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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】合成樹脂製多重ボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20230605BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
B65D77/06 H
B65D1/00 111
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019552679
(86)(22)【出願日】2018-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2018038069
(87)【国際公開番号】W WO2019093068
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2017215968
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505440295
【氏名又は名称】北海製罐株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃広
(72)【発明者】
【氏名】万年 夏之
(72)【発明者】
【氏名】桑垣 傳美
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2015/122012(JP,A1)
【文献】国際公開第2017/164225(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/06
B65D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の外口部と、該外口部に連接する肩部と、該肩部に連接する胴部と、該胴部に連接する底部とを有し、外圧に対して原形復帰可能である合成樹脂製の外殻ボトルと、
該外殻ボトルの前記外口部内に配設される円筒状の内口部と、該内口部に連接し該外殻ボトルの内面形状に沿う形状であって外圧により変形する内容器体本体とを有する合成樹脂製の内容器体と、
前記外口部と前記内口部との間に形成されて前記外殻ボトルと前記内容器体との間に外気を導入する通気路と、
を備え
前記外殻ボトル及び前記内容器体は、前記外殻ボトルを形成する外プリフォームの内側に、前記内容器体を形成する内プリフォームを配置して、ブロー成形することにより製造されるものである合成樹脂製多重ボトルであって、
前記内口部の内周面に、前記内口部の開口端の内径よりも小径の小径部を設け、
前記内口部の上端部外周面であって、前記通気路を形成する部分を除いて少なくとも一部は、前記外口部の内周面に接触する上端接触部であり、
前記内口部の外周面であって前記上端接触部の下方には、前記小径部に対応する領域に位置させて、前記外口部の内周面から離隔する離隔部が設けられ、
前記離隔部は、前記上端接触部の前記通気路よりも径方向内側へ離隔して隙間を形成し、
前記内口部の下端部外周面であり、前記離隔部の下方に位置する部分であって、前記通気路を形成する部分を除いて少なくとも一部は、前記外口部の内周面に接触する下端接触部であることを特徴とする合成樹脂製多重ボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外殻ボトル内に配置された内容器体を備える合成樹脂製多重ボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外圧に対して原形復帰可能な外殻ボトルの内部に、外圧による減容により変形する(以下、「減容変形」ということがある)内容器体を配置し、該外殻ボトルと該内容器体との間に外気が導入されるようにした合成樹脂製多重ボトルが知られている(例えば、日本国特開2013-245010号公報、日本国特開2010-082916号公報参照)。
【0003】
合成樹脂製多重ボトルは、外殻ボトルの胴部を押圧することにより、内容器体を減容変形させて内容器体に収容されている内容物を注出する一方、押圧が解除されると別途設けられた逆止弁等の作用により外殻ボトルと内容器体との間に外気が導入される。この結果、外気圧により外殻ボトルが原形復帰する一方、内容器体は減容変形された状態が維持される。このようにするときには、内容器体内に外気が侵入することが無いので、内容器体内に収容されている内容物が酸化等により変質することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-245010号公報
【文献】特開2010-082916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多重容器において、内容物を全部出し切るためには、多重容器の内容器体の減容変形の限界状態で残存する空隙部、すなわち潰しきれない空隙部(以下、デッドスペースという)が、内容物充填後の気体が存在する空間部(以下、ヘッドスペースという)より大きいと、ヘッドスペースの気体容量ではデッドスペースの内容物を全部出し切ることができないという問題があり、内容物を全部出し切るためには、デッドスペースをヘッドスペースより小さく設定することが望まれる。
【0006】
特に、外殻ボトルの外口部及び内容器体の内口部は、キャップなどが設けられる箇所であるため、外圧により変形しない部分であり、デッドスペースを減少させるという観点から外口部及び内口部の内容積を少なくすることが考えられる。
【0007】
しかしながら、外殻ボトルの外口部の外周面には、逆止弁付きキャップなどが螺着される雄ネジが形成される箇所であり、規格の問題で外口部を小さくすることにも限度がある。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、外口部の規格の影響を受けることなく、デッドスペースを小さくすることができる合成樹脂製多重ボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]上記目的を達成するため、本発明は、
円筒状の外口部と、該外口部に連接する肩部と、該肩部に連接する胴部と、該胴部に連接する底部とを有し、外圧に対して原形復帰可能である合成樹脂製の外殻ボトルと、
該外殻ボトルの前記外口部内に配設される円筒状の内口部と、該内口部に連接し該外殻ボトルの内面形状に沿う形状であって外圧により変形する内容器体本体とを有する合成樹脂製の内容器体と、
前記外口部と前記内口部との間に形成されて前記外殻ボトルと前記内容器体との間に外気を導入する通気路と、
を備え
前記外殻ボトル及び前記内容器体は、前記外殻ボトルを形成する外プリフォームの内側に、前記内容器体を形成する内プリフォームを配置して、ブロー成形することにより製造されるものである合成樹脂製多重ボトルであって、
前記内口部の内周面に、前記内口部の開口端の内径よりも小径の小径部を設け、
前記内口部の上端部外周面であって、前記通気路を形成する部分を除いて少なくとも一部は、前記外口部の内周面に接触する上端接触部であり、
前記内口部の外周面であって前記上端接触部の下方には、前記小径部に対応する領域に位置させて、前記外口部の内周面から離隔する離隔部が設けられ、
前記離隔部は、前記上端接触部の前記通気路よりも径方向内側へ離隔して隙間を形成し、
前記内口部の下端部外周面であり、前記離隔部の下方に位置する部分であって、前記通気路を形成する部分を除いて少なくとも一部は、前記外口部の内周面に接触する下端接触部であることを特徴とする。
【0010】
本発明よれば、小径部によって内口部の容積が減少し、デッドスペースの少ない合成樹脂製多重ボトルを提供することができる。また、外口部の外径を小さくすることなく内口部内の容積を小さくすることができるため、外口部を規格に合わせた径に維持しつつ、内口部の容積を減少させて、デッドスペースを減少させることができる。
【0011】
また、内口部の開口端は、小径部よりも大径に形成されているため、内口部の容積を減少させても、ブロー成形時や内容物を充填する際にブロー成形ノズルや内容物充填ノズルを内口部へ容易に挿入することができる。
【0012】
また、本発明においては、前記内口部の上端部外周面であって、前記通気路を形成する部分を除いて少なくとも一部は、前記外口部の内周面に接触する上端接触部であり、前記内口部の外周面であって前記上端接触部の下方には、前記小径部に対応する領域に位置させて、前記外口部の内周面から離隔する離隔部が設けられ、前記離隔部は、前記通気路よりも径方向内側へ離隔して隙間を形成している
【0013】
かかる構成によれば、外口部の外径を小さくすることなく内口部内の容積を小さくすることができるため、外口部を規格に合わせた径に維持しつつ、内口部の容積を減少させて、デッドスペースを減少させることができる。
【0014】
また、小径部に対応する部分に位置させて、内口部の外周面と外口部の内周面との間に離隔部を設け、離隔部を通気路よりも径方向内側へ離隔させることにより、通気路以外の隙間を比較的大きく形成することができ、内口部の樹脂の量を抑えて、コスト削減を図ることができる。また、内口部の上端接触部が外口部の内周面に接触するため、ブロー成形時や、その後の多重ボトルの取り扱い時の内口部のガタツキを防止することができる。
【0015】
また、本発明においては、前記内口部の下端部外周面であって、前記通気路を形成する部分を除いて少なくとも一部は、前記外口部の内周面に接触する下端接触部である。
【0016】
かかる構成によれば、外口部の外径を小さくすることなく内口部内の容積を小さくすることができるため、外口部を規格に合わせた径に維持しつつ、内口部の容積を減少させて、デッドスペースを減少させることができる。
【0017】
また、内口部の下端接触部が外口部の内周面に接触するため、内口部を外口部に安定した状態で固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の合成樹脂製多重ボトルの第1実施形態を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態の合成樹脂製多重ボトルの内容器体本体のデッドスペースを示す説明図である。
図3A図3Aは第1実施形態の合成樹脂製多重ボトルの外口部及び内口部を拡大して示す正面図である。
図3B図3Bは第1実施形態の合成樹脂製多重ボトルの平面図である。
図3C図3C図3BのA-A線切断断面図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態の合成樹脂製多重ボトルの外口部及び内口部を拡大して示す断面図である。
図5図5は、本発明の第3実施形態の合成樹脂製多重ボトルの外口部及び内口部を拡大して示す断面図である。
図6図6は、本発明の第4実施形態の合成樹脂製多重ボトルの外口部及び内口部を拡大して示す断面図である。
図7図7は、比較例の合成樹脂製多重ボトルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から図3A~Cを参照して、本発明の合成樹脂製多重ボトルの第1実施形態を説明する。図1及び図2に示すように、第1実施形態の合成樹脂製多重ボトル1は、外圧に対して原形復帰可能な外殻ボトル2と、外殻ボトル2の内側に収容され外圧により変形する内容器体3とからなる。外殻ボトル2と、内容器体3とは、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる。なお、外殻ボトル2と内容器体3とを、ポリエチレンテレフタレート樹脂以外の他のポリエステル樹脂で成形してもよい。
【0020】
外殻ボトル2は、円筒状外口部4と、外口部4に連接する肩部5と、肩部5に連接する胴部6と、胴部6に連接する底部7とを備えている。底部7は内周側に外殻ボトル2の内側に凹入して合成樹脂製多重ボトル1に自立性を付与する凹部8を備えており、底部7と凹部8との間が接地部9となっている。
【0021】
図3Aは、外口部4及び内口部17を拡大して示す正面図である。図3Bは外口部4及び内口部17を拡大して示す平面図。図3Cは外口部4及び内口部17を図3BのA-A線で切断した状態を示す断面図である。
【0022】
図3A~Cに示すように、外口部4は外周面に雄ねじ部10と、雄ねじ部10よりも下方に位置するサポートリング11とを備え、肩部5は外口部4に接する部分が四角錐状部12となっており、四角錐状部12の下方に四角錐状部12から胴部6に向かって次第に拡径するとともに四角錐の角が滑らかになり円筒状胴部につながる胴部上部13を備えている。
【0023】
胴部6は、軸に直交する断面が円形状であり、第1の周状溝部6aを介して肩部5に連接する一方、第2の周状溝部6bを介して底部7に連接している。また、胴部6は、肩部5に連接する周状溝部6aの下端部から中央部6cに向かって次第に縮径し、中央部6cから底部7に連接する周状溝部6bの上端部に向かって次第に拡径する鼓状となっている。また、胴部6は周状溝部6a、6bの間の鼓状の領域の全周に亘って、軸方向に延在する複数の縦リブを備えている。
【0024】
底部7は、接地部9に接する部分が四角錐状部15となっており、四角錐状部15の上方に四角錐状部15から胴部6に向かって次第に拡径するとともに四角錐の角が滑らかになり円筒状胴部につながる胴部下部16を備えている。
【0025】
また、四角錐状部12、15はそれぞれ軸に直交する断面が四角形状であってその頂点にはRが付されており、該頂点に稜線を備えている。ここで、四角錐状部15の稜線四角錐状部12の稜線の延長上に連なっている。
【0026】
一方、内容器体3は、外口部4の内周側に配設される円筒状内口部17と、内口部17に連接し、外殻ボトル2の肩部5、胴部6、底部7、凹部8、接地部9の内面形状に沿う形状の内容器体本体18とを備えている。内口部17は、上部に外口部4の上端よりも上方に延出された延出部19を備える。延出部19には径方向外方に張り出す鍔部20が設けられており、鍔部20の下面が外口部4の上端縁に接触することにより、内口部17が外口部4に係止される。
【0027】
また、内口部17は、外周面に縦溝21を備えている。縦溝21は鍔部20の下面に形成された横溝22に連設されており、横溝22は鍔部20の外周縁で外部に開放されている。この結果、縦溝21及び横溝22により、外殻ボトル2と内容器体3との間に外気を導入する通気路23が形成されている。
【0028】
また、内口部17は、上端縁から間隔を存した位置に内径が開口部分の内径よりも小径の小径部24を備えている。小径部24は、内口部17の内周面において、上端縁から所定の間隔を存した位置から45度程度の傾斜角度で次第に縮径する上側傾斜面25に接続されている。また、小径部24の下端から内口部17の下端までは緩やかに拡径した下側傾斜面26となっている。
【0029】
また、本実施形態においては、内口部17の上端には、径方向外方へ張り出し、下面が外口部4の上端に接触する鍔部20が設けられ、内口部17の上端部外周面であって、通気路23に対応する領域を除いて少なくとも一部は、外口部4の内周面に接触する上端接触部28(図3参照)であり、内口部17の外周面であって上端接触部28の下方には、小径部24に対応する領域に位置させて、外口部4の内周面から離隔する離隔部27が設けられている。
【0030】
また、本実施形態の合成樹脂製多重ボトル1では、内口部17の下端部外周面であって、通気路23を形成する部分を除いた部分の少なくとも一部には、外口部4の内周面に接触する下端接触部29が設けられている。
【0031】
外口部4は、PCO1810スタンダード口部の規格に適合させるべく、外径24mm(雄ねじ部10を含めると27.45mm)、内径21.6mm、高さ21.01mm、サポートリング11の外径は、31.6mmに設定されている。
【0032】
内口部17の内周面は、内口部17の開口端の内径よりも小径の小径部24を備え、内口部17の開口端の内径は17.6mmに設定され、小径部24の内径は14.7mmに設定されている。また、内口部17の高さを24.01mmに設定されている。
【0033】
合成樹脂製多重ボトル1は、外殻ボトル2を形成する外プリフォームの内側に、内容器体3を形成する内プリフォームを配置して、ブロー成形することにより製造することができる。このブロー成形は、周知のブロー成形装置を使用して、それ自体周知の方法により行うことができる。
【0034】
また、本実施形態の合成樹脂製多重ボトル1では、内容器体本体18が外圧により変形して内容器体3内の容積が最も小さくなったときに、内口部17近傍及び凹部8近傍に内容器体本体18が完全に押し潰されることのできないデッドスペースが生じる。そして、本実施形態の合成樹脂製多重ボトル1では、このデッドスペース内の容積と内口部17内の容積との合計の容積が、内部容器本体18が外圧により変形する前の内容器体3内の容積の10%以下となるように、内口部17内の容積が設定されている。本実施形態の内口部17内の容積は5.3mlであり、500mlの合成樹脂製多重ボトルの場合には、1.06%となる。
【0035】
例えば、合成樹脂製多重ボトル1の内容量が500mlの場合には、合成樹脂製多重ボトル1のデッドスペースが50ml以下となるように設定することが好ましく、減容変形しない内口部17内の容積も可能な限り小さくすることが好ましく、本実施形態においては、2.5ml~7.5ml(0.5%~1.5%)に設定することが好ましい。このように内口部17内の容積を設定することで、内口部17内のデッドスペースを減少させることができると共に、合成樹脂製多重ボトル1のブロー成形時のロッドやノズルなどを内口部17内に挿入するために必要な内径を確保することができる。
【0036】
本実施形態の合成樹脂製多重ボトル1によれば、外口部4の外径を小さくすることなく内口部17内の容積を小さくすることができるため、外口部4を規格に合わせた径に維持しつつ、内口部17の容積を減少させて、デッドスペースを減少させることができる。
【0037】
また、内口部17の開口端は、小径部24よりも大径に形成されているため、内口部17の容積を減少させても、ブロー成形時のロッドやノズル、または内容物充填時の充填ノズルを内口部へ容易に挿入することができる。
【0038】
また、本実施形態においては、内口部17の内周面は、内口部17の開口端の内径よりも小径の小径部24を備え、内口部17の開口端の内径は17.6mmに設定され、小径部24の内径は14.7mmに設定されている。これにより、デッドスペースの少ない合成樹脂製多重ボトル1を提供することができると共に、合成樹脂製多重ボトル1内に内容物充填用のノズルを容易に差し込むことができる。また、本実施形態においては、内口部17の高さを24.01mmに設定されている。
【0039】
また、小径部24に対応する部分に位置させて、内口部17の外周面と外口部4の内周面との間に離隔部27を設けることにより、外口部4の内周面に対して、離隔部27を通気路23よりも径方向内側へ離隔させることにより、通気路23以外の隙間を比較的大きく形成することができ、内口部17の樹脂の量を抑えて、合成樹脂製多重ボトル1全体としてもコスト削減を図ることができる。また、内口部17の上端接触部28が外口部4の内周面に接触するため、内口部17を安定して固定できる。
【0040】
また、外口部4の外径をそれほど小さくすることなく内口部17内の容積を小さくすることができる。このため、外口部4を内口部17と同様に小径とした場合と比較して、外口部4の外径を適切な大きさに維持することができに、外口部4に螺着されるキャップの開け閉めが容易となる。
【0041】
また、合成樹脂製多重ボトル1に内容物を充填するときに内口部17に充填ノズルが挿入されるが、径が異なる充填ノズルを内口部17に挿入できるように内口部17の内径を大きくする必要があるときに、小径部24によって内口部17の設計変更だけで外口部の形状を変更することなく対応することができ、外殻ボトルの汎用性を高めることができる。
【0042】
また、本実施形態の合成樹脂製多重ボトル1では、内口部17の下端部外周面であって、通気路23を形成する部分を除いた部分の少なくとも一部には、外口部4の内周面に接触する下端接触部29が設けられている。この下端接触部29が外口部4の内周面に接触することにより、内口部17を安定して固定できる。
【0043】
尚、本実施形態では、肩部5の外口部4に接する部分が四角錐状部12となっており、底部7の接地部9に接する部分が四角錐状部15となっているが、肩部5の外口部4に接する部分及び底部7の接地部9に接する部分は多角錐状でも円錐状でもよい。
【0044】
また、本実施形態では、胴部6の上下に周状溝部6a、6bを設けるようにしているが、周状溝部6aに代えて肩部5から胴部6に向かって次第に縮径する段差部を設けてもよく、周状溝部6bに代えて底部7から胴部6に向かって次第に縮径する段差部を設けてもよい。本実施形態の合成樹脂製多重ボトル1は、周状溝部6a、6b又は段差部を設けることにより、胴部6の上下の部分を補強する効果を得ることができ、周状溝部6a、6b又は段差部に挟まれた胴部6のスクイズ性をより向上することができる。
【0045】
また、内口部17の形状は、最大外径21.6mm、最大内径17.6mm、最小内径14.7mm、高さ24.01mmであるが、本発明の内口部17の寸法はこれに限らず、デッドスペースがヘッドスペース以下となるように、且つ内容器体が変形する前の内容器体内の容積(当初容積)に対して、内容器体本体内の容積が外圧によって変形して最小となったときの内容器体本体内のデッドスペースの容積と内口部内の容積との合計の容積(最小容積)が10%以下となるように、内口部内の容積が0.5~1.5%に構成されており、更に、内径19mm以下9mm以上、高さ25mm以下18mm以上の範囲内であればよい。内口部の内径が19mmを超えたり、又は高さが25mmを超えると、最小容積を当初容積の10%以下に抑えることが困難となる。
【0046】
また、内口部の内径が9mmよりも小さくなると、内容物を充填するノズルを挿入することができなくなる虞がある。また、内口部の高さが18mm未満になると、標準規格のPCO1810スタンダード口部の規格に適合することが困難となる。
【0047】
例えば、他の実施形態としての図4の内口部の寸法は、最大外径21.6mm、最大内径17.6mm、最小内径15.48mm、高さ24.01mmに設定されている。図4の内口部内の容積は6.1mlであり、500mlの合成樹脂製多重ボトルの場合には1.2%となる。また、図4に示す内口部の小径部は、図3の内口部の小径部と比較して、更に下方に位置している。図4に示す外口部の寸法は、図3に示した外口部4の寸法と同一である。
【0048】
また、例えば、他の実施形態としての図5の内口部の寸法は、最大内径17.6mm、最小内径10.67mm、高さ24.01mmに設定されている。図5の内口部内の容積は、4.3mlであり、500mlの合成樹脂製多重ボトルの場合には、0.9%となる。図5に示す外口部の寸法は、図3に示した外口部4の寸法と同一である。
【0049】
また、例えば、他の実施形態としての図6の内口部の寸法は、最大内径17.6mm、最小内径10.584mm、高さ19.00mmに設定されている。図6の内口部内の容積は、3.7mlであり、500mlの合成樹脂製多重ボトルの場合には、0.7%となる。図6に示す外口部の寸法は、図3に示した外口部4の寸法と同一である。
【0050】
図7は、比較例として内口部に小径部を設けていない合成樹脂製多重ボトルを示している。図7に示す外口部の寸法は、図3に示した外口部4の寸法と同一である。図7に示すように、内口部の内径を全体的に縮径することによっても内口部内の容積を減少させることができる。しかしながら、この場合、内口部の上端の開口まで狭くなってしまうため、合成樹脂製多重ボトルの外殻ボトル及び内容器体本体をブロー成形する際に、ロッドやノズルを内口部内に挿入し難くなり、また、合成樹脂製多重ボトルに内容物を充填する際の充填ノズルも内口部内に挿入し難くなってしまう。
【0051】
本実施形態の合成樹脂製多重ボトル1では、内口部17の内周面に、内口部17の開口端の内径よりも小径の小径部24を設けることによって、内口部17の容積を減少させると共に、ブロー成形時のロッドやノズル、又は内容物充填用のノズルを内口部17内に挿入し易くすることができる。また、上傾斜面25によって、ロッドやノズルが内口部17の開口端と小径部24との間で内口部17の内周面に引っかかることなくスムーズに小径部24を通過することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 合成樹脂製多重ボトル
2 外殻ボトル
3 内容器体
4 外口部
5 肩部
6 胴部
7 底部
8 凹部
9 接地部
10 雄ねじ部
11 サポートリング
12 四角錐状部
13 胴部上
5 四角錐状部
16 胴部下部
17 内口部
18 内容器体本体
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7