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特許7286228研磨パッド、研磨パッドの製造方法およびこれを用いた半導体素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】研磨パッド、研磨パッドの製造方法およびこれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230529BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20230529BHJP
【FI】
H01L21/304 622F
B24B37/24 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021159778
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2022056422
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2021-09-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0126794
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0126799
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョンウク
(72)【発明者】
【氏名】アン、ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ウンソン
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ヘヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジャンウォン
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-195901(JP,A)
【文献】特開2001-239455(JP,A)
【文献】特開2007-081322(JP,A)
【文献】特開2019-024078(JP,A)
【文献】特開2009-214272(JP,A)
【文献】特開2019-069497(JP,A)
【文献】特表2020-506070(JP,A)
【文献】特開2019-188594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨層を含み、
前記研磨層は、複数の気孔を含み、
前記気孔は、前記気孔の体積累積径値である、D10、D20、D30、D40、D50、D60、D70、D80およびD90値の標準偏差が3~7.5であり、
下記式1または式2による値が0.5~1である、
研磨パッド:
(式1)
(式2)
ここで、
D10は、10%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D20は、20%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D30は、30%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D40は、40%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D50は、50%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D60は、60%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D70は、70%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D80は、80%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D90は、90%体積累積分布上の気孔の直径である。
【請求項2】
前記研磨層に形成された気孔は、D50が15~65μmである、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記研磨層は、表面面積1689.12×1413.12μm 中の半導体基板との実接触面積(Real Contact Area)が0.02~0.05mmである、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記気孔が下記式3による値が0.5~1.5である、
請求項1に記載の研磨パッド:
(式3)
ここで、
D10は、10%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D50は、50%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D90は、90%体積累積分布上の気孔の直径である。
【請求項5】
前記研磨層は、非膨張した(Unexpanded)固相発泡剤に由来する外皮を含み、
前記外皮は、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択された1種以上である、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
i)プレポリマー組成物を製造するステップと、
ii)前記プレポリマー組成物、発泡剤、および硬化剤を含む研磨層製造用組成物を製造するステップと、
iii)前記研磨層製造用組成物を硬化して研磨層を製造するステップと、を含み、
前記研磨層は、複数の気孔を含み、
前記気孔は、前記気孔の体積累積径値である、D10、D20、D30、D40、D50、D60、D70、D80およびD90値の標準偏差が3~7.5であり、
下記式1または式2による値が0.5~1である、
研磨パッドの製造方法:
(式1)
(式2)
ここで、
D10は、10%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D20は、20%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D30は、30%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D40は、40%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D50は、50%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D60は、60%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D70は、70%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D80は、80%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D90は、90%体積累積分布上の気孔の直径である。
【請求項7】
前記気孔が下記式3による値が0.5~1.5である、
請求項6に記載の研磨パッドの製造方法:
(式3)
ここで、
D10は、10%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D50は、50%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D90は、90%体積累積分布上の気孔の直径である。
【請求項8】
前記iii)ステップは、研磨層製造用組成物を予熱されたモールドに注入して硬化するもので、
前記モールドの予熱温度は、50~150℃である、
請求項6に記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項9】
1)研磨層を含む研磨パッドを提供するステップと、
2)前記研磨層の研磨面に半導体基板の被研磨面が当接するように相対回転させながら前記半導体基板を研磨させるステップと、を含み、
前記研磨層は、複数の気孔を含み、
前記気孔は、前記気孔の体積累積径値である、D10、D20、D30、D40、D50、D60、D70、D80およびD90値の標準偏差が3~7.5であり、
下記式1または式2による値が0.5~1である、
半導体素子の製造方法:
(式1)
(式2)
ここで、
D10は、10%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D20は、20%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D30は、30%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D40は、40%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D50は、50%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D60は、60%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D70は、70%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D80は、80%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D90は、90%体積累積分布上の気孔の直径である。
【請求項10】
前記気孔が下記式3による値が0.5~1.5である、
請求項9に記載の半導体素子の製造方法:
(式3)
ここで、
D10は、10%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D50は、50%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D90は、90%体積累積分布上の気孔の直径である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的機械的平坦化(Chemical Mechanical Planarization、CMP)工程に用いられる研磨パッド、その製造方法およびこれを用いた半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程のうち化学的機械的平坦化(CMP)工程は、ウエハ(wafer)をヘッドに取り付け、プラテン(platen)上に形成された研磨パッドの表面に接触させた状態で、スラリーを供給してウエハ表面を化学的に反応させながらプラテンとヘッドを相対運動させて機械的にウエハ表面の凹凸部分を平坦化する工程である。
【0003】
「ディッシング(dishing)」とは、CMP研磨が、金属層がCMP研磨後に基板ウエハの下部層と平行にまたは同一平面上に残っていなければならないが、そうでない酸化物空洞またはトラフのような低い領域で金属リセス(recess)を引き起こす現象を指し示す。
【0004】
ディッシング問題は、半導体ウエハおよび装置が微細な特徴部およびより多い金属化層によって次第にさらに複雑化するにつれ、最近重要な問題として認識されている。このような傾向は、平坦性を維持し研磨欠陥を制限するために研磨工程に用いられる消耗品に対してより向上した性能を要求する。
【0005】
このようなウエハおよび装置の欠陥は、半導体装置を作動不能にする導電性ラインに電気的絶縁または短絡を起こすことがある。マイクロスクラッチまたはチャター(chatter)マークのような研磨欠陥を低減するために、軟質の研磨パッドを用いて、研磨欠陥を低減することができる。
【0006】
また、軟質金属層のCMP研磨は、より軟質のCMP研磨パッドの使用により、研磨欠陥が低減可能になる。
【0007】
しかし、軟質パッドを用いたCMP研磨は、研磨された基板における欠陥を改善させることができるが、このような軟質パッドは軟質パッドの柔軟な特性によって金属化された半導体ウエハの表面でディッシングを増加させる問題を発生することがある。
【0008】
そこで、半導体ウエハまたは装置基板内の金属表面に対するCMP研磨工程によって発生しうる基板表面上のディッシングを減少させることができ、ウエハに発生しうる研磨欠陥を最小化することができ、工程に合った研磨性能を示すことができる研磨パッドに対する開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、研磨パッド、研磨パッドの製造方法およびこれを用いた半導体素子の製造方法を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、研磨パッド内の研磨層の気孔サイズを均一に形成して、研磨層の研磨面に対する表面粗さ特性を調整することで、研磨工程時に半導体基板と直接的に接触する面積を高め、半導体基板の表面に発生する欠陥を防止できる研磨パッドを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、研磨層の製造時、研磨組成物内の非膨張した(Unexpanded)固相発泡剤として含まれて、硬化工程時、前記固相発泡剤が膨張して、研磨層内の均一な複数の気孔を形成する研磨パッドの製造方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、前記研磨パッドを適用した半導体素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る研磨パッドは、研磨層を含み、前記研磨層は、複数の気孔を含み、下記式1または式2による値が0.5~1である:
(式1)
(式2)
ここで、
D10は、10%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D50は、50%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D90は、90%体積累積分布上の気孔の直径である。
【0014】
本発明の他の実施形態に係る研磨パッドは、研磨層を含み、前記研磨層は、複数の気孔を含み、下記式3による値が0.5~1.5である:
(式3)
ここで、
D10は、10%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D50は、50%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D90は、90%体積累積分布上の気孔の直径である。
【0015】
本発明の他の実施形態に係る研磨パッドの製造方法は、i)プレポリマー組成物を製造するステップと、ii)前記プレポリマー組成物、発泡剤、および硬化剤を含む研磨層製造用組成物を製造するステップと、iii)前記研磨層製造用組成物を硬化して研磨層を製造するステップと、を含むことができる。
【0016】
本発明の他の実施形態に係る半導体素子の製造方法は、1)研磨層を含む研磨パッドを提供するステップと、2)前記研磨層の研磨面に半導体基板の被研磨面が当接するように相対回転させながら前記半導体基板を研磨させるステップと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る前記研磨パッドは、研磨層の製造時、研磨組成物内の非膨張した(Unexpanded)固相発泡剤として含まれて、硬化工程時、前記固相発泡剤が膨張して、研磨層内の均一な複数の気孔を形成して、研磨層の研磨面に対する表面粗さ特性を調整することで、研磨工程時に半導体基板と直接的に接触する面積を高め、半導体基板の表面に発生する欠陥を防止することができる。
【0018】
また、本発明は、前記研磨パッドを適用した半導体素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る体積累積径に対するグラフである。
図2】本発明の一実施形態に係る研磨層の製造時に含まれる固相発泡剤に関する概念図である。
図3】本発明の一実施形態に係る研磨層の製造時における、固相発泡剤の発泡に関する概念図である。
図4】本発明の一実施形態に係る半導体素子製造工程の概略工程図である。
図5】本発明の一実施形態に係る研磨層の気孔に関するSEM測定結果である。
図6】本発明の一実施形態に係る研磨層の気孔に関するSEM測定結果である。
図7】本発明の一実施形態に係る研磨層の気孔に関するSEM測定結果である。
図8】本発明の一実施形態に係る研磨層の気孔に関するSEM測定結果である。
図9】本発明の一実施形態に係る研磨層の気孔に関するSEM測定結果である。
図10】本発明の一実施形態に係る研磨層の気孔に関するSEM測定結果である。
図11】本発明の一実施形態に係る研磨層の気孔に関するSEM測定結果である。
図12】本発明の一実施形態に係る研磨層の気孔に関するSEM測定結果である。
図13】本発明の一実施形態に係る研磨層の気孔に関するSEM測定結果である。
図14】本発明の一実施形態に係る研磨層の研磨面に対する実接触面積(Real Contact Area)に関する図である。
図15】本発明の一実施形態に係る研磨層の研磨面に対する実接触面積(Real Contact Area)に関する図である。
図16】本発明の一実施形態に係る研磨層の研磨面に対する実接触面積(Real Contact Area)に関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0021】
本発明で使用される成分、分子量のような特性、反応条件などの量を表現する数は、すべてのケースにおいて用語「約」で修飾されることが理解されなければならない。
【0022】
本発明において他に記述されなければ、すべての百分率、部、比などの重量基準である。
【0023】
本発明において、「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0024】
本発明において、「複数の」は、1つ超過を指し示す。
【0025】
本発明において、「10%体積累積径」、「50%体積累積径」、および「90%体積累積径」は、それぞれ体積粒径の累積度数分布の10%、50%、90%を示す粒径(直径)である。より詳しくは、図1のように、Y軸は体積(%)を意味し、X軸は直径(μm)を意味するもので、前記気孔の直径に対する前記気孔体積の累積度数分布は、前記気孔の直径が大きくなるにつれて、当該直径までの気孔の体積の総和を、すべての気孔の体積の総和で割ったものである。すなわち、前記10%体積累積径は、最も小さい直径を有する気孔から次第に大きい直径を有する気孔の体積が累積で足され、累積で足された体積が10%の時、当該直径、すなわち、この時の最も大きい直径を意味する。また、前記50%体積累積径は、最も小さい直径を有する気孔から次第に大きい直径を有する気孔の体積が累積で足され、累積で足された体積が50%の時、当該直径、すなわち、この時の最も大きい直径を意味する。さらに、前記90%体積累積径は、最も小さい直径を有する気孔から次第に大きい直径を有する気孔の体積が累積で足され、累積で足された体積が90%の時、当該直径、すなわち、この時の最も大きい直径を意味する。
【0026】
本発明の一実施形態に係る研磨パッドは、研磨層を含み、前記研磨層は、複数の気孔を含み、下記式1または式2による値が0.5~1である:
(式1)
(式2)
ここで、
D10は、10%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D50は、50%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D90は、90%体積累積分布上の気孔の直径である。
【0027】
従来の研磨パッド内の研磨層の製造時、物理的方法や化学的方法によって不規則な大きさと配列の気孔を形成した。従来の研磨層の製造方法によれば、ポリマー材質の研磨層の表面と内部に多様な形態と大きさの気孔が不規則に散らばった形態で配列されている。
【0028】
研磨層に気孔や穴を形成する従来の方法のうち物理的方法は、研磨層の形成物質にマイクロサイズの物質を混合するものである。この場合、 気孔があるマイクロサイズの物質が研磨層の製造初期にポリマーとよく混合されるように入れなければならない。
【0029】
しかし、物理的方法においてマイクロサイズの物質がポリマーと初期に均一によく混合されるようにすることが難しく、マイクロサイズの物質の大きさも一定ではない。
【0030】
一般的に、物理的方法で形成された平均気孔の直径は100マイクロメートル程度であるが、各気孔の直径は数十マイクロメートルから数百マイクロメートルに至る。これは、気孔を作る技術の限界から起こる現象である。また、研磨パッドの製造時に重力によって位置ごとに分布も異なって均一な性能の研磨層を製造することは容易ではない。
【0031】
前記物理的方法のように製造された研磨層は、形成された気孔のサイズや分布が一定でなくて、半導体基板を超精度で研磨する時、効率が研磨層と接する部位や時間によって異なる問題がある。
【0032】
他の方法として、化学的方法によって、CMP研磨パッドに気孔を形成することができ、水や、気体状態に変化しやすい液体をポリマー溶液に共に入れて低い温度に加熱すれば、液体が気体に変化しながら気孔が生じる現象を利用する。
【0033】
しかし、このように気体を用いて内部に気孔を形成させる方法も、気孔のサイズを一定に維持しにくい問題点を抱えている。
【0034】
研磨パッドは、半導体基板の表面を研磨するのに用いられる消耗品として無くてはならない重要な部品である。スラリーは、研磨工程が進行する間に研磨パッドと半導体基板の表面との間に存在し、半導体基板の表面を化学的機械的に研磨し、使用されたスラリーは外部に排出される。
【0035】
スラリーが一定時間研磨パッド上に存在するため、研磨パッドはスラリーを貯蔵できなければならない。このような研磨パッドのスラリー貯蔵機能は、研磨パッドに形成された気孔やグルーブ(groove)によって行われる。
【0036】
すなわち、研磨パッドに形成された気孔やグルーブにスラリーが浸透して長時間効率的に半導体基板の表面を研磨するのである。研磨パッドがスラリーの流出を最大限に抑制し良い研磨効率を奏するためには、気孔やグルーブの形状がよく制御されなければならず、研磨パッドの硬度といった物性が最適な条件を維持できなければならない。
【0037】
そこで、本発明の研磨パッドは、研磨層に形成される複数の気孔に対して、一定のサイズに制御して、研磨工程上で発生する欠陥を防止することができる。
【0038】
より具体的には、前記研磨層は、複数の気孔が形成され、下記式1または式2による値が0.5~1であることを特徴とする:
(式1)
(式2)
ここで、
D10は、10%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D50は、50%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D90は、90%体積累積分布上の気孔の直径である。
【0039】
前記式1は、気孔の10%体積累積径に対する50%体積累積径の比率を意味するものであり、式2は、50%体積累積径に対する90%体積累積径の比率を意味するものである。
【0040】
相対的に体積累積径を測定する時、D10は10%体積に相当する気孔の直径値を意味するもので、Dの後に来る数字の値が大きくなるほど気孔の直径が大きくなる。
【0041】
前記のように、式1および式2によって、値を計算し、前記値が0.5~1であるか、好ましくは0.52~0.85であって、気孔分布が均一な範囲に形成されることを意味するといえる。
【0042】
具体的には、前記気孔は、D10~D90の体積累積径を測定し、前記測定された体積累積径値の標準偏差が2~9である。
【0043】
より具体的には、気孔の体積累積径値である、D10、D20、D30、D40、D50、D60、D70、D80およびD90値の標準偏差を計算した結果が2~9であり、好ましくは3~7.5であってもよい。これは、体積累積径の測定時、累積体積に対する値が増加するほど直径の大きさが増加するが、直径の増加程度が大きくないことを意味し、本発明の研磨層は均一な大きさの気孔が複数形成されることを意味するといえる。
【0044】
気孔の10%体積累積径に対する50%体積累積径の比率および50%体積累積径に対する90%体積累積径の比率が0.5~1であるか、好ましくは0.52~0.85で、形成された気孔のサイズ分布が均一に形成されて、研磨工程時の研磨率および切削率に影響を及ぼさず、半導体基板の欠陥の発生を防止することができる。
【0045】
前記研磨層に形成された気孔の50%体積累積径が10μm~70μm、または20~65μmである。一具体例として、前記研磨層に形成された気孔の50%体積累積径が10μm~25μm、または18μm~23μmであってもよい。前記のように気孔の50%体積累積径を小さく形成することができる。他の具体例として、前記研磨層に形成された気孔の50%体積累積径が10μm~70μm、または20μm~65μmであってもよい。後述のように、本発明の研磨層に形成された複数の気孔は、直径が均一に形成されることを特徴とするもので、前記50%体積累積径の範囲内で気孔が形成され、これによって研磨工程での欠陥の発生を防止する効果を示すことができる。
【0046】
より具体的には、前記研磨層は、複数の気孔が形成され、下記式3によって0.5~1.5であり、好ましくは0.5~1.1である:
【0047】
(式3)
ここで、
D10は、10%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D50は、50%体積累積分布上の気孔の直径であり、
D90は、90%体積累積分布上の気孔の直径である。
【0048】
前記式3は、体積累積分布上の気孔の直径に対する関係を意味するもので、50%体積累積分布上の気孔の直径対比、90%体積累積分布上の気孔に対するサイズ差および10%体積累積分布上の気孔に対するサイズ差の比率により、研磨層内に形成された複数の気孔に対する均一の程度を確認することができる。
【0049】
前記式3による値が本発明の範囲内に含まれる場合には、体積累積分布上の気孔のサイズが均一であることを意味するもので、これは、研磨層内に形成された複数の気孔が均一なサイズ分布で形成されて、研磨工程への使用時に、半導体基板の欠陥の発生を防止することができる。
【0050】
前記本発明の研磨層内の均一な気孔の形成のためには、研磨層製造用組成物をモールドに注入する時、モールドの予熱温度と発泡剤の種類が重要な役割を果たす。
【0051】
前記ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む組成物は、予熱されたモールドに注入し硬化し、前記モールドの予熱温度は、50~150℃である。
【0052】
後述のように、本発明の研磨層を製造するために含まれる発泡剤は、非膨張した(Unexpanded)粒子であり、前記発泡剤は、研磨層製造用組成物内に含まれて、予熱されたモールド内に注入された後、硬化工程上で発泡して複数の気孔を形成する。
【0053】
この時、予熱されたモールドによって発泡剤に提供される熱と圧力で差が発生し、前記差の程度によって生成される気孔の直径において差が現れる。
【0054】
前記モールドの予熱温度は、50~150℃であり、好ましくは90~140℃であり、より好ましくは100~130℃であってもよい。前記範囲内で予熱したモールド内に研磨層製造用組成物を注入する場合、研磨層に形成される気孔の直径が均一に形成できる。
【0055】
前記モールドの予熱温度に応じてD50の直径に差が現れ、具体的には、モールドの予熱温度が100℃の場合、D50は20~25μmであり、好ましくは21~22μmに形成され、モールドの予熱温度が115℃の場合、D50は35~55μmであり、好ましくは40~50μmであり、モールドの予熱温度が130℃の場合、D50は50~70μmであり、好ましくは55~65μmであってもよい。
【0056】
前記のようにモールドの予熱温度が増加するほど、発泡剤として含まれる非膨張した粒子に加えられる熱と圧力が増加して、生成される気孔の直径が大きくなることを確認することができる。
【0057】
前記本発明のモールドの予熱温度範囲内で硬化する場合、研磨層に形成された気孔が適当な直径を示して、研磨工程への適用時にも半導体基板に欠陥の発生を防止することができる。
【0058】
先に説明したように、研磨層内の気孔を形成するために物理的方法または化学的方法を使用し、最近、研磨層の製造時には化学的方法を利用している。
【0059】
すなわち、発泡剤として液状の発泡剤または気体を注入して気孔を形成しているが、前記方法の場合、液状の発泡剤が硬化工程上で気化して気孔を形成するため、形成される気孔のサイズ調節が容易でなく、気体を注入する場合にも、気孔の形成時に、サイズ制御が容易でない。
【0060】
研磨層の製造時、ポリウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む組成物を硬化させた硬化物を成形して製造し、前記製造された研磨層は、複数の気孔が形成されたことを特徴とする。
【0061】
先に説明したように、研磨層内の気孔を形成するために物理的方法または化学的方法を使用し、最近、研磨層の製造時には化学的方法を利用している。
【0062】
すなわち、発泡剤として液状の発泡剤または気体を注入して気孔を形成しているが、前記方法の場合、液状の発泡剤が硬化工程上で気化して気孔を形成するため、形成される気孔のサイズ調節が容易でなく、気体を注入する場合にも、気孔の形成時に、サイズ制御が容易でない。
【0063】
前記発泡剤は、図2のような非膨張した(Unexpanded)粒子10であり、前記非膨張した粒子10は、樹脂材質の外皮11と、前記外皮に封入された膨張誘発成分12とを含むことができる。
【0064】
前記非膨張した粒子10は、予め膨張しない粒子であって、前記研磨層の製造過程で加えられる熱または圧力によって膨張して、最終的な大きさが決定される粒子を意味する。
【0065】
前記非膨張した粒子10は、硬化工程によって発泡して研磨層内の複数の気孔を形成することができる。
【0066】
従来研磨層を製造するために、使用される膨張した(Expanded)粒子は、硬化工程上で別途に膨張されない。ただし、本発明の発泡剤は、非膨張した粒子を発泡剤10として含むことができ、前記非膨張した粒子10を用いて、硬化工程上で膨張(20)して、複数の気孔を形成する。
【0067】
前記非膨張性粒子10は、樹脂材質の外皮11;および前記外皮に封入された内部に存在する膨張誘発成分12を含むことができる。
【0068】
例えば、前記外皮11は、熱可塑性樹脂を含むことができ、前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0069】
前記膨張誘発成分12は、炭化水素化合物、クロロフルオロ化合物、テトラアルキルシラン化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0070】
具体的には、前記炭化水素化合物は、エタン(ethane)、エチレン(ethylene)、プロパン(propane)、プロペン(propene)、n-ブタン(n-butane)、イソブタン(isobutane)、n-ブテン(butene)、イソブテン(isobutene)、n-ペンタン(n-pentane)、イソペンタン(isopentane)、ネオペンタン(neopentane)、n-ヘキサン(n-hexane)、ヘプタン(heptane)、石油エーテル(petroleum ether)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0071】
前記クロロフルオロ化合物は、トリクロロフルオロメタン(trichlorofluoromethane、CClF)、ジクロロジフルオロメタン(dichlorodifluoromethane、CCl)、クロロトリフルオロメタン(chlorotrifluoromethane、CClF)、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、CClF-CClF)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0072】
前記テトラアルキルシラン化合物は、テトラメチルシラン(tetramethylsilane)、トリメチルエチルシラン(trimethylethylsilane)、トリメチルイソプロピルシラン(trimethylisopropylsilane)、トリメチル-n-プロピルシラン(trimethyl-n-propylsilane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0073】
具体的には、前記非膨張した粒子10は、熱可塑性樹脂の外皮11と、前記外皮の内部に炭化水素ガス12とを含む。前記内部の炭化水素ガスは、硬化工程上で加えられる熱によって熱可塑性シェルを膨張させる役割を果たす。
【0074】
前記のように膨張によって高分子シェルの大きさが拡張され、内部の炭化水素ガスは外部に流出すれば、研磨層内の気孔を形成し、前記高分子シェルが研磨層内に含まれる。
【0075】
前記固相発泡剤の含有量は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として0.5重量部~10重量部、例えば、1重量部~7重量部、例えば、1重量部~5重量部であってもよい。前記研磨層の目的とする気孔構造および物性によって前記固相発泡剤の種類および含有量を設計することができる。
【0076】
前記本発明の研磨層を製造するための組成物は、先に説明した非膨張した固相発泡剤だけでなく、膨張した(expanded)固相発泡剤、気相発泡剤、液相発泡剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0077】
前記気相発泡剤は、不活性ガスを含むことができる。前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤とが反応する過程で投入されて気孔形成要素として使用できる。
【0078】
前記不活性ガスは、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤との間の反応に参加しないガスであれば、種類が特に限定されない。例えば、前記不活性ガスは、窒素ガス(N)、アルゴンガス(Ar)、ヘリウムガス(He)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。具体的には、前記不活性ガスは、窒素ガス(N)またはアルゴンガス(Ar)を含むことができる。
【0079】
前記研磨層の目的とする気孔構造および物性によって前記気相発泡剤の種類および含有量を設計することができる。
【0080】
前記熱膨張した固相発泡剤の粒子は、約5μm~約200μmの平均粒径を有する粒子であってもよい。前記熱膨張した粒子の平均粒径は、約5μm~約100μm、例えば、約10μm~約80μm、例えば、約20μm~約70μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約30μm~約70μm、例えば、約25μm~45μm、例えば、約40μm~約70μm、例えば、約40μm~約60μmであってもよい。前記平均粒径は、前記熱膨張した粒子のD50で定義される。
【0081】
一実施形態において、前記熱膨張した粒子の密度は、約30kg/m~約80kg/m、例えば、約35kg/m~約80kg/m、例えば、約35kg/m~約75kg/m、例えば、約38kg/m~約72kg/m、例えば、約40kg/m~約75kg/m、例えば、約40kg/m~約72kg/mであってもよい。
【0082】
一実施形態において、前記発泡剤は、気相発泡剤を含むことができる。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤および気相発泡剤を含むことができる。前記固相発泡剤に関する事項は前述した通りである。
【0083】
前記気相発泡剤は、窒素ガスを含むことができる。
【0084】
前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマー、前記固相発泡剤、および前記硬化剤が混合される過程中に所定の注入ラインを通して注入できる。前記気相発泡剤の注入速度は、約0.8L/min~約2.0L/min、例えば、約0.8L/min~約1.8L/min、例えば、約0.8L/min~約1.7L/min、例えば、約1.0L/min~約2.0L/min、例えば、約1.0L/min~約1.8L/min、例えば、約1.0L/min~約1.7L/minであってもよい。
【0085】
一実施形態において、前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む組成物から形成された硬化物を含む研磨層を含むことができる。前記発泡剤は先に説明した通りであるので、以下の説明では除外することとする。
【0086】
前記組成物に含まれる各成分を以下に具体的に説明する。
【0087】
「プレポリマー(prepolymer)」とは、硬化物の製造において、成形しやすいように重合度を中間段階で中止させた比較的低い分子量を有する高分子を意味する。プレポリマーは、それ自体でまたは他の重合性化合物と反応させた後、最終硬化物に成形される。
【0088】
一実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させて製造できる。
【0089】
前記ウレタン系プレポリマーの製造に使用されるイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを使用することができる。
【0090】
前記イソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluenediisocyanate、2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluenediisocyanate、2,6-TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(p-phenylenediisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidinediisocyanate)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylenediisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethanediisocyanate)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0091】
「ポリオール」とは、分子あたり、ヒドロキシ基(-OH)を少なくとも2以上含む化合物を意味する。前記ポリオールは、例えば、ポリエーテル系ポリオール(polyether polyol)、ポリエステル系ポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネート系ポリオール(polycarbonate polyol)、アクリル系ポリオール(acryl polyol)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0092】
前記ポリオールは、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0093】
前記ポリオールは、約100g/mol~約3,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。前記ポリオールは、例えば、約100g/mol~約3,000g/mol、例えば、約100g/mol~約2,000g/mol、例えば、約100g/mol~約1,800g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0094】
一実施形態において、前記ポリオールは、重量平均分子量(Mw)が約100g/mol以上、約300g/mol未満の低分子量ポリオールと、重量平均分子量(Mw)が約300g/mol以上、約1800g/mol以下の高分子量ポリオールとを含むことができる。
【0095】
前記ウレタン系プレポリマーは、約500g/mol~約3,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。前記ウレタン系プレポリマーは、例えば、約600g/mol~約2,000g/mol、例えば、約800g/mol~約1,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0096】
一実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物を含むことができ、前記芳香族ジイソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含むことができる。前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのポリオール化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0097】
他の実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物および脂環族ジイソシアネート化合物を含むことができ、例えば、前記芳香族ジイソシアネート化合物は、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含み、前記脂環族ジイソシアネート化合物は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を含むことができる。前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのポリオール化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0098】
前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート末端基の含有量(NCO%)が約5重量%~約11重量%、例えば、約5重量%~約10重量%、例えば、約5重量%~約8重量%、例えば、約8重量%~約10重量%であってもよい。前記範囲でNCO%を有する場合、適切な研磨パッド内の研磨層の物性を示して、研磨速度、研磨プロファイルのような研磨工程に要求される研磨性能を維持し、研磨工程上でウエハに発生しうる欠陥を最小化することができる。
【0099】
また、酸化膜(Oxide)および窒化膜(Nitride)の研磨選択比(Ox RR/Nt RR)を調節して、ディッシング(dishing)、リセス(recess)、およびエロージョン(erosion)現象を防止し、ウエハ内の表面の平坦化を達成することができる。
【0100】
前記ウレタン系プレポリマーのイソシアネート末端基の含有量(NCO%)は、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物およびポリオール化合物の種類および含有量、前記ウレタン系プレポリマーを製造する工程の温度、圧力、時間などの工程条件および前記ウレタン系プレポリマーの製造に用いられる添加剤の種類および含有量などを総合的に調節して設計可能である。
【0101】
前記硬化剤は、前記ウレタン系プレポリマーと化学的に反応して前記研磨層内の最終硬化構造を形成するための化合物として、例えば、アミン化合物またはアルコール化合物を含むことができる。具体的には、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0102】
例えば、前記硬化剤は、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(4,4'-methylenebis(2-chloroaniline);MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine;DETDA)、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenylmethane)、ジメチルチオトルエンジアミン(dimethyl thio-toluene diamine;DMTDA)、プロパンジオールビスp-アミノベンゾエート(propanediol bis p-aminobenzoate)、Methylene bis-methylanthranilate、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenylsulfone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0103】
前記硬化剤の含有量は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約18重量部~約27重量部、例えば、約19重量部~約26重量部、例えば、約20重量部~約26重量部であってもよい。前記硬化剤の含有量が前記範囲を満足する場合、目的とする研磨パッドの性能を実現するのにさらに有利であり得る。
【0104】
前記研磨層を製造するための組成物は、界面活性剤、反応速度調節剤などのその他の添加剤をさらに含むことができる。前記「界面活性剤」、「反応速度調節剤」などの名称は、当該物質の主な役割を基準として任意に称する名称であり、それぞれの当該物質が必ずしも当該名称の役割に限られた機能だけを行うわけではない。
【0105】
前記界面活性剤は、気孔の凝集または重畳などの現象を防止する役割を果たす物質であれば特に限定されない。例えば、前記界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤を含むことができる。
【0106】
前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.2重量部~約2重量部の含有量で使用できる。具体的には、前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.2重量部~約1.9重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~1.5重量部の含有量で含まれる。前記範囲内の含有量で界面活性剤を含む場合、気相発泡剤由来の気孔がモールド内で安定して形成および維持できる。
【0107】
前記反応速度調節剤は、反応促進または反応遅延の役割を果たすものであって、目的によって、反応促進剤、反応遅延剤、またはこれらすべてを使用することができる。前記反応速度調節剤は、反応促進剤を含むことができる。例えば、前記反応促進剤は、3級アミン系化合物および有機金属系化合物からなる群より選択された1種以上の反応促進剤であってもよい。
【0108】
具体的には、前記反応速度調節剤は、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルブタンジアミン、2-メチル-トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、ビス(2-メチルアミノエチル)エーテル、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N,N,N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-メチル-2-アザノルボルナン、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジオクチルチンジアセテート、ジブチルチンマレエート、ジブチルチンジ-2-エチルヘキサノエート、およびジブチルチンジメルカプチドからなる群より選択された1種以上を含むことができる。具体的には、前記反応速度調節剤は、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0109】
前記反応速度調節剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.05重量部~約2重量部の量で使用できる。具体的には、前記反応速度調節剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として約0.05重量部~約1.8重量部、例えば、約0.05重量部~約1.7重量部、例えば、約0.05重量部~約1.6重量部、例えば、約0.1重量部~約1.5重量部、例えば、約0.1重量部~約0.3重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~約1重量部の量で使用できる。前記反応速度調節剤が前述した含有量範囲で使用される場合、プレポリマー組成物の硬化反応速度を適切に調節して、所望する大きさの気孔および硬度を有する研磨層を形成することができる。
【0110】
前記研磨パッドがクッション層を含む場合、前記クッション層は、前記研磨層を支持しながら前記研磨層に加えられる外部衝撃を吸収し分散させる役割を果たすことにより、前記研磨パッドを適用した研磨工程中の研磨対象に対する損傷および欠陥の発生を最小化させることができる。
【0111】
前記クッション層は、不織布またはスエードを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0112】
一実施形態において、前記クッション層は、樹脂含浸不織布であってもよい。前記不織布は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含む繊維不織布であってもよい。
【0113】
前記不織布に含浸された樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ポリアミド系エラストマー樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0114】
以下、前記研磨パッドを製造する方法を詳しく説明する。
【0115】
本発明に係る他の実施形態において、プレポリマー組成物を製造するステップと、前記プレポリマー組成物、発泡剤、および硬化剤を含む研磨層製造用組成物を製造するステップと、前記研磨層製造用組成物を硬化して研磨層を製造するステップとを含む研磨パッドの製造方法を提供することができる。
【0116】
前記プレポリマー組成物を製造するステップは、ジイソシアネート化合物およびポリオール化合物を反応させてウレタン系プレポリマーを製造する工程であってもよい。前記ジイソシアネート化合物および前記ポリオール化合物に関する事項は、前記研磨パッドに関して前述した通りである。
【0117】
前記プレポリマー組成物のイソシアネート基(NCO基)の含有量は、約5重量%~約15重量%、例えば、約5重量%~約8重量%、例えば、約5重量%~約7重量%、例えば、約8重量%~約15重量%、例えば、約8重量%~約14重量%、例えば、約8重量%~約12重量%、例えば、8重量%~約10重量%であってもよい。
【0118】
前記プレポリマー組成物のイソシアネート基の含有量は、前記ウレタン系プレポリマーの末端イソシアネート基、前記ジイソシアネート化合物のうち反応しない未反応イソシアネート基などに由来できる。
【0119】
前記プレポリマー組成物の粘度は、約80℃で約100cps~約1,000cpsであってもよく、例えば、約200cps~約800cpsであってもよく、例えば、約200cps~約600cpsであってもよく、例えば、約200cps~約550cpsであってもよく、例えば、約300cps~約500cpsであってもよい。
【0120】
前記発泡剤は、先に説明したように、非膨張した固相発泡剤として含まれてもよいし、非膨張した固相発泡剤に、膨張した固相発泡剤、液相発泡剤、気相発泡剤、およびこれらの混合からなる群より選択された発泡剤を混合して使用してもよい。
【0121】
例えば、非膨張した固相発泡剤および膨張した固相発泡剤として含まれてもよく、非膨張した固相発泡剤、膨張した固相発泡剤および気相発泡剤として含まれもよく、非膨張した固相発泡剤および液相発泡剤を含んでもよく、非膨張した固相発泡剤、液相発泡剤、および気相発泡剤を含んでもよく、非膨張した固相発泡剤、膨張した固相発泡剤、液相発泡剤、および気相発泡剤を含んでもよいもので、前記発泡剤は、非膨張した固相発泡剤を含むものであって、研磨層の目的とする気孔構造および物性によって前記発泡剤の種類および含有量を設計することができる。
【0122】
前記発泡剤が固相発泡剤を含む場合、前記研磨層製造用組成物を製造するステップは、前記プレポリマー組成物および前記固相発泡剤を混合して第1予備組成物を製造するステップと、前記第1予備組成物と硬化剤とを混合して第2予備組成物を製造するステップとを含むことができる。
【0123】
前記第1予備組成物の粘度は、約80℃で約1,000cps~約2,000cpsであってもよく、例えば、約1,000cps~約1,800cpsであってもよく、例えば、約1,000cps~約1,600cpsであってもよく、例えば、約1,000cps~約1,500cpsであってもよい。
【0124】
前記発泡剤が気相発泡剤を含む場合、前記研磨層製造用組成物を製造するステップは、前記プレポリマー組成物および前記硬化剤を含む第3予備組成物を製造するステップと、前記第3予備組成物に前記気相発泡剤を注入して第4予備組成物を製造するステップとを含むことができる。
【0125】
一実施形態において、前記第3予備組成物は、固相発泡剤をさらに含むことができる。
【0126】
一実施形態において、前記研磨層を製造する工程は、第1温度に予熱されたモールドを用意するステップと、前記予熱されたモールドに前記研磨層製造用組成物を注入して硬化させるステップと、硬化した前記研磨層製造用組成物を前記予熱温度より高い第2温度条件下で後硬化するステップとを含むことができる。
【0127】
一実施形態において、前記第1温度は、約60℃~約100℃、例えば、約65℃~約95℃、例えば、約70℃~約90℃であってもよい。
【0128】
一実施形態において、前記第2温度は、約100℃~約130℃であってもよく、例えば、約100℃~125℃であってもよく、例えば、約100℃~約120℃であってもよい。
【0129】
前記研磨層製造用組成物を前記第1温度下で硬化させるステップは、約5分~約60分、例えば、約5分~約40分、例えば、約5分~約30分、例えば、約5分~約25分間行われる。
【0130】
前記第1温度下で硬化した研磨層製造用組成物を前記第2温度下で後硬化するステップは、約5時間~約30時間、例えば、約5時間~約25時間、例えば、約10時間~約30時間、例えば、約10時間~約25時間、例えば、約12時間~約24時間、例えば、約15時間~約24時間行われる。
【0131】
前記本発明の固相発泡剤は、非膨張した粒子として、研磨層製造用組成物に含まれている非膨張した粒子が、硬化工程上で提供される熱と圧力によって膨張して、研磨層内の複数の気孔を形成することができる。
【0132】
具体的には、図3のように、研磨層製造用組成物を予熱されたモールドに注入し、硬化工程30が進行すると、研磨層製造用組成物内に含まれていた非膨張した粒子10が膨張して、複数の気孔40に形成される。
【0133】
前記研磨パッドの製造方法は、前記研磨層の少なくとも一面を加工するステップを含むことができる。前記加工ステップは、グルーブ(groove)を形成するものであってもよい。
【0134】
他の実施形態として、前記研磨層の少なくとも一面を加工するステップは、前記研磨層の少なくとも一面上にグルーブ(groove)を形成するステップ(1);前記研磨層の少なくとも一面を旋削(line turning)するステップ(2);および前記研磨層の少なくとも一面を粗面化するステップ(3)、の少なくとも1つのステップを含むことができる。
【0135】
前記ステップ(1)において、前記グルーブ(groove)は、前記研磨層の中心から所定の間隔で離隔形成される同心円状グルーブ;および前記研磨層の中心から前記研磨層のエッジ(edge)まで連続連結される放射状グルーブ、の少なくとも1つを含むことができる。
【0136】
前記ステップ(2)において、前記旋削(line turning)は、切削工具を用いて前記研磨層を所定の厚さだけ削り出す方法で行われる。
【0137】
前記ステップ(3)において、前記粗面化は、前記研磨層の表面をサンディングローラ(Sanding roller)で加工する方法で行われる。
【0138】
前記研磨パッドの製造方法は、前記研磨層の研磨面の裏面上にクッション層を積層するステップをさらに含むことができる。
【0139】
前記研磨層と前記クッション層は、熱融着接着剤を介在して積層できる。
【0140】
前記研磨層の研磨面の裏面上に前記熱融着接着剤を塗布し、前記クッション層の前記研磨層と当接する表面上に前記熱融着接着剤を塗布し、それぞれの熱融着接着剤が塗布された面が当接するように前記研磨層と前記クッション層とを積層した後、加圧ローラを用いて両層を融着させることができる。
【0141】
さらに他の実施形態において、研磨層を含む研磨パッドを提供するステップと、前記研磨層の研磨面に研磨対象の被研磨面が当接するように相対回転させながら前記研磨対象を研磨させるステップと、を含む。
【0142】
図4は、一実施形態に係る半導体素子製造工程の概略工程図を示すものである。図4を参照する時、前記一実施形態に係る研磨パッド110を定盤120上に装着した後、研磨対象である半導体基板130を前記研磨パッド110上に配置する。この時、前記半導体基板130の被研磨面は、前記研磨パッド110の研磨面に直接接触する。研磨のために、前記研磨パッド上にノズル140を介して研磨スラリー150が噴射される。前記ノズル140を介して供給される研磨スラリー150の流量は、約10cm/分~約1,000cm/分の範囲内で目的によって選択可能であり、例えば、約50cm/分~約500cm/分であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0143】
以後、前記半導体基板130と前記研磨パッド110とは互いに相対回転して、前記半導体基板130の表面が研磨される。この時、前記半導体基板130の回転方向および前記研磨パッド110の回転方向は、同一の方向であってもよく、反対方向であってもよい。前記半導体基板130と前記研磨パッド110の回転速度は、それぞれ約10rpm~約500rpmの範囲で目的によって選択可能であり、例えば、約30rpm~約200rpmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0144】
前記半導体基板130は、研磨ヘッド160に装着された状態で、前記研磨パッド110の研磨面に所定の荷重で加圧されて当接させた後、その表面が研磨される。前記研磨ヘッド160によって前記半導体基板130の表面に前記研磨パッド110の研磨面に加えられる荷重は、約1gf/cm~約1,000gf/cmの範囲で目的によって選択可能であり、例えば、約10gf/cm~約800gf/cmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0145】
一実施形態において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨パッド110の研磨面を研磨に適した状態に維持させるために、前記半導体基板130の研磨と同時に、コンディショナ170を介して前記研磨パッド110の研磨面を加工するステップをさらに含むことができる。
【0146】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載の実施例は本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されてはならない。
【0147】
実施例1
【0148】
研磨パッドの製造
【0149】
TDI、H12MDI、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(Polytetramethylene ether glycol)、およびジエチレングリコール(Diethylene glycol)を4口フラスコに投入後、80℃、3時間反応して、NCO%が8~12%のプレポリマー(Prepolymer)を製造した。
【0150】
研磨層(Top Pad)製造のために、プレポリマー(Prepolymer)、硬化剤、不活性気体注入ライン、液相発泡剤注入ラインが備えられたキャスティングマシン(Casting Machine)でプレポリマータンク(Prepolymer Tank)に用意されたプレポリマー(Prepolymer)を充填し、硬化剤タンクにはビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(Bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)(Ishihara社)を充填し、不活性気体は窒素(N)、液相発泡剤としてFC3283(3M社)を用意した。非膨張した(Unexpanded)固相発泡剤(Akzonobel社、551DU40)およびシリコーン系界面活性剤(Evonik社)はプレポリマーに予め混合した。
【0151】
前記非膨張した固相発泡剤のシェル(Shell)はポリビニリデンクロライド(Polyvinylidene chloride)またはアクリロニトリル(Acrylonitrile)である。
【0152】
キャスティング(Casting)時にプレポリマーおよび硬化剤の当量を1:1に合わせて分あたり10kgの速度で吐出し、不活性気体の窒素(N)の量を全流れ量の体積対比、各実施例の%体積比で注入し、ミキシングヘッド(Mixing Head)で高速のrpmで各注入原料を混合(Mixing)した後、100℃に予熱された横1000mm、縦1000mm、および高さ3mmのモールドに注入した。
【0153】
この時、不活性気体である窒素の量を調節して0.7~0.9の密度を維持して、気孔が形成された研磨層(Top Pad)用シート(Sheet)を製造した。以後、製造された多孔性ポリウレタンシートの表面を研削機を用いて研削し、チップを用いてグルーブ(groove)する過程を経て、平均厚さ2mm、平均直径76.2cmの大きさに製造した。
【0154】
前記ポリウレタンシートおよびスエード(基材層、平均厚さ:1.1mm)をホットメルトフィルム(製造会社:SKC、製品名:TF-00)を用いて120℃で熱融着して研磨パッドを製造した。
【0155】
実施例2
【0156】
固相発泡剤として非膨張したAkzonobel社、031DU40を用いたことを除き、実施例1と同様に製造した。固相発泡剤のシェル(Shell)の組成はポリビニリデンクロライド(Polyvinylidene chloride)またはアクリロニトリル(Acrylonitrile)である。
【0157】
比較例1
【0158】
固相発泡剤として膨張した固相発泡剤であるAkzonobel社、461DET40d25を用いたことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0159】
比較例2
【0160】
固相発泡剤として膨張した固相発泡剤であるAkzonobel社、551DE40d42を用いたことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0161】
前記実施例および比較例に対する含有量および製造条件などについては下記表1の通りである。
【0162】
【表1】
実施例3
【0163】
研磨パッドの製造
【0164】
TDI、H12MDI、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(Polytetramethylene ether glycol)、およびジエチレングリコール(Diethylene glycol)を4口フラスコに投入後、80℃、3時間反応して、NCO%が8~12%のプレポリマー(Prepolymer)を製造した。
【0165】
研磨層(Top Pad)製造のために、プレポリマー、硬化剤、不活性気体注入ライン、液相発泡剤注入ラインが備えられたキャスティングマシン(Casting Machine)でプレポリマータンクに用意されたプレポリマーを充填し、硬化剤タンクにはビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(Bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)(Ishihara社)を充填し、不活性気体として窒素(N)、液相発泡剤としてFC3283(3M社)を用意した。
【0166】
固相発泡剤(Akzonobel社、551DU40)およびシリコーン系界面活性剤(Evonik社)は別のラインでプレポリマーと混合した。
【0167】
キャスティング(Casting)時にプレポリマーおよび硬化剤の当量を1:1に合わせて分あたり10kgの速度で吐出し、不活性気体の窒素(N)の量を全流れ量に対する体積対比で注入し、ミキシングヘッド(Mixing Head)で撹拌して、各注入原料を混合した後、100℃に予熱された横1000mm、縦1000mm、および高さ3mmのモールドに注入し硬化した。この時、不活性気体の窒素の量を調節して密度0.7~0.9に調節してモールドに注入し、多孔性ポリウレタンシートを製造した。
【0168】
以後、製造された多孔性ポリウレタンシートの表面を研削機を用いて研削し、チップを用いてグルーブ(groove)する過程を経て、平均厚さ2mm、平均直径76.2cmの大きさに製造した。
【0169】
前記ポリウレタンシートおよびスエード(基材層、平均厚さ:1mm)をホットメルトフィルム(製造会社:SKC、製品名:TF-00)を用いて120℃で熱融着して研磨パッドを製造した。
【0170】
実施例4
【0171】
モールドの予熱温度を115℃に調節したことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0172】
実施例5
【0173】
モールドの予熱温度を130℃に調節したことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0174】
比較例3
【0175】
モールドを予熱しなかったことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0176】
比較例4
【0177】
モールドの予熱温度を180℃に調節したことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0178】
前記実施例および比較例に対する含有量および製造条件などについては下記表2の通りである。
【0179】
【表2】
実験例1
【0180】
研磨層の物性評価
【0181】
(1)硬度
【0182】
前記実施例および比較例により製造された研磨パッドのShore D硬度を測定し、研磨パッドを2cm×2cm(厚さ:2mm)の大きさに切断した後、温度25℃および湿度50±5%の環境で16時間静置した。以後、硬度計(D型硬度計)を用いて研磨パッドの硬度を測定した。
【0183】
(2)弾性モジュラス
【0184】
前記実施例および比較例により製造された研磨パッドそれぞれに対して、万能試験機(UTM)を用いて500mm/分の速度でテストしながら破断直前の最高強度値を取得した後、取得した値によりStrain-Stress曲線の20~70%領域での傾きを計算した。
【0185】
(3)伸び率
【0186】
前記実施例および比較例により製造された研磨パッドそれぞれに対して、万能試験機(UTM)を用いて500mm/分の速度でテストしながら破断直前の最大変形量を測定した後、最初の長さに対する最大変形量の比率をパーセント(%)で表した。
【0187】
(4)引張
【0188】
前記実施例および比較例により製造された研磨パッドそれぞれに対して、万能試験機(UTM)を用いて500mm/分の速度でテストしながら破断直前の最高強度値を取得した後、取得した値によりStrain-Stress曲線の20~70%領域での傾きを計算した。
【0189】
(5)比重
【0190】
前記実施例および比較例により製造されたウィンドウの比重を測定し、研磨パッドを2cm×2cm(厚さ:2mm)の大きさに切断した後、温度25℃および湿度50±5%の環境で16時間静置した。その後、Electronic densimeterを用いて初期の重量と水に浸漬させた時の重量を測定後、密度を求めた。
【0191】
【表3】
前記表3は、実施例1、実施例2、比較例1および比較例2に対する物性評価の結果である。前記実験結果によれば、本発明の実施例の研磨層と比較例の研磨層との間には物性において大差が現れなかったことを確認することができる。これは、発泡剤の差は研磨層の物性に影響を及ぼさないことを意味するといえる。
【0192】
【表4】
前記表4は、実施例3~5、比較例3および比較例5に対する物性評価の結果である。本発明の実施例の場合、硬度(Shore D)が57~59の範囲内で、比較例(72.3、70.1)と比較して低い数値を示し、比重の場合にも0.78と差を示しており、引張(N/mm)は22~23、伸び率(%)は70~90、弾性モジュラスは100~200で、比較例と比較して大差を示すことを確認した。
【0193】
物性評価の結果によれば、実施例の研磨層は、比較例に比べて硬い程度を示す物性では低い数値を示し、弾性は高い数値を示すことを確認した。前記結果および後述する研磨評価の結果に照らして、本発明の研磨パッドは、前記のような物性によって、比較例に比べて研磨工程への適用時に欠陥の発生を防止することができる。
【0194】
実験例2
【0195】
研磨層の気孔サイズの測定
【0196】
前記実施例および比較例の研磨層に対する気孔の直径サイズを測定した。具体的には、1mm×1mmの正方形(厚さ:2mm)に切断した1mmの研磨面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて100倍に拡大されたイメージから断面を観察した。画像解析ソフトウェアを用いて得られた画像から全体気孔の直径を測定して、気孔の数平均直径、気孔の直径別の断面積の和の分布度、気孔の個数および気孔の総面積を得た。SEM100倍のイメージの横/縦=959.1μm/1279μmである。
【0197】
測定結果は下記表5の通りである。
【0198】
【表5】
前記表5に示しているように、実施例1および2の研磨層は、気孔のサイズ分布が均一に分布していることを確認することができ、D10~D90の標準偏差が3.48~7.20と確認された。これに対し、比較例の場合、D10/D50およびD50/D90値に大差はなかったが、標準偏差が大きい数値を示して、本発明の研磨層に比べて気孔のサイズ分布が相対的に均一でないことを確認した。
【0199】
また、前記のような気孔のサイズに対して、SEM測定により追加的に確認し、図5~8のように、100倍率に拡大して気孔のサイズを確認した結果、実施例の研磨層の場合、均一に分布していることを確認することができ、比較例の場合、サイズ分布が不均一であることを確認することができる。
【0200】
【表6】
前記表6に示しているように、実施例の研磨層は、気孔のサイズ分布が均一に分布していることを確認することができる。これに対し、比較例の場合、モールドの予熱温度によって気孔のサイズに差が現れることを確認することができ、比較例1は、気孔のサイズが過度に小さく、気孔のサイズ分布が均一でなく、比較例2の場合には、気孔のサイズが過度に大きく、同じく気孔のサイズ分布が均一でない。
【0201】
また、前記のような気孔のサイズに対して、SEM測定により追加的に確認し、図9~13のように100倍率に拡大して気孔のサイズを確認した結果、図9~11は実施例の研磨層で、気孔が均一に分布していることを確認することができ、図12および図13の比較例は、サイズ分布が不均一であることを確認することができる。
【0202】
実験例3
【0203】
研磨層の実接触面積(Real Contact Area)の測定
【0204】
CMP工程が完了した研磨パッドを、定盤に装着されたまま濡れている状態で、センソファー(Sensofar)社のS neoxモデルにwetを用いて研磨パッドの表面粗さを測定した。表面粗さの測定細部条件は表7の通りであり、研磨パッドの半径を基準として1/2となる地点のグルーブのエンボス部位を測定した。測定は研磨パッドあたり計5回を進行させ、平均値を計算した。
【0205】
【表7】
測定した基礎データ(raw data)を、senso viewプログラムを用いて材料比率(material ratio)を最小0%、最大3%で適用して、すなわち0~3%区間の材料比率(material ratio)から体積(volume)を計算する。RCA(Real contact area)は、ウエハ(wafer)による加圧条件で研磨層の表面がウエハと実際に摩擦する領域を意味する。したがって、加圧によって研磨層の表面が圧縮された時の材料比率が3%程度圧縮されると仮定すれば、senso viewプログラムの体積(volume)数値のうちIslandのarea値がRCAに対応すると考えられる。
【0206】
前記RCAの測定結果は図14~16および下記表8の通りである。
【0207】
【表8】
前記表8によれば、本発明の実施例の研磨層は、ウエハと接触する面積が比較例に比べて大きいことを確認することができる。研磨層の表面は完全に平らな形態ではなく、表面粗さが形成されており、前記表面粗さによってRCA測定値に影響する。前記測定結果に照らして、比較例の研磨層に比べて、本発明の研磨層においてウエハとの実接触面積が広いことを確認することができる。
【0208】
実験例4
【0209】
研磨パッドの研磨性能の測定
【0210】
(1)研磨率の測定
【0211】
CMP研磨装置を用いて、CVD工程により酸化ケイ素膜が蒸着された直径300mmのシリコンウエハを設けた後、シリコンウエハの酸化ケイ素膜層を下にして、実施例および比較例の研磨パッドが結合された定盤上にセットした。以後、研磨荷重が4.0psiとなるように調整し、150rpmで研磨パッドを回転させながら研磨パッド上にか焼セリアスラリーを250ml/分の速度で投入しながら定盤を150rpmで60秒間回転させて酸化ケイ素膜を研磨した。
【0212】
研磨後、シリコンウエハをキャリアから引き離して、spin dryerに装着して精製水(DIW)で洗浄した後、窒素で15秒間乾燥した。乾燥したシリコンウエハを光干渉式厚さ測定装置(製造会社:Kyence社、モデル:SI-F80R)を用いて研磨前後の膜厚変化を測定した。以後、下記の数式1を用いて研磨率を計算した。
【0213】
(数1)
研磨率=シリコンウエハの研磨厚さ(Å)/研磨時間(60秒)
【0214】
(2)研磨パッドの切削率の測定(pad cut-rate、μm/hr)
【0215】
実施例および比較例の研磨層を含む研磨パッドは、初期10分間脱イオン水でプレコンディショニングされた後、1時間脱イオン水が噴射されながら、コンディショニングされた。この時、1時間コンディショニングされる間の厚さ変化を測定した。コンディショニングに用いられる装置はCTS社のAP-300HMであり、コンディショニング圧力は6lbf、回転速度は100~110rpmであり、コンディショニングに用いられるディスクはSaesolのCI-45である。
【0216】
(3)ディフェクト(defect)の測定方法
【0217】
前記(1)の研磨率の測定方法と同様に研磨を進行させ、研磨後、シリコンウエハをクリーナ(Cleaner)に移動させて、1%HFと精製水(DIW)、1%HNO、精製水(DIW)をそれぞれ用いて10秒ずつ洗浄した。以後、spin dryerに移動させて精製水(DIW)で洗浄した後、窒素で15秒間乾燥した。乾燥したシリコンウエハをディフェクト測定装置(製造会社:Tenkor社、モデル:XP+)を用いて研磨前後のディフェクト変化を測定した。
【0218】
【表9】
前記表9は、実施例1、実施例2、比較例1および比較例2に対する研磨性能の測定結果である。前記実験結果によれば、実施例および比較例の研磨パッドは、研磨率および切削率において差が現れなかったが、欠陥数を確認した結果、実施例の研磨パッドは、欠陥がほとんど現れていないが、比較例の場合、多数の欠陥が発生することを確認した。
【0219】
【表10】
前記表10は、実施例3~5、比較例3および比較例4に対する研磨性能の測定結果である。前記結果によれば、比較例は、実施例に比べて研磨率が高い数値を示したが、ディフェクトの測定時、欠陥の発生数において大差を示し、研磨層の切削率においても高い数値を示した。
【0220】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0221】
10:非膨張した粒子
11:非膨張した粒子の外皮
12:膨張誘発成分
20:膨張した粒子
30:硬化工程
40:研磨層内の気孔
110:研磨パッド
120:定盤
130:半導体基板
140:ノズル
150:研磨スラリー
160:研磨ヘッド
170:コンディショナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16