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特許7281387温度制御システム、及び統合温度制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】温度制御システム、及び統合温度制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 23/00 20060101AFI20230518BHJP
【FI】
G05D23/00 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019203219
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021077086
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】503164502
【氏名又は名称】荏原冷熱システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】国保 典男
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 雅之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 功宏
(72)【発明者】
【氏名】中澤 敏治
(72)【発明者】
【氏名】高梨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】福住 幸大
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/066763(WO,A1)
【文献】特開2001-134324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 23/00-23/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
第1熱媒体が循環する第1循環回路と、
前記第1循環回路から独立しており、第2熱媒体が循環する第2循環回路と、
前記第1循環回路及び前記第2循環回路から独立しており、前記第1熱媒体及び前記第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する第3循環回路と、を備え、
前記第1循環回路は、
液体状態の前記第1熱媒体を膨張させて霧化させる第1膨張部と、
前記第1熱媒体が流通する第1流通部と、
前記第1膨張部により霧化された第1温度の前記第1熱媒体を、前記第1流通部まで流通させる第1往路と、
気体状態の前記第1熱媒体を圧縮する第1圧縮部と、
前記第1流通部を流通して気化した前記第1熱媒体を、前記第1圧縮部まで流通させる第1復路と、
前記第1圧縮部により圧縮された気体状態の前記第1熱媒体を凝縮させて前記第1膨張部へ供給する第1凝縮部と、
を備え、
前記第2循環回路は、
前記第1温度よりも高い第2温度の前記第2熱媒体を供給する第2調整装置と、
前記第2熱媒体が流通する第2流通部と、
前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部まで流通させる第2往路と、
前記第2流通部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる第2復路と、を備え、
前記第3循環回路は、
前記第3熱媒体が流通し、前記第1流通部と熱交換する第3流通部と、
前記第3熱媒体が流通し、前記第2流通部と熱交換する第4流通部と、
前記第3流通部及び前記第4流通部から、前記制御対象と熱交換する熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させる第3往路と、
前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第3復路と、を備え、前記第3熱媒体を貯留するタンクを備えておらず、
前記温度制御システムは、前記第1流通部と前記第3流通部とで交換する熱量、及び前記第2流通部と前記第4流通部とで交換する熱量を調整する調整部を備えている、温度制御システム。
【請求項2】
前記調整部は、前記第1圧縮部の駆動状態を制御する駆動制御部を含む、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項3】
前記第1循環回路は、前記第1圧縮部をバイパスして前記第1復路から前記第1凝縮部へ前記気化した前記第1熱媒体を流通させるバイパス流路と、前記バイパス流路を開閉する開閉弁とを含み、
前記駆動制御部は、前記開閉弁が開かれた場合に、前記第1圧縮部を停止させる、請求項2に記載の温度制御システム。
【請求項4】
前記第1循環回路は、前記第1圧縮部と前記第1凝縮部との間を前記第1往路に接続して、前記第1圧縮部により圧縮された気体状態の前記第1熱媒体を前記第1往路に流通させる接続流路と、前記接続流路を開閉する開閉弁とを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項5】
前記第2調整装置は、
液体状態の前記第2熱媒体を膨張させ霧化させて前記第2往路へ供給する第2膨張部と、
前記第2流通部を流通して気化した前記第2熱媒体が前記第2復路を介して供給され、気体状態の前記第2熱媒体を圧縮する第2圧縮部と、
前記第2圧縮部により圧縮された気体状態の前記第2熱媒体を凝縮させて前記第2膨張部へ供給する第2凝縮部と、を備えている、請求項1~4のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項6】
前記第2調整装置は、
気体状態の前記第2熱媒体を圧縮して前記第2往路へ供給する第2圧縮部と、
前記第2流通部を流通して液化した前記第2熱媒体が前記第2復路を介して供給され、液体状態の前記第2熱媒体を膨張させ霧化させる第2膨張部と、
前記第2膨張部により霧化された前記第2熱媒体を蒸発させて前記第2圧縮部へ供給する蒸発部と、を備えている、請求項1~4のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項7】
前記第1凝縮部は、第1水温の冷却水と前記第1熱媒体とで熱交換させて前記第1熱媒体を凝縮させ、
前記蒸発部は、前記第1水温よりも高い第2水温の冷却水と前記第2熱媒体とで熱交換させて前記第2熱媒体を蒸発させる、請求項6に記載の温度制御システム。
【請求項8】
前記第2水温の冷却水は、前記第1水温の冷却水が所定部材の冷却に使用されることで加熱された冷却水である、請求項7に記載の温度制御システム。
【請求項9】
前記第1凝縮部は、冷却水と前記第1熱媒体とで熱交換させて前記第1熱媒体を凝縮させ、
前記蒸発部は、冷却水と前記第2熱媒体とで熱交換させて前記第2熱媒体を蒸発させ、
前記第1凝縮部に供給される前記冷却水を、前記蒸発部を流通した前記冷却水により冷却するプレクーラと、
前記蒸発部に供給される前記冷却水を、前記第1凝縮部を流通した前記冷却水により加熱するプレヒータと、を備える、請求項6に記載の温度制御システム。
【請求項10】
前記第2調整装置は、発熱量を制御可能なヒータを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項11】
前記第1循環回路は、
前記第1熱媒体が流通し、第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第1蓄熱部を備え、
前記第1往路は、前記第1膨張部により霧化された前記第1熱媒体を、前記第1流通部及び前記第1蓄熱部まで流通させ、
前記第1復路は、前記第1流通部及び前記第1蓄熱部を流通して気化した前記第1熱媒体を、前記第1圧縮部まで流通させ、
前記第2循環回路は、
前記第2熱媒体が流通し、前記第3温度よりも高い第4温度において第2蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第2蓄熱部を備え、
前記第2往路は、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部及び前記第2蓄熱部まで流通させ、
前記第2復路は、前記第2流通部及び前記第2蓄熱部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる、請求項1~10のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項12】
前記調整部は、
前記第1往路に設けられ、前記第1膨張部により霧化された前記第1熱媒体を、前記第1流通部と前記第1蓄熱部とに分配する比率を変更する第1分配弁と、
前記第2往路に設けられ、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部と前記第2蓄熱部とに分配する比率を変更する第2分配弁と、を含む、請求項11に記載の温度制御システム。
【請求項13】
前記第1分配弁及び前記第2分配弁を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記第1膨張部により霧化された前記第1熱媒体を前記第1分配弁により前記第1流通部に流通させる場合に、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を前記第2分配弁により前記第2蓄熱部に流通させ、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を前記第2分配弁により前記第2流通部に流通させる場合に、前記第1膨張部により霧化された前記第1熱媒体を前記第1分配弁により前記第1蓄熱部に流通させる、請求項12に記載の温度制御システム。
【請求項14】
前記調整部は、
前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項15】
前記調整部は、
前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁を含み、
前記第1分配弁、前記第2分配弁、及び前記第3分配弁を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記熱交換部から前記第3流通部まで前記第3分配弁により前記第3熱媒体を流通させない場合に、前記第1膨張部により霧化された前記第1熱媒体を前記第1分配弁により前記第1蓄熱部に流通させ、前記熱交換部から前記第4流通部まで前記第3分配弁により前記第3熱媒体を流通させない場合に、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を前記第2分配弁により前記第2蓄熱部に流通させる、請求項12又は13に記載の温度制御システム。
【請求項16】
前記第3復路は、
前記熱交換部から前記第1蓄熱部を介して前記第3流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第1仲介復路と、
前記熱交換部から前記第2蓄熱部を介して前記第4流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第2仲介復路と、を含む、請求項15に記載の温度制御システム。
【請求項17】
前記調整部は、
前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部を介さず前記熱交換部まで戻る前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第4分配弁を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項18】
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
第1熱媒体が循環する第1循環回路と、
前記制御対象を加熱し、発熱量を制御可能なヒータと、
前記第1循環回路から独立しており、前記第1熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する第3循環回路と、を備え、
前記第1循環回路は、
液体状態の前記第1熱媒体を膨張させて霧化させる第1膨張部と、
前記第1熱媒体が流通する第1流通部と、
前記第1膨張部により霧化された第1温度の前記第1熱媒体を、前記第1流通部まで流通させる第1往路と、
気体状態の前記第1熱媒体を圧縮する第1圧縮部と、
前記第1流通部を流通して気化した前記第1熱媒体を、前記第1圧縮部まで流通させる第1復路と、
前記第1圧縮部により圧縮された気体状態の前記第1熱媒体を凝縮させて前記第1膨張部へ供給する第1凝縮部と、
を備え、
前記第3循環回路は、
前記第3熱媒体が流通し、前記第1流通部と熱交換する第3流通部と、
前記第3流通部から、前記制御対象と熱交換する熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させる第3往路と、
前記熱交換部から前記第3流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第3復路と、を備え、前記第3熱媒体を貯留するタンクを備えておらず、
前記温度制御システムは、前記第1流通部と前記第3流通部とで交換する熱量、及び前記ヒータの発熱量を調整する調整部を備えている、温度制御システム。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の温度制御システムを複数備え、
前記第1膨張部、前記第1圧縮部、及び前記第1凝縮部は、複数の前記温度制御システムに対して1組設けられている、統合温度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御対象の温度を制御する温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度制御対象との間で熱交換を行う熱交換器と、冷却手段と熱交換流体の貯留タンクとを有する冷却側循環回路と、加熱手段と熱交換流体の貯留タンクとを有する加熱側循環回路と、熱交換器に対して冷却側循環回路と加熱側循環回路とを切り換えて接続する切替弁と、を備え、熱交換器に熱交換流体を循環供給する温度調整システムがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-134324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の温度調整システム(温度制御システム)では、熱交換器と冷却側循環回路と加熱側循環回路とに、共通の熱交換流体(熱媒体)を循環させている。このため、熱交換器に循環供給する熱交換流体の量が多くなり、熱交換流体の温度を速やかに変化させることができない。したがって、特許文献1に記載の温度調整システムは、温度制御対象(制御対象)の温度を制御する応答性を向上させる上で、改善の余地がある。また、低温から高温まで広い温度範囲で使用可能な熱交換流体は、高価であることが多く、高価な熱交換流体の使用量を減少させることが望ましい。
【0005】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、高価な熱媒体の使用量を減少させることができ、且つ制御対象の温度を制御する応答性を向上させることのできる温度制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
第1熱媒体が循環する第1循環回路と、
前記第1循環回路から独立しており、第2熱媒体が循環する第2循環回路と、
前記第1循環回路及び前記第2循環回路から独立しており、前記第1熱媒体及び前記第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する第3循環回路と、を備え、
前記第1循環回路は、
液体状態の前記第1熱媒体を膨張させて霧化させる第1膨張部と、
前記第1熱媒体が流通する第1流通部と、
前記第1膨張部により霧化された第1温度の前記第1熱媒体を、前記第1流通部まで流通させる第1往路と、
気体状態の前記第1熱媒体を圧縮する第1圧縮部と、
前記第1流通部を流通して気化した前記第1熱媒体を、前記第1圧縮部まで流通させる第1復路と、
前記第1圧縮部により圧縮された気体状態の前記第1熱媒体を凝縮させて前記第1膨張部へ供給する第1凝縮部と、
を備え、
前記第2循環回路は、
前記第1温度よりも高い第2温度の前記第2熱媒体を供給する第2調整装置と、
前記第2熱媒体が流通する第2流通部と、
前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部まで流通させる第2往路と、
前記第2流通部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる第2復路と、を備え、
前記第3循環回路は、
前記第3熱媒体が流通し、前記第1流通部と熱交換する第3流通部と、
前記第3熱媒体が流通し、前記第2流通部と熱交換する第4流通部と、
前記第3流通部及び前記第4流通部から、前記制御対象と熱交換する熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させる第3往路と、
前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第3復路と、を備え、前記第3熱媒体を貯留するタンクを備えておらず、
前記温度制御システムは、前記第1流通部と前記第3流通部とで交換する熱量、及び前記第2流通部と前記第4流通部とで交換する熱量を調整する調整部を備えている。
【0007】
上記構成によれば、温度制御システムは、制御対象の温度を制御する。温度制御システムは、第1熱媒体が循環する第1循環回路と、第1循環回路から独立しており、第2熱媒体が循環する第2循環回路と、第3循環回路とを備えている。第3循環回路は、第1循環回路及び第2循環回路から独立しており、第1熱媒体及び第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する。このため、第3熱媒体が高価であったとしても、第3循環回路にのみ第3熱媒体を循環させて、第3熱媒体の使用量を減少させることができる。しかも、第3循環回路は、第3熱媒体を貯留するタンクを備えていない。このため、第3循環回路を循環する第3熱媒体の量を、さらに減少させることができる。
【0008】
第1循環回路は、液体状態の第1熱媒体を膨張させ霧化させる第1膨張部と、第1熱媒体が流通する第1流通部と、第1膨張部により霧化された第1温度の第1熱媒体を、第1流通部まで流通させる第1往路と、を備えている。このため、膨張させられて霧化された第1温度の第1熱媒体を、第1往路を介して第1流通部まで流通させることができる。そして、第1流通部を蒸発器として機能させて、第1流通部で第1熱媒体を蒸発させることにより、第1流通部に熱エネルギを供給する(詳しくは第1流通部を冷却する)ことができる。また、第1循環回路は、気体状態の第1熱媒体を圧縮する第1圧縮部と、第1流通部を流通して気化した第1熱媒体を、第1圧縮部まで流通させる第1復路と、第1圧縮部により圧縮された気体状態の第1熱媒体を凝縮させて第1膨張部へ供給する第1凝縮部と、を備えている。このため、第1流通部を流通して気化した第1熱媒体を凝縮させて、液体状態の第1熱媒体を第1膨張部へ供給することができる。ここで、第3熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が狭い第1熱媒体を使用しているため、第1熱媒体として安価な熱媒体を使用することができる。
【0009】
第2循環回路は、第2調整装置を備えている。第2調整装置は、第1温度よりも高い第2温度の第2熱媒体を供給する。このため、熱交換に使用する第2温度の第2熱媒体を供給することができる。第2循環回路は、第2熱媒体が流通する第2流通部と、第2調整装置から供給された第2熱媒体を、第2流通部まで流通させる第2往路と、第2流通部を流通した第2熱媒体を、第2調整装置まで流通させる第2復路と、を備えている。このため、第2熱媒体を介して、第2流通部まで熱エネルギを供給することができる。ここで、第3熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が狭い第2熱媒体を使用しているため、第2熱媒体として安価な熱媒体を使用することができる。
【0010】
第3循環回路は、第3熱媒体が流通し、第1流通部と熱交換する第3流通部と、第3熱媒体が流通し、第2流通部と熱交換する第4流通部と、を備えている。このため、第1流通部まで供給された熱エネルギを、第1流通部と第3流通部との熱交換を通じて第3流通部に供給することができる。同様に、第2流通部まで供給された熱エネルギを、第2流通部と第4流通部との熱交換を通じて第4流通部に供給することができる。
【0011】
第3循環回路は、第3流通部及び第4流通部から、制御対象と熱交換する熱交換部まで第3熱媒体を流通させる第3往路と、熱交換部から第3流通部及び第4流通部まで第3熱媒体を流通させる第3復路と、を備えている。このため、第3熱媒体を介して、制御対象と熱交換する熱交換部まで熱エネルギを供給することができる。温度制御システムは、第1流通部と第3流通部とで交換する熱量、及び第2流通部と第4流通部とで交換する熱量を調整する調整部を備えている。このため、調整部により、第3流通部及び第4流通部に供給する熱エネルギを調整することができ、第3熱媒体を介して熱交換部に供給する熱エネルギ、ひいては制御対象の温度を制御することができる。ここで、上記のように、第3循環回路を循環する第3熱媒体の量を減少させることができる。したがって、第3熱媒体の温度を速やかに変化させることができ、制御対象の温度を制御する応答性を向上させることができる。
【0012】
第2調整装置が第2熱媒体の温度を第2温度に調整して供給する必要がある場合は、一般に第2調整装置は第1循環回路と同等の構成を有するユニットを内部に備える。そして、そのユニットで用いる熱媒体と第2熱媒体とで熱交換して、第2熱媒体の温度を第2温度に調整する。その場合、第2循環回路では、霧化、圧縮、及び凝縮が行われる熱媒体と第2熱媒体とで熱交換する構成と、第2流通部の第2熱媒体と第4流通部の第3熱媒体とで熱交換する構成とが必要になる。これに対して、第1循環回路では、霧化、圧縮、及び凝縮が行われる熱媒体と第1流通部まで流通させる熱媒体とが共通の第1熱媒体であり、霧化、圧縮、及び凝縮が行われる熱媒体と第1熱媒体とで熱交換する構成が必要ない。このため、上記の場合の第2循環回路と比較して、第1循環回路の構成を簡潔にすることができる。さらに、第1流通部と第3流通部とが熱交換する際には、第1熱媒体の潜熱を利用することができるため、熱交換の効率を向上させることができる。
【0013】
第2の手段では、前記調整部は、前記第1圧縮部の駆動状態を制御する駆動制御部を含む。
【0014】
上記構成によれば、第1圧縮部の駆動状態が駆動制御部により制御される。このため、第1圧縮部により気体状態の第1熱媒体を圧縮する度合、ひいては第1流通部に供給する熱エネルギの量を制御することができる。したがって、第1流通部へ流通させる第1熱媒体の流量を制御しなくても、第1流通部と第3流通部とで交換する熱量を調整することができ、制御対象の温度を制御することができる。
【0015】
第3の手段では、前記第1循環回路は、前記第1圧縮部をバイパスして前記第1復路から前記第1凝縮部へ前記気化した前記第1熱媒体を流通させるバイパス流路と、前記バイパス流路を開閉する開閉弁とを含み、前記駆動制御部は、前記開閉弁が開かれた場合に、前記第1圧縮部を停止させる。
【0016】
上記構成によれば、開閉弁を閉じることにより、気化した第1熱媒体を、バイパス流路へ流通させず、第1復路により第1圧縮部へ流通させることができる。一方、開閉弁を開くことにより、バイパス流路によって第1圧縮部をバイパスして、第1復路から第1凝縮部へ気化した第1熱媒体を流通させることができる。そして、駆動制御部は、開閉弁が開かれた場合に、第1圧縮部を停止させる。このため、第1流通部へ供給する必要のある熱エネルギが少ない場合に、第1圧縮部を停止させて温度制御システムの消費エネルギを減少させることができる。
【0017】
第1圧縮部は、気体状態の第1熱媒体を圧縮するため、液体状態の第1熱媒体を圧縮すると破損するおそれがある。第1流通部と第3流通部とで交換する熱量が少ない場合は、第1流通部を流通した第1熱媒体が充分に蒸発せず、液体状態の第1熱媒体が第1圧縮部へ供給されるおそれがある。
【0018】
この点、第4の手段では、前記第1循環回路は、前記第1圧縮部と前記第1凝縮部との間を前記第1往路に接続して、前記第1圧縮部により圧縮された気体状態の前記第1熱媒体を前記第1往路に流通させる接続流路と、前記接続流路を開閉する開閉弁とを含む。こうした構成によれば、開閉弁を開くことにより、第1圧縮部により圧縮されて温度が上昇した気体状態の第1熱媒体を、接続流路によって第1往路に流通させることができる。このため、第1流通部と第3流通部とで交換する熱量が少ない場合であっても、第1流通部を流通した第1熱媒体を充分に蒸発させることができ、液体状態の第1熱媒体が第1圧縮部へ供給されることを抑制することができる。
【0019】
第5の手段では、前記第2調整装置は、液体状態の前記第2熱媒体を膨張させ霧化させて前記第2往路へ供給する第2膨張部と、前記第2流通部を流通して気化した前記第2熱媒体が前記第2復路を介して供給され、気体状態の前記第2熱媒体を圧縮する第2圧縮部と、前記第2圧縮部により圧縮された気体状態の前記第2熱媒体を凝縮させて前記第2膨張部へ供給する第2凝縮部と、を備えている。
【0020】
上記構成によれば、第1の手段の第1循環回路と同様に、第2循環回路では、霧化、圧縮、及び凝縮が行われる熱媒体と第2流通部まで流通させる熱媒体とが共通の第2熱媒体であり、霧化、圧縮、及び凝縮が行われる熱媒体と第2熱媒体とで熱交換する構成が必要ない。このため、第2循環回路の構成を簡潔にすることができる。さらに、第2流通部と第4流通部とが熱交換する際には、第2熱媒体の潜熱を利用することができるため、熱交換の効率を向上させることができる。
【0021】
第6の手段では、前記第2調整装置は、気体状態の前記第2熱媒体を圧縮して前記第2往路へ供給する第2圧縮部と、前記第2流通部を流通して液化した前記第2熱媒体が前記第2復路を介して供給され、液体状態の前記第2熱媒体を膨張させ霧化させる第2膨張部と、前記第2膨張部により霧化された前記第2熱媒体を蒸発させて前記第2圧縮部へ供給する蒸発部と、を備えている。
【0022】
第2調整装置は、気体状態の第2熱媒体を圧縮して第2往路へ供給する第2圧縮部を備えている。このため、気体状態の第2熱媒体を、第2往路を介して第2流通部まで流通させることができる。そして、第2流通部を凝縮器として機能させて、第2流通部で第2熱媒体を凝縮させることにより、第2流通部に熱エネルギを供給する(詳しくは第2流通部を加熱する)ことができる。また、第2調整装置は、第2流通部を流通して液化した第2熱媒体が第2復路を介して供給され、液体状態の第2熱媒体を膨張させ霧化させる第2膨張部と、第2膨張部により霧化された第2熱媒体を蒸発させて第2圧縮部へ供給する蒸発部と、を備えている。このため、第2流通部を流通して液化した第2熱媒体を蒸発させて、気体状態の第2熱媒体を第2圧縮部へ供給することができる。
【0023】
この場合、第2循環回路では、圧縮、霧化、及び気化が行われる熱媒体と第2流通部まで流通させる熱媒体とが共通の第2熱媒体であり、圧縮、霧化、及び気化が行われる熱媒体と第2熱媒体とで熱交換する構成が必要ない。したがって、第2循環回路の構成を簡潔にすることができる。さらに、第2流通部と第4流通部とが熱交換する際には、第2熱媒体の潜熱を利用することができるため、熱交換の効率を向上させることができる。
【0024】
一般に工場等では、冷却水を利用可能であり、複数の温度の冷却水を利用可能な場合もある。
【0025】
この点、第7の手段では、前記第1凝縮部は、第1水温の冷却水と前記第1熱媒体とで熱交換させて前記第1熱媒体を凝縮させ、前記蒸発部は、前記第1水温よりも高い第2水温の冷却水と前記第2熱媒体とで熱交換させて前記第2熱媒体を蒸発させる。こうした構成によれば、複数の温度の冷却水を利用可能な場合に、第1水温の冷却水を第1凝縮部に利用し、第1水温よりも高い第2水温の冷却水を蒸発部に利用することができる。したがって、複数の温度の冷却水を有効に利用することにより、温度制御システムの消費エネルギを減少させることができる。
【0026】
第8の手段では、前記第2水温の冷却水は、前記第1水温の冷却水が所定部材の冷却に使用されることで加熱された冷却水である。
【0027】
上記構成によれば、所定部材の冷却に使用されることで第1水温から第2水温まで上昇した冷却水を、第2水温の冷却水として有効に利用することができる。このため、工場等において第1水温の冷却水のみが供給されている場合であっても、第2水温の冷却水を温度制御システムに供給することができる。
【0028】
第9の手段では、前記第1凝縮部は、冷却水と前記第1熱媒体とで熱交換させて前記第1熱媒体を凝縮させ、前記蒸発部は、冷却水と前記第2熱媒体とで熱交換させて前記第2熱媒体を蒸発させ、前記第1凝縮部に供給される前記冷却水を、前記蒸発部を流通した前記冷却水により冷却するプレクーラと、前記蒸発部に供給される前記冷却水を、前記第1凝縮部を流通した前記冷却水により加熱するプレヒータと、を備える。
【0029】
上記構成によれば、第1凝縮部は、冷却水と第1熱媒体とで熱交換させて第1熱媒体を凝縮させるため、第1凝縮部では温度の低い冷却水が要求され、第1凝縮部を流通する前後で冷却水の温度が上昇する。蒸発部は、冷却水と第2熱媒体とで熱交換させて第2熱媒体を蒸発させるため、蒸発部では温度の高い冷却水が要求され、蒸発部を流通する前後で冷却水の温度が下降する。
【0030】
ここで、温度制御システムは、第1凝縮部に供給される冷却水を、蒸発部を流通した冷却水により冷却するプレクーラを備えている。このため、蒸発部を流通して温度が下降した冷却水を、第1凝縮部に供給される冷却水を冷却するために有効利用することができる。また、温度制御システムは、蒸発部に供給される冷却水を、第1凝縮部を流通した冷却水により加熱するプレヒータを備えている。このため、第1凝縮部を流通して温度が上昇した冷却水を、蒸発部に供給される冷却水を加熱するために有効利用することができる。したがって、温度制御システムの消費エネルギを減少させることができる。
【0031】
第10の手段では、前記第2調整装置は、発熱量を制御可能なヒータを含む。
【0032】
上記構成によれば、第2調整装置は、発熱量を制御可能なヒータを含むため、第2熱媒体の温度を第2温度に調整して供給することができる。この場合、第2循環回路では、ヒータにより加熱される熱媒体と第2流通部まで流通させる熱媒体とを共通の第2熱媒体にすることができるため、圧縮、霧化、及び気化が行われる熱媒体と第2熱媒体とで熱交換する構成が必要ない。したがって、第2循環回路の構成を簡潔にすることができる。
【0033】
第11の手段では、前記第1循環回路は、
前記第1熱媒体が流通し、第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第1蓄熱部を備え、
前記第1往路は、前記第1膨張部により霧化された前記第1熱媒体を、前記第1流通部及び前記第1蓄熱部まで流通させ、
前記第1復路は、前記第1流通部及び前記第1蓄熱部を流通して気化した前記第1熱媒体を、前記第1圧縮部まで流通させ、
前記第2循環回路は、
前記第2熱媒体が流通し、前記第3温度よりも高い第4温度において第2蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第2蓄熱部を備え、
前記第2往路は、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部及び前記第2蓄熱部まで流通させ、
前記第2復路は、前記第2流通部及び前記第2蓄熱部を流通した前記第2熱媒体を、前記第2調整装置まで流通させる。
【0034】
上記構成によれば、第1蓄熱部と、第1膨張部により霧化された第1熱媒体を、第1流通部及び第1蓄熱部まで流通させる第1往路と、第1流通部及び第1蓄熱部を流通して気化した第1熱媒体を、第1圧縮部まで流通させる第1復路と、を備えている。このため、第1熱媒体を介して、第1流通部及び第1蓄熱部まで熱エネルギを供給することができる。第1蓄熱部は、第1熱媒体が流通し、第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える。このため、制御対象の温度を変化させる時等に備えて、第1蓄熱部に熱エネルギを蓄えておくことができる。また、第2循環回路では、第2調整装置が第1温度よりも高い第2温度の第2熱媒体を供給し、第1循環回路に準じた作用効果を奏することができる。
【0035】
そして、調整部により、第3流通部及び第4流通部に供給する熱エネルギを調整する際に、第1蓄熱部及び第2蓄熱部に蓄えておいた熱エネルギも使用することができる。このため、第3流通部及び第4流通部に供給する熱エネルギを増加させることができ、第3熱媒体の温度を速やかに変化させることができる。したがって、制御対象の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0036】
第12の手段では、前記調整部は、前記第1往路に設けられ、前記第1膨張部により霧化された前記第1熱媒体を、前記第1流通部と前記第1蓄熱部とに分配する比率を変更する第1分配弁と、前記第2往路に設けられ、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を、前記第2流通部と前記第2蓄熱部とに分配する比率を変更する第2分配弁と、を含む。
【0037】
上記構成によれば、第1往路には、第1膨張部により霧化された第1熱媒体を、第1流通部と第1蓄熱部とに分配する比率を変更する第1分配弁が設けられている。このため、第1膨張部から、第1流通部に供給する熱エネルギと、第1蓄熱部に供給する熱エネルギとの比率を、第1分配弁により変更することができる。したがって、第1流通部と第3流通部との熱交換に使用する熱エネルギと、第1蓄熱部に蓄える熱エネルギとの比率を変更することができる。同様に、第2流通部と第4流通部との熱交換に使用する熱エネルギと、第2蓄熱部に蓄える熱エネルギとの比率を変更することができる。
【0038】
第13の手段では、前記第1分配弁及び前記第2分配弁を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1膨張部により霧化された前記第1熱媒体を前記第1分配弁により前記第1流通部に流通させる場合に、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を前記第2分配弁により前記第2蓄熱部に流通させ、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を前記第2分配弁により前記第2流通部に流通させる場合に、前記第1膨張部により霧化された前記第1熱媒体を前記第1分配弁により前記第1蓄熱部に流通させる。
【0039】
上記構成によれば、温度制御システムは、第1分配弁及び第2分配弁を制御する制御部を備えている。そして、制御部は、第1膨張部により霧化された第1熱媒体を第1分配弁により第1流通部に流通させる場合に、第2調整装置から供給された第2熱媒体を第2分配弁により第2蓄熱部に流通させる。このため、第1膨張部により霧化された第1熱媒体を第1流通部に流通させる場合、すなわち第2流通部と第4流通部とで熱交換を行う必要が小さい場合に、第2蓄熱部に熱エネルギを蓄えることができる。一方、第2調整装置から供給された第2熱媒体を第2流通部に流通させる場合、すなわち第1流通部と第3流通部とで熱交換を行う必要が小さい場合に、第1蓄熱部に熱エネルギを蓄えることができる。
【0040】
第14の手段では、前記調整部は、前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁を含む。
【0041】
上記構成によれば、第3復路には、熱交換部から第3流通部まで流通する第3熱媒体と、熱交換部から第4流通部まで流通する第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁が設けられている。このため、第3流通部が第1流通部から受け取る熱エネルギと、第4流通部が第2流通部から受け取る熱エネルギとの比率を、第3分配弁により変更することができる。さらに、例えば熱交換部から第4流通部にのみ第3熱媒体を流通させることにより、第3流通部に第3熱媒体が流通することによる第1流通部と第3流通部との熱交換を抑制することができる。なお、第3流通部に第3熱媒体が流通する場合は、第1流通部に第1熱媒体が流通していなくても、第1流通部に残留する熱エネルギが第3流通部に供給されるおそれがある。この点、上記構成によれば、制御対象の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0042】
第15の手段では、前記調整部は、前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁を含み、前記第1分配弁、前記第2分配弁、及び前記第3分配弁を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記熱交換部から前記第3流通部まで前記第3分配弁により前記第3熱媒体を流通させない場合に、前記第1膨張部により霧化された前記第1熱媒体を前記第1分配弁により前記第1蓄熱部に流通させ、前記熱交換部から前記第4流通部まで前記第3分配弁により前記第3熱媒体を流通させない場合に、前記第2調整装置から供給された前記第2熱媒体を前記第2分配弁により前記第2蓄熱部に流通させる。
【0043】
上記構成によれば、温度制御システムは、第1分配弁、第2分配弁、及び第3分配弁を制御する制御部を備えている。そして、制御部は、熱交換部から第3流通部まで第3分配弁により第3熱媒体を流通させない場合に、第1膨張部により霧化された第1熱媒体を第1分配弁により第1蓄熱部に流通させる。このため、熱交換部から第3流通部まで第3熱媒体を流通させない場合、すなわち第1流通部と第3流通部とで熱交換を行う必要がない場合に、第1蓄熱部に熱エネルギを蓄えることができる。一方、熱交換部から第4流通部まで第3熱媒体を流通させない場合、すなわち第2流通部と第4流通部とで熱交換を行う必要がない場合に、第2蓄熱部に熱エネルギを蓄えることができる。
【0044】
第16の手段では、前記第3復路は、前記熱交換部から前記第1蓄熱部を介して前記第3流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第1仲介復路と、前記熱交換部から前記第2蓄熱部を介して前記第4流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第2仲介復路と、を含む。
【0045】
上記構成によれば、第3復路は、熱交換部から第1蓄熱部を介して第3流通部まで第3熱媒体を流通させる第1仲介復路を含んでいる。このため、熱交換部から第3流通部まで第3熱媒体を流通させる場合に、第1蓄熱部から第3熱媒体へ熱エネルギを直接供給することができる。同様に、熱交換部から第4流通部まで第3熱媒体を流通させる場合に、第2蓄熱部から第3熱媒体へ熱エネルギを直接供給することができる。したがって、制御対象の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0046】
第17の手段では、前記調整部は、前記第3復路に設けられ、前記熱交換部から前記第3流通部まで流通する前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第3流通部及び前記第4流通部を介さず前記熱交換部まで戻る前記第3熱媒体と、前記熱交換部から前記第4流通部まで流通する前記第3熱媒体との比率を変更する第4分配弁を含む。
【0047】
上記構成によれば、第3復路には、熱交換部から第3流通部まで流通する第3熱媒体と、熱交換部から第3流通部及び第4流通部を介さず熱交換部まで戻る第3熱媒体と、熱交換部から第4流通部まで流通する第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁が設けられている。このため、第3流通部が第1流通部から受け取る熱エネルギと、熱交換部に戻す熱エネルギと、第4流通部が第2流通部から受け取る熱エネルギとの比率を、第4分配弁により変更することができる。さらに、熱交換部から第3流通部及び第4流通部まで第3熱媒体を流通させず、熱交換部から流出した第3熱媒体を熱交換部にそのまま戻す状態を実現することができる。
【0048】
第18の手段は、
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
第1熱媒体が循環する第1循環回路と、
前記制御対象を加熱し、発熱量を制御可能なヒータと、
前記第1循環回路から独立しており、前記第1熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する第3循環回路と、を備え、
前記第1循環回路は、
液体状態の前記第1熱媒体を膨張させて霧化させる第1膨張部と、
前記第1熱媒体が流通する第1流通部と、
前記第1膨張部により霧化された第1温度の前記第1熱媒体を、前記第1流通部まで流通させる第1往路と、
気体状態の前記第1熱媒体を圧縮する第1圧縮部と、
前記第1流通部を流通して気化した前記第1熱媒体を、前記第1圧縮部まで流通させる第1復路と、
前記第1圧縮部により圧縮された気体状態の前記第1熱媒体を凝縮させて前記第1膨張部へ供給する第1凝縮部と、
を備え、
前記第3循環回路は、
前記第3熱媒体が流通し、前記第1流通部と熱交換する第3流通部と、
前記第3流通部から、前記制御対象と熱交換する熱交換部まで前記第3熱媒体を流通させる第3往路と、
前記熱交換部から前記第3流通部まで前記第3熱媒体を流通させる第3復路と、を備え、前記第3熱媒体を貯留するタンクを備えておらず、
前記温度制御システムは、前記第1流通部と前記第3流通部とで交換する熱量、及び前記ヒータの発熱量を調整する調整部を備えている。
【0049】
上記構成によれば、第3循環回路は、第1循環回路から独立しており、第1熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する。このため、第3熱媒体が高価であったとしても、第3循環回路にのみ第3熱媒体を循環させて、第3熱媒体の使用量を減少させることができる。しかも、第3循環回路は、第3熱媒体を貯留するタンクを備えていない。このため、第3循環回路を循環する第3熱媒体の量を、さらに減少させることができる。
【0050】
第1循環回路は、第1の手段と同様の作用効果を奏する。そして、第3熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が狭い第1熱媒体を使用しているため、第1熱媒体として安価な熱媒体を使用することができる。ヒータは、制御対象を加熱し、発熱量を制御可能である。このため、熱媒体を用いずに、制御対象を直接加熱することができる。
【0051】
温度制御システムは、第1流通部と第3流通部とで交換する熱量、及びヒータの発熱量を調整する調整部を備えている。このため、調整部により、第3流通部に供給する熱エネルギ、及び制御対象に直接供給する熱エネルギを調整することができ、制御対象の温度を制御することができる。ここで、上記のように、第3循環回路を循環する第3熱媒体の量を減少させることができる。したがって、第3熱媒体の温度を速やかに変化させることができ、制御対象の温度を制御する応答性を向上させることができる。
【0052】
第19の手段は、統合温度制御システムであって、第1~第18のいずれか1つの温度制御システムを複数備え、前記第1膨張部、前記第1圧縮部、及び前記第1凝縮部は、複数の前記温度制御システムに対して1組設けられている。こうした構成によれば、霧化された第1温度の第1熱媒体を供給するための第1膨張部、第1圧縮部、及び第1凝縮部を、複数の温度制御システムにおいて1組にまとめることができる。このため、複数の温度制御システムを備える統合温度制御システムの構成を簡潔にすることができる。
【0053】
ここで、温度制御システムは、第1流通部と第3流通部とで交換する熱量を調整部により調整して、制御対象の温度を制御する。このため、第1膨張部は霧化された一定の第1温度の第1熱媒体を供給すればよく、制御対象の目標温度の変化に応じて第1熱媒体の温度を変化させる必要がない。したがって、複数の温度制御システムに対して1組の第1膨張部、第1圧縮部、及び第1凝縮部が設けられた構成であっても、各温度制御システムの制御対象の温度を制御することができる。なお、制御対象の温度に代えて、制御対象の温度に相関する物理量を制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】第1実施形態の温度制御システムの模式図。
図2】第1循環回路及び第2循環回路の変更例の模式図。
図3】第2実施形態の温度制御システムの模式図。
図4】第3実施形態の温度制御システムの模式図。
図5】水路の変更例の模式図。
図6】水路の他の変更例の模式図。
図7】第4実施形態の温度制御システムの模式図。
図8】第5実施形態の温度制御システムの模式図。
図9】第6実施形態の温度制御システムの模式図。
図10】第7実施形態の温度制御システムの模式図。
図11】第8実施形態の統合温度制御システムの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0055】
(第1実施形態)
以下、半導体製造装置の下部電極(制御対象)の温度を制御する温度制御システムに具現化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0056】
図1に示すように、温度制御システム200は、第1循環回路110、第2循環回路120、第3循環回路130、及び制御部80等を備えている。
【0057】
第1循環回路110は、第1熱媒体が循環する回路である。第1熱媒体は、例えばハイドロフルオロカーボン(HFC)系や、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)系の冷媒である。第2循環回路120は、第1循環回路110から独立しており、第2熱媒体が循環する回路である。第2熱媒体は、例えば第1熱媒体と同一の冷媒である。第1熱媒体及び第2熱媒体は、比較的安価である。
【0058】
第3循環回路130は、第1循環回路110及び第2循環回路120から独立しており、第3熱媒体が循環する回路である。第3熱媒体は、例えばフッ素系の不活性液体である。第3熱媒体の使用可能な下限温度は、第1熱媒体及び第2熱媒体の使用可能な下限温度よりも低い。第3熱媒体の使用可能な上限温度は、第1熱媒体及び第2熱媒体の使用可能な上限温度よりも高い。すなわち、第3熱媒体の使用可能な温度は範囲は、第1熱媒体及び第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも広い。このため、第3熱媒体は、第1熱媒体及び第2熱媒体よりも高価である。
【0059】
第1循環回路110は、第1膨張部111、第1圧縮機112、第1凝縮器113、第1ファン115、第1流通部114等を備えている。
【0060】
第1膨張部111は、液体状態の第1熱媒体を膨張させて霧化させる膨張弁又はキャピラリである。第1膨張部111と第1流通部114とが、流路117によって接続されている。流路117(第1往路)は、第1膨張部111により霧化された第1温度の第1熱媒体を、第1流通部114まで流通させる。
【0061】
第1流通部114は、熱交換器131の内部に設けられており、第1熱媒体が流通する。第1流通部114は、霧化された第1熱媒体を蒸発させる蒸発器として機能する。第1流通部114と第1圧縮機112とが、流路118によって接続されている。流路118(第1復路)は、第1流通部114を流通して気化した第1熱媒体を、第1圧縮機112まで流通させる。
【0062】
第1圧縮機112(第1圧縮部)は、気体状態の第1熱媒体を圧縮する。第1圧縮機112により第1熱媒体が圧縮されて、第1熱媒体の温度が上昇する。第1圧縮機112と第1凝縮器113とが、流路116によって接続されている。
【0063】
第1凝縮器113(第1凝縮部)は、第1圧縮機112により圧縮された気体状態の第1熱媒体を凝縮させて、上記第1膨張部111へ供給する。このとき、第1ファン115は、第1凝縮器113を流通する第1熱媒体を空冷する。第1凝縮器113と上記第1膨張部111とが、流路119によって接続されている。
【0064】
第2循環回路120は、第2膨張部121、第2圧縮機122、第2凝縮器123、第2ファン125、第2流通部124等を備えている。
【0065】
第2膨張部121は、液体状態の第2熱媒体を膨張させて霧化させる膨張弁又はキャピラリである。第2膨張部121と第2流通部124とが、流路127によって接続されている。流路127(第2往路)は、第2膨張部121により霧化された上記第1温度よりも高い第2温度の第2熱媒体を、第2流通部124まで流通させる。
【0066】
第2流通部124は、熱交換器132の内部に設けられており、第2熱媒体が流通する。第2流通部124は、霧化された第2熱媒体を蒸発させる蒸発器として機能する。第2流通部124と第2圧縮機122とが、流路128によって接続されている。流路128(第2復路)は、第2流通部124を流通して気化した第2熱媒体を、第2圧縮機122まで流通させる。
【0067】
第2圧縮機122(第2圧縮部)は、気体状態の第2熱媒体を圧縮する。第2圧縮機122により第2熱媒体が圧縮されて、第2熱媒体の温度が上昇する。第2圧縮機122と第2凝縮器123とが、流路126によって接続されている。
【0068】
第2凝縮器123(第2凝縮部)は、第2圧縮機122により圧縮された気体状態の第2熱媒体を凝縮させて、上記第2膨張部121へ供給する。このとき、第2ファン125は、第2凝縮器123を流通する第2熱媒体を空冷する。なお、第2ファン125による第2熱媒体の冷却度合を、第1ファン115による第1熱媒体の冷却度合よりも小さくしてもよい。第2凝縮器123と上記第2膨張部121とが、流路129によって接続されている。
【0069】
第3循環回路130は、第3流通部133、第4流通部134、第3分配弁135、第1逆止弁136、第2逆止弁137、ポンプ32等を備えている。
【0070】
第3流通部133は、熱交換器131の内部に設けられており、第3熱媒体が流通する。第3流通部133は、第1流通部114と一体化されており、第1流通部114と熱交換する。
【0071】
第3流通部133には、流路133aが接続されている。流路133aには、第1逆止弁136が設けられている。第1逆止弁136は、第3流通部133から合流点P1への第3熱媒体の流通を許容し、合流点P1から第3流通部133への第3熱媒体の流通を禁止する。
【0072】
第4流通部134には、流路134aが接続されている。流路134aには、第2逆止弁137が設けられている。第2逆止弁137は、第4流通部134から合流点P1への第3熱媒体の流通を許容し、合流点P1から第4流通部134への第3熱媒体の流通を禁止する。流路133a及び流路134aは、合流点P1において流路135aに接続されている。
【0073】
半導体製造装置90は、上部電極91及び下部電極92を備え、上部電極91と下部電極92との間にプラズマPを発生させる。下部電極92の上には、ウエハー等のワークWが載置される。温度センサ94は、下部電極92の温度を検出する。下部電極92は、熱交換器93と一体化されている。熱交換器93と下部電極92とで熱交換する。
【0074】
流路135aは、熱交換器93の流入ポートに接続されている。熱交換器93(熱交換部)は、第3熱媒体が流通する。熱交換器93の流出ポートには、流路135bが接続されている。流路135bには、ポンプ32が設けられている。流路135bは、第3分配弁135のコモンポートに接続されている。ポンプ32は、流路135bにおいて、熱交換器93側から第3熱媒体を吸入し、第3分配弁135側(第3流通部133側、第4流通部134側)へ吐出する。
【0075】
第3分配弁135(調整部)は、コモンポート、Aポート、及びBポートを備える3方弁である。Bポートには、流路135cが接続されている。Aポートには、流路135dが接続されている。流路135cは、熱交換器131の第3流通部133に接続されている。流路135dは、熱交換器132の第4流通部134に接続されている。
【0076】
第3分配弁135は、流路135bから、流路135cへ流れる第3熱媒体の流量と、流路135dへ流れる第3熱媒体の流量との比を、連続的に変更する。すなわち、第3分配弁135は、熱交換器93から第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第4流通部134まで流通する第3熱媒体との比率を変更する。第3分配弁135は、流路135bから流路135cへ第3熱媒体が100%流れる状態と、流路135bから流路135dへ第3熱媒体が100%流れる状態との間で連続的に状態を変更する。第3分配弁135では、ポンプ32から供給された第3熱媒体を、熱交換器131の第3流通部133と熱交換器132の第4流通部134とに分配する比率にかかわらず、第3熱媒体の圧力損失が一定である。
【0077】
第3分配弁135の分配比率にかかわらず、ポンプ32の負荷が変化しないため、ポンプ32は一定の駆動状態で駆動される。これにより、ポンプ32は、第3循環回路130に第3熱媒体を循環させる。第3循環回路130は、第3熱媒体を貯留するタンクを備えていない。なお、流路133a、流路134a、及び流路135aによって、第3往路が構成されている。流路135b、流路135c、及び流路135dによって、第3復路が構成されている。
【0078】
制御部80は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータである。制御部80は、温度センサ94の検出結果を入力する。制御部80は、下部電極92の温度を設定温度に制御する。設定温度(目標温度)は、半導体製造装置90での工程に応じて、90℃、0℃、-20℃等に変更される。プラズマPから下部電極92へ熱が流入するため、プラズマPの発生時には下部電極92の温度は120℃程度まで上昇することがある。これに伴って、熱交換器93から流出する第3熱媒体の温度も120℃近くまで上昇することがある。
【0079】
制御部80(駆動制御部)は、第1圧縮機112及び第2圧縮機122の駆動状態を制御する。制御部80は、第1圧縮機112による第1熱媒体の圧縮度合が、第2圧縮機122による第2熱媒体の圧縮度合よりも大きくなるように制御する。制御部80は、下部電極92の設定温度及び温度センサ94の検出結果に基づいて、第3分配弁135の分配比率を制御する。これにより、第3流通部133に流通する第3熱媒体の流量、ひいては第1流通部114と第3流通部133とで交換する熱量が調整される。また、第4流通部134に流通する第3熱媒体の流量、ひいては第2流通部124と第4流通部134とで交換する熱量が調整される。
【0080】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第1実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0081】
・第3循環回路30は、第1循環回路110及び第2循環回路120から独立しており、第1熱媒体及び第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が広い第3熱媒体が循環する。このため、第3熱媒体が高価であったとしても、第3循環回路30にのみ第3熱媒体を循環させて、第3熱媒体の使用量を減少させることができる。しかも、第3循環回路30は、第3熱媒体を貯留するタンクを備えていない。このため、第3循環回路30を循環する第3熱媒体の量を、さらに減少させることができる。
【0082】
・第1循環回路110及び第2循環回路120では、第3熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が狭い第1熱媒体及び第2熱媒体をそれぞれ使用しているため、第1熱媒体及び第2熱媒体として安価な熱媒体を使用することができる。
【0083】
・第1循環回路110は、液体状態の第1熱媒体を膨張させ霧化させる第1膨張部111と、第1熱媒体が流通する第1流通部114と、第1膨張部111により霧化された第1温度の第1熱媒体を、第1流通部114まで流通させる流路117と、を備えている。このため、膨張させられて霧化された第1温度の第1熱媒体を、流路117を介して第1流通部114まで流通させることができる。そして、第1流通部114を蒸発器として機能させて、第1流通部114で第1熱媒体を蒸発させることにより、第1流通部114に熱エネルギを供給する(詳しくは第1流通部114を冷却する)ことができる。第2循環回路120も同様の作用効果を奏することができる。
【0084】
・第1循環回路110は、気体状態の第1熱媒体を圧縮する第1圧縮機112と、第1流通部114を流通して気化した第1熱媒体を、第1圧縮機112まで流通させる流路118と、第1圧縮機112により圧縮された気体状態の第1熱媒体を凝縮させて第1膨張部111へ供給する第1凝縮器113と、を備えている。このため、第1流通部114を流通して気化した第1熱媒体を凝縮させて、液体状態の第1熱媒体を第1膨張部111へ供給することができる。第2循環回路120も同様の作用効果を奏することができる。
【0085】
・第3循環回路130は、第3熱媒体が流通し、第1流通部114と熱交換する第3流通部133と、第3熱媒体が流通し、第2流通部124と熱交換する第4流通部134と、を備えている。このため、第1流通部114まで供給された熱エネルギを、第1流通部114と第3流通部133との熱交換を通じて第3流通部133に供給することができる。同様に、第2流通部124まで供給された熱エネルギを、第2流通部124と第4流通部134との熱交換を通じて第4流通部134に供給することができる。
【0086】
図8に示すように、第2チラー21が第2熱媒体の温度を第2温度に調整して供給する必要がある場合は、一般に第2チラー21は第2循環回路120と同等の構成を有するユニットを内部に備える。そして、そのユニットで用いる熱媒体と第2熱媒体とで熱交換して、第2熱媒体の温度を第2温度に調整する。その場合、第2循環回路20では、霧化、圧縮、及び凝縮が行われる熱媒体と第2熱媒体とで熱交換する構成と、第2流通部124の第2熱媒体と第4流通部134の第3熱媒体とで熱交換する構成とが必要になる。これに対して、第2循環回路120では、霧化、圧縮、及び凝縮が行われる熱媒体と第2流通部124まで流通させる熱媒体とが共通の第2熱媒体であり、霧化、圧縮、及び凝縮が行われる熱媒体と第2熱媒体とで熱交換する構成が必要ない。このため、第2循環回路20と比較して、第2循環回路120の構成を簡潔にすることができる。さらに、第2流通部124と第4流通部134とが熱交換する際には、第2熱媒体の潜熱を利用することができるため、熱交換の効率を向上させることができる。第1循環回路110も同様の作用効果を奏することができる。
【0087】
・第3循環回路130は、第3流通部133及び第4流通部134から、下部電極92と熱交換する熱交換器93まで第3熱媒体を流通させる流路133a,134a,135aと、熱交換器93から第3流通部133及び第4流通部134まで第3熱媒体を流通させる流路135b,135c,135dと、を備えている。このため、第3熱媒体を介して、下部電極92と熱交換する熱交換器93まで熱エネルギを供給することができる。
【0088】
・第1圧縮機112の駆動状態が制御部80により制御される。このため、第1圧縮機112により気体状態の第1熱媒体を圧縮する度合、ひいては第1流通部114に供給する熱エネルギの量を制御することができる。したがって、第1流通部114へ流通させる第1熱媒体の流量を制御しなくても、第1流通部114と第3流通部133とで交換する熱量を調整することができ、下部電極92の温度を制御することができる。同様に、第2圧縮機122の駆動状態が制御部80により制御されるため、第2流通部124と第4流通部134とで交換する熱量を調整することができ、下部電極92の温度を制御することができる。
【0089】
・第3循環回路130には、熱交換器93から第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第4流通部134まで流通する第3熱媒体との比率を変更する第3分配弁135が設けられている。このため、第3流通部133が第1流通部114から受け取る熱エネルギと、第4流通部134が第2流通部124から受け取る熱エネルギとの比率を、第3分配弁135により変更することができる。さらに、例えば熱交換器93から第4流通部134にのみ第3熱媒体を流通させることにより、第3流通部133に第3熱媒体が流通することによる第1流通部114と第3流通部133との熱交換を抑制することができる。なお、第3流通部133に第3熱媒体が流通する場合は、第1流通部114に第1熱媒体が流通していなくても、第1流通部114に残留する熱エネルギが第3流通部133に供給されるおそれがある。この点、上記構成によれば、下部電極92の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0090】
・第3分配弁135では、熱交換器93から第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第4流通部134まで流通する第3熱媒体との比率にかかわらず、第3熱媒体の圧力損失が一定である。このため、ポンプ32により第3循環回路130に第3熱媒体を循環させる場合に、ポンプ32の駆動状態を制御する必要がなく、一定の駆動状態でポンプ32を駆動することができる。
【0091】
なお、第1実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0092】
・第3分配弁135において、熱交換器93から第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第4流通部134まで流通する第3熱媒体との比率に応じて、第3熱媒体の圧力損失が変動してもよい。その場合、ポンプ32の駆動状態を適宜変更すればよい。
【0093】
・制御部80は、第1圧縮機112の駆動状態をオン又はオフに切り替え、第1圧縮機112をオンにする時間を制御することもできる。
【0094】
図2に示すように、第1循環回路110は、第1圧縮機112をバイパスして流路118から第1凝縮器113へ気化した第1熱媒体を流通させるバイパス流路118aと、バイパス流路118aを開閉する開閉弁118bとを含んでいてもよい。そして、制御部80は、開閉弁118bが開かれた場合に、第1圧縮機112を停止させてもよい。第2循環回路120も、同様にバイパス流路128aと開閉弁128bとを含んでいてもよい。そして、制御部80は、開閉弁128bが開かれた場合に、第2圧縮機122を停止させてもよい。
【0095】
上記構成によれば、開閉弁118bを閉じることにより、気化した第1熱媒体を、バイパス流路118aへ流通させず、流路118により第1圧縮機112へ流通させることができる。一方、開閉弁118bを開くことにより、バイパス流路118aによって第1圧縮機112をバイパスして、流路118から第1凝縮器113へ気化した第1熱媒体を流通させることができる。そして、制御部80は、開閉弁118bが開かれた場合に、第1圧縮機112を停止させる。このため、第1流通部114へ供給する必要のある熱エネルギが少ない場合に、第1圧縮機112を停止させて温度制御システム200の消費エネルギを減少させることができる。第2循環回路120も同様の作用効果を奏することができる。なお、開閉弁118b(128b)に代えて、第1熱媒体(第2熱媒体)の流通を、第1圧縮機112(第2圧縮機122)と第1凝縮器113(第2凝縮器123)とに切り替える切替弁を設けることもできる。
【0096】
・第1ファン115及び第2ファン125に代えて、それぞれ第1凝縮器113及び第2凝縮器123を冷却水により水冷する構成を備えることもできる。
【0097】
(第2実施形態)
図3に示すように、本実施形態の温度制御システム300は、第1実施形態の温度制御システム200に、第1蓄熱ユニット16(第1蓄熱部)及び第2蓄熱ユニット26(第2蓄熱部)を追加している。
【0098】
第1循環回路210は、上記第1熱媒体が循環する回路である。第2循環回路220は、第1循環回路210から独立しており、上記第2熱媒体が循環する回路である。第3循環回路230は、第1循環回路210及び第2循環回路220から独立しており、上記第3熱媒体が循環する回路である。
【0099】
第1循環回路210は、第1膨張部111、第1流通部114、第1圧縮機112、第1凝縮器113、第1ファン115、第1蓄熱流通部16b等を備えている。
【0100】
第1流通部114と第1蓄熱流通部16bとが、流路218によって接続されている。第1蓄熱流通部16bと第1圧縮機112とが、流路219によって接続されている。なお、流路117及び流路218によって、第1往路が構成されている。流路219によって、第1復路が構成されている。
【0101】
第3分配弁135のBポートと第1放熱流通部16cとが、流路235によって接続されている。第1放熱流通部16cと第3流通部133とが、流路236によって接続されている。第1放熱流通部16cは、第1蓄熱ユニット16の内部に設けられており、第3熱媒体が流通する。なお、流路235及び流路236によって、第1仲介復路が構成されている。
【0102】
第1蓄熱流通部16bに-10℃よりも低い温度の第1熱媒体が流通することにより、第1蓄熱材16aが-10℃(第3温度)で固体に変化して潜熱を熱エネルギとして蓄える。そして、第1放熱流通部16cに-10℃よりも高い温度の第3熱媒体が流通することにより、第1蓄熱材16aに蓄えられた潜熱(熱エネルギ)が第3熱媒体の冷却に用いられる。
【0103】
第2循環回路220は、第2膨張部121、第2流通部124、第2圧縮機122、第2凝縮器123、第2ファン125、第2蓄熱流通部26b等を備えている。
【0104】
第2流通部124と第2蓄熱流通部26bとが、流路228によって接続されている。第2蓄熱流通部26bと第2圧縮機122とが、流路229によって接続されている。なお、流路127及び流路228によって、第2往路が構成されている。流路229によって、第2復路が構成されている。
【0105】
第3分配弁135のAポートと第2放熱流通部26cとが、流路237によって接続されている。第2放熱流通部26cと第4流通部134とが、流路238によって接続されている。第2放熱流通部26cは、第2蓄熱ユニット26の内部に設けられており、第3熱媒体が流通する。なお、流路237及び流路238によって、第2仲介復路が構成されている。流路135b,235,236,237,238によって、第3復路が構成されている。
【0106】
第2蓄熱流通部26bに100℃よりも低い温度の第2熱媒体が流通することにより、第2蓄熱材26aが100℃(第4温度)で固体に変化して潜熱を熱エネルギとして蓄える。そして、第2放熱流通部26cに100℃よりも高い温度の第3熱媒体が流通することにより、第2蓄熱材26aに蓄えられた潜熱(熱エネルギ)が第3熱媒体の冷却に用いられる。
【0107】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第2実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0108】
・第1蓄熱ユニット16は、第1熱媒体が流通し、-10℃において第1蓄熱材16aの状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える。このため、下部電極92の温度を変化させる時等に備えて、第1蓄熱ユニット16に熱エネルギを蓄えておくことができる。また、第2循環回路220では、第1循環回路210と同様の構成により、同様の作用効果を奏することができる。
【0109】
・第3流通部133が第1流通部114から熱エネルギを受け取る際と、第4流通部134が第2流通部124から熱エネルギを受け取る際に、それぞれ第1蓄熱ユニット16及び第2蓄熱ユニット26に蓄えておいた熱エネルギも使用することができる。このため、第3流通部133及び第4流通部134に供給する熱エネルギを増加させることができ、第3熱媒体の温度を速やかに変化させることができる。したがって、下部電極92の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0110】
・第3循環回路230は、熱交換器93から第1蓄熱ユニット16を介して第3流通部133まで第3熱媒体を流通させる流路235,236を含んでいる。このため、熱交換器93から第3流通部133まで第3熱媒体を流通させる場合に、第1蓄熱ユニット16から第3熱媒体へ熱エネルギを直接供給することができる。同様に、熱交換器93から第4流通部134まで第3熱媒体を流通させる場合に、第2蓄熱ユニット26から第3熱媒体へ熱エネルギを直接供給することができる。したがって、下部電極92の温度を制御する応答性をさらに向上させることができる。
【0111】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、第2実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1,第2実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0112】
図4に示すように、本実施形態の温度制御システム400は、第2実施形態の温度制御システム300に、第1分配弁12及び第2分配弁22を追加している。また、温度制御システム400は、第2流通部124を冷却する第2循環回路120に代えて、第2流通部124を加熱する第2循環回路320を備えている。
【0113】
第1循環回路310は、上記第1熱媒体が循環する回路である。第2循環回路320は、第1循環回路310から独立しており、上記第2熱媒体が循環する回路である。第3循環回路230は、第1循環回路310及び第2循環回路320から独立しており、上記第3熱媒体が循環する回路である。
【0114】
第1圧縮機112と第1凝縮器313とが、流路116によって接続されている。第1凝縮器313の流入ポートには、水路315aが接続されている。水路315aから第1凝縮器313へ、第1水温(例えば30℃)の冷却水が供給される。第1凝縮器313の流出ポートには、水路315bが接続されている。水路315bには、制水弁315cが設けられている。制水弁315cは、水路315bを流れる冷却水の流量を制御する。
【0115】
第1凝縮器313(第1凝縮部)は、第1圧縮機112により圧縮された気体状態の第1熱媒体を凝縮させて、上記第1膨張部111へ供給する。このとき、第1凝縮器113を流通する第1熱媒体が水冷される。第1凝縮器313と上記第1膨張部111とが、上記流路119によって接続されている。
【0116】
第1圧縮機112は、気体状態の第1熱媒体を圧縮するため、液体状態の第1熱媒体を圧縮すると破損するおそれがある。第1流通部114と第3流通部133とで交換する熱量が少ない場合は、第1流通部114を流通した第1熱媒体が充分に蒸発せず、液体状態の第1熱媒体が第1圧縮機112へ供給されるおそれがある。また、第1蓄熱流通部16bと第1蓄熱材16aとで交換する熱量が少ない場合は、第1蓄熱流通部16bを流通した第1熱媒体が充分に蒸発せず、液体状態の第1熱媒体が第1圧縮機112へ供給されるおそれがある。
【0117】
そこで、第1循環回路310は、第1圧縮機112と第1凝縮器313との間、詳しくは流路116を流路17aに接続して、第1圧縮機112により圧縮された気体状態の第1熱媒体を流路17aに流通させる接続流路316と、接続流路316を開閉する開閉弁314とを含んでいる。
【0118】
流路17aは、第1分配弁12のコモンポート(COM)に接続されている。第1分配弁12(調整部)は、コモンポート、Aポート、及びBポートを備える3方弁である。Aポートには、流路17bが接続されている。Bポートには、流路17dが接続されている。
【0119】
第1分配弁12は、流路17aから、流路17bへ流れる第1熱媒体の流量と、流路17dへ流れる第1熱媒体の流量との比を、連続的に変更する。第1分配弁12は、流路17aから流路17bへ第1熱媒体が100%流れる状態と、流路17aから流路17dへ第1熱媒体が100%流れる状態との間で連続的に状態を変更する。すなわち、第1分配弁12は、第1膨張部111から流路17aを介して供給された第1熱媒体を、第1流通部114と第1蓄熱ユニット16の第1蓄熱流通部16bとに分配する比率を変更する。
第1分配弁12では、第1膨張部111から供給された第1熱媒体を、第1流通部114と第1蓄熱ユニット16の第1蓄熱流通部16bとに分配する比率にかかわらず、第1熱媒体の圧力損失が一定である。
【0120】
第1蓄熱流通部16bと第1圧縮機112とが、流路319によって接続されている。第1流通部114と流路319とが、流路318によって接続されている。なお、流路17a,17b,17dによって第1往路が構成されている。流路318,319によって、第1復路が構成されている。
【0121】
第2膨張部121と蒸発器324とが、流路127によって接続されている。蒸発器324の流入ポートには、水路325aが接続されている。水路325aから蒸発器324へ、上記第1水温よりも高い第2水温(例えば60℃)の冷却水が供給される。蒸発器324の流出ポートには、水路325bが接続されている。
【0122】
蒸発器324(蒸発部)は、第2膨張部121により膨張させられて霧化された第2熱媒体を蒸発させて、上記第2圧縮機122へ供給する。このとき、蒸発器324を流通する第2熱媒体が、第2水温の冷却水により加熱される。蒸発器324と上記第2圧縮機122とが、流路128によって接続されている。
【0123】
第2圧縮機122は、気体状態の第2熱媒体を圧縮するため、液体状態の第2熱媒体を圧縮すると破損するおそれがある。蒸発器324で第2熱媒体が充分に蒸発しなかった場合は、液体状態の第2熱媒体が第2圧縮機122へ供給されるおそれがある。
【0124】
そこで、第2循環回路320は、第2圧縮機122と第2分配弁22との間、詳しくは流路27aを流路127に接続して、第2圧縮機122により圧縮された気体状態の第2熱媒体を流路127に流通させる接続流路326と、接続流路326を開閉する開閉弁322とを含んでいる。
【0125】
流路27aは、第2分配弁22のコモンポート(COM)に接続されている。第2分配弁22(調整部)は、コモンポート、Aポート、及びBポートを備える3方弁である。Aポートには、流路27bが接続されている。Bポートには、流路27dが接続されている。
【0126】
第2分配弁22は、流路27aから、流路27bへ流れる第2熱媒体の流量と、流路27dへ流れる第2熱媒体の流量との比を、連続的に変更する。第2分配弁22は、流路27aから流路27bへ第2熱媒体が100%流れる状態と、流路27aから流路27dへ第2熱媒体が100%流れる状態との間で連続的に状態を変更する。すなわち、第2分配弁22は、第2圧縮機122から流路27aを介して供給された第2熱媒体を、第2流通部124と第2蓄熱ユニット26の第2蓄熱流通部26bとに分配する比率を変更する。
第2分配弁22では、第2圧縮機122から供給された第2熱媒体を、第2流通部124と第2蓄熱ユニット26の第2蓄熱流通部26bとに分配する比率にかかわらず、第2熱媒体の圧力損失が一定である。
【0127】
第2蓄熱流通部26bと第2膨張部121とが、流路329によって接続されている。第2流通部124と流路329とが、流路328によって接続されている。なお、流路27a,27b,27dによって第2往路が構成されている。流路328,329によって、第2復路が構成されている。
【0128】
制御部80は、第1膨張部111により霧化された第1熱媒体を第1分配弁12により第1流通部114に流通させる場合に、第2圧縮機122から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2蓄熱ユニット26に流通させる。一方、制御部80は、第2圧縮機122により圧縮された第2熱媒体を第2分配弁22により第2流通部124に流通させる場合に、第1膨張部111から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1蓄熱ユニット16に流通させる。また、熱交換器93から第3流通部133まで第3分配弁135により第3熱媒体を流通させない場合に、第1膨張部111から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1蓄熱ユニット16に流通させる。一方、制御部80は、熱交換器93から第4流通部134まで第3分配弁135により第3熱媒体を流通させない場合に、第2圧縮機122から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2蓄熱ユニット26に流通させる。
【0129】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第1,第2実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0130】
・第1循環回路310には、第1膨張部111により霧化された第1熱媒体を、第1流通部114と第1蓄熱ユニット16とに分配する比率を変更する第1分配弁12が設けられている。このため、第1膨張部111から、第1流通部114に供給する熱エネルギと、第1蓄熱ユニット16に供給する熱エネルギとの比率を、第1分配弁12により変更することができる。したがって、第1流通部114と第3流通部133との熱交換に使用する熱エネルギと、第1蓄熱ユニット16に蓄える熱エネルギとの比率を変更することができる。同様に、第2流通部124と第4流通部134との熱交換に使用する熱エネルギと、第2蓄熱ユニット26に蓄える熱エネルギとの比率を変更することができる。
【0131】
・温度制御システム400は、第1分配弁12及び第2分配弁22を制御する制御部80を備えている。そして、制御部80は、第1膨張部111により霧化された第1熱媒体を第1分配弁12により第1流通部114に流通させる場合に、第2圧縮機122から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2蓄熱ユニット26に流通させる。このため、第1膨張部111により霧化された第1熱媒体を第1流通部114に流通させる場合、すなわち第2流通部124と第4流通部134とで熱交換を行う必要が小さい場合に、第2蓄熱ユニット26に熱エネルギを蓄えることができる。一方、第2圧縮機122から供給された第2熱媒体を第2流通部124に流通させる場合、すなわち第1流通部114と第3流通部133とで熱交換を行う必要が小さい場合に、第1蓄熱ユニット16に熱エネルギを蓄えることができる。
【0132】
・温度制御システム400は、第1分配弁12、第2分配弁22、及び第3分配弁135を制御する制御部80を備えている。そして、制御部80は、熱交換器93から第3流通部133まで第3分配弁135により第3熱媒体を流通させない場合に、第1膨張部111から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1蓄熱ユニット16に流通させる。このため、熱交換器93から第3流通部133まで第3熱媒体を流通させない場合、すなわち第1流通部114と第3流通部133とで熱交換を行う必要がない場合に、第1蓄熱ユニット16に熱エネルギを蓄えることができる。一方、熱交換器93から第4流通部134まで第3熱媒体を流通させない場合、すなわち第2流通部124と第4流通部134とで熱交換を行う必要がない場合に、第2蓄熱ユニット26に熱エネルギを蓄えることができる。
【0133】
・第1循環回路310は、第1圧縮機112と第1凝縮器313との間を流路17aに接続して、第1圧縮機112により圧縮された気体状態の第1熱媒体を流路17aに流通させる接続流路316と、接続流路316を開閉する開閉弁314とを含む。こうした構成によれば、開閉弁314を開くことにより、第1圧縮機112により圧縮されて温度が上昇した気体状態の第1熱媒体を、接続流路316によって流路17aに流通させることができる。このため、第1流通部114と第3流通部133とで交換する熱量が少ない場合であっても、第1流通部114を流通した第1熱媒体を充分に蒸発させることができ、液体状態の第1熱媒体が第1圧縮機112へ供給されることを抑制することができる。
【0134】
・第2循環回路320は、第2膨張部121と蒸発器324との間を流路27aに接続して、第2圧縮機122により圧縮された気体状態の第2熱媒体を流路127に流通させる接続流路326と、接続流路326を開閉する開閉弁322とを含む。こうした構成によれば、開閉弁322を開くことにより、第2圧縮機122により圧縮されて温度が上昇した気体状態の第2熱媒体を、接続流路326によって流路127に流通させることができる。このため、蒸発器324を流通した第2熱媒体を充分に蒸発させることができ、液体状態の第2熱媒体が第2圧縮機122へ供給されることを抑制することができる。
【0135】
・第2圧縮機122は、気体状態の第2熱媒体を圧縮して流路27aへ供給する第2圧縮機122を備えている。このため、気体状態の第2熱媒体を、流路27a,27bを介して第2流通部124まで流通させることができる。そして、第2流通部124を凝縮器として機能させて、第2流通部124で第2熱媒体を凝縮させることにより、第2流通部124に熱エネルギを供給する(詳しくは第2流通部124を加熱する)ことができる。
【0136】
・第2循環回路320は、第2流通部124を流通して液化した第2熱媒体が流路329を介して供給され、液体状態の第2熱媒体を膨張させ霧化させる第2膨張部121と、第2膨張部121により霧化された第2熱媒体を蒸発させて第2圧縮機122へ供給する蒸発器324と、を備えている。このため、第2流通部124を流通して液化した第2熱媒体を蒸発させて、気体状態の第2熱媒体を第2圧縮機122へ供給することができる。
【0137】
・第1凝縮器313は、第1水温の冷却水と第1熱媒体とで熱交換させて第1熱媒体を凝縮させ、蒸発器324は、第1水温よりも高い第2水温の冷却水と第2熱媒体とで熱交換させて第2熱媒体を蒸発させる。こうした構成によれば、複数の温度の冷却水を利用可能な場合に、第1水温の冷却水を第1凝縮器313に利用し、第1水温よりも高い第2水温の冷却水を蒸発器324に利用することができる。したがって、複数の温度の冷却水を有効に利用することにより、温度制御システム400の消費エネルギを減少させることができる。
【0138】
なお、第3実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。第3実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0139】
・制御部80は、熱交換器93から第3流通部133まで第3分配弁135により第3熱媒体を流通させている場合に、第1膨張部111から供給された第1熱媒体を第1分配弁12により第1蓄熱ユニット16に流通させてもよい。制御部80は、熱交換器93から第4流通部134まで第3分配弁135により第3熱媒体を流通させている場合に、第2圧縮機122から供給された第2熱媒体を第2分配弁22により第2蓄熱ユニット26に流通させてもよい。
【0140】
図5に示すように、第2水温の冷却水は、第1水温の冷却水が所定部材95の冷却に使用されることで加熱された冷却水であってもよい。所定部材95は、例えば半導体製造装置90と共に工場内に設けられた加熱炉等の部材であってもよいし、半導体製造装置90のチャンバを冷却する部材等であってもよい。上記水路315aと所定部材95とが、水路317によって接続されている。所定部材95と蒸発器324とが水路327aによって接続されている。蒸発器324の流出ポートには、水路327bが接続されている。
【0141】
上記構成によれば、所定部材95の冷却に使用されることで第1水温から第2水温まで上昇した冷却水を、第2水温の冷却水として有効に利用することができる。このため、工場等において第1水温の冷却水のみが供給されている場合であっても、第2水温の冷却水を温度制御システム400に供給することができる。
【0142】
図6に示すように、温度制御システム400は、第1凝縮器313に供給される冷却水を、蒸発器324を流通した冷却水により冷却するプレクーラ311と、蒸発器324に供給される冷却水を、第1凝縮器313を流通した冷却水により加熱するプレヒータ321と、を備えることもできる。具体的には、第1凝縮器313とプレクーラ311とが、水路315aによって接続されている。プレクーラ311と水路315とが、水路315dによって接続されている。水路315とプレヒータ321とが、水路315eによって接続されている。制水弁315cとプレヒータ321とが、水路315bによって接続されている。プレヒータ321と水路325とが水路325cによって接続されている。プレクーラ311と水路325とが、水路325dによって接続されている。そして、水路315から第1温度(例えば30℃)の冷却水が供給され、循環後の冷却水が水路325から排出される。
【0143】
上記構成によれば、第1凝縮器313は、冷却水と第1熱媒体とで熱交換させて第1熱媒体を凝縮させるため、第1凝縮器313では温度の低い冷却水が要求され、第1凝縮器313を流通する前後で冷却水の温度が上昇する(例えば35℃になる)。蒸発器324は、冷却水と第2熱媒体とで熱交換させて第2熱媒体を蒸発させるため、蒸発器324では温度の高い冷却水が要求され、蒸発器324を流通する前後で冷却水の温度が下降する(例えば25℃になる)。
【0144】
ここで、温度制御システム400は、第1凝縮器313に供給される冷却水を、蒸発器324を流通した冷却水により冷却するプレクーラ311を備えている。このため、蒸発器324を流通して温度が下降した冷却水を、第1凝縮器313に供給される冷却水を冷却するために有効利用することができる。また、温度制御システム400は、蒸発器324に供給される冷却水を、第1凝縮器313を流通した冷却水により加熱するプレヒータ321を備えている。このため、第1凝縮器313を流通して温度が上昇した冷却水を、蒸発器324に供給される冷却水を加熱するために有効利用することができる。したがって、温度制御システム400の消費エネルギを減少させることができる。
【0145】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について、第3実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1~第3実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0146】
図7に示すように、本実施形態の温度制御システム500は、第3実施形態の温度制御システム400において、第3分配弁135を第4分配弁435に変更している。
【0147】
第4分配弁435(調整部)は、コモンポート、Hポート、Bポート、及びCポートを備える4方弁である。Cポートには、流路235が接続されている。流路235は、第1蓄熱ユニット16の第1放熱流通部16cに接続されている。Bポートには、流路239が接続されている。流路239は、合流点P1において流路135aに接続されている。流路239には、第3逆止弁138が設けられている。第3逆止弁138は、第4分配弁435から合流点P1への第3熱媒体の流通を許容し、合流点P1から第4分配弁435への第3熱媒体の流通を禁止する。Hポートには、流路237が接続されている。流路237は、第2蓄熱ユニット26の第2放熱流通部26cに接続されている。
【0148】
第4分配弁435は、流路135bから、流路235へ流れる第3熱媒体の流量と、流路239へ流れる第3熱媒体の流量と、流路237へ流れる第3熱媒体の流量との比を、連続的に変更する。すなわち、第4分配弁435は、熱交換器93から第1放熱流通部16c及び第3流通部133まで流通する第3熱媒体と、熱交換器93から第3流通部133及び第4流通部134を介さず熱交換器93まで戻る第3熱媒体と、熱交換器93から第2放熱流通部26c及び第4流通部134まで流通する第3熱媒体との比率を変更する。第4分配弁435は、流路135bから流路235へ第3熱媒体が100%流れる状態と、流路135bから流路235,239へ第3熱媒体が流れる状態と、流路135bから流路239へ第3熱媒体が100%流れる状態と、流路135bから流路239,237へ第3熱媒体が流れる状態と、流路135bから流路237へ第3熱媒体が100%流れる状態との間で連続的に状態を変更する。第4分配弁435では、ポンプ32から供給された第3熱媒体を、流路235と流路239と流路237とに分配する比率にかかわらず、第3熱媒体の圧力損失が一定である。
【0149】
第4分配弁435の分配比率にかかわらず、ポンプ32の負荷が変化しないため、ポンプ32は一定の駆動状態で駆動される。これにより、ポンプ32は、第3循環回路430に第3熱媒体を循環させる。第3循環回路430は、第3熱媒体を貯留するタンクを備えていない。なお、流路133a、流路134a、及び流路135aによって、第3往路が構成されている。流路135b、流路235、流路236、流路237、及び流路238によって、第3復路が構成されている。
【0150】
制御部80は、下部電極92の温度を設定温度に制御する。制御部80は、下部電極92の設定温度及び温度センサ94の検出結果に基づいて、第4分配弁435の分配比率を制御する。
【0151】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第3実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0152】
・第3流通部133が第1流通部114から受け取る熱エネルギと、熱交換器93に戻す熱エネルギと、第4流通部134が第2流通部124から受け取る熱エネルギとの比率を、第4分配弁435により変更することができる。さらに、熱交換器93から第3流通部133及び第4流通部134まで第3熱媒体を流通させず、熱交換器93から流出した第3熱媒体を熱交換器93にそのまま戻す状態を実現することができる。
【0153】
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1~第4実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0154】
図8に示すように、本実施形態の温度制御システム600は、第1実施形態の温度制御システム200における第2循環回路120を、第2循環回路20に変更している。
【0155】
第1循環回路110は、上記第1熱媒体が循環する回路である。第2循環回路20は、第1循環回路110から独立しており、第2熱媒体が循環する回路である。第2熱媒体は、例えばエチレングリコール60%、及び水40%からなる液体である。第3循環回路130は、第1循環回路110及び第2循環回路20から独立しており、上記第3熱媒体が循環する回路である。
【0156】
第2循環回路20は、第2チラー21、第2流通部124等を備えている。
【0157】
第2チラー21(第2調整装置)は、タンク21a、ポンプ21b等を備えている。第2チラー21は、第2熱媒体の温度を第1温度よりも高い90℃(第2温度)に調整する。タンク21a(第2タンク)は、90℃に調整された第2熱媒体を貯留する。ポンプ21bは、タンク21aに貯留された第2熱媒体を流路27へ吐出する。流路27は、第2流通部124に接続されている。第2流通部124は、熱交換器132の内部に設けられており、第2熱媒体が流通する。
【0158】
第2流通部124には、流路28が接続されている。流路28は、第2チラー21のタンク21aに接続されている。なお、流路27によって第2往路が構成されている。流路28によって第2復路が構成されている。
【0159】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第1実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0160】
・第2循環回路20は、第2チラー21を備えている。第2チラー21は、第1温度よりも高い第2温度の第2熱媒体を供給する。このため、熱交換に使用する第2温度の第2熱媒体を供給することができる。第2循環回路20は、第2熱媒体が流通する第2流通部124と、第2チラー21から供給された第2熱媒体を、第2流通部124まで流通させる流路27と、第2流通部124を流通した第2熱媒体を、第2チラー21まで流通させる流路28と、を備えている。このため、第2熱媒体を介して、第2流通部124まで熱エネルギを供給することができる。ここで、第3熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が狭い第2熱媒体を使用しているため、第2熱媒体として安価な熱媒体を使用することができる。
【0161】
なお、第2チラー21のタンク21aを省略することもできる。
【0162】
(第6実施形態)
以下、第6実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1~第5実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0163】
図9に示すように、本実施形態の温度制御システム700は、第1実施形態の温度制御システム200における第2循環回路120を、第2循環回路620に変更している。
【0164】
第1循環回路110は、上記第1熱媒体が循環する回路である。第2循環回路620は、第1循環回路110から独立しており、第2熱媒体が循環する回路である。第2熱媒体は、例えばエチレングリコール60%、及び水40%からなる液体である。第2熱媒体は、比較的安価である。第3循環回路130は、第1循環回路110及び第2循環回路620から独立しており、上記第3熱媒体が循環する回路である。
【0165】
第3熱媒体の使用可能な下限温度は、第2熱媒体の使用可能な下限温度よりも低い。第3熱媒体の使用可能な上限温度は、第2熱媒体の使用可能な上限温度よりも高い。すなわち、第3熱媒体の使用可能な温度は範囲は、第2熱媒体の使用可能な温度範囲よりも広い。このため、第3熱媒体は、第2熱媒体よりも高価である。
【0166】
第2循環回路620は、ヒータ621、第2流通部124等を備えている。
【0167】
ヒータ621(第2調整装置)は、発熱量を制御可能なヒータである。ヒータ621は、電熱線ヒータやセラミックヒータ等(図示略)と、第2熱媒体を流通させる流路621aとを備えており、流路621aを流通する第2熱媒体を加熱する。ヒータ621の加熱状態は、制御部80により制御される。
【0168】
ヒータ621の流路621aと第2流通部124とが、流路627によって接続されている。ポンプ622は、流路627を介して、ヒータ621の流路621aから第2流通部124へ第2熱媒体を吐出する。第2流通部124は、熱交換器132の内部に設けられており、第2熱媒体が流通する。第2流通部124と流路621aとが、流路628によって接続されている。なお、流路627によって第2往路が構成されている。流路628によって第2復路が構成されている。
【0169】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第1実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0170】
・第2循環回路620は、発熱量を制御可能なヒータ621を含むため、第2熱媒体の温度を第2温度に調整して供給することができる。この場合、第2循環回路620では、ヒータ621により加熱される熱媒体と第2流通部124まで流通させる熱媒体とを共通の第2熱媒体にすることができるため、圧縮、霧化、及び気化が行われる熱媒体と第2熱媒体とで熱交換する構成が必要ない。したがって、第2循環回路620の構成を簡潔にすることができる。ここで、第3熱媒体の使用可能な温度範囲よりも使用可能な温度範囲が狭い第2熱媒体を使用しているため、第2熱媒体として安価な熱媒体を使用することができる。
【0171】
(第7実施形態)
以下、第7実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1~第6実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0172】
図10に示すように、本実施形態の温度制御システム800は、第1実施形態の温度制御システム200の第2循環回路120に代えて、下部電極92を直接加熱するヒータ96を備えている。
【0173】
第1循環回路110は、上記第1熱媒体が循環する回路である。第3循環回路130は、第1循環回路110から独立しており、上記第3熱媒体が循環する回路である。
【0174】
ヒータ96は、発熱量を制御可能なヒータである。ヒータ96は、電熱線ヒータやセラミックヒータ等を備えており、下部電極92に一体化されている。ヒータ96の加熱状態は、制御部80(調整部)により制御される。
【0175】
第5分配弁35(調整部)は、コモンポート、Aポート、及びBポートを備える3方弁である。第3流通部133と第5分配弁35のコモンポートとが、流路36によって接続されている。第5分配弁35のAポートと熱交換器93の流入ポートとが、流路37によって接続されている。流路37には、流量計33が設けられている。流量計33は、流路37を流れる第3熱媒体の流量を計測する。
【0176】
熱交換器93の流出ポートと第3流通部133とが、流路39によって接続されている。第5分配弁35のBポートと流路39とが、流路38によって接続されている。流路39には、ポンプ32が設けられている。ポンプ32は、流路39において、熱交換器93側から第3熱媒体を吸入し、第3流通部133側へ吐出する。
【0177】
第5分配弁35は、流路36から、流路37へ流れる第3熱媒体の流量と、流路38へ流れる第3熱媒体の流量との比を、連続的に変更する。すなわち、第5分配弁35は、第3流通部133から熱交換器93まで流通する第3熱媒体と、第3流通部133から熱交換器93を流通させずに第3流通部133へ戻す第3熱媒体との比率を変更する。第5分配弁35は、第3流通部133から熱交換器93へ第3熱媒体が100%流れる状態と、第3流通部133から熱交換器93を流通させずに第3流通部133へ第3熱媒体を100%戻す状態との間で連続的に状態を変更する。第5分配弁35では、第3流通部133から供給された第3熱媒体を、熱交換器93へ分配する比率にかかわらず、第3熱媒体の圧力損失が一定である。
【0178】
第5分配弁35の分配比率にかかわらず、ポンプ32の負荷が変化しないため、ポンプ32は一定の駆動状態で駆動される。これにより、ポンプ32は、第3循環回路730に第3熱媒体を循環させる。第3循環回路730は、第3熱媒体を貯留するタンクを備えていない。なお、流路36及び流路37によって、第3往路が構成されている。流路39によって、第3復路が構成されている。
【0179】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第1実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0180】
・ヒータ96は、下部電極92を加熱し、発熱量を制御可能である。このため、熱媒体を用いずに、下部電極92を直接加熱することができ、構成を簡潔にすることができる。
【0181】
・温度制御システム800は、第1流通部114と第3流通部133とで交換する熱量を調整する第5分配弁35を備えている。このため、第5分配弁35により、第3流通部133に供給する熱エネルギを調整することができる。また、温度制御システム800は、ヒータ96の発熱量を調整する制御部80を備えている。このため、制御部80により、ヒータ96から下部電極92に直接供給する熱エネルギを調整することができる。したがって、下部電極92の温度を制御することができる。ここで、上記のように、第3循環回路730を循環する第3熱媒体の量を減少させることができる。したがって、第3熱媒体の温度を速やかに変化させることができ、下部電極92の温度を制御する応答性を向上させることができる。
【0182】
(第8実施形態)
以下、第8実施形態について、第5実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1~第7実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0183】
図11に示すように、本実施形態の統合温度制御システム900は、第5実施形態の温度制御システム600を3つ(複数)備えている。ただし、統合温度制御システム900は、3組の第1膨張部111、第1圧縮機112、第1凝縮器113、及び第1ファン115に代えて、大型の1組の第1膨張部811、第1圧縮機812、第1凝縮器813、及び第1ファン815を備えている。
【0184】
1組の第1膨張部811、第1圧縮機812、第1凝縮器813、及び第1ファン815は、1組の第1膨張部111、第1圧縮機112、第1凝縮器113、及び第1ファン115の10~100倍の冷却能力を有している。第1膨張部811は、霧化された第1熱媒体を流路817(第1往路)を介してコモン流路816へ吐出する。コモン流路816(第1往路)は、3つ(複数)の上記流路117に分岐している。各流路117は、各温度制御システム600の第1流通部114に接続されている。
【0185】
各温度制御システム600の流路118は、コモン流路814(第1復路)に接続されている。コモン流路814と第1圧縮機812とが、流路818(第1復路)によって接続されている。
【0186】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、ここでは、第5実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0187】
・霧化された第1温度の第1熱媒体を供給するための第1膨張部811、第1圧縮機812、及び第1凝縮器813を、複数の温度制御システム600において1組にまとめることができる。このため、複数の温度制御システム600を備える統合温度制御システム900の構成を簡潔にすることができる。なお、統合温度制御システム900は、数十~数百の温度制御システム600を備える場合があり、このような場合に上記効果は顕著となる。
【0188】
・温度制御システム600は、第1流通部114と第3流通部133とで交換する熱量を第3分配弁135により調整して、下部電極92の温度を制御する。このため、第1膨張部811は霧化された一定の第1温度の第1熱媒体を供給すればよく、下部電極92の目標温度の変化に応じて第1熱媒体の温度を変化させる必要がない。したがって、複数の温度制御システム600に対して1組の第1膨張部811、第1圧縮機812、及び第1凝縮器813が設けられた構成であっても、各温度制御システム600の下部電極92の温度を制御することができる。
【0189】
なお、3つ(複数)の制御部80に代えて、1つの統合制御部を設けることもできる。その場合、統合制御部は、各温度制御システム600の設定温度及び温度センサ94の検出結果に応じて、第1圧縮機812の駆動状態を制御することができる。
【0190】
また、第1凝縮器813と第1膨張部811との間に、第1熱媒体を貯留するタンクが設けられていてもよい。図2の第1循環回路110と同様に、第1圧縮機812をバイパスしてフリークーリングを実施することもできる。
【0191】
また、上記の各実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記の各実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0192】
・第2蓄熱ユニット26の第2蓄熱材26aが、90℃(第2温度)よりも低い80℃(第4温度)において固体と液体との間で状態変化するようにしてもよい。この場合、制御部80は、80℃よりも高い温度の第2熱媒体を第2分配弁22により第2蓄熱ユニット26に流通させることにより、第2蓄熱材26aを80℃で液体に変化させて、第2蓄熱ユニット26に潜熱(熱エネルギ)を蓄えることができる。そして、第2放熱流通部26cに80℃よりも低い温度の第2熱媒体(第3熱媒体)が流通する場合に、第2蓄熱材26aに蓄えられた熱エネルギを第2熱媒体(第3熱媒体)の加熱に用いることができる。
【0193】
・制御対象は、下部電極92に限らず、半導体製造装置90の上部電極91であってもよい。また、上記の各温度制御システムを適用する対象は、半導体製造装置90に限らず、他の製造装置や処理装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0194】
12…第1分配弁(調整部)、14…第1流通部、16…第1蓄熱ユニット(第1蓄熱部)、16a…第1蓄熱材、16b…第1蓄熱流通部、16c…第1放熱流通部、20…第2循環回路、21…第2チラー(第2調整装置)、21a…タンク(第2タンク)、22…第2分配弁(調整部)、24…第2流通部、26…第2蓄熱ユニット(第2蓄熱部)、26a…第2蓄熱材、26b…第2蓄熱流通部、26c…第2放熱流通部、35…第5分配弁(調整部)、80…制御部(制御部、調整部)、90…半導体製造装置、92…下部電極(制御対象)、93…熱交換器(熱交換部)、95…所定部材、96…ヒータ、110…第1循環回路、111…第1膨張部、112…第1圧縮機(第1膨張部)、113…第1凝縮器(第1凝縮部)、114…第1流通部、118a…バイパス流路、118b…開閉弁、120…第2循環回路、121…第2膨張部、122…第2圧縮機(第2圧縮部)、123…第2凝縮器(第2凝縮部)、124…第2流通部、128a…バイパス流路、128b…開閉弁、130…第3循環回路、131…熱交換器、132…熱交換器、133…第3流通部、134…第4流通部、135…第3分配弁(調整部)、200…温度制御システム、210…第1循環回路、220…第2循環回路、230…第3循環回路、300…温度制御システム、310…第1循環回路、311…プレクーラ、314…開閉弁、316…接続流路、320…第2循環回路、321…プレヒータ、322…開閉弁、324…蒸発器(蒸発部)、326…接続流路、400…温度制御システム、430…第3循環回路、435…第4分配弁(調整部)、500…温度制御システム、600…温度制御システム、621…ヒータ(第2調整装置)、700…温度制御システム、800…温度制御システム、811…第1膨張部、812…第1圧縮機(第1圧縮部)、813…第1凝縮器(第1凝縮部)、900…統合温度制御システム。
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