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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】新規重合体及びジアミン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20230516BHJP
   C08G 69/26 20060101ALI20230516BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20230516BHJP
   C08G 73/10 20060101ALN20230516BHJP
【FI】
C07D487/04 CSP
C07D487/04 137
C08G69/26
C08G18/32 046
C08G73/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019537645
(86)(22)【出願日】2018-08-22
(86)【国際出願番号】 JP2018030918
(87)【国際公開番号】W WO2019039493
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2017160471
(32)【優先日】2017-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】森内 正人
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/015407(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/060366(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/057854(WO,A1)
【文献】特開平09-185064(JP,A)
【文献】特開昭62-108862(JP,A)
【文献】特開平06-016629(JP,A)
【文献】特開2006-070096(JP,A)
【文献】特開2008-273934(JP,A)
【文献】特表平08-504197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
C08G 73/10
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)(式(1)中、
、R、R及びRはそれぞれ独立にH、CHまたはCFを表し、但し、R、R、R及びRの内、必ず一つはCHまたはCFを表し、
は、単結合またはフェニレンを表し、フェニレンは、ハロゲン基、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基からなる第1の群から選ばれる置換基で置換されてもよく、2つのWは互いに同一でも異なっていてもよく、
はフェニレンを表し、フェニレンは、上記第1の群から選ばれる置換基で置換されてもよく、2つのWは互いに同一でも異なっていてもよく、
Lは、上記第1の群から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数~10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、L内の-CH-は、-O-、-NHCONH-、-N(Boc)CONH-、-NHCON(Boc)-、-N(Boc)CON(Boc)-からなる第2の群から選ばれる基で置き換えられていてもよく、ただし、第2の群から選ばれる基同士は、炭素原子を除く同じ原子が結合しない条件で互いに隣り合ってもよい。)
で表される構造を有するジアミンから得られる重合体であって、
前記重合体が、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリウレア、及びポリアミドから選ばれる、重合体。
【化1】
【請求項2】
前記式(1)のLが、上記第1の群から選ばれる置換基で置換されていない炭素数~10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基(ただし、L内の-CH -は、前記第2の群から選ばれる基で置き換えられていてもよく、第2の群から選ばれる基同士は、炭素原子を除く同じ原子が結合しない条件で互いに隣り合ってもよい。)ある、請求項1に記載の重合体。
【請求項3】
前記式(1)のLは、L内の-CH -の一部が-O-及び-NHCONH-からなる群から選ばれる基で置き換えられている請求項2に記載の重合体。
【請求項4】
前記重合体が、下記式[2]
(式[2]において、Aは、それぞれ独立して4価の有機基であり、Aは下記式(A2)(式(A2)中、R、R、R、R、W、W、及びLは前記式(1)と同じ意味を表す。)で表される2価の基である。R11は、水素原子、又は炭素数1~5のアルキル基であり、C~Cはそれぞれ独立して水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、又は炭素数2~10のアルキニル基である。)
で示される繰り返し単位を有する重合体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の重合体。
【化2】
【請求項5】
前記Aが下記の構造から選ばれる、請求項4に記載の重合体。
【化3】
【請求項6】
前記ジアミンは、NMPに対する飽和溶解度が5.7~36.6wt%である請求項1~5のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項7】
塗料、絶縁膜、フィルム基板、液晶配向膜、又は保護膜に用いられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項8】
下記一般式(1)
式(1)中、
、R、R及びRはそれぞれ独立にH、CHまたはCFを表し、但し、R、R、R及びRの内、必ず一つはCHまたはCFを表し、
は、単結合またはフェニレンを表し、フェニレンは、ハロゲン基、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基からなる第1の群から選ばれる置換基で置換されてもよく、2つのWは互いに同一でも異なっていてもよく、
はフェニレンを表し、フェニレンは、上記第1の群から選ばれる置換基で置換されてもよく、2つのWは互いに同一でも異なっていてもよく、
Lは、上記第1の群から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数~10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、L内の-CH-は、-O-、-NHCONH-、-N(Boc)CONH-、-NHCON(Boc)-、-N(Boc)CON(Boc)-からなる第2の群から選ばれる基で置き換えられていてもよく、ただし、第2の群から選ばれる基同士は、炭素原子を除く同じ原子が結合しない条件で互いに隣り合ってもよい。)
で表されるジアミン化合物。
【化4】
【請求項9】
前記式(1)のLが、上記第1の群から選ばれる置換基で置換されていない炭素数~10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基(ただし、L内の-CH -は、前記第2の群から選ばれる基で置き換えられていてもよく、第2の群から選ばれる基同士は、炭素原子を除く同じ原子が結合しない条件で互いに隣り合ってもよい。)ある、請求項8に記載のジアミン化合物
【請求項10】
前記式(1)のLは、L内の-CH -の一部が-O-及び-NHCONH-からなる群から選ばれる基で置き換えられている請求項9に記載のジアミン化合物。
【請求項11】
前記ジアミン化合物のNMPに対する飽和溶解度が、5.7~36.6wt%である、請求項8~10のいずれか一項に記載のジアミン化合物
【請求項12】
下記式(A)で表されるビスマレイミド化合物と、下記式(B)で表される化合物とを反応させて下記式(C)で表される化合物を得たのちに、これをイミド化して下記式(D)で表される化合物を得たのち、これを式(1)で表される化合物に変換する、ジアミンの製造方法。
【化5】
(式中、 、R 、R 及びR はそれぞれ独立にH、CH またはCF を表し、但し、R 、R 、R 及びR の内、必ず一つはCH またはCF を表し、
は、単結合またはフェニレンを表し、フェニレンは、ハロゲン基、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基からなる第1の群から選ばれる置換基で置換されてもよく、2つのW は互いに同一でも異なっていてもよく、
はフェニレンを表し、フェニレンは、上記第1の群から選ばれる置換基で置換されてもよく、2つのW は互いに同一でも異なっていてもよく、
Lは、上記第1の群から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数2~10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、L内の-CH -は、-O-、-NHCONH-、-N(Boc)CONH-、-NHCON(Boc)-、-N(Boc)CON(Boc)-からなる第2の群から選ばれる基で置き換えられていてもよく、ただし、第2の群から選ばれる基同士は、炭素原子を除く同じ原子が結合しない条件で互いに隣り合ってもよく、
QはNOまたは保護されたアミノ基を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向膜に使用する重合体の原料として有用である新規なジアミン化合物(本発明では、単に「ジアミン」ともいう)、及び該ジアミンを用いて得られる重合体に関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば、電子材料用として好適なポリイミドおよびその原料モノマーであるジアミン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリイミド樹脂は、その特長である高い機械的強度、耐熱性、絶縁性、及び耐溶剤性のために、液晶表示素子や半導体における保護材料、絶縁材料、及びカラーフィルターなどの電子材料として広く用いられている。また、最近では光導波路用材料等の光通信用材料としての用途も期待されている。
【0003】
近年、この分野の発展は目覚ましく、それに対応して、用いられる材料に対しても益々高度な特性が要求される様になっている。即ち、単に耐熱性、耐溶剤性に優れるだけでなく、用途に応じた性能を多数合わせ有することが期待されている
しかしながら、ポリイミド、特に全芳香族ポリイミド樹脂の代表例として多用されているピロメリット酸無水物(PMDA)と4,4’-ジオキシアニリン(ODA)から製造されるポリイミド(カプトン:商品名)においては、溶解性が乏しく、溶液として用いることは出来ないため、ポリアミック酸と呼ばれる前駆体を経て、加熱し脱水反応させることで得ている。
【0004】
また溶媒溶解性を有するポリイミド(以下可溶性ポリイミド)においては、従来多用されてきた溶解度の高いN-メチル-2-ピロリドン(NMP)やγ―ブチロラクトン等のアミド系やラクトン系有機溶媒は高沸点のため、溶媒を除去するためには高温焼成が避けられなかった。
【0005】
液晶表示素子分野では、近年プラスチック基板を用いたフレキシブル液晶表示素子の研究開発が行われており、高温焼成になると素子構成成分の変質が問題になってくるため、近年低温焼成が望まれるようになった。
一方で、高い溶媒溶解性を示すポリアミック酸では十分な液晶表示特性が得られずイミド化に起因した体積変化も起こりやすいという問題点もあり、沸点の低い有機溶媒類に対して可溶であるポリイミドが望まれるようになってきた。
その解決策として、有機溶媒溶解性に有利な脂環式ジカルボン酸無水物を利用したテトラカルボン酸二無水物の合成法が考えられる。その一例として、無水トリメリット酸クロライドや、無水核水添トリメリット酸クロライドを原料として用いることにより、さまざまな酸二無水物を製造することが知られている(例えば、特許文献1)。
【0006】
一方、ジアミンについては、上記の酸二無水物の例と同様に、安価な原料を用いて各種特性を付与する方法はこれまで知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO2006/129771号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
イミド環を有するジアミンはこれまでいくつか報告されてきたが、いずれも溶解性が低いため、ジアミンが溶解しない、または、分子量が伸びないといった点が指摘されていた。
本発明は、安価で入手性の高い市販の原料を用いることにより、ジアミンと酸二無水物から得られるポリアミック酸のポリマーをイミド化しなければ得られない各種特性を容易に付与することが可能な高溶解性のジアミンの製造方法及び得られるジアミン、ならびに、それから得られる新規重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を有する既存のジアミン化合物と、安価で入手性の高い市販の化合物を原料にして、ジアミンと酸二無水物から得られるポリアミック酸のポリマーをイミド化しなければ得られない各種特性を容易に付与しうる重合体の製造方法を見出し、発明を完成した。
本発明は、かかる知見に基づくものであり、下記を要旨とするものである。
【0010】
<1> 下記一般式(1)で表されるジアミン化合物。
【0011】
【化1】
【0012】
式(1)中、
、R、R及びRはそれぞれ独立に、H、CHまたはCFを表し、但し、R、R、R及びRの内、必ず一つはCHまたはCFを表し、
は、単結合またはフェニレンを表し、フェニレンは、ハロゲン基、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(アルキル基は、各々独立に、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である)、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のエステル基、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ニトロ基、Boc保護したアミノ基からなる第1の群から選ばれる置換基で置換されてもよく、2つのWは互いに同一でも異なっていてもよく、
はフェニレンを表し、フェニレンは、上記第1の群から選ばれる置換基で置換されてもよく、2つのWは互いに同一でも異なっていてもよく、
Lは、上記第1の群から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、L内の-CH-は、-CH=CH-、-C≡C-、-CF-、-C(CF-、-O-、-NHCO-、-CONH-、-COO-、-OCO-、-NH-、-N(CH)-、-NHCONH-、-N(Boc)CONH-、-NHCON(Boc)-、-N(Boc)CON(Boc)-、-NHCOO-、-OCONH-、-CO-、-S-、-SO-、-N(Boc)-、-Si(CHOSi(CH-、-Si(CHOSi(CHOSi(CH-、ピペリジン環及びピペラジン環からなる第2の群から選ばれる基で置き換えられていてもよく、ただし、第2の群から選ばれる基同士は、炭素原子を除く同じ原子同士が結合しない条件で互いに隣り合ってもよい。
<2> 上記式(1)で表されるジアミン化合物から得られる、重合体。
【発明の効果】
【0013】
本発明の重合体を含有する液晶配向剤を用いることにより、電圧保持率およびラビング耐性が高く、蓄積した電荷を速く緩和させることが可能である液晶配向膜、および表示特性に優れた液晶表示素子が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は前記したように、式(1)で表されるジアミン化合物(以下、特定ジアミンということがある)、及びそのジアミン化合物から得られる重合体に関する。
また、本発明の液晶配向剤は、上記式(1)で表される構造を有するジアミンから得られる重合体(以下、特定重合体とも言う)を含有する液晶配向剤である。
以下、各条件につき詳述する。
【0015】
<特定ジアミン>
前記したように、本発明によるジアミン化合物は、式(1)で表される。ここで式(1)の各置換基は下記の通り定義される。
【0016】
、R、R及びRはそれぞれ独立にH、CHまたはCFを表し、但し、R、R、R及びRの内、必ず一つはCHまたはCFを表し、
は、単結合またはフェニレンを表し、フェニレンは、ハロゲン基、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(アルキル基は、各々独立に、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である)、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のエステル基、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ニトロ基、Boc保護したアミノ基からなる第1の群から選ばれる置換基で置換されてもよく、2つのWは互いに同一でも異なっていてもよく、
はフェニレンを表し、フェニレンは、上記第1の群から選ばれる置換基で置換されてもよく、2つのWは互いに同一でも異なっていてもよく、
Lは、上記第1の群から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、L内の-CH-は、-CH=CH-、-C≡C-、-CF-、-C(CF-、-O-、-NHCO-、-CONH-、-COO-、-OCO-、-NH-、-N(CH)-、-NHCONH-、-N(Boc)CONH-、-NHCON(Boc)-、-N(Boc)CON(Boc)-、-NHCOO-、-OCONH-、-CO-、-S-、-SO-、-N(Boc)-、-Si(CHOSi(CH-、-Si(CHOSi(CHOSi(CH-、ピペリジン環及びピペラジン環からなる第2の群から選ばれる基で置き換えられていてもよく、ただし、第2の群から選ばれる基同士は、炭素原子を除く同じ原子同士が結合しない条件で互いに隣り合ってもよい。
【0017】
、R、R及びRはそれぞれ独立にH、CHまたはCFを表し、但し、R、R、R及びRの内、必ず一つはCHまたはCFを表す。
なかでも、R及びRがCHまたはCFを表し、R及びRが水素原子を表すことが好ましく、より好ましくは、R及びRがメチル基を表し、R及びRが水素原子を表すものは溶解性が高いという点から好ましい。
【0018】
としては、単結合または1,4-フェニレン基が好ましい。
としては、1,4-フェニレン基が好ましい。
【0019】
Lの炭素原子数1乃至10のアルキレンとしては、直鎖であっても分岐であってもよく、-(CH2-(但し、nは1乃至10)で表される直鎖のアルキレンや、1-メチルメタン-1,1-ジイル、1-エチルメタン-1,1-ジイル、1-プロピルメタン-1,1-ジイル、1-メチルエタン-1,2-ジイル、1-エチルエタン-1,2-ジイル、1-プロピルエタン-1,2-ジイル、1-メチルプロパン-1,3-ジイル、1-エチルプロパン-1,3-ジイル、1-プロピルプロパン-1,3-ジイル、2-メチルプロパン-1,3-ジイル、2-エチルプロパン-1,3-ジイル、2-プロピルプロパン-1,3-ジイル、1-メチルブタン-1,4-ジイル、1-エチルブタン-1,4-ジイル、1-プロピルブタン-1,4-ジイル、2-メチルブタン-1,4-ジイル、2-エチルブタン-1,4-ジイル、2-プロピルブタン-1,4-ジイル、1-メチルペンタン-1,5-ジイル、1-エチルペンタン-1,5-ジイル、1-プロピルペンタン-1,5-ジイル、2-メチルペンタン-1,5-ジイル、2-エチルペンタン-1,5-ジイル、2-プロピルペンタン-1,5-ジイル、3-メチルペンタン-1,5-ジイル、3-エチルペンタン-1,5-ジイル、3-プロピルペンタン-1,5-ジイル、1-メチルへキサン-1,6-ジイル、1-エチルへキサン-1,6-ジイル、2-メチルへキサン-1,6-ジイル、2-エチルへキサン-1,6-ジイル、3-メチルへキサン-1,6-ジイル、3-エチルへキサン-1,6-ジイル、1-メチルヘプタン-1,7-ジイル、2-メチルヘプタン-1,7-ジイル、3-メチルヘプタン-1,7-ジイル、4-メチルヘプタン-1,7-ジイル、1-フェニルメタン-1,1-ジイル、1-フェニルエタン-1,2-ジイル、1-フェニルプロパン-1,3-ジイル等の分岐アルキレンが挙げられる。
【0020】
これら直鎖又は分岐のアルキレン(-CH-)は、-CH=CH-、-C≡C-、-CF-、-C(CF-、-O-、-NHCO-、-CONH-、-COO-、-OCO-、-NH-、-N(CH)-、-NHCONH-、-N(Boc)CONH-、-NHCON(Boc)-、-N(Boc)CON(Boc)-、-NHCOO-、-OCONH-、-CO-、-S-、-SO-、-N(Boc)-、-Si(CHOSi(CH-、-Si(CHOSi(CHOSi(CH-、ピペリジン環、及びピペラジン環なる第2の群から選ばれる基に置き換えられていても良い。
【0021】
ただし、このとき、第2の群から選ばれる基同士は、炭素原子を除く同じ原子が結合しない条件で互いに隣り合ってもよい。換言すると、アルキレンを置き換えることができる第2の群から選ばれる基が複数ある場合に、第2の群から選ばれる基同士の間の結合部が、炭素原子を除く同じ原子で結合することとなる場合には、第2の群から選ばれる基同士は隣り合うことはできない。第2の群から選ばれる基同士の間の結合部が、炭素原子同士であるか、又は、互いに異なる原子で結合するのであれば、第2の群から選ばれる基同士が結合することができる。好ましくは、第2の群から選ばれる基同士の間の結合部が、炭素原子同士であれば、第2の群から選ばれる基同士が結合することができる。
本発明の別の態様によれば、第2の群から選ばれる基同士が互いに隣り合うことはない。
【0022】
-L-Wの好ましい構造としては、下記の構造が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
<特定ジアミンの製造方法>
以下に、前述したジアミンを得る方法について説明する。
本発明の特定ジアミンを合成する方法は特に限定されないが、例えば、下記式(A)で表されるビスマレイミド化合物と、下記式(B)で表される化合物とを反応させて下記式(C)で表される化合物を得たのちに、これをイミド化して下記式(D)で表される化合物を得たのち、これを式(1)で表される化合物に変換する方法を挙げることができる。
【0031】
【化9】
【0032】
式中、R、R、R、R、W、W、及びLは前記の意味を表し、QはNOまたは保護されたアミノ基(NHPro)を表す。
【0033】
アミノ基の保護基(Pro)としては、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基、tert-ブトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジエチルシリル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基、フタロイル基、アリルオキシカルボニル基、p-トルエンスルホニル基、o-ニトロベンゼンスルホニル基等が使用できるが、これらに限定はされない。
【0034】
式(B)で表される化合物の使用量は、式(A)で表される化合物の1モルに対して、2モル乃至4モルであるのが好ましく、2モル乃至2.5モルであるのがさらに好ましい。式(B)で表される化合物を過剰量とすることにより、反応を円滑に進行させ、なおかつ副生物を抑制することができる。
【0035】
本反応は、好ましくは溶媒中で行われる。
溶媒は、各原料と反応しない溶媒であれば、制限なく使用することができる。例えば、DMF、DMSO、DMAc、NMPなどの非プロトン性極性有機溶媒;EtO、i-PrO、THF(テトラヒドロフラン)、TBME(tert-ブチルメチルエーテル)、CPME(シクロペンチルメチルエーテル)、ジオキサンなどのエーテル類;ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどの低級脂肪酸エステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;などが使用できる。
【0036】
これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。必要に応じて、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて溶媒を乾燥し、非水溶媒として用いることもできる。
【0037】
溶媒の使用量(反応濃度)は特に限定されないが、ビスマレイミド化合物に対し、0.1~100質量倍である。好ましくは0.5~30質量倍であり、さらに好ましくは1~10質量倍である。
【0038】
反応温度は特に限定されないが、-100℃から使用する溶媒の沸点までの範囲、好ましくは、-50~150℃である。反応時間は、通常0.05~350時間、好ましくは0.5~100時間である。
【0039】
本反応は必要に応じて、無機塩基や有機塩基の存在下において、反応することができる。
反応に使用する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどの無機塩基;tert-ブトキシナトリウム、tert-ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリン、コリジンなどのアミンを使用できる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジン、tert-ブトキシナトリウム、tert-ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどが好ましい。
【0040】
塩基の使用量としては特に限定されないが、ビスマレイミド化合物に対し、0.1~100質量倍である。好ましくは0~30質量倍であり、さらに好ましくは0~10質量倍である。
【0041】
式(D)で表される化合物は、式(C)で表される化合物をイミド化することにより得ることができる。
イミド化する場合、アミン成分とビスマレイミド化合物との反応で得られた式(C)で表される化合物の溶液に触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程でPro基の分解が起こりにくいので好ましい。
【0042】
化学的イミド化は、イミド化させたい化合物を、有機溶媒中において塩基性触媒と酸無水物の存在下で攪拌することにより行うことができる。本反応に用いる有機溶媒は、溶解性からN,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトンなどが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0043】
化合物の濃度は、化合物の析出が起こりにくいという観点から、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。
【0044】
塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
イミド化反応を行うときの温度は、-20~140℃、好ましくは0~100℃であり、反応時間は1~100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸基の0.5~30倍モル、好ましくは2~20倍モルであり、酸無水物の量はアミック酸基の1~50倍モル、好ましくは3~30倍モルである。
【0045】
QがNOである場合に式(D)で表される化合物を還元して式(1)で表される特定ジアミンを製造する際の条件を以下に述べる。
【0046】
還元反応に用いられる触媒は、市販品として入手できる活性炭担持金属が好ましく、例えば、パラジウム-活性炭、白金-活性炭、ロジウム-活性炭などが挙げられる。また、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケルなど必ずしも活性炭担持型の金属触媒でなくてもよい。一般的に広く使用されているパラジウム-活性炭が、良好な結果が得られるので好ましい。
これらの反応は、水素雰囲気下、常圧、または加圧条件下で行なわれる。また、鉄, スズ, 亜鉛などの金属、もしくはこれらの金属塩をプロトン源と共に使用してニトロ基の還元を行ってもよい。金属と金属塩は単体で、もしくは2種類以上を混合して使用しても良い。
【0047】
プロトン源としては、塩酸などの酸、塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩、メタノール、エタノールなどのプロトン性溶媒が使用できる。
【0048】
還元反応をより効果的に進行させるため、活性炭の共存下で反応を実施することもある。この時、使用する活性炭の量は特に限定されないが、ジニトロ化合物(D)に対して1~30質量%の範囲が好ましく、10~20質量%がより好ましい。また、還元反応をより効果的に進行させるため、加圧下で反応を実施する場合もある。この場合、ベンゼン核の還元を避けるため、20気圧までの加圧範囲で行う。好ましくは10気圧までの範囲で反応を実施する。
【0049】
溶媒は、各原料と反応しない溶媒であれば、制限なく使用することができる。例えば、DMF、DMSO、DMAc、NMPなどの非プロトン性極性有機溶媒;EtO、i-PrO、TBME、CPME、THF、ジオキサンなどのエーテル類;ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどの低級脂肪酸エステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;などが使用できる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。必要に応じて、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて溶媒を乾燥し、非水溶媒として用いることもできる。
【0050】
溶媒の使用量(反応濃度)は特に限定されないが、ジニトロ化合物に対し、0.1~100質量倍である。好ましくは0.5~30質量倍であり、さらに好ましくは1~10質量倍である。
反応温度は特に限定されないが、-100℃から使用する溶媒の沸点までの範囲、好ましくは、-50~150℃である。反応時間は、通常0.05~350時間、好ましくは0.5~100時間である。
【0051】
Qが保護されたアミン(NHPro)である場合に式(D)で表される化合物を脱保護して式(1)で表される特定ジアミンを製造する際の条件を以下に述べる。
【0052】
保護基の脱保護の方法としては、特に限定はされないが、酸または塩基存在下、加水分解後に中和することによって目的物を得ることが可能である。使用する酸の例としては、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸や蟻酸、酢酸、蓚酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸が挙げられ、使用する塩基の例としては、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどの無機塩基、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリン、コリジンなどの有機アミン類等を使用してもよい。また、塩化アルミニウムや、トリフルオロボランージエチルエーテル錯体等のルイス酸化合物を用いて脱保護を行っても良い。また、水素雰囲気下の脱ベンジル化反応を行ってもよい。また、フッ化水素酸、フッ化セシウム、フッ化カリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド等のようなフッ素を含む酸、無機塩基、またはアンモニウム塩等を用いてもよい。
【0053】
溶媒に関しては、加水分解を妨げない溶媒であれば使用することができ、DMF,DMSO,DMAc,NMPなどの非プロトン性極性有機溶媒、EtO,i-PrO,TBME,CPME,THF,ジオキサンなどのエーテル類、ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどの低級脂肪酸エステル類、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノールなどのアルコール類、または、水が使用できる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、この場合、上記溶媒は1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また、ルイス酸の使用等を考慮し、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
【0054】
反応温度は-100℃から使用する溶媒の沸点までの範囲で任意の温度を選択することができるが、好ましくは-50~150℃の範囲である。反応時間は0.1~1000時間の範囲で任意に選択することができる。
【0055】
[式(B)の製法]
式(B)で表される化合物のうち、QがNHProである化合物(B1)は、下記式(B1-1)で表されるジアミンと、アミンの保護基(Pro)の酸クロリドもしくは、酸無水物等とを反応させることにより得られる。このとき、ジアミン(B1-1)としては、反応の複雑化を抑制する観点から、対称なジアミンであることが好ましい。式中、W、W、L、Proは前記の意味を表す。
【0056】
【化10】
【0057】
(Pro)-Clとしては、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸n-プロピル、クロロギ酸i-プロピル、クロロギ酸n-ブチル、クロロギ酸i-ブチル、クロロギ酸t-ブチル、クロロギ酸ベンジル、クロロギ酸-9-フルオレニル、アセチルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド、ピバロイルクロリド、tert-ブトキシカルボニルクロリド、エトキシカルボニルクロリド、イソプロポキシカルボニルクロリド、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルクロリド、ベンジルオキシカルボニル基クロリド、トリメチルシリルクロリド、トリエチルシリルクロリド、ジメチルフェニルシリルクロリド、tert-ブチルジメチルシリルクロリド、tert-ブチルジエチルシリルクロリド、9-フルオレニルメチルオキシカルボニルクロリド、フタロイルクロリド、アリルオキシカルボニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリド、o-ニトロベンゼンスルホニルクロリド等が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0058】
(Pro)Oとしては、二炭酸ジメチル、二炭酸ジエチル、二炭酸ジt-ブチル、二炭酸ジベンジルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
上記の式(B1)で表わされる化合物を得る反応は、好ましくは塩基の存在下に行われる。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどの無機塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリン、コリジンなどのアミン類;水素化ナトリウム、水素化カリウム、tert-ブトキシナトリウム、tert-ブトキシカリウムなどが使用できる。塩基を使用する場合は、反応の後処理の操作性を考慮し、アミン類の使用が好ましい。
【0060】
反応溶媒としては、反応条件下において安定であり、不活性で、目的とする反応を妨げない溶媒であればいずれも使用できる。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセテート、N-メチルピロリドンなどの非プロトン性極性有機溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、THF、TBME、CPME、ジオキサンなどのエーテル;ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどの低級脂肪酸エステル;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどのニトリルなどが使用できる。
【0061】
これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。上記溶媒は、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて水を含有しない溶媒として用いることもできる。
【0062】
反応温度は、好ましくは、-100 ℃以上から使用する反応溶媒の沸点の温度までの温度範囲を選ぶことができるが、より好ましくは、-50~150 ℃、特に好ましくは0~60℃である。反応時間は、0.1~1000時間、より好ましくは0.5~50時間である。
【0063】
上記反応式(1)により得られた式2で表わされる化合物は、蒸留、再結晶、又はシリカゲルなどのカラムクロマトグラフィーなどで精製してもよいが、精製せずにそのまま次工程に用いてもよい。
【0064】
式(B)で表される化合物のうち、QがNOである化合物(B2)は、下記式(B2-1)で表される化合物を脱保護することで得られる。脱保護の条件としては、前記の方法を用いることができる。式中、W、W、L、Proは前記の意味を表す。
【0065】
【化11】
【0066】
また、式(B2-1)で表される化合物は、下記式(B2-3)で表されるハロゲン化およびスルホニル化{メタンスルホニル(OMs)、エタンスルホニル(OEs)、p-トルエンスルホニル(OTs)、トリフルオロメタンスルホニル(OTf)等}された化合物と、下記式(B2-4)で表されるニトロ化されたフェノールとを反応させることにより得られる。式中、W、Wは前記の意味を表し、Lは前記LからCH(厳密にいうと酸素原子で置き換えられたCH)をひとつ取り去ったアルキレンを表す。
【0067】
【化12】
【0068】
本工程の反応において出発原料として用いる式(B2-3)で表される化合物と、式(B2-4)で表されるニトロ化されたフェノールは市販品として入手するか、公知の方法により製造することが出来る。
【0069】
反応形式は、回転式(バッチ式)、流通式のいずれでも良い。
反応は、塩基存在下で行うことが好ましい。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩、リン酸カリウム、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン等の有機塩基等を式(B2-3)で表される化合物に対して1~4当量用いることができる。
中でも、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩が好ましい。特に、微粉末炭酸カリウムを用いると、反応性が向上するので好ましい。市販されている微粉末炭酸カリウムとしては、FG-F20(旭硝子株式会社製)(登録商標)等がある。
【0070】
反応溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドンが好ましく、N-メチルピロリドンが特に好ましい。
【0071】
反応温度は、例えば-10~100℃、好ましくは0~80℃である。
反応時間は、バッチ処理の場合には0.5~20時間、好ましくは1~15時間である。
本反応は、好ましくは溶媒中で行われる。好ましい溶媒や反応条件は、上記化合物(1)の製造条件と同様である。
上記各反応により得られた各段階における目的物は、蒸留、再結晶、又はシリカゲルなどのカラムクロマトグラフィーなどで精製してもよいし、精製せずに、反応液のまま次の段階に供することもできる。
【0072】
<重合体>
本発明の重合体は、上記ジアミンを用いて得られる重合体である。具体例としては、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリウレア、ポリアミドなどが挙げられる。
【0073】
<ジイソシアネート成分>
上記一般式(1)で表されるジアミンとの反応によりポリアミドを与えるジイソシアネート成分として、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。好ましいジイソシアネート成分は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートである。
【0074】
ここで、芳香族ジイソシアネートとは、ジイソシアネート構造(O=C=N-Y-N=C=O)の基Yが、芳香族環を含む構造を含むものをいう。また脂肪族ジイソシアネートとは、前記イソシアネート構造の基Yが、環状または非環状の脂肪族構造からなるものをいう。
【0075】
芳香族ジイソシアネートの具体例としては、o-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート類(例えば、2,4-ジイソシアン酸トリレン)、1,4-ジイソシアン酸-2-メトキシベンゼン、2,5-ジイソシアン酸キシレン類、2,2’-ビス(4-ジイソシアン酸フェニル)プロパン、4,4’-ジイソシアン酸ジフェニルメタン、4,4’-ジイソシアン酸ジフェニルエーテル、4,4’-ジイソシアン酸ジフェニルスルホン、3,3’-ジイソシアン酸ジフェニルスルホン、2,2’-ジイソシアン酸ベンゾフェノン等が挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、好ましくは、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,4-ジイソシアン酸トリレンが挙げられる。
【0076】
脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルエチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、好ましくは、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。なかでも、イソホロンジイソシアネートと2,4-ジイソシアン酸トリレンが重合反応性の観点から好ましく、さらに、イソホロンジイソシアネートが、入手性、重合反応性の観点からより好ましい。
【0077】
<テトラカルボン酸二無水物>
上記一般式(1)で表されるジアミンとの反応によりポリイミド(前駆体)を与える成分であるテトラカルボン酸二無水物は、下記式(X)で表される。
【0078】
【化13】
【0079】
はテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、その構造は特に限定されるものではない。また、ポリイミド前駆体中のXは、重合体の溶媒への溶解性や液晶配向剤として用いる場合の塗布性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷など、必要とされる特性の程度に応じて適宜選択され、同一重合体中に1種類であってもよく、2種類以上が混在していても良い。
【0080】
の具体例をあえて示すならば、国際公開公報2015/119168の13項~14項に掲載される、式(X-1)~(X-46)の構造などが挙げられる。
【0081】
以下に、好ましいXの構造を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0082】
【化14】
【0083】
<ジカルボン酸>
上記一般式(1)で表されるジアミンとの反応によりポリアミドを与えるジカルボン酸成分を構築するためのモノマー化合物の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2-メチル-イソフタル酸、4-メチル-イソフタル酸、5-メチル-イソフタル酸、5-アリルオキシイソフタル酸、5-アリルオキシカルボニルイソフタル酸、5-プロパギルオキシイソフタル酸、5-アセチルオキシイソフタル酸、5-ベンゾイルアミドイソフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、メチルテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,6-アントラセンジカルボン酸、1,6-アントラセンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、3,4’-ジカルボキシビフェニル、2,3’-ジカルボキシビフェニル、2,4’-ジカルボキシビフェニル、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、3,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、2,3’-ジカルボキシジフェニルエーテル、2,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3’-ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジカルボキシビフェニル、4,4’-ジメチル-3,3’-ジカルボキシビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジカルボキシビフェニル、3,3’-ジメトシキ-4,4’-ジカルボキシビフェニル、4,4’-ジメトシキ-3,3’-ジカルボキシビフェニル、2,2’-ジメトシキ-4,4’-ジカルボキシビフェニル、4,4’-ジカルボキシベンゾフェノン、3,4’-ジカルボキシベンゾフェノン、3,3’-ジカルボキシベンゾフェノン、4,4’-ジカルボキシジフェニルメタン、3,4’-ジカルボキシジフェニルメタン、3,3’-ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’-ジカルボキシジフェニルアミド、3,4-ジカルボキシジフェニルアミド、4,4’-ジカルボキシジフェニルスルホン、3,4’-ジカルボキシジフェニルスルホン、3,3’-ジカルボキシジフェニルスルホン、2,2’-ジカルボキシジフェニルプロパン、1,4-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ベンゼン、N-[3{(4-カルボキシフェニル)カルボニルアミノ}フェニル](4-カルボキシフェニル)ホルムアミド、N-[4{(4-カルボキシフェニル)カルボニルアミノ}フェニル](4-カルボキシフェニル)ホルムアミド、4,4’-(4-カルボキシフェノキシフェニル)メタン、4,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2’-ビス[4-(4-カルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’-ビス[4-(4-カルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,5-ビス(4-カルボキシフェニル)ペンタン、1,4-ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、1,3-ビス(4-カルボキシフェニル)プロパン、4,4’-ジ(カルボキシフェニル)ペンタン-1,5-ジオエート、4,4’-ジ(カルボキシフェニル)ヘキサン-1,6-ジオエート、4,4’-ジ(カルボキシフェニル)ヘプタン-1,7ジオエート等の芳香族あるいは芳香族含有ジカルボン酸及びこれらの酸ハロゲン化物並びにアルキルエステル化物が挙げられる。
【0084】
更には1,3-ジカルボキシシクロヘキサン、1,4-ジカルボキシシクロヘキサン、1,2-ジカルボキシシクロブタン、1,3-ジカルボキシシクロブタン、ビス(4-カルボキシシクロヘキシル)メタン、ビス(4-カルボキシ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-カルボキシシクロヘキシル)エーテル、ビス(4-カルボキシ-3-メチルシクロヘキシル)エーテル等の脂環式ジカルボン酸及びこれらの酸ハロゲン化物並びにアルキルエステル化物が挙げられ、またこれらの2種類以上の混合物を使用することもできる。
【0085】
上記式(1)で表されるジアミン化合物を含むジアミン成分との重合反応により、本願発明の重合体を得るにあたっては、公知の合成手法を用いることができる。一般的にはジイソシアネート成分、ジカルボン酸成分及びテトラカルボン酸成分から選ばれる少なくとも一種とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる方法である。ジイソシアネート成分、ジカルボン酸成分及びテトラカルボン酸成分から選ばれる少なくとも一種とジアミン成分との反応は、有機溶媒中で比較的容易に進行し、かつ副生成物が発生しない点で有利である。
【0086】
ジイソシアネート成分、ジカルボン酸成分及びテトラカルボン酸成分から選ばれる少なくとも一種とジアミン成分との反応に用いる有機溶媒としては、生成した重合体が溶解するものであれば特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
【0087】
ここで使用可能な有機溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、γ-ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n-へキサン、n-ペンタン、n-オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチルエチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
【0088】
また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害する原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
【0089】
ジイソシアネート成分、ジカルボン酸成分及びテトラカルボン酸成分から選ばれる少なくとも一種とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、ジイソシアネート成分、ジカルボン酸成分及びテトラカルボン酸成分から選ばれる少なくとも一種をそのまま、または有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にジイソシアネート成分、ジカルボン酸成分及びテトラカルボン酸成分から選ばれる少なくとも一種を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、ジイソシアネート成分、ジカルボン酸成分及びテトラカルボン酸成分体から選ばれる少なくとも一種とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられ、これらのいずれの方法を用いても良い。また、ジイソシアネート成分、ジカルボン酸成分及びテトラカルボン酸成分から選ばれる少なくとも一種またはジアミン成分が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させても良く、個別に順次反応させても良く、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させ高分子量体としても良い。
【0090】
その際の重合温度は-20℃から150℃の任意の温度を選択することができるが、好ましくは-5℃から100℃の範囲である。また、反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となるので、ジイソシアネート成分、ジカルボン酸成分及びテトラカルボン酸成分から選ばれる少なくとも一種とジアミン成分の反応溶液中での合計濃度が、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加することができる。
【0091】
本願発明の重合体の重合反応においては、ジイソシアネート成分、ジカルボン酸成分及びテトラカルボン酸成分から選ばれる少なくとも一種の合計モル数と、ジアミン成分の合計モル数の比は0.8~1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1.0に近いほど生成する重合体の分子量は大きくなる。
【0092】
本願発明の重合体の反応溶液から、生成した重合体を回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して沈殿させれば良い。沈殿に用いる貧溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセロソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、水などを挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させた重合体は濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2~10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒として、例えば、アルコール類、ケトン類、炭化水素などが挙げられ、これらの内から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
【0093】
このような本願発明の重合体のうち、ポリウレアは、例えば、下記式[1]で示される繰り返し単位を有する重合体である。
【0094】
【化15】
【0095】
(式[1]中、Aは2価の有機基であり、Aは下記式(A2)で表される2価の基であり、
【0096】
【化16】
【0097】
式(A2)中、R、R、R、R、W、W、及びLは前記の意味を表し、C及びCは水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、それぞれ同じであっても異なってもよい。)
【0098】
上記式[1]において、AおよびAがそれぞれ1種類であり同一の繰り返し単位を有する重合体でもよく、また、AやAが複数種であり異なる構造の繰り返し単位を有する重合体でもよい。
【0099】
上記式[1]において、Aは原料であるジイソシアネート成分に由来する基である。また、Aは原料であるジアミン成分に由来する基である。
【0100】
本発明の好ましい態様によれば、Aとしては上記で挙げた好ましいジイソシアネート成分に由来する基が好ましい。
【0101】
ポリイミド前駆体は、例えば、下記式[2]で示される繰り返し単位を有する重合体である。
【0102】
【化17】
【0103】
式[2]において、Aは、それぞれ独立して4価の有機基であり、Aは上記式(A2)で表される2価の基である。R11は、水素原子、又は炭素数1~5のアルキル基であり、C~Cはそれぞれ独立して水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、又は炭素数2~10のアルキニル基である。
【0104】
11における上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基などが挙げられる。加熱によるイミド化のしやすさの観点から、R11は、水素原子、又はメチル基が好ましい。
【0105】
ポリアミドは、例えば、下記式[3]で示される繰り返し単位を有する重合体である。
【0106】
【化18】
【0107】
式[3]において、Aは、それぞれ独立してジカルボン酸に由来する2価の有機基であり、A、C及びCは上記の通りである。
【0108】
なお、本発明の重合体を製造する際に、ジイソシアネート成分、ジカルボン酸成分及びテトラカルボン酸成分のうち2種または3種を同時に、または順次反応させてもよく、例えば、ジイソシアネート成分とテトラカルボン酸成分とを反応させた場合は、上記式[1]で示される繰り返し単位と上記式[2]で示される繰り返し単位とを有する重合体であるポリウレアポリアミック酸が得られる。
【0109】
<ポリアミック酸の製造方法>
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸は、以下に示す方法により合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを有機溶媒の存在下で-20~150℃、好ましくは0~70℃において、30分~24時間、好ましくは1~12時間反応させることによって合成できる。
【0110】
上記の反応に用いる有機溶媒は、モノマーおよび重合体の溶解性からN,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトンなどが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0111】
重合体の濃度は、重合体の析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。
【0112】
上記のようにして得られたポリアミック酸は、反応溶液をよく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させて回収することができる。また、析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで精製されたポリアミック酸の粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられ、水、メタノール、エタノール、2-プロパノールなどが好ましい。
【0113】
<ポリイミドの製造方法>
本発明に用いられるポリイミドは、前記ポリアミック酸をイミド化することにより製造することができる。
ポリアミック酸からポリイミドを製造する場合、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られた前記ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の課程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
【0114】
化学的イミド化は、イミド化させたい重合体を、有機溶媒中において塩基性触媒と酸無水物の存在下で攪拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
【0115】
イミド化反応を行うときの温度は、-20~140℃、好ましくは0~100℃であり、反応時間は1~100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はポリアミック酸基の0.5~30倍モル、好ましくは2~20倍モルであり、酸無水物の量はポリアミック酸基の1~50倍モル、好ましくは3~30倍モルである。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。
ポリアミック酸のイミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向剤とすることが好ましい。
【0116】
上記のようにして得られるポリイミドの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製された重合体の粉末を得ることができる。
【0117】
前記貧溶媒は、特に限定されないが、メタノール、2-プロパノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられ、メタノール、エタノール、2-プロパノール、アセトンなどが好ましい。
【0118】
<ポリイミド前駆体-ポリアミック酸エステルの製造>
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸エステルは、以下に示す(i)、(ii)又は(iii)の製法で製造することができる。
【0119】
(i)ポリアミック酸から製造する場合
ポリアミック酸エステルは、前記のように製造されたポリアミック酸をエステル化することによって製造できる。具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶剤の存在下で-20℃~150℃、好ましくは0℃~50℃において、30分~24時間、好ましくは1~4時間反応させることによって製造することができる。
【0120】
エステル化剤としては、精製によって容易に除去できるものが好ましく、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジネオペンチルブチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジ-t-ブチルアセタール、1-メチル-3-p-トリルトリアゼン、1-エチル-3-p-トリルトリアゼン、1-プロピル-3-p-トリルトリアゼン、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンー2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリドなどが挙げられる。エステル化剤の添加量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して、2~6モル当量が好ましい。
【0121】
有機溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドンまたはγ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドまたは1,3-ジメチル-イミダゾリジノンが挙げられる。また、ポリイミド前駆体の溶媒溶解性が高い場合は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、又は下記式[D-1]~式[D-3]で示される溶媒を用いることができる。
【0122】
【化19】
【0123】
式[D-1]中、Dは炭素数1~3のアルキル基を示し、式[D-2]中、Dは炭素数1~3のアルキル基を示し、式[D-3]中、Dは炭素数1~4のアルキル基を示す。
【0124】
これら溶媒は単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、ポリイミド前駆体を溶解させない溶媒であっても、生成したポリイミド前駆体が析出しない範囲で、前記溶媒に混合して使用してもよい。また、溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリイミド前駆体を加水分解させる原因となるので、溶媒は脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
上記の反応に用いる溶媒は、ポリマーの溶解性からN,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、又はγ-ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。製造時の濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという点から、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。
【0125】
(ii)テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとの反応により製造する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンから製造することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを塩基と有機溶剤の存在下で-20℃~150℃、好ましくは0℃~50℃において、30分~24時間、好ましくは1~4時間反応させることによって製造することができる。
【0126】
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジンなどが使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2~4倍モルであることが好ましい。
【0127】
上記の反応に用いる溶媒は、モノマーおよびポリマーの溶解性からN-メチル-2-ピロリドン、又はγ-ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。製造時のポリマー濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという点から、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの製造に用いる溶媒はできるだけ脱水されていることが好ましく、窒素雰囲気中で、外気の混入を防ぐのが好ましい。
【0128】
(iii)テトラカルボン酸ジエステルとジアミンから製造する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを重縮合することにより製造することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを縮合剤、塩基、及び有機溶剤の存在下で0℃~150℃、好ましくは0℃~100℃において、30分~24時間、好ましくは3~15時間反応させることによって製造することができる。
【0129】
前記縮合剤には、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’-カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ-1,3,5-トリアジニルメチルモルホリニウム、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3-ジヒドロ-2-チオキソ-3-ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニルなどが使用できる。縮合剤の添加量は、テトラカルボン酸ジエステルに対して2~3倍モルが好ましい。
【0130】
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミンなどの3級アミンが使用できる。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという点から、ジアミン成分に対して2~4倍モルが好ましい。
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量はジアミン成分に対して0~1.0倍モルが好ましい。
上記3つのポリアミック酸エステルの製造方法の中でも、高分子量のポリアミック酸エステルが得られるため、上記(i)又は上記(ii)の製法が特に好ましい。
【0131】
上記のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
【0132】
本発明の重合体を製造するには、上記の製造方法において、ジアミンとして式(1)で表されるジアミンを用いれば良い。また、その際はジアミンとして式(1)で表されるもの以外のものも用いることができる。その具体例をあえて示すならば、国際公開公報2015/119168の4項に掲載される式(2)の構造に2個のアミノ基が結合したジアミン、及び、8項~12項に掲載される、式(Y-1)~(Y-97)、式(Y-101)~(Y-118)の構造に2個のアミノ基が結合したジアミン;国際公開公報2013/008906の6項に掲載される式(2)のジアミン;国際公開公報2015/122413の8項に掲載される式(1)のジアミン;国際公開公報2015/060360の8項に掲載される式(3)の構造に2個のアミノ基が結合したジアミン;日本国公開特許公報2012-173514の8項に記載される式(1)のジアミン;国際公開公報2010-050523の9項に掲載される式(A)~(F)のジアミン、などが挙げられる。
【0133】
このようにして得られる本発明の重合体は、塗料として用いることができるほか、絶縁膜、フィルム基板、液晶配向膜、保護膜、等の用途に使用することができる。
【実施例
【0134】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0135】
実施例において使用したジアミン化合物の構造を以下に示す。
<ジアミン化合物>
【0136】
【化20】
【0137】
【化21】
【0138】
【化22】
【0139】
DA-1~DA-8、DA-10~DA-15は、文献等未公開の新規化合物であり、以下の合成例1~14でその合成法を詳述する。
DA-9は特許文献(WO2017-057854)に記載の合成法にて合成した。
【0140】
実施例等で使用した有機溶媒の略号は以下の通りである。
NMP: N-メチル-2-ピロリドン。
BCS: ブチルセロソルブ。
THF: テトラヒドロフラン。
DMF: N,N-ジメチルホルムアミド。
CHCl: ジクロロメタン。
CHCl: クロロホルム。
MeOH: メタノール。
EtOH: エタノール。
IPA: イソプロピルアルコール。
1,3-DMCBDA:1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
【0141】
HNMRの測定>
装置:フーリエ変換型超伝導核磁気共鳴装置(FT-NMR)「INOVA-400」(Varian製)400MHz。
溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl)又は重水素化N,N-ジメチルスルホキシド([D]-DMSO)。
標準物質:テトラメチルシラン(TMS)。
【0142】
(合成例1)
[DA-1]の合成:
【0143】
【化23】
【0144】
3L四つ口フラスコに4-[(4-アミノフェノキシ)メトキシ]アニリン(230.0g、999mmol)、THF(1600g)を仕込み、水浴中で、二炭酸ジ-tert-ブチル(218.0g、999mmol)を滴下後、室温で撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1体積比)にて単離することで、[DA-1-1]を158.0g得た。
【0145】
3L四つ口フラスコに[DA-1-1](132.2g、400mmol)、NMP(1300g)を仕込み、水浴中で、1,3-DMCBDA(40.4g、180mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。続いて、反応液にピリジン(85.5g、1081mmol)、無水酢酸(55.2g、540mmol)を仕込み、60℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(5L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にMeOH(2L)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-1-2]を180.1g得た。
【0146】
3L四つ口フラスコに[DA-1-2](169.8g、200mmol)、CHCl(2500g)を仕込み、水浴中で、トリフルオロ酢酸(204.1g、1000mmol)を滴下後、室温で撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、得られた粗物に純水(3L)を加え、トリエチルアミンで中和した。沈殿物を濾過し、得られた粗物にTHF(500g)、MeOH(700g)を加えて、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-1](白色固体)を106.0g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-1]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ7.35-7.37 (d,4H), 7.21-7.23 (d,4H), 6.78-6.80 (d,4H), 6.50-6.52 (d,4H), 5.71 (s,4H), 4.79 (s,4H), 3.54 (s,2H), 1.38 (s,6H)
【0147】
(合成例2)
[DA-2]の合成:
【0148】
【化24】
【0149】
3L四つ口フラスコに4-[3-(4-アミノフェノキシ)プロポキシ]アニリン(70.0g、271mmol)、THF(500g)を仕込み、水浴中で、二炭酸ジ-tert-ブチル(59.1g、271mmol)を滴下後、室温で撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1体積比)にて単離することで、[DA-2-1]を46.4g得た。
【0150】
3L四つ口フラスコに[DA-2-1](46.4g、129mmol)、NMP(460g)を仕込み、水浴中で、1,3-DMCBDA(14.5g、65mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。続いて、反応液にピリジン(30.7g、388mmol)、無水酢酸(19.8g、194mmol)を仕込み、60℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(3L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にMeOH(400ml)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-2-2]を41.1g得た。
【0151】
3L四つ口フラスコに[DA-2-2](41.1g、45mmol)、CHCl(600g)を仕込み、水浴中で、トリフルオロ酢酸(46.4g、454mmol)を滴下後、室温で撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、得られた粗物に純水(2L)を加え、トリエチルアミンで中和した。沈殿物を濾過し、得られた粗物にEtOH(100g)を加えて、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-2](白色固体)を25.3g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-2]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ7.30-7.33 (d,4H), 7.08-7.11 (d,4H), 6.66-6.70 (d,4H), 6.48-6.52 (d,4H), 4.62 (s,2H), 4.15-4.18 (t,4H), 3.98-4.01 (t,4H), 3.51 (s,2H), 2.10-2.16 (t,4H), 1.38 (s,6H)
【0152】
(合成例3)
[DA-3]の合成:
【0153】
【化25】
【0154】
3L四つ口フラスコに4-[6-(4-アミノフェノキシ)ヘキシルオキシ]アニリン(90.0g、300mmol)、THF(600g)を仕込み、水浴中で、二炭酸ジ-tert-ブチル(65.4g、300mmol)を滴下後、室温で撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1体積比)にて単離することで、[DA-3-1]を48.0g得た。
【0155】
3L四つ口フラスコに[DA-3-1](48.0g、120mmol)、NMP(480g)を仕込み、水浴中で、1,3-DMCBDA(13.4g、60mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。続いて、反応液にピリジン(28.4g、360mmol)、無水酢酸(18.4g、180mmol)を仕込み、60℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(3L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にMeOH(400ml)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-3-2]を42.5g得た。
【0156】
3L四つ口フラスコに[DA-3-2](42.5g、43mmol)、CHCl(640g)を仕込み、水浴中で、トリフルオロ酢酸(43.9g、430mmol)を滴下後、室温で撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、得られた粗物に純水(2L)を加え、トリエチルアミンで中和した。沈殿物を濾過し、得られた粗物にMeOH(100g)を加えて、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-3](紫色固体)を26.3g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-3]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ7.29-7.31 (d,4H), 7.06-7.08 (d,4H), 6.63-6.65 (d,4H), 6.48-6.50 (d,4H), 4.59 (s,4H), 4.01-4.04 (t,4H), 3.80-3.84 (t,4H), 3.52 (s,2H), 1.74-1.76 (t,4H), 1.66-1.70 (t,4H), 1.46-1.48 (m,8H), 1.38 (s,6H)
【0157】
(合成例4)
[DA-4]の合成:
【0158】
【化26】
【0159】
2L四つ口フラスコにN-Boc-2-(4-アミノフェニル)エタノール(158.7g、669mmol)、トリエチルアミン(135.4g、1338mmol)、THF(1100g)を仕込み、水浴中で、エタンスルホニルクロリド(128.9g、1003mmol)を滴下後、室温で撹拌した。反応終了後、反応系を酢酸エチル(3L)に注ぎ、純水(1L)を用いて抽出を行った。抽出した有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、無水硫酸マグネシウムを濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて溶媒留去することで、[DA-4-1]を224.2g得た。
【0160】
3L四つ口フラスコに[DA-4-1](217.3g、660mmol)、4-ニトロフェノール(101.0g、726mmol)、炭酸カリウム(136.8g、990mmol)、NMP(1200g)を仕込み、80℃で撹拌した。反応終了後、反応系を酢酸エチル(2L)に注ぎ、1N-塩酸水溶液で中和した。水層を除去し、有機層を純水(2L)で洗浄した。洗浄した有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、無水硫酸マグネシウムを濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて溶媒留去し、IPA(400g)加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-4-2]を164.8g得た。
【0161】
2L四つ口フラスコに[DA-4-2](84.3g、226mmol)、6N-塩酸水溶液(200g)、酢酸エチル(600g)を仕込み、60℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(1.2L)に注ぎ、1N-水酸化ナトリウム水溶液で中和した。水層を除去し、有機層を純水(2L)で洗浄した。洗浄した有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、無水硫酸マグネシウムを濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて溶媒留去することで、[DA-4-3]を60.8g得た。
【0162】
2L四つ口フラスコに[DA-4-3](60.8g、235mmol)、NMP(600g)を仕込み、水浴中で、1,3-DMCBDA(24.8g、111mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。続いて、反応液にピリジン(55.8g、705mmol)、無水酢酸(35.9g、352mmol)を仕込み、60℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(3L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にEtOH(1000g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-4-4]を79.1g得た。
【0163】
3L四つ口フラスコに[DA-4-4](79.0g、112mmol)、DMF(800g)を仕込み、窒素置換後、5wt% Pd/C(7.9g)を加え、水素置換して室温で撹拌した。反応終了後、反応液を0.45μmメンブレンフィルターで濾過することで、Pd/Cを除去した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて溶媒留去し、酢酸エチル(1500g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-4](白色固体)を69.9g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-4]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ7.46-7.48 (d,4H), 7.33-7.35 (d,4H), 6.65-6.68(d,4H), 6.49-6.51 (d,4H), 4.61 (s,4H), 4.07-4.10 (t,4H), 3.54 (s,2H), 3.02-3.05 (t,4H), 1.39 (s,6H)
【0164】
(合成例5)
[DA-5]の合成:
【0165】
【化27】
【0166】
1L四つ口フラスコに[DA-4-2](80.6g、216mmol)、THF(300g)、EtOH(100g)を仕込み、窒素置換後、5wt% Pd/C(8.0g)を加え、水素置換して室温で撹拌した。反応終了後、反応液を0.45μmメンブレンフィルターで濾過することで、Pd/Cを除去した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて溶媒留去することで、[DA-5-1]を73.9g得た。
【0167】
2L四つ口フラスコに[DA-5-1](73.9g、225mmol)、NMP(700g)を仕込み、水浴中で、1,3-DMCBDA(23.7g、106mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。続いて、反応液にピリジン(53.4g、675mmol)、無水酢酸(34.5g、338mol)を仕込み、60℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(3L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にEtOH(1000g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-5-2]を85.4g得た。
【0168】
2L四つ口フラスコに[DA-5-2](85.4g、101mmol)、6N-塩酸水溶液(200g)、酢酸エチル(800g)を仕込み、50℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(1.2L)に注ぎ、トリエチルアミンで中和した。析出物を濾別し、酢酸エチル(1500g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-5]を61.1g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-5]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ7.29-7.31 (d,4H), 7.05-7.08 (d,4H), 6.97-6.99 (d,4H), 6.51-6.53 (d,4H), 4.90 (s,4H), 4.11-4.14 (t,4H), 3.51 (s,2H), 2.86-2.89 (t,4H), 1.37 (s,6H)
【0169】
(合成例6)
[DA-6]の合成:
【0170】
【化28】
【0171】
2L四つ口フラスコに3-(4-tert-ブトキシカルボニルアミノフェニル)プロパノール(237.3g、944mmol)、トリエチルアミン(190.0g、1888mmol)、THF(1000g)を仕込み、水浴中で、エタンスルホニルクロリド(182.0g、1416mmol)を滴下後、室温で撹拌した。反応終了後、反応系を酢酸エチル(2L)に注ぎ、純水(1L)を用いて抽出を行った。抽出した有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、無水硫酸マグネシウムを濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて溶媒留去することで、[DA-6-1]を324.2g得た。
【0172】
3L四つ口フラスコに[DA-6-1](324.2g、944mmol)、4-ニトロフェノール(150.0g、1078mmol)、炭酸カリウム(203.0g、1470mmol)、NMP(1700g)を仕込み、80℃で撹拌した。反応終了後、反応系を酢酸エチル(4L)に注ぎ、1N-塩酸水溶液で中和した。水層を除去し、有機層を純水(2L)で洗浄した。洗浄した有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、無水硫酸マグネシウムを濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて溶媒留去し、IPA(2000g)加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-6-2]を173.4g得た。
【0173】
2L四つ口フラスコに[DA-6-2](86.7g、233mmol)、6N-塩酸水溶液(180g)、酢酸エチル(700g)を仕込み、60℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(1L)に注ぎ、1N-水酸化ナトリウム水溶液で中和した。水層を除去し、有機層を純水(2L)で洗浄した。洗浄した有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、無水硫酸マグネシウムを濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて溶媒留去することで、[DA-6-3]を62.6g得た。
【0174】
2L四つ口フラスコに[DA-6-3](62.6g、230mmol)、NMP(900g)を仕込み、水浴中で、1,3-DMCBDA(25.5g、114mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。続いて、反応液にピリジン(54.5g、690mmol)、無水酢酸(35.2g、345mmol)を仕込み、60℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(4L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にMeOH(500g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-6-4]を82.0g得た。
【0175】
5L四つ口フラスコに[DA-6-4](80.0g、109mmol)、DMF(3200g)を仕込み、窒素置換後、5wt% Pd/C(8.0g)を加え、水素置換して60℃で撹拌した。反応終了後、反応液を0.45μmメンブレンフィルターで濾過することで、Pd/Cを除去した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて溶媒留去し、酢酸エチル(1000g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-6](赤紫色固体)を59.1g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-6]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ7.38-7.40 (d,4H), 7.31-7.33 (d,4H), 6.65-6.67 (d,4H), 6.49-6.51 (d,4H), 4.60 (d,4H), 3.83-3.86 (t,4H), 3.54 (s,2H), 2.73-2.80 (t,4H), 1.97-2.01 (t,4H), 1.39 (s,6H)
【0176】
(合成例7)
[DA-7]の合成:
【0177】
【化29】
【0178】
1L四つ口フラスコに[DA-6-2](86.7g、233mmol)、THF(350g)、EtOH(90g)を仕込み、窒素置換後、5wt% Pd/C(8.7g)を加え、水素置換して室温で撹拌した。反応終了後、反応液を0.45μmメンブレンフィルターで濾過することで、Pd/Cを除去した。得られた濾液をロータリーエバポレーターにて溶媒留去することで、[DA-7-1]を65.8g得た。
【0179】
2L四つ口フラスコに[DA-7-1](65.8g、192mmol)、NMP(700g)を仕込み、水浴中で、1,3-DMCBDA(21.4g、96mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。続いて、反応液にピリジン(45.6g、576mmol)、無水酢酸(29.8g、292mol)を仕込み、60℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(3L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にMeOH(1000g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-7-2]を83.0g得た。
【0180】
2L四つ口フラスコに[DA-7-2](83.0g、96mmol)、6N-塩酸水溶液(170g)、酢酸エチル(700g)を仕込み、60℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(1L)に注ぎ、トリエチルアミンで中和した。析出物を濾別し、酢酸エチル(500g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-7]を25.2g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-7]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ7.29-7.32 (d,4H), 7.05-7.07 (d,4H), 6.87-6.89 (d,4H), 6.49-6.51 (d,4H), 4.86 (d,4H), 3.97-4.00 (t,4H), 3.52 (s,2H), 2.56-2.60 (t,4H), 1.93-1.97 (t,4H), 1.38 (s,6H)
【0181】
(合成例8)
[DA-8]の合成:
【0182】
【化30】
【0183】
1L四つ口フラスコに2-(4-ニトロフェニル)エチルアミン塩酸塩(50.0g、247mmol)、トリエチルアミン(27.5g、271mmol)、THF(500g)を仕込み、水浴中で、1,3-DMCBDA(27.1g、121mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。反応終了後、反応系を純水(1.5L)に注ぎ、析出物を濾別することで、[DA-8-1]を67.2g得た。
【0184】
1L四つ口フラスコに[DA-8-1](67.2g、121mmol)、酢酸(400g)を仕込み、100℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(1.5L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にMeOH(60g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-8-2]を30.4g得た。
【0185】
1L四つ口フラスコに[DA-8-2](30.4g、58mmol)、DMF(450g)を仕込み、窒素置換後、5wt% Pd/C(3.0g)を加え、水素置換して室温で撹拌した。反応終了後、反応液を0.45μmメンブレンフィルターで濾過することで、Pd/Cを除去した。得られた濾液を純水(3L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にMeOH(80g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-8](白色固体)を25.9g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-8]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ6.82-6.84 (d,4H), 6.46-6.48 (d,4H), 4.91 (s,4H), 3.50-3.66 (m,4H), 2.96 (s,2H), 2.66-2.73 (t,4H), 0.94 (d,1H)
【0186】
(合成例9)
[DA-10]の合成:
【0187】
【化31】
【0188】
1L四つ口フラスコに2-(4-ニトロフェニル)エチルアミン塩酸塩(25.0g、123mmol)、トリエチルアミン(14.2g、140mmol)、THF(250g)を仕込み、水浴中で、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(11.7g、60mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。反応終了後、反応系を純水(2L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にIPA(500g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-10-1]を21.8g得た。
【0189】
1L四つ口フラスコに[DA-10-1](21.8g、41mmol)、ピリジン(28.5g、360mmol)、無水酢酸(20.1g、197mol)、NMP(225g)を仕込み、60℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(2L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にMeOH(400g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-10-2]を19.3g得た。
【0190】
1L四つ口フラスコに[DA-10-2](19.3g、39mmol)、DMF(400g)を仕込み、窒素置換後、5wt% Pd/C(2.0g)を加え、水素置換して室温で撹拌した。反応終了後、反応液を0.45μmメンブレンフィルターで濾過することで、Pd/Cを除去した。得られた濾液を純水(3L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にMeOH(300g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-10](白色固体)を15.2g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-10]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ6.81-6.83 (d,4H), 6.46-6.48 (d,4H), 4.90 (s,4H), 3.54-3.57 (t,4H), 3.08 (s,2H), 2.63-2.67 (t,4H)
【0191】
(合成例10)
[DA-11]の合成:
【化32】
【0192】
1L四つ口フラスコにN,N’-ビス[2-(4-アミノフェニル)エチル]ウレア(134.4g、450mmol)、DMF(650g)を仕込み、水浴中で二炭酸ジ-tert-ブチル(32.8g、150mmol)を滴下後、室温で撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、純水(1.5L)を加え、析出物を濾別した。得られた粗物にCHCl(1.5L)を加え、10wt%酢酸水溶液(1.5L)を用いて、有機層を洗浄した。さらに、有機層をトリエチルアミンで中和し、純水(2L)で洗浄後、濃縮することで、[DA-11-1]を50.8g得た。
【0193】
2L四つ口フラスコに[DA-11-1](49.0g、123mmol)、NMP(500g)を仕込み、水浴中で1,3DMCBDA(13.5g、60mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。続いて、反応液にピリジン(29.4g、369mmol)、無水酢酸(18.8g、185mol)を仕込み、50℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(2.5L)に注ぎ、析出物を濾別した。続いて、得られた粗物にTHF(800g)を加え、完全溶解したのち、40℃で固体が析出するまで濃縮し、MeOH(200g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-11-2]を47.7g得た。
【0194】
1L四つ口フラスコに[DA-11-2](47.7g、48mmol)、CHCl(480g)を仕込み、水浴中で、トリフルオロ酢酸(55.7g、484mmol)を滴下後、50℃で撹拌した。反応終了後、反応液をヘキサン(500g)に注ぎ、析出物を濾別した。次に、得られた粗物にMeOH(500g)を加え、トリエチルアミンで中和し、析出物を濾別した。続いて、得られた粗物にDMF(300g)を加え、60℃に加熱して完全溶解させたのち、40℃で固体が析出するまで濃縮し、THF(600g)を加えて、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-11](白色固体)を25.2g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-11]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ7.32-7.38 (m,8H), 6.83-6.85 (d,4H), 6.48-6.50 (d,4H), 5.92-5.95 (t,2H), 5.81-5.84 (t,2H), 4.87 (s,4H), 3.55 (s,2H), 3.24-3.29 (m,4H), 3.10-3.15 (m,4H), 2.72-2.76 (m,4H), 2.47-2.51 (m,4H), 1.39 (s,6H)
【0195】
(合成例11)
[DA-12]の合成:
【0196】
【化33】
【0197】
500mL四つ口フラスコに1-(4-ニトロフェニル)-4-ピペリジンアミン(39.0g、116mmol)、NMP(400g)を仕込み、水浴中で1,3DMCBDA(12.8g、47mmol)を添加後、50℃で6h撹拌した。続いて、反応液にピリジン(27.6g、349mmol)、無水酢酸(17.8g、175mol)を仕込み、50℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(2L)に注ぎ、析出物を濾別した。続いて、得られた粗物にMeOH(250g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-12-1]を32.1g得た。
【0198】
2L四つ口フラスコに[DA-12-1](32.1g、51mmol)、DMF(960g)を仕込み、窒素置換後、5wt% Pd/C(3.2g)を加え、水素置換して50℃で撹拌した。反応終了後、反応液を濾別し、得られた濾物に2N-塩酸水溶液(1L)を加え、0.45μmメンブレンフィルターで濾過することで、Pd/Cを除去した。得られた濾液に塩基性になるまでトリエチルアミンを加え、析出物を濾別した。さらに、得られた粗物にMeOH(100g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-12](臙脂色固体)を22.1g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-12]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ6.71-6.73 (m,4H), 6.47-6.50 (m,4H), 4.68 (s,4H), 3.95-4.01 (m,2H), 3.42-3.45 (d,4H), 3.13 (s,2H), 2.51-2.59 (m,4H), 2.39-2.50 (m,4H), 1.62-1.71 (q,4H), 1.17 (s,6H)
【0199】
(合成例12)
[DA-13]の合成:
【0200】
【化34】
【0201】
2L四つ口フラスコに4-アミノ-1-tert-ブトキシカルボニルピペリジン(70.0g、350mmol)、NMP(700g)を仕込み、水浴中で1,3DMCBDA(38.4g、171mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。続いて、反応液にピリジン(82.9g、1049mmol)、無水酢酸(53.5g、524mol)を仕込み、50℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(3.5L)に注ぎ、析出物を濾別した。続いて、得られた粗物にMeOH(300g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-13-1]を92.0g得た。
【0202】
2L四つ口フラスコに[DA-13-1](92.0g、170mmol)、CHCl(920g) を仕込み、水浴中でトリフルオロ酢酸(193.3g、1700mol)を滴下後、50℃で撹拌した。反応終了後、析出物を濾別し、得られた粗物に酢酸エチル(300g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-13-2]を97.8g得た。
【0203】
1L四つ口フラスコに[DA-13-2](40.0g、65mmol)、2-(4-ニトロフェニル)エチルブロミド(32.8g、143mmol)、炭酸カリウム(35.9g、260mmol)、NMP(400g)を仕込み、60℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(2L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にMeOH(200g)を加え、60℃でリパルプ洗浄することで、[DA-13-3]を27.5g得た。
【0204】
3L四つ口フラスコに[DA-13-3](29.3g、43mmol)、DMF(900g)を仕込み、窒素置換後、5wt% Pd/C(2.9g)を加え、水素置換して60℃で撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、得られた粗物に2N-塩酸水溶液(1L)を加え、0.45μmメンブレンフィルターで濾過することで、Pd/Cを除去した。得られた濾液に塩基性になるまでトリエチルアミンを加え、析出物を濾別した。さらに、得られた粗物にMeOH(100g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-13](肌色固体)を8.7g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-13]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ6.84-6.86 (d,4H), 6.46-6.48 (d,4H), 4.82 (s,4H), 3.83-3.89 (m,2H), 3.10 (s,2H), 2.99-3.01 (d,4H), 2.49-2.56 (m,4H), 2.39-2.43 (m,4H), 2.26-2.32 (m,4H), 1.94-1.99 (t,4H), 1.52-1.61 (q,4H), 1.14 (s,6H)
【0205】
(合成例13)
[DA-14]の合成:
【0206】
【化35】
【0207】
500mL四つ口フラスコにtert-ブチル4-(4-アミノフェニル)ピペリジン-1-カルボキシレート(22.8g、82mmol)、NMP(230g)を仕込み、水浴中で1,3DMCBDA(8.9g、40mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。続いて、反応液にピリジン(39.1g、494mmol)、無水酢酸(25.2g、247mol)を仕込み、50℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(1.5L)に注ぎ、析出物を濾別した。続いて、得られた粗物にMeOH(100g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-14-1]を28.5g得た。
【0208】
500mL四つ口フラスコに[DA-14-1](28.5g、39mmol)、CHCl(290g)を仕込み、水浴中でトリフルオロ酢酸(43.9g、385mol)を滴下後、50℃で撹拌した。反応終了後、析出物を濾別し、得られた粗物にMeOH(150g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-14-2]を29.2g得た。
【0209】
1L四つ口フラスコに[DA-14-2](28.5g、37mmol)、2-(4-ニトロフェニル)エチルブロミド(29.5g、111mmol)、トリエチルアミン(30.0g、296mmol)、NMP(290g)を仕込み、80℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(2.5L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にMeOH(250g)を加え、60℃でリパルプ洗浄することで、[DA-14-3]を26.1g得た。
【0210】
3L四つ口フラスコに[DA-14-3](26.1g、31mmol)、DMF(800g)を仕込み、窒素置換後、5wt% Pd/C(2.6g)を加え、水素置換して80℃で撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、得られた粗物に2N-塩酸水溶液(1L)を加え、0.45μmメンブレンフィルターで濾過することで、Pd/Cを除去した。得られた濾液に塩基性になるまでトリエチルアミンを加え、析出物を濾別した。さらに、得られた粗物にMeOH(100g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-14](肌色固体)を12.3g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-14]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ7.38-7.43 (d,4H), 7.31-7.33 (d,4H), 6.86-6.88 (d,4H), 6.47-6.49 (d,4H), 4.83 (s,4H), 3.53 (s,2H), 3.04-3.06 (d,4H), 2.52-2.58 (m,6H), 2.45-2.50 (m,4H), 2.03-2.08 (t,4H), 1.67-1.77 (m,8H), 1.39 (s,6H)
【0211】
(合成例14)
[DA-15]の合成:
【0212】
【化36】
【0213】
1L四つ口フラスコにtert-ブチル4-(4-アミノフェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(33.2g、120mmol)、NMP(330g)を仕込み、水浴中で1,3DMCBDA(13.1g、59mmol)を添加後、室温で6h撹拌した。続いて、反応液にピリジン(28.4g、359mmol)、無水酢酸(18.3g、180mol)を仕込み、50℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(2L)に注ぎ、析出物を濾別した。続いて、得られた粗物にMeOH(150g)を加え、室温でリパルプ洗浄することで、[DA-15-1]を40.7g得た。
【0214】
2L四つ口フラスコに[DA-15-1](40.7g、55mmol)、CHCl(400g)を仕込み、水浴中でトリフルオロ酢酸(62.6g、548mol)を滴下後、50℃で撹拌した。反応終了後、析出物を濾別し、得られた粗物にTHF(200g)を加え、50℃でリパルプ洗浄することで、[DA-15-2]を21.8g得た。
【0215】
500mL四つ口フラスコに[DA-15-2](21.8g、28mmol)、2-(4-ニトロフェニル)エチルブロミド(14.3g、62mmol)、トリエチルアミン(11.4g、113mmol)、NMP(220g)を仕込み、80℃で撹拌した。反応終了後、反応系を純水(1L)に注ぎ、析出物を濾別した。得られた粗物にMeOH(200g)を加え、60℃でリパルプ洗浄することで、[DA-15-3]を17.9g得た。
【0216】
3L四つ口フラスコに[DA-14-3](17.9g、21mmol)、DMF(540g)を仕込み、窒素置換後、5wt% Pd/C(1.8g)を加え、水素置換して80℃で撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、得られた粗物に2N-塩酸水溶液(500mL)を加え、0.45μmメンブレンフィルターで濾過することで、Pd/Cを除去した。得られた濾液に塩基性になるまでトリエチルアミンを加え、析出物を濾別した。さらに、得られた粗物にMeOH(50g)を加え、60℃でリパルプ洗浄することで、[DA-15](肌色固体)を5.7g得た。目的物のH-NMRの結果を以下に示す。この結果から、得られた固体が、目的の[DA-15]であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, [D6]-DMSO):δ7.19-7.22 (d,4H), 7.04-7.06 (d,4H), 6.87-6.89 (d,4H), 6.47-6.49 (d,4H), 4.84 (s,4H), 3.48 (s,2H), 3.34 (s,6H), 3.21 (s,8H), 2.58 (s,10H), 1.36 (s,6H)
【0217】
<ジアミン化合物の室温時におけるNMPに対する飽和溶解度の測定>
(実施例1)
ジアミン化合物[DA-1]を60℃に加熱したNMP(2g)に溶け残りができるまで加え、60℃で1時間撹拌した。加熱後、室温で6時間放冷し、沈殿物を除去して、室温時における[DA-1]のNMP飽和溶液を作製した。続いて、標品として、1wt%の[DA-1]のNMP溶液を作製し、HPLCを用いて、ピーク面積を測定した。最後に、作製した飽和溶液(1g)にNMP(39g)を加えてピーク面積を測定し、[DA-1]の室温時におけるNMPに対する飽和溶解度を算出した。
【0218】
(実施例2~9、比較例1~2)
表1に示すように、実施例1と同様の方法を用いて実施例2~9も算出した。また、比較例1~2も同様の方法で算出した。
【0219】
【表1】
【0220】
表1に示すように、実施例1~9の本発明のジアミン化合物(DA-1~DA-8、DA-11)の室温時におけるNMPに対する飽和溶解度は、比較例1のジアミン化合物(DA-9)と比べて、良好な溶解性を示すことが確認された。また、実施例8のジアミン化合物(DA-8)の室温時におけるNMPに対する飽和溶解度は、比較例2のジアミン化合物(DA-10)と比べて、良好な溶解性を示すことも確認された。以上より、ジアミン化合物を本発明の構造にすることで、NMPに対する溶解性の向上が可能なことが示唆された。
【0221】
<重合体の分子量の測定>
実施例におけるポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステルの分子量は、(株)Shodex社製常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC-101)、Shodex社製カラム(KD―803、KD-805)を用い以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:DMF(添加剤として、臭化リチウム-水和物(LiBr・HO)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o―リン酸)が30mmol/L、THFが10mL/L)
流速:1.0mL/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
【0222】
(重合例1)
CBDAを0.18g(0.93mol)gとDA-1を0.64g(1.0mmol)をNMP(7.48g)中、室温で16時間反応させ、ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-1)を調製した。このポリアミック酸-ポリイミドは、数平均分子量が約29500であった。
【0223】
(重合例2)
CBDAを0.18g(0.93mol)gとDA-2を0.70g(1.0mmol)をNMP(7.98g)中、室温で16時間反応させ、ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-2)を調製した。このポリアミック酸-ポリイミドは、数平均分子量が約30000であった。
【0224】
(重合例3)
CBDAを0.18g(0.93mol)gとDA-3を0.78g(1.0mmol)をNMP(8.74g)中、室温で16時間反応させ、ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-3)を調製した。このポリアミック酸-ポリイミドは、数平均分子量が約32000であった。
【0225】
(重合例4)
CBDAを0.18g(0.93mol)gとDA-4を0.64g(1.0mmol)をNMP(7.44g)中、室温で16時間反応させ、ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-4)を調製した。このポリアミック酸-ポリイミドは、数平均分子量が約14800であった。
【0226】
(重合例5)
CBDAを0.18g(0.93mol)gとDA-5を0.64g(1.0mmol)をNMP(7.44g)中、室温で16時間反応させ、ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-5)を調製した。このポリアミック酸-ポリイミドは、数平均分子量が約9900であった。
【0227】
(重合例6)
CBDAを0.18g(0.93mol)gとDA-6を0.67g(1.0mmol)をNMP(7.69g)中、室温で16時間反応させ、ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-6)を調製した。このポリアミック酸-ポリイミドは、数平均分子量が約8700であった。
【0228】
(重合例7)
CBDAを0.18g(0.93mol)gとDA-7を0.67g(1.0mmol)をNMP(7.69g)中、室温で16時間反応させ、ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-7)を調製した。このポリアミック酸-ポリイミドは、数平均分子量が約16900であった。
【0229】
(重合例8)
CBDAを0.18g(0.93mol)gとDA-8を0.46g(1.0mmol)をNMP(5.78g)中、室温で16時間反応させ、ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-8)を調製した。このポリアミック酸-ポリイミドは、数平均分子量が約8900であった。
【0230】
(重合例9)
CBDAを0.18g(0.93mol)gとDA-9を0.40g(1.0mmol)をNMP(5.28g)中、室温で16時間反応させ、ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-9)を調製した。このポリアミック酸-ポリイミドは、数平均分子量が約13600であった。
【0231】
(重合例10)
CBDAを0.18g(0.93mol)gとDA-10を0.43g(1.0mmol)をNMP(5.53g)中、室温で16時間反応させ、ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-10)を調製した。このポリアミック酸-ポリイミドは、数平均分子量が約8500であった。
【0232】
(重合例11)
CBDAを0.18g(0.93mol)gとDA-11を0.78g(1.0mmol)をNMP(8.71g)中、室温で16時間反応させ、ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-11)を調製した。このポリアミック酸-ポリイミドは、数平均分子量が約9600であった。
【0233】
(重合例12)
CBDAを0.18g(0.93mol)gとDA-12を0.57g(1.0mmol)をNMP(6.78g)中、室温で16時間反応させ、ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-12)を調製した。このポリアミック酸-ポリイミドは、数平均分子量が約11200であった。
【0234】
<ポリアミック酸-ポリイミドの溶解性の測定>
(実施例10)
ポリアミック酸-ポリイミド重合溶液(PI-1)3gにBCSを加えて攪拌し、ポリアミック酸-ポリイミドが6質量%、NMPが54質量%、BCSが40質量%になるよう溶液(A-1)を調製し、室温、冷凍(-20℃)時でのポリアミック酸-ポリイミドの溶解性を確認した。
【0235】
(実施例11~19、比較例3~4)
表2に示すように、実施例10と同様の方法を用いて、実施例11~19の溶解性を確認した。また、比較例3~4も同様の方法で溶解性を確認した。なお、溶解性を下記の基準で示す。
○:濁り、析出物、ゲル化なし
△:少量の濁りあり
×:濁り、析出物、ゲル化あり
【0236】
【表2】
【0237】
表2に示すように、実施例10~19の本発明のジアミン化合物(DA-1~DA-8、DA-11~DA-12)を重合し、貧溶媒であるBCSで希釈したポリアミック酸-ポリイミド溶液は、室温、及び冷凍(-20℃)時でも、ワニスに濁り、析出物、ゲル化などは無く、良好な溶解性を示すことが確認された。一方、比較例3、4のポリアミック酸-ポリイミド溶液は、室温、及び冷凍(-20℃)時に、ワニスに濁り、析出物、ゲル化などが確認された。以上より、ポリアミック酸-ポリイミドを重合する際のジアミン化合物を本発明の構造にすることで、ポリマーの溶解性の向上が可能なことが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0238】
本発明のジアミンおよびそれから得られる重合体は、安価な原料を用いて、各種特性を容易に付与しうるため、塗料、電子材料等の分野、例えば液晶配向膜等としての有用性が期待される。