(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】バックドア及びリアガラス
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/32 20060101AFI20230523BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20230523BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20230523BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20230523BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20230523BHJP
B60S 1/58 20060101ALI20230523BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20230523BHJP
H01Q 7/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
H01Q1/32 A
B60J1/00 B
B60J5/00 P
B60J5/04 R
B60J5/10 Z
B60S1/58 100K
H01Q1/22 C
H01Q7/00
(21)【出願番号】P 2019122180
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 貢一
(72)【発明者】
【氏名】徳永 諭
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-056716(JP,A)
【文献】国際公開第2015/133276(WO,A1)
【文献】特開平10-013128(JP,A)
【文献】特開2017-175290(JP,A)
【文献】特開平07-321529(JP,A)
【文献】特開2011-010082(JP,A)
【文献】特開2017-229010(JP,A)
【文献】特開2018-042070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00- 1/52
H01Q 5/00-11/20
B60J 1/00- 1/20
B60J 5/00- 5/14
B60R 9/00-11/06
B60S 1/00- 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成された樹脂製のアウターパネルと、
樹脂製のインナーパネルと、
前記アウターパネルと前記インナーパネルとの間に配置され
、車体グランドとなる金属製のリインフォースと、
前記開口部を覆うリアガラスと、
を有し、
前記リアガラスは、デフォッガと、AM放送波の周波数帯の電波を受信可能な第1のアンテナ導体と、を備え、
前記第1のアンテナ導体は、第1の給電部と、前記第1の給電部に接続される全長100mm~1800mmの第1のアンテナエレメントと、を有し、
前記第1の給電部は、前記第1のアンテナ導体のうち、前記リアガラスの平面視において前記リインフォースと最も近い箇所に位置し、
前記第1のアンテナエレメントは、前記デフォッガの上下左右の外縁のうちの第1の外縁に対して3mm~60mmの間隔を空けて前記第1の外縁に沿って延伸する第1の近接部を有し、
前記第1のアンテナエレメントは、前記リインフォースから10mm以上隔てて位置する、又は、前記リアガラスの平面視において前記第1の外縁に対して前記リインフォースが存在しない側に位置する、バックドア。
【請求項2】
前記第1のアンテナエレメントは、前記デフォッガの外側にある上下左右の4つの周辺領域のうち、1つの周辺領域にのみ配置されるか、または、隣り合う2つの周辺領域にのみ配置される、請求項1に記載のバックドア。
【請求項3】
前記第1のアンテナエレメントは、前記リアガラスの平面視において、前記リインフォースと重ならずに配置される、請求項1または2に記載のバックドア。
【請求項4】
前記第1のアンテナ導体は、前記リアガラスの平面視において、前記リインフォースと重ならずに配置される、請求項3に記載のバックドア。
【請求項5】
前記第1の近接部が前記第1の外縁に対して3mm~60mmの間隔を空けて前記第1の外縁に沿って延伸する長さは、100mm以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項6】
車体グランドに対する前記第1のアンテナエレメントのアンテナ容量は、5pF~30pFである、請求項1から5のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項7】
前記第1のアンテナエレメントは、前記デフォッガの外側にある上下左右の4つの周辺領域のうち、1つの周辺領域にのみ配置される直線状のエレメントを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項8】
前記直線状のエレメントの面積は、0.0001m
2~0.001m
2である、請求項7に記載のバックドア。
【請求項9】
前記第1のアンテナエレメントは、前記デフォッガの外側にある上下左右の4つの周辺領域のうち、1つの周辺領域にのみ配置されるループ状のエレメントを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項10】
前記ループ状のエレメントのループに囲まれる面積は、0.01m
2~0.05m
2である、請求項9に記載のバックドア。
【請求項11】
前記ループ状のエレメントの形状は、前記第1の外縁が延伸する水平方向に沿った長辺を有する長方形であり、
前記長方形の短辺の長さは、80mm以下である、請求項9又は10に記載のバックドア。
【請求項12】
前記長方形の長辺の長さは、前記第1の外縁の長さに対して3/4以下である、請求項11に記載のバックドア。
【請求項13】
前記第1の外縁と前記第1のアンテナエレメントとの距離が、3mm~30mmであり、
前記長方形の短辺の長さが3mm~50mmであり、
前記第1のアンテナ導体は、さらに、FM放送波の周波数帯の電波を受信可能な、請求項11又は12に記載のバックドア。
【請求項14】
前記第1の外縁と前記第1のアンテナエレメントとの距離が、3mm~30mmであり、
前記長方形の短辺の長さが3mm~50mmであり、
前記第1のアンテナ導体は、前記第1のアンテナエレメントに直接又は間接的に接続される線条エレメントをさらに有し、
前記線条エレメントは、前記第1のアンテナエレメントに対して前記デフォッガとは反対側で前記長方形の長辺に沿って延伸する部分を有し、
前記第1のアンテナ導体は、さらに、FM放送波の周波数帯の電波を受信可能な、請求項11から13のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項15】
前記第1のアンテナエレメントは、前記デフォッガよりも下方の領域にのみ配置される、請求項1から14のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項16】
前記第1のアンテナエレメントは、前記デフォッガの上下左右の外縁のうち前記第1の外縁に接続される第2の外縁に対して10mm~40mmの間隔を空けて前記第2の外縁に沿って延伸する第2の近接部をさらに有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項17】
前記第1の近接部は、前記デフォッガより下方の領域に配置される、請求項16に記載のバックドア。
【請求項18】
前記第1の給電部は、前記第1のアンテナエレメントと前記リインフォースとの間に位置する、請求項1から17のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項19】
前記リアガラスは、FM放送波の周波数帯の電波を受信可能な第2のアンテナ導体をさらに備え、
前記第1のアンテナ導体は、前記デフォッガより下側の領域に配置され、
前記第2のアンテナ導体は、前記デフォッガに接続され又は近接する第2の給電部と、前記デフォッガから1mm~40mmの間隔を空けて配置された第2のアンテナエレメントと、を有し、
前記第2のアンテナエレメントは、前記第2の給電部から、前記デフォッガの外側にある左右の2つの周辺領域のうちいずれか一方の領域を通って、前記デフォッガより上側の領域まで延伸する、請求項1から18のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項20】
前記リアガラスは、FM放送波の周波数帯の電波を受信可能な第2のアンテナ導体と、FM放送波の周波数帯の電波を受信可能な第3のアンテナ導体とをさらに備え、
前記第1のアンテナ導体は、前記デフォッガより下側の領域に配置され、
前記第2のアンテナ導体は、前記デフォッガに電気的に接続される第2の給電部を有し、
前記第3のアンテナ導体は、第3の給電部と、前記デフォッガから1mm~40mmの間隔を空けて配置された第3のアンテナエレメントとを有し、
前記第3のアンテナエレメントは、前記第3の給電部から、前記デフォッガの外側にある左右の2つの周辺領域のうち、前記第2の給電部が位置する側とは反対側の領域を延伸する、請求項1から18のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項21】
前記リアガラスは、FM放送波の周波数帯の電波を受信可能な第2のアンテナ導体と、FM放送波の周波数帯の電波を受信可能な第3のアンテナ導体とをさらに備え、
前記第1のアンテナ導体は、前記デフォッガより下側の領域に配置され、
前記第2のアンテナ導体は、第2の給電部と、前記デフォッガから1mm~40mmの間隔を空けて配置された第2のアンテナエレメントとを有し、
前記第3のアンテナ導体は、第3の給電部と、前記デフォッガから1mm~40mmの間隔を空けて配置された第3のアンテナエレメントとを有し、
前記第2のアンテナエレメントは、前記第2の給電部から、前記デフォッガの外側にある左右の2つの周辺領域のうち、前記第3の給電部が位置する側とは反対側の領域を延伸し、
前記第3のアンテナエレメントは、前記第3の給電部から、前記デフォッガの外側にある左右の2つの周辺領域のうち、前記第2の給電部が位置する側とは反対側の領域を延伸する、請求項1から18のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項22】
前記リアガラスは、FM放送波の周波数帯の電波を受信可能な第2のアンテナ導体と、前記デフォッガを縦断するT字状エレメントとをさらに備え、
前記第1のアンテナ導体は、前記デフォッガより下側の領域に配置され、
前記第2のアンテナ導体は、前記デフォッガに電気的に接続される第2の給電部を有する、請求項1から18のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項23】
前記リアガラスは、FM放送波、DAB Band III、地上デジタルテレビ放送波のうち、少なくとも1つの周波数帯の電波を受信可能な第4のアンテナ導体をさらに備え、
前記第4のアンテナ導体は、第4の給電部と、前記第4の給電部に接続される第4のアンテナエレメントと、を有する、請求項1から22のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項24】
前記リインフォースの形状は、枠状である、請求項1から23のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項25】
前記リインフォースは、左右で分離した複数の部材から構成された、請求項1から23のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項26】
前記リインフォースの形状は、U字状である、請求項1から23のいずれか一項に記載のバックドア。
【請求項27】
車体グランドとなる金属製のリインフォースを有する樹脂製のバックドアに形成された開口部を覆うように前記バックドアに取り付け可能なリアガラスであって、
デフォッガと、AM放送波の周波数帯の電波を受信可能な第1のアンテナ導体と、を備え、
前記第1のアンテナ導体は、第1の給電部と、前記第1の給電部に接続される全長100mm~1800mmの第1のアンテナエレメントと、を有し、
前記第1の給電部は、前記第1のアンテナ導体のうち、前記リアガラスの平面視において前記リインフォースと最も近くなる箇所に位置し、
前記第1のアンテナエレメントは、前記デフォッガの上下左右の外縁のうちの第1の外縁に対して3mm~60mmの間隔を空けて前記第1の外縁に沿って延伸する第1の近接部を有し、
前記バックドアに取り付けられた状態で、前記第1のアンテナエレメントは、前記リインフォースから10mm以上隔てて位置する、又は、前記リアガラスの平面視において前記第1の外縁に対して前記リインフォースが存在しない側に位置する、リアガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックドア及びリアガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のリアガラスには、視界を確保できることを前提として、デフォッガやアンテナなどの様々な機能部材が配置されている。しかしながら、リアガラスそのものの大きさ(面積)が相対的に狭い仕様の車両(例えば、ハッチバック車など)においては、デフォッガを配置する領域を確保すると、AM放送帯域用のアンテナを配置する領域を確保することが難しくなる。そのため、AM放送帯域用のアンテナの配置には、デフォッガの配置との関係で、何らかの工夫が必要となる。このようなAM放送帯域用のアンテナとして、金属製のリインフォースを有する樹脂製のバックドアに取り付けられるリアガラスに設けられ、デフォッガの上下左右の4辺のうち少なくとも3辺に沿った導体を有するアンテナが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、デフォッガとアンテナ導体とリインフォースとの位置関係によっては、AM放送帯域での受信感度が低下することがある。また、車両のリアガラスの大きさや形状は車種により異なる。したがって、アンテナ導体の配置領域の確保と所定のAM放送帯域での受信感度の確保と、がトレードオフの関係となる場合が多い。
【0005】
そこで、本開示は、アンテナ導体の配置領域とAM放送帯域での受信感度の両方を確保可能なバックドア及びリアガラスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
開口部が形成された樹脂製のアウターパネルと、
樹脂製のインナーパネルと、
前記アウターパネルと前記インナーパネルとの間に配置され、車体グランドとなる金属製のリインフォースと、
前記開口部を覆うリアガラスと、
を有し、
前記リアガラスは、デフォッガと、AM放送波の周波数帯の電波を受信可能な第1のアンテナ導体と、を備え、
前記第1のアンテナ導体は、第1の給電部と、前記第1の給電部に接続される全長100mm~1800mmの第1のアンテナエレメントと、を有し、
前記第1の給電部は、前記第1のアンテナ導体のうち、前記リアガラスの平面視において前記リインフォースと最も近い箇所に位置し、
前記第1のアンテナエレメントは、前記デフォッガの上下左右の外縁のうちの第1の外縁に対して3mm~60mmの間隔を空けて前記第1の外縁に沿って延伸する第1の近接部を有し、
前記第1のアンテナエレメントは、前記リインフォースから10mm以上隔てて位置する、又は、前記リアガラスの平面視において前記第1の外縁に対して前記リインフォースが存在しない側に位置する、バックドアを提供する。
【0007】
また、本開示は、
車体グランドとなる金属製のリインフォースを有する樹脂製のバックドアに形成された開口部を覆うように前記バックドアに取り付け可能なリアガラスであって、
デフォッガと、AM放送波の周波数帯の電波を受信可能な第1のアンテナ導体と、を備え、
前記第1のアンテナ導体は、第1の給電部と、前記第1の給電部に接続される全長100mm~1800mmの第1のアンテナエレメントと、を有し、
前記第1の給電部は、前記第1のアンテナ導体のうち、前記リアガラスの平面視において前記リインフォースと最も近くなる箇所に位置し、
前記第1のアンテナエレメントは、前記デフォッガの上下左右の外縁のうちの第1の外縁に対して3mm~60mmの間隔を空けて前記第1の外縁に沿って延伸する第1の近接部を有し、
前記バックドアに取り付けられた状態で、前記第1のアンテナエレメントは、前記リインフォースから10mm以上隔てて位置する、又は、前記リアガラスの平面視において前記第1の外縁に対して前記リインフォースが存在しない側に位置する、リアガラスを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、アンテナ導体の配置領域とAM放送帯域での受信感度の両方を確保可能なバックドア及びリアガラスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】バックドアの第1の構成例を示す平面図である。
【
図2】バックドアの第1の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図3】バックドアの第2の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図4】バックドアの第3の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図5】バックドアの第4の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図6A】アンテナ導体の各構成例を模式的に示す平面図である。
【
図6B】アンテナ導体の各構成例を模式的に示す平面図である。
【
図6C】アンテナ導体の各構成例を模式的に示す平面図である。
【
図7A】アンテナ導体の各構成例を模式的に示す平面図である。
【
図7B】アンテナ導体の各構成例を模式的に示す平面図である。
【
図8A】アンテナ導体の各構成例を模式的に示す平面図である。
【
図8B】アンテナ導体の各構成例を模式的に示す平面図である。
【
図9】バックドアの第5の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図10A】バックドアの第6の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図10B】水平偏波において、
図10Aに示す構成例でのFM利得の測定結果の一例を示す図である。
【
図10C】垂直偏波において、
図10Aに示す構成例でのFM利得の測定結果の一例を示す図である。
【
図11】バックドアの第7の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図12】バックドアの第8の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図13】バックドアの第9の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図14】バックドアの第10の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図15】バックドアの第11の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図16】バックドアの第12の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図17】バックドアの第13の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図18】バックドアの第14の構成例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示に係る実施形態について説明する。なお、平行、直角、水平、垂直、直交、上下、左右などの方向には、本発明の効果を損なわない程度のずれが許容される。また、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向を表す。X軸方向とY軸方向とZ軸方向は、互いに直交する。XY平面、YZ平面、ZX平面は、それぞれ、X軸方向及びY軸方向に平行な仮想平面、Y軸方向及びZ軸方向に平行な仮想平面、Z軸方向及びX軸方向に平行な仮想平面を表す。
【0011】
図1は、バックドアの第1の構成例を示す平面図である。
図1に示すバックドア100は、車両の後部に開閉可能に取り付けられる樹脂製の開閉体である。バックドア100は、樹脂製のアウターパネル12と、樹脂製のインナーパネル13と、アウターパネル12とインナーパネル13との間に配置される金属製のリインフォース14と、リアガラス15とを有する。アウターパネル12とインナーパネル13は、ポリプロピレン等の合成樹脂によって成形される。
【0012】
なお、
図1は、インナーパネル13が取り外されたバックドア100を車内側からの視点で示す平面図である。また、
図1に示す各部の形状は、一例であり、本開示の技術は、図示の形状に限られない。
【0013】
アウターパネル12には、リアガラス15によって覆われる開口部11が形成されている。リアガラス15は、アウターパネル12に形成された窓枠16に取り付けられる。窓枠16は、フランジとも称され、金属で補強されてもよい。アウターパネル12は、一つ又は複数のアウターパネル部から構成されており、
図1に示す例では、アウターパネル12は、上アウターパネル部と下アウターパネル部とから構成されている。上アウターパネル部と下アウターパネル部とがリインフォース14を介して連結されることで、アウターパネル12に開口部11が形成される。アウターパネル12に形成される開口部11は、その周囲がアウターパネル12に全て囲まれた形態に限られず、
図1に示すように、その周囲の一部が開放した形態でもよい。
【0014】
リインフォース14は、アウターパネル12を補強する金属部材であり、開口部11の一部又は全部を周りから囲むようにアウターパネル12に固定される。リインフォース14は、一つ又は複数の部材から構成され、
図1に示す例では、左右(車幅方向)で分離した複数の部材(左リインフォースと右リインフォース)から構成されている。左リインフォースは、開口部11の左側領域を上下方向に延伸する左リインフォース部14Aと、開口部11の上方領域を左リインフォース部の上端部から右方向に延伸する左上リインフォース部14Caとを有する。右リインフォースは、開口部11の右側領域を上下方向に延伸する右リインフォース部14Bと、開口部11の上方領域を右リインフォース部の上端部から左方向に延伸する右上リインフォース部14Cbとを有する。
【0015】
図1に示す例では、左リインフォース部14Aと左上リインフォース部14Caとは、同一部材により形成されているが、例えば、2種以上の部材が連結して形成されてもよい。しかしながら、アウターパネル12が、上アウターパネル部と下アウターパネル部とから構成されているのではなく、例えば一つの連続したパネル部から構成されている形態では、左リインフォース部14Aと左上リインフォース部14Caとは、分離されてもよい。また、左リインフォース部14Aは、リアガラス15の平面視において、リアガラス15及び開口部11と重なっているが、リアガラス15又は開口部11と重ならないように配置されてもよい。
【0016】
同様に、
図1に示す例では、右リインフォース部14Bと右上リインフォース部14Cbとは、同一部材により形成されているが、例えば、2種以上の部材が連結して形成されてもよい。しかしながら、アウターパネル12が、上アウターパネル部と下アウターパネル部とから構成されているのではなく、例えば一つの連続したパネル部から構成されている形態では、右リインフォース部14Bと右上リインフォース部14Cbとは、分離されてもよい。また、右リインフォース部14Bは、リアガラス15の平面視において、リアガラス15及び開口部11と重なっているが、リアガラス15又は開口部11と重ならないように配置されてもよい。
【0017】
インナーパネル13は、リインフォース14を覆うように、アウターパネル12とリインフォース14との少なくとも一方に固定される。インナーパネル13は、リアガラス11越しの視界を遮らないように形成されている。
【0018】
リアガラス15は、樹脂製のバックドア100に形成された開口部11を覆うようにバックドア100に取り付けられる窓ガラスである。リアガラス15は、
図1に示す例では、アウターパネル12に対して車外側(つまり、Z軸方向の正側)に取り付けられているが、アウターパネル12とインナーパネル13との間に取り付けられてもよい。リアガラス15は、デフォッガ20と第1のアンテナ導体30とを備える。
【0019】
デフォッガ20は、リアガラス15の曇りを除去する通電加熱式の導体パターンである。デフォッガ20は、リアガラス15の左右方向(水平方向)に延在する複数の電熱線と、当該複数の電熱線に給電する複数のバスバーとを有する。
図1に示す例では、互いに並走するようにリアガラス15の左右方向(水平方向)に延在する複数の電熱線と、それらの複数の電熱線の両側に接続された幅広の一対のバスバーとが、リアガラス15に設けられている。一対のバスバーの間に電圧が印加されると、複数の電熱線が通電して発熱するので、リアガラス15の曇りが除去される。なお、デフォッガ20は、水平方向に延在する複数の電熱線を用いる場合に限らない。例えば、デフォッガ20は、デフォッガ20の上側および下側に位置して水平方向に延伸する一対の(横長の)バスバー間に位置し、リアガラス15の表面に上下方向(垂直方向)に延在する発熱線を設置したものでもよい。さらに、デフォッガ20は、一対のバスバー間に透明又は半透明性の導電性の膜がコーティングされたものでもよい。
【0020】
第1のアンテナ導体30は、AM放送波の周波数帯(例えば、500kHz以上1800kHz以下)の電波を少なくとも受信可能に、その形状及び寸法は設計されている。第1のアンテナ導体30は、AM放送波の周波数帯(AM放送帯域)の電波を少なくとも受信するように形成されていれば、その形状及び寸法は、
図1の形態に限られない。
【0021】
例えば、第1のアンテナ導体30は、AM放送波の周波数帯を含むMF(Medium Frequency)帯の電波の受信に適するように形成される。あるいは、第1のアンテナ導体30は、MF帯とHF(High Frequency)帯との両方の電波を受信する共用のアンテナ素子として形成されてもよい。なお、MF帯は、300kHz以上3MHz以下の周波数帯を表す。HF帯は、3MHz以上30MHz以下の周波数帯を表し、SW(Short Wave)帯とも称される。
【0022】
また、リアガラス15の外周縁部には、可視光を遮光する遮光膜17が形成されてもよい。遮光膜17の具体例として、黒色セラミックス膜等のセラミックスが挙げられる。遮光膜17が設けられることにより、リアガラス15の車外側からの平面視で遮光膜17に隠れる部分が車外側から見え難くなるので、リアガラス15及び車両のデザイン性が向上する。例えば、リアガラス15は、リインフォース14の一部及び窓枠16をリアガラス15の車外側からの平面視で隠す遮光膜17を備える。リアガラス15の車外側からの平面視において、第1のアンテナ導体30等のアンテナ導体の一部又は全部が遮光膜17と重なることにより隠れてもよいし、デフォッガの一部が遮光膜17と重なることにより隠れてもよい。
【0023】
図2は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第1の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。
図2において、リアガラス15の外縁の図示は省略され、遮光膜17の膜縁が示されている。デフォッガ20は、上下左右の外縁(上縁21、下縁22、左縁23及び右縁24)を有し、左縁23及び右縁24に、幅広の一対のバスバーが存在する。リアガラス15は、デフォッガ20の外側にある上下左右の4つの周辺領域41~44を有する。
【0024】
第1のアンテナ導体30Aは、
図1に示す第1のアンテナ導体30に相当する。第1のアンテナ導体30Aは、4つの周辺領域41~44のうち、下縁22よりも下方の周辺領域42にのみ配置されている。第1のアンテナ導体30Aは、第1の給電部31と、第1の給電部31に接続される全長100mm~1800mmの第1のアンテナエレメント32とを有する。
【0025】
なお、
図2に示す例では、第1の給電部31と第1のアンテナエレメント32との両方が、4つの周辺領域41~44のうち、下縁22よりも下方の周辺領域42にのみ配置されている。しかしながら、第1のアンテナエレメント32は、周辺領域42のみに配置され、第1の給電部31は、周辺領域42に隣接する領域(例えば、左縁23よりも左方の周辺領域43)に又はそれらの隣り合う領域に跨って配置されてもよい。
【0026】
第1のアンテナエレメント32で受信して得られる信号は、第1の給電部31から取り出される。そして、第1の給電部31から取り出される信号は、第1の給電部31に導通可能に接続された導電性部材を介して、アンプ(不図示)の入力部に伝達される。この導電性部材の具体例として、AV線や同軸ケーブルなどの給電線が挙げられる。アンプは、第1の給電部31から取り出される信号を増幅し、増幅した信号を、車両に搭載される不図示の信号処理回路に出力する。
【0027】
給電線として同軸ケーブルが使用される場合、同軸ケーブルの芯線(内部導体)は、第1の給電部31に接続され、同軸ケーブルの外部導体は、車体又は車体に導電的に接続される金属部などのグランド(車体グランド)に接続される。車体に導電的に接続される金属部は、例えば、リインフォース14でもよい。また、アンプを第1の給電部31に接続するためのコネクタが使用されてもよく、当該コネクタは、例えば、第1の給電部31に実装される。なお、アンプは、コネクタに搭載されてもよい。
【0028】
例えば、第1の給電部31は、第1のアンテナ導体30Aのうち、リアガラス15の平面視においてリインフォース14と最も近い箇所に位置する。これにより、第1の給電部31に電気的に接続される給電線又はアンプのグランドを、車体グランドとなるリインフォース14に比較的短い距離で接続できるので、ノイズの低減が可能となる。
【0029】
第1のアンテナエレメント32は、下縁22(デフォッガの上下左右の外縁のうちの第1の外縁の一例)に対して3mm~60mmの間隔D1を空けて下縁22に沿って延伸する第1の近接部33を有する。また、
図2に示す例では、第1のアンテナエレメント32は、リアガラス15の平面視において下縁22に対してリインフォース14が存在しない下側に位置する。なお、下側とは、バックドア100が閉じられたときの車両における地面側に相当する。
【0030】
ここで、第1のアンテナエレメント32が導体のデフォッガ20に近接しすぎると、AM放送帯域でのアンテナ利得(AM利得)が低下しやすくなる。そのため、従来のAM放送帯域の電波を受信するアンテナは、例えば、第1のアンテナエレメント32の全長を長くすることによって、AM利得の低下を抑制できていた。また、第1のアンテナエレメント32が導体のリインフォース14に近接しすぎても、AM利得が低下しやすくなる。そのため、従来のAM放送帯域の電波を受信アンテナは、例えば、第1のアンテナエレメント32の全長を長くすることによって、AM利得の低下を抑制できていた。また、AM放送帯域での電波を受信するアンテナエレメントのAM利得を向上させるには、アンテナエレメントの全長(例えば、後述する面積S1)を大きくすることがよいと知られている。しかしながら、デフォッガ20以外の余白領域が比較的狭いと、第1のアンテナエレメント32の全長をAM利得の低下を抑制するのに必要な長さまで延長することが難しい場合がある。
【0031】
これに対し、本開示の技術では、間隔D1が3mm~60mmであるので、第1のアンテナエレメント32をデフォッガ20から比較的離すことができる。また、第1のアンテナエレメント32はリアガラス15の平面視において下縁22に対してリインフォース14が存在しない下側に位置するので、第1のアンテナエレメント32をリインフォース14から比較的離すことができる。したがって、第1のアンテナエレメント32の全長L1が比較的短い長さ(100mm以上1800mm以下の長さ)でも、AM利得の低下を抑制でき、比較的大きなAM利得を確保できる。この1800mm以下の全長L1は、例えば特許文献1の
図3に開示される各線条の長さの和(2860mm)に比べて十分に短く、AM放送帯域の電波を受信可能なアンテナ導体を、デフォッガ周辺の比較的狭い余白領域に配置する上で格別に有利な点である。このように、本開示の技術では、第1のアンテナ導体30Aの配置領域の確保とAM放送帯域での所定の受信感度の確保、の両方を容易に実現できる。
【0032】
第1のアンテナエレメント32は、その全長L1が100mm未満だと、AM放送帯域での受信感度を確保する点で難しい。一方、全長L1が1800mmを超えると、第1のアンテナ導体30Aの配置領域を確保する点で難しい。AM放送帯域での受信感度を確保する点で、全長L1は、150mm以上が好ましく、200mm以上がより好ましく、300mm以上がより好ましく、400mm以上がより好ましく、800mm以上がより好ましい。また、第1のアンテナ導体30Aの配置領域を確保する点で、全長L1は、1700mm以下が好ましく、1600mm以下がより好ましい。
【0033】
第1のアンテナ導体30Aの配置領域の確保とAM放送帯域での所定の受信感度の確保、の両方を実現する点で、上記のとおり、間隔D1は、3mm以上60mm以下が好適である。間隔D1が3mm未満だと、AM放送帯域での受信感度を確保する点で難しい。一方、間隔D1が60mmを超えると、第1のアンテナ導体30Aの配置領域を確保する点で難しい。AM放送帯域での受信感度を確保する点で、間隔D1は、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、30mm以上がより好ましい。また、第1のアンテナ導体30Aの配置領域を確保する点で、間隔D1は、50mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましい。
【0034】
第1のアンテナエレメント32は、リアガラス15の平面視において、リインフォース14と重ならない配置が好ましい。これにより、第1のアンテナエレメント32をリインフォース14から比較的離すことができるので、AM利得の低下を抑制できる。特に、AM利得の低下を抑制する点で、第1のアンテナ導体30A(つまり、第1の給電部31及び第1のアンテナエレメント32)は、リアガラス15の平面視において、リインフォース14と重ならない配置が好ましい。
【0035】
図2において、第1の近接部33が下縁22に対して3mm~60mmの間隔D1を空けて下縁22に沿って延伸する長さA1が、100mm以上であると、100mm未満の場合に比べて、大きなAM利得を確保できる。
図2に示す例では、第1のアンテナエレメント32は、1つの周辺領域42にのみ配置される直線状のエレメントであるので、長さA1は、全長L1に等しい。なお、長さA1は、800mm以下が好ましい。
【0036】
また、
図2に示す例では、上述の通り、第1のアンテナエレメント32をデフォッガ20及びリインフォース14から比較的離すことができる。したがって、車体グランドに対する第1のアンテナエレメント32のアンテナ容量C1は、比較的小さな値(5pF~30pF)でも、比較的大きなAM利得を確保できる。アンテナ容量C1は、車体グランドと第1のアンテナエレメント32との間の容量を表す。AM利得の確保に必要なアンテナ容量が小さくなれば、AM利得の確保に必要なアンテナ導体も小さくできる。アンテナ容量C1が5pF未満だと、AM放送帯域での受信感度を確保する点で難しい。一方、アンテナ容量C1が30pFを超えると、第1のアンテナエレメント32の面積(例えば、後述する面積S1)が大きくなるので、第1のアンテナ導体30Aの配置領域を確保する点で難しい。
【0037】
また、
図2に示す例では、第1のアンテナエレメント32をデフォッガ20及びリインフォース14から比較的離すことができるので、直線状の第1のアンテナエレメント32の面積S1を、0.0001m
2~0.001m
2の比較的狭い範囲に設定しても、所定のAM利得を確保できる。面積S1は、線幅と線長の積で表される。面積S1が0.0001m
2未満だと、AM放送帯域での受信感度を確保する点で難しい。面積S1が0.001m
2を超えると、第1のアンテナ導体30Aの配置領域を確保する点で難しい。なお、AM放送帯域での受信感度を確保する点で、面積S1は、0.00015m
2以上が好ましく、0.0002m
2以上がより好ましく、0.0003m
2以上がより好ましく、0.0004m
2以上がより好ましく、0.0008m
2以上がより好ましい。また、第1のアンテナ導体30Aの配置領域を確保する点で、面積S1は、0.00095m
2以下が好ましく、0.0009m
2以下がより好ましい。
【0038】
リアガラス15が合わせガラスであり且つ第1のアンテナエレメント32等のエレメントがリアガラス15に封入されるホルマル線の場合、第1のアンテナエレメント32等のエレメントの線幅Wは、0.03mm~1mmであればよい。線幅Wが0.03mm未満であると、製造時に断線のおそれがある。また、線幅Wが1mm超であると、見栄えが悪くなるなどの問題が生じるおそれがある。
【0039】
あるいは、第1のアンテナエレメント32等のエレメントがプリント線の場合、線幅Wは、0.2mm~50mmであればよい。線幅Wが0.2mm未満であると、製造時に断線のおそれがある。また、線幅Wが50mm超であると、見栄えの悪化や製造上の不具合を生じるおそれがある。
【0040】
図3は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第2の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図3は、リインフォース14の形状がU字状である点で、
図2の構成と異なる。
【0041】
図3において、リインフォース14は、左リインフォース部14Aの上端部と右リインフォース部14Bの上端部との間を接続する上リインフォース部14Cを有する。上リインフォース部14Cは、リアガラス15によって覆われる開口部の上方領域を左右方向(水平方向)に延伸する。この第2の構成例でも、第1のアンテナ導体30Aの配置領域とAM放送帯域での受信感度の両方を確保できる。
【0042】
図4は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第3の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図4は、リインフォースの形状が枠状であり、第1のアンテナ導体の形状がループ状である点で、上述の構成と異なる。
【0043】
図4において、リインフォース14は、左リインフォース部14Aの下端部と右リインフォース部14Bの下端部との間を接続する下リインフォース部14Dを有する。下リインフォース部14Dは、リアガラス15によって覆われる開口部の下方領域を左右方向(水平方向)に延伸する。
【0044】
図4において、第1のアンテナ導体30Bは、
図1に示す第1のアンテナ導体30の変形例に相当する。第1のアンテナ導体30Bは、4つの周辺領域41~44のうち、下縁22よりも下方の周辺領域42にのみ配置されている。第1のアンテナ導体30Bは、第1の給電部31と、第1の給電部31に接続される全長100mm~1800mmのループ状の第1のアンテナエレメント34~37とを有する。ループ状のエレメントの場合、全長は、ループの周長に等しく、
図4に示す例では、ループ形状が長方形なので、その全長は、「2×L2+2×L3」に等しい。
【0045】
第1のアンテナエレメント34~37は、下縁22(デフォッガの上下左右の外縁のうちの第1の外縁の一例)に対して3mm~60mmの間隔D1を空けて下縁22に沿って延伸する第1の近接部33を有する。また、
図4に示す例では、第1のアンテナエレメント34~37は、リインフォース14の下リインフォース部14Dから10mm以上隔てて位置する。なお、第1のアンテナエレメント34~37(この場合、部分エレメント36)から下リインフォース部14Dまでの距離は、
図4においてZ軸方向の距離も考慮して10mm以上隔てるようにするとよい。また、後述する他の構成においても同様に、(第1の)アンテナ導体とリインフォースとの距離は、Z軸方向の距離も考慮する。
【0046】
図4の構成によれば、間隔D1が3mm~60mmであるので、第1のアンテナエレメント34~37をデフォッガ20から比較的離すことができる。また、第1のアンテナエレメント34~37はリインフォース14の下リインフォース部14Dから10mm以上隔てて位置するので、第1のアンテナエレメント34~37をリインフォース14から比較的離すことができる。したがって、第1のアンテナエレメント34~37の全長(周長)が比較的短い長さ(100mm以上1800mm以下の長さ)でも、AM利得の低下を抑制でき、所定のAM利得を確保できる。よって、
図4の構成は、第1のアンテナ導体30Bの配置領域の確保とAM放送帯域での所定の受信感度の確保、の両方を容易に実現できる。
【0047】
なお、ループ状のエレメントは、「ループ」の一部に切り欠きがあってもよい。切り欠き部分の長さは、ループの周長に含めてよい。また、切り欠き部分は、AM放送帯域での所定の受信感度を確保する点で、2箇所以下が好ましく、1箇所がより好ましい。切り欠き部分の幅(切り欠き幅)は、AM放送帯域での所定の受信感度を確保する点で、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
【0048】
図4において、第1の近接部33が下縁22に対して3mm~60mmの間隔D1を空けて下縁22に沿って延伸する長さA1が、100mm以上であると、100mm未満の場合に比べて、大きなAM利得を確保できる。
図4に示す例では、第1のアンテナエレメント34~37は、1つの周辺領域42にのみ配置されるループ状のエレメントであるので、長さA1は、直線状のエレメント部34の線長L2に等しい。
【0049】
また、第1のアンテナエレメント34~37をデフォッガ20及びリインフォース14から比較的離すことができるので、ループ状の第1のアンテナエレメント34~37のループに囲まれる面積S2を、0.01m
2~0.05m
2の比較的狭い範囲に設定しても、所定のAM利得を確保できる。面積S2は、ループに囲まれる内側の面積(
図4に示す長方形状のループの場合、L2×L3)で表される。面積S2が0.01m
2未満だと、AM放送帯域での受信感度を確保する点で難しい。一方、面積S2が0.05m
2を超えると、第1のアンテナ導体30Bの配置領域を確保する点で難しい。また、AM放送帯域での受信感度を確保する点で、面積S2は、0.012m
2以上が好ましく、0.024m
2以上がより好ましい。
【0050】
なお、ループ状のエレメントは、「ループ」の一部に上述のような切り欠きがある場合、面積S2は、その切り欠き部分が無いと仮定したループ形状で定義される。
【0051】
ループ状の第1のアンテナエレメント34~37の形状は、デフォッガ20の下縁22が延伸する水平方向に沿った長辺(この場合、エレメント部34,36)を有する長方形である。この長方形の短辺(この場合、エレメント部35,37)の長さは、80mm以下であると、第1のアンテナ導体30Bの配置領域の確保とAM放送帯域での受信感度の確保の、両方を実現する点で有利である。また、この長方形の長辺の長さは、デフォッガ20の下縁22の長さに対して3/4以下であると、第1のアンテナ導体30Bの配置領域を確保する点で有利である。
【0052】
また、下縁22とエレメント部34との距離(例えば、間隔D1)が、3mm~30mmであり、その長方形の短辺の長さが3mm~50mmであると、第1のアンテナ導体30Bは、AM放送波とFM放送波との両方の周波数帯の電波を受信できる。つまり、上記の構成は、第1のアンテナ導体30Bを、AM放送波とFM放送波を受信可能な共用アンテナとすることができる。
【0053】
図5は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第4の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図5は、第1のアンテナ導体30Bが、左上リインフォース部14Caと右上リインフォース部14Cbとの間の余白領域に存在する点で、上述の構成と異なる。
【0054】
第1のアンテナ導体30Bのループ状のエレメントは、リインフォース14から10mm以上隔てて位置する、又は、リアガラス15の平面視においてデフォッガ20の上縁21に対してリインフォース14が存在しない上側に位置する。第1のアンテナ導体30Bのループ状のエレメントは、4つの周辺領域41~44のうち、上縁21よりも上方の周辺領域41にのみ配置されている。
【0055】
ループ状のエレメントは、上縁21(デフォッガの上下左右の外縁のうちの第1の外縁の一例)に対して3mm~60mmの間隔D1を空けて上縁21に沿って延伸する第1の近接部33を有する。また、
図5に示す例では、ループ状のエレメントは、リアガラス15の平面視において上縁21に対してリインフォース14が存在しない上側に位置する。
【0056】
したがって、
図5の構成によれば、
図4の構成と同様に、第1のアンテナ導体30Bの配置領域の確保とAM放送帯域での受信感度の確保、の両方を容易に実現できる。
【0057】
【0058】
表1は、
図6A,6B,6Cに示す各構成例についてのAM利得の測定結果の一例を示す。表1において、
(a):
図6Aの(a)(全長L1:800mm、面積S1:0.0008m
2)
(b):
図6Aの(b)(全長L1:400mm、面積S1:0.0004m
2)
(c):
図6Bの(c)(全長L1:1600mm、面積S1:0.0016m
2)
(d):
図6Bの(d)(全長L1:1600mm、面積S1:0.0016m
2)
(e):
図6Cの(e)(アンテナの配置領域を表す斜線部の面積:0.105m
2)
(f):
図6Cの(f)(アンテナの配置領域を表す斜線部の面積:0.06m
2)
とする。なお、
図6A,6Bにおける各エレメントの線幅は、いずれも1mmである。また、
図6A,6BにおけるD1は、30mmである。また、
図6A及び
図6Bの(d)において、第1のアンテナ導体30A,30Dと下リインフォース部14Dとの距離は、200mmである。
図6Bにおいて、第1のアンテナ導体30C,30Dと左リインフォース部14Aとの距離及び第1のアンテナ導体30C,30Dと右リインフォース部14Bとの距離は、10mm~20mmである。さらに、
図6Bの(c)において、第1のアンテナ導体30Cと上リインフォース部との距離も、10mm~20mmである。
【0059】
図6Bの(c)の第1のアンテナ導体30Cは、デフォッガの上下左右の4つの周辺領域のうち、左方、上方及び右方の3つの周辺領域に配置されている。
図6Bの(d)の第1のアンテナ導体30Dは、デフォッガの上下左右の4つの周辺領域のうち、左方、下方及び右方の3つの周辺領域に配置されている。
図6Cの(e)のアンテナ導体131は、全長1800mm超のAM帯域用のアンテナ(比較例)である。
図6Cの(f)のアンテナ導体132は、全長1800mm超のAM帯域用のアンテナ(比較例)である。
【0060】
表1によれば、(a)~(d)は、(e)及び(f)に比べてアンテナ導体の全長が短くても(面積が狭くても)、(e)及び(f)と同等のアンテナ利得を確保できる。
【0061】
【0062】
表2は、
図7A,7Bに示す各構成例についてのAM利得の測定結果の一例を示す。
図7Aの(g)(h)は、リインフォースが上リインフォース部で左右に分離している点で、
図6Aの(a)(b)と異なる。
図7Bの(i)は、リインフォースが上リインフォース部で左右に分離している点で、
図6Bの(c)と異なる。
【0063】
なお、
図7A,7Bにおける各エレメントの線幅は、いずれも1mmである。また、
図7A,7BにおけるD1は、30mmである。また、
図7Aにおいて、第1のアンテナ導体30Aと左リインフォース部14Aとの距離は、10mm~20mmである。
図7Bにおいて、第1のアンテナ導体30Cと左リインフォース部14Aとの距離及び第1のアンテナ導体30Cと右リインフォース部14Bとの距離は、10mm~20mmである。さらに、
図7Bの(i)において、第1のアンテナ導体30Cと、左上リインフォース部および右上リインフォース部との距離も、10mm~20mmである。
【0064】
表2によれば、リインフォースが分離している(g)~(i)は、リインフォースが分離していない(a)~(c)と同等のアンテナ利得を確保できる。また、(g)~(i)は、(f)に比べてアンテナ導体の全長が短くても(面積が狭くても)、(f)と同等のアンテナ利得を確保できる。
【0065】
【0066】
表3は、
図6Aに示す形態において、第1のアンテナ導体30Aの全長L1を変化させたときのAM利得の測定結果の一例を示す。表3によれば、全長L1を長くするほどAM利得は向上し、全長L1が100mm以上であれば、AM放送帯域での受信感度を確保できる。なお、
図6Aにおける各エレメントの線幅は、いずれも1mmである。また、
図6AにおけるD1は、30mmである。また、
図6Aにおいて、第1のアンテナ導体30Aと下リインフォース部14Dとの距離は、200mmである。
【0067】
【0068】
表4は、直線状の第1のアンテナ導体30A及びループ状の第1のアンテナ導体30Bについて、全長と面積を変化させたときのAM利得の測定結果の一例を示す。表4において、
(a):
図6A(全長L1:800mm、面積S1:0.0008m
2)
(b):
図4(線長L2:400mm、線長L3:30mm、面積S2:0.012m
2)
(c):
図4(線長L2:800mm、線長L3:30mm、面積S2:0.024m
2)
(d):
図4(線長L2:400mm、線長L3:60mm、面積S2:0.024m
2)
(e):
図4(線長L2:800mm、線長L3:60mm、面積S2:0.048m
2)
とする。表4によれば、第1のアンテナ導体の面積が大きく、線長L2が長いほど、AM利得が向上する。なお、
図6Aにおけるエレメントの線幅は、1mmである。また、
図6A,
図4におけるD1は、30mmである。また、
図6A,
図4において、第1のアンテナ導体30A,30Bと下リインフォース部14Dとの距離は、200mmである。
【0069】
【0070】
表5は、全長と面積が相違する3種類の
図6Aに示す形態において、デフォッガと第1のアンテナ導体30Aとの間隔D1を30mm,15mm,10mmと変化させたときのAM利得の測定結果の一例を示す。表5において、線長L1は、デフォッガに沿って延伸する第1の近接部33の長さを表し、面積S1は、第1のアンテナ導体30Aの面積を表す。間隔D1が大きく、デフォッガに沿って延伸する第1の近接部33の長さが長いほど、AM利得が向上する。なお、
図6Aにおける各エレメントの線幅は、いずれも1mmである。また、
図6Aにおいて、第1のアンテナ導体30Aと下リインフォース部14Dとの距離は、200mmである。
【0071】
【0072】
表6は、
図8A,8Bに示す各構成例についてのAM利得の測定結果の一例を示す。表6において、
(a):
図8Aの(a)(全長L1:800mm、面積S1:0.0008m
2)
(b):
図8Aの(b)(全長L1:1200mm、面積S1:0.0012m
2)
(c):
図8Bの(c)(全長L1:1200mm、面積S1:0.0012m
2)
(d):
図8Bの(d)(全長L1:1600mm、面積S1:0.0016m
2)
とする。なお、
図8A,8Bにおける各エレメントの線幅は、いずれも1mmである。また、
図8A,8BにおけるD1は、30mmである。また、
図8A及び
図8Bの(c)において、各々、第1のアンテナ導体30A,30E,30Fと下リインフォース部14Dとの距離は、200mmである。
図8A,8Bにおいて、第2の近接部39と右リインフォース部14Bとの距離及び第2の近接部39と左リインフォース部14Aとの距離は、10mm~20mmである。さらに、
図8Bの(d)において、第1の近接部33と上リインフォース部との距離も、10mm~20mmである。
【0073】
図8Aの(a)に示す第1のアンテナ導体30Aは、デフォッガの上下左右の4つの周辺領域のうち、下方の1つの周辺領域のみに配置されている。
図8Aの(b)に示す第1のアンテナ導体30Eは、デフォッガの上下左右の4つの周辺領域のうち、下方及び右方の隣り合う2つの周辺領域のみに配置されている。
図8Bの(c)に示す第1のアンテナ導体30Fは、デフォッガの上下左右の4つの周辺領域のうち、左方及び下方の隣り合う2つの周辺領域のみに配置されている。
図8Bの(d)に示す第1のアンテナ導体30Cは、デフォッガの上下左右の4つの周辺領域のうち、左方、上方及び右方の3つの周辺領域のみに配置されている。
【0074】
図8Aの(b)の第1のアンテナ導体30Eは、第1の給電部31と、第1の給電部31に接続されるL字状の第1のアンテナエレメント32を有する。第1のアンテナエレメント32は、デフォッガ20の下縁22に対して3mm~60mmの間隔を空けて下縁22に沿って延伸する第1の近接部33と、デフォッガ20の右縁24に対して10mm~40mmの間隔を空けて右縁24に沿って延伸する第2の近接部39とを有する。第1のアンテナ導体30Eにおいて、第1の近接部33は、デフォッガ20より下方の領域に配置され、第2の近接部39は、デフォッガ20より右方の領域に配置される。右縁24は、デフォッガの上下左右の外縁のうちの第1の外縁に接続される第2の外縁の一例である。
【0075】
図8Bの(c)の第1のアンテナ導体30Fは、第1の給電部31と、第1の給電部31に接続されるL字状の第1のアンテナエレメント32を有する。第1のアンテナエレメント32は、デフォッガ20の下縁22に対して3mm~60mmの間隔を空けて下縁22に沿って延伸する第1の近接部33と、デフォッガ20の左縁23に対して10mm~40mmの間隔を空けて左縁23に沿って延伸する第2の近接部39とを有する。第1のアンテナ導体30Fにおいて、第1の近接部33は、デフォッガ20より下方の領域に配置され、第2の近接部39は、デフォッガ20より左方の領域に配置される。左縁23は、デフォッガの上下左右の外縁のうちの第1の外縁に接続される第2の外縁の一例である。
【0076】
図8Bの(d)の第1のアンテナ導体30Cは、第1の給電部31と、第1の給電部31に接続されるU字状の第1のアンテナエレメント32を有する。第1のアンテナエレメント32は、デフォッガ20の上縁21に対して3mm~60mmの間隔を空けて上縁21に沿って延伸する第1の近接部33と、デフォッガ20の左縁23及び右縁24に対して10mm~40mmの間隔を空けて左縁23及び右縁24に沿って延伸する第2の近接部39とを有する。第1のアンテナ導体30Cにおいて、第1の近接部33は、デフォッガ20より上方の領域に配置され、第2の近接部39は、デフォッガ20より左方及び右方の領域に配置される。
【0077】
表6によれば、(a)は、(b)及び(c)に比べてアンテナ導体の全長が短くても(面積S1が狭くても)、(b)及び(c)と同等のAM利得を確保できる。また、(a)~(c)は、(d)に比べて、リインフォースと近接する長さが短いので、AM利得が向上する。
【0078】
図9は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第5の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図9は、リアガラス15が第2のアンテナ導体とT字状エレメントを更に備える点で、上述の構成と異なる。
【0079】
第2のアンテナ導体50Aは、FM放送波の周波数帯(例えば、76MHz~95MHz)の電波を受信可能に、その形状及び寸法が形成されている。第2のアンテナ導体50Aは、デフォッガ20(例えば、左縁23に形成されたバスバー)に電気的に接続される第2の給電部51を有する。
図9に示す例では、第2の給電部51は、接続エレメント52を介して、デフォッガ20の左縁23に形成されたバスバーの下端部に接続される。なお、第2のアンテナ導体50Aは、FM放送波の周波数帯(FM放送波帯)として、米国規格の周波数帯も含んで、例えば、76MHz~108MHzの電波を受信可能にその形状及び寸法が形成されてもよい。また、第2のアンテナ導体50Aは、FM放送波帯域のみ受信可能な設計であれば、リインフォースと接していなければよく、リインフォースから1mm以上離れていれば好ましく、リインフォースから3mm以上離れていればより好ましい。
【0080】
T字状エレメントは、デフォッガ20において水平方向に延伸する複数の電熱線を縦断する垂直エレメント53と、デフォッガ20の上縁21よりも上側の周辺領域41において左右方向(水平方向)に延伸する水平エレメント54とを有する。垂直エレメント53は、水平エレメント54の中間部から下方に延伸し、デフォッガ20における複数の電熱線と交差する。また、T字エレメントは、第2のアンテナ導体50AがFM放送波帯域のみ受信可能な設計であれば、リインフォースと接していなければよく、リインフォースから1mm以上離れていれば好ましく、リインフォースから3mm以上離れていればより好ましい。
【0081】
図9の構成によれば、第1のアンテナ導体30Aで受信して得られるAM放送帯域の信号は、第1の給電部31から取り出し可能である。また、第2のアンテナ導体50Aで受信して得られるFM放送波の信号は、第2の給電部51から取り出し可能である。なお、
図9の構成では、T字エレメントを有することで、FM放送波帯の受信感度が向上する。
【0082】
【0083】
表7は、
図9に示す構成例についてのFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。FM利得とは、FM放送波帯域でのアンテナ利得を平均した値を表す。周波数特性[AVE-MIN]とは、FM放送帯域である76MHzから108MHzまでの各周波数でのFM利得を平均した値(AVE)と、76MHzから108MHzまでの各周波数でのFM利得のうち最小の値(MIN)との差を表す。表7によれば、水平偏波も垂直偏波についても、必要なFM利得及び周波数特性を確保できる。なお、後述する各表における、FM利得、周波数特性[AVE-MIN]も、76MHzから108MHzの周波数帯域に基づく値である。
【0084】
なお、表7の測定時において、
図9に示す各部の寸法は、
デフォッガ20の縦幅:約300mm
デフォッガ20の横幅:約1040mm
デフォッガ20における複数の電熱線間のピッチ:30mm
水平エレメント54の長さ:600mm
水平エレメント54と上縁21との間隔:50mm
垂直エレメント53の長さ:350mm
接続エレメント52の長さ:40mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの長さ:280mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの幅:10~15mm
である。
【0085】
水平エレメント54と上リインフォース部14Cとの間隔:45mm
第2の給電部51と左リインフォース部14Aとの間隔:15mm
【0086】
図10Aは、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第6の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図10Aは、リアガラス15が第2のアンテナ導体50Bを備える点で、上述の構成と異なる。
【0087】
第2のアンテナ導体50Bは、FM放送帯域の電波を受信可能に、その形状及び寸法が形成されている。第2のアンテナ導体50Bは、デフォッガ20に接続され又は近接する第2の給電部51と、デフォッガ20から1mm~40mmの間隔D2を空けて配置された第2のアンテナエレメント55とを有する。
図10Aに示す例では、第2の給電部51は、デフォッガ20の左縁23の下端部に近接し、第2のアンテナエレメント55は、デフォッガ20の左縁23及び上縁21のそれぞれから1mm~40mmの間隔D2を空けて左縁23及び上縁21に沿って延伸する。また、第2のアンテナエレメント55は、第2の給電部51から、デフォッガ20の外側にある左右の2つの周辺領域43,44のうち左方の周辺領域43を通ってから、デフォッガ20の上縁21より上側の周辺領域41まで延伸する。なお、第2のアンテナ導体50Bは、FM放送波帯域のみ受信可能な設計であれば、リインフォースと接していなければよく、リインフォースから1mm以上離れていれば好ましく、リインフォースから3mm以上離れていればより好ましい。
【0088】
図10Aの構成によれば、第1のアンテナ導体30Aで受信して得られるAM放送帯域の信号は、第1の給電部31から取り出し可能である。また、第2のアンテナ導体50Bで受信して得られるFM放送帯域の信号は、第2の給電部51から取り出し可能である。このように、第2のアンテナエレメント55を有することで、FM放送帯域の受信感度が向上する。
【0089】
第2のアンテナエレメント55の全長は、FM放送帯域の受信感度を向上させる点で、200mm以上1400mm以下が好ましく、300mm以上1200mm以下がより好ましい。また、間隔D2は、FM放送波の受信感度を向上させる点で、0mmよりも大きく40mm以下が好ましく、3mm以上20mm以下がより好ましい。
【0090】
図10Bは、水平偏波において、
図10Aに示す構成例についての各周波数でのFM利得の測定結果の一例を示す。
図10Cは、垂直偏波において、
図10Aに示す構成例についての各周波数でのFM利得の測定結果の一例を示す。
図10B,10Cによれば、必要なFM利得及び周波数特性を確保できる。なお、第2のアンテナ導体50Bは、リインフォースとの距離を20mm~30mmとなるように配置した。また、
図10B,10Cは、第2のアンテナエレメント55の全長が400mm、D2が3mm、L1が1000mm、D1が40mmの場合を示す。
【0091】
【0092】
表8は、
図10Aに示す構成例において、第2のアンテナエレメント55の全長を1000mm,700mm,400mmと変化させたときのFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。この時、間隔D2は3mmとする。表8によれば、水平偏波も垂直偏波についても、必要なFM利得及び周波数特性を確保できる。
【0093】
【0094】
表9は、
図10Aに示す構成例において、間隔D2を3mm,10mm,20mmと変化させたときのFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。この時、第2のアンテナエレメント55の全長は400mmとする。表9によれば、水平偏波も垂直偏波についても、必要なFM利得及び周波数特性を確保できる。
【0095】
図11は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第7の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図11は、第2の給電部51が接続エレメント52を介してデフォッガ20に接続されている点で、
図10Aの構成と異なる。
図11に示す例では、第2のアンテナ導体50Cは、デフォッガ20の左縁23の下端部に接続エレメント52を介して接続される第2の給電部51を有する。
【0096】
図11の構成によれば、第1のアンテナ導体30Aで受信して得られるAM放送帯域の信号は、第1の給電部31から取り出し可能である。また、第2のアンテナ導体50Cで受信して得られるFM放送帯域の信号は、第2の給電部51から取り出し可能である。第2のアンテナエレメント55を有することで、FM放送帯域の受信感度が向上する。
【0097】
図12は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第8の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図12は、リアガラス15が第3のアンテナ導体60Aをさらに備える点で、上述の構成と異なる。
【0098】
第2のアンテナ導体50A及び第3のアンテナ導体60Aは、FM放送帯域の電波を受信可能に、その形状及び寸法が形成されている。第2のアンテナ導体50Aは、デフォッガ20に接続される第2の給電部51を有する。第3のアンテナ導体60Aは、デフォッガ20に接続され又は近接する第3の給電部61と、デフォッガ20から1mm~40mmの間隔D2を空けて配置された第3のアンテナエレメント65とを有する。
【0099】
図12に示す例では、第3の給電部61は、デフォッガ20の右縁24の下端部に近接し、第3のアンテナエレメント65は、デフォッガ20の右縁24から1mm~40mmの間隔D2を空けて右縁24に沿って延伸する。第3のアンテナエレメント65は、第3の給電部61から、デフォッガ20の外側にある左右の2つの周辺領域のうち、第2の給電部51が位置する側とは反対側の領域(この場合、右側の周辺領域44)を延伸する。なお、第3のアンテナ導体60Aは、FM放送波帯域のみ受信可能な設計であれば、リインフォースと接していなければよく、リインフォースから1mm以上離れていれば好ましく、リインフォースから3mm以上離れていればより好ましい。
【0100】
図12の構成によれば、第1のアンテナ導体30Aで受信して得られるAM放送帯域の信号は、第1の給電部31から取り出し可能である。また、第2のアンテナ導体50Aで受信して得られるFM放送帯域の信号は、第2の給電部51から取り出し可能であり、第3のアンテナ導体60Aで受信して得られるFM放送帯域の信号は、第3の給電部61から取り出し可能である。第2のアンテナ導体50Aと第3のアンテナ導体60Aとによって、FM放送帯域を受信するダイバーシティアンテナを実現できる。
【0101】
第3のアンテナエレメント65の全長は、FM放送帯域の受信感度を向上させる点で、100mm以上1400mm以下が好ましく、100mm以上700mm以下がより好ましい。
【0102】
【0103】
表10は、
図12に示す構成例について、FM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。表10によれば、第2のアンテナ導体50A及び第3のアンテナ導体60Aのどちらも、水平偏波及び垂直偏波について、必要なFM利得及び周波数特性を確保できる。
【0104】
なお、表10の測定時において、
図12に示す各部の寸法は、
デフォッガ20の縦幅:約300mm
デフォッガ20の横幅:約1040mm
デフォッガ20における複数の電熱線間のピッチ:30mm
接続エレメント52の長さ:40mm
第3のアンテナエレメント65の長さ:300mm
間隔D2:5mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの長さ:280mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの幅:10~15mm
である。
【0105】
第3のアンテナエレメント65と右リインフォース部14Bとの間隔:10~30mm
第2の給電部51と左リインフォース部14Aとの間隔:15mm
【0106】
【0107】
表11は、
図12に示す構成例について、第3のアンテナ導体60Aの第3のアンテナエレメント65の全長を500mm,300mm,100mmと変化させたとき、水平偏波の場合のFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。表11によれば、第2のアンテナ導体50A及び第3のアンテナ導体60Aのどちらも、水平偏波について、必要なFM利得及び周波数特性を確保できる。
【0108】
【0109】
表12は、
図12に示す構成例について、第3のアンテナ導体60Aの第3のアンテナエレメント65の全長を500mm,300mm,100mmと変化させたとき、垂直偏波の場合のFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。表12によれば、第2のアンテナ導体50A及び第3のアンテナ導体60Aのどちらも、垂直偏波について、必要なFM利得及び周波数特性を確保できる。
【0110】
なお、表11,12の測定時において、
図12に示す各部の寸法は、
デフォッガ20の縦幅:約300mm
デフォッガ20の横幅:約1040mm
デフォッガ20における複数の電熱線間のピッチ:30mm
接続エレメント52の長さ:40mm
間隔D2:5mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの長さ:280mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの幅:10~15mm
である。
【0111】
第3のアンテナエレメント65と右リインフォース部14Bとの間隔:10~30mm
第2の給電部51と左リインフォース部14Aとの間隔:15mm
【0112】
図13は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第9の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図13は、第2のアンテナ導体50Dを備える点で、上述の構成と異なる。
【0113】
第2のアンテナ導体50D及び第3のアンテナ導体60Aは、いずれも、周波数が30MHz~300MHzのVHF(Very High Frequency)帯の電波を受信可能に形成されている。VHF帯の電波には、FM放送波帯の電波、DAB規格のバンドIII(174MHz~240MHz)の電波などが含まれる。DAB規格のバンドIIIの電波は、垂直偏波である。例えば、第2のアンテナ導体50D及び第3のアンテナ導体60Aは、いずれも、FM放送波及びDAB Band IIIの両方の周波数帯の電波を受信可能に、その形状及び寸法が形成された共用アンテナである。第2のアンテナ導体50Dは、デフォッガ20に接続され又は近接する第2の給電部51と、デフォッガ20から1mm~40mmの間隔D2を空けて配置された第2のアンテナエレメント55とを有する。第3のアンテナ導体60Aは、デフォッガ20に接続され又は近接する第3の給電部61と、デフォッガ20から1mm~40mmの間隔D2を空けて配置された第3のアンテナエレメント65とを有する。なお、
図13に示す構成は、接続エレメント52を有するが、接続エレメント52の要否は任意であるので、第2のアンテナエレメント55があれば、接続エレメント52は無くてもよい。なお、第2のアンテナ導体50Dが、接続エレメント52を有する場合、接続エレメント52の長さは5mm~10mm程度で調整するとよい。
【0114】
第2のアンテナ導体50D及び第3のアンテナ導体60Aは、いずれも、周波数が30MHz~300MHzのVHF(Very High Frequency)帯および300MHz~3GHzのUHF(Ultra High Frequency)帯の両方の電波を受信可能に形成されてもよい。UHF帯の電波には、470MHz~720MHzの地上デジタルテレビ放送波などが含まれる。地上デジタルテレビ放送波は、水平偏波である。例えば、第2のアンテナ導体50D及び第3のアンテナ導体60Aは、いずれも、FM放送波及び地上デジタルテレビ放送波の両方の周波数帯の電波を受信可能に、その形状及び寸法が形成された共用アンテナでもよい。
【0115】
図13の構成によれば、第2のアンテナ導体50Dと第3のアンテナ導体60Aとによって、FM放送波、DAB Band III、地上デジタルテレビ放送波のうち、少なくとも1つの周波数帯の電波を受信するダイバーシティアンテナを実現できる。
【0116】
図14は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第10の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図14は、第4のアンテナ導体70A及び第5のアンテナ導体70Bを備える点で、上述の構成と異なる。
【0117】
図14において、第1のアンテナ導体30Cは、AM放送帯域の電波を少なくとも受信可能に、その形状及び寸法は設計されている。第1のアンテナ導体30Cは、第1の給電部31と、第1の給電部31に接続される全長100mm~1800mmの第1のアンテナエレメント32とを有する。
図14に示す例では、第1のアンテナエレメント32は、直線状のエレメントと、その直線状のエレメントの一部を共有するループ状のエレメントとを有する。
【0118】
第4のアンテナ導体70A及び第5のアンテナ導体70Bは、FM放送波、DAB Band III、地上デジタルテレビ放送波のうち、少なくとも1つの周波数帯の電波を受信可能な導体である。第4のアンテナ導体70A及び第5のアンテナ導体70Bは、それぞれ、第4の給電部と、当該第4の給電部に接続される第4のアンテナエレメントとを有する。
図14に示す例では、第4のアンテナ導体70A及び第5のアンテナ導体70Bは、地上デジタルテレビ放送波の周波数帯の電波を受信可能に、その形状及び寸法が設計されている。第4のアンテナ導体70Aと第5のアンテナ導体70Bとによって、地上デジタルテレビ放送波を受信するダイバーシティアンテナを実現できる。
【0119】
図15は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第11の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図15は、第4のアンテナ導体70C及び第5のアンテナ導体70Bを備える点で、上述の構成と異なる。
図15に示す第1のアンテナ導体30Bは、
図4に示す構成と同様である。
【0120】
図15において、第4のアンテナ導体70Cは、FM放送波、DAB Band III、地上デジタルテレビ放送波のうち、少なくとも1つの周波数帯の電波を受信可能な導体である。
図15に示す例では、第4のアンテナ導体70Cは、地上デジタルテレビ放送波の周波数帯の電波を受信可能に、その形状及び寸法が設計されている。第4のアンテナ導体70Cと第5のアンテナ導体70Bとによって、地上デジタルテレビ放送波を受信するダイバーシティアンテナを実現できる。
【0121】
【0122】
表13は、
図4に示す形態(ただし、下リインフォース部14Dが無い)において、第1のアンテナ導体30Bを、AM放送波帯とFM放送波帯の電波を受信可能に形成した共用アンテナとした場合のFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。このとき、L2=800mm、L3=10mm、D1=20mmである。表13によれば、垂直偏波と水平偏波について、必要なFM利得及び周波数特性が確保できる。このとき、AM利得は、47dBμVが得られ、必要なAM利得も確保できる。
【0123】
【0124】
表14は、
図4に示す形態(ただし、下リインフォース部14Dが無い)において、第1のアンテナ導体30Bを、AM放送波帯とFM放送波帯の電波を受信可能に形成した共用アンテナとした場合のFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。このとき、第1のアンテナ導体30Bのループの長さを変化させている。表14によれば、400mm~900mm内のいずれのループの長さでも、垂直偏波と水平偏波について、必要なFM利得及び周波数特性が確保できる。
【0125】
図16は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第12の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図16は、AM放送帯域の電波を受信可能な第1のアンテナ導体30Gを備える点で、上述の構成と異なる。
【0126】
第1のアンテナ導体30Gは、ループ状の第1のアンテナエレメント34~37に直接又は間接的に接続される線条エレメント38をさらに備える。線条エレメント38は、第1のアンテナエレメント34~37に接続されてもよいし、第1の給電部31に接続されてもよい。
図16に示す線条エレメント38の形状は、L字状であるが、これに限られない。線条エレメント38は、第1のアンテナエレメント34~37に対してデフォッガ20とは反対側で、第1のアンテナエレメント34~37により形成される長方形の長辺(この場合、エレメント部36)に沿って延伸する線条部分を有する。この線条部分は、エレメント部36よりも下側の領域において左右方向(水平方向)に延伸する。
【0127】
また、下縁22とエレメント部34との距離(例えば、間隔D1)が、3mm~30mmであり、その長方形の短辺の長さが3mm~50mmであると、第1のアンテナ導体30Gは、AM放送帯域とFM放送帯域との両方の周波数帯の電波を受信できる。つまり、第1のアンテナ導体30Gは、AM放送帯域とFM放送帯域を受信可能な共用アンテナとすることができる。
【0128】
【0129】
表15は、
図16に示す形態において、第1のアンテナ導体30Gを、AM放送帯域とFM放送帯域の両方の周波数帯の電波を受信可能に形成した共用アンテナとした場合のFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。このとき、L2=500mm、L3=10mm、L4=800mm、D1=5mm、第1のアンテナエレメント36と線条エレメント38の間隔=10mmである。表15によれば、垂直偏波と水平偏波について、必要なFM利得及び周波数特性が確保できる。このとき、AM利得は、44dBμVが得られ、必要なAM利得も確保できる。
【0130】
【0131】
表16は、
図16に示す形態において、第1のアンテナ導体30Gを、AM放送帯域とFM放送帯域の両方の周波数帯の電波を受信可能に形成した共用アンテナとした場合のFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。このとき、第1のアンテナ導体30Gのループの長さを変化させている。具体的には、D1=5mm、L3=10mm、第1のアンテナエレメント36と線条エレメント38の間隔=10mm固定で、L2の値を300mm~900mmに調整した。表16によれば、300mm~900mm内のいずれのループの長さでも、垂直偏波と水平偏波について、必要なFM利得及び周波数特性が確保できる。
【0132】
【0133】
表17は、
図16に示す形態において、第1のアンテナ導体30Gを、AM放送帯域とFM放送帯域の電波を受信可能に形成した共用アンテナとした場合のFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。このとき、間隔D1を変化させている。表17によれば、5mm~20mm内のいずれの間隔D1でも、垂直偏波と水平偏波について、必要なFM利得及び周波数特性が確保できる。
【0134】
なお、表17の測定時において、
図16に示す各部の寸法は、
デフォッガ20の縦幅:約300mm
デフォッガ20の横幅:約1040mm
デフォッガ20における複数の電熱線間のピッチ:30mm
L2:500mm
L3:10mm
L4:800mm
第1のアンテナエレメント36と線条エレメント38の間隔=10mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの長さ:280mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの幅:10~15mm
である。
【0135】
図17は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第13の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図17は、第3のアンテナ導体60Aを備える点で、上述の構成と異なる。
【0136】
第1のアンテナ導体30Gは、AM放送帯域とFM放送帯域の電波を受信可能に形成した共用アンテナであり、第3のアンテナ導体60Aは、FM放送帯域の電波を受信可能に形成したアンテナである。
【0137】
【0138】
表18は、
図17に示す形態において、FM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。表18によれば、第1のアンテナ導体30Gと第3のアンテナ導体60Aのいずれも、垂直偏波と水平偏波について、必要なFM利得及び周波数特性が確保できる。よって、第1のアンテナ導体30Gと第3のアンテナ導体60Aとによって、FM放送帯域の電波を受信するダイバーシティアンテナを実現できる。
【0139】
なお、表18の測定時において、
図17に示す各部の寸法は、
デフォッガ20の縦幅:約300mm
デフォッガ20の横幅:約1040mm
デフォッガ20における複数の電熱線間のピッチ:30mm
L2:500mm
L3:10mm
L4:800mm
第1のアンテナエレメント36と線条エレメント38の間隔=10mm
第3のアンテナエレメント65の長さ:350mm
間隔D1:5mm
間隔D2:5mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの長さ:280mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの幅:10~15mm
である。
【0140】
第3のアンテナエレメント65と右リインフォース部14Bとの間隔:10~30mm
【0141】
【0142】
表19は、
図17に示す形態において、第3のアンテナ導体60Aの第3のアンテナエレメント65の全長を変化させたときのFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。表19によれば、第1のアンテナ導体30Gと第3のアンテナ導体60Aのいずれでも、第3のアンテナエレメント65の全長が150mm~550mm内の長さであれば、水平偏波について、必要なFM利得及び周波数特性を確保できる。
【0143】
【0144】
表20は、
図17に示す形態において、第3のアンテナ導体60Aの第3のアンテナエレメント65の全長を変化させたときのFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。表20によれば、第1のアンテナ導体30Gと第3のアンテナ導体60Aのいずれでも、第3のアンテナエレメント65の全長が150mm~550mm内の長さであれば、垂直偏波について、必要なFM利得及び周波数特性を確保できる。
【0145】
なお、表19,20の測定時において、
図17に示す各部の寸法は、
デフォッガ20の縦幅:約300mm
デフォッガ20の横幅:約1040mm
デフォッガ20における複数の電熱線間のピッチ:30mm
L2:500mm
L3:10mm
L4:800mm
第1のアンテナエレメント36と線条エレメント38の間隔=10mm
間隔D1:5mm
間隔D2:5mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの長さ:280mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの幅:10~15mm
である。
【0146】
第3のアンテナエレメント65と右リインフォース部14Bとの間隔:10~30mm
【0147】
【0148】
表21は、
図17に示す形態において、第3のアンテナ導体60Aとデフォッガ20との間隔D2を変化させたときのFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。表21によれば、第1のアンテナ導体30Gと第3のアンテナ導体60Aのいずれでも、間隔D2が5mm~20mm内の長さであれば、水平偏波について、必要なFM利得及び周波数特性を確保できる。
【0149】
【0150】
表22は、
図17に示す形態において、第3のアンテナ導体60Aとデフォッガ20との間隔D2を変化させたときのFM利得及び周波数特性の測定結果の一例を示す。表22によれば、第1のアンテナ導体30Gと第3のアンテナ導体60Aのいずれでも、間隔D2が5mm~20mm内の長さであれば、垂直偏波について、必要なFM利得及び周波数特性を確保できる。
【0151】
なお、表21,22の測定時において、
図17に示す各部の寸法は、
デフォッガ20の縦幅:約300mm
デフォッガ20の横幅:約1040mm
デフォッガ20における複数の電熱線間のピッチ:30mm
L2:500mm
L3:10mm
L4:800mm
第1のアンテナエレメント36と線条エレメント38の間隔=10mm
間隔D1:5mm
第3のアンテナエレメント65の長さ:350mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの長さ:280mm
デフォッガ20の左縁23及び右縁24に延在するバスバーの幅:10~15mm
である。
【0152】
第3のアンテナエレメント65と右リインフォース部14Bとの間隔:10~30mm
【0153】
図18は、インナーパネル13が取り外されたバックドアの第14の構成例を車内側からの視点で模式的に示す平面図である。上述の構成例と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
図18は、AM放送帯域の電波を受信可能な第1のアンテナ導体30Hを備える点で、上述の構成と異なる。
【0154】
第1のアンテナ導体30Hは、直線状の第1のアンテナエレメント32に直接又は間接的に接続される線条エレメント38をさらに備える。線条エレメント38は、第1のアンテナエレメント32に接続されてもよいし、第1の給電部31に接続されてもよい。
図18に示す線条エレメント38の形状は、L字状であるが、これに限られない。線条エレメント38は、第1のアンテナエレメント32に対してデフォッガ20とは反対側で、第1のアンテナエレメント32に沿って延伸する線条部分を有する。この線条部分は、第1のアンテナエレメント32よりも下側の領域において左右方向(水平方向)に延伸する。
【0155】
第1のアンテナ導体30Hは、AM放送帯域とFM放送帯域の電波を受信可能に形成した共用アンテナであり、第3のアンテナ導体60Aは、FM放送帯域とDAB Band IIIの電波を受信可能に形成したアンテナである。よって、第1のアンテナ導体30Hと第3のアンテナ導体60Aとによって、FM放送帯域を受信するダイバーシティアンテナを実現できる。
【0156】
なお、
図18において、第1のアンテナ導体30Hの下方の領域(例えば、リアガラス15、アウターパネル12又はインナーパネル13)に、地上デジタルテレビ放送波を受信可能に形成した一つ又は複数のアンテナ導体が形成されてもよい。地上デジタルテレビ放送波を受信可能に形成した複数のアンテナ導体が、周辺領域41,42のそれぞれに配置されてもよい。
【0157】
以上、バックドア及びリアガラスを実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0158】
例えば、エレメントの「端部」は、エレメントの延伸の始点又は終点であってもよいし、その始点又は終点手前の導体部分である始点近傍又は終点近傍であってもよい。また、エレメントの「端部」には、折れ曲がりや折り返しが形成されてもよい。「端部」には、「一端」、「他端」、「先端部」、「終端部」又は「開放端」が含まれてもよい。また、エレメント同士の接続部は、曲率を有して接続されていてもよい。
【0159】
また、アンテナエレメント及び電極(給電部)は、例えば、導電性金属を含有するペースト(例えば、銀ペースト等)を窓ガラスの車内側表面にプリントして焼付けることによって形成される。しかし、アンテナエレメント及び電極の形成方法は、この方法に限定されない。例えば、アンテナエレメント又は電極は、銅等の導電性物質を含有する線状体又は箔状体を窓ガラスの車内側表面又は車外側表面に設けることによって形成されてもよい。あるいは、アンテナエレメント又は電極は、窓ガラスに接着剤等により貼付されてもよく、窓ガラス自体の内部に設けられてもよい。
【0160】
電極の形状は、例えば、正方形、略正方形、長方形、略長方形などの方形状や多角形状が実装上好ましい。なお、円、略円、楕円、略楕円などの円状でもよい。
【0161】
また、アンテナエレメントと電極との少なくともいずれかを形成する導体層を合成樹脂製フィルムの内部又はその表面に設け、導体層付き合成樹脂製フィルムを窓ガラスの車内側表面又は車外側表面に設置する構成が採用されてもよい。さらに、アンテナエレメントと電極との少なくともいずれかが形成されたフレキシブル回路基板を窓ガラスの車内側表面又は車外側表面に設置する構成が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0162】
11 開口部
12 アウターパネル
13 インナーパネル
14 リインフォース
15 リアガラス
16 窓枠
17 遮光膜
20 デフォッガ
22 下縁
24 右縁
30,30A~30H 第1のアンテナ導体
31 第1の給電部
32 第1のアンテナエレメント
33 第1の近接部
38 線条エレメント
39 第2の近接部
41~44 周辺領域
50A,50B,50C 第2のアンテナ導体
51 第2の給電部
52 接続エレメント
53 垂直エレメント
54 水平エレメント
55 第2のアンテナエレメント
60A 第3のアンテナ導体
61 第3の給電部
65 第3のアンテナエレメント
70A,70C 第4のアンテナ導体
70B 第5のアンテナ導体
100 バックドア