IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7277528CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法
<>
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図1A
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図1B
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図2
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図3
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図4
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図5
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図6
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図7
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図8
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図9
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図10
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図11
  • 特許-CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】CMPプロセスのトラッキングデータを3D印刷されたCMP消耗材と組み合わせるための技法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/22 20120101AFI20230511BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20230511BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20230511BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20230511BHJP
   B24B 49/14 20060101ALI20230511BHJP
   B24B 49/16 20060101ALI20230511BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230511BHJP
   B23Q 17/09 20060101ALN20230511BHJP
【FI】
B24B37/22
B24B37/30 E
B24B49/10
B24B37/24 B
B24B49/14
B24B49/16
H01L21/304 622F
H01L21/304 622R
B23Q17/09 A
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021142999
(22)【出願日】2021-09-02
(62)【分割の表示】P 2018522976の分割
【原出願日】2016-10-19
(65)【公開番号】P2022023027
(43)【公開日】2022-02-07
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】14/935,134
(32)【優先日】2015-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ジェーソン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】バジャージ, ラジーブ
(72)【発明者】
【氏名】レッドフィールド, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カナ, アニルド
(72)【発明者】
【氏名】コルネホ, マリオ
(72)【発明者】
【氏名】メンク, グレゴリー イー.
(72)【発明者】
【氏名】ワトキンス, ジョン
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0126099(US,A1)
【文献】国際公開第2007/086529(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0138355(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 - 37/34
B24B 49/00 - 49/18
H01L 21/304
B23Q 17/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷されたポリマー体であって、
第1の材料を含み、基板に接触するように構成された研磨面を画定する複数の研磨特徴と、
前記第1の材料と異なる第2の材料を含む1つ以上のベース特徴とを含み、
前記1つ以上のベース特徴は、前記複数の研磨特徴の前記研磨面から距離を置いて配置され、前記1つ以上のベース特徴及び前記複数の研磨特徴は、前記研磨面と平行な方向に沿って、重複せずに交互に並べて配置されている、
印刷されたポリマー体と、
前記印刷されたポリマー体内に一体的に配置された無線周波数識別(RFID)タグと
を備える研磨パッド装置。
【請求項2】
前記第1の材料及び前記第2の材料は、エポキシ、フェノール、アミン、ポリエステル、ウレタン、シリコン、及びそれらのアクリレート、混合物、共重合体、及びグラフトから成る群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記RFIDタグは、無線通信技法を用いて質問器と通信するように構成された誘導アンテナを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記RFIDタグは、前記研磨面から200μmから500μmの間に位置している、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記印刷されたポリマー体内に凹部が形成されており、前記RFIDタグが、前記印刷されたポリマー体内に形成された前記凹部の表面に結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記RFIDタグが、導電性のナノ粒子を含有する導電性ポリマー材料を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上のベース特徴よりも高い位置前記研磨面が形成されており、前記複数の研磨特徴が第1の高さを有し、前記1つ以上のベース特徴が第2の高さを有し、前記第1の高さが前記第2の高さよりも大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
化学機械研磨システムであって、
支持面を有するプラテンと、
内部に無線周波数識別(RFID)タグが配置された、印刷された研磨パッドであって、前記RFIDタグは、前記印刷された研磨パッドの特性に関連する複数の情報を保存し、前記印刷された研磨パッドは、前記プラテンの前記支持面の上に配置され、且つ前記印刷された研磨パッドは、
第1の材料を含み、基板に接触するように構成された研磨面を画定する複数の研磨特徴であって、同心リング状に並べられた複数の研磨特徴、及び
前記第1の材料と異なる第2の材料を含む1つ以上のベース特徴であって、前記1つ以上のベース特徴は、前記研磨面から距離を置いて配置され、前記1つ以上のベース特徴と前記複数の研磨特徴とは、前記研磨面と平行な方向に沿って、重複せずに交互に並べて配置されている、1つ以上のベース特徴
を備えている、印刷された研磨パッドと、
前記プラテンに対向して位置づけされ、前記印刷された研磨パッドの前記研磨面に基板を押し付けるように構成された研磨ヘッドと、
を備える、化学機械研磨システム。
【請求項9】
前記プラテンに結合された質問器をさらに備え、前記質問器及び前記RFIDタグは、無線通信技法を用いて互いに通信するように構成されている、請求項8に記載の研磨システム。
【請求項10】
前記印刷された研磨パッドは非導電性ポリマー材料から形成され、前記RFIDタグは導電性ポリマー材料から形成されている、請求項8に記載の研磨システム。
【請求項11】
保持リングをさらに備え、前記保持リング内にRFIDタグが配置されている、請求項8に記載の研磨システム。
【請求項12】
可撓性膜をさらに備え、前記可撓性膜内にRFIDタグが配置されている、請求項8に記載の研磨システム。
【請求項13】
前記印刷された研磨パッド内に凹部が形成されており、前記RFIDタグが、前記印刷された研磨パッド内に形成された前記凹部の表面に結合されている、請求項8に記載の研磨システム。
【請求項14】
研磨パッドを製造する方法であって、
第1の材料を分配することによって、ポリマー体の複数の研磨特徴を形成することであって、前記複数の研磨特徴は、同心リング状に並べられ、基板に接触するように構成された研磨面を画定する、形成することと、
前記第1の材料と異なる第2の材料を分配することによって、前記ポリマー体の1つ以上のベース特徴を形成することと、
前記ポリマー体の内部に、前記研磨面から距離を置いて無線周波数識別(RFID)タグを配置することと、
を含み、
前記1つ以上のベース特徴の各々は、前記研磨面から距離を置いて配置され、
前記1つ以上のベース特徴と前記複数の研磨特徴とは、前記研磨面と平行な方向に沿って、重複せずに交互に並べて配置され、
前記RFIDタグは、前記ポリマー体の2つ以上の特性に関連する複数の情報を保存する、方法。
【請求項15】
前記第1の材料及び前記第2の材料は、エポキシ、フェノール、アミン、ポリエステル、ウレタン、シリコン、及びそれらのアクリレート、混合物、共重合体、及びグラフトから成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記RFIDタグは、無線通信技法を用いて質問器と通信するように構成された誘導アンテナを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記RFIDタグと前記研磨面との間の前記距離は、約200μmから約500μmの間である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマー体内に凹部を形成することをさらに含み、
前記ポリマー体内に形成された前記凹部の表面に、前記RFIDタグが結合される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記RFIDタグが、導電性のナノ粒子を含有する導電性ポリマー材料を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上のベース特徴よりも高い位置前記研磨面が形成され、前記複数の研磨特徴が第1の高さを有し、前記1つ以上のベース特徴が第2の高さを有し、前記第1の高さが前記第2の高さよりも大きい、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は概して、化学機械研磨(CMP)装置、及びCMP装置を製造し使用する方法に関する。より具体的には、本書に記載の実施形態は、CMP装置においてデータを収集する、例えばCMPプロセスに関するデータ、及び/又はCMP研磨装置に含まれる構成要素に関するデータを収集するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]化学機械研磨(CMP)は、半導体デバイスの製造中に基板を平坦化するのに一般的に用いられる技法である。CMPプロセスの間、処理される基板はキャリアヘッドに装着され、デバイス面は回転している研磨パッドに当接するように位置づけされる。キャリアヘッドは、デバイス面を研磨パッドに押し付けるために、基板に制御可能な負荷を加える。例えば研磨材粒子を有するスラリ等の研磨液が通常、研磨パッドの表面に供給される。研磨パッドは、特定数の基板を研磨した後に通常摩耗する消耗部品である。したがって、パッドと、他のCMP消耗部品は、一定の適切な研磨性能を維持するために時折交換する必要がある。
【0003】
[0003]研磨パッドは通常、ポリウレタン材料を成形、鋳造又は焼結することによって製造される。成形の場合、研磨パッドは、例えば射出成形等によって1度に1つずつ製造されうる。鋳造の場合、液体の前駆体が鋳造され、硬化されて塊が形成され、この塊が続いて個々のパッド片にスライスされる。パッド片は次に最終的な厚さに機械加工されうる。溝が機械加工で研磨面に形成されうる、あるいは射出成形プロセスの一部として形成されうる。これらの研磨パッドを製造する方法は高価であり、時間がかかる。更に、これらの方法によって製造された研磨パッドによる研磨は非均一であることが多い。例えば、CMPの間、基板上の異なるエリアが異なる速度で研磨され得、その結果、あるエリアでは材料が多く除去され過ぎる(「過剰研磨」)、あるいは他のエリアでは材料が少ししか除去されない(「研磨不足」)ことになりうる。
【0004】
[0004]加えて、従来の技法によって製造された研磨パッド及び他のCMP装置には、さまざまなトラッキング、感知、監視、及びプロセス計測機能を実施するデバイス及び方法に欠けることが多い。従来のCMPシステムの多くは、通常、先端技術の集積回路ノードで形成されたデバイスを平坦化するのに必要なCMPプロセスを的確に制御するのに十分なデータを提供しないシステムレベルの感知技法に頼っている。
【0005】
[0005]したがって、改善された研磨性能及び好ましいプロセス感知能力を提供するCMPシステム、研磨パッド及び他のCMP装置が必要である。加えて、上記装置を製造するための方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]一実施形態では、研磨パッド装置が提供される。本装置は、基板に接触するように構成された上面を有する一または複数の研磨特徴を備える印刷されたポリマー体を含む。印刷されたポリマー体は、第1の材料を含む第1の領域と、第2の材料を含む第2の領域とを含む。RFIDタグは、印刷されたポリマー体内に一体的に配置され得、上面からある距離を置いて位置づけされうる。
【0007】
[0007]別の実施形態では、化学機械研磨システムが提供される。本システムは、支持面を有するプラテンと、RFIDタグが配置された印刷された研磨パッドとを含む。印刷された研磨パッドは、プラテンの支持面の上に配置され得、質問器がプラテンに結合されていてもよい。質問器及びRFIDタグは、無線通信技法を用いて互いに通信するように構成される。研磨ヘッドも、プラテンに対向して位置づけされ得、印刷された研磨パッドの研磨面に基板を押し付けるように構成されうる。
【0008】
[0008]更に別の実施形態では、研磨パッドを製造する方法が提供される。本方法は、印刷ヘッドの第1のノズルから一または複数の第1のポリマー材料を分配することによって、研磨パッドの印刷された第1の部分を堆積させることを含む。一または複数の第1のポリマー材料は非導電性であり、印刷されたRFIDタグは、研磨ヘッドの印刷された第1の部分に印刷ヘッドの第2のノズルから一または複数の第2のポリマー材料を分配することによって堆積されうる。一または複数の第2のポリマー材料は、少なくとも1つの導電性又は半導電性ポリマー材料を含みうる。研磨パッドの印刷された第2の部分は、印刷ヘッドの第1のノズルから一または複数の第1のポリマー材料を分配することによって、印刷されたRFIDタグ及び印刷された第1の部分の上に堆積されうる。
【0009】
[0009]更に別の実施形態では、印刷された研磨ヘッドを使用する方法が提供されている。本方法は、印刷された研磨パッド内部に配置されたRFIDタグで一または複数の処理パラメータを感知することと、質問器を介して、RFIDタグから一または複数の信号を受信することとを含む。本方法はまた、一または複数の信号を研磨プロセスを制御するように適合されたコントローラへ伝達することも含む。
【0010】
[0010]更に別の実施形態では、無線通信方法が提供されている。本方法は、研磨システムにおいて基板研磨プロセスを実施することを含む。研磨システムは、プラテンと、プラテンに結合された研磨パッドと、研磨ヘッドに取り外し可能に結合された一または複数の構成要素を含む研磨ヘッドとを含みうる。RFIDタグは一または複数の構成要素に結合されていてよく、一または複数の無線通信信号は、プラテン内に固定可能に配置された質問器を介してRFIDタグから受信されうる。一または複数の無線通信信号が解析され得、一または複数の構成要素は研磨ヘッドから取り外し可能である。
【0011】
[0011]更に別の実施形態では、設計プロセスで使用される機械可読媒体において具現化される構造が提供されている。この構造は、基板に接触するように構成された上面を有する一または複数の研磨特徴を含む印刷されたポリマー体を含む。印刷されたポリマー体は、一または複数のほぼ非導電性の第1の材料を含む。一または複数の第2の材料を含む印刷されたRFIDタグは、印刷されたポリマー体内部に一体的に配置されうる。一または複数の第2の材料は、導電性又は半導電性であってよい。
【0012】
[0012]更に別の実施形態では、非一過性コンピュータ可読媒体が提供されている。コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されたときに、基板研磨プロセスを開始させ、一または複数の処理パラメータに対応する信号を受信させる工程を実施することによって、コンピュータシステムに基板研磨プロセスを実行させる命令を記憶しうる。印刷された研磨パッド内部に配置された無線通信装置によって、信号が生成されうる。信号は、処理条件を決定するために解析され得、処理条件に応じて、一または複数の処理パラメータのうちの少なくとも1つが変更されうる。
【0013】
[0013]ある実施形態では、RFIDタグは、研磨パッド内部に配置されていてよい、あるいは研磨パッドに結合されていてよく、リーダは、プラテン又は研磨ヘッド内部に配置されていてよい。別の実施形態では、RFIDタグは、保持リング内部に配置されていてよい、あるいは保持リングに結合されていてよく、リーダは、プラテン内部に配置されていてよい。別の実施形態では、RFIDタグは、膜内部に配置されていてよい、あるいは膜に結合されていてよく、リーダは、プラテン内部に配置されていてよい。インシトゥ(その場)の監視、感知、及び計測機能を提供するために、様々なセンサがRFIDタグに結合されうる。
【0014】
[0014]上述の本開示の特徴を詳細に理解しうるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかし、添付図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容され得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本書に記載の実施形態に係る、研磨装置を示す概略断面図である。
図1B】本書に記載の実施形態に係る、図1Aの研磨装置のキャリアヘッドをより詳細に示す断面図である。
図2】本書に記載の実施形態に係る、研磨パッドの概略的な断面斜視図である。
図3】本書に記載の実施形態に係る、研磨パッドの概略断面図である。
図4】本書に記載の実施形態に係る、一又は複数の観察窓を有する研磨パッドの概略断面図である。
図5】本書に記載の実施形態に係る、支持層を含む研磨パッドの概略断面図である。
図6】本書に記載の実施形態に係る、それぞれ、RFIDタグが組み込まれ、その中で読み取られる研磨パッド及びプラテンを部分的に示す概略断面図である。
図7】本書に記載の実施形態に係る、RFIDタグの電気部品を示す概略図である。
図8】本書に記載の実施形態に係る、近距離無線通信部品を組み込んだ研磨ヘッド保持リングとプラテンを示す部分断面図である。
図9】本書に記載の実施形態に係る、近距離無線通信部品を組み込んだ研磨ヘッド膜とプラテンを示す部分断面図である。
図10】本書に記載の一実施形態に係る、RFIDタグを有する研磨パッドを製造する方法を示す図である。
図11】本書に記載の一実施形態に係る、RFIDタグを有する研磨パッドを製造する方法を示す図である。
図12】本書に記載の実施形態に係る、研磨パッドを製造するための装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0025]理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると想定されている。
【0017】
[0026]本開示の実施形態は概して、CMP装置、及びCMP装置を製造し使用するための方法を含む。CMP装置は中でも、研磨パッドと、研磨ヘッド保持リングと、研磨ヘッド膜とを含んでいてよく、CMP装置は、例えば三次元(3D)印刷プロセス、又は2.5次元(2.5D)印刷プロセス等の付加製造プロセスを介して製造されうる。CMP装置は、例えば無線自動識別(RFID)、又はCMP装置と一体化された他の構成要素等の無線通信装置を含みうる。CMP装置を製造する方法は、RFIDタグを研磨パッド内又は研磨パッド上に3D印刷することと、研磨パッドにRFIDタグを受け入れるように構成された凹部を印刷することとを含む。
【0018】
[0027]図1Aは、本書に記載の実施形態に係る研磨装置100を示す概略断面図である。研磨装置100は、基板の研磨を実施するために、研磨システムにおいて用いられうる。研磨ステーション100は、中心軸104の周りで回転可能なプラテン102を含む。プラテン102は一般に円形であるが、他の形状も有益に用いることができると考えられる。研磨パッド106は、プラテン102に結合されうる。プラテン102に結合された単一の研磨パッド106を示したが、所望の研磨特性に応じて、複数の研磨パッドをプラテンに結合させることも可能と考えられる。研磨パッド106は、本開示の実施形態に係る、単一材料層の本体又は複合材料の本体を含みうる。研磨パッド106は、接触して、基板から少なくとも一部の材料を除去することによって基板を処理するように構成される研磨面112を含む。プラテン102は、研磨中、研磨パッド106を支持し、研磨パッド106を回転させる。
【0019】
[0028]キャリアヘッド108は、処理中の基板110を研磨パッド106の研磨面112に対して固定し保持しうる。キャリアヘッド108は、中心軸114の周りで回転し、かつ/又は、基板110と研磨パッド106との間に相対運動を発生させるよう、スイープ運動(sweeping motion)で動きうる。研磨中は、例えば研磨スラリなどの研磨流体116が、供給アーム118によって研磨面112に供給されうる。研磨液116は、基板110の化学機械研磨を可能にするために、研磨粒子、pH調整剤、及び/又は、化学的に活性な成分を含有しうる。
【0020】
[0029]一または複数の無線通信装置600は、研磨パッド106内に配置されうる、又はそうでなければ研磨パッド106に結合されうる。一または複数の質問器601は、プラテン102内に配置されうる、又はそうでなければプラテン102に結合されうる。無線通信装置600と質問器601は、通信リンク607を介して通信するように構成される。一実施形態では、通信リンク607は無線通信プロトコルであってよい。別の実施形態では、通信リンク607は有線接続であってよい。質問器は、質問器601を介して無線通信装置600から入力を受信しうるコントローラ612に通信可能に結合される。無線通信装置600、質問器601、及びコントローラの更なる詳細を、図6を参照しながら説明する。
【0021】
[0030]一般に、無線通信装置600は、さまざまな処理パラメータとシステム構成要素とを感知するように構成される。無線通信装置600は、研磨パッド106内部の様々な位置に位置づけすることができ、研磨面112全体にわたるデータの収集を改善することができ、このデータは、研磨プロセスの制御を改善するためにコントローラ112によって解析されうる。無線通信装置60を介して収集されたデータは、リアルタイムのプロセス制御に、及び/又は例えば他のシステム構成要素の中でも、適切な保持リング120又は可撓性膜(図示せず)等の互換システム構成要素を確実に用いるために、用いられうる。これらの実施形態では、他の好適なシステム構成要素はまた、質問器601と通信する無線通信装置も採用しうる。
【0022】
[0031]図1Bは、本書に記載の実施形態に係る、図1Aの研磨装置100のキャリアヘッド108を更に詳細に示す断面図である。上述したように、キャリアヘッド108は、研磨又は他の処理中に基板110を保持するように構成される。キャリアヘッド108は、回転可能なプラテン102によって支持される研磨パッド106に対して基板110を保持して、研磨パッド106へ向かって基板110の裏面136全体に圧力を分散させることができる。
【0023】
[0032]キャリアヘッド108は、(回転可能なドライブシャフト130に直接又は間接的に結合されうる)基礎アセンブリ140と、保持リング120と、可撓性膜132とを含む。可撓性膜132は、非円形内側チャンバ122aに隣接する外側チャンバ122bを含む複数の加圧可能なチャンバを提供するために基礎アセンブリ140の下に延在し、基礎アセンブリ140と結合している。研磨装置100の圧力調整器にそれぞれチャンバ122aと122bとを流体連結させるために、基礎アセンブリ140を通って通路124a及び124bが形成されている。図1Bには2つの加圧チャンバを示したが、キャリアヘッド108は、例えば3、4、5、又はそれ以上のチャンバ等のいかなる数のチャンバも有しうる。
【0024】
[0033]図示していないが、キャリアヘッド108は、例えばドライブシャフト130に固定可能であり、ドライブシャフト130から基礎アセンブリ140が可動につり下がっているハウジング、基礎アセンブリ140の旋回を可能にする(基礎アセンブリ140の一部と見なされうる)ジンバル機構、基礎アセンブリ140とハウジングとの間のローディングチャンバ、チャンバ122a及び122b内部の一または複数の支持構造、又は基板110に補助圧力を加えるために可撓性膜132の内面と接触する一または複数の内部膜等の他の要素を含みうる。
【0025】
[0034]可撓性膜132は、研磨プロセスに関して、疎水性、耐久性があり、化学的に不活性でありうる。可撓性膜132は、基板110の裏面136と接触するように構成された装着部138を含みうる。一または複数のフラップ134により、クランプリング126、128を介して装着部138が基礎アセンブリ140に結合されうる。一または複数のフラップ134により、チャンバ122a、122bが分割され、基板110全体のエリアごとの圧力制御が得られる。
【0026】
[0035]保持リング120は、基礎アセンブリ140の可撓性膜132の半径方向外側に結合されうる。一般的に、保持リング120は、可撓性膜132に対する基板110の過剰な動きを防止し、基板110の横方向の動きを防止するように構成される。保持リングは、研磨プロセスにおいて用いられる化学組成に対して不活性な材料から出来ていてよい。保持リング120が、所望の用途に応じて、例えばポリマー、セラミック、及び金属などの適切な材料から作られうることが考えられる。
【0027】
改良されたパッド構成及び設計例
[0036]図2は、本書に記載の実施形態に係る研磨パッド200の概略斜視断面図である。研磨パッド200は、化学機械研磨によって半導体基板を研磨するための、例えば研磨ステーション100等の研磨ステーションで使用されうる。他の産業が、本書に記載の実施形態に係る研磨パッドを用いて有益に処理されうる他の種類の基板を用いることも考えられる。例えば、光学工業では、本書に記載のパッド及び他の関連装置を用いて、様々なレンズ又はミラーを研磨しうる。
【0028】
[0037]図示した実施形態では、研磨パッド200は複合パッド本体202を含む。図には示していないが、研磨パッド本体202を複数の材料の代わりに単一の材料から形成しうることも考えられる。複合パッド本体202は、一または複数の第1の特徴204と、一または複数の第2の特徴206とを含む。第1の特徴204と第2の特徴206は、それらの境界で互いに接合して複合パッド本体202を形成する個別の特徴である。一実施形態では、第1の特徴204は、約40ショアDスケール~約90ショアDスケールの硬度を有しうる。第2の特徴206は、約26ショアDスケール~約95ショアDスケールの硬度を有しうる。
【0029】
[0038]複合パッド本体202は、付加製造(例えば3D印刷又は2.5D印刷)又は例えば鋳造又は成形技法等の他の適切な技法によって形成されうる。複合パッド本体202には複数の層が含まれていてよく、各層は、複合パッド本体202の設計に従って第2の特徴206の領域及び/又は第1の特徴204の領域を含む。一実施形態では、第1の特徴204及び/又は第2の特徴206を含む各領域は、同時の、又は連続的な印刷プロセスにおいて3Dプリンタによって堆積されうる。複数の層は次に、固化させてターゲットの硬度を実現するために、例えば紫外線によって、又は熱源によって硬化させうる。堆積及び硬化後に、互いに結合した又は接合された第1の特徴204及び第2の特徴206とを含む単一の複合パッド本体202が形成される。硬化プロセスは、非複合研磨パッドに関連する実施形態において必要である場合とない場合がある。
【0030】
[0039]ターゲットの研磨プロセスを実現するために、第2の特徴206及び第1の特徴204に対して異なる機械特性を有する材料が選択されうる。第2の特徴206及び第1の特徴204の動的機械特性は、異なる材料を選択することによって、及び/又は特徴形成プロセス中に使用される異なる硬化プロセスを選ぶことによって、実現されうる。一実施形態では、第2の特徴206は、低い値の硬度と低い値の弾性係数を有しうるが、第1の特徴204は、高い値の硬度と高い値の弾性係数を有しうる。別の実施形態では、例えば弾性係数(又は貯蔵弾性率)及び損失弾性率等の動的機械特性を、各特徴内で、及び/又は研磨パッド200の研磨面内又は全体で第2の特徴206と第1の特徴204の物理的レイアウト、パターン又は組み合わせによって、調節あるいは制御することが可能である。
【0031】
[0040]第1の特徴204は、一または複数のポリマー材料から形成されうる。第1の特徴204を形成するのに使用される一または複数の材料は、ターゲットの機械特性、表面特性、化学的特性、又は温度特性を実現するために、単一のポリマー材料又は2つ以上のポリマーの混合物を含みうる。一実施形態では、第1の特徴204は、一または複数の熱可塑性ポリマーから形成されうる。第1の特徴204は、例えばポリウレタン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチル・メタクリレート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリエーテルイミド、ポリアミド、メラミン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリ酢酸ビニル、フッ素化炭化水素等の熱可塑性ポリマー、及びこれらのアクリレート、共重合体、グラフト、及び混合物から形成されうる。一実施形態では、第1の特徴204は、アクリレートから形成されうる。例えば、第1の特徴204は、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、又はポリエステルアクリレートであってよい。別の実施形態では、第1の特徴204は、例えば、エポキシ、フェノール、アミン、ポリエステル、ウレタン、シリコン等の一または複数の熱硬化性ポリマー、及びそれらのアクリレート、混合物、共重合体、及びグラフトを含みうる。
【0032】
[0041]一実施形態では、第1の特徴204は、シミュレートプラスチックの3D印刷材料から形成されうる。別の実施形態では、第1の特徴204は、単一ポリマー又はポリマーの組合せ、あるいは例えば熱可塑性ポリマー等の熱可塑性材料であってよいポリマー材料から形成されうる。一実施形態では、研磨プロセスを向上させるために、研磨粒子を第1の特徴204に埋め込むことができる。研磨粒子を含む材料は、例えばセリア、アルミナ、シリカ、又はそれらの組み合わせ等の金属酸化物、ポリマー、金属間、又はセラミックであってよい。
【0033】
[0042]第2の特徴206を形成するのに使用される一または複数の材料には、一または複数のポリマー材料が含まれうる。第2の特徴206は、ターゲットの特性を実現するために、単一のポリマー材料、又は2つ以上のポリマーの混合物から形成されうる。一実施形態では、第2の特徴206は、一または複数の熱可塑性ポリマーから形成されうる。例えば、第2の特徴206は、例えばポリウレタン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチル・メタクリレート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリエーテルイミド、ポリアミド、メラミン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリ酢酸ビニル、フッ素化炭化水素等の熱可塑性ポリマー、及びこれらのアクリレート、共重合体、グラフト、及び混合物から形成されうる。一実施形態では、第2の特徴206はアクリレートから形成されうる。例えば、第2の特徴206は、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、又はポリエステルアクリレートであってよい。別の実施形態では、第2の特徴206は、熱可塑性エラストマーから形成されうる。一実施形態では、第2の特徴206は、ゴム状の3D印刷材料から形成されうる。
【0034】
[0043]ある実施形態では、第1の特徴204は、第2の特徴206より硬く、剛性であり、第2の特徴206は、第1の特徴204より軟質で可撓性である。第1の特徴204と第2の特徴206の材料及びパターンは、研磨パッド200の「調整された」バルク材料を実現するように選択されうる。この「調整された」バルク材料で形成された研磨パッド200は、例えば研磨結果の改善、製造コストの削減、パッドの長寿命化等の様々な利点を有する。一実施形態では、「調整された」バルク材料又は研磨パッドは全体的に、約65ショアAと約75ショアDの間の硬度を有しうる。研磨パッドの引張強度は、5MPaと約75MPaの間であってよい。研磨パッドは約5%~約350%の破壊伸び率を有しうる。研磨パッドは、約10MPaを上回るせん断強度を有しうる。研磨パッドは、約5MPaと約2000MPaの間の貯蔵弾性率を有しうる。研磨パッドは、E30/E90における貯蔵弾性率が約6~約30の範囲内に収まるように、約25°C~約90°Cの範囲の温度にわたって安定した貯蔵弾性率を有し、E30は30°Cにおける貯蔵弾性率であり、E90は90°Cにおける貯蔵弾性率である。
【0035】
[0044]一実施形態では、第1の特徴204と第2の特徴206の材料は、研磨スラリからのアタックに対して化学的耐性を有する。別の実施形態では、第1の特徴204と第2の特徴206の材料は、親水性である。
【0036】
[0045]一般に、第1の特徴204と第2の特徴206は、円形複合パッド本体202を形成するために、交互に配置された交互の同心リングであってよい。他の実施形態では、第1の特徴204と第2の特徴206は、交互に、又は他の適切な配置で、本体202から延在する個別のポスト(棒)であってよい。様々な他の研磨パッド面の設計を、本書に記載の実施形態に有益に用いることも可能であると考えられる。一実施形態では、第1の特徴204の高さ210は、第1の特徴204の上面208が第2の特徴206から突出するように、第2の特徴206の高さ212よりも高くなっている。第1の特徴204及び第2の特徴206の間には、溝218又はチャネルが形成されている。研磨中、第1の特徴204の上面208により、基板に接触する研磨面が形成され、溝218には研磨流体が保持される。一実施形態では、第1の特徴204は、溝218及び/又はチャネルが複合パッド本体202の上面に形成されるよう、複合パッド本体202に平行の平面に対して垂直の方向に、第2の特徴206の厚さよりも大きい厚さを有するように形成される。
【0037】
[0046]一実施形態では、第1の特徴204の幅214は約250ミクロンから約2ミリメートルの間であってよい。第1の特徴204間のピッチ216は、約0.5ミリメートルから約5ミリメートルの間であってよい。第1の特徴204は各々、約250ミクロンから約2ミリメートルの範囲内の幅214を有しうる。幅214及び/又はピッチ216は、研磨パッド200の半径全体において、様々な硬度のゾーンまで可変であってよい。
【0038】
[0047]従来の研磨パッドと比べて、本開示の複合研磨パッド200は幾つかの利点を有する。従来の研磨パッドは一般に、研磨される基板のターゲット硬度又は弾性係数を得るために、例えば発泡体等の軟質材料から形成されるサブパッドによって支持されたテクスチャード研磨面及び/又は研削材を有する研磨層を含む。例えばポアソン比、弾性係数、及び損失係数等の様々な機械特性を有する材料を選択することによって、また特徴の寸法及び間隔を調節する、あるいは異なる特徴の配置を変更することによって、サブパッドを使用せずに、複合パッド本体202において好ましい硬度、動的特性及び/又は機械特性を実現することができる。したがって、研磨パッド200は、サブパッドをなくすことによって所有コストを削減する。更に、研磨パッド200の硬度及び摩損性は、異なる硬度及び摩損性を有する特徴を混ぜ合せることによって調整することができ、これによって研磨性能が改善される。
【0039】
[0048]本開示に係る複合研磨パッドは、パターンの変化及び/又は特徴サイズの変化を調節することによって、例えば第1の特徴204等の表面特徴、及び例えば第2の特徴206等のベース材料全体で、例えば弾性係数(ヤング率)及び損失弾性率等の異なる機械特性を有しうる。研磨パッド全体の機械特性は、ターゲット特性を実現するために、対称又は非対称、均一又は非均一であってよい。表面特徴のパターンは、研磨パッド全体の、例えば弾性係数及び損失弾性率等の所定の機械特性等のターゲット特性を実現するために、必要に応じて、放射状、同心、長方形、又はランダムであってよい。ある実施形態では、第1の特徴及び第2の特徴は、複合研磨パッドの強度が改善され、複合研磨パッドの物理的整合性が高まるように組み合わせることができる。第1の特徴及び第2の特徴を組み合わせることで、研磨パッドのせん断強度、圧縮強度、及び/又は引張強度が上がりうる。
【0040】
[0049]研磨パッドに様々な感知装置を組み込むと、例えば3D印刷等の付加製造プロセスにより利点がもたらされうる。例えばRFIDタグ及び計測センサ等の感知装置を、図6及び7に関して以下により詳細に説明する。
【0041】
[0050]図3は、本書に記載の実施形態に係る研磨パッド300の概略断面図である。研磨パッド300は、研磨パッド200の第2の特徴206の一実施形態と同様に軟質で弾性のベース層302を含む。第2の特徴206と同様に、ベース層302は、一または複数の弾性重合体から形成されうる。研磨パッド300は、ベース層302から延在する複数の表面特徴306を含む。表面特徴306の外面308は、軟質材料、又は軟質材料の組成物から形成されうる。一実施形態では、表面特徴306の外面308は、ベース層302と同じ材料、又は同じ材料の組成物から形成されうる。表面特徴306は、内部に埋め込まれた第1の特徴304も含みうる。第1の特徴304は、表面特徴306よりも硬い材料又は材料の組成物から形成されうる。第1の特徴304は、研磨パッド200の第1の特徴204の一または複数の材料と同様の材料から形成されうる。埋め込まれた第1の特徴304により、表面特徴306の効果的な機械特性が変わり、このため、研磨するのに好ましい機械特性及び/又は動的特性を有するパッドが得られうる。外面308の軟質ポリマー層を使用して、研磨される基板の欠陥を削減し、平坦化を向上させることができる。あるいは、同様の利点を得るために、軟質ポリマー材料を、本開示の研磨パッドを含む他の硬い材料の表面に印刷することができる。
【0042】
[0051]研磨パッド300は、研磨パッド300に配置された無線通信装置600も含みうる。第1の特徴304によってもたらされる機械特性に加えて、第1の特徴304は、無線通信装置600の構成要素によって何らかの形態の電子データ(例:静電容量、抵抗)を収集することができるように、無線通信装置600にも結合されうる。第1の特徴304は、研磨パッド製造プロセス中に印刷されうる電線310等を介して無線通信装置600に結合されうる。一実施形態では、電線310は、研磨パッド300を印刷するのに用いられる材料に適合する一または複数の導電性材料で印刷されうる。
【0043】
[0052]一実施形態では、第1の特徴304は、摩耗インジケータとして機能する導電性要素を含みうる。ある実施形態では、研磨中に、表面特徴306が最終的に摩滅し、第1の特徴304が露出する。表面特徴306が除去され、第1の特徴304が露出したときに、無線通信装置600によって受信された様々な信号(音響、電気、圧力等)が発生しうる。第1の特徴304の露出に応じた信号の変化及び/又は生成により、無線通信装置600が質問器601(図示せず)と通信し、処理データがコントローラ612へ送られうる。したがって、処理システムのオペレータは、使用及び研磨パラメータに関するリアルタイムのデータを受信しうる。一実施形態では、第1の特徴304の露出は、研磨パッドの摩耗を示しうるものであり、基板が十分に研磨されるように研磨パッド300が交換されうる。
【0044】
[0053]図4は、本書に記載の実施形態に係る、一又は複数の観察窓410が形成された研磨パッド400の概略断面図である。研磨パッド400は、研磨パッド200と同様のパッド本体402を有しうる。パッド本体402は、研磨のための、一または複数の第2の特徴406と、第2の特徴406から延在する複数の第1の特徴404とを含みうる。第2の特徴406と第1の特徴404とは、研磨パッド200の第2の特徴206と第1の特徴204の材料と同様の材料から形成されうる。第1の特徴404は、本開示による任意の適切なパターンで配置されうる。
【0045】
[0054]研磨パッド400は、透明材料から形成され、研磨中に基板の観察を可能にしうる一または複数の観察窓410も含む。観察窓410は、第2の特徴406又は第1の特徴404の一部を貫通するように、及び/又は第2の特徴406又は第1の特徴404の一部に当接するように形成されうる。観察窓410は、第1の特徴404及び第2の特徴406が付加製造プロセスを使用することによって形成されている間に、形成されうる。ある実施形態では、観察窓410は、ほぼ透明な材料から形成されていてよく、したがって、CMP光終点検出システムにおいて使用するために、レーザ及び/又は白色光源から放射される光を透過することができる。一実施形態では、観察窓410は、透明な3D印刷フォトポリマーから形成されうる。例えば、観察窓410は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)から形成されうる。ある実施形態では、観察窓410は、研磨スラリの屈折率に対して低い屈折率を有し、高い光学的透明度を有することで、空気/窓/水の界面からの反射を低減し、観察窓410を通る基板への光の透過、及び基板からの光の透過を改善する材料から形成される。材料の光学的透明度は、終点検出システムの光検出器によって使用される光線の波長範囲を超える、少なくとも約25%(例:少なくとも約50%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の光透過率を提供するように選択される。典型的な光終点検出の波長範囲は、可視スペクトル(例:約400nmから約800nm)、紫外(UV)スペクトル(例:約300nmから約400nm)、及び/又は赤外線スペクトル(例:約800nmから約1550nm)を含む。
【0046】
[0055]図5は、バッキング層506を含む研磨パッド500の概略的な斜視断面図である。研磨パッド500は、ベース材料層504と、ベース材料層504から突出している複数の表面特徴502を含む。研磨パッド500は、ベース材料層504に取り付けられたバッキング層506を有する以外は、上述の研磨パッド200、300、400と同様であってよい。バッキング層506は、好ましい圧縮性を研磨パッド500を付与しうる。バッキング層506は、好ましい硬度を実現するために、及び/又は好ましい動的材料特性(例:弾性係数及び損失弾性率)を有するために、研磨パッド500全体の機械特性を変化させるのにも使用されうる。バッキング層506は、80ショアAスケール未満の硬度値を有しうる。
【0047】
[0056]一実施形態では、バッキング層506は、圧力が加わったときに、セル/ボイドがつぶれて、バッキング層506が予測可能な状態で圧縮されるように、ボイドを有するポリウレタン又はポリシリコン等のオープンセル又はクローズセル発泡体から形成されうる。別の実施形態では、バッキング層506は、中でも、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ニトリル、又はポリクロロプレン(ネオプレン)から形成されうる。
【0048】
[0057]一実施形態は、バッキング層506は、例えば3D印刷プロセス等の付加製造プロセスを使用することによって形成されうる。この構成では、バッキング層506は、好ましい機械的また動的材料特性を実現するために、単一のポリマー材料又は2つ以上のポリマーの混合物から形成されうる。一構成において、表面特徴502及びベース材料層504は、バッキング層506に直接形成される。一実施形態では、バッキング層506は、一または複数の熱可塑性ポリマーから形成され得、したがって、第1の特徴204及び/又は第2の特徴206とともに、上述した一または複数の材料を含みうる。
【0049】
[0058]特定の実施形態では、無線通信装置600は、研磨パッド500内に配置されうる、あるいは研磨パッド500に結合されうる。一実施形態では、無線通信装置600は、ベース材料層504又は表面特徴502に配置されうる。例示の実施形態では、無線通信装置600は、バッキング層506に配置されうる。無線通信装置600の位置に関わらず、無線通信装置600は、複数の表面特徴502全体の一または複数の処理パラメータを感知するようにサイズ設定されうる。例えば、無線通信装置600によって、2つ以上の表面特徴502が同時に感知されうる。この結果、単一の表面特徴502を感知する代わりに、研磨面のより大きいエリア全体で様々な処理パラメータ(温度、圧力、導電性等)を感知することが可能になる。研磨面のより大きいエリアを感知することによって、無線通信装置600が領域的に平均化された信号を検出することができる。複数の無線通信装置600を用いた実施形態では、個々の無線通信装置600からのデータを組み合わせることによって、大域的に平均化された信号が決定されうる。
【0050】
情報収集システムの構成例
[0059]図6は、本書に記載の実施形態に係る、それぞれ内部に無線通信装置600と質問器601とが組み込まれた研磨パッド200及びプラテン102を部分的に示す概略断面図である。研磨パッド200は、内部に一体化した感知又は計測装置を組み込むように構成されたいずれかの研磨パッドを表すように意図される。例えば、研磨パッドは、内部に配置された無線通信装置600とともに印刷され、鋳造され、又は成形されうる。一実施形態では、無線通信装置600は、質問器と無線で通信するように構成される。無線通信プロトコルの実施例には、近距離無線通信技術、ブルートゥース(登録商標)、光信号送信技術、音響信号送信技術、無線周波数通信技術、及び他の適切な無線通信技術が含まれる。あるいは、無線通信装置600は、これらの間の通信を促進するために、質問器601に配線で接続されていてよい。
【0051】
[0060]単一の無線通信装置600と単一の質問器601を図6に示したが、それぞれパッド及びプラテンに複数の無線通信装置600と質問器601とを実装することができると考えられる(図1参照)。加えて、一または複数の無線通信装置600は、単一の質問器601によって感知されうる。無線通信装置600を、パッド200の表面内又は表面上の様々な位置、例えば中心位置(すなわち、円形パッドの原点又は回転軸と一致する点)、中間位置(すなわち、円形パッドの原点から半径の半分の位置)、又は外側位置(円形パッドの外周に隣接する位置)に位置づけされうるとも考えられる。複数のNFC装置600を組み合わせて用いることもでき、さまざまな位置(すなわち、中心位置及び外側位置、又は中心、中間、及び外側位置)を共に用いることが可能である。互いに協力する複数の無線通信装置600を用いることによって、パッド200全体の複数の位置においてデータを収集することで、処理環境のより包括的な視点がもたらされる。一般に、無線通信装置600は、処理中の、研磨システム100の研磨面全体の基板110の経路が、研磨プロセスの様々な時点で重なり合うように、パッド200に対して位置づけされる。
【0052】
[0061]同様に、質問器601は、プラテン102の様々な位置、例えば中心、中間、及び外側の位置に位置づけされうる。質問器の位置は、無線通信装置600の位置とは無関係に決定されうる、あるいは無線通信装置600と質問器601との間の通信を促進するために、少なくとも一部において無線通信装置の位置によって決定されうる。
【0053】
[0062]プラテン102に配置された質問器601は概して、リーダ608と、アンテナ610とを含む。リーダは、例えばRF電源等の電源を含み得、あるいは電源に結合され得、アンテナ610を介して、無線通信装置600によって受信される信号を送信するように構成されうる。一実施形態では、リーダ608は、他の装置の中でも、RFモジュレータと、リーダ608による信号の送受信を管理するように構成される質問器コントローラを含みうる。一実施形態では、RFモジュレータは、約13.56MHzの波長を有するRF信号を生成及び/又は調節するように構成されうる。受動タグの実施形態では、質問器601と無線通信装置600とは、例えば約2インチ未満、例えば約1インチ未満等の約12インチ未満の距離を有する空間関係に位置づけされうる。能動タグの実施形態では、質問器601と無線通信装置600との間の空間関係は、受動タグの実施形態よりも広い場合があり、信号送信に利用可能な電力によって変化しうる。
【0054】
[0063]無線通信装置600は概して、タグ602と、タグ602に結合された、あるいはタグ602内に一体的に製造されたアンテナ606とを含む。特定の実施形態では、タグ602にセンサ604も通信可能に結合されうる。タグ602は、好ましい実行形態に応じて、能動タグ又は受動タグであってよい。能動タグの実施形態では、例えば電池等の電源をタグに電気的に結合し、適切な電力をタグに供給することができ、これによりタグが、デバイス間に形成された通信リンク607を介して質問器601へ信号を送信することができる。能動タグは、タグに電源が結合された実施形態において実装可能であると考えられる。更に、能動タグは、タグによって送信されるデータが、受動タグを使用したときに得られうるよりも長い距離にある質問器601によって感知されるように意図される実施形態に用いられうる。しかしながら、能動タグは、受動タグが適切に用いられる近距離無線通信の実施形態において用いられうると考えられる。
【0055】
[0064]受動タグの実施形態では、タグは、質問器601から例えば無線周波数信号などの信号を受信し、受信した信号の電磁エネルギーを用いて、通信リンク607を介して、タグ602特有のデータをある程度含む信号を再び質問器601へ送信する(又は反映させる)ように構成されうる。受動タグは、質問器601がタグ602から臨界通信距離を下回る距離に位置づけされた実施形態において用いられうる。臨界通信距離は一般に、それを越えると、受動タグによって反映された電磁信号が質問器601によって確実に受信されない距離として定義される。臨界通信距離は、実施形態にしたがって、質問器601によって生成される信号に関連する電力量、及びタグの送信器のサイズ及び電力に応じて変化しうる。受動タグの更に詳細の説明を、図7を参照しながら以下に記載する。
【0056】
[0065]図7は、本書に記載の実施形態に係る、無線通信装置600の電気構成要素を示す概略図である。図7に示す実施形態は、基本的に機能するタグを表すように意図されており、したがって、様々な他の電気構成要素の設計又は構成を実行して、タグの好ましい機能性を実現することができると考えられる。タグ602は概して、トランジスタ702、インダクタ704、コンデンサ706、及び集積回路708を含む。一実施形態では、集積回路708は、タグ602特有のデータを記憶するように構成されたメモリを表しうる。別の実施形態では、メモリは、質問器601へデータを送信する前に、センサ604によって受信されるデータを記憶するように構成されうる。特定の実施形態では、インダクタ704、例えば誘導コイルをアンテナとして用いて、質問器601とインダクタ704との間で信号を送受信することができる。一実施形態では、インダクタ704はアンテナ606であり、デバイス間に形成された通信リンクを介して、タグ602から質問器601へ信号を含むデータを誘導的に反映するように機能する。
【0057】
[0066]図6を再び参照する。無線通信装置600、及び更に具体的には、タグ602は、研磨パッド200内部の、処理中に基板と接触するパッド200の上面208の下に位置づけされうる。一実施形態では、無線通信装置600は、上面208の下の、約200μmと約500μmとの間の距離620に位置づけされる。距離620は、タグ602及び/又はセンサ604によって実施される感知の好ましい種類、及びパッド200の表面の形状(例:溝、チャネル、又は他の特徴)に基づいて選択されうる。別の実施形態では、タグ602は、上面208の下の距離620に位置づけされうるが、センサ604は上面208の近くにあってよい。単一のセンサ604を示したが、研磨性能を監視し、改善するためにデータの一連のトラッキング、感知、及び計測を提供するように、複数のセンサを組み込みうると考えられる。例えば、無線通信装置600によって決定される研磨性能は、インシトゥ(すなわち研磨中)に実施可能であり、処理パラメータは、インシトゥで調節して基板研磨特性を改善することができる。感知されうる処理パラメータは、温度データ、圧力データ、電気伝導度データ、弾性係数データ、光データ、音響データ、膜厚データ、及び基板研磨プロセス中に処理パラメータを測定するように構成された他のデータの種類を含む。
【0058】
[0067]一実施形態では、センサ604とパッド200の研磨面との間に配置されたパッド200の領域622は、領域622に結合されたセンサ604を使用することによって、好ましい処理パラメータの測定を促進するように構成されうる。領域622は、一実施形態では、センサ604からパッド200の上面208まで延在していてよい、あるいは、別の実施形態では、領域622は、センサ604から溝218まで延在していてよい。好ましい処理パラメータの感知の「抵抗」を減らすことによって、リアルタイムで、より正確な処理パラメータの測定が実現できる。例えば、センサ604が温度センサである場合、領域622は、パッド200の他の部分よりも高い熱伝導率を有する熱導電性材料から形成されうる。パッド200の研磨面とセンサ604との間の熱抵抗を減らすことによって、センサ604による信号の検出を高速度で実現することができる。
【0059】
[0068]別の実施例では、センサ604が圧力センサである場合、領域622は、パッド200の他の部分よりも大きい弾性係数を有する材料から形成されうる。つまり、領域622は、周囲のパッド材料よりも剛性であるため、研磨面に加えられる圧力をより正確に感知しやすくなりうるということである。別の実施例では、センサ604が研磨面での伝導度の変化を検出するように構成された電気伝導度センサである場合、領域622は、周囲のパッド材料よりも電気伝導度が高い領域を含む材料から形成されうる。したがって、領域622の電気抵抗が低減し得、センサ604が研磨面から信号を受信するデータ転送速度が改善しうる。処理パラメータの検出精度を改善するために、他の様々なセンサを採用することができ、領域622に適切に構成された材料を用いることができると考えられる。一般に、領域622の製造は、コスト効率が高く、制御可能な方法で、パッド200内の材料選択を可能にする3D印刷プロセスを介して、有益に採用されうる。
【0060】
[0069]センサ604は、CMPプロセスに使用するのに適切な、さまざまな種類の感知及び計測装置を表すように意図される。一実施形態では、センサ604は、研磨システムを識別及びトラッキングするように構成されうる。例えば、研磨システム100は、無線通信装置600を有する研磨パッドがプラテン102に装着された場合に、動作中に係合するように構成されうる。この実施形態では、プラテン102の質問器601は、タグ602から、正しい種類の研磨パッドが研磨システムに設置されたことを示すデータを受信する。質問器601によって受信したタグデータを介して研磨パッドの種類を認証した後に、研磨システム101は「ロック解除」され、研磨機能にフルに従事する。ある実施形態では、受信したタグデータを介して研磨パッドの種類を認証した後に、研磨システム101は、受信したタグデータに基づいて一または複数の研磨パラメータを調節する。一実施例では、受信したタグデータは、研磨パッドの種類、パッド構成(例:表面特徴502、ベース材料層504、及びバッキング層506の種類、厚さ)、パッド200の表面構造に関する情報、又はその他の有用な情報を含みうる。
【0061】
[0070]別の実施形態では、センサ604を使用して、研磨システム100に設置された研磨パッドの使用統計値をトラッキング(追跡、監視)することができる。例えば、パッドが用いられたサイクル数を、無線通信装置600によってトラッキングすることができ、そのデータを質問器601へ送信することができる。データを解釈することができ、パッドの寿命をより正確にトラッキングして、研磨特性の改善が得られうる間隔でパッドを交換するようにすることができる。ある実施形態では、研磨システム101は、送信されたタグデータにおいて受信した研磨パッドのトラッキングされた使用統計値に基づいて、一または複数の研磨パラメータを調節する。
【0062】
[0071]ある実施形態では、センサ604(または特定の実施形態では複数のセンサ)は、一または複数の研磨パラメータを検出するように構成されうる。一実施例において、センサ604は、研磨パッド200、スラリ、基板110、又はこれらのいずれかの組み合わせの温度を検出するように構成された構成要素を含む熱センサ(例:RTD、熱電対)であってよい。別の実施例では、センサ604は、研磨プロセス中に音響振動の変化を決定するように構成された音響センサ(図示せず)であってよい。伝導度センサは、無線通信装置600に用いられうる別の種類のセンサ604である。この実施例では、伝導度センサ(図示せず)は、スラリ内の金属ローディング(すなわち、金属濃度の増加)を検出する、あるいはパッド200の様々な領域からスラリを取り除いた結果のパッド200の表面全体の伝導度の変化を検出するように構成されうる。一構成では、伝導度センサは、タグ602及び無線通信装置600と通信している2つの電極(図示せず)であって、各々が研磨面208で露出している2つの電極を含みうる。露出した電極は、タグ602に含まれる構成要素を使用することによって電極全体に電圧を加えることにより、スラリ、基板表面、及び/又はパッド200の表面の伝導度を直接測定するのに使用可能である。ある実施形態では、研磨システム101は、タグ602から質問器601へ送られる、送信されたタグデータにおいて受信される一または複数の研磨パラメータデータに基づいて、一または複数の研磨パラメータを調節する。
【0063】
[0072]センサ604の別の実施例は、角運動量、動力、回転の角度方向に対する面外の振動運動、及び/又はトルクの変化を感知するように構成されうる加速度計(例:MEMSデバイス)である。センサ604の別の実施例は、研磨中に、基板110に対してパッド200のせん断応力を感知するための、例えばひずみゲージ等の摩擦センサである。センサ604の更に別の実施形態は、パッド200に加えられた力と、基板110全体のゾーン圧力(すなわち、チャンバ122a、122b)を測定するように構成されうる、例えばロードセル(例:MEMSロードセル)等の圧力センサである。ある実施形態では、研磨システム101は、加速度計、摩擦センサ、せん断応力及び/又はタグ602から質問器601へ転送されたロードデータに基づいて、一または複数のCMP研磨パラメータを調節する。
【0064】
[0073]研磨中に、より効率的に処理パラメータを測定するために、前述したセンサの実施形態を単独で、あるいは互いに組み合わせて用いることが可能である。インシトゥ(その場)の処理及び/又は研磨プロセスのリアルタイムの調節を実行して、例えば、研磨均一性、及び研磨終点検出を改善することができると考えられる。一般に、一または複数の検出された処理パラメータに応じて、センサ604によって生成された信号は、タグ602によってコード化され、アンテナ606によって送信されうる。研磨システム101は、タグ602から質問器601及びコントローラ612へ送られる、送信されたタグデータにおいて受信したセンサデータに基づいて、一または複数の研磨プロセスパラメータを調節するように構成される。
【0065】
[0074]質問器601はまた、例えばコントローラ612等のプロセッサベースのシステムコントローラにも通信可能に結合されうる。例えば、コントローラ612は、リーダ608によって信号を生成させるように構成されうる。コントローラ612はまた、質問器601を介して無線通信装置602からデータを受信し、受信したデータを解析するようにも構成されうる。コントローラ612は、研磨装置100の様々な構成要素に結合され、基板研磨プロセスの制御を促進する、例えば電源、クロック、キャッシュ、入出力(I/O)回路等のメモリ618(例:不揮発性メモリ)及び大容量記憶装置とともに動作可能なプログラマブル中央処理装置(CPU)614、入力制御ユニット、ディスプレイユニット(図示せず)を含む。コントローラ612はまた、研磨装置100のシステムレベルセンサを通して処理される基板を監視するためのハードウェアも含みうる。
【0066】
[0075]上述したように、研磨装置100、更に具体的には、無線通信装置600、及び質問器601を制御しやすくするために、CPU614は、例えば様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するためのプログラム可能な論理制御装置(PLC)等の工業環境で使用されうる、いずれかの形態の汎用コンピュータプロセッサの1つであってよい。メモリ618はCPU614に結合され、メモリ618は非一過性であり、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、又はローカル又はリモートにある他のいずれかの形態のデジタルストレージ等の一または複数の容易に入手可能なメモリであってよい。プロセッサを従来の方法で支持するために、支持回路616がCPU614に結合されている。質問器601を介した無線通信装置600からの信号生成の命令、データの受信、及び解析は、通常、ソフトウェアルーチンとして、メモリ618によって実施され、記憶されうる。ソフトウェアルーチンもまた、CPU618によって制御されているハードウェアから遠隔位置にある第2のCPU(図示せず)によって保存されうる及び/又は実行されうる。
【0067】
[0076]メモリ618は、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体の形態であり、この命令はCPU614によって実行されたときに、無線通信装置600と質問器601の動作を含む研磨装置100の動作を促進する。メモリ618内の命令は、本開示の方法を実行するプログラム等のプログラム製品の形態である。プログラムコードは、幾つかの異なるプログラミング言語のうちのいずれか1つに合致しうる。一実施例では、本開示を、コンピュータシステムとともに使用されるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム製品として実行することができる。プログラム製品の一または複数のプログラムにより、(本書に記載の方法を含む)実施形態の機能が定義される。例示的なコンピュータ可読記憶媒体は、非限定的に、(i)情報が永久的に記憶される書込み不能な記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブ、フラッシュメモリ、ROMチップ、又は任意の種類のソリッドステート不揮発性半導体メモリによって読み出し可能なCD-ROMディスクなどのコンピュータ内の読出し専用メモリデバイス)、及び(ii)変更可能な情報が記憶される書き込み可能な記憶媒体(例えば、ディスケットドライブ又はハードディスクドライブ内のフロッピーディスク或いは任意の種類のソリッドステートランダムアクセス半導体メモリ)を含む。上記コンピュータ可読記憶媒体は、本書に記載の方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を格納しているときの本開示の実施形態である。
【0068】
[0077]図8は、本書に記載の実施形態に係る、無線通信装置600を組み込んだ保持リング120とプラテン102を示す研磨ヘッド108の部分断面図である。保持リング120は一般に、研磨プロセスの間、基板110の好ましくない動きを防止するように構成され、位置づけされる。図示したように、保持リング120は、可撓性膜132の半径方向外側に配置されうる。したがって、保持リング120は、パッド106とプラテン102に隣接し、これらのすぐ近くになるように配置される。特定の実施形態では、保持リング120は、必要に応じて保持リング120を交換しやすくするために、研磨ヘッド108に取り外し可能に結合させることができる。
【0069】
[0078]一実施形態では、無線通信装置600は、パッド106に面する保持リング120の表面に配置されうる、あるいはパッド106に面する保持リング120の表面を画定しうる。あるいは、無線通信装置600は、パッド106に面する保持リング120の表面から離れた、保持リング120内の別の場所に配置されうる。無線通信装置600と質問器601は、研磨プロセス中に近距離無線通信が可能になるほど近くに配置されうる。したがって、例えば上述したセンサなどの一または複数のセンサを保持リング120内に組み込むことは有益でありうる。
【0070】
[0079]一実施形態では、保持リング120と無線通信装置600は、3D印刷プロセスによって製造されうる。3D印刷プロセスにより、保持リング120と無線通信装置600を同時に製造することが可能になりうる。あるいは、保持リング120の3D印刷中にボイドを維持することができ、続いて予め製造された無線通信装置をボイド内へ挿入することができる。特定の実施形態では、無線通信装置600は、研磨システム100を通して、研磨ヘッド108の回転に関する処理データを提供しうる。また、例えば可撓性膜132を含むパッド106、プラテン102、及び研磨ヘッド108等の適切に構成された構成要素が各々研磨システム100に設置されている場合を除き、研磨システム100の動作を「ロック」するために保持リング100と無線通信装置600を用いることができると考えられる。例えば温度、導電性、圧力、応力、及び音響の感知等の他の研磨処理パラメータの監視および感知も、保持リング120に配置された無線通信装置600によって検出されうる。
【0071】
[0080]図9は、本書に記載の実施形態に係る、無線通信装置600を組み込んだ可撓性膜132とプラテン102を示す部分断面図である。可撓性膜132は概して、研磨中、その上に基板110を固定して、基板110をパッド106へ押し付けるように構成される。可撓性膜132は概して、研磨プロセスの間、圧力勾配を利用して基板110をその上に結合させ、基板110の好ましくない動きを防止する。特定の実施形態では、可撓性膜132は、必要に応じて可撓性膜132を交換しやすくするために、研磨ヘッド108に取り外し可能に結合させることができる。
【0072】
[0081]一実施形態では、無線通信装置600は、チャンバ122a、122bのいずれか、あるいは両方を画定する可撓性膜132の表面に配置されうる、あるいは可撓性膜132の表面を画定しうる。あるいは、一または複数の無線通信装置600は、可撓性膜132の一部の内部に配置されうる。したがって、可撓性膜132は、パッド106及びプラテン102に押し付けられている基板110の裏面に隣接し、そのすぐ近くに配置される。無線通信装置600及び質問器601は、研磨プロセス中に近距離無線通信が可能になるほど近くに配置されうる。したがって、例えば上述したセンサなどの一または複数のセンサを可撓性膜132内に組み込むことは有益でありうる。
【0073】
[0082]一実施形態では、可撓性膜132と無線通信装置600は、3D印刷プロセスによって製造することができる。3D印刷プロセスにより、可撓性膜と無線通信装置600とを同時に製造することが可能になりうる。この実施形態では、無線通信装置600は全体的に又は部分的に、可撓性膜132内に配置されうる。この実施例では、無線通信装置600が、可撓性膜132の屈曲を許容するのに適切な度合いの可撓性を呈しうると考えられる。あるいは、可撓性膜132の3D印刷中にボイドを維持することができ、続いて予め製造された無線通信装置をボイド内へ挿入することができる。
【0074】
[0083]保持リング120内に配置された無線通信装置と同様に、無線通信装置600は、研磨システム100を通して、可撓性膜132を含む研磨ヘッド108の回転に関する処理データを提供しうる。別の実施形態では、無線通信装置600は、可撓性膜132の加圧及び減圧サイクルに関する処理データを提供しうる。また、例えば可撓性膜132を含むパッド106、プラテン102、及び研磨ヘッド108等の適切に構成された構成要素が各々研磨システム100に設置されている場合を除き、研磨システム100の動作を「ロック」するために可撓性膜132及び無線通信装置600を用いることができると考えられる。上述したように、無線通信装置600を組み込んだ可撓性膜132は特に、基板110に加わる圧力データの監視及び感知を提供するのに有用でありうる。例えば温度、導電性、応力、及び音響の感知等の他の研磨処理パラメータの監視および感知も、可撓性膜132に配置された無線通信装置600によって実施されうる。
【0075】
[0084]図8及び9の実施形態を組み合わせて、保持リング120と可撓性膜132の両方の内部に配置された無線通信装置600を有する研磨システム100を提供することが可能であると考えられる。一般に、無線通信装置600は、研磨システム100内部の異なる位置で同じ処理パラメータを感知するように構成されうる、あるいは、無線通信装置600は、異なる処理パラメータを感知するように構成されうる。更に、無線通信装置600は、研磨ヘッド108の他の構成要素、例えば3D印刷構成要素として製造することができる。加えて、保持リング120又は可撓性膜132のいずれかに結合された無線通信装置600は、プラテン102内に固定配置されうる質問器601と通信しうる。質問器601によって受信された信号はコントローラ612によって解析され得、保持リング120及び/又は可撓性膜132は、研磨ヘッド108から取り外されうる。例えば、無線通信装置600からの信号が、保持リング120及び/又は可撓性膜132の処理性能が不十分であることを示す場合、保持リング120及び/又は可撓性膜132が交換されうる。あるいは、保持リング120及び/又は可撓性膜132が研磨ヘッド108で使用するように構成されていない場合、コントローラ612は、これらの非適合性を示すことができ、これらを適切に構成された構成要素と交換することができる。
【0076】
[0085]無線通信装置600は一般に、ミリ秒以上のデータ転送速度でデータを収集するように構成される。したがって、処理パラメータのデータを検出し送信するのに好適な時定数は、無線通信装置600の利点でありうる。時定数の改善は、特定の実施形態において検出されるパラメータに対する無線通信装置600の物理的位置からもたらされうる。したがって、研磨プロセスを改善するために、リアルタイムのパラメータの感知が実施され、コントローラ612に伝達されうる。
【0077】
[0086]加えて、無線通信装置600は、連続的にあるいは断続的に動作可能である。例えば、無線通信装置600がパッド200内部に配置されている場合、無線通信装置600は、さまざまな処理パラメータを連続的に感知するように構成されうる。あるいは、無線通信装置600は、基板が無線通信装置600に隣接した領域において研磨される場合に、処理パラメータを検出するように、断続的に動作可能である。同様に、保持リング120又は可撓性膜132に結合された無線通信装置600は、連続的にあるいは断続的に動作可能である。コントローラ612は、近接度センサ(図示せず)等に結合されていてよく、近接度センサは、質問器601に対する研磨ヘッド108の位置を決定しうる。近接度センサは、研磨ヘッドが質問器601による伝達に好適な領域内に位置しているときに、コントローラ612へ信号を供給しうる。コントローラ612は、質問器601に、無線通信装置600と質問器601との間の信号送信を開始させうる。研磨パッド108(及び保持リング120又は可撓性膜132のいずれかに結合された無線通信装置600)が質問器601との通信に適切でない位置に位置している場合、近接度センサはコントローラ612へ合図を送ることができ、コントローラ612は、質問器601からの信号送信及び/又は受信を終了しうる。
【0078】
[0087]複数の無線通信装置600を用いた実施形態では、質問器601は、複数の無線通信装置600と通信して、コントローラ612を介して研磨を連係するように構成されうる。あるいは、複数の質問器を用いることができる。この実施形態では、単一の無線通信装置を単一の質問器に通信可能に結合させうる。任意の数の無線通信装置と質問器を用いて、研磨プロセスの監視及び感知を改善することが可能と考えられる。複数の無線通信装置及び質問器が用いられる場合、さまざまな波長フィルタ及び/又は電磁波シールド装置を研磨システム内に組み込んで、無線通信装置及び/又は質問器の間での好ましくないクロストークを低減させる又はなくすことができる。
【0079】
[0088]図10は、本書に記載の一実施形態に係る、RFIDタグを有する研磨パッドを製造する方法1000を示す図である。以下に記載される図10及び図11の実施形態は、研磨パッドの付加製造を対象としているが、この実施形態を、特に、例えば保持リング及び可撓性膜などの他の研磨システム構成要素にも適用可能であると考えられる。更に、例えば鋳造、及び成形等の他の製造プロセスを用いて、内部にRFIDタグが配置されたパッドを形成することが可能である。
【0080】
[0089]工程1010において、研磨パッドの第1の部分が印刷される。第1の部分に好適な材料には、図2に関して参照したものが含まれうるが、一般には、基板を研磨するように構成されたポリマー材料が含まれる。例えば3D印刷プロセスなどの印刷プロセスを、図12を参照しながらより詳しく説明する。研磨パッドの第1の部分は、ベース層又はパッド特徴の組み合わせであってよい。
【0081】
[0090]工程1020において、例えばRFIDタグ等の無線通信装置600が第1の部分に印刷される。RFIDタグを印刷するのに好適な材料は一般に、導電性材料又は半導電性材料を含む。導電性及び/又は半導電性ポリマー材料の例には、非限定的に、数ある中でも、ポリ(フルオレン)、ポリ(フェニレン)、ポリ(ピレン)、ポリ(アズレン)、ポリ(ナフタレン)、ポリ(アセチレン)、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリ(ピロール)、ポリ(カルバゾール)、ポリ(インドール)、ポリ(アゼピン)、ポリ(アニリン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)、及びポリ(p-フェニレンスルフィド)材料を含み、これらの組み合わせ及び混合物を含む。加えて、例えば好ましい導電又は半導電特性のナノ粒子を含有するインク等の材料も用いることができる。例えば、銀又は金のナノ粒子を用いて導電性インクを形成することができる、又はシリコンのナノ粒子を用いて半導電性インクを形成することができる。前述したナノ粒子は、上述したポリマー材料内に組み込むことができる、あるいは他の好適な材料とともに用いることができる。他の実施形態では、付加製造プロセス(3D印刷)又はスクリーン印刷プロセスによって金属材料を堆積させることによって、RFIDタグの様々な部分を印刷することができる。
【0082】
[0091]工程1030において、研磨パッドの第2の部分が、RFIDタグの上及び周囲に印刷される。研磨パッドの第2の部分は、研磨パッドの第1の部分の上にも印刷されうる。このため、RFIDタグは、研磨パッド内に全体的に又は部分的に封入されうる。一実施形態では、研磨パッドの第2の部分は、基板に接触し、研磨するように構成されうる。別の実施形態では、研磨パッドの第1の部分が、基板に接触し、研磨するように構成されうる。
【0083】
[0092]図11は、本書に記載の一実施形態に係る、RFIDタグ等の無線通信装置600を組み込んだ研磨パッドを製造する方法1100を示す図である。工程1110において、内部に凹部又はボイドが形成された研磨パッドの第1の部分が印刷されうる。凹部は、パッド材料がほぼ存在しない、第1の部分の一領域であってよい。凹部は、予め製造されたRFIDタグを収容するために適切な寸法でサイズ設定されうる。
【0084】
[0093]工程1120において、予め形成されたRFIDタグが、第1の部分内に形成された凹部内に挿入されうる。RFIDタグは、タグ基板上に形成されうる、あるいは凹部内の第1の部分に圧入される、糊付けされる、接着される、又はそうでなければ機械的に結合されうる。工程1130において、研磨パッドの第2の部分がRFIDタグの上及び周囲に印刷されうる。必要に応じて、あらかじめ製造されたRFIDタグは封入され、パッドの第1及び第2の部分内に配置されうる。
【0085】
[0094]図10及び図11に関して記載される実施形態では、タグ印刷プロセス及び凹部形成プロセスは、最終的に形成されるパッドの圧縮性を考慮しうる。RFIDタグが一般に、第1及び第2のパッド部分の材料とは異なる機械特性及び動的特性を有しうる材料から形成されるため、パッド全体の機械特性及び動的特性がより均一になるように、RFIDタグ又はパッドの一部に様々な微細構造要素を組み込むことができると考えられる。例えば配線等の様々な他の構成要素も研磨パッドの中に一体的に製造することが可能であると考えられる。ある実施形態では、RFIDタグの下及び/又は上に配置された付加材料の層の組成及び/又は特性は、パッド全体の機械特性及び動的特性が均一になるように調節される。つまり、研磨パッドの局所領域内でのRFIDタグの存在は、本書に記載の付加製造プロセスを使用して堆積される材料及び/又は材料構造を調節することによって、RFIDタグの下、上、又はRFIDタグに隣接する材料の材料特性を調節することによって、補われる。したがって、付加製造プロセスを使用することによって形成され、内部に一または複数のRFIDタグが配置されたパッド、膜、保持リング、及び他の構造は、一または複数のRFIDタグが形成されたデバイス内に配置されていたとしても、機械特性及び動的特性が更に均一になりうる。
【0086】
[0095]図12は、本書に記載の実施形態に係る、研磨パッド及び他のCMP装置を製造するための3D印刷装置1200の概略断面図である。以下に記載される特定例は、例えば研磨パッド200、300、400、及び500等の研磨パッドを参照したものであるが、例えば保持リング(すなわち、保持リング120)及び可撓性膜(すなわち、可撓性膜132)等の他のCMP装置も3D印刷プロセスによって製造可能であると考えられる。一実施形態では、研磨パッド200を支持体1202に印刷することができる。研磨パッド200は、CAD(コンピュータ支援設計)プログラムから液滴吐出プリンタ1206によって形成される。液滴吐出プリンタ1206及び支持体1202は、印刷プロセス中に相対的に移動しうる。
【0087】
[0096]液滴吐出プリンタ1206は一般に、前駆体を分注するためのノズルを有する一または複数のプリントヘッドを含む。前駆体は、例えば液体又は粉末の形態等の様々な形態で供給されうる。図示した実施形態では、液滴吐出プリンタ1206は、第1のノズル1210を有する第1のプリントヘッド1208と、第2のノズル1212を有する第2のプリントヘッド1214とを含む。第1のノズル1210は、例えば軟質又は弾性材料等の第1の材料の液体前駆体を分注するように構成されていてよく、第2のノズル1212は、例えば硬質材料等の第2の材料の液体前駆体を分注するのに使用されうる。別の実施形態では、ヘッド1208、1214及びノズル1210、1212は、流動性の、あるいは液状の前駆体を流して所望の装置の形成を可能にするために、ポリマー前駆体を加熱するように構成されうる。
【0088】
[0097]他の実施形態では、液滴吐出プリンタ1206は、2つを上回る材料で研磨パッドを形成するために、2つを上回るプリントヘッドを含みうる。例えば、無線通信装置600等のRFIDタグの印刷に関連する実施形態では、第1のノズル1210は、タグの導電性構成要素の、導電性又は半導電性材料のポリマー前駆体を分注するように構成されうる。第2のノズル1212は、非導電性のタグ構成要素を印刷するために、非導電性材料のポリマー前駆体を分注するように構成されうる。前駆体は、選択された場所又は領域に分注され、研磨パッド200が形成されうる。これらの選択された場所はともに、ターゲット印刷パターンを形成し、液滴吐出プリンタ1206を制御する電子コントローラ1204(例:コンピュータ)によって後に読み取られるCA互換性ファイルとして保存されうる。
【0089】
[0098]本書で説明している3D印刷プロセスは、他の3D堆積又は3D印刷のプロセスの中でも特に、ポリジェット堆積、インクジェット印刷、熱溶解積層(fused deposition modeling)、バインダ噴射、粉末ベッド溶解、選択的レーザ焼結、ステレオリソグラフィ、バット光重合デジタルライト処理、シート積層、指向性エネルギー堆積を含むが、それらに限定されるわけではない。
【0090】
[0099]3D印刷の後に、研磨パッドは硬化によって固化されうる。硬化は、印刷された研磨パッドを硬化温度に加熱することによって実施されうる。あるいは、硬化は、印刷された研磨パッドを紫外線源によって発生した紫外線を照射することによって実施されうる。
【0091】
[00100]3D印刷は、異なる材料、及び/又は異なる材料の組成から形成される研磨パッドを製造するための便利で高度に制御可能なプロセスを提供する。例えば、3D印刷により、例えばRFIDタグ等のNFC装置を効率良く、また高いコスト効率で研磨パッドに組み込むことが可能になる。
【0092】
[00101]例えば、研磨パッド200は、2つ以上の材料の混合物から形成されうる。この実施形態では、パッド及びパッド特徴は、一または複数の第1の材料から形成され得、パッド内に一体的に配置された無線通信装置600は、一または複数の第2の材料から形成されうる。一実施形態では、一または複数の第1の材料は主に導電性ではないが、一または複数の第2の材料は主に導電性又は半導電性である。この実施形態では、パッド200と研磨特徴204、206は、第1のプリントヘッド1208を介して第1のノズル1210から放出された第1の材料液滴の混合物で形成されうる。無線通信装置(ここでは図示されていないが、図6により詳細に示される)は、第2のプリントヘッド1214を介して第2のノズル1212から放出される第2の材料液滴の混合物で形成されうる。プリントヘッド1210は最初に、研磨特徴204、206に対応するピクセルに位置合わせされ、所定のピクセルに液滴を分注しうる。プリントヘッド1212は次に、無線通信装置に対応するピクセルに位置合わせされ、所定のピクセルに液滴を分注しうる。この結果、研磨特徴204、206及び無線通信装置は、連続プロセスで形成されうる。研磨特徴204、206及び無線通信装置600は、3D印刷装置1200の設計によっては同時に形成することも可能と考えられる。
【0093】
[00102]研磨特徴204、206の特性は、一または複数の第1の材料の比率及び/又は分布に従って調節されうる、あるいは調整されうる。無線通信装置600は、一または複数の第2の材料の比率及び/又は分布に従って形成されうる。一実施形態では、研磨特徴204、206の組成は、第1のノズル1210から放出される液滴のサイズ、場所、速さ、及び/又は密度を選択することによって制御される。同様に、無線通信装置の組成は、第2のノズル1212から放出される液滴のサイズ、場所、速さ、及び/又は密度を選択することによって制御される。したがって、本開示の実施形態は、複数の材料で研磨パッドを形成することを包含し、この材料を用いて、内部に無線通信装置が配置された研磨パッドを製造することができると考えられる。
付加製造プロセスの実施例
【0094】
[00103]一実施形態では、3D印刷を用いて、本書に記載の研磨パッド、保持リング、可撓性膜、及び他のCMP研磨装置の構成要素を製造することができる。一実施形態では、3Dオブジェクトを形成する方法は、3Dオブジェクトの全ての層に対して、構成要素のCADモデルを使用し、また構成要素についての情報をマッピングするのに使用されるスライスアルゴリズムを使用することによって実施されうる。オブジェクトの層は、粉末ベッドの表面上に粉末を分配することによって形成されうる。その後、選択されたバインダー材料が堆積され、これにより、オブジェクトが形成される領域の粒子が選択的に接合されうる。次の粉末層が形成されうるように、粉末ベッドと製造される構成要素を支持するアクチュエータ(例:ピストン)が下げられる。各層が形成された後に、プロセスは繰り返され、その後オブジェクトの一部を完成させるために最後の硬化プロセス(例えば、紫外線照射、又は熱処理)が行われる。3D印刷は、材料組成の局所的制御を行うことができるため、本書に記載の方法で、微細構造、及び表面形状、さまざまな(及び以前には得られなかった)形状寸法を達成することができる。
【0095】
[00104]一実施形態では、本書に記載の研磨パッドは、コンピュータレンダリングデバイス又はコンピュータディスプレイデバイスによって読み取り可能なデータ構造で表されうる。図12に、一実施形態に係る、コンピュータ可読媒体を有するコンピュータシステム(すなわち、電子コントローラ1204)の概略図を示す。コンピュータ可読媒体は、研磨パッドを表すデータ構造を含有しうる。データ構造は、コンピュータファイルであってよく、一または複数の構成要素の構造、材料、形状、物理特性、又は他の特性についての情報を含有しうる。データ構造はまた、コンピュータレンダリングデバイス又はコンピュータディスプレイデバイスの選択された機能性を連動させる例えばコンピュータで実行可能なコード又はデバイス制御コード等のコードも含有しうる。データ構造は、コンピュータ可読媒体に記憶されうる。コンピュータ可読媒体は、例えば磁気メモリ又はいずれかの便利な物理記憶媒体等の物理記憶媒体を含みうる。物理記憶媒体は、コンピュータスクリーン上にデータ構造によって表される構成要素をレンダリングするコンピュータシステム、あるいは例えば3Dプリンタ等の付加製造デバイスであってよい物理レンダリングデバイスによって読み取り可能であってよい。
【0096】
[00105]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12