定位置における第1面80Aの側の差分と第2面80Bの側の差分とを母材84の厚みから減算することによって、インサータ86の所定位置における厚みを算出できる。
【0044】
ここで、図7のグラフで示されるように、インサータ86の高さは、各位置で異なり得る。第1面80Aの側で高さを測定した位置と、第2面80Bの側で高さを測定した位置とがキャリアプレート80の厚み方向に見たときにずれていれば、インサータ86の厚みとして算出される値に誤差が生じる。したがって、制御部12は、第1面80Aで測定された高さデータと第2面80Bで測定された高さデータとの位置を合わせることによって、インサータ86の厚みの算出精度を高めることができる。第1面80Aで測定された高さデータは、第1高さデータとも称される。第2面80Bで測定された高さデータは、第2高さデータとも称される。
【0045】
<<画像による位置合わせ>>
制御部12は、第1面80A及び第2面80Bそれぞれから撮影した画像に基づいて、第1高さデータと第2高さデータとの位置を合わせてよい。制御部12は、第1高さデータ又は第2高さデータの少なくとも一方の位置を合わせてよい。
【0046】
制御部12は、撮像装置30がキャリアプレート80を第1面80A及び第2面80Bそれぞれから撮影した画像を取得してよい。撮像装置30が第1面80Aからキャリアプレート80を撮影した画像は、図8に示されるように第1撮影画像62とも称される。撮像装置30が第2面80Bからキャリアプレート80を撮影した画像は、図9に示されるように第2撮影画像66とも称される。第1撮影画像62及び第2撮影画像66は、キャリアプレート80がステージ50の上に置かれた状態で撮影されている。第1撮影画像62及び第2撮影画像66において、孔82の部分にステージ50が写っている。
【0047】
第1撮影画像62は、各画素が撮影した位置と、第1高さデータの位置とを対応づける情報を含む。第2撮影画像66は、各画素が撮影した位置と、第2高さデータの位置とを対応づける情報を含む。画像に含まれる各画素に対応する位置と高さデータに含まれる各位置とは、情報の密度の違いによって1対1で一致しないことがある。画像に含まれる各画素に対応する位置と高さデータに含まれる各位置とが1対1で一致しない場合、制御部12は、画素に対応する位置と高さデータに対応する位置とを1対1で一致させるように、画像又は高さデータの少なくとも一方を補間してよい。
【0048】
制御部12は、第1撮影画像62と第2撮影画像66とを比較することによって、第1撮影画像62に対応づけられた第1高さデータの位置と、第2撮影画像66に対応づけられた第2高さデータの位置とを合わせる。第1撮影画像62と第2撮影画像66とは、左右反転の関係にある。したがって、制御部12は、第1撮影画像62と第2撮影画像66とのいずれかを左右反転させて比較する。図9に例示される第2撮影画像66は、実際に第2面80Bで撮影された画像を左右反転した画像であるとする。
【0049】
制御部12は、図8に示されるように、第1撮影画像62の中から、インサータ86の形状に特徴があるか判定してよい。特徴がある部分は、特徴部64とも称される。制御部12は、インサータ86の歯の全体を含む範囲を特徴部64として判定してよい。制御部12は、インサータ86の歯の先端の2つの角の少なくとも一方、又は、インサータ86の歯の根元の2つの角の少なくとも一方を含む範囲を特徴部64として判定してよい。
【0050】
制御部12は、特徴部64として判定した範囲の画像を抽出してよい。抽出された画像は、抽出画像68とも称される。制御部12は、第1撮影画像62から抽出した抽出画像68を第2撮影画像66の上で縦方向及び横方向に走査して第2撮影画像66の一部に重ね合わせ、第2撮影画像66の中で抽出画像68との差が小さくなる部分を探す。制御部12は、第2撮影画像66の中で抽出画像68との差が小さくなる部分の位置と、抽出画像68の第1撮影画像62における位置とに基づいて、第1撮影画像62と第2撮影画像66とで各画素の位置とを合わせる。
【0051】
制御部12は、抽出画像68を縦方向及び横方向に走査するだけでなく、抽出画像68を傾斜させて第2撮影画像66に重ね合わせてもよい。制御部12は、抽出画像68を傾斜させることによって第2撮影画像66との差が小さくなる場合、各画素の位置を合わせるために、第2撮影画像66の座標系に対して第1撮影画像62の座標系を相対的に傾斜させてよい。
【0052】
制御部12は、抽出画像68と第2撮影画像66の一部との差を評価値として算出してよい。評価値は、第1撮影画像62と第2撮影画像66との位置ずれに対応する値として算出される。制御部12は、評価値として、抽出画像68を第2撮影画像66の一部に重ねたときの各画素の輝度の差の絶対値の平均値又は総和を算出してよい。制御部12は、抽出画像68を第2撮影画像66の一部に重ねたときの各画素の輝度の差の標準偏差も考慮して評価値を算出してもよい。評価値が輝度の差の絶対値に基づいて算出される場合、第1撮影画像62と第2撮影画像66との位置ずれが小さいほど、評価値が小さい。言い換えれば、第1撮影画像62と第2撮影画像66との位置ずれが小さいほど、評価値が小さい値として算出されてよい。
【0053】
制御部12は、評価値が判定値未満になる部分を、第2撮影画像66の中で抽出画像68との差が小さくなる部分として決定してよい。制御部12は、評価値が極小又は最小となる部分を、第2撮影画像66の中で抽出画像68との差が小さくなる部分として決定してよい。
【0054】
制御部12は、抽出画像68と第2撮影画像66の一部とをパターンマッチングによって照合してもよい。制御部12は、画像のパターンマッチングを実行するためのモデルを用いてよい。モデルは、所定のアルゴリズムに基づいてパターンマッチングを実行するように構成されたモデルであってよいし、機械学習によって生成された学習済みモデルであってもよい。モデルは、抽出画像68と第2撮影画像66の一部との一致度を表す評価値を出力するように構成されてもよい。
【0055】
以上述べてきたように、制御部12は、高さデータの位置を、画像に基づいて合わせてよい。上述した例において、制御部12は、第1撮影画像62から特徴部64を抽出して抽出画像68を生成し、抽出画像68を第2撮影画像66に重ねた。制御部12は、第2撮影画像66から特徴部64を抽出して抽出画像68を生成し、抽出画像68を第1撮影画像62に重ねてもよい。
【0056】
言い換えれば、制御部12は、第1撮影画像62の少なくとも一部のパターンと第2撮影画像66の少なくとも一部のパターンとの差が小さくなるように、第1高さデータ又は第2高さデータの少なくとも一方の位置を合わせてよい。
【0057】
<<高さデータによる位置合わせ>>
高さデータは、各位置における高さの値をマッピングした2次元マップとして表され得る。高さの値は、母材84とインサータ86との境界において大きく変化する。制御部12は、第1高さデータ及び第2高さデータそれぞれにおいて、高さの値の変化量に基づいて母材84又はインサータ86の特徴的な位置を抽出してよい。制御部12は、特徴的な位置として、所定範囲内の高さデータを抽出してよい。抽出された所定範囲内の高さデータは、抽出高さデータとも称される。制御部12は、第1高さデータ及び第2高さデータそれぞれで抽出した特徴的な位置又は抽出高さデータを一致させることによって、第1高さデータと第2高さデータとの位置を合わせてよい。
【0058】
制御部12は、第1高さデータから抽出高さデータを抽出した場合、抽出高さデータを第2高さデータに対して動かしながら重ね合わせてよい。制御部12は、第2高さデータから抽出高さデータを抽出した場合、抽出高さデータを第1高さデータに対して動かしながら重ね合わせてよい。制御部12は、抽出高さデータが第1高さデータ又は第2高さデータに対して重ね合わされたときの各位置における高さの差の総和が小さくなるように、第1高さデータと第2高さデータとの位置を合わせてよい。
【0059】
言い換えれば、制御部12は、キャリアプレート80の第1面80Aにおける高さデータで特定される第1面80Aの側の形状と、キャリアプレート80の第2面80Bにおける高さデータで特定される第2面80Bの側の形状との差が小さくなるように、第1高さデータ又は第2高さデータの少なくとも一方の位置を合わせてよい。
【0060】
制御部12は、第1高さデータ及び第2高さデータそれぞれで抽出した特徴的な位置又は抽出高さデータの一致度を表す評価値を算出してもよい。特徴的な位置又は抽出高さデータの一致度が高いほど、評価値が大きい値で算出されてもよいし、小さい値で算出されてもよい。
【0061】
高さデータは、例えば、高さの値をグレースケールの輝度又はRGBの組み合わせで表される種々の色に対応づけることによって画像として表され得る。制御部12は、高さデータを画像に変換し、上述した画像に基づく位置合わせの手順を実行することによって、第1高さデータと第2高さデータとの位置を合わせてよい。
【0062】
以上述べてきたように、制御部12は、高さデータの位置を、画像を用いずに高さデータだけに基づいて合わせてもよい。
【0063】
<厚みの算出結果の利用>
制御部12は、上述してきたように算出したインサータ86の各位置における厚みを、インタフェース16によって表示又は出力してよい。制御部12は、インサータ86の各位置における厚みに基づいて、インサータ86の厚みの分布を算出し、インサータ86の厚みの偏りを定量化してよい。制御部12は、インサータ86の厚みの偏りを定量化した結果をインタフェース16によって表示又は出力してよい。
【0064】
(測定方法の手順例)
測定装置10の制御部12は、図10に例示されるフローチャートの手順を含む測定方法を実行してもよい。測定方法は、制御部12を構成するプロセッサに実行させる測定プログラムとして実現されてもよい。測定プログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてよい。
【0065】
制御部12は、表面データを取得する(ステップS1)。表面データは、第1面80Aの側で取得した第1高さデータを含む。表面データは、第1面80Aの側を撮影した第1撮影画像62を含んでもよい。制御部12は、裏面データを取得する(ステップS2)。裏面データは、第2面80Bの側で取得した第2高さデータを含む。裏面データは、第2面80Bの側を撮影した第2撮影画像66を含んでもよい。
【0066】
制御部12は、第1撮影画像62又は第2撮影画像66から所定範囲を抽出する(ステップS3)。制御部12は、第1撮影画像62又は第2撮影画像66の中から特徴部64を判定し、特徴部64の範囲を所定範囲として抽出画像68を抽出してよい。制御部12は、第1高さデータ又は第2高さデータの中から母材84又はインサータ86の特徴的な位置を判定し、特徴的な位置を含む範囲の高さデータを抽出してよい。
【0067】
制御部12は、所定範囲のデータに基づいて第1高さデータと第2高さデータとの位置を合わせる(ステップS4)。制御部12は、所定範囲のデータとして、抽出画像68を用いてよい。制御部12は、所定範囲のデータとして、母材84又はインサータ86の特徴的な位置を含む範囲の高さデータを用いてよい。
【0068】
制御部12は、表面と裏面との位置ずれに対応する評価値を算出する(ステップS5)。制御部12は、抽出画像68の各画素の輝度と、第1撮影画像62又は第2撮影画像66において抽出画像68が重ねられる部分の各画素の輝度との差に基づいて、評価値を算出してよい。制御部12は、抽出画像68と、第1撮影画像62又は第2撮影画像66において抽出画像68が重ねられる部分の画像との一致度を評価値として算出してよい。制御部12は、高さデータ又は画像に基づいて判定された特徴的な位置の一致度を評価値として算出してもよい。本手順例において、制御部12は、一致度が高いほど、評価値を小さい値として算出するように構成されるとする。
【0069】
制御部12は、評価値が判定値未満であるか判定する(ステップS6)。評価値が判定値未満であることは、ステップS4の位置合わせの手順を実行した結果、第1高さデータと第2高さデータとの位置ずれが許容範囲内になったことを意味する。制御部12は、評価値が判定値未満でない場合(ステップS6:NO)、つまり評価値が判定値以上である場合、ステップS3の手順に戻って、位置合わせをやり直す。
【0070】
制御部12は、評価値が判定値未満である場合(ステップS6:YES)、位置を合わせた第1高さデータと第2高さデータとに基づいて、インサータ86の各位置における厚みを算出する(ステップS7)。制御部12は、インサータ86の各位置における厚みの算出結果を表示又は出力してよい。制御部12は、インサータ86の各位置における厚みの算出結果に基づいてインサータ86の厚みの偏りを定量化し、表示又は出力してよい。制御部12は、ステップS7の手順の実行後、図10のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0071】
以上述べてきたように、本実施形態に係る測定システム1、測定装置10及び測定方法によれば、測定対象の所定位置の厚みが所定位置の高さデータに基づいて算出される。また、高さデータの位置が合わされることによって、所定位置の厚みの算出精度が高められ得る。例えば厚みゲージを用いて各部の厚みを測定することに比べて、本実施形態に係る方法は、測定対象の形状を簡便に測定できる。
【0072】
(他の実施形態)
以下、測定システム1の他の実施形態が説明される。
【0073】
<画像の平滑化>
制御部12は、高さデータの位置を合わせるために用いる第1撮影画像62又は第2撮影画像66の少なくとも一方を平滑化してよい。画像を平滑化することによって、画像に含まれるノイズの影響が低減される。その結果、画像に基づく第1面80Aと第2面80Bとの位置合わせの精度が高められ得る。
【0074】
<高さデータの平坦化>
制御部12は、第1高さデータ又は第2高さデータの少なくとも一方を平坦化してよい。高さデータを平坦化することによって、高さデータに含まれるノイズの影響が低減される。その結果、高さデータに基づく第1面80Aと第2面80Bとの位置合わせの精度が高められ得る。
【0075】
<画像に基づく位置合わせの結果と高さデータに基づく位置合わせの結果との比較>
制御部12は、第1撮影画像62及び第2撮影画像66に基づく高さデータの位置合わせと、第1高さデータ及び第2高さデータに基づく高さデータの位置合わせとを両方とも実行してよい。
【0076】
制御部12は、第1撮影画像62及び第2撮影画像66に基づいて、第1高さデータ又は第2高さデータの少なくとも一方の位置を補正するときの補正量を算出してよい。制御部12は、第1高さデータ及び第2高さデータに基づいて、第1高さデータ又は第2高さデータの少なくとも一方の位置を補正するときの補正量を算出してよい。
【0077】
制御部12は、画像に基づいて算出した補正量と、高さデータに基づいて算出した補正量との差を算出する。
【0078】
制御部12は、算出した差が補正量一致判定値未満である場合、画像に基づいて算出した補正量、又は、高さデータに基づいて算出した補正量のいずれかを用いて第1高さデータ及び第2高さデータの位置を合わせてよい。制御部12は、算出した差が補正量一致判定値未満である場合、画像に基づいて算出した補正量と高さデータに基づいて算出した補正量との間の値(例えば平均値等)を用いて第1高さデータ及び第2高さデータの位置を合わせてよい。
【0079】
算出した差が補正量一致判定値以上である場合、画像に基づいて算出した補正量、又は、高さデータに基づいて算出した補正量のいずれかが異常である可能性がある。制御部12は、算出した差が補正量一致判定値以上である場合、画像に基づく補正量の算出、又は、高さデータに基づく補正量の算出の少なくとも一方をやり直してよい。
【0080】
2つの方法で算出した補正量が一致するか確認することによって、第1面80Aと第2面80Bとの位置合わせの精度が高められ得る。
【0081】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について装置を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0082】
本開示に含まれるグラフは、模式的なものである。スケールなどは、現実のものと必ずしも一致しない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本開示に係る実施形態によれば、インサータ樹脂の形状が簡便に測定され得る。
【符号の説明】
【0084】
1 測定システム
10 測定装置(12:制御部、14:記憶部、16:インタフェース)
20 センサ
30 撮像装置
40 筐体
50 ステージ
62 第1撮影画像
64 特徴部
66 第2撮影画像
68 抽出画像
80 キャリアプレート(81:端部、82:孔、84:母材、86:インサータ)
【要約】
【課題】インサータ形状を簡便に測定できる測定方法及び測定装置を提供する。
【解決手段】測定対象の面内における所定位置の厚みを測定する測定方法は、測定対象の第1面の各位置における高さと各位置を特定する情報とを対応づけた第1高さデータを取得するステップと、測定対象の第2面の各位置における高さと各位置を特定する情報とを対応づけた第2高さデータを取得するステップと、第1高さデータと第2高さデータとで位置を合わせるステップと、所定位置における測定対象の厚みを、第1高さデータ及び第2高さデータのそれぞれにおいて所定位置を特定する情報に対応づけられた高さに基づいて算出するステップとを含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10