(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-30
(45)【発行日】2023-06-07
(54)【発明の名称】コンポーネント調整を改良した半導体リソグラフィ用の投影露光装置及び調整方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230531BHJP
G02B 7/00 20210101ALI20230531BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
G02B7/00 K
(21)【出願番号】P 2020537693
(86)(22)【出願日】2018-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2018085255
(87)【国際公開番号】W WO2019137746
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】102018200524.9
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ツベーリング
【審査官】三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-246158(JP,A)
【文献】特開2004-039871(JP,A)
【文献】特開2006-261155(JP,A)
【文献】特開2006-053499(JP,A)
【文献】特開昭62-286053(JP,A)
【文献】特開平11-008188(JP,A)
【文献】特開2017-021366(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102540386(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0004431(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00
7/20
9/00
H01L 21/027
G02B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体リソグラフィ用の投影露光装置(1)であって、
該投影露光装置(1)の少なくとも1つのコンポーネント(21)及び構造部品(22)
と、
前記コンポーネント(21)
を前記構造部品(22)に固定
する締結部と
を備え、
前記コンポーネント(21)及び/又は前記構造部品(22)は、該構造部品及び/又は前記コンポーネント(21)における基準面(25)に当接する少なくとも1つのストッパ(28、40)を有する投影露光装置(1)において、
前記ストッパ(28、40)は、前記基準面(25)から離れることができるように前記構造部品(22)に固定された前記コンポーネント(21)及び/又は前記構造部品(22)に対して可動であるように具現され、且つ前記ストッパ(28、40)は、マウント(29、41)及び該マウント(29、41)に配置された止めねじ(30、42)を含み、
前記締結部は、前記ストッパ(28、40)が前記基準面(25)から離れた状態で、前記コンポーネント(21)と前記構造部品(22)との間の固定を維持するように構成されることを特徴とする投影露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投影露光装置(1)において、
前記止めねじ(30、42)は、凸状に具現され
る接触面(32、46)を含むことを特徴とする投影露光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の投影露光装置(1)において、
前記止めねじ(42)は、長さに関して調整可能であるように具現されることを特徴とする投影露光装置。
【請求項4】
請求項3に記載の投影露光装置(1)において、
前記止めねじ(42)は、調整ねじ(43)及び接触ねじ(44)を含むことを特徴とする投影露光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の投影露光装置(1)において、
前記止めねじ(42)の長さの変化が、前記調整ねじ(43)内で前記接触ねじ(44)を回し固定することにより達成されることを特徴とする投影露光装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の投影露光装置(1)において、
前記接触ねじ(44)は、ロックねじ(47)により前記調整ねじ(43)に固定可能であることを特徴とする投影露光装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の投影露光装置(1)において、
前記止めねじ(42)が前記基準面(25)から離れた後に前記止めねじ(42)を固定する回り止め機構があることを特徴とする投影露光装置。
【請求項8】
請求項7に記載の投影露光装置(1)において、
前記回り止め機構は、弾性移動可能要素(50、52)と、該弾性移動可能要素(50、52)を収容する切欠き(51、53)とを含むことを特徴とする投影露光装置。
【請求項9】
投影露光装置(1)の構造部品(22)上のコンポーネント(21)を調整する方法であって、
少なくとも1つのストッパ(28、40)を前記コンポーネント(21)又は前記構造部品(22)に締結するステップと、
前記少なくとも1つのストッパ(28、40)が前記コンポーネント(21)又は前記構造部品(22)における基準面(25)と機械的に接触するように前記コンポーネント(21)を位置決めするステップと、
前記コンポーネント(21)を前記構造部品(22)に固定するステップと、
止めねじ(30、42)を逆に回すことにより前記ストッパ(28、40)を前記基準面(25)から離すステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、独国特許出願第DE10 2018 200 524.9号の優先権を主張し、その内容を参照により本明細書に完全に援用する。
【0002】
本発明は、半導体リソグラフィ用の投影露光装置及び投影露光装置のコンポーネントを調整する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
投影露光装置には、投影露光装置の光学素子の位置決めに大きく依存する結像精度に関して非常に厳しい要件が課される。
【0004】
従来、操作可能すなわち位置に関して調整可能な光学素子はごくわずかであった。全ての光学コンポーネントが構造部品又はフレーム上に配置されており、他のコンポーネント、例えば光学素子の操作用のアクチュエータ及びセンサも上記フレームに締結されていた。光学素子の位置決めに関して何世代にもわたり投影露光装置に多くの要件が課されていることで、センサの基準として働く第2フレームが用いられるようになり、これは、アクチュエータによるセンサの励起、したがって光学コンポーネントの位置決め不良を低減又は回避することを目的としている。
【0005】
このように分離された励起に加えて、フレームへの取り付け中のアクチュエータ及びセンサの位置合わせも重要性を増してきている。多くの場合は最大6自由度にも必要な取り付け中のアクチュエータ及びセンサの非常に正確な位置合わせは、従来技術によれば、アクチュエータ及びセンサの螺着点とストッパとの間で交換可能な間座を用いることにより実現され、これはセンサ及びアクチュエータが正確に位置決めされるまで交換される。この場合、構造部品は基準面を有し、ストッパがこれに押し当たってから螺着される。
【0006】
センサ及びアクチュエータのこのような位置合わせ及び螺着の欠点は、センサ及びアクチュエータが構造部品に螺着される過程で、ストッパと基準面とが接触する結果として応力が凍結され得るが、この応力が徐々にしか再度緩和しないことである。このような緩和の結果としてコンポーネントの位置が変わり、これを回避すべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、残留応力を伴わずに構造部品に対するコンポーネントの位置決め及び螺着を実現することができる投影露光装置及び方法を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項1の特徴を有する装置と、独立方法請求項の特徴を有する方法とにより達成される。従属請求項は、本発明の有利な発展形態及び変形形態に関する。
【0009】
本発明による半導体リソグラフィ用の投影露光装置は、投影露光装置の少なくとも1つのコンポーネント及び構造部品を備え、コンポーネントは構造部品に固定されるか又は固定可能である。さらに、コンポーネント及び/又は構造部品は、構造部品及び/又はコンポーネントにおける基準面に当接する少なくとも1つのストッパを有する。本発明によれば、ストッパは、基準面から離れることができるように、構造部品に固定されたコンポーネント及び/又は構造部品に対して可動であるように具現される。
【0010】
換言すれば、ストッパは、コンポーネントの調整後に、少なくとも、コンポーネントと機械的に接触しなくなるような、さらにストッパとコンポーネントとの間に力が伝達されなくなるような程度までコンポーネントから離れることができるように具現される。これにより、特に、構造部品上のコンポーネントが緩んだ場合、すなわち機械的クリープの結果としてコンポーネントと基準面との間の機械的応力が低減された場合に、コンポーネントの位置の不所望な変化が起こる状況が回避される。
【0011】
本発明の有利な一実施形態では、ストッパは、マウント及びマウントに配置された止めねじを含み、止めねじは、凸状に具現され得ることが好ましい接触面を含み得る。
【0012】
ストッパが止めねじを含むことにより、止めねじを単に逆に回すことでストッパと基準面との間で望まれる分離を特に単純に実現することができる。
【0013】
止めねじが長さに関して調整可能であるように具現される場合、これによりコンポーネントの調整の選択肢が増える。
【0014】
止めねじの長さの調整性は、特に止めねじが調整ねじ及び接触ねじを含むことにより達成することができ、この場合、接触ねじを調整ねじの軸の雌ねじに螺入することができる。
【0015】
その場合、止めねじの長さの変更は、調整ねじ内で接触ねじを回し固定することにより実現することができる。
【0016】
接触ねじをロックねじにより調整ねじ内に固定可能であるように具現することができることにより、調整ねじに対する接触ねじの回り止め機構を達成することが可能である。
【0017】
さらに、基準面から離れた後に止めねじを固定する回り止め機構も存在し得る。この場合、回り止め機構は、特に弾性移動可能要素と、弾性移動可能要素を収容する切欠きとを含み得る。
【0018】
投影露光装置の構造部品上のコンポーネントを調整する本発明による方法は、
少なくとも1つのストッパをコンポーネント又は構造部品に締結するステップと、
少なくとも1つのストッパがコンポーネント又は構造部品における基準面と機械的に接触するようにコンポーネントを位置決めするステップと、
コンポーネントを構造部品に固定するステップと、
ストッパを基準面から離すステップと
を含む。
【0019】
この場合、ストッパを基準面から離すステップは、止めねじを逆に回すことにより実行され得る。
【0020】
適切な場合は、構造部品へのコンポーネントの最初の固定後に、構造部品上のコンポーネントの位置の監視が実行され得る。監視中に補正の必要が確認された場合、最初にストッパの適合を行ってから、コンポーネントの新たな位置決め、固定、及び位置の監視を実行することができる。
【0021】
本発明の例示的な実施形態及び変形形態を、図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明が実施され得るEUV投影露光装置の基本構成を示す。
【
図2】従来技術によるストッパを有する構造部品及びコンポーネントを示す。
【
図6】本発明による調整方法に関するフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明が用いられ得るマイクロリソグラフィEUV投影露光装置1の基本構成の一例を示す。投影露光装置1の照明系は、光源3に加えて、物体面6における物体視野5の照明用の照明光学ユニット4を有する。光源3が発生させた光学使用放射線の形態のEUV放射線14が、中間焦点面15の領域の中間焦点を通過した後に視野ファセットミラー2に入射するように、光源3に組み込まれたコレクタにより位置合わせされる。視野ファセットミラー2の下流で、EUV放射線14は瞳ファセットミラー16により反射される。瞳ファセットミラー16と、ミラー18、19、及び20を有する光学アセンブリ17とを用いて、視野ファセットミラー2の視野ファセットが物体視野5に結像される。
【0024】
物体視野5に配置され概略的に図示するレチクルホルダ8により保持されたレチクル7が照明される。概略的にしか図示されていない投影光学ユニット9は、物体視野5を像面11における像視野10に結像する役割を果たす。レチクル7上の構造は、像面11における像視野10の領域に配置されて同様に部分的に図示されているウェハホルダ13により保持されたウェハ12の感光層に結像される。光源3は、特に5nm~30nmの波長域の使用放射線を放出することができる。
【0025】
本発明は、ここでは明示的に図示されていないDUV装置でも同様に用いることができる。DUV装置は、原理上は上記EUV装置1のように設定され、ミラー及びレンズ素子をDUV装置の光学素子として用いることができ、DUV装置の光源が100nm~300nmの波長域の使用放射線を放出する。
【0026】
図2は、図示の例では従来技術によるリソグラフィ装置の構造部品としてのセンサフレーム22に配置された、センサ21を示す。センサフレーム22は、
図1からのミラーの位置決め用の基準として働く。センサ21を用いて、センサフレーム22に関して、したがって他のミラーに関してもミラーの位置及び向きが確認され、他のミラーの位置及び向きも同様に同じセンサフレーム22に関して求められる。このようなセンサの位置合わせは、ミラーの位置及び向きの判定精度の決定的要因であり、したがってそれ自体ができる限り正確且つ再現可能でなければならない。
【0027】
この目的で、
図2に示すセンサフレーム22は、センサ21が締結される平面(以下、締結平面23と称する)上に、当該締結平面より上方に延びるL字形隆起部24を示す。締結平面23に対して垂直であり且つセンサ21の方を向いたL字形隆起部24の2面と、センサ21の締結平面23とが共に、センサ21が3面と接触する、すなわち機械的に接するキューブコーナを形成する。キューブコーナの3面は、センサ21を空間的に位置合わせするための基準面25として働く。これら3つの平面が、全6自由度でのセンサフレーム23上のセンサ21の向きを決める。
【0028】
センサ21が締結平面23に接する面であるセンサ21の第1面は、センサ21を締結平面23に締結する3つの螺着点26を有する。第1面とは異なり、L字形隆起部24の短辺の方を向いたセンサ21の第2面は、センサ21が基準面25に接するようにする不図示のストッパを有する。L字形隆起部24の長辺の方を向いた隣接する第3面は、同じく不図示の2つのストッパを有し、これらの両方が停止点27で基準面25に接する。この例示的な実施形態では、センサ21は、センサフレーム22に対して6つの接点を有する。
【0029】
センサフレーム22の上記基準面25及び締結平面23と、センサ21のストッパとには、製造ばらつきが生じやすく、その影響で、センサ21の全てのストッパが基準面25に接し且つ3つの螺着点26が締結平面23に接する、すなわちセンサ21の6つの接点全部がセンサフレーム22に当接するセンサ21の締結後に、センサ21の位置及び位置合わせが十分に正確ではなくなる。したがって、製造公差を補償するために、センサ21の6つの接点全部が調整可能でなければならない。接点の調整は、通常は間座により実現される。上記間座は、スペーサとも呼ばれる非常に正確に製造された座金である。6つの接点に関するスペーサの厚さは、センサ21及びセンサフレーム22の対毎に個別に計算される。
【0030】
センサ21とセンサフレーム22との間の6点での接触は、センサ21の螺着時に応力を引き起こし得る。上記応力は経時的に変わり、さらにセンサフレーム22に対するセンサ21の位置が変わり得る。この経時的変化はドリフトとも称するものであり、最新世代のシステムでセンサ21のドリフト安定性に関して増えつつある要件を満たすことがもはや不可能であることをその存在が意味する限りは不利である。
【0031】
リソグラフィ装置では、例として、リニアスケール、静電容量センサ、又は干渉計をセンサとして用いることができる。干渉計が用いられる場合、これはセンサ21の基準面と被測定物の基準面との間の大きな距離を測定しなければならないことが多く、このことから、測定物に対する干渉計の位置合わせの精度に関して非常に厳しい要件が生じているが、特にセンサフレーム22上の干渉計の向きの経時安定性に関しても非常に厳しい要件が生じている。したがって、センサフレーム22上の干渉計の向きが光方向で経時的に変わると、測定値が、したがって測定されたコンポーネントの測定位置が改悪される。こうした背景から、
図2に示す配置の欠点の1つは、干渉計がセンサフレーム22に螺着される結果として機械的応力が最初に生じ、時間が経つにつれてこれが緩和されることであり、これは、経時的な距離測定の経時安定性に関して増えつつある要件を満たすことが不可能となっていることを意味する。
【0032】
図3は、本発明の第1実施形態を示す。図示の実施形態では、センサの螺着後でも6つの接点全部でセンサとセンサフレームとが接触する結果としてセンサに残る応力は、
図2に示すようにキューブコーナにおけるセンサの位置決めに役立つ3つのストッパ28が、センサフレームの締結平面23へのセンサの螺着後に、センサフレームのL字形隆起部24の基準面25と接触しなくなる、すなわち基準面25に接しなくなるように調整されることにより、解放される。螺着の結果としてセンサに導入された可能性のある応力は、結果として解放される。応力の解放の結果として起こるセンサの位置及び/又はセンサフレームに対するその位置合わせの変化は、システムの較正により補償することができる。較正は、特に半導体リソグラフィ装置の生産動作以外で実行することができる。
【0033】
図3に示す本発明によるストッパ28の第1実施形態は、ストップマウント29又はマウント及び止めねじ30を含む。この場合、ストッパ28は、全体が図示されていないセンサ21のベースプレート35の凹部34に配置される。センサ21及びストッパ28は、センサ側界面36及びストッパ側界面37を介して相互に機械的に接触する。止めネジ30は、その軸の第1端にねじ頭31を有し軸の第2端に接触面32を有し、当該接触面は図示の例では凸状に具現されている。接触面32の凸状実施形態により、接触面32とセンサフレームの基準面25との間で有利な点接触が得られる。実線は、センサがセンサフレームに螺着される前のマウント29における止めねじ30の位置、すなわち接触面32が基準面25に当接することを示す。止めネジ30は、ねじ頭31の下側がマウント29のうちこれに面する側に載ってそこに押し当たる程度まで、すなわち後者に面接触する程度までマウント29に螺入される。したがって、マウント29のこの側は、完全螺入位置での止めねじ30の頭31の基準面である。
【0034】
図3の破線は、実線に覆われていない限り、センサ21がセンサフレームに螺着されて止めネジ30の接触面32がセンサフレームの基準面25に触れなくなるような程度まで止めねじ30がマウント29から螺脱された後の、止めねじの位置を示す。
【0035】
図3に示す例示的な実施形態の止めねじ30は、凸状接触面に隣接して軸の領域の円周上に形成された六角形33を含む。他の形状の要素を止めねじの軸に嵌めることもでき、この要素は、六角形33のように適当なキーの係合領域として働くことができる。
【0036】
センサフレームへのセンサ21の螺着の結果として凍結している可能性のある応力は、図示の構成により螺着直後に解放することができる。センサ21の基準を変えてしまう経時的な応力の緩和は、こうして回避されるのが有利であり、センサ21を改めて較正する必要が事実上なくなる。
【0037】
最初の螺着後に、センサフレームに対するセンサ21の位置及び向きがまだ最適ではなく、異なる長さの止めねじが必要な場合、
図3に示す止めねじ30をマウントから螺脱して必要な長さを有する異なる止めねじと取り替えることができる。
【0038】
図4は、本発明のさらに別の実施形態を詳細に示す。
図4に示すストッパ40は、ストップマウント41及び止めネジ42を含み、止めねじ42はさらに、調整ねじ43及び接触ねじ44を含む。図示の例では、ストップマウントは、ねじ60によりセンサ21に締結される。
【0039】
図4に示すマウントでは、止めねじ42が螺入状態で、すなわちその頭の下側がマウントの界面45に押圧固定された状態で図示されている。すでに述べたように、図示の例では、止めねじ42は、第1部品である調整ねじ43と、調整ねじ43の軸に形成された雌ねじに螺入される第2部品である接触ねじ44とを含む。調整ねじ43に関しては、軸に形成された雄ねじにより、マウント41に形成された雌ねじに螺入される。
【0040】
調整ねじ43をこうしてマウント41に対して移動させることで、一方では、ねじ頭の下側がマウント41の界面45と接触してこれに押し当たるまで調整ねじ43をマウント41に螺入させるようにすることができ、他方では、マウントを交換するために、又はセンサフレームへのセンサの螺着後に凸状接触面46をセンサフレームの基準面から解放することにより接触面46と基準面との間に距離を作って、センサフレームへのセンサの螺着により生じ得る応力を低減するために、調整ねじ43をマウント41から螺脱させるようにすることができる。
【0041】
図4に示す止めねじ42の2部構成の結果として、接触ねじ44の螺脱又は螺入により止めねじ42の長さを変えることができるのが有利である。したがって、センサフレーム上のセンサの最適な位置決めに止めねじ42の長さの適合が必要と考えられる場合に、単一タイプの止めねじを用いることが可能であり、これにより必要な在庫保管が大幅に減る。
【0042】
所望の長さの設定後に接触ねじ44を固定するために、ねじを緊締することができる。これは、接触ねじ44の軸に作用して接触ねじ44の雄ねじの側壁を調整ねじ43の雌ねじの側壁に対して緊締させることで、2つのねじ側壁間の摩擦係合を引き起こしてさらに不所望な回転を防止する力により達成することができる。調整ねじ43との接触ねじ44のこのような緊締の目的で、
図4に示すように、いわゆるロックねじ47を用いることが可能である。上記ロックねじは、調整ねじ43の頭に開いた孔に通されて、接触ねじ44の軸を通る雌ねじに螺入される。結果として、螺入深さに関係なく接触ねじ44の雄ねじを調整ねじ43の雌ねじと緊締することができ、回転をこうして回避することができる。ねじを緊締する力は、この場合は明示的に図示されていないが、接触ねじ44の軸に押し当たるばねを有する構成により実現することもできる。
【0043】
代替として又は追加として、止めねじ42の長さは、同じく
図4に示すように、接触ねじ44と調整ねじ43との間の座金48により変えることもできる。止めねじ42の長さに関する要件に応じて、スペーサとも称する座金48は、特定の厚さに研削されてから接触ねじ44の頭と調整ねじ43との間に位置決めされる。
【0044】
代替として又は追加として、同じく
図4に示すように、座金49を調整ねじ43とマウント41の界面45との間に設けて、止めねじ42の長さは調整できないがマウント41の界面45に対する接触面46の相対位置は実際に調整できるようにすることも考えられる。
【0045】
接触ねじ44と調整ねじ43との間のねじの必要な緊締は、前者の場合では、接触ねじ44の頭が調整ねじ43の軸又は座金48に押し当たるまで接触ねじ44を調整ねじ43に螺入することにより達成される。
【0046】
調整ねじ43の完全螺入状態では、調整ねじ43は、ねじ頭が座金49又はマウント41に突き当たるまで締められることにより、ねじの緊締を確保する。この場合はロックねじが不要である。
【0047】
調整ねじ43は、回し戻された後は、装置の動作中に振動が生じる結果としての不所望な回転から保護されなくなる。
【0048】
調整ねじ43のねじ頭に回り止め機構を設けることも可能であるのが有利であり、これは例えば、
図4に示すように、ねじ頭を通りマウント41の界面45に設けられた切欠き51内に係止される弾性移動可能要素としてのばね掛けピン50により、又はマウントの界面45に締結されさらに弾性移動可能要素としてねじ頭の円周上に設けられた切欠き53に係止されるばね52により、具現することができる。図示の変形形態の両方が、止めねじ42のさらなる回転、したがってストッパ40の接触面46と基準面との間の接触、又はマウント41からの止めねじ42の完全な螺脱を防止する。この解決手段は、
図3に示す一体型の止めねじ30で用いることもできる。
【0049】
図4に示しさらに上述した可能性は、コンポーネント又は構造部品から、すなわち外側からストッパを取り外す必要なく止めねじ42の長さを変えることを例えば可能にする本発明のさらに他の実施態様の例とみなすべきである。接触ねじ44及び調整ねじ43の相互に対する移動、特に回転を実現するために、例えば接触ねじ頭を六角形として具現するほかに、調整ねじを固定する可能性もある場合、座金48又はスペーサを接触ねじと調整ねじとの間で用いる解決手段は、ストッパをセンサから外さずに実現することができる。
【0050】
図5は、センサ21及びセンサ21に締結されたストッパ40の平面図を示す。図示の例では、マウントは、4つのねじ60によりセンサ21に締結される。例えばセンサフレーム等の構造部品の方にストッパ40を締結し、センサ上に対応する基準面を形成することも可能である。この構成は、機能的に同一であり、構造空間又はコンポーネント及び/又は構造部品のアクセシビリティ等の他の基準の影響を受ける。マウント41の形態及び螺着のタイプ、すなわちねじ60の数及び配置は、一例であり、任意の他の形態で具現することもできる。
【0051】
図6は、構造部品上のコンポーネントの調整及び無応力の取り付けが行われるよう
図3~
図5の本発明による装置を構成することができる方法を示す。
【0052】
図示の方法ステップに先立って、個々のストッパの長さが規定され、ねじ頭が全域にわたってマウントの界面に載る程度まで止めねじがストッパのマウントに取り付けられる。
【0053】
第1方法ステップにおいて、このようにして予め取り付けられたストッパを、そのために設けられた螺着点でコンポーネントに締結する。
【0054】
第2方法ステップにおいて、取り付け用に設けられた基準ストッパ、すなわちキューブコーナにコンポーネントを押し込む。
【0055】
第3方法ステップにおいて、コンポーネントをその螺着点で構造部品に螺着する。
【0056】
第4方法ステップにおいて、センサの位置を確認し、適切な場合はステップ1~3を異なる止めねじで繰り返す。
【0057】
第5方法ステップにおいて、止めねじをマウントから螺脱し、ストッパと基準面との間にある接点をこうしてなくすことにより、螺着の結果として凍結している可能性のある応力を解放する。
【符号の説明】
【0058】
1 投影露光装置
2 視野ファセットミラー
3 光源
4 照明光学ユニット
5 物体視野
6 物体面
7 レチクル
8 レチクルホルダ
9 投影光学ユニット
10 像視野
11 像面
12 ウェハ
13 ウェハホルダ
14 EUV放射線
15 中間焦点面
16 瞳ファセットミラー
17 アセンブリ
18 ミラー
19 ミラー
20 ミラー
21 コンポーネント、センサ
22 構造部品、センサフレーム
23 締結平面
24 隆起部
25 基準面
26 螺着点
27 停止点
28 ストッパ
29 マウント
30 止めねじ
31 ねじ頭
32 接触面
33 六角形
34 凹部
35 ベースプレート
36 センサ側界面
37 ストッパ側界面
40 ストッパ
41 マウント
42 止めねじ
43 調整ねじ
44 接触ねじ
45 マウントの界面
46 接触面
47 ロックねじ
48 座金
49 座金
50 弾性移動可能要素
51 切欠き
52 弾性移動可能要素
53 切欠き
60 ねじ