(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-17
(45)【発行日】2023-05-25
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/514 20060101AFI20230518BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20230518BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
A61F13/514 120
A61F13/15 144
A61F13/51
A61F13/514 320
(21)【出願番号】P 2019238973
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 奈々
(72)【発明者】
【氏名】渡部 芳久
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-131081(JP,A)
【文献】特開2000-96077(JP,A)
【文献】登録実用新案第3219622(JP,U)
【文献】国際公開第2012/086476(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/094290(WO,A1)
【文献】特開平10-272154(JP,A)
【文献】特開2007-56181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収コアと、
前記吸収コアよりも非肌面側に配置され、吸収性物品の外面を構成するバックシートと、を有し、
前記バックシートの非肌対向面には、植物油が配置された油配置領域が設けられており、
前記バックシートは、前記バックシートの外面から内側に延び、1.7dtex以下の平均繊維径の繊維を有する外側領域と、前記バックシートの内面から外側に延び、3.3dtex以上の平均繊維径
の繊維を有する内側領域と、を有し、
前記内側領域
の繊維の密度は、前記外側領域の繊維の密度よりも低く、
前記バックシート全体に対する前記内側領域の厚さの比率は、80%以上である、吸収性物品。
【請求項2】
前記植物油は、オレイン酸の含有量が55%以上83%以下の植物油である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記バックシートは、繊維を有する不織布であって、
前記繊維は、繊維本体と、前記繊維本体の表面を覆い、かつ親水性を有する繊維処理剤からなる油層と、を有し、
前記植物油は、前記油層に含まれている、請求項1
又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
着用者の胴回りを覆う第1胴回り部材及び第2胴回り部材と、
前記第1胴回り部材に配置されたファスニングテープと、
前記第2胴回り部材に配置され、かつ前記ファスニングテープが止着するターゲット部と、を有し、
前記バックシートは、前記植物油が塗布されていない非配置領域を有し、
前記非配置領域は、前記ターゲット部に設けられている、請求項1
又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記バックシートには、前記バックシートの厚さ方向の全域に亘って前記植物油が付されていない貫通領域を有する、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収コアよりも幅方向の外側に延出するサイドフラップを有し、
前記油配置領域の少なくとも一部は、前記サイドフラップに設けられている、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記バックシートの非肌対向面の植物油の坪量は、前記バックシートの肌対向面の植物油の坪量よりも高い、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記バックシートの肌対向面には、弾性部材が接合されており、
前記油配置領域は、前記弾性部材と重なる領域に設けられている、請求項
7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収コアよりも肌面側に配置され、着用者の肌に当接するトップシートを有し、
前記油配置領域は、前記トップシート及び前記バックシートのうち前記バックシートのみに設けられている、請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物油を含む吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、植物油を含む吸収性物品が開示されている。植物油は、トップシートのコーティングに含まれる油組成物として選択される。特許文献1には、植物油として、オリーブ油の他に、アーモンド油、ヒマワリ油、菜種油が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
特許文献1において、植物油を含む油組成物は、着用者の肌に触れるトップシートに設けられている。そのため、着用者に対して植物油の効能を付与できる。しかし、装着補助者によっては、着用者の肌に触れるトップシートの衛生面を担保するために、吸収性物品の装着操作の過程でトップシートに触れないように意識していることがある。そのため、装着補助者が植物油に触れ難く、装着補助者に対して植物油の効能を十分に付与できないことがあった。また、吸収性物品の外面に不織布が配置された吸収性物品が広く普及している。吸収性物品の外面に不織布が配置された吸収性物品にあっては、繰り返し吸収性物品を交換する過程で、装着補助者の手が乾燥してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、植物油による効能を装着補助者に付与できる吸収性物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品は、吸収コアと、前記吸収コアよりも非肌面側に配置され、吸収性物品の外面を構成するバックシートと、を有し、前記バックシートの非肌対向面には、植物油が配置された油配置領域が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る吸収性物品の展開状態の肌面側から見た平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る吸収性物品の展開状態の非肌面側から見た平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すA-A線に沿った模式断面図である。
【
図5】
図5は、バックシートを構成する繊維を示す拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、吸収コアと、前記吸収コアよりも非肌面側に配置され、吸収性物品の外面を構成するバックシートと、を有し、前記バックシートの非肌対向面には、植物油が配置された油配置領域が設けられている。バックシートは、母親等の装着補助者が取り出し時になどに触れ易い箇所である。植物油がバックシートの非肌対向面に配置されているため、母親等の装着補助者の肌に植物油が接触し易い。植物油によって、肌の水分を保護したり、肌を滑らかに維持したりできる。
【0009】
好ましい一態様によれば、前記植物油は、オレイン酸の含有量が55%以上83%以下の植物油であってよい。オレイン酸の含有量が55%以上83%以下の植物油は、植物油の中で比較的酸化し難く、劣化し難い。植物油の劣化を抑制することで、酸化することによる色や香りの劣化を抑制し、装着補助者が香り等の違和感を得難く、安心して使用し続けることができる。
【0010】
好ましい一態様によれば、前記バックシートは、繊維を有する不織布であって、前記繊維は、繊維本体と、前記繊維本体の表面を覆い、かつ親水性を有する繊維処理剤からなる油層と、を有し、前記植物油は、前記油層に含まれてよい。油層が繊維本体の表面を覆っているため、バックシートの全体に亘って均一に植物油を配置し易い。装着補助者の肌がバックシート(すなわち、繊維)に触れることで、装着補助者が触れた部分を構成する繊維の表面を覆っている油層を装着補助者に容易に転写し易い。
【0011】
好ましい一態様によれば、着用者の胴回りを覆う第1胴回り部材及び第2胴回り部材と、前記第1胴回り部材に配置されたファスニングテープと、前記第2胴回り部材に配置され、かつ前記ファスニングテープが止着するターゲット部と、を有し、前記バックシートは、前記植物油が塗布されていない非配置領域を有し、前記非配置領域は、前記ターゲット部に設けられてよい。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記バックシートには、前記バックシートの前記厚さ方向の全域に亘って前記植物油が付されていない貫通領域を有してよい。貫通領域が設けられおり、バックシートの平面全体にわたって植物油が配置されていない。バックシートの平面全体にわたって植物油が配置されている構成と比較して、植物油が常に肌に触れ続け難く、植物油によるべたつきを抑制できる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアよりも前記幅方向の外側に延出するサイドフラップを有し、前記油配置領域の少なくとも一部は、前記サイドフラップに設けられてよい。装着補助者は、一般的に、吸収性物品を着用者に装着する際に、排泄口に当接するコア配置領域(コアが配置された領域)を掴むよりも、排泄口に当接しないサイドフラップを掴む傾向がある。当該サイドフラップに油配置領域を設けることで、装着補助者が装着操作の過程で、バックシートに触れ易く、植物油の存在を実感できる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記バックシートの非肌対向面の植物油の坪量は、前記バックシートの肌対向面の植物油の坪量よりも高くてよい。バックシートの非肌対向面の植物油の坪量が高いため、装着補助者に対して植物油の効能を付与できる。また、バックシートの肌対向面は、バックシートよりも肌面側に位置する構成部材(防漏フィルム、コアラップ)に接触し、構成部材に接着剤を介して接合したり、構成部材に溶着されたりする。このとき、植物油の坪量が比較的低いため、植物油が配置されていることに起因して接着剤が接合し難い等の不具合を抑制できる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記バックシートの肌対向面には、弾性部材が接合されており、前記油配置領域は、前記弾性部材と重なる領域に設けられてよい。肌対向面の植物油の坪量が低いため、弾性部材のバックシートに対する接合状態を維持できる。また、弾性部材は、身体に対して密着する部分であり、装着補助者は、当該弾性部材と身体の部位の位置を調整するために、弾性部材と重なる領域を触れ易い。弾性部材と重なる領域に弾性部材を配置することにより、弾性部材の位置を調整する操作の過程で装着補助者が植物油に触れ易く、装着補助者に対して植物油の効能を付与できる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアよりも肌面側に配置され、着用者の肌に当接するトップシートを有し、前記油配置領域は、前記トップシート及び前記バックシートのうち前記バックシートのみに設けられてよい。トップシートに植物油の油配置領域がないため、着用者に対して植物油に対するべたつきを抑えつつ、装着補助者に植物油の効能を付与できる。装着補助者は、新生児の肌に触れる成分について気にする傾向が強く、特に新生児用の吸収性物品において好適に使用できる。
【0017】
(2)実施形態に係る吸収性物品
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0018】
本発明に係る吸収性物品は、着用者の体液を吸収できる吸収性物品である。着用対象は、乳幼児及び高齢者を例示できる。吸収性物品は、尿を吸収する使い捨ておむつ及び失禁パッドであってもよいし、経血を吸収する生理用ナプキンであってもよいし、おりものを吸収するおりものシートであってもよい。使い捨ておむつは、パンツ型おむつであってもよいし、テープ型おむつであってもよい。実施形態に係る吸収性物品は、テープ型の使い捨ておむつである。
図1は、実施形態に係る吸収性物品1の展開状態の肌面側から見た模式平面図である。
図2は、実施形態に係る吸収性物品1の展開状態の非肌面側から見た模式平面図である。
図1及び
図2に示す模式平面図は、吸収性物品1を皺が形成されない状態まで伸長させた伸長状態を示している。
図3は、
図1に示すA-A線に沿った模式断面図である。
図4は、
図3に示すC部分の拡大断面図である。模式断面図において、説明の便宜上、各部材が厚さ方向Tにおいて離間していることがあるが、実際の製品においては厚さ方向Tに接している。
【0019】
吸収性物品1は、互いに直交する前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。言い換えると、前後方向Lは、展開された吸収性物品1において前後に延びる方向である。また、吸収性物品1は、前後方向Lと幅方向Wの両方の直交する厚さ方向Tを有する。厚さ方向Tは、着用者側に向かう肌面側T1と、肌面側T1と反対側の非肌面側T2と、に延びる。吸収性物品1は、前胴回り域S1と、後胴回り域S2と、股下域S3と、を有する。前胴回り域S1は、着用対象の前胴回り(腹部)に対向する領域である。後胴回り域S2は、着用対象の後胴回り(背部)に対向する領域である。股下域S3は、着用対象の股下に位置し、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に配置された領域であり、脚回り開口部65が設けられて領域であってよい。脚回り開口部65は、使い捨ておむつの外側縁から幅方向の内側に凹む部分である。ここで、本発明における外側縁とは、幅方向Wにおける外側の縁であり、外側部とは、幅方向Wにおける外側の縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分である。また、内側縁とは、幅方向Wにおける内側の縁であり、内側部とは、幅方向Wにおける内側の縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分である。
【0020】
吸収性物品1は、吸収材料を含む吸収コア31を含む。吸収コア31は、粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物等の吸収材料を含む。吸収コア31は、図示しないコアラップによって覆われてよい。吸収コア31とコアラップによって吸収体が構成されてよい。コアラップは、ティッシュ又はSMS不織布によって構成され、吸収コア31の肌面側T1と吸収コア31の非肌面側T2に配置されてよい。
図3に示すように、吸収性物品1は、吸収コア31よりも肌面側T1に位置する肌側シート20を有する。肌側シート20は、吸収コア31を覆い、かつ吸収性物品1の全体に亘って配置されている。本実施形態の肌側シート20は、トップシート21、セカンドシート23、及びコアラップを含む。トップシート21は、吸収コア31の幅方向Wの中心を跨いで配置されたセンターシート21Cと、トップシート21の外側部を覆うサイドシート21Sと、を有する。トップシート21は、例えば不織布や開孔プラスチックフィルムのような透液性シートによって構成されていてよい。
【0021】
一対のサイドシート21Sのそれぞれは、防漏ギャザー60を構成してよい。サイドシート21Sの内側部は、折り返されて重なっており、重なったサイドシート21S間には、前後方向Lに伸縮する防漏弾性部材61が設けられてよい。防漏弾性部材61は、前後方向Lに伸縮する糸ゴムによって構成されてよい。防漏ギャザーは、防漏弾性部材61の収縮によって肌面側T1に起立し、吸収性物品1の幅方向の中心の側方において横漏れを防ぐ壁を形成する。
【0022】
吸収性物品1は、吸収コア31よりも非肌面側T2に位置する非肌側シート25を有する。非肌側シート25は、吸収コア31を覆い、かつ使い捨ておむつの全体に亘って配置されている。本実施形態の非肌側シート25は、防漏シート26とバックシート27を含む。防漏シート26は、液不透過性のシートであり、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。バックシート27は、防漏シート26の非肌面側T2に設けられてよい。バックシート27は、液透過性の不織布によって構成されてよい。防漏シート26の幅方向Wの長さは、バックシート27の幅方向Wの長さよりも短く、防漏シート26の前後方向Lの長さは、バックシート27の前後方向Lの長さよりも短くてよい。吸収性物品1は、水分との接触によって変色するインジケータ70を有する。インジケータ70は、吸収コア31が体液を吸収することによって変色し、吸収性物品1の非肌面側T2から体液の吸収状態を把握できるように構成されている。インジケータ70は、吸収コア31よりも非肌面側に配置されてよく、防漏シート26又はバックシート27に設けられていてよい。好ましくは、インジケータ70は、防漏シート26の肌面側に設けられていてよい。
【0023】
吸収性物品1は、吸収コア31よりも幅方向の外側に延出するサイドフラップ45を有する。サイドフラップ45は、吸収コア31の外側縁と吸収性物品1の外側縁の間の領域である。サイドフラップ45には、少なくとも肌側シート20及び非肌側シート25が配置されている。吸収性物品1には、ファスニングテープ90が設けられている。ファスニングテープ90は、後胴回り域S2に設けられている。ターゲット部95は、前胴回り域S1に設けられている。そのため、本実施の形態の後胴回り域S2は、着用者の胴回りを覆う第1胴回り部材及び第2胴回り部材のうち第1胴回り域を構成し、前胴回り域S1は、第2胴回り域を構成する。ファスニングテープ90は、ベース部92と係止部93を有する。ベース部92の少なくとも一部は、肌側シート20と非肌側シート25の間に接合され、かつ肌側シート20と非肌側シート25から幅方向Wの外側に延出する。係止部93は、ベース部92上に設けられ、前胴回り域S1のターゲット部95(
図2参照)に着脱可能に止着される。ファスニングテープ90は、後胴回り域S2において幅方向Wに沿って延び、ターゲット部95に止着されることにより、吸収性物品1を着用者の身体に保持する。ターゲット部95は、前胴回り域S1に配置されており、ファスニングテープ90がそれぞれ止着するように構成されている。なお、変形例において、吸収性物品1は、ターゲット部を備えずに、非肌側シート25の非肌対向面にファスニングテープ90が止着するように構成されてよい。
【0024】
吸収性物品1は、着用者のウエストを囲むウエスト開口66を有する。ウエスト開口66は、使い捨ておむつの後端縁10Rと前端縁10Fによって構成され、ファスニングテープ90がターゲット部95に止着した状態で腰回りを囲む部分である。肌側シート20と非肌側シート25の間には、前後方向Lに延びる脚回り弾性部材67が設けられてよい。脚回り弾性部材67は、吸収コア31よりも幅方向Wの外側において、少なくとも股下域S3において脚回り開口部65に沿って配置されてよい。なお、変形例において、肌側シート20と非肌側シート25の間には、幅方向Wに延びる腰回り弾性部材が設けられてよい。腰回り弾性部材の収縮によって、着用者の腰回りに対するフィットを向上できる。
【0025】
吸収性物品1は、植物油が配置された油配置領域R31を有する。油配置領域R31は、平面視において植物油が配置された領域である。植物油は、吸収コア31よりも非肌面側T2に配置され、かつ吸収性物品の外面を構成するバックシート27に、少なくとも配置されている。バックシート27は、母親等の装着補助者が取り出し時になどに触れ易い箇所である。植物油がバックシート27の非肌対向面に配置されているため、母親等の装着補助者の肌に植物油が接触し易い。植物油によって、肌の水分を保護したり、肌を滑らかに維持したりできる。特に、バックシート27が不織布の形態にあっては、繰り返し不織布に触れた場合であっても、装着補助者の肌を保護できる。植物油は、装着補助者に対して好適な効用を付与できるものであればよく、例えば、オリーブ油、ホホバ油、ライス油、シアバター、茶油、アロエ油、アルガン油、桃油を例示できる。オリーブ油は、エクストラ・ヴァージンオリーブ油、ヴァージンオリーブ油、オーディナリー・ヴァージンオリーブ油、ランパンテ・ヴァージンオリーブ油、精製オリーブ油、ピュアオリーブ油、精製オリーブポマース油、オリーブポマース油を例示できる。オリーブ油を配置することにより、着用者及び装着補助者にオリーブ油の効能を付与できる。オリーブ油の効能は、例えば、肌に対する潤いを付与したり、肌を保湿したり、肌を滑らかに維持したり、香りを付与したりできる。
【0026】
好適には、植物油は、オレイン酸の含有量は、55%以上83%以下の植物油であってよい。当該植物油としては、オリーブ油、なたね油、落花生油を例示できる。オレイン酸の含有量が55%以上83%以下の植物油は、植物油の中で比較的酸化し難く、劣化し難い。植物油の劣化を抑制することで、酸化することによる色や香りの劣化を抑制し、装着補助者が香り等の違和感を得難く、安心して使用し続けることができる。オレイン酸の含有量は、GC-MS(日本農林規格)における「食用植物油脂の脂肪酸に占めるオレイン酸の割合測定方法手順書」に基づいて測定できる。
【0027】
オリーブ油は、酸価が6.6mg/g以下であって、過酸化物価が30meq/mg以下であってよい。オリーブ油は、上述のように、品質等級等によって区別された複数の種類が流通している。吸収性物品1にオリーブ油を設ける際に、肌に対する刺激、オリーブ油の劣化、及び吸収性物品1を構成する構成部材の劣化等の悪影響を抑制しつつ適切なオリーブ油を選択する観点では、改善の余地があった。出願人が鋭意研究した結果、酸価が6.6mg/g以下であって、過酸化物価が30meq/mg以下のオリーブ油が適切であることがわかった。酸価が6.6mg/g以下であって、過酸化物価が30meq/mg以下のオリーブ油は、エクストラ・ヴァージンオリーブ油、ヴァージンオリーブ油、オーディナリー・ヴァージンオリーブ油を例示できる。酸価が6.6mg/g以下のオリーブ油は、酸化が進んでなく、肌に対して酸化が進んでいないオリーブ油を接触させることができる。酸化された(酸価の高い)オリーブ油は、低級脂肪酸が増加し、皮膚を刺激するおそれがある。しかし、酸価を規定することで、消費者にとって安全なオリーブ油を配合の吸収性物品を提供できる。また、過酸化物価が30meq/mg以下であることで、酸化していないオリーブ油を配合の吸収性物品を消費者に提供できる。オリーブ油の過酸化物価が30meq/mg以下であるため、オリーブ油が自動化酸化し難く、ヒドロペルオキシドが生成され難い。ヒドロペルオキシドが生成されると、金属イオンによって分解され、ペルオキシラジカルを経て、再びヒドロペルオキシドが生成され、過酸化物価が更に高くなる。過酸化物価が高くなると、肌に対する刺激が生じる恐れがある。しかし、オリーブ油の過酸化物価が低い状態を維持し易く、肌に対する刺激を抑制した吸収性物品を提供できる。また、オリーブ油は元々酸化しにくい不飽和脂肪酸なので、配合時から低い過酸化物価のオリーブ油を使用することで、より肌に対する刺激を抑制した吸収性物品を提供できる。劣化していないオリーブを付与できるため、色や香りの劣化を抑制し、着用者が香り等の違和感を得難く、安心して使用し続けることができる。
【0028】
ここで、オリーブ油の酸価及び過酸化物価は、以下の方法によって測定できる。酸価は、加熱油脂劣化度判定用試験紙 AV-CHECK/ADVANTECを用いて測定できる。詳細には、測定対象であるオリーブ油を5ml測定し、試験紙にオリーブ油を付着させる。2秒経過した後に試験紙上の測定対象を濾紙で拭き取る。30秒経過後に試験紙の色を確認し、目視にて色見本と試験紙の色を比較して、酸価を測定する。また、過酸化物価は、POV試験紙(過酸化物価試験紙)/SIBATA(柴田化学)を用いて測定できる。詳細には、測定対象であるオリーブ油を5ml測定し、試験部の前面に付着させる。3分間経過した後、均一に発色するまで水道水で洗い流す。次いで、水を払い、平坦な場所に20秒置いた後に試験紙の色を確認し、目視にて色見本と試験紙の色を比較して、過酸化物価を測定する。なお、オリーブ油を5ml抽出できない場合には、オリーブ油が配置された面に試験紙に付着させることによって、試験紙にて酸価及び過酸化物価を測定してもよい。
【0029】
バックシート27は、繊維を有する不織布によって構成されてよい。
図5Aは、不織布を構成する繊維55を示す拡大模式図である。
図5Bは、
図5AのD-D断面図を示す模式断面図である。本実施の形態のバックシート27を構成する繊維55は、繊維本体551と油層552を有する。繊維本体551の表面は、親水性を有する繊維処理剤からなる油層552により覆われている。油層552には、植物油が存在する。このように繊維本体551を覆う油層552によって、構成部材に植物油を付与している。そのため、バックシート27の全体に亘って均一に植物油を配置し易い。バックシート27の肌対向面及び非肌対向面のみならず、厚さ方向の内側の部分にも植物油を配置できる。装着補助者の肌がバックシート(すなわち、繊維)に触れることで、装着補助者が触れた部分を構成する繊維の表面を覆っている油層を装着補助者に容易に転写し易い。また、油層は、親水性を有するため、汗等の体液が肌面側へ移動し易くなる。例えば、装着補助者の手が汗等で湿っている場合であっても、バックシート27によって当該水分を引き込み、バックシート27の表面の感触を向上できる。なお、
図5に示すように、繊維55間の隙間Gは、繊維本体551及び油層552が配置されてなく、植物油が配置されていない非配置領域を構成する。
図3においては、非配置領域が油配置領域R31に対して僅かであるため、便宜上、バックシート27が配置された領域を油配置領域R31として示す。また、変形例において、バックシート27等の構成部材を成形した後に植物油又は植物油を含む繊維処理剤を塗布することによって、植物油を構成部材に付与してもよい。
【0030】
植物油は、バックシート27の肌対向面(内面)272とバックシート27の非肌対向面(外面)271のそれぞれに配置されてよい。また、バックシート27には、バックシート27の厚さ方向Tの全域に亘って植物油が付されていない貫通領域を有してよい。貫通領域は、例えば、繊維間の隙間Gが厚さ方向Tに連続している領域である。貫通領域では、バックシート27の厚さ方向Tの全域にわたって植物油が配置されてなく、バックシート27の平面全体にわたって植物油が配置されていない。バックシート27の平面全体にわたって植物油が配置されている構成と比較して、植物油が常に肌に触れ続け難く、植物油によるべたつきを抑制できる。貫通領域は、植物油を有する油層552を含むバックシート27における繊維55間の部分が厚さ方向に連続した部分、バックシート27の成形後に植物油を塗布する構成における植物油の非塗布領域によって構成される。
【0031】
バックシート27の外面271の植物油の坪量は、バックシート27の内面272の植物油の坪量よりも高い。着用者等がバックシート27に触れた際に、着用者等に植物油を転写でき、着用者等に対して植物油の効能を付与できる。バックシート27の内面272は、バックシート27よりも内側に位置する他の構成部材に接着剤を介して接合したり、他の構成部材に溶着されたりする。このとき、バックシート27の内面272の植物油の坪量が比較的低いため、植物油が配置されていることに起因して接着剤が接合し難い等の不具合を抑制できる。
【0032】
バックシートの外面の植物油の坪量及びバックシートの内面の植物油の坪量は、以下の方法によって比較できる。2枚の濾紙を用意し、それぞれにヘキサンを含侵させる。一方の濾紙をバックシートの外面に当て、他方の濾紙をバックシートの内面に当てて、2枚の濾紙のそれぞれにバックシートの植物油を移行する。濾紙に移行した植物油の坪量によって、バックシートの外面の植物油の坪量及びバックシートの内面の植物油の坪量を比較する。濾紙に移行した植物油の坪量は、周知の方法によって測定でき、例えば、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を用いることができる。なお、繊維処理剤に植物油が略均一に含まれている場合には、繊維処理剤の坪量を比較することによって、当該比較結果を植物油の比較結果に置きかえることができる。
【0033】
図4に示すように、バックシート27は、バックシート27の外面271から内側に延びる外側領域R11と、バックシート27の内面272から外側に延びる内側領域R12と、を有してよい。外側領域R11と内側領域R12は、隣接していてよい。本実施の形態の外側領域R11は、センターシート21Cの肌対向面から非肌面側T2に延び、内側領域R12は、外側領域R11よりも非肌面側T2に位置し、センターシート21Cの非肌対向面から肌面側T1に延びる。外側領域R11の平均繊維径は、内側領域R12の平均繊維径よりも小さい。すなわち、外側領域R11は、内側領域R12よりも平均繊維径が小さい領域である。外側領域R11は、内側領域R12と比較して、平均繊維径が比較的小さく、繊維の表面積が大きくなり易い。植物油が付着可能な表面積を確保し、外側領域R11の植物油の含有量を高めることができる。一方、内側領域R12は、外側領域R11と比較して、平均繊維径が比較的大きく、繊維間の空隙が大きくなり易い。内側領域R12に接する接着剤が繊維間の空隙に入り込み易くなり、接着剤による接着力を確保し易い。内側領域R12の厚さは、外側領域R11の厚さよりも厚くてよい。繊維間の空隙を確保し易い内側領域の厚さを大きくすることにより、接着剤を保持しやすく、接着剤による接着力をより確保し易い。
【0034】
なお、平均繊維径は、以下の方法によって測定できる。バックシートをはさみで10mm×10mmの寸法で切断する。切断したサンプルの外側領域が観察プレートに当接するように、観察プレート上にサンプルを載置する。デジタルマイクロスコープ VHX-7000/KEYENCEを用いて断面を観察し、サンプルを構成する繊維の繊維径を測定する。なお、繊維径は、切り出した10本の繊維の繊維径の平均値を採用する。外側領域R11と内側領域R12の境界は、切り出した10本の繊維径のうち8本以上の繊維径が異なる箇所としてよい。
【0035】
外側領域R11の平均繊維径は、1.7dtex以下であり、内側領域R12の平均繊維径は、3.3dtex以上であってよい。内側領域R12の平均繊維径が3.3dtex以上であって、比較的繊維径が大きいため、繊維間の空隙を確保し易い。また、外側領域R11の平均繊維径が1.7dtex以下であって、繊維径が比較的小さいため、繊維間の空隙が小さくなり易い。よって、内側領域R12の繊維間の空隙Gに浸入した体液及び接着剤が外側領域R11に移行し難い。よって、内側領域R12内で接着剤を保持し接着力を確保するとともに、内側領域R12内で体液を保持し、吸収性物品の外面へのリウェットを抑制できる。加えて、バックシート27が吸収性物品1の外面を構成する場合には、着用者等がバックシート27に触れた際に、柔らかく変形したり、滑らかな肌触りとなったり、着用者等が肌に優しい心証を持ちやすい。そのため、植物油の効能に加えて、肌に優しい吸収性物品1であることを着用者等が認識し易い。
【0036】
内側領域R12の厚さは、外側領域R11の厚さよりも厚くてよい。繊維間の空隙を確保し易い内側領域の厚さを大きくすることにより、厚さ方向の内側に引き込んだ体液を保持しやすく、体液の引き込み性も向上できる。好適には、バックシート27全体に対する内側領域R12の厚さの比率は、80%以上であってよい。繊維間の空隙をより確保し易く、接着剤よる接着力及び体液の引き込み性の向上効果をより奏することができる。内側領域R12の厚さ及び外側領域R11の厚さは、平均繊維径の測定方法と同様にデジタルマイクロスコープ VHX-7000/KEYENCEを用いて断面を観察し、厚さを測定する。
【0037】
外側領域R11の植物油の密度は、内側領域R12の植物油の密度よりも高くてよい。バックシート27の外側領域R11は、内側領域R12よりも厚さ方向Tの外側に位置しており、吸収性物品1の外面に近く、植物油の密度が高い。そのため、バックシート27が吸収性物品1の外面に配置されている場合には、着用者等がバックシート27に触れた際に、着用者等に植物油を転写でき、着用者等に対して植物油の効能を付与できる。また、バックシート27が吸収性物品1の外面よりも内側に配置されている(例えば、セカンドシート23の)場合には、吸収性物品1の外面が押圧された際に、吸収性物品1の外面に植物油が滲み出やすく、着用者等に対して植物油の効能を付与できる。植物油の密度が低い内側領域R12は、バックシート27の内面を構成し、バックシート27よりも内側に位置する他の構成部材(防漏フィルム、コアラップ、セカンドシート、弾性部材)に接触し、他の構成部材に接着剤を介して接合したり、他の構成部材に溶着されたりする。このとき、植物油の密度が比較的低いため、植物油が配置されていることに起因して接着剤が接合し難い等の不具合を抑制できる。
【0038】
内側領域R12の繊維の密度は、外側領域R11の繊維の密度よりも低くてよい。内側領域R12の繊維の密度が、外側領域R11の繊維の密度よりも低いため、繊維間の空隙Gを確保し易い。内側領域R12に接する接着剤が繊維間の空隙に入り込み易くなり、接着剤による接着力を確保し易い。加えて、バックシート27内に引き込んだ体液を保持しやすく、体液の引き込み性も向上できる。
【0039】
バックシート27の内面(肌対向面)には、弾性部材が接合され、植物油は、弾性部材と重なる領域に設けられてよい。弾性部材は、脚回り弾性部材67、腰回り弾性部材を例示できる。バックシート27の内面の植物油の坪量が低いため、弾性部材のバックシート27に対する接合状態を維持できる。また、弾性部材は、身体に対して密着する部分であり、着用者等は、当該弾性部材と身体の部位の位置を調整するために、弾性部材と重なる領域を触れ易い。弾性部材と重なる領域に弾性部材を配置することにより、弾性部材の位置を調整する操作の過程で着用者等が植物油に触れ易く、着用者等に対して植物油の効能を付与できる。
【0040】
油配置領域R31には、植物油を想起させる想起情報80が設けられてよい。想起情報80は、植物油を想起可能である文字、色、及びデザインの少なくともいずれかを含んでよい。想起情報80は、装着補助者が視覚又は触覚によって認識でき、装着補助者が視認した際に植物油を想起できる情報である。想起情報80は、吸収性物品1の外面に向けて配置されている。想起情報80が吸収性物品1の外面に向けられて配置されているため、装着補助者は、吸収性物品1の外面側から想起情報80を視認したり、吸収性物品1の外面に触れたりすることで、植物油を想起できる。植物油の存在を想起情報80によって装着補助者に知らせることができる。装着補助者に植物油を配合している実感を与えることができる。本実施の形態の想起情報80は、防漏シート26の非肌対向面に配置されており、バックシート27側から視認可能に構成されている。油配置領域R31が設けられた面において、想起情報80が視認可能であることが好ましい。装着補助者は、想起情報80によって植物油の存在を把握でき、植物油の効能をより感じやすくなる。また、バックシート27に油配置領域R31と非配置領域の両方が設けられた形態にあっては、想起情報80によって油配置領域R31を示してよい。装着補助者が油配置領域R31を把握し易く、植物油の機能をより発揮し易くなる。
【0041】
バックシート27は、植物油が塗布されていない非配置領域を有してよい。非配置領域は、ターゲット部95に設けられてよい。ファスニングテープ90が止着するターゲット部に植物油が配置されていないため、油分によってファスニングテープの係合力が低下することを抑制でき、ファスニングテープとターゲット部による止着状態を維持できる。好適には、非配置領域は、ターゲット部の少なくとも一部に設けられていてよいが、好適には、ターゲット部95の全域に亘って非配置領域が設けられてよい。非配置領域は、植物油を有する油層552を含むバックシート27における繊維55の部分、バックシート27の成形後に植物油を塗布する構成における植物油の非塗布領域によって構成される。
【0042】
油配置領域R31の少なくとも一部は、サイドフラップ45に設けられてよい。装着補助者は、一般的に、吸収性物品1を着用者に装着する際に、排泄口に当接するコア配置領域(コアが配置された領域)を掴むよりも、排泄口に当接しないサイドフラップ45を掴む傾向がある。また、装着補助者は、おむつを広げる際においても、サイドフラップを掴む。当該サイドフラップに油配置領域R31を設けることで、装着補助者が装着操作の過程で、バックシート27に触れ易く、植物油の存在を実感できる
【0043】
油配置領域R31は、トップシート21及びバックシート27のうちバックシート27のみに設けられてよい。すなわち、植物油は、トップシート21に設けられていなくてよい。トップシート21に植物油の油配置領域R31がないため、着用者に対して植物油に対するべたつきを抑えつつ、装着補助者に植物油の効能を付与できる。装着補助者は、新生児の肌に触れる成分について気にする傾向が強く、特に新生児用の吸収性物品において好適に使用できる。なお、変形例において、植物油は、トップシート21にも設けられていてよい。着用者に対して植物油の効能を付与できる。
【0044】
変形例において、バックシート27は、凸部と、凸部よりも厚さ方向Tに凹む凹部と、を有してよい。凸部及び凹部は、前後方向Lに延びており、幅方向Wに交互に配置されてよい。凸部は、吸収材料の坪量が凹部よりも高い部分であってもよいし、吸収材料の坪量が凹部と同じであるが、密度が凹部よりも低い部分であってもよい。植物油は、凸部及び凹部のそれぞれに配置されてよい。凸部の植物油は、装着補助者の肌に触れやすく、凹部の植物油は、凸部よりも凹んだ位置にあるため、装着補助者の肌に触れ難い。肌に触れやすい凸部に植物油を配置することで、バックシートの表面をなでたり、バックシートに僅かに触れたりした際に植物油を付与できる。また、肌に触れ難い凹部に植物油を配置することで、バックシートに触れつつ吸収性物品を把持したり、バックシートを押圧したりした際に植物油を付与できる。このように、凹部及び凸部の両方に植物油を配置することにより、装着補助者は、種々の場面で植物油に触れたり、段階的に植物油に触れたりでき、長時間に亘って植物油の効能を得ることができる。
【0045】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、植物油による効能を装着補助者に付与できる吸収性物品を提供できる。
【符号の説明】
【0047】
1:吸収性物品 、20:肌側シート、21:トップシート、21C:センターシート、21S:サイドシート、23:セカンドシート、25:非肌側シート、26:防漏シート、27:バックシート、31:吸収コア、45:サイドフラップ、70:インジケータ、90:ファスニングテープ、93:係止部、95:ターゲット部、S1:前胴回り域(第2胴回り域)、S2:後胴回り域(第1胴回り域)、S3:股下域、T:厚さ方向、T1:肌面側、T2:非肌面側、L:前後方向、W:幅方向、R11:外側領域、R12:内側領域、R31:油配置領域