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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】超吸収性ポリマー粒子の分級方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20230530BHJP
   C08J 3/16 20060101ALI20230530BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEY
C08J3/16
C08F220/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020505182
(86)(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 EP2018069770
(87)【国際公開番号】W WO2019025210
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】17183912.9
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】リューディガー フンク
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヴァイスマンテル
(72)【発明者】
【氏名】モンティ アラン ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ニール ハミルトン
(72)【発明者】
【氏名】ロニー デ ケイ
(72)【発明者】
【氏名】カール ポッセミールス
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/021432(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/115221(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J3/00-3/28;99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超吸収性ポリマー粒子の分級方法であって、吸水性ポリマー粒子を、減圧下で少なくとも2つのスクリーンを有するスクリーン機を使用して分級し、最上部の篩の上の圧力が、最下部の篩の下の圧力よりも篩ごとに0.05~3.5ミリバール高い、方法。
【請求項2】
最上部の篩の上の圧力が、最下部の篩の下の圧力よりも篩ごとに0.25~2.5ミリバール高い、請求項1記載の方法。
【請求項3】
最上部の篩の上の圧力が、周囲圧力より少なくとも2ミリバール低い、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
製品画分が、異なるメッシュサイズの少なくとも2つのスクリーンによって除去される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
オーバーサイズが、異なるメッシュサイズの少なくとも2つのスクリーンによって除去される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
超吸収性ポリマー粒子が、分級中、40~120℃の温度を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
超吸収性ポリマー粒子が、分級中、ガス流により流される、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ガス流の含水量が、5g/kg未満である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ガス流が、少なくとも40℃の温度を有する、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
ガス流が空気である、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
スクリーン機が、部分的または全体的に断熱されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
エチレン性不飽和モノマーa)の総量におけるアクリル酸の割合が、少なくとも95モル%である、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
エチレン性不飽和モノマーa)の中和度が、65~80モル%である、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
モノマーa)を基準とした架橋剤b)の量が、0.2~0.6重量%である、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
超吸収性ポリマー粒子が、少なくとも15g/gの遠心分離保持能力を有する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、吸水性ポリマー粒子を、減圧下にてスクリーン機内で分級することを含む、超吸収性ポリマー粒子の分級方法であって、最上部の篩の上の圧力が、最下部の篩の下の圧力よりも篩ごとに0~4.0ミリバール高い、方法に関する。
【0002】
超吸収性ポリマー粒子は、おむつ、タンポン、生理用ナプキン、および他の衛生用品の製造に使用されるが、保水剤としても使用される。超吸収性ポリマー粒子は、しばしば「吸収性樹脂」、「超吸収剤」、「吸水性ポリマー」、「吸収性ポリマー」、「吸収性ゲル化材料」、「親水性ポリマー」または「ヒドロゲル」とも呼ばれる。
【0003】
超吸収性ポリマーの製造は、モノグラフ“Modern Superabsorbent Polymer Technology”, F.L. BuchholzおよびA.T. Graham, Wiley-VCH, 1998年, 71~103頁に記載されている。
【0004】
超吸収性ポリマーは、水溶液を吸収する製品として、おむつ、タンポン、生理用ナプキンおよび他の衛生用品の製造に使用されるだけでなく、市場ガーデニングでは保水剤としても使用されている。
【0005】
超吸収性ポリマーの特性は、架橋度によって調整され得る。架橋度が上がると、ゲル強度が上がり、遠心分離保持能力(CRC)が下がる。
【0006】
使用特性、例えば、おむつの生理食塩水流れ誘導性(saline flow conductivity)(SFC)および荷重下の吸収性(AUL)を改善するために、超吸収性ポリマー粒子は概して表面後架橋される。これにより、粒子表面の架橋度のみが増加し、負荷下での吸収性(AUL)および遠心分離保持能力(CRC)を少なくとも部分的に切り離すことができる。この表面後架橋は、水性ゲル相で実行され得る。しかしながら、乾燥、粉砕、ふるい分けされたポリマー粒子(ベースポリマー)は、好ましくは、表面後架橋剤で表面にコーティングされ、乾燥され、熱で表面後架橋される。この目的に適した架橋剤は、ポリマー粒子のカルボキシレート基と共有結合を形成できる少なくとも2つの基を含む化合物である。
【0007】
超吸収性ポリマー粒子は、衛生分野で使用されている。ここでは、例えば、150~850μmの粒径が使用され、ポリマー粒子は、製造プロセスの過程で実際にこれらの粒径に分級される。この場合、150~850μmのメッシュサイズを用いる2つのスクリーンを備えた連続スクリーニング機が使用される。粒径が最大150μmの粒子は、双方のスクリーンを通過し、スクリーニング機の下部でアンダーサイズ(微粉)として収集される。粒径が850μmを上回る粒子は、オーバーサイズとして最上部のスクリーンに残って排出される。150~850μmの粒径を有する製品画分は、スクリーニング機の2つのスクリーンの間でミドルサイズとして除去される。スクリーニングの品質によっては、各粒径画分は、排出に失敗した結果として一定の割合の誤った粒径を有する粒子を依然として含む。例えば、ミドルサイズ画分は、150μm以下の粒径を有する粒子も一定の割合で含み得る。
【0008】
排出されたアンダーサイズおよびオーバーサイズは、典型的には製造にリサイクルされる。アンダーサイズは、例えば、重合に追加され得る。オーバーサイズは、典型的には細かく砕かれて、必然的にさらにアンダーサイズも発生する。
【0009】
従来の分級作業では、ポリマー粒子を分級する際にさまざまな問題が発生する。最もよくある問題は、スクリーン表面の閉塞ならびに分級効率および分級能力の低下である。さらに問題となるのは、製品粒子のケーキング傾向であり、これによりスクリーニング前、スクリーニング後、およびスクリーニング中に望ましくない凝集物が生じる。したがって、スクリーニングのプロセス工程は、混乱のないように実行することができず、製造中に不要な停止を伴うことが多い。このような混乱は、連続製造プロセスで特に問題になることがわかる。しかしながら、全体的な結果は、スクリーニングにおける分離効率が不十分である。
【0010】
典型的には、ポリマー粒子の自由流動および/または機械的安定性を高める働きをする物質を製品に添加することにより、より高いスクリーニング品質が得られる。一般に、通常、乾燥後および/または表面後架橋の過程で、個々の粒子の相互付着を防ぐ助剤、例えば、界面活性剤をポリマー粒子に添加する場合、自由流動性の製品が得られる。その他の場合、プロセス技術の手段によって、ケーキング傾向に影響を与えることが試みられる。
【0011】
さらなる製品添加剤を用いずにより高い分離効率を得るためには、代替的なスクリーニングユニットを使用して改善することが提案されている。例えば、スクリーンのオリフィス領域がスパイラル状に駆動される場合に、より高い分離効率が得られる。これは、例えば、タンブリングスクリーン機の場合である。しかしながら、このようなスクリーニング装置のスループットを上げると、上記の問題が大きくなり、高い分級能力を維持することがさらに困難になる。
【0012】
スクリーニングボール、PVC摩擦リング、テフロン摩擦リングまたはゴムキューブなどのスクリーニング補助剤を、スクリーン表面に加えても、分離効率の向上にはほとんど役立たない。特に、超吸収性ポリマー粒子などの研磨性ポリマー材料の場合、これにより摩耗が増加し得る。
【0013】
分級についての一般的な概要は、例えば、Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie、第4版、第2巻、43~56頁、Verlag Chemie、Weinheim、1972年に見られる。
【0014】
超吸収性ポリマー粒子の分級に関するいくつかの問題は、欧州特許出願公開第0855232号明細書、国際公開第2006/074816号、および国際公開第2008/037675号に記載されている。
【0015】
欧州特許出願公開第0855232号明細書には、断熱および/または加熱された篩デバイスの使用について記載されている。
【0016】
国際公開第2006/074816号には、減圧下での超吸収性ポリマー粒子の分級方法が記載されている。
【0017】
国際公開第2008/037675号には、分離効率を改善するための追加の篩の使用について記載されている。
【0018】
欧州特許出願公開第2253375号明細書には、減圧下で1つ以上のプロセス工程を実施する超吸収性ポリマーの製造方法が記載されている。
【0019】
本発明の課題は、超吸収性ポリマー粒子を製造するための改善された分級方法を提供することである。
【0020】
この課題は、超吸収性ポリマー粒子の分級方法であって、吸水性ポリマー粒子を、減圧下でスクリーン機を使用して分級し、最上部の篩の上の圧力が、最下部の篩の下の圧力よりも篩ごとに0~4.0ミリバール高い、方法によって達成される。
【0021】
例えば、最上部の篩の上の圧力は、周囲圧力より4ミリバール低く、最下部の篩の下の圧力は、周囲圧力より10ミリバール低く、スクリーン機のスクリーンの数は3である。この例では、最上部の篩の上の圧力は、最下部の篩の下の圧力よりも篩ごとに2.0ミリバール高い。
【0022】
スクリーンの数は、好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも3、最も好ましくは少なくとも4である。
【0023】
最下部の篩の下の圧力と比較して最上部の篩の上の圧力が高すぎないことが本発明の本質的な特徴である。最上部の篩の上の圧力は、最下部の篩の下の圧力よりも、好ましくは篩ごとに0.05~3.5ミリバール高く、より好ましく篩ごとに0.1~3.0ミリバール高く、最も好ましくは篩ごとに0.25~2.5ミリバール高い。篩ごとの圧力差は、最上部の篩の上の絶対圧力から最下部の篩の下の絶対圧力を引き、これを篩の数で割ることによって計算される。
【0024】
スクリーン機内の圧力は、周囲圧力より低い(減圧)。最上部の篩の上の圧力は、周囲圧力より、好ましくは少なくとも0.5ミリバール低く、より好ましくは少なくとも1ミリバール低く、最も好ましくは少なくとも2ミリバール低い。
【0025】
本発明は、圧力がこれらの篩にわたって大きく低下することで、スクリーン機の分離効率が低下するという発見に基づいている。圧力がこれらの篩にわたって低下するにつれて、粒子が、メッシュで付着するために通過できにくくなる可能性がある。
【0026】
スクリーニングの結果は、特に高スループットで、異なるメッシュサイズの少なくとも2つのスクリーンによってミドルサイズ(製品画分)が除去される場合にさらに改善され得る。
【0027】
スクリーニングの結果は、特に高スループットで、異なるメッシュサイズの少なくとも2つのスクリーンによってオーバーサイズが除去される場合にさらに改善され得る。
【0028】
本発明による方法では、スクリーン画分を様々な方法で組み合わせることで、例えば(2,1)、(3,1)、(2,1,1)、(1,2,1)、(2,2,1)、(3,1,1)、(1,3,1)、(3,2,1)、(2,3,1)または(3,3,1)のシーケンスで粒径画分を得ることができ、ここで、1セットの括弧内の数字の数は、粒径画分の数を表し、粒径画分は、製品のフローシーケンスの括弧内で左から右に配置され、数値自体は、特定の粒径画分を得るために組み合わされる連続したスクリーン画分の数を表す。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、製品の流れ方向で連続して得られる少なくとも2つのスクリーン画分を組み合わせることで1つの粒径画分が得られ、これらのスクリーン画分が得られるスクリーンのメッシュサイズは、好ましくはそれぞれの場合に典型的には少なくとも50μm異なり、好ましくはそれぞれの場合に少なくとも100μm異なり、好ましくはそれぞれ場合に少なくとも150μm異なり、より好ましくはそれぞれの場合に少なくとも200μm異なり、最も好ましくはそれぞれの場合に少なくとも250μm異なる。
【0030】
本発明のさらに好ましい実施形態では、製品の流れ方向で最初に得られる少なくとも2つのスクリーン画分を組み合わせることで1つの粒径画分が得られ、これらのスクリーン画分が得られるスクリーンのメッシュサイズは、好ましくはそれぞれの場合に少なくとも250μm異なり、好ましくはそれぞれの場合に少なくとも500μm異なり、より好ましくはそれぞれの場合に少なくとも750μm異なり、最も好ましくはそれぞれの場合に少なくとも1000μm異なる。
【0031】
分級中、超吸収性ポリマー粒子は、好ましくは40~120℃、より好ましくは45~100℃、最も好ましくは50~80℃の温度を有する。
【0032】
本発明の分級方法は、特に有利に連続的に実施される。超吸収性ポリマー粒子のスループットは、好ましくは少なくとも150kg/m・h、より好ましくは少なくとも250kg/m・h、最も好ましくは少なくとも300kg/m・hである。
【0033】
超吸収性ポリマー粒子は、好ましくは、分級中にガス流で、より好ましくは空気で流される。ガス速度は、典型的にはスクリーン面積1mあたり0.1~10m/h、好ましくはスクリーン面積1mあたり0.5~5m/h、より好ましくはスクリーン面積1mあたり1~3m/hであり、ガス体積は、標準条件下(25℃および1バール)で測定される。ガス流は、より好ましくはスクリーン機に入る前に、好ましくは40~120℃の温度に、より好ましくは60~100℃の温度に、最も好ましくは70~80℃の温度に加熱される。ガス流の含水量は、好ましくは5g/kg未満、より好ましくは3.5g/kg未満、最も好ましくは3g/kg未満である。水分が比較的少ないガス流は、例えば、水分が比較的多いガス流から適切な量の水を冷却により凝縮することにより得られる。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、複数のスクリーン機が並行して動作している。
【0035】
本発明のより好ましい実施形態では、スクリーン機は、部分的または全体的に断熱されている。
【0036】
本発明の最も好ましい実施形態では、スクリーンには、スクリーンの中央の方向に、またはスクリーンの出口オリフィスに向かう螺旋経路に超吸収性ポリマー粒子を偏向させるガイドデバイスが備えられている。有利なことに、スクリーンには、双方のタイプのガイドデバイスが備えられている。スクリーンの出口オリフィスは、スクリーンの端にある。スクリーンのメッシュを通過しないポリマー粒子は、出口オリフィスから引き出される。
【0037】
スクリーン機は、典型的には電気的に接地されている。
【0038】
超吸収性ポリマー粒子の製造は、以下で詳細に記載される:
【0039】
超吸収性ポリマー粒子は、
a)酸基を有し、かつ少なくとも部分的に中和され得る少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意で、a)に記載されたモノマーと共重合可能な1種以上のエチレン性不飽和モノマー、および
e)任意で、1種以上の水溶性ポリマー
を含み、かつ典型的には水不溶性である、モノマー溶液または懸濁液を重合することにより生成され得る。
【0040】
モノマーa)は、好ましくは水溶性である、すなわち、23℃での水への溶解度は、典型的には少なくとも1g/100gの水、好ましくは少なくとも5g/100gの水、より好ましくは少なくとも25g/100gの水、最も好ましくは少なくとも35g/100gの水である。
【0041】
適切なモノマーa)は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸である。非常に特に好ましいのは、アクリル酸である。
【0042】
さらなる適切なモノマーa)は、例えば、スチレンスルホン酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)などのエチレン性不飽和スルホン酸である。
【0043】
不純物は、重合に大きな影響を与え得る。したがって、使用する原材料は、高純度でかつ一定純度でなければならない。したがって、モノマーa)を特別に精製することがしばしば有利である。適切な精製プロセスは、例えば、国際公開第2002/055469号、国際公開第2003/078378号および国際公開第2004/035514号に記載されている。適切なモノマーa)は、例えば、国際公開第2004/035514号に従って精製され、かつ99.8460重量%のアクリル酸、0.0950重量%の酢酸、0.0332重量%の水、0.0203重量%のプロピオン酸、0.0001重量%のフルフラール、0.0001重量%の無水マレイン酸、0.0003重量%のジアクリル酸、および0.0050重量%のヒドロキノンモノメチルエーテルを含むアクリル酸である。
【0044】
モノマーa)の総量におけるアクリル酸および/またはその塩の割合は、好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、最も好ましくは少なくとも95モル%である。
【0045】
モノマーa)は、典型的には貯蔵安定剤として重合禁止剤、好ましくはヒドロキノンモノエーテルを含む。
【0046】
モノマー溶液は、それぞれの場合に未中和モノマーa)を基準として、好ましくは最大250重量ppm、好ましくは最大130重量ppm、より好ましくは最大70重量ppm、好ましくは少なくとも10重量ppm、より好ましくは少なくとも30重量ppm、特に約50重量ppmのヒドロキノンモノエーテルを含む。例えば、モノマー溶液は、適切な含有量のヒドロキノンモノエーテルを含む酸基を有するエチレン性不飽和モノマーを使用することにより調製され得る。
【0047】
好ましいヒドロキノンモノエーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)および/またはアルファ-トコフェロール(ビタミンE)である。
【0048】
適切な架橋剤b)は、架橋に適した少なくとも2つの基を有する化合物である。このような基は、例えば、ポリマー鎖にフリーラジカル重合され得るエチレン性不飽和基、およびモノマーa)の酸基と共有結合を形成し得る官能基である。さらに、モノマーa)の少なくとも2つの酸基と配位結合を形成し得る多価金属塩も、架橋剤b)として適している。
【0049】
架橋剤b)は、好ましくは、ポリマーネットワークにフリーラジカル重合され得る少なくとも2つの重合性基を有する化合物である。適切な架橋剤b)は、例えば、欧州特許出願公開第0530438号明細書に記載されるような、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン、欧州特許出願公開第0547847号明細書、欧州特許出願公開第0559476号明細書、欧州特許出願公開第0632068号明細書、国際公開第93/21237号、国際公開第2003/104299号、国際公開第2003/104300号、国際公開第2003/104301号および独国特許出願公開第10331450号明細書に記載されるようなジアクリレートおよびトリアクリレート、独国特許出願公開第10331456号明細書および独国特許出願公開第10355401号明細書に記載されるような、アクリレート基だけでなく、エチレン性不飽和基もさらに含む混合アクリレート、または例えば、独国特許出願公開第19543368号明細書、独国特許出願公開第19646484号明細書、国際公開第90/15830号および国際公開第2002/032962号に記載されるような架橋剤混合物である。
【0050】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリスリチルトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15回エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリアリルアミンである。
【0051】
非常に特に好ましい架橋剤b)は、例えば国際公開第2003/104301号に記載されるような、アクリル酸またはメタクリル酸でエステル化されてジアクリレートまたはトリアクリレートを与えるポリエトキシ化および/またはプロポキシ化グリセロールである。3~10回エトキシ化されたグリセロールのジアクリレートおよび/またはトリアクリレートが特に有利である。1~5回エトキシ化および/またはプロポキシ化されたグリセロールのジアクリレートまたはトリアクリレートが非常に特に好ましい。最も好ましいのは、3~5回エトキシ化および/またはプロポキシ化されたグリセロールのトリアクリレート、特に3回エトキシ化されたグリセロールのトリアクリレートである。
【0052】
架橋剤b)の量は、それぞれモノマーa)を基準として、好ましくは0.05~1.5重量%、より好ましくは0.1~1重量%、最も好ましくは0.2~0.6重量%である。架橋剤の含有量が増えると、遠心分離保持能力(CRC)が低下し、21.0g/cmの圧力下での吸収が最大になる。
【0053】
使用される開始剤c)は、重合条件下でフリーラジカルを生成するすべての化合物、例えば熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤であり得る。適切なレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウムおよび過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。ペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸などの熱開始剤およびレドックス開始剤の混合物を使用することが好ましい。しかしながら、使用される還元成分は、好ましくは、2-ヒドロキシ-2-スルホナト酢酸二ナトリウム、または2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸二ナトリウム、2-ヒドロキシ-2-スルホナト酢酸二ナトリウムおよび重亜硫酸ナトリウムの混合物である。このような混合物は、Brueggolite(登録商標)FF6およびBrueggolite(登録商標)FF7(Brueggemann Chemicals;ハイルブロン;独国)として入手可能である。
【0054】
酸基を有するエチレン性不飽和モノマーa)で共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0055】
使用される水溶性ポリマーe)は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、メチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどの変性セルロース、ゼラチン、ポリグリコールまたはポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体および変性セルロースであり得る。
【0056】
典型的には、モノマー水溶液が使用される。モノマー溶液の含水量は、好ましくは40~75重量%、より好ましくは45~70重量%、最も好ましくは50~65重量%である。モノマー懸濁液、すなわち過剰なモノマーa)を含むモノマー溶液、例えばアクリル酸ナトリウムを使用することも可能である。含水量が増えると、その後の乾燥で必要なエネルギーが増え、含水量が下がると、重合熱を十分に除去できなくなる。
【0057】
最適な作用のために、好ましい重合禁止剤には溶存酸素が必要である。したがって、重合前に、不活性化することによって、すなわち、不活性ガス、好ましくは窒素または二酸化炭素を流すことによってモノマー溶液から溶存酸素を除去することができる。モノマー溶液の酸素含有量は、重合前に好ましくは1重量ppm未満、より好ましくは0.5重量ppm未満、最も好ましくは0.1重量ppm未満まで低下する。
【0058】
重合反応のより良い制御のために、任意に、既知のすべてのキレート剤をモノマー溶液または懸濁液またはそれらの原料に添加することが可能である。適切なキレート剤は、例えば、リン酸、二リン酸、三リン酸、ポリリン酸、クエン酸、酒石酸、またはそれらの塩である。
【0059】
さらに適切な例は、イミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロトリプロピオン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシンおよびトランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、およびそれらの塩である。使用される量は、典型的には、モノマーa)を基準として1~30000ppm、好ましくは10~1000ppm、好ましくは20~600ppm、より好ましくは50~400ppm、最も好ましくは100~300ppmである。
【0060】
モノマー溶液または懸濁液が重合される。適切な反応器は、例えば、混練反応器またはベルト反応器である。ニーダーにおいて、モノマー水溶液または懸濁液の重合で形成されたポリマーゲルは、国際公開第2001/038402号に記載されるように、例えば二重反転撹拌シャフトによって連続的に粉砕される。ベルト上の重合は、例えば、独国特許出願公開第3825366号明細書および米国特許第6,241,928号明細書に記載されている。ベルト反応器での重合は、ポリマーゲルを形成し、これはさらなるプロセス工程、例えば押出機またはニーダーで粉砕される。
【0061】
乾燥特性を改善するために、ニーダーを使用して得られた粉砕ポリマーゲルをさらに押し出すことができる。
【0062】
しかしながら、モノマー水溶液を液滴化し、加熱されたキャリアガス流で得られた液滴を重合させることも可能である。ここでは、国際公開第2008/040715号および国際公開第2008/052971号に記載されているように、重合および乾燥のプロセス工程を組み合わせることが可能である。
【0063】
得られるポリマーゲルの酸基は、典型的には部分的に中和されている。中和は、好ましくはモノマー段階で実施される。これは典型的には固体として、または好ましくは水溶液として中和剤に混合することにより達成される。中和度は、好ましくは50~90モル%、より好ましくは60~85モル%、最も好ましくは65~80モル%であり、そのために通例の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸水素塩およびそれらの混合物も使用され得る。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することも可能である。特に好ましいアルカリ金属は、ナトリウムおよびカリウムであるが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムおよびそれらの混合物も非常に特に好ましい。
【0064】
しかしながら、重合中に形成されるポリマーゲルの段階で、重合後に中和を実施することも可能である。また、中和剤の一部をモノマー溶液に加えて、ポリマーゲルの段階で、重合後にのみ所望の最終中和度を設定することにより、重合前に、酸基の最大40モル%、好ましくは10~30モル%、より好ましくは15~25モル%を中和することも可能である。ポリマーゲルが、少なくとも部分的に重合後に中和される場合、ポリマーゲルは、好ましくは、例えば押出機を用いて機械的に粉砕され、その場合、中和剤が、噴霧、散布または注入され、その後、慎重に混合され得る。このために、得られたゲル塊を、均質化のために繰り返し押し出すことができる。
【0065】
得られたポリマーゲルは乾燥される。乾燥機は制限を受けない。しかしながら、ポリマーゲルの乾燥は、残留水分が好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~7重量%、最も好ましくは2~5重量%になるまで、好ましくはベルト乾燥機で行われ、残留水分は、EDANA推奨の試験方法番号NWSP230.0.R2(15)“Estimation of the Moisture Content as Weight Loss Upon Heating”によって測定される。残留水分が高すぎる場合、乾燥したポリマーゲルは、ガラス転移温度Tが低すぎ、さらに処理するのは困難である。残留水分が低すぎる場合、乾燥したポリマーゲルは非常に脆く、その後の粉砕工程で、過度に小さい粒径の望ましくない大量のポリマー粒子が得られる(「微粉」)。乾燥前のゲルの固形分は、好ましくは25~90重量%、より好ましくは35~70重量%、最も好ましくは40~60重量%である。しかしながら、流動床乾燥機またはパドル乾燥機も、乾燥目的のために任意に使用され得る。
【0066】
その後、乾燥したポリマーゲルは、粉砕され、分級される。粉砕に使用される装置は、典型的には、一段または多段ロールミル、好ましくは二段または三段ロールミル、ピンミル、ハンマーミルまたは振動ミルであり得る。
【0067】
製品画分として除去されるポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは少なくとも200μm、より好ましくは250~600μm、非常に特に300~500μmである。製品画分の平均粒径は、EDANA推奨の試験方法番号NWSP220.0.R2(15)“ Determination of the Particle Size Distribution by Sieve Fractionation” によって測定され、ここで、スクリーン画分の質量割合は、累積形式でプロットされ、平均粒径は、グラフィカルに測定される。ここでの平均粒径は、累積50重量%になるメッシュサイズの値である。
【0068】
少なくとも150μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%である。
【0069】
粒径が小さすぎるポリマー粒子は、例えば、生理食塩水流れ誘導性(SFC)を低下させる。したがって、過度に小さいポリマー粒子(「微粉」)の割合は、低くなければならない。
【0070】
したがって、典型的には、過度に小さいポリマー粒子は、除去され、プロセスにリサイクルされる。これは好ましくは、重合前、重合中または重合直後、すなわちポリマーゲルの乾燥前に行われる。過度に小さいポリマー粒子は、リサイクル前またはリサイクル中に水および/または水性界面活性剤で湿らせることができる。
【0071】
また、例えば表面後架橋または別のコーティング工程の後に、後のプロセス工程で過度に小さいポリマー粒子を除去することも可能である。この場合、リサイクルされた過度に小さいポリマー粒子は、表面後架橋されるか、別の方法で、例えばヒュームドシリカでコーティングされる。
【0072】
混練反応器が重合に使用される場合、過度に小さいポリマー粒子は、好ましくは重合の最後の3分の1の間に添加される。
【0073】
過度に小さいポリマー粒子が、非常に早い段階で、例えばモノマー溶液に添加されると、これにより、結果として生じる超吸収性ポリマー粒子の遠心分離保持能力(CRC)が低下する。しかしながら、これは、例えば、使用される架橋剤b)の量を調整することによって補償され得る。
【0074】
最大850μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%である。
【0075】
最大600μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%である。
【0076】
過度に大きい粒径のポリマー粒子は、自由膨潤速度を低下させる。したがって、過度に大きいポリマー粒子の割合も同様に小さくなければならない。
【0077】
したがって、典型的には、過度に大きいポリマー粒子は、除去され、乾燥されたポリマーゲルの粉砕にリサイクルされる。
【0078】
特性を改善するため、ポリマー粒子は、その後、熱で表面後架橋される。適切な表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2つの酸基と共有結合を形成できる基を含む化合物である。適切な化合物は、例えば、欧州特許出願公開第0083022号明細書、欧州特許出願公開第0543303号明細書および欧州特許出願公開第0937736号明細書に記載されるような、多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド、独国特許出願公開第3314019号明細書、独国特許出願公開第3523617号明細書および欧州特許出願公開第0450922号明細書に記載されるような二官能性または多官能性アルコール、または独国特許出願公開第10204938号明細書および米国特許第6,239,230号明細書に記載されるようなβ-ヒドロキシアルキルアミドである。
【0079】
さらに、適切な表面後架橋剤として記載されているのは、独国特許発明第4020780号明細書の環状カーボネート、独国特許出願公開第19807502号明細書の2-ヒドロキシエチル-2-オキサゾリジノンなどの2-オキサゾリジノンおよびその誘導体、独国特許発明第19807992号明細書のビス-およびポリ-2-オキサゾリジノン、独国特許出願公開第19854573号明細書の2-オキソテトラヒドロ-1,3-オキサジンおよびその誘導体、独国特許出願公開第19854574号明細書のN-アシル-2-オキサゾリジノン、独国特許出願公開第10204937号明細書の環状尿素、独国特許出願公開第10334584号明細書の二環式アミドアセタール、欧州特許出願公開第1199327号明細書のオキセタンおよび環状尿素、ならびに国際公開第2003/031482号のモルホリン-2,3-ジオンおよびその誘導体である。
【0080】
好ましい表面後架橋剤は、エチレンカーボネート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物、およびプロピレングリコールと1,4-ブタンジオールとの混合物である。
【0081】
非常に特に好ましい表面後架橋剤は、2-ヒドロキシエチルオキサゾリジン-2-オン、オキサゾリジン-2-オンおよび1,3-プロパンジオールである。
【0082】
さらに、独国特許出願公開第3713601号明細書に記載されるような、追加の重合可能なエチレン性不飽和基を含む表面後架橋剤を使用することも可能である。
【0083】
表面後架橋剤の量は、それぞれの場合にポリマー粒子を基準として、好ましくは0.001~2重量%、より好ましくは0.02~1重量%、最も好ましくは0.05~0.2重量%である。
【0084】
本発明の好ましい実施形態では、多価カチオンが、表面後架橋の前、その間またはその後に、表面後架橋剤に加えて粒子表面に適用される。
【0085】
本発明の方法で使用可能な多価カチオンは、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄およびストロンチウムのカチオンなどの二価カチオン、アルミニウム、鉄、クロム、希土類およびマンガンのカチオンなどの三価カチオン、チタンおよびジルコニウムのカチオンなどの四価カチオンである。可能な対イオンは、塩化物、臭化物、硫酸塩、硫酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、および酢酸塩や乳酸塩などのカルボン酸塩である。硫酸アルミニウムおよび乳酸アルミニウムが好ましい。金属塩とは別に、ポリアミンを多価カチオンとして使用することも可能である。
【0086】
使用される多価カチオンの量は、例えば、それぞれの場合にポリマー粒子を基準として、0.001~1.5重量%、好ましくは0.005~1重量%、さらに好ましくは0.02~0.8重量%である。
【0087】
表面後架橋は、典型的には、表面後架橋剤の溶液が乾燥したポリマー粒子に噴霧されるように実施される。噴霧塗布後、表面後架橋剤でコーティングされたポリマー粒子は、熱乾燥され、表面後架橋反応が、乾燥前または乾燥中に起こり得る。
【0088】
表面後架橋剤の溶液の噴霧塗布は、好ましくは、スクリューミキサー、ディスクミキサーおよびパドルミキサーなどの移動混合ツールを備えたミキサーで行われる。特にパドルミキサーなどの水平ミキサーが好ましく、極めて特に垂直ミキサーが好ましい。水平ミキサーと垂直ミキサーとの区別は、ミキシングシャフトの位置によってなされる、すなわち、水平ミキサーには水平に取り付けられた混合シャフトがあり、垂直ミキサーには垂直に取り付けられた混合シャフトがある。適切なミキサーは、例えば、Horizontal Pflugschar(登録商標)プラウシェアミキサー(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH;パーダーボルン;独国)、Vrieco-Nauta連続ミキサー(Hosokawa Micron BV;ドゥーティンヘム;オランダ)、Processall Mixmillミキサー(Processall Incorporated;シンシナティ;米国)およびSchugi Flexomix(登録商標)(Hosokawa Micron BV;ドゥーティンヘム;オランダ)である。しかしながら、表面後架橋剤溶液を流動床で噴霧することも可能である。
【0089】
表面後架橋剤は、典型的には、水溶液の形で使用される。表面後架橋剤のポリマー粒子への浸透深さは、非水性溶媒の含有量および溶媒の総量によって調整され得る。
【0090】
溶媒として水のみが使用される場合、界面活性剤が有利に添加される。これにより、濡れ挙動が改善され、塊を形成する傾向が低減される。しかしながら、溶媒混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3-プロパンジオール/水、およびプロピレングリコール/水を使用することが好ましく、ここで、質量に関する混合比は、好ましくは20:80~40:60である。
【0091】
熱による表面後架橋は、好ましくは接触乾燥機、より好ましくはパドル乾燥機、最も好ましくはディスク乾燥機で実施される。適切な乾燥機は、例えば、Hosokawa Bepex(登録商標)水平パドル乾燥機(Hosokawa Micron GmbH; ラインガルテン;独国)、Hosokawa Bepex(登録商標)ディスク乾燥機(Hosokawa Micron GmbH; ラインガルテン;独国)およびNaraパドル乾燥機(NARA Machinery Europe; フレッヒェン;独国)である。さらに、流動床乾燥機も使用され得る。
【0092】
熱による表面後架橋は、ジャケットを加熱するか温風を吹き込むことにより、ミキサー自体で行われ得る。同様に適しているのは、下流乾燥機、例えば、棚乾燥機、回転式チューブオーブンまたは加熱可能なスクリューである。流動床乾燥機で混合と乾燥を行うことが特に有利である。
【0093】
好ましい表面後架橋温度は、100~250℃、好ましくは120~220℃、より好ましくは130~210℃、最も好ましくは150~200℃の範囲である。反応混合機または乾燥機におけるこの温度での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、より好ましくは少なくとも20分、最も好ましくは少なくとも30分、典型的には最大60分である。
【0094】
続いて、表面後架橋されたポリマー粒子は再び分級することができ、過度に小さいおよび/または過度に大きいポリマー粒子は除去され、プロセスにリサイクルされる。
【0095】
特性をさらに改善するために、表面後架橋されたポリマー粒子をコーティングまたは再湿潤することができる。
【0096】
再湿潤は、好ましくは30~80℃、より好ましくは35~70℃、最も好ましくは40~60℃で実施される。過度に低い温度では、超吸収性ポリマー粒子は、塊を形成する傾向があり、より高い温度では、水はすでにかなりの程度まで蒸発する。再湿潤に使用される水の量は、好ましくは1~10重量%、より好ましくは2~8重量%、最も好ましくは3~5重量%である。再湿潤は、ポリマー粒子の機械的安定性を高め、それらの静電気帯電の傾向を低減する。
【0097】
自由膨潤速度および生理食塩水流れ誘導性(SFC)を改善するための適切なコーティングは、例えば、水不溶性金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマーおよび二価または多価金属カチオンなどの無機不活性物質である。ダスト結合に適したコーティングは、例えば、ポリオールである。ポリマー粒子の望ましくないケーキング傾向に対抗するための適切なコーティングは、例えば、Aerosil(登録商標)200などのヒュームドシリカ、およびSpan(登録商標)20などの界面活性剤である。
【0098】
本発明の方法により製造される超吸収性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、より好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、最も好ましくは少なくとも26g/gの遠心分離保持能力(CRC)を有する。超吸収性ポリマー粒子の遠心分離保持能力(CRC)は、典型的には60g/g未満である。遠心分離保持能力(CRC)は、EDANA推奨の試験方法番号NWSP241.0.R2(15)“Determination of the Fluid Retention Capacity in Saline Solution by Gravimetric Measurement Following Centrifugation”によって決定される。
【0099】
本発明の方法により製造された超吸収性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、より好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、最も好ましくは少なくとも26g/gの高負荷下での吸収(AUHL)を有する。超吸収性ポリマー粒子の高負荷下での吸収(AUHL)は、典型的には35g/g未満である。高負荷下での吸収(AUHL)は、EDANA推奨の試験方法番号NWSP242.0.R2(15)“Gravimetric Determination of Absorption Against Pressure”および49.2g/cmの圧力によって測定される。
【0100】
実施例
例1(比較例)
脱イオン水、50重量%の水酸化ナトリウム溶液およびアクリル酸を連続的に混合することにより、中和度が71.3モル%に相当するように、アクリル酸/アクリル酸ナトリウム溶液を調製した。モノマー溶液の固形分は、38.8重量%であった。
【0101】
使用したポリエチレン性不飽和架橋剤は、ポリエチレングリコール-400ジアクリレート(平均モル質量400g/モルのポリエチレングリコールから進行するジアクリレート)であった。使用した架橋剤の量は、モノマー溶液1t当たり2kgであった。
【0102】
フリーラジカル重合を開始するために、モノマー溶液1t当たり1.03kgの0.25重量%の過酸化水素水溶液、3.10kgの15重量%のペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液、および1.05kgの1重量%のアスコルビン酸水溶液を使用した。
【0103】
モノマー溶液のスループットは20t/hであった。反応溶液は、供給時に23.5℃の温度を有していた。モノマー溶液を、6.3mの容量のList Contikneter連続ニーダー反応器(LIST AG、アリスドルフ、スイス)で重合した。
【0104】
ポリエチレングリコール-400ジアクリレートを、モノマー溶液に連続的に添加し、続いて、過酸化水素溶液とペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液との混合物を添加する。アスコルビン酸溶液を、ニーダー反応器に別々に連続的に添加する。
【0105】
架橋剤の添加点と開始剤の添加部位との間で、モノマー溶液を窒素で不活性化した。
【0106】
約50%の滞留時間の後、粉砕およびスクリーニングによる製造プロセスから得られた微粉(1000kg/h)の反応器への計量添加を追加で行った。反応器内の反応混合物の滞留時間は15分であった。
【0107】
得られたポリマーゲルをベルト乾燥機に置いた。ベルト乾燥機上で、空気/ガス混合物がポリマーゲルの周りを連続的に流れて、これを乾燥させた。
【0108】
乾燥したポリマーゲルを粉砕し、500gのサンプルを、4つのスクリーンデッキ(1,000μm、850μm、300μm、および90μm)を備えたタイプKS1000(Retsch GmbH、ハーン、独国)のスクリーン機を使用して分級した。最上部の篩の上の圧力は、周囲圧力より低かった。最上部の篩の上の圧力は、最下部の篩の下の圧力よりも200ミリバール(篩ごとに50ミリバール)高かった。スクリーニング中、圧力差を一定に保った。スクリーニングの最後に1分間ふるい分けした後の篩上のポリマーの量を、第1表に記録する。
【0109】
90μmの篩上のポリマーと300μmの篩上のポリマーとを合わせた。90~850μmの篩カットを、EDANA推奨の試験方法番号NWSP220.0.R2(15)“Determination of the Particle Size Distribution by Sieve Fractionation”と同様に、6つのスクリーンデッキ(850μm、600μm、300μm、150μm、106μmおよび45μm)を使用して分析した。結果を第2表に記録する。
【0110】
例2(比較例)
最上部の篩の上の圧力が最下部の篩の下の圧力よりも20ミリバール(篩ごとに5ミリバール)高いことを除いて、例1を繰り返した。
【0111】
例3
最上部の篩の上の圧力が最下部の篩の下の圧力よりも8ミリバール(篩ごとに2ミリバール)高いことを除いて、例1を繰り返した。
【0112】
例4
最上部の篩の上の圧力が最下部の篩の圧力と同じであることを除いて、例1を繰り返した。
【0113】
例5(比較例)
最上部の篩の上の圧力が最下部の篩の下の圧力よりも2ミリバール(篩ごとに0.5ミリバール)低いことを除いて、例1を繰り返した。
【表1】
【表2】