IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社堀場製作所の特許一覧

<>
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図1
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図2
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図3
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図4
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図5
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図6
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図7
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図8
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図9
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図10
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図11
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図12
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図13
  • 特許-ガス封入モジュール及びガス分析計 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】ガス封入モジュール及びガス分析計
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/37 20060101AFI20230518BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20230518BHJP
   G01N 21/61 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
G01N21/37
G01N21/01 B
G01N21/61
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019238701
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107775
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】伊東 俊哉
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-139701(JP,A)
【文献】特開2012-120774(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0284012(US,A1)
【文献】特開2004-144520(JP,A)
【文献】米国特許第5357113(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが封入された二つのガス室を備えるガス封入モジュールにおいて、
ブロック状の本体部と、
前記本体部を貫通した貫通孔と、
前記貫通孔の途中で前記貫通孔を塞いでおり、赤外光が通過する第1の透過窓と、
前記貫通孔の一端の周縁に接着された環状部材と、
前記環状部材の開口を塞いでおり、赤外光が通過する第2の透過窓とを備え、
前記二つのガス室の中の一方のガス室は、前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓に挟まれた空間であり、
前記本体部と前記環状部材とが互いに接着する部分の少なくとも一方には、前記貫通孔を囲繞する複数の環状溝が形成されていること
を特徴とするガス封入モジュール。
【請求項2】
前記第2の透過窓は、前記環状部材に接着されており、
前記環状部材の前記第2の透過窓が接着された部分は、前記環状部材の開口を囲繞する複数の環状溝が形成されていること
を特徴とする請求項1に記載のガス封入モジュール。
【請求項3】
前記貫通孔の他端の周縁に接着されて前記貫通孔を塞いでおり、赤外光が通過する第3の透過窓を更に備え、
前記二つのガス室の中の他方のガス室は、前記第1の透過窓及び前記第3の透過窓に挟まれた空間であり、
前記本体部の前記第3の透過窓が接着された部分は、前記貫通孔を囲繞する複数の環状溝が形成されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載のガス封入モジュール。
【請求項4】
前記複数の環状溝の夫々は、他の部分よりも深さが増大した増大部分を有し、
前記複数の環状溝に含まれる複数の前記増大部分は、全てを含む線状には並んでいないこと
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のガス封入モジュール。
【請求項5】
前記複数の環状溝の夫々は、レーザ光によって彫刻されていること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のガス封入モジュール。
【請求項6】
前記複数の環状溝は、同心状であり、内側の環状溝から外側の環状溝にかけて順番に形成されていること
を特徴とする請求項5に記載のガス封入モジュール。
【請求項7】
ガスが封入された二つのガス室を備えるガス封入モジュールにおいて、
ブロック状の本体部と、
前記本体部を貫通した貫通孔と、
前記貫通孔の途中で前記貫通孔を塞いでおり、赤外光が通過する第1の透過窓と、
前記貫通孔の一端の周縁に接着された環状部材と、
前記環状部材の開口を塞いでおり、赤外光が通過する第2の透過窓とを備え、
前記二つのガス室の中の一方のガス室は、前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓に挟まれた空間であり、
前記本体部と前記環状部材とが互いに接着する部分の少なくとも一方には、前記貫通孔の周囲に複数の溝が形成されており、
前記複数の溝は、レーザ光によって彫刻されていること
を特徴とするガス封入モジュール。
【請求項8】
分析対象のガスに含まれる特定のガス成分の濃度を分析するためのガス分析計において、
請求項1乃至7のいずれか一つに記載のガス封入モジュールと、
赤外光を発光する光源と、
前記分析対象のガスが通流されるセルとを備え、
前記ガス封入モジュールが有する二つのガス室は、前記特定のガス成分を含むガスが封入されており、
前記ガス封入モジュール及び前記セルは、前記セルに通流する前記分析対象のガスを前記光源からの赤外光が通過し、前記分析対象のガスを通過した赤外光が前記二つのガス室を順番に通過するように、配置されており、
前記ガス封入モジュールは、
前記二つのガス室に連通した連通路と、
前記連通路を通って前記二つのガス室の間に流れるガスの流量を測定するフローセンサとを有すること
を特徴とするガス分析計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローセンサを利用したガス分析計に備えられるガス封入モジュール、及びガス分析計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスの成分分析を行うために非分散赤外線吸収法が用いられている。ガスの成分分析を行うガス分析計の種類の一つに、フローセンサを利用したガス分析計がある。このガス分析計は、特定のガス成分を含んだガスが封入されたガス封入モジュールを備える。ガス封入モジュールは、ガスが封入され、赤外光が透過することができる二つのガス室を有しており、外部から赤外光が入射される。二つのガス室は、連通しており、外部からの赤外光が一方のガス室を通過し次に他方のガス室を通過するように配置される。また、ガス封入モジュールには、フローセンサが設けられている。
【0003】
ガス室に封入されたガスに含まれるガス成分は、赤外光の特定の波長成分を吸収する特性を有する。一方のガス室では、ガス成分が赤外光を吸収することによって、ガスの温度が上昇し、ガスは膨張する。他方のガス室では、ガス成分が吸収する波長成分が吸収された後の赤外光が通過するので、赤外光の吸収量は少なく、ガスの膨張は少ない。このため、一方のガス室から他方のガス室へガスが流れる。フローセンサは、ガスの流量を測定する。ガスの流量は、赤外光の吸収量に応じた値となる。
【0004】
ガス封入モジュールには、分析対象のガスを通過した後の赤外光が入射される。分析対象のガスが特定のガス成分を含んでいる場合は、ガス成分が吸収する波長成分がある程度吸収された後の赤外光がガス封入モジュールへ入射され、ガス封入モジュールでの赤外光の吸収量は変化する。分析対象のガスが特定のガス成分を含んでいない場合に比べて、フローセンサによる測定値は変化する。測定値の変化に応じて、分析対象のガスに含まれる特定のガス成分の濃度が得られる。このようなガス分析計の例は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-131230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガス封入モジュールの二つのガス室は、ガス封入モジュールの本体部に貫通孔を設け、赤外光が透過する透過窓で貫通孔の途中を塞ぎ、貫通孔の一端に環状部材を接着し、環状部材に透過窓を接着し、貫通孔の他端にも透過窓を接着することによって、作成される。本体部と環状部材との接触部分は、接着面積を大きくするために面粗しが行われる。従来では、砥粒を含む研磨剤により接触部分の面粗しを行うラッピング加工が行われていた。しかしながら、ラッピング加工により、砥粒を含む残留物が発生する。残留物は、接着強度の低下及びガスのリークの原因となる。残留物を除去するためには、作業者が手作業で残留物を除去する必要があり、ガス封入モジュールの製造のために時間と手間とを要していた。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、手間をかけずとも接着強度の向上及びガスのリークの抑制を可能にしたガス封入モジュール及びガス分析計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るガス封入モジュールは、ガスが封入された二つのガス室を備えるガス封入モジュールにおいて、ブロック状の本体部と、前記本体部を貫通した貫通孔と、前記貫通孔の途中で前記貫通孔を塞いでおり、赤外光が通過する第1の透過窓と、前記貫通孔の一端の周縁に接着された環状部材と、前記環状部材の開口を塞いでおり、赤外光が通過する第2の透過窓とを備え、前記二つのガス室の中の一方のガス室は、前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓に挟まれた空間であり、前記本体部と前記環状部材とが互いに接着する部分の少なくとも一方には、前記貫通孔を囲繞する複数の環状溝が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の一形態においては、ガス封入モジュールのガス室は、本体部に形成された貫通孔の途中に第1の透過窓が設けられ、第2の透過窓で塞がれた環状部材が貫通孔の一端の周縁に接着されることにより、構成されている。本体部と環状部材とが互いに接着する部分は、貫通孔を囲繞する複数の環状溝が形成されている。本体部と環状部材との接着面積が大きくなり、本体部と環状部材との接着強度が大きくなる。また、環状溝を経路としたガスのリークは発生し難い。
【0010】
本発明に係るガス封入モジュールは、前記第2の透過窓は、前記環状部材に接着されており、前記環状部材の前記第2の透過窓が接着された部分は、前記環状部材の開口を囲繞する複数の環状溝が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の一形態においては、環状部材の第2の透過窓が接着された部分は、環状部材の開口を囲繞する複数の環状溝が形成されている。環状部材と第2の透過窓との接着面積が大きくなり、環状部材と第2の透過窓との接着強度が大きくなる。また、環状溝を経路としたガスのリークは発生し難い。
【0012】
本発明に係るガス封入モジュールは、前記貫通孔の他端の周縁に接着されて前記貫通孔を塞いでおり、赤外光が通過する第3の透過窓を更に備え、前記二つのガス室の中の他方のガス室は、前記第1の透過窓及び前記第3の透過窓に挟まれた空間であり、前記本体部の前記第3の透過窓が接着された部分は、前記貫通孔を囲繞する複数の環状溝が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の一形態においては、貫通孔の他端の周縁に第3の透過窓が接着されており、本体部の第3の透過窓が接着された部分は、貫通孔を囲繞する複数の環状溝が形成されている。本体部と第3の透過窓との接着面積が大きくなり、本体部と第3の透過窓との接着強度が大きくなる。また、環状溝を経路としたガスのリークは発生し難い。
【0014】
本発明に係るガス封入モジュールは、前記複数の環状溝の夫々は、他の部分よりも深さが増大した増大部分を有し、前記複数の環状溝に含まれる複数の前記増大部分は、全てを含む線状には並んでいないことを特徴とする。
【0015】
本発明の一形態においては、環状溝は、他の部分よりも深さが増大した増大部分を有する。複数の環状溝に含まれる複数の増大部分は、全ての増大部分を含む線状には並んでいない。これにより、ガスのリークの原因が減少し、ガス室でのガスのリークが抑制される。
【0016】
本発明に係るガス封入モジュールは、前記複数の環状溝の夫々は、レーザ光によって彫刻されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の一形態においては、複数の環状溝は、レーザ光によって彫刻されているので、ラッピング加工を行う場合に発生する砥粒を含む残留物は発生しない。このため、砥粒を含む残留物を原因とする接着強度の低下、及びガスのリークは発生しない。
【0018】
本発明に係るガス封入モジュールは、前記複数の環状溝は、同心状であり、内側の環状溝から外側の環状溝にかけて順番に形成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の一形態においては、複数の環状溝が形成される際に、内側の環状溝から外側の環状溝へ向けて順番に環状溝が形成される。外側の環状溝から内側の環状溝へ向けて順番に環状溝が形成された場合に比べて、環状溝よりも内側に本体部の材料の粉末が残留し難い。このため、ガス室の内側に粉末が付着することを防止することができる。
【0020】
本発明に係るガス封入モジュールは、ガスが封入された二つのガス室を備えるガス封入モジュールにおいて、ブロック状の本体部と、前記本体部を貫通した貫通孔と、前記貫通孔の途中で前記貫通孔を塞いでおり、赤外光が通過する第1の透過窓と、前記貫通孔の一端の周縁に接着された環状部材と、前記環状部材の開口を塞いでおり、赤外光が通過する第2の透過窓とを備え、前記二つのガス室の中の一方のガス室は、前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓に挟まれた空間であり、前記本体部と前記環状部材とが互いに接着する部分の少なくとも一方には、前記貫通孔の周囲に複数の溝が形成されており、前記複数の溝は、レーザ光によって彫刻されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の一形態においては、本体部と環状部材とが互いに接着する部分には、複数の溝がレーザ光で彫刻されている。本体部と環状部材との接着面積が大きくなり、本体部と環状部材との接着強度が大きくなる。また、ラッピング加工を行う場合に発生する砥粒を含む残留物は発生しないので、残留物を原因とする接着強度の低下、及びガスのリークは発生しない。
【0022】
本発明に係るガス分析計は、分析対象のガスに含まれる特定のガス成分の濃度を分析するためのガス分析計において、本発明に係るガス封入モジュールと、赤外光を発光する光源と、前記分析対象のガスが通流されるセルとを備え、前記ガス封入モジュールが有する二つのガス室は、前記特定のガス成分を含むガスが封入されており、前記ガス封入モジュール及び前記セルは、前記セルに通流する前記分析対象のガスを前記光源からの赤外光が通過し、前記分析対象のガスを通過した赤外光が前記二つのガス室を順番に通過するように、配置されており、前記ガス封入モジュールは、前記二つのガス室に連通した連通路と、前記連通路を通って前記二つのガス室の間に流れるガスの流量を測定するフローセンサとを有することを特徴とする。
【0023】
本発明の一形態においては、ガス封入モジュールの各部品の接着強度が向上し、ガス室でのガスのリークが抑制される。このため、ガス分析計の耐久性が向上する。
【発明の効果】
【0024】
本発明にあっては、手間をかけずとも、ガス封入モジュールの部品の接着強度が向上し、ガスのリークが抑制される等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ガス分析計の一例を示す模式的断面図である。
図2】ガス分析計を用いたガス分析装置の構成を示すブロック図である。
図3】ガス封入モジュールの外観を模式的に示す斜視図である。
図4】模式的なガス封入モジュールの分解斜視図である。
図5】ガス封入モジュールの内部構成を模式的に示す断面図である。
図6】模式的なガス封入モジュールの分解断面図である。
図7】第1端の周縁に設けられた環状平面部を示す模式的正面図である。
図8】レーザ加工により複数の環状溝を形成する方法を示す模式図である。
図9】引張試験により接着強度を測定した結果を示すグラフである。
図10】レーザ加工及びラッピング加工による環状平面部の表面積の変化を示すグラフである。
図11図7に示される複数の増大部分を含んだ部分を拡大した拡大図である。
図12】貫通孔の形状が多角形であり環状溝の形状は角環状である例における、第1端の周縁に設けられた環状平面部を示す模式的正面図である。
図13】複数の直線状の溝が形成された例における、第1端の周縁に設けられた環状平面部を示す模式的正面図である。
図14】格子状の溝が形成された例における、第1端の周縁に設けられた環状平面部を示す模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、ガス分析計3の一例を示す模式的断面図である。ガス分析計3は、赤外光の光源31と、チョッパ32と、内部に分析対象のガスが通流するセル33と、ガス封入モジュール1及び2とを備える。チョッパ32は、所定の周波数で回転する羽根を有し、断続的に赤外光を遮り、赤外光を断続光にする。セル33は、筒状であり、外部から赤外光が入射し、内部のガスを赤外光が通過し、ガスを通過した後の赤外光が外部へ出射するようになっている。図中には、セル33に通流するガスの流れを破線矢印で示し、赤外光を実線矢印で示す。セル33に通流する分析対象のガスは、例えば、自動車の排ガスである。
【0027】
ガス封入モジュール1は、特定のガス成分を含むガスが封入された二つのガス室11及び12を有する。ガス室11及び12には同一のガスが封入されている。例えば、特定のガス成分は一酸化窒素(NO)であり、ガス室11及び12にはNOと空気とが混合したガスが封入されている。セル33を通過した赤外光は、ガス室11を通過し、その後、ガス室12を通過するようになっている。ガス室11及び12は、通流路13を介して連通している。通流路13には、通流路13を流れるガスの流量を測定するフローセンサ14が設けられている。
【0028】
ガス室11及び12に封入されたガスに含まれるガス成分は、赤外光の特定の波長成分を吸収する特性を有する。ガス室11に封入されたガスに含まれるガス成分は、ガス室11を通過する赤外光の特定の波長成分を吸収する。赤外光の吸収によって、ガス室11に封入されたガスの温度が上昇し、ガスは膨張する。ガス室12では、特定の波長成分が吸収された後の赤外光が通過する。このため、ガス室12で吸収される赤外光の吸収量は、ガス室11で吸収される赤外光の吸収量よりも少ない。ガス室12でのガスの膨張は、ガス室11でのガスの膨張よりも少ない。この結果、ガス室11からガス室12へ通流路13を通ってガスが流れる。フローセンサ14は、ガスの流量を測定する。ガスの流量は、赤外光の吸収量に応じた値となる。チョッパ32の作用によって、フローセンサ14は断続的に測定値を得る。
【0029】
ガス封入モジュール2の内部構成は、ガス封入モジュール1と同様である。ガス封入モジュール2の二つのガス室には、特定のガス成分を含むガスが封入されている。例えば、ガス封入モジュール2の二つのガス室には、NOの割合が100%であるガスが封入されている。ガス封入モジュール1及び2は隣接して配置されている。ガス封入モジュール2は、ガス封入モジュール1のガス室11及び12を通過した赤外光が自身の二つのガス室を順に通過するように、配置されている。赤外光の特定の波長成分はガス封入モジュール1でほぼ吸収されているので、ガス封入モジュール2では特定の波長成分は殆ど吸収されない。ガス封入モジュール2のフローセンサは、ガスに含まれる不純物による赤外光の吸収量に応じたガス流量を測定する。不純物は主に水である。ガス封入モジュール2のフローセンサによる測定値を用いて、フローセンサ14による測定値に対する不純物の影響を除去することができる。
【0030】
図2は、ガス分析計3を用いたガス分析装置35の構成を示すブロック図である。ガス分析装置35は、光源31、チョッパ32、セル33、ガス封入モジュール1及び2を含んだガス分析計3と、濃度算出部34とを備えている。濃度算出部34は、分析対象のガスに含まれるガス成分の濃度を計算する。例えば、濃度算出部34は、プロセッサ及びメモリを用いて構成されている。濃度算出部34は、ガス封入モジュール1及び2のフローセンサに接続されている。夫々のフローセンサは、ガス流量の測定値を出力し、濃度算出部34は、測定値を受け付ける。
【0031】
分析対象のガスが特定のガス成分を含んでいる場合は、分析対象のガスによって特定の波長成分がある程度吸収された後の赤外光がガス封入モジュール1へ入射され、ガス室11での赤外光の吸収量は変化する。分析対象のガスが特定のガス成分を含んでいない場合に比べて、フローセンサ14による測定値は変化する。濃度算出部34は、測定値の変化に応じて、分析対象のガスに含まれる特定のガス成分の濃度を計算する。このようにして、ガス分析計3を用いて、分析対象のガスに含まれる特定のガス成分の濃度が分析される。
【0032】
図3は、ガス封入モジュール1の外観を模式的に示す斜視図である。図4は、模式的なガス封入モジュール1の分解斜視図である。図5は、ガス封入モジュール1の内部構成を模式的に示す断面図である。図5に示す断面は、図3中のIV-IV線でガス封入モジュール1を切断した断面である。図6は、模式的なガス封入モジュール1の分解断面図である。
【0033】
ガス封入モジュール1は、ブロック状の本体部15を有している。本体部15は金属で形成されており、直方体状の形状を有する。本体部15には、貫通孔151が形成されている。貫通孔151は、途中で直径が一段変化する段付きの孔になっている。貫通孔151の一端を第1端153とし、他端を第2端155とする。第1端153の直径と第2端155の直径とは異なり、第1端153の直径が第2端155の直径よりも大きくなっている。貫通孔151の途中の段になった部分には、環状平面部152が形成されている。
【0034】
第1の透過窓161、第2の透過窓162及び第3の透過窓163は略平行である。図5に示すように、第1の透過窓161、第2の透過窓162及び第3の透過窓163が貫通孔151内の空間を二つに区切ることによって、二つのガス室11及び12が形成される。第1の透過窓161、第2の透過窓162及び第3の透過窓163は、板状であり、赤外光を透過させる材料で形成されている。第1の透過窓161は、接着剤を用いて環状平面部152に接着されている。第1の透過窓161が環状平面部152に接着されていることにより、貫通孔151は途中で塞がれている。
【0035】
ガス封入モジュール1は、本体部15に接着する環状部材17を有している。環状部材17は、筒状部171と、筒状部171よりも外径が大きいフランジ部172を有している。環状部材17には、環状平面部174が形成されており、第2の透過窓162が環状平面部174に接着剤を用いて接着されている。第2の透過窓162が環状平面部174に接着されていることによって、環状部材17の開口は第2の透過窓162で塞がれている。
【0036】
環状部材17の他端は筒状部171の先端である。筒状部171は、第1端153の側から貫通孔151に挿入され、貫通孔151に内嵌している。フランジ部172の外径は第1端153の直径よりも大きく、フランジ部172は第1端153の周縁に接触する。本体部15では、第1端153の周縁に、環状平面部154が形成されている。フランジ部172は、接着剤を用いて環状平面部154に接着されている。このようにして、第2の透過窓162で塞がれた環状部材17が第1端153の周縁に接着されている。貫通孔151の中で第1の透過窓161及び第2の透過窓162に挟まれた空間が、ガス室11となっている。
【0037】
本体部15では、第2端155の周縁に、環状平面部156が形成されている。第3の透過窓163は、接着剤を用いて環状平面部156に接着されている。第3の透過窓163が環状平面部156に接着されていることによって、第2端155は第3の透過窓163で塞がれている。貫通孔151の中で第1の透過窓161及び第3の透過窓163に挟まれた空間が、ガス室12となっている。ガス室11及び12は、第1の透過窓161を境界にして隣接している。
【0038】
本体部15の内部には、ガス室11及び12に連通する通流路13が形成されている。環状部材17には、通流路13に連通する孔173が形成されている。通流路13の途中には、フローセンサ14が設けられている。通流路13及び孔173は、連通路に対応する。
【0039】
図7は、第1端153の周縁に設けられた環状平面部154を示す模式的正面図である。環状平面部154には、複数の環状溝4が形成されている。複数の環状溝4は、互いに大きさが異なり、多重になっている。夫々の環状溝4は、貫通孔151を囲繞する閉曲線をなしている。複数の環状溝4は、互いに交差しておらず、同心状になっていることが望ましい。図7には八本の環状溝4を示しているが、実際にはより多数の環状溝4が形成されている。
【0040】
環状部材17のフランジ部172は、複数の環状溝4が形成された環状平面部154に、接着剤を用いて接着されている。複数の環状溝4が形成されていることにより、環状平面部154と、環状部材17のフランジ部172との接着面積が大きくなり、本体部15と環状部材17との接着強度が大きくなる。夫々の環状溝4は、閉曲線であるので、環状平面部154の外側とはつながっておらず、環状溝4を経路としたガスのリークは発生し難い。ラッピング加工では、発生する溝の向きが制御し難く、溝を経路としたガスのリークが発生する可能性がある。このように、本実施形態では、ガス室11でのガスのリークが抑制される。
【0041】
複数の環状溝4は、レーザ光を用いたレーザ加工によって作成される。図8は、レーザ加工により複数の環状溝4を形成する方法を示す模式図である。レーザ加工に用いられる製造装置は、本体部15が載置される試料台54と、レーザ光源51と、レーザ光を反射させるミラー52と、レーザ光を集光するレンズ53とを備える。レーザ光源51は、ファイバーレーザ等、金属を効果的に掘削することができるレーザを使用している。レーザ光源51が発光したレーザ光は、ミラー52で反射され、レンズ53で集光され、本体部15の環状平面部154へ照射される。図8中には、実線矢印でレーザ光を示している。
【0042】
照射されたレーザ光により、本体部15が掘削される。ミラー52が動くことにより、本体部15へレーザ光が照射される位置が変更される。なお、試料台54が移動することにより、レーザ光の照射位置が変更されてもよい。レーザ光の照射位置が変更されることにより、本体部15上の掘削される位置が移動し、環状溝4が彫刻される。レーザ光の照射位置が貫通孔151の周囲を移動し、貫通孔151の周囲を一周した時点でレーザ光の照射が停止される。ミラー52は、移動するレーザ光の照射位置の始点と終点とが一致するように、制御される。始点と終点とが一致することにより、環状溝4は閉曲線となる。このようにして、環状溝4が形成される。
【0043】
レーザ光の照射位置を変更し、貫通孔151の周囲を一周する半径を変更して、次の環状溝4を形成する。同様に、環状溝4の形成が繰り返され、複数の環状溝4が形成される。貫通孔151の周囲を一周する半径を変更することで、容易に同心状の複数の環状溝4が形成される。なお、非同心状の複数の環状溝4又は互いに交差する複数の環状溝4を形成することも可能である。環状平面部154に複数の環状溝4が形成された後で、環状部材17のフランジ部172は、環状平面部154に接着剤を用いて接着される。
【0044】
環状溝4の深さは、レーザ光源51の出力に応じた深さとなる。レーザ光源51の出力を一定するにすることにより、複数の環状溝4の深さは均一となる。また、ミラー52を制御し、環状溝4の間隔を一定にすることにより、環状溝4の密度が均一となる。このため、環状平面部154と環状部材17のフランジ部172との接着面積は、均一となる。ラッピング加工を行う場合は、発生する溝の深さ及び密度を制御することは困難であるので、接着面積は不均一となる。接着面積が不均一である場合は、接着面積が小さい部分から剥がれが発生し易くなる虞がある。本実施形態では、接着面積が均一となることによって、本体部15と環状部材17との接着強度が向上している。
【0045】
複数の環状溝4はレーザ光によって彫刻されるので、ラッピング加工を行う場合に発生する砥粒を含む残留物は、発生しない。このため、砥粒を含む残留物を原因とする本体部15と環状部材17との接着強度の低下、及びガスのリークは発生しない。従って、本体部15と環状部材17との接着強度が向上し、ガス室11でのガスのリークが抑制される。また、作業者が手作業で残留物を除去する必要が無く、ガス封入モジュール1の製造のための時間と手間とが削減される。
【0046】
図9は、引張試験により接着強度を測定した結果を示すグラフである。実験では、二つの試験片を接着し、二つの試験片を引き離すように引張試験を行った。図中の横軸は、実験に用いた試料の違いを示す。実験では、試験片の接着部分が未加工の試料と、ラッピング加工を行った試料と、レーザ加工により複数の環状溝4を形成した試料とを用いた。図中の縦軸は、引張試験により試験片が破断するまでに得られた荷重の平均値を示す。また、荷重の標準偏差を誤差バーで示している。
【0047】
引張試験の結果によれば、レーザ加工により複数の環状溝4を形成した試料は、未加工の試料及びラッピング加工をした試料よりも荷重が大きい。例えば、図9に示した例では、レーザ加工により複数の環状溝4を形成した試料の荷重は、ラッピング加工をした試料の荷重の二倍近くになっている。即ち、本実施形態では、ラッピング加工を行う従来の技術に比べて、本体部15と環状部材17との接着強度が大きい。このように接着強度が大きくなる要因の一つとしては、レーザ加工により複数の環状溝4が形成されたことによって、環状平面部154での濡れ性が向上し、接着剤が環状平面部154に容易になじむようになったことがあげられる。
【0048】
図10は、レーザ加工及びラッピング加工による環状平面部154の表面積の変化を示すグラフである。表面積が1.04mm2 である環状平面部154に対してレーザ加工及びラッピング加工を行い、表面積を測定し、複数の試料について測定した表面積を平均した結果を示す。図中の横軸は、試料の違いを示し、縦軸は表面積を示す。レーザ加工とラッピング加工との夫々について複数の試料について表面積を測定し、表面積の平均値を示している。ラッピング加工を行った試料に比べて、レーザ加工を行った試料では、明らかに、表面積が大きい。環状平面部154の表面積が大きいことによって、環状平面部154と環状部材17のフランジ部172との接着面積が大きくなり、本体部15と環状部材17との接着強度が大きくなる。即ち、レーザ加工を行う本実施形態では、ラッピング加工を行う従来の技術に比べて、本体部15と環状部材17との接着強度が大きい。
【0049】
閉曲線をなす一つの環状溝4を形成する際、レーザ光の照射位置の始点と終点とは一致する。照射位置の始点と終点とが一致した点は、環状溝4の他の部分よりも深さが増大した増大部分41となる。図7には、複数の増大部分41を含んだ部分42及び43を破線で囲んで示している。図11は、図7に示される複数の増大部分41を含んだ部分42及び43を拡大した拡大図である。夫々の環状溝4は、増大部分41を含んでいる。照射位置の始点と終点とが一致した点では、レーザ光が照射される時間が環状溝4の他の部分よりも長くなるので、他の部分よりも深さが増大し、増大部分41が形成される。同様に、増大部分41では、環状溝4の幅も他の部分よりも増大している。
【0050】
複数の環状溝4に含まれる複数の増大部分41は、全ての増大部分41を含み互いに隣接して連なった線状には並んでいない。例えば、複数の増大部分41は、周方向の複数の位置に分散されている。図7及び図11に示す例では、複数の増大部分41は、周方向の二か所に分散して配置されている。複数の環状溝4を形成する際に、レーザ光の照射位置の始点及び終点が、全ての複数の環状溝4を横断する線状にならないように、照射位置の始点及び終点は調整される。例えば、一つの環状溝4が形成された後、次の環状溝4が形成される際に、照射位置の始点及び終点は、前の環状溝4と比べて周方向に変更される。全ての増大部分41が連なって線状に並んでいる場合は、複数の増大部分41の連なりがガスのリークの経路になる虞がある。複数の増大部分41が全ての増大部分41を含む線状には並んでいないことにより、ガスのリークの原因が減少し、ガス室11でのガスのリークが抑制される。少なくとも一つの増大部分41が、他の増大部分41が並んだ線状の列から外れていればよい。
【0051】
また、複数の環状溝4が形成される際に、内側の環状溝4から外側の環状溝4へ向けて順番に環状溝4が形成されることが望ましい。レーザ加工に伴って、本体部15の材料の粉末が発生し、貫通孔151の内面に粉末が付着する虞がある。内側の環状溝4から外側の環状溝4へ向けて順番に環状溝4が形成された場合は、外側の環状溝4から内側の環状溝4へ向けて順番に環状溝4が形成された場合に比べて、本体部15の材料の粉末が複数の環状溝4よりも内側に残留し難い。このため、貫通孔151の内面に粉末が付着し難い。この結果、ガス室11の内側に粉末が付着することを防止することができる。
【0052】
環状部材17の一端に形成された環状平面部174にも、環状部材17の開口を囲繞する複数の環状溝が形成されている。第2の透過窓162は、複数の環状溝が形成された環状平面部174に、接着剤を用いて接着されている。環状平面部174に形成された複数の環状溝は、環状平面部154に形成された複数の環状溝4と同様の構成になっており、同様の方法で形成される。環状平面部174に複数の環状溝が形成された後で、第2の透過窓162は、環状平面部174に接着剤を用いて接着される。複数の環状溝が形成されていることにより、環状平面部174と第2の透過窓162との接着面積が大きくなり、環状部材17と第2の透過窓162との接着強度が向上する。また、ガス室11でのガスのリークが抑制される。
【0053】
更に、第2端155の周縁に形成された環状平面部156にも、貫通孔151を囲繞する複数の環状溝が形成されている。第3の透過窓163は、複数の環状溝が形成された環状平面部156に、接着剤を用いて接着されている。環状平面部156に形成された複数の環状溝は、環状平面部154に形成された複数の環状溝4と同様の構成になっており、同様の方法で形成される。環状平面部156に複数の環状溝が形成された後で、第3の透過窓163は、環状平面部156に接着剤を用いて接着される。複数の環状溝が形成されていることにより、環状平面部156と第3の透過窓163との接着面積が大きくなり、本体部15と第3の透過窓163との接着強度が向上する。また、ガス室12でのガスのリークが抑制される。
【0054】
以上詳述した如く、本実施形態においては、ガス封入モジュール1及び2の各部品の接着強度が向上し、ガス室11及び12でのガスのリークが抑制される。このため、ガス分析計3の耐久性が向上する。また、本実施形態では、ガス封入モジュール1の製造のための時間と手間とが削減される。従って、ガス分析計3のコストが抑制される。
【0055】
なお、本実施形態においては、正面視で貫通孔151が円形である形態を示したが、貫通孔151はその他の形状を有していてもよい。環状溝4は、環状の閉曲線であれば、円環状以外の形状を有していてもよい。図12は、貫通孔151の形状が多角形であり環状溝4の形状は角環状である例における、第1端153の周縁に設けられた環状平面部154を示す模式的正面図である。図12に示した例では、正面視で、貫通孔151の形状は四角形であり、環状溝4の形状は四角環状である。貫通孔151の形状はその他の多角形であってもよく、環状溝4の形状はその他の角環状であってもよい。環状平面部174及び環状平面部156に形成された複数の環状溝の形状も、角環状等、円環状以外の形状を有していてもよい。これらの形態においても、ガス封入モジュール1及び2の各部品の接着強度が向上し、ガス室11及び12でのガスのリークが抑制される。
【0056】
本実施形態では、環状溝4が閉曲線である例を示したが、環状溝4は、環の一部が不連続になっていてもよい。或は、ガス封入モジュール1は、環状以外の溝がレーザ加工によって形成された形態であってもよい。図13は、複数の直線状の溝44が形成された例における、第1端153の周縁に設けられた環状平面部154を示す模式的正面図である。図13に示した例では、レーザ加工によって、略平行な複数の直線状の溝44が、環状平面部154に形成されている。図14は、格子状の溝44が形成された例における、第1端153の周縁に設けられた環状平面部154を示す模式的正面図である。図14に示した例では、レーザ加工によって、格子状の溝44が、環状平面部154に形成されている。環状平面部174及び環状平面部156にも、同様の溝44が形成されていてもよい。これらの形態においても、溝44がレーザ光によって彫刻されているので、砥粒を含む残留物を原因とする接着強度の低下、及びガスのリークは発生しない。従って、ガス封入モジュール1及び2の各部品の接着強度が向上し、ガス室11及び12でのガスのリークが抑制される。
【0057】
本実施形態では、本体部15の環状平面部154に複数の環状溝4を形成した形態を示したが、ガス封入モジュール1は、環状部材17のフランジ部172の、環状平面部154に接着する部分に、複数の環状溝又は溝が形成された形態であってもよい。或は、ガス封入モジュール1は、環状平面部154と、フランジ部172の環状平面部154に接着する部分との両方に、複数の環状溝又は溝が形成された形態であってもよい。これらの形態であっても、本体部15と環状部材17との接着強度は向上する。また、ガス封入モジュール1は、更に、環状平面部152に複数の環状溝又は溝が形成された形態であってもよい。この形態では、第1の透過窓161と環状平面部152との接着強度が向上し、ガス室11及び12の間のガスのリークが抑制される。また、ガス封入モジュール1は、環状部材17を二つ備えていてもよい。
【0058】
本実施形態では、ガス封入モジュール1は直方体状であり、ガス封入モジュール1の形状は正面視で矩形である形態を示したが、ガス封入モジュール1はその他の形状を有していてもよい。例えば、ガス封入モジュール1の形状は正面視で円形であってもよい。また、本実施形態では、ガス分析計3はセル33並びにガス封入モジュール1及び2を備える形態を示したが、ガス分析計3が備えるセル又はガス封入モジュールの数はその他の数であってもよい。例えば、ガス分析計3は複数のセルを備えていてもよく、ガス分析計3が備えるガス封入モジュールの数は単数であってもよい。
【0059】
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1、2 ガス封入モジュール
11、12 ガス室
13 通流路
14 フローセンサ
15 本体部
151 貫通孔
152、154、156 環状平面部
161 第1の透過窓
162 第2の透過窓
163 第3の透過窓
17 環状部材
174 環状平面部
3 ガス分析計
31 光源
32 チョッパ
33 セル
4 環状溝
41 増大部分
44 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14