(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】半導体レーザモジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02251 20210101AFI20230531BHJP
【FI】
H01S5/02251
(21)【出願番号】P 2020500570
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2019005457
(87)【国際公開番号】W WO2019160066
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2018024398
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 悠介
(72)【発明者】
【氏名】有賀 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】山岡 一樹
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-239079(JP,A)
【文献】特開2002-343982(JP,A)
【文献】特開2014-019726(JP,A)
【文献】特開2005-099166(JP,A)
【文献】実開平02-100213(JP,U)
【文献】特開平07-104153(JP,A)
【文献】特開2010-073774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ内に複数の光学部品が収容された半導体レーザモジュールであって、
前記パッケージ内の一端側に向けてレーザ光を出射する半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子が前記レーザ光を出射する出射方向と逆方向の前記パッケージ内における他端側に前記レーザ光が入射する入射端が設けられた光ファイバと、
前記レーザ光を前記半導体レーザ素子が出射する出射方向と逆方向の前記パッケージの前記他端側に向けて折り返して前記光ファイバの前記入射端へ出力する折り返し部と、
を備え、
前記折り返し部は、
前記レーザ光を反射する第1の反射部材と、
前記半導体レーザ素子が出射する前記レーザ光をコリメートして前記第1の反射部材へ出射するコリメートレンズと、
前記第1の反射部材が反射した前記レーザ光を前記光ファイバの前記入射端へ反射する第2の反射部材と、
前記第2の反射部材が反射した前記レーザ光を集光して前記光ファイバの前記入射端へ集光する集光レンズと、
前記第1の反射部材と前記第2の反射部材との間に配置された光アイソレータと、
を有することを特徴とする半導体レーザモジュール。
【請求項2】
前記光アイソレータによる前記レーザ光の光軸シフト方向と前記集光レンズによる前記レーザ光の屈折方向とが互いに逆であることを特徴とする請求項
1に記載の半導体レーザモジュール。
【請求項3】
前記半導体レーザ素子が前記レーザ光を出射する出射端と逆方向の他端側に設けられ、前記レーザ光の波長を検出するための波長検出用素子をさらに備えることを特徴とする請求項1
または2に記載の半導体レーザモジュール。
【請求項4】
前記光ファイバは、前記パッケージ内に挿入されて設けられていることを特徴とする請求項1~
3のいずれか一つに記載の半導体レーザモジュール。
【請求項5】
前記光ファイバは、前記パッケージの短手方向の中心から、前記パッケージの短手方向の一方の側壁側にシフトして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体レーザモジュールは、半導体レーザ素子等の複数の光学部品がパッケージ内に収容された構成を有することが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体レーザモジュールでは、光学部品の数が増加するにしたがって、パッケージが長手方向において大型化する一方、パッケージサイズを小さくするという相反する要求があり問題点となっている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、パッケージにおける長手方向の小型化を図ることができる半導体レーザモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る半導体レーザモジュールは、パッケージ内に複数の光学部品が収容された半導体レーザモジュールであって、前記パッケージ内の一端側に向けてレーザ光を出射する半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子が前記レーザ光を出射する出射方向と逆方向の前記パッケージ内における他端側に前記レーザ光が入射する入射端が設けられた光ファイバと、前記レーザ光を前記半導体レーザ素子が出射する出射方向と逆方向の前記パッケージの前記他端側に向けて折り返して前記光ファイバの前記入射端へ出力する折り返し部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記折り返し部は、1つ以上の反射部材を有することを特徴とする。
【0008】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記折り返し部は、前記半導体レーザ素子が出射する前記レーザ光をコリメートして前記反射部材へ出射するコリメートレンズと、前記反射部材が反射した前記レーザ光を集光して前記光ファイバの前記入射端へ集光する集光レンズと、をさらに有することを特徴とする。
【0009】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記折り返し部は、前記反射部材と前記集光レンズとの間に配置された光アイソレータをさらに有することを特徴とする。
【0010】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記光アイソレータによる前記レーザ光の光軸シフト方向と前記集光レンズによる前記レーザ光の屈折方向とが互いに逆であることを特徴とする。
【0011】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記半導体レーザ素子が前記レーザ光を出射する出射端と逆方向の他端側に設けられ、前記レーザ光の波長を検出するための波長検出用素子をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記光ファイバは、前記パッケージ内に挿入されて設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記レーザ光を受光し、該受光した前記レーザ光のパワーを検出するパワーモニタをさらに備え、前記折り返し部は、前記レーザ光の一部を透過するとともに、残りの前記レーザ光を反射する反射部材を有し、前記パワーモニタは、前記反射部材を透過した前記レーザ光が通過する位置に受光面を向けて配置されることを特徴とする。
【0014】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記レーザ光を受光し、該受光した前記レーザ光のパワーを検出するパワーモニタをさらに備え、前記折り返し部は、前記レーザ光を反射する第1の反射部材と、前記第1の反射部材が反射した前記レーザ光を前記光ファイバの前記入射端へ反射する第2の反射部材と、前記第2の反射部材が反射した前記レーザ光の一部を透過するとともに、残りの前記レーザ光を反射する光分岐部と、を有し、前記パワーモニタは、前記光分岐部が反射した前記レーザ光が通過する位置に受光面を向けて配置されることを特徴とする。
【0015】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記折り返し部は、前記半導体レーザ素子が出射する前記レーザ光をコリメートして前記反射部材へ出射するコリメートレンズと、前記反射部材と前記コリメートレンズとの間に配置された光アイソレータと、をさらに有することを特徴とする。
【0016】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記折り返し部は、前記レーザ光を反射する第1の反射部材と、前記第1の反射部材が反射した前記レーザ光を前記光ファイバの前記入射端へ反射する第2の反射部材と、前記第1の反射部材と前記第2の反射部材との間に配置された光アイソレータと、をさらに有することを特徴とする。
【0017】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記折り返し部は、前記半導体レーザ素子が出射する前記レーザ光をコリメートして前記反射部材へ出射するコリメートレンズと、前記反射部材が反射した前記レーザ光を集光して前記光ファイバの前記入射端へ集光する集光レンズと、前記集光レンズと前記光ファイバの前記入射端との間に配置された光アイソレータと、をさらに有することを特徴とする。
【0018】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において前記パッケージに対して装着される蓋部をさらに備え、前記蓋部は、前記パッケージの側壁における上端部に接触する本体部と、前記本体部の下面に設けられ、前記パッケージに対する当該蓋部の位置を決定する肉厚部と、を有し、前記肉厚部は、当該蓋部が前記パッケージに装着された際に、前記パッケージ内に収容された前記光アイソレータの直上における前記本体部の下面領域以外に設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記肉厚部は、前記パッケージの側壁のうち2箇所以上の内側と接触するように形成されることを特徴とする。
【0020】
また、本開示に係る半導体レーザモジュールは、上記開示において、前記光ファイバは、前記パッケージの短手方向の中心から、前記パッケージの短手方向の一方の側壁側にシフトして配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、パッケージの長手方向における小型化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態2に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1,2の変形例1に係る蓋部の平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1,2の変形例2に係る蓋部の平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1,2の変形例3に係る蓋部の平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態1,2の変形例4に係る蓋部の平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態1,2の変形例5に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態1,2の変形例6に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態1,2の変形例7に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
【
図11】
図11は、実施形態1,2の変形例8に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
【
図12】
図12は、実施形態1,2の変形例10に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
【
図13】
図13は、実施形態1,2の変形例11に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、この実施形態により、この発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素には、適宜同一の符号を付し、重複説明を適宜省略する。また、図面は、模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0024】
(実施形態1)
〔半導体レーザモジュール〕
図1は、実施形態1に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1のA-A線断面図である。
【0025】
図1および
図2に示す半導体レーザモジュール1は、パッケージ2と、温度調節器3と、サブマウントとも呼ばれるレーザ支持部材4と、半導体レーザ素子5と、コリメートレンズ6と、ビームスプリッタ7と、ミラー8と、光アイソレータ9と、集光レンズ10と、光ファイバ11と、ファイバ保持部12と、フォトダイオード13(以下、単に「PD13」という)と、結合レンズ14と、波長検出用素子15と、フォトダイオード16(以下、単に「PD16」という)と、フォトダイオード17(以下、単に「PD17」という)と、ベースと呼ばれる支持部材18と、蓋部19と、を備える。なお、
図1および
図2では、半導体レーザモジュール1の内部構造の説明のため、パッケージ2から蓋部19を取り外した状態でパッケージ2と蓋部19とを並列させて図示されている。また、温度調節器3と支持部材18の上から見たときのサイズがほぼ一致しているので、
図1においては、温度調節器3は見えない。
【0026】
パッケージ2は、平面視および側面視で矩形状をなす。パッケージ2は、温度調節器3と、レーザ支持部材4と、半導体レーザ素子5と、コリメートレンズ6と、ビームスプリッタ7と、ミラー8と、光アイソレータ9と、集光レンズ10と、光ファイバ11と、ファイバ保持部12と、PD13と、結合レンズ14と、波長検出用素子15と、PD16、PD17と、を内部に収容する。
【0027】
温度調節器3は、不図示の制御器から不図示の電極を介して供給される駆動電流に応じて、レーザ支持部材4に載置された半導体レーザ素子5および波長検出用素子15の各々の温度を調節する。温度調節器3は、基板間に2次元的に配列された複数の柱状の半導体素子(N型およびP型)が立設した構造を有する。また、温度調節器3は、N型の半導体素子およびP型の半導体素子の各々の上端および下端が金属電極によって下基板と上基板とに接続され、かつ、N型の半導体素子およびP型の半導体素子が交互に直列に接続されている。この半導体素子は、例えばBiTeを用いて形成される。
【0028】
レーザ支持部材4は、支持部材18の上面に設けられる。レーザ支持部材4は、半導体レーザ素子5を上面に載置している。レーザ支持部材4は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、銅タングステン、炭化ケイ素、シリコン、銅およびダイヤモンド等の材料を用いて形成される。なお、レーザ支持部材4は、熱伝導率の高い材料を用いて形成することがより好ましい。
【0029】
半導体レーザ素子5は、パッケージ2内の一端側に向けてレーザ光L1を出射する。また、半導体レーザ素子5は、不図示の制御器から供給される駆動電流に応じて、レーザ光L1とレーザ光L2とを出射する。なお、実施形態1では、パッケージ2において半導体レーザ素子5がレーザ光L1を出射する側を後方側、レーザ光L2を出射する側を前方側として説明する。
【0030】
コリメートレンズ6は、半導体レーザ素子5から出射されたレーザ光L1をコリメートしてビームスプリッタ7へ出力する。
【0031】
ビームスプリッタ7は、コリメートレンズ6によってコリメートされたレーザ光L1の一部をPD13に透過する一方、レーザ光L1をミラー8へ反射する。
【0032】
ミラー8は、ビームスプリッタ7から反射されたレーザ光L1を光アイソレータ9へ反射する。
【0033】
光アイソレータ9は、支持部材18の上面に接着材(図示せず)や樹脂等によって接着される。光アイソレータ9は、永久磁石を備えており、ミラー8から反射されたレーザ光L1を集光レンズ10側に透過させる一方、集光レンズ10側から入射された光を遮断する。また、光アイソレータ9は、光アイソレータ9によるレーザ光L1の光軸シフトと集光レンズ10によるレーザ光L1の屈折方向とが互いに逆となるよう形成される。具体的には、光アイソレータ9は、レーザ光L1が入力する入射端面がレーザ光L1に対して傾斜して形成される。なお、光アイソレータ9の永久磁石の材料は、例えばサマリウムコバルト、ネオジウム、フェライト等が用いられる。
【0034】
集光レンズ10は、光アイソレータ9を透過したレーザ光L1を集光して光ファイバ11に結合させる。なお、実施形態1では、コリメートレンズ6、ビームスプリッタ7、ミラー8、光アイソレータ9および集光レンズ10を含む構成がレーザ光L1を半導体レーザ素子5が出射する出射方向と逆方向のパッケージ2の他端側に向けて折り返して光ファイバ11の入射端へ出射する折り返し部として機能する。
【0035】
光ファイバ11は、半導体レーザ素子5がレーザ光L1を出射する出射方向と逆方向のパッケージ2内における他端側にレーザ光L1が入射する入射端を向けてパッケージ2内に設けられる。光ファイバ11は、パッケージ2内に挿入されて設けられる。また、光ファイバ11は、集光レンズ10によって結合されたレーザ光L1を伝搬する。ファイバ保持部12は、光ファイバ11を保持する。
【0036】
PD13は、ビームスプリッタ7を透過したレーザ光L1を受光し、その受光パワーに応じた電流信号を不図示の制御器へ出力する。不図示の制御器は、PD13から受信した電流信号に基づいて、半導体レーザ素子5へ供給する駆動電流を制御する。例えば、不図示の制御器は、PD13から受信した電流信号が一定値となるように半導体レーザ素子5へ供給する駆動電流を制御する。これにより、不図示の制御器は、半導体レーザ素子5の光出力を一定に制御することができる。
【0037】
結合レンズ14は、半導体レーザ素子5がレーザ光L1を出射する出射側と逆方向のパッケージ2の前方側の温度調節器3の上面に載置される。結合レンズ14は、半導体レーザ素子5から出力されたレーザ光L2を波長検出用素子15へ結合させる。
【0038】
波長検出用素子15は、少なくとも光分岐部(図示せず)と、フィルタ部(図示せず)と、を備える。光分岐部は、レーザ光L2分岐し、1つのレーザ光をPD16へ入力させる。また、フィルタ部は、光の周波数的に周期的な透過特性を有しており、光分岐部によって分岐された残りのレーザ光を透過させた後にPD17へ入力させる。
【0039】
PD16およびPD17の各々は、レーザ光を受光し、その受光パワーに応じた電流信号を不図示の制御器へ出力する。不図示の制御器は、PD16およびPD17の各々から受信した電流信号に基づいて、温度調節器3へ供給する駆動電流を制御することによって半導体レーザ素子5の温度を調節し、半導体レーザ素子5が出力するレーザ光L1の波長を制御する。このような制御は、波長ロックと呼ばれる公知の技術である。波長検出用素子15は、PLC(Planar Lightwave Circuit)等の光導波路素子や、空間結合系によって実現できる。フィルタ部は、たとえリングフィルタやエタロンフィルタによって実現できる。波長検出用素子15が例えば空間結合系によって実現する場合は、結合レンズ14をコリメートレンズに置き換えればよい。
【0040】
支持部材18は、温度調節器3の上面に設けられる。支持部材18は、レーザ支持部材4、コリメートレンズ6、ビームスプリッタ7、ミラー8、光アイソレータ9、集光レンズ10、ファイバ保持部12、PD13、結合レンズ14、波長検出用素子15、PD16およびPD17を上面に載置している。支持部材18は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、銅タングステン、炭化ケイ素、シリコン、銅およびダイヤモンド等の材料を用いて形成される。なお、支持部材18は、熱伝導率の高い材料を用いて形成することがより好ましい。
【0041】
蓋部19は、矩形状をなし、パッケージ2に対して装着され、気密封止される。蓋部19は、蓋部19がパッケージ2に装着された際にパッケージ2の側壁21の上端部に接触する本体部191と、本体部191の下面側に設けられる肉厚部192を有する。肉厚部は、蓋部19の強度を増したり、パッケージ2に対する蓋部19の位置を決定する位置決め部として用いることができる。本体部191および肉厚部192は、一体的に形成される。さらに、本体部191および肉厚部192は、例えばコバールを用いて一体的に形成される。
【0042】
肉厚部192は、短手方向および長手方向の各々の長さが本体部191の短手方向および長手方向の各々より短く形成される。さらに、肉厚部192は、短手方向および長手方向の各々の長さがパッケージ2の側壁21内側の短手方向および長手方向の各々と略同じに形成される。また、肉厚部192は、
図1および
図2に示すように、パッケージ2に収容された光アイソレータ9の直上における本体部191の下面領域R1以外に設けられる。具体的には、肉厚部192は、蓋部19がパッケージ2に装着された際に、光アイソレータ9の上面から肉厚部192の下面までの最短距離D1が0.8mm以上である。さらに、肉厚部192は、厚さをT1mmとし、蓋部19の下面から光アイソレータ9の上面までの法線距離をX1mmとした場合に、法線距離X1が0.8mm≦X1mm≦T1mm+0.8mmとなるように形成される。肉厚部192は、蓋部19がパッケージ2に装着された際にパッケージ2における側壁21の内面側に接触することによって蓋部19の位置を決定する。これにより、光アイソレータ9は、接着材の接着強度より磁力の強度を小さくすることができるので、蓋部19にくっつくことを防止することができる。この結果、光アイソレータ9が支持部材18から外れてしまうことを確実に防止することができる。
【0043】
以上説明した実施形態1によれば、パッケージ2における長手方向の小型化を図ることができる。
【0044】
また、実施形態1によれば、レーザ光L1に対する光軸シフトが集光レンズ10の角度曲げ方向と逆方向になるよう光アイソレータ9を形成したので、パッケージ2が長手方向において大型化することを防止することができる。
【0045】
また、実施形態1によれば、半導体レーザ素子5がレーザ光L1を出射する出射端と逆方向の他端側に波長検出用素子15を配置し、かつ、半導体レーザ素子5の後端面が前端面よりもパッケージ2内側となるように半導体レーザ素子5を配置することによって光ファイバ11挿入方法に平行な方向および垂直な方向の両方に対して、発熱源である半導体レーザ素子5をパッケージ2内の中央に配置できるので、発熱源がパッケージ2の端にある場合と比して効率よく温度調節器3で熱を引くことができ、消費電力を抑えることができる。
【0046】
また、実施形態1によれば、肉厚部192を光アイソレータ9の直上における本体部191の下面領域R1以外に設けることによって、光アイソレータ9が支持部材18から離れることを防止することができる。
【0047】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。上述した実施形態1では、略U字状にレーザ光を折り返して半導体レーザ素子5から光ファイバ11の入射端まで導光していたが、実施形態2では、略V字状にレーザ光を導光する。以下においては、上述した実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0048】
〔半導体レーザモジュール〕
図3は、実施形態2に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
図3に示す半導体レーザモジュール1Aは、上述した実施形態1からビームスプリッタ7を省略し、かつ、ミラー8をビームスプリッタ8Aに変更した。具体的には、半導体レーザモジュール1Aは、パッケージ2と、温度調節器3と、レーザ支持部材4と、半導体レーザ素子5Aと、コリメートレンズ6Aと、ビームスプリッタ8Aと、光アイソレータ9と、集光レンズ10と、光ファイバ11と、ファイバ保持部12と、PD13と、結合レンズ14と、波長検出用素子15と、PD16と、PD17と、支持部材18と、を備える。なお、パッケージ2は、上述した実施形態1の蓋部19(図示せず)を備えているが、半導体レーザモジュール1Aの内部構造の説明のため、蓋部19を取り外した状態で図示されている。
【0049】
半導体レーザ素子5Aは、パッケージ2内の一端側であって、コリメートレンズ6Aに向けてレーザ光L1を出射する。また、半導体レーザ素子5Aは、不図示の制御器から供給される駆動電流に応じて、レーザ光L1とレーザL2とを出力する。
【0050】
コリメートレンズ6Aは、半導体レーザ素子5Aとビームスプリッタ8Aとのレーザ光L1の光路上に配置される。コリメートレンズ6Aは、半導体レーザ素子5Aから出力されたレーザ光L1をコリメートしてビームスプリッタ8Aへ出力する。
【0051】
ビームスプリッタ8Aは、コリメートレンズ6Aによってコリメートされたレーザ光L1の一部をPD13に透過する一方、レーザ光L1を光アイソレータ9へ反射する。
【0052】
以上説明した実施形態2によれば、上述した実施形態1と同様の効果を有するとともに、上述した実施形態1と比してミラー8を省略することができるので、上述した実施形態1と比して低コスト化を図ることができる。
【0053】
(実施形態1,2の変形例1)
次に、実施形態1,2の変形例1について説明する。実施形態1,2の変形例1は、上述した実施形態1,2に係る蓋部19と構成が異なる。以下においては、実施形態1,2の変形例1に係る蓋部についてのみ説明する。
【0054】
図4は、実施形態1,2の変形例1に係る蓋部の平面図であり、裏面側から見た平面図である。
図4に示す蓋部19Bは、上述した実施形態1に係る肉厚部192に換えて、肉厚部192Bを有する。肉厚部192Bは、パッケージ2に収容された光アイソレータ9の直上における本体部191の下面領域R1以外に設けられる。さらに、肉厚部192Bは、少なくともパッケージ2の側壁21の四隅の内側と接触するように形成される。
【0055】
以上説明した実施形態1,2の変形例1によれば、光アイソレータ9が支持部材18から離れることを防止することができる。
【0056】
(実施形態1,2の変形例2)
次に、実施形態1,2の変形例2について説明する。実施形態1,2の変形例2は、上述した実施形態1,2に係る蓋部19と構成が異なる。以下においては、実施形態1,2の変形例2に係る蓋部についてのみ説明する。
【0057】
図5は、実施形態1,2の変形例2に係る蓋部の平面図であり、裏面側から見た平面図である。
図5に示す蓋部19Cは、上述した実施形態1に係る肉厚部192に換えて、肉厚部192Cを有する。肉厚部192Cは、パッケージ2に収容された光アイソレータ9の直上における本体部191の下面領域R1以外に設けられる。さらに、肉厚部192Cは、少なくともパッケージ2の側壁21の四隅のうち3箇所以上の内側と接触するように形成される。
【0058】
以上説明した実施形態1,2の変形例2によれば、光アイソレータ9が支持部材18から離れることを防止することができる。
【0059】
(実施形態1,2の変形例3)
次に、実施形態1,2の変形例3について説明する。実施形態1,2の変形例3は、上述した実施形態1,2に係る蓋部19と構成が異なる。以下においては、実施形態1,2の変形例3に係る蓋部についてのみ説明する。
【0060】
図6は、実施形態1,2の変形例3に係る蓋部の平面図であり、裏面側から見た平面図である。
図6に示す蓋部19Dは、上述した実施形態1に係る肉厚部192に換えて、肉厚部192Dを有する。肉厚部192Dは、パッケージ2に収容された光アイソレータ9の直上における本体部191の下面領域R1以外に設けられる。さらに、肉厚部192Dは、少なくともパッケージ2の側壁21の四隅の内側と接触する複数の突起部193が本体部191に形成される。さらに、突起部193は、互いに離間して本体部191に形成されている。
【0061】
以上説明した実施形態1,2の変形例3によれば、光アイソレータ9が支持部材18から離れることを防止することができる。
【0062】
(実施形態1,2の変形例4)
次に、実施形態1,2の変形例4について説明する。実施形態1,2の変形例4は、上述した実施形態1,2に係る蓋部19と構成が異なる。以下においては、実施形態1,2の変形例4に係る蓋部についてのみ説明する。
【0063】
図7は、実施形態1,2の変形例4に係る蓋部の平面図であり、裏面側から見た平面図である。
図7に示す蓋部19Eは、上述した実施形態1に係る肉厚部192に換えて、肉厚部192Eを有する。肉厚部192Eは、パッケージ2に収容された光アイソレータ9の直上における本体部191の下面領域R1以外に設けられる。さらに、肉厚部192Eは、少なくともパッケージ2の側壁21の四隅の内側と接触するように円環状に形成される。
【0064】
以上説明した実施形態1,2の変形例4によれば、光アイソレータ9が支持部材18から離れることを防止することができる。
【0065】
(実施形態1,2の変形例5)
次に、実施形態1,2の変形例5について説明する。
図8は、実施形態1,2の変形例5に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
図8に示す半導体レーザモジュール1Fは、上述した実施形態1のビームスプリッタ7およびミラー8に変えて、ビームスプリッタ8Fとミラー7Fと、を備える。さらに、半導体レーザモジュール1Fは、PD13の位置が異なる。具体的には、ミラー7Fは、コリメートレンズ6によってコリメートされたレーザ光L1をビームスプリッタ8Fへ反射する。ビームスプリッタ8Fは、ミラー7Fが反射したレーザ光L1の一部をPD13に透過し、残りのレーザ光L1を光アイソレータ9へ反射する。
【0066】
以上説明した実施形態1,2の変形例5によれば、パッケージ2における長手方向の小型化を図ることができる。
【0067】
(実施形態1,2の変形例6)
次に、実施形態1,2の変形例6について説明する。
図9は、実施形態1,2の変形例6に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
図9に示す半導体レーザモジュール1Gは、上述した実施形態1,2の変形例5の構成からビームスプリッタ8Fに変えて、ミラー8を備える。さらに、半導体レーザモジュール1Gは、光アイソレータ9と、集光レンズ10との光路上に配置されたビームスプリッタ20をさらに備える。さらに、半導体レーザモジュール1Gは、結合レンズ14、波長検出用素子15、PD16およびPD17の位置が異なる。具体的には、ビームスプリッタ20は、光アイソレータ9を透過したレーザ光L1の一部を結合レンズ14へ反射し、残りのレーザ光L1を集光レンズ10へ透過する。
【0068】
以上説明した実施形態1,2の変形例6によれば、パッケージ2における長手方向の小型化を図ることができる。
【0069】
(実施形態1,2の変形例7)
次に、実施形態1,2の変形例7について説明する。
図10は、実施形態1,2の変形例7に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
図10に示す半導体レーザモジュール1Hは、光アイソレータ9の位置が異なる。具体的には、
図10に示すように、光アイソレータ9は、コリメートレンズ6とビームスプリッタ7との光路上に配置される。
【0070】
以上説明した実施形態1,2の変形例7によれば、パッケージ2における長手方向の小型化を図ることができる。
【0071】
(実施形態1,2の変形例8)
次に、実施形態1,2の変形例8について説明する。
図11は、実施形態1,2の変形例8に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
図11に示す半導体レーザモジュール1Iは、光アイソレータ9の位置が異なる。具体的には、
図11に示すように、光アイソレータ9は、ビームスプリッタ7とミラー8との光路上に配置される。
【0072】
以上説明した実施形態1,2の変形例8によれば、パッケージ2における長手方向の小型化を図ることができる。
【0073】
(実施形態1,2の変形例9)
次に、実施形態1,2の変形例9について説明する。
図12は、実施形態1,2の変形例10に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図である。
図12に示す半導体レーザモジュール1Jは、光アイソレータ9の位置が異なる。具体的には、
図12に示すように、光アイソレータ9は、集光レンズ10と光ファイバ11との光路上に配置される。
【0074】
以上説明した実施形態1,2の変形例9によれば、パッケージ2における長手方向の小型化を図ることができる。
【0075】
(実施形態1,2の変形例10)
次に、実施形態1,2の変形例10について説明する。実施形態1,2の変形例10は、上述した実施形態1,2に係る蓋部19と構成が異なる。以下においては、実施形態1,2の変形例10に係る蓋部についてのみ説明する。
【0076】
図13は、実施形態1,2の変形例10に係る半導体レーザモジュールの構成を模式的に示す平面図であり、蓋部を裏面側から見た平面図である。
図14は、実施形態1,2の変形例10に係る半導体レーザモジュールの要部を模式的に示す断面図である。
図13および
図14に示す半導体レーザモジュール1Kは、上述した実施の形態1に係る半導体レーザモジュール1の蓋部19に変えて、蓋部19Kを備える。
【0077】
図13および
図14に示す蓋部19Kは、本体部191と、肉厚部192Kと、本体部191に形成された領域部194と、を有する。領域部194は、パッケージ2に収容された光アイソレータ9の直上における本体部191の下面領域R1に相当する領域であって、少なくとも肉厚部192Kが無い部分の一部である領域に形成される。領域部194は、磁石に付かない材料で形成される。具体的には、領域部194は、材料がガラス又はセラミックス等を用いて本体部191と一体的に形成される。また、領域部194は、材料がアルミニウム、銅、マンガン、オーステナイト系ステンレス(SUS304等)、真鍮等の磁石に付かない金属等を用いて形成してもよい。
【0078】
肉厚部192Kは、蓋部19Kがパッケージ2に装着された際に、光アイソレータ9から肉厚部192Kまでの最短距離D2が0.8mm以上であり、かつ、肉厚部192Kの厚さをT2mmとし、蓋部19Kの下面から光アイソレータ9の上面までの法線距離をX2mmとした場合に、法線距離X2が0mm≦X2mm≦T2mm+0.8mmとなるように形成される。肉厚部192Kが前述のように形成されていれば、領域部194の外側の蓋部19Kとアイソレータの最短距離D3が0.8mm以上とすれば、光アイソレータ9が接着材の接着強度より磁力の強度を小さくすることができるので、光アイソレータ9が蓋部19Kにくっつくことを防止することができる。この結果、光アイソレータ9が支持部材18から外れてしまうことを確実に防止することができる。
【0079】
以上説明した実施形態1,2の変形例10によれば、光アイソレータ9が支持部材18から離れることを防止することができる。
【0080】
なお、上述した実施形態1,2の変形例10では、肉厚部192Kを、上述した実施の形態1,2の変形例1~4の肉厚部192B,192C,192D,192Eの形状であっても適用することができる。
【0081】
(その他の実施形態)
上述した各実施形態において、光ファイバは11、パッケージ2の短手方向の中心から、パッケージ2の短手方向の一方の側壁側にシフトして配置されている。こうすることで、モジュールの短手方向においてもサイズを増大することなしに、長手方向のサイズを小さくすることが可能である。
【0082】
なお、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0083】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1,1A,1F,1G,1H,1I,1J,1K 半導体レーザモジュール
2 パッケージ
3 温度調節器
4 レーザ支持部材
5,5A 半導体レーザ素子
6,6A コリメートレンズ
7,8A,8F,20 ビームスプリッタ
7F,8 ミラー
9 光アイソレータ
10 集光レンズ
11 光ファイバ
12 ファイバ保持部
13,16,17 フォトダイオード
14 結合レンズ
15 波長検出用素子
18 支持部材
19,19B,19C,19D,19E,19E,19K 蓋部
21 側壁
191 本体部
192,192B,192C,192D,192E,192F,192K 肉厚部
193 突起部
194 領域部