(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】検査・リペア装置
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20230516BHJP
H01L 21/60 20060101ALN20230516BHJP
【FI】
H05K3/34 505A
H01L21/92 604H
(21)【出願番号】P 2022074474
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2020195610の分割
【原出願日】2015-02-20
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】316011226
【氏名又は名称】AIメカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 弘邦
(72)【発明者】
【氏名】水鳥 量介
(72)【発明者】
【氏名】後和 昭典
(72)【発明者】
【氏名】高木 智哉
(72)【発明者】
【氏名】本間 真
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-258133(JP,A)
【文献】特開2010-258132(JP,A)
【文献】特開2010-80468(JP,A)
【文献】特開2010-135457(JP,A)
【文献】特開2013-93555(JP,A)
【文献】特開2013-105889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を備えた基板を搬送する搬送体と、
当該搬送体の搬送方向に対して平行な第1の方向に配置されるガントリと、
前記搬送体の上方で、前記第1の方向及び鉛直方向に対して垂直な第2の方向に前記ガントリが移動可能となるように前記ガントリを支持する支持体と、
前記基板を撮像し、前記基板の複数の前記電極にハンダボールが適切に搭載されているか否かの検査に用いられる画像情報を取得する撮像手段と、
当該撮像手段からの前記画像情報に基づき、前記ハンダボールが適切に搭載されていない前記電極に対して、前記ハンダボールの除去又は再搭載を行うリペア手段と、を備え、
前記撮像手段及び前記リペア手段は、前記搬送体の搬送方向に対して平行に移動可能となるように、前記ガントリに取り付けられている、検査・リペア装置。
【請求項2】
マスクを介して前記ハンダボールを吸着し、吸着した前記ハンダボールを前記基板の複数の前記電極に搭載する搭載ヘッドを備え、
当該搭載ヘッドは、前記搬送体の搬送方向に対して平行に移動可能となるように、前記ガントリに取り付けられていること
を特徴とする請求項1に記載の検査・リペア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査・リペア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、携帯電話、デジタル家電等には、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)といった表面実装型の電子部品が実装されている。このような電子部品の裏面には、半球状に形成されたバンプ(突起状の端子)が多数設けられている。電子部品の裏面にバンプを設けることで、基板と電子部品との接点数を大幅に増加させ、電子部品の小型化・高密度化を図っている。
【0003】
また、電子部品の裏面に設けられたバンプに対応して、この電子部品が実装される基板にも多数のバンプが形成されている。基板にバンプを形成する方法として、例えば、ボール振込法が知られている。ボール振込法は、マスクに設けられた多数の微細な孔を介して基板にハンダボールを振込む(落とし込む、搭載する)方法であり、ピッチが非常に狭いバンプを高精度に形成できるという利点がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、基板の電極上にマスクの各孔を介してフラックスを塗布し、フラックスが塗布された電極上に、別のマスクの各孔を介してハンダボールを搭載する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したボール振込法を用いられる場合には、面積の比較的大きな基板(例えば、450mm×600mm)を切断して複数個に分割し、分割後の基板のそれぞれにハンダボールを搭載することが多い。基板の面積が大き過ぎると、ステップ式露光によって基板に回路パターンを印刷する際の位置ずれや、樹脂製である基板の収縮変形等に起因して、基板の各電極と、マスクの各孔と、の位置ずれが許容範囲を超えてしまうからである。なお、基板に設けるバンプの微細化や、バンプ間のピッチの狭小化が進むにつれて、このような位置ずれが起こりやすくなる。
【0007】
したがって、面積の比較的大きな基板を切断・洗浄した後、特許文献1の技術を用いてハンダボールの搭載等を行い、この基板をさらに切断・洗浄して電子部品を実装する、という処理が一般的に行われている。つまり、特許文献1に記載の技術では、基板の切断・洗浄を少なくとも2回行うため、一連の処理に要するコストが高くなるという問題がある。前記した位置ずれの問題を解決して、切断・洗浄の工程を一回分省き、基板の処理コストの低減を図ることが望まれている。
【0008】
そこで、本発明は、処理コストの安価な検査・リペア装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明に係る検査・リペア装置は、複数の電極を備えた基板を搬送する搬送体と、当該搬送体の搬送方向に対して平行な第1の方向に配置されるガントリと、前記搬送体の上方で、前記第1の方向及び鉛直方向に対して垂直な第2の方向に前記ガントリが移動可能となるように前記ガントリを支持する支持体と、前記基板を撮像し、前記基板の複数の前記電極にハンダボールが適切に搭載されているか否かの検査に用いられる画像情報を取得する撮像手段と、当該撮像手段からの前記画像情報に基づき、前記ハンダボールが適切に搭載されていない前記電極に対して、前記ハンダボールの除去又は再搭載を行うリペア手段と、を備え、前記撮像手段及び前記リペア手段は、前記搬送体の搬送方向に対して平行に移動可能となるように、前記ガントリに取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、処理コストの安価な検査・リペア装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理システムの説明図である。
【
図5】ハンダボール充填ユニットの縦断面図である。
【
図6】(a)はスリット状体の展開図であり、(b)は(a)に示す範囲Kの部分拡大図である。
【
図7】基板処理装置が備える制御装置に関する機能ブロック図である。
【
図8】第1マスクの各孔にハンダボールを充填する処理に関するフローチャートである。
【
図9】(a)は第1マスクの各孔にハンダボールが充填された状態を示す説明図であり、(b)は第2マスクの各孔を介してハンダボールが吸着された状態を示す説明図であり、(c)は基板において一つの領域の各電極にハンダボールが搭載された状態を示す説明図である。
【
図10】基板処理装置の動作の流れを示す説明図である。
【
図11】基板の各電極にハンダボールを搭載する処理に関するフローチャートである。
【
図12】検査処理及びリペア処理に関するフローチャートである。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る基板処理システムに関する断面図であり、(a)は第2マスク及び第4マスクを含む模式的な断面図であり、(b)は第1マスク及び第3マスクを含む模式的な断面図である。
【
図14】基板処理装置が備える制御装置に関する機能ブロック図である。
【
図15】基板の各電極にハンダボールを搭載する処理に関するフローチャートである。
【
図16】(a)は第1マスクの各孔にハンダボールが充填された状態を示す説明図であり、(b)は第3マスクによってハンダボールを押し上げた状態を示す説明図であり、(c)は対象となる領域の真上に搭載ヘッドが移動した状態を示す説明図であり、(d)は基板において一つの領域の各電極にハンダボールが搭載された状態を示す説明図である。
【
図17】本発明の変形例に係る基板処理システムが備えるハンダボール充填ユニットの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪第1実施形態≫
<基板処理システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る基板処理システムSの説明図である。なお、
図1に示す矢印は、基板Bが搬送される向きを示している。また、
図1に示すようにx,y,z方向を定義する。
基板処理システムSは、基板Bの各電極Q(
図2参照)にフラックスを塗布し、さらにハンダボールを搭載してバンプ(突起状の端子)を形成するシステムである。
【0013】
基板処理システムSは、フラックス印刷装置1と、基板処理装置2と、を備えている。
図1に示すように、下流側に向かって順に、フラックス印刷装置1及び基板処理装置2が配置され、搬送体Pによって基板Bが順次搬送されるようになっている。なお、板状の搬送体Pは、x方向に移動可能になっており、その下面に基板Bを吸着した後、この吸着をx方向の所定位置で解除するようになっている。
【0014】
ここで、基板処理システムSの構成に先立って、その処理対象である基板Bについて簡単に説明する。
図2は、基板Bの模式的な平面図である。基板Bは、電子部品(図示せず)が実装される板状体であり、平面視において四つの領域R1~R4を有している。互いに隣接する矩形状の領域R1~R4には、それぞれ、電極Qが密集してなる複数の電極群(図示せず)が設けられている。なお、領域R1~R4における電極Qの配列は、略同一であるものとする。
【0015】
詳細については後記するが、領域R1~R4には、それぞれ、搭載ヘッド26(
図4参照)によってハンダボールが個別に搭載されるようになっている。
図2に示す領域R1~R4は、樹脂製の基板Bが収縮変形した場合でも、ハンダボールと電極Qとの位置ずれが所定の許容範囲内で収まるように設定されている。
また、基板Bには、所定の回路パターンがステップ式で露光印刷されている。そして、領域R1~R4は、それぞれ、一回当たりの露光範囲に含まれるように設定されている。これによって、ステップ式の露光印刷を行う際に各露光範囲の間で位置ずれが生じた場合でも、複数の露光範囲に亘って一括でハンダボールが搭載されることがなくなるため、電極Qとハンダボールとの位置ずれを抑制できる。
【0016】
(フラックス印刷装置)
フラックス印刷装置1は、フラックス塗布用のマスク11に形成された多数の孔(図示せず)を介して、このマスク11の下方に配置された基板Bの各電極Q(
図2参照)にフラックスを塗布する装置である。前記した「フラックス」は、その粘性によってハンダボールを基板Bに付着させたり、ハンダボールの溶融時の酸化等を防止したりするための液体である。
【0017】
図3は、フラックス印刷装置1の縦断面図である。
フラックス印刷装置1は、マスク11と、版枠12と、カメラ13と、印刷テーブル14と、スキージヘッド15と、を備えている。マスク11は、基板Bの各電極Qに対応する多数の孔が形成されたメタルマスクであり、xy平面(水平面)と平行に配置されている。
版枠12は、マスク11を固定するための四角枠状の枠体であり、マスク11の周縁部に設置されている。なお、
図2に示す例では、版枠12のz方向の位置が固定されている。
【0018】
カメラ13は、自身の上方及び下方を撮像する2視野カメラであり、x,y方向で移動可能になっている。カメラ13は、マスク11の下面に印刷された位置合わせマーク(二箇所以上:図示せず)と、基板Bの上面に印刷された位置合わせマーク(二箇所以上:図示せず)と、をそれぞれ撮像し、その撮像結果を印刷テーブル14の制御装置(図示せず)に出力するようになっている。
【0019】
印刷テーブル14は、x,y方向、及びθ方向(xy平面上での回転方向)で基板Bの位置を調整し、さらに昇降機構14aによって基板Bとマスク11とのz方向の距離を調整する装置である。印刷テーブル14は、カメラ13の撮像結果に基づき、マスク11の各孔の位置と、基板Bの各電極Q(
図2参照)の位置と、が平面視で一致するように、基板Bの位置を調整するようになっている。
なお、基板Bにフラックスを塗布する際には、カメラ13が退避した状態で印刷テーブル14が上昇し、基板Bをマスク11に接近させる(両者間の距離を所定のスクリーンギャップにする)ようになっている。
【0020】
スキージヘッド15は、マスク11の各孔を介して基板Bの各電極Q(
図2参照)にフラックスを塗布するものであり、スクレーパ15aと、スキージ15bと、を備えている。基板Bにフラックスを塗布する際には、基板Bにフラックスを塗り付けるように、スキージヘッド15がx方向で往復する。
具体的には、スクレーパ15aを下降させた後、マスク11の上面にスクレーパ15aを押し当てながら紙面左向きに移動させる。その後、スクレーパ15aを上昇させてスキージ15bを下降させ、このスキージ15bを紙面右向きに移動させる。このように、スキージヘッド15が移動する向きに応じて、スクレーパ15a及びスキージ15bが交互に用いられる。
【0021】
(基板処理装置)
図1に示す基板処理装置2は、フラックスが塗布された基板Bの各電極Q(
図2参照)にハンダボールを搭載する装置である。また、基板処理装置2は、基板Bの各電極Qにハンダボールが適切に搭載されているか否かを検査し、ハンダボールが適切に搭載されていない電極にハンダボールを搭載し直す機能も有している。
【0022】
図4は、基板処理装置2の斜視図である。基板処理装置2は、ハンダボール充填ユニット21,22と、載置台23と、移動機構24と、第2マスク25と、搭載ヘッド26と、カメラ27,28と、リペアノズル29と、制御装置30(
図7参照)と、を備えている。
ハンダボール充填ユニット21は、第1マスク211に設けられた複数の孔h1(
図5参照)を介してハンダボールを充填する(ハンダボールを整列させる)ものである。
【0023】
図5は、ハンダボール充填ユニット21の縦断面図である。
ハンダボール充填ユニット21は、第1マスク211と、版枠212と、充填台213と、空気圧調整器214(
図7参照)と、ハンダボール充填手段215と、を備えている。
【0024】
第1マスク211は、基板Bにおける一つの領域(領域R1~R4のうち任意の一つ:
図4参照)の各電極Qに対応する多数の孔h1が設けられたマスクである。つまり、第1マスク211の領域U1(
図4に示す一点鎖線の枠内)に設けられた各孔h1の配列は、領域R1~R4のうち任意の一つにおける各電極Qの配列と同一になっている。
【0025】
図5に示す版枠212は、第1マスク211を充填台213に固定する枠体であり、第1マスク211の周縁部に設置されている(
図4では、図示を省略)。充填台213は、第1マスク211が載置される台である。充填台213は、第1マスク211の各孔h1に連通する連通路D1を有している。
空気圧調整器214(
図7参照)は、後記する充填制御部32からの指令に従って負圧を発生させたり、この負圧を解除したりするものである。空気圧調整器214による負圧の発生は、第1マスク211の各孔h1にハンダボールを充填する際に行われる。
【0026】
図5に示すハンダボール充填手段215は、第1マスク211の各孔h1にハンダボールを一個ずつ充填するものである。ハンダボール充填手段215は、ハンダボール供給部215aと、取付枠215bと、スリット状体215cと、加振機215dと、モータ215eと、を備えている(
図4では、取付枠215b及びスリット状体215cのみを図示)。
【0027】
ハンダボール供給部215aは、スリット状体215cに向けて適量のハンダボールを供給するものである。ハンダボールを供給する際には、その開口Hがスリット状体215cに臨むように、回転軸Gを中心にハンダボール供給部215aが回転するようになっている。これによって、開口Hを介してハンダボールが落下し、スリット状体215cにハンダボールが供給される。
【0028】
取付枠215bは、スリット状体215cが取り付けられる枠体であり、y方向に細長い四角枠状を呈している(
図4参照)。スリット状体215cは、ハンダボールが移動可能な多数のスリットT(
図6(b)参照)を有し、第1マスク211に対して凸状に湾曲した状態で、この第1マスク211に接するように配置されている。
【0029】
図6(a)は、スリット状体215cの展開図である。スリット状体215cは、平行に延びる一対の取付部c1と、取付部c1に対して所定角度を有する多数の線状体c2と、を備えている。スリット状体215cは、取付枠215b(
図5参照)においてx方向で対向する一対の内壁面に取付部c1,c1をそれぞれ押し当てた状態で、この取付枠215bに固定されている。
【0030】
図6(b)は、
図6(a)に示す範囲Kの部分拡大図である。
スリット状体215cに設けられたスリットTは、隣り合う線状体c2の間の隙間である。なお、隣り合う線状体c2の距離Lは、ハンダボールの径以上であってもよいし、また、加振機215dが起こす振動でスリットTが広がったときにハンダボールが移動可能であれば、ハンダボールの径未満であってもよい。
また、スリット状体215cは、取付部c1と線状体c2とのなす角が所定角度θ(0<θ<45°)となるように形成されている。これは、後記する加振機215d(
図5参照)によってスリット状体215cがx方向で振動しているときに、ハンダボールを転動・分散させるためである。
【0031】
図5に示す加振機215dは、前記したように、スリット状体215cをx方向に振動させるものであり、取付枠215bに設置されている。加振機215dによってスリット状体215cをx方向に振動させると、スリット状体215cの内側又は外側に存在するハンダボールが線状体c2との接触によって転動する。これによって、ハンダボールを分散させ、第1マスク211の各孔h1(
図5参照)にハンダボールを一個ずつ充填できる。
【0032】
モータ215eは、スリット状体215c等をx方向に移動させるための駆動源である。モータ215eによってボールねじ軸(図示せず)を回転させると、ハンダボール供給部215a、取付枠215b、スリット状体215c、及び加振機215dが、一体としてx方向に移動するようになっている。前記したように、第1マスク211に接触したスリット状体215cが振動しながらx方向に移動することで、スリットT(
図6(b)参照)を介して落下したハンダボールが第1マスク211の各孔h1に充填される。
【0033】
なお、
図5では図示を省略したが、ハンダボールの充填を終えた後、マスク11上に残留するハンダボールを除去して清掃を行うスウィーパが設けられている。
【0034】
図4に示すハンダボール充填ユニット22は、前記したハンダボール充填ユニット21と同様の構成を備えている。このように二つのハンダボール充填ユニット21,22を設けているのは、ハンダボールの一回当たりの充填に要する時間の方が、基板Bの各電極Qへの1回当たりの搭載に要する時間よりも長いからである。
【0035】
図4に示す載置台23は、基板Bが載せられる台である。
図4に示す例では、搬送体Pによって基板Bが紙面右向きに搬送され、載置台23に載置されるようになっている。
移動機構24は、後記する搭載ヘッド26をx,y,z方向、及びθ方向(x,y平面上での回転方向)に移動させるものである。
図4に示す例では、移動機構24は、一対の支持体241a,241bと、ガントリ242と、板状体243と、被設置体244と、モータ245,246と、を含んで構成される。
【0036】
ガントリ241は、一対の支持体241a,241bに設けられたレールE1,E1に沿ってy方向に移動可能になっている。板状体243は、ガントリ241に設けられたレールE2,E2に沿ってx方向に移動可能になっている。被設置体244は、板状体243に設けられたレールE3,E3に沿ってz方向に移動可能になっている。モータ245は、被設置体244をz方向に移動させる駆動源である。モータ246は、被設置体244に対して搭載ヘッド26をθ方向に回転させる駆動源である。
【0037】
これらのモータ245,246は、後記する搭載制御部33(
図7参照)からの指令によって駆動するようになっている。なお、ガントリ241をy方向に移動させるモータ、及び、板状体243をx方向に移動させるモータについては、図示を省略している。また、
図4に示す移動機構24は一例であり、搭載ヘッド26をx,y,z,θ方向に移動可能であれば、他の構成であってもよい。
【0038】
第2マスク25は、基板Bにおける一つの領域(領域R1~R4のうち任意の一つ)の各電極Qに対応する多数の孔h2(
図9(a)参照)が設けられたマスクであり、搭載ヘッド26の下面に設置されている。
【0039】
搭載ヘッド26は、第2マスク25の各孔h2(
図9(a)参照)を介してハンダボールを吸着し、吸着したハンダボールを基板Bの各電極Qに搭載するものである。搭載ヘッド26は、第2マスク25の各孔h2に連通する連通路D2(
図9(a)参照)と、この連通路D2を介した負圧の発生/解除を行う空気圧調整器261(
図7参照)と、を備えている。
【0040】
カメラ27は、第1マスク211と第2マスク25との位置合わせを行う際(
図9(a)参照)、第1マスク211に印刷された位置合わせマーク(図示せず)を撮像する機能を有し、x,y方向に移動可能になっている。
また、カメラ27は、第2マスク25と、基板Bの領域R1~R4のいずれか一つと、の位置わせを行う際(
図9(c)参照)、対象とする領域に印刷された位置合わせマークを撮像する機能も有している。
さらに、カメラ27は、基板Bの各電極Qにハンダボールが適切に搭載されているか否かを検査する際、基板Bを撮像して画像情報を取得する機能を有している。
【0041】
カメラ28は、それまでとは異なる回路パターンの基板Bにハンダボールを搭載する場合(つまり、第1マスク211,221及び第2マスク25を取り替えた場合)、記憶部31(
図7参照)に格納されている座標系を補正するために、第2マスク25に印刷されている位置合わせマークを撮像するものである。
リペアノズル29は、後記するリペア制御部35(
図7参照)からの指令に従って、ハンダボールの除去や再搭載を電極Qごとに行うものであり、x,y,z方向に移動可能になっている。
【0042】
図7は、基板処理装置2が備える制御装置30に関する機能ブロック図である。
制御装置30は、ハンダボールの充填・搭載に関する処理と、ハンダボールが適切に充填されているか否かの検査処理と、検査処理の結果に基づくリペア処理と、を行うものである。制御装置30は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成される。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0043】
図7に示すように、制御装置30は、記憶部31と、充填制御部32と、搭載制御部33と、検査部34と、リペア制御部35と、を備えている。
記憶部31は、例えば、半導体記憶装置である。記憶部31には、カメラ27,28の撮像結果、検査部34による検査処理の結果、リペア制御部35によるリペア処理の結果等が格納される。
【0044】
充填制御部32は、空気圧調整器214による負圧の発生/解除や、加振機215dによるスリット状体215c(
図5参照)の加振、モータ215eによるスリット状体215cの移動等を行う機能を有している。
搭載制御部33は、空気圧調整器261による負圧の発生/解除や、移動機構24による搭載ヘッド26の移動等を行う機能を有している。
【0045】
検査部34は、カメラ27によって取得される画像情報に基づき、例えば、パターンマッチングによって、基板Bの各電極Qにハンダボールが適切に搭載されているか否かを検査する機能を有している。
リペア制御部35は、検査部34によってハンダボールの搭載が不適切と判定された電極にハンダボールを搭載し直すように、リペアノズル29の位置等を調整する機能を有している。
【0046】
<基板処理システムの動作>
図8は、第1マスク211の各孔h1にハンダボールを充填する処理に関するフローチャートである。
ステップS101において制御装置30は、空気圧調整器214(
図7参照)によって、充填台213の連通路D1を介して負圧を発生させる。なお、後記するハンダボールの充填直後に負圧の発生を開始してもよい。
【0047】
ステップS102において制御装置30は、ハンダボール充填手段215(
図5参照)によって、第1マスク211の各孔h1に一個ずつハンダボールを充填する。すなわち、制御装置30は、加振機215d(
図5参照)によってスリット状体215cを振動させながら、このスリット状体215cをx方向に移動させる。
【0048】
図9(a)は、第1マスク211の各孔h1にハンダボールが充填された状態を示す説明図である。マスク211の各孔h1に一個ずつ充填されたハンダボールは、連通路D1を介して吸引されている(S101,S102)。一方、基板Bの各電極Qにはフラックスが塗布されているが、領域R1~R4のいずれにもハンダボールは搭載されていない。
【0049】
図8のステップS103において制御装置30は、搭載ヘッド26が第1マスク211に接近したか否かを判定する。搭載ヘッド26が第1マスク211に接近していない場合(S103:No)、制御装置30はステップS103の処理を繰り返す。一方、搭載ヘッド26が第1マスク211に接近した場合(S103:Yes)、制御装置30の処理はステップS104に進む。
【0050】
ステップS104において制御装置30は、空気圧調整器214によって発生させていた負圧を解除する。なお、前記した負圧の解除に代えて、ハンダボールを押し上げる正圧を、連通路D1を介して加えるようにしてもよい。
ステップS105において制御装置30は、ハンダボールを吸着した搭載ヘッド26が第1マスク211から離れたか否かを判定する。搭載ヘッド26が第1マスク211から離れていない場合(S105:No)、制御装置30はステップS105の処理を繰り返す。一方、搭載ヘッド26が第1マスク211から離れた場合(S105:Yes)、制御装置30の処理は「START」に戻る(RETURN)。
【0051】
このようにして制御装置30は、第1マスク211にハンダボールを充填する処理を、基板Bの各領域ごとに繰り返す。なお、第1マスク211の各孔h1にハンダボールを一個ずつ充填する「ハンダボール充填処理」には、ステップS101~S105の処理が含まれる。
次に、二つのハンダボール充填ユニット21,22(
図4参照)がハンダボールの充填を開始するタイミングについて説明する。
【0052】
図10は、基板処理装置2の動作の流れを示す説明図である。
図10の横軸は、第1マスク211に向けて搭載ヘッド26が移動し始めてからの経過時間(1目盛:0.5秒)である。上側の範囲N1には、一方のハンダボール充填ユニット21(
図4参照)によって第1マスク211の各孔h1にハンダボールを充填し、さらに、ハンダボールを基板Bに搭載するまでの一連の流れを示している。下側の範囲N2には、他方のハンダボール充填ユニット22(
図4参照)によって第1マスク221の各孔h1にハンダボールを充填し、さらに、ハンダボールを基板Bに搭載するまでの一連の流れを示している。
【0053】
図10に示す例では、搭載ヘッド26が第1マスク211の真上まで移動し(0~1秒)、搭載ヘッド26がハンダボールを吸着し(1秒~2.5秒)、さらに搭載ヘッド26が上昇してから(2.5秒~3.5秒)、ハンダボールの充填が開始されている(S105:Yes、RETURN、S101,S102)。
【0054】
また、
図10に示す例では、搭載ヘッド26が第1マスク211付近にいるときの待ち時間(3.5秒間)を含めると、ハンダボールの充填に16秒間(範囲N1:0秒~16秒)を要している。同様に、ハンダボール充填ユニット22によってハンダボールの充填を行う場合も、16秒間(範囲N2:8秒~24秒)を要している。
【0055】
詳細については後記するが、搭載ヘッド26が第1マスク211に向かってから基板Bの各電極Qにハンダボールを搭載する動作は、例えば、0秒~8秒までの8秒間で済む。つまり、ハンダボールの一回当たり搭載時間は、一回当たりの充填時間の半分で済む。
したがって、本実施形態では、ハンダボール充填ユニット21,22が、タイミングを8秒分ずらしてハンダボールの充填を開始し、第1マスク211,221(
図4参照)のうち充填が完了している方から、搭載ヘッド26によってハンダボールを吸着するようにしている。これによってハンダボールの充填・搭載を行う際の待ち時間をなくし、単位時間当たりに多数の基板Bを処理できる。
【0056】
図11は、基板Bの各電極Qにハンダボールを搭載する処理に関するフローチャートである。
ステップS201において制御装置30は、ハンダボール充填ユニット21,22のいずれかによってハンダボールが充填された(つまり、ハンダボールの充填が完了した)か否かを判定する。ハンダボール充填ユニット21,22のいずれもハンダボールを充填中である場合(S201:No)、制御装置30はステップS201の処理を繰り返す。一方、ハンダボール充填ユニット21,22のいずれかによってハンダボールが充填された場合(S201:Yes)、制御装置30の処理はステップS202に進む。
【0057】
ステップS202において制御装置30は、移動機構24(
図4参照)によって、搭載ヘッド26を第1マスク211の真上まで移動させる(
図9(a)、
図10の0秒~1秒)。つまり、制御装置30は、第1マスク211の各孔h1の位置と、第2マスク25の各孔h2の位置と、が平面視で一致するように搭載ヘッド26を移動させる。
ステップS203において制御装置30は、空気圧調整器261(
図7参照)によって負圧を発生させ、第2マスク25の各孔h2を介してハンダボールを吸着する(
図10の1秒~2.5秒)。
【0058】
ステップS204において制御装置30は、移動機構24(
図4参照)によって、基板Bの対象とする領域(領域R1~R4のいずれか一つ)の真上まで搭載ヘッド26を移動させる。すなわち、制御装置30は、搭載ヘッド26を上昇させた後(
図10の2.5秒~3.5秒)、カメラ27の撮像結果に基づき、基板Bの位置合わせマークの認識、及び、搭載ヘッド26の移動を行う(
図10の3.5秒~5秒)。
【0059】
図9(b)は、第2マスク25の各孔h2にハンダボールが吸着された状態を示す説明図である。制御装置30は、第2マスク25の各孔h2にハンダボールを吸着した状態を維持しつつ、対象とする領域の各電極Qの位置と、第2マスク25の各孔h2の位置と、が平面視で一致するように搭載ヘッド26を移動させる。
【0060】
図11のステップS205において制御装置30は、基板Bの各電極Qにハンダボールを搭載する。すなわち、制御装置30は、空気圧調整器261による負圧を解除し、基板Bの各電極Qにハンダボールを搭載する。なお、ハンダボールを搭載する際、ハンダボールを基板Bに向けて押し下げる正圧を、連通路D2及び第2マスク25の各孔h2を介して加えてもよい。
【0061】
図9(c)は、基板Bにおいて一つの領域の各電極Qにハンダボールが搭載された状態を示す説明図である。
図9(c)に示す例では、ハンダボールが搭載されていない領域(紙面右側の領域)が存在している
図11のステップS206において制御装置30は、基板Bにおいてハンダボールが搭載されていない領域が存在するか否かを判定する。ハンダボールが搭載されていない領域が存在する場合(S206:Yes)、制御装置30の処理はステップS201に戻る。一方、基板Bの領域R1~R4の全てにハンダボールが搭載されている場合(S206:No)、制御装置30は処理を終了する(END)。
【0062】
なお、基板Bの各電極Qにハンダボールを搭載する処理を、領域ごとに繰り返す「ハンダボール搭載処理」には、ステップS201~S206の処理が含まれる。
【0063】
図12は、検査処理及びリペア処理に関するフローチャートである。
なお、
図12に示す「START」の時点では、基板Bの領域R1~~R4の全てにハンダボールが搭載されているものとする。
ステップS301において制御装置30は、検査部34(
図7参照)によって検査処理を実行する。すなわち、制御装置30は、例えば、パターンマッチングによって、基板Bの各電極Qにハンダボールが適切に搭載されているか否かを検査する。そして、制御装置30は、検査処理の結果を記憶部31に格納する。
【0064】
ステップS302において制御装置30は、検査処理の結果を記憶部31から読み出し、ハンダボールの搭載が不適切な電極が存在するか否かを判定する。ハンダボールの搭載が不適切な電極が存在しない場合(S302:No)、制御装置30は処理を終了する(END)。一方、ハンダボールの搭載が不適切な電極が存在する場合(S302:Yes)、制御装置30の処理はステップS303に進む。
【0065】
ステップS303において制御装置30は、リペア制御部35(
図7参照)によってリペア処理を実行する。例えば、制御装置30は、ハンダボールの搭載位置が基板Bの電極からずれていたり、一つの電極に複数のハンダボールが搭載されていたりした場合、この電極からハンダボールを取り除く。そして、制御装置30は、この電極にフラックス付きの新たなハンダボールを搭載する。また、ハンダボールが搭載されていない電極が存在する場合、制御装置30は、この電極にフラックス付きの新たなハンダボールを搭載する。
【0066】
ステップS304において制御装置30は、他にハンダボールの搭載が不適切な電極が存在するか否かを判定する。他にハンダボールの搭載が不適切な電極が存在する場合(S304:Yes)、制御装置30の処理はステップS303に戻る。一方、ハンダボールの搭載が不適切な電極が存在しない場合(S304:No)、制御装置30は処理を終了する(END)。
【0067】
<効果>
本実施形態によれば、基板Bの領域R1~R4(
図2参照)に個別にハンダボールが搭載されるため、基板Bの面積が比較的大きい場合でも、基板Bの収縮変形等に伴う位置ずれを許容範囲内に抑えることができる。
なお、多数の孔が設けられたマスク(図示せず)を基板に載せてハンダボールを一括搭載する従来方法では、マスクの各孔と基板の各電極との位置ずれを許容範囲内に抑えるために、面積の比較的大きい基板を切断・洗浄した後、それぞれの基板に対してハンダボールの搭載等を行うようにしていた。
【0068】
これに対して本実施形態では、面積の比較的大きな一枚の基板Bに関して、その領域R1~R4に個別にハンダボールを搭載するため、ハンダボールの搭載等を行う前の基板Bの切断・洗浄を省略できる。したがって、本実施形態によれば、一連の処理に要するコストを従来よりも大幅に低減できる。
【0069】
また、第1マスク211に接するように配置されたスリット状体215c(
図5参照)を振動させることで、前記したように、ハンダボールを分散させ、基板Bの各電極Qにハンダボールを一個ずつ搭載できる。したがって、リペア処理(S303:
図12参照)に要する時間を短縮でき、ひいては、単位時間当たりに多くの基板Bを処理できる。
【0070】
また、基板処理装置2は、ハンダボールの充填・搭載に加えて、その後の検査処理及びリペア処理も行うように構成されている。したがって、検査・リペア装置(図示せず)を別体で設ける場合と比較して、基板処理装置2の製造コストを安くすることができ、また、フラックス印刷装置1を含めた各装置全体の横幅を小さくすることができる。
【0071】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、第2マスク25A(
図13(a)参照)の上側に配置される第4マスクM4と、第1マスク211A(
図13(b)参照)の下側に配置される第3マスクM3と、を設ける点が第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(フラックス印刷装置1、移動機構24、カメラ27,28、リペアノズル29等:
図1、
図4参照)については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0072】
図13(a)は、第2マスク25A及び第4マスクM4を含む模式的な断面図である。第2マスク25Aは、多数の孔h1が設けられたマスク部25aと、このマスク部25aの周縁部から上方に延びる摺接部25bと、を備えている。摺接部25bは、搭載ヘッド26の周壁面に摺接している。
【0073】
第4マスクM4は、基板Bの一つの領域(領域R1~R4の任意の一つ:
図2参照)の各電極Qに対応する凸部a4を有し、搭載ヘッド26に固定されている。それぞれの凸部a4は下方に突出しており、第2マスク25Aの各孔h2に臨んでいる。つまり、上下方向において凸部a4と孔h2とが重なるように、第4マスクM4が第2マスク25Aの上側に配置されている。
【0074】
前記したように、摺接部25bが搭載ヘッド26の周壁面に摺接しているため、第2マスク25Aと第4マスクM4との間の空間は、略密閉された状態になっている。また、
図13(a)では図示を省略したが、第4マスクM4には複数の孔が設けられ、搭載ヘッド26の連通路D2を介して負圧/正圧が作用するようになっている。
【0075】
図13(b)は、第1マスク211A及び第3マスクM3を含む模式的な断面図である。第1マスク211Aは、多数の孔h1が設けられたマスク部211aと、このマスク部211aの周縁部から下方に延びる摺接部211bと、を備えている。摺接部211bは、充填台213の周壁面に摺接している。
【0076】
第3マスクM3は、基板Bにおける一つの領域(領域R1~R4の任意の一つ:
図2参照)の各電極Qに対応する多数の凸部a3を有し、充填台213に固定されている。それぞれの凸部a3は上方に突出しており、第1マスク211Aの各孔h1に臨んでいる。つまり、上下方向において凸部a3と孔h1とが重なるように、第3マスクM3が第1マスク211Aの下側に配置されている。
【0077】
前記したように、摺接部211bが充填台213の周壁面に摺接しているため、第1マスク211Aと第3マスクM3との間の空間は、略密閉された状態になっている。また、
図13(b)では図示を省略したが、第3マスクM3には複数の孔が設けられ、充填台213の連通路D1を介して負圧/正圧が作用するようになっている。
なお、他方のハンダボール充填ユニット22A(図示せず)も、
図13(b)に示すハンダボール充填ユニット21Aと同様の構成を備えている。
【0078】
図14は、基板処理装置2が備える制御装置30Aに関する機能ブロック図である。
図14に示す第3マスク移動用モータ41は、第1マスク211A(
図13(b)参照)と第3マスクM3とを、例えば、ボールねじ軸を用いて接近/離間させる駆動源である。第4マスク移動用モータ42は、第2マスク25A(
図13(a)参照)と第4マスクM4とを、例えば、ボールねじ軸を用いて接近/離間させる駆動源である。
【0079】
充填制御部32Aは、第1マスク211A(
図13(b)参照)の各孔h1にハンダボールを充填する際、第3マスク移動用モータ41によって、第3マスクM3を第1マスク211Aから離間させる機能を有している。
【0080】
搭載制御部33Aは、第2マスク25A(
図13(a)参照)の各孔h2を介して負圧を発生させる(ハンダボールを吸着する)際、第3マスク移動用モータ41によって、第3マスクM3を第1マスク211Aに接近させるとともに、第4マスク移動用モータ42によって、第4マスクM4を第2マスク25Aから離間させる機能を有している。
【0081】
また、搭載制御部33Aは、第2マスク25Aの孔h2を介して吸着したハンダボールを基板Bの各電極Qに搭載する際、第4マスク移動用モータ42によって、第4マスクM4を第2マスク25Aに接近させる機能も有している。
【0082】
図15は、基板Bの各電極Qにハンダボールを搭載する処理に関するフローチャートである。なお、第1実施形態で説明した
図11のフローチャートと重複する部分には、同一のステップ番号を付している。
ステップS202において制御装置30Aは、搭載ヘッド26を第1マスク211Aの真上まで移動させる。このとき、
図16(a)に示すように、連通路D1を介して負圧が作用しているため、第1マスク211Aの各孔h1に充填されたハンダボールが下方に吸引されている。
【0083】
ステップS203aにおいて制御装置30Aは、第3マスク移動用モータ41によって第3マスクM3を上昇させ、凸部a3によってハンダボールを押し上げる。また、制御装置30Aは、連通路D2を介して負圧を作用させ、第2マスク25Aの各孔h2を介してハンダボールを吸着する。なお、ステップS203aの処理を行う前に、充填台213の連通路D1を介して作用させていた負圧は解除されている。
【0084】
図16(b)に示すように、凸部a3によってハンダボールを押し上げることで、第1マスク211Aの各孔h1に充填されたハンダボールが搭載ヘッド26によって吸着されやすくなる。したがって、第1マスク211Aの孔h1にハンダボールが残留することを防止できる。
【0085】
ステップS204において制御装置30Aは、搭載ヘッド26を、対象とする領域の真上まで移動させる。つまり、
図16(c)に示すように、制御装置30Aは、連通路D2を介して負圧を作用させつつ、基板Bにおける所定の領域の真上まで搭載ヘッド26を移動させる。
【0086】
ステップS205aにおいて制御装置30Aは、第4マスク移動用モータ42によって第4マスクM4を下降させ、凸部a4によってハンダボールを押し下げる。
図16(d)に示すように、凸部a4によってハンダボールを押し下げることで、第2マスク25Aの各孔h2に吸着されたハンダボールが、基板Bの各電極Qに搭載されやすくなる。また、制御装置30Aは、連通路D2を介してハンダボールを押し下げる正圧を作用させ、基板Bの所定の領域にハンダボールを搭載する。
制御装置30Aは、ハンダボールの搭載を基板Bの各領域ごとに繰り返し行う(S206:Yes,RETURN)。
【0087】
<効果>
本実施形態によれば、制御装置30Aは、第2マスク25Aの各孔h2を介してハンダボールを吸着する際には、第3マスクM3の凸部a3によってハンダボールを押し上げる(S203a)。また、制御装置30Aは、基板Bの各電極Qにハンダボールを搭載する際には、第4マスクM4の凸部a4によってハンダボールを押し下げる(S205a)。これによって、第1マスク211Aの孔h1にハンダボールが残留したり、第2マスク25Aの孔h2にハンダボールが残留したりすることを防止できる。その結果、検査処理において「ハンダボールなし」と判定される電極がほとんどなくなるため、リペア処理に要する時間を短縮でき、ひいては、単位時間当たりに多くの基板Bを処理できる。
【0088】
≪変形例≫
以上、本発明に係る基板処理システムSについて説明したが、本発明は、各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、各実施形態では、ハンダボール充填手段215(
図5参照)が一つのスリット状体215c(
図5、
図6参照)を備える場合について説明したが、これに限らない。
【0089】
図17は、本発明の変形例に係る基板処理システムSが備えるハンダボール充填ユニット21Bの縦断面図である。以下では、ハンダボール充填ユニット21Bが備えるハンダボール充填手段215Bについて説明し、その他の構成については説明を省略する。
ハンダボール充填手段215Bは、回転体215fと、八枚のスリット状体215cと、カバー215gと、を備えている。
【0090】
回転体215fは、断面視において正多角形状(
図17では、正八角形状)を呈しており、y方向に延びる回転軸y1を中心に回転するようになっている。スリット状体215cは、それぞれ、第1実施形態(
図5、
図6参照)で説明したものと同様の構成であり、断面視において回転体215fの各辺に一つずつ設置されている。なお、回転体215fの回転軸y1の高さは、八枚のスリット状体215cのうち一つ(最も下側に位置しているもの)が第1マスク211に接するように設定されている。
【0091】
カバー215gは、回転体215f及びスリット状体215cを収容するものである。カバー215gの下端付近には、カバー215g内に空気を吹き込むための開口h3が設けられている。これによって、第1マスク211上にハンダボールが残留することを防止できる。前記した回転体215fと、スリット状体215cと、カバー215gと、を備えるハンダボール充填手段215Bは、第1マスク211の各孔にハンダボールを充填する際、x方向に移動するようになっている。
スリット状体215cには多数のスリットT(
図6(b)参照)が設けられているため、回転体215fの回転によってカバー215g内のハンダボールが分散し、分散したハンダボールが第1マスク211の各孔h1に一つずつ充填される。
【0092】
また、各実施形態では、基板Bが四つの領域R1~R4(
図2参照)を有し、領域R1~R4のそれぞれにハンダボールを順次搭載する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、領域の数は、ハンダボールの径、基板Bの面積、バンプ(つまり、基板Bの電極Q)間のピッチ等に基づいて適宜設定すればよい。
【0093】
また、各実施形態では、基板処理装置2が、二つのハンダボール充填ユニット21,22(
図4参照)を備える場合について説明したが、これに限らない。すなわち、ハンダボールの充填・搭載に要する時間に基づき、一つのハンダボール充填ユニットを備える構成にしてもよいし、また、三つ以上のハンダボール充填ユニットを備える構成にしてもよい。
【0094】
また、各実施形態では、基板処理装置2が一つの搭載ヘッド26を備える場合について説明したが、これに限らない。すなわち、第2マスク25が設置された搭載ヘッド26を複数設けるようにしてもよい。この場合において制御装置30は、ハンダボールの充填・搭載が休みなく行われるように、ハンダボールの充填が完了している第1マスク211から、搭載ヘッド26によってハンダボールの吸着を行う。
【0095】
また、各実施形態では、基板処理装置2が、ハンダボールに関する検査処理(S301:
図12参照)及びリペア処理(S303:
図12参照)を行う場合について説明したが、これに限らない。すなわち、ハンダボールの充填・搭載を行う基板処理装置の下流側に、検査処理及びリペア処理を順次行う検査・リペア装置(図示せず)を設置するようにしてもよい。また、基板処理システムSが、フラックスの印刷を行うフラックス印刷装置1と、ハンダボールの充填・搭載のみを行う基板処理装置と、を備える構成にしてもよい。
【0096】
また、第2実施形態では、第2マスク25A(
図13(a)参照)の上側に第4マスクM4を配置し、第1マスク211A(
図13(b)参照)の下側に第3マスクM3を配置する構成について説明したが、これに限らない。第2実施形態から第3マスクM3及び第4マスクM4のうち一方を省略してもよい。
また、各実施形態で説明した基板Bは、プリント基板であってもよいし、半導体ウェハ等、他の回路部品であってもよい。
【0097】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0098】
S 基板処理システム
1 フラックス印刷装置
2 基板処理装置
21,22,21A,22A,21B,22B ハンダボール充填ユニット
211,211A 第1マスク
215,215B ハンダボール充填手段
215c スリット状体
24 移動機構
241a,241b 支持体
242 ガントリ
25,25A 第2マスク(マスク)
26 搭載ヘッド
27 カメラ(撮像手段)
29 リペアノズル(リペア手段)
30,30A 制御装置
32,32A 充填制御部
33,33A 搭載制御部
34 検査部
35 リペア制御部
41 第3マスク移動用モータ
42 第4マスク移動用モータ
a3 第3マスクの凸部
a4 第4マスクの凸部
B 基板
h1 第1マスクの孔
h2 第2マスクの孔
M3 第3マスク
M4 第4マスク
R1,R2,R3,R4 領域
T スリット
P 搬送体
Q 電極