(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】ガス流システム
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
C23C14/34 M
(21)【出願番号】P 2021562889
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 US2020026468
(87)【国際公開番号】W WO2020219253
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-21
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ミラー キース エイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェイ ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】エレンスタイン アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】マゾッコ ジョン ジェイ
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-136756(JP,A)
【文献】米国特許第05922133(US,A)
【文献】特開2014-116059(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0262155(US,A1)
【文献】特開2017-036494(JP,A)
【文献】特開平09-143709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
C23C 16/00-16/56
H01J 37/34
H01L 21/203
H01L 21/205
H01L 21/285
H01L 21/363
H01L 21/365
B01J 3/00-3/08
B01J 4/00-4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流源に流体的に結合可能な1つまたは複数のガス入口と、
1つまたは複数のガス出口と、
前記1つまたは複数のガス入口および前記1つまたは複数のガス出口に流体的に結合されたガス流領域と、
前記1つまたは複数のガス出口に流体的に結合された低圧領域と、
第1の板と第2の板との間の間隙を介して前記ガス流領域に流体的に結合された高圧領域
であって、前記第1の板が、前記ガス流領域を前記高圧領域から分離している、
高圧領域と、
前記高圧領域に流体的に結合されたL字経路と、
前記L字経路に流体的に結合された送り管と、
前記送り管に流体的に結合された圧力ゲージとを備え、前記圧力ゲージが、前記高圧領域の圧力を測定するように構成されている、
ガス流システム。
【請求項2】
前記間隙が、前記第1の板の底端と前記第2の板の頂面との間に形成され、前記第2の板が、前記高圧領域を前記低圧領域から分離している、請求項1に記載のガス流システム。
【請求項3】
前記1つまたは複数のガス入口を介して前記ガス流領域に流体的に結合された前記ガス流源と、
前記低圧領域に流体的に結合された真空ポンプとをさらに備え、前記真空ポンプが、前記低圧領域で低圧を維持するように構成されている、
請求項1に記載のガス流システム。
【請求項4】
前記ガス流源からのガスの流量および前記真空ポンプ
が、前記高圧領域と前記低圧領域との間で圧力勾配を維持するように制御されている、請求項3に記載のガス流システム。
【請求項5】
前記ガス流源によって供給されるプロセスガスが、アルゴンガス(Ar)を含む、請求項3に記載のガス流システム。
【請求項6】
前記ガス流源によって供給されるプロセスガスが、窒素ガス(N
2
)または酸素ガス(O
2
)を含む、請求項3に記載のガス流システム。
【請求項7】
前記第2の板に開孔が配置され、前記第2の板が、前記高圧領域を前記低圧領域から分離する上部パネルであり、前記開孔が、前記低圧領域および前記高圧領域を流体的に結合している、請求項1に記載のガス流システム。
【請求項8】
ガス流システムであって、
ガス流源、
前記ガス流源に流体的に結合された1つまたは複数のガス入口、
1つまたは複数のガス出口、
前記1つまたは複数のガス入口および前記1つまたは複数のガス出口に流体的に結合されたガス流領域、
前記1つまたは複数のガス出口に流体的に結合された低圧領域、ならびに
第1の板と第2の板との間の間隙を介して前記ガス流領域に流体的に結合された高圧領域を備え、前記第1の板が、前記ガス流領域を前記高圧領域から分離している、ガス流システムと、
前記高圧領域に流体的に結合されたL字経路と、
前記L字経路に流体的に結合された送り管と、
前記送り管に流体的に結合された圧力ゲージであって、前記高圧領域の圧力を測定するように構成されている、圧力ゲージと、
前記低圧領域に配置された可動基板支持体であって、運動経路に沿って動くように構成されている、可動基板支持体と
を備える処理システム。
【請求項9】
前記ガス流システムが、前記低圧領域に流体的に結合された真空ポンプをさらに備え、前記真空ポンプが、前記低圧領域で低圧を維持するように構成されている、請求項
8に記載の処理システム。
【請求項10】
前記ガス流源からのガスの流量および前記真空ポンプの動作が、前記高圧領域と前記低圧領域との間で圧力勾配を維持するように制御されている、請求項
9に記載の処理システム。
【請求項11】
前記可動基板支持体が、
支持構造であって、
基板支持体表面、
前記基板支持体表面を取り囲むリング、および
ハローを備える支持構造と、
前記支持構造に接続されたロボットアームと、
前記ロボットアームに接続されたロボットアクチュエータとを備え、前記ロボットアクチュエータが、前記ロボットアームおよび前記基板支持体表面を前記運動経路に沿って動かすように構成されている、請求項
8に記載の処理システム。
【請求項12】
前記間隙が、前記第1の板の底端と前記第2の板の頂面との間に形成され、前記第2の板が、前記高圧領域を前記低圧領域から分離している、請求項8に記載の処理システム。
【請求項13】
前記可動基板支持体の一部分が、前記運動経路のいずれの部分に沿っても、前記ガス入口のうちの少なくとも1つまたは前記ガス出口のうちの少なくとも1つを覆わない、請求項
8に記載の処理システム。
【請求項14】
ガス流システムであって、
ガス流源、
前記ガス流源に流体的に結合された1つまたは複数のガス入口、
1つまたは複数のガス出口、
前記1つまたは複数のガス入口および前記1つまたは複数のガス出口に流体的に結合されたガス流領域、
前記1つまたは複数のガス出口に流体的に結合された低圧領域、
間隙を介して前記ガス流領域に流体的に結合された高圧領域
、
前記高圧領域に流体的に結合されたL字経路、
前記L字経路に流体的に結合された送り管、ならびに
前記送り管に流体的に結合された圧力ゲージであって、前記高圧領域の圧力を測定するように構成されている、圧力ゲージを備えるガス流システムと、
可動基板支持体であって、
支持構造であり、
基板支持体表面、
前記基板支持体表面を取り囲むリング、および
ハローを備える支持構造、
前記支持構造に接続されたロボットアーム、ならびに
前記ロボットアームに接続されたロボットアクチュエータを備え、前記ロボットアクチュエータが、前記ロボットアームおよび前記基板支持体表面を運動経路に沿って動かすように構成されている、可動基板支持体と、
開孔が貫通する上部パネルであって、前記高圧領域を前記低圧領域から分離し、前記開孔が、前記高圧領域を前記低圧領域に流体的に結合し、前記間隙が、前記上部パネルと側板との間に形成され、前記側板が、前記ガス流領域を前記高圧領域から分離している、上部パネルと、
1つまたは複数のチャンバ壁と、
チャンバ底部とを備え、内部体積が、前記上部パネル、1つまたは複数のチャンバ壁、および前記チャンバ底部によって少なくとも部分的に囲まれ、前記可動基板支持体が前記内部体積内に配置され、前記内部体積が前記低圧領域を収容している、
処理チャンバ。
【請求項15】
前記間隙が、前記側板の底端と前記上部パネルの頂面との間に形成されている、請求項
14に記載の処理チャンバ。
【請求項16】
前記ガス流システムが、前記低圧領域に流体的に結合された真空ポンプをさらに備え、前記真空ポンプが、前記低圧領域で低圧を維持するように構成されている、請求項14に記載の処理チャンバ。
【請求項17】
前記ガス流源からのガスの流量および前記真空ポンプの動作が、前記高圧領域と前記低圧領域との間で圧力勾配を維持するように制御されている、請求項16に記載の処理チャンバ。
【請求項18】
前記可動基板支持体の一部分が、前記運動経路のいずれの部分に沿っても、前記ガス入口のうちの少なくとも1つまたは前記ガス出口のうちの少なくとも1つを覆わない、請求項
14に記載の処理チャンバ。
【請求項19】
前記運動経路がほぼ直線である、請求項
14に記載の処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、装置に関し、より詳細には、ガス流システムに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)は、トランジスタ、キャパシタ、およびレジスタなどの百万個以上の微小電子デバイスを含むことができる。現代のICは、処理チャンバ内でスパッタリング堆積などの多数のステップを使用して製造される。スパッタリング堆積とは、スパッタリングによる薄膜堆積の物理的気相堆積(PVD)方法である。これは、ターゲットからシリコンウエハなどの基板上へ材料を放出することを伴う。ターゲットから放出されたスパッタリング原子は、典型的には最大数十eVまでの幅広いエネルギー分布を有する。スパッタリングされたイオンは、ターゲットから直線で弾道的に飛行し、処理チャンバ内の基板、処理チャンバの壁、または処理チャンバの他の構成要素に強く衝突することができる。
【0003】
スパッタリングは、IC処理において様々な材料の薄膜を堆積させるために、半導体産業で広く使用されている。光学応用例の場合、ガラス上の薄い反射防止コーティングもスパッタリングによって堆積される。スパッタリングは、使用される基板温度が低いため、薄膜トランジスタのためのコンタクト金属を堆積させるのに理想的な方法である。別のよく知られたスパッタリングの応用例は、2重ガラス窓アセンブリで使用されるガラス上の低放射率コーティングである。このコーティングは、銀および酸化亜鉛、酸化スズ、または二酸化チタンなどの金属酸化物を含有する多層である。
【0004】
ただし、ターゲットへのプロセスガスの供給のために高いガス圧力が必要であるが、所望の膜の化学量論および完全性を維持するために、基板の表面では低圧を維持しなければならない。当技術分野における現在のガス流システムは、ターゲットにおいて高いガス圧力を提供するように設計されているが、基板では低いガス圧力も提供するように装備されていない。むしろ、当技術分野における現在のガス流システムは、スパッタリングからの所望の膜成長の妨げになる高いガス圧力を基板でも維持する。加えて、多くのガス流システムは、非常に高圧で維持されており、圧力を抜くための容易な方法はなく、高いプロセスガス圧力によって引き起こされる応力のため、ガス流システムの構成要素に構造的損傷が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、処理チャンバの一部分で高圧を維持しながら、同時に同じチャンバの異なる部分で低圧を維持することができるガス流システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、ガス流源に流体的に結合可能な1つまたは複数のガス入口と、1つまたは複数のガス出口と、ガス流領域と、低圧領域と、第1の板と第2の板との間の間隙を介してガス流領域に流体的に結合された高圧領域とを含むガス流システムが提供される。低圧領域は、1つまたは複数のガス出口に流体的に結合される。ガス流領域は、1つまたは複数のガス入口および1つまたは複数のガス出口に流体的に結合される。第1の板は、ガス流領域を高圧領域から分離する。
【0007】
別の実施形態では、ガス流システムおよび可動基板支持体を含む処理システムが提供される。ガス流システムは、ガス流源、1つまたは複数のガス入口、1つまたは複数のガス出口、ガス流領域、低圧領域、および高圧領域を含む。低圧領域は、1つまたは複数のガス出口に流体的に結合される。1つまたは複数のガス入口は、ガス流源に流体的に結合される。ガス流領域は、1つまたは複数のガス入口および1つまたは複数のガス出口に流体的に結合される。高圧領域は、第1の板と第2の板との間の間隙を介してガス流領域に流体的に結合される。第1の板は、ガス流領域を高圧領域から分離する。可動基板支持体は、低圧領域に配置される。可動基板支持体は、運動経路に沿って動くように構成される。
【0008】
別の実施形態では、ガス流システムと、可動基板支持体と、開孔が貫通する上部パネルと、1つまたは複数のチャンバ壁と、チャンバ底部とを含む処理チャンバが提供され、内部体積は、上部パネル、1つまたは複数のチャンバ壁、およびチャンバ底部によって少なくとも部分的に囲まれている。ガス流システムは、ガス流源、1つまたは複数のガス入口、1つまたは複数のガス出口、ガス流領域、低圧領域、および高圧領域を含む。低圧領域は、1つまたは複数のガス出口に流体的に結合される。1つまたは複数のガス入口は、ガス流源に流体的に結合される。ガス流領域は、1つまたは複数のガス入口および1つまたは複数のガス出口に流体的に結合される。間隙は、ガス流領域を高圧領域に流体的に結合する。可動基板支持体は、支持構造と、支持構造に接続されたロボットアームと、ロボットアームに接続されたロボットアクチュエータとを含む。支持構造は、基板支持体表面と、基板支持体表面を取り囲むリングと、ハローとを含む。ロボットアクチュエータは、ロボットアームおよび支持構造を運動経路に沿って動かすように構成される。上部パネルは、高圧領域を低圧領域から分離する。間隙は、上部パネルと側板との間に形成され、側板は、ガス流領域を高圧領域から分離する。開孔は、高圧領域を低圧領域に流体的に結合する。可動基板支持体は、内部体積に配置される。内部体積は、低圧領域を収容する。
【0009】
ターゲット付近の高圧領域は、所望の材料が基板にスパッタリングされるように、プロセスガスとターゲットとの間の適切な相互作用にとって所望の圧力を可能にする。基板付近の低圧領域は、所望の膜成長を妨げるプロセスガスと基板との間の望ましくない相互作用を防止する。
【0010】
本開示の上述した特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上記で簡単に要約した実施形態のより具体的な説明を得ることができ、実施形態のいくつかは、添付の図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうるため、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって本開示の範囲の限定であると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】一実施形態による処理プラットフォームの概略上面図である。
【
図1B】一実施形態による処理チャンバの等角上面側面図である。
【
図1C】一実施形態によるチャンバ本体の等角上面側面図である。
【
図1D】一実施形態による
図1Bの処理チャンバの概略側面図である。
【
図2A】一実施形態による半導体特徴内の材料の堆積を示す図である。
【
図2B】一実施形態による半導体特徴内の材料の堆積を示す図である。
【
図3A】一実施形態によるソース内に設置されるシールドキットの部分断面図である。
【
図3B】一実施形態による側板の底端と上部パネルの頂面との間の間隙内に形成された蛇行経路の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするために、可能な場合、これらの図に共通の同一の要素を指すために、同一の参照番号を使用した。さらなる記載がなくても、一実施形態の要素および特徴を他の実施形態にも有益に組み込むことができることが企図される。
【0013】
本明細書に提供する本開示の実施形態は、プロセスチャンバの高圧領域で高圧を維持しながら、プロセスチャンバの低圧領域で低圧を維持するガス流システムを含む。どちらの領域も、ガス流領域に流体的に結合される。プロセスチャンバ部品間の間隙は、ガス流領域と高圧領域との間のガス流を可能にしながら、望ましくない堆積がガス流領域に到達することは可能にしない。真空ポンプが、プロセスガスと基板との間の望ましくない化学反応が最小になるように、基板が配置される低圧領域で低圧を維持する。高圧領域内のターゲットのプロセスガスは、ターゲットからの材料が基板表面へスパッタリングされるように、プロセスガスとターゲットとの間の所望の相互作用を可能にする。本明細書に提供する本開示の実施形態は、それだけに限定されるものではないが、スパッタリングプロセスチャンバ内のガス流システムにとって特に有用となりうる。
【0014】
本明細書では、「約」という用語は、公称値から±10%の変動を指す。本明細書に提供するいずれの値にも、そのような変動を包含することができることを理解されたい。
【0015】
図1Aは、一実施形態による処理プラットフォーム100の概略上面図を示す。図示のように、処理プラットフォーム100は、第1の移送チャンバ102および第2の移送チャンバ104と、第1の移送チャンバ102および第2の移送チャンバ104にそれぞれ位置決めされた伝達ロボット106、108と、第1の移送チャンバ102および第2の移送チャンバ104に配置された処理チャンバ110、112、114、116、118、130とを含む。第1の移送チャンバ102および第2の移送チャンバ104は、隣接する処理チャンバ110、112、114、116、118、130と連係する中央真空チャンバである。第1の移送チャンバ102および第2の移送チャンバ104は、通過チャンバ120によって分離されており、通過チャンバ120は、冷却または事前加熱チャンバを含むことができる。通過チャンバ120はまた、基板の取扱い中に、第1の移送チャンバ102および第2の移送チャンバ104が異なる圧力で動作しているとき、ポンプダウンまたは通気を行うことができる。たとえば、第1の移送チャンバ102は、約40ミリトルなど、約100ミリトル~約5トルで動作することができ、第2の移送チャンバ104は、約1×10
-7トルなど、約1×10
-5トル~約1×10
-10トルで動作することができる。
【0016】
第1の移送チャンバ102は、2つのガス抜きチャンバ124、2つのロードロックチャンバ128、化学気相堆積(CVD)または高速熱処理(RTP)チャンバ110、118、および通過チャンバ120に結合される。基板(図示せず)は、ロードロックチャンバ128を通って処理プラットフォーム100内へロードされる。たとえば、工場インターフェースモジュール132が存在する場合、人間の操作者または自動基板取扱いシステムから、1つまたは複数の基板、たとえばウエハ、ウエハのカセット、またはウエハの密閉ポッドを受け取るはずである。工場インターフェースモジュール132は、該当する場合、基板のカセットまたはポッドを開き、基板をロードロックチャンバ128に出し入れすることができる。処理チャンバ110、112、114、116、118、130は、移送チャンバ102、104から基板を受け取り、基板を処理し、基板を再び移送チャンバ102、104内へ伝達することを可能にする。
【0017】
処理チャンバ110、112、114、116、118、130の各々は、隔離弁によって移送チャンバ102、104から分離される。隔離弁は、処理チャンバが移送チャンバ102、104とは異なる真空レベルで動作することを可能にし、かつ処理チャンバ内で使用されているあらゆるガスが移送チャンバ102、104に導入されることを防止する。ロードロックチャンバ128もまた、隔離弁によって第1の移送チャンバ102から分離される。各ロードロックチャンバ128は、外部環境へ、たとえば工場インターフェースモジュール132へ開くドアを有する。通常動作の際、基板がロードされたカセットが、工場インターフェースモジュール132からドアを通ってロードロックチャンバ128内へ配置され、ドアが閉められる。次いで、ロードロックチャンバ128は、第1の移送チャンバ102と同じ圧力まで排気され、ロードロックチャンバ128と第1の移送チャンバ102との間の隔離弁が開かれる。第1の移送チャンバ102内の伝達ロボット106が定位置へ動かされ、1つの基板がロードロックチャンバ128から取り出される。ロードロックチャンバ128は、好ましくはエレベータ機構を装備しており、したがって1つの基板がカセットから取り出されると、エレベータはカセット内の基板のスタックを動かして、別の基板を伝達平面に位置決めし、したがってこの基板を伝達ロボット106によって位置決めすることができる。
【0018】
次いで、第1の移送チャンバ102内の伝達ロボット106は、基板が処理チャンバ位置と位置合わせされるように、基板とともに回転する。処理チャンバ110または118は、あらゆる有毒なガスが一掃されて、第1の移送チャンバ102と同じ圧力レベルになり、隔離弁が開かれる。次いで、伝達ロボット106は、基板を処理チャンバ110または118内へ動かし、そこで基板は伝達ロボット106から取り外される。次いで、伝達ロボット106は、処理チャンバ110または118から後退させられ、隔離弁が閉じられる。次いで、処理チャンバ110または118は、基板で指定のプロセスを実行するための一連の動作を行う。完了後、処理チャンバ110または118は、第1の移送チャンバ102と同じ環境に戻され、隔離弁が開かれる。伝達ロボット106は、処理チャンバ110または118から基板を取り出し、次いでその基板を別の動作のために別の処理チャンバ110もしくは118へ動かし、または基板のカセット全体が処理されたときは、処理プラットフォーム100から基板を取り出せるように、ロードロックチャンバ128内の元の位置に戻す。
【0019】
伝達ロボット106、108は、異なる処理チャンバ間で基板を支持しながら動かすロボットアーム107、109をそれぞれ含む。伝達ロボット106は、基板への材料の堆積のために、ガス抜きチャンバ124と処理チャンバ110、118との間で基板を動かす。
【0020】
第2の移送チャンバ104は、処理チャンバ112、114、116、および130のクラスタに結合される。処理チャンバ112、114、116、および130は、一実施形態によれば、材料を堆積させるための物理的気相堆積(PVD)チャンバである。CVD処理された基板は、通過チャンバ120を介して第1の移送チャンバ102から第2の移送チャンバ104へ動かされる。その後、伝達ロボット108が、処理に必要とされる材料の堆積およびアニーリングのために、処理チャンバ112、114、116、130の1つまたは複数の間で基板を動かす。
【0021】
図示しないが、複数の真空ポンプが、各移送チャンバおよび各処理チャンバと流体連結して、それぞれのチャンバ内の圧力を独立して調整するように配置される。これらのポンプは、装置においてロードロックチャンバから処理チャンバへ圧力を増大させる真空勾配を確立することができる。
【0022】
別法または追加として、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.によって製造された減結合プラズマ源チャンバ(DPS(商標)チャンバ)などのプラズマエッチングチャンバを、処理プラットフォーム100または別個の処理プラットフォームに結合して、基板表面をエッチングし、PVD金属堆積および/または堆積した金属のアニーリング後、未反応の金属を除去することができる。たとえば、コバルトおよびケイ素材料からアニーリングプロセスによってケイ化コバルトを形成するとき、エッチングチャンバを使用して、未反応のコバルト材料を基板表面から除去することができる。
【0023】
本明細書に記載するプロセスおよび装置に関連して、湿式エッチングチャンバなどの他のエッチングプロセスおよび装置を使用することもできる。
【0024】
プログラム可能コンピュータなどのコントローラ190が、処理プラットフォーム100に接続されて、ロボット106、108の動き、および様々な処理チャンバ110、112、114、116、118、130と2つの移送チャンバ102、104との間の基板の運動を制御する。コントローラ190は、中央処理装置(CPU)192、メモリ194、および支持回路196、たとえば入出力回路、電源、クロック回路、キャッシュなどを含むことができる。メモリ194は、CPU192に接続される。メモリ194は、非一時的コンピュータ可読媒体であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、または他の形態のデジタルストレージなどの1つまたは複数の容易に利用可能なメモリとすることができる。加えて、コントローラ190は単一のコンピュータとして示されているが、たとえば独立して動作する複数のプロセッサおよびメモリを含む分散システムとすることもできる。このアーキテクチャは、チャンバとの間の基板の動きの順序およびタイミングを制御するためのコントローラ190のプログラミングに基づいて、処理プラットフォーム100の様々な実施形態に適合可能である。加えて、コントローラ190はまた、温度、圧力など、処理チャンバ110、112、114、116、118、130および移送チャンバ102、104の各々における様々なプロセス変数を制御する。
【0025】
図1Bは、一実施形態による処理チャンバ112の等角上面側面図を示す。図示のように、処理チャンバ112は、ソースアセンブリ150およびチャンバ本体134を含む。ソースアセンブリ150は、チャンバ本体134から分離可能である。ソースアセンブリ150は、開孔148(
図1C)にアクセスするために、チャンバ本体134から取り外すことができる。ソースアセンブリ150は、処理チャンバ112の動作中にチャンバ本体134に固定される。
【0026】
図1Cは、一実施形態によるチャンバ本体134の等角上面側面図を示す。図示のように、チャンバ本体134は、チャンバ上面138、上部パネル142、可動基板支持体200(
図1D)、スロット136、傾斜部分144、および開孔148を含む。チャンバ本体134は、チャンバ本体134の上記のチャンバ上面138、チャンバ壁135、およびチャンバ底部137によって少なくとも部分的に囲まれた内部体積145(
図1D)を収容する。内部体積145は、
図3Aに後述するように、低圧領域324を含むことができる。スロット136は、チャンバ本体134の側面に配置されており、チャンバ本体の内外への基板の運動を可能にする。
【0027】
チャンバ上面138は、上部パネル142を含むことができる。上部パネル142は、一実施形態によれば、チャンバ上面138から分離可能である。分離可能な上部パネル142は、チャンバ本体134内に設置されたまま上部パネルを洗浄する必要なく、取り外された上部パネルのより容易な洗浄を可能にする。チャンバ上面138は開孔148を含む。チャンバ上面138は傾斜部分144を含み、傾斜部分は、開孔148を少なくとも部分的に取り囲む。チャンバ上面138、上部パネル142、および傾斜部分144はすべて、1つの固体の部品とすることができ、またはチャンバ上面138、上部パネル142、および傾斜部分144はすべて、別個の部品とすることができる。
【0028】
図1Dは、一実施形態による
図1Bの処理チャンバ112の概略側面図を示す。図示のように、ソースアセンブリ150は、複数のプーリガード152と、複数のプーリ191と、複数のベルト193と、複数のカソードアセンブリ312を密閉するソース154と、複数のターゲット電源195とを含む。複数のカソードアセンブリ312は各々、ターゲット188および磁石197を含む。ターゲット188の材料は、金属または半導体を含む。一実施形態によれば、ターゲット188の材料は、チタン(Ti)を含む。一実施形態によれば、ターゲット188の材料は、ケイ素(Si)を含む。ターゲット188は、金属、たとえば銅、アルミニウム、タンタル、コバルト、またはこれらの任意の合金を含むことができる。ターゲット188は、誘電体材料を含むことができる。ターゲット188は、複数のターゲット磁石197を含む。複数のターゲット磁石197は、固定の磁界強度とすることができ、各磁石197は、異なる磁界強度とするとすることができる。一実施形態によれば、ターゲット磁石197は電磁石であり、ターゲット電源195によって給電することができる。一実施形態によれば、ターゲット磁石197は永久磁石である。ターゲット電源195は、ソースアセンブリ150内またはソースアセンブリ外に配置することができる。給電されたターゲット磁石197は、電磁相互作用によってターゲット188のスパッタリングを引き起こし、下の開孔148を通じて、ターゲットからの材料を基板に堆積させる。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、ターゲット188は円筒形である。一実施形態によれば、ターゲット188は、ベルト193によってプーリ191に接続することができ、ターゲット188は、スパッタリング中にプーリによって回転させることができる。ターゲット188の回転の結果、ターゲット188からの材料が、下に位置決めされた基板へ、より均一に浸食する。プーリ191は、プーリガード152によって外部環境から保護される。プーリガード152は、処理チャンバ112の組立て、解体、または機能中の損傷からプーリ191を保護する。
【0030】
いくつかの実施形態では、スパッタリングプロセス中にガス流源351によってプロセスガスが提供され、プロセスガスの少なくとも一部は、スパッタリング材料と反応する。一実施形態では、プロセスガスは窒素ガス(N2)を含み、ターゲット188の材料はTiを含み、基板に堆積する材料は窒化チタン(TiN)を含む。一実施形態では、プロセスガスは酸素ガス(O2)を含み、ターゲット188の材料はTiを含み、基板に堆積する材料は酸化チタン(TiOx)を含む。一実施形態では、プロセスガスは窒素ガス(N2)を含み、ターゲット188の材料はSiを含み、基板に堆積する材料は窒化ケイ素(SiN)を含む。一実施形態では、プロセスガスは酸素ガス(O2)を含み、ターゲット188の材料はSiを含み、基板に堆積する材料は酸化ケイ素(SiO2)を含む。プロセスガスは、ヘリウム(He)またはアルゴン(Ar)などの中性ガスを含むことができる。中性ガスは、プロセスガスの所望の圧力を維持する。中性ガスが使用される場合、中性ガスは、ターゲットの材料との弾道的相互作用によって、ターゲット188からの材料をスパッタリングすることができる。
【0031】
傾斜部分144の上部面144Sは、X方向およびY方向に対して角度θをなしており、X方向およびY方向は、チャンバ上面138に対して実質的に平行である。角度θは、一実施形態によれば、約15°~約35°など、約0°超~約90°未満の範囲である。ターゲット188からの堆積スプレーは、角度θより大きい角度でのみ基板に堆積する。
図1Dに示すように、傾斜部分144の異なる部分は、θ
1およびθ
2などの異なる角度を有することができる。
【0032】
上部パネル142が存在する場合、開孔148および傾斜部分144は上部パネル142内に配置することができる。開孔148は、任意の所望の形状とすることができる。一実施形態によれば、開孔148は方形である。別の実施形態によれば、開孔148は砂時間形である。上部パネル142は、異なる堆積方法のために交換することができ、開孔148の形状、開孔148のサイズ、および傾斜部分144の角度θ、θ1、θ2は、所望の堆積プロセスによって変動する。チラーポンプ140が、供給配管系統131を介してチャンバ112へ水または別の流体を供給し、戻り配管系統139を介してチャンバ112から水または別の流体を供給する。チラーポンプ140は、上部パネル142へ水または別の流体を供給して、上部パネル142に冷却を提供し、上部パネル142を所望の温度で維持する。上部パネル142の温度は、約-20℃~約100℃で制御することができる。一実施形態では、上部パネル142はアルミニウム(Al)を含み、流体の冷却により、上部パネル142の過熱を防止し、堆積材料の剥離およびフレーキングを最小にする。チャンバ112には真空ポンプ141が接続され、真空ポンプ141は、望ましくない副生成物および排気を処理チャンバ112から除去する。
【0033】
図示のように、可動基板支持体200は、支持体アクチュエータ220、取付けフランジ221、支持体シャフト204、ロボットアクチュエータ222、ロボットアーム206、シャフト208、ロボットリスト210、および支持構造250を含む。可動基板支持体200は、内部体積145に配置される。支持体アクチュエータ220は、取付けフランジ221によってチャンバ底部137に取り付けられる。支持体アクチュエータ220は、支持体シャフト204に接続される。支持体アクチュエータ220は、支持体シャフト204を垂直に動かすように構成され、それにより可動基板支持体200の残り部分も垂直に動く。ロボットアクチュエータ222は、支持体シャフト204に取り付けられる。ロボットアーム206は、ロボットアクチュエータ222に接続される。ロボットアクチュエータ222は、ロボットアーム206を水平に動かすように構成される。シャフト208は、ロボットアーム206に接続される。シャフト208は、ロボットリスト210を支持する。ロボットリスト210は、支持構造250を支持する。支持体アクチュエータ220からの垂直運動とロボットアクチュエータ222の水平運動とを組み合わせることで、支持構造250を3次元空間において動かすことが可能になる。
【0034】
支持構造250に基板を配置することができる。伝達ロボット106、108は、スロット136を通じて、チャンバ112の外側からチャンバ112内へ基板を動かすように構成される。可動基板支持体200は、基板上への材料のスパッタリングのために、スロット136から開孔148付近へ基板を動かすように構成される。いくつかの実施形態では、スロット136は、基板上へのスパッタリングにとって理想的な垂直位置にはなく、可動基板支持体200が、堆積を始めるために、基板をスロット136の上下に動かす。堆積プロセス中に支持構造250を水平および/または垂直に動かすことによって、基板のうち開孔148によって現在露出されていない様々な区域に到達することができる。
【0035】
図示のように、支持構造250は、基板支持体表面212、リング214、およびハロー216を含む。基板支持体表面212は、ロボットリスト210によって支持される。基板支持体表面212は、静電チャックで使用される任意の材料を含むことができる。一実施形態によれば、基板支持体表面212は、セラミック材料、たとえば酸化アルミニウムまたは窒化ホウ素を含む。基板支持体表面212は、金属、たとえばステンレス鋼を含むことができる。基板支持体表面212は、基板を支持構造250に固定する。リング214は、基板支持体表面212を取り囲んでおり、リングは、ロボットリスト210に接続される。リング214は、たとえばステンレス鋼、チタン、低熱膨張係数(CTE)合金、またはアルミニウムベリリウム合金などの金属を含むことができる。ハロー216は、リング214を少なくとも部分的に取り囲んでおり、ハローは、リング214に接続される。ハロー216は、たとえばステンレス鋼、チタン、低CTE合金、またはアルミニウムベリリウム合金などの金属を含む。ハロー216は、ハロー内の歪みを低減させるパターンまたは補強要素を含む。パターンまたは補強要素は、X字形または十字形などのハロー216内のくぼみとすることができる。ハロー216の寸法は、開孔148が支持構造250によって完全に塞がれるようになっている。ハロー216は、下の可動基板支持体200の他の構成要素への材料の望ましくない堆積を防止する。開孔148とハロー216とを組み合わせることで、チャンバ112内への堆積を防止しながら、それでもなお基板上への堆積を可能にする。
【0036】
支持構造250は、ヒータ(図示せず)、冷却装置(図示せず)、たとえば水冷却システム、または両方を含むことができる。一実施形態によれば、ヒータおよび/または冷却装置は、支持構造250および支持構造250に配置された基板の温度を約-20℃~約400℃の温度に制御する。一実施形態によれば、支持構造250は静電チャック(ESC)(図示せず)を含み、基板はESCに固定される。一実施形態によれば、ESCは、支持構造250に配置された基板に印加電圧を提供する。一実施形態によれば、支持構造250は、裏側ガス(図示せず)を提供するように構成されたポートを含み、裏側ガスは、基板へ提供される。一実施形態によれば、裏側ガスは、アルゴンガス(Ar)またはヘリウムガス(He)などの中性ガスを含むことができる。
【0037】
スパッタリング中、可動基板支持体200は、運動経路202に沿って基板を動かす。運動経路202は、途切れのない平滑な運動とすることができ、または運動経路は、支持構造250が静止している経路部分を含むことができる。一実施形態によれば、運動経路202は、
図1Dに示すように直線運動である。いくつかの実施形態によれば、運動経路202は、一方向、前後方向とすることができ、または複数回の通行を含むことができる。一実施形態によれば、運動経路202は、開孔148の周りの円形回転である。運動経路202は、基板支持体表面212が、運動経路の少なくとも一部分に対して開孔148の下に位置するようになっている。運動経路202は、基板支持体表面212が、運動経路の少なくとも一部分に対して開孔148の下に位置せず、ハロー216の少なくとも一部分が、運動経路の少なくとも一部分に対して開孔の下に位置するようになっている。
【0038】
図2Aは、一実施形態による半導体特徴251内の材料の堆積を示す。スパッタリング源252が、開孔148を通じて、材料スプレー254を半導体特徴251の方へスパッタリングする。
図2Aでは、半導体特徴251がスパッタリング源252の右に配置されており、半導体特徴の左側は上部パネル142によって覆われているため、堆積物256Rは半導体特徴の右側にのみ成長する。スパッタリング源252は、上記のターゲット188とすることができる。
【0039】
図2Bは、一実施形態による半導体特徴251内の材料の堆積を示す。スパッタリング源252が、開孔148を通じて、材料スプレー254を半導体特徴251の方へスパッタリングする。
図2Bでは、半導体特徴251がスパッタリング源252の左に配置されており、半導体特徴の左側が上部パネル142によって覆われているため、堆積物256Lは半導体特徴の左側にのみ成長する。どちらの場合も、半導体特徴251の底部に堆積する材料はほとんどまたはまったくない。スパッタリング源252は、上述したターゲット188とすることができる。
【0040】
図3Aは、一実施形態による上部パネル142上のソース154内に設置されたシールドキット302の部分断面図を示す。図示のように、シールドキット302は、上板402および複数の取付板410を含む。処理システム340は、ガス流システム350および可動基板支持体200(
図1D)を含む。上板402は、ソース154の上面304の下で、複数のカソード開口311の隣接する対同士の間に位置決めされる。上板402には、シールドキット302の上板402とソース154の上面304との間を封止する真空シール412が配置される。
【0041】
ソースアセンブリ150の複数のプーリ191およびプーリガード152(
図1Dに示す)は、複数の取付板410に固定される。複数のカソードアセンブリ312が、シールドキット302の内部体積314に設置される。ソース154の複数のカソード開口311は、取付板410の下で、取付板シール702によって真空封止される。側板406の上端704および底端706に、蛇行経路710が形成される。
【0042】
図示のように、ガス流システム350は、ガス流源351、1つまたは複数のガス入口320、1つまたは複数のガス出口322、ガス流領域323、低圧領域324、高圧領域325、間隙716、および真空ポンプ141を備える。1つまたは複数のガス入口320、1つまたは複数のガス出口322、および間隙716は、システムの様々な領域間の流れ区間である。1つまたは複数のガス入口320は、ガス流源351に流体的に結合可能である。一実施形態によれば、1つまたは複数のガス入口320は、ガス流源351に流体的に結合される。ガス流領域323は、1つまたは複数のガス入口320および1つまたは複数のガス出口322に流体的に結合される。一実施形態によれば、ガス流領域323は、ソース154と側板406との間に形成される。高圧領域325は、第1の板と第2の板との間の間隙716を通じて、ガス流領域323に流体的に結合される。第1の板は、たとえば側板406であり、第2の板は、たとえば上部パネル142である。
【0043】
高圧領域は、約1トル~約10トルの圧力で維持される。一実施形態によれば、圧力ゲージ149(
図1D)が送り管147に流体的に結合され、送り管は、L字経路146に流体的に結合され、L字経路は、高圧領域315に流体的に結合される。圧力ゲージ149は、高圧領域325の圧力を監視し、ガス流システム350のフィードバック制御を可能にする。ターゲット188からのスパッタリング材料がL字経路146に入った場合、材料は数回弾んでL字経路の壁に再堆積物を形成するが、これは圧力ゲージの機能の妨げになる圧力ゲージ149への堆積を生じない。一実施形態によれば、側板406は、ガス流領域323を高圧領域325から分離し、間隙716は、側板406の底端706と上部パネル142の頂面142Sとの間に形成される。低圧領域324は、1つまたは複数のガス出口322を通じて、ガス流領域323に流体的に結合される。低圧領域324は、約1×10
-4トル~約1×10
-10トルなど、可能な限り低圧で維持される。
【0044】
シールドキット302は、蛇行経路708、710、712を提供するように構成されて組み立てられた特有の部分を含む。ターゲット188からの材料が2回弾むまでに、蛇行経路708、710、712を通過するために残っている材料の量はごくわずかであると考えられる。蛇行経路708、710、712は、プロセスガス流のための経路を提供しながら、それと同時に蛇行経路を通るスパッタリング材料の動きを少なくとも部分的に防止する。蛇行経路708、710、および712は、上端704と取付板410との間の間隙714、底端706と上部パネル142との間の間隙716、および上板402と取付板410との間の間隙718を介して、ソース154の内面へのターゲット188からの材料の堆積をそれぞれ防止する。たとえば、ターゲット188からの材料は、蛇行経路712で弾み、取付板シール702の先端720でさらに弾む可能性がある。ターゲット188からの材料が2回弾むまでに、間隙718を通過するために残っている材料の量はごくわずかであると考えられる。したがって、蛇行経路708、710、および712によって、ソース154の内面は、ターゲット188からの材料の堆積から保護される。
【0045】
一実施形態によれば、上部パネル142は、高圧領域325を低圧領域324から分離し、可動基板支持体200は、低圧領域324に配置される。一実施形態によれば、1つまたは複数のガス入口320および1つまたは複数のガス出口322は、上部パネル142に配置される。一実施形態によれば、真空ポンプ141が、低圧領域324に流体的に結合され、真空ポンプは、低圧領域で低圧を維持するように構成されて動作する。一実施形態によれば、ガス流源351からのガスの流量および真空ポンプ141の動作は、高圧領域325と低圧領域324との間の圧力勾配(
図3AにPで示す。矢印は、最高圧力の区域から最低圧力の区域を指す)を維持する。内部体積314および高圧領域325のコンダクタンスの変化は、開孔148を横切る可動基板支持体200の動きによって生じ、これによって可動基板支持体200は、開孔148の一部分を塞ぐ。これらのコンダクタンスの変化は、真空ポンプ141およびガス流源351の動作によって管理される。ガス流領域323、高圧領域325、および低圧領域324の圧力は、プロセスガスの流量およびコンダクタンスによって制御される。プロセスガスのコンダクタンスは、領域を互いに分離する各流れ区間の断面積によって制御される。たとえば、高圧領域325およびガス流領域323の圧力は、間隙716の断面積によって制御され、間隙716の断面積は、間隙716内に収容されるプロセスガスのコンダクタンスを制御する。
【0046】
ガス流領域を取り囲む構成要素が高圧によって引き起こされる応力からの損傷を受け始めるほど、ガス流領域323の圧力が高くなりすぎることを防止するために、1つまたは複数のガス出口322は、低圧領域324内へのプロセスガスの流れを可能にし、ガス流領域の圧力を軽減する。1つまたは複数のガス出口322を通るプロセスガスの流量は、ガス出口の断面積によって制御される。ガス出口322のサイズは、プロセスガスの流量が約5sccm~約50sccmになるように設計される。ガス出口322が誤ったサイズである場合、そのガス流量は、自動流量制御弁または質量流量コントローラ(MFC)(図示せず)によって容易に制御されるには低くなりすぎる(約5sccm未満)。このようにして通気されるあらゆり余分なガスは、真空ポンプ141によって送り出すことができ、それにより低圧領域324で低圧を維持することができる。一実施形態によれば、低圧領域324および高圧領域325は、開孔148を通じて流体的に結合される。一実施形態によれば、可動基板支持体200の機能および運動中、可動基板支持体の一部分は、運動経路202のいずれの部分に沿っても、ガス入口320のうちの少なくとも1つまたはガス出口322のうちの少なくとも1つを覆わない。一実施形態によれば、可動基板支持体200の機能および運動中、可動基板支持体の一部分は、運動経路202のいずれの部分に沿っても、ガス入口320またはガス出口322のいずれかを覆わない。1つまたは複数のガス入口320および1つまたは複数のガス出口322は、上部パネル142内でソース154の隅部に配置することができる。
【0047】
図3Aに、真空ポンプ141を含む一実施形態に対するガス流システム350を通るプロセスガスの流れが示されている。プロセスガスは、ガス流源351から1つまたは複数のガス入口320を通ってガス流領域323内へ流れる(矢印330によって示す流れ)。プロセスガスの一部(矢印331によって示す流れ)は、間隙716を通って高圧領域325内へ流れる。しかし、プロセスガスの一部(矢印332によって示す流れ)は、1つまたは複数のガス出口322を通って低圧領域324内へ流れる。プロセスガス流(矢印332によって示す)は、ガス流領域323の通気によって生じる可能性があり、ガス流領域における望ましくない高圧の蓄積を防止することができる。プロセスガス流(矢印332によって示す)はまた、低圧領域324内へのプロセスガスの不規則な熱ゆらぎによって、またはガス流領域323と低圧領域との間の圧力差によって生じる可能性がある。いずれにせよ、真空ポンプ141はプロセスガスを圧送して、真空ポンプ内への流れ(矢印334によって示す)を引き起こし、プロセスガスを低圧領域324から除去して、低圧領域で所望の低圧を維持する。
【0048】
図3Bは、一実施形態による側板406の底端706と上部パネル142の頂面142Sとの間の間隙716に形成された蛇行経路710の拡大図を示す。蛇行経路710は、側板406の底端706と上部パネル142の頂面142Sとの間に形成されるチャネルである。この図では、チャネルはいかなる特徴も含まないが、スパッタリング材料が蛇行経路710全体を通過するのではなく、チャネルはスパッタリング材料が再堆積する追加の特徴を含む可能性もあることが企図される。これらの特徴は、上部パネルおよび側板406に配置される裂け目、傾斜部分、チャネル、トンネルなどを含むことができる。
【0049】
蛇行経路710は、ターゲット188からの材料が間隙716を介してソース154の内面に堆積することを防止する。たとえば、ターゲット188からのスパッタリング材料(280によって示す経路)は、蛇行経路710で弾んで、再堆積281を形成する可能性がある。ターゲット188からの材料が2回弾むまでに、間隙716を通過するために残っている材料の量はごくわずかであると考えられる。したがって、蛇行経路710は、ターゲット188からの材料の堆積からソース154の内面を保護する。しかし、少なくとも間隙716は、ガス流領域から高圧領域325へのプロセスガスの流れを可能にしながら、ターゲット188からの望ましくない堆積を阻止する。
【0050】
高圧領域325のプロセスガスは、ターゲット188の機能、したがって開孔148を通じた基板への適切な堆積を可能にする。たとえば、プロセスガスがArを含む場合、ターゲット188との弾道的相互作用により、基板へのターゲット188のスパッタリングが可能になる。プロセスガスがN2またはO2を含む場合、プロセスガスとターゲット188との間の化学的相互作用が、化学反応した材料の基板へのスパッタリングに寄与する。
【0051】
上述したように、ガス流システム350は、1つまたは複数のガス出口322によってガス流領域323に流体的に結合された低圧領域324と、間隙716によってガス流領域に流体的に結合された高圧領域325とを含む。ガス流源351は、所望の圧力のプロセスガスをガス流領域323へ提供し、ガス流領域とガス流システム350の残り部分との間の流体的結合により、高圧領域325の高圧を維持しながら、低圧領域324の低圧を維持する。
【0052】
ターゲット188付近の高圧領域325は、所望の材料が基板へスパッタリングされるように、プロセスガスとターゲット188との間の適切な相互作用にとって所望の圧力を可能にする。基板付近の低圧領域324は、所望の膜成長を妨げるプロセスガスと基板との間の望ましくない相互作用を防止する。1つまたは複数のガス出口322は、ガス流領域323のための逃がし弁を提供し、この逃がし弁は、ガス流領域の圧力が高すぎる場合はガス流領域の圧力を逃し、圧力によって誘起される応力および損傷によるガス流領域を取り囲む構成要素への損傷を防止する。高圧領域325は、大きい体積の高圧領域においてプロセスガスのコンダクタンスが大きくなることにより、ガス流システム350に沿ってプロセスガスをより均一に分散させる。
【0053】
上記は本発明の実装を対象とするが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実装を考案することができ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。