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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-12
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】マルチビーム走査透過荷電粒子顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/28 20060101AFI20230515BHJP
   H01J 37/26 20060101ALI20230515BHJP
   H01J 37/244 20060101ALI20230515BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20230515BHJP
   H01J 37/09 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
H01J37/28 C
H01J37/26
H01J37/244
H01J37/20 A
H01J37/09 A
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020027747
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2020140961
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】16/289,292
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アリ モハンマディ-ゲイダーリ
(72)【発明者】
【氏名】アイヴァン ラジッチ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ボスコ
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルド ファン フェーン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0069235(US,A1)
【文献】特開2015-159112(JP,A)
【文献】特開2016-207651(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0025247(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0170876(US,A1)
【文献】Ivan Lazic et al.,Phase contrast STEM for thin samples: Integrated differential phase contrast,Ultramicroscopy,2016年01月,Volume 160, Pages 265-280
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の荷電粒子ビームを生成し、前記複数の荷電粒子ビームの各々で試料を照射する荷電粒子ビームコラムと、
前記試料に対する前記複数の荷電粒子ビームの相対的な走査運動を生成する走査アセンブリと、
前記の照射中に前記試料を横断する前記複数の荷電粒子ビームのうちの前記荷電粒子ビームの各荷電粒子ビームの荷電粒子を収集し、前記試料を横断した後に前記複数の荷電粒子ビームのうちの各荷電粒子ビームを検出器に向ける画像化システムと、を備え、
前記複数の荷電粒子ビームのうちの各荷電粒子ビームが、重心を含み、かつ
前記検出器が、前記画像化システムの後焦点面と撮像面との間の中間位置に配置されており、前記中間位置は、前記複数の荷電粒子ビームの一致する位置と各荷電粒子ビームの前記重心がもはや区別できない位置とによって境界が定められている、走査透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項2】
前記検出器が、明視野検出器、暗視野検出器、位置感応検出器、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記検出器が、位置感応検出器であり、
前記顕微鏡に含まれるコントローラが、
前記位置感応検出器からの出力に基づいてベクトル場を生成し、
前記ベクトル場に2次元積分演算を適用するように構成されている、請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項4】
前記走査アセンブリが、試料ホルダの走査運動を生成するためのアクチュエータシステムを備える、請求項に記載の顕微鏡。
【請求項5】
前記走査アセンブリが、
前記複数のビームの走査運動を生成するための、前記試料の上流にある第1のビーム偏向器システムと、
前記第1のビーム偏向器システムによって生成された前記走査運動を無効にするための、前記試料の下流かつ検出器平面の上流にある第2のビーム偏向器システムと、を備える、請求項に記載の顕微鏡。
【請求項6】
前記複数の荷電粒子ビームが、原形荷電粒子ビームを、前記原形荷電粒子ビームのフットプリント内に複数の開口部を有する開口プレート上に向けることによって生成される、請求項1~5のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項7】
前記複数の荷電粒子ビームが、複数の荷電粒子ビームコラムによって生成される、請求項1~5のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項8】
中間は、前記複数の荷電粒子ビームの隣接重心が、前記荷電粒子ビームのプロファイルの直径の少なくとも2倍だけ前記中間面内で分離されるように配置されている、請求項1~5のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項9】
中間面は、個々の荷電粒子ビームおよびそれらのそれぞれの重心が個別に検出可能であるように、前記複数の荷電粒子ビームが前記一致する位置から十分に抜け出る位置によって前記後焦点面の方向にさらに境界が定められている、請求項1~5のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項10】
中間面は、前記複数の荷電粒子ビームの各々の前記重心が依然として検出可能である位置によって、前記撮像面の方向にさらに境界が定められている、請求項1~5のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項11】
走査透過荷電粒子顕微鏡を使用する方法であって、
複数の荷電粒子ビームで試料を同時に照射することであって、前記複数の荷電粒子ビームの各荷電粒子ビームが前記試料のそれぞれの領域を照射する、照射することと、
前記試料に対して前記荷電粒子ビームを走査することと、
前記の照射中に前記試料を横断する荷電粒子を収集し、前記収集された荷電粒子を検出器に向けることと、を含み、
前記検出器が、画像化システムの後焦点面と撮像面との間の中間の検出器面に配置され、
前記の中間位置が、前記複数の荷電粒子ビームの一致する位置と、各荷電粒子ビームの重心がもはや区別できない位置と、によって境界が定められている、方法。
【請求項12】
前記中間位置は、前記複数の荷電粒子ビームのうちの少なくとも2つの隣接する荷電粒子ビームの明視野ディスクが、明視野ディスク半径の2倍の距離だけ分離されるように設けられている、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、概して、電子顕微鏡の分野に関し、より具体的には、いくつかの実施形態では、マルチビーム走査透過電子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
電子顕微鏡法には多くのタイプがあり、各タイプには長所と短所がある。場合によっては、長所と短所により、どのタイプの電子顕微鏡法を使用できるかが決まり得る。いくつかの例示的なタイプには、走査電子顕微鏡法、透過電子顕微鏡法、走査透過電子顕微鏡法などが含まれる。
【発明の概要】
【0003】
言及されたタイプにはそれぞれ特有の短所があり、それを克服すると、それらの採用を増加させる可能性がある。例えば、マイナス面の一例を挙げると、走査型透過電子顕微鏡法にはスループットの問題があり、適切に対処すれば、その採用を増加させる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】開示された技術が実装され得るSTCPMの実施形態の非常に概略的な描写である。
図2】本発明の実施形態の動作原理を示す。
【0005】
同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本出願および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形も含む。加えて、用語「含む」は、「備える」の意味である。さらに、用語「結合された」は、結合されたアイテム間の中間要素の存在を排除するものではない。
【0007】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法は、多少なりとも制限的なものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、ならびに相互の様々な組み合わせおよび部分的な組み合わせにおいて、様々な開示された実施形態の全ての新規性および非自明性を有する特徴および態様を対象とする。開示されたシステム、方法、および装置は、任意の具体的な態様もしくは特徴、またはそれらの組み合わせに限定されず、開示されたシステム、方法、および装置は、任意の1つ以上の具体的な利点が存在する、または問題が解決されることも必要としない。いずれの動作理論も説明を容易にするためであるが、開示されたシステム、方法、および装置は、そのような動作理論に限定されない。
【0008】
開示された方法のいくつかの動作は、便宜上、特定の順番で記載されているが、以下に述べる具体的な用語によって特定の順序が要求されない限り、この説明方法が並び替えを包含することを理解されたい。例えば、順に記載される動作は、いくつかの場合では、並び替えられるかまたは同時に実行されてもよい。さらに、単純化のために、添付の図面は、開示されたシステム、方法、および装置が、他のシステム、方法、および装置とともに使用され得る様々な方法を示さない場合がある。加えて、説明は、開示された方法を記載するために、「生成する(produce)」および「提供する(provide)」のような用語を使用することがある。これらの用語は、実行される実際の動作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実装形態に応じて、様々であり、当業者には容易に認識できる。
【0009】
いくつかの例では、値、手順、または装置は、「最低」、「最良」、「最小」などと呼ばれる。そのような説明は、多くの使用された機能的選択肢からの選択が可能であることを示すことを意図しており、そのような選択は、他の選択に対して、より良い、より小さい、またはその他の点で好ましい必要はないことが分かる。
【0010】
荷電粒子顕微鏡法は、特に電子顕微鏡法の形態で微視的対象物を画像化するために、周知のますます重要とされる技術である。これまで、基本的な種類の電子顕微鏡は、透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)、および走査透過電子顕微鏡(STEM)のような、いくつかの周知の装置類へと進化をたどり、また、例えばイオンビームミリングまたはイオンビーム誘導蒸着(IBID)のような支援作用を可能にする「機械加工」集束イオンビーム(FIB)をさらに採用した、いわゆる「デュアルビーム」装置(例えば、FIB-SEM)のような様々な亜種へと進化してきた。
【0011】
SEMにおいて、走査電子ビームによる試料の照射は、例えば、二次電子、後方散乱電子、X線およびカソードルミネセンス(赤外線、可視および/または紫外線光子)の形態で試料からの「補助」放射線の放出を引き起こし、次に、この放出される放射線の1つ以上の成分は、検出されて、画像蓄積の目的に使用される。
【0012】
TEMにおいては、試料に照射するために使用される電子ビームは、試料を貫通するために(この目的のために、一般的に、SEM試料の場合よりも薄くなる)十分高いエネルギーとなるように選択され、次に、試料から放出される透過電子を使用して画像を生成することができる。このようなTEMが走査モードで動作される(したがってSTEMになる)と、試料を横切って照射される電子ビームの走査運動中に当該画像が蓄積される。照射ビームとして電子を使用する代わりに、荷電粒子顕微鏡法は、荷電粒子の他の種を使用して実行することもできる。この点において、「荷電粒子」という語句は、例えば、電子、正イオン(例えば、GaまたはHeイオン)、負イオン、陽子および陽電子を含むものとして広く解釈されるべきである。
【0013】
なお、画像化、および(局所的な)表面改質の実行(例えば、ミリング、エッチング、蒸着など)に加えて、荷電粒子顕微鏡はまた、分光法の実行、ディフラクトグラムの検査など、他の機能を有していてもよい。
【0014】
全ての場合において、荷電粒子顕微鏡(CPM)は、少なくとも以下のコンポーネントを含む。
【0015】
ショットキー電子源またはイオン源などの粒子源。
【0016】
照明器(荷電電子ビームコラム)であって、ソースからの「未処理の」放射線ビームを操作し、かつそれに、集束、収差緩和、(ダイアフラムを用いた)クロッピング、フィルタリングなどのような動作を実行する機能を果たす照明器。照明器は、一般的に、1つ以上の(荷電粒子)レンズを備え、他のタイプの(粒子)光学コンポーネントも備え得る。所望の場合、照明器には、偏向システムを設けることができ、偏向システムは、調査中の試料を横切って、出射ビームに走査運動を実行させることができる。
【0017】
試料ホルダであって、その上に調査対象の試料を保持および位置決めする(例えば、傾斜させる、回転させる)ことができる、試料ホルダ。所望の場合、このホルダを移動させて、ビームに対して試料の走査運動をもたらすようにすることができる。一般に、このような試料ホルダは、位置決めシステムに接続される。極低温試料を保持するように設計される場合、試料ホルダは、例えば適切に接続される極低温槽を使用して、当該試料を極低温に維持するための手段を備えることができる。
【0018】
(照射された試料から放出される放射線を検出するための)検出器であって、それは本質的に一体型または複合型/分散型であり、検出される放射線に応じて多くの異なる形態をとることができる検出器。例として、フォトダイオード、CMOS検出器、CCD検出器、光起電力セル、X線検出器(シリコンドリフト検出器およびSi(Li)検出器など)などを挙げることができる。一般に、CPMは、いくつかの異なるタイプの検出器を含むことができ、検出器の選択は、異なる状況において導き出すことができる。
【0019】
透過型顕微鏡(例えば、(S)TEMなど)の場合、CPMはさらに以下を含む。
【0020】
画像化システムであって、試料(平面)を透過する荷電粒子を本質的に取り込み、かつ検出/画像化デバイスなどの分析装置、分光装置(例えば、EELSデバイスなど、EELS=電子エネルギー損失分析器)などにそれらを向ける(集束させる)画像化システム。上に言及した照明器の場合と同様に、画像化システムは、収差緩和、クロッピング、フィルタリングなどの他の機能を実行することもでき、画像化システムは、一般的に、1つ以上の荷電粒子レンズおよび/または他のタイプの粒子光学コンポーネントを備える。
【0021】
以下において、本明細書で開示される技術は、例として、電子顕微鏡法の具体的な文脈で述べる場合があるが、このような設定は、単に明瞭性/例示の目的を意図したものであり、限定的に解釈されるべきではない。
【0022】
STEMは、従来のTEMの強力な動作モードであり、集束電子ビームが薄い試料上で走査され、異なる散乱角を有する透過/散乱電子が収集されて画像に変換される。透過電子の散乱角に応じて、散乱がビーム開口角内に留まる場合は「明視野(BF)」信号を生成でき、散乱角がビームの開口角より大きい場合は「暗視野(DF)」信号を生成できる。統合微分位相コントラスト(iDPC)画像化と呼ばれ得る、例えば、(あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)US9,312,098およびUS2016/0307729 A1を参照、新しい画像化技術の(現在の譲受人による)最近の開発に伴い、STEMが、画像化手法として新たな関心を集めている。ただし、STEM技術のスループットは、一部の用途では最適ではない場合がある。この理由の1つは、高分解能STEMでは、レンズの収差とクーロン相互作用のために、プローブ/入力ビーム電流が制限される傾向があることである。さらに、視野(FoV)は、画像化システムの軸外収差によって制限される傾向がある。スループットに対する要求がこれまで以上に厳しくなるにつれて、そのようなSTEMの欠点は高まる不満の原因となっている。
【0023】
本開示の目的は、少なくとも上記の特定された問題に対処することである。より具体的には、本開示の目的は、従来のSTCPMベースの画像化技術と比較して改善されたスループットを可能にするSTCPMベースの画像化技術について記載することである。さらに、本開示の目的は、本明細書で開示される技術が、従来の技術と比較して増大されたFoVを有するべきであることである。
【0024】
これらのおよび他の目的は、
【0025】
顕微鏡が、複数の荷電粒子ビームを生成し、これらを試料の異なる領域に同時に照射するように構成され、かつ
【0026】
試料を通過した後の複数の荷電粒子ビームを検出するための検出器は、画像化システムの後方焦点面(BFP)と撮像面(IP)の間の中間の検出面であって、複数の荷電粒子ビームの各々の重心の決定および検出を提供するのに十分な位置にある検出面に配置される。
【0027】
検出器は、複数の荷電粒子ビームの各々に対する個々の自立型検出器モジュール(例えば、複数の検出器モジュール)であってもよく、または検出器は、例えば、検出器の異なる区域で荷電粒子ビームの各々を検出する大型の複合検出器であってもよい。
【0028】
本明細書で開示する技術は、複数のプローブ/入力ビームを使用して並列処理の形態を達成することにより、STEMのスループットの問題に対処し、提示された試料の表面は、基本的に概念的な「タイル/領域/区域」のマトリックスに細分化され、かつこれらのタイル/領域/区域の各々は、複数のビームのうちのそれぞれによって同時に画像化されるため、累積FoVが増加し、スループットも増加する。しかしながら、そのようなアーキテクチャでは、それぞれの入力ビームからのSTEM信号の各々の同時検出に関して問題が生じる。「従来の」回折パターン検出方法の適用は、複数のビームからの信号が、(実際または仮想の)検出器/カメラが伝統的に設けられる、採用された画像化システム(対物レンズ)の回折面(本明細書ではBFPとも呼ばれる)で重なるため失敗し、したがって、異なるビームから異なる信号を分離することは不可能になる。一方、画像化システムのIPで検出器を使用することは、本質的にその位置でプローブ画像を形成するだけであり(重複しない)、かつその位置でプローブの強度を検出できるだけであるため、ほとんど意味がない。プローブ画像の強度を検出できるだけでは、重心を決定することはできない。
【0029】
本開示の技術は、代わりに、画像化システムのBFPとIPとの間に位置する中間検出器平面に検出器を設けるという直感に反するステップをとる。この中間検出器平面では、複数の入力ビームから発生する出力ビームは相互に分離されるため、その個別の検出が可能になるが、この位置で登録されたパターンは、本質的に回折パターンとプローブ画像のハイブリッド(真の画像の部分的なフーリエ変換/フレネル伝播に多少類似)であるため、登録されたパターンの物理的な解釈は従来困難であると考えられていた。それにもかかわらず、そのようなハイブリッドパターンを使用して、例えば上述のiDPC技術を介して満足のいく画像を形成できることが発見された。
【0030】
一般に、各パターンの強度重心(「質量」の中心または試料から出る各ビームの空間的中心)の位置は、関連するビームが試料を通過する間に受ける局所電場電位に比例することが実証されている。その結果、その強度重心を決定できる限り、パターンが何を表しているか、またはどのように見えるかは問題ではない。別の言い方をすれば、各パターンがどのように見えるかに関係なく、それは、画像情報の基礎として使用できる角度情報を(その強度重心の位置を介して)保持している。位置感応検出器(画素化またはセグメント化された検出器/カメラなど)を使用してパターンを登録する場合、その重心は、例えば画像認識ソフトウェアを使用して比較的簡単に位置特定することができる。このような位置感応検出器は、微分位相コントラスト(DPC)技術の中心にあり、ゼロ位置/基準位置からビームフットプリントが(検出器の検出面を横切って)変位する方法、例えば、ビームが(非対称的に)4つ以上の検出器象限/セグメント/ゾーンの間で分割される方法から、情報を引き出すことに注意されたい。前述のiDPC技術は、このような検出器からの出力をベクトル場に変換し、その上で数学的積分ステップを実行することにより、さらに一歩前進し、したがって、iDPC技術はiVF(Integrated Vector Field)画像化とも呼ばれる。
【0031】
入力ビームと試料の相対的な走査運動に関して、これを達成できる様々な方法がある。例えば、
【0032】
(i)1つの可能な(「機械的走査」)設定では、採用される走査アセンブリは、試料ホルダの走査運動を生成するためのアクチュエータシステムを備えている。
【0033】
(ii)代替の(「ビーム走査」)設定では、ビームは試料に対して走査される。この目的のために、例えば、試料の上流にある第1のビーム偏向システムが実行されて、試料に対する複数のビームの走査運動を生成し、試料の下流および検出器平面の上流にある第2のビーム偏向器システムが、第1のビーム偏向器システムによって生成された走査運動を無効にするために使用される。
【0034】
アプローチ(i)は、走査経路を正確に横断可能な試料ホルダステージを使用する必要はあるものの、高度な走査ステージが、リソグラフィなどの分野で既に使用されており、多くの異なる実装形態で利用可能であるため、技術的障害を提示する必要がなく、アプローチ(ii)よりも複雑性/複合性が少ないという点で利点がある。ビーム走査は、(SEMおよびSTEMなど)単一ビームCPMで使用される、より伝統的なアプローチであるが、本開示では複数のビームへの改変を必要とする場合がある。言うまでもなく、所望の場合、アプローチ(i)と(ii)のハイブリッドを実装し、両方のタイプの走査を採用することもできる。画像化システムの回折面に設けられていない検出器でアプローチ(ii)を使用するとき、入力ビームを走査すると、付随する出力ビームの走査運動が検出器に向かっていくことに注意されたい。試料が所定の位置にない状態で、基準「ゼロ測定」を実行する場合、試料が所定の位置にある状態で得られた検出結果からこの「ベースライン」走査結果を差し引くことができる。
【0035】
本明細書で開示される技術で使用される入力ビーム数に関して、これは任意であることが強調されるべきである。一方では、ビーム数が多いほど、達成できるスループットがさらに向上し、他方では、ビーム数が多いと、システム全体の複雑さが増す。当業者は、これらの競合する効果間の妥協点を見出し、所与のシナリオ/使用事例に適切な数を選択することができるであろう。例えば、14×14アレイの196本のビームを使用してシステムを構築することができるが、多くの他のビームの複数形/構成も可能である。
【0036】
また、当業者は、本発明で使用される検出器平面が画像化システムのBFPに近すぎるように選択された場合、様々な入力ビームに対応するパターンが、様々なビームの重心を区別するには互いに十分に分離されていない場合があることを理解するだろう。一方、検出器平面が画像化システムのIPに近すぎるように選択された場合、入力ビームのビーム経路は互いに非常に適切に分離されるが、登録された「パターン」は基本的なプローブ画像になる傾向があるため、それぞれの重心の位置と並進を決定することは不可能であり、それにより、本明細書に開示されている技術が実装可能でなくなる場合がある。これらの極端な状況の間で、当業者は適切な検出器平面位置を適切に選択することができる。
【0037】
図1は、本開示の技術が実装され得るSTCPM Mの実施形態の非常に概略的な描写であり、より具体的には、TEM/STEMの実施形態を示す(ただし、本開示の文脈では、例えばイオンベースの顕微鏡と同じように有効であり得る)。図1において、真空筐体2内では、電子源4は、電子-光学軸線B´に沿って伝搬し、電子-光学照明器(荷電粒子ビームコラム)6を横断する電子ビームBを生成し、電子-光学照明器は(例えば、(局所的に)薄くされ/平坦化されていてもよい)試料Sの選択された部分上に電子を向ける/集束させる機能を果たす。また、偏向器8も描写されており、これは(とりわけ)、ビームBの走査運動をもたらすために使用することができる。
【0038】
試料Sは、ホルダHが(取り外し可能に)固定されているクレードルA’を移動させる、位置決めデバイス/ステージAによって複数の自由度で位置決めすることができる試料ホルダHに保持されており、例えば、試料ホルダHは、(とりわけ)X-Y平面内で移動することができるフィンガを備えることができる(描写されたデカルト座標系を参照されたい。通常は、Zに平行およびX/Yを中心に傾く運動も可能である)。このような動きにより、試料Sの異なる部分が、軸線B’(Z方向)に沿って進む電子ビームBによって照明/画像化/検査されることを可能に、および/または、走査運動がビーム走査の代替として実行されることを可能にする。所望の場合、任意選択の冷却デバイス(描写せず)を、試料ホルダHと密に熱接触させて、試料ホルダH(および、その上の試料S)を、例えば極低温度に維持することができる。
【0039】
電子ビームBは、(例えば)二次電子、後方散乱電子、X線、および光放射(カソードルミネセンス)を含む様々なタイプの「誘導」放射線を試料Sから放出させるように、試料Sと相互作用する。必要に応じて、例えば、シンチレータ/光電子増倍管またはEDX(エネルギー分散型X線分光)モジュールを組み合わせた分析デバイス22の助けを借りて、これらの放射線タイプのうちの1つ以上を検出することができ、このような場合には、SEMと基本的に同じ原理を使用して画像を構築することができる。しかしながら、試料Sを横断(通過)し、試料から出射/放出され、軸線B´に沿って(実質的には、とはいえ一般的に、ある程度偏向/散乱しながら)伝搬し続ける電子を代替的に、または補足的に調査することができる。このような透過電子束は、画像化システム(投影レンズ)24に入射し、画像化システム24は一般的に、様々な静電レンズ/磁気レンズ、偏向器、補正器(スティグメータのような)などを備えている。通常の(非走査)TEMモードでは、この画像化システム24は、透過電子束を蛍光スクリーン26に集束させることができ、蛍光スクリーン26は、必要に応じて、軸線B’の邪魔にならないように(矢印26’で概略的に示すように)後退/回収することができる。試料Sの(一部の)画像(または、ディフラクトグラム)は、画像化システム24によりスクリーン26上に形成され、この画像は、筐体2の壁の好適な部分に設けられた視認ポート28を介して視認され得る。スクリーン26の後退機構は、例えば、本質的に機械的および/また電気的であり得るが、図面には描写されていない。
【0040】
スクリーン26上の画像を視認することの代替として、画像化システム24から出ていく電子束の焦点深度が一般的に、極めて深い(例えば、約1メートル)という事実を代わりに利用することができる。この結果、様々な他のタイプの分析装置をスクリーン26の下流で使用することができ、例えば、
【0041】
TEMカメラ30などがある。TEMカメラ30の位置に、電子束は、静止画像(または、ディフラクトグラム)を形成することができ、静止画像は、コントローラ/またはプロセッサ20により処理することができ、例えばフラットパネルディスプレイのような表示デバイス(描写せず)に表示することができる。必要ではないとき、TEMカメラ30は、(矢印30´で概略的に示すように)後退/回収されて、カメラを軸線B´から外れるようにすることができる。
【0042】
STEMカメラ32。STEMカメラ32からの出力は、試料S上のビームBの(X、Y)走査位置の関数として記録することができ、X、Yの関数としてのSTEMカメラ32からの出力の「マップ(map)」である画像を構築することができる。STEMカメラ32は、TEMカメラ30に特徴的に存在する画素のマトリックスとは対照的に、例えば20mmの直径を有する単一の画素を含むことができる。さらに、STEMカメラ32は一般的に、TEMカメラ30(例えば、10画像/秒)よりもはるかに高い取得レート(例えば、10ポイント/秒)を有する。この場合も同じく、必要でない場合、STEMカメラ32は、(矢印32´で概略的に示すように)後退/回収されて、カメラを軸線B´から外れるようにすることができる(このような後退は、例えばドーナツ形の環状暗視野STEMカメラ32の場合には必要とされないが、このようなカメラでは、カメラが使用されていないとき、中心孔により電子束を通過させることができる)。
【0043】
カメラ30または32を使用して画像化を行うことの代替として、例えば、EELSモジュールとすることができる分光装置34を実行することもできる。
【0044】
アイテム30、32、および34の順序/位置は厳密ではなく、多くの可能な変形が考えられることに留意されたい。例えば、分光装置34は、画像化システム24と一体化することもできる。
【0045】
コントローラ(コンピュータプロセッサ)20は、図示される様々なコンポーネントに、制御線(バス)20’を介して接続されることに留意されたい。このコントローラ20は、操作を同期させる、設定ポイントを提供する、信号を処理する、計算を実行する、およびメッセージ/情報を表示デバイス(描写せず)に表示するといった様々な機能を提供することができる。言うまでもなく、(概略的に描写される)コントローラ20は、筐体2の(部分的に)内側または外側に位置させることができ、所望に応じて、単体構造または複合構造を有することができる。
【0046】
当業者であれば、筐体2の内部が気密な真空状態に保持される必要はなく、例えば、いわゆる「環境TEM/STEM」では、所与のガスの背景雰囲気が、筐体2内に意図的に導入される/維持されることを理解するであろう。当業者はまた、実際には、筐体2の容積を閉じ込めて、可能であれば、筐体2が、軸線B´を本質的に包み込み、採用する電子ビームが通過する小さな(直径1cm程度)チューブの形態をとるが、ソース4、試料ホルダH、スクリーン26、TEMカメラ30、STEMカメラ32、分光装置34などの構造を収容するために広がると有利となり得ることを理解するであろう。
【0047】
本開示の文脈において、複数の荷電粒子ビームは、例えば好適な開口プレート(描写せず)を使用して(原形)ビームBを複数の(所産)サブビームに細分することにより、試料Sのそれぞれの異なる領域に向けられる。そのような状態の例が図2に図示され、
【0048】
図の左側部分は、本開示による複数のビームを生生成するように改変された、図1の関連部分の骨格立面図であり、
【0049】
図の右側部分は、Z軸線に沿った選択された粒子光学面での複数ビーム断面の平面図を示す。
【0050】
この特定の例では、複数ビームアーキテクチャは、四角い四重極構成に配設された4つの入力ビーム(B1、B2、B3、B4)を使用するが、これはそうである必要はなく、異なるビーム数および/または異なるビームの幾何学的配置が、実装され得、本明細書で企図されている。次に、図2の様々な部分を見てみる。
【0051】
OPは、対物レンズ(画像化システム)OLの対物面である。OP平面では、各集束入力ビームの断面は、図の右側のサブ図面(B)に図示するように、ポイントまたは小さなディスクの形態を有している。画像化される試料Sは、このOP平面上に配置され、図2の右側のサブ図面(S)に概略的に図示されている。図示のように、試料Sは、概念的に4つの区域(S、S、S、S)に細分され、それぞれ対応するビーム(B、B、B、B)によって画像化される。試料Sは一般に不均一であるため、区域(S、S、S、S)は互いに異なって見える。
【0052】
BFPは、対物レンズOLの後方焦点面である。この平面では、ビーム(B、B、B、B)の経路が重複しているため、各ビームによって運ばれるパターン化された情報も重複し、図の右側に大きな中央の「ブロブ」で図示されているように、同じ場所で一致することに注意されたい。BFP平面は、焦点距離fだけ対物レンズOLから分離されている。Zに沿ったこの位置では、各ビームB1、B2、B3、およびB4の重心は、それらの重複のために個別に識別できず、検出器がここに設けられる場合、本明細書で開示される技術は適用できない場合がある。
【0053】
IPは、対物レンズOLの画像平面である。IP平面では、ビーム(B、B、B、B)の各々は、OP平面の状況と同様に、スポット/小さなディスクに集束される。同様に、Zに沿ったこの位置では、各ビームB1、B2、B3、およびB4の重心は、プローブ画像の構成、例えばスポット/小さなディスクのために個別に識別できず、本明細書で開示される技術は適用できない場合がある。
【0054】
DPは、本開示によれば、BFP平面とIP平面との間に(Zに沿って)配置された中間検出器平面である。DPは、ΔZの量だけBFP平面から変位している。このDP平面では、ビーム(B、B、B、B)は、相互に分離され、図2の右下の画像では、4つの別個のパターンによって図示されており、その検出面がDP平面に配置されている対応する複数のコンポーネント検出器によって個別に登録できる。上述したように、これらのコンポーネント検出器は、実際には、例えば、カメラに存在するような単一、複合検出面の異なるゾーンであってもよいことに留意されたい。検出された各パターンで、強度重心を特定し、その位置を使用して(例えば)試料SのiPDC画像を構築できる。非限定的な例では、DP平面は、2つの隣接ビームの(BFPで明確に定義されたサイズを有する)BF(明視野)ディスクが、BFディスク半径(RBF)の約2倍の距離だけ分離され、隣接する重心が、およそ4*RBFだけXまたはYで分離れる位置に対応するZ位置に設けられる。
【0055】
例示された実施形態を参照して開示された技術の原理を記載および図示してきたが、例示された実施形態は、そのような原理から逸脱することなく構成および詳細を改変できることが認識されるであろう。例えば、ソフトウェアで例示された実施形態の要素は、ハードウェアで実装されてもよく、逆もまた同様である。また、任意の実施例からの技術は、任意の他の1つ以上の実施例で記載された技術と組み合わせることができる。例示された実施例を参照して記載されたものなどの手順および機能は、単一のハードウェアまたはソフトウェアモジュールで実装され得るか、または単独のモジュールが提供され得ることが理解される。上記の特定の構成は、簡便な例示のために提供されており、他の構成を使用することができる。
【0056】
開示された技術の原理が適用できる多数の可能な実施形態の観点では、図示された実施形態は単なる代表例であり、本開示の範囲を限定するものとして解釈するべきではないと認識すべきである。これらのセクションで具体的に取り上げられた代替案は単なる例示であり、本明細書に記載された実施形態に対する全ての可能な代替案を構成するものではない。例えば、本明細書で記載されたシステムの様々なコンポーネントは、機能と使用において組み合わされてもよい。したがって、我々は、添付の特許請求の範囲の範囲に入る全てを請求する。
【0057】
一実施形態では、走査透過荷電粒子顕微鏡は、複数の荷電粒子ビームを生成し、複数の荷電粒子ビームの各々で試料を照射する荷電粒子ビームコラムと、試料に対する複数の荷電粒子ビームの相対的な走査運動を生成する走査アセンブリと、照射中に試料を横断する複数の荷電粒子ビームのうちの荷電粒子ビームの各々の荷電粒子を収集し、試料を横断した後に複数の荷電粒子ビームのうちの各荷電粒子ビームを検出器に向ける画像化システムと、を備え、複数の荷電粒子ビームのうちの各荷電粒子ビームは、重心を含み、かつ検出器は、画像化システムの後焦点面と撮像面との間の中間位置であって、複数の荷電粒子ビームの一致する位置と各荷電粒子ビームの重心がもはや区別できない位置とによって境界が定められる、中間位置に配置される。顕微鏡の第1の例では、顕微鏡は、検出器が、明視野検出器、暗視野検出器、位置感応検出器、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されることをさらに含む。方法の第2の例は、オプションで第1の例を含み、かつ検出器が、位置感応検出器であり、顕微鏡に含まれるコントローラが、位置感応検出器からの出力に基づいてベクトル場を生成し、ベクトル場に2次元積分演算を適用するように構成されていることをさらに含む。顕微鏡の第3の例は、オプションで第1~第2の例うちの1つ以上を含み、かつ走査アセンブリが、試料ホルダの走査運動を生成するためのアクチュエータシステムを備えることをさらに含む。顕微鏡の第4の例は、オプションで第1~第3の例のうちの1つ以上を含み、かつ走査アセンブリが、複数のビームの走査運動を生成するための、試料の上流にある第1のビーム偏向器システムと、第1のビーム偏向器システムによって生成された走査運動を無効にするための、試料の下流かつ検出器平面の上流にある第2のビーム偏向器システムと、を備えることをさらに含む。顕微鏡の第5の例は、オプションで第1~第4の例のうちの1つ以上を含み、かつ複数の荷電粒子ビームが、前駆体荷電粒子ビームを、原形ビームのフットプリント内に複数の開口部を有する開口プレート上に向けることによって生成されることをさらに含む。顕微鏡の第6の例は、オプションで第1~第5の例のうちの1つ以上を含み、かつ複数の荷電粒子ビームが、複数の荷電粒子ビームコラムによって生成されることをさらに含む。顕微鏡の第7の例は、オプションで第1~第6の例のうちの1つ以上を含み、かつ中間面は、複数の荷電粒子ビームの隣接重心が、荷電粒子ビームのプロファイルの直径の少なくとも2倍だけ中間面で分離されるように設けられることをさらに含む。顕微鏡の第8の例は、オプションで第1~第7の例のうちの1つ以上を含み、かつ中間面は、複数の荷電粒子ビームが一致する位置から十分に抜け出た位置によって後焦点面の方向にさらに境界が定められ、個々の荷電粒子ビームおよびそれらのそれぞれの重心が個別に検出可能であることをさらに含む。顕微鏡の第9の例は、オプションで第1~第8の例のうちの1つ以上を含み、かつ中間面は、複数の荷電粒子ビームの各々の重心が依然として検出可能である位置によって、撮像面の方向にさらに境界が定められていることをさらに含む。顕微鏡の第10の例は、オプションで第1~第9の例のうちの1つ以上を含み、かつ中間面は、複数の荷電粒子ビームの各々の重心が依然として検出可能である位置によって、撮像面の方向にさらに境界が定められていることをさらに含む。
【0058】
別の実施形態では、走査透過荷電粒子顕微鏡を使用する方法は、複数の荷電粒子ビームで試料を同時に照射し、複数の荷電粒子ビームの各荷電粒子ビームが試料のそれぞれの領域を照射することと、試料に対して荷電粒子ビームを走査することと、照射中に試料を横断する荷電粒子を収集し、収集された荷電粒子を検出器に向けることと、を含み、検出器は、画像化システムの後焦点面と撮像面との間の中間の検出器面に配置され、中間位置は、複数の荷電粒子ビームの一致する位置と、各荷電粒子ビームの重心がもはや区別できない位置と、によって境界が定められる。方法の第1の例において、本方法は、中間位置は、複数の荷電粒子ビームのうちの少なくとも2つの隣接する荷電粒子ビームの明視野ディスクが、明視野ディスク半径の2倍の距離だけ分離されるように設けられることをさらに含む。
図1
図2