(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-19
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/26 20060101AFI20230511BHJP
C08G 8/04 20060101ALI20230511BHJP
G03F 7/11 20060101ALI20230511BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230511BHJP
C08L 61/04 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G03F7/26 511
C08G8/04
G03F7/11 502
G03F7/11 503
H01L21/302 101G
C08L61/04
(21)【出願番号】P 2022062243
(22)【出願日】2022-04-04
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0044144
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲せい▼ 煥
(72)【発明者】
【氏名】朴 裕 信
(72)【発明者】
【氏名】梁 善 暎
(72)【発明者】
【氏名】兪 龍 植
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-106840(JP,A)
【文献】特開2017-125182(JP,A)
【文献】特開2020-12110(JP,A)
【文献】特開2018-63424(JP,A)
【文献】特開2011-107684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00-7/18
G03F 7/26-7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される構造単位を含む重合体を含むハードマスク組成物:
【化1】
前記化学式1中、
Aは、ヒドロキシメトキシピレンモイエティであり、
Bは、置換または非置換のピレニル基であり、
Cは、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基またはこれらの組み合わせである。
【請求項2】
前記化学式1中のAは、下記のグループ1から選択されるいずれか1つである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化2】
【請求項3】
前記化学式1中のBは、非置換のピレニル基または少なくとも1つの置換基で置換されたピレニル基であり、
前記置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項4】
前記置換基は、それぞれ独立して、ニトロ基、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、置換もしくは非置換のメチル基、置換もしくは非置換のエチル基、置換もしくは非置換のプロピル基、置換もしくは非置換のブチル基、置換もしくは非置換のエテニル基、置換もしくは非置換のプロペニル基、置換もしくは非置換のブテニル基、置換もしくは非置換のエチニル基、置換もしくは非置換のプロピニル基、置換もしくは非置換のブチニル基、またはこれらの組み合わせである、請求項3に記載のハードマスク組成物。
【請求項5】
前記化学式1中のBは、ピレニル基、1-ヒドロキシピレニル基、1-メトキシピレニル基、1-ヒドロキシ-6-メトキシピレニル基、1,6-ジヒドロキシピレニル基、1,6-ジメトキシピレニル基、1-ニトロピレニル基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項6】
前記化学式1で表される構造単位は、下記の化学式2~化学式5のうちのいずれか1つで表される構造単位である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化3】
前記化学式2~化学式5中、
Cは、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒ
ドロキシ基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項7】
前記化学式1で表される構造単位は、ヒドロキシメトキシピレン、および置換または非置換のピレンカルボニル化合物を含む反応混合物由来の構造単位である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項8】
前記ヒドロキシメトキシピレンは、下記のグループ2から選択されるいずれか1つである、請求項7に記載のハードマスク組成物。
【化4】
【請求項9】
前記置換または非置換のピレンカルボニル化合物は、ピレンカルボキシアルデヒド、ヒドロキシピレンカルボキシアルデヒド、メトキシピレンカルボキシアルデヒド、ヒドロキシメトキシピレンカルボキシアルデヒド、ジヒドロキシピレンカルボキシアルデヒド、ジメトキシピレンカルボキシアルデヒド、ニトロピレンカルボキシアルデヒド、アセチルピレン、アセチルヒドロキシピレン、アセチルメトキシピレン、アセチルヒドロキシメトキシピレン、またはこれらの組み合わせである、請求項7に記載のハードマスク組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のハードマスク組成物の硬化物を含む、ハードマスク層。
【請求項11】
前記硬化物は、縮合多環芳香族炭化水素をさらに含む、請求項10に記載のハードマスク層。
【請求項12】
材料層の上に請求項1~9のいずれか1項に記載のハードマスク組成物を塗布し熱処理してハードマスク層を形成する段階と、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンを用いて前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出する段階と、
前記材料層の露出された部分をエッチングする段階と、を含むパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ハードマスク組成物、当該ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、そして当該ハードマスク組成物を使用するパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業におけるパターン形成の技術は、数百ナノメートルの大きさのパターンから数~数十ナノメートルの大きさのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板の上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像を行ってフォトレジストパターンを形成した後、当該フォトレジストパターンをマスクにして材料層をエッチングする過程を含む。
【0004】
近来、形成しようとするパターンの大きさが縮小するにつれて、上述の典型的なリソグラフィック技法のみでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成することが難しくなっている。そのため、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を形成することで微細パターンの形成を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第10-2008-0107210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、耐エッチング性、平坦化特性、ギャップフィル特性および膜密度を同時に確保することができるハードマスク層を得ることができる手段を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供することにある。
【0008】
また、本発明のさらに他の目的は、上記ハードマスク組成物を使用したパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、下記の化学式1で表される構造単位を含む重合体を含むハードマスク組成物を提供する。
【0010】
【0011】
前記化学式1中、
Aは、ヒドロキシメトキシピレンモイエティ(moiety;部分)であり、
Bは、置換または非置換のピレニル基であり、
Cは、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基またはこれらの組み合わせである。
【0012】
前記化学式1中のAは、下記のグループ1から選択されるいずれか1つであり得る。
【0013】
【化2】
すなわち、前記ヒドロキシメトキシピレンモイエティは、上記グループ1から選択されるいずれか1つにおいて、任意の2つの結合手を有するものとなる。
【0014】
前記化学式1中のBは、非置換のピレニル基または少なくとも1つの置換基で置換されたピレニル基であってもよく、 前記置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭
素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0015】
前記置換基は、それぞれ独立して、ニトロ基、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、置換もしくは非置換のメチル基、置換もしくは非置換のエチル基、置換もしくは非置換のプロピル基、置換もしくは非置換のブチル基、置換もしくは非置換のエテニル基、置換もしくは非置換のプロペニル基、置換もしくは非置換のブテニル基、置換もしくは非置換のエチニル基、置換もしくは非置換のプロピニル基、置換もしくは非置換のブチニル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0016】
前記化学式1中のBは、ピレニル基、1-ヒドロキシピレニル基、1-メトキシピレニル基、1-ヒドロキシ-6-メトキシピレニル基、1,6-ジヒドロキシピレニル基、1,6-ジメトキシピレニル基、1-ニトロピレニル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0017】
前記化学式1で表される構造単位は、下記の化学式2~化学式5のうちのいずれか1つで表される構造単位であることができる。
【0018】
【0019】
上記化学式2~化学式5中、
Cは、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置
換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、またはこれらの組み合わせである。
【0020】
前記化学式1で表される構造単位は、ヒドロキシメトキシピレン、および置換もしくは非置換のピレンカルボニル化合物を含む混合物由来の構造単位であり得る。
【0021】
前記ヒドロキシメトキシピレンは、下記のグループ2から選択されるいずれか1つであり得る。
【0022】
【0023】
前記置換もしくは非置換のピレンカルボニル化合物は、ピレンカルボキシアルデヒド、ヒドロキシピレンカルボキシアルデヒド、メトキシピレンカルボキシアルデヒド、ヒドロキシメトキシピレンカルボキシアルデヒド、ジヒドロキシピレンカルボキシアルデヒド、ジメトキシピレンカルボキシアルデヒド、ニトロピレンカルボキシアルデヒド、アセチルピレン、アセチルヒドロキシピレン、アセチルメトキシピレン、アセチルヒドロキシメトキシピレン、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0024】
本発明の他の実施形態によれば、前記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0025】
前記硬化物は、縮合多環芳香族炭化水素をさらに含むことができる。
【0026】
また他の実施形態によれば、材料層の上に前述のハードマスク組成物を塗布し熱処理してハードマスク層を形成する段階と、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンを用いて前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出する段階と、
前記材料層の露出された部分をエッチングする段階と、を含むパターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、耐エッチング性、平坦化特性、ギャップフィル特性および膜密度を同時に確保することができるハードマスク層を得ることができる手段が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】平坦化特性の評価方法を説明するためにハードマスク層の段差を例示的に示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0030】
以下、本明細書で特別な定義がない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子が重水素原子、ハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基またはその塩、スルホン酸基またはその塩の基、リン酸基またはその塩の基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数2~30のヘテロ環基、およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されていることを意味する。
【0031】
また、置換されたハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基またはその塩、スルホン酸基またはその塩の基、リン酸またはその塩の基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数2~30のヘテロ環基のうちの隣接した2つの置換基が縮合して環を形成することもできる。例えば、置換された炭素数6~30のアリール基は、隣接した他の置換された炭素数6~30のアリール基と縮合して、置換または非置換のフルオレン環を形成することができる。
【0032】
また、本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、S、SeおよびPから選択されたヘテロ原子を1個~3個含有したものを意味する。
【0033】
本明細書で「アリール基(aryl group)」は芳香族炭化水素モイエティを1つ以上有する官能基を意味し、広くは、芳香族炭化水素モイエティが単結合で連結した形態、および芳香族炭化水素モイエティが直接または間接的に縮合した非芳香族縮合環も含む。アリール基は、単環、多環または縮合した多環(即ち、炭素原子の隣接した対を共有する環)官能基を含む。
【0034】
本明細書で「ヘテロ環基(heterocyclic group)」はヘテロアリール基を含む概念であり、これに追加してアリール基、シクロアルキル基、これらの縮合環、またはこれらの組み合わせのような環化合物内で炭素(C)の代わりにN、O、S、P、およびSiから選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含有するものを意味する。ヘテロ環基が縮合環である場合、ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を1つ以上含むことができる。
【0035】
より具体的には、置換または非置換のアリール基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のテルフェニル基、置換もしくは非置換のクアテルフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合した形態であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0036】
より具体的には、置換または非置換のヘテロ環基は、置換もしくは非置換のフラニル基、置換もしくは非置換のチオフェニル基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンゾイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のベンゾオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンゾチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のフェナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のピリドインドリル基、置換もしくは非置換のベンゾピリドオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンゾピリドチアジニル基、置換もしくは非置換の9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合した形態であり得るが、これらに限定されるものではない。本発明の一例で、ヘテロ環基またはヘテロアリール基は、ピロール基、インドリル基またはカルバゾリル基であり得る。
【0037】
本明細書で「アリーレン基」は、上記で定義した置換または非置換のアリール基におい
て、結合手が2個あることを意味するものであり、例えば、置換もしくは非置換のフェニレン基、置換もしくは非置換のナフタレン基、置換もしくは非置換のアントラセニレン基、置換もしくは非置換のフェナントリレン基、置換もしくは非置換のナフタセニレン基、置換もしくは非置換のピレニレン基、置換もしくは非置換のビフェニレン基、置換もしくは非置換のテルフェニレン基、置換もしくは非置換のクアテルフェニレン基、置換もしくは非置換のクリセニレン基、置換もしくは非置換のトリフェニレニレン基、置換もしくは非置換のペリレニレン基、置換もしくは非置換のインデニレン基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合した形態であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0038】
また、本明細書で、重合体は、オリゴマー(oligomer)および重合体(polymer)の両方を含む概念を意味する。
【0039】
以下、本発明の一実施形態によるハードマスク組成物を説明する。
【0040】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、重合体および溶媒を含む。
【0041】
重合体は、1つのヒドロキシ基および1つのメトキシ基で置換された芳香族環を含む主鎖(main chain)と、主鎖に結合されており芳香族環を含む側鎖と、を含む。
【0042】
1つのヒドロキシ基および1つのメトキシ基で置換された芳香族環を含む主鎖は、1つのヒドロキシ基および1つのメトキシ基で置換された縮合芳香族環を含み、1つのヒドロキシ基および1つのメトキシ基で置換されたピレン環を含む。芳香族環を含む側鎖は縮合芳香族環を含み、ピレン環を含む。
【0043】
主鎖および側鎖に全て芳香族環を含むことによって、硬い膜質の重合体層を形成することができ、耐エッチング性を改善することができる。加えて、主鎖に1つのヒドロキシ基および1つのメトキシ基で置換された芳香族環を含むことによって、溶媒に対する溶解性を高めて、スピンコーティングのような溶液工程に効果的に適用することができ、さらに膜密度に優れた重合体層を形成することができる。
【0044】
本発明に係る重合体は、下記化学式1で表される構造単位を含む。
【0045】
【0046】
上記化学式1中、Aは、ヒドロキシメトキシピレンモイエティであり、Bは、置換または非置換のピレニル基であり、Cは、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基またはこれらの組み合わせである。
【0047】
Aにおいて、ヒドロキシメトキシピレンモイエティのヒドロキシ基およびメトキシ基は、全てピレン環のうちの同じ環で置換してもよいし、それぞれピレン環のうちの互いに異
なる環で置換してもよい。より具体的には、それぞれピレン環のうちの互いに対向する環で置換してもよく、それぞれピレン環のうちの隣接した環で置換してもよい。
【0048】
重合体が主鎖に1つのヒドロキシ基と1つのメトキシ基を有するピレンモイエティを含むことによって、ヒドロキシ基のみで2つ以上置換されたピレンモイエティを主鎖に含む重合体よりも、CFxエッチングガスおよび/またはN2/O2混合ガスに対する耐エッチング性がさらに高い重合体層を形成することができ、メトキシ基のみで2つ以上置換されたピレンモイエティを含む重合体よりも、膜密度に優れた重合体層を形成することができる。
【0049】
また、Aのヒドロキシメトキシピレンモイエティは、置換基以外の他の結合との結合手を2つ有するが、その結合手の位置は特に制限されない。例えば、ピレン環のうちの同じ環にあってもよく、それぞれピレン環のうちの互いに異なる環にあってもよい。より具体的には、それぞれピレン環のうちの互いに対向する環にあってもよく、それぞれピレン環のうちの隣接した環にあってもよい。
【0050】
一例として、Aは、下記のグループ1から選択されたいずれか1つであり得る。
【0051】
【0052】
重合体は、主鎖に前述のヒドロキシメトキシピレンモイエティ(A)を含み、側鎖に置
換または非置換のピレニル基(B)を含むことによって、硬い重合体層を形成することができる十分な炭素含量を確保することができる。また、形成された重合体層は高い耐エッチング性によって、後のエッチング工程で曝露されるエッチングガスによる損傷を減らすか、防止することができる。さらに、重合体を含む組成物から膜を形成する際、下部基板(あるいは膜)に段差が存在する場合、あるいはパターンを形成する場合、優れたギャップフィル特性および平坦化特性を提供することができる。
【0053】
一例として、Bは、非置換のピレニル基、または互いに同一であるかまたは異なる少なくとも1つの置換基で置換されたピレニル基であってもよい。
【0054】
当該置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基またはこれらの組み合わせであり得る。
【0055】
例えば、当該置換基は、それぞれ独立して、ニトロ基、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、置換もしくは非置換のメチル基、置換もしくは非置換のエチル基、置換もしくは非置換のプロピル基、置換もしくは非置換のブチル基、置換もしくは非置換のエテニル基、置換もしくは非置換のプロペニル基、置換もしくは非置換のブテニル基、置換もしくは非置換のエチニル基、置換もしくは非置換のプロピニル基、置換もしくは非置換のブチニル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0056】
一例として、Bが互いに同一であるか異なる複数の置換基で置換されたピレニル基である場合、当該複数の置換基は、全てピレン環のうちの同じ環で置換していてもよく、それぞれピレン環のうちの互いに異なる環で置換していてもよい。より具体的には、それぞれピレン環のうちの互いに対向する環で置換していてもよく、それぞれピレン環のうちの隣接した環で置換していてもよい。ここで、置換基は前述の通りである。
【0057】
一例として、Bが2つの置換基で置換されたピレニル基である場合、2つの置換基によって、全てピレン環のうちの同じ環で置換していてもよく、それぞれピレン環のうちの互いに異なる環で置換していてもよい。より具体的には、それぞれピレン環のうちの互いに対向する環で置換していてもよく、それぞれピレン環のうちの隣接した環で置換していてもよい。ここで、置換基は前述の通りである。
【0058】
一例として、Bは、非置換のピレニル基、1つの置換基で置換されたピレニル基または2つの置換基で置換されたピレニル基であり得る。Bが2つの置換基で置換されたピレニル基である場合、2つの置換基は互いに同一であるか異なってもよく、2つの置換基はそれぞれ独立して存在するか互いに連結して環を形成することができる。ここで、置換基は前述の通りである。
【0059】
一例として、Bは、非置換のピレニル基、少なくとも1つのニトロ基で置換されたピレニル基、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換されたピレニル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基で置換されたピレニル基、少なくとも1つのヒドロキシ基および少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基で置換されたピレニル基、またはこれらの組み合わせであり得る。ここで、炭素数1~30のアルコキシ基は、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、または
これらの組み合わせであり得る。
【0060】
一例として、Bは、非置換のピレニル基、ヒドロキシピレニル基、メトキシピレニル基、ヒドロキシメトキシピレニル基、ジヒドロキシピレニル基、ジメトキシピレニル基、ニトロピレニル基またはこれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0061】
具体的に、Bは、非置換のピレニル基、1-ヒドロキシピレニル基、1-メトキシピレニル基、1-ヒドロキシ-6-メトキシピレニル基、1,6-ジヒドロキシピレニル基、1,6-ジメトキシピレニル基、1-ニトロピレニル基、またはこれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0062】
一例として、Cは、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基またはこれらの組み合わせであってもよく、好ましくは、Cは水素原子であってもよい。
【0063】
Cが水素原子である場合、置換または非置換のピレニル基を含む側鎖(B)が結合した炭素原子は、主鎖に第三級炭素下として存在することになり、重合体は第三級炭素原子を含むことによって溶媒に対する溶解性をさらに高めて、スピンコーティングのような溶液工程に効果的に適用することができる。それだけではなく、Cが水素原子である場合、炭素含量を高めることができて、硬い重合体層を形成することができるため、さらに高い耐エッチング性を付与することができ、膜密度に優れた重合体層を形成することができる。
【0064】
一例として、化学式1で表される構造単位は、下記の化学式2~化学式5のうちのいずれか1つで表される構造単位であり得る。
【0065】
【0066】
上記化学式2~化学式5中、Cは前述の通りである。
【0067】
一例として、化学式1で表される構造単位は、ヒドロキシメトキシピレン、および置換または非置換のピレンカルボニル化合物を含む混合物由来の構造単位であり得る。
【0068】
上記構造単位は上記混合物の縮合反応によって得ることができるが、これに限定されるものではない。
【0069】
ヒドロキシメトキシピレンのヒドロキシ基およびメトキシ基は、全てピレン環のうちの同じ環で置換していてもよく、それぞれピレン環のうちの互いに異なる環で置換していてもよい。より具体的には、それぞれピレン環のうちの互いに対向する環で置換していてもよく、それぞれピレン環のうちの隣接した環で置換していてもよい。
【0070】
一例として、ヒドロキシメトキシピレンは、下記のグループ2から選択されるいずれか1つであり得る。
【0071】
【0072】
一例として、置換または非置換のピレンカルボニル化合物は、非置換のピレンカルボキシアルデヒドもしくは少なくとも1つの置換基で置換されたピレンカルボキシアルデヒドであってもよく、または非置換のアセチルピレンもしくは、少なくとも1つの置換基で置換されたアセチルピレンであってもよい。
【0073】
当該置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換
の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0074】
例えば、置換基は、それぞれ独立して、ニトロ基、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、置換もしくは非置換のメチル基、置換もしくは非置換のエチル基、置換もしくは非置換のプロピル基、置換もしくは非置換のブチル基、置換もしくは非置換のエテニル基、置換もしくは非置換のプロペニル基、置換もしくは非置換のブテニル基、置換もしくは非置換のエチニル基、置換もしくは非置換のプロピニル基、置換もしくは非置換のブチニル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0075】
一例として、置換のピレンカルボニル化合物が少なくとも2つの置換基を有する場合、当該少なくとも2つの置換基は、全てピレン環のうちの同じ環で置換していてもよく、それぞれピレン環のうちの互いに異なる環で置換していてもよい。より具体的に、それぞれピレン環のうちの互いに対向する環で置換していてもよく、それぞれピレン環のうちの隣接した環で置換していてもよい。ここで、置換基は前述の通りである。
【0076】
一例として、Bが2つの置換基で置換されたピレンカルボニル化合物である場合、2つの置換基は全てピレン環のうちの同じ環で置換していてもよく、それぞれピレン環のうちの互いに異なる環で置換していてもよい。より具体的には、それぞれピレン環のうちの互いに対向する環で置換していてもよく、それぞれピレン環のうちの隣接した環で置換していてもよい。ここで、置換基は前述の通りである。
【0077】
一例として、置換または非置換のピレンカルボニル化合物は、非置換のピレンカルボキシアルデヒド、1つの置換基で置換されたピレンカルボキシアルデヒド、2つの置換基で置換されたピレンカルボキシアルデヒド、非置換のアセチルピレン、1つの置換基で置換されたアセチルピレンまたは2つの置換基で置換されたアセチルピレンであり得る。2つの置換基で置換されたピレンカルボキシアルデヒドあるいはアセチルピレンである場合、2つの置換基は互いに同一であっても異なっていてもよく、2つの置換基はそれぞれ独立して存在するか互いに連結して環を形成してもよい。ここで、置換基は前述の通りである。
【0078】
一例として、置換または非置換のピレンカルボニル化合物は、非置換のピレンカルボキシアルデヒド、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換されたピレンカルボキシアルデヒド、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基で置換されたピレンカルボキシアルデヒド、少なくとも1つのヒドロキシ基および少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基で置換されたピレンカルボキシアルデヒド、非置換のアセチルピレン、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換されたアセチルピレン、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基で置換されたアセチルピレン、少なくとも1つのヒドロキシ基および少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基で置換されたアセチルピレンであり得る。ここで、炭素数1~30のアルコキシ基は、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0079】
一例として、置換もしくは非置換のピレンカルボニル化合物は、ピレンカルボキシアルデヒド、ヒドロキシピレンカルボキシアルデヒド、メトキシピレンカルボキシアルデヒド、ヒドロキシメトキシピレンカルボキシアルデヒド、ジヒドロキシピレンカルボキシアル
デヒド、ジメトキシピレンカルボキシアルデヒド、ニトロピレンカルボキシアルデヒド、アセチルピレン、アセチルヒドロキシピレン、アセチルメトキシピレン、アセチルヒドロキシメトキシピレン、またはこれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0080】
重合体は、前述の化学式1で表される構造単位を1個または複数個含むことができ、複数の繰返し単位で含むことができる。前述の化学式1で表される構造単位が複数個繰り返される繰返し単位として存在する場合、繰返し単位の個数および配列は限定されない。また、複数個の繰返し単位は、互いに異なる繰返し単位であってもよい。
【0081】
重合体は、500~200,000の重量平均分子量を有することができる。より具体的には、重合体は、1,000~100,000、1,200~50,000、または1,200~10,000の重量平均分子量を有することができる。当該範囲の重量平均分子量を有することによって重合体の炭素含量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。なお、当該重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とした、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
【0082】
一方、ハードマスク組成物に含まれる溶媒は、重合体に対する十分な溶解性または分散性を有するものであれば特に限定されない。具体例としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートから選択される少なくとも1つを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0083】
重合体は、ハードマスク組成物の総質量に対して、例えば、0.1~50質量%、例えば、0.5~40質量%、1~30質量%、または2~20質量%で含まれてもよい。当該範囲で重合体が含まれることによって、ハードマスクの厚さ、表面粗さ、および平坦化程度を調節することができる。
【0084】
ハードマスク組成物は、追加的に、界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0085】
界面活性剤は、例えば、フルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第四級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
架橋剤は、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であって、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0087】
また、架橋剤としては、耐熱性の高い架橋剤を使用することができる。耐熱性の高い架橋剤としては、分子内に芳香族環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。
【0088】
熱酸発生剤は、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピ
リジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物、および/または2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他に有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
添加剤は、ハードマスク組成物100質量部に対して、0.001~40質量部、0.01~30質量部、または0.1~20質量部で含まれてもよい。当該範囲で添加剤を含むことによって、ハードマスク組成物の光学的特性を変更せずに溶解度を向上させることができる。
【0090】
本発明の他の実施形態によれば、前述のハードマスク組成物を使用して製造された有機膜を提供する。有機膜は前述のハードマスク組成物を例えば基板の上にコーティングした後、熱処理工程を通じて硬化された形態であってもよく、例えば、ハードマスク層、平坦化膜、犠牲膜、充填剤など電子デバイスに使用される有機薄膜を含むことができる。
【0091】
また他の実施形態によれば、前述のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0092】
一例として、硬化物は、縮合多環芳香族炭化水素をさらに含んでもよい。
【0093】
例えば、縮合多環芳香族炭化水素は、置換もしくは非置換のナフタレン、置換もしくは非置換のアントラセン、置換もしくは非置換のフェナントレン、置換もしくは非置換のナフタセン、置換もしくは非置換のピレン、置換もしくは非置換のクリセン、置換もしくは非置換のトリフェニレン、置換もしくは非置換のペリレン、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合した形態であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0094】
一例として、硬化物は、ヘテロ環をさらに含むことができる。
【0095】
硬化物は縮合多環芳香族炭化水素を含むことによって、エッチング工程を含む後続の工程で曝露されるエッチングガスおよび化学液に耐えられる高い耐エッチング性を示すことができる。
【0096】
以下、前述のハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0097】
一実施形態によるパターン形成方法は、基板の上に材料層を形成する段階、材料層の上に前述の重合体および溶媒を含むハードマスク組成物を塗布する段階、ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、フォトレジストパターンを用いてハードマスク層を選択的に除去し材料層の一部を露出する段階、そして材料層の露出された部分をエッチングする段階を含む。
【0098】
基板は、例えば、シリコンウエハー、ガラス基板または高分子基板であり得る。
【0099】
材料層は最終的にパターンしようとする材料であり、例えば、アルミニウム、銅などの金属層、シリコンなどの半導体層または酸化ケイ素、窒化ケイ素などのような絶縁層であり得る。材料層は、例えば、化学気相蒸着方法で形成できる。
【0100】
ハードマスク組成物は前述の通りであり、溶液形態に製造されてスピン-オンコーティ
ング方法で塗布できる。この時、ハードマスク組成物の塗布厚さは特に限定されないが、例えば、50Å~200,000Åの厚さで塗布できる。
【0101】
ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100~700℃で10秒~1時間行うことができる。
【0102】
一例として、ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。シリコン含有薄膜層は、例えば、SiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiOおよび/またはSiNなどの物質から形成することができる。
【0103】
一例として、フォトレジスト層を形成する段階の前に、シリコン含有薄膜層上部またはハードマスク層上部に底面反射防止層(bottom anti-reflective
coating、BARC)をさらに形成することもできる。
【0104】
フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArF(フッ化アルゴン)、KrF(フッ化クリプトン)またはEUV(極端紫外線)などを使用して行うことができる。また、露光後、例えば、100~700℃で熱処理工程を行うことができる。
【0105】
材料層の露出された部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用して乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスとしては、例えばCHF3、CF4、Cl2、BCl3およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0106】
エッチングされた材料層は複数のパターンとして形成でき、複数のパターンは金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど多様であり、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンとして適用できる。
【実施例】
【0107】
以下、実施例を通じて前述の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、権利範囲を制限するものではない。
【0108】
<中間体の合成>
(合成例1a)
フラスコに6-メトキシ-1-ピレンカルボキシアルデヒド(26.0g、0.1mol)と、m-クロロ過安息香酸(34.5g、0.2mol)とを250mLのジクロロメタンに溶解させた後、40℃で12時間攪拌した。反応が終結した後、減圧下でジクロロメタンを除去し、10質量%のNaHCO3溶液(200mL)を入れて常温で3時間攪拌した。その後、固体をろ過した後、10質量%のNaOH溶液(50mL)に入れて常温で3時間追加的に攪拌した。その後、固体をろ過し、500mLの蒸留水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィーで分離して下記化学式1aで表される化合物を得た。
【0109】
【0110】
(合成例2a)
3-ペリレンカルボキシアルデヒド(56.0g、0.2mol)および臭素酸(38.7g、0.3mol)を酢酸(300mL)に入れ、常温で3時間攪拌した。反応が終結した後、1Lの冷たい水に徐々に滴下し、生成された固体をろ過して下記化学式2aで表される化合物を得た。
【0111】
【0112】
上記化学式2aで表される化合物(35.9g、0.1mol)と、ヨウ化銅(0.57g、0.003mol)およびナトリウムメトキシド(10.8g、0.2mol)とをジメチルホルムアミド(150mL)に入れ、120℃で7時間攪拌した。反応が終結した後、500mLの冷たい水に徐々に滴下し、生成された固体をろ過した後、10質量%のNH4Cl水溶液(200mL)で洗浄して、下記化学式2bで表される化合物を得た。
【0113】
【0114】
6-メトキシ-1-ピレンカルボキシアルデヒド(26.0g、0.1mol)の代わりに、化学式2bで表される化合物(31.0g、0.1mol)を使用したことを除いては、合成例1aと同様の方法で、下記の化学式2cで表される化合物を得た。
【0115】
【0116】
(合成例3a)
フラスコ中で、1,8-ジメトキシピレン(52.5g、0.2mol)を500mLの無水ジクロロメタンに溶解させた後、窒素気流下で0℃に温度を下げて攪拌した。ボロントリブロミド(17質量%ジクロロメタン溶液、400mL、0.4mol)を、注射器を使用して当該フラスコに1時間にわたって徐々に滴下した後、常温で5時間攪拌した。
【0117】
反応が終結した後、反応物を0℃付近の1Lの水と200mLジクロロメタンとの混合溶液に徐々に入れて強く攪拌し、その後静置した。下層液を分離し、500mLの蒸留水で洗浄した後、減圧下で溶媒を除去しカラムクロマトグラフィーで分離して、下記化学式3aで表される化合物を得た。
【0118】
【0119】
(合成例4a)
フラスコ中で、1-ピレンカルボキシアルデヒド(23.0g、0.1mol)を500mLの酢酸に溶解させた後、窒素気流下で0℃に温度を下げて攪拌した。硝酸(70質量%、16mL)を、注射器を使用して当該フラスコに1時間にわたって徐々に滴下した後、常温で20時間攪拌した。
【0120】
反応が終結した後、反応物を0℃付近の1Lの水に徐々に入れて強く攪拌し、静置させた。沈殿物をろ過して分離し、500mLのNaHCO3(sodium bicarbonate)飽和溶液と500mLの蒸留水とでそれぞれ洗浄した後、200mLのメタノールで2回洗浄した。減圧下で残留溶媒を除去して、下記の化学式4aで表される化合物を得た。
【0121】
【0122】
<重合体の合成>
(合成例1)
合成例1aから得られた化学式1aで表される化合物(11.7g、0.05mol)および1-ピレンカルボキシアルデヒド(11.5g、0.05mol)をジオキサン(50mL)に溶解させた後、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.19g)を入れ、90~100℃で5~12時間攪拌して重合反応を行った。
【0123】
1時間間隔で重合反応物から試料を採取し、その試料の重量平均分子量を測定して、重量平均分子量が1,800~2,500である時、反応を完了した。
【0124】
重合反応が完了した後、反応物を常温に徐々に冷却し、反応物を蒸留水40gおよびメタノール400gに投入して強く攪拌し、静置した。上澄液を除去し沈殿物をシクロヘキサノン80gに溶かした後、メタノール320gに投入して強く攪拌した後、静置した。上澄液を除去し沈殿物を減圧下で残留溶媒を除去して下記化学式1-1で表される構造単位を含む重合体1を得た。
【0125】
【0126】
(合成例2)
1-ピレンカルボキシアルデヒド(11.5g、0.05mol)の代わりに化学式4a(13.8g、0.05mol)の化合物を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で、下記の化学式1-2で表される構造単位を含む重合体2を得た。
【0127】
【0128】
(合成例3)
1-ピレンカルボキシアルデヒド(11.5g、0.05mol)の代わりに6-ヒドロキシ-1-ピレンカルボキシアルデヒド(12.3g、0.05mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で、下記の化学式1-3で表される構造単位を含む重合体3を得た。
【0129】
【0130】
(合成例4)
1-ピレンカルボキシアルデヒド(11.5g、0.05mol)の代わりに1-アセチルピレン(12.2g、0.05mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で、下記の化学式1-4で表される構造単位を含む重合体4を得た。
【0131】
【0132】
(合成例5)
1-ヒドロキシ-6-メトキシピレン(11.7g、0.05mol)の代わりに1-ヒドロキシ-8-メトキシピレン(11.7g、0.05mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で、下記の化学式1-5で表される構造単位を含む重合体5を得た。
【0133】
【0134】
(比較合成例1)
化学式1aで表される化合物(11.7g、0.05mol)の代わりに1-ヒドロキシピレン(10.9g、0.05mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で、下記の化学式Aで表される構造単位を含む比較重合体1を得た。
【0135】
【0136】
(比較合成例2)
合成例1aから得られた化学式1aで表される化合物(11.7g、0.05mol)の代わりに合成例2aから得られた化学式2cで表される化合物(14.9g、0.05mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で、下記の化学式Bで表される構造単位を含む比較重合体2を得た。
【0137】
【0138】
(比較合成例3)
合成例1aから得られた化学式1aで表される化合物(11.7g、0.05mol)および1-ピレンカルボキシアルデヒド(11.5g、0.05mol)の代わりに1-ナフトール(28.83g、0.2mol)、ベンゾペリレン(41.4g、0.15mol)およびパラホルムアルデヒド(6.0g、0.2mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で、下記の化学式Dで表される構造単位を含む比較重合体3を得た。
【0139】
【0140】
(比較合成例4)
1-ヒドロキシ-6-メトキシピレン(11.7g、0.05mol)の代わりに1,8-ジメトキシピレン(13.1g、0.05mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で、下記の化学式Eで表される構造単位を含む重合体4を得た。
【0141】
【0142】
<評価1:耐エッチング性評価>
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)/ANONE(シクロヘキサノン)(7/3体積比)混合溶媒に、合成例1~5および比較合成例1~4の重合体を、それぞれ固形分の濃度が10~20質量%になるように溶かして、実施例1-1~5-1および比較例1-1~4-1のハードマスク組成物を製造した。
【0143】
実施例1-1~5-1および比較例1-1~4-1の組成物をシリコンウエハーにスピンコーティングし、400℃で120秒間熱処理して厚さ4,000Åの有機膜を形成した。
【0144】
K-MAC社製の薄膜厚さ測定装置で有機膜の厚さを測定し、次いで、有機膜にN2/O2ガスを使用してそれぞれ60秒間乾式エッチングした後、有機膜の厚さを再び測定した。
【0145】
乾式エッチング前後の有機膜の厚さの差と、エッチング時間とから下記の計算式1によってエッチング率(bulk etch rate、BER)を計算した。
【0146】
【0147】
その結果は、下記表1の通りである。
【0148】
【0149】
表1を参照すれば、実施例1-1~5-1によるハードマスク組成物から形成された有機膜はエッチングガスに対する十分な耐エッチング性があって、比較例1-1~比較例4-1によるハードマスク組成物から形成された有機膜と比較して、エッチングガスに対して向上した耐エッチング性を示したことが確認できる。
【0150】
<評価2.ギャップフィル特性および平坦化特性>
図1は、平坦化特性の評価方法を説明するためにハードマスク層の段差を例示的に示す参考図である。
【0151】
PGMEA/ANONE(7:3体積比)混合溶媒に、合成例1~5および比較合成例1~4の重合体を、それぞれ固形分の濃度が6~10質量%になるように溶かして、実施例1-2~5-2および比較例1-2~4-2のハードマスク組成物を製造した。
【0152】
実施例1-2~5-2および比較例1-2~4-2によるハードマスク組成物を1:2の縦横比(aspect ratio)と1:10の縦横比とを有するシリコンパターンウエハーの上にそれぞれ塗布し、ホットプレートの上で、400℃で2分間熱処理して、厚さ2,000Åの有機膜を形成した。
【0153】
ギャップフィル特性は、走査型電子顕微鏡(SEM、S-4800、日立ハイテク社製)を使用して、パターン断面を観察してボイド(void)発生の有無で判別した。
【0154】
平坦化特性(段差測定)は、
図1で基板においてパターンが形成されていない任意の3つの地点で測定した薄膜の厚さの平均値(h
1)と、基板においてパターンが形成された任意の3つの地点で測定した薄膜の厚さの平均値(h
2)をK-MAC社製の薄膜厚さ測定装置で測定して計算し、段差(|h
1-h
2|)を計算した。段差(|h
1-h
2|)が小さいほど平坦化特性に優れたものである。
【0155】
その結果は、下記表2の通りである。
【0156】
【0157】
表2を参照すれば、実施例1-2~5-2によるハードマスク組成物から形成された有機膜は、比較例1-2~4-2によるハードマスク組成物から形成された有機膜より、優れたギャップフィル特性および平坦化特性を有することが分かる。
【0158】
<評価3.膜密度>
PGMEA/ANONE(7:3体積比)に合成例1~5および比較合成例1~4の重合体をそれぞれ固形分の濃度が3~5質量%になるように溶かして、実施例1-3~5-3および比較例1-3~4-3のハードマスク組成物を製造した。
【0159】
実施例1-3~5-3および比較例1-3~4-3によるハードマスク組成物をシリコンパターンウエハーの上にそれぞれ塗布し、ホットプレートの上で、400℃で2分間熱処理して、厚さ800Åの有機膜を形成した。
【0160】
形成された有機膜の膜密度を、X線反射率測定装置(X-ray reflectometer、Malvern Panalytical社製)で測定した。
【0161】
その結果は、表3の通りである。
【0162】
【0163】
表3を参照すれば、実施例1-3~5-3によるハードマスク組成物から形成された有機膜は比較例1-3~4-3によるハードマスク組成物から形成された有機膜と比較して
、膜密度が向上したことを確認することができる。
【0164】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。