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特許7283894ウエハレベルのダイブリッジのための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】ウエハレベルのダイブリッジのための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20230523BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20230523BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20230523BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20230523BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20230523BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20230523BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20230523BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20230523BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L21/90 B
H01L21/88 M
H01L25/08 B
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018228611
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2019125779
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】15/835,909
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シン, シアン-カン
(72)【発明者】
【氏名】スンダラジャン, アービン
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0279817(US,A1)
【文献】米国特許第09761559(US,B1)
【文献】特開2006-261311(JP,A)
【文献】特開2008-166824(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0315071(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/3205-21/3213
H01L21/768
H01L23/12-23/15
H01L23/522
H01L23/532
H01L25/00-25/07
H01L25/10-25/11
H01L25/16-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハレベルのブリッジダイを形成する方法であって、
再配線層(RDL)を形成することと、
前記RDLに、前記RDLとは反対側の露出表面上に電気接続を有するブリッジダイを固定することと
前記RDLに少なくとも1つの電気的相互接続部を形成することと、
前記ブリッジダイに少なくとも1つの電気的相互接続部を形成することと、
前記RDLに、少なくとも1つのモールド貫通ビア(TMV)の少なくとも1つの第1部分を形成することと、
前記RDL及び前記ブリッジダイを覆うように第1モールド層を形成することと、
前記少なくとも1つのTMVの前記少なくとも1つの第1部分の上に、前記少なくとも1つのTMVの少なくとも1つの第2部分を形成することと、
ダイが前記RDLの少なくとも1つの電気的相互接続部及び前記ブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部に電気的に接続されるように、複数のダイを前記RDL及び前記ブリッジダイに連結することと、
前記第1モールド層の上、及び前記複数のダイの上に、第2モールド層を形成することと、を含み、
前記少なくとも1つのTMVは、パッケージオンパッケージ型(PoP)電気接続をサポートするよう、前記第2モールド層の上面に電気接続を有する、
方法。
【請求項2】
前記RDLをキャリア上に形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブリッジダイと前記RDLとの間に接着剤を使用して、前記RDLに前記ブリッジダイを固定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1モールド層の上に少なくとも1つの集積受動デバイスを形成することと、
記少なくとも1つの集積受動デバイスの上に、前記第2モールド層を形成することと、
を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記RDLの少なくとも1つの電気的相互接続部、若しくは前記ブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部を形成するために、銅ベースの材料を使用することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
ウエハレベルのブリッジダイを形成する方法であって、
再配線層(RDL)をキャリアに一時的に結合させることと、
前記RDLにブリッジダイを固定することであって、前記ブリッジダイは前記RDLとは反対側の露出表面上に電気接続を有する、ブリッジダイを固定することと、
前記RDLに少なくとも1つの電気的相互接続部を形成することと、
前記ブリッジダイの前記露出表面上に少なくとも1つの電気的相互接続部を形成することと、
前記RDL及び前記ブリッジダイの上に第1モールド層を形成することと、
イが前記RDLの少なくとも1つの電気的相互接続部及び前記ブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部に電気的に接続されるように、複数のダイを前記RDL及び前記ブリッジダイに連結することと、
前記第1モールド層の上、及び前記複数のダイの上に、第2モールド層を形成することと、
前記RDLから前記キャリアを除去することと、
前記RDLから前記第2モールド層の上面まで貫通する少なくとも1つのモールド貫通ビアを形成することと、
を含む、方法。
【請求項7】
半導体デバイス同士を接続するための装置であって、
再配線層(RDL)と、
ブリッジダイと、
前記RDLと前記ブリッジダイとの間に配置された接着剤層と、
前記RDLの少なくとも1つの電気的相互接続部と、
前記ブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部と、
前記RDL及び前記ブリッジダイの上の第1モールド層と、
前記RDL上の少なくとも1つの集積受動デバイスと、
前記RDLの、少なくとも1つのモールド貫通ビア(TMV)の少なくとも1つの第1部分と、
前記少なくとも1つのTMVの前記少なくとも1つの第1部分の上に形成された前記少なくとも1つのTMVの少なくとも1つの第2部分と、
ダイが前記RDLの前記少なくとも1つの電気的相互接続部のうちの少なくとも1つ、及び前記ブリッジダイの前記少なくとも1つの電気的相互接続部のうちの少なくとも1つに電気的に接続されるように、前記RDL及び前記ブリッジダイに連結された、複数のダイと、
前記第1モールド層の上、及び前記複数のダイの上の、第2モールド層と、
を備え、
前記少なくとも1つのTMVは、パッケージオンパッケージ型(PoP)電気接続をサポートするよう、前記第2モールド層の上面に電気接続を有する、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本原理の実施形態は概して、半導体プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]集積回路は多くの場合、望ましい機能性に応じて、種々のプロセスにより形成される。通常、単一のダイ又は「チップ(chip)」を作り出すためには、1つの機能を有する複数のチップが単一ウエハ上に構築されてから、切り離される。他の事例では、複数のチップは、複数の機能を有することがあり、ダイ分割と複数機能ダイの集積とを含みうる。チップは入力部及び出力部(I/O)を有し、これらのI/Oは、他のチップのI/Oと電気的に接続されることが必要である。例えば、処理チップは、機能を適切に実施するために、メモリチップに接続されることが必要でありうる。2つのチップを電気的に接合する方式の1つは、「ブリッジ(bridge)」として知られている能動デバイス又は受動デバイスを使用することである。ブリッジは、1つのチップのI/O接続部から別のチップのI/O接続部への経路を提供する。ブリッジは、受動的であるか又は能動機能を有している、接続ルートを有するシリコンダイでありうる。しかし、接続を提供するためにブリッジを使用することで、多くの場合、半導体デバイスの製造複雑性が増大し、したがって、その半導体デバイスを製造しうる事業者も限定されうる。前述したことは、基板内に形成されるブリッジに関して真実であることが多く、かかるブリッジにより、プロセスが、(ウエハレベルの製造に限定される)組み立て・試験の外部委託(Outsourced Assembly and Test:OSAT)施設ではなく、ファウンドリ(チップの製造者)に限定されることがある。ブリッジ及びチップが配置された後に再配線層(redistribution layer:RDL)を形成する一部のウエハレベルのプロセスは、RDLの歩留まりが低いために、高価なチップを廃棄しなければならないというリスクを伴う。
【0003】
[0003]ゆえに、発明者は、ウエハレベルのダイブリッジを形成するための、改良型の方法及び装置を提供している。
【発明の概要】
【0004】
[0004]ウエハレベルブリッジダイを形成する方法の一部の実施形態は、再配線層を形成することと、RDLにブリッジダイを固定することとを含み、ブリッジダイは、RDLとは反対側の露出表面上に電気接続を有する。
【0005】
[0005]ウエハレベルのブリッジダイを形成する方法の一部の実施形態は、キャリア上にRDLを形成すること、又は、ブリッジダイとRDLとの間に接着剤を使用して、RDLにブリッジダイを固定すること、又は、RDLに少なくとも1つの電気的相互接続部を形成することと、ブリッジダイに少なくとも1つの電気的相互接続部を形成することと、RDL及びブリッジダイを覆うように第1モールド層を形成することと、1つのダイがRDLの少なくとも1つの電気的相互接続部及びブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部に電気的に接続されるように、複数のダイをRDL及びブリッジダイに連結すること、又は、第1モールド層の上、及び複数のダイの上に、第2モールド層を形成すること、又は、第1モールド層に少なくとも1つの集積受動デバイスを形成することと、第1モールド層の上、複数のダイの上、及び少なくとも1つの集積受動デバイスの上に、第2モールド層を形成すること、又は、RDLの少なくとも1つの電気的相互接続部、若しくはブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部を形成するために、銅ベースの材料を使用すること、又は、RDLに少なくとも1つの電気的相互接続部を形成することと、ブリッジダイに少なくとも1つの電気的相互接続部を形成することと、RDLに、少なくとも1つのモールド貫通ビア(through mold via:TMV)の少なくとも1つの第1部分を形成することと、RDL及びブリッジダイを覆うように第1モールド層を形成することと、少なくとも1つのTMVの少なくとも1つの第2部分を形成することと、1つのダイがRDLの少なくとも1つの電気的相互接続部及びブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部に電気的に接続されるように、複数のダイをRDL及びブリッジダイに連結することと、第1モールド層の上、及び複数のダイの上に、第2モールド層を形成することであって、少なくとも1つのTMVは、パッケージオンパッケージ型(package-on-package:PoP)電気接続をサポートするよう、第2モールド層の上面に電気接続を有する、第2モールド層を形成すること、又は、電気めっきプロセスを使用して少なくとも1つのTMVを形成することとを、更に含む。
【0006】
[0006]ウエハレベルのブリッジダイを形成する方法の一部の実施形態は、再配線層をキャリアに一時的に結合させることと、RDLにブリッジダイを固定することであって、ブリッジダイがRDLとは反対側の露出表面上に電気接続を有する、ブリッジダイを固定することと、RDLに少なくとも1つの電気的相互接続部を形成することと、ブリッジダイの露出表面上に少なくとも1つの電気的相互接続部を形成することと、RDL及びブリッジダイの上に第1モールド層を形成することと、1つのダイがRDLの少なくとも1つの電気的相互接続部及びブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部に電気的に接続されるように、複数のダイをRDL及びブリッジダイに連結することと、第1モールド層の上、及び複数のダイの上に、第2モールド層を形成することと、RDLからキャリアを除去することとを、含む。
【0007】
[0007]ウエハレベルのブリッジダイを形成する方法の一部の実施形態は、熱交換層を、複数のダイのうちの少なくとも1つの上面に固定すること、又は、RDLを基板又はプリント基板に電気的に接続させること、又は、第2モールド層を形成する前に、第1モールド層に少なくとも1つの集積受動デバイスを形成すること、又は、RDLから第2モールド層の上面まで、少なくとも1つのモールド貫通ビアを形成することを、更に含む。
【0008】
[0008]半導体デバイス同士を接続するための装置の一部の実施形態は、再配線層(RDL)と、ブリッジダイと、RDLとブリッジダイとの間に配置された接着剤層とを、含む。
【0009】
[0009]半導体デバイス同士を接続するための装置の一部の実施形態は、RDLの少なくとも1つの電気的相互接続部と、ブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部と、RDL及びブリッジダイの上の第1モールド層、又は、1つのダイがRDLの少なくとも1つの電気的相互接続部のうちの少なくとも1つ、及びブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部のうちの少なくとも1つに電気的に接続されるように、RDL及びブリッジダイに連結された、複数のダイと、第1モールド層の上、及び複数のダイの上の、第2モールド層、又は、1つのダイがRDLの少なくとも1つの電気的相互接続部のうちの少なくとも1つ、及びブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部のうちの少なくとも1つに電気的に接続されるように、RDL及びブリッジダイに連結された、複数のダイと、第1モールド層の少なくとも1つの集積受動デバイスと、第1モールド層の上、複数のダイの上、及び少なくとも1つの集積受動デバイスの上の、第2モールド層、又は、RDLの少なくとも1つの電気的相互接続部と、RDL上の少なくとも1つの集積受動デバイスと、ブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部と、RDLの、少なくとも1つのモールド貫通ビア(TMV)の少なくとも1つの第1部分と、RDL及びブリッジダイの上の第1モールド層、又は、少なくとも1つのTMVの少なくとも1つの第2部分と、1つのダイがRDLの少なくとも1つの電気的相互接続部のうちの少なくとも1つ、及びブリッジダイの少なくとも1つの電気的相互接続部のうちの少なくとも1つに電気的に接続されるように、RDL及びブリッジダイに連結された、複数のダイと、第1モールド層の上、及び複数のダイの上の、第2モールド層とを更に含み、少なくとも1つのTMVは、パッケージオンパッケージ型(PoP)電気接続をサポートするよう、第2モールド層の上面に電気接続を有する。
【0010】
[0010]上記で簡潔に要約されており、かつ以下で詳述する本原理の実施形態は、付随する図面に示している本原理の例示的な実施形態を参照することにより理解されうる。しかし、本原理は他の等しく有効な実施形態を許容しうることから、付随する図面は、本原理の典型的な実施形態のみを例示しており、ゆえに、範囲を限定するものと見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]本原理の実施形態の一部による、ウエハレベルのブリッジダイを形成する方法である。
図2】[0012]本原理の実施形態の一部による、ウエハレベルのブリッジダイを形成する別の方法である。
図3A】[0013]本原理の実施形態の一部による、図1の方法により形成される装置を示す。
図3B】本原理の実施形態の一部による、図1の方法により形成される装置を示す。
図3C】本原理の実施形態の一部による、図1の方法により形成される装置を示す。
図3D】本原理の実施形態の一部による、図1の方法により形成される装置を示す。
図3E】本原理の実施形態の一部による、図1の方法により形成される装置を示す。
図3F】本原理の実施形態の一部による、図1の方法により形成される装置を示す。
図3G】本原理の実施形態の一部による、図1の方法により形成される装置を示す。
図4A】[0014]本原理の実施形態の一部による、図2の方法により形成される装置を示す。
図4B】本原理の実施形態の一部による、図2の方法により形成される装置を示す。
図4C】本原理の実施形態の一部による、図2の方法により形成される装置を示す。
図4D】本原理の実施形態の一部による、図2の方法により形成される装置を示す。
図4E】本原理の実施形態の一部による、図2の方法により形成される装置を示す。
図4F】本原理の実施形態の一部による、図2の方法により形成される装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0015]理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに、同一の参照番号を使用した。図は縮尺どおりに描かれておらず、分かりやすくするために単純化されていることがある。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、それ以外の実施形態に有益に組み込まれうる。
【0013】
[0016]ウエハレベルのダイブリッジは、再配線層(RDL)に固定される。RDLは、事前製造されてキャリアに一時的に結合されうるか、又は、一時的結合用接着剤を伴ってキャリア上に直接形成されうる。RDLは、一般的に、製造歩留まりが低い(不良率が高い)。微細ピッチRDL構造物は、製造が更に難しくなる。先にRLDを事前製造し、そのRLDをキャリアに取り付けること、又は、RDLを最初からキャリア上に形成することによって、不具合RDLがあってもそれは、他の貴重な構成要素を廃棄することなく廃棄され、全体的な製造コストが削減されうる。更に、RDLが先に構築されるので、他の半導体デバイス(ダイなど)の熱収支によりRDL形成プロセスが制限されることはない。別の利点は、長時間にわたるRDLの高温硬化が、他の高価な構成要素を損傷するリスクを伴わずに実現可能であることである。
【0014】
[0017]ブリッジダイは、1/1を下回るライン/スペース(Line/Space)(典型的には、0.8/0.8L/S又は0.4/0.4um)の設計を実現しうる、バックエンドオブライン(back-end of line:BEOL)プロセスフロー(例えばデュアルダマシンプロセス)、又は、標準的なRDLプロセスフロー(半付加プロセス)に従うことによって、個別に製造される。微細ピッチ回路は、ダイツーダイ(die-to-die)相互接続のニーズを満たすことが可能である。加えて、ダイブリッジはウエハレベルで製造され、ファウンドリによる作業を必要としないので、プロセスは、組み立て・試験の外部委託(OSAT)施設にもよく適合する。ダイが配置された後にRDLが構築されるのであれば、全てではないが大抵の場合、OSAT施設はRDLを適切に作製するための精密位置合わせ能力を有していないことが多く、製造はファウンドリに限定され、製造コストが増大することになる。
【0015】
[0018]RDLが先に形成されることから、2/2以下という微細なライン間隔が可能になる。RDLは、非常にスムーズな表面を有しうるキャリアの上に形成される。RDLが他のモールド層及びダイの上に形成されると、ダイ/モールドの交差部に段差が形成される。この段差により、微細ピッチRDLの形成には適さないトポグラフィ(topography)が生じ、微細ピッチのRDLの歩留まりが大幅に低下し、RDLプロセスに不具合が生じた場合には、製造時間の損失及びダイのコストの損失によりコストが増大する。RDLが先のウエハレベルのダイブリッジプロセスは、RDLプロセスに対する制御がより良好になり(ダイの熱収支についての懸念がなくなり)、RDL品質(平坦トポグラフィによる微細ピッチ制御)が向上し、かつ、高価なダイを失うリスクを伴わずにRDLの歩留まりが上昇するという、利点を有する。ウエハレベルのダイブリッジプロセスは、インターポーザを使用するブリッジ方式よりも低価格でもある。インターポーザを用いなければ、インターポーザの代わりにダイがサイズの制限要因となるので、サイズも低減されることが可能である。サイズの低減により、ウエハレベルのブリッジダイが、より大きなパッケージに適合することが可能になる(2倍のレチクルサイズにおけるブレイクスルー)。
【0016】
[0019]図1は、本原理の実施形態の一部による、RDLが先のウエハレベルのブリッジダイを形成するための方法100を示している。方法100は、図3Aから図3Gに示している(それに応じて以下で言及する)装置に関する。ブロック102において、構造物300Aは、図3Aに示しているように、RDL306を含む。RDL306上に少なくとも1つの電気的相互接続部314が形成されており、RDL306はボンディング層304でキャリア302に一時的に結合されているか、又は、RDL306及び少なくとも1つの電気的相互接続部314が、キャリア302上のボンディング層304上に形成されている。キャリア302は、ガラス、GaN、シリコン、又はポリプロピレンの(事前に含浸済みの)基板などといった材料で作製されうる。ブロック104において、構造物300Bは、図3Bに示しているように、接着剤308でRDL306に固定されたブリッジダイ310を含む。接着剤308は、ブリッジダイを配置し、更なる処理の間保持するのに役立ち、方法100が実施されることを可能にする。接着剤308は、ワイヤボンディング技法において一般的に使用される、有機又は無機の物質又は化合物でありうる。ブロック106において、構造物300Bは、ブリッジダイ310のRDL306とは反対側の露出表面330上に形成された、少なくとも1つの電気的相互接続部312を更に含む。電気的相互接続部312、314により、後続の層(後述する)の形成後にRDL306及びブリッジダイ310との接続を形成することが、可能になる。電気的相互接続部312、314は、時に柱状体と称され、例えば銅ベース材料、タングステンベース材料、及び銀ベース材料を含む金属、及び/又は、例えば導電性ポリマーベース材料などといった、導電性材料で形成されうる。電気的相互接続部312、314は、典型的には、電気めっきプロセスを使用して形成される。オプションの集積受動デバイス(integrated passive device:IPD)322も、RDL306の上面394上に配置されうる。IPDを含むことは、他の技法を凌駕する方法100の更なる利点である。
【0017】
[0020]ブロック108において、構造物300Cは、図3Cに示しているように、RDL306及びブリッジダイ310の上に形成された第1モールド層316を含む。第1モールド層316は、例えば、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、ポリベンゾオキサゾール、エポキシ成形化合物(epoxy molding compound:EMC)(充填剤を有するか又は有さないもの)などといった材料から、形成されうる。第1モールド層316の上面360を平坦化して、電気的相互接続部312、314を更に露出させるために、第1モールド層316の形成後に、化学機械研磨(CMP)などの平坦化プロセスが用いられうる。ブロック110において、構造物300Dは、図3Dに示しているように、第1モールド層316上に配置され、かつ、電気的相互接続部312、314を介してRDL306及びブリッジダイ310と連結された、複数のダイ318、320を含む。オプションの別の集積受動デバイス(IPD)322も、第1モールド層316の上面360上に配置されうる。
【0018】
[0021]ブロック112において、構造物300Eは、図3Eに示しているように、第1モールド層316及び複数のブリッジダイ318、320(及びオプションのIPD)の上に形成された、第2モールド層324を含む。第2モールド層324は、例えば、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、ポリベンゾオキサゾール、エポキシ成形化合物(EMC)(充填剤を有するか又は有さないもの)などといった材料から、形成されうる。第2モールド層324の上面370を平坦化して、複数のダイ318、320の上面380を更に露出させるために、第2モールド層324の形成後に、CMPなどの平坦化プロセスが用いられうる。平坦化により、複数のダイの上面380と熱交換層など(後述する)との間で、より良好な接触が可能になりうる。ブロック114において、構造物300Fでは、図3Fに示しているように、RDL306からキャリア302が除去(剥離)されている。例えばボールボンディングが、オプションのボール326を形成して、RDL306の下面390を他の回路と接続させるために、使用されうる。構造物300Gは、図3Gに示しているように、オプションの基板又はプリント基板354とオプションの熱交換層350とを含み、熱交換層350は、複数のダイ318、320の稼働中に熱を除去するために、複数のダイ318、320の上面380と接触している。基板又はプリント基板354は、RDL306の下面390に形成されたオプションのボール326を介して接続されている、更なる回路を内包しうる。
【0019】
[0022]図2は、本原理の実施形態の一部による、RDLが先のウエハレベルのブリッジダイを形成するための別の方法200を示している。方法200は、図4Aから図4Fに示している(それに応じて以下で言及する)装置に関する。説明を単純にするために、類似の要素番号を適宜使用する。ブロック202において、構造物400Aは、図4Aに示しているように、RDL306を含む。RDL306は、ボンディング層304でキャリア302に一時的に結合されているか、又は、キャリア302上のボンディング層304上に形成されている。キャリア302は、ガラス、GaN、シリコン、又はポリプロピレンの(事前に含浸済みの)基板などといった材料で作製されうる。ブロック204において、構造物400Aは、接着剤308でRDL306に固定されたブリッジダイ310を更に含む。接着剤308は、ブリッジダイを配置し、更なる処理の間保持するのに役立ち、方法200が実施されることを可能にする。接着剤308は、ワイヤボンディング技法において一般的に使用される、有機又は無機の物質でありうる。
【0020】
[0023]ブロック206において、構造物400Aは、ブリッジダイ310のRDL306とは反対側の露出表面330上に形成された、少なくとも1つの電気的相互接続部312を更に含む。電気的相互接続部312、314により、後続の層(後述する)の形成後にRDL306及びブリッジダイ310との接続を形成することが、可能になる。電気的相互接続部312、314は、時に柱状体と称され、例えば銅ベース材料、タングステンベース材料、及び銀ベース材料を含む金属、及び/又は、例えば導電性ポリマーベース材料などといった、導電性材料で形成されうる。電気的相互接続部312、314は、典型的には、電気めっきプロセスを使用して形成される。ブロック208において、構造物400Aは、RDL306を通って延在する少なくとも1つのモールド貫通ビア(TMV)(図4C図4Eの406)の、少なくとも1つの第1部分402を更に含む。少なくとも1つのTMV406の少なくとも1つの第1部分402は、電気的相互接続部312、314と類似の材料(金属や導電性ポリマー等)で、かつ、電気めっきプロセスなどを含む類似したプロセスで、形成されうる。図示していないが、少なくとも1つのTMV406は、RDL306と電気接続されうる。TMVを含むことは、他の技法を凌駕する方法200の更なる利点である。
【0021】
[0024]ブロック210において、構造物400Bは、図4Bに示しているように、RDL306及びブリッジダイ310の上に形成された第1モールド層316を含む。第1モールド層316の上面360を平坦化して、電気的相互接続部312、314及び少なくとも1つのTMV406の少なくとも1つの第1部分402を更に露出させるために、第1モールド層316の形成後に、CMPなどの平坦化プロセスが用いられうる。ブロック212において、構造物400Cは、図4Cに示しているように、少なくとも1つのTMV406の少なくとも1つの第2部分404を含む。少なくとも1つのTMV406の少なくとも1つの第2部分404は、少なくとも1つのTMV406の少なくとも1つの第1部分402の上に形成されるよう、例えば電気めっきプロセスなどを使用して形成されうる。
【0022】
[0025]ブロック214において、構造物400Dは、図4Dに示しているように、第1モールド層316上に配置され、かつ、電気的相互接続部312、314を介してRDL306及びブリッジダイ310と連結された、複数のダイ318、320を含む。上面420を有する少なくとも1つのTMV406と共に、オプションの集積受動デバイス(IPD)322(図示せず)も、第1モールド層316の上面360上に配置されうる。ブロック216において、構造物400Dは、第1モールド層316の上及び複数のダイ318、320(及びオプションのIPD)の上に形成された第2モールド層324を更に含む。第2モールド層324の上面370を平坦化して、複数のダイ318、320の上面380を更に露出させるために、第2モールド層324の形成後に、CMPなどの平坦化プロセスが用いられうる。平坦化により、複数のダイの上面380と熱交換層など(上述した)との間で、より良好な接触が可能になりうる。
【0023】
[0026]ブロック218において、構造物400Eでは、図4Eに示しているように、RDL306からキャリア302が除去(剥離)されている。例えばボールボンディングが、オプションのボール326を形成して、RDL306の下面390を他の回路と接続させるために、使用されうる。構造物400Fは、図4Fに示しているように、オプションの半導体パッケージ408を含み、半導体パッケージ408は、少なくとも1つのTMV406の上面420のボールボンディングから形成されたオプションのボール410を介して、少なくとも1つのTMV406に接続されている。少なくとも1つのTMV406により、有利には、パッケージオンパッケージ型(PoP)電気接続をサポートすることが可能になる。
【0024】
[0027]上述した方法は、基板ベースのプロセス全体における、ダイ及びブリッジダイの配置における精度の向上、並びにRDLの許容誤差の著しい厳密化という、利点を有している。この方法は、RDLが先に構築される(ダイの熱収支によって制限されない)ことから、高温誘電体に適合しているという利点も有する。方法は、ファウンドリの支援がなくとも、OSATが内部でプロセスを形成することが可能になるという利点も有する。
【0025】
[0028]上記は本原理の実施形態を対象としているが、本原理の基本的な範囲から逸脱しなければ、本原理の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されうる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F