(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/02 20210101AFI20230516BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20230516BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20230516BHJP
G03B 7/091 20210101ALI20230516BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20230516BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20230516BHJP
G03B 17/14 20210101ALN20230516BHJP
G03B 17/18 20210101ALN20230516BHJP
【FI】
G03B17/02
G02B7/02 E
G02B7/08 C
G03B7/091
H04N23/50
H04N23/60
G03B17/14
G03B17/18
(21)【出願番号】P 2019034269
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 太一
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-003996(JP,A)
【文献】特開2009-111878(JP,A)
【文献】特開2017-139577(JP,A)
【文献】特開2011-123243(JP,A)
【文献】特開2018-037892(JP,A)
【文献】特開2015-052768(JP,A)
【文献】特開2017-138515(JP,A)
【文献】特開平11-119282(JP,A)
【文献】特開2018-206088(JP,A)
【文献】特開2011-087107(JP,A)
【文献】特開2003-092691(JP,A)
【文献】特開2004-363985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/02
G02B 7/02
G02B 7/08
G03B 7/091
G03B 17/00
H04N 23/50
H04N 23/60
G03B 17/14
G03B 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作されることにより第1
機能の実行を指示する第1の操作部と、
操作されることにより前記第1
機能と異なる第2
機能の実行を指示する第2の操作部と、
前記第1
機能と、前記第2
機能と、前記第1機能および前記第2機能とは異なる第3機能とを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第1の操作部を操作しながら前記第2の操作部が操作されると、前記第3機能
を実行し、前記第3機能を実行した後、継続して前記第1の操作部を操作しながら前記第2の操作部が操作されると、前記第2機能を実行する、撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第1の操作部を操作しながら所定時間継続して前記第2の操作部が操作されると、前記第3機能を実行する、撮像装置。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の撮像装置において、
前記第3機能は、前記第2機能に関連する機能である撮像装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置において、
画像を表示する表示部を備え、
前記第3機能は、前記表示部における画像の拡大表示である、撮像装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記第2機能はフォーカス調整機能である、撮像装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記第1機能は撮影準備機能である、撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記第1機能はオートフォーカス機能である、撮像装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第3機能が実行された後に前記第1の操作部が操作されなくなると、前記第3機能の実行を終了する、撮像装置。
【請求項9】
請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第1機能に関連する機能を前記第3機能として制御する撮像装置。
【請求項10】
請求項1から請求項3
及び請求項9のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第3機能として複数の機能を選択可能であり、前記第2の操作部の操作方向に基づいて前記第3機能を選択する撮像装置。
【請求項11】
請求項10に記載の撮像装置において、
画像を表示する表示部を備え、
前記制御部は、前記第3機能として、前記表示部において画像を拡大表示する機能と、前記撮像装置に設定された所定の条件を反映した画像を前記表示部に表示する機能とから選択可能である、撮像装置。
【請求項12】
請求項
10に記載の撮像装置において、
前記第2機能は、前記撮像装置の撮像感度の選択を行う機能であり、
前記制御部は、前記第2の操作部の操作方向により、前記第3機能を前記撮像感度の自動調整に変更する撮像装置。
【請求項13】
請求項
12に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記撮像感度の自動調整を実行している場合は、前記第2の操作部の操作に基づいて前記撮像感度の調整範囲を変更し、前記撮像感度の自動調整を実行していない場合は、前記第2の操作部の操作に基づいて前記撮像感度を変更する撮像装置。
【請求項14】
請求項
9に記載の撮像装置において、
前記第1機能は前記撮像装置の露出に関する機能であり、前記第3機能は前記第1機能に関する機能である撮像装置。
【請求項15】
請求項14に記載の撮像装置において、
画像を表示する表示部を備え、
前記制御部は、前記第3機能として、前記撮像装置に設定された所定の条件を反映した画像を前記表示部に表示する、撮像装置。
【請求項16】
請求項1から請求項
15のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記第1の操作部は、前記撮像装置のレリーズスイッチであり、
前記第2の操作部は、前記撮像装置に設けられる鏡筒に設けられた回転部材である撮像装置。
【請求項17】
画像を表示し、タッチ操作されることにより第1機能の実行を指示する表示部と、
操作されることにより第2機能の実行を指示する第2の操作部と、
前記表示部への前記画像の表示と、前記第1機能と、前記第2機能とを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記表示部をタッチ操作しながら前記第2の操作部が操作されると、拡大画像を前記表示部に表示し、
前記制御部は、前記拡大画像を表示した後、継続して前記表示部をタッチ操作しながら前記第2の操作部が操作されると、前記第2機能を実行する、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オートフォーカス動作により被写体に合焦した後、半押し操作を維持している間にフォーカスリングの操作を受け付けると、合焦位置を含む画像領域を拡大表示するカメラが知られている(特許文献1)。しかし、このカメラでは、フォーカスリングの使い勝手が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によると、撮像装置は、操作されることにより第1機能の実行を指示する第1の操作部と、操作されることにより前記第1機能と異なる第2機能の実行を指示する第2の操作部と、前記第1機能と、前記第2機能と、前記第2機能および前記第2機能とは異なる第3機能とを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記第1の操作部を操作しながら前記第2の操作部が操作されると、前記第3機能を実行し、前記第3機能を実行した後、継続して前記第1の操作部を操作しながら前記第2の操作部が操作されると、前記第2機能を実行する。
第2の態様によると、撮像装置は、画像を表示し、タッチ操作されることにより第1機能の実行を指示する表示部と、操作されることにより第2機能の実行を指示する第2の操作部と、前記表示部への前記画像の表示と、前記第1機能と、前記第2機能とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記表示部をタッチ操作しながら前記第2の操作部が操作されると、拡大画像を前記表示部に表示し、前記制御部は、前記拡大画像を表示した後、継続して前記表示部をタッチ操作しながら前記第2の操作部が操作されると、前記第2機能を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】第1の実施の形態に係る撮像装置を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る撮像装置の動作例を説明するための図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る撮像装置の表示部により表示される画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の一例であるカメラ1を示す模式図である。カメラ1は、カメラボディ2と、カメラボディ2に取り付け可能なアクセサリであるレンズ部3とを有する。レンズ部3は、交換レンズである。なお、カメラ1は、カメラボディ2とレンズ部3とが一体的に構成されたカメラであってもよい。カメラ1をカメラシステムと称することもある。
【0007】
レンズ部3は、ユーザによる操作を受け付けるレンズ側操作部34を有する。レンズ側操作部34は、レンズ部3の鏡筒の外周面に設けられる操作部材35と、検出部36とを含む。操作部材35は、レンズ部3の鏡筒の周りを回転可能な環状の操作部材(操作環)であり、コントロールリング(CTLリング)とも称される。なお、操作部材35は、他の形状の部材であってもよく、ユーザにクリック感を与える部材であってもよい。操作部材35は、スイッチ(ボタン)やレバー等の操作部材であってもよい。
検出部36は、エンコーダを有し、操作部材35に対する操作(操作量、回転角度、操作方向等)を検出する。検出部36は、操作部材35の操作に応じた信号(レンズ側操作信号)を生成する。レンズ側操作部34は、生成されたレンズ側操作信号を、後述するレンズ制御部32(
図2参照)に出力する。
【0008】
(全体構成)
図2は、第1の実施の形態に係るカメラ1の構成例を示す図である。カメラボディ2には、レンズ部3が取り付けられるボディ側マウント部201が設けられる。レンズ部3には、カメラボディ2に取り付けられるレンズ側マウント部301が設けられる。レンズ側マウント部301及びボディ側マウント部201には、それぞれレンズ側接続部302、ボディ側接続部202が設けられる。レンズ側接続部302及びボディ側接続部202には、それぞれクロック信号用の端子やデータ信号用の端子、電源供給用の端子等の複数の端子が設けられている。レンズ部3は、レンズ側マウント部301及びボディ側マウント部201により、カメラボディ2に着脱可能に装着される。
【0009】
カメラボディ2にレンズ部3が装着されると、ボディ側接続部202に設けられた複数の端子とレンズ側接続部302に設けられた複数の端子とが、それぞれ電気的に接続される。これにより、カメラボディ2からレンズ部3への電力供給や、カメラボディ2及びレンズ部3間の通信が可能となる。
【0010】
(レンズ部3)
レンズ部3は、撮影光学系(結像光学系)31と、レンズ制御部32と、レンズメモリ33と、上述したレンズ側操作部34(
図1参照)とを備える。撮影光学系31は、焦点距離を変更するズームレンズ(変倍レンズ)31a及びフォーカスレンズ(焦点調節レンズ)31bを含む複数のレンズと、絞り(開口絞り)31cとを含み、カメラボディ2の撮像素子22の撮像面に被写体像を形成する。なお、
図2では、ズームレンズ31aとフォーカスレンズ31bとを模式的に図示したが、通常の撮影光学系は、一般に多数の光学素子から構成される。
【0011】
レンズ制御部32は、CPUやFPGA、ASIC等のプロセッサ、及びROMやRAM等のメモリによって構成され、制御プログラムに基づいてレンズ部3の各部を制御する。また、レンズ制御部32は、レンズ側接続部302及びボディ側接続部202の端子を介して、カメラボディ2とレンズ部3との間で双方向に情報を送受信する通信を行う。
【0012】
レンズ制御部32は、カメラボディ2のボディ制御部21から出力される信号に基づき、ズームレンズ31a、フォーカスレンズ31b、及び絞り31cの駆動を制御する。レンズ制御部32は、ボディ制御部21からフォーカスレンズ31bの移動方向及び移動量に関する信号が入力されると、その信号に基づいてフォーカスレンズ31bを光軸L方向に進退移動させて撮影光学系31の焦点位置を調節する。また、レンズ制御部32は、ボディ制御部21から出力される信号に基づき、ズームレンズ31aの位置及び絞り31cの開口径を制御する。
【0013】
また、レンズ制御部32は、ズームレンズ31aの光軸L方向の位置と、フォーカスレンズ31bの光軸L方向の位置と、絞り31cの開口径とを検出する。レンズ制御部32は、ズームレンズ31aの位置に関する情報、フォーカスレンズ31bの位置に関する情報、絞り31cの絞り値(F値)の情報などをボディ制御部21に送信する。
【0014】
レンズメモリ33は、不揮発性の記憶媒体等により構成される。レンズメモリ33には、レンズ部3に関連する情報が記憶(記録)される。レンズメモリ33には、フォーカスレンズ31bの無限遠位置や至近位置に関するデータ、レンズ部3の最短焦点距離と最長焦点距離に関するデータ、F値(絞り31cの絞り値)に関するデータ等が記憶される。レンズメモリ33へのデータの書き込み、及びレンズメモリ33からのデータの読み出しは、レンズ制御部32によって制御される。
【0015】
レンズ制御部32は、レンズ側操作部34(
図1参照)から出力されるレンズ側操作信号に基づいて、操作部材35の操作量(移動量)及び操作方向(移動方向)を算出する。本実施の形態では、レンズ制御部32は、レンズ側操作部34から出力されるレンズ側操作信号に基づき、操作部材35の回転量及び回転方向を検出する。レンズ制御部32は、検出した操作部材35の回転量及び回転方向に関する信号を、ボディ制御部21に送信する。なお、ボディ制御部21が、レンズ制御部32からレンズ側操作信号を受信し、受信したレンズ側操作信号に基づいて操作部材35の操作量(回転量)及び操作方向(回転方向)を算出するようにしてもよい。
【0016】
(カメラボディ2)
次に、カメラボディ2の構成について説明する。カメラボディ2は、ボディ制御部21と、撮像素子22と、ボディメモリ23と、表示部24と、操作部25と、操作部26とを備える。撮像素子22は、CMOSイメージセンサである。撮像素子22は、撮影光学系31を通過した光束を受光して、被写体像を撮像する。撮像素子22には、光電変換部を有する複数の画素が二次元状(行方向及び列方向)に配置される。光電変換部は、フォトダイオード(PD)によって構成される。撮像素子22は、受光した光を光電変換して信号を生成し、生成した信号をボディ制御部21に出力する。
【0017】
撮像素子22は、画像生成に用いる信号を出力する撮像画素と、焦点検出に用いる信号を出力するAF画素(焦点検出画素)とを有する。AF画素は、撮像画素の一部を置換して配置され、撮像素子22の撮像面のほぼ全面に分散して配置される。なお、撮像素子22は、CCDイメージセンサであってもよい。
【0018】
ボディメモリ23は、不揮発性の記憶媒体等により構成される。ボディメモリ23には、画像データ及び制御プログラム等が記憶される。ボディメモリ23へのデータの書き込み、及びボディメモリ23からのデータの読み出しは、ボディ制御部21によって制御される。
【0019】
表示部24は、タッチパネル付きディスプレイである。このディスプレイは、液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイ等である。表示部24は、被写体のスルー画像(ライブビュー画像)、ボディメモリ23に記憶された画像データに基づく画像、AF枠などの焦点検出領域(AFエリア)を示す画像、シャッター速度や絞り値等の撮影に関する情報、及びメニュー画面等を表示する。また、表示部24は、ユーザの指やスタイラス等による操作を受け付ける操作部としても機能する。表示部24は、ユーザの指などによる操作を検出し、操作に基づく信号をボディ制御部21へ出力する。
【0020】
操作部25は、ユーザの操作により第1の状態(半押し状態)と第2の状態(全押し状態)とに設定可能なレリーズスイッチ(レリーズSW)を用いて構成され、撮影に関連する指示に用いられる。操作部(レリーズスイッチ)25は、操作された状態に応じた信号(レリーズ操作信号)をボディ制御部21に出力する。
【0021】
操作部26は、各種の機能が割り当てられるスイッチ(ファンクションボタン)を用いて構成される。操作部(ファンクションボタン)26が操作されると、操作部26は、その操作に応じた信号をボディ制御部21に出力する。また、図示は省略するが、カメラボディ2は、電源スイッチ、メニュースイッチ、決定スイッチ、各種モードを切り換えるためのスイッチ等の各種の操作部材を有し、それぞれの操作に応じた信号がボディ制御部21に出力される。
【0022】
ボディ制御部21は、CPUやFPGA、ASIC等のプロセッサ、及びROMやRAM等のメモリによって構成され、制御プログラムに基づいてカメラ1の各部を制御する。ボディ制御部21は、撮像素子22の撮像画素から出力される信号に各種の画像処理を行って画像データを生成する。なお、ボディ制御部21は、撮像素子22のAF画素から出力される信号も用いて画像データを生成してもよい。
ボディ制御部21は、生成した画像データ(静止画用の画像データや動画用の画像データ)をボディメモリ23に記憶させる。画像処理には、例えば階調変換処理、色補間処理、輪郭強調処理等の画像処理が含まれる。
【0023】
ボディ制御部21は、撮影光学系31の自動焦点調節(AF)に必要な焦点検出処理を行う。ボディ制御部21は、撮像素子22の一対のAF画素(AF画素対)から出力される第1及び第2の信号を用いて、位相差検出方式によりデフォーカス量を算出する。第1及び第2の信号は、撮影光学系31の射出瞳の第1及び第2の領域をそれぞれ通過した第1及び第2の光束による第1及び第2の像をそれぞれ撮像して生成される信号である。ボディ制御部21は、第1の信号と第2の信号とを相関演算して、像ズレ量を算出する。ボディ制御部21は、この像ズレ量を所定の換算式に基づきデフォーカス量に換算する。ボディ制御部21は、算出したデフォーカス量に関する信号を、レンズ制御部32に出力する。レンズ制御部32は、デフォーカス量に基づきフォーカスレンズ31bを駆動する。フォーカスレンズ31bがデフォーカス量に応じて駆動されることにより、焦点調節が自動で行われる。
【0024】
また、ボディ制御部21は、位相差検出方式の焦点検出処理の代わりに、又は、それに加えて、コントラスト検出方式の焦点検出処理を行うこともできる。ボディ制御部21は、撮影光学系31のフォーカスレンズ31bを光軸L方向に移動させながら、撮像素子22から出力される信号に基づき被写体像の焦点評価値(コントラスト評価値)を順次算出する。ボディ制御部21は、レンズ部3から送信されるフォーカスレンズ31bの位置に関する情報を用いて、フォーカスレンズ31bの位置と焦点評価値との対応付けを行う。ボディ制御部21は、焦点評価値がピーク、すなわち極大値を示すフォーカスレンズ31bの位置を合焦位置として算出する。ボディ制御部21は、算出した合焦位置に関する信号を、レンズ制御部32に出力する。レンズ制御部32は、合焦位置に関する信号に基づき、フォーカスレンズ31bを合焦位置に移動して焦点調節を行う。
【0025】
ボディ制御部21は、レリーズ操作信号に基づいてレリーズスイッチ25の半押し操作を検知した場合、レンズ制御部32と共にAF処理を行う。ボディ制御部21は、レリーズ操作信号に基づいてレリーズスイッチ25の全押し操作を検知した場合には、撮像素子22から出力される信号を用いて画像データを生成し、ボディメモリ23に記憶させる。
【0026】
(機能割り当て)
ボディ制御部21は、カメラ1が有する複数の機能のうちの任意の機能をレンズ側操作部34の機能として割り当てる。ボディ制御部21が、操作部材35の機能を、複数の機能のうちの任意の機能に割り当てるともいえる。これにより、ボディ制御部21は、レンズ側操作部34から出力されるレンズ側操作信号に基づき、複数の機能を制御することができる。ユーザは、例えばメニュースイッチや決定スイッチ等の操作部材を操作することによって、レンズ側操作部34に割り当てる機能を選択する。ボディ制御部21は、選択された機能とレンズ側操作部34とを関連付ける処理を行うことにより、レンズ側操作部34の機能を設定(変更)する。レンズ側操作部34に割り当てられる機能としては、フォーカス調整(ピント調整)、露出補正、絞り値の変更、シャッター速度の変更、撮像感度(ISO感度)の変更などの種々の機能が挙げられる。ユーザがカメラ1を構えた際に操作しやすい操作部材35を操作して、様々な機能を動作させることが可能となる。
以下では、レンズ側操作部34の機能が予めフォーカス調整(MF)機能に割り当てられている場合について説明する。
【0027】
レンズ部3の操作部材35が操作されるとレンズ制御部32は、レンズ側操作部34から出力されるレンズ側操作信号を用いて操作部材35の回転方向及び回転量を算出する。レンズ制御部32は、操作部材35の回転方向及び回転量に関する信号をボディ制御部21に出力する。なお、ボディ制御部21がレンズ制御部32からレンズ側操作信号を受信し、操作部材35の回転量及び回転方向を算出するようにしてもよい。
【0028】
ボディ制御部21は、操作部材35の回転方向及び回転量に関する信号に基づいてフォーカスレンズ31bの移動方向及び移動量を決定し、フォーカスレンズ31bの移動方向及び移動量に関する信号をレンズ制御部32に出力する。レンズ制御部32は、ボディ制御部21から受信したフォーカスレンズ31bの移動方向及び移動量に関する信号に基づき、フォーカスレンズ31bを光軸Lに沿って移動させ、撮影光学系31による被写体像の結像位置を調整する。
【0029】
このように、レンズ側操作部34の機能がフォーカス調整機能に割り当てられている場合、操作部材35の操作に基づいて焦点調節が行われる。なお、上述したボディ制御部21における演算処理をレンズ制御部32で実行するようにしてもよい。レンズ制御部32は、ボディ制御部21からレンズ側操作部34に割り当てた機能を示す情報を受信して、その受信した情報と操作部材35の回転方向及び回転量を示す信号に基づき、フォーカスレンズ31bの移動方向及び移動量を決定するようにしてもよい。この場合、レンズ制御部32が決定したフォーカスレンズ31bの移動方向及び移動量に応じて、フォーカスレンズ31bの位置が変更される。
【0030】
(機能変更:フォーカス調整機能と画像拡大機能)
ボディ制御部21は、レリーズスイッチ25の操作状態に基づき、操作部材35が操作された場合に動作させる機能を変更することができる。レリーズスイッチ25の半押し状態を示すレリーズ操作信号が出力されると、ボディ制御部21は予め割り当てられたレンズ側操作部34の機能(例えばフォーカス調整機能)とは異なる機能をレンズ側操作部34から出力されるレンズ側操作信号に基づいて設定する。
【0031】
レリーズスイッチ25が半押し操作されてAF処理を含む撮影準備の処理が行われた場合、ユーザがピントの合い具合を細かく確認したいことが考えられる。そこで本実施の形態では、ボディ制御部21はレリーズスイッチ25の半押し操作を検出した場合、レンズ側操作部34にライブビュー画像の拡大表示を開始させる機能を割り当てる。ボディ制御部21は、レンズ側操作信号に基づいて操作部材35の回転量を把握し、その回転量に基づいて表示部24に画像を拡大して表示させるか否かを決定する。このように本実施の形態では、レリーズスイッチ25の半押し状態を示すレリーズ操作信号が出力されると、ボディ制御部21はレンズ側操作部34に予め割り当てられたフォーカス調整機能に代えて画像の拡大表示機能をレンズ側操作部34に割り当てる。ボディ制御部21は、レンズ側操作部34に予め割り当てられたフォーカス調整機能に関連する機能として、画像の拡大表示機能をレンズ側操作信号に基づいて制御する。
【0032】
ボディ制御部21は、レリーズスイッチ25が半押し操作された状態において操作部材35の回転量が所定の閾値を超えた場合に、表示部24に画像の拡大表示を開始させる。この場合、表示部24は、AF処理によりピントが合わせられた被写体の領域を含む領域を拡大して表示する。ボディ制御部21は、操作部材35が所定の閾値を超えて操作された場合に画像の拡大表示機能を実行するため、誤操作によって画像の拡大表示機能が実行されることを防止することができる。上述した所定の閾値は画像の拡大表示を行うか否かを判定するための基準値となる。
【0033】
画像の拡大表示の開始後に操作部材35が操作されると、ボディ制御部21は操作部材35の操作に応じてフォーカス調整機能を実行する。ボディ制御部21は、レンズ側操作部34から出力されるレンズ側操作信号に基づいてフォーカスレンズ31bの位置を制御する。なお、レリーズスイッチ25の半押しが解除された場合、ボディ制御部21は表示部24を制御して画像の拡大表示を終了させる。
【0034】
上述したように、本実施の形態に係るボディ制御部21は、レリーズスイッチ25の半押し操作が行われた場合、AF処理を行うと共にレンズ側操作部34に割り当てる機能をフォーカス調整機能から画像の拡大表示機能に変更する。そしてボディ制御部21は、操作部材35が所定量操作された場合にはAF処理によって焦点調節された画像を表示部24に拡大して表示させる。これによりユーザは、AF処理後にすぐに、AF処理によってピントが合わせられた画像を詳細に観察することができる。ユーザは、所望通りにピントが合っているか否かを確認し、撮影を行うか否かやマニュアルでのフォーカス調整を行うか否かを判断することが可能となる。
【0035】
レリーズスイッチ25の半押し操作が続けられることにより表示部24が画像の拡大表示を行っている状態において、レンズ側操作部34の機能はフォーカス調整機能に割り当てられる。このためユーザは、表示部24に拡大表示された画像を確認しながら操作部材35の操作によってピントの調整を行うことができる。ユーザは、所望の位置に対するピントの合い具合を視認してピント合わせを行うことが可能となる。カメラ1は、操作部材35の操作及びレリーズスイッチ25の操作に基づいてフォーカス調整機能と画像の拡大表示機能とを行うことができ、ユーザビリティ(利便性)を向上させることができる。
【0036】
ボディ制御部21は、レリーズスイッチ25の操作状態に基づき、操作部材35が操作された場合に実行する機能をフォーカス調整機能または画像の拡大表示機能に切り換える。このため、操作部材35の使い勝手を良くすることができる。また、ボディ制御部21は、操作部材35が操作された場合に画像の拡大表示機能およびフォーカス調整機能の両方が同時に実行されてしまうことを防ぐことができる。レリーズスイッチ25の半押し操作に応じてAF処理が行われた後、画像を拡大表示させようと操作部材35を操作したときにフォーカスレンズ31bの位置が変わって、せっかくのAF処理が無駄となることを回避できる。
【0037】
(動作例)
図3は、第1の実施の形態に係るカメラ1の動作例を説明するための図である。
図3では、同一の時間軸に操作部(レリーズSW)25の半押し操作の有無(ON/OFF)(
図3(a))と、CTLリング35の操作量(
図3(b))と、表示部24における画像の拡大表示の有無(ON/OFF)(
図3(c))と、CTLリング35に割り当てられる機能(
図3(d))とを示している。
【0038】
時刻t0から時刻t1までの期間においてはレリーズSW25は半押し操作されていない状態(OFF状態)である。また、時刻t0から時刻t1までの期間ではCTLリング35の回転操作は行われていない。時刻t0から時刻t1までの期間では、
図4(a)に示すように表示部24はボディ制御部21により繰り返し生成される画像データに基づいてライブビュー画像の表示を行う。表示部24は、画像の拡大表示を行っていない状態(OFF状態)である。なお、時刻t0から時刻t1までの期間ではCTLリング35にはフォーカス調整(ピント調整)機能が割り当てられている。
【0039】
時刻t1において、レリーズSW25の半押し操作が行われ、半押し状態を示すレリーズ操作信号がボディ制御部21に入力される。ボディ制御部21は、入力されたレリーズ操作信号に基づき、CTLリング35に割り当てる機能をフォーカス調整機能から画像の拡大表示機能に切り換える。
【0040】
レリーズSW25の半押し状態を保持したままCTLリング35の回転操作が開始され、CTLリング35の回転量が所定の閾値となる時刻t2においてボディ制御部21は表示部24に画像の拡大表示を開始させる。この場合表示部24は、
図4(b)に示すようにAF処理による焦点調節の対象の被写体の領域を含む領域40(
図4(a)参照)を拡大して表示する。拡大後は、ボディ制御部21はCTLリング35に割り当てる機能を画像の拡大表示機能からフォーカス調整機能に戻す。
【0041】
時刻t2以降では、ボディ制御部21はCTLリング35の回転量及び回転方向に基づき、フォーカスレンズ31bの移動量及び移動方向を決定する。レンズ制御部32がフォーカスレンズ31bの移動方向及び移動量に応じてフォーカスレンズ31bを駆動することにより、ピントの調整が行われる。表示部24は、
図4(c)に示すように焦点調節された画像を表示する。
【0042】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)カメラ1のボディ制御部21は、レンズ側操作部34の操作及び操作部25の操作に基づいてフォーカス調整機能と画像の拡大表示機能とを変更する。このため、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
(2)ボディ制御部21は、操作部25の操作状態に基づき、レンズ側操作部34が操作された場合に実行する機能をフォーカス調整機能または画像の拡大表示機能に切り換える。このため、レンズ側操作部34が操作された場合に画像の拡大表示機能およびフォーカス調整機能の両方が同時に実行されてしまうことを防ぐことができ、AF処理が無駄となることを回避できる。
【0043】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0044】
(変形例1)
上述した実施の形態では、ボディ制御部21は操作部(レリーズSW)25の半押し操作に基づき、レンズ側操作部34に割り当てる機能をフォーカス調整機能と画像拡大機能の間で変更する(切り換える)例について説明した。ボディ制御部21は、表示部24に対する操作に基づいてレンズ側操作部34に割り当てる機能を変更してもよい。
【0045】
本変形例は、操作部25の操作中にレンズ側操作部34の操作部材35に割り当てた機能を変更することに代えて、又はそれに加えて表示部24の操作中に操作部材35に割り当てた機能を変更するものである。例えばボディ制御部21は、ユーザにより表示部24に表示されたアイコンやAF枠がタッチされた場合にAF処理を行うと共に、レンズ側操作部34(操作部材35)に割り当てる機能をフォーカス調整機能と画像拡大機能の間で変更する。
【0046】
本変形例のように、ボディ制御部21は、表示部24から出力される信号に基づき表示部24に対してユーザの指等でタッチするタッチ操作が行われたことを検出した場合に、AF処理を行うと共にレンズ側操作部34(操作部材35)に割り当てる機能を画像の拡大表示機能に変更してもよい。
【0047】
(変形例2)
ボディ制御部21は、レンズ側操作部34に予め割り当てられた機能とは無関係にレンズ側操作部34の機能を操作部25が操作された場合に実行する機能に関連する機能に変更してもよい。操作部25の半押し操作によって実行される機能がAF機能であるときに操作部25の半押し操作が行われると、ボディ制御部21はレンズ側操作部34に予め割り当てられた機能とは無関係にレンズ側操作部34に画像の拡大表示の機能を割り当ててもよい。
【0048】
操作部25の半押し操作によって実行される機能が露出調節動作を制限または禁止する機能(AEロック)であるときに操作部25の半押し操作が行われると、ボディ制御部21は、AEロックにより設定された条件(シャッター速度や絞り値、ISO感度)での画像の表示を開始させる機能を、レンズ側操作部34に割り当ててもよい。この場合、ボディ制御部21は、操作部25が半押し操作された状態で、操作部材35の回転量が所定の閾値を超えた場合、AEロックにより設定されたシャッター速度や絞り値、ISO感度の場合の画像を、表示部24に表示させる。
【0049】
(変形例3)
ボディ制御部21は、レンズ側操作部34にISO感度の変更機能を予め割り当てておき、操作部25の半押し操作が行われた場合に、カメラ1が自動的にISO感度を調整する機能(感度自動調整)のON/OFF(有効/無効)機能を、レンズ側操作部34に割り当ててもよい。この場合、ボディ制御部21は、操作部材35の操作方向に応じて、感度自動調整のON/OFFを行ってもよい。例えば、ボディ制御部21は、操作部25の半押し操作を維持したまま、操作部材35が一方の方向に所定の閾値を超えて回転された場合、ISO感度の変更は行わずに、感度自動調整を実行(ON)する。感度自動調整の開始後に操作部材35が操作されると、ボディ制御部21は、操作部材35の操作に基づき、感度自動調整により設定可能なISO感度の範囲を変更する。
【0050】
ボディ制御部21は、操作部25の半押し操作を維持したまま、操作部材35が他方の方向に所定の閾値を超えて回転された場合、ISO感度の変更は行わずに、感度自動調整を停止(OFF)する。感度自動調整の停止後に操作部材35が操作されると、ボディ制御部21は、操作部材35の操作に応じてISO感度を変更する。
【0051】
(変形例4)
ボディ制御部21は、操作部25の半押し操作によって実行される機能がAEロック機能であるときに操作部25の半押し操作が行われた場合、操作部材35の操作方向に応じて制御する機能を変更してもよい。例えば、ボディ制御部21は、操作部25の半押し操作を維持したまま、操作部材35が一方の方向に所定の閾値を超えて回転された場合、レンズ側操作部34に露出補正機能を割り当てる。レンズ側操作部34に露出補正機能が割り当てられた後に操作部材35が操作されると、ボディ制御部21は、操作部材35の操作に基づいて露出補正を行う。
【0052】
ボディ制御部21は、操作部25の半押し操作を維持したまま、操作部材35が他方の方向に所定の閾値を超えて回転された場合、レンズ側操作部34にホワイトバランス調整機能を割り当てる。レンズ側操作部34にホワイトバランス調整機能が割り当てられた後に操作部材35が操作されると、ボディ制御部21は、操作部材35の操作に基づいてホワイトバランス調整を行う。
【0053】
なお、ボディ制御部21は、操作部25の半押し操作を維持したまま、操作部材35が他方の方向に所定の閾値を超えて回転された場合に、レンズ側操作部34に、画像のコントラストや明るさ等の画像の仕上がり具合の変更機能を割り当てるようにしてもよい。レンズ側操作部34に画像の仕上がり具合の変更機能が割り当てられた後に操作部材35が操作されると、ボディ制御部21は、操作部材35の操作に基づいて、画像の仕上がり具合を設定する。
【0054】
(変形例5)
ボディ制御部21は、操作部25の半押し操作によって実行される機能が焦点調節動作を制限または禁止する機能(AFロック)及びAEロック機能であるときに操作部25の半押し操作が行われた場合、操作部材35の操作方向に応じて制御する機能を変更してもよい。例えば、ボディ制御部21は、操作部25の半押し操作を維持したまま、操作部材35が一方の方向に所定の閾値を超えて回転された場合、表示部24に画像の拡大表示を開始させる。画像の拡大表示の開始後に操作部材35が操作されると、ボディ制御部21は、操作部材35の操作に基づいてピント調整を行う。
【0055】
ボディ制御部21は、操作部25の半押し操作を維持したまま、操作部材35が他方の方向に所定の閾値を超えて回転された場合、レンズ側操作部34に、AFロック及びAEロックにより設定された条件での画像の表示を開始させる機能を割り当てる。AFロック及びAEロックにより設定された条件での画像の表示が開始された後、操作部材35が操作されると、ボディ制御部21は、操作部材35の操作に基づいて露出補正を行う。
【0056】
(変形例6)
ボディ制御部21は、操作部(ファンクションボタン)26に対する操作に基づいて、レンズ側操作部34に割り当てる機能を変更してもよい。ボディ制御部21は、操作部26から出力される信号に基づき操作部26に対する操作が行われたことを検出した場合に、レンズ側操作部34に割り当てる機能を変更してもよい。
【0057】
(変形例7)
上記の実施の形態では、アクセサリとしてカメラの交換レンズ(レンズ部)を例に挙げて説明したが、アクセサリは交換レンズに限らない。例えば、カメラボディと交換レンズとの間に装着され、交換レンズの焦点距離を変更するテレコンバータやワイドコンバータ、接写リングなどでもよい。あるいは、上述したカメラボディのマウント規格に他のマウント規格の交換レンズを含むアクセサリを装着可能にするマウントアダプタなどにも適用できる。カメラボディのマウントに装着して使用するアクセサリであればいずれにも同様に適用できる。
【0058】
本発明は上記の内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 撮像装置、2 カメラボディ、3 レンズ部、32 レンズ側制御部、34 レンズ側操作部、21 ボディ制御部、24 表示部、25 操作部、26 操作部