(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】硬化型樹脂組成物、それから形成された硬化膜、および前記硬化膜を有する電子装置
(51)【国際特許分類】
C08L 83/04 20060101AFI20230525BHJP
C08K 9/06 20060101ALI20230525BHJP
G02B 1/111 20150101ALI20230525BHJP
【FI】
C08L83/04
C08K9/06
G02B1/111
(21)【出願番号】P 2021568797
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 KR2020011554
(87)【国際公開番号】W WO2021045453
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0109738
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0072231
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ,センゲン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ドンジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,ジヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ミンジ
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-189579(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170275(WO,A1)
【文献】特開2017-039928(JP,A)
【文献】特開2013-127065(JP,A)
【文献】特開2013-007929(JP,A)
【文献】特開2015-140389(JP,A)
【文献】特開2012-052110(JP,A)
【文献】特開2011-063663(JP,A)
【文献】特開2010-144136(JP,A)
【文献】特開2005-154723(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0344338(US,A1)
【文献】国際公開第2006/093057(WO,A1)
【文献】特表2010-503761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C08G 77/00- 77/62
C09D 1/00- 10/00
C09D 101/00-201/10
G02B 1/10- 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)
N-アリールアミノ基を含むシリコン系重合体;
(B)表面にN-アリールアミノ基を有する化合物を含む粒子;および
(C)溶剤
を含む硬化型樹脂組成物
であって、
前記粒子は、中空構造を有し、チタン酸化物、ケイ素酸化物、バリウム酸化物、亜鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、またはこれらの組み合わせを含む金属酸化物の微粒子であり、
前記粒子の平均直径(D50)は10nm~150nmである、硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
前記シリコン系重合体は、下記化学式1で表される化合物
および下記化学式2で表される化合物を加水分解および縮合反応させて形成されるシロキサン重合体である、請求項1に記載の硬化型樹脂組成物:
[化学式1]
(R
1)
a(R
2)
b(R
3)
c-Si-(OR
4)
4-a-b-c
上記化学式1中、
R
1~R
3はそれぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、R(C=O)-(ここで、Rは置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基である)、エポキシ基、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリロイルオキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
R
4は、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
0≦a+b+c<4である
;
【化1】
上記化学式2中、
L
1
は、単一結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
R
11
およびR
12
は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであって、R
11
およびR
12
のうちの少なくとも一つは置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基であり、
R
13
は、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
0<n<4である。
【請求項3】
前記シロキサン重合体は、前記化学式1で表される化合物50~85モル%および前記化学式2で表される化合物15~50モル%を含んで加水分解および縮合反応させて形成されるものである、請求項
2に記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
前記化学式2のR
11およびR
12のうちの少なくとも一つはフェニル基である、請求項
2または3に記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
前記化学式2のL
1は置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキレン基であり、R
11およびR
12のうちの一つはフェニル基、他の一つは水素であり、R
13は置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基であり、nは1である、請求項
2~4のいずれか一項に記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項6】
前記シロキサン重合体は、下記化学式3で表される化合物をさらに含んで加水分解および縮合反応させて形成されるものである、請求項
2~5のいずれか一項に記載の硬化型樹脂組成物:
[化学式3]
(R
7O)
3-d-e(R
5)
d(R
6)
e-Si-Y
1-Si-(R
8)
f(R
9)
g(OR
10)
3-f-g
上記化学式3中、
R
5、R
6、R
8、およびR
9は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、R(C=O)-(ここで、Rは置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基)、エポキシ基、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリレート基で置換された炭素数1~30のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
R
7およびR
10は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
Y
1は、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、またはこれらの組み合わせであって、前記置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基は一つの芳香族環からなるか、または2以上の芳香族環が単一結合、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-CONH-、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン基、またはこれらの組み合わせによって連結された芳香族環であり、
0≦d+e<3であり、
0≦f+g<3である。
【請求項7】
前記シロキサン重合体は、前記シロキサン重合体100モル%を基準にして前記化学式3で表される化合物を5モル%~30モル%含んで加水分解および縮合反応させて形成されるものである、請求項
6に記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項8】
前記シリコン系重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は1,000~50,000g/molである、請求項1
~7のいずれか一項に記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項9】
前記N-アリールアミノ基を有する化合物は、下記化学式2で表される化合物である、請求項1に記載の硬化型樹脂組成物:
【化2】
上記化学式2中、
L
1は、単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
R
11およびR
12は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであり、
R
13は、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
R
11およびR
12のうちの少なくとも一つは、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基であり、
0<n<4である。
【請求項10】
前記化学式2のR
11およびR
12のうちの少なくとも一つはフェニル基である、請求項
9に記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項11】
前記化学式2のL
1は置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキレン基であり、R
11およびR
12のうちの一つはフェニル基、他の一つは水素であり、R
13は置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基であり、nは1である、請求項
9または10に記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項12】
前記粒子は中空シリカである、請求項1
~11のいずれか一項に記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項13】
前記表面にN-アリールアミノ基を有する化合物は前記粒子100重量部当り1~10重量部含まれる、請求項1
~12のいずれか一項に記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項14】
前記硬化型樹脂組成物は、
前記(A)
N-アリールアミノ基を含むシリコン系重合体100重量部に対して、
前記(B)表面にN-アリールアミノ基を有する化合物を含む粒子を1重量部~100重量部含み、
前記(C)溶剤を100重量部~2,000重量部で含む、請求項1
~13のいずれか一項に記載の硬化型樹脂組成物。
【請求項15】
請求項1~
14のうちのいずれか一項の硬化型樹脂組成物を硬化して得られた硬化膜。
【請求項16】
請求項
15の硬化膜を含む素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、硬化型樹脂組成物、前記硬化型樹脂組成物から得られる硬化膜、および前記硬化膜を含む電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ分野が発達するにつれてディスプレイを用いた各種表示装置が多様化しており、多様な表示装置中、光を扱うデバイスに低屈折素材を適用させる技術に対する要求が増加している。低屈折率の特性を用いれば光が移動するデバイス内部で光の損失を減らして効率を高めることができる。また、低屈折特性は低反射率の効果を得ることができるため、光センサー外部のレンズの低反射層、ディスプレイあるいは太陽電池最外郭の反射防止膜(AR)に使用できる。低屈折コーティング層の屈折率が低いほどコーティング層の厚さを減らすことができるため、コーティング膜のマージンが広くなり、デバイス目的による効率は増加するようになる。
【0003】
低屈折シリコン素材がパネルの層間に使用されれば、内部で光が移動する時、損失される光量をリサイクリングさせて発光効率を高めることができる。特にQD PR(Quantum dot Photoreflectance)の中のGreen QD発光体の発光効率を高めることが困難なのにつれて、QD上/下層部に低屈折コーティング膜を導入してGreen QD発光体の発光効率を高めることができる。
【0004】
一方、下部基板がパターンを有する場合、パターンの間に高い段差が発生することがあり、その上部に低屈折層をコーティングする場合、パターンの間に薬液が流れ込んで低屈折層が厚く積もることがある。したがって、低屈折層は高い厚さでクラックが発生しない耐クラック性を有しなければならず、同時に高透明性を維持しなければならない。
【0005】
従来、前述のような低屈折層形成過程でクラック発生防止のためにフッ素系化合物を重合体の形態で含んだが、この場合、屈折率上昇を伴って満足するほどの低屈折率実現が難しかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は、耐クラック性および透明性に優れた低屈折率および低反射率を有する硬化型樹脂組成物を提供する。
【0007】
他の実施形態は、前記硬化型樹脂組成物を用いて製造された硬化膜を提供する。
【0008】
また他の一実施形態は、前記硬化膜を含む電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態は、(A)シリコン系重合体と、(B)表面にN-アリールアミノ基を有する化合物を含む粒子、および(C)溶剤を含む硬化型樹脂組成物を提供する。
【0010】
前記シリコン系重合体は、下記化学式1で表される化合物を加水分解および縮合反応させて形成されるシロキサン重合体であり得る。
【0011】
[化学式1]
(R1)a(R2)b(R3)c-Si-(OR4)4-a-b-c
上記化学式1中、
R1~R3は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、R(C=O)-(ここで、Rは置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基である)、エポキシ基、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリロイルオキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
R4は、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
0≦a+b+c<4である。
【0012】
前記シロキサン重合体は、前記化学式1で表される化合物および下記化学式2で表される化合物を加水分解および縮合反応させて形成されるものであり得る。
【0013】
【0014】
上記化学式2中、
L1は、単一結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであって、R11およびR12のうちの少なくとも一つは置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基であり、
R13は、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
0<n<4である。
【0015】
前記シロキサン重合体は、前記化学式1で表される化合物50~85モル%、前記化学式2で表される化合物15~50モル%を含んで加水分解および縮合反応させて形成されるものであり得る。
【0016】
前記シロキサン重合体は、下記化学式3で表される化合物をさらに含んで加水分解および縮合反応させて形成されるものであり得る。
【0017】
[化学式3]
(R7O)3-d-e(R5)d(R6)e-Si-Y1-Si-(R8)f(R9)g(OR10)3-f-g
上記化学式3中、
R5、R6、R8、およびR9は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、R(C=O)-(ここで、Rは置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基)、エポキシ基、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリレート基で置換された炭素数1~30のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
R7およびR10は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
Y1は、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、またはこれらの組み合わせであって、前記置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基は一つの芳香族環からなるか、または2以上の芳香族環が単一結合、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-CONH-、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン基、またはこれらの組み合わせによって連結された芳香族環であり、
0≦d+e<3であり、
0≦f+g<3である。
【0018】
前記シロキサン重合体は、前記シロキサン重合体100モル%を基準にして前記化学式3で表される化合物を5モル%~30モル%含んで加水分解および縮合反応させて形成されるものであり得る。
【0019】
前記シリコン系重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は1,000~50,000g/molであり得る。
【0020】
前記粒子表面に含まれるN-アリールアミノ基を有する化合物は、前記化学式2で表される化合物であり得る。
【0021】
前記化学式2のR11およびR12のうちの少なくとも一つはフェニル基であり得る。
【0022】
前記化学式2中、L1は置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキレン基であり、R11およびR12のうちの一つはフェニル基、他の一つは水素であり、R13は置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基であり、nは1であり得る。
【0023】
前記粒子は、中空構造を有することができる。
【0024】
前記粒子は、チタン酸化物、ケイ素酸化物、バリウム酸化物、亜鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、またはこれらの組み合わせを含む金属酸化物の微粒子であり得る。
【0025】
前記粒子は中空シリカ(SiO2)であり得る。
【0026】
前記粒子の平均直径(D50)は10nm~150nmであり得る。
【0027】
前記表面にN-アリールアミノ基を有する化合物は、前記粒子100重量部当り1~10重量部で含まれてもよい。
【0028】
前記硬化型樹脂組成物は、前記(A)シリコン系重合体100重量部に対して、前記(B)表面にN-アリールアミノ基を有する化合物を含む粒子を1重量部~100重量部含み、前記(C)溶剤を100重量部~2,000重量部で含むことができる。
【0029】
他の一実施形態は、前記硬化型樹脂組成物を硬化して得られた硬化膜を提供する。
【0030】
また他の一実施形態は、前記硬化膜を含む素子を提供する。
【発明の効果】
【0031】
一実施形態による硬化型樹脂組成物を用いて製造される硬化膜は、耐クラック性に優れ、同時に高透明性および低屈折特性を有し反射防止膜または低屈折層などの用途に有利に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の特許請求の範囲の範疇によって定義されるだけである。
【0033】
本明細書で特別な言及がない限り、“アルキル基”とは炭素数1~30のアルキル基を意味し、“シクロアルキル基”とは炭素数3~30のシクロアルキル基を意味し、“アリール基”とは炭素数6~30のアリール基を意味し、“アリールアルキル基”とは炭素数7~30のアリールアルキル基を意味し、“ヘテロアルキル基”とは炭素数1~30のヘテロアルキル基を意味し、“ヘテロシクロアルキル基”とは炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基を意味し、“アルケニル基”とは炭素数2~30のアルケニル基を意味し、“アルキニル基”とは炭素数2~30のアルキニル基を意味し、“アルキレン基”とは炭素数1~30のアルキレン基を意味し、“シクロアルキレン基”とは炭素数3~30のシクロアルキレン基を意味し、“アリーレン基”とは炭素数6~30のアリーレン基を意味する。
【0034】
本明細書で特別な言及がない限り、“置換”とは少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、アミノ基、アルキル基で置換されたアミノ基、アリール基で置換されたアミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸やその塩、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数3~20のシクロアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルケニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキニル基、炭素数3~20のヘテロアリール基またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたことを意味する。
【0035】
また、本明細書で特別な言及がない限り、“ヘテロ”とは、化学式内にN、O、SおよびPのうちの少なくとも一つのヘテロ原子が少なくとも一つ含まれたことを意味する。
【0036】
また、本明細書で特別な言及がない限り、“(メタ)アクリレート”は“アクリレート”と“メタクリレート”の両方とも可能であるのを意味し、“(メタ)アクリロイルオキシ基”は“アクリロイルオキシ基”と“メタクリロイルオキシ基”の両方とも可能であるのを意味する。
【0037】
本明細書で特別な言及がない限り、“組み合わせ”とは混合または共重合を意味する。
【0038】
本明細書内化学式で別途の定義がない限り、化学結合が連結されなければならない位置に化学結合が連結されていない場合は前記位置に水素原子が結合されているのを意味する。
【0039】
また、本明細書で特別な言及がない限り、“*”は同一であるか異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0040】
以下、一実施形態による硬化型樹脂組成物について説明する。
【0041】
本発明の一実施形態による硬化型樹脂組成物は、(A)シリコン系重合体および(B)表面にN-アリールアミノ基を有する化合物を含む粒子および(C)溶剤を含む。
【0042】
QD-OLEDパネル内部に位置する低屈折層の下部にカラーフィルター層が存在し得るが、前記カラーフィルター層はパターンの影響で基板が平らでなくて段差が発生するようになる。よって、低屈折層下部に生成された段差の影響で既存の低屈折特性を有する組成物を前記基板上にコーティングおよび硬化した時、クラックが発生する問題があった。
【0043】
前記問題を解決するために、低屈折層を形成する硬化型樹脂組成物にエポキシ系またはフッ素系化合物を含む試みがあったが、この場合、1.23以下の低屈折特性実現が困難であり、1.26水準の低屈折特性を確保しても硬化膜の厚さが2μm以上である場合、前面にクラックが多発する問題が依然として存在した。
【0044】
また、1.23以下の屈折率特性を確保した既存のシリコン系素材の場合、硬化膜の厚さが2μm以上からコーティング膜の透明性が低下される問題が発生し、また、硬化膜の厚さが2.5μm以上になる場合には前面にクラックが発生する問題があった。
【0045】
一実施形態による硬化型樹脂組成物は表面にN-アリールアミノ基を有する化合物を含む粒子を含むことによって、低屈折特性を有するだけでなく、4μm以上の段差がある場合にも硬化膜のクラックが発生しない耐クラック性を有し、また、2μm以上のコーティング膜を形成する場合にも透明度に優れたコーティング膜を実現することができる。
【0046】
具体的に、前記硬化型樹脂組成物を硬化して得られた硬化膜は230℃工程温度で硬化膜厚さ7μmまで耐クラック性を有する。また、650nm波長でのHaze数値で0.5%以下の特性を示して高透明性を有し、500nm~550nm波長での屈折率は1.23以下、例えば、1.18範囲まで減少できる。
【0047】
前記(A)シリコン系重合体は、下記化学式1で表される化合物を加水分解および縮合反応させて形成されるシロキサン重合体であり得る。
【0048】
[化学式1]
(R1)a(R2)b(R3)c-Si-(OR4)4-a-b-c
上記化学式1中、
R1~R3は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、R(C=O)-(ここで、Rは置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基である)、エポキシ基、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリロイルオキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
R4は、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
0≦a+b+c<4である。
【0049】
前記シロキサン重合体は、前記化学式1で表される化合物と下記化学式2で表される化合物を加水分解および縮合反応させて形成されるものであり得る。
【0050】
【0051】
上記化学式2中、L1は、単一結合、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであって、R11およびR12のうちの少なくとも一つは置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基であり、
R13は、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
0<n<4である。
【0052】
前記シロキサン重合体が前記化学式1および化学式2で表される化合物を加水分解および縮合反応させて形成される場合、前記シロキサン重合体も重合体内にN-アリールアミノ基を置換基として含むようになり、この場合、一実施形態による硬化型樹脂組成物の耐クラック性および高透明度(低いHaze)特性がさらに向上できる。
【0053】
前記硬化型樹脂組成物が優れた耐クラック性を有するのは、組成物内フェニル(phenyl)基を含むシロキサン重合体を含むことによって組成物の耐熱性が向上し、また前記シロキサン重合体がアルキレン(alkylene)基を含むことによって組成物の柔軟性が向上したことによる結果として予想される。
【0054】
だけでなく、前記シロキサン重合体が化学式2で表される化合物を含んで加水分解および縮合反応させて形成される場合、表面にN-アリールアミノ基を有する化合物を含む粒子と同様に、重合体内にN-アリールアミノ基を含むため前記粒子との相溶性が増大し、その結果、前記硬化型樹脂組成物を用いて製造された硬化膜の透明性特性が向上する。
【0055】
前記シロキサン重合体は前記化学式1で表される化合物50~85モル%、前記化学式2で表される化合物15~50モル%、例えば、前記化学式1で表される化合物55~80モル%、前記化学式2で表される化合物20~45モル%、例えば、前記化学式1で表される化合物65~75モル%、前記化学式2で表される化合物25~35モル%を含んで加水分解および縮合反応させて形成されるものであり得る。前記範囲で含まれる場合、それから製造される硬化型樹脂組成物の耐クラック性および透明特性がさらに向上できる。
【0056】
前記シロキサン重合体は、前記化学式1および化学式2で表される化合物と共に下記化学式3で表される化合物をさらに含んで加水分解および縮合反応させて形成されるものであり得る。
【0057】
[化学式3]
(R7O)3-d-e(R5)d(R6)e-Si-Y1-Si-(R8)f(R9)g(OR10)3-f-g
上記化学式3中、R5、R6、R8、およびR9は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、R(C=O)-(ここで、Rは置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基)、エポキシ基、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリレート基で置換された炭素数1~30のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
R7およびR10は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~30のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
Y1は、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基、またはこれらの組み合わせであって、前記置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基は一つの芳香族環からなるか、または2以上の芳香族環が単一結合、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-CONH-、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン基、またはこれらの組み合わせによって連結された芳香族環であり、
0≦d+e<3であり、
0≦f+g<3である。
【0058】
前記シロキサン重合体は、前記シロキサン重合体100モル%を基準にして前記化学式3で表される化合物を5モル%~30モル%、例えば、5モル%~25モル%、例えば、5モル%~20モル%、例えば、5モル%~15モル%、例えば、5モル%~10モル%、例えば、10モル%~30モル%、例えば、15モル%~30モル%、例えば、25モル%~30モル%を含んで加水分解および縮合反応させて形成されるものであり得るが、これらに制限されない。
【0059】
前記シロキサン重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、1,000~50,000g/mol、例えば、2,000~50,000g/mol、例えば、3,000~50,000g/mol、例えば、5,000~50,000g/mol、例えば、7,000~50,000g/mol、例えば、9,000~50,000g/mol、例えば、10,000~50,000g/mol、例えば、15,000~50,000g/mol、例えば、20,000~50,000g/mol、例えば、25,000~50,000g/mol、例えば、1,000~45,000g/mol、例えば、1,000~40,000g/mol、例えば、1,000~35,000g/mol、例えば、1,000~30,000g/mol、例えば、1,000~25,000g/molであり得るが、これらに制限されない。
【0060】
前記(B)表面にN-アリールアミノ基を有する化合物を含む粒子で、前記N-アリールアミノ基を有する化合物は前記化学式2で表される化合物であり得る。
【0061】
一実施形態で、前記シロキサン重合体を形成するか、または前記粒子の表面に含まれる前記化学式2で表される化合物は前記化学式2のR11およびR12のうちの少なくとも一つがフェニル基であり得る。
【0062】
例えば、前記化学式2で、L1は置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキレン基であり、R11およびR12のうちの一つはフェニル基であり、他の一つは水素であり、R13は置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基であり、nは1であり得る。
【0063】
前記化学式2で表される化合物は、例えば、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(N-phenylaminopropyltrimethoxysilane)、N-フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン(N-phenylaminopropyltriethoxysilane)、N-フェニルアミノエチルトリメトキシシラン(N-phenylaminoethyltrimethoxysilane)、N-フェニルアミノエチルトリエトキシシラン(N-phenylaminoethyltriethoxysilane)、N,N-ジフェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(N,N-diphenylaminopropyltrimethoxysilane)、N,N-ジフェニルアミノプロピルトリエトキシシラン(N,N-diphenylaminopropyltriethoxysilane)、3-(N-シクロへキシルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(3-(N-cyclohexylamino)propyltrimethoxysilane)、3-(N-シクロへキシルアミノ)プロピルトリエトキシシラン(3-(N-cyclohexylamino)propyltriethoxysilane)、メトキシ-(N-フェニル-2-アミノエトキシ)ジメチルシラン(methoxy-(N-phenyl-2-aminoethoxy)dimethylsilane)、N-(トリエトキシシリルメチル)アニリン(N-(triethoxysilylmethyl)aniline)、N-[[ジエトキシ(メチル)シリル]メチル]アニリン(N-[[diethoxy(methyl)silyl]methyl]aniline)、4-N-(1-トリエトキシシリルプロピル)ベンゼン-1,4-ジアミン(4-N-(1-triethoxysilylpropyl)benzene-1,4-diamine)、N-(1-トリメトキシシリルプロピル)アニリン(N-(1-trimethoxysilylpropyl)aniline)、N-(1-トリエトキシシリルプロピル)アニリン(N-(1-triethoxysilylpropyl)aniline)、N-[3-[ジメトキシ(メチル)シリル]-2-メチルプロピル]アニリン(N-[3-[dimethoxy(methyl)silyl]-2-methylpropyl]aniline)、4-アニリノブチル(ジエトキシ)シリコン(4-anilinobutyl(diethoxy)silicon)、N-(2-トリメトキシシリルエチル)アニリン(N-(2-trimethoxysilylethyl)aniline)、N-(3-トリブトキシシリルプロピル)アニリン(N-(3-tributoxysilylpropyl)aniline)、N-(3-トリプロポキシシリルプロピル)アニリン(N-(3-tripropoxysilylpropyl)aniline)、N’-フェニル-N-(3-トリエトキシシリルプロピル)エタン-1,2-ジアミン(N’-phenyl-N-(3-triethoxysilylpropyl)ethane-1,2-diamine)、N-(4-トリメトキシシリルブチル)アニリン(N-(4-trimethoxysilylbutyl)aniline)、N-(5-トリメトキシシリルペンチル)アニリン(N-(5-trimethoxysilylpentyl)aniline)であり得る。
【0064】
前記粒子は中空構造を有することができる。
【0065】
例えば、前記粒子はチタン酸化物、ケイ素酸化物、バリウム酸化物、亜鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、またはこれらの組み合わせを含む金属酸化物の微粒子であり得るが、これらに制限されない。
【0066】
例えば、前記粒子は中空シリカ(SiO2)であり得るが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0067】
前記粒子の平均直径(D50)は10nm~150nm、例えば、10nm~130nm、例えば、10nm~110nm、例えば、20nm~110nm、例えば、40nm~110nm、例えば、60nm~110nmであり得るが、これらに制限されない。粒子の平均直径大きさが前記範囲を満足する場合、粒子がシロキサン重合体によく分散でき、硬化型樹脂組成物の低屈折特性を向上させることができる。
【0068】
前記粒子が中空構造を有する場合、空隙率は40%~90%、例えば、40%~80%、例えば、40%~70%、例えば40%~60%、例えば、40%~50%、例えば、50%~90%、例えば60%~90%、例えば、70%~90%、例えば、80%~90%、例えば、50%~70%であり得るが、これらに制限されない。前記粒子の空隙率が前記範囲を超過する場合、粒子の内部空間の大きさは大きくなり外郭の厚さは小さくなって粒子の耐久性が弱くなることがあり、粒子の空隙率が前記範囲未満である場合、低屈折層の屈折率減少効果が微小なことがある。
【0069】
前記表面にN-アリールアミノ基を有する化合物は前記粒子100重量部当り1~10重量部、例えば、1~9.5重量部、例えば、1~8重量部、例えば、1~8.5重量部、例えば、1~8重量部、例えば、1~7.5重量部、例えば、1~7重量部、例えば、1~6.5重量部、例えば、1~6重量部、例えば、1~5.5重量部、例えば、1~5重量部、例えば、1.5~5重量部、例えば、2~5重量部、例えば、2.5~5重量部で含まれてもよいが、これらに制限されない。N-アリールアミノ基を有する化合物が前記範囲で含まれる場合、熱硬化性樹脂組成物の耐クラック性および透明性の特性をさらに向上させることができる。
【0070】
前記表面にN-アリールアミノ基を有する化合物を含む粒子は前記シリコン系重合体100重量部当り1重量部~100重量部、例えば1重量部~60重量部、例えば3重量部~60重量部、例えば5重量部~60重量部、例えば5重量部~50重量部、例えば10重量部~50重量部で含まれてもよく、表面にN-アリールアミノ基を有する化合物を含む粒子が前記範囲を満足する場合、表面にN-アリールアミノ基を有する化合物を含む粒子およびシリコン系重合体間の相溶性が増大でき、硬化性樹脂組成物の耐クラック性および透明性の特性がさらに向上できる。
【0071】
前記(C)溶剤としては、200℃以上の工程温度で使用可能な任意の溶剤を使用することができる。例えば、前記溶剤はアルコール型溶剤、例えば、ブタノール、イソプロパノールなどと、ケトン型溶剤、例えば、PMEA、DIBKなどを使用することができ、これら以外に当該技術分野で公知された溶剤であって前記工程温度以上で使用可能な任意の溶剤を1種または2種以上混合して使用することができる。
【0072】
溶剤が2種以上で混合されて使用される場合、工程温度100℃~230℃で使用可能な、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ガンマブチロラクトン(GBL)、およびその他の種類の溶剤間の混合形態であり得る。
【0073】
一実施形態で、前記溶剤は前記シリコン系重合体、例えば、前記シロキサン重合体100重量部に対して100~2,000重量部、例えば、100~1,000重量部、例えば、100~500重量部、例えば、100~400重量部、例えば、100~300重量部で含まれてもよいが、これらに制限されない。
【0074】
前記硬化型樹脂組成物はシリコン系重合体、例えば、前記シロキサン重合体のシロキサン樹脂末端の未反応シラノール基あるいはエポキシ基の硬化を促進するための硬化触媒をさらに含むことができ、このような硬化触媒は熱硬化型触媒または光硬化型触媒であり得る。また、使用する重合体によってこのような硬化触媒を含まなくてもよい。一実施形態で、シリコン系重合体を硬化するための硬化型触媒の例としてテトラブチルアンモニウムアセテート(TBAA)のようなアンモニウム塩形態を有するものを含むことができる。
【0075】
前記硬化触媒を使用する場合、このような触媒は前記シリコン系重合体100重量部に対して0.1~1重量部、例えば、0.3~1重量部、例えば、0.5~1重量部、例えば、0.7~1重量部、例えば、0.8~1重量部で含まれてもよいが、これらに制限されない。
【0076】
前記硬化型樹脂組成物はその他の添加剤をさらに含むことができる。
【0077】
前記その他の添加剤として界面活性剤、例えば、フッ素系界面活性剤をさらに含むことができ、これに制限されない。
【0078】
前記組成物が前記界面活性剤を含むことによって、前記組成物が低屈折層形成用組成物として使用される場合、基板にコーティング時、コーティング性向上および欠点生成防止効果を実現することができる。
【0079】
前記添加剤は前記シリコン系重合体100重量部に対して5重量部以下、例えば、0.1~5重量部、例えば、1~5重量部、例えば、2~5重量部、例えば3~5重量部で含まれてもよいが、これらに制限されない。
【0080】
また他の一実施形態は、前記硬化型樹脂組成物を硬化して得られた硬化膜を提供することができる。
【0081】
また他の一実施形態は、前記硬化膜を含む素子を提供することができる。
【0082】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。但し、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例にすぎず、本発明が下記実施例によって限定されるのではない。
【実施例】
【0083】
合成例1:シロキサン重合体(A-1)製造
500mlの三口フラスコにメチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxy silane;MTMS)を77.15g、テトラエトキシオルトシリケート(Tetraethoxy orthosilicate;TEOS)を50.57g、PGMEAを215.56g投入し、室温で攪拌しながら水45.43gに塩酸(36%水溶液)0.09gを溶かした塩酸水溶液を10分にわたって添加する。その後、フラスコを60℃のオイルバスに浸して250分間攪拌した後、真空ポンプとディーンスターク(Dean stark)を用いて180分間反応副生成物のメタノール、エタノール、塩酸水溶液、および水を蒸発させて分子量を調節したシロキサン重合体溶液(A-1)を得る。
【0084】
得られたシロキサン重合体溶液(A-1)の固形分濃度は20.51重量%であり、得られたシロキサン重合体(A-1)のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は2,600g/molである。
【0085】
合成例2:シロキサン重合体(A-2)製造
500mlの三口フラスコにメチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxy silane;MTMS)58.67g、テトラエトキシオルトシリケート(Tetraethoxy orthosilicate;TEOS)37.31g、n-フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン(n-phenylaminopropyltriethoxysilane)36.59g、およびPGMEA 221.94g投入し、室温で攪拌しながら水38.71gに塩酸(36%水溶液)0.03gを溶かした塩酸水溶液を10分にわたって添加する。その後、フラスコを60℃のオイルバスに浸して260分間攪拌した後、真空ポンプとディーンスターク(Dean stark)を用いて180分間反応副生成物のメタノール、エタノール、塩酸水溶液、および水を蒸発させて分子量を調節したシロキサン重合体溶液(A-2)を得る。
【0086】
得られたシロキサン重合体溶液(A-2)の固形分濃度は20.16重量%であり、得られたシロキサン重合体(A-2)のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は2,540g/molである。
【0087】
合成例3:シロキサン重合体(A-3)製造
メチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxy silane;MTMS)を43.59g、テトラエトキシオルトシリケート(Tetraethoxy orthosilicate;TEOS)を26.67g、n-フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン(n-phenylaminopropyltriethoxysilane)24.52g外1,2-ビストリエトキシシリルエテン(1,2-bistriethoxysilylethene)を34.04gおよびPGMEA 224.14g投入し、室温で攪拌しながら水34.58gに塩酸(36%水溶液)0.03gを溶かした塩酸水溶液を10分にわたって添加する。その後、フラスコを60℃のオイルバスに浸して200分間攪拌した後、真空ポンプとディーンスターク(Dean stark)を用いて180分間反応副生成物のメタノール、エタノール、塩酸水溶液、および水を蒸発させて分子量を調節したシロキサン重合体溶液(A-3)を得る。
【0088】
得られたシロキサン重合体溶液(A-3)の固形分濃度は22.10重量%であり、得られたシロキサン重合体(A-3)のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は2,800g/molである。
【0089】
比較合成例1:アクリル系重合体(A-4)
重量平均分子量(Mw)が15,800g/molであり、酸価が77KOHmg/gであるベンジルメタクリレート/メタクリル酸/グリシジルメタクリレート三元共重合体(RY-35-1、SHOWA DENCO社)を使用した。
【0090】
硬化型樹脂組成物製造
硬化型樹脂組成物製造に使用される成分の仕様は次の通りである。
【0091】
(A)重合体
(A-1)合成例1で製造されたシロキサン重合体
(A-2)合成例2で製造されたシロキサン重合体
(A-3)合成例3で製造されたシロキサン重合体
(A-4)アクリル系重合体
(B)粒子
(B-1)n-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(n-phenylaminopropyltrimethoxysilane)で表面処理した中空粒子分散液(固形分20%、中空粒子平均直径85nm;L2013、ナノ新素材社)
(B-2)メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(methacryloxypropyltrimethoxysilane)で表面処理した中空粒子分散液(固形分20%、中空粒子平均直径85nm;L0516、ナノ新素材社)
(C)溶剤
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
(D)その他の添加剤
界面活性剤(F-563、DIC社)
実施例1~実施例9、および比較例1および比較例2:硬化型樹脂組成物の製造
下記表1の組成によって、シロキサン重合体、表面処理された粒子、溶剤およびその他の添加剤をそれぞれ混合し、約30分間攪拌して、硬化型樹脂組成物を製造する。
【0092】
【0093】
硬化膜の製造および評価
(1)屈折率評価
実施例1~9、および比較例1および比較例2で製造された硬化型樹脂組成物をシリコンウエハーの上にスピンコーターMS-A100(ミカサ製品)を使用して500rpmで20秒間スピン-コーティングした後、熱板(hot-plate)を用いて100℃で2分、そして230℃で20分間ベーキングして1.0μm厚さのコーティング硬化膜を得る。
【0094】
前記硬化膜に対してエリプソメータBase-160(J.A.woollam社)を使用して370nm~1,000nm波長で屈折率を測定し、そのうちの550nmでのその結果を下記表2に示す。
【0095】
(2)耐クラック性評価
実施例1~9、および比較例1および比較例2で製造された硬化型樹脂組成物をガラス基板の上にスピンコーターMS-A100(ミカサ製品)を使用して100~150rpmで5秒間スピン-コーティングした後、熱板(hot-plate)を用いて100℃で2分、そして230℃で20分間ベーキングして5.0μm厚さのコーティング硬化膜を得る。
【0096】
前記硬化膜に対してTencor(KLA P-6)を用いて段差の厚さを測定し、クラックが発生しない場合、かみそりを用いて塗膜の一部をはぎ取った後、Tencorを用いて段差の厚さを再び測定し、その結果を下記表2に示す。
【0097】
(3)Haze評価
実施例1~9、および比較例1および比較例2で製造された硬化型樹脂組成物をガラス基板の上にスピンコーターMS-A100(ミカサ製品)を使用して200rpmで5秒間スピン-コーティングした後、熱板(hot-plate)を用いて100℃で2分、そして230℃で20分間ベーキングして、4.0μm厚さのコーティング硬化膜を得る。
【0098】
前記硬化膜に対してHazemeterを用いて650nm波長で硬化膜の濁りの程度をHaze数値として測定し、その結果を下記表2に示す。
【0099】
【0100】
上記表2を参照すれば、n-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(n-phenylaminopropyltrimethoxysilane)で表面処理した粒子を含む実施例1~9による硬化膜の場合、低屈折特性を維持しながら、比較例1および比較例2による硬化膜より耐クラック性およびHaze特性に優れるのが分かる。
【0101】
n-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(n-phenylaminopropyltrimethoxysilane)で表面処理した粒子を含んでいるが、重合体としてアクリル系重合体を使用した比較例2による硬化膜の場合、耐クラック性およびHaze特性が実施例1~実施に9に比べて優れないのが分かる。
【0102】
以上、本発明の好ましい実施例について詳しく説明したが、前記実施例に限定されるわけではなく、互いに異なる多様な形態に製造でき、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態に実施できるということが理解できるはずである。したがって、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり限定的ではないと理解しなければならない。