(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-31
(45)【発行日】2023-06-08
(54)【発明の名称】埋設された粒子停止層を含む上側金属被膜構造を有するパワー半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20230601BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20230601BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20230601BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230601BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20230601BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 652T
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652F
H01L29/78 655A
H01L29/78 658F
H01L21/28 301B
H01L29/50 M
(21)【出願番号】P 2021555202
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 US2020018730
(87)【国際公開番号】W WO2020185362
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-10-01
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サブリ、シャーディ
(72)【発明者】
【氏名】リヒテンヴァルナー、ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ブラント、エドワード アール.
(72)【発明者】
【氏名】アレン、スコット トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハル、ブレット
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-100815(JP,A)
【文献】特開2015-065460(JP,A)
【文献】特開2008-028079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 29/739
H01L 21/336
H01L 21/28
H01L 29/417
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイドバンドギャップ半導体層構造と、
前記ワイドバンドギャップ半導体層構造の上面上の上側金属被膜と
を備える半導体デバイスであって、
前記上側金属被膜は、
前記ワイドバンドギャップ半導体層構造の上面上の第1の導電性拡散障壁層と、
前記第1の導電性拡散障壁層の上面上の導電性コンタクト層と、
前記導電性コンタクト層内の粒子停止層であって、前記導電性コンタクト層を上部及び下部に分割する粒子停止層と
を含み、
前記粒子停止層は、前記導電性コンタクト層の前記下部の上面上の場所にのみ形成されている不連続層である、半導体デバイス。
【請求項2】
前記ワイドバンドギャップ半導体層構造上で延伸する複数のゲートフィンガーと、
前記ゲートフィンガー上の金属間誘電体パターンであって、前記金属間誘電体パターンは、それぞれの前記ゲートフィンガーを覆う複数の誘電体フィンガーを含み、開口部を含む金属間誘電体パターンと
を更に備える、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記半導体デバイスは、MOSFETを備え、前記
ワイドバンドギャップ半導体層構造に、複数のソース領域が設けられ、前記導電性コンタクト層は、前記
ワイドバンドギャップ半導体層構造の第1の側のソースコンタクト層であり、前記ソース領域に電気的に接続され、前記半導体デバイスは、前記第1の側の反対側にある前記
ワイドバンドギャップ半導体層構造の第2の側にドレインコンタクトを更に備える、請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記粒子停止層は、第2の導電性拡散障壁層を備える、請求項1~3の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記粒子停止層は、非平面の上面を有する、請求項1~4の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記粒子停止層は、金属酸化物層を備える、請求項1~5の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記粒子停止層は、前記導電性コンタクト層の上側30%内に埋設されている、請求項3~6の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記粒子停止層は、第1の粒子停止層を備え、前記半導体デバイスは、前記導電性コンタクト層内に埋設された第2の粒子停止層を更に備える、請求項1~7の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記導電性コンタクト層の前記下部及び前記上部の両方が、少なくとも2.0ミクロンの平均厚さを有し、同じ材料で形成されている、請求項3~8の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年3月14日に出願された米国特許出願番号16/353,313号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体デバイス、より具体的には、パワー半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
パワー半導体デバイスは、大電流を流し、高電圧を支持するために使用される。例えば、パワー金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(「MOSFET」)、バイポーラ接合トランジスタ(「BJT」)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(「IGBT」)、ショットキーダイオード、接合障壁ショットキー(「JBS」)ダイオード、マージドp-nショットキー(「MPS」)ダイオード、ゲートターンオフサイリスタ(「GTO」)、MOS制御サイリスタ、及び他の様々なデバイスを含む多種多様なパワー半導体デバイスが当技術分野で知られている。これらのパワー半導体デバイスは、概して、炭化ケイ素又は窒化ガリウムベースの材料のようなワイドバンドギャップ半導体材料から製造される(本明細書では、「ワイドバンドギャップ半導体」という用語は、少なくとも1.4eVのバンドギャップを有する任意の半導体を包含する)。パワー半導体デバイスは、大きい電圧及び/又は電流を遮断し(順方向若しくは逆方向遮断状態)又は通過(順方向動作状態)させるように設計される。例えば、遮断状態においては、パワー半導体デバイスは、数百又は数千ボルトの電位を維持するように設計されてもよい。
【0004】
パワー半導体デバイスは、横構造又は縦構造を有することができる。横構造を有するデバイスにおいては、デバイスの端子(例えば、パワーMOSFETのドレイン、ゲート、及びソース端子)は、半導体層構造の同じ主表面(すなわち、上面又は下面)上にある。対照的に、縦構造を有するデバイスにおいては、半導体層構造の各主表面上に、少なくとも1つの端子が設けられる(例えば、縦構造のMOSFETにおいては、ソース及びゲートは、半導体層構造の上面にあってもよく、ドレインは、半導体層構造の底面にあってもよい)。縦構造は、高電流密度を支持し、高電圧を遮断することができる厚い半導体ドリフト層を可能にするので、縦構造は、通常、非常に高電力の用途で使用される。本明細書では、「半導体層構造」という用語は、半導体基板及び/又は半導体エピタキシャル層のような1つ以上の半導体層を含む構造を指す。
【0005】
従来の炭化ケイ素パワーデバイスは、通常、炭化ケイ素ウェハのような炭化ケイ素基板を有し、その上にエピタキシャル層構造が形成される。このエピタキシャル層構造(1つ以上の別個の層を含んでもよい)は、パワー半導体デバイスのドリフト領域として機能する。デバイスは、通常、p-n接合及び/又はショットキー接合を有する1つ以上のパワー半導体デバイスを含む「活性領域」を含む。活性領域は、ドリフト領域上及び/又はドリフト領域内に形成されてもよい。活性領域は、逆バイアス方向の電圧を遮断し、順バイアス方向に電流を供給するための主接合として機能する。パワー半導体デバイスは、各パワー半導体デバイスの活性領域が、単一のパワー半導体デバイスとして機能するように電気的に並列に接続された多数の個別の「ユニットセル」デバイスを含む、ユニットセル構造を有してもよい。高電力の用途においては、このようなデバイスは、数千又は数万のユニットセルを含んでもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、ワイドバンドギャップ半導体層構造と、ワイドバンドギャップ半導体層構造の上面上の上側金属被膜とを含む半導体デバイスが提供される。上側金属被膜は、ワイドバンドギャップ半導体層構造の上面上の第1の導電性拡散障壁層と、第1の導電性拡散障壁層の上面上の導電性コンタクト層と、導電性コンタクト層内に埋設された粒子停止層とを含む。
【0007】
幾つかの実施形態においては、半導体デバイスは、ワイドバンドギャップ半導体層構造上で延伸する複数のゲートフィンガーと、ゲートフィンガー上の金属間誘電体パターンであって、金属間誘電体パターンは、それぞれのゲートフィンガーを覆う複数の誘電体フィンガーを含み、開口部を含む金属間誘電体パターンとを更に含んでもよい。例えば、半導体デバイスは、半導体層構造に複数のソース領域を有するMOSFETであってもよい。このような実施形態においては、導電性コンタクト層は、半導体層構造の第1の側にあり、ソース領域に電気的に接続されたソースコンタクト層であり、半導体デバイスは、第1の側の反対側にある半導体層構造の第2の側にドレインコンタクト層を更に含む。他の実施形態においては、半導体デバイスは、IGBT又はHEMTを備えてもよい。
【0008】
幾つかの実施形態においては、粒子停止層は、第2の導電性拡散障壁層であってもよい。このような実施形態においては、第2の導電性拡散障壁層は、チタンを含んでもよい。
【0009】
幾つかの実施形態においては、粒子停止層は、非平面の上面を有してもよい。
【0010】
幾つかの実施形態においては、粒子停止層は、薄い金属酸化物層であってもよい。
【0011】
幾つかの実施形態においては、粒子停止層は、ソースコンタクト層の上側30%内に埋設されてもよい。幾つかの実施形態においては、粒子停止層の少なくとも一部は、ソースコンタクト層の上面から1ミクロン内にあってもよい。
【0012】
幾つかの実施形態においては、粒子停止層は、不連続層であってもよい。
【0013】
幾つかの実施形態においては、粒子停止層は、第1の粒子停止層であってもよく、半導体デバイスは、導電性コンタクト層内に埋設された第2の粒子停止層を更に含んでもよい。幾つかの実施形態においては、第1の粒子停止層は、連続の粒子停止層であってもよく、第2の粒子停止層は、不連続の粒子停止層であってもよい。幾つかの実施形態においては、第1及び第2の粒子停止層はそれぞれ、連続の粒子停止層を備えてもよく、又はそれぞれ、不連続の粒子停止層を備えてもよい。
【0014】
粒子停止層は、ソースコンタクト層を下部及び上部に分割してもよい。幾つかの実施形態においては、ソースコンタクト層の下部及び上部の両方が、少なくとも1.5ミクロンの平均厚さを有してもよく、同じ材料で形成されてもよい。
【0015】
本発明の更なる実施形態によれば、ワイドバンドギャップ半導体層構造であって、その上面に複数のソース領域を有するワイドバンドギャップ半導体層構造と、ワイドバンドギャップ半導体層構造上で延伸する複数のゲートフィンガーと、ワイドバンドギャップ半導体層構造上のコンタクト層と、コンタクト層内に埋設された粒子停止層であって、非平面の上面を有する粒子停止層とを含む半導体デバイスが提供される。幾つかの実施形態においては、コンタクト層は、ソースコンタクト層であってもよい。
【0016】
幾つかの実施形態においては、ゲートフィンガー上の金属間誘電体パターンであって、金属間誘電体パターンは、それぞれのゲートフィンガーを覆う複数の誘電体フィンガーを含み、開口部を含む金属間誘電体パターンを更に備えてもよい。幾つかの実施形態においては、粒子停止層は、導電性拡散障壁層であってもよい。幾つかの実施形態においては、導電性拡散障壁層は、チタンを含んでもよい。
【0017】
幾つかの実施形態においては、導電性拡散障壁層は、第2の導電性拡散障壁層であってもよく、半導体デバイスは、第1の導電性拡散障壁層を更に含んでもよく、第1の導電性拡散障壁層は、第1の導電性拡散障壁層が金属間誘電体パターンとソースコンタクト層との間にあるように、金属間誘電体パターン上及び半導体層構造上にコンフォーマルに形成されている。
【0018】
幾つかの実施形態においては、導電性拡散障壁層は、ソースコンタクト層の上側30%内に埋設されてもよく、ソースコンタクト層の上面から1マイクロ内にあってもよい。
【0019】
幾つかの実施形態においては、導電性拡散障壁層は、ソースコンタクト層を下部及び上部に分割し、ソースコンタクト層の下部及び上部の両方が、少なくとも1.5ミクロンの平均厚さを有し、アルミニウムで形成されている。
【0020】
本発明の更なる別の実施形態によれば、ワイドバンドギャップ半導体層構造が形成される、半導体デバイスを製造する方法が提供される。そして、金属パターンが、ワイドバンドギャップ半導体層構造の上面上に形成される。金属間誘電体パターンが、金属パターン上に形成され、金属間誘電体パターンは、ワイドバンドギャップ半導体層構造の上面を露出する開口部を含む。第1の導電性拡散障壁層が、金属間誘電体パターンの上面上及びワイドバンドギャップ半導体層構造の露出された上面上に形成される。コンタクト層の第1の部分が、第1の導電性拡散障壁層の上面上に形成され、コンタクト層の第1の部分は、第1の材料を含む。粒子停止層が、コンタクト層の第1の部分上に形成される。コンタクト層の第2の部分が、粒子停止層の上面上に形成され、コンタクト層の第2の部分は、第1の材料を含む。そして、ウェットエッチングを含むプロセスが、(任意選択で)ソースコンタクト層の第2の部分に実行されてもよい。
【0021】
幾つかの実施形態においては、ソースコンタクト層の第1の部分上に粒子停止層を形成するステップは、ソースコンタクト層の第1の部分上に導電性拡散障壁層を形成するステップを含んでもよい。
【0022】
幾つかの実施形態においては、ソースコンタクト層の第1の部分上に粒子停止層を形成するステップは、ソースコンタクト層の第1の部分上に不連続材料層を形成するステップを含んでもよく、不連続材料層は、ソースコンタクト層に含まれる何れかの金属とは異なる金属を含む。
【0023】
幾つかの実施形態においては、ソースコンタクト層の第1の部分上に粒子停止層を形成するステップは、ソースコンタクト層の第1の部分の上面を酸化させることを可能にするために、ソースコンタクト層の成長を中断させるステップを含んでもよい。幾つかの実施形態においては、酸素が、ソースコンタクト層の成長の中断の直前及び/又は中断中に成長装置に注入されてもよい。
【0024】
幾つかの実施形態においては、粒子停止層は、第1の粒子停止層であってもよく、ソースコンタクト層内に埋設された第2の粒子停止層が形成されてもよい。
【0025】
幾つかの実施形態においては、ドレインコンタクトが、ワイドバンドギャップ半導体層構造の下面上に形成されてもよい。
【0026】
幾つかの実施形態においては、粒子停止層の上面は、非平面であってもよい。
【0027】
幾つかの実施形態においては、ソースコンタクト層の第1の部分の厚さは、ソースコンタクト層の第2の部分の厚さの少なくとも2倍であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】従来のパワーMOSFETの幾つかのユニットセルのための上側金属被膜構造の概略断面図である。
【
図2】本発明の実施形態による、複数のパワーMOSFETを含む半導体ウェハの概略平面図である。
【
図3A】
図2の半導体ウェハに含まれるパワーMOSFETのうちの1つの概略平面図である。
【
図3B】上側ソース金属被膜構造、ゲートボンドパッド、及び金属間誘電体パターンが省略された
図3AのパワーMOSFETの概略平面図である。
【
図3C】上側ソース金属被膜構造及び金属間誘電体パターンの一部が省略された
図3BのパワーMOSFETの幾つかの隣接するユニットセルの一部の概略平面図である。
【
図3D】
図3Cに上側ソース金属被膜構造及び金属間誘電体パターンの残余部が追加された
図3Cの線3D-3Dに沿って取られた概略断面図である。
【
図4】本発明の更なる実施形態による、不連続の粒子停止層を有するパワーMOSFETを例示する概略断面図である。
【
図5】本発明の更なる別の実施形態による、複数の埋設された導電性拡散障壁層を有するパワーMOSFETを例示する概略断面図である。
【
図6】本発明の追加の実施形態による、少なくとも1つの埋設された導電性拡散障壁層及び少なくとも1つの埋設された不連続の粒子停止層を有するパワーMOSFETを例示する概略断面図である。
【
図7】本発明の更なる追加の実施形態による、粒子停止層として機能する複数の埋設された酸化物層を含むソースコンタクト層を有するパワーMOSFETを例示する概略断面図である。
【
図8】本発明の実施形態による、パワーMOSFETを形成する方法のフローチャートである。
【
図9A】本発明の実施形態による、nチャネルIGBTの簡略化された回路図である。
【
図9B】
図9AのIGBTのユニットセルの対の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
例えば、パワーMOSFET及びIGBTのようなパワー半導体デバイスは、通常、デバイスの端子を外部構造に接続するために使用される上側金属被膜構造を含む。例えば、縦構造を有するパワーMOSFETは、半導体層構造、デバイスのソース端子として機能する上側ソース金属被膜構造、デバイスのゲート端子として機能する上側ゲート金属被膜構造、及びデバイスのドレイン端子として機能する「裏側」ドレイン金属被膜構造を含む。
図1は、幾つかのユニットセルの上側ソース金属被膜構造を示す従来のパワーMOSFET10の概略断面図である。
【0030】
図1に示されるように、従来のパワーMOSFET10は、半導体層構造20、及び半導体層構造20の上面上に形成される上側ソース金属被膜構造60を含む。半導体層構造20の上部のみが、図を簡略化するために
図1に示される。半導体層構造20は、例えば、炭化ケイ素半導体基板及び/又はその上にエピタキシャル成長した1つ以上の炭化ケイ素層を備えてもよい。ソース領域28は、半導体層構造20の上面に形成される。
図1には示されていないが、半導体層構造20の下面上に、ドレインコンタクトが形成される。
【0031】
半導体層構造20の上面上に、複数のゲートフィンガー34が形成される。各ゲートフィンガー34は、棒状の金属パターンを含んでもよく、ゲートフィンガー34は、互いに平行に延伸してもよい。各ゲートフィンガー34と半導体層構造20の上面との間には、ゲートフィンガー34を半導体層構造20から絶縁するために、ゲート絶縁パターン40が形成される。ゲート絶縁パターン40は、パターン化された酸化ケイ素層を含んでもよい。ゲートフィンガー34の形成後、複数の誘電体フィンガー52を含む金属間誘電体パターン50が、半導体層構造20の上面上に形成される。各誘電体フィンガー52は、ゲートフィンガー34のそれぞれの1つの側壁及び上面を覆ってもよい。半導体層構造20の上面のソース領域28を露出させる隣接する誘電体フィンガー52間に、ギャップ54が設けられる。隣接する誘電体フィンガー52間のピッチは非常に小さくてもよく、それ故に、ギャップ54は、例えば、1~5ミクロンのような対応する狭い幅を有する。
【0032】
上側ソース金属被膜構造60は、導電性拡散障壁層70及びソースコンタクト金属層80を含む。導電性拡散障壁層70は、金属間誘電体パターン50上及び半導体層構造20の上面の露出されたソース領域28上にコンフォーマルに形成されてもよい。導電性拡散障壁層70は、例えば、ウェットエッチング液のような材料が金属間誘電体パターン50に拡散するのを防ぐように設計されてもよい。
【0033】
ソースコンタクト層80は、高導電性金属層を含んでもよい。ソースコンタクト層80が滑らかな上面を有することが概して望ましいが、これは、後の処理ステップ中にデバイス10に適用されるウェットエッチング液又は他の材料がデバイスから完全に洗い流されることができる可能性を高める場合があるからである。しかし、実際には、一部のパワー半導体デバイスに対して、このような滑らかな上面を得ることが実用的ではなく、又は不可能でさえある場合がある。上記で議論されたように、炭化ケイ素パワーデバイスにおいては、各ギャップ54の幅は、1~5ミクロンのオーダーのように非常に狭くてもよい。ギャップ54はまた、2より大きい高さ対幅のアスペクト比を有してもよい。上側ソース金属被膜構造60が堆積されると、ギャップ54が充填されるが、一般的に鍵穴62と呼ばれる深い窪みが、通常、ギャップ54の上の領域の上側ソース金属被膜構造60に形成される。その上、実際には、ギャップ54の全てが完全に充填されない場合があり、それ故に、小さい間隙(示されていない)が、上側ソース金属被膜構造60内に存在する場合がある。
【0034】
多くの場合に、ウェットエッチングのようなウェットケミストリが、上側ソース金属被膜構造60が形成された後に、MOSFET10上で実行されてもよい。ウェットケミストリ処理ステップが完了した後、このようなウェットケミストリで使用されるウェットエッチング液を完全に洗い流すことが非常に困難な場合がある。これは、深い鍵穴62及び/又はピンホールを含む非平面の上面を有するMOSFET10のようなデバイスに特に当てはまる。ウェットエッチング液又は他の腐食性材料が完全に洗い流されない場合には、それらはソースコンタクト層80の上面に浸透する場合がある。ウェットエッチング液は、ソースコンタクト層80を侵食する場合があり、更に重要なことに、拡散経路がソースコンタクト層80内に存在する場合には、上側金属被膜構造60内に深くに拡散する場合がある。化学物質が上側ソース金属被膜構造60を貫通する場合には、それは金属間誘電体パターン50を攻撃する場合がある。これが発生した場合には、ゲートフィンガー34と上側ソース金属被膜構造60との間に、電気的短絡が形成される場合がある。このような電気的短絡は、デバイスのソースコンタクト(ソースコンタクト層80の一部又はソースコンタクト層80に電気的に接続された別個の金属層であってもよい)を、ゲートフィンガー34に電気的に接続されたゲートコンタクト(示されていない)に電気的に接続する。単一のユニットセルでさえこのような電気的短絡の形成は、MOSFET10の損傷又は破壊をもたらす場合がある。このような電気的短絡は極めて稀に発生する場合がある一方で、デバイス10に多数のユニットセルトランジスタがある場合には、1,000,000分の1の故障率であっても許容できない場合がある。
【0035】
ソースコンタクト層80は、金属がより低粘性であり、間隙を形成することなくギャップ54をよりよく充填するために、高温(例えば、475℃)で堆積された金属層(例えば、アルミニウム)である場合がある。しかし、高温堆積はまた、単結晶材料の形成を助長する。その結果、
図1に示されるように、ソースコンタクト層80は、大きい金属粒子82を有する場合があり、それらは、それらの間の粒界84を画定する。単結晶構造に起因して、粒界84は、ソースコンタクト層80を通って(すなわち、導電性拡散障壁層70に隣接するソースコンタクト層80の下面86からソースコンタクト層80の上面88まで)完全に延伸する場合がある。粒界84は、ウェットエッチング液又は他の腐食性材料の拡散経路として機能する場合がある。その上、粒界84が、ソースコンタクト層80をほとんど又は完全に通って延伸する場合があるので、粒界84は、ウェットエッチング液がソースコンタクト層80を完全に貫通させる場合がある。導電性拡散障壁層70が、通常、ソースコンタクト層80の底部に到達するウェットエッチング液がこれ以上拡散するのを防ぐ一方で、上記のように、ギャップ54内の導電性拡散障壁層70に小さい間隙が存在する場合がある。これらの間隙は、これらを通る拡散経路を提供する場合がある導電性拡散障壁層70の欠陥を表す。そしてウェットエッチング液は、上側ソース金属被膜構造60とゲートフィンガー34との間に電気的短絡を生成するために、金属間誘電体パターン50を通り抜けて「侵食」する場合がある。この結果、導電性拡散障壁層70の欠陥(例えば、小さいギャップ54内の不十分な充填による)及びソースコンタクト層80の大きい粒界84を組み合わせた金属被膜後のウェットケミストリは、ウェットエッチング液が、状況によっては、上側ソース金属被膜構造60を貫通して金属間誘電体パターン50に到達することを可能にする場合がある。上記のように、これは、多くのハイパワー半導体デバイスの潜在的な故障メカニズムである場合がある。
【0036】
本発明の実施形態によれば、上側金属被膜構造であって、各々がそれに埋設された少なくとも1つの粒子停止層を有する上側金属被膜構造を含むパワー半導体デバイスが提供される。埋設された粒子停止層は、代替的又は追加的に上側金属被膜構造の下部に形成されてもよいが、埋設された粒子停止層は、例えば、上側金属被膜構造の中央部又は上部に形成された導電性拡散障壁層を備えてもよい。埋設された粒子停止層は、上側金属被膜構造の金属における個々の粒子の成長を停止してもよく、新しい粒子のための核生成サイトとして機能してもよく、それ故に、上側金属被膜構造における個々の粒子のサイズを低減してもよい。結果として、粒子停止層は、上側金属被膜構造を通ってほとんど又は完全に延伸する粒界を低減し、又は排除さえしてもよい。小さい粒子サイズはまた、例えば、後続のめっきプロセスのような特定の後続の化学プロセスにとって有利であってもよい。幾つかの実施形態においては、粒子停止層は、ウェットエッチング液が上側金属被膜構造を貫通するのを防ぐための追加の障壁を提供してもよい第2の導電性拡散障壁層を備えてもよい。埋設された粒子停止層は、上側金属被膜構造の金属層の中間部に形成されてもよく、それ故に、金属層は、粒子停止層の下側及び上側の両方にあってもよい。埋設された粒子停止層は、ウェットエッチング液又は他の腐食性材料が上側金属被膜を通って完全に拡散する場合があり、それがデバイスの故障を引き起こす場合がある可能性を大幅に低減してもよい。幾つかの実施形態においては、粒子停止層は、例えば、ソースコンタクト層の上部15%内のような上側金属被膜構造の上面近くに形成されてもよい。
【0037】
幾つかの実施形態においては、パワー半導体デバイスは、ワイドバンドギャップ半導体層構造の上面上で延伸する複数のゲートフィンガーを含むパワーMOSFETであってもよい。金属間誘電体パターンが、ゲートフィンガー上に形成され、金属間誘電体パターンは、それぞれのゲートフィンガーを覆う複数の誘電体フィンガーを含む。金属間誘電体パターンの開口部は、ワイドバンドギャップ半導体層構造の上面の一部を露出させる。上側ソース金属被膜構造は、金属間誘電体パターン上及びワイドバンドギャップ半導体層構造の上面の露出部上に設けられる。上側ソース金属被膜構造は、金属間誘電体パターン上及びワイドバンドギャップ半導体層構造の上面の露出部上の第1の導電性拡散障壁層、第1の導電性拡散障壁層の上面上のソースコンタクト層、及びソースコンタクト層内に埋設された粒子停止層を含む。
【0038】
粒子停止層は、ソースコンタクト層を下部及び上部に分割してもよい。幾つか実施形態においては、ソースコンタクト層の下部は、少なくとも0.5ミクロンの厚さを有してもよい。他の実施形態においては、ソースコンタクト層の下部の厚さは、少なくとも1.0ミクロン、少なくとも1.5ミクロン、少なくとも2.0ミクロン、少なくとも2.5ミクロン、又は少なくとも3.0ミクロンであってもよい。幾つかの実施形態においては、ソースコンタクト層の上部はまた、少なくとも0.5ミクロンの厚さを有してもよい。他の実施形態においては、ソースコンタクト層の上部の厚さは、少なくとも1.0ミクロン、少なくとも1.5ミクロン、少なくとも2.0ミクロン、少なくとも2.5ミクロン、又は少なくとも3.0ミクロンであってもよい。ソースコンタクト層の下部及び上部は同じ材料で構成される。例えば、ソースコンタクト層の下部は、少なくとも1.0、1.5、2.0、2.5、又は3.0ミクロンの平均厚さを有するニッケル、チタン、タングステン、及び/若しくはアルミニウム(並びに/又はこれら及び/若しくは同様の材料の合金及び/若しくは薄層スタック)の層を備えてもよく、ソースコンタクト層の上部は、少なくとも1.0、1.5、2.0、2.5、又は3.0ミクロンの平均厚さを有するニッケル、チタン、タングステン、及び/若しくはアルミニウム(並びに/又はこれら及び/若しくは同様の材料の合金及び/若しくは薄層スタック)の層を備えてもよい。
【0039】
幾つかの実施形態においては、粒子停止層は、非平面の上面及び/又は非平面の下面を有してもよい。言い換えれば、粒子停止層は、ソースコンタクト層の下部の非平面の上面の輪郭に従うコンフォーマルな層であってもよい。粒子停止層の非平面の上面は、新しい粒子のための核生成サイトを生成するのを促進してもよく、それ故に、粒子サイズ及び粒界の長さの全体的な低減に寄与してもよい。粒子停止層は、例えば、連続の導電性拡散障壁層、不連続の材料層、及び/又は成長中にソースコンタクト層の内部を酸化することによって形成されてもよい薄い酸化物層を備えてもよい。
【0040】
本明細書の議論は、MOSFET、IGBT、又はHEMTデバイスのようなソースコンタクトを含むパワー半導体デバイスに焦点を合わせているが、本明細書に開示される技術は、このようなデバイスに限定されないことが理解されるであろう。特に、ダイオード、BJT、GTO、等がまた、本明細書に開示される技術から利益を得てもよい。
【0041】
次に、本発明の実施形態が、本発明の例示的な実施形態が示される
図2~
図8を参照して更に詳細に議論される。
【0042】
図2は、本発明の実施形態による複数のパワーMOSFET110を含む半導体ウェハ100の概略平面図である。パワーMOSFET110は、行方向及び列方向に形成されてもよく、パッケージング及び試験のために個々のパワーMOSFET110を分離するために、ウェハ100が後に単体化(例えば、ダイシング)されてもよいように、互いに離間されてもよい。幾つかの実施形態においては、ウェハ100は、例えば、その上に(例えば、エピタキシャル成長によって)形成された1つ以上の炭化ケイ素層を有する4H炭化ケイ素基板を備えてもよい。他の半導体層(例えば、ポリシリコン層)、絶縁層、及び/又は金属層が、パワーMOSFET110を形成するために、炭化ケイ素半導体層構造上に形成されてもよい。場合によっては、炭化ケイ素基板は、他の半導体層がその上に形成された後に薄くなり、又は除去さえされてもよい。
【0043】
図3Aは、
図2の半導体ウェハ100上に含まれるパワーMOSFET110のうちの1つの概略平面図である。
図3Bは、その上側ソース金属被膜構造、ゲートボンドパッド、及び金属間誘電体パターンが省略された
図3AのパワーMOSFET110の概略平面図である。
【0044】
図3Aに示されるように、ゲートボンドパッド112及び1つ以上のソースボンドパッド114-1、114-2は、MOSFET110の半導体層構造120の上面上に形成されてもよい。ドレインボンドパッド116(
図3Aに点線のボックスとして示される)は、MOSFET110の底側上に設けられてもよい。各ボンドパッド112、114、116は、アルミニウムのような金属で形成されてもよく、そのボンドワイヤは、熱圧着又は半田付けのような従来の技術を介して容易に取り付けられることができる。
【0045】
以下でより詳細に議論されるように、MOSFET110は、MOSFET110の半導体層構造120のソース領域128を外部デバイスに電気的に接続する上側金属被膜構造160を含む。上側金属被膜構造160の重要な部分がポリイミド層のような保護層118によって覆われるように、上側金属被膜構造160は、
図3Aの破線のボックスで示される。幾つかの実施形態においては、ソースボンドパッド114-1、114-2は、保護層118の開口部を通って露出される上側金属被膜構造160の一部であってもよい。ゲートボンドパッド112及びソースボンドパッド114-1、114-2を外部回路等に接続するために使用されてもよいボンドワイヤ119が
図3Aに示される。
【0046】
図3Bに示されるように、ゲートパッド132、複数のゲートフィンガー134、及びゲートフィンガー134をゲートパッド132に電気的に接続する1つ以上のゲートバス136を含むゲート電極パターン130が設けられてもよい。幾つかの実施形態においては、ゲート電極パターン130は、例えば、ポリシリコンパターンを備えてもよいが、金属又は他の導電性パターンがまた使用されることができる。幾つかの実施形態においては、ゲートパッド132は、ゲートボンドパッド112の真下にあり、それに電気的に接続されてもよく、ゲートフィンガー134は、デバイスを横切って水平に延伸してもよい。他の実施形態においては、ゲートパッド132はまた、ゲートボンドパッド112として機能してもよい。他の構成が可能である。金属間誘電体パターン150(
図3Bには示されていないが、
図3Cを参照)は、それぞれのゲートフィンガー134及びゲートバス136を覆う複数の個別の誘電体フィンガー152を備えてもよい。上側ソース金属被膜構造160は、金属間誘電体パターン150上に形成されてもよい。上側ソース金属被膜構造160は、導電性拡散障壁層170、ソースコンタクト層180、及びソースコンタクト層180内に埋設された粒子停止層190を含む。MOSFET110は、並列に配置された複数のユニットセルトランジスタ111を含む。幾つかの隣接するユニットセル111の一部の位置が、状況を提供するために
図3Bに示される。
【0047】
図3Cは、その上側ソース金属被膜構造160及び金属間誘電体パターン150の各誘電体フィンガー152の上部が下にあるゲートフィンガー134を示すために省略された
図3BのパワーMOSFET110の幾つかの隣接するユニットセル111の一部の概略平面図である。
図3Dは、上側ソース金属被膜構造160及び金属間誘電体パターン150の残余部が図に追加された
図3Cの線3D-3Dに沿って取られた概略断面図である。
図3C及び
図3Dは、状況を提供するために、1つの完全なユニットセル111及びその両側の2つの追加のユニットセル111の一部を例示することが理解されるであろう。
【0048】
図3C及び
図3Dを参照すると、ユニットセルトランジスタ111は、例えば、nタイプ不純物で高濃度にドープ(例えば、1×10
18原子/cm
3~1×10
21原子/cm
3の間)された単結晶4H炭化ケイ素半導体基板のようなnタイプ炭化ケイ素半導体基板122上に形成されてもよい。本明細書では、半導体材料の「ドーピング濃度」は、半導体材料が、二次イオン質量分析(「SIMS」)のような標準的な測定技術を使用して測定されたような、半導体材料の立方センチメートル内に存在する特定の伝導性タイプ(すなわち、nタイプ又はpタイプの何れか)を有する原因となるドーパント原子の数を指す。幾つかの実施形態においては、基板122は、任意の適切な厚さ(例えば、100~500ミクロンの間の厚さ)を有してもよく、部分的又は完全に除去されてもよい。
【0049】
ドレインコンタクトは、半導体基板122の下面上に形成されてもよい。ドレインコンタクトは、半導体基板122へのオーミックコンタクト及びMOSFET110のドレイン端子と外部デバイスとの間の電気的接続を提供するドレインボンドパッド116の両方として機能してもよい。他の実施形態においては、ドレインコンタクトは、ドレインボンドパッド116から分離されてもよい(例えば、ドレインボンドパッド116として機能するドレインコンタクト上に、第2の層が形成されてもよい)。描写された実施形態においては、オーミックドレインコンタクト及びドレインボンドパッドの両方として機能する単一の金属層116が、半導体基板122の下面上に形成される。ドレインコンタクト/ドレインボンドパッド116は、例えば、ニッケル、チタン、タングステン、及び/若しくはアルミニウムのような金属、並びに/又はこれら及び/若しくは同様の材料の合金及び/若しくは薄層スタックを含んでもよい。
【0050】
基板122の上面上に、低濃度にドープされたnタイプ(n
-)炭化ケイ素ドリフト領域124が設けられる。nタイプ炭化ケイ素ドリフト領域124は、例えば、炭化ケイ素基板122上でのエピタキシャル成長によって形成されてもよい。nタイプ炭化ケイ素ドリフト領域124は、例えば、1×10
14~1×10
16ドーパント/cm
3のドーピング濃度を有してもよい。nタイプ炭化ケイ素ドリフト領域124は、例えば、3~100ミクロンの基板122の上の垂直高さを有する厚い領域であってもよい。
図3Dには示されていないが、幾つかの実施形態においては、nタイプ炭化ケイ素ドリフト領域124の上部は、nタイプ炭化ケイ素ドリフト領域124の上部に電流拡散層を設けるために、その下部より高濃度にドープ(例えば、1×10
16~5×10
16ドーパント/cm
3のドーピング濃度)されてもよい。
【0051】
nタイプドリフト領域124の上部に、pタイプウェル領域126が形成される。そして、高濃度にドープされた(n
+)nタイプ炭化ケイ素ソース領域128が、例えば、イオン注入によって、ウェル領域126の上部に形成されてもよい。ウェル領域126の側面に、チャネル領域が形成される。基板122、ドリフト領域124、ウェル領域126、及びソース領域128が、共に、
図3A及び
図3Bを参照して上記で議論された半導体層構造120を備えてもよい。
【0052】
nタイプソース領域128が形成された後、半導体層構造120の上面上に、ゲート絶縁パターン140が形成されてもよい。ゲート絶縁パターン140は、例えば、酸化シリコンパターン、窒化シリコンパターン、又は酸窒化シリコンパターンを備えてもよいが、他の絶縁材料が使用されてもよい。ゲート絶縁パターン140上に、ポリシリコンゲートフィンガー134のようなゲートフィンガー134が形成される。チャネル領域は、十分なバイアス電圧がゲートフィンガー134に印加される場合には、nタイプソース領域128をドリフト領域124に電気的に接続する。バイアス電圧がゲートフィンガー134に印加される場合には、電流が、nタイプソース領域128からウェル領域126の側面のチャネル領域を通ってドリフト領域124に流れ、ドレインコンタクト116に流れてもよい。
【0053】
誘電体材料の離間されたストライプの形態の複数の誘電体フィンガー152を備えてもよい金属間誘電体パターン150が形成される。金属間誘電体パターン150は、例えば、酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、酸化ケイ素層と窒化ケイ素層との組み合わせ、又はリフローされたボロホスホシリケートガラス(Boro-Phospho-Silicate-Glass「BPSG」)パターンを備えてもよい。各誘電体フィンガー152は、ゲートフィンガー134のそれぞれの1つの上面および側壁を覆ってもよい。nタイプソース領域128は、隣接する誘電体フィンガー152間のギャップ154に露出される。上記で議論されたように、炭化ケイ素パワーデバイスにおいては、各ギャップ154の幅は、1~5ミクロンのオーダーのように非常に狭くてもよい。その上、技術が発展し続けるにつれて、ギャップ154はより狭くなり、0.5ミクロンという狭いギャップ154が近い将来、商用デバイスで実現されてもよい。このような小さいギャップ154は、上側ソース金属被膜構造160に間隙を形成することなく、上側ソース金属被膜構造160(以下で議論される)で充填することが困難である場合がある。
【0054】
上側ソース金属被膜構造160は、金属間誘電体パターン150上及び半導体層構造120の露出されたnタイプソース領域128上に形成される。上側ソース金属被膜構造160は、導電性拡散障壁層170、ソースコンタクト層180、及びソースコンタクト層180内に埋設された粒子停止層190を含む。導電性拡散障壁層170は、隣接する層に対して相対的に不活性であり、それを通る他の材料の拡散を遅らせ、又は実質的に防止する金属又は金属含有層であってもよい。導電性拡散障壁層170は、例えば、チタン、タングステン、タンタル、ニッケル、ハフニウム、及び/又はインジウムを含む連続の導電層を備えてもよい。例えば、導電性拡散障壁層170は、チタン、タンタル、ニッケル、ハフニウム、タングステン、窒化チタン、窒化タングステン、酸化インジウム、又は窒化タンタルを含んでもよい。1つの例示的な実施形態においては、導電性拡散障壁層170は、チタン層であってもよい。導電性拡散障壁層170は、半導体層構造120の露出部上(例えば、ソース領域128上)及び金属間誘電体パターン150上にコンフォーマルに形成されてもよい。導電性拡散障壁層170は、通常、ソースコンタクト層180に含まれる金属より導電性が低い金属で形成される。このように、導電性拡散障壁層170は、上側ソース金属被膜構造160の抵抗に対するその影響を低減するために、相対的に薄い層であってもよい。幾つかの実施形態においては、導電性拡散障壁層170は省略されてもよい(これは、
図3A~
図3DのMOSFET110に対してだけでなく、本明細書に開示される追加の実施形態の各々に対しても当てはまる)。
【0055】
ソースコンタクト層180は、導電性拡散障壁層170上にコンフォーマルに形成されてもよい。ソースコンタクト層180は、例えば、ニッケル、チタン、タングステン、及び/若しくはアルミニウムのような金属、並びに/又はこれら及び/若しくは同様の材料の合金及び/若しくは薄層スタックを含んでもよい。幾つかの実施形態においては、ソースコンタクト層180は、アルミニウムは相対的に安価で、導電性が高く、堆積が容易であり、他の金属のための良好なシード層として機能してもよいので、アルミニウム層を備えてもよい。ソースコンタクト層180は、導電性拡散障壁層170より実質的に厚くてもよい。ソースコンタクト層180の厚さは、上側ソース金属被膜構造160の抵抗(低いことが望ましい)と、ソース領域128の上にあるソースコンタクト層180の一部に形成する傾向がある鍵穴162の深さとの間のトレードオフを反映してもよい。一般的に言えば、ソースコンタクト層180の厚さが増加するにつれて、ソースコンタクト層180の抵抗は増加し、一方、鍵穴162の平均深さは減少する。
【0056】
ソースコンタクト層180の材料としてアルミニウムが使用される場合には、通常の堆積温度は、450~475℃のオーダーである。より高い堆積温度が使用されることができる一方、堆積温度がより高くなると、ソースコンタクト層180における粒子182のサイズはより大きくなる。この結果、堆積温度は、ソースコンタクト層180の粒子サイズを低減するために必要以上に意図的に低く設定されてもよい。しかし、本発明の実施形態は、粒子サイズを低減するために異なる別個の技術を使用してもよく、すなわち、粒子停止層190を設けてもよいので、堆積温度は、幾つかの実施形態においては475~550℃の間、他の実施形態においては500~550℃の間、及びまた更なる実施形態においては510~540℃の間になるように上げてもよい。このような高い堆積温度の使用は、ソースコンタクト層180のギャップ充填特性を改善してもよく、それ故に、デバイスの故障率を更に低減させてもよい。
【0057】
粒子停止層190は、ソースコンタクト層180内に埋設される。幾つかの実施形態においては、粒子停止層190は、第2の導電性拡散障壁層を備えてもよい。このような実施形態においては、粒子停止層190は、それを通る他の材料の拡散を遮断する傾向がある1つ以上の金属を含む連続層を備えてもよい。粒子停止層190が第2の導電性拡散障壁層として実装される例示的な実施形態においては、粒子停止層190は、ニッケル、タンタル、チタン、ハフニウム、タングステン、窒化チタン、酸化インジウム、窒化タングステン、窒化タンタル、及び/又はこれらの組み合わせを含んでもよい。粒子停止層190は、ソースコンタクト層180を形成するために使用される材料と化学的に適合性があってもよく、導電層であってもよい。しかし、以下で議論されるように、他の実施形態においては、粒子停止層190は、特に導電性がなくてもよい酸化物層であってもよいが、電子が層を通ってトンネルするのに十分に薄くてもよく、それ故に、層が上側ソース金属被膜構造160の全体的な伝導率を妨げない。粒子停止層190は、第2の導電性拡散障壁層として実装される場合には、それを通るウェットエッチング液又は他の材料の拡散に抵抗してもよく、また、新しい粒子が粒子停止層190の上側に形成されるように、ソースコンタクト層180における粒子の成長を中断させる層として機能してもよい。
【0058】
粒子停止層190を第2の導電性拡散障壁層として構成することが有利であってもよい一方、本発明の実施形態はこれに限定されない。特に、他の実施形態でにおいては、粒子停止層190は、新しい粒子が形成する核生成層として機能することによって、単にソースコンタクト層180における粒子182を破壊するように設計された層であってもよい。このような実施形態においては、粒子停止層190は、粒界184のサイズ、特に、ソースコンタクト層180の上面188から下面186まで完全に延伸する粒界の数を低減するように機能するだけであってもよい。これは、ウェットエッチング液又は他の腐食性材料が拡散する場合があるソースコンタクト層180を通る長い拡散経路を低減又は排除してもよい。
【0059】
単にソースコンタクト層180における粒子182を破壊するように設計された粒子停止層190は、例えば、ソースコンタクト層180の中央部又は上部に異なる導電性材料の薄層を形成することによって形成されてもよいが、粒子停止層は、代替的に、ソースコンタクト層の下部に形成されてもよい。使用される導電性材料は、拡散障壁層として機能する材料である必要はなく、及び/又は導電性材料の薄層は、層が導電性拡散障壁層として動作しないように不連続層であってもよい。しかし、異なる材料層を形成することによって、ソースコンタクト層180の材料における粒子の成長は、介在する薄い粒子停止層190によって中断されてもよい。ソースコンタクト層180の成長が再開される場合には、ソースコンタクト材料の新しい粒子が、粒子停止層190の上面上で核生成する。この結果、幾つかの実施形態においては、粒子停止層190は、導電性拡散障壁層であってもよい一方、そうである必要はない。
【0060】
ソースコンタクト層180(その中に埋設された任意の粒子停止層190を含む)は、縦方向にXの平均高さを有してもよく(「高さ」は、基板122の底面に垂直な方向の層の厚さを指す)、粒子182の平均高さは、Yに等しくてもよい。例として、値Xは、幾つかの実施形態においては2.5ミクロン~6.5ミクロンの間であってもよく、他の実施形態においては3.0~6.0ミクロンの間であってもよく、また他の実施形態においては3.5~5.5ミクロンの間であってもよく、また更なる実施形態においては4.0~5.0ミクロンの間であってもよい。更なる例として、値Yは、幾つかの実施形態においては2.5ミクロン未満、他の実施形態においては2.0ミクロン未満、更なる実施形態においては1.5ミクロン未満、他の実施形態においては1.0ミクロン未満、また更なる実施形態においては0.5ミクロン未満であってもよい。上記のケースの各々において、Yの値は、場合によっては少なくとも0.1ミクロンであってもよい。幾つかの実施形態においては、Y/Xの比は少なくとも1.5であってもよい。他の実施形態においては、Y/Xの比は少なくとも2.0であってもよい。また他の実施形態においては、Y/Xの比は少なくとも4.0であってもよい。また更なる実施形態においては、Y/Xの比は少なくとも8.0であってもよい。この結果、本発明の様々な実施形態においては、ソースコンタクト層180の平均高さに対するソースコンタクト層180における粒子182の平均高さ(すなわち、Y)の比は、少なくとも1.5、2.0、4.0、又は8.0であってもよく、幾つかの実施形態においては、20未満であってもよいことが理解されるであろう。
【0061】
その上、
図7の実施形態を参照して更に詳細に議論されるように、場合によっては、粒子停止層190は、単にソースコンタクト層180の堆積プロセスにおいて成長停止を追加することによって形成されてもよい。成長停止中に、成長装置にある酸素が、ソースコンタクト層180における粒子182の成長を中断させ、新しい粒子182の成長のための核生成サイトとして機能する薄い金属酸化物層を形成するために、ソースコンタクト層180の露出された表面を酸化してもよい。
【0062】
幾つかの実施形態においては、粒子停止層190は、例えば、縦方向(すなわち、半導体基板122の主表面に垂直な方向)のソースコンタクト層180の平均厚さの上半分内のように、上側ソース金属被膜構造160の上面近くに形成されてもよい。例えば、例示的な実施形態においては、粒子停止層190は、ソースコンタクト層180の平均厚さの上側40%に形成されてもよい。また他の実施形態においては、粒子停止層190は、ソースコンタクト層180の平均厚さの上側30%に又は上側20%内にさえ形成されてもよい。上側ソース金属被膜構造160の上面近くに粒子停止層190を有することは、ウェットエッチング液又は他の有害な化学物質が上側ソース金属被膜構造160内に深く浸透しないことを確実にするのに役立ってもよい。上面からの距離に関して、幾つかの実施形態においては、粒子停止層190は、平均して、ソースコンタクト層180の上面の2ミクロン内にあってもよい。他の実施形態においては、粒子停止層190は、平均して、ソースコンタクト層180の上面の1.5ミクロン内にあってもよい。また他の実施形態においては、粒子停止層190は、平均して、ソースコンタクト層180の上面の1ミクロン内にあってもよい。
【0063】
単一の粒子停止層190を含む実施形態においては、粒子停止層190は、ソースコンタクト層180を下部185及び上部187に分割してもよい。粒子停止層190は、ソースコンタクト層180の底部185の上面上にコンフォーマルに形成されてもよい。ソースコンタクト層180は非平面層であるので、粒子停止層190は同様に、非平面下面及び非平面上面を有する非平面層であってもよい。
【0064】
幾つかの実施形態においては、ソースコンタクト層180の下部185は、少なくとも0.5ミクロンの厚さを有してもよい。他の実施形態においては、ソースコンタクト層180の下部185の厚さは、少なくとも1.0ミクロン、少なくとも2.0ミクロン、又は少なくとも3.0ミクロンであってもよい。幾つかの実施形態においては、ソースコンタクト層180の上部187はまた、少なくとも0.5ミクロンの厚さを有してもよい。他の実施形態においては、ソースコンタクト層180の上部187の厚さは、少なくとも1.0ミクロン、少なくとも2.0ミクロン、又は少なくとも3.0ミクロンであってもよい。ソースコンタクト層180の下部185及び上部187は、同じ材料で形成される。例示的な実施形態においては、ソースコンタクト層180の下部185は、少なくとも2.0ミクロンの平均厚さを有するアルミニウム層を備えてもよく、ソースコンタクト層180の上部187は、少なくとも2.0ミクロンの平均厚さを有するアルミニウム層を備えてもよい。以下で議論されるように、本発明の幾つかの実施形態においては、2つ以上の粒子停止層190が、ソースコンタクト層180内に埋設されてもよい。複数の埋設された粒子停止層190を含む実施形態においては、ソースコンタクト層180の下部185及び/又は上部187は、複数の部分に細分されてもよい。
【0065】
粒子停止層190が形成された後、ソースコンタクト層180の残余部(すなわち、上部187)の形成が、ソースコンタクト層180内に粒子停止層190を埋設するために完了する。その後、例えば、Ni:Au無電解めっきプロセスのようなめっきプロセスが、ソースコンタクト層180の上面上にニッケル層(示されていない)及びそれに続く金層(示されていない)を形成するために、ソースコンタクト層180の露出された上面に実行されてもよい。ニッケル層は、焼結又は半田付けプロセスを介して堆積されてもよく、外部デバイスへのコンタクトとして機能してもよく、金層は、銀層の腐食保護層として機能してもよい。
【0066】
MOSFET110は、その上面にソースコンタクト層180を有し、その下面にドレインコンタクト116を有するnタイプデバイスである一方、pタイプデバイスにおいては、これらの位置は逆になっていることが理解されるであろう。その上、上記で説明されたパワーMOSFET110及び本明細書で説明される他のデバイスは、炭化ケイ素ベースの半導体デバイスであるように示される一方、本発明の実施形態はそれらに限定されないことが理解されるであろう。代わりに、半導体デバイスは、例えば、窒化ガリウムベースの半導体デバイス及びII-VI化合物半導体デバイスを含むパワー半導体デバイスでの使用に適する任意のワイドバンドギャップ半導体を備えてもよい。追加的に、本明細書で説明される本発明の例示的な実施形態は、パワー半導体デバイスである一方、本明細書で開示される粒子停止層を含む金属被膜構造は、パワー半導体デバイスだけでなく任意の半導体デバイスで使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0067】
この結果、本発明の実施形態によれば、ソースコンタクト180を通る拡散経路を低減又は排除し、及び/又は拡散に対する追加の障壁を提供する粒子停止層190の提供に起因するゲートからソースへの電気的短絡に起因するデバイス故障の影響を受けにくくてもよいパワーMOSFETが提供される。このように、本発明の実施形態によるパワーMOSFETは、より低い故障率を有してもよい。加えて、ソースコンタクト層180の金属におけるより小さいサイズの粒子182及び短縮された長さの粒界184は、例えば、ソースコンタクト層180の上面に実行されてもよい上記で説明されたNi:Au無電解めっきプロセスのような後の処理ステップにおいて有利であってもよい。
【0068】
本発明の実施形態による技術によって対処される課題は、例えば、炭化ケイ素及び/又は窒化ガリウムベースのデバイスのようなワイドバンドギャップパワー半導体デバイスに固有の課題である傾向がある。このようなデバイスにおいては、隣接する誘電体フィンガー152間のギャップ154は、シリコンベースのデバイスのようなナローバンドギャップ半導体デバイスにおいて形成されたMOSFETに設けられる対応するギャップよりはるかに狭くてもよい。このように、シリコンMOSFETにおいては、ソースコンタクト層の間隙が、隣接する誘電体フィンガー間のギャップに形成される傾向がなく、形成した任意の鍵穴が、ギャップのサイズがはるかに大きいことに起因して、はるかに浅くなる傾向がある。
【0069】
図1を参照して上記で議論された従来のパワーMOSFET10の上側ソース金属被膜構造60を通って拡散する腐食性材料の課題に対処する他の潜在的な方法があることに留意されるべきである。一例として、ギャップ54のアスペクト比は、例えば、ソース領域28の幅を拡大することによって低減されてもよい。これは、上側ソース金属被膜構造60のギャップ充填特性を改善してもよい。別の例として、ソースコンタクト層80における粒子82のサイズは、堆積パラメータを制御することによって低減されてもよい(例えば、堆積温度を下げることによって、粒子サイズは低減されてもよい)。粒子サイズはまた、ソースコンタクト層80の形成後の冷却シーケンスの条件によって影響を受けてもよい。同様に、堆積パラメータの変更が、ソースコンタクト層80の材料のギャップ充填特性を改善するために使用されてもよい(例えば、堆積温度の上昇が、ギャップ充填の改善を容易にしてもよい)。その上、ギャップ充填特性はまた、高精度堆積装置を使用することによって改善されてもよい。加えて、より一貫した被覆率を得、且つ間隙を低減又は防止するために、例えば、原子層堆積のような他の堆積技術が、ソースコンタクト層80の一部(例えば、ギャップ54における一部)を形成するために使用されることができる。
【0070】
図4は、本発明の更なる実施形態による、不連続の粒子停止層を有するパワーMOSFET210を例示する概略断面図である。パワーMOSFET210は、パワーMOSFET110に含まれる連続の粒子停止層190を有する上側ソース金属被膜構造160が、パワーMOSFET210に不連続の粒子停止層290を有する上側ソース金属被膜構造260に置き換えられるのを除いて、上記で議論されたパワーMOSFET110と同一であってもよい。
【0071】
図4に見られることができるように、粒子停止層290は、ソースコンタクト層の底部185の上面上の場所にのみ形成する不連続層である。不連続の粒子停止層290は、例えば、スパッタリング、電子ビーム蒸着、又は原子層堆積を含む様々な堆積技術によって形成されてもよい。粒子停止層290は、不連続であるので、通常、効果的な拡散障壁層としては機能しない。しかし、適切に形成された場合には、粒子停止層290は、ソースコンタクト層180における結晶成長を中断させ、新しい結晶成長のための核生成サイトとして機能し、それ故に、粒子停止層290は、ソースコンタクト層180における長い粒界184の形成を低減又は防止する。
【0072】
図5は、本発明のまた更なる実施形態による、複数の埋設された拡散障壁層を有するパワーMOSFET310を例示する概略断面図である。パワーMOSFET310は、パワーMOSFET310が、複数の粒子停止層390-1~390-3を有する上側ソース金属被膜構造360を含むのを除いて、上記で議論されたパワーMOSFET110と同一であってもよい。合計3つの粒子停止層390が
図5に示される一方、他の実施形態においては、2つの粒子停止層390又は4つ以上の粒子停止層390が設けられてもよいことが理解されるであろう。その上、
図5にまた示されるように、幾つかの実施形態においては、最上部の粒子停止層390は、埋設された層でなくてもよく、代わりに、ソースコンタクト層180の上面上に形成されてもよい。粒子停止層390-1~390-3の各々は、
図3A~
図3Dに対して上記で議論された粒子停止層の何れかであってもよいことが理解されるであろう。例えば、粒子停止層390-1~390-3の一部又は全てが、例えば、チタン又は上記で列挙された他の材料で形成された導電性拡散障壁層であってもよく、及び/又は粒子停止層390-1~390-3の一部又は全てが、ソースコンタクト層180の金属の新しい粒子182が粒子停止層390の上面で核生成するように、粒子成長を中断させるように設計された不連続層及び/又は薄い金属酸化物層であってもよい。
【0073】
図6は、本発明の追加の実施形態による、少なくとも1つの埋設された拡散障壁層490-1及び少なくとも1つの埋設された不連続の粒子停止層490-2の形態の複数の粒子停止層490を有するパワーMOSFET410を例示する概略断面図である。パワーMOSFET410は、上側ソース金属被膜構造460における埋設された粒子停止層のうちの少なくとも1つ490-2が不連続層を備えてもよいのを除いて、上記で説明されたパワーMOSFET310と同一であってもよい。粒子停止層490の順序は、
図6に示されるものから変更されてもよく、任意の数の埋設された拡散障壁層490-1及び埋設された不連続の粒子停止層490-2がデバイスに含まれてもよいことが理解されるであろう。
【0074】
図7は、本発明のまた更なる実施形態による、パワーMOSFET510を例示する概略断面図である。上記で議論されたように、場合によっては、粒子停止層190は、単にソースコンタクト層180の堆積プロセスに成長停止を追加することによって形成されてもよい。例えば、ソースコンタクト層180を形成するために使用される金属は、スパッタリング又は蒸着によって堆積されてもよい。スパッタリング又は蒸着プロセスは、成長装置にある酸素がソースコンタクト層180の露出された表面を酸化することを可能にするために、ある時間休止されてもよい。幾つかの実施形態においては、酸素のバーストが、酸化プロセスを速めるために成長チャンバに注入されてもよい。この方法で酸素を加える場合には、成長停止は、例えば、長さが1秒未満のように、非常に短くてもよい。目的は、ソースコンタクト層180における既存の粒子を破壊し、新しい粒子182の成長のための核生成サイトを形成するのに十分である、ソースコンタクト層180の非常に薄い厚さを酸化することである。酸化された金属は、ソースコンタクト層180の金属より高い抵抗を有する場合がある一方、粒子停止層190として機能する酸化物層は、電子が単に酸化された層を通ってトンネルし、それ故に、粒子停止層190がデバイスの動作及び/又は上側ソース金属被膜構造160の抵抗率にほとんど又は全く影響を及ぼさないように、十分に薄くなるように形成されてもよい。
【0075】
図7の実施形態においては、MOSFET510は、複数の埋設された粒子停止層590を含む上側ソース金属被膜構造560を有し、粒子停止層590の各々は、ソースコンタクト層180内に埋設され、又はその上にある薄い金属酸化物層590を形成するためにソースコンタクト層180の成長を中断させることによって実装される。薄い金属酸化物層は、拡散障壁としては機能しないが、ソースコンタクト層180における粒子成長を中断させ、新しい粒子182のための核生成サイトとして機能する粒子停止層590として機能する。2、3、4、5、6、7、又はそれ以上のこのような薄い金属酸化物層590が、粒子停止層180内に形成されてもよい。多数(例えば、4つ以上)の薄い金属酸化物層590を形成することによって、ソースコンタクト層180における粒子182の平均サイズが大幅に低減されてもよい。
図7には示されていないが、1つ以上の埋設された導電性拡散障壁層がまた、1つ以上の不連続の粒子停止層がそうであるように、ソースコンタクト層180内に形成されることができる。
【0076】
本明細書に開示される実施形態の何れかにおいては、導電性拡散障壁層及び/又は不連続な粒子停止層は、同じ材料で形成されてもよく、又は異なる材料で形成されてもよい。例えば、複数の導電性拡散障壁層を含む実施形態においては、これらの層は、同じ材料で形成されてもよく(例えば、各層はチタン層であってもよい)、又は異なる材料で形成されてもよい(例えば、1つの層はチタン層であり、別の層は窒化チタン層であり、別の層はタンタル層である、等)。
【0077】
上記で議論された各粒子停止層は、単層を備えてもよく、又は多層構造であってもよいことがまた理解されるであろう。場合によっては、多層構造は、拡散障壁として、及び/又はソースコンタクト層180における粒子のサイズを低減するために粒子成長を中断させるメカニズムとして、より効果的であってもよい。連続の粒子停止層及び不連続の粒子停止層の両方が多層構造として実装されてもよいことがまた理解されるであろう。幾つかの実施形態においては、多層粒子停止層が、直接積み重ねられた1つ以上の連続層及び1つ以上の不連続層を含んでもよい。
【0078】
本明細書に開示される埋設された粒子停止層は、縦構造パワーMOSFETデバイス以外のパワー半導体デバイスで使用されてもよいことがまた理解されるであろう。例えば、これらの粒子停止層はまた、当業者に知られているように、電流制御デバイスを電圧制御デバイスにBJTを変えるために、BJTとBJTのベースに給電するMOSFETとの組み合わせであるパワーIGBTデバイスで使用されてもよい。
【0079】
図9Aは、本発明の実施形態による、IGBT700の簡略化された回路図である。
図9Bは、
図9AのIGBT700の概略断面図である。
【0080】
図9Aに示されるように、IGBT700は、ベース704、エミッタ706、及びコレクタ708を有するp-n-p炭化ケイ素BJT702を含む。IGBT700は更に、ゲート730、ソース780、及びドレイン716を有する炭化ケイ素MOSFET710を含む。MOSFET710のソース780は、BJT702のベース704に電気的に接続され、炭化ケイ素MOSFET710のドレイン716は、BJT702のコレクタ708に電気的に接続される。慣例により、BJT702のコレクタ708は、IGBT700の「エミッタ」であり、BJT702のエミッタ706は、IGBT700の「コレクタ」であり、MOSFET710のゲート730は、IGBT700の「ゲート」である。
【0081】
図9Bは、
図9AのIGBT700のユニットセルの対の一部の概略断面図である。
図9Bに示されるように、IGBT700は、例えば、高濃度にドープされたpタイプ(p
+)炭化ケイ素層722上に形成されてもよい。pタイプ層722は、例えば、炭化ケイ素基板上にエピタキシャル成長されてもよく、基板は、その後、除去されてもよい。p
+層722は、IGBT700のコレクタとして機能する(それ故に、BJT702のエミッタ706としてまた機能する)。低濃度にドープされたnタイプ(n
―)炭化ケイ素ドリフト領域724(任意選択で、その上部に中濃度にドープされたnタイプ炭化ケイ素電流拡散層を含んでもよい)が、pタイプ層722上に設けられる。nタイプドリフト領域724は、BJT702のベースとして、及びMOSFET710のソースとして機能する。nタイプドリフト領域724の上部に、中濃度にドープされたpタイプウェル領域726が設けられる。各pウェル726の上部は、BJT702のコレクタとしてまた機能する高濃度にドープされたp
+エミッタ領域727を形成するために、pタイプドーパントでより高濃度にドープされてもよい。高濃度にドープされたpタイプエミッタ領域727の両側の各pウェル726の上部に、高濃度にドープされたnタイプ(n
+)ドレイン領域728が形成されてもよい。n
+ドレイン領域728は、IGBT700の共通ドレインとして機能する。オーミックコンタクト780が、pタイプウェル領域726及びn
+ドレイン領域728の両方に接触するように形成され、p
+炭化ケイ素層722の下側に、オーミックコンタクト716が形成される。
【0082】
半導体層構造720の上面上に、ゲート絶縁パターン740が設けられ、ゲート絶縁パターン740上に、ゲートフィンガー734が形成される。ゲート絶縁パターン740の真下にあるpタイプウェル領域726のエッジ領域は、十分なバイアス電圧がゲートフィンガー734に印加された場合には、nタイプソース領域728をnタイプドリフト領域724に電気的に接続するチャネル領域を含む。ゲートコンタクト730は、各ゲートフィンガー734に電気的に接続されてもよい。
【0083】
それぞれのゲートフィンガー734を覆う複数の誘電体フィンガー752を含む金属間誘電体パターン750が形成される。金属間誘電体パターン750は、上記で議論された金属間誘電体パターン150と同一であってもよく、それ故に、その更なる説明は省略される。nタイプソース領域728及びpタイプウェル領域726を露出させる隣接する誘電体フィンガー752間に、ギャップ754が設けられる。金属間誘電体パターン750上、及び露出されたnタイプソース領域728及びpタイプウェル領域726上に、上側ソース金属被膜構造760が形成される。上側ソース金属被膜構造760は、導電性拡散障壁層770、オーミックコンタクト層780、及びソースコンタクト層780内に埋設された粒子停止層790を含む。上側ソース金属被膜構造760は、上側金属被膜構造760が、ソースコンタクトとしてではなくエミッタコンタクトとして機能してもよいのを除いて、上記で説明された上側ソース金属被膜構造の何れかと同一であってもよく、任意の適切な数及び/又はタイプの粒子停止層を含んでもよい。
【0084】
IGBTに加えて、本発明の実施形態による埋設された粒子停止層は、例えば、p-nダイオード、ゲートターンオフサイリスタ(「GTO」)、MOS制御サイリスタ、及び様々な他のパワー半導体デバイスで使用されてもよい。この技術は、窒化ガリウムベースの高電力高電子移動度トランジスタ(「HEMT」)増幅器のようなRFトランジスタ増幅器で同様に使用されてもよい。この結果、構造160、260、360、460、560、760のような本発明の実施形態による上側金属被膜構造は、MOSFET、IGBT、等だけでなく、任意の適切な半導体デバイス上で使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0085】
上記で議論されたように、本発明の実施形態による埋設された粒子停止層は、ワイドバンドギャップ半導体デバイスに形成されるパワー半導体デバイスに含まれてもよい。本発明の実施形態による埋設された粒子停止層が使用されてもよいワイドバンドギャップ半導体デバイスのタイプの例は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、及び酸化ガリウムベースのデバイス、並びに多種多様なII-VI化合物の半導体デバイスを含む。
【0086】
図8は、本発明の実施形態によるパワー半導体デバイスを形成する方法のフローチャートである。
図8に示されるように、操作は、複数の半導体層を含むワイドバンドギャップ半導体層構造の形成から開始してもよい(ブロック600)。次に、ワイドバンドギャップ半導体層構造の上面上に、複数のゲートフィンガーが形成される(ブロック610)。ゲートフィンガー上に、金属間誘電体パターンが形成され、金属間誘電体パターンは、それぞれのゲートフィンガーを覆う複数の誘電体フィンガーを含み、金属間誘電体パターンは、ワイドバンドギャップ半導体層構造の上面を露出させる開口部を含む(ブロック620)。金属間誘電体パターン上及びワイドバンドギャップ半導体層構造の露出された上面上に、第1の導電性拡散障壁層が形成される(ブロック630)。第1の導電性拡散障壁層の上面上に、ソースコンタクト層の第1の部分が形成され、ソースコンタクト層の第1の部分は、第1の材料を含む(ブロック640)。ソースコンタクト層の第1の部分上に、粒子停止層が形成される(ブロック650)。粒子停止層は、上記で説明された粒子停止層の何れかであってもよい。粒子停止層の上面上に、ソースコンタクト層の第2の部分が形成され、ソースコンタクト層の第2の部分は、第1の材料を含む(ブロック660)。最後に、ウェットエッチング液を含むプロセスが、ソースコンタクト層の第2の部分で実行される(ブロック670)。このプロセスは、例えば、ソースコンタクト層の上面で実行されるめっきプロセスを含んでもよい。
【0087】
本発明の実施形態によるパワーMOSFET及び他の半導体デバイスは、さもなければ上側金属被膜を通って拡散し、デバイス内で電気的短絡を生成する場合があるウェットエッチング液又は他の材料の侵入によりよく抵抗する、より堅牢な上側金属被膜を有してもよい。その上、上側金属被膜は、上側金属被膜で実行されてもよいめっきプロセスのような後続のプロセスにより適してもよい、より小さい粒子サイズを有してもよい。
【0088】
本発明は、本発明の実施形態が示される添付の図面を参照して上記で説明された。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。寧ろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的且つ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。図面においては、明確にするために、層及び領域のサイズ及び相対的なサイズが誇張される場合がある。要素又は層が別の要素又は層“の上にある”、“に接続される”、又は“に結合される”ことを指す場合には、それは、直接他の要素若しくは層の上にあり、それに接続され、若しくはそれに結合されることができ、又は介在する要素若しくは層が存在してもよい。対照的に、要素が別の要素又は層“の上に直接ある”、“に直接接続される”、又は“直接結合される”ことを指す場合には、介在する要素又は層は存在しない。本明細書で使用されるように、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含む。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0089】
様々な領域、層、及び/又は要素を説明するために、本明細書では第1及び第2という用語が使用されるが、これらの領域、層、及び/又は要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、ある領域、層、又は要素を別の領域、層、又は要素から区別するためにのみ使用される。この結果、以下で議論される第1の領域、層、又は要素は、第2の領域、層、又は要素と呼ばれることができ、同様に、第2の領域、層、又は要素は、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の領域、層、又は要素と呼ばれてもよい。
【0090】
「下」又は「底」及び「上」又は「頂」のような相対的な用語は、図面に例示されるように、ある要素と別の要素との関係を説明するために本明細書で使用されてもよい。相対的な用語は、図面に描写される配向に加えて、デバイスの異なる配向を包含することが意図されることが理解されるであろう。例えば、図面のデバイスが反転される場合には、他の要素の「下」側上にあるように説明された要素は、他の要素の「上」側上に配向される。従って、「下」という例示的な用語は、図の特定の配向に応じて、「下」及び「上」の両方の配向を包含することができる。同様に、図の1つにあるデバイスが反転された場合には、他の要素の「下に」又は「下方に」のように説明された要素は、他の要素の「上に」配向される。従って、「下に」又は「下方に」という例示的な用語は、上及び下の両方の配向を包含することができる。
【0091】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とし、本発明を限定することが意図されない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される場合には、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、「含む(include)」、及び/又は「含む(including)」という用語は、記載された特徴、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことが更に理解されるであろう。
【0092】
本発明の実施形態は、概略図である断面図を参照して本明細書で説明される。このように、例えば、製造技術及び/又は公差の結果としての図の形状からの変動が予想されるべきである。この結果、本発明の実施形態は、本明細書で例示される領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造から生じる形状の逸脱を含むべきである。例えば、長方形として例示された埋め込まれた領域は、通常、埋め込まれた領域から埋め込まれていない領域への2値の変化ではなく、その縁において、丸みを帯び、又は湾曲された特徴、及び/又は埋め込み濃度の勾配を有する。この結果、図に例示される領域は、本質的に概略的であり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を例示することが意図されず、本発明の範囲を限定することが意図されない。
【0093】
本明細書に開示される実施形態が組み合わされることができることが理解されるであろう。この結果、第1の実施形態に対して描写及び/又は説明される特徴が、同様に第2の実施形態に含まれてもよく、その逆もよいことが理解されるであろう。
【0094】
上記の実施形態が特定の図を参照して説明されているが、本発明の幾つかの実施形態は、追加の及び/若しくは介在する層、構造、若しくは要素を含んでもよく、並びに/又は特定の層、構造、若しくは要素が削除されてもよいことが理解されるべきである。本発明の幾つかの例示的な実施形態が説明されたが、当業者は、本発明の新規の教示及び利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの変更が可能であることを容易に理解するであろう。よって、このような全ての変更が、特許請求の範囲で画定されるような本発明の範囲内に含まれることが意図される。従って、前述は本発明の例示であることが理解されるべきであり、開示された特定の実施形態に限定されると解釈されるべきでなく、開示された実施形態に対する変更及び他の実施形態が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。本発明は、添付の特許請求の範囲によって画定され、特許請求の範囲の均等物がそれに含まれる。