(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20230522BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
G01C21/36
G01C21/26 A
(21)【出願番号】P 2019153112
(22)【出願日】2019-08-23
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 智春
(72)【発明者】
【氏名】久木元 修
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩平
(72)【発明者】
【氏名】吉川 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】石黒 浩
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-137521(JP,A)
【文献】特開2019-139514(JP,A)
【文献】特開2001-289661(JP,A)
【文献】特開2000-222688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G08G 1/00 - 99/00
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置において、
前記車両の乗員であるドライバと前記ドライバ以外の同乗者の内、一方の乗員に対して第1通知を行う第1通知処理と、前記第1通知の後、他方の乗員に対して第2通知を行う第2通知処理と、を実行可能な通知処理部を備え、
前記通知処理部は、前記第2通知処理において、前記第1通知に対する前記一方の乗員の反応に応じ、前記第2通知の内容を決定
し、
前記第1通知及び前記第2通知は共通の提案に関わる通知であり、
前記第1通知処理及び前記第2通知処理では、互いに異なる内容にて前記提案に関わる前記第1通知及び前記第2通知を行う
ことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記通知処理部は、所定の通知トリガ条件が成立したときに、前記ドライバを説得対象として、前記提案の種類に応じ、前記ドライバ及び前記同乗者の内、何れに対して先に通知を行うのかを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記通知処理部は、最初に前記ドライバに対し前記提案に関する先行通知を行い、
前記先行通知に対し前記ドライバから賛同が得られなかったときには、前記先行通知の後に前記同乗者に対して前記第1通知を行った後、前記第1通知に対する前記同乗者の反応に応じ前記第2通知の内容を決定して、決定した内容による前記第2通知を前記ドライバに行い、
前記先行通知に対し前記ドライバから賛同が得られたときには、前記先行通知の後に前記第1通知を行わない
ことを特徴とする請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記通知処理部は、最初に前記同乗者に対し前記第1通知を行った後、前記第1通知に対する前記同乗者の反応に応じ前記第2通知の内容を決定して、決定した内容による前記第2通知を前記ドライバに行う
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記通知処理部は、所定の通知トリガ条件が成立したときに、前記同乗者を説得対象として、前記提案の種類に応じ、前記ドライバ及び前記同乗者の内、何れに対して先に通知を行うのかを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項6】
前記通知処理部は、最初に前記同乗者に対し前記提案に関する先行通知を行い、
前記先行通知に対し前記同乗者から賛同が得られなかったときには、前記先行通知の後に前記ドライバに対して前記第1通知を行った後、前記第1通知に対する前記ドライバの反応に応じ前記第2通知の内容を決定して、決定した内容による前記第2通知を前記同乗者に行い、
前記先行通知に対し前記同乗者から賛同が得られたときには、前記先行通知の後に前記第1通知を行わない
ことを特徴とする請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記通知処理部は、最初に前記ドライバに対し前記第1通知を行った後、前記第1通知に対する前記ドライバの反応に応じ前記第2通知の内容を決定して、決定した内容による前記第2通知を前記同乗者に行う
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の車載装置。
【請求項8】
前記第1通知及び前記第2通知では、前記提案に関わる特定の行動を促し又は示唆し、
前記特定の行動は、前記ドライバにおける運転の休憩又は前記同乗者における乗車の休憩である
ことを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の車載装置。
【請求項9】
前記通知処理部は、前記第2通知処理において、
前記第1通知に対する前記一方の乗員からの応答を認識できたときには、前記応答の内容に応じた内容にて前記第2通知を行い、
前記第1通知に対する前記一方の乗員からの応答を認識ができなかったときには、所定の内容にて前記第2通知を行う
ことを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される車載装置において、走行時間や現在地といった情報に基づき、システムから乗員に対し何らかの通知(例えば休憩提案の通知)を行う技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、車両に複数の乗員が乗車している場合にあっては、システムから乗員への通知に対し乗員間で意見が分かれることもあり、結局、乗員全体の合意が得られないことも多い。
【0005】
本発明は、事案に対する乗員全体の合意形成を支援する車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車載装置は、車両に搭載される車載装置において、前記車両の乗員であるドライバと前記ドライバ以外の同乗者の内、一方の乗員に対して第1通知を行う第1通知処理と、前記第1通知の後、他方の乗員に対して第2通知を行う第2通知処理と、を実行可能な通知処理部を備え、前記通知処理部は、前記第2通知処理において、前記第1通知に対する前記一方の乗員の反応に応じ、前記第2通知の内容を決定する構成(第1の構成)である。
【0007】
上記第1の構成に係る車載装置において、前記第1通知及び前記第2通知は共通の提案に関わる通知であり、前記第1通知処理及び前記第2通知処理では、互いに異なる内容にて前記提案に関わる前記第1通知及び前記第2通知を行う構成(第2の構成)であっても良い。
【0008】
上記第2の構成に係る車載装置において、前記通知処理部は、所定の通知トリガ条件が成立したときに、前記ドライバを説得対象として、前記提案の種類に応じ、前記ドライバ及び前記同乗者の内、何れに対して先に通知を行うのかを決定する構成(第3の構成)であっても良い。
【0009】
上記第3の構成に係る車載装置において、前記提案が第1種類の提案である場合、前記通知処理部は、最初に前記ドライバに対し前記第1種類の提案に関する先行通知を行い、前記第1種類の提案に対し前記ドライバから賛同が得られなかったときには、前記先行通知の後に前記同乗者に対して前記第1通知を行った後、前記第1通知に対する前記同乗者の反応に応じ前記第2通知の内容を決定して、決定した内容による前記第2通知を前記ドライバに行い、前記先行通知における前記第1種類の提案に対し前記ドライバから賛同が得られたときには、前記先行通知の後に前記第1通知を行わない構成(第4の構成)であっても良い。
【0010】
上記第3又は第4の構成に係る車載装置において、前記提案が第2種類の提案である場合、前記通知処理部は、最初に前記同乗者に対し前記第1通知を行った後、前記第1通知に対する前記同乗者の反応に応じ前記第2通知の内容を決定して、決定した内容による前記第2通知を前記ドライバに行う構成(第5の構成)であっても良い。
【0011】
上記第2の構成に係る車載装置において、前記通知処理部は、所定の通知トリガ条件が成立したときに、前記同乗者を説得対象として、前記提案の種類に応じ、前記ドライバ及び前記同乗者の内、何れに対して先に通知を行うのかを決定する構成(第6の構成)であっても良い。
【0012】
上記第6の構成に係る車載装置において、前記提案が第1種類の提案である場合、前記通知処理部は、最初に前記同乗者に対し前記第1種類の提案に関する先行通知を行い、前記第1種類の提案に対し前記同乗者から賛同が得られなかったときには、前記先行通知の後に前記ドライバに対して前記第1通知を行った後、前記第1通知に対する前記ドライバの反応に応じ前記第2通知の内容を決定して、決定した内容による前記第2通知を前記同乗者に行い、前記先行通知における前記第1種類の提案に対し前記同乗者から賛同が得られたときには、前記先行通知の後に前記第1通知を行わない構成(第7の構成)であっても良い。
【0013】
上記第6又は第7の構成に係る車載装置において、前記提案が第2種類の提案である場合、前記通知処理部は、最初に前記ドライバに対し前記第1通知を行った後、前記第1通知に対する前記ドライバの反応に応じ前記第2通知の内容を決定して、決定した内容による前記第2通知を前記同乗者に行う構成(第8の構成)であっても良い。
【0014】
上記第2~第8の構成の何れかに係る車載装置において、前記第1通知及び前記第2通知では、前記提案に関わる特定の行動を促し又は示唆し、前記特定の行動は、前記ドライバにおける運転の休憩又は前記同乗者における乗車の休憩である構成(第9の構成)であっても良い。
【0015】
上記第1~第9の構成の何れかに係る車載装置において、前記通知処理部は、前記第2通知処理において、前記第1通知に対する前記一方の乗員からの応答を認識できたときには、前記応答の内容に応じた内容にて前記第2通知を行い、前記第1通知に対する前記一方の乗員からの応答を認識ができなかったときには、所定の内容にて前記第2通知を行う構成(第10の構成)であっても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、事案に対する乗員全体の合意形成を支援する車載装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車載装置の構成図である。
【
図2】車載装置が車両に搭載される様子を示した図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る車載装置にて実行される4種類の通知シーケンスの説明図である。
【
図5】通知シーケンスにおける会話の参加者を示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_1に係り、通知シーケンス(SEQ_Aa)の第1具体例を示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_1に係り、通知シーケンス(SEQ_Aa)の第2具体例を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_2に係り、通知シーケンス(SEQ_Ab)の具体例を示す図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_3に係り、通知シーケンス(SEQ_Ba)の第1具体例を示す図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_3に係り、通知シーケンス(SEQ_Ba)の第2具体例を示す図である。
【
図11】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_4に係り、通知シーケンス(SEQ_Bb)の具体例を示す図である。
【
図12】本発明の第1実施形態に属する実施例EX1_5に係り、通知シーケンスの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の符号“Aa_N0”によって参照される先行通知は(
図4参照)、先行通知Aa_N0と表記されることもあるし、通知Aa_N0と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0019】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る車載装置1の構成図である。
図2に示す如く車載装置1は車両CRに搭載される。車両CRは路面上を走行可能な車両(自動車等)であれば任意である。車両CRの運転席からステアリングホイールに向かう向きを「前方」と定義し、車両CRのステアリングから運転席に向かう向きを「後方」と定義する。
【0020】
ここでは、
図3に示す如く、車両CRの内部に、運転席ST1と、助手席ST2と、運転席ST1及び助手席ST2の後方に設置された後部座席ST3と、が設置されているものとする。運転席ST1には車両CRの運転操作を行うドライバ(運転手)が着席する。ドライバは前を向いて運転席ST1に座っているものとし、ドライバから見て運転席ST1の左側に助手席ST2が設置される。助手席ST2にはドライバ以外の乗員が着席しうる。後部座席ST3にもドライバ以外の乗員が着席しうる。本実施形態において、乗員とは、特に記述なき限り、車両CRに搭乗している乗員を指す。車両CRに複数の乗員が搭乗しているとき、その内の一人の乗員がドライバであり、その他の乗員は同乗者である。同乗者は1以上の乗員から成る。
【0021】
車載装置1は、主制御部10、記録媒体20、車内カメラ31、車載センサ部32、GPS処理部33、計時部34、通信処理部35及びインターフェース装置40を備える。車載装置1の構成要素同士は、互いに直接接続されるか、或いは、車両CR内に形成されたCAN(Controller Area Network)を通じて接続される。
【0022】
車内カメラ31は、車両CRの内部に撮影範囲(視野)を持ち、自身の撮影範囲内の様子を所定のフレームレートで順次撮影して、撮影結果を示すカメラ画像の画像情報(画像データ)を生成し、生成したカメラ画像の画像情報(以下、カメラ画像情報と称する)を順次主制御部10に送る。尚、車両CRの外部に撮影範囲を持つカメラも車載装置1に設けられうる。
【0023】
車載センサ部32は、車両CRに設置された複数の車載センサから成り、各車載センサを用いて車両情報を生成する。車両情報は所定周期で順次生成され、取得された車両情報は順次主制御部10に送られる。車両情報は、車両CRの速度を表す車速情報、車両CRに設けられたアクセルペダルの踏み込み量を表すアクセル情報、車両CRに設けられたブレーキペダルの踏み込み量を表すブレーキ情報、及び、車両CRに設けられたステアリングホイールの操舵角を表す操舵角情報などを含む。
【0024】
GPS処理部33は、GPS(Global Positioning System)を形成する複数のGPS衛星からの信号を受信することで車両CRの位置(現在地)を検出し、検出位置を示す位置情報を生成する。車両CRの位置とは車両CRの存在位置を意味する。位置情報では、車両CRの位置(現在地)が、地球上における経度及び緯度によって表現される。位置情報は所定周期で順次生成され、生成された位置情報は順次主制御部10に送られる。
【0025】
計時部34は、現在の日付及び時刻を示す時刻情報を生成して主制御部10に送る。GPS処理部33の受信信号を用いて時刻情報が生成又は修正されても良い。
【0026】
通信処理部35は、車載装置1以外の装置(例えばネットワーク上におけるサーバ装置)と車載装置1との間で情報を送受信するための通信機能を備えた通信モジュールであり、その情報の送受信は例えば移動体通信回線を介して行われるものであって良い。車両CRの乗員が所有するスマートフォン等が通信処理部35として機能することがあっても良い。
【0027】
インターフェース装置40は、車載装置1と車両CRの乗員との間のマンマシンインターフェースであり、表示部41、操作部42、スピーカ43及びマイクロホン44を備える。
【0028】
表示部41は液晶ディスプレイパネル等にて構成される表示装置であり、主制御部10の制御の下で任意の画像を表示できる。操作部42は操作者から任意の操作の入力を受け付ける。操作者は車両CRの乗員である。表示部41及び操作部42によりタッチパネルが構成されていても良く、操作部42への操作はタッチパネルに対する操作であっても良い。スピーカ43は主制御部10(特に後述の通知処理部15)の制御の下で任意の音を出力する。マイクロホン44は、車両CRの内部における音を収音して収音した音を電気信号に変換することで音声信号を生成し、生成した音声信号を主制御部10に出力する。マイクロホン44の収音の対象は、主として乗員の発話による音声である。
【0029】
記録媒体20は任意の情報の読み書きが可能な任意の記録媒体である。主制御部10は、記録媒体20への情報の書き込みを制御する記録制御部としての機能を有し、記録媒体20に所望の情報を書き込むことができる。記録媒体20の記録内容には、地図情報21及び履歴情報22が含まれる。地図情報21は道路及び建造物の位置を示す地図の情報である。履歴情報22には車両CRの各乗員についての履歴情報が格納されている(詳細は後述)。
【0030】
主制御部10は、エージェント処理部11及びナビゲーション処理部12を備える他、車載装置1の各部位の動作を統括的に制御する機能を備える。主制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only memory)及びRAM(Random access memory)等にて構成され、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することでエージェント処理部11及びナビゲーション処理部12の機能が実現されて良い。
【0031】
エージェント処理部11は、車両CRの乗員とのコミュニケーションにより会話をしたり、車両CR内の機器の操作等を自律的に行ったりするエージェント機能を実現する。エージェント処理部11では人工知能を有する疑似人格であるソフトウェアエージェント(以下、エージェントと称する)が形成される。
【0032】
ここでは、エージェントと乗員との会話は音声による会話であるとする。つまり、エージェント処理部11は(換言すればエージェントは)、スピーカ43を用いて乗員に対して通知すべき内容を音声にて出力し、マイクロホン44を用いて乗員の発話内容を受け取る。但し、エージェントと乗員との会話は音声以外の情報の伝達により実現されても良い。即ち例えば、エージェント処理部11は(換言すればエージェントは)、表示部41を用いて乗員に対して通知すべき内容を映像(画像)として出力し、乗員による操作部42への入力内容に基づき乗員の意思を受け取っても良い。
【0033】
ナビゲーション処理部12は、車両CRの目的地までの車両CRの走行を支援するナビゲーション処理を行う。例えば、ナビゲーション処理部12は、車両CRの目的地が定まると目的地までの走行予定進路を設定して、地図情報21に基づく地図画像上に走行予定進路を重畳した映像を表示部41に表示する。
【0034】
エージェント処理部11は、エージェント機能を実現するための機能ブロックとして、音声認識部13、乗員検出部14及び通知処理部15を備える。
【0035】
音声認識部13は、マイクロホン44から出力される音声信号に基づき、乗員の発話内容を認識して文字列に変換する。エージェントは、ここで得られる文字列に基づき、乗員の発話内容を認識する。
【0036】
乗員検出部14は、車両CRの乗員が何人いるのか、車両CRの各乗員が車両CR内のどの席に座っているのか等を示す乗員管理情報を検出する。乗員検出部14は、乗員ごとに乗員が座っている席に対応付けて乗員の属性情報を検出しても良く、この場合、乗員ごとの属性情報が乗員管理情報に含められる。乗員ごとの属性情報は、例えば、乗員の性別、乗員の年齢又は年齢層を含む。
【0037】
乗員管理情報の検出方法は任意である。例えば、エージェントが、乗員管理情報を得るための質問(即ち例えば、車両CRの乗員が何人いるのか、車両CRの各乗員が車両CR内のどの席に座っているのか等の質問)を車両CRの乗員(例えばドライバ)に対して行い、その質問に対する回答内容から、乗員管理情報を検出しても良い。或いは例えば、車両CRの乗員が操作部42に対して乗員管理情報を入力することで、乗員検出部14にて乗員管理情報が検出されても良い。或いは例えば、乗員検出部14は、車内カメラ31からのカメラ画像情報に基づき、乗員管理情報を検出しても良い。
【0038】
通知処理部15は乗員に対する各種の通知を行うブロックである。注目すべき機能として、通知処理部15は乗員に対し各種の提案を行う機能を備える。この機能に関し、通知処理部15は、所定の通知トリガ条件の成立有無を判断し、通知トリガ条件が成立したときに説得対象を設定して説得対象に対する提案(提案事項)を発生させ、その提案への賛同を説得対象から得るための通知シーケンスを実行する。説得対象はドライバ及び同乗者の何れかであり、通知処理部15は、ドライバを説得対象とすることも、同乗者を説得対象とすることもできる。
【0039】
通知トリガ条件は、様々な指標に基づいて成否が判定される。通知トリガ条件は、例えば、現在の日付及び時刻、乗員の連続乗車時間、車内カメラ31から得られるカメラ画像情報、車載センサ部32から得られる車両情報、GPS処理部33から得られる位置情報(即ち車両CRの現在地)、地図情報21、履歴情報22又はネットワーク情報に基づいて、或いは、それらの組み合わせに基づいて、成否が判定される。ネットワーク情報とは、通信処理部35を用いてネットワーク上のサーバ装置等から得られる情報を指す。
【0040】
通知シーケンスにおける提案の内容は、通知シーケンスの実行の契機となる通知トリガ条件の内容に依存する。
【0041】
例えば、現在時刻が15時になると通知トリガ条件が成立するようにしても良く、この場合における提案の内容は“休憩をとること”である。また例えば、通知処理部15においてドライバ及び同乗者の連続乗車時間を計測し、連続乗車時間が2時間に達すると通知トリガ条件が成立するようにしても良い。この場合における提案の内容も“休憩をとること”である。通知処理部15は車両CRのエンジンの駆動状態や車内カメラ31のカメラ画像情報に基づき連続乗車時間を計測可能である。
【0042】
或いは例えば、車両CRの現在地と特定の場所(観光スポット等)との距離が所定距離以下となると通知トリガ条件が成立するようにしても良く、この場合における提案の内容は“特定の場所へ向かうこと”である。
【0043】
通知トリガ条件は、乗員の要求に基づいて成立することがあっても良い。例えば、ドライバが操作可能なドライバ用休憩ボタンが操作部42に設けられている場合において、ドライバによりドライバ用休憩ボタンを押下する操作が入力された場合、通知トリガ条件が成立するようにしても良い。ドライバは休憩を望む場合にドライバ用休憩ボタンを押下することができる。また例えば、同乗者が操作可能な同乗者用休憩ボタンが操作部42に設けられている場合において、同乗者により同乗者用休憩ボタンを押下する操作が入力された場合、通知トリガ条件が成立するようにしても良い。同乗者は休憩を望む場合に同乗者用休憩ボタンを押下することができる。ドライバ用休憩ボタン又は同乗者用休憩ボタンの押下操作に伴って通知トリガ条件が成立したときの提案の内容は“休憩をとること”である。
【0044】
図4を参照し、通知シーケンスについて説明する。説得対象及び提案の種類に応じ、通知シーケンスの手順が異なってくる。
【0045】
[ドライバが説得対象の場合]
ドライバが説得対象とされる場合、通知シーケンスにおける提案は、種類Aaの提案又は種類Abの提案である。種類Aaの提案は、種類Abの提案よりも相対的に、ドライバから賛同が得られやすいと推定される提案である。逆に、種類Abの提案は、種類Aaの提案よりも相対的に、ドライバから賛同が得られにくいと推定される提案である。
【0046】
通知処理部15は、ドライバを説得対象とする通知シーケンスにおける提案が種類Aa及びAbの何れに属するのかの判断及び分類を、履歴情報22に基づいて行うことができる。
【0047】
単純な例を挙げる。過去の第1タイミングでの通知シーケンスにおいてドライバに或る提案(便宜上、提案SJ_AT1と称する)を行ったときのドライバの反応は、履歴として、エージェント処理部11により履歴情報22に格納される。この格納を経た現タイミングにおいて提案SJ_AT1と同じ内容の提案SJ_AT2を行う通知シーケンスを実行する際、履歴情報22に基づき、過去の提案SJ_AT1に対してドライバが賛同していたならば提案SJ_AT2は種類Aaに分類され、過去の提案SJ_AT1に対してドライバが賛同していなかったならば提案SJ_AT2は種類Abに分類される。
【0048】
実際には、提案SJ_AT1と同じ提案を行う過去の複数回における通知シーケンスでのドライバの反応の履歴、及び、その過去の複数回において通知シーケンスが行われたときの条件(時間帯や連続乗車時間等の条件)と現タイミングにおいて新たに通知シーケンスが行われるときの条件との一致性及び類似性等が考慮された上で、種類Aa及びAbの分類判断が行われる。
【0049】
尚、ドライバに対して一度も提案したことのない新規の提案を、ドライバを説得対象とする通知シーケンスで行う場合、その新規の提案は種類Abに分類されて良い。新規の提案に対して、ドライバがどのような反応を示すのかが不明だからである。
【0050】
通知処理部15は、ドライバを説得対象とする通知シーケンスにおける提案が種類Aa及びAbの何れに属するのかの判断及び分類を、履歴情報22以外の情報に基づいて行うこともでき、例えばネットワーク情報に基づいて行っても良い。例えば、通知処理部15は、特定の観光スポットに向かうこと(即ち特定の観光スポットへ立ち寄ること)を提案する場合、特定の観光スポットを好む人間の属性情報をネットワーク情報として取得し、そのネットワーク情報と、乗員検出部14にて検出されたドライバの属性情報(性別、年齢層等)との比較から、特定の観光スポットに向かうという提案が種類Aa及びAbの何れに属するのかを判断して良い。また、ドライバを説得対象とする通知シーケンスにおける提案が種類Aa及びAbの何れに属するのかの判断及び分類を、同乗者の属性情報を考慮して行っても良い。また、ドライバの属性情報及び同乗者の属性情報の内、少なくとも一方を考慮して、ドライバを説得対象とする通知シーケンスにおける提案の内容を決定しても良い。尚、ネットワーク情報は、車両CRとは別の車両に搭載された車載装置(車載装置1と同等の車載装置)における履歴情報を含みうる。
【0051】
この他、ドライバを説得対象とする通知シーケンスにおける提案が種類Aa及びAbの何れに属するのかの判断及び分類は、車載装置1の設計者が有する事前情報に基づいて決定されて良い。
【0052】
また、上記同乗者用休憩ボタンが操作部42に設けられている場合において、上記同乗者用休憩ボタンを押下する操作が入力されたときには、ドライバが説得対象に設定され、このときに実行される通知シーケンスの提案は種類Abに分類されると良い。同乗者が休憩を望む場合に同乗者用休憩ボタンが押下されるが、このとき、ドライバが休憩をとることに賛同するかどうかは不明だからである。
【0053】
ドライバが説得対象とされる場合において、通知シーケンスにおける提案が種類Aaの提案の場合、通知シーケンスとして通知シーケンスSEQ_Aaが実行される。
【0054】
通知シーケンスSEQ_Aaは通知処理部15にて実行される通知Aa_N0、Aa_N1及びAa_N2から成る。1つの通知シーケンスSEQ_Aaにおいて、通知Aa_N0、Aa_N1及びAa_N2は共通の提案に関わる通知であるが、互いに異なる内容を有する。通知シーケンスSEQ_Aaでは最初にドライバに対し通知が行われ、この最初の通知が通知Aa_N0である。通知Aa_N0は、ドライバに対し種類Aaの提案への賛同を求める先行通知である。通知処理部15は、その先行通知Aa_N0における種類Aaの提案に対しドライバから賛同が得られなかったときには、先行通知Aa_N0の後に同乗者に対して通知Aa_N1を行った後、通知Aa_N1に対する同乗者の反応に応じ通知Aa_N2の内容を決定して、決定した内容による通知Aa_N2をドライバに行う。但し、通知シーケンスSEQ_Aaにおいて、先行通知Aa_N0における種類Aaの提案に対しドライバから賛同が得られたときには、通知処理部15は、先行通知Aa_N0の後に通知Aa_N1を行うことなく通知シーケンスSEQ_Aaを終了する。
【0055】
通知シーケンスSEQ_Aaにおいて、通知Aa_N1は、先行通知Aa_N0の段階でドライバから賛同が得られなかった場合に実行されるが、このときの通知Aa_N1は、同乗者を使ってドライバを説得することを目的に実施される。通知シーケンスSEQ_Aaにおいて、通知Aa_N1の後に実行される通知Aa_N2は、同乗者の反応に応じた内容の通知であり、同乗者の反応を参考にしてドライバが考えを改める可能性がある。通知シーケンスSEQ_Aaにおける通知Aa_N2は、通知シーケンスSEQ_Aaにおける提案に対し改めて賛同を求める又は賛同へ誘導するような、ドライバへの確認の意味合いを持つ。
【0056】
このような通知シーケンスSEQ_Aaを用いることで、初期にドライバが提案を拒絶したとしても、同乗者の意見を参考に考えが改められる可能性があり、乗員全体の合意が得られやすくなる。また、種類Aaの提案はドライバから賛同が得られやすいと推定される提案であるため、先行通知Aa_N0の段階でドライバから賛同が得られる可能性も高い。通知シーケンスSEQ_Aaでは、先行通知Aa_N0により最初にドライバに通知を行うようにしているため、提案に対する賛同を得るという目的が短時間で達成されやすくなり、効率的である。
【0057】
ドライバが説得対象とされる場合において、通知シーケンスにおける提案が種類Abの提案の場合、通知シーケンスとして通知シーケンスSEQ_Abが実行される。
【0058】
通知シーケンスSEQ_Abは通知処理部15にて実行される通知Ab_N1及びAb_N2から成る。1つの通知シーケンスSEQ_Abにおいて、通知Ab_N1及びAb_N2は共通の提案に関わる通知であるが、互いに異なる内容を有する。通知シーケンスSEQ_Abでは最初に同乗者に対し通知が行われ、この最初の通知が通知Ab_N1である。通知シーケンスSEQ_Abにおいて、通知処理部15は、同乗者に対して通知Ab_N1を行った後、通知Ab_N1に対する同乗者の反応に応じ通知Ab_N2の内容を決定して、決定した内容による通知Ab_N2をドライバに行う。
【0059】
通知Ab_N1は、同乗者を使ってドライバを説得することを目的に実施される。種類Abの提案はドライバから賛同されにくい傾向があるため、ドライバから先に通知を行っても提案が無下に拒絶される可能性が高い。そこで、通知シーケンスSEQ_Abでは、まず同乗者から提案に関わる意見を取得し、その意見を反映した通知Ab_N2を行う。通知Ab_N2は、通知シーケンスSEQ_Abにおける提案に対し賛同へ誘導するような、ドライバへの確認の意味合いを持つ。
【0060】
このような通知シーケンスSEQ_Abを用いることで、ドライバから賛同されにくい傾向のある提案であっても、最終的にドライバから賛同が得られやすくなり(提案に対する賛同を得るという目的が達成されやすくなり)、結果、乗員全体の合意が得られやすくなる。
【0061】
[同乗者が説得対象の場合]
同乗者が説得対象とされる場合、通知シーケンスにおける提案は、種類Baの提案又は種類Bbの提案である。種類Baの提案は、種類Bbの提案よりも相対的に、同乗者から賛同が得られやすいと推定される提案である。逆に、種類Bbの提案は、種類Baの提案よりも相対的に、同乗者から賛同が得られにくいと推定される提案である。
【0062】
通知処理部15は、同乗者を説得対象とする通知シーケンスにおける提案が種類Ba及びBbの何れに属するのかの判断及び分類を、履歴情報22に基づいて行うことができる。
【0063】
単純な例を挙げる。過去の第1タイミングでの通知シーケンスにおいて同乗者に或る提案(便宜上、提案SJ_BT1と称する)を行ったときの同乗者の反応は、履歴として、エージェント処理部11により履歴情報22に格納される。この格納を経た現タイミングにおいて提案SJ_BT1と同じ内容の提案SJ_BT2を行う通知シーケンスを実行する際、履歴情報22に基づき、過去の提案SJ_BT1に対して同乗者が賛同していたならば提案SJ_BT2は種類Baに分類され、過去の提案SJ_BT1に対して同乗者が賛同していなかったならば提案SJ_BT2は種類Bbに分類される。
【0064】
実際には、提案SJ_BT1と同じ提案を行う過去の複数回における通知シーケンスでの同乗者の反応の履歴、及び、その過去の複数回において通知シーケンスが行われたときの条件(時間帯や連続乗車時間等の条件)と現タイミングにおいて新たに通知シーケンスが行われるときの条件との一致性及び類似性等が考慮された上で、種類Ba及びBbの分類判断が行われる。
【0065】
尚、同乗者に対して一度も提案したことのない新規の提案を、同乗者を説得対象とする通知シーケンスで行う場合、その新規の提案は種類Bbに分類されて良い。新規の提案に対して、同乗者がどのような反応を示すのかが不明だからである。
【0066】
通知処理部15は、同乗者を説得対象とする通知シーケンスにおける提案が種類Ba及びBbの何れに属するのかの判断及び分類を、履歴情報22以外の情報に基づいて行うこともでき、例えばネットワーク情報に基づいて行っても良い。例えば、通知処理部15は、特定の観光スポットに向かうこと(即ち特定の観光スポットへ立ち寄ること)を提案する場合、特定の観光スポットを好む人間の属性情報をネットワーク情報として取得し、そのネットワーク情報と、乗員検出部14にて検出された同乗者の属性情報(性別、年齢層等)との比較から、特定の観光スポットに向かうという提案が種類Ba及びBbの何れに属するのかを判断して良い。また、同乗者を説得対象とする通知シーケンスにおける提案が種類Ba及びBbの何れに属するのかの判断及び分類を、ドライバの属性情報を考慮して行っても良い。また、ドライバの属性情報及び同乗者の属性情報の内、少なくとも一方を考慮して、同乗者を説得対象とする通知シーケンスにおける提案の内容を決定しても良い。尚、ネットワーク情報は、車両CRとは別の車両に搭載された車載装置(車載装置1と同等の車載装置)における履歴情報を含みうる。
【0067】
この他、同乗者を説得対象とする通知シーケンスにおける提案が種類Ba及びBbの何れに属するのかの判断及び分類は、車載装置1の設計者が有する事前情報に基づいて決定されて良い。
【0068】
また、上記ドライバ用休憩ボタンが操作部42に設けられている場合において、上記ドライバ用休憩ボタンを押下する操作が入力されたときには、同乗者が説得対象に設定され、このときに実行される通知シーケンスの提案は種類Bbに分類されると良い。ドライバが休憩を望む場合にドライバ用休憩ボタンが押下されるが、このとき、同乗者が休憩をとることに賛同するかどうかは不明だからである。
【0069】
同乗者が説得対象とされる場合において、通知シーケンスにおける提案が種類Baの提案の場合、通知シーケンスとして通知シーケンスSEQ_Baが実行される。
【0070】
通知シーケンスSEQ_Baは通知処理部15にて実行される通知Ba_N0、Ba_N1及びBa_N2から成る。1つの通知シーケンスSEQ_Baにおいて、通知Ba_N0、Ba_N1及びBa_N2は共通の提案に関わる通知であるが、互いに異なる内容を有する。通知シーケンスSEQ_Baでは最初に同乗者に対し通知が行われ、この最初の通知が通知Ba_N0である。通知Ba_N0は、同乗者に対し種類Baの提案への賛同を求める先行通知である。通知処理部15は、その先行通知Ba_N0における種類Baの提案に対し同乗者から賛同が得られなかったときには、先行通知Ba_N0の後にドライバに対して通知Ba_N1を行った後、通知Ba_N1に対するドライバの反応に応じ通知Ba_N2の内容を決定して、決定した内容による通知Ba_N2を同乗者に行う。但し、通知シーケンスSEQ_Baにおいて、先行通知Ba_N0における種類Baの提案に対し同乗者から賛同が得られたときには、通知処理部15は、先行通知Ba_N0の後に通知Ba_N1を行うことなく通知シーケンスSEQ_Baを終了する。
【0071】
通知シーケンスSEQ_Baにおいて、通知Ba_N1は、先行通知Ba_N0の段階で同乗者から賛同が得られなかった場合に実行されるが、このときの通知Ba_N1は、ドライバを使って同乗者を説得することを目的に実施される。通知シーケンスSEQ_Baにおいて、通知Ba_N1の後に実行される通知Ba_N2は、ドライバの反応に応じた内容の通知であり、ドライバの反応を参考にして同乗者が考えを改める可能性がある。通知シーケンスSEQ_Baにおける通知Ba_N2は、通知シーケンスSEQ_Baにおける提案に対し改めて賛同を求める又は賛同へ誘導するような、同乗者への確認の意味合いを持つ。
【0072】
このような通知シーケンスSEQ_Baを用いることで、初期に同乗者が提案を拒絶したとしても、ドライバの意見を参考に考えが改められる可能性があり、乗員全体の合意が得られやすくなる。また、種類Baの提案は同乗者から賛同が得られやすいと推定される提案であるため、先行通知Ba_N0の段階で同乗者から賛同が得られる可能性も高い。通知シーケンスSEQ_Baでは、先行通知Ba_N0により最初に同乗者に通知を行うようにしているため、提案に対する賛同を得るという目的が短時間で達成されやすくなり、効率的である。
【0073】
同乗者が説得対象とされる場合において、通知シーケンスにおける提案が種類Bbの提案の場合、通知シーケンスとして通知シーケンスSEQ_Bbが実行される。
【0074】
通知シーケンスSEQ_Bbは通知処理部15にて実行される通知Bb_N1及びBb_N2から成る。1つの通知シーケンスSEQ_Bbにおいて、通知Bb_N1及びBb_N2は共通の提案に関わる通知であるが、互いに異なる内容を有する。通知シーケンスSEQ_Bbでは最初にドライバに対し通知が行われ、この最初の通知が通知Bb_N1である。通知シーケンスSEQ_Bbにおいて、通知処理部15は、ドライバに対して通知Bb_N1を行った後、通知Bb_N1に対するドライバの反応に応じ通知Bb_N2の内容を決定して、決定した内容による通知Bb_N2を同乗者に行う。
【0075】
通知Bb_N1は、ドライバを使って同乗者を説得することを目的に実施される。種類Bbの提案は同乗者から賛同されにくい傾向があるため、同乗者から先に通知を行っても提案が無下に拒絶される可能性が高い。そこで、通知シーケンスSEQ_Bbでは、まずドライバから提案に関わる意見を取得し、その意見を反映した通知Bb_N2を行う。通知Bb_N2は、通知シーケンスSEQ_Bbにおける提案に対し賛同へ誘導するような、同乗者への確認の意味合いを持つ。
【0076】
このような通知シーケンスSEQ_Bbを用いることで、同乗者から賛同されにくい傾向のある提案であっても、最終的に同乗者から賛同が得られやすくなり(提案に対する賛同を得るという目的が達成されやすくなり)、結果、乗員全体の合意が得られやすくなる。
【0077】
以下、第1実施形態に属する実施例EX1_1~EX1_6の中で、各通知シーケンスの具体例や応用技術等を説明する。尚、以下に示す各通知シーケンスの具体例では、
図5に示す如く(
図3も参照)、車両CRに、運転席ST1に座るドライバと後部座席ST3に座る二人の同乗者との計3人の人間が乗車しているものとする。
図5及び後述の
図6~
図12の夫々にて図示される人型オブジェクトの内、斜線ハッチングが付された人型オブジェクトはドライバを表し、ハッチングが付されていない人型オブジェクトは同乗者を表す。
図5及び後述の
図6~
図12では、助手席ST2に対応する位置にエージェントを実現する車載装置1の概略的な外観が示されている。通知処理部15が行う通知はエージェントが行う通知であり、上述したように、ここでは、エージェントとドライバ及び同乗者との会話は音声による会話であることを想定する。会話を行うエージェントは、実体としては通知処理部15又はエージェント処理部11により実現されるので、以下の説明文において、エージェントを通知処理部15又はエージェント処理部11に読み替えても良い。
【0078】
[実施例EX1_1]
実施例EX1_1を説明する。実施例EX1_1では通知シーケンスSEQ_Aaの具体例を説明する。
図6及び
図7に通知シーケンスSEQ_Aaの第1及び第2具体例を示す。これらの具体例における提案は休憩をとることであり、エージェントによる通知610、611、612が、夫々、
図4の通知Aa_N0、Aa_N1、Aa_N2に相当する。
【0079】
図6及び
図7の各例において、エージェントがドライバに対し「そろそろ15時です。コーヒーでも飲んで休憩しませんか?」という通知610を行う。
【0080】
図6の例では、通知610に対しドライバが「うん、そうしよう。」という応答発話620を行う。この場合、応答発話620は提案に対する賛同の意を表すので、エージェントは、通知シーケンスSEQ_Aaにおける提案に対しドライバから賛同が得られたと判断して、通知シーケンスSEQ_Aaを終了させる。この後、続いて目的地設定フローが実行されても良い。目的地設定フローでは、乗員とエージェントとの対話を適宜利用して休憩を行う場所が目的地に設定される。目的地の設定後、ナビゲーション処理が実行される。
【0081】
図7の例では、通知610に対しドライバが「いや、まだいいだろう。」という応答発話630を行う。この場合、応答発話630は提案に対する賛同の意を表さないので、エージェントは、通知610による提案に対しドライバから賛同が得られなかったと判断して、応答発話630の後、同乗者に対し「後部座席の皆さん。休憩で停まったとしたらコーヒーと紅茶だとどっちを飲みますか?」という通知611を行う。
【0082】
図7の例では、通知611に対し同乗者の一人が「コーヒーかなぁ。」という応答発話631を行う。そうすると、エージェントは、応答発話631の内容に基づき、次にドライバに対して行う通知の内容を決定し、決定した内容による通知612をドライバに対して行う。「コーヒーかなぁ。」という応答発話631に対しては、「ドライバさん。コーヒーを飲みたいらしいですよ。少し休憩しませんか?」という通知612を行う。特に図示しないが、仮に例えば、応答発話631が「紅茶かなぁ。」という内容であったならば、エージェントは、例えば「ドライバさん。紅茶を飲みたいらしいですよ。少し休憩しませんか?」という通知612をドライバに対して行う。
【0083】
図7の例では、通知612を受けてドライバが考えを改め、「それじゃ、休憩しようか。」という応答発話632を行う。応答発話632は提案に対する賛同の意を表すので、エージェントは、通知シーケンスSEQ_Aaにおける提案に対しドライバから賛同が得られたと判断して、通知シーケンスSEQ_Aaを終了させる。この後、目的地設定フローが実行されて良い。
【0084】
[実施例EX1_2]
実施例EX1_2を説明する。実施例EX1_2では通知シーケンスSEQ_Abの具体例を説明する。
図8に通知シーケンスSEQ_Abの具体例を示す。この具体例における提案は休憩をとることであり、エージェントによる通知661、662が、夫々、
図4の通知Ab_N1、Ab_N2に相当する。
【0085】
図8の例において、エージェントが同乗者に対し「後部座席の皆さんに、プチ情報です。トイレを我慢すると、膀胱炎になりやすいことはご存知かと思います。その他、肝臓の働きが低下するため、ホルモンバランスが乱れ、肌荒れやむくみにもつながるのですよ。なので、こまめなトイレ休憩は重要なのです。」という通知661を行う。
【0086】
図8の例では、通知661に対し同乗者の一人が「えっ、そうなの。嫌だな。そういえば長いことトイレに行っていないな。」という応答発話671を行う。そうすると、エージェントは、応答発話671の内容に基づき、次にドライバに対して行う通知の内容を決定し、決定した内容による通知662をドライバに対して行う。上記内容の応答発話671に対しては、「ドライバさん。皆さん、嫌って言っていますね。少し休憩した方がいいのでは?」という通知662をドライバに対して行う。特に図示しないが、仮に例えば、応答発話671が「ちょうど、トイレに行きたいと思っていたんだ。」という内容であったならば、エージェントは、例えば「ドライバさん。トイレに行きたい人がいるみたいですよ。近くのパーキングエリアで休憩しましょう。」という通知662をドライバに対して行う。
【0087】
図8の例では、通知662を受けてドライバが、「そうだな。それじゃ、休憩しようか。」という応答発話672を行う。応答発話672は提案に対する賛同の意を表すので、エージェントは、通知シーケンスSEQ_Abにおける提案に対しドライバから賛同が得られたと判断して、通知シーケンスSEQ_Abを終了させる。この後、目的地設定フローが実行されて良い。
【0088】
尚、上記通知661から始まる通知シーケンスSEQ_Abは、同乗者による上記同乗者用休憩ボタンの押下を契機にして行われることがあって良い。或る同乗者が休憩を取りたいと考えてはいるが、車内全体の雰囲気から、それを言い出しにくいとき、エージェントが会話の中に入ることで、休憩をとるという乗員全体の合意がまとまりやすくなると考えられる。
【0089】
[実施例EX1_3]
実施例EX1_3を説明する。実施例EX1_3では通知シーケンスSEQ_Baの具体例を説明する。
図9及び
図10に通知シーケンスSEQ_Baの第1及び第2具体例を示す。これらの具体例における提案は休憩をとることであり、エージェントによる通知710、711、712が、夫々、
図4の通知Ba_N0、Ba_N1、Ba_N2に相当する。
【0090】
図9及び
図10の各例において、エージェントが同乗者に対し「後部座席のみなさん、次のパーキングエリアで休憩しませんか。」という通知710を行う。
【0091】
図9の例では、通知710に対し同乗者の一人が「いいね。行こう。」という応答発話720を行う。この場合、応答発話720は提案に対する賛同の意を表すので、エージェントは、通知シーケンスSEQ_Baにおける提案に対し同乗者から賛同が得られたと判断して、通知シーケンスSEQ_Baを終了させる。この後、続いて目的地設定フローが実行されても良い。
【0092】
図10の例では、通知710に対し同乗者の一人が「いや、休憩はまだいいかな。」という応答発話730を行う。この場合、応答発話730は提案に対する賛同の意を表さないので、エージェントは、通知710による提案に対し同乗者から賛同が得られなかったと判断して、応答発話730の後、ドライバに対し「ドライバさん。次のパーキングエリアで休憩するとしたらコーヒーと紅茶のどっちがいいですか?」という通知711を行う。
【0093】
図10の例では、通知711に対しドライバが「コーヒーかなぁ。」という応答発話731を行う。そうすると、エージェントは、応答発話731の内容に基づき、次に同乗者に対して行う通知の内容を決定し、決定した内容による通知712を同乗者に対して行う。「コーヒーかなぁ。」という応答発話731に対しては、「後部座席の皆さん、ドライバさんはコーヒーが飲みたいそうです。次のパーキングエリアで休憩しましょう。」という通知712を行う。特に図示しないが、仮に例えば、応答発話731が「紅茶かなぁ。」という内容であったならば、エージェントは、例えば「後部座席の皆さん、ドライバさんは紅茶が飲みたいそうです。次のパーキングエリアで休憩しましょう。」という通知712を同乗者に対して行う。
【0094】
図10の例では、通知712を受けて同乗者が考えを改め、「それじゃ、休憩にしましょう。」という応答発話732を行う。応答発話732は提案に対する賛同の意を表すので、エージェントは、通知シーケンスSEQ_Baにおける提案に対し同乗者から賛同が得られたと判断して、通知シーケンスSEQ_Baを終了させる。この後、目的地設定フローが実行されて良い。
【0095】
[実施例EX1_4]
実施例EX1_4を説明する。実施例EX1_4では通知シーケンスSEQ_Bbの具体例を説明する。
図11に通知シーケンスSEQ_Bbの具体例を示す。この具体例における提案は休憩をとることであり、エージェントによる通知761、762が、夫々、
図4の通知Bb_N1、Bb_N2に相当する。
【0096】
図11の例において、エージェントがドライバに対し「ドライバさん。次のパーキングエリアで休憩するとしたらコーヒーと紅茶のどっちがいいですか?」という通知761を行う。
【0097】
図11の例では、通知761に対しドライバが「コーヒーかなぁ。」という応答発話771を行う。そうすると、エージェントは、応答発話771の内容に基づき、次に同乗者に対して行う通知の内容を決定し、決定した内容による通知762を同乗者に対して行う。上記内容の応答発話771に対しては、「後部座席の皆さん、ドライバさんはコーヒーが飲みたいそうです。次のパーキングエリアで休憩しましょう。」という通知762を同乗者に対して行う。特に図示しないが、仮に例えば、応答発話771が「紅茶かなぁ。」という内容であったならば、エージェントは、例えば「後部座席の皆さん、ドライバさんは紅茶が飲みたいそうです。次のパーキングエリアで休憩しましょう。」という通知762を同乗者に対して行う。
【0098】
図11の例では、通知762を受けて同乗者が、「いいね、行こう。」という応答発話772を行う。応答発話772は提案に対する賛同の意を表すので、エージェントは、通知シーケンスSEQ_Bbにおける提案に対し同乗者から賛同が得られたと判断して、通知シーケンスSEQ_Bbを終了させる。この後、目的地設定フローが実行されて良い。
【0099】
尚、上記通知761から始まる通知シーケンスSEQ_Bbは、ドライバによる上記ドライバ用休憩ボタンの押下を契機にして行われることがあって良い。ドライバが休憩を取りたいと考えてはいるが、車内全体の雰囲気から、それを言い出しにくいとき、エージェントが会話の中に入ることで、休憩をとるという乗員全体の合意がまとまりやすくなると考えられる。
【0100】
[実施例EX1_5]
実施例EX1_5を説明する。通知シーケンスSEQ_Aa、SEQ_Ab、SEQ_Ba及びSEQ_Bbにおいてエージェントが行う各通知は説得対象から提案への賛同を取り付けることを目的としており、実施例EX1_1~EX1_4に示した各具体例では最終的に賛同が得られているが、各通知に対して通知を受けた乗員が拒絶の意を示すこともあるし、エージェントからの通知を無視することもある。また、エージェントからの通知に対し乗員から応答発話があったにもかかわらず、音声認識の失敗により、エージェントが乗員による応答発話の内容を認識できないこともある。
【0101】
これらの何れの場合においても、実行中の通知シーケンスが途切れないように又は違和感が生じないように、エージェントが最後まで通知シーケンスを継続する。
【0102】
これの具体例を
図12に示す。
図12は、
図7に示した通知シーケンスSEQ_Aaの第2具体例の変形を示しており、エージェントが通知611を発するまでの流れは実施例EX1_1で示した通りである。
図12の例では、通知611に対し同乗者の一人が「どっちも嫌だ。」という応答発話631’を行う。エージェントは、応答発話631’の内容に基づき、次にドライバに対して行う通知の内容を決定し、決定した内容による通知612’をドライバに対して行う。通知612’は
図4の通知Aa_N2に相当する。「どっちも嫌だ。」という応答発話631’に対しては、「そうなんですねぇ。私は、コーヒーが良いです。ということで、ドライバさん、休憩しませんか?」という通知612’をドライバに対して行う。
【0103】
図12の例では、通知612’に応答してドライバが「うーん。まだいいよ。」という応答発話632’を行う。応答発話632’は提案に対する賛同の意を表さないので、エージェントは、通知シーケンスSEQ_Aaにおける提案に対しドライバから賛同が得られなかったと判断して、通知シーケンスSEQ_Aaを終了させる。このとき、例えば、「休憩は大事ですよ。休みたい時には、声をかけてくださいね。」という内容の通知613を行ってから通知シーケンスSEQ_Aaを終了させる。
【0104】
図12の例において、仮に、通知611に対し同乗者が何も発話しなかった場合、或いは、通知611に対し同乗者から応答発話があったにもかかわらず音声認識の失敗によりエージェントが同乗者による応答発話の内容を認識できなかった場合にも、エージェントは上述の通知612’を行うことができる。エージェントは、通知611の完了後、所定時間(例えば30秒)経過しても同乗者による応答発話の内容を認識できなかったとき上述の通知612’を行えば良い。また、仮に、通知612’に対しドライバが何も発話しなかった場合、或いは、通知612’に対しドライバから応答発話があったにもかかわらず音声認識の失敗によりエージェントがドライバによる応答発話の内容を認識できなかった場合にも、エージェントは上述の通知613を行う。エージェントは、通知612’の完了後、所定時間(例えば30秒)経過してもドライバによる応答発話の内容を認識できなかったとき上述の通知613を行えば良い。
【0105】
図7に示した通知シーケンスSEQ_Aaの第2具体例を基準に実施例EX1_5に係る技術を説明したが、実施例EX1_5に係る技術は、通知シーケンスSEQ_Aa、SEQ_Ab、SEQ_Ba及びSEQ_Bbの何れに対しても適用される。
【0106】
即ち、通知シーケンスSEQ_Aa、SEQ_Ab、SEQ_Ba及びSEQ_Bbの内、何れか任意の通知シーケンスにおいて、エージェントが通知対象者に対して対象通知を行った場合において、
通知対象者が対象通知に対して拒絶の意を示す応答発話を行ったとき、
通知対象者が対象通知とかみ合わない応答発話を行ったとき、
通知対象者が対象通知を無視して何も発話をしなかったとき、及び、
通知対象者が対象通知に対して何らかの応答発話を行ったものの音声認識の失敗によりエージェントが通知対象者による応答発話の内容を認識できなかったときの何れのときにおいても、エージェントは通知シーケンスにおける通知を継続する。この際、通知シーケンスにおける提案に対して説得対象から賛同の意が得られるよう、通知シーケンスにおける通知を継続すると良い。
【0107】
ここで通知対象者はドライバ又は同乗者である。説明の便宜上、対象通知という用語を導入したが、上述の通知Aa_N0、Aa_N1、Aa_N2、Ab_N1、Ab_N2、Ba_N0、Ba_N1、Ba_N2、Bb_N1及びBb_N2を含む、通知シーケンスSEQ_Aa、SEQ_Ab、SEQ_Ba及びSEQ_Bbを構成する何れの通知も上記対象通知に該当しうる。
【0108】
音声認識の成功/失敗に関して言えば、エージェント(通知処理部15)は、ドライバとしての乗員と同乗者としての乗員の内の一方の乗員に対し、対象通知(例えば
図7及び
図12の通知611)を行った場合において、対象通知に対する一方の乗員からの応答(例えば
図7の応答発話631)を認識できたときには、応答の内容に応じた内容にて対象通知の次の通知(例えば
図7の通知612)を他方の乗員に対して行い、対象通知に対する一方の乗員からの応答を認識できなかったときには、所定の内容にて対象通知の次の通知(例えば
図12の通知612’)を他方の乗員に対して行う。
例えば、通知Aa_N1、Ab_N1、Ba_N1、Bb_N1が対象通知(第1通知)であると考えた場合には、対象通知の次の通知(第2通知)は、夫々、通知Aa_N2、Ab_N2、Ba_N2、Bb_N2である。
【0109】
これにより、仮に音声認識に失敗したとしても、音声認識に失敗したという意識が乗員にもたれにくくなる。
【0110】
上記所定の内容は、通知対象者の意思を代弁するような内容であると良い。上記所定の内容は、対象通知に対する一方の乗員からの応答を認識できたときに他方の乗員に対して行われる通知の内容と異なっていても良い。
【0111】
また、対象通知も、対象通知の次の通知も、通知シーケンスにおける提案に関わる通知であるので、提案に対して説得対象から賛同の意が得られるような表現の通知であると良い。尚、音声認識の精度が低い場合にあっては、通知対象者(ドライバ又は同乗者)が対象通知に対して何を答えたとしても、会話が成立するような内容を対象通知の内容とすると良い。
【0112】
[実施例EX1_6]
実施例EX1_6を説明する。通知処理部15が、通知シーケンスSEQ_Aa、SEQ_Ab、SEQ_Ba又はSEQ_Bbにて発する提案は、ドライバ及び乗員が特定の行動を行うことを促す提案である。
【0113】
故に、通知シーケンスSEQ_Aa、SEQ_Ab、SEQ_Ba及びSEQ_Bbの内、何れか任意の通知シーケンスにおいて、エージェントが通知対象者に対して対象通知を行う場合において、対象通知は、提案に関わる特定の行動を促す又は示唆する通知であると良い。通知対象者及び対象通知の意義は実施例EX1_5で述べた通りである。特定の行動の代表例は休憩である。休憩とは、ドライバにとっては運転の休憩であり、同乗者にとっては乗車の休憩である。但し、提案に関わる特定の行動は、休憩以外でも良く、例えば上述したように特定の場所(観光スポット等)へ向かうという行動であっても良い。
【0114】
エージェントが通知対象者に対して対象通知を行う際、提案に賛同した場合のメリットを示すメリット情報、提案に賛同しなかった場合のデメリットを表すデメリット情報、及び、提案に関わる追加情報の内、何れか1以上の情報を、対象通知に付加しても良い。これにより、提案に対する賛同が得られやすくなることがある。
【0115】
提案に賛同した場合のメリットとは、提案にて促される特定の行動をドライバ及び同乗者が行った場合に、ドライバ又は同乗者が享受しうる利益を指す。
提案に賛同しなかった場合のデメリットとは、提案にて促される特定の行動をドライバ及び同乗者が行わなかった場合に、ドライバ又は同乗者が被りうる不利益を指す。
提案に関わる追加情報は、提案の内容に関連する任意の追加的な情報であり、メリット情報又はデメリット情報と重複することもある。
【0116】
例えば、
図10の通知712や
図11の通知762の内容は、「後部座席の皆さん、コーヒーだそうですよ。適切に休憩をとった方が体もすっきりしますし、安全運転につながりますよ。次のパーキングエリアで休憩しましょう。」といったメリット情報を含むものでも良いし、「後部座席の皆さん、コーヒーだそうですよ。休憩無しの長時間運転は事故の元です。ここらで休憩しましょう。」といったデメリット情報を含むものでも良いし、「後部座席の皆さん、コーヒーだそうですよ。次のパーキングエリアではネットで話題のチーズハットグのお店もありますし、そこで休憩しましょう。」といった追加情報を含むものでも良い。
【0117】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態では第1実施形態にて示した技術に対する変形技術等を説明する。
【0118】
図4に示した各通知シーケンスでは、エージェントが発する通知の総数が3以下となっているが、各通知シーケンスにてエージェントが発する通知の総数は4以上であっても良い。
【0119】
第1実施形態では車両CRにドライバと同乗者が乗車していることを想定したが、車両CRにドライバしか乗車していない場合においても、第1実施形態にて示した各通知シーケンスを実現可能である。この場合には、エージェント処理部11において、エージェントとは別に、人工知能による同乗者用疑似人格を同乗者として機能させて、第1実施形態にて示した各通知シーケンスを実現すれば良い。この場合、エージェントが同乗者に対して行うべき通知は同乗者用疑似人格に対する通知となり、各通知シーケンスにおいて、エージェントと、同乗者として機能する同乗者用疑似人格と、ドライバと、で会話が行われることになる。
【0120】
スピーカ43は互いに異なる位置に設置された複数のスピーカにて構成されていても良く、同様に、マイクロホン44は互いに異なる位置に設置された複数のマイクロホンにて構成されていても良い。特に例えば、スピーカ43としてドライバ用のスピーカと同乗者用のスピーカを別個に設けておいても良く、マイクロホン44としてドライバ用のマイクロホンと同乗者用のマイクロホンを別個に設けておいても良い。
【0121】
<<本発明の考察>>
ここで、上述の実施形態(特に第1実施形態)にて具体化された本発明に係る車載装置について考察する。
【0122】
本発明に係る車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、前記車両の乗員をドライバと前記ドライバ以外の同乗者に分類し、前記ドライバとしての乗員及び前記同乗者としての乗員の内、一方の乗員に対して第1通知を行う第1通知処理と、前記第1通知の後、他方の乗員に対して第2通知を行う第2通知処理と、を実行可能な通知処理部(15)を備え、前記通知処理部は、前記第2通知処理において、前記第1通知に対する前記一方の乗員の反応に応じ、前記第2通知の内容を決定することを特徴とする。
【0123】
何らかの通知を車両の乗員全員に対し同時に行った場合、車載装置からの通知に対し乗員間で意見が分かれやすくなる傾向がある。また、ドライバが同乗者を気遣って意見を出しにくい/同乗者がドライバを気遣って意見を出しにくい、ドライバ及び同乗者間で立場の相違(運転操作タスクの有無)があるためドライバ及び同乗者間の会話がタイミングよくできない等の事情があり、乗員全体の合意が得られにくくなることも多い。
【0124】
本発明に係る車載装置によれば、ドライバとしての乗員及び同乗者としての乗員の内、まず一方の乗員に対して第1通知を行い、その第1通知に対する一方の乗員の反応に応じた第2通知を他方の乗員に対して行うようにしている。これにより、通知処理部にとっては、一方の乗員の意見を利用して他方の乗員を説得するといったことが可能となり、乗員全体の合意が得られやすくなる(意見が分かれにくくなる)。
また、同乗者が第1通知を受ける一方の乗員である場合、ドライバは同乗者の意見に基づく第2通知を受けることになるため、同乗者の意見を判断材料にして自身の意見をまとめることができ、結果として、乗員全体の合意が得られやすくなる。
逆に、ドライバが第1通知を受ける一方の乗員である場合、同乗者はドライバの意見に基づく第2通知を受けることになるため、ドライバの意見を判断材料にして自身の意見をまとめることができ、結果として、乗員全体の合意が得られやすくなる。また、一般的に、同乗者は、運転操作タスクを持つドライバの意見を尊重する傾向があるので、ドライバの意見を先に聞くことで結果として乗員全体の合意が得られやすくなると考えられる。
【0125】
本発明に係る車載装置について、
図4の通知Aa_N1、Ab_N1、Ba_N1及びBb_N1は第1通知の例であり、
図4の通知Aa_N2、Ab_N2、Ba_N2及びBb_N2は第2通知の例である。通知処理部15は、第1通知(Aa_N1、Ab_N1、Ba_N1又はBb_N1)を行う第1通知処理と、第2通知(Aa_N2、Ab_N2、Ba_N2又はBb_N2)を行う第2通知処理と、を実行しうる構成を有しているといえる。但し、通知シーケンスSEQ_Aaにおいては、通知Aa_N0、通知Aa_N1が夫々第1通知、第2通知に対応すると考えることもでき、通知シーケンスSEQ_Baにおいては、通知Ba_N0、通知Ba_N1が夫々第1通知、第2通知に対応すると考えることもできる。
【0126】
本発明に係る車載装置において、前記第1通知及び前記第2通知は共通の提案に関わる通知であると良く、この場合において、前記第1通知処理及び前記第2通知処理では、互いに異なる内容にて前記提案に関わる前記第1通知及び前記第2通知を行うと良い。
【0127】
これにより、共通の提案に関わる第1通知が一方の乗員に対して行われた後、第1通知に対する一方の乗員の反応を反映した内容を持つ通知であって、共通の提案に関わる第2通知が他方の乗員に対して行われることになる。つまり、他方の乗員は、共通の提案に対する一方の乗員の意見を聞いた状態で共通の提案に関わる第2通知を受けることになるため、結果的に、共通の提案に対する乗員全体の合意が得られやすくなる(意見が分かれにくくなる)。
【0128】
本発明に係る車載装置において、前記通知処理部は、所定の通知トリガ条件が成立したときに、前記ドライバを説得対象として前記提案への賛同を前記ドライバから得るための通知シーケンス(SEQ_Aa、SEQ_Ab)を実行しても良く、この際、前記通知シーケンスにおける前記提案として第1種類(Aa)の提案と第2種類(Ab)の提案があり、前記通知処理部は、前記通知シーケンスにて行う前記提案の種類に応じ、前記通知シーケンスにて前記ドライバ及び前記同乗者の内、何れに対して先に通知を行うのかを決定すると良い。
【0129】
これにより例えば、ドライバから賛同が得られやすいと推定される提案を第1種類の提案として取り扱って、第1種類の提案についてはドライバに対して先に通知を行うといったことが可能となる。このとき、第1種類の提案についてはドライバに対して先に通知を行うことで、最短のやり取りで説得対象から賛同を得られることが期待される。逆に、ドライバから賛同が得られにくい推定される提案を第2種類の提案として取り扱って、第2種類の提案については同乗者に対して先に通知を行うといったことが可能となる。この場合、同乗者から先に受けた意見を利用してドライバを説得するという流れで通知シーケンスを行うことが可能となり、ドライバの最終的な同意を得やすくなると考えられる。
【0130】
ドライバを説得対象とする場合の通知シーケンス(SEQ_Aa、SEQ_Ab)の例の詳細は、第1実施形態の中で上述した通りである。
【0131】
或いは、本発明に係る車載装置において、前記通知処理部は、所定の通知トリガ条件が成立したときに、前記同乗者を説得対象として前記提案への賛同を前記同乗者から得るための通知シーケンス(SEQ_Ba、SEQ_Bb)を実行しても良く、この際、前記通知シーケンスにおける前記提案として第1種類(Ba)の提案と第2種類(Bb)の提案があり、前記通知処理部は、前記通知シーケンスにて行う前記提案の種類に応じ、前記通知シーケンスにて前記ドライバ及び前記同乗者の内、何れに対して先に通知を行うのかを決定すると良い。
【0132】
これにより例えば、同乗者から賛同が得られやすいと推定される提案を第1種類の提案として取り扱って、第1種類の提案については同乗者に対して先に通知を行うといったことが可能となる。このとき、第1種類の提案については同乗者に対して先に通知を行うことで、最短のやり取りで説得対象から賛同を得られることが期待される。逆に、同乗者から賛同が得られにくい推定される提案を第2種類の提案として取り扱って、第2種類の提案についてはドライバに対して先に通知を行うといったことが可能となる。この場合、ドライバから先に受けた意見を利用して同乗者を説得するという流れで通知シーケンスを行うことが可能となり、同乗者の最終的な同意を得やすくなると考えられる。
【0133】
同乗者を説得対象とする場合の通知シーケンス(SEQ_Ba、SEQ_Bb)の例の詳細は、第1実施形態の中で上述した通りである。
【0134】
本発明に係る車載装置は、
図1の構成に関して言えば、
図1に示された全ての構成要素を備えていても良いし、
図1に示された幾つかの構成要素は本発明に係る車載装置の外部に設けられて本発明に係る車載装置に対し外部接続されると考えても良い。例えば、
図1に示される車内カメラ31、車載センサ部32、GPS処理部33、計時部34、通信処理部35及びインターフェース装置40は、本発明に係る車載装置の外部に設けられて本発明に係る車載装置に対し外部接続されるものであっても良い。
【0135】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0136】
1 車載装置
10 主制御部
11 エージェント処理部
12 ナビゲーション処理部
13 音声認識部
14 乗員検出部
15 通知処理部