(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】ウェーハのノッチの加工方法及び砥石
(51)【国際特許分類】
B24B 9/00 20060101AFI20230529BHJP
B24D 3/06 20060101ALI20230529BHJP
B24D 5/00 20060101ALI20230529BHJP
B24D 5/14 20060101ALI20230529BHJP
B24D 3/22 20060101ALI20230529BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
B24B9/00 601H
B24D3/06 Z
B24D5/00 P
B24D5/00 Z
B24D5/14
B24D3/22
H01L21/304 601B
H01L21/304 621E
H01L21/304 622F
(21)【出願番号】P 2020150779
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】518232168
【氏名又は名称】ダイトロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】土居 照武
(72)【発明者】
【氏名】大西 邦明
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-136416(JP,A)
【文献】特開2001-300837(JP,A)
【文献】特開2017-157796(JP,A)
【文献】特開平11-347953(JP,A)
【文献】特開平11-320353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 9/00
B24D 3/06
B24D 5/00
B24D 5/14
B24D 3/22
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のメタルボンド砥石でウェーハのノッチに端面及び面取り面を形成する面取り加工の粗研削を行い、
前記面取り加工の粗研削の後に、前記ノッチの幅よりも厚さが薄く形成された円盤形状のゴムボンド砥石を前記ウェーハの主面と直角方向に回転させて、回転軸方向に一定振幅又は漸増振幅でトラバースさせながら前記面取り面に沿って移動させて、前記ノッチの前記面取り面のみ前記ゴムボンド砥石による精研削を行い、
前記ゴムボンド砥石による精研削の後に、前記ノッチの前記端面及び前記面取り面のバフ研磨を行
い、
前記面取り加工の粗研削の後、かつ、前記ノッチの前記端面及び前記面取り面の前記バフ研磨の前に、前記第1のメタルボンド砥石よりも砥粒の粒度が細かい第2のメタルボンド砥石を使用して前記ノッチの前記端面の精研削を行
い、
前記第2のメタルボンド砥石は円盤形状を有し、前記第2のメタルボンド砥石を前記ウェーハの主面と直角方向に回転させながら前記第2のメタルボンド砥石の外周面を前記ノッチに当接させることによって前記ノッチの前記端面の精研削を行うことを特徴とするウェーハのノッチの加工方法。
【請求項2】
第1のメタルボンド砥石でウェーハのノッチに端面及び面取り面を形成する面取り加工の粗研削を行い、
前記面取り加工の粗研削の後に、前記ノッチの幅よりも厚さが薄く形成された円盤形状のゴムボンド砥石を前記ウェーハの主面と直角方向に回転させて、回転軸方向に一定振幅又は漸増振幅でトラバースさせながら前記面取り面に沿って移動させて、前記ノッチの前記面取り面のみ前記ゴムボンド砥石による精研削を行い、
前記ゴムボンド砥石による精研削の後に、前記ノッチの前記端面及び前記面取り面のバフ研磨を行
い、
前記面取り加工の粗研削の後、かつ、前記ノッチの前記端面及び前記面取り面の前記バフ研磨の前に、前記第1のメタルボンド砥石よりも砥粒の粒度が細かい第2のメタルボンド砥石を使用して前記ノッチの前記端面の精研削を行
い、
前記第1のメタルボンド砥石は、前記端面及び前記面取り面を有する前記ノッチの断面形状と形状が一致する溝を外周面に形成した円盤形状の総形砥石であって、
前記ウェーハの前記主面に垂直な方向を回転軸として前記第1のメタルボンド砥石を回転させながら前記溝を前記ノッチに当接させることによって前記面取り加工の粗研削を行い、
前記第2のメタルボンド砥石は円柱形状を有し、
前記ウェーハの前記主面に垂直な方向を回転軸として前記第2のメタルボンド砥石を回転させながら前記第2のメタルボンド砥石の外周面を前記ノッチの前記端面に当接させることによって前記ノッチの前記端面の精研削を行うことを特徴とするウェーハのノッチの加工方法。
【請求項3】
請求項1に記載のウェーハのノッチの加工方法に使用する前記第2のメタルボンド砥石であって、
前記第2のメタルボンド砥石の回転軸を含む断面の径方向外側の端部の形状は、
前記ウェーハの前記主面に垂直な方向から見た前記ノッチの前記端面の形状として要求される形状と一致することを特徴とするメタルボンド砥石。
【請求項4】
請求項1に記載のウェーハのノッチの加工方法に使用する前記第2のメタルボンド砥石であって、
前記第2のメタルボンド砥石の回転軸を含む断面は、
前記ウェーハの前記主面に垂直な方向から見た前記ノッチの前記端面の形状として要求される形状における中央の円弧部分より曲率半径が小さく、前記第2のメタルボンド砥石の径方向外側に向かって膨らんだ曲線と、
前記曲線の両端にそれぞれ接続する2本の直線と、
を前記第2のメタルボンド砥石の径方向外側の端部に備え、
前記断面における前記2本の直線のなす角度が、前記ウェーハの前記主面に垂直な方向から見た前記ノッチの前記端面の形状として要求される形状における前記円弧部分の両端にそれぞれ接続する2本の直線のなす角度よりも小さいことを特徴とするメタルボンド砥石。
【請求項5】
請求項2に記載のウェーハのノッチの加工方法に使用する前記第2のメタルボンド砥石であって、
前記円柱形状の半径が、前記ウェーハの前記主面に垂直な方向から見た前記ノッチの前記端面の形状として要求される形状における中央の円弧部分の曲率半径よりも小さいことを特徴とするメタルボンド砥石。
【請求項6】
請求項5に記載の第2のメタルボンド砥石であって、
前記第1のメタルボンド砥石と一体となっていることを特徴とするメタルボンド砥石。
【請求項7】
請求項3又は
請求項4に記載の第2のメタルボンド砥石であって、
前記ゴムボンド砥石と一体となっていることを特徴とするメタルボンド砥石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハのノッチの加工方法、特にノッチの面取り工程及びバフ研磨工程と、ノッチの面取り工程に用いる砥石に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インゴットからスライスしたウェーハを、面取り加工、主面研削、ケミカルエッチング、鏡面面取り加工の順に加工するウェーハ製造工程が開示されている。特許文献2には、この面取り加工の工程を行う装置として、ウェーハのノッチ部分をメタルボンド砥石で粗研削した後にゴムボンド砥石で精研削する装置が開示されている。そして、特許文献3には、ウェーハのノッチ部分の面取り加工の精研削を行う装置として、ノッチの幅より厚さが薄く形成された円盤形状のゴムボンド砥石をウェーハの主面と直角方向に回転させて、回転軸方向に一定振幅又は漸増振幅でトラバースさせながら面取り面から端面に沿って移動させて精研削を行う装置が開示されている。また、ウェーハのノッチ部の鏡面面取り加工については、研磨領域にスラリーを供給しながらバフを用いて研磨する装置が、特許文献4及び5に開示されている。また、鏡面面取り加工で発生するウェーハ主面内へのオーバーポリッシュについて、特許文献6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015―153999号公報
【文献】特開2011―235406号公報
【文献】特開2001―300837号公報
【文献】特開2000―167758号公報
【文献】特開2005―118903号公報
【文献】特開2018―182160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体デバイス等の集積回路用基板として用いられる略円板形状のウェーハの周縁部には、周方向の基準位置を示すために、略V字形状に切り欠かれたノッチが形成されている。ノッチの平面形状は、
図30に示すように、ウェーハの径方向内側へ向かって凹んだ半径Vrの円弧が中央部に形成され、ウェーハの外側へ向かって凸となる半径VR1及び半径VR2の円弧がウェーハの周方向の両端に形成されている。そして、ノッチの平面形状では、半径Vrの円弧と半径VR1の円弧との間は、半径Vrの円弧と半径VR1の円弧の接線となる直線で結ばれており、半径Vrの円弧と半径VR2の円弧との間は、半径Vrの円弧と半径VR2の円弧の接線となる直線で結ばれている。これら2本の直線のなす角度をAngVとする。そして、ウェーハの径方向内側へ向かって凹んだノッチの深さをVhとする。
【0005】
また、
図31に示すように、ウェーハの周方向に延びて半径VR1の円弧に接する接線とのなす角度が21度となるように、半径VR1の円弧の接線L1を引いて、接線L1が半径VR1の円弧に接する接点をP1とする。同様に、ウェーハの周方向に延びて半径VR2の円弧に接する接線とのなす角度が21度となるように、半径VR1の円弧の接線L2を引いて、接線L2が半径VR2の円弧に接する接点をP2とする。そして、
図30に示すように、接点P1と接点P2との間の距離を、ノッチの幅Vwとする。
【0006】
ノッチの代表的な寸法例として、半径Vrが1.2mm、半径VR1及び半径VR2が0,9mm、角度AngVが90度、ノッチの深さVhが1.15mm、ノッチの幅Vwが3.3mmとなる寸法例を挙げることができる。
【0007】
ウェーハのノッチ部分の面取り加工において、メタルボンド砥石を用いた粗研削により面取り面及び端面を形成した後に、特許文献3に開示されている手法によりゴムボンド砥石で精研削を行うと、ノッチ部の平面形状を精度良く加工することができない。このような加工精度不良が生じる理由は、メタルボンド砥石による粗研削では加工平面形状を精度良く加工できるにもかかわらず、
図19に示すように、ゴムボンド砥石を用いた精研削による取り代がノッチの中央部付近で大きくなって均一にならず、ゴムボンド砥石を用いた精研削の加工平面形状がメタルボンド砥石を用いた粗研削の加工平面形状とは平行にならないためである。
【0008】
このようにゴムボンド砥石を用いた精研削による取り代がノッチの中央部付近で大きくなると、ゴムボンド砥石を用いた精研削を実施後のノッチの角度AngVが、メタルボンド砥石による粗研削を実施直後のノッチの角度AngVよりも小さくなってしまう。そこで、メタルボンド砥石による粗研削の際にノッチの角度AngVを90度よりも広げておき、ゴムボンド砥石による精研削を実施後のノッチの角度AngVを目標の90度に合わせようとすると、ノッチの幅Vwが広くなり過ぎてしまい、目標の3.3mmに合わなくなってしまう。
【0009】
このようにノッチの平面形状の精度が良くないと、ウェーハメーカーから納入されるウェーハを使用するデバイスメーカーの各工程で、ノッチによる結晶方位位置決め精度が悪くなり、半導体デバイスの性能や歩留まりが悪くなる。特に、ノッチによる結晶方位位置決め精度を確保するためには、ノッチの幅Vwの精度が最も重要となる。
【0010】
しかし、このようなノッチの平面形状精度の不良を防ぐために、特許文献3に開示されているゴムボンド砥石による精研削を実施しないと、ノッチの面取り加工の粗研削により面取り面に形成された条痕(
図12参照)を後工程の鏡面面取り工程で取り除くことが困難になり、特に面取り面のノッチのV字の左右の部分で条痕の除去不足が生じたり、又は条痕の除去を達成できてもオーバーポリッシュを生じたりする場合がある。なお、ノッチの面取り加工の粗研削により端面に形成された条痕は、特許文献4及び5に開示された方法及び装置により後工程の鏡面面取り工程で取り除くことが、面取り面に形成された条痕と比較して容易である。
【0011】
そこで、本発明は、ウェーハのノッチの面取り加工において、粗研削により面取り面に形成された条痕を取り除きつつ、ノッチの平面形状の精度を確保することができるウェーハのノッチの加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るウェーハのノッチの加工方法は、第1のメタルボンド砥石でウェーハのノッチに端面及び面取り面を形成する面取り加工の粗研削を行い、前記面取り加工の粗研削の後に、前記ノッチの幅よりも厚さが薄く形成された円盤形状のゴムボンド砥石を前記ウェーハの主面と直角方向に回転させて、回転軸方向に一定振幅又は漸増振幅でトラバースさせながら前記面取り面に沿って移動させて、前記ノッチの前記面取り面のみ前記ゴムボンド砥石による精研削を行い、前記ゴムボンド砥石による精研削の後に、前記ノッチの前記端面及び前記面取り面のバフ研磨を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るウェーハのノッチの加工方法では、ノッチの幅よりも厚さが薄く形成された円盤形状のゴムボンド砥石をウェーハの主面と直角方向に回転させて、回転軸方向に一定振幅又は漸増振幅でトラバースさせながら面取り面に沿って移動させることによって、ノッチの面取り面のみゴムボンド砥石による精研削を行い、ゴムボンド砥石を用いたノッチの端面の精研削を行わないため、ノッチの面取り加工の粗研削により面取り面に形成された条痕を取り除きつつ、ノッチの平面形状の精度を確保することができる。
【0014】
本発明に係るウェーハのノッチの加工方法は、前記面取り加工の粗研削の後、かつ、前記ノッチの前記端面及び前記面取り面の前記バフ研磨の前に、前記第1のメタルボンド砥石よりも砥粒の粒度が細かい第2のメタルボンド砥石を使用して前記ノッチの前記端面の精研削を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るウェーハのノッチの加工方法では、面取り加工の粗研削の後、ノッチの端面及び面取り面のバフ研磨の前に、第2のメタルボンド砥石でノッチの端面の精研削を行うため、ノッチの端面のバフ研磨の時間を短縮することができる。
【0016】
本発明に係るウェーハのノッチの加工方法の一態様において、前記第2のメタルボンド砥石は円盤形状を有し、前記第2のメタルボンド砥石を前記ウェーハの主面と直角方向に回転させながら前記第2のメタルボンド砥石の外周面を前記ノッチに当接させることによって前記ノッチの前記端面の精研削を行ってもよい。
【0017】
この態様によれば、円盤形状を有する第2のメタルボンド砥石をウェーハの主面と直角方向に回転させながら外周面をノッチに当接させることによってノッチの端面の精研削を行うことができる。
【0018】
本発明に係るウェーハのノッチの加工方法の一態様において、前記第1のメタルボンド砥石は、前記端面及び前記面取り面を有する前記ノッチの断面形状と形状が一致する溝を外周面に形成した円盤形状の総形砥石であって、前記ウェーハの前記主面に垂直な方向を回転軸として前記第1のメタルボンド砥石を回転させながら前記溝を前記ノッチに当接させることによって前記面取り加工の粗研削を行い、前記第2のメタルボンド砥石は円柱形状を有し、前記ウェーハの前記主面に垂直な方向を回転軸として前記第2のメタルボンド砥石を回転させながら前記第2のメタルボンド砥石の外周面を前記ノッチの前記端面に当接させることによって前記ノッチの前記端面の精研削を行ってもよい。
【0019】
この態様によれば、ノッチの断面形状と形状が一致する溝を外周面に形成した円盤形状を有する第1のメタルボンド砥石を回転させながら溝をノッチに当接させることによってノッチの面取り加工の粗研削を行い、円柱形状の第2のメタルボンド砥石を回転させながら外周面をノッチの端面に当接させることによってノッチの端面の精研削を行うことができる。そして、第2のメタルボンド砥石が円柱形状であるため、ノッチの端面に当接させる第2のメタルボンド砥石の回転軸の軸方向の位置を変更しながら、ノッチの端面の精研削を実施することが可能となり、ノッチの端面の精研削により第2のメタルボンド砥石の外周面が摩耗して外径が小さくなることを抑制し、第2のメタルボンド砥石を交換する頻度を低減することができる。
【0020】
本発明に係るウェーハのノッチの加工方法に使用する円盤形状の前記第2のメタルボンド砥石の一態様において、前記第2のメタルボンド砥石の回転軸を含む断面の径方向外側の端部の形状は、前記ウェーハの前記主面に垂直な方向から見た前記ノッチの前記端面の形状として要求される形状と一致していてもよい。
【0021】
この態様によれば、第2のメタルボンド砥石の回転軸を含む断面の径方向外側の端部の形状は、ウェーハの主面に垂直な方向から見たノッチの端面の形状として要求される形状と一致しているため、第2のメタルボンド砥石をウェーハの主面と直角方向に回転させながら外周面をノッチに当接させることによってノッチの端面の精研削を行うことができる。
【0022】
本発明に係るウェーハのノッチの加工方法に使用する円盤形状の前記第2のメタルボンド砥石の一態様において、前記第2のメタルボンド砥石の回転軸を含む断面は、前記ウェーハの前記主面に垂直な方向から見た前記ノッチの前記端面の形状として要求される形状における中央の円弧部分より曲率半径が小さく、前記第2のメタルボンド砥石の径方向外側に向かって膨らんだ曲線と、前記曲線の両端にそれぞれ接続する2本の直線と、を前記第2のメタルボンド砥石の径方向外側の端部に備え、前記断面における前記2本の直線のなす角度が、前記ウェーハの前記主面に垂直な方向から見た前記ノッチの前記端面の形状として要求される形状における前記円弧部分の両端にそれぞれ接続する2本の直線のなす角度よりも小さくてもよい。
【0023】
この態様によれば、第2のメタルボンド砥石の回転軸を含む断面は、ウェーハの主面に垂直な方向から見たノッチの端面の形状として要求される形状における中央の円弧部分より曲率半径が小さく、第2のメタルボンド砥石の径方向外側に向かって膨らんだ曲線と、前記曲線の両端にそれぞれ接続する2本の直線と、を第2のメタルボンド砥石の径方向外側の端部に備え、前記断面における前記2本の直線のなす角度が、ウェーハの主面に垂直な方向から見たノッチの端面の形状として要求される形状における前記円弧部分の両端にそれぞれ接続する2本の直線のなす角度よりも小さいため、第2のメタルボンド砥石をウェーハの主面と直角方向に回転させながら、第2のメタルボンド砥石の外周面のノッチの端面への当接を継続しつつ、ノッチの幅方向へ端面に沿って移動させることによってノッチの端面の精研削を行うことができる。
【0024】
本発明に係るウェーハのノッチの加工方法に使用する円柱形状の前記第2のメタルボンド砥石の一態様において、前記円柱形状の半径が、前記ウェーハの前記主面に垂直な方向から見た前記ノッチの前記端面の形状として要求される形状における中央の円弧部分の曲率半径よりも小さくてもよい。
【0025】
この態様によれば、円柱形状を有する第2のメタルボンド砥石の半径が、ウェーハの主面に垂直な方向から見たノッチの端面の形状として要求される形状における円弧部分の曲率半径よりも小さいため、第2のメタルボンド砥石を回転させながら外周面をノッチの端面に当接させることによってノッチの端面の精研削を行うことができる。
【0026】
本発明に係るウェーハのノッチの加工方法に使用する円柱形状の前記第2のメタルボンド砥石の一態様において、前記第1のメタルボンド砥石と一体となっていてもよい。
【0027】
この態様によれば、円柱形状の第2のメタルボンド砥石が第1のメタルボンド砥石と一体となっているため、第1のメタルボンド砥石によるノッチの面取り加工の粗研削と、第2のメタルボンド砥石によるノッチの端面の精研削とを連続して行うことが可能となり、ウェーハのノッチの面取り加工の時間を短縮することができる。
【0028】
本発明に係るウェーハのノッチの加工方法に使用する円盤形状の前記第2のメタルボンド砥石の一態様において、前記ゴムボンド砥石と一体となっていてもよい。
【0029】
この態様によれば、円盤形状の第2のメタルボンド砥石がゴムボンド砥石と一体となっているため、第2のメタルボンド砥石によるノッチの端面の精研削と、ゴムボンド砥石によるノッチの面取り面の精研削とを連続して行うことが可能となり、ウェーハのノッチの面取り加工の時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、ウェーハのノッチの面取り加工において、粗研削により面取り面に形成された条痕を取り除きつつ、ノッチの平面形状の精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】ウェーハ製造の工程を示したフロー図である。
【
図2】第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法に使用するウェーハ面取り加工装置の上面図である。
【
図3】第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法に使用するウェーハ面取り加工装置の正面図である。
【
図4】第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法に使用するウェーハ面取り加工装置に搭載される搬入アームの正面図である。
【
図5】第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法に使用するウェーハ面取り加工装置に搭載される搬入アームの上面図である。
【
図6】ウェーハの面取り加工の粗研削に使用する砥石が搭載される砥石支持装置の斜視図である。
【
図7】第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法に使用するウェーハ面取り加工装置に搭載される搬出アームの正面図である。
【
図8】第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法に使用するウェーハ面取り加工装置に搭載される搬出アームの上面図である。
【
図9】ノッチの面取り加工の粗研削に使用する第1のメタルボンド砥石の側面図である。
【
図10】ノッチの面取り加工の粗研削を行った直後のノッチの形状を示す図である。
【
図12】ノッチの面取り加工の粗研削により、ノッチの面取り面に条痕が形成された状態を示す斜視図である。
【
図13】第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法に使用するゴムボンド砥石の側面図である。
【
図17】ノッチの面取り面の精研削を行う際のゴムボンド砥石及びウェーハの位置関係を示す図である。
【
図18】ノッチの面取り面の精研削が終了した直後のノッチの断面図である。
【
図19】ゴムボンド砥石を使用してノッチの端面の精研削を実施した場合のノッチの平面形状を示す図である。
【
図20】ゴムボンド砥石を使用したノッチの面取り面の精研削を実施した直後のノッチの端面の平面形状を示す図である。
【
図21】第2の実施形態のウェーハのノッチの加工方法におけるノッチの面取り加工の粗研削に使用する第1のメタルボンド砥石の側面図である。
【
図22】第2の実施形態のウェーハのノッチの加工方法におけるノッチの面取り加工の粗研削を行った直後のノッチの断面図である。
【
図23】第2の実施形態のウェーハのノッチの加工方法におけるノッチの面取り面の精研削が終了した直後のノッチの断面図である。
【
図24】第3の実施形態のウェーハのノッチの加工方法におけるノッチの面取り面の精研削に使用するゴムボンド砥石とノッチの端面の精研削に使用する第2のメタルボンド砥石を示す図である。
【
図25】第3の実施形態のウェーハのノッチの加工方法において、第2のメタルボンド砥石でノッチの端面を精研削する状態を示す図である。
【
図26】第3の実施形態のウェーハのノッチの加工方法におけるノッチの面取り面及び端面の精研削が終了した直後のノッチの断面図である。
【
図27】第4の実施形態のウェーハのノッチの加工方法において、第2のメタルボンド砥石でノッチの端面を精研削する状態を示す図である。
【
図28】第5の実施形態のウェーハのノッチの加工方法におけるノッチの面取り加工の粗研削に使用する第1のメタルボンド砥石とノッチの端面の精研削に使用する第2のメタルボンド砥石を示す図である。
【
図29】第5の実施形態のウェーハのノッチの加工方法において、第2のメタルボンド砥石でノッチの端面を精研削する状態を示す図である。
【
図31】ノッチの幅Vwを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しながら、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法について説明する。
図1に示すように、ウェーハを製造するためには、インゴットからウェーハをスライスした後、エッジ面取り加工、主面研削加工、ケミカルエッチング、主面研磨加工、エッジ鏡面面取り加工、検査の順番に各工程を行う。
図1に示すエッジ面取り加工の工程では、ウェーハの周縁部の全周に渡って面取り加工を行い、ノッチ部分の面取り加工も行う。
【0033】
本実施形態のウェーハのノッチの加工方法において、
図1のエッジ面取り加工の工程に使用するウェーハ面取り加工装置100を
図2に示す。
図2に示すように、ウェーハ面取り加工装置100は、ウェーハ1を載置する複数の加工テーブル2を備え、エッジ粗研砥石3、エッジ精研砥石4、第1のメタルボンド砥石5及びゴムボンド砥石6を備える。エッジ粗研砥石3はノッチ部分を除くウェーハ1の周縁部の面取り加工の粗研削に使用され、エッジ精研砥石4はノッチ部分を除くウェーハ1の周縁部の面取り加工の精研削に使用される。第1のメタルボンド砥石5はノッチの面取り加工の粗研削に使用され、ゴムボンド砥石6はノッチの面取り面の精研削に使用される。そして、ウェーハ面取り加工装置100は、アライメントセンサ7、厚さセンサ8、加工後センサ9、洗浄機構10及び乾燥機構11を備える。
【0034】
ウェーハ面取り加工装置100は、未加工のウェーハ1を格納しておく2つのカセット12と、ウェーハ1を載置して面取り加工する4台の加工テーブル2(2A~2D)と、加工済みのウェーハ1を格納しておく2つのカセット13を有する。4台の加工テーブル2は、略一直線状に配置されている。以下、この並びの方向をX軸方向という。
【0035】
ウェーハ面取り加工装置100には、ウェーハ1を搬送するために、ウェーハ1をカセット12から取り出しカセット13に格納するカセットアーム14と、カセットアーム14からウェーハ1を受け取って各加工テーブル2に載置する搬入アーム15と、加工されたウェーハ1を加工テーブル2からカセットアーム14に受け渡す搬出アーム16が設けられている。
【0036】
図3に示すように、加工テーブル2の上部には、ウェーハ1が載置されるステージ17が設けられている。ステージ17はウェーハ1よりも小径に形成され、載置されたウェーハ1を負圧によって固定する吸着チャックを有している。また、加工テーブル2には、モータを用いた加工テーブル回転機構18が設けられ、ステージ17を回転することができる。更に、加工テーブル2は、レール又はボールねじ等で構成される加工テーブル接近離間機構19によって、X軸と直交する水平な方向(以下、Y軸という)に移動が可能であり、ウェーハ1をエッジ粗研砥石3、エッジ精研砥石4、第1のメタルボンド砥石5又はゴムボンド砥石6と接近離間させてウェーハ1の面取り加工をすることができる。
【0037】
図2に示すように、未加工のウェーハ1を格納しておく2つのカセット12と、加工済みのウェーハ1を格納しておく2つのカセット13もX軸方向に沿って配置されている。そして、カセット12及びカセット13が並ぶ列と加工テーブル2が並ぶ列との間には、カセットアーム14が設けられている。カセットアーム14は、ウェーハ1を乗せて搬送する略Y字状のアーム部14aを有している。更に、カセットアーム14には、
図3に示すように、カセットアーム14をX軸方向に移動するためのカセットアームX軸移動機構20が設けられると共に、アーム部14aをY軸方向に移動するためのカセットアームY軸移動機構21、昇降させるカセットアーム昇降機構22及び水平に旋回させるカセットアーム旋回機構23が設けられている。
【0038】
搬入アーム15は、
図3及び
図4に示すように、加工テーブル2近傍の天井側から吊るされて、水平方向にアーム部15aを延ばしており、アーム部15aの先端には、負圧によって上方からウェーハ1を吸着する吸着チャック15bが設けられ、ウェーハ1を保持することができる。吸着チャック15bの上にはダイレクトドライブモータ15cが設けられ、保持したウェーハ1を円周方向に回転させて、後述するように測定及び載置することができる。そして、搬入アーム15には、X軸方向に移動するための搬入アーム移動機構24(
図3)及びアーム部15aを昇降させる搬入アーム昇降機構(図示せず)が設けられており、カセットアーム14から各加工テーブル2への未加工のウェーハ1の受け渡しを行うことができる。
【0039】
また、搬入アーム15には、
図4及び
図5に示すように、上下一対でウェーハ1の直径又は半径、中心、ノッチの位置を測定するアライメントセンサ7が設けられている。搬入アーム15は、アライメントセンサ7の測定結果から設定したウェーハ1の円周方向の載置角度に基づいて、ウェーハ1を回転させて所望の載置角度で加工テーブル2に載置する。このとき、ウェーハ1の中心と加工テーブル2のステージ17の中心が一致するようにする。
【0040】
図3及び
図6に示すように、エッジ粗研砥石3及び第1のメタルボンド砥石5は、1つの砥石支持装置26に取り付けられている。砥石支持装置26は側壁29の上部に取り付けられ、X軸方向に移動するための粗研砥石移動機構27及び昇降するための粗研砥石昇降機構28を有している。
【0041】
図2及び
図3に示すように、ゴムボンド砥石6を搭載する砥石支持装置34は、カセット12及びカセット13と加工テーブル2との間に設置される中壁37に取り付けられており、X軸方向に移動するためのノッチ精研砥石移動機構35及び昇降するためのノッチ精研砥石昇降機構36を有している。
【0042】
図3、
図7及び
図8に示すように、搬出アーム16は、加工テーブル2近傍で側壁29側の天井側から吊るされて、水平方向にアーム部16aを延ばしており、アーム部16aの先端には、負圧によって上方からウェーハ1を吸着する吸着チャック16bが設けられ、ウェーハ1を保持することができる。吸着チャック16bの上にはダイレクトドライブモータ16cが設けられ、保持したウェーハ1を円周方向に回転させて、後述するようにウェーハ1の洗浄および乾燥することができる。
【0043】
搬出アーム16には、X軸方向に移動するための搬出アーム移動機構38(
図3)、アーム部16aを昇降させる搬出アーム昇降機構(図示せず)及びアーム部16aを旋回させる搬出アーム旋回機構(図示せず)が設けられており、各加工テーブル2からカセットアーム14への加工済みのウェーハ1の受け渡しを行うことができる。
【0044】
また、
図7及び
図8に示すように、搬出アーム16は、洗浄液を放出する上下3つの水ノズル10a、10b、10cからなる洗浄機構10と、乾燥風を放出する上下3つのエアーノズル11a、11b、11cからなる乾燥機構11とを備えている。搬出アーム16のアーム部16aでウェーハ1を保持した場合、ウェーハ1の上面を水ノズル10aが洗浄してエアーノズル11aが乾燥させ、ウェーハ1の下面を水ノズル10bが洗浄してエアーノズル11bが乾燥させ、加工テーブル2のステージ17を水ノズル10cが洗浄してエアーノズル11cが乾燥させる。
【0045】
次に、ウェーハ1の面取り加工を行う際のウェーハ面取り加工装置100の動作について説明する。ウェーハ面取り加工装置100は、1台の加工テーブル2につき第一工程、第二工程、第三工程、第四工程を順に繰り返すことにより、ウェーハ1を面取り加工することができる。
【0046】
第一工程では、加工テーブル2に加工済みのウェーハ1がある場合には、搬出アーム16が加工済みのウェーハ1を吸着して加工テーブル2の上方で回転させながらウェーハ1及び加工テーブル2を洗浄して乾燥させ、搬出アーム16からカセットアーム14へウェーハ1を受け渡し、カセット13に格納する。そして、カセットアーム14によりカセット12から未加工のウェーハ1を取り出し、搬入アーム15がウェーハ1を受け取り、アライメントセンサ7の測定に基づいて正しい載置位置で加工テーブル2にウェーハ1を載置する。
【0047】
第二工程では、粗研砥石移動機構27により砥石支持装置26をX軸方向に加工テーブル2の位置まで移動させ、加工テーブル接近離間機構19により加工テーブル2を砥石支持装置26に接近させ、エッジ粗研砥石3でノッチを除くウェーハ1の周縁部の面取り加工の粗研削を行い、次いで第1のメタルボンド砥石5でノッチの面取り加工の粗研削を行う。面取り加工の粗研削において、ウェーハ1に対するエッジ粗研砥石3又は第1のメタルボンド砥石5の位置をX軸方向に移動させながら加工するときは、粗研砥石移動機構27によって精密に移動することができる。
【0048】
第三工程では、エッジ精研砥石移動機構33により砥石支持装置30をX軸方向に加工テーブル2の位置まで移動させ、加工テーブル接近離間機構19により加工テーブル2を砥石支持装置30に接近させ、エッジ精研砥石4でノッチを除くウェーハ1の周縁部の面取り加工の精研削を行う。エッジ精研砥石4による面取り加工の精研削おいて、ウェーハ1に対するエッジ精研砥石4の位置をX軸方向に移動させながら加工するときは、エッジ精研砥石移動機構33によって精密に移動することができる。
【0049】
第四工程では、ノッチ精研砥石移動機構35により砥石支持装置34をX軸方向に加工テーブル2の位置まで移動させ、加工テーブル接近離間機構19により加工テーブル2を砥石支持装置34に接近させ、ゴムボンド砥石6でウェーハ1のノッチの面取り面の精研削を行う。
【0050】
ウェーハ面取り加工装置100には、第二工程のノッチの面取り加工の粗研削に使用する第1のメタルボンド砥石5として、
図9に示すように、砥石番手が異なる複数のメタルボンド砥石5a~5dを備える。メタルボンド砥石5a~5dは、いずれもノッチの断面形状と形状が一致する溝を外周面に形成した円盤形状の総形砥石である。砥石番手が♯800であるメタルボンド砥石5aを使用して、第二工程のノッチの面取り加工の粗研削を行う場合、ウェーハ1の主面がメタルボンド砥石5aの回転軸a1と垂直になるようにウェーハ1を配置して、メタルボンド砥石5aを回転させながらメタルボンド砥石5aの溝にウェーハ1のノッチに当接させることによって研削を行うことができる。ノッチの面取り加工の粗研削では、このようにメタルボンド砥石5aを用いて研削をした後に、更に砥石番手が♯1500のメタルボンド砥石5cを用いて研削してもよい。
【0051】
上記のように第1のメタルボンド砥石5を使用して第二工程のノッチの面取り加工の粗研削を行うと、
図10及び
図11に示すように、ウェーハ1のノッチ1nの断面には、表側の面取り面1aと、裏側の面取り面1bと、端面1cが形成される。しかし、このように第1のメタルボンド砥石5を使用してノッチ1nの面取り加工の粗研削を行うと、
図12に示すように、ノッチ1nの面取り面1aや面取り面1bに条痕1dが形成されることがある。このような条痕1dを取り除くために、第四工程でゴムボンド砥石6を使用してウェーハ1のノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削を行う。
【0052】
ウェーハ面取り加工装置100には、第四工程の面取り面1a及び面取り面1bの精研削に使用するゴムボンド砥石6として、
図13に示すように、3枚のゴムボンド砥石6a~6cを備える。ゴムボンド砥石6a~6cは、いずれもノッチ1nの幅よりも厚さが薄く形成された円盤形状を有している。ゴムボンド砥石6a及びゴムボンド砥石6bは厚さが2mmであり、ゴムボンド砥石6cは厚さが1mmである。
図14に示すように、ゴムボンド砥石6aの外周面は、半径1mmのR加工により径方向外側に向かって膨らんでいる。また、
図15に示すように、ゴムボンド砥石6cの外周面も、半径1mmのR加工により径方向外側に向かって膨らんでいる。なお、ゴムボンド砥石6aとゴムボンド砥石6bは全く同じ形状をしており、ゴムボンド砥石6aを面取り面1aの精研削に使用し、ゴムボンド砥石6bを面取り面1bの精研削に使用する。
【0053】
図16に示すように、ノッチ精研機構40は、浮動部41及びY軸方向動作部42を備える。Y軸方向動作部42にゴムボンド砥石6a~6cは回動可能に支持されている。浮動部41は、
図2に示す砥石支持装置34に搭載されており、不図示の駆動機構により、砥石支持装置34に対して、
図16に示すX軸方向、Y1軸方向、Z軸方向(上下方向)に移動することができる。そして、Y軸方向動作部42は、浮動部41に内蔵された駆動機構43により、浮動部41に対して
図16に示すY2軸方向に移動することができる。なお、
図16に示すY1軸方向及びY2軸方向は、
図2及び
図3に示すY軸方向と平行である。
【0054】
ゴムボンド砥石6a~6cは、
図16に示すようにウェーハ1の主面1eと直角方向に回転させて、回転軸方向に一定振幅又は漸増振幅でトラバースさせながら面取り面1a及び面取り面1bに沿って移動させることによって、ノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bのみ精研削を行う。ゴムボンド砥石6を回転させながらノッチ1nの面取り面1aに沿ってゴムボンド砥石6を移動させて面取り面1aの精研削を行う際のゴムボンド砥石6及びウェーハ1の位置関係を
図17に示す。このように本実施形態のウェーハのノッチ1nの加工方法では、ゴムボンド砥石6を使用した精研削により、ノッチ1nの断面は、
図11に示す状態から
図18に示すように面取り面1a及び面取り面1bのみ精研削が行われる。
図18に示す破線部分は、
図11に示すノッチ1nの断面における面取り面1a及び面取り面1bの位置を示す。
【0055】
本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、ゴムボンド砥石6によるノッチ1nの端面1cの精研削を行わない。しかし、仮にゴムボンド砥石6をウェーハ1の主面1eと直角方向に回転させて、回転軸方向に一定振幅又は漸増振幅でトラバースさせながら端面1cに沿って移動させることによって、ノッチ1nの端面1cの精研削を行うと、
図19に示すように、ゴムボンド砥石6を用いた精研削による取り代がノッチ1nの中央部付近で大きくなって均一にならず、ゴムボンド砥石6を用いた精研削の加工平面形状が第1のメタルボンド砥石5を用いた粗研削の加工平面形状とは平行にならない。このようにゴムボンド砥石6を用いた精研削による取り代が均一にならずにノッチ1nの中央部付近で大きくなる理由は、ノッチ1nの端面1cを精研削する際に、ゴムボンド砥石6にウェーハ1の中心部へ向かって荷重がかかっており、ノッチ1nの端面1cに斜めにゴムボンド砥石6が当たると、ゴムボンド砥石6が端面1cに当たった位置以上にゴムボンド砥石6がノッチ1nの奥に入って行こうとしてノッチ1nの中央部に寄ってしまうためである。
図19では、ノッチ1nの面取り加工の粗研削の直後のノッチ1nの端面1cの平面形状を破線で示し、ゴムボンド砥石6を使用したノッチ1nの端面1cの精研削の後のノッチ1nの端面1cの平面形状を実線で示している。
【0056】
なお、ゴムボンド砥石6を使用してノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削を実施すると、同様にノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの形状の精度が悪化して、ノッチ1nの断面形状が悪化する可能性がある。しかし、ノッチ1nの断面形状精度はノッチ1nの平面形状精度ほど重要ではないため、問題とはならない。なぜなら、ウェーハ1の周縁部の断面形状はウェーハ1全体の平坦度精度に影響するため、周縁部近くの表面平坦度が悪くなったり、各種デバイス工程での表面処理の均一性が悪くなったりするなど、デバイスの製造工程にも影響が大きいが、ノッチ1nは面積が小さいため、このようなデバイスの製造工程への影響が小さいからである。
【0057】
上記のようにゴムボンド砥石6を使用してノッチ1nの端面1cの精研削を実施すると、ウェーハ1の主面1eに垂直な方向から見たノッチ1nの平面形状の精度が悪化するため、本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、ノッチ1nの端面1cの精研削は行わない。そのため、ゴムボンド砥石6を使用したノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削を実施した後のノッチ1nの端面1cの平面形状は、
図20に示すように精度を確保することができる。
【0058】
以上に説明したように、第1のメタルボンド砥石5を使用したノッチ1nの面取り加工の粗研削と、ゴムボンド砥石6を使用したノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削により、ウェーハ1のノッチ1nの面取り加工は終了する。その後、
図1に示すように、主面研削加工、ケミカルエッチング及び主面研磨加工を経た後に、エッジ鏡面面取り加工を行う。エッジ鏡面面取り加工では、ウェーハ1の周縁部の全周に渡って鏡面面取り加工を行い、ノッチ1nの鏡面面取り加工も行う。ノッチ1nの鏡面面取り加工では、特許文献4及び5に開示されている鏡面面取り加工方法と同様に、研磨領域にスラリーを供給しながらバフを用いてノッチ1nの面取り面1a、面取り面1b及び端面1cを研磨するバフ研磨が行われる。
【0059】
既に述べたように、本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、ノッチ1nの幅よりも厚さが薄く形成された円盤形状のゴムボンド砥石6をウェーハ1の主面1eと直角方向に回転させて、回転軸方向に一定振幅又は漸増振幅でトラバースさせながら面取り面1a及び面取り面1bに沿って移動させることによって、ノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bのみゴムボンド砥石6による精研削を行い、ノッチ1nの端面1cの精研削を行わないため、ノッチ1nの面取り加工の粗研削により面取り面1a及び面取り面1bに形成された条痕1dを取り除きつつ、ノッチ1nの平面形状の精度を確保することができる。
【0060】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態のウェーハのノッチの加工方法について、
図21~
図23を用いて説明する。本実施形態のウェーハのノッチの加工方法は、第1のメタルボンド砥石50の形状が異なり、ノッチ1nの断面形状が異なる点を除いて、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と同一であるため、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と共通する部分の説明を省略する。
【0061】
本実施形態のウェーハのノッチの加工方法におけるノッチ1nの面取り加工の粗研削に用いる第1のメタルボンド砥石50として、
図21に示すように、砥石番手が異なる複数のメタルボンド砥石50a~50dを備える。メタルボンド砥石50a~50dは、いずれもノッチ1nの断面形状と形状が一致する溝を外周面に形成した円盤形状の総形砥石である。第1のメタルボンド砥石50は、
図21に示すように、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法で使用する第1のメタルボンド砥石5とは溝の形状が異なる。その結果、第1のメタルボンド砥石50を用いてノッチ1nの面取り加工の粗研削を行った直後のノッチ1nの断面は、
図11に示すT形状とは異なり、
図22に示すR形状となる。そして、ノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削が終了した直後のノッチ1nの断面は、
図18に示す形状とは異なり、
図23に示す形状となる。
図23に示す破線部分は、
図22に示すノッチ1nの断面における面取り面1a及び面取り面1bの位置を示す。本実施形態のウェーハのノッチの加工方法でも、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と同様に、ゴムボンド砥石6によるノッチ1nの端面1cの精研削は実施しない。
【0062】
本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と同様に、ノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bのみゴムボンド砥石6による精研削を行い、ノッチ1nの端面1cの精研削を行わないため、ノッチ1nの面取り加工の粗研削により面取り面1a及び面取り面1bに形成された条痕1dを取り除きつつ、ノッチ1nの平面形状の精度を確保することができる。
【0063】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態のウェーハのノッチの加工方法について
図24及び
図25を用いて説明する。本実施形態のウェーハのノッチの加工方法は、
図1の面取り加工の工程において、第2のメタルボンド砥石60を用いてノッチ1nの端面1cの精研削を行う点を除いて、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と同一であるため、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と共通する部分の説明を省略する。
【0064】
本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、ウェーハ1の面取り加工において、第1のメタルボンド砥石5を使用したノッチ1nの面取り加工の粗研削の後に、ゴムボンド砥石6を使用したノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削と、第2のメタルボンド砥石60を使用したノッチ1nの端面1cの精研削とを実施する。ゴムボンド砥石6及び第2のメタルボンド砥石60を
図24に示す。本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、面取り面1a及び面取り面1bの精研削に使用するゴムボンド砥石6として、
図24に示すように、ゴムボンド砥石6aとゴムボンド砥石6bを備える。
図24に示すゴムボンド砥石6a及びゴムボンド砥石6bは、
図13に示すゴムボンド砥石6a及びゴムボンド砥石6bと全く同じ形状である。
【0065】
第2のメタルボンド砥石60は、直径が50mmで厚さが5mmの円盤形状を有し、第2のメタルボンド砥石60の回転軸を含む断面の径方向外側の端部の形状は、
図25に示すように、ウェーハ1の主面1eに垂直な方向から見たノッチ1nの端面1cの形状として要求される形状と一致する。そして、
図25に示すように、第2のメタルボンド砥石60をウェーハ1の主面1eと直角方向に回転させながらウェーハ1の中心部に向かって接近させて、第2のメタルボンド砥石60の外周面をノッチ1nに当接させることによって、ノッチ1nの端面1cの精研削を行うことができる。そして、ノッチ1nの端面1cの精研削が終了したら、第2のメタルボンド砥石60をウェーハ1から遠ざける。ノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削と端面1cの精研削が終了した直後のノッチ1nの断面は、
図26に示す形状となる。
図26に示す破線部分は、
図11に示すノッチ1nの断面における面取り面1a、面取り面1b及び端面1cの位置を示す。
【0066】
本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と同様に、ノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bのみゴムボンド砥石6による精研削を行うため、ノッチ1nの面取り加工の粗研削により面取り面1a及び面取り面1bに形成された条痕1dを取り除くことができる。そして、
図25に示すように第2のメタルボンド砥石60を使用してノッチ1nの端面1cの精研削を行うため、ノッチ1nの平面形状の精度を確保することができる。
【0067】
また、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法のように、ウェーハ1の面取り加工においてノッチ1nの端面1cの精研削を実施しない場合、鏡面面取り研磨の工程におけるバフ研磨にて、ノッチ1nの端面1cの研磨の時間が長くなる。これに対して、第3の実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、バフ研磨の前に第2のメタルボンド砥石60でノッチ1nの端面1cの精研削を実施するため、ノッチ1nの端面1cのバフ研磨の時間を短縮することができる。
【0068】
更に、本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、
図24に示すように、第2のメタルボンド砥石60がゴムボンド砥石6と一体となっているため、第2のメタルボンド砥石60によるノッチ1nの端面1cの精研削と、ゴムボンド砥石6によるノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削とを連続して行うことが可能となり、ウェーハ1のノッチ1nの面取り加工の時間を短縮することができる。
【0069】
なお、本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、第2のメタルボンド砥石60によるノッチ1nの端面1cの精研削と、ゴムボンド砥石6によるノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削は、どちらを先に実施してもよい。
【0070】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態のウェーハのノッチの加工方法について
図26、
図27及び
図30を用いて説明する。本実施形態のウェーハのノッチの加工方法は、第2のメタルボンド砥石60の径方向外側の端部の断面形状が異なる点と、ノッチ1nの端面1cの精研削を行う際の第2のメタルボンド砥石60の移動動作が異なる点を除いて、第3の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と同一であるため、第3の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と共通する部分の説明を省略する。
【0071】
図27に示すように、第2のメタルボンド砥石60の回転軸を含む断面は、第2のメタルボンド砥石60の径方向外側に向かって膨らんだ円弧と、その円弧の両端にそれぞれ接続する2本の直線と、を第2のメタルボンド砥石60の径方向外側の端部に備える。第2のメタルボンド砥石60の回転軸を含む断面の径方向外側の端部に形成された円弧の曲率半径は0.87mmであり、ウェーハ1の主面1eに垂直な方向から見たノッチ1nの端面1cの形状として要求される形状における中央の円弧部分の曲率半径1.2mm(
図30に示すVr)よりも小さい。そして、第2のメタルボンド砥石60の回転軸を含む断面における2本の直線のなす角度が86度であり、ウェーハ1の主面1eに垂直な方向から見たノッチ1nの端面1cの形状として要求される形状における円弧部分の両端にそれぞれ接続する2本の直線のなす角度である90度(
図30に示すAngV)よりも小さくなっている。なお、
図27では、第2のメタルボンド砥石60の回転軸を含む断面の径方向外側の端部に形成された曲線の一例として、曲率半径が0.87mmの円弧を記載している。しかし、この曲線は、第2のメタルボンド砥石60の径方向外側に向かって膨らんでおり、かつ曲率半径が
図30に示すVrよりも小さければ、曲率半径が0.87mm以外の円弧であってもよいし、円弧以外の曲線であってもよい。
【0072】
そして、第2のメタルボンド砥石60をウェーハ1の主面1eと直角方向に回転させながら第2のメタルボンド砥石60の外周面をノッチ1nに当接させることによって、ノッチ1nの端面1cの精研削を行うことができる。ノッチ1nの端面1cの精研削を行う際は、第2のメタルボンド砥石60をウェーハ1の主面1eと直角方向に回転させながら、
図27に示すように、第2のメタルボンド砥石60の外周面のノッチ1nの端面1cへの当接を継続しつつ、ノッチ1nの幅方向へ端面1cに沿って移動させる。ノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削と端面1cの精研削が終了した直後のノッチ1nの断面は、第3の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と同様に、
図26に示す形状となる。
【0073】
本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、第3の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と同様に、ノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bのみゴムボンド砥石6による精研削を行うため、ノッチ1nの面取り加工の粗研削により面取り面1a及び面取り面1bに形成された条痕1dを取り除くことができる。そして、
図27に示すように第2のメタルボンド砥石60を使用してノッチ1nの端面1cの精研削を行うため、ノッチ1nの平面形状の精度を確保することができる。
【0074】
また、本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、バフ研磨の前に第2のメタルボンド砥石60でノッチ1nの端面1cの精研削を実施するため、第3の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と同様に、ノッチ1nの端面1cのバフ研磨の時間を短縮することができる。
【0075】
更に、本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、
図24に示すように、第2のメタルボンド砥石60がゴムボンド砥石6と一体となっているため、第2のメタルボンド砥石60によるノッチ1nの端面1cの精研削と、ゴムボンド砥石6によるノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削とを連続して行うことが可能となり、ウェーハ1のノッチ1nの面取り加工の時間を短縮することができる。
【0076】
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態のウェーハのノッチの加工方法について
図28及び
図29を用いて説明する。本実施形態のウェーハのノッチの加工方法は、
図1の面取り加工の工程において、第2のメタルボンド砥石70を用いてノッチ1nの端面1cの精研削を行う点を除いて、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と同一であるため、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と共通する部分の説明を省略する。
【0077】
本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、ウェーハ1の面取り加工において、第1のメタルボンド砥石5を使用したノッチ1nの面取り加工の粗研削の後に、ゴムボンド砥石6を使用したノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削と、第2のメタルボンド砥石70を使用したノッチ1nの端面1cの精研削とを実施する。第1のメタルボンド砥石5及び第2のメタルボンド砥石70を
図28に示す。第1のメタルボンド砥石5の砥石番手は♯800であり、第2のメタルボンド砥石70の砥石番手は♯3000である。
【0078】
第2のメタルボンド砥石70は円柱形状を有し、円柱形状の半径が、
図29に示すように、ウェーハ1の主面1eに垂直な方向から見たノッチ1nの端面1cの形状として要求される形状における中央の円弧部分の曲率半径よりも小さくなっている。そして、
図29に示すように、ウェーハ1の主面1eに垂直な方向を回転軸として第2のメタルボンド砥石70を回転させながら第2のメタルボンド砥石70の外周面をノッチ1nの端面1cに当接させることによってノッチ1nの端面1cの精研削を行うことができる。
【0079】
このように第2のメタルボンド砥石70が円柱形状を有するため、ノッチ1nの端面1cに当接させる第2のメタルボンド砥石70の回転軸の軸方向の位置を変更しながら、ノッチ1nの端面1cの精研削を実施することが可能となる。そのため、ノッチ1nの端面1cの精研削により第2のメタルボンド砥石70の外周面が摩耗して外径が小さくなることを抑制し、第2のメタルボンド砥石70を交換する頻度を低減することができる。ノッチ1nの端面1cに当接させる第2のメタルボンド砥石70の回転軸の軸方向の位置は、ウェーハ1の1枚毎に変更してもよいし、1枚のウェーハ1のノッチ1nの端面1cの精研削を実施中に変更してもよい。
【0080】
本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、第1の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と同様に、ノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bのみゴムボンド砥石6による精研削を行うため、ノッチ1nの面取り加工の粗研削により面取り面1a及び面取り面1bに形成された条痕1dを取り除くことができる。そして、
図28に示すように第2のメタルボンド砥石70を使用してノッチ1nの端面1cの精研削を行うため、ノッチ1nの平面形状の精度を確保することができる。
【0081】
また、本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、バフ研磨の前に第2のメタルボンド砥石70でノッチ1nの端面1cの精研削を実施するため、第3の実施形態のウェーハのノッチの加工方法と同様に、ノッチ1nの端面1cのバフ研磨の時間を短縮することができる。
【0082】
更に、本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、第2のメタルボンド砥石70が第1のメタルボンド砥石5と一体となっているため、第1のメタルボンド砥石5によるノッチ1nの面取り加工の粗研削と、第2のメタルボンド砥石70によるノッチ1nの端面1cの精研削とを連続して行うことが可能となり、ウェーハ1のノッチ1nの面取り加工の時間を短縮することができる。
【0083】
なお、本実施形態のウェーハのノッチの加工方法では、第2のメタルボンド砥石70によるノッチ1nの端面1cの精研削と、ゴムボンド砥石6によるノッチ1nの面取り面1a及び面取り面1bの精研削は、どちらを先に実施してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 ウェーハ、1a,1b 面取り面、1c 端面、1d 条痕、1e 主面、1n ノッチ、2 加工テーブル、3 エッジ粗研砥石、4 エッジ精研砥石、5,50 第1のメタルボンド砥石、5a,5b、5c,5d,50a,50b,50c,50d メタルボンド砥石、6,6a,6b,6c ゴムボンド砥石、7 アライメントセンサ、8 厚さセンサ、9 加工後センサ、10 洗浄機構、10a,10b,10c 水ノズル、11 乾燥機構、11a,11b,11c エアーノズル、12,13 カセット、14 カセットアーム、14a,15a,16a アーム部、15 搬入アーム、15b,16b 吸着チャック、15c,16c ダイレクトドライブモータ、16 搬出アーム、17 ステージ、18 加工テーブル回転機構、19 加工テーブル接近離間機構、20 カセットアームX軸移動機構、21 カセットアームY軸移動機構、22 カセットアーム昇降機構、23 カセットアーム旋回機構、24 搬入アーム移動機構、26,30,34 砥石支持装置、27 粗研砥石移動機構、28 粗研砥石昇降機構、29 側壁、33 エッジ精研砥石移動機構、35 ノッチ精研砥石移動機構、36 ノッチ精研砥石昇降機構、37 中壁、38 搬出アーム移動機構、40 ノッチ精研機構、41 浮動部、42 Y軸方向動作部、43 駆動機構、60,70 第2のメタルボンド砥石、100 ウェーハ面取り加工装置。