(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用負極およびそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20230519BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20230519BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20230519BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20230519BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/38 Z
H01M4/587
H01M4/36 A
H01M4/36 E
(21)【出願番号】P 2021188031
(22)【出願日】2021-11-18
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0155918
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲ペ▼ 珠惠
(72)【発明者】
【氏名】安 元基
(72)【発明者】
【氏名】李 俊洪
(72)【発明者】
【氏名】丁 ▲ミン▼榮
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-071224(JP,A)
【文献】特表2015-537347(JP,A)
【文献】国際公開第2015/045385(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、
前記集電体の一面に形成され、第1負極活物質および線状導電材を含む第1負極活物質層と、
前記第1負極活物質層の一面に形成され、第2負極活物質
および点状導電材を含む第2負極活物質層と
を含
み、
前記第1負極活物質はSi-炭素の複合体を含む、リチウム二次電池用負極。
【請求項2】
前記線状導電材はカーボンナノチューブ、カーボン繊維、カーボンナノ繊維またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項3】
前記点状導電材はカーボンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、結晶質炭素またはこれらの組み合わせである、請求項
1または2に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項4】
前記第1負極活物質はSi-炭素の複合体および黒鉛の組み合わせである、請求項1から3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項5】
前記第2負極活物質はSi-炭素の複合体、黒鉛またはこれらの組み合わせである、請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項6】
前記第1負極活物質または前記第2負極活物質は結晶質炭素をさらに含む、請求項5に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項7】
前記第2負極活物質層の厚さは前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の全体厚さに対して1%~75%である、請求項1から6のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項による負極;
正極;および
電解質を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リチウム二次電池用負極およびそれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、ノートブックコンピュータ、電気自動車など電池を使用する電子機器の急速な普及に伴い小型軽量でかつ相対的に高容量の二次電池の需要が急速に増大している。特に、リチウム二次電池は軽量でエネルギー密度が高いので携帯機器の駆動電源として脚光を浴びている。そのため、リチウム二次電池の性能向上のための研究開発が活発に進められている。
【0003】
リチウム二次電池はリチウムイオンの挿入(intercalation)および脱離(deintercalation)が可能な活物質を含む正極および負極と、電解液を含む電池として、リチウムイオンが正極および負極で挿入/脱離されるときの酸化および還元反応によって電気エネルギーを生産する。
【0004】
リチウム二次電池の正極活物質としてはリチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物などのような遷移金属化合物が主に使用される。負極活物質としては天然黒鉛や人造黒鉛のような結晶質系炭素材料、または非晶質系炭素材料が使用され、シリコン系活物質が使用されことができる。
【0005】
最近、リチウム二次電池のエネルギー密度を向上させるために、負極活物質層を厚く形成しており、特にシリコン系活物質を使用して負極活物質層を二つの層に形成する試みが行われた。しかし、この場合は充放電時にシリコン系活物質の体積膨張および収縮による負極構造の崩壊などの問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は、優れた高率特性およびサイクル寿命の特性を有するリチウム二次電池用負極を提供する。
他の一実施形態は、前記負極を含むリチウム二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態は、集電体;前記集電体の一面に形成され、第1負極活物質および線状導電材を含む第1負極活物質層;および前記第1負極活物質層の一面に形成され、第2負極活物質を含む第2負極活物質層を含むリチウム二次電池用負極を提供する。
【0008】
前記線状導電材はカーボンナノチューブ、カーボン繊維、カーボンナノ繊維またはこれらの組み合わせであり得る。
【0009】
前記第2負極活物質層は点状導電材をさらに含み得る。
前記点状導電材はカーボンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、結晶質炭素またはこれらの組み合わせであり得る。
【0010】
前記第1負極活物質または前記第2負極活物質はSi-炭素の複合体、黒鉛またはこれらの組み合わせであり得る。また、前記第1負極活物質または前記第2負極活物質は結晶質炭素をさらに含み得る。
【0011】
前記第2負極活物質層の厚さは前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の全体厚さに対して1%~75%であり得る。
【0012】
他の一実施形態によれば、前記負極、正極および電解質を含むリチウム二次電池を提供する。
【0013】
一実施形態による負極活物質は、優れた高率特性およびサイクル寿命特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態によるリチウム二次電池用負極の構造を概略的に示す図である。
【
図2】一実施形態によるリチウム二次電池を概略的に示す図である。
【
図3】実施例1による第1負極活物質層に係るSEM写真である。
【
図4】実施例1による第2負極活物質層に係るSEM写真である。
【
図5】比較例1による第1負極活物質層に係るSEM写真である。
【
図6】実施例1および比較例1の半電池の各放電レートでの放電容量を示すグラフである。
【
図7】実施例1および比較例1の半電池の各充電レートでの充電容量を示すグラフである。
【
図8】
図7の充放電条件で充放電を実施した後、維持率を求めて示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する請求項の範疇によってのみ定義される。
【0016】
一実施形態によるリチウム二次電池用負極は、集電体およびこの集電体上に位置する第1負極活物質層とこの第1負極活物質層上に位置する第2負極活物質層を含む。
【0017】
前記第1負極活物質層は第1負極活物質と線状導電材を含み、前記第2負極活物質層は第2負極活物質を含み得る。また、前記第2負極活物質層は点状導電材をさらに含むことができる。
【0018】
このように、線状導電材を集電体と接する下部層である第1負極活物質層に使用する場合、充放電時負極の体積膨張を効果的に抑制することができ、特にこのような効果はセパレータと接する上部層である第2負極活物質層が点状導電材をさらに含む場合、より向上することができる。
【0019】
このような体積膨張抑制効果は下部に位置する線状導電材が負極活物質を取り囲むマトリックスの役割をすることにより得られる。また、充放電時負極活物質層の構造をよく維持できるため、長寿命を有することができる。
【0020】
さらに、線状導電材が電子移動距離を増加させることができ、負極活物質層の下部に位置した負極活物質もすべて充放電反応に参加でき、高率充放電性能を向上させることができる。
【0021】
点状導電材は負極活物質層で負極活物質と大きな面積で接触しているので、高率特性を向上させることができる。
【0022】
このような線状導電材を下部に使用することによる効果、また線状導電材と点状導電材を共に使用することによる効果は、線状導電材と点状導電材を混合して1層として使用する場合には点状導電材と線状導電材それぞれの効果を十分に得ることはできない。または線状導電材をセパレータと接する上部層である第2負極活物質層に使用し、点状導電材を電流集電体と接する下部層である第1負極活物質層に使用する場合には、充放電時第1負極活物質層の体積膨張が大きく発生し、点状導電材が活物質間の伝導性を付与する導電材の役割を十分に果たすことはできない。
【0023】
前記線状導電材はカーボンナノチューブ、カーボン繊維、カーボンナノ繊維またはこれらの組み合わせであり得る。前記カーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはこれらの組み合わせであり得る。
【0024】
前記線状導電材の平均長さは、30μm~100μmであり得、30μm~80μmであり得、30μm~50μmでもあり得る。また、前記線状導電材の幅は10nm~40nmであり得、10nm~30nmであり得、10nm~20nmでもあり得る。前記線状導電材の平均長さは完全な直線長さのみを意味するものではなく、負極活物質層内に存在する線状導電材の長軸に該当する長さであり得る。前記線状導電材として前記平均長さおよび幅を有するものを使用する場合、線状導電材が負極活物質とより容易に接触することができる。
【0025】
前記点状導電材はカーボンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、結晶質炭素またはこれらの組み合わせであり得る。前記結晶質炭素は人造黒鉛、天然黒鉛またはこれらの組み合わせであり得る。前記点状導電材の粒径は1nm~100nmであり得、10nm~80nmであり得、20nm~60nmでもあり得る。
【0026】
前記第1負極活物質または前記第2負極活物質は互いに同一または相異なってもよく、その例としてSi-炭素の複合体、黒鉛またはこれらの組み合わせであり得る。一実施形態によれば、前記負極活物質がSi-炭素の複合体を含む場合、線状導電材を第1負極活物質層に、点状導電材を第2負極活物質層に使用することによる利点をより一層効果的に得ることができるため適切である。これは充放電時Si-炭素の複合体の体積膨張が結晶質炭素に比べて大きいからである。
【0027】
前記Si-炭素の複合体はSi粒子および第1炭素系物質を含む複合体を含み得る。前記第1炭素系物質は非晶質炭素または結晶質炭素であり得る。前記複合体の具体的な例えば、Si粒子および第2炭素系物質が混合されたコアおよびこのコアを囲む第3炭素系物質を含み得る。前記第2炭素系物質および前記第3炭素系物質は同一または相異なってもよく、非晶質炭素または結晶質炭素であり得る。
【0028】
前記非晶質炭素はピッチカーボン、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェースピッチ炭化物、焼成されたコークス、炭素繊維またはこれらの組み合わせであり得、前記結晶質炭素は人造黒鉛、天然黒鉛またはこれらの組み合わせであり得る。
【0029】
前記Si粒子の粒径は10nm~30μmであり得、一実施形態によれば、10nm~1000nm、他の一実施形態によれば20nm~150nmであり得る。前記Si粒子の平均粒径が前記範囲に含まれる場合、充放電時に発生する体積膨張を抑制でき、充放電時に粒子破砕による伝導性経路(conductivepath)の断絶を防止できる。
【0030】
本明細書における粒径は粒子の平均粒径であり得る。この時、平均粒径とは、累積体積の体積で測定する粒径(D50)を意味する。このような粒径(D50)は本明細書で特に定義がない限り、粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径を意味する。
【0031】
平均粒子の大きさ(D50)測定は当業者に広く公知された方法で測定でき、例えば、粒度分析機(Particlesizeanalyzer)で測定するか、または透過電子顕微鏡(TransmissionElectronMicroscope)写真または走査電子顕微鏡(ScanningElectronMicroscope)写真で測定することもできる。他の方法としては、動的光散乱法(dynamiclight-scattering)を用いた測定装置を用いて測定し、データ分析を実施してそれぞれの粒子サイズ範囲に対して粒子数をカウントした後、これから計算して平均粒径(D50)値を得ることができる。
【0032】
前記Si-炭素の複合体がSi粒子および第1炭素系物質を含む場合、Si粒子の含有量は30重量%~70重量%であり得、一実施形態によれば、40重量%~50重量%であり得る。第1炭素系物質の含有量は70重量%~30重量%であり得、一実施形態によれば、60重量%~50重量%であり得る。Si粒子および第1炭素系物質の含有量が前記範囲に含まれる場合、高容量特性を奏することができる。
【0033】
前記Si-炭素の複合体がSi粒子および第2炭素系物質が混合されたコアおよびこのコアを囲む第3炭素系物質である場合、この第3炭素系物質は5nm~100nmの厚さで存在する。また、第3炭素系物質はSi-炭素の複合体全体100重量%に対して1重量%~50重量%であり得、Si粒子はSi-炭素の複合体全体100重量%に対して30重量%~70重量%であり得、第2炭素系物質はSi系物質全体100重量%に対して20重量%~69重量%であり得る。Si粒子、第3炭素系物質および第2炭素系物質の含有量が前記範囲に含まれる場合、放電容量に優れ、容量維持率が改善できるため適切である。
【0034】
一実施形態で、前記第1負極活物質または前記第2負極活物質は結晶質炭素をさらに含み得る。結晶質炭素は人造黒鉛、天然黒鉛またはこれらの組み合わせであり得る。
【0035】
第1負極活物質または第2負極活物質が結晶質炭素をさらに含む場合、結晶質炭素と前記Si-炭素複合体の混合比は1:1~20:1重量比であり得、1:1~19:1重量比であり得、1.5:1~19:1重量比でもあり得る。結晶質炭素とSi-炭素の複合体の混合比が前記範囲に含まれる場合、負極活物質の体積膨張をより効果的に抑制し、伝導度をより一層向上させることができる。
【0036】
一実施形態で、前記第2負極活物質層の厚さは前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の全体厚さに対して1%~75%であり得る。第2負極活物質層の厚さが前記範囲に含まれる場合、線状導電材が活物質間、または活物質と集電体の間に存在して互いに連結させるので、すなわち互いに接触領域をよく調節できるため、電子移動をより向上させることができる。
【0037】
前記第1負極活物質層で、前記線状導電材の含有量は第1負極活物質層全体100重量%に対して0.1重量%~5重量%であり得、0.1重量%~3重量%であり得、0.1重量%~2重量%でもあり得る。
【0038】
また、前記第2負極活物質層が点状導電材をさらに含む場合、前記点状導電材の含有量は第2負極活物質層全体100重量%に対して0.5重量%~5重量%であり得、0.5重量%~3重量%であり得、0.5重量%~2重量%でもあり得る。
【0039】
前記線状導電材と前記点状導電材の含有量がそれぞれ前記範囲に含まれる場合、線状導電材と点状導電材を使用することによる効果をよりよく得ることができる。
【0040】
一実施形態で、前記第1負極活物質層が線状導電材を含み、前記第2負極活物質層が点状導電材を含む場合、負極内に含まれた線状導電材と点状導電材全体100重量%に対して、線状導電材の含有量は20重量%~50重量%であり得る。このように、線状導電材は点状導電材重量の最小20重量%を使用しても負極活物質層の構造をよく維持でき、充放電時体積膨張を効果的に防止できるため、電池性能を向上させることができる。また、線状導電材は最大点状導電材と同量を使用でき、この場合、点状導電材を使用することによる高率特性効果をより増加させることができる。
【0041】
前記第1負極活物質層で、前記第1負極活物質の含有量は前記第1負極活物質層全体100重量%に対して95重量%~99.5重量%であり得る。また、前記第2負極活物質層で前記第2負極活物質の含有量は前記第2負極活物質層全体100重量%に対して95重量%~99.5重量%であり得る。
【0042】
また、前記第1負極活物質層はバインダをさらに含むことができる。第1負極活物質層バインダをさらに含む場合には、第1負極活物質層全体に対して、負極活物質を94重量%~98.5重量%、導電材(線状または点状導電材)を0.5重量%~5重量%、バインダを1重量%~5.5重量%で含み得る。
【0043】
前記第2負極活物質層もバインダをさらに含み得る。第2負極活物質層がバインダをさらに含む場合には、第2負極活物質層全体に対して、それぞれ負極活物質を94重量%~98.5重量%、導電材(線状または点状導電材)を0.5重量%~5重量%、バインダを1重量%~5.5重量%で含み得る。
【0044】
前記バインダは負極活物質粒子を互いによく付着させ、また、負極活物質を電流集電体によく付着させる役割をする。前記バインダとしては非水系バインダ、水系バインダまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0045】
前記非水系バインダとしては、エチレンプロピレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
前記水系バインダとしては、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリレーティッドスチレン-ブタジエンゴム(ABR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコールまたはこれらの組み合わせであり得る。
【0047】
前記負極バインダとして水系バインダを使用する場合、粘性を付与できるセルロース系化合物を増粘剤としてさらに含むことができる。このセルロース系化合物としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としてはNa、KまたはLiを使用することができる。このような増粘剤の使用含有量は負極活物質100重量部に対して0.1重量部~3重量部であり得る。
【0048】
前記電流集電体としては銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタニウム箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコートされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれるものを使用することができる。
【0049】
このような負極を
図1を参照して説明すると、一実施形態によれば、負極1は集電体3、第1負極活物質層5および第2負極活物質層7を含む。前記第1負極活物質層5は第1負極活物質5aと線状導電材5bを含み、前記第2負極活物質層7は第2負極活物質7aと点状導電材7bを含む。
【0050】
他の一実施形態は前記負極、正極および電解液を含むリチウム二次電池を提供する。
前記正極は電流集電体およびこの電流集電体に形成される正極活物質層を含む。
【0051】
前記正極活物質としてはリチウムの可逆的なインターカレーションおよび脱離が可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用することができる。具体的にはコバルト、マンガン、ニッケル、およびこれらの組み合わせから選ばれる金属とリチウムとの複合酸化物のうち1種以上を使用することができる。より具体的な例としては下記化学式のいずれか一つで表される化合物を使用することができる。LiaA1-bXbD2(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5);LiaA1-bXbO2-cDc(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05);LiaE1-bXbO2-cDc(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05);LiaE2-bXbO4-cDc(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05);LiaNi1-b-cCobXcDα(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.5,0<α≦2);LiaNi1-b-cCobXcO2-αTα(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.5,0<α<2);LiaNi1-b-cCobXcO2-αT2(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.5,0<α<2);LiaNi1-b-cMnbXcDα(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.5,0<α≦2);LiaNi1-b-cMnbXcO2-αTα(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2);LiaNi1-b-cMnbXcO2-αT2(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.5,0<α<2);LiaNibEcGdO2(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1);LiaNibCocMndGeO2(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0≦e≦0.1);LiaNibCocAldGeO2(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0≦e≦0.1);LiaNiGbO2(0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1);LiaCoGbO2(0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1);LiaMn1-bGbO2(0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1);LiaMn2GbO4(0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1);LiaMn1-gGgPO4(0.90≦a≦1.8,0≦g≦0.5);QO2;QS2;LiQS2;V2O5;LiV2O5;LiZO2;LiNiVO4;Li(3-f)J2(PO4)3(0≦f≦2);Li(3-f)Fe2(PO4)3(0≦f≦2);LiaFePO4(0.90≦a≦1.8)
【0052】
前記化学式において、AはNi、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;XはAl、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;DはO、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;EはCo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;TはF、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;GはAl、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;QはTi、Mo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;ZはCr、V、Fe、Sc、Y、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;JはV、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0053】
もちろんこの化合物の表面にコート層を有するものも使用でき、または前記化合物とコート層を有する化合物を混合して使用することもできる。このコート層はコーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネートおよびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも一つのコーティング元素化合物を含み得る。これらコート層をなす化合物は非晶質または結晶質であり得る。前記コート層に含まれるコーティング元素としてはMg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはこれらの混合物を使用することができる。コート層形成工程は前記化合物にこのような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えばスプレーコーティング、浸漬法など)によりコートできればいかなるコーティング方法を用いてもよく、これについては当該分野に従事する者によく理解される内容であるため詳しい説明は省略する。
【0054】
前記正極で、前記正極活物質の含有量は正極活物質層全体重量に対して90重量%~98重量%であり得る。
【0055】
一実施形態において、前記正極活物質層はバインダおよび導電材をさらに含むことができる。この時、前記バインダおよび導電材の含有量は正極活物質層全体重量に対してそれぞれ1重量%~5重量%であり得る。
【0056】
前記バインダは正極活物質粒子を互いによく付着させ、また、正極活物質を集電体によく付着させる役割をする。バインダの代表的な例としてはポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンゴム、アクリレーティッドスチレン-ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0057】
前記導電材は電極に導電性を付与するために用いられるものであり、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいかなるものを使用してもよい。導電材の例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀など金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料が挙げられる。
【0058】
前記集電体としてはAlを使用できるが、これに限定されるものではない。
前記電解液は非水性有機溶媒およびリチウム塩を含む。
【0059】
前記非水性有機溶媒は電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割をする。
【0060】
前記非水性有機溶媒としてはカーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒を使用することができる。
【0061】
前記カーボネート系溶媒としてはジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができる。前記エステル系溶媒としてはメチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、t-ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、デカノリド(decanolide)、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。前記エーテル系溶媒としてはジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができる。また、前記ケトン系溶媒としてはシクロヘキサノンなどを使用することができる。また、前記アルコール系溶媒としてはエチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが使用され、前記非プロトン性溶媒としてはR-CN(Rは炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合方向環またはエーテル結合を含み得る)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0062】
前記有機溶媒は単独または一つ以上混合して使用でき、一つ以上混合して使用する場合の混合比率は目的とする電池性能によって適宜調節でき、これは当該分野に従事する者には広く理解されることができる。
【0063】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用した方が良い。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは1:1~1:9の体積比で混合して使用することが優れた電解液の性能を奏する。
【0064】
前記有機溶媒は前記カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含み得る。この時、前記カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系有機溶媒は1:1~30:1の体積比で混合される。
【0065】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒としては下記化学式1の芳香族炭化水素系化合物が使用される。
【0066】
【0067】
(前記化学式1において、R1~R6は互いに同一または相異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、ハロアルキル基およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。)
【0068】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2-ジヨードベンゼン、1,3-ジヨードベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,2,3-トリヨードベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3-ジフルオロトルエン、2,4-ジフルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、2,3,4-トリフルオロトルエン、2,3,5-トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3-ジクロロトルエン、2,4-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロトルエン、2,3,4-トリクロロトルエン、2,3,5-トリクロロトルエン、ヨードトルエン、2,3-ジヨードトルエン、2,4-ジヨードトルエン、2,5-ジヨードトルエン、2,3,4-トリヨードトルエン、2,3,5-トリヨードトルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0069】
前記電解質は、電池寿命を向上させるために、ビニルエチルカーボネート、ビニレンカーボネートまたは下記化学式2のエチレンカーボネート系化合物を寿命向上添加剤としてさらに含み得る。
【0070】
【0071】
(前記化学式2において、R7およびR8は互いに同一または相異なり、水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO2)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選ばれ、前記R7とR8の少なくとも一つはハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO2)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選ばれるが、ただし、R7およびR8がすべて水素ではない。)
【0072】
前記エチレンカーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネートまたはフルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。このような寿命向上添加剤をさらに使用する場合、その使用量は適宜調節することができる。
【0073】
前記リチウム塩は有機溶媒に溶解し、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極の間のリチウムイオン移動を促進する役割を果たす物質である。このようなリチウム塩の代表的な例としてはLiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiN(SO2C2F5)2、Li(CF3SO2)2N、LiN(SO3C2F5)2、Li(FSO2)2N(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithiumbis(fluorosulfonyl)imide:LiFSI)、LiC4F9SO3、LiClO4、LiAlO2、LiAlCl4、LiPO2F2、LiN(CxF2x+1SO2)(CyF2y+1SO2)(ここで、xおよびyは自然数であり、例えば1~20の整数である)、リチウムジフルオロビスオキソラトホスフェート(lithiumdifluoro(bisoxolato)phosphate)、LiCl、LiI、LiB(C2O4)2(リチウムビスオキサラトボレート(lithiumbis(oxalato)borate:LiBOB)およびリチウムジフルオロ(オキソラト)ボレート(LiDFOB)からなる群より選ばれる一つまたは二つ以上を支持(supporting)電解塩として含む。リチウム塩の濃度は0.1M~2.0M範囲内で使用した方が良い。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度および粘度を有するので優れた電解質性能を有することができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0074】
リチウム二次電池の種類によって正極と負極の間にセパレータが存在してもよい。このようなセパレータとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライドまたはこれらの2層以上の多層膜が使用され、ポリエチレン/ポリプロピレン2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層セパレータなどのような混合多層膜が使用できるのはもちろんである。
【0075】
図2に本発明の一実施形態によるリチウム二次電池の分解斜視図を示した。一実施形態によるリチウム二次電池は角型であることを例として説明するが、本発明はこれに制限されるものではなく、円筒形、パウチ型など多様な形態の電池に適用することができる。
【0076】
図2を参照すると、一実施形態によるリチウム二次電池100は正極10と負極20の間にセパレータ30を介在し、巻き取られた電極組立体40と、前記電極組立体40が内蔵されるケース50を含み得る。前記正極10、前記負極20および前記セパレータ30は電解液(図示せず)に含浸されている。
【0077】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。下記したこのような実施例は本発明の一実施例だけであり、本発明は下記した実施例に限定されるものではない。
【0078】
実施例1
黒鉛およびSi-炭素複合体負極活物質(黒鉛86重量%、Si-炭素複合体14重量%)97.1重量%、炭素ナノチューブ(平均長さ:30μm~50μm、幅:10nm~20nm)線状導電材0.3重量%、カルボキシメチルセルロース0.9重量%およびスチレン-ブタジエンゴム1.7重量%を水の中で混合して第1負極活物質層スラリーを製造した。この時、前記Si-炭素複合体として人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面にソフトカーボンがコートされた形態のSi-炭素複合体を使用した。前記ソフトカーボンコート層の厚さは20nmであり、前記シリコン粒子の平均粒径(D50)は100nmであった。
【0079】
黒鉛負極活物質96.4重量%、デンカブラック(平均粒径:30nm~40nm)点状導電材1.0重量%、カルボキシメチルセルロース0.9重量%およびスチレン-ブタジエンゴム1.7重量%を水の中で混合して第2負極活物質層スラリーを製造した。
【0080】
前記第1負極活物質層スラリーおよび第2負極活物質層スラリーを銅箔集電体に同時に塗布して乾燥した。前記塗布工程で、第1負極活物質層スラリーが銅箔集電体に直接塗布されるように実施した。
【0081】
次に、得られた生成物に圧延工程を実施し、54μm厚さの第1負極活物質層および44μm厚さの第2負極活物質層が形成された負極を製造した。
【0082】
比較例1
黒鉛およびSi-炭素複合体負極活物質(黒鉛86重量%、Si-炭素複合体14重量%)96.4重量%、デンカブラック(平均粒径:30nm~40nm)点状導電材1.0重量%、カルボキシメチルセルロース0.9重量%およびスチレン-ブタジエンゴム1.7重量%を水の中で混合して第1負極活物質層スラリーを製造した。この時、前記Si-炭素複合体として人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面にソフトカーボンがコートされた形態のSi-炭素複合体を使用した。前記ソフトカーボンコート層の厚さは20nmであり、前記シリコン粒子の平均粒径(D50)は100nmであった。
【0083】
前記第1負極活物質層スラリーと同じ組成で、黒鉛負極活物質96.4重量%、デンカブラック(平均粒径:30nm~40nm)点状導電材1.0重量%、カルボキシメチルセルロース0.9重量%およびスチレン-ブタジエンゴム1.7重量%を水の中で混合して第2負極活物質層スラリーを製造した。
【0084】
前記第1負極活物質層スラリーおよび第2負極活物質層スラリーを銅箔集電体に同時に塗布し乾燥した。前記塗布工程で、第1負極活物質層スラリーが銅箔集電体に直接塗布されるように実施した。
【0085】
次に、得られた生成物に圧延工程を実施し、49μm厚さの第1負極活物質層および49μm厚さの第2負極活物質層が形成された負極を製造した。
【0086】
比較例2
黒鉛およびSi-炭素複合体負極活物質(黒鉛86重量%、Si-炭素複合体14重量%)97.1重量%、炭素ナノチューブ(平均長さ:30μm~50μm、幅:10nm~20nm)線状導電材0.3重量%、カルボキシメチルセルロース0.9重量%およびスチレン-ブタジエンゴム1.7重量%を水の中で混合して第1負極活物質層スラリーを製造した。この時、前記Si-炭素複合体として人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面にソフトカーボンがコートされた形態のSi-炭素複合体を使用した。前記ソフトカーボンコート層の厚さは20nmであり、前記シリコン粒子の平均粒径(D50)は100nmであった。
【0087】
黒鉛負極活物質97.1重量%、炭素ナノチューブ(平均長さ:30μm~50μm、幅:10nm~20nm)線状導電材0.3重量%、カルボキシメチルセルロース0.9重量%およびスチレン-ブタジエンゴム1.7重量%を水の中で混合して第2負極活物質層スラリーを製造した。
【0088】
前記第1負極活物質層スラリーおよび第2負極活物質層スラリーを銅箔集電体に同時に塗布し乾燥した。前記塗布工程で、第1負極活物質層スラリーが銅箔集電体に直接塗布されるように実施した。
【0089】
次に、得られた生成物に圧延工程を実施し、49μm厚さの第1負極活物質層および49μm厚さの第2負極活物質層が形成された負極を製造した。
【0090】
比較例3
黒鉛およびSi-炭素複合体負極活物質(黒鉛86重量%、Si-炭素複合体14重量%)96.4重量%、デンカブラック(平均粒径:30nm~40nm)点状導電材1.0重量%、カルボキシメチルセルロース0.9重量%およびスチレン-ブタジエンゴム1.7重量%を水の中で混合して第1負極活物質層スラリーを製造した。この時、前記Si-炭素複合体として人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面にソフトカーボンがコートされた形態のSi-炭素複合体を使用した。前記ソフトカーボンコート層の厚さは20nmであり、前記シリコン粒子の平均粒径(D50)は100nmであった。
【0091】
黒鉛負極活物質97.1重量%、炭素ナノチューブ(平均長さ:30μm~50μm、幅:10nm~20nm)線状導電材0.3重量%、カルボキシメチルセルロース0.9重量%およびスチレン-ブタジエンゴム1.7重量%を水の中で混合して第2負極活物質層スラリーを製造した。
【0092】
前記第1負極活物質層スラリーおよび第2負極活物質層スラリーを銅箔集電体に同時に塗布し乾燥した。前記塗布工程で、第1負極活物質層スラリーが銅箔集電体に直接塗布されるように実施した。
【0093】
次に、得られた生成物に圧延工程を実施し、49μm厚さの第1負極活物質層および49μm厚さの第2負極活物質層が形成された負極を製造した。
【0094】
実験例1)SEM測定
前記実施例1により製造された負極で、負極活物質層の側面SEM写真を測定した。第1負極活物質層に係るSEM写真を
図3の(a)および(b)に示し、第2負極活物質層に係るSEM写真を
図4に示した。
【0095】
図3の(a)は人造黒鉛領域であり、
図3の(b)はSi-炭素複合体の領域であり、線状導電材がすべて存在することが明確にわかる。さらに、
図4に示すように、第2負極活物質層には点状導電材が存在することを明確にわかる。
【0096】
また、前記比較例1の負極表面に係るSEM写真を
図5に示した。
図5に示すように、比較例1の負極表面にはSi-炭素複合体と人造黒鉛の表面にすべて点状導電材が分布していることがわかる。
【0097】
実験例2)レート特性の評価
*半電池の製造
前記実施例1および前記比較例1により製造された負極、リチウム金属対極および電解液を用いて、通常の方法で半電池を製造した。
【0098】
前記電解液としては1.5MLiPF6が溶解したエチレンカーボネートおよびエチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネート(20:10:70体積比)を使用した。
【0099】
前記半電池を0.2Cで4.25Vまで充電および0.2Cで2.8Vまで放電する充放電4回、0.2Cで4.25Vまで充電および0.5Cで2.8Vまで放電する充放電3回、0.2Cで4.25Vまで充電および1.0Cで2.8Vまで放電する充放電3回、0.2Cで4.25Vまで充電および1.5Cで2.8Vまで放電する充放電3回および0.2Cで4.25Vまで充電および2.0Cで2.8Vまで放電する充放電2回工程を実施した。また、各レート別に充電後、0.05Cまで定電圧(CV)で充電を実施した。各レート(C-rate)での放電容量を求めて、その結果を
図6に示した。
【0100】
また、半電池を0.2Cで4.25Vまで充電および0.2Cで放電する充放電4回、0.5Cで4.25Vまで充電および0.2Cで放電する充放電3回、1Cで4.25Vまで充電および0.2Cで放電する充放電3回、1.5Cで4.25Vまで充電および0.2Cで放電する充放電3回および2Cで4.25Vまで充電および0.2Cで放電する充放電2回工程を実施した。また、各レート別に充電後、0.05Cまで定電圧(CV)で充電を実施した。各レート(C-rate)での充電容量を求めて、その結果を
図7にそれぞれ示した。
【0101】
図6および
図7に示すように、実施例1の負極を含む電池のレート特性が比較例1より優れることがわかり、特に高率充電特性が非常に優れることがわかる。
【0102】
さらに、
図7の条件で充放電を実施し、各レートで最初の充電容量に対する最後の充電容量の比を求めて、その結果である維持率を
図8に示した。
図8に示すように、実施例1の負極を含む電池の充電維持率が1.0C以上の高率で比較例1より非常に優れることがわかる。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付する図面の範囲内で多様に変更して実施することができ、これもまた本発明の範囲に属するのは当然である。
【符号の説明】
【0104】
1 負極
3 集電体
5 第1負極活物質層
5a 第1負極活物質
5b 線状導電材
7 第2負極活物質層
7a 第2負極活物質
7b 点状導電材
10 正極
20 負極
30 セパレータ
40 電極組立体
50 ケース
100 リチウム二次電池