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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】表面保護フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20230516BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230516BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J11/06
C09J133/06
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021154402
(22)【出願日】2021-09-22
(62)【分割の表示】P 2020115036の分割
【原出願日】2011-06-10
(65)【公開番号】P2021193194
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】長倉 毅
(72)【発明者】
【氏名】島口 龍介
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-209257(JP,A)
【文献】特開2009-173720(JP,A)
【文献】特開2011-037927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系ポリマーと、架橋剤と、帯電防止剤とを含有する粘着剤組成物を架橋させた粘着剤層が、基材の片面上に形成されてなる表面保護フィルムであって、
前記アクリル系ポリマーが、次のアクリル系ポリマー(1)~アクリル系ポリマー(3)から選択したいずれかの共重合体からなり、
アクリル系ポリマー(1);(A)アルキル基の炭素数がC1~C14の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種と、(B)水酸基および/またはカルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種とを共重合させた共重合体、
アクリル系ポリマー(2);(A)アルキル基の炭素数がC1~C14の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも2種以上を共重合させた共重合体、
アクリル系ポリマー(3);(A)アルキル基の炭素数がC1~C14の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種と、芳香族系モノマーの少なくとも1種とを共重合させた共重合体、
前記粘着剤組成物が、前記架橋剤として、2官能以上のイソシアネート化合物、2官能以上のエポキシ化合物、2官能以上のアクリレート化合物、金属キレート化合物からなる化合物群から選択した1種以上を含有してなり、
前記粘着剤組成物が、前記共重合体の100重量部に対して、前記帯電防止剤として、イオン性化合物を0.1~10重量部の割合で含有してなり、
前記帯電防止剤が、ペンタフルオロフェニル基(C基)を有するアニオンと、カチオンとからなるイオン性化合物であり、前記カチオンが、ピリジニウム、イミダゾリウム、ピロリジニウムからなるカチオン群から選択した1種であり、前記アニオンが、C COO 、C (CH COO 、C (CF COO 、C O(CH COO 、C (CH=CH) COO 、C SO 、C (CH SO 、C (CF SO 、C O(CH SO 、C (CH=CH) SO 、C 、C (CH 、C (CF 、C O(CH 、(C CHO 、(C CO 、C OSO 、C O(CH SO 、C O(CF SO 、(C CO) 、(C CO) 、(C SO 、(C SO 、(C OSO 、(C OSO 、C PO 2- 、(C からなるアニオン群の中から選択された1種であり、
前記表面保護フィルムの25mm幅の測定試料を、前記粘着剤層を介して液晶セルに貼られた偏光板の表面に貼り合わせ、1日放置した後、50℃、5気圧にて、20分間のオートクレーブ処理を施し、室温でさらに12時間放置した後、180°方向に引張試験機を用いて0.3m/minで剥がして測定した剥離強度を粘着力とし、前記粘着力が、0.08~8.8N/25mmであり、
前記粘着剤組成物からなる粘着剤層の表面抵抗値が1.0×10+12Ω/□以下であることを特徴とする表面保護フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止剤を含有する粘着剤組成物、及び粘着フィルムに関する。さらに詳細には、帯電防止剤として、ペンタフルオロフェニル基(C基)を有する化合物(以下、「ペンタフルオロベンゼン化合物」という。)を含有する粘着剤組成物に関し、粘着性能を損なわずに帯電防止性に優れ、さらにリワーク性にも優れた粘着剤組成物及びそれを用いた粘着フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子機器部品、光学機器部品、画像表示パネルなどの精密部品及び部材の製造加工・組み立て工程においては、これらの精密部品及び部材の表面を一時的に保護して、作業環境雰囲気からのパーティクル・気体状の汚染物質の付着や、すりキズ・打痕の発生を防止するために表面保護フィルムが、精密部品及び部材の表面に貼着されている。
例えば、液晶ディスプレイを構成する部材である偏光板、位相差板などの光学部材を製造する工程において使用される表面保護フィルムは、光学的に透明性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムの片面に粘着剤層が形成されているが、光学部材に貼り合わせるまで、その粘着剤層を保護するための剥離処理された剥離フィルムが、粘着剤層の上に貼り合わされている。
【0003】
また、偏光板、位相差板などの光学部材は、表面保護フィルムを貼り合わされた状態で、液晶表示板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う製品検査を行うため、表面保護フィルムに対する要求性能としては、粘着剤層に気泡や異物が付着していないことが求められている。
また、近年では、偏光板、位相差板などの光学部材から表面保護フィルムを剥がすときに、粘着剤層を被着体が剥がす時に発生する静電気に伴って生じる剥離帯電が、液晶ディスプレイの電気制御回路の故障に影響することが懸念され、粘着剤層に対して優れた帯電防止性能が求められている。
また、偏光板、位相差板などの光学部材に表面保護フィルムを貼り合わせるときに、各種の理由により、一旦、表面保護フィルムを剥がして、再度、表面保護フィルムを貼り直すことがあり、そのときに被着体の光学部材から剥がし易いこと(リワーク性)が求められている。
このように、近年においては、表面保護フィルムを構成する粘着剤層に対する要求性能として、粘着力の経時安定性、優れた帯電防止性能、及びリワーク性能などが、表面保護フィルムを使用するに当たっての使い易さの点から求められている。
しかし、表面保護フィルムを構成する粘着剤層に対する要求性能である、これらの、粘着力の経時安定性、優れた帯電防止性能、及びリワーク性能の、それぞれの要求性能を、別々に満たすことは出来ても、表面保護フィルムの粘着剤層に求められる要求性能を、同時に安価なコストで満たすことは困難な課題であった。
【0004】
例えば、粘着力の経時安定性については、次のような提案が知られている。
炭素数が7以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有共重合性化合物との共重合体を主成分とし、これを架橋剤で架橋処理してなるアクリル系の粘着剤層では、長期間接着した場合に粘着剤が被着体側へ移着し、また被着体に対する接着力の経時上昇性が大きいという問題があった。これを回避するため、炭素数8~10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコ―ル性水酸基を有する共重合性化合物との共重合体を用い、これを架橋剤で架橋処理した粘着剤層を設けたものが知られている(特許文献1)。
また、上記同様の共重合体に(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有共重合性化合物との共重合体を少量配合し、これを架橋剤で架橋処理した粘着剤層を設けたものなどが提案されている。
【0005】
また、優れた帯電防止性能については、表面保護フィルムに帯電防止性を付与させための方法として、基材フィルムに帯電防止剤を練り込む方法などが示され、帯電防止剤としては、例えば、(a)第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1~3級アミノ基などのカチオン性基を有する各種のカチオン性帯電防止剤、(b)スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性帯電防止剤、(c)アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性帯電防止剤、(d)アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性帯電防止剤、(e)上記の様な帯電防止剤を高分子量化した高分子型帯電防止剤、などが開示されている(特許文献2)。
【0006】
また、近年では、このような帯電防止剤を基材フィルムに含有させたり、あるいは基材フィルムの表面に塗布するのではなく、直接に粘着剤層に含有させたりすることが提案されている(特許文献3)。
特許文献3では、(1)(a)ウレタンアクリレートと、(b)ポリアルキレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレートと、(c)接着力付与性モノマーと、を主成分として含む重合性混合物を放射線重合することにより得られた共重合体、および、(2)イオン性化合物、を含む、帯電防止性粘着剤組成、及びそれを用いた粘着シートが開示されている。具体的な、粘着剤組成物の製造方法として、ポリエステルウレタンアクリレートのようなウレタンアクリレートと、メトキシポリエチレングリコールアクリレートのようなポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレートモノマーと、ヒドロキシプロピルアクリレートのような接着力付与性モノマーと、必要に応じてイソオクチルアクリレートのようなさらなるコモノマーとを含む重合性混合物に、過塩素酸リチウムのようなイオン性化合物を混合し、必要ならば光重合開始剤を添加し、完全に溶解するまで攪拌した後、紫外線などを照射して硬化することにより粘着剤組成物が得られるとしている。
しかし、イオン性化合物として使用している過塩素酸リチウムは、金属腐食性を有するため、得られた帯電防止性粘着剤組成の使用する場所が限られてしまうという問題があった。
【0007】
また、リワーク性能については、例えば、アクリル樹脂中に、イソシアネート系化合物の硬化剤と、特定のシリケートオリゴマーをアクリル系樹脂100重量部に対して0.0001~10重量部で配合した粘着剤組成物が提案されている(特許文献4)。
特許文献4では、アルキル基の炭素数2~12程度のアクリル酸アルキルエステルやアルキル基の炭素数4~12程度のメタクリル酸アルキルエステル等を主モノマー成分とし、例えば、カルボキシル基含有モノマーなどの他の官能基含有モノマー成分を含むことができるとしている。一般的には上記主モノマーを50重量%以上含有させることが好ましい、又、官能基含有モノマー成分の含有量は0.001~50重量%、好ましくは0.001~25重量%、更に好ましくは0.01~25重量%であることが望まれる、としている。このような特許文献4に記載の粘着剤組成物は、高温下又は高温高湿下でも凝集力及び接着力の経時変化が小さく、かつ、曲面接着力にも優れた効果を示すことから、リワーク性を有するとしている。
一般に、粘着剤層を柔らかい性状のものにすると、糊残りが発生し易くなり、リワーク性が低下しやすい。すなわち、誤って貼合したときに剥離がし難く、貼り直しが困難となりやすい。このことから、カルボキシル基などの官能基を有するモノマーを主剤に架橋させて、粘着剤層を一定の硬さにすることが、リワーク性を持たせるためには必要と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開昭63-225677号公報
【文献】特開平11-070629号公報
【文献】特開2000-129235号公報
【文献】特開平8-199130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術においては、表面保護フィルムを構成する粘着剤層に対する要求性能として、粘着力の経時安定性、優れた帯電防止性能、及びリワーク性能の、それぞれの要求性能を、別々に満たすことは出来ても、表面保護フィルムの粘着剤層に求められる要求性能を、同時に安価なコストで満たすことは困難な課題であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、粘着性能を損なわずに帯電防止性に優れ、さらにリワーク性にも優れた、帯電防止剤を含有する粘着剤組成物、及びそれを用いた粘着フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、アクリル系ポリマーと、架橋剤と、帯電防止剤とを含有する粘着剤組成物であって、前記アクリル系ポリマーが、次のアクリル系ポリマー(1)~アクリル系ポリマー(3)から選択したいずれかの共重合体からなり、
アクリル系ポリマー(1);(A)アルキル基の炭素数がC1~C14の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種と、(B)水酸基および/またはカルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種とを共重合させた共重合体、
アクリル系ポリマー(2);(A)アルキル基の炭素数がC1~C14の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも2種以上を共重合させた共重合体、
アクリル系ポリマー(3);(A)アルキル基の炭素数がC1~C14の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種と、芳香族系モノマーの少なくとも1種とを共重合させた共重合体、
前記粘着剤組成物が、前記架橋剤として、2官能以上のイソシアネート化合物、2官能以上のエポキシ化合物、2官能以上のアクリレート化合物、金属キレート化合物からなる化合物群から選択した1種以上を含有してなり、前記粘着剤組成物が、前記共重合体の100重量部に対して、前記帯電防止剤として、イオン性化合物を0.1~10重量部の割合で含有してなり、前記帯電防止剤が、ペンタフルオロフェニル基(C基)を有するアニオンと、カチオンとからなるイオン性化合物であり、前記カチオンが、ピリジニウム、イミダゾリウム、ピロリジニウムからなるカチオン群から選択した1種であることを特徴とする粘着剤組成物を提供する。
前記イオン性化合物のアニオンが、CCOO、C(CHCOO、C(CFCOO、CO(CHCOO、C(CH=CH)COO、CSO 、C(CHSO 、C(CFSO 、CO(CHSO 、C(CH=CH)SO 、C、C(CH、C(CF、CO(CH、(CCHO、(CCO、(C、COSO 、CO(CHSO 、CO(CFSO 、(CCO)、(CCO)、(CSO、(CSO、(COSO、(COSO、CPO 2-からなるアニオン群の中から選択された1種であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、基材の片面上に、前記粘着剤組成物からなる粘着剤層が積層されたことを特徴とする粘着フィルムを提供する。
また、本発明は、前記粘着フィルムが用いられた、表面保護フィルムを提供する。
また、本発明は、前記粘着フィルムが用いられた、偏光板用の表面保護フィルムを提供する。
また、本発明は、前記粘着フィルムが用いられた、光学用の表面保護フィルムを提供する。
また、本発明は、光学フィルムの少なくとも一方の面に、前記粘着剤組成物からなる粘着剤層が積層されている粘着剤付き光学フィルムを提供する。
また、本発明は、光学フィルムが偏光板である、前記記載の粘着剤付き光学フィルムを提供する。
また、本発明は、前記記載の粘着剤付き光学フィルムが、前記粘着剤層を介して貼り合わされてなる画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ペンタフルオロベンゼン骨格を有する、比較的に安価な帯電防止剤を含有させた粘着剤を用いることで、粘着剤の全体コストを抑えることができ、帯電防止性やリワーク性などの欠点などの課題を改善することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。
本発明の粘着剤組成物は、粘着剤の主剤となる粘着剤ポリマーと、帯電防止性能を付与する帯電防止剤を有し、この帯電防止剤として、ペンタフルオロフェニル基(C基)を有する化合物であるペンタフルオロベンゼン化合物を含有することを特徴とする。
これにより、帯電防止性能に優れ、帯電防止性やリワーク性などの欠点などの課題を改善することが可能となる。
【0014】
本発明に用いる粘着剤ポリマーとしては、アクリル系ポリマーが好ましく、特に、(A)アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種を主成分とする共重合組成物が好ましい。
(A)アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートモノマーのアルキル基は、直鎖、分枝状、環状のいずれでもよい。
【0015】
本発明に用いる粘着剤ポリマーとして、(A)アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種と、他の共重合性モノマーの少なくとも1種とからなる共重合組成物を採用することもできる。この場合、他の共重合性モノマーとしては、(B′)ビニル基を有する共重合性ビニルモノマーや、(B)水酸基および/またはカルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーが挙げられる。
水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類や、N-ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、これらの化合物群の中から選択された、少なくとも1種以上であることが好ましい。
カルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレートからなどが挙げられ、これらの化合物群の中から選択された、少なくとも1種以上であることが好ましい。
上記以外の共重合性ビニルモノマーとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族基含有(メタ)アクリル酸エステル類のほか、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの各種ビニルモノマーが挙げられる。
【0016】
また、本発明に用いる粘着剤ポリマーとして、(A)アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上からなる共重合組成物を採用することもできる。この場合、(A)アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマー以外の共重合性ビニルモノマーを用いなくても共重合組成物とすることができる。
【0017】
本発明の粘着剤組成物は、ペンタフルオロフェニル基(C基)を有する化合物であるペンタフルオロベンゼン化合物を少なくとも1種以上、必須成分として含有する。このペンタフルオロベンゼン化合物は、帯電防止剤として、含有することが好ましい。下記(化1)の式に、ペンタフルオロベンゼン化合物の一般式を示す。式中、Yはアニオン性官能基や非イオン性ポリエーテル官能基などの帯電防止性能を有する官能基を含む部分構造を示す。
【0018】
【化1】
【0019】
本発明で用いられるペンタフルオロベンゼン化合物が非イオン性の場合に用いられるポリエーテル官能基としては、ポリエチレンオキサイド基やポリプロピレンオキサイド基などのポリアルキレンオキサイド基が挙げられる。前記ポリエーテル官能基の末端基としては、水素原子、アルキル基、アシル基、アミノ基などが挙げられる。
【0020】
本発明で用いられるペンタフルオロベンゼン化合物は、アニオンとカチオンとをからなるイオン性化合物であることが好ましく、さらにこのイオン性化合物が、ペンタフルオロフェニル基(C基)を有する各種アニオンからなるアニオン群の中から選択された1種をアニオンとして有することが好ましい。
ペンタフルオロフェニル基(C基)を有するアニオンとしては、C基を有するカルボン酸アニオン(上記YにCOOを含むアニオン)、C基を有するスルホン酸アニオン(上記YにSO を含むアニオン)、C基を有するホスホン酸アニオン(上記YにPO 2-を含むアニオン)、C基を有するアルコキシドもしくはフェノキシアニオン(上記YにOを含むアニオン)、C基を有するイミドアニオン(上記YにNを含むアニオン)、C基を有するメチドアニオン(上記YにCを含むアニオン)、C基を有するボレートアニオン(上記YにBを含むアニオン)などが挙げられる。
基を有するアニオンの具体例としては、特に限定されるものではないが、CCOO、C(CHCOO、C(CFCOO、CO(CHCOO、C(CH=CH)COO、CSO 、C(CHSO 、C(CFSO 、CO(CHSO 、C(CH=CH)SO 、C、C(CH、C(CF、CO(CH、(CCHO、(CCO、COSO 、CO(CHSO 、CO(CFSO 、(CCO)、(CCO)、(CSO、(CSO、(COSO、(COSO、CPO 2-、(Cなどが挙げられる(ただし、nは1以上の整数)。
本発明で用いられるペンタフルオロベンゼン化合物は、特に、ペンタフルオロベンゼンカルボン酸アニオン(上記YがCOOであるアニオン。すなわち、CCOO)、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン(上記YがSO であるアニオン。すなわち、CSO )、ペンタフルオロフェノキシアニオン(上記YがOであるアニオン。すなわち、C)からなる化合物群の中から選択された少なくとも1種以上をアニオンとして含有するイオン性化合物であることが好ましい。
【0021】
本発明に用いる粘着剤ポリマーの共重合組成物の100重量部に対して、帯電防止剤が、(C)前記のペンタフルオロベンゼン化合物群の中から選択された1種をアニオンとして有するイオン性化合物を0.1~20重量部、さらに好ましくは0.1~10重量部、含有することが好ましい。
【0022】
前記イオン性化合物が、カチオン成分として、ピリジニウム、イミダゾリウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピロリジニウム、グアニジニウム、アンモニウム、イソウロニウム、チオウロニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、モルホリニウム等からなるカチオン群から選択した一種であるイオン性化合物であることが好ましい。
ピリジニウムカチオンとしては、例えば、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムカチオン、1-オクチル-4-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-4-メチルピリジニウムカチオン、2-メチル-1-ドデシルピリジニウムカチオン、1-メチルピリジニウムカチオン、1-エチルピリジニウムカチオン、1-ブチルピリジニウムカチオン、1-ヘキシルピリジニウムカチオン、1-オクチルピリジニウムカチオン、1-ノニルピリジニウムカチオン、1-ドデシルピリジニウムカチオンなどが挙げられる。
イミダゾリウムカチオンとしては、例えば、1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ノニル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられる。
ピロリジニウムカチオンとしては、例えば、1-メチル-1-エチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムカチオン、1-ブチル-1-ブチルピロリジニウムカチオン、1-オクチル-1-オクチルピロリジニウムカチオン、1-ブチル-1-オクチルピロリジニウムカチオン、1-ノニル-1-ノニルピロリジニウムカチオン、1-ドデシル-1-ドデシルピロリジニウムカチオンなどが挙げられる。
アンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、トリメチルヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルプロピルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N,N-ジデシルアンモニウムカチオン、N,N-ジアリル-N-ヘキシル-N-メチルアンモニウムカチオンおよびトリメチルエチルアンモニウムカチオンなどの脂肪族アンモニウムカチオン;フェニルトリメチルアンモニウムカチオン、ジメチルエチルフェニルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルフェニルアンモニウムカチオンなどの芳香族アンモニウムカチオンなどが挙げられる。
ピペリジニウムカチオンとしては、例えば、1-メチル-1-エチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムカチオン、1-ブチル-1-ブチルピペリジニウムカチオン、1-オクル-1-オクチルピペリジニウムカチオン、1-ブチル-1-オクチルピペリジニウムカチオンなどが挙げられる。
モルホリニウムカチオンとしては、例えば、4-メチル-4-エチルモルホリニウムカチオン、4-メチル-4-ブチルモルホリニウムカチオン、4-メチル-4-ヘキシルモルホリニウムカチオン、4-オクチル-4-オクチルモルホリニウムカチオン、4-ブチル-4-オクチルモルホリニウムカチオン、4-ノニル-4-ノニルモルホリニウムカチオン、4-ドデシル-4-ドデシルモルホリニウムカチオンなどが挙げられる。
ホスホニウムカチオンとしては、例えば、テトラブチルホスホニウムカチオン、トリイソブチルメチルホスホニウムカチオン、テトラペンチルホスホニウムカチオンおよびテトラヘキシルホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
【0023】
ピリジニウムカチオンとペンタフルオロベンゼン化合物のアニオンを有するイオン性化合物としては、例えば、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1-オクチル-4-メチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-オクチル-4-メチルピリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-オクチル-4-メチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1-ブチル-4-メチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-ブチル-4-メチルピリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-ブチル-4-メチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、2-メチル-1-ドデシルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、2-メチル-1-ドデシルピリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、2-メチル-1-ドデシルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1-ブチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-ブチルピリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-ブチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1-オクチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-オクチルピリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-オクチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1-ノニルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-ノニルピリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-ノニルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1-ドデシルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-ドデシルピリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-ドデシルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1-オクチル-3,5ジメチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-オクチル-3,5ジメチルピリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-オクチル-3,5ジメチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、などが挙げられる。
イミダゾリウムカチオンとペンタフルオロベンゼン化合物のアニオンを有するイオン性化合物としては、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1-ノニル-3-メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-ノニル-3-メチルイミダゾリウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-ノニル-3-メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、などが挙げられる。
ピロリジニウムカチオンとペンタフルオロベンゼン化合物のアニオンを有するイオン性化合物としては、1-ブチル-1-ブチルピロリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-ブチル-1-ブチルピロリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-ブチル-1-ブチルピロリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1-オクチル-1-オクチルピロリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1-オクチル-1-オクチルピロリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1-オクチル-1-オクチルピロリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、などが挙げられる。
【0024】
前記粘着剤組成物からなる粘着剤層の表面抵抗値が1.0×10+12Ω/□以下であることが好ましい。表面抵抗値が大きいと剥離時に帯電で発生した静電気を逃がす性能に劣るため、表面抵抗値を十分に小さくすることにより、粘着剤層を被着体が剥がす時に発生する静電気に伴って生じる剥離帯電圧が低減され、被着体の電気制御回路等に影響することを抑制することができる。
【0025】
本発明の粘着剤組成物は、粘着剤層を形成する際に粘着剤ポリマーを架橋することが好ましい。架橋をするため、粘着剤組成物が既知の架橋剤を含んでも良く、紫外線(UV)など光架橋で架橋しても良い。架橋剤としては、2官能以上のイソシアネート化合物、2官能以上のエポキシ化合物、2官能以上のアクリレート化合物、金属キレート化合物などが挙げられる。
さらにその他成分としてシランカップリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、硬化促進剤、可塑剤、充填剤、硬化遅延剤、加工助剤、老化防止剤などの公知の添加剤を適宜に配合することができる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0026】
本発明の粘着フィルムは、基材フィルムの片面上に、本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層が積層されたものである。本発明の粘着フィルムは、表面保護フィルム、偏光板用の表面保護フィルム、光学用の表面保護フィルムに好適に用いることができる。
粘着剤層の基材フィルムや、粘着面を保護する剥離フィルム(セパレーター)としては、ポリエステルフィルムなどの樹脂フィルム等を用いることができる。
基材フィルムには、樹脂フィルムの粘着剤層が形成された側とは反対面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤やコート剤、シリカ微粒子等による防汚処理、帯電防止剤の塗布や練り込み等による帯電防止処理を施すことができる。
剥離フィルムには、粘着剤層の粘着面と合わされる側の面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤などにより離型処理が施される。
偏光板用の表面保護フィルムなどの光学用の表面保護フィルムの場合は、基材フィルム及び粘着剤層は、十分な透明性を有することが好ましい。
【実施例
【0027】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0028】
<アクリル共重合体の製造>
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に2-エチルヘキシルアクリレート100重量部、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート1.5重量部とともに溶剤(酢酸エチル)を100部加えた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を2時間かけて滴下させ、65℃で8時間反応させ、重量平均分子量50万の、実施例1のアクリル共重合体溶液1を得た。
[実施例2~7及び比較例1~2]
単量体の組成を各々、表1の記載のようにする以外は、上記の実施例1に用いるアクリル共重合体溶液1と同様にして、実施例2~7及び比較例1~2に用いるアクリル共重合体溶液を得た。
【0029】
<粘着剤組成物及び表面保護フィルムの製造>
[実施例1]
上記のとおり製造したアクリル共重合体溶液1(そのうちアクリル共重合体が100重量部)に対して、1-オクチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩1.0重量部、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)化合物のイソシアヌレート体)1.5重量部を加えて撹拌混合して実施例1の粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をシリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる剥離フィルムの上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去し、粘着剤層の厚さが25μmである粘着シートを得た。
その後、一方の面に帯電防止及び防汚処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの帯電防止及び防汚処理された面とは反対の面に粘着シートを転写させ、「帯電防止及び防汚処理されたPETフィルム/粘着剤層/剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)」の積層構成を有する実施例1の表面保護フィルムを得た。
[実施例2~7及び比較例1~2]
添加剤の組成を各々、表1の記載のようにする以外は、上記の実施例1の表面保護フィルムと同様にして、実施例2~7及び比較例1~2の表面保護フィルムを得た。
【0030】
表1において、各成分の配合比は、アルキルアクリレートモノマーの合計(共重合性ビニルモノマーを用いた場合は、アルキルアクリレートモノマーと共重合性ビニルモノマーの合計)を100重量部として求めた重量部の数値を括弧で囲んで示す。また、表1に用いた各成分の略記号の化合物名を、表2に示す。
なお、コロネート(登録商標)HX、同HL及び同L-45は日本ポリウレタン工業株式会社の商品名であり、TETRAD(登録商標)-Xは三菱ガス化学株式会社の商品名であり、デュラネート(登録商標)24A―100は旭化成ケミカルズ株式会社の商品名である。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
<試験方法及び評価>
実施例1~7及び比較例1~2における表面保護フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして、粘着剤層を表出させたものを、表面抵抗値の測定試料とした。
さらに、この粘着剤層を表出させた表面保護フィルムを、粘着剤層を介して液晶セルに貼られた偏光板の表面に貼り合わせ、1日放置した後、50℃、5気圧、20分間オートクレーブ処理し、室温でさらに12時間放置したものを、粘着力の測定試料とした。
【0034】
<粘着力>
上記で得られた測定試料(25mm幅の表面保護フィルムを偏光板の表面に貼り合わせたもの)を180°方向に引張試験機を用いて低速度(0.3m/min)において剥がして測定した剥離強度を粘着力とした。
【0035】
<表面抵抗>
エージングした後、偏光板に貼り合わせる前に、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして粘着剤層を表出し、抵抗率計ハイレスタUP-HT450(三菱化学アナリテック製)を用いて粘着剤層の表面抵抗を測定した。
【0036】
上記の表1に、評価結果を示す。なお、表面抵抗値は、「m×10+n」を「mE+n」とする方式(ただし、mは任意の実数値、nは正の整数)により表記した。
【0037】
実施例1~7の表面保護フィルムは、表面抵抗値が1.0×10+12Ω/□以下であり、適度な粘着力を備えていた。すなわち、帯電防止性やリワーク性などの欠点などの課題を改善することができるものとなった。
比較例1~2の表面保護フィルムは、表面抵抗値が1.0×10+12Ω/□を超えており、帯電防止性に問題があるものとなった。さらに比較例1の表面保護フィルムは、粘着力が強すぎるため、リワーク性にも問題があるものとなった。