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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】砕石移送装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 11/02 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
E02B11/02 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019156288
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2020037855
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2018163446
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年3月26日、福島県南相馬市の圃場にて本件出願人が本願発明に関する試験を実施。
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】596029085
【氏名又は名称】株式会社パディ研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 恒雄
(72)【発明者】
【氏名】若杉 晃介
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-037656(JP,A)
【文献】登録実用新案第3154659(JP,U)
【文献】特開2015-148050(JP,A)
【文献】登録実用新案第3179665(JP,U)
【文献】特開2015-086623(JP,A)
【文献】特開2011-094448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に形成された砕石投入溝内に砕石投入手段を介して砕石を投入するための砕石移送装置であって、前記砕石移送装置は、クローラダンプのフレーム上に傾動可能に設けられた荷台の上に着脱可能に設置される上方が開口した箱状の砕石搭載台と、該砕石搭載台から落下した砕石を前記砕石投入溝内に砕石を投入する砕石投入手段に移送するコンベヤとを備え、前記砕石搭載台は、荷台傾斜方向下端に開口した砕石落下口と、砕石搭載台上の砕石を前記砕石落下口に向けてガイドするガイド部材とを備え、前記荷台の後端には、前記コンベヤを支持するためのコンベヤ支持部材が設けられ、該コンベヤ支持部材は、前記荷台の後端縁と平行な方向で、軸線を中心として回動可能に設けられた主支持軸と、該主支持軸の複数箇所から下方に向かってそれぞれ突設された複数の垂下軸と、各垂下軸の下端部からそれぞれ水平方向に突設された複数の水平軸と、一端が前記クローラダンプのフレームに連結され、他端が前記主支持軸の端部に連結された主支持軸の回動防止部材とを備え、前記コンベヤは、複数の前記水平軸に着脱可能に支持され、コンベヤフレームにおけるコンベヤ搬送方向の基端部を前記砕石落下口の下方に配置したときに、コンベヤフレームの先端部が前記クローラダンプの側方に突出して前記砕石投入手段に砕石を移送する砕石搬送状態となり、前記コンベヤを前記砕石搬送状態にしてコンベヤを作動させた状態で、前記荷台を傾斜させて砕石搭載台上の砕石を砕石落下口からコンベヤの基端部に落下させることにより、コンベヤの先端部から前記砕石投入手段に砕石を移送する状態になることを特徴とする砕石移送装置。
【請求項2】
前記複数の垂下軸は、前記主支持軸の中央部から下方に向かって突設された第1垂下軸と、左右両端部の2箇所から下方に向かってそれぞれ突設された第2垂下軸及び第3垂下軸と、各垂下軸の下端部からそれぞれ水平方向に突設された第1水平軸、第2水平軸及び第3水平軸とを備え、前記コンベヤフレーム、コンベヤ搬送方向の基端部に設けられて前記第1水平軸を挿通可能な第1パイプ材と、コンベヤフレームの先端部に設けられて前記第2水平軸を挿通可能な第2パイプ材とを備え、前記第1パイプ材に前記第1水平軸を挿通するとともに、前記第2水平軸の上にコンベヤフレームの中間部を載置することによって前記砕石搬送状態となり、前記第2パイプ材に前記第2水平軸を挿通するとともに、前記第3水平軸の上にコンベヤフレームの基部側を載置することによってコンベヤ全体をクローラダンプの後方に配置した収納状態となることを特徴とする請求項1記載の砕石移送装置。
【請求項3】
前記砕石落下口は、前記砕石搭載台の荷台傾斜方向下端の幅方向一端側に開口していることを特徴とする請求項1又は2記載の砕石移送装置。
【請求項4】
前記砕石落下口は、該砕石落下口の開口量を調節可能な開閉扉を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の砕石移送装置。
【請求項5】
前記砕石投入手段は、走行体によって溝形成方向に向かって進行する溝形成部一体型の砕石投入装置であって、該砕石投入装置は、進行方向前部に設けられて先端が先鋭化されて地中に挿入された溝形成用ブレード部と、該溝形成用ブレード部の後部に連設された砕石投入部とを備え、該砕石投入部は、前記溝形成用ブレード部で形成した砕石投入溝内に挿入される投入部と、該投入部の上方に連設されて前記コンベヤの先端部からの砕石が投入されるホッパー部とを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の砕石移送装置。
【請求項6】
前記砕石投入手段は、前記クローラダンプのフレームに連結された牽引手段により、あらかじめ圃場に形成されている砕石投入溝に沿って移動する砕石投入器であって、該砕石投入器は、上方が拡開状態で開口したホッパー部と、該ホッパー部の下部に連接されて前
記砕石投入溝内に挿入される砕石投入部と、前記ホッパー部の両側に設けられて砕石投入溝内への砕石投入部の挿入量を規制する挿入量規制部とを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の砕石移送装置。
【請求項7】
前記コンベヤは、前記コンベヤフレームの先端部に、該コンベヤによって搬送された砕石がコンベヤ幅方向に散乱することを防止しながら砕石を前記ホッパー部に投入するための砕石スライダを備えていることを特徴とする請求項5又は6記載の砕石移送装置。
【請求項8】
前記砕石スライダは、コンベヤフレームの先端部に、上下方向に回動可能に設けられていることを特徴とする請求項7記載の砕石移送装置。
【請求項9】
前記砕石スライダは、中間部が屈曲可能に形成され、中間部より先端側が上方に向かって回動可能に形成されていることを特徴とする請求項7又は8記載の砕石移送装置。
【請求項10】
前記砕石投入手段は、あらかじめ圃場に形成されている砕石投入溝に沿って移動する砕石投入シュートであって、該砕石投入シュートは、基端部がコンベヤフレームの先端部に装着されて先端に向かって下り勾配を有し、先端部が砕石投入溝に挿入されるシュート部材と、該シュート部材の両側縁部にそれぞれ設けられた砕石ガイド部とを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の砕石移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砕石移送装置に関し、例えば、暗渠管を敷設したパイプ敷設溝内に砕石を投入する砕石投入手段に連続して砕石を供給するための砕石移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場の地中に暗渠管を埋設して圃場からの排水を行ったり、圃場の地下水位を調節することが行われている。暗渠管を敷設する機器として、掘削体によってパイプ敷設溝を掘削し、続けてパイプ敷設溝底部に暗渠管となるパイプを敷設した後、パイプ敷設溝内に通水性を有するとともに、圃場での耕作に悪影響を及ばさない籾殻や木材チップなどの疎水材チップを所定高さに投入する暗渠排水管敷設装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、パイプ敷設後のパイプ敷設溝に疎水材チップを投入する機器として、疎水材チップを積載した荷台の後部に疎水材チップ投入用のコンベヤを配置したチップ投入車が用いられている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-94448号公報
【文献】実用新案登録第3179665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された暗渠排水管敷設装置では、パイプを敷設したパイプ敷設溝内に疎水材チップを所定高さまで確実に投入することができるという利点は有しているものの、疎水材チップを貯留するホッパーの大きさに限界があるため、施工中に袋詰めされた疎水材チップを何回もホッパーに投入しなければならないという欠点があった。特に、疎水材チップとして籾殻や木材チップを使用する場合に比べて、砕石を使用する場合は、重量が嵩むため、ホッパーへの砕石の投入を人力で行うことは困難であり、作業性に大きな問題を生じていた。
【0005】
また、特許文献2に記載されたチップ投入車では、大量の疎水材チップを荷台に積載することができ、長い距離にわたって疎水材チップをパイプ敷設溝内に投入できるという利点は有しているものの、砕石を使用する場合は、重心が高い位置になってしまうため、畦畔の乗り越えなどの際に転倒するおそれがあり、進行速度やコンベヤの速度によって疎水材チップの高さがばらついてしまうという欠点があった。さらに、パイプ敷設溝内に、長期間にわたって良好な通水性を発揮できる砕石を投入する場合は、砕石が周囲に落下しないように注意しながら作業する必要があり、従来のチップ投入車では、対応が困難であった。
【0006】
そこで本発明は、砕石投入溝の長い距離にわたって所定量の砕石を移送して砕石投入手段に連続して供給できる砕石移送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の砕石移送装置は、圃場に形成された砕石投入溝内に砕石投入手段を介して砕石を投入するための砕石移送装置であって、前記砕石移送装置は、クローラダンプのフレーム上に傾動可能に設けられた荷台の上に着脱可能に設置される上方が開口した箱状の砕石搭載台と、該砕石搭載台から落下した砕石を前記砕石投入溝内に砕石を投入する砕石投入手段に移送するコンベヤとを備え、前記砕石搭載台は、荷台傾斜方向下端に開口した砕石落下口と、砕石搭載台上の砕石を前記砕石落下口に向けてガイドするガイド部材とを備え、前記荷台の後端には、前記コンベヤを支持するためのコンベヤ支持部材が設けられ、該コンベヤ支持部材は、前記荷台の後端縁と平行な方向で、軸線を中心として回動可能に設けられた主支持軸と、該主支持軸の複数箇所から下方に向かってそれぞれ突設された複数の垂下軸と、各垂下軸の下端部からそれぞれ水平方向に突設された複数の水平軸と、一端が前記クローラダンプのフレームに連結され、他端が前記主支持軸の端部に連結された主支持軸の回動防止部材とを備え、前記コンベヤは、複数の前記水平軸に着脱可能に支持され、コンベヤフレームにおけるコンベヤ搬送方向の基端部を前記砕石落下口の下方に配置したときに、コンベヤフレームの先端部が前記クローラダンプの側方に突出して前記砕石投入手段に砕石を移送する砕石搬送状態となり、前記コンベヤを前記砕石搬送状態にしてコンベヤを作動させた状態で、前記荷台を傾斜させて砕石搭載台上の砕石を砕石落下口からコンベヤの基端部に落下させることにより、コンベヤの先端部から前記砕石投入手段に砕石を移送する状態になることを特徴としている。
【0008】
特に本発明の砕石移送装置において、前記複数の垂下軸は、前記主支持軸の中央部から下方に向かって突設された第1垂下軸と、左右両端部の2箇所から下方に向かってそれぞれ突設された第2垂下軸及び第3垂下軸と、各垂下軸の下端部からそれぞれ水平方向に突設された第1水平軸、第2水平軸及び第3水平軸とを備え、前記コンベヤフレーム、コンベヤ搬送方向の基端部に設けられて前記第1水平軸を挿通可能な第1パイプ材と、コンベヤフレームの先端部に設けられて前記第2水平軸を挿通可能な第2パイプ材とを備え、前記第1パイプ材に前記第1水平軸を挿通するとともに、前記第2水平軸の上にコンベヤフレームの中間部を載置することによって前記砕石搬送状態となり、前記第2パイプ材に前記第2水平軸を挿通するとともに、前記第3水平軸の上にコンベヤフレームの基部側を載置することによってコンベヤ全体をクローラダンプの後方に配置した収納状態となることを特徴としている。
【0009】
さらに、前記砕石落下口が、前記砕石搭載台の荷台傾斜方向下端の幅方向一端側に開口していること、前記砕石落下口が、該砕石落下口の開口量を調節可能な開閉扉を備えていることを特徴としている。
【0010】
また、前記砕石投入手段は、走行体によって溝形成方向に向かって進行する溝形成部一体型の砕石投入装置であって、該砕石投入装置は、進行方向前部に設けられて先端が先鋭化されて地中に挿入された溝形成用ブレード部と、該溝形成用ブレード部の後部に連設された砕石投入部とを備え、該砕石投入部は、前記溝形成用ブレード部で形成した砕石投入溝内に挿入される投入部と、該投入部の上方に連設されて前記コンベヤの先端部からの砕石が投入されるホッパー部とを備えていることを特徴としている。
【0011】
前記砕石投入手段の別の形態としては、前記クローラダンプのフレームに連結された牽引手段により、あらかじめ圃場に形成されている砕石投入溝に沿って移動する砕石投入器であって、該砕石投入器は、上方が拡開状態で開口したホッパー部と、該ホッパー部の下部に連接されて前記砕石投入溝内に挿入される砕石投入部と、前記ホッパー部の両側に設けられて砕石投入溝内への砕石投入部の挿入量を規制する挿入量規制部とを備えていることを特徴としている。
【0012】
さらに、前記コンベヤは、前記コンベヤフレームの先端部に、該コンベヤによって搬送された砕石がコンベヤ幅方向に散乱することを防止しながら砕石を前記ホッパー部に投入するための砕石スライダを備えていること、前記砕石スライダは、コンベヤフレームの先端部に、上下方向に回動可能に設けられていること、前記砕石スライダは、中間部が屈曲可能に形成され、中間部より先端側が上方に向かって回動可能に形成されていることを特徴としている。
【0013】
また、前記砕石投入手段として、あらかじめ圃場に形成されている砕石投入溝に沿って移動する砕石投入シュートであって、該砕石投入シュートは、基端部がコンベヤフレームの先端部に装着されて先端に向かって下り勾配を有し、先端部が砕石投入溝に挿入されるシュート部材と、該シュート部材の両側縁部にそれぞれ設けられた砕石ガイド部とを備えているものを使用することもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の砕石移送装置によれば、コンベヤの先端部から砕石投入手段に砕石を移送可能な状態で、コンベヤを作動させるとともに、荷台をあらかじめ設定された角度に傾斜させることにより、砕石搭載台上の砕石を砕石落下口からコンベヤの基端部に落下させ、コンベヤの先端から砕石投入手段に砕石を移送することができ、砕石移送装置及び砕石投入手段をあらかじめ設定された速度で移動させることにより、砕石投入溝に所定量の砕石を連続して投入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の砕石移送装置の第1形態例を示す側面図である。
図2】同じくコンベヤ装着前の状態を示す砕石移送装置の背面図である。
図3】同じくコンベヤを収納状態で装着した状態を示す砕石移送装置の背面図である。
図4】同じくコンベヤを収納状態で装着した状態を示す要部の側面図である。
図5】同じくコンベヤを砕石搬送状態で装着した状態を示す砕石移送装置の背面図である。
図6】同じく荷台を傾斜させた施工中の状態を示す側面図である。
図7】コンベヤの先端部に装着した砕石スライダを介して砕石投入装置のホッパー部に砕石を移送している状態を示す背面図である。
図8】同じく平面図である。
図9】砕石スライダを装着したコンベヤの要部背面図である。
図10】砕石スライダを上下動させるウインチを設けた例を示す背面図である。
図11】砕石落下口に開閉扉を設けた例を示す側面図である。
図12】同じく荷台を傾斜させるとともに開閉扉を開いた施工中の状態を示す側面図である。
図13】本発明の砕石移送装置の第2形態例を示すもので、クローラダンプに牽引された砕石投入器に砕石を移送している状態を示す側面図である。
図14】同じく要部の背面図である。
図15】本発明の砕石移送装置の第3形態例を示すもので、コンベヤの先端部から砕石投入シュートを介して砕石投入溝に砕石を投入している状態を示す側面図である。
図16】同じく要部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至図6は、本発明の砕石移送装置の第1形態例を示している。本形態例に示す砕石移送装置11は、圃場に形成された砕石投入溝10内に投入する砕石を移送するためのものであって、この砕石移送装置11は、クローラダンプ12のフレーム12a上に傾動可能に設けられた荷台13上に着脱可能に設置される上方が開口した箱状の砕石搭載台14と、該砕石搭載台14から落下した砕石を砕石投入手段15に移送するコンベヤ16とを備えている。また、フレーム12aの前端部には、コンベヤ16の動力源となる小型発電機11aを搭載している。
【0017】
前記砕石搭載台14は、荷台傾斜方向下端の幅方向一端側に開口した砕石落下口17と、砕石搭載台14上の砕石を前記砕石落下口17に向けてガイドするガイド部材18とを備えている。この砕石搭載台14は、フレーム12aの後端部を回動中心とした荷台13の傾動に伴って前方が上昇し、搭載した砕石を後部に滑落させて砕石落下口17を通してコンベヤ16に落下させるように形成されている。
【0018】
また、前記荷台13の後端には、前記コンベヤ16を支持するためのコンベヤ支持部材19が設けられている。このコンベヤ支持部材19は、前記荷台13の後端縁と平行な方向で、軸線を中心として回動可能に設けられた主支持軸20と、該主支持軸20の中央部から下方に向かって突設された第1垂下軸21と、左右両端部の2箇所から下方に向かってそれぞれ突設された第2垂下軸22及び第3垂下軸23と、各垂下軸の21,22,23の下端部からそれぞれ水平方向に後方に向かって突設された第1水平軸24、第2水平軸25及び第3水平軸26と、荷台13の側縁と平行な方向に設けられて、前端が前記クローラダンプ12のフレーム12aの前端部に固定され、後端が前記主支持軸20の一端部に連結された主支持軸の回動防止部材27とを備えている。
【0019】
前記コンベヤ16は、コンベヤフレーム28の基端部28aに設けられて前記第1水平軸24を挿通可能な第1パイプ材29と、コンベヤフレーム28の先端部28bに設けられて前記第2水平軸25を挿通可能な第2パイプ材30とを備えている。そして、図3に示すように、前記第2パイプ材30に前記第2水平軸25を挿通するとともに、前記第3水平軸26の上にコンベヤフレーム28の基部側を載置することによってコンベヤ16の全体をクローラダンプ12の後方に配置した収納状態となり、図5に示すように、前記第1パイプ材29に前記第1水平軸24を挿通するとともに、前記第2水平軸25の上にコンベヤフレーム28の中間部を載置することにより、コンベヤ16の基端部16aを前記砕石落下口17の下方に配置してコンベヤ16の先端部16bをクローラダンプ12の側方に突出させて前記砕石投入手段15に砕石を移送する砕石搬送状態となるように形成されている。
【0020】
砕石投入溝10内への砕石の投入は、図6に示すように、前記コンベヤ16を前記砕石搬送状態にしてコンベヤ16を作動させた状態で、前記荷台13を傾斜させて砕石搭載台14上の砕石を砕石落下口17からコンベヤ16の基端部16aに落下させ、コンベヤ16の先端部16bから前記砕石投入手段15に砕石を移送することによって行われる。このとき、荷台13が傾斜しても、回動防止部材27によって主支持軸20の回動が防止されているので、荷台13の傾斜角度が変わったとしても各垂下軸が回動することはなく、各水平軸は、水平状態を保つようになっているので、施工中にコンベヤ16が幅方向(装置進行方向)に傾くことはなく、所定の搬送状態の姿勢を保持することができる。
【0021】
図7乃至図9は、前記形態例で示した砕石移送装置を使用した施工中の状態の一例を示している。本使用例で使用している砕石移送装置11では、コンベヤ16の先端下方に、コンベヤ16から落下した砕石がコンベヤ幅方向に散乱することを防止するとともに、砕石を砕石投入手段15に確実に落下させるための砕石スライダ31を設けている。この砕石スライダ31は、平板状の基板部の幅方向両側にガイド片31aをそれぞれ立設して断面コ字状に形成したものであって、基部側の下面に設けた係止部31bを前記第2パイプ材30に上下方向に回動可能かつ着脱可能に係止し、先端側を、コンベヤフレーム28の先端上部に設けた支持筒32に着脱可能に挿入された支持棒33の先端にチェーンなどの吊持部材33aを介して支持している。
【0022】
一方、本使用例で使用している前記砕石投入手段15は、図7及び図8に示すように、トラクタなどの走行体34aに牽引されて溝形成方向に向かって進行する溝形成部一体型の砕石投入装置34であって、この砕石投入装置34は、進行方向前部に設けられ、先端が先鋭化されて地中に挿入される溝形成用ブレード部35と、該溝形成用ブレード部35の後部に連設された砕石投入部36とを備えている。砕石投入部36は、前記溝形成用ブレード部35で形成した砕石投入溝10内に挿入される投入部36aと、該投入部36aの上方に連設されて前記コンベヤ16の先端部16bから落下する砕石を受けるための上方が拡がったホッパー部36bとで形成されている。
【0023】
砕石投入溝10内に砕石を投入する作業は、砕石投入装置34と前記荷台13を傾斜させた砕石移送装置11とを同じ速度で溝形成方向に走行させながら、砕石搬送状態としたコンベヤ16からホッパー部36bに砕石を移送することにより行われる。これにより、溝形成用ブレード部35で形成した砕石投入溝10内に砕石投入部36から砕石を連続して投入していくことができる。
【0024】
また、砕石投入前の準備段階で、砕石移送装置11と砕石投入装置34との位置関係において、コンベヤ16の先端をホッパー部36bから遠い位置に配置せざるを得ない場合でも、砕石スライダ31を取り外した状態で砕石移送装置11と砕石投入装置34との位置関係を設定した後、砕石スライダ31をコンベヤ16に装着することにより、ガイド片31aによって砕石の散乱を防止しながら、コンベヤ16によって移送された砕石を、砕石スライダ31を介して前記ホッパー部36b内に確実に投入可能な状態にできる。
【0025】
さらに、図10に示すように、前記砕石スライダ31をウインチ37によって上下動させることもできる。ウインチ37は、荷台13又は砕石搭載台14の後部に適宜なブラケットを介して支持することができ、ウインチ37と砕石スライダ31とは、複数のガイド38を介してワイヤ39で接続すればよい。これにより、砕石スライダ31の位置調節をウインチ37の操作によって容易に行うことができる。また、砕石投入装置34との位置関係によっては、図10に想像線で示すように砕石スライダ31をコンベヤ16の先端から下方に垂下させた状態にすることができ、さらに、砕石スライダ31の先端部31cのみを上方に屈曲可能に形成しておくことにより、砕石投入装置34との位置調節をより容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0026】
図11及び図12は、前記砕石落下口17に、該砕石落下口17の開口量、すなわち、砕石の落下量を調節可能な開閉扉40を設けた例を示している。開閉扉40は、上縁がヒンジ40aを介して砕石搭載台14に取り付けられており、開閉扉40の外面には、開閉扉40を閉じ方向に付勢するための錘部材41が設けられるとともに、開閉扉40を開き方向に作動させるためのウインチ42がワイヤ42aを介して設けられている。
【0027】
施工前の通常の状態では、錘部材41の作用で開閉扉40が閉じ状態に維持されており、施工中に砕石落下口17から砕石を落下させる際には、ウインチ42を作動させてワイヤ42aを巻き取ることにより、開閉扉40を開いていくことができる。開閉扉40の開き角度は、砕石投入溝10内に砕石を投入する際の砕石の投入量や砕石移送装置11の進行速度などの条件に応じて適宜決定すればよい。
【0028】
また、このような開閉扉40を設けることにより、砕石落下口17から落下した砕石がコンベヤ16を越えて後方に落下することも防止でき、施工前の移動中に砕石落下口17から砕石が落下することがないので、砕石搭載台14への砕石積載量を増加させることができる。さらに、錘部材41に代えて開閉扉40を閉じ方向に付勢するスプリングを用いることができ、開閉扉40の開閉をレバーなどを介して間接的に行うこともできる。
【0029】
図13及び図14は、本発明の砕石移送装置の第2形態例を示している。本形態例に示す砕石移送装置における砕石投入手段は、前記クローラダンプ12のフレーム12aに連結されたワイヤやロッドなどの牽引手段51により、あらかじめ圃場に形成されている砕石投入溝10に沿って移動する砕石投入器52を用いている。
【0030】
前記砕石投入器52は、上方が拡開状態で開口したホッパー部53と、該ホッパー部53の下部に連接されて前記砕石投入溝10内に挿入される砕石投入部54と、前記ホッパー部53の両側に設けられて砕石投入溝10内への砕石投入部54の挿入量を規制する挿入量規制部55とを備えている。
【0031】
砕石投入部54を砕石投入溝10内に挿入した砕石投入器52を牽引手段51でクローラダンプ12に連結した状態で、荷台13を傾斜させた砕石移送装置11を砕石投入溝10に沿って走行させながら、砕石搬送状態としたコンベヤ16からホッパー部53に砕石を移送することにより、砕石投入器52から砕石投入溝10内に砕石を投入していくことができる。また、本形態例では、コンベヤ16の先端部16bからの砕石をホッパー部53に確実に移送するため、コンベヤ16の先端部16bとホッパー部53と位置関係に対応させて中間部を下方に屈曲させた形状の砕石スライダ31を使用している。
【0032】
図15及び図16は、本発明の砕石移送装置の第3形態例を示している。本形態例に示す砕石移送装置における砕石投入手段は、あらかじめ圃場に形成されている砕石投入溝10に沿って移動する砕石投入シュート61を使用している。この砕石投入シュート61は、平板状のシュート部材62と、該シュート部材62の両側縁部にそれぞれ設けられた砕石ガイド部63,63と、前記シュート部材62の基端部に設けられて前記第2パイプ材30に回動可能に係合するコンベヤ係合部64とを備えている。
【0033】
本形態例では、下り勾配状態とした砕石投入シュート61の先端部61aを砕石投入溝10内に適当量挿入した状態で、砕石移送装置11を砕石投入溝10に沿って走行させることにより、砕石搬送状態としたコンベヤ16の先端部16bから落下した砕石を、砕石投入シュート61によって砕石投入溝10内に投入していくことができる。
【0034】
なお、各形態例では、前記砕石落下口を、砕石搭載台の荷台傾斜方向下端の幅方向一端側に開口させているが、幅方向中央に設けてもよい。また、コンベヤの装着手段も、コンベヤの長さなどの条件に応じてブラケットやアームなどを適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0035】
10…砕石投入溝、11…砕石移送装置、11a…小型発電機、12…クローラダンプ、12a…フレーム、13…荷台、14…砕石搭載台、15…砕石投入手段、16…コンベヤ、16a…基端部、16b…先端部、17…砕石落下口、18…ガイド部材、19…コンベヤ支持部材、20…主支持軸、21…第1垂下軸、22…第2垂下軸、23…第3垂下軸、24…第1水平軸、25…第2水平軸、26…第3水平軸、27…回動防止部材、28…コンベヤフレーム、28a…基端部、28b…先端部、29…第1パイプ材、30…第2パイプ材、31…砕石スライダ、31a…ガイド片、31b…係止部、31c…先端部、32…支持筒、33…支持棒、33a…吊持部材、34…砕石投入装置、34a…走行体、35…溝形成用ブレード部、36…砕石投入部、36a…投入部、36b…ホッパー部、37…ウインチ、38…ガイド、39…ワイヤ、40…開閉扉、40a…ヒンジ、41…錘部材、42…ウインチ、42a…ワイヤ、51…牽引手段、52…砕石投入器、53…ホッパー部、54…砕石投入部、55…挿入量規制部、61…砕石投入シュート、61a…先端部、62…シュート部材、63…砕石ガイド部、64…コンベヤ係合部
図1
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