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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】管接続工法および管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/028 20060101AFI20230531BHJP
   F16L 55/10 20060101ALI20230531BHJP
   F16L 41/16 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
F16L1/028 B
F16L55/10
F16L41/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019039252
(22)【出願日】2019-03-05
(65)【公開番号】P2020143705
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 光義
(72)【発明者】
【氏名】我妻 佑哉
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晋一
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-115296(JP,A)
【文献】特開2011-133075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/028
F16L 55/10
F16L 41/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管に第2の管を接続するための管接続工法であって、
互いに異なる方向に開口する第1開口部と第2開口部と第3開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部と前記第3開口部とを互いに連通させる連通部と、を有する管継手を準備する工程と、
前記第1の管の端部を切断して、前記第1の管の内部に予め配置されて前記第1の管を閉塞する管閉塞具の一部を露出させる工程と、
前記第1の管の切断後の端部と前記第1開口部とを接続する工程と、
前記第2の管と前記第3開口部とを接続する工程と、
前記第1の管の内部に配置されている前記管閉塞具を、前記第2開口部を介して引っ張ることにより、前記第1の管の内部から移動させて、前記第1開口部と前記第3開口部とを連通させる工程と、
前記第2開口部を塞ぐ工程と、
を備える、
管接続工法。
【請求項2】
請求項1に記載の管接続工法において、
前記管継手を準備する工程は、前記連通部と前記第2開口部との間に位置して前記管閉塞具を収容可能な収容部をさらに有する前記管継手を準備する工程を含み、
前記第1開口部と前記第3開口部とを連通させる工程は、前記管閉塞具を前記第1の管の内部から前記収容部へと移動させる工程を含み、
前記第2開口部を塞ぐ工程は、前記管閉塞具を前記収容部に残した状態で前記第2開口部を塞ぐ工程である、
管接続工法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の管接続工法において、
前記管継手を準備する工程は、前記第1開口部の開口方向と反対方向に開口する前記第2開口部と、前記開口方向と交差する方向に開口する前記第3開口部と、を有する前記管継手を準備する工程を含む、
管接続工法。
【請求項4】
第1の管に第2の管を接続するために用いられる管継手であって、
前記第1の管に接続可能な第1開口部と、
前記第1開口部と異なる方向に開口する第2開口部と、
前記第1開口部および前記第2開口部と異なる方向に開口し、前記第2の管に接続可能な第3開口部と、
前記第1開口部と前記第2開口部と前記第3開口部とを互いに連通させる連通部と、
前記連通部と前記第2開口部との間に位置し、前記第1の管の内部に予め配置されて前記第1の管を閉塞する管閉塞具を収容可能な収容部と、
を有し、
前記管閉塞具は、取手部材と、前記第1の管の内側面と接触して前記第1の管を閉塞可能な弾性を有するシール部材と、を有し、
前記取手部材は、前記収容部に収容された前記管閉塞具を前記第2開口部から引っ張られることが可能に構成され、
前記収容部の内径は、前記管閉塞具の前記シール部材の径よりも小さい、
管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管接続工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地中に埋められるガス管等の管として、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂製の管が用いられている。既設の管の下流側に新たな管を接続する際には、例えば特許文献1および2に示すように、いわゆるスクイズオフ工法が用いられることがある。スクイズオフ工法では、一時的に管を潰して、ガス等の流体を遮断したスクイズオフの状態で新たな管の下流側の工事を行ない、かかる工事の完了後にスクイズオフを解除する。
【0003】
図9は、特許文献1における管接続工法の概要を説明するための断面模式図である。特許文献1における管接続工法では、民地側の地中を掘削しておき、公道側に埋設された供給管14の下流側端部15を切断して、供給管14の内部に予め配置されている管閉塞具20の一部を露出させ、管閉塞具20の係合孔24に図示しない紐部材を結びつけておく。切断後の下流側端部15と、新設管である灯外内管160とを、継手部材111を用いて接続する。係合孔24に結びつけられた紐部材を、白抜きの矢印で示す方向に引っ張ることにより、管閉塞具20を灯外内管160の内部へと移動させる。その後、黒塗りの矢印で示すように、移動後の管閉塞具20の位置よりも上流側において、図示しないスクイズオフ工具を用いて灯外内管160を一時的に潰す(スクイズオフ)。これにより、スクイズオフの位置よりも下流側へのガスの供給が遮断される。スクイズオフの状態で紐部材をさらに引っ張ることにより、管閉塞具20を灯外内管160の内部から除去する。灯外内管160の下流側端部162と下流側灯外内管163とを、継手部材112を用いて接続するとともに、下流側灯外内管163よりも更に下流側の管の接続作業を実行する。全ての管の接続作業が完了した後に、スクイズオフを解除し、スクイズオフ箇所に対して矯正や補強を行なう。以上により、管の接続が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-248904号公報
【文献】特開2008-281070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1における管接続工法では、スクイズオフ工法を含むため、スクイズオフ工法を行なうための作業スペースを確保する必要がある。より具体的には、灯外内管160の両端部の変形を抑制しつつ灯外内管160の中央部を潰すために、灯外内管160として十分な長さが要求され、かかる灯外内管160を配置できるスペースを確保する必要がある。このため、民地側地中92の比較的広い範囲を予め掘削しておく必要がある。例えば、灯外内管160の外径に対して8~10倍程度の長さを有する灯外内管160を配置できるスペースを掘削しておく必要がある。しかしながら、掘削可能なスペースが限られる状況では、広い作業スペースを確保することが困難な場合がある。このため、スクイズオフ工法を省略可能な管接続工法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
[形態1] 第1の管に第2の管を接続するために用いられる管継手であって、前記第1の管に接続可能な第1開口部と、前記第1開口部と異なる方向に開口する第2開口部と、前記第1開口部および前記第2開口部と異なる方向に開口し、前記第2の管に接続可能な第3開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部と前記第3開口部とを互いに連通させる連通部と、前記連通部と前記第2開口部との間に位置し、前記第1の管の内部に予め配置されて前記第1の管を閉塞する管閉塞具を収容可能な収容部と、を有し、前記管閉塞具は、取手部材と、前記第1の管の内側面と接触して前記第1の管を閉塞可能な弾性を有するシール部材と、を有し、前記取手部材は、前記収容部に収容された前記管閉塞具を前記第2開口部から引っ張られることが可能に構成され、前記収容部の内径は、前記管閉塞具の前記シール部の径よりも小さい、管継手。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、管接続工法が提供される。この管接続工法は、第1の管に第2の管を接続するための管接続工法であって;互いに異なる方向に開口する第1開口部と第2開口部と第3開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部と前記第3開口部とを互いに連通させる連通部と、を有する管継手を準備する工程と;前記第1の管の端部を切断して、前記第1の管の内部に予め配置されて前記第1の管を閉塞する管閉塞具の一部を露出させる工程と;前記第1の管の切断後の端部と前記第1開口部とを接続する工程と;前記第2の管と前記第3開口部とを接続する工程と;前記第1の管の内部に配置されている前記管閉塞具を、前記第2開口部を介して引っ張ることにより、前記第1の管の内部から移動させて、前記第1開口部と前記第3開口部とを連通させる工程と;前記第2開口部を塞ぐ工程と;を備える。この形態の管接続工法によれば、第1の管の切断後の端部と第1開口部とを接続する工程と、第2の管の端部と第3開口部とを接続する工程と、管閉塞具を第1の管の内部から移動させて第1開口部と第3開口部とを連通させる工程とを備えるので、スクイズオフ工法を省略して第1の管と第2の管とを接続できる。
【0008】
(2)上記形態の管接続工法において、前記管継手を準備する工程は、前記連通部と前記第2開口部との間に位置して前記管閉塞具を収容可能な収容部をさらに有する前記管継手を準備する工程を含み;前記第1開口部と前記第3開口部とを連通させる工程は、前記管閉塞具を前記第1の管の内部から前記収容部へと移動させる工程を含み;前記第2開口部を塞ぐ工程は、前記管閉塞具を前記収容部に残した状態で前記第2開口部を塞ぐ工程であってもよい。この形態の管接続工法によれば、収容部を有する管継手を用い、管閉塞具を収容部に残した状態で第2開口部を塞ぐので、管閉塞具の除去作業を省略でき、収容部から管閉塞具を除去する際に、管の内部を流れるガス等の流体が漏洩することを抑制できる。
【0009】
(3)上記形態の管接続工法において、前記管継手を準備する工程は、前記第1開口部の開口方向と反対方向に開口する前記第2開口部と、前記開口方向と交差する方向に開口する前記第3開口部と、を有する前記管継手を準備する工程を含んでいてもよい。この形態の管接続工法によれば、第1開口部の開口方向と反対方向に開口する第2開口部を有する管継手を用いるので、管閉塞具を第1の管の内部から直線的に移動させることができる。このため、管閉塞具をスムーズに移動させることができるので、かかる移動の際に、管の内部を流れるガス等の流体が漏洩することを抑制できる。
【0010】
(4)本発明の他の形態によれば、管継手が提供される。この管継手は、第1の管に第2の管を接続するために用いられる管継手であって;前記第1の管に接続可能な第1開口部と;前記第1開口部と異なる方向に開口する第2開口部と;前記第1開口部および前記第2開口部と異なる方向に開口し、前記第2の管に接続可能な第3開口部と;前記第1開口部と前記第2開口部と前記第3開口部とを互いに連通させる連通部と;前記連通部と前記第2開口部との間に位置し、前記第1の管の内部に予め配置されて前記第1の管を閉塞する管閉塞具を収容可能な収容部と;を有する。この形態の管継手によれば、第1の管に接続可能な第1開口部と、第1開口部と異なる方向に開口する第2開口部と、第1開口部および第2開口部と異なる方向に開口して第2の管に接続可能な第3開口部と、第1開口部と第2開口部と第3開口部とを互いに連通させる連通部と、連通部と第2開口部との間に位置して管閉塞具を収容可能な収容部とを有するので、スクイズオフ工法を省略して第1の管と第2の管とを接続できる。
【0011】
本発明は、管接続工法および管継手以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、管接続構造体、管を接続するための管継手セット等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態としての管接続工法を適用する、既設管を説明するための断面模式図である。
図2】管接続工法で用いられる管継手の一例である管継手の概略構成を示す断面図である。
図3】管接続工法の手順を示す工程図である。
図4】工程P120完了後の状態を示す断面模式図である。
図5】工程P140完了後の状態を示す断面模式図である。
図6】工程P150完了後の状態を示す断面模式図である。
図7】工程P160完了後の状態を示す断面模式図である。
図8】他の実施形態1における管継手の概略構成を示す断面図である。
図9】従来技術における管接続工法の概要を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.実施形態:
A-1.既設管の構成:
図1は、本発明の一実施形態としての管接続工法を適用する、既設管10を説明するための断面模式図である。図1は、供給管14の軸線X1を含む断面において鉛直方向に沿って既設管10を切断した断面を示している。既設管10は、都市ガス等のガスを供給するための管として、地境線L1よりも公道側の地中(以下、「公道側地中91」とも呼ぶ)に予め埋められている。図1では、公道側地中91が掘削されて、既設管10が敷設された状態を示している。なお、地境線L1に沿った公道側には、境界ブロック90が敷設されている。既設管10のうち、後述する供給管14の下流側端部15は、地境線L1よりも民地側の地中(以下、「民地側地中92」とも呼ぶ)に差し込まれて埋められている。
【0014】
既設管10は、本支管11と、分岐継手12と、供給管14とを備える。本支管11は、道路に沿って配置されている。本支管11は、ガスの供給元である上流側から、ガスの供給先である下流側へと、ガスを供給する流路として機能する。上流側としては、例えば都市ガス製造所等が該当する。下流側としては、例えば家庭や企業等が該当する。分岐継手12は、本支管11に接続されて、本支管11の流路を分岐させる。本実施形態において、分岐継手12は、サドル継手とエルボとにより構成されている。サドル継手は、本支管11との融着部を構成するサドル部を含み、本支管11の口径よりも小さい口径となるように流路を分岐させる。エルボは、略L字型の概観形状を有し、両端に接続される管の軸を略90°曲げる機能を有する。供給管14は、分岐継手12の下流側に接続されている。供給管14は、略円筒状の外観形状を有する。供給管14の軸線X1は、本支管11と略直交している。供給管14の下流側端部15は、民地側地中92に差し込まれている。図1に示す状態において、供給管14の下流側端部15は、塞がれている。後述するように、民地側の新設管を供給管14に接続する際には、供給管14の下流側端部15が切断されて開口状態となる。本実施形態において、供給管14の下流側端部15は、ドーム状の部材が熱融着されることにより塞がれている。なお、供給管14の下流側端部15は、キャップ等の継手部材が熱融着されることにより塞がれていてもよく、予め塞がれた形状に成形されていてもよい。
【0015】
本実施形態において、本支管11、分岐継手12および供給管14は、熱可塑性樹脂によりそれぞれ形成されている。都市ガスや上水を供給するための埋設配管においては、熱可塑性樹脂として、例えばポリエチレン等が使用される。また、本支管11と分岐継手12、および、分岐継手12と供給管14は、分岐継手12が備える電熱線に通電することによって加熱されて、それぞれ互いに融着されている。
【0016】
供給管14の内部には、管閉塞具20が予め配置されている。管閉塞具20は、供給管14を閉塞している。「管閉塞具20による供給管14の閉塞」とは、供給管14の内部を上流側から下流側へと流れるガスが、管閉塞具20により遮断されることを意味する。管閉塞具20は、図1に示す状態において、供給管14の下流側端部15により覆われているので、民地側地中92に露出していない。管閉塞具20は、シール部材21と取手部材23とを有する。
【0017】
シール部材21は、上流側が開口した略球殻状の外観形状を有する。シール部材21は、自身の径が最大となるシール部22において供給管14の内側面と接触し、供給管14を閉塞する。シール部材21は、弾性を有する材料により形成されている。本実施形態において、シール部材21は、二トリルゴムにより形成されているが、クロロプレンゴム等の、耐ガス透過性を有する任意の弾性材料により形成されていてもよい。シール部材21は、供給管14の内部においてガスの圧力が掛かることにより拡径する。このため、シール部22と供給管14の内側面との接触面圧が上昇し、管閉塞具20が下流側へと移動することが抑制される。
【0018】
取手部材23は、略棒状の外観形状を有し、軸線X1に沿って配置されている。取手部材23の上流端は、シール部材21に接続されている。取手部材23の下流側の端部には、係合孔24が形成されている。係合孔24は、後述するように、管閉塞具20を下流側へと移動させるために利用される。本実施形態において、取手部材23は、ポリアセタールにより形成されているが、他の任意の樹脂材料や、金属材料により形成されていてもよい。また、二トリルゴム等により、シール部材21と一体成形されていてもよい。
【0019】
図1に示す状態において、供給管14は、下流側端部15よりも上流側において管閉塞具20によって閉塞されている。したがって、図1に示す状態の後、供給管14の下流側端部15を切断して民地側に新たな管を接続する際には、管閉塞具20によって供給管14を閉塞した状態のまま工事を行なうことができる。
【0020】
A-2.管継手の構成:
図2は、管接続工法で用いられる管継手の一例である管継手30の概略構成を示す断面図である。管継手30は、T字継手40と短管50とにより構成されている。
【0021】
T字継手40は、2つの略円筒状の管を直交させた略T字型の外観形状を有する。T字継手40には、軸線X1を中心軸とする主流路41と、軸線X2を中心軸とする分岐流路42とが形成されている。主流路41と分岐流路42とは、直交している。T字継手40の主流路41を構成する管の両端部には、熱融着の際に利用される図示しない電熱線が埋め込まれている。短管50は、軸線X1を中心軸とする略円筒状の外観形状を有する。短管50は、T字継手40の主流路41に接続されて、主流路41を延長している。T字継手40と短管50とは、熱可塑性樹脂によりそれぞれ形成され、T字継手40が備える電熱線に通電することによって互いに熱融着されている。本実施形態において、T字継手40と短管50とは、ポリエチレンにより形成されているが、他の任意の熱可塑性樹脂により形成されてもよい。
【0022】
管継手30は、第1開口部31と、第2開口部32と、第3開口部33と、連通部34と、収容部35とを備える。第1開口部31は、主流路41の一端に形成され、軸線X1に沿った開口方向D1に開口している。第2開口部32は、主流路41の他端に形成され、第1開口部31の開口方向D1と反対方向に開口している。第3開口部33は、分岐流路42の末端に形成され、第1開口部31の開口方向D1と直交する方向に開口している。連通部34は、主流路41と分岐流路42との交点に位置する空間であり、第1開口部31、第2開口部32および第3開口部33を互いに連通させる。収容部35は、連通部34と第2開口部32との間に位置する。収容部35は、管閉塞具20を収容可能に構成されている。本実施形態において、収容部35は、短管50の内部空間により構成されている。短管50内径、すなわち収容部35の内径は、管閉塞具20のシール部22の径よりも小さい。これにより、管閉塞具20が収容部35に収容された場合に、収容部35の内部で管閉塞具20が脱落することが抑制される。本実施形態において、管継手30の軸線X1に沿った長さは、主流路41を構成する管の外径に対して3~4倍程度の長さであるが、3倍未満の長さであってもよく、4倍を超える長さであってもよい。
【0023】
A-3.管接続工法:
図3は、管接続工法の手順を示す工程図である。本実施形態の管接続工法では、管継手30を用いることにより、図1に示す既設管10の供給管14(第1の管)に、民地側の新設管(第2の管)を接続する。このため、管接続工法の開始時には、図1とは異なり、民地側地中92が掘削されて、供給管14の下流側端部15のみが露出した状態となっている。
【0024】
図3に示すように、管継手30を準備する(工程P110)。工程P110で準備する管継手30の構成は、上述の通りであるため、その詳細な説明を省略する。供給管14の下流側端部15を切断して管閉塞具20の一部を露出させる(工程P120)。
【0025】
図4は、工程P120完了後の状態を示す断面模式図である。工程P120によって、管閉塞具20のうち係合孔24を含む取手部材23の下流側の端部は、露出した状態となっている。また、切断後の供給管14の下流側端部15は、開口した状態となっている。ここで、供給管14の内部のガス圧は、比較的低い。このため、管閉塞具20は、下流側の端部が露出した状態となっても、シール部22において供給管14の内側面と接触したまま移動せずに、供給管14を閉塞している。本実施形態では、工程P120の完了後、係合孔24に図示しない紐部材を結びつけておく。紐部材は、後述する工程P150において、管閉塞具20を移動させるために利用される。
【0026】
図3に示すように、供給管14の切断後の下流側端部15と、管継手30の第1開口部31とを接続する(工程P130)。灯外内管60と、管継手30の第3開口部33とを接続する(工程P140)。なお、灯外内管60は、民地側地中92に埋められている管であり、管継手30と接続される側とは反対側の端部は、図示しないガスメータに接続されている。
【0027】
図5は、工程P140完了後の状態を示す断面模式図である。工程P130によって、取手部材23は、管継手30の主流路41に位置している。図5では、説明の便宜上、軸線X2が鉛直方向と一致して第3開口部33が鉛直上方となるように図示しているが、例えば軸線X2が水平方向と一致するように配置されてもよい。
【0028】
図5に示す状態において、供給管14は、管閉塞具20により閉塞されている。このため、本支管11から供給されるガスは、管閉塞具20により遮断されている。したがって、ガスが遮断された状態で、供給管14と管継手30との接続作業、および、灯外内管60と管継手30との接続作業を実行できるとともに、灯外内管60よりも更に下流側の管の接続作業を実行できる。本実施形態では、工程P140において、灯外内管60の上流側の端部が、同径の管を接続する継手部材61を介して管継手30の第3開口部33と接続される。なお、継手部材61に代えて、例えばエルボ等の他の任意の継手部材を介して接続されてもよい。また、灯外内管60の上流側の端部が、予め継手部材と一体化された構造を有することにより、管継手30の第3開口部33と接続されてもよい。本実施形態において、灯外内管60は、熱可塑性樹脂により形成されている。供給管14と管継手30とは、管継手30が備える電熱線に通電することによって、互いに熱融着されて接続される。灯外内管60と管継手30とは、継手部材61が備える電熱線に通電することによって、互いに熱融着されて接続される。
【0029】
図3に示すように、供給管14の内部に配置されている管閉塞具20を、第2開口部32を介して引っ張ることにより、供給管14の内部から収容部35へと移動させて、管継手30の第1開口部31と第3開口部33とを連通させる(工程P150)。
【0030】
図6は、工程P150完了後の状態を示す断面模式図である。本実施形態では、工程P150において、係合孔24に結びつけられた紐部材を第2開口部32側から引っ張る。これにより、白抜きの矢印で示すように、管閉塞具20を軸線X1に沿って収容部35へと移動させる。上述のように、管閉塞具20のシール部材は、略球殻状の外観形状を有し、弾性材料により形成されている。このため、取手部材23を第2開口部32側から引っ張ることにより、シール部材21が引っ張り方向に引き伸ばされて径方向に縮径される。したがって、シール部22と供給管14の内側面との接触面圧が低下し、管閉塞具20を下流側の収容部35へと容易に移動させることができる。
【0031】
管閉塞具20が収容部35に収容されることにより、供給管14の内部の閉塞が解除されて、第1開口部31と第3開口部33とが連通する。したがって、本支管11から供給されるガスは、供給管14および管継手30の連通部34を介して灯外内管60へと流れることとなる。
【0032】
収容部35に収容された管閉塞具20は、シール部材21のシール部22において収容部35の内側面と接触し、収容部35を閉塞する。このため、管閉塞具20は、工程P150完了後の状態において、本支管11から供給されるガスが第2開口部32から漏洩することを抑制する。
【0033】
図3に示すように、第2開口部32を塞ぐ(工程P160)。
【0034】
図7は、工程P160完了後の状態を示す断面模式図である。本実施形態では、工程P160において、管閉塞具20を収容部35に残した状態で、第2開口部32をキャップ部材70で塞ぐ。本実施形態において、キャップ部材70は、熱可塑性樹脂により形成されている。このため、第2開口部32をキャップ部材70で覆い、キャップ部材70が備える電熱線に通電することによって、第2開口部32とキャップ部材70とを互いに熱融着できる。以上により、管の接続が完了し、既設管10の供給管14に灯外内管60が接続される。その後、管継手30や灯外内管60は、土砂等の充填によって民地側地中92に埋められた状態となる。
【0035】
本実施形態において、供給管14は、課題を解決するための手段における第1の管の下位概念に相当し、供給管14の下流側端部15は、課題を解決するための手段における第1の管の端部の下位概念に相当する。また、灯外内管60は、課題を解決するための手段における第2の管の下位概念に相当する。
【0036】
以上説明した本実施形態の管接続工法によれば、供給管14の下流側端部15と管継手30の第1開口部31とを接続し、灯外内管60と管継手30の第3開口部33とを接続し、管閉塞具20を供給管14の内部から管継手30の収容部35へと移動させて第1開口部31と第3開口部33とを連通させることにより、供給管14と灯外内管60とを接続できる。このため、いわゆるスクイズオフ工法を省略できる。スクイズオフ工法とは、専用のスクイズオフ工具を用いて一時的に管を潰してガスを遮断する工法である。
【0037】
また、スクイズオフ工法を省略できるので、スクイズオフ工法を行なうための作業スペースを省略でき、民地側地中92の掘削範囲の増大を抑制できる。
【0038】
ここで、スクイズオフ工法を行なう場合には、管の端部の変形を抑制しつつ管の中央部を潰すために、十分な長さを有する管を配置する必要がある。例えば、管の外径に対して8~10倍程度の長さを有する管を配置する必要がある。このため、スクイズオフ工法を行なう場合には、民地側地中92の比較的広い範囲を予め掘削しておく必要がある。
【0039】
しかしながら、本実施形態の管接続工法で用いられる管継手30の軸線X1に沿った長さは、主流路41を構成する管の外径に対して3~4倍程度の長さである。したがって、民地側地中92の掘削範囲の増大を抑制できる。また、掘削範囲を比較的狭くできるので、例えば、密接して民家が建設されている場合や生垣等の存在により、掘削可能なスペースが限られる状況においても、管の接続を行なうことができる。
【0040】
また、スクイズオフ工具の準備を省略でき、スクイズオフ工法における煩雑な作業を省略できる。このため、簡易な方法により管を接続でき、管の接続に要する時間が増大することを抑制できる。
【0041】
また、スクイズオフ工法を省略できるので、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂に代えて金属等により形成された管に対しても、本実施形態の管接続工法を適用できる。このため、例えば雨天時等の、熱融着が困難である場合においても、金属製の管を用いてメカニカル接合等により配管工事を実行できる。
【0042】
また、供給管14の内部に配置された管閉塞具20によって、本支管11から供給されるガスが遮断された状態で、供給管14と管継手30との接続作業および灯外内管60と管継手30との接続作業を実行できる。このため、管の接続作業中にガスが漏洩することを抑制できる。また、管継手30の第2開口部32が第1開口部31の開口方向D1と反対方向に開口しているので、管閉塞具20を供給管14の内部から収容部35へと軸線X1に沿って直線的に移動させることができる。このため、管閉塞具20をスムーズに移動させることができるので、かかる移動の際にガスが漏洩することを抑制できる。また、管継手30の第2開口部32が第1開口部31の開口方向D1と反対方向に開口しているので、第2開口部32側から管閉塞具20を引っ張ることによって管閉塞具20を収容部35へと容易に移動でき、簡易な方法で第1開口部31と第3開口部33とを連通できる。また、第2開口部32を塞ぐので、管の接続作業完了後にガスが漏洩することを抑制できる。また、管閉塞具20が収容部35を有するので、管閉塞具20を収容部35に残した状態で第2開口部32を塞ぐことができ、管閉塞具20の除去作業を省略でき、収容部35から管閉塞具20を除去する際にガスが漏洩することを抑制できる。
【0043】
また、管継手30がT字継手40と短管50とにより構成されているので、管継手30のために専用の部材を準備することを省略できる。このため、簡易な方法により管を接続でき、管継手30に要するコストを低減できる。
【0044】
また、本実施形態の管接続工法によれば、灯外内管60の接続作業時における、公道側地中91の掘削作業を省略できる。このため、土地の所有区分を跨がずに管の接続を行なうことができる。したがって、配管工事の作業計画の自由度が低下することを抑制でき、掘削に要する時間とコストとが増大することを抑制できる。
【0045】
B.他の実施形態:
(1)図8は、他の実施形態1における管継手30aの概略構成を示す断面図である。上記実施形態の管接続工法で用いられる管継手30の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、上記実施形態における管継手30は、T字継手40と短管50とにより構成されていたが、図8に示すように、管継手30aが単一の部材で構成される態様であってもよい。かかる態様においては、主流路41において、連通部34と第2開口部32との間に位置する収容部35aが予め形成されていてもよい。すなわち一般には、第1の管に接続可能な第1開口部31と、第1開口部31と異なる方向に開口する第2開口部32と、第1開口部31および第2開口部32と異なる方向に開口し、第2の管に接続可能な第3開口部33と、連通部34と第2開口部32との間に位置し、第1の管の内部に予め配置されて第1の管を閉塞する管閉塞具20を収容可能な収容部35、35aと、を有する管継手30、30aを用いて管の接続を行なってもよい。かかる構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
【0046】
(2)上記実施形態の管継手30は、T字継手40と短管50とにより構成されていたが、例えば、T字継手40に代えて十字継手を用い、十字継手における分岐流路42の2つの端部のうちの一方が、キャップ等により閉塞されていてもよい。また、例えば、Y字継手と短管50とにより構成されていてもよく、主流路41と分岐流路42とが直交に限らず交差していてもよい。すなわち、第3開口部33が、開口方向D1と交差する方向に開口していてもよい。また、例えば、上記実施形態の管継手30の第2開口部32は、第1開口部31の開口方向D1と反対方向に開口していたが、開口方向D1の反対方向に限らず、開口方向D1に対して斜めに交差する方向等、開口方向D1と異なる他の任意の方向に開口していてもよい。また、例えば、第2開口部32を介して管閉塞具20を引っ張って収容部35へと移動可能な構成において、第2開口部32が開口方向D1と交差する方向に開口していてもよく、第3開口部33が開口方向D1と反対方向に開口していてもよい。また、例えば、第2開口部32は、紐部材を通すことが可能な程度の比較的小さな穴により構成されていてもよい。すなわち一般には、互いに異なる方向に開口する第1開口部31と第2開口部32と第3開口部33とを有する管継手30を、管接続工法に用いてもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
【0047】
(3)上記実施形態の管継手30は、収容部35を備えていたが、収容部35が省略された態様であってもよい。かかる態様においては、工程P150において、管閉塞具20を供給管14の内部から管継手30の外部へと移動させて、管継手30の第1開口部31と第3開口部33とを連通させてもよい。すなわち一般には、第1開口部31と第3開口部33とを連通させる工程は、第1の管の内部に配置されている管閉塞具20を、第2開口部32を介して引っ張ることにより、第1の管の内部から移動させる工程であってもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
【0048】
(4)上記実施形態の管接続工法における管閉塞具20の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、取手部材23は、略棒状に代えて突起状等の、管閉塞具20を下流側へと引っ張ることが可能な任意の形状であってもよい。また、例えば、係合孔24に代えてフック等の、紐部材を係合可能な任意の係合構造を有していてもよく、係合構造を省略した態様であってもよい。かかる態様においては、工程P150において、例えば第2開口部32から作業者が手を挿入して管閉塞具20を引っ張ってもよい。また、例えば、シール部材21と取手部材23とを有する管閉塞具20に代えて、供給管14の内部に予め配置されて供給管14を閉塞可能な、他の任意の構成を有する管閉塞具であってもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
【0049】
(5)上記実施形態の管接続工法の手順は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、工程P120が工程P110よりも前に実行されてもよく、工程P140が工程P120よりも前に実行されてもよく、工程P130よりも前に実行されてもよい。また、例えば、上記実施形態では、紐部材を用いて管閉塞具20を移動させていたが、紐部材に代えて棒状の治具等を用いて引っ張ってもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
【0050】
(6)上記実施形態の管接続工法における、第2開口部32を塞ぐ工程(工程P160)は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、第2開口部32を覆うキャップ部材70に代えて、栓(プラグ)状の部材を用いて第2開口部32を塞いでもよい。また、例えば、管閉塞具20を収容部35から除去した後に、第2開口部32を塞ぐ態様であってもよい。かかる態様においては、ガスの漏洩を抑制するために、管閉塞具20の除去直後に第2開口部32を塞ぐことが望ましい。また、例えば、第2開口部32を比較的小さな穴で構成し、工程P150において管閉塞具20を収容部35に移動させる際に、取手部材23が第2開口部32を塞ぐ態様であってもよい。かかる態様においては、工程P150と工程P160とが同時に実行される。このような構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
【0051】
(7)上記実施形態において、既設管10、管継手30、灯外内管60およびキャップ部材70は、いずれも熱可塑性樹脂により形成されていたが、熱可塑性樹脂に代えて金属等の、耐ガス透過性を有する任意の材料により形成されていてもよい。また、上記実施形態において、既設管10、管継手30、灯外内管60およびキャップ部材70は、それぞれ互いに熱融着されていたが、メカニカル接合等の任意の接続方法により互いに接続されてもよい。また、上記実施形態では、公道側地中91に埋められた既設管10に、民地側地中92に位置する灯外内管60を接続していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、民地内における管同士の接続に、本発明を適用してもよい。また、都市ガス等のガスに代えて、上水等の任意の流体を供給するための管の接続に、本発明を適用してもよい。
【0052】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行なうことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10…既設管、11…本支管、12…分岐継手、14…供給管、15…下流側端部、20…管閉塞具、21…シール部材、22…シール部、23…取手部材、24…係合孔、30、30a…管継手、31…第1開口部、32…第2開口部、33…第3開口部、34…連通部、35、35a…収容部、40…T字継手、41…主流路、42…分岐流路、50…短管、60…灯外内管、61…継手部材、70…キャップ部材、90…境界ブロック、91…公道側地中、92…民地側地中、111、112…継手部材、160…灯外内管、162…下流側端部、163…下流側灯外内管、D1…開口方向、L1…地境線、X1、X2…軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9