(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】プロセスに対する補正の決定
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2021524168
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(86)【国際出願番号】 EP2019077353
(87)【国際公開番号】W WO2020094325
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-07-05
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ロイ、サラティ
(72)【発明者】
【氏名】フルセボス、エド、マリア
(72)【発明者】
【氏名】ウェルクマン、ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ルアン、ジュンル
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-075555(JP,A)
【文献】特表2017-536584(JP,A)
【文献】特開2019-102495(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0041908(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/20-1/86、7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/027、21/205、21/30、21/302
21/304、21/31、21/36、21/461
21/469
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造プロセスを構成する方法であって、
前記半導体製造プロセスにおけるプロセス工程の第1動作に関連付けられた測定に基づく第1パラメータの第1の値を取得することと、
リカレントニューラルネットワークを用いて、前記第1の値
を前記リカレントニューラルネットワークの入力として用いることに基づ
いて前記第1パラメータの予測値を決定することと、
前記半導体製造プロセスにおける前記プロセス工程の後続動作を構成する際に前記第1パラメータの前記予測値を用いることと、を備える方法。
【請求項2】
前記プロセス工程の前記第1動作に関連付けられた前記測定は、第1サンプリング方式に関連付けられており、前記方法は、
前記プロセス工程の前記後続動作に関連付けられた測定であって、前記第1サンプリング方式よりも空間的に密ではない第2サンプリング方式を用いる測定に基づく第2パラメータの第2の値を取得することと、
前記半導体製造プロセスにおける前記プロセス工程の前記後続動作を構成する際に前記第2パラメータの第2の値を用いることと、をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の値は、前記プロセス工程の前記後続動作での測定に基づいて取得される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の値は、前記プロセス工程の前記後続動作が実行されるのと同じ基板テーブル上に支持される同じ基板上で実行される測定に基づいて取得され、前記プロセス工程の前記後続動作は、前記第2の値を用いて構成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記半導体製造プロセスは、基板をパターニングするバッチ式プロセスであり、前記第1サンプリング方式は、5から10バッチごとの測定頻度を有し、前記第2サンプリング方式は、バッチごとに1回の測定頻度を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記半導体製造プロセスは、露光フィールドを用いて基板をパターニングするプロセスであり、前記第1サンプリング方式は、露光フィールドごとに200から300の測定点となる空間密度を有し、前記第2サンプリング方式は、露光フィールドごとに2から3の測定点となる空間密度を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記測定に基づく前記第1パラメータの後続値を取得することと、前記後続値を用いて前記リカレントニューラルネットワークを更新することとをさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記リカレントニューラルネットワークは、長短期記憶ネットワークを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法に係る半導体製造プロセスを構成するための方法を備える、半導体製造プロセス。
【請求項10】
前記リカレントニューラルネットワークを用いた前記第1パラメータの前記予測値と、前記第1パラメータの前記取得した第1の値
および前記第1パラメータの履歴値を重み付ける重み付けモデルを適用することによって得られる前記第1パラメータの値との一致性に基づいて、半導体製造プロセスの制御装置によって用いられる
前記重み付けモデル
の前記重み付けパラメータの値を決定することをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記
重み付けモデルは、指数加重移動平均モデルであり、前記
重み付けパラメータは、前記指数加重移動平均モデルに関連付けられる平滑化定数である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
半導体製造プロセスにおけるプロセス工程の第1動作に関連付けられた測定に基づく第1パラメータの第1の値を取得する工程と、
リカレントニューラルネットワークを用いて、前記第1の値
を前記リカレントニューラルネットワークの入力として用いることに基づ
いて前記第1パラメータの予測値を決定する工程と、
前記半導体製造プロセスにおける前記プロセス工程の後続動作を構成する際に前記第1パラメータの前記予測値を用いる工程と、を汎用データ処理装置に実行させるための機械可読指令を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
前記リカレントニューラルネットワークは、長短期記憶ネットワークを備える、請求項
12に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
前記リカレントニューラルネットワークを用いた前記第1パラメータの前記予測値と、前記第1パラメータの前記取得した第1の値
および前記第1パラメータの履歴値を重み付ける重み付けモデルを適用することによって得られる前記第1パラメータの値との一致性に基づいて、半導体製造プロセスの制御装置によって用いられる
前記重み付けモデル
の前記重み付けパラメータの値を決定するための機械可読指令をさらに備える、請求項1
3に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
前記
重み付けモデルは、指数加重移動平均モデルである、請求項1
4に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
半導体製造プロセスにおけるプロセス工程に関連付けられた測定に基づく第1パラメータの第1の値を取得する工程と、
リカレントニューラルネットワークを用いて、前記第1の値
を前記リカレントニューラルネットワークの入力として用いることに基づ
いて前記第1パラメータの予測値を決定する工程と、
前記半導体製造プロセスのRun-to-Run制御に用いられる制御装置を構成する際に前記第1パラメータの前記予測値を用いる工程と、を汎用データ処理装置に実行させるための機械可読指令を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
前記制御装置を構成する工程は、前記半導体製造プロセスの前記Run-to-Run制御に用いられる指数加重移動平均モデルを構成することを備える、請求項
16に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
半導体製造プロセスを構成する方法であって、
前記半導体製造プロセスにおけるプロセス工程に関連付けられた測定に基づく第1パラメータの第1の値を取得することと、
リカレントニューラルネットワークを用いて、前記第1の値
を前記リカレントニューラルネットワークの入力として用いることに基づ
いて前記第1パラメータの予測値を決定することと、
前記半導体製造プロセスのRun-to-Run制御に用いられる指数加重移動平均モデルを構成する際に前記第1パラメータの前記予測値を用いることと、を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2018年11月7日に出願されたEP出願18204882.7、2019年1月9日に出願されたEP出願19150953.8、2019年5月13日に出願されたEP出願19173992.9および2019年9月25日に出願されたEP出願19199505.9の優先権を主張し、これらは、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、プロセスに対する補正の決定方法、半導体製造プロセス、リソグラフィ装置、リソグラフィセル、および、関連するコンピュータ製品に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、基板上に所望のパターンを付与するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用できる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)でのパターン(しばしば「デザインレイアウト」または「デザイン」とも呼ばれる)を、基板(例えば、ウェハ)上に設けられる放射感受性材料(レジスト)の層に投影しうる。
【0004】
基板上にパターンを投影するため、リソグラフィ装置は電磁放射を使用しうる。この放射の波長は、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用される典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nmおよび13.5nmである。4-20nmの範囲内、例えば6.7nmまたは13.5nmの波長を有する極端紫外(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば、波長193nmの放射を使用するリソグラフィ装置よりも基板上に小さなフィーチャを形成するために使用されうる。
【0005】
低k1リソグラフィは、リソグラフィ装置の古典的な解像度限界よりも小さい寸法を有するフィーチャを処理するために使用されうる。このようなプロセスにおいて、解像度の式は、CD=k1×λ/NAと表すことができ、ここで、λは使用する放射の波長、NAはリソグラフィ装置の投影光学系の開口数、CDは「クリティカルディメンジョン」(一般に、印刷される最小のフィーチャサイズであるがこの場合にはハーフピッチ)、k1は経験的な解像度係数である。一般に、k1が小さいほど、特定の電気的機能および性能を実現するために回路設計者によって計画された形状および寸法に似たパターンを基板上に再現することが難しくなる。これらの困難性を克服するため、洗練された微調整工程がリソグラフィ投影装置および/または設計レイアウトに適用されうる。これらは、例えば、NAの最適化、カスタマイズされた照明方式、位相シフトパターニングデバイスの使用、設計レイアウトにおける光学近接効果補正(OPC、しばしば「光学プロセス補正」とも呼ばれる)といった設計レイアウトのさまざまな最適化、または、一般に「解像度向上手法」(RET)として定義される他の方法を含むが、これらに限られるものではない。代替的に、リソグラフィ装置の安定性を制御するための厳密な制御ループを使用して、低k1でのパターンの再現を改善しうる。
【0006】
国際特許出願WO2015049087は、工業プロセスに関連する診断情報を取得する方法を開示し、参照によりその全体が本書に組み込まれる。アライメントデータまたは他の測定は、リソグラフィプロセスの実行中の段階にて、各ウェハにわたって空間的に分布する点で測定される位置偏差または他のパラメータを表すオブジェクトデータを取得するために実行される。オーバレイおよびアライメントの残差は、フィンガープリントとして知られるウェハにわたるパターンを典型的に示す。
【0007】
半導体製造では、単純な制御ループを用いて、クリティカルディメンジョン(CD)性能パラメータフィンガープリントを補正できる。典型的に、フィードバックメカニズムは、スキャナ(ある種類のリソグラフィ装置)をアクチュエータとして使用して、ウェハごとの平均ドーズを制御する。同様に、オーバレイ性能パラメータオーバレイの場合、処理ツールによって誘起されたフィンガープリントは、スキャナアクチュエータを調整することによって補正できる。
【0008】
スパース(疎な)現像後検査(ADI;After-Develop Inspection)測定は、スキャナの(典型的にはRun-to-Run)制御に使用されるグローバルモデルの入力として使用される。頻繁には測定されないデンス(密な)ADI測定は、露光単位のモデリングに使用される。露光単位のモデリングは、デンスデータを使用して高い空間密度でモデリングすることによって、大きな残差を有するフィールドの場合に実行される。このようなより高密度な計測サンプリングを必要とする補正は、スループットに悪影響を与えずに頻繁に実施することはできない。
【0009】
スパースADIデータに基づくモデルパラメータが、典型的に、密に測定されたパラメータの値を正確に表していないことは問題である。これは、モデルパラメータとフィンガープリントの捕捉されていない部分との間で生じる相互干渉(クロストーク)が原因かもしれない。さらに、このようなスパースデータセットの場合、モデルの次元が大きすぎるかもしれない。これは、Run-to-Run制御において捕捉されていないフィンガープリントがフィールド単位モデルによって完全に捕捉されないという問題を導入する。別の問題は、分散サンプリングにおける不安定なスパース対デンス(疎対密)の挙動である。ここで、異なるウェハ(および異なるロット)では異なるサンプリングを有するため、多くのウェハのレイアウトを重ね合わせることで高密度な測定結果を効果的に得られる。モデリングされたスパースデータと密に測定されたパラメータ値の間には大きな残差がある。これは、不十分なフィンガープリントの記述につながり、露光単位で最適ではない補正につながる。
【0010】
さらに、アライメント制御の場合、少数のアライメントマークのみ、露光中にスループットに影響を与えずに測定できる(約40)という問題がある。高次のアライメント制御は、より密なアライメントレイアウトを必要とし、スループットに影響を与える。この問題の解決策は、
図5に示すように、オフラインツールにおいてより高密度なアライメントマークを測定することであり(Takehisa Yahiro et. al., "Feed-forward alignment correction for advanced overlay process control using a standalone alignment station "Litho Booster"," Proc. SPIE 10585, Metrology, Inspection, and Process Control for Microlithography XXXII)、露光中にこの高次補正をフィードフォワードし、露光中においても低次補正を計算することである。
【0011】
オーバレイ制御の場合、高次補正を更新するための密なオーバレイ測定は、実際的には数ロットに一度しか実行できない(高次パラメータ更新として知られる)。スキャナ制御レシピを決定するために使用される高次パラメータは、高次パラメータ更新測定間において変化しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の問題または制限の一以上を解決する、プロセスに対する補正を決定する方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施の形態は、請求項および詳細な説明に開示される。
【0014】
本発明の第1の態様において、プロセスに対する補正を決定する方法が提供される。この方法は、プロセスを受ける一以上の基板にわたるパラメータの測定値を表し、スパースサンプリングレイアウトを用いて測定される第1スパースデータを取得することと、プロセスを受ける一以上の基板にわたるパラメータの測定値を表し、スパースサンプリングレイアウトよりも空間的に密であるデンスサンプリングレイアウトを用いて測定されるデンスデータを取得することと、モデルをスパースデータおよびデンスデータに適用してスパース対デンス不整合を決定することと、スパースサンプリングレイアウトを用いて測定され、プロセスを受ける基板にわたるパラメータの測定値を表す第2スパースデータを取得することと、スパース対デンス不整合に基づいてモデルを適応させることと、適応させたモデルを第2スパースデータに適用してスパースモデル結果を決定することと、スパースモデル結果に基づいてプロセスに対する補正を決定することと、を備える。
【0015】
本発明の第2の態様において、第1の態様に係るプロセスに対する補正を決定する方法を備える半導体製造プロセスが提供される。
【0016】
本発明の第3の態様において、リソグラフィ装置が提供される。この装置は、放射の投影ビームを提供するよう構成される照明システムと、パターニングデバイスを支持するよう構成され、パターニングデバイスが所望のパターンにしたがって投影ビームをパターン化するよう構成されるサポート構造と、基板を保持するよう構成される基板テーブルと、パターン化されたビームを基板のターゲット部分に投影するよう構成される投影システムと、第1の態様の方法に係るプロセスに対する補正を決定するよう構成される処理ユニットと、を備える。
【0017】
本発明の第4の態様において、第3の態様のリソグラフィ装置を備えるリソグラフィセルが提供される。
【0018】
本発明の第5の態様において、第1の態様の方法の工程を汎用データ処理装置に実行させるための機械可読指令を備えるコンピュータプログラム製品が提供される。
【0019】
さらに、高い時間的サンプリング頻度で基板にわたってパラメータデータを密に測定する必要なしに、パラメータデータをモデリングする方法を提供することが望ましい。
【0020】
本発明の第6の態様において、パラメータデータをモデリングする方法が提供される。この方法は、基板上の複数の位置に関連付けられたパラメータの値のセットを取得することと、複数の位置での一以上の基底関数の評価に基づく第1行列の値を取得することと、以前の基板に関連付けられたパラメータの以前に取得した値のセットに対する適応可能な数の行列のトレーニングに基づく第2行列の値を取得することと、第1および第2行列の値と取得した値のセットとを用いてモデルの係数を決定することと、係数と第2行列の値を用いてパラメータのモデリングされた値を提供することと、を備える。
【0021】
さらに、プロセスを正確に制御する能力を保持しながら、半導体製造プロセスに関連づけられたパラメータを予測し、密に測定されるデータを提供する頻度を低減する方法を提供することが望ましい。
【0022】
本発明の第7の態様において、半導体製造プロセスを構成する方法が提供される。この方法は、半導体製造プロセスにおけるプロセス工程の第1動作および第1サンプリング方式に関連付けられた測定に基づく第1パラメータの第1の値を取得することと、リカレントニューラルネットワークを用いて第1の値に基づく第1パラメータの予測値を決定することと、半導体製造プロセスにおけるプロセス工程の後続動作を構成する際に第1パラメータの予測値を用いることと、を備える。
【0023】
好ましくは、この方法は、半導体製造プロセスにおけるプロセス工程の第1動作での測定から得られる第1の値に基づいて決定される第1パラメータの予測値を用いて、半導体製造プロセスにおけるプロセス工程の後続動作の制御レシピを決定することをさらに備える。
【0024】
本発明の第8の態様において、第7の態様の方法に係る半導体製造プロセスに関連付けられたパラメータの値を予測する方法を備える半導体製造プロセスが提供される。
【0025】
本発明の第9の態様において、リソグラフィ装置が提供される。この装置は、放射の投影ビームを提供するよう構成される照明システムと、パターニングデバイスを支持するよう構成され、パターニングデバイスが所望のパターンにしたがって投影ビームをパターン化するよう構成されるサポート構造と、基板を保持するよう構成される基板テーブルと、パターン化されたビームを基板のターゲット部分に投影するよう構成される投影システムと、第7の態様の方法に係る半導体製造プロセスに関連付けられたパラメータの値を予測するよう構成される処理ユニットと、を備える。
【0026】
本発明の第10の態様において、第7の態様の方法の工程を汎用データ処理装置に実行させるための機械可読指令を備えるコンピュータプログラム製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の実施の形態は、添付の概略的な図面を参照して、単なる例示として以下に説明される。
【
図1】リソグラフィ装置の概要を概略的に示す図である。
【
図2】リソグラフィセルの概要を概略的に示す図である。
【
図3】半導体製造を最適化する三つの主要技術間の協力を表す全体論的なリソグラフィを概略的に示す図である。
【
図4】プロセスの現像後およびエッチング後のオーバレイ制御を概略的に示す図である。
【
図5】ある実施の形態に係るプロセスに対する補正を決定する方法のフローチャートである。
【
図6】分散デンスサンプリングを用いる別の実施の形態に係るプロセスに対する補正を決定する方法のフローチャートである。
【
図7】従来の方法と実施の形態の残差オーバレイ性能を比較した例の結果を示す図である。
【
図8】
図7と同様であるが、分散サンプリングの場合に比較した例の結果を示す図である。
【
図9】測定されたパラメータデータのモデリングの方法を示す図である。
【
図10】ある実施の形態に係る測定されたパラメータデータのモデリングの方法を示す図である。
【
図11】半導体製造プロセスのオーバレイサンプリングおよび制御の概要を概略的に示す図である。
【
図12】半導体製造プロセスの既知のアライメントサンプリングおよび制御の概要を概略的に示す図である。
【
図13】本発明のある実施の形態に係る半導体製造プロセスのサンプリングおよび制御の方法の概要を概略的に示す図である。
【
図14】
図11のサンプリングおよび制御方式に対応するオーバレイ高次パラメータ更新のグラフである。
【
図15】本発明のある実施の形態に係る更新を伴わない場合のオーバレイ高次パラメータ更新のグラフである。
【
図16】本発明のある実施の形態に係る
図13のサンプリングおよび制御方式に対応する更新を伴う場合のオーバレイ高次パラメータ更新のグラフである。
【
図17】高次オーバレイパラメータ補正を伴わない場合、
図14に対応するオーバレイ高次パラメータ更新を伴う場合、および、
図15と
図16に対応するオーバレイパラメータ予測を伴う場合に測定されるオーバレイのウェハマップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本文書において、「放射」および「ビーム」の用語は、紫外放射(例えば、365、248、193、157または126nmの波長を有する)およびEUV(極端紫外放射、例えば約5-100nmの範囲の波長を有する)を含む、全ての種類の電磁放射を包含するために用いられる。
【0029】
本文において使用される「レチクル」、「マスク」または「パターニングデバイス」の用語は、基板のターゲット部分に作成されるべきパターンに対応するパターン化された断面を入射放射ビームに与えるために使用できる一般的なパターニングデバイスを指すものと広く解釈されうる。「ライトバルブ」の用語もこの文脈において使用できる。古典的なマスク(透過型または反射型、バイナリ型、位相シフト型、ハイブリッド型など)に加えて、このようなパターニングデバイスの他の例は、プログラマブルミラーアレイおよびプログラムマブルLCDアレイを含む。
【0030】
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えば、UV放射、DUV放射またはEUV放射)を調整するよう構成される照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するよう構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするよう構成される第1位置決め装置PMに接続されるマスクサポート(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートされたウェハ)Wを保持するよう構築され、特定のパラメータに従って基板サポートを正確に位置決めするよう構成される第2位置決め装置PWに接続される基板サポートと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されるパターンを基板Wの(例えば一以上のダイを備える)ターゲット部分Cに投影するよう構成される投影システム(例えば、屈折型投影レンズシステム)PSとを含む。
【0031】
動作時において、照明システムILは、放射源SOからの放射ビームを、例えばビームデリバリシステムBDを介して受け取る。照明システムILは、放射を方向付け、成形し、および/または、制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型および/または他の形式の光学要素、またはそれらの任意の組み合わせといった様々な形式の光学要素を含んでもよい。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの平面におけるビーム断面にて所望の空間および角度強度分布を有するように放射ビームBを調整するために使用されうる。
【0032】
本書で使用される「投影システム」PSの用語は、用いられる露光放射および/または液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に適切であれば、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁気型および/または静電型の光学システム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、様々な形式の投影システムを包含するものと広く解釈されるべきである。本書における「投影レンズ」の用語の使用は、より一般的な用語である「投影システム」PSと同義とみなされてもよい。
【0033】
リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wの間の空間を満たすように、基板の少なくとも一部が比較的高い屈折率を有する液体、例えば水で被覆されうる形式であってもよい。これは、液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技術の詳細は、US6952253に記載されており、参照により本書に組み込まれる。
【0034】
リソグラフィ装置LAは、二以上の基板サポートWTを有する形式(「デュアルステージ」とも呼ばれる)であってもよい。このような「マルチステージ」の機械において、基板サポートWTが並行して用いられてもよく、および/または、基板Wの後続する露光の準備工程が一方の基板サポートWT上に位置する基板W上で実行される間、他方の基板サポートWT上の別の基板Wは、別の基板W上にパターンを露光するために用いられてもよい。
【0035】
基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置LAは、測定ステージを備えてもよい。測定ステージは、センサおよび/またはクリーニング装置を保持するよう構成される。センサは、投影システムPSの特性または放射ビームBの特性を測定するよう構成されてもよい。測定ステージは、複数のセンサを保持してもよい。クリーニング装置は、リソグラフィ装置の一部、例えば、投影システムPSの一部または液浸液を提供するシステムの一部をクリーニングするよう構成されてもよい。測定ステージは、基板サポートWTが投影システムPSから離れているときに、投影システムPSの直下に移動してもよい。
【0036】
動作時において、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されるパターニングデバイス、例えばマスクMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(デザインレイアウト)によってパターン化される。パターニングデバイスMAを通過した後、放射ビームBは、ビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる投影システムPSを通過する。第2位置決め装置PWおよび位置測定システムIFの助けを借りて、基板サポートWTは、放射ビームBの経路内における合焦およびアライメントされた位置に異なるターゲット部分Cが位置決めされるように正確に移動できる。同様に、第1位置決め装置PMおよび場合によっては別の位置センサ(
図1には明示されていない)は、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために用いられてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1,P2を使用してアライメントされてもよい。図示される基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占めるが、これらはターゲット部分の間のスペースに配置されてもよい。基板アラインメントマークP1、P2は、これらがターゲット部分Cの間に配置される場合、スクライブラインアラインメントマークとして知られる。
【0037】
図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、しばしばリソセルまたは(リソ)クラスタとも称されるリソグラフィセルLCの部分を形成してもよい。これらは、しばしば基板W上で露光前および露光後処理を実行するための装置も含む。従来、これらは、レジスト層を堆積させるスピンコータSC、露光されたレジストを現像する現像装置DE、例えば基板Wの温度を調整し、レジスト層の溶剤を調整するための冷却プレートCHおよびベークプレートBKを含む。基板ハンドラまたはロボットROは、基板Wを入力/出力ポートI/O1、I/O2からピックアップし、異なるプロセス装置間でそれらを移動し、基板Wをリソグラフィ装置LAのローディングベイLBに届ける。リソセル内の装置は、しばしば集合的にトラックとも称され、典型的にトラック制御ユニットTCUの制御下にある。TCU自身は、例えばリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置LAも制御しうる監視制御システムSCSによって制御されてもよい。
【0038】
リソグラフィ装置LAによって露光される基板Wを正確かつ一貫して露光するためには、基板を検査し、後続層との間のオーバレイ誤差、ライン幅、クリティカルディメンジョン(CD)などといったパターニングされた構造の特性またはパラメータを測定することが望ましい。この目的のため、検査ツール(不図示)がリソセルLCに含まれてもよい。仮にエラーが検出された場合、特に同一バッチまたは同一ロットの他の基板Wが露光または処理される前に検査が完了している場合、例えば後続基板の露光や基板W上で実行されるべき他の処理工程に対して調整がなされてもよい。
【0039】
検査装置は、しばしば計測(メトロロジ)装置とも称され、基板Wの特性、特に異なる基板Wの特性がどのように変化しているか、または、同一基板Wの異なる層に関連付けられた特性が層ごとにどのように変化しているかを決定するために用いられる。検査装置は、代替的に基板Wの欠陥を特定するために構築されてもよく、例えばリソセルLCの一部であってもよいし、リソグラフィ装置LAに一体化されてもよいし、スタンドアローンの装置であってもよい。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層内の像)の特性を測定してもよいし、または、半潜像(露光後のベーク工程PEBの後のレジスト層内の像)の特性を測定してもよいし、または、現像されたレジスト像(レジストの露光された部分または露光されていない部分が除去されている)の特性を測定してもよいし、エッチングされた像(エッチングなどのパターン転写工程後)の特性を測定してもよい。
【0040】
典型的に、リソグラフィ装置LAにおけるパターニングプロセスは、基板W上の構造を高精度で寸法決めおよび配置することを必要とするプロセスにおける最重要工程の一つである。高精度を保証するため、三つのシステムは、
図3に概略的に描かれるような、いわゆる「全体論的」な制御環境に統合されてもよい。これらのシステムの一つは、計測ツールMT(第2システム)およびコンピュータシステムCL(第3システム)に(仮想的に)接続されるリソグラフィ装置LAである。このような「全体論的」な環境の鍵は、これら三つのシステム間の連携を最適化してリソグラフィ装置LAによって実行されるパターニングがプロセスウィンドウの範囲内に留まること保証することである。プロセスウィンドウは、特定の製造プロセスが定義された結果(例えば機能的な半導体デバイス)を生み出すこととなるプロセスパラメータ(例えば、ドーズ、フォーカス、オーバレイ)の範囲を定義する。典型的に、リソグラフィプロセスまたはパターニングプロセスにおけるプロセスパラメータは、その範囲内で変動することが許容される。
【0041】
コンピュータシステムCLは、パターニングされるべきデザインレイアウト(の部分)を使用し、どの分解能向上技術を使用するかを予測し、コンピュータによるリソグラフィシミュレーションおよび計算を実行し、どのマスクレイアウトおよびどのリソグラフィ装置の設定がパターニングプロセス全体として最大のプロセスウィンドウを実現するかを決定してもよい(
図3の第1スケールSC1の両矢印により描かれる)。典型的に、分解能向上技術は、リソグラフィ装置LAのパターニングの実現性と整合するように構成される。コンピュータシステムCLは、リソグラフィ装置LAがプロセスウィンドウ内で現在動作しているかどうかを(例えば計測ツールMTからの入力を用いて)検出し、例えば最適ではないプロセスに起因して欠陥が発生しうるかどうかを予測するために用いられてもよい(
図3の第2スケールSC2において「0」に位置する矢印により描かれる)。
【0042】
計測ツールMTは、コンピュータシステムCLに入力を提供して正確なシミュレーションおよび予測が可能となるようにし、また、リソグラフィ装置LAにフィードバックを提供して、例えばリソグラフィ装置LAの較正ステータスにおいて発生しうるドリフトを特定しうる(
図3の第3スケールSC3において複数の矢印により描かれる)。
【0043】
(スパース対デンス不整合の補正を用いたプロセス制御)
図4は、現像後およびエッチング後のプロセスのオーバレイ制御を概略的に示す。フィードバック制御ループは、リソグラフィ装置外で実行する。制御ループの設計において、以下の部分が役割を果たす。
【0044】
水平方向の矢印402は、リソグラフィプロセス中の基板の流れを表す。複数の矢印が重ねられており、時間tを表す。露光(EXP)404の後には、現像後検査(ADI)オーバレイ測定406,408が続く。エッチング(ETC)410の後には、デンスおよびスパース412と、ハイパーデンス(超高密度)414とであるエッチング後検査(AEI;After-Etch Inspection)オーバレイ測定が続く。スパース測定406,412は、計測時間を限定するために使用され、デンス測定408,412,414は、より長い計測時間を必要とするためにより少ない頻度で実行される。スパースサンプリングレイアウトを用いる現像後測定406は、スパースADIデータ416(例えばウェハごとに200点以下)を生成するために実行される。スパースデータは、多すぎるノイズを導入することなく十分な方法でプロセスフィンガープリント428(フィンガープリントキャプチャ)を記述する特定のモデル(異なるパラメータセット;例えばラジアルタンジェンシャルフィールド間パラメータ、双曲線または指数エッジモデル、または、フィールド内多項式モデルで構成される)を用いてモデリングされる。パラメータが多いほど、フィンガープリントがより良く記述されることを意味するが、ノイズもより多くなる。
【0045】
スパースモデル結果(プロセスフィンガープリント)428は、ロット間の変動の影響を低減するためにロット間で平均化(例えば、指数加重移動平均を使用)され、次のロットの露光404に適用できる安定した補正を提供するために、直接的に、または、補正最適化工程(OPT)426を介して使用できる。
【0046】
スパース測定レイアウトは、データをモデルに取り込み(低減した正規化されたモデル不確実性)、均一な空間カバレッジを有するように最適化される。モデル不確実性は、典型的に、モデルを測定に適用する際のモデリング(例えばフィッティング)誤差に対する測定誤差の相対的な伝播として定義される。モデル不確実性、より具体的には、正規化されたモデル不確実性(nMU;normalized Model Uncertainty)(一般にG最適性基準と呼ばれる)のより詳細な説明は、US特許出願公開US2018/0067900の段落[0170」に記載されており、この特許出願は参照によりその全体が本書に組み込まれる。
【0047】
スパースまたはデンスサンプリングレイアウトを用いるエッチング後測定412は、スパースAEIデータ422を生成する。これらのエッチング後測定データ422は、グローバルスパースモデル結果434を導出するために用いられる。グローバルスパースモデル結果434は、モデルオフセット(計測対デバイス、MTD;Metrology To Device)432を、ADI測定工程406、408を介して、現像後データに適用するために用いられる。この選択的な工程は、エッチング後オーバレイの低減に基づく制御となるように実行されてもよい。
【0048】
高密度(デンス)現像後測定408または超高密度(ハイパーデンス)エッチング後測定414が実行される。これらの測定は、追加的に必要な計測労力のため、典型的には全てのロットについて実行されない。デンスデータ418(例えばウェハごとに2,000点)またはハイパーデンスデータ424(例えばウェハごとに10,000点)は、例えばオーバレイフィンガープリントの露光単位補正(CPE;Corrections Per Exposure)を可能にするために、個々の露光フィールドに関連するフィンガープリントをさらにモデリングするために用いられる。高次モデリング(典型的にはフィールド単位モデル)は、この目的のために実行され、デンスモデル結果436およびハイパーデンスモデル結果438を提供する。高次フィンガープリントは、より安定である可能性が高いため、全てのロットごとにモデリングする必要がないということが仮定される。
【0049】
二重補正を避けるため、高次モデルは、低次モデルの残差に基づいて決定される。低次モデルの内容は、デンスデータに基づいて決定できるが、デンス対スパース(密対疎)不整合につながる可能性がある。つまり、通常の低次モデルの決定がスパースデータに基づいており(低次モデルがフィンガープリントを捕捉しない場合のみ、これは典型的な場合である)、モデリングがデンスデータに基づく場合とは異なる結果を与えるかもしれない。これを補正するために、デンスデータは、低次モデルの内容を決定するために最初にダウンサンプリングされうる。したがって、露光単位モデリング(modelling-per-exposure)は、スパースサブサンプリングされたデータの残差に基づく。
【0050】
高次(露光単位モデリング)ADIフィンガープリント430および高次(露光単位モデリング)AEIフィンガープリント438は、(選択的にロット間で平均化された後に)低次フィンガープリントに追加され、最適化工程(OPT)426を介して、単一の補正セットを提供する。
【0051】
エッチング後測定は、現像後測定と同じ密度か、現像後測定よりも高密度であるため、高次フィッティングを可能にする。
【0052】
追加的または代替的に、デンスデータは分散サンプリングによって収集できる。異なるウェハ(および異なるロット)は異なるサンプリング方式を有するため、多くのウェハのサンプリング方式のレイアウトを重ね合わせると、高密度な測定結果が効果的に得られる。この場合、別個のデンス測定は不要である。
【0053】
スパース対デンス不整合の問題が存在する。スパース測定の性能は、限られた数のサンプリング点を用いてフィンガープリントをいかにうまく記述できるかに依存する。使用するモデルがフィンガープリントを完全に記述していない場合(これは典型的な場合である)、フィンガープリントキャプチャは、デンスレイアウトを使用する場合ほど良くはないであろう。
【0054】
デンスオーバレイ対デンスデバイス測定の不整合には問題がある。デンスオーバレイデータは、ウェハ上の実際の製品構造間のオーバレイを常に表すとは限らない。その理由は、オーバレイターゲットは製品構造とは本質的に異なる設計であるため、計測に使用される光信号に対して異なる応答を有するからである。これは、計測対デバイスオフセットに寄与する。計測装置の固有のノイズもその役割を果たす。オーバレイデータをトレーニングして(電気的測定を参照として使用するなど)このオフセットを除外できる場合、より「クリーン」なオーバレイ測定で製品オーバレイを制御することが可能である。
【0055】
分散サンプリングにおけるノイズ伝播には問題がある。これは、スパース対デンス不整合の形態であるが、ウェハ間またはロット間でも変動する(分布の種類に依存する)。
【0056】
別の問題は、スパースデータに基づいて使用されるモデルの次元が大きすぎるかもしれないことである。
【0057】
典型的にフィールド単位モデルは、露光(フィールド)単位のモデリングに使用され、これは、設計されていないスパース対デンス不整合を部分的に捉えるであろう。グローバルモデルも使用できるが、フィールド単位モデルの内容が失われる。組み合わせることは、計測の必要性の観点で高価であり、増大するノイズ性能を示すであろう。
【0058】
別の問題は、露光単位モデリングが、各ロットの高次の内容またはスパース対デンス不整合を捕捉しないということである。
【0059】
分散サンプリングの場合の露光単位モデリングにおけるデンス対スパース処理は、スパース測定と同じウェハが測定される場合、および、特定のスパースレイアウトが不整合処理に使用される場合を除いて最適ではない。露光単位モデリングの更新は、実際には、分散サンプリングを使用したとしても、全てのロットで実行されるわけではない。
【0060】
図5および
図6を参照して以下に説明される実施の形態では、スパース対デンス不整合に焦点を合わせて上述の問題に対処するために履歴データを使用する。例えば、モデルとサンプリングレイアウトが与えられた場合、以下の工程が実行される。
【0061】
履歴データから、スパースオーバレイ測定は、トレーニング可能なデータセットとして使用され、デンスオーバレイデータは、参照データセットとして使用される。
【0062】
モデルの適用から、自動アルゴリズムを使用して、モデル補正パラメータのどの部分が顕著なスパース対デンス不整合の原因であるかが評価される。その知見から、この履歴データセットにおいてスパース対デンス不整合を最小にする重み係数のセットが導出される。この適応モデルは、将来のデータセットに適用される。
【0063】
図5は、ある実施の形態に係るプロセスに対する補正を決定する方法のフローチャートである。この方法は、以下の工程を有する。
【0064】
第1(履歴)スパースデータ504が取得される。これは、プロセスを受ける基板にわたるパラメータの測定値を表し、スパースサンプリングレイアウトを使用して測定502される。パラメータの例は、オーバレイ、アライメント、フォーカスおよびドーズである。
【0065】
履歴デンスデータ512が取得される。これは、プロセスを受ける一以上の基板の測定値を表し、スパースサンプリングレイアウトよりも空間的に密であるデンスサンプリングレイアウトを用いて測定510される。
【0066】
モデル508は、スパースデータおよびデンスデータに適用506され、スパース対デンス不整合が決定される。
【0067】
プロセスを受ける基板にわたるパラメータの測定値を表す第2スパースデータ522が取得される。第2スパースデータ522は、スパースサンプリングレイアウトを用いて測定516される。
【0068】
モデル508は、スパース対デンス不整合に基づいて適応524される。これは、スパース対デンス不整合に対するモデルの各部分の異なる寄与の評価によってなされてもよい。次に、重み付け514の係数は、モデルの各部分を重み付けし、スパース対デンス不整合を低減、好ましくは最小化するように決定される。モデル508は、重み付け係数514に適応する。スパース対デンス不整合の決定は、第1スパースデータおよびデンスデータで行列をトレーニングすることを含んでもよい。その場合、スパース対デンス不整合に基づいてモデルを適応させる工程は、行列を用いて第2スパースデータを修正することを備える。
【0069】
適応したモデルは、第2スパースデータ522に適用524され、スパースモデル結果526が決定される。
【0070】
スパースモデル結果526は、複数のロット間で平均化532されてもよい。プロセスに対する補正は、スパースモデル結果526に基づいて決定542される。
【0071】
その後、補正は、プロセスを制御するためにプロセスに適用される。例えば、スキャナの設定は、補正に基づいて調整されてもよく、このようにしてリソグラフィプロセスを制御する。
【0072】
半導体デバイスのエッチング後検査または電気的測定536は、計測対デバイス(MTD)モデルオフセット540を決定するために用いられ、決定した補正542とともに適用されてもよい。オーバレイといくつかの他の測定との間のMTDが懸念される場合、スパースオーバレイデータ504自身がそれに対して訓練可能である間、他の測定を参照デンスデータ512とみなすことができる。
【0073】
図6は、分散デンスサンプリングを用いる別の実施の形態に係るプロセスに対する補正を決定する方法のフローチャートである。
図5と共通の特徴は、同じ参照符号を有する。この方法は、以下の工程を有する。
【0074】
第1(履歴)スパースデータ504が取得される。これは、プロセスを受ける基板にわたるパラメータの測定値を表し、スパースサンプリングレイアウトを使用して測定502される。
【0075】
履歴デンスデータ512が取得される。これは、プロセスを受ける一以上の基板の測定値を表し、スパースサンプリングレイアウトよりも空間的に密であるデンスサンプリングレイアウトを用いて測定510される。
【0076】
モデル508は、スパース対デンス不整合を決定するために、スパースデータおよびデンスデータに適用506される。
【0077】
第2スパースデータ622は、プロセスを受ける複数の基板にわたるパラメータの測定値を表す第2デンスデータ618のダウンサンプリング620によって取得される。デンスデータ618は、複数の基板にわたって分散する異なるスパースサンプリングレイアウトを用いて測定616される。
【0078】
モデル508は、スパース対デンス不整合に基づいて適応524される。これは、スパース対デンス不整合に対するモデルの各部分の異なる寄与の評価によってなされてもよい。次に、重み付け514の係数は、モデルの各部分を重み付けし、スパース対デンス不整合を低減、好ましくは最小化するように決定される。モデル508は、重み付け係数514に適応する。スパース対デンス不整合の決定は、第1スパースデータおよびデンスデータで行列をトレーニングすることを含んでもよい。その場合、スパース対デンス不整合に基づいてモデルを適応させる工程は、行列を用いて第2スパースデータを修正することを備える。
【0079】
適応したモデルは、第2スパースデータ622に適用され、スパースモデル結果526、628を決定する。スパースモデル結果は、スパースモデル残差628を備える。
【0080】
モデル508は、スパースモデル残差628に適用され、露光ご単位モデリングフィンガープリントであるデンスモデル結果634を決定する。
【0081】
スパースモデル結果526は、複数のロット間で平均化532されてもよい。プロセスに対する補正は、スパースモデル結果526およびデンスモデル結果634に基づいて決定542される。
【0082】
その後、補正は、プロセスを制御するためにプロセスに適用される。例えば、スキャナの設定は、補正に基づいて調整されてもよく、このようにしてリソグラフィプロセスを制御する。
【0083】
半導体デバイスのエッチング後検査または電気的測定536は、計測対デバイス(MTD)モデルオフセット540を決定するために用いられ、決定した補正542とともに適用されてもよい。オーバレイといくつかの他の測定との間のMTDが懸念される場合、スパースオーバレイデータ504自身がそれに対して訓練可能である間、他の測定を参照デンスデータ512とみなすことができる。
【0084】
実施の形態において、スパースパラメータデータ(例えば、スパースADIオーバレイ、アラインメント、フォーカスなど)のフィッティングに関連するモデルパラメータを、ウェハにわたる注目パラメータの値の密な分布を記述するのに適した更新モデルパラメータにマッピングする方法が実装される。
【0085】
例えば、行列が履歴スパースおよびデンス(ADI/AEI)データでトレーニングされてもよく、行列がスパースモデルパラメータを、密に測定されたパラメータデータを表すのに適した修正スパースモデルパラメータにマッピングしてもよい。
【0086】
修正モデルパラメータを用いることは、モデリングされたスパースデータと密に測定されたパラメータ値の間の残差をより小さくし、より良いフィンガープリントの記述(グローバルおよびフィールド単位モデル)につながり、より最適化された露光単位補正(CPE)補正につながる。
【0087】
図7は、従来の方法と実施の形態について、デンスレイアウトの残差オーバレイ性能を比較する例の結果を示す。スパースレイアウトは200点を含み、デンスレイアウトは約1000点である。オーバレイ残差のウェハマップ702-710が示される。残差が大きいほど、ウェハ上の各点でより長いベクトルとして表される。したがって、ウェハマップの領域が暗いほど、残差オーバレイ性能が悪いことを表す。従来の方法(A)を使用して、補正なし702および補正あり704の結果が示される。
図5を参照して説明した実施の形態にしたがった方法(B)を使用して、補正なし708および補正あり710の結果が示される。箱ひげ
図712は、従来の方法(A)および実施の形態(B)について、x方向(OVX)およびy方向(OVY)の平均3シグマオーバレイ(オーバレイ残差)をnm単位で比較する。実施の形態(B)は、従来の方法(A)よりも低いオーバレイ残差を有する。これは、実施の形態の優位性を示す。
【0088】
図8は、分散サンプリングの場合の例の結果を示す。分散レイアウトは、12枚のウェハサイクルを使用し、異なる各スパースレイアウト内に200点以上あり、デンスレイアウト(約2000点)を提供する。
図7と同様、オーバレイ残差のウェハマップ802から812が示される。従来の方法(A)を使用して、補正なし802および補正あり804、806の結果が示される。
図6を参照して説明した実施の形態にしたがった方法(B)を使用して、補正なし808および補正あり810、812の結果が示される。 モデリングは二つの工程、グローバルレベル804、810にて、および、グローバル残差から露光単位補正(CPE)モデル(露光単位モデリングレベル)806、812についてなされる。
【0089】
箱ひげ
図814は、グローバルレベル(工程1)での従来の方法(A)および実施の形態(B)について、x方向(OVX)およびy方向(OVY)の平均3シグマオーバレイ(オーバレイ残差)をnm単位で比較する。実施の形態(B)は、従来の方法(A)よりも低いオーバレイ残差を有する。
【0090】
箱ひげ
図816は、露光単位モデリングレベル(工程2)での従来の方法(A)および実施の形態(B)について、x方向(OVX)およびy方向(OVY)の平均3シグマオーバレイ(オーバレイ残差)をnm単位で比較する。実施の形態(B)は、従来の方法(A)よりも低いオーバレイ残差を有する。実施の形態(B)に伴うノイズ抑制は、すでにグローバルレベル814にて役立っているため、累積効果によって、露光単位モデリングレベル816における露光ごとモデリング補正のノイズがより少なくなる。
【0091】
実施の形態は、本書に記載される実施の形態に係るプロセスに対する補正を決定する方法を備える半導体製造プロセスにて実施されてもよい。
【0092】
実施の形態は、
図1および
図2を参照して説明したリソグラフィ装置またはリソグラフィセルにて実施されてもよい。
【0093】
実施の形態は、本書に記載される方法の工程を汎用データ処理装置(
図2のLACUなど)に実行させるための機械可読指令を備えるコンピュータプログラム製品にて実施されてもよい。
【0094】
実施の形態は、履歴データに関してオーバレイモデルを能動的に適応させることにより、ノイズを抑制する。履歴データセットから収集した情報は、計測データとモデル/サンプリングの相互作用についてより詳しく知るために使用される。分散サンプリングにおける2段階のノイズ抑制もまた、実施の形態によって提供される。
【0095】
トレーニング結果を観察し、どのパラメータがより重要になるかを決定し、どのパラメータが無関係になるかを決定すれば、どのプロセスツールが誤動作しているかを理解することができ、制御フローを能動的に改善できる(露光単位モデリングの頻度の増加など)。
【0096】
上述のように、典型的にフィールド単位モデルは、露光単位モデリングに使用され、設計されていないスパース対デンス不整合を部分的に捉える。実施の形態は、フィールド単位モデルのノイズの影響を低減し、その結果、より少ない測定点を用いて露光単位モデリングが更新されるかもしれない。
【0097】
全体として、実施の形態は、改善されたプロセス制御を提供し、その結果、プロセスの歩留まりの性能が向上する。
【0098】
これまでに説明された本発明の態様に関連するさらなる実施の形態は、以下の番号が付された項のリストに開示される。
(項1)プロセスの補正を決定する方法であって、
前記プロセスを受ける一以上の基板にわたるパラメータの測定値を表し、スパースサンプリングレイアウトを用いて測定される第1スパースデータを取得することと、
前記プロセスを受ける一以上の基板にわたるパラメータの測定値を表し、前記スパースサンプリングレイアウトよりも空間的に密なデンスサンプリングレイアウトを用いて測定されるデンスデータを取得することと、
モデルを前記スパースデータおよび前記デンスデータにモデルを適用してスパース対デンス不整合を決定することと、
前記プロセスを受ける一以上の基板にわたるパラメータの測定値を表し、スパースサンプリングレイアウトを用いて測定される第2スパースデータを取得することと、
前記スパース対デンス不整合に基づいて前記モデルを適応させることと、
前記適応させたモデルを前記第2スパースデータに適用してスパースモデル結果を決定することと、
前記スパースモデル結果に基づいて前記プロセスに対する補正を決定することと、を備える方法。
(項2)前記スパース対デンス不整合に基づいて前記モデルを適応させる工程は、
前記スパース対デンス不整合に対する前記モデルの各部分の異なる寄与を評価することと、
前記スパース対デンス不整合が低減するように前記モデルの前記各部分を重み付けるための重み付け係数を決定することと、
前記重み付け係数を用いて前記モデルを適応させることと、を備える項1に記載の方法。
(項3)前記重み付け係数を決定する工程は、
前記スパース対デンス不整合が最小化するように前記モデルの前記各部分を重み付けるための重み付け係数を決定することを備える、項2に記載の方法。
(項4)前記スパース対デンス不整合を決定することは、行列を前記第1スパースデータおよび前記デンスデータでトレーニングすることを備え、前記スパース対デンス不整合に基づいて前記モデルを適応させる工程は、前記行列を用いて前記第2スパースデータを修正することを備える、先行する項のいずれかに記載の方法。
(項5)前記第2スパースデータを取得する工程は、前記プロセスを受ける複数の基板にわたるパラメータの測定値を表す第2デンスデータのダウンサンプリングによって第2スパースデータを取得することを備え、前記デンスデータは、前記複数の基板にわたって分散する異なるスパースサンプリングレイアウトを用いて測定され、
前記スパースモデル結果は、スパースモデル残差を備え、
前記方法は、デンスモデル結果を決定するために、前記スパースモデル残差に前記モデルを適用することをさらに備え、
前記プロセスに対する補正を決定する工程は、前記デンスモデル結果にさらに基づく、先行する項のいずれかに記載の方法。
(項6)先行する項のいずれかに記載の方法に係る前記プロセスに対する補正を決定する方法を備える半導体製造プロセス。
(項7)放射の投影ビームを提供するよう構成される照明システムと、
パターニングデバイスを支持するよう構成され、前記パターニングデバイスが所望のパターンにしたがって前記投影ビームをパターン化するよう構成されるサポート構造と、
基板を保持するよう構成される基板テーブルと、
前記パターン化されたビームを前記基板のターゲット部分に投影するよう構成される投影システムと、
項1から項5のいずれかに記載の方法に係る前記プロセスに対する補正を決定するよう構成される処理ユニットと、を備えるリソグラフィ装置。
(項8)項7に記載の前記リソグラフィ装置を備えるリソグラフィセル。
(項9)項1から項5のいずれかに記載の方法の工程を汎用データ処理装置に実行させるための機械可読指令を備えるコンピュータプログラム製品。
【0099】
(疎に測定されたパラメータデータの機械学習に基づく拡張)
本発明の別の態様では、モデルがデンス測定データに基づいてトレーニングされる。典型的なモデルは、モデル係数および基底関数を備え、モデル係数は基底関数に関連付けられる。基底関数は、注目する測定グリッド上の座標で評価することができ、その後、注目パラメータ(例えばオーバレイなど)を得るためにモデル係数と乗算される。
【0100】
モデルの使用は、伝統的に、各座標1…Nにて各基底関数1…Mの値を決定することにより得られるM個の基底関数から各基底関数についてN個の値を備えるN×Mのサイズの行列DMを備える計画行列の構築によって実装される。座標は通常、パラメータ(オーバレイ、アレイメント、CD、または任意の他の性能またはプロセスパラメータ)の測定値が利用可能な座標に関連付けられる。計画行列DMにフィッティング係数f1…fMの列ベクトルFを乗算すると、注目パラメータの元の測定値に近い値の列ベクトルMVが得られる。これを
図9に示す。数学的には、利用可能な測定データのベクトルに基づいてフィッティング係数を決定する作業は、DM×F=MVであり、これは、F=(DM)
-1×MVに変換できる。さらなる参照は、国際特許出願WO2013092106A1、特に段落[0387]-[0394]になされ、これは、計画行列を定義し、サンプリング方式に関連するモデル不確実性を最小化するよう調整されたサンプリング方式を決定する方法を説明する。
【0101】
利用される基底関数は、(例えば基板、基板上のフィールドまたはフィールド内の領域(サブフィールド)にわたる)注目パラメータの値の典型的な空間的な挙動を表さなければならない。例えば、基板にわたるオーバレイフィンガープリントが6次多項式の次数に典型的に制限されている場合、利用される基底関数を10次多項式に拡張してはならない。これは、オーバーフィッティングの挙動につながる可能性があるからである。しかしながら、その逆の可能性もあり、パラメータ値が高次の挙動を示すことが予想される場合、測定データを十分に高い精度でモデリングするために、基底関数を十分に高い次数に拡張する必要がある。後者の場合、測定データは、典型的に、モデリングされたパラメータ値の高振幅や高次変動などの非物理的なフィッティングの人工産物として観察されるアンダーフィッティングの発生を防ぐために十分に高い密度で利用可能でなければならない。したがって、最先端のモデリング方法の欠点は、選択されたモデル(例えば、選択された基底関数のセット)が、潜在的に長期間にわたって実際に発生する空間的な変動と互換性がある必要があるという要件である。モデルリングされた値が実際のパラメータフィンガープリントの挙動を表すことを保証するためには、パラメータ(値)を時間的に頻繁にかつ空間的に高密度で測定することを必要とするかもしれない。しかしながら、大量生産の環境では、製造プロセスのスループットに悪影響を与えるため、この要件を満たす機会はほとんどない。
【0102】
したがって、注目パラメータの測定データに含まれる実際に発生する空間的な成分の全てを高い精度でモデリングすることを保証し、デンス(高密度)測定データでのトレーニングを必要としながらも、頻繁に測定されるスパース測定データにも適用されるモデリング方法が必要とされる。
【0103】
基底関数に関連付けられていないが、デンス測定データに基づく計画行列の評価に加えてトレーニングされる、いわゆる自由形状のパラメータによって最先端のモデリング方法を拡張することが提案される。本発明の方法は、
図10に示され、自由形状パラメータは、N×Lの次元の自由形状行列FMとしてレイアウトされ、Lは自由形状行列FMに関連付けられた自由形状係数の数であり、自由形状行列の値は(動的に)適応可能な数である。ここで、フィッティング係数列ベクトルF’は、基底関数に関連付けられたフィッティング係数と、L個の自由形状フィッティング係数とを備える。基底関数に関連付けられたフィッティング係数は、以前に定義した行列式(F=(DM
-1)×MV)に基づいて決定されうる一方、自由形状パラメータは、モデルリングされたパラメータ値の品質を向上させるために(例えば、測定値Mとの類似性に基づいて)調整されうる。自由形状パラメータおよび自由形状係数は、例えば、行列の式F’=(DM+FM)
-1×MVに適用される勾配降下法を用いて決定されてもよい。主な結果は、自由形状パラメータおよび自由形状係数の最適化されたセットを得ることである。
【0104】
自由形状パラメータは、密に測定されるパラメータ値のデータセットを用いて機械学習法によって得られてもよい。この場合、自由形状パラメータは、観測されたパラメータ値(測定)と相関のある特徴であると考えられる。トレーニングの態様は、モデル(特に、トレーニングされた自由形状フィッティング係数)が、測定データの高次の挙動を正確に表すことを保証する。低次の挙動は、典型的には、低次の基底関数と、これらの基底関数に関連付けられたフィッティング係数とを使用して、頻繁に測定されるスパースデータをモデリングすることによって正確に取得される。モデリングされた測定データの高次の内容は、主に、トレーニングされた自由形状パラメータと自由形状フィッティング係数によって提供される。本発明のモデリング方法を利用すると、データの特定の最小要求密度に依存することなく、モデル自体が高次の内容(予測)を提供するため、デンス測定データを頻繁に提供する必要がない。
【0105】
本発明のある実施の形態において、パラメータデータをモデリングする方法が提供される。この方法は、基板上の複数の位置に関連するパラメータの値を取得することと、複数の位置での一以上の基底関数の評価に基づく第1行列の値と、以前の基板に関連するパラメータの以前に取得した値のセットに対して適応可能な数の行列のトレーニングに基づく第2行列の値とを取得することと、第1および第2の値のセットを集約することと、集約したセットおよび取得したパラメータの値を用いてモデルの係数を決定することと、係数と第2行列の値を用いてパラメータのモデリングされた値を提供することと、を備える。
【0106】
ある実施の形態において、パラメータはオーバレイである。
【0107】
ある実施の形態において、複数の位置は、一以上の基板にわたるスパース測定方式に関連付けられ、一以上の基板は、例えば、半導体製造プロセスにおいて処理されるウェハである。
【0108】
ある実施の形態において、基底関数は多項式である。
【0109】
ある実施の形態において、基底関数は、互いに直交である。
【0110】
ある実施の形態において、基底関数は、基板にわたって最大で6次である。
【0111】
ある実施の形態において、複数の位置は、ウェハ上の露光フィールドに関連する。
【0112】
ある実施の形態において、モデルパラメータは、自由形状モデルパラメータである。
【0113】
ある実施の形態において、トレーニングされた関係性は、一以上の密にサンプリングされた以前の基板にわたるパラメータの初期値に基づいて得られる。
【0114】
ある実施の形態において、トレーニングされた関係性は、ニューラルネットワークなどの機械学習方法を用いて、個々のモデルパラメータと一以上の基板にわたるパラメータのフィンガープリントとの間の関係を確立することに基づく。
【0115】
ある実施の形態において、パラメータのフィンガープリントは、高次成分を備える。
【0116】
ある実施の形態において、高次成分は、パラメータのサンプル点の特定の値に関連する。
【0117】
代替的に、測定データのモデリングは、自由形状モデルパラメータおよび自由形状係数に完全に基づいてもよい。この場合、ある実施の形態に係るパラメータデータをモデルリングする方法は、基板上の複数の位置に関連付けられたパラメータの値のセットを取得することと、トレーニングされた機械学習モデルへの入力として値のセットを使用し、パラメータの一以上の値をパラメータの予測値にマッピングしてパラメータのモデリングされた値を取得することと、を備える。この場合、基板上のさまざまな位置に関連付けられたパラメータの値は、その位置でのパラメータの(モデリングされた)値にマッピングできる特徴であると考えられる。例えば、機械学習モデルは、取得した値をモデリングされた値にマッピングするように最適化された重み付けとバイアスを有するニューラルネットワークであってもよい。トレーニングは、機械学習モデルに関連付けられたN×M個の自由形状パラメータの行列およびM個の自由形状係数を定義することに基づいてもよく、N個の基板上の位置の数、および、機械学習モデルのM個の自由形状係数の決定は、パラメータのN個の予測値とパラメータの測定値との間の類似性の最適化に基づいてもよい。決定したM個の自由形状係数およびN×M個の自由形状パラメータを用いて、パラメータのN個のモデリングされた値が決定されてもよい。
【0118】
本発明のさらなる実施の形態は、以下の番号が付された項のリストに開示される。
(項10)パラメータデータをモデリングする方法であって、
基板上の複数の位置に関連付けられたパラメータの値のセットを取得することと、
前記複数の位置での一以上の基底関数の評価に基づく第1行列の値を取得することと、
以前の基板に関連付けられた前記パラメータの以前に取得した値のセットに対する適応可能な数の行列のトレーニングに基づく第2行列の値を取得することと、
前記第1および第2行列の値と前記取得した値のセットとを用いて前記モデルの係数を決定することと、
前記係数と第2行列の値を用いて前記パラメータのモデリングされた値を提供することと、を備える方法。
(項11)前記パラメータは、オーバレイである、項10に記載の方法。
(項12)前記複数の位置は、半導体製造プロセスを受ける一以上の基板にわたるスパース測定方式に関連する、項10または項11に記載の方法。
(項13)前記基底関数は、多項式である、項10から項12のいずれかに記載の方法。
(項14)前記基底関数は、互いに直交である、項10から項13のいずれかに記載の方法。
(項15)前記基底関数は、前記基板にわたって最大で6次である、項13に記載の方法。
(項16)前記複数の位置は、前記基板上の露光フィールドに関連する、項10から項15のいずれかに記載の方法。
(項17)前記適応可能な数は、自由形状モデルパラメータである、項10から項16のいずれかに記載の方法。
(項18)前記パラメータの前記以前に取得した値のセットは、密に測定された以前の基板に関連付けられる、項10から項17のいずれかに記載の方法。
(項19)前記トレーニングは、ニューラルネットワークなどの機械学習方法を用いて、前記以前の基板から、前記適応可能な数と、個々の各基板にわたる前記パラメータのフィンガープリントとの関係性を確立することに基づく、項10から項18のいずれかに記載の方法。
(項20)前記パラメータの前記フィンガープリントは、高次成分を備える、項19に記載の方法。
(項21)前記高次成分は、前記パラメータのサンプル点の特定の値に関連する、項20に記載の方法。
(項22)項10から項21のいずれかに記載の方法を汎用データ処理装置に実行させるための機械可読指令を備えるコンピュータプログラム製品。
【0119】
(高次フィンガープリントの予測に用いるリカレントニューラルネットワーク)
図11は、半導体製造プロセスのオーバレイサンプリングおよび制御の概要を概略的に示す。
図11を参照すると、10個のウェハロット(またはバッチ、またはウェハ)での露光プロセス工程の10個の動作L1-L10の流れが示される。高次オーバレイパラメータHO1の値は、空間的に密なサンプリング方式を用いる第1ロットL1の測定1104に基づいて取得される。高次オーバレイパラメータHO1は、例えば、次の5個のロットの後続露光L2-L6の制御レシピ1106を決定することによって、半導体製造プロセスを構成するために使用される。次に、高次オーバレイパラメータの更新値HO6は、以前1102の高次オーバレイパラメータHO1に基づいて、および、空間的に密なサンプリング方式を用いる6番目のロットL6の測定1108に基づいて取得される。この例では、5番目のロットの露光ごとに高次パラメータの更新が繰り返される。
【0120】
一方、全ロットの露光について、スパース測定に基づくロットごとの低次補正が計算される。例えば、ロットL1の露光にて、低次オーバレイパラメータLO1は、空間的に密なサンプリング方式よりも空間的に密ではなく、より頻繁であるスパースサンプリング方式を用いた測定1110に基づいて取得される。低次パラメータLO1は、例えば露光工程の後続動作L2の制御レシピ1112を決定等することによって、半導体製造プロセスを構成するために用いられる。
【0121】
このように、低次補正は、スパース測定に基づいてロットごとに計算され、高次補正は、複数ロットにおいて1回のデンス測定に基づいて取得される。
【0122】
図12は、半導体製造プロセスのアライメントサンプリングおよび制御の概要を概略的に示す。
図12を参照すると、ウェハロットL1-L10は、オフラインアライメントマーク測定工程1202を有する。測定1204は、高空間サンプリング密度を有するオフライン測定に最適化されたオフライン測定ツール1206によって実行される。測定された高次アラインメントパラメータ値1208は、各ウェハロットL1-L10について格納HO1-HO10される。 次に、各高次アラインメントパラメータ値は、対応するウェハロットL1-L10での露光工程1214の動作の制御レシピ1212を決定するために使用される。
【0123】
一方、全ロットの露光について、スパース測定に基づくロットごとの低次補正が計算される。例えば、ロットL1の露光1214において、低次アラインメントパラメータ1216は、空間的に密なサンプリング方式よりも空間的に密ではないスパースサンプリング方式を使用する測定に基づいて取得される。これは、高次アラインメントパラメータのオフラインデンス測定1204と同じ頻度(ロットごと)を有する。低次パラメータ1216は、同じ露光工程の動作L1の制御レシピを決定するために使用される。
【0124】
実施の形態は、長短期記憶(LSTM)予測アルゴリズムを使用して、デンス測定の合間にオーバレイ測定およびアライメント測定の双方を更新するための戦略を使用する。これは、スループットへの影響を最小限にしつつ、アライメントおよびオーバレイ制御の性能を改善する。完全に独立したLSTMネットワーク予測(トレーニング後のデンス測定が不要)も可能であるが、学習が不十分であると、しばらくした後に発散する可能性がある。
【0125】
図13は、本発明のある実施の形態にしたがった半導体製造プロセスのサンプリングおよび制御の方法の概要を概略的に示す。
【0126】
図13を参照すると、高次パラメータの更新は、LSTMニューラルネットワークを使用した中間ロットまたは中間ウェハにおける予測を用いて実現される。これは、アライメントとオーバレイの双方について改善された高次補正を提供する。低次補正はウェハごとに測定される一方、高次補正は、中間ロットまたは中間ウェハにおけるLSTMによって予測される。ニューラルネットワークは、初期トレーニング(TRN)工程1302で構成される。
【0127】
図13は、半導体製造プロセスに関連付けられた高次パラメータの値を予測する方法を示す。この例では、半導体製造はリソグラフィ露光プロセスを処理する。パラメータは、y方向の3次のスキャナ露光拡大率パラメータD3yである。この方法は、空間的に密なサンプリング方式を使用する測定1306に基づいて高次パラメータの値1308を取得することを含む。リカレントニューラルネットワーク(NN)1304は、測定値1308に基づいて高次パラメータの予測値1312を決定するために使用される。高次パラメータの測定値1308は、測定したロットの処理の制御レシピを決定するために直接的に使用できる。
【0128】
高次パラメータの予測値1312は、半導体製造プロセスのプロセス工程の第1動作L1での測定1306から得られる高次パラメータの値1308に基づいて決定され、半導体製造プロセスのプロセス工程の後続動作L2の制御レシピ1314を決定する。予測値は、リカレントニューラルネットワーク(NNt=2)にフィードバックされる。ロットL3-L5の露光の場合、リカレントニューラルネットワーク(NNt=2…5)は自身を更新し、連続するロットの制御レシピを決定するために使用される予測値を生成する。高次パラメータの後続値626は、デンスサンプリング方式を使用する測定628に基づいて得られる。リカレントニューラルネットワークは、後続値626を使用して更新される(NNt=6)。
【0129】
一方で、低次パラメータの値1318は、空間的にスパース(疎)なサンプリング方式を使用した測定(例えば、露光工程L2でのロットの測定に基づく値1320)に基づいて取得される。スパースサンプリング方式は、測定1306、1328に使用される高次サンプリング方式よりも空間的に密ではなく、より頻繁である。低次パラメータの値1320は、露光プロセス工程の後続動作L2の制御レシピ1322を決定するために使用される。
【0130】
低次パラメータの値1320は、プロセス工程の後続動作L2が実行されるのと同じ基板テーブル上に支持された同じ基板上で実行された測定に基づいて取得されてもよい。 制御レシピ1322は、低次パラメータの値1320を使用して決定される。
【0131】
この例では、半導体製造プロセスは、基板をパターニングするバッチ式プロセスである。高次パラメータを取得するためのサンプリング方式は、5バッチごと(
図13に示される)から10バッチごとの測定頻度を有する。第2サンプリング方式は、バッチごとに1回の測定頻度を有する。
【0132】
この例において、半導体製造プロセスは、露光フィールドを用いて基板をパターニングするプロセスである。高次パラメータを取得するためのサンプリング方式は、露光フィールドごとに200から300の測定点となる空間密度を有し、低次パラメータを取得するためのサンプリング方式は、露光フィールドごとに2から3の測定点となる空間密度を有する。
【0133】
半導体製造プロセスに関連付けられたパラメータの値を予測する方法は、
図6を参照して説明したように、半導体製造プロセス内で実施されてもよい。この方法は、
図2のLACUなどの処理ユニットを有するリソグラフィ装置内で実施されてもよい。
図2の監視制御システムSCSまたは
図3のコンピュータシステムCL内のプロセッサで実施されてもよい。
【0134】
本発明は、
図13を参照して説明した方法の工程を汎用データ処理装置に実行させるための機械可読指令を備えるコンピュータプログラム製品として実装されてもよい。
【0135】
図13の方法の利点は、
図11の方法と比較すると、オーバレイのための追加の測定が不要な点である。アライメントのために、空間的に密な測定が必要となるウェハは、ロットあたりにわずかである一方、全てのウェハは、異なる高次パラメータに基づいて決定される異なる制御レシピを受け取る。中間ロット(オーバレイの場合)または中間ウェハ(アライメントの場合)は、LSTMによって予測された高次パラメータを用いて決定される更新された制御レシピを受け取る。低次の測定および対応する制御レシピの更新は、オーバレイとアライメントのパラメータについて同じウェハテーブルで実行されるため、ウェハテーブル(チャック)のマッチングは必要とされない。
【0136】
図14は、
図11のサンプリングおよび制御方式に対応するオーバレイ高次パラメータ更新のグラフである。
図14から16において、横軸はウェーハ番号WNである。縦軸は、y方向の3次のスキャナ露光拡大率パラメータD3yである。
図14から16において、実線グラフ1402は、デンス測定サンプリングに基づく高次パラメータの元の値である。
【0137】
図14を参照すると、垂直の一点鎖線の右側にある破線グラフ1404は、10点ごとにパラメータの更新を伴う高次パラメータ更新である(
図11は、この更新を5点ごとにする場合を示すことに留意されたい)。
【0138】
図15は、本発明のある実施の形態に係る更新を伴わない場合のオーバレイ高次パラメータ更新のグラフである。
【0139】
図15を参照すると、垂直の一点鎖線の右側にある破線グラフ1504は、更新を伴わない予測パラメータ値である。これは、
図13に対応するが、L6以降の更新を伴わない。このように、トレーニング後の更新を伴わない、フリーのLSTMを使用する。
【0140】
図16は、本発明のある実施の形態に係る
図13のサンプリングおよび制御方式に対応する更新を伴う場合のオーバレイ高次パラメータ更新のグラフである。
【0141】
図16を参照すると、垂直の一点鎖線の右側にある破線グラフ1604は、10点ごとの更新を伴う予測パラメータ値である(
図13は、この更新を5点ごとにする場合を示すことに留意されたい)。LSTMネットワークは、垂直の一点鎖線の左側にあるデータの78%を用いてトレーニングされる。LSTMネットワークは、残りのデータ(22%、35枚のウェハ、破線904)に基づいて検証される。D3yの元の値と予測値の間の二乗平均平方根誤差(RMSE)は、
図16(RMSE=2.12e-05)が最良である一方、
図15(RMSE=2.83e-05)および
図14(RMSE=2.82e-05)は同等である。
【0142】
図17は、高次オーバレイパラメータ補正を伴わない場合、
図14に対応するオーバレイ高次パラメータの更新を伴う場合、および、
図15および
図16に対応するオーバレイパラメータ予測を伴う場合の測定オーバレイのウェハマップを示す。
【0143】
ウェハプロットにおいて、実際の補正がデンスレイアウト(フィールドあたり13×19点)に適用され、それぞれの場合の補正能力が比較される。プロットは、平均プラス3シグマのオーバレイを示す。パターンが暗いほど、オーバレイ性能が悪い。ベースラインウェハマップ1702は、高次補正のない場合を示す。ウェハマップ1704は、
図14のプロットに対応するオーバレイ高次パラメータ更新の結果であり、従来のオーバレイの場合である。ウェハマップ1706は、
図15のプロットに対応するオーバレイ高次パラメータ更新の結果であり、更新を伴わないフリーのLSTMの場合である。ウェハマップ1708は、
図16のプロットに対応するオーバレイ高次パラメータ更新の結果であり、更新を伴うLSTM予測の場合である。後者は、最良のオーバレイ補正性能を有し、より明るいパターンで示される。
【0144】
実施の形態は、各ウェハを測定することなく、高次パラメータをアライメント補正に含める方法を提供する。実施の形態は、オーバレイ測定を更新するための方法論も改善する。
【0145】
本発明の方法は、(高次)パラメータの更新のために使用することに代えて、または加えて、前記パラメータの更新に使用されるモデルのパラメータの更新に使用されてもよい。例えば、半導体製造プロセスのRun-to-Run制御は、典型的に、周期的に測定されるプロセス(関連)パラメータを用いるプロセス補正の決定に基づく。プロセス補正の変動が大きくなりすぎるのを防ぐため、プロセスパラメータの最後に取得された測定のみではないものを含む、履歴プロセスパラメータ測定データのセットに指数加重移動平均(EWMA)方式がしばしば適用される。EWMA方式は、関連付けられた重み付けパラメータのセットを有してもよく、これらの一つは、いわゆる「平滑化定数」λである。平滑化定数は、測定したプロセスパラメータの値が将来のプロセス補正においてどの程度使用されるか、別の言い方をすれば、現在のプロセス補正を決定するために、測定したプロスパラメータの値をどれだけ過去に遡って使用するかを指令する。EWMA方式は、Zi=λ・Xi+(1-λ)・Zi-1によって表されてもよい。ここで、Zi-1は、例えば、実行(典型的には基板のロット)「i-1」の補正に最適となるように以前に決定されたプロセスパラメータ値を表し、Xiは、実行「i」について測定したプロセスパラメータであり、つづいて、Ziは、実行「i」(実行「i-1」に続く実行)に最適なプロセスパラメータの値を表すように予測される。
【0146】
プロセス制御におけるEWMAの使用のより詳細な情報は、例えば、「Automated Process Control optimization to control Low Volume Products based on High Volume Products data, Proceedings of SPIE 5755, 17 may 2005, doi: 10.1117/12.598409」に与えられており、その全体が参照により本書に含まれる。
【0147】
平滑化定数に使用される値は、実行「i」についてのプロセス補正の決定に使用される予測された最良のプロセスパラメータに直接影響を与える。しかしながら、プロセス変動が発生する可能性があり、平滑化定数(または履歴プロセスパラメータデータの重み付けのためのモデルに関連付けられた任意の他のパラメータ)の最適値に影響を与える可能性がある。
【0148】
前述の実施の形態で説明したように、リカレントニューラルネットワークまたはLSTMを使用し、半導体製造プロセスに関連する第1パラメータの一以上の値を、第1パラメータの履歴測定値に基づいて予測することが提案される。半導体製造プロセスにおけるプロセス工程の後続動作の制御レシピを決定する代わりに、またはそれに加えて、第1パラメータの予測値に基づく重み付けモデルに関連付けられた一以上のパラメータを更新することが提案される。前記一以上のパラメータは、平滑化定数を含んでもよい。平滑化定数は、例えば、リカレントニューラルネットワーク(例えば典型的にはLSTM)を使用する第1パラメータの予測値と、重み付けモデル(例えば典型的にはEWMAに基づくモデル)を使用して予測した第1パラメータの値との間の一致レベルに基づいて決定されてもよい。最良の一致を与える重み付けパラメータ(例えば典型的には平滑化定数)が選択される。LSTMに基づく予測にベンチマークされた場合の平滑化定数の品質の周期的な再評価は、任意の時点でのEWMAモデルの最適な構成を保証する。
【0149】
ある実施の形態において、半導体製造プロセスに関連する第1パラメータの値を予測する方法が開示される。この方法は、第1サンプリング方式を用いる測定に基づく第1パラメータの第1の値を取得することと、リカレントニューラルネットワークを使用して第1の値に基づく第1パラメータの予測値を決定することと、第1パラメータの予測値および第1パラメータの取得した第1の値に基づいて、半導体製造プロセスの制御装置によって使用されるモデルに関連付けられたパラメータの値を決定することと、を備える。
【0150】
ある実施の形態において、前述の実施の形態の決定は、第1パラメータの予測値を、第1パラメータの取得した第1の値にモデルを適用することによって得られる第1パラメータの値と比較することに基づく。
【0151】
ある実施の形態において、モデルは、指数加重移動平均モデルであり、パラメータは、前記指数加重移動平均モデルに関連付けられる平滑化定数である。
【0152】
本発明の態様のさらなる実施の形態は、以下の番号が付された項のリストに開示される。
(項23)半導体製造プロセスに関連付けられた第1パラメータの値を予測する方法であって、
第1サンプリング方式を用いる測定に基づく第1パラメータの第1の値を取得することと、
リカレントニューラルネットワークを使用して前記第1の値に基づく前記第1パラメータの予測値を決定することと、を備える方法。
(項24)前記半導体製造プロセスにおけるプロセス工程の第1動作での測定から得られる前記第1の値に基づいて決定される前記第1パラメータの前記予測値を使用して、前記半導体製造プロセスにおける前記プロセス工程の後続動作の制御レシピを決定することをさらに備える、項23に記載の方法。
(項25)前記第1サンプリング方式よりも空間的に密ではなく、より頻繁な第2サンプリング方式を用いた測定に基づく第2パラメータの第2の値を取得することと、
前記第2パラメータの前記第2の値を使用して、前記プロセス工程の前記後続動作の前記制御レシピを決定することと、をさらに備える、項24に記載の方法。
(項26)前記第2の値は、前記プロセス工程の前記後続動作での測定に基づいて取得される、項25に記載の方法。
(項27)前記第2の値は、前記第2の値を用いて決定される前記制御レシピとともに実行される前記プロセス工程の前記後続動作と同じ基板テーブル上に支持される同じ基板上で実行される測定に基づいて取得される、項26に記載の方法。
(項28)前記半導体製造プロセスは、基板をパターニングするバッチ式プロセスであり、前記第1サンプリング方式は、5から10バッチごとの測定頻度を有し、前記第2サンプリング方式は、バッチごとに1回の測定頻度を有する、項25から項27のいずれかに記載の方法。
(項29)前記半導体製造プロセスは、露光フィールドを用いて基板をパターニングするプロセスであり、前記第1サンプリング方式は、フィールドごとに200から300の測定点となる空間密度を有し、前記第2サンプリング方式は、露光フィールドごとに2から3の測定点となる空間密度を有する、項25から項28のいずれかに記載の方法。
(項30)前記第1サンプリング方式を用いた測定に基づく前記第1パラメータの後続値を取得することと、前記後続値を用いて前記リカレントニューラルネットワークを更新することとをさらに備える、項23から項29のいずれかに記載の方法。
(項31)前記パラメータは、露光拡大率パラメータを備え、前記プロセス工程は、リソグラフィ露光を備える、項23から項30のいずれかに記載の方法。
(項32)前記リカレントニューラルネットワークは、長短期記憶ネットワークを備える、項23から項31のいずれかに記載の方法。
(項33)項23から項32のいずれかに記載の方法に係る前記半導体製造プロセスに関連付けられたパラメータの値を予測する方法を備える半導体製造プロセス。
(項34)放射の投影ビームを提供するよう構成される照明システムと、
パターニングデバイスを支持するよう構成され、前記パターニングデバイスが所望のパターンにしたがって前記投影ビームをパターン化するよう構成されるサポート構造と、
基板を保持するよう構成される基板テーブルと、
前記パターン化されたビームを前記基板のターゲット部分に投影するよう構成される投影システムと、
項23から項32のいずれかに記載の方法に係る前記半導体製造プロセスに関連付けられたパラメータの値を予測するよう構成される処理ユニットと、を備えるリソグラフィ装置。
(項35)項23から項32のいずれかに記載の方法の工程を汎用データ処理装置に実行させるための機械可読指令を備えるコンピュータプログラム製品。
(項36)前記第1パラメータの前記予測値と、前記第1サンプリング方式を用いる測定に基づく前記第1パラメータの前記取得した第1の値とに基づいて、半導体製造プロセスの制御装置によって用いられるモデルに関連付けられたパラメータの値を決定することをさらに備える、項23から項32のいずれかに記載の方法。
(項37)前記決定することは、前記第1パラメータの前記予測値を、前記第1パラメータの前記取得した第1の値を前記モデルに適用することによって得られる前記第1パラメータの値と比較することに基づく、項36に記載の方法。
(項38)前記モデルは、指数加重移動平均モデルであり、前記パラメータは、前記指数加重移動平均モデルに関連付けられる平滑化定数である、項36または項37に記載の方法。
(項39)半導体製造プロセスを構成する方法であって、
前記半導体製造プロセスにおけるプロセス工程の第1動作および第1サンプリング方式に関連付けられた測定に基づく第1パラメータの第1の値を取得することと、
リカレントニューラルネットワークを用いて、前記第1の値に基づく前記第1パラメータの予測値を決定することと、
前記半導体製造プロセスにおける前記プロセス工程の後続動作を構成する際に前記第1パラメータの前記予測値を用いることと、を備える方法。
(項40)前記第1サンプリング方式よりも空間的に密ではない第2サンプリング方式を用いる測定に基づく第2パラメータの第2の値を取得することと、
前記半導体製造プロセスにおける前記プロセス工程の前記後続動作を構成する際に前記第2パラメータの前記第2の値を用いることと、をさらに備える、項39に記載の方法。
(項41)前記第2の値は、前記プロセス工程の前記後続動作での測定に基づいて取得される、項40に記載の方法。
(項42)前記第2の値は、前記プロセス工程の前記後続動作が実行されるのと同じ基板テーブル上に支持される同じ基板上で実行される測定に基づいて取得され、前記プロセス工程の前記後続動作は、前記第2の値を用いて構成される、項41に記載の方法。
(項43)前記半導体製造プロセスは、基板をパターニングするバッチ式プロセスであり、前記第1サンプリング方式は、5から10バッチごとの測定頻度を有し、前記第2サンプリング方式は、バッチごとに1回の測定頻度を有する、項40に記載の方法。
(項44)前記半導体製造プロセスは、露光フィールドを用いて基板をパターニングするプロセスであり、前記第1サンプリング方式は、露光フィールドごとに200から300の測定点となる空間密度を有し、前記第2サンプリング方式は、露光フィールドごとに2から3の測定点となる空間密度を有する、項40に記載の方法。
【0153】
(一般的な定義)
本文では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用への具体的な参照がなされたが、本書に記載されるリソグラフィ装置は、他の用途にも応用できることが理解されよう。取り得る他の応用には、集積光学システム、磁気ドメインメモリ、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどのための案内および検出パターンの製造が含まれる。
【0154】
本文では、検査または計測装置の文脈で本発明の実施の形態へ具体的な参照がなされたかもしれないが、本発明の実施の形態は他の装置で使用されてもよい。本発明の実施の形態は、マスク検査装置、リソグラフィ装置、またはウェハ(または他の基板)またはマスク(または他のパターニング装置)といった物体を測定または処理する任意の装置の一部を形成してもよい。計測装置または計測システムの用語は、検査装置または検査システムの用語を包含し、またはそれらと置換されてもよいことにも留意されたい。本書に開示されるような計測または検査装置は、基板上または基板内の欠陥および/または基板上の構造の欠陥を検出するために使用されてもよい。そのような実施の形態では、基板上の構造の特徴は、例えば、構造内の欠陥、構造の特定の部分の欠如、または基板上の望ましくない構造の存在に関係してもよい。
【0155】
具体的な参照が「計測装置/ツール/システム」または「検査装置/ツール/システム」へなされているが、これらの用語は、同じまたは類似の種類のツール、装置、またはシステムを指してもよい。例えば、本発明のある実施の形態を備える検査または計測装置は、基板上またはウェハ上の構造といった物理的システムの特性を決定するために使用されてもよい。例えば、本発明のある実施の形態を備える検査装置または計測装置は、基板の欠陥、または、基板上もしくはウェハ上の構造の欠陥を検出するために使用されてもよい。そのような実施の形態において、物理的構造の特徴は、構造内の欠陥、構造の特定部分の欠如、または、基板上もしくはウェハ上の望ましくない構造の存在に関係してもよい。
【0156】
光学リソグラフィの文脈において本発明の実施の形態の使用への具体的な参照が上記でなされたが、文脈が許す限り、本発明は光学リソグラフィに限られず、他の用途、例えばインプリントリソグラフィで使用されてもよいことが理解されよう。
【0157】
上述のターゲットまたはターゲット構造(より一般的には基板上の構造)は、測定の目的で特別に設計および形成された計測ターゲット構造であるが、他の実施の形態では、注目する特性が基板上に形成されるデバイスの機能部分である一以上の構造で測定されてもよい。多くのデバイスは、規則的なグレーティング状の構造を有する。本書で使用される構造、ターゲットグレーティングおよびターゲット構造の用語は、実行される測定のために構造が特別に設けられていることを必要としない。マルチ感度ターゲットの実施の形態に関して、異なる製品フィーチャは、異なる感度(変化するピッチなど)を有する多くの領域を備えてもよい。さらに、計測ターゲットのピッチpは、スキャトロメータの光学システムの解像度限界に近いが、ターゲット部分Cにおけるリソグラフィプロセスによって作成された典型的な製品フィーチャの寸法よりもはるかに大きくてもよい。実際上は、ターゲット構造内のオーバレイグレーティングのラインおよび/またはスペースは、製品フィーチャと類似した寸法のより小さな構造を含むように作成されてもよい。
【0158】
本発明の特定の実施の形態が上述されたが、本発明は、記載以外の方法で実施されてもよいことが理解されよう。上記の説明は、例示的であることを意図しており、限定的なものではない。したがって、以下に示す特許請求の範囲から逸脱しない限り、記載された本発明に改変がなされてもよいことは、当業者にとって明らかであろう。