IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社J−オイルミルズの特許一覧

特許7285063液切り用網、及びこれを有するバスケット
<>
  • 特許-液切り用網、及びこれを有するバスケット 図1
  • 特許-液切り用網、及びこれを有するバスケット 図2
  • 特許-液切り用網、及びこれを有するバスケット 図3
  • 特許-液切り用網、及びこれを有するバスケット 図4
  • 特許-液切り用網、及びこれを有するバスケット 図5
  • 特許-液切り用網、及びこれを有するバスケット 図6
  • 特許-液切り用網、及びこれを有するバスケット 図7
  • 特許-液切り用網、及びこれを有するバスケット 図8
  • 特許-液切り用網、及びこれを有するバスケット 図9
  • 特許-液切り用網、及びこれを有するバスケット 図10
  • 特許-液切り用網、及びこれを有するバスケット 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】液切り用網、及びこれを有するバスケット
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/12 20060101AFI20230525BHJP
   A47J 43/28 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
A47J37/12 381
A47J43/28
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018224341
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020081673
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(72)【発明者】
【氏名】廣末 頼泰
(72)【発明者】
【氏名】水野 和久
(72)【発明者】
【氏名】西野 徹
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】実公昭04-009294(JP,Y1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0120120(KR,A)
【文献】登録実用新案第3032619(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0204929(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0311264(US,A1)
【文献】登録実用新案第3146100(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J37/00-37/12
A47J43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、枠体に両端を連結されて平行に配置された複数の棒状部材からなる網体とを備えた液切り用網であって、前記棒状部材は、その横断面が長軸と短軸を有し、かつ、該横断面の長軸方向が、前記枠体の形成する平面に対して傾斜するように、前記枠体に連結されており、前記棒状部材の横断面形状は、長軸方向の中間部が最も厚く、中間部から両端に向かうほど薄くなるテーパ壁を両側面に有する形状をなし、前記棒状部材の横断面の長軸方向が前記枠体の形成する平面方向となす角をθとしたとき、θは45°超80°以下であることを特徴とする液切り用網。
【請求項2】
前記棒状部材の配列ピッチは2mm以上30mm以下である、請求項記載の液切り用網。
【請求項3】
前記棒状部材は、その両端部の横断面の長軸方向一端が枠体上に接して連結されている、請求項1又は2に記載の液切り用網。
【請求項4】
前記棒状部材の横断面形状は、菱形又は菱形の長軸方向両端部を面取りした変形菱形をなす、請求項1乃至のいずれか1項に記載の液切り用網。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の液切り用網を底部に有するバスケット。
【請求項6】
フライヤー用である、請求項に記載のバスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等に付着した余分な油や水などの液体を落下させて分離する液切り用網、及び該液切り用網を有するバスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
食品等に付着した余分な油や水を落下させて分離する液切り用網としては、従来、横断面が円形である棒状部材が平行や格子状に並んでなる網が汎用されている。また、例えば、特許文献1には、上向きと下向き方向に連続して折れ曲がる山型金属棒が複数本と、直線的な連結金属棒が複数本とで、縦横に組み合わせ固着させて成型することを特徴とする油切り用金網が記載されている。
【0003】
また、スーパーやコンビニエンスストアにおいては、例えば、フライ調理が一部オートメーション化されており、フライ調理する食品をフライ用バスケットに入れ、その状態でバスケットに収容された食品をバスケットごと、加熱された油相に所定時間浸漬し、タイマーで所定時間経過後にバスケットを上昇させて食品を油相から取出し、その状態でしばらく静置することで油を切るというような操作が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-56652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の液切り用網はいずれも、油や水を切ることが十分にできるとはいえないものであり、更には、切れなかった余分な油や水が、食品中に吸収されてしまい、油っぽいものや、水っぽいものになってしまうという問題点もあった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、食品等に付着した余分な油や水をより効率的に落下させて分離することができる液切り用網と、これを有するバスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、液切りをすべき対象物が接する網体を構成する棒状部材の横断面形状を所定のものとし、また棒状部材に傾斜をつけることで揚げ物の油切り用網として用いることにより、揚げ物に付着した油を効果的に落下させて分離できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の1つは、枠体と、枠体に両端を連結されて平行に配置された複数の棒状部材からなる網体とを備えた液切り用網であって、前記棒状部材は、その横断面が長軸と短軸を有し、かつ、該横断面の長軸方向が、前記枠体の形成する平面に対して垂直又は傾斜するように、前記枠体に連結されていることを特徴とする液切り用網を提供するものである。
【0009】
本発明の液切り用網によれば、棒状部材は、その横断面が長軸と短軸を有し、かつ、該横断面の長軸方向が、枠体の形成する平面に対して垂直又は傾斜するように、枠体に連結されているので、フライ油から取出した揚げ物等の液切りをすべき対象物が、棒状部材の外周面に接触しやすくなり、対象物に含まれる液が棒状部材に移動しやすくなる。また、対象物に含まれる液が棒状部材に移動すると、枠体の形成する平面に対して傾斜した棒状部材の外周面に沿って下降するので、棒状部材に液が溜まることが抑制され、対象物から移動してきた液を速やかに落下させることができる。その結果、対象物に含まれる液を、棒状部材を介して効果的に落下させることができ、液切りしやすくすることができる。また、棒状部材に液が溜まりにくいので、液切り効果を持続させることができる。
【0010】
本発明の液切り用網において、前記棒状部材の横断面の長軸方向が前記枠体の形成する平面方向となす角をθとしたとき、θは45°超90°以下であることが好ましい。
【0011】
本発明の液切り用網において、前記棒状部材の配列ピッチは2mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の液切り用網において、前記棒状部材は、その両端部の横断面の長軸方向一端が枠体上に接して連結されていることが好ましい。
【0013】
本発明の液切り用網において、前記棒状部材の横断面形状は、長軸方向の中間部が最も厚く、両端に向かうに従って薄くなる扁平形状であることが好ましい。
【0014】
本発明の液切り用網において、前記棒状部材の横断面形状は、菱形又は菱形の長軸方向両端部を面取りした変形菱形をなすことが好ましい。
【0015】
また、本発明のもう1つは、上記に記載の液切り用網を底部に有するバスケットを提供するものである。
【0016】
本発明のバスケットによれば、上記に記載の液切り用網を底部に有するので、使い勝手を良好にしつつ、液切り効果を高めることができる。
【0017】
本発明のバスケットはフライヤー用であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の液切り用網によれば、液切りをすべき対象物が、網体を構成する棒状部材の外周面に接触しやすくなり、対象物に含まれる液が棒状部材に移動しやすくなる。また、棒状部材に移動した液が、枠体の形成する平面に対して傾斜した棒状部材の外周面に沿って下降するので、棒状部材に液が溜まることが抑制され、対象物から移動してきた液を速やかに落下させることができると共に、棒状部材に液が溜まりにくいので、液切り効果を持続させることができる。その結果、例えば、揚げ物の油切り用網として用いた場合には、揚げ物に付着した油を多く切ることができるので、揚げ物の油っぽさやカロリーを低減させることができる。また、既に商業的に流通している液切り用バスケットの底網の上に乗せて用いることもできるので、汎用性を高めることができる。
【0019】
また、本発明のバスケットによれば、上記液切り用網を底部に有するので、使い勝手を良好にしつつ、液切り効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る液切り用網を示す模式図である。
図2】同液切り用網を、枠体を形成する平面に対して垂直方向から見た平面図である。
図3】同液切り用網を、枠体を形成する平面に沿った方向から見た側面図である。
図4図3の一部を示す部分拡大側面図である。
図5】本発明の液切り用網に用いられる棒状部材の他の例を示す部分拡大側面図である。
図6】本発明の液切り用網に用いられる棒状部材の更に他の例を示す部分拡大側面図である。
図7】同液切り用網の使用状態を示す参考拡大図である。
図8】同液切り用網をバスケットに載置して使用する方法を示す説明図である。
図9】同液切り用網を使用した本発明のバスケットの一実施形態を示す斜視図である。
図10】本発明のバスケットの他の実施形態を示す斜視図である。
図11】実施例1及び比較例1における、気温と油持ち出し量の関係を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の液切り用網の実施形態を、図面を参照しながら説明するが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0022】
図1乃至4には、本発明の液切り用網の一実施形態が示されている。
【0023】
図1乃至3に示すように、この液切り用網1は、枠体2と、枠体2に両端を連結されて平行に配置された複数の棒状部材3からなる網体4とで構成される。
【0024】
枠体2の形状には、特に制限はないが、この実施形態の場合、平面的に見て長方形状又は正方形状をなし、その対向する両側辺に複数の棒状部材3の両端が接合されている。棒状部材3は、所定間隔をおいて平行に配置されている。
【0025】
棒状部材3の配列間隔は特に限定されないが、対象物が間隙から落下しない間隔であることが好ましく、例えば2mm以上30mm以下が好ましく、2mm以上15mm以下がさらに好ましい。このような間隔であれば、対象物と棒状部材3との接触面積を適度に増やして、液を含む食品等からの液の移動をしやすくすることができると共に、棒状部材3の間に液が溜まることを抑制できる。
【0026】
枠体2、及び網体4を構成する棒状部材3の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス、鉄、アルミ、銅、チタン等の金属を好ましく用いることができ、金属にフッ素樹脂(テフロン(登録商標))加工を施したものであってもよい。この中でも、対象物が食品である場合にはステンレスが好ましい。
【0027】
図4(a)、(b)に示すように、棒状部材3は、その横断面(棒状部材3の長手方向に沿った中心軸に垂直な断面)形状において、長軸5と、短軸6とを有する扁平な形状をなしている。なお、本発明において、「長軸」とは、横断面の中心を通り、横断面の最も長い外径となる方向を意味する。また、本発明において、「短軸」とは、横断面の中心を通り、横断面の最も短い外径となる方向を意味する。すなわち、横断面が円形のように、横断面の傾きを変えても長軸と短軸とが同じ長さとなる形状は含まれない。
【0028】
そして、この実施形態の場合、長軸5の中間部7が最も肉厚で、中間部5から長軸方向の一対の端部9に向かうほど薄くなるテーパ壁8を両側面に有している。また、一対の端部9は、上記テーパ壁8が交わる角部を面取りしたような平坦な形状をなし、全体として菱形に近い変形菱形をなしている。
【0029】
そして、棒状部材3は、その両端部の、上記断面における長軸方向の一方の端部9が、枠体2の対応する辺上に接してろう材10によって固着されている。なお、接合手段は、ろう材10に限らず、溶接等であってもよい。また、棒状部材3の両端面が、枠体2の内周に当接して、ろう材10や溶接によって接合されていてもよい。
【0030】
この場合、棒状部材3の横断面の長軸5が、枠体2で形成される平面11に対して角度θをなすように固着されている。この角度θは、45°超90°以下であることが好ましく、45°超80°以下であることがより好ましく、50°以上80°以下であることがさらに好ましい。上記のような角度にすることによって、液を含む食品等から液が棒状部材3に移動した後、棒状部材3の斜面に沿って、液をスムーズに落下させることができる。
【0031】
なお、棒状部材は、上記のような形状に限定されるものではなく、例えば、図5に示すように、横断面が楕円形状をなす棒状部材31を用いてもよく、図6に示すように、横断面が長方形状をなす棒状部材32を用いてもよい。これらの場合も、横断面の長軸5が、枠体2で形成される平面11に対して、角度θで傾斜するように取付けられる。なお、横断面が鋭い角部を有する形状であると、取り扱い時に手等を損傷する虞れがあるので、鋭い角部は面取りを施すことが好ましい。
【0032】
このような、本発明の液切り用網1は、油切り用及び水切り用として用いることが可能であるが、好ましくは油切り用である。
【0033】
次に、本発明の液切り用網1を油切りに用いた態様の作用効果について説明する。図7は、同液切り用網1の使用状態を示している。この例では、フライ油から取出した揚げ物12を、網体4を構成する棒状部材3の上に乗せている。この場合、揚げ物12に含まれる油13が、棒状部材3に移動し、棒状部材3のテーパ壁8を伝わって下方に落下することにより、油切りがなされる。
【0034】
このとき、本発明では、棒状部材3が、その横断面において長軸5と短軸6とを有する扁平な形状をなしているので、揚げ物12の衣材表面が、棒状部材3と接触しやすくなり、揚げ物12から棒状部材3への油の移動が促進される。
【0035】
そして、揚げ物12から棒状部材3へ移動した油13は、棒状部材3のテーパ壁8を伝わって下方に落下するが、本発明では、その横断面における長軸5が、枠体2の平面11に対して角度θをなしているので、油が棒状部材3の壁面、この実施形態ではテーパ壁8を伝わって落下しやすくなっている。
【0036】
その結果、揚げ物12の油を棒状部材3へ移動させやすくし、棒状部材3に移動した油を落下させやすくすると共に、棒状部材3に油が溜まりにくくして、油切り効果を持続させることができる。
【0037】
特にこの実施形態では、棒状部材3が、その横断面形状において、長軸方向の中間部7が最も厚く、一対の端部9に向かうほど薄くなるテーパ壁8を有する形状をなしているので、油の棒状部材3への移動、及び棒状部材3の壁面に沿った落下の上記促進効果を向上させることができる。
【0038】
ところで、揚げ物12をスーパー等で調理する場合には、例えば図8,9に示すような業務用のバスケット20が用いられている。このバスケット20は、平面的に見て長方形状又は正方形状をなす底枠21と、該底枠21と同じ形状をなす上枠22と、底枠21に周囲を接合された網体で構成された底壁23と、底枠21と上枠22とに、下辺及び上辺を接合されて、底壁23を囲むように配置された、同じく網体で構成された側壁24とを有している。なお、網体は、金属の線材25を所定間隔で格子状に配置して構成されている。また、一つの側壁には、比較的太い金属線材を折曲して構成された把持部26が取付けられている。それと対向するもう一つの側壁には、油槽の縁等に引き掛けるためのフック27が取付けられている。バスケット20の材質は、前述した液切り用網1と同様な材質のものが採用でき、特に好ましくはステンレスである。
【0039】
本発明の液切り用網1は、図8,9に示すように、上記のようなバスケット20の底壁23の上に載置して使用することもできる。そして、液切り用網1を底壁23の上に載置したバスケット20は、本発明のバスケットの一実施形態をなす。この態様によれば、本発明の液切り用網1を、バスケットの底壁に載置するだけで利用できるので、汎用性を高めることができる。
【0040】
そして、液切りの対象物となる揚げ物12は、底壁23上に載置された液切り用網1の上に乗せられて、図示しない油槽にバスケット20と一緒に浸漬され、所定時間油ちょうを施された後、バスケット20を引き上げることによって油槽から取出され、その状態で所定時間静置して油切りがなされる。
【0041】
この場合も、図7に示したように、揚げ物12に含まれる油13が、棒状部材3に移動し、棒状部材3のテーパ壁8を伝わって下方に落下することにより、油切りがなされる。そして、前述したように、棒状部材3が、その横断面において長軸5と短軸6とを有する扁平な形状をなしているので、揚げ物12の衣材表面が、棒状部材3と接触しやすくなり、揚げ物12から棒状部材3への油の移動が促進される。また、揚げ物12から棒状部材3へ移動した油13は、棒状部材3のテーパ壁8を伝わって下方にスムーズに落下し、本発明の効果を得ることができる。
【0042】
なお、前記実施形態の液切り用網1では、棒状部材3が、その両端部の断面における長軸方向の一方の端部9が、枠体2の対応する辺上に接してろう材10によって固着されているので、バスケット20の底壁23の上に載置したとき、液切り用網1と底壁23との間に上下方向の空間が設けられるので、液切り用網1を落下した油が、液切り用網1と底壁23との間に溜まりにくいという利点が得られる。
【0043】
図10には、本発明のバスケットの他の実施形態が示されている。このバスケット20は、基本的には、図8、9に示したバスケット20と同じ構造をなしているので、実質的に同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略することにする。
【0044】
このバスケット20aは、底枠21に、図1乃至4に示した棒状部材3からなる網体4が直接取付けられて、底壁をなしている。すなわち、複数の棒状部材3が平行に配列され、それらの両端部を底枠21の対向する辺に、ろう材等を介して接合されることにより、網体4が取付けられている。このバスケット20aの場合も、前記と同様な効果を得ることができる。また、底枠21に、図1乃至4に示した棒状部材3からなる網体4が直接取付けられて、底壁をなしているので、液切り用網1を底壁の上に載置して使用する場合に比べて軽量となり、持ち運びが容易となる。
【0045】
なお、本発明のバスケットは、前述したような揚げ物に用いる、フライヤー用バスケットに特に好適である。ここで、フライヤーとは、フライ(揚げ物)を調理するのに用いる調理器のことを言う。フライ調理されるものとしては、例えば、フライドチキン、トンカツ、唐揚げ、魚フライ、天ぷら、コロッケ、ポテトフライ、チキンナゲット、ドーナッツ、ハッシュドポテト、アメリカンドッグ、揚げ豆腐、揚げパン、クルトン、かりんとう、揚げ米菓、スナック菓子、インスタントラーメン、揚げ玉等が含まれる。
【実施例
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0047】
1.網体の準備
・実施例1乃至3
図1乃至4に示した形状の液切り用網1を図10に示した態様、すなわちバスケット20aの底枠21に図1乃至4に示した形状の液切り用網1が直接取り付けられた態様で用いた。棒状部材3としては、いずれも、その横断面の長軸が5mm、短軸が1.5mmで、長軸方向の両端部が面取りされた変形菱形のものを用いた。実施例1は、棒状部材3の配列ピッチが3mmであり、長軸5の方向と枠体2の形成する平面11とのなす角θが60°のもの、実施例2は、上記配列ピッチが3mmであり、上記θが90°のもの、実施例3は、上記配列ピッチが5mmであり、θが90°のものを用いた。
【0048】
・比較例1
市販の格子網を図10に示した態様で用いた。この格子網は、直径1mmの断面円形をなす金属線材を用い、線材の縦横の配列間隔を5.5mmとして、格子状に配置して構成されたものである。
【0049】
・比較例2
棒状部材には、実施例1乃至3と同様のものを用いた。配列ピッチが3mmでありθが0°となるように棒状部材を枠体に溶接した液切り用網を図10に示した態様で用いた。
【0050】
・比較例3乃至5
棒状部材には、いずれも、その横断面の径が2mmである円形のものを用いた。比較例3には配列ピッチが3mm、比較例4には配列ピッチが6mm、比較例5には配列ピッチが10mmとなるように棒状部材を枠体に溶接した液切り用網を図10に示した態様で用いた。
【0051】
・比較例6
棒状部材には、その横断面の径が1mmである円形のものを用いた。配列ピッチが4mmとなるように棒状部材を枠体に溶接した液切り用網を図10に示した態様で用いた。
【0052】
2.油持ち出し量の算出
(1)油持ち出し量(g)の測定
冷凍コロッケ4個をバスケット20aに載置して、フライヤーにて180℃で5分間揚げ、フライヤーから取出した後、10分間静置した。なお、コロッケから切れる油は、フライヤー中に落ちるようにした。そして、以下の式(1)に基づいて、各液切り用網を用いたコロッケにおける油持ち出し量(g)を測定した。
油持ち出し量(g)=揚げる前のフライヤーの油質量-(10分間静置後のフライヤーの油質量+バスケット20aに付着した油質量)…(1)
【0053】
(2)油持ち出し量(絶対値)の算出
比較例1の液切り用網を用いた場合の油持ち出し量を基準(100)とするために、様々な室温(20乃至30℃)下で(1)油持ち出し量(g)の測定に記載の手順で揚げ、図11に示すように、横軸を室温、縦軸を油持ち出し量(g)とした検量線を作成した。この検量線に基づいて、測定時の室温に応じた比較例1の油持ち出し量(g)を決定した。
【0054】
そして、測定時の室温における比較例1の油持ち出し量(g)を100として、各実施例又は比較例の油持ち出し量(g)から、比較例1の油持ち出し量(g)に対する油持ち出し量(相対値)を算出した。表1及び表2に示した油持ち出し量(相対値)は実施例1乃至3及び比較例2乃至6について各4回測定した際の油持ち出し量(相対値)の平均値である。
【0055】
3.結果
結果を表1,2に示した。表1,2に示すように、棒状部材が菱形であり、その横断面の長軸が垂直又は傾斜している実施例1,2,3では、比較例1の油持ち出し量を100としたときの油持ち出し量(相対値)がそれぞれ、85.3、93.9、93.3となっており、比較例1の格子網と比較して、コロッケに付着した油の切れが良好であることがわかった。
【0056】
一方、棒状部材が菱形であっても、その横断面の長軸が水平である比較例2では、上記油持ち出し量(相対値)が105.4であり、比較例1の格子網と比較して、油の切れが向上しなかった。同様に、棒状部材が円形である比較例3乃至7も、比較例1の格子網と比較して、油の切れは向上しなかった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【符号の説明】
【0059】
1 液切り用網
2 枠体
3,31,32 棒状部材
4 網体
5 長軸
6 短軸
7 中間部
8 テーパ壁
9 端部
10 ろう材
11 平面
12 揚げ物
13 油
20,20a バスケット
21 底枠
22 上枠
23 底壁
24 側壁
25 線材
26 把持部
27 フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11