(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】船舶用発電システム、船舶用発電方法、および船舶用発電システムの制御用プログラム
(51)【国際特許分類】
B63B 35/00 20200101AFI20230606BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20230606BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230606BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230606BHJP
B63J 3/04 20060101ALI20230606BHJP
B63J 99/00 20090101ALI20230606BHJP
B63J 3/02 20060101ALI20230606BHJP
B63H 21/38 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B63B35/00 T
H02J3/46
H02J3/38 110
H02J3/38 170
H02J3/32
B63J3/04
B63J99/00 A
B63J3/02 A
B63H21/38 B
(21)【出願番号】P 2022094395
(22)【出願日】2022-06-10
【審査請求日】2022-09-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年3月11日に国土交通省の以下のアドレスのウェブサイトにて公開 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001469635.pdf https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001469636.pdf 令和4年3月14日に株式会社三井E&Sマシナリーの以下のアドレスのウェブサイトにて公開 https://www.mes.co.jp/press/2022/0314_001757.html
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】株式会社三井E&S
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】木戸口 晃
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2125634(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第114044119(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113955064(CN,A)
【文献】特開2018-110515(JP,A)
【文献】特開2018-95106(JP,A)
【文献】特開2016-43715(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0051106(KR,A)
【文献】特開平2-109792(JP,A)
【文献】特表2012-530010(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111332447(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/00
H02J 3/46
H02J 3/38
H02J 3/32
B63J 3/00- 3/04
B63J 99/00
B63H 21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶を推進させるエンジンである主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムであって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置と、
前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させるよう構成された制御装置と、を備
え、
前記制御装置は、船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過する場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合を除き、前記発電装置のうち前記第1発電装置のみを稼働させる、船舶用発電システム。
【請求項2】
前記内燃機関が、ディーゼルエンジンである、請求項1に記載の船舶用発電システム。
【請求項3】
前記第1発電装置が二次電池をさらに有する、請求項1
又は2に記載の船舶用発電システム。
【請求項4】
主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムであって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置と、
前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させるよう構成された制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
船舶電力需要量、および前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量、のそれぞれの情報を取得するよう構成された取得部と、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否か、および前記増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過するか否か、を判定するよう構成された判定部と、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、前記増減量が前記許容範囲を超過する場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させるよう構成された起動部と、
を有する
、船舶用発電システム。
【請求項5】
主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムであって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置と、
前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させるよう構成された制御装置と、を備え、
前記第1発電装置が二次電池をさらに有し、
前記制御装置は、
船舶電力需要量の情報を取得するよう構成された取得部と、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否かを判定するよう構成された判定部と、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させるよう構成された起動部と、
を有
し、
前記電力は、前記アンモニア搭載船の設備において用いられ、
前記二次電池は、前記固体酸化物形燃料電池から前記二次電池を介して前記設備に電力が供給されるよう前記固体酸化物形燃料電池と接続されている、船舶用発電システム。
【請求項6】
主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムであって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置と、
前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させるよう構成された制御装置と、を備え、
前記第1発電装置が二次電池をさらに有し、
前記制御装置は、
船舶電力需要量、および前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量、のそれぞれの情報を取得するよう構成された取得部と、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否か、および前記増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過するか否か、を判定するよう構成された判定部と、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させるよう構成された起動部と、
前記増減量が前記許容範囲を超過する場合に、前記二次電池より船舶へ電力を供給させるよう構成された切替部と、
を有する
、船舶用発電システム。
【請求項7】
船舶を推進させるエンジンである主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電方法であって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップ、を備
え、
前記制御ステップでは、船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過する場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合を除き、前記発電装置のうち前記第1発電装置のみを稼働させる、船舶用発電方法。
【請求項8】
前記内燃機関が、ディーゼルエンジンである、請求項
7に記載の船舶用発電方法。
【請求項9】
前記第1発電装置が二次電池をさらに有する、請求項
7又は8に記載の船舶用発電方法。
【請求項10】
主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電方法であって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップ、を備え、
前記制御ステップは、
船舶電力需要量、および前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量、のそれぞれの情報を取得する取得ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否か、および前記増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過するか否か、を判定する判定ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、前記増減量が前記許容範囲を超過する場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させる起動ステップと、
を備える
、船舶用発電方法。
【請求項11】
主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電方法であって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップ、を備え、
前記第1発電装置が二次電池をさらに有し、
前記制御ステップは、
船舶電力需要量の情報を取得する取得ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否かを判定する判定ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させる起動ステップと、
を備
え、
前記電力は、前記アンモニア搭載船の設備において用いられ、
前記二次電池は、前記固体酸化物形燃料電池から前記二次電池を介して前記設備に電力が供給されるよう前記固体酸化物形燃料電池と接続されている、船舶用発電方法。
【請求項12】
主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電方法であって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップ、を備え、
前記第1発電装置が二次電池をさらに有し、
前記制御ステップは、
船舶電力需要量、および前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量、のそれぞれの情報を取得する取得ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否か、および前記増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過するか否か、を判定する判定ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合と、前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させる起動ステップと、
前記増減量が前記許容範囲を超過する場合に、前記二次電池より船舶へ電力を供給させる切替ステップと、
を備える
、船舶用発電方法。
【請求項13】
船舶を推進させるエンジンである主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムの動作を制御するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む、前記発電システムの複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップを実行さ
せ、
前記制御ステップでは、船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過する場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合を除き、前記発電装置のうち前記第1発電装置のみを稼働させる、船舶用発電システムの制御用プログラム。
【請求項14】
主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムの動作を制御するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む、前記発電システムの複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップを実行させ、
前記制御ステップは、
船舶電力需要量、および前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量、のそれぞれの情報を取得する取得ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否か、および前記増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過するか否か、を判定する判定ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、前記増減量が前記許容範囲を超過する場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ
前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させる起動ステップと、
を備える
、船舶用発電システムの制御用プログラム。
【請求項15】
主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムの動作を制御するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む、前記発電システムの複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップを実行させ、
前記制御ステップは、
船舶電力需要量の情報を取得する取得ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否かを判定する判定ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させる起動ステップと、
を備える
、船舶用発電システムの制御用プログラム。
【請求項16】
主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムの動作を制御するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む、前記発電システムの複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップを実行させ、
前記第1発電装置が二次電池をさらに有し、
前記制御ステップは、
船舶電力需要量、および前記船舶電力需要量の増減量、のそれぞれの情報を取得する取得ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否か、および前記増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過するか否か、を判定する判定ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させる起動ステップと、
前記増減量が前記許容範囲を超過する場合に、前記二次電池より船舶へ電力を供給させる切替ステップと、
を備える
、船舶用発電システムの制御用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用発電システム、船舶用発電方法、および船舶用発電システムの制御用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶は、重油や天然ガス等の化石燃料をエンジンの燃料として利用しているが、昨今のカーボンニュートラルの潮流から、水素やアンモニア等のカーボンレスなエネルギー源を燃料とする船舶の開発が進められている。その中でも、高い体積エネルギー密度と、貯蔵および輸送の容易性から、船舶の燃料としてアンモニアが有力視されている。
【0003】
船舶は、推進を担うエンジン(以下、主機関という。)と、船舶の電力を発電する複数台の発電装置を有しており、特に外国航路を航行する船舶では、主機関としてアンモニアを燃料とする2ストロークディーゼルエンジンが採用され、発電装置としては、4ストロークディーゼルエンジンやデュアルフューエルガスエンジンが採用される。
【0004】
また、特許文献1では、アンモニアを燃料とした固体酸化物形燃料電池システムが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、アンモニアは難燃性の特性を有しているため、4ストロークディーゼルエンジンの燃料として採用することは困難であり、船舶のカーボンニュートラルを達成するにはバイオ燃料等の炭化水素系燃料やバイオメタノール等のアルコール燃料を別途搭載する必要がある。
【0007】
また、デュアルフューエルガスエンジンにおいては、アンモニア燃料を採用することが可能であるが、4ストロークディーゼルエンジンに比べて発電効率が低いため、船舶運航時の燃料消費量が増加し、運航コストの増加につながる。
【0008】
さらに、アンモニアを燃料とする上記固体酸化物形燃料電池システムを船舶用として採用した場合は、4ストロークディーゼルエンジンやデュアルフューエルガスエンジンよりも発電効率が高い一方で、両者に比べ装置コストが高価であるという問題がある。
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、アンモニア搭載船に搭載されたアンモニアを有効活用し、装置コストと、船舶の運用期間中に必要となる燃料費を含む運航コストと、を含む、船舶の運用期間中に必要となるコストを低減させることができる、船舶用発電システム、船舶用発電方法、および船舶用発電システムの制御用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、船舶を推進させるエンジンである主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムであって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置と、
前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させるよう構成された制御装置と、を備え、
前記制御装置は、船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過する場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合を除き、前記発電装置のうち前記第1発電装置のみを稼働させる、船舶用発電システムである。
【0011】
前記内燃機関が、ディーゼルエンジンであることが好ましい。
【0013】
前記第1発電装置が二次電池をさらに有することが好ましい。
【0014】
本発明の他の一態様は、主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムであって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置と、
前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させるよう構成された制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
船舶電力需要量、および前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量、のそれぞれの情報を取得するよう構成された取得部と、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否か、および前記増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過するか否か、を判定するよう構成された判定部と、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、前記増減量が前記許容範囲を超過する場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させるよう構成された起動部と、
を有する、船舶用発電システムである。
【0015】
本発明の他の一態様は、主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムであって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置と、
前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させるよう構成された制御装置と、を備え、
前記第1発電装置が二次電池をさらに有し、
前記制御装置は、
船舶電力需要量の情報を取得するよう構成された取得部と、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否かを判定するよう構成された判定部と、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させるよう構成された起動部と、
を有し、
前記電力は、前記アンモニア搭載船の設備において用いられ、
前記二次電池は、前記固体酸化物形燃料電池から前記二次電池を介して前記設備に電力が供給されるよう前記固体酸化物形燃料電池と接続されている、船舶用発電システムである。
【0016】
本発明の他の一態様は、主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムであって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置と、
前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させるよう構成された制御装置と、を備え、
前記第1発電装置が二次電池をさらに有し、
前記制御装置は、
船舶電力需要量、および前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量、のそれぞれの情報を取得するよう構成された取得部と、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否か、および前記増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過するか否か、を判定するよう構成された判定部と、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させるよう構成された起動部と、
前記増減量が前記許容範囲を超過する場合に、前記二次電池より船舶へ電力を供給させるよう構成された切替部と、
を有する、船舶用発電システムである。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、船舶を推進させるエンジンである主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電方法であって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップと、を備え、
前記制御ステップでは、船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過する場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合を除き、前記発電装置のうち前記第1発電装置のみを稼働させる、船舶用発電方法である。
【0018】
前記内燃機関が、ディーゼルエンジンであることが好ましい。
【0020】
前記第1発電装置が二次電池をさらに有することが好ましい。
【0021】
本発明の他の一態様は、主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電方法であって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップ、を備え、
前記制御ステップは、
船舶電力需要量、および前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量、のそれぞれの情報を取得する取得ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否か、および前記増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過するか否か、を判定する判定ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、前記増減量が前記許容範囲を超過する場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させる起動ステップと、
を備える、船舶用発電方法である。
【0022】
本発明の他の一態様は、主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電方法であって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップ、を備え、
前記第1発電装置が二次電池をさらに有し、
前記制御ステップは、
船舶電力需要量の情報を取得する取得ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否かを判定する判定ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させる起動ステップと、
を備え、
前記電力は、前記アンモニア搭載船の設備において用いられ、
前記二次電池は、前記固体酸化物形燃料電池から前記二次電池を介して前記設備に電力が供給されるよう前記固体酸化物形燃料電池と接続されている、船舶用発電方法である。
【0023】
本発明の他の一態様は、主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電方法であって、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップ、を備え、
前記第1発電装置が二次電池をさらに有し、
前記制御ステップは、
船舶電力需要量、および前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量、のそれぞれの情報を取得する取得ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否か、および前記増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過するか否か、を判定する判定ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させる起動ステップと、
前記増減量が前記許容範囲を超過する場合に、前記二次電池より船舶へ電力を供給させる切替ステップと、
を備える、船舶用発電方法である。
【0024】
また、本発明の他の一態様は、船舶を推進させるエンジンである主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムの動作を制御するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む、前記発電システムの複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップを実行させ、
前記制御ステップでは、船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過する場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合を除き、前記発電装置のうち前記第1発電装置のみを稼働させる、船舶用発電システムの制御用プログラムである。
【0025】
本発明の他の一態様は、主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムの動作を制御するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む、前記発電システムの複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップを実行させ、
前記制御ステップは、
船舶電力需要量、および前記船舶電力需要量の単位時間当たりの増減量、のそれぞれの情報を取得する取得ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否か、および前記増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過するか否か、を判定する判定ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、前記増減量が前記許容範囲を超過する場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させる起動ステップと、
を備える、船舶用発電システムの制御用プログラムである。
【0026】
本発明の他の一態様は、主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムの動作を制御するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む、前記発電システムの複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップを実行させ、
前記制御ステップは、
船舶電力需要量の情報を取得する取得ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否かを判定する判定ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させる起動ステップと、
を備える、船舶用発電システムの制御用プログラムである。
【0027】
本発明の他の一態様は、主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムの動作を制御するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池を有する第1発電装置と、内燃機関を有し、前記内燃機関が生成する動力を用いて発電するよう構成された第2発電装置と、を少なくとも含む、前記発電システムの複数の発電装置を用いて、前記電力を生成するように前記発電装置それぞれの稼働を制御し、前記発電装置のうち前記第1発電装置を優先して稼働させる制御ステップを実行させ、
前記第1発電装置が二次電池をさらに有し、
前記制御ステップは、
船舶電力需要量、および前記船舶電力需要量の増減量、のそれぞれの情報を取得する取得ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過するか否か、および前記増減量が前記固体酸化物形燃料電池の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲を超過するか否か、を判定する判定ステップと、
前記船舶電力需要量が前記固体酸化物形燃料電池の定格出力を超過した場合、および前記固体酸化物形燃料電池の稼働が不能になった場合、のいずれかの場合にのみ前記第1発電装置以外の少なくとも1つの発電装置を起動させる起動ステップと、
前記増減量が前記許容範囲を超過する場合に、前記二次電池より船舶へ電力を供給させる切替ステップと、
を備える、船舶用発電システムの制御用プログラムである。
【発明の効果】
【0028】
上記態様の船舶用発電システム、船舶用発電方法、および船舶用発電システムの制御用プログラムによれば、アンモニア搭載船のアンモニアを有効活用し、装置コストと、船舶の運用期間中に必要となる燃料費を含む運航コストと、を含む、船舶の運用期間中に必要となるコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図6】第1実施形態のフローチャートの動作を示すものである。
【
図7】第3実施形態のフローチャートの動作を示すものである。
【
図8】第4実施形態のフローチャートの動作を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0031】
<第1の実施形態>
図1は、船舶用発電システム1の構成の一例を示す図である。船舶用発電システム1は、アンモニアを主機関の燃料または積荷として搭載する船舶に設けられ、当該船舶の各設備へ電力を供給するものであり、主として、固体酸化物形燃料電池11と、ディーゼルエンジン発電機12、13と、制御装置14と、を有する。
【0032】
固体酸化物形燃料電池11は、燃料ガスと酸化性ガスの化学反応によって発電するものであり、本発電システムにおいて優先的に稼働させるものであり、インバータ(不図示)を介して電流を交流に変換し、船舶に備えられた、航海計器、無線設備、空調機、照明等の各設備へ電力線に沿って電力を供給する。酸化性ガスは、例えば空気を用いることができるが、これに限られない。燃料ガスは、船舶に搭載されたアンモニアタンク6から供給されるアンモニアを、アンモニアの分解を行うアンモニア分解器7を用いて分解することによって生成した、水素を主成分とするガスであり、水素の含有割合は、80vol%以上であり、好ましくは90vol%以上である。水素の含有割合は、具体的には例えば、80vol%、85vol%、90vol%、95vol%、100vol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であっても良い。
【0033】
ディーゼルエンジン発電機12、13は、軽油や重油を燃料として発電するものであり、本発電システムにおいて、後述する電力需要に合わせて一時的に稼働させるものであり、船舶の各設備へ、固体酸化物形燃料電池11と共通の電力線に沿って電力を供給する。カーボンニュートラルの観点から、ディーゼルエンジン発電機12、13に用いられる燃料は、例えば脂肪酸メチルエステルを含有するバイオディーゼル燃料が好ましいが、これに限られない。また、ディーゼルエンジン発電機12は、ディーゼルエンジン12aと発電機12bを有し、ディーゼルエンジン発電機13は、ディーゼルエンジン13aと発電機13bを有する。
【0034】
ディーゼルエンジン発電機12、13と、固体酸化物形燃料電池11は、それぞれ独立して稼働し、電力を生成するように並列に設けられる。なお、本実施形態では、固体酸化物形燃料電池を有する発電装置が1台、ディーゼルエンジン発電機が2台搭載されるが、発電装置の各台数はこれに限られず、船舶の種類によって選択できる。
【0035】
制御装置14は、固体酸化物形燃料電池11と、ディーゼルエンジン発電機12、13の運転を制御するものであり、固体酸化物形燃料電池11及びディーゼルエンジン発電機12、13と電気的に接続される。
【0036】
制御装置14は、取得部14aと、判定部14bと、起動部14cと、を有する。取得部14aと、判定部14bと、起動部14cは、それぞれ、電気的回路により実現することができる。例えば、制御装置14はコンピュータを備え、当該コンピュータが、当該コンピュータが備えるメモリーに格納された、後述する制御用プログラムを実行させるよう構成される。なお、メモリーは、制御装置14がコンピュータとは別に備えても良いが、制御用プログラムの格納場所はこれに限られない。
【0037】
次に、
図6を参照して、
図1に示す船舶用発電システム1の動作について説明する。
図6は、アンモニア搭載船用発電システム1の動作を示すフローチャートである。当該フローチャートに示される動作は、例えば制御用プログラムの実行によって実現される。
【0038】
制御装置14は、固体酸化物形燃料電池11を起動させる。次に、取得部14aは、船舶の各設備から、船舶電力需要量と、船舶電力需要量の単位時間あたりの増減量(以下、増減量という。)のぞれぞれの情報を取得する(ステップS101、S102)。ここで、船舶電力需要量は船舶の各設備で必要な電力の合計値である。増減量は船舶電力需要量をもとに算出することができる。また、船舶電力需要量に関しては、過去の船舶運航時における電力需要量の実績データ、および、船舶の運航ルートや気象情報といった運航情報についての運航データ等を教師データとして機械学習させて、船舶電力需要量と運航情報との対応関係を構築した、コンピュータの学習済み予測モデルに所望の運航情報を入力することにより予測をすることができるが、予測方法はこれに限られない。なお、船舶電力需要量と増減量の情報は、リアルタイムな船舶電力消費量と、船舶電力消費量の単位時間あたりの増減量の情報、としても良い。
【0039】
判定部14bは、船舶電力需要量が、固体酸化物形燃料電池11の定格出力を超過するか否か(ステップS103)、および、増減量が、固体酸化物形燃料電池11の負荷変動応答性能を超過するか否か(ステップS104)、を判定する。ここで、負荷変動応答性能とは、固体酸化物形燃料電池11の単位時間当たりの出力変動値の許容範囲の大きさを示し、例えば、-1.5~1.5%/minで表される。
【0040】
起動部14cは、船舶電力需要量が固体酸化物形燃料電池11の定格出力を超過する場合(ステップS103)、増減量が固体酸化物形燃料電池11の負荷変動応答性能を超過する場合(ステップS104)、および固体酸化物形燃料電池11の稼働が、例えば故障等により不能となった場合(ステップS105)、のいずれかの場合に、ディーゼルエンジン発電機12または13、またはその両方を起動させる(ステップS106)。一方で、ステップS103、ステップS104、およびステップS105のこれらの場合のいずれにも該当しない場合は、起動部14cは、ディーゼルエンジン発電機12、13を起動させない。固体酸化物形燃料電池11の稼働が不能となったかどうかは、固体酸化物形燃料電池11の電圧値を読み取ることで判断できるが、判断方法はこれに限られない。なお、ステップS103、ステップS104、およびステップS105の各ステップは順番が前後しても良い。
【0041】
本実施形態において、制御装置が備える各部は、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これらの情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0042】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0043】
ここで、アンモニアのエネルギー単価は以下の式より算出される。なお、3.6(GJ/MWh)は単位換算係数を示す。
エネルギー単価($/MWh)=重量単価($/ton)÷比エンタルピ(MJ/kg)×3.6(GJ/MWh)・・・(1)
また、1MWhあたりの燃料費は以下の式により算出される。
単位時間燃料費($/MWh)=エネルギー単価($/MWh)×発電効率(%)・・・(2)
【0044】
式(1)、(2)、および、20年以上と言われる一般的な船舶の運用期間から、アンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池11と、カーボンニュートラルな燃料として扱われ得るバイオディーゼルを燃料とするディーゼルエンジン発電機12、13の、船舶運航期間中の燃料費が算出される。ここで、将来のブルーアンモニアの価格は1トンあたり350ドルから400ドルと示唆されていることから(Ammonfuel-an industrial view of ammonia as a marine fuel,Alfa Laval et.al,2020より)、アンモニアの重量単価として、中央値の375ドルを採用している。なお、ブルーアンモニアとは、化石燃料を原料として、製造工程において排出されるCO2を回収して製造されたアンモニアの呼称である。また、アンモニアの比エンタルピは18.8MJ/kgであり、固体酸化物形燃料電池の発電効率は、アンモニア低位発熱量基準で53%とした。バイオディーゼル燃料の価格については、原材料により価格の変動が大きいため、ここでは一般的に下限値として言われている価格として、アンモニアと同じエネルギー単価を採用し、ディーゼルエンジン発電機の発電効率は45%とした。また、一般的な船舶の稼働率を勘案して、優先的に稼働させる第1発電装置の年間稼働率を80%、一時的に稼働させる第2発電装置または第3発電装置の年間稼働率を20%とした。
【0045】
さらに、固体酸化物形燃料電池を有する発電装置の価格は¥270,000/kWh、ディーゼルエンジン発電機の価格は¥50,000/kWhであると言われており、1台あたりの発電機容量を600kWとすると、1台あたりの装置導入コスト差は約1,015,000ドル(¥130/ドルとする。)である。
【0046】
以上の前提から、例えば大型外航船において一般的である、3台の発電装置を備える船舶用発電システムに関し、装置コストと20年間の燃料コストの合算コストについて、3台ともディーゼルエンジン発電機とした組み合わせを基準として、発電機種の組み合わせ毎のコスト比を表1に示す。
【0047】
【0048】
表1より、優先的に稼働させる発電装置は固体酸化物形燃料電池11であり、一時的に稼働させる第2発電装置または第3発電装置はディーゼルエンジン発電機である場合の組み合わせ(Case3)は、発電装置が3台とも固体酸化物形燃料電池である場合の組み合わせ(Case2)、または発電装置が3台ともディーゼルエンジン発電機である場合の組み合わせ(Case1)に比べ、低コストである。
Case1とCase3の比較において、Case3の装置コストはCase1に比べ約1,015,000ドル高価である一方で、Case3の年間燃料コストはCase1に比べ約101,280ドル安価となる。したがって、装置の導入コスト差は約10年で回収することが可能となる。
さらに、ディーゼルエンジン発電機のみを採用したCase1では、主機関用途や積荷等のアンモニアを有効活用できないが、アンモニアを原燃料とする固体酸化物形燃料電池11を採用するCase3では、当該アンモニアの有効活用が可能となる。
【0049】
本実施形態によれば、優先して稼働する固体酸化物形燃料電池11の燃料として、主機関の燃料または積荷として船舶に搭載されるアンモニアを有効に活用することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、装置コストと、船舶の運用期間中に必要となる燃料費を含む運航コストと、を含む、船舶の運用期間中に必要となるコストを低減させることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、一時的に稼働させる第2発電装置または第3発電装置を、電力需要や増減量に合わせて適当なタイミングで稼働させることができるため、高コストなバイオディーゼル燃料の余分な燃料消費を防ぐことができる。
【0052】
<第2の実施形態>
本発明に係る船舶用発電システムの第2の実施形態について、第1の実施形態とは異なる部分を中心に説明する。本実施形態の船舶用発電システム2は、ディーゼルエンジン発電機12、13の代わりにデュアルフューエルエンジン発電機22、23を有する点で異なる。なお、以後の説明において、第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0053】
図2は、船舶用発電システム2の構成の一例を示す図であり、主として、固体酸化物形燃料電池11と、デュアルフューエルエンジン発電機22、23と、制御装置14と、を有する。
【0054】
デュアルフューエルエンジン発電機22、23は、軽油や重油といった液体燃料と、液化アンモニアを気化させて得られたガス燃料の、いずれか、またはその両方を燃料として発電するものであり、カーボンニュートラルの観点から、液体燃料はバイオディーゼル燃料であることが好ましいが、これに限られない。デュアルフューエルエンジン発電機22は、デュアルフューエルエンジン22aと発電機22bを有し、デュアルフューエルエンジン発電機23は、デュアルフューエルエンジン23aと発電機23bを有する。
【0055】
デュアルフューエルエンジン発電機22、23に供給されるガス燃料は、船舶に搭載されたアンモニアタンク6から供給されるアンモニアをアンモニア分解器8を用いて分解することにより生成した、水素を含有するガスであり、水素の含有割合は、20vol%以上であり、好ましくは、30vol%、さらに好ましくは40vol%以上である。水素の含有割合は、具体的には例えば、20vol%、30vol%、40vol%、50vol%、60vol%、70vol%、80vol%、90vol%、100vol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であっても良い。なお、本実施形態では、デュアルフューエルエンジン発電機22、23に対応するアンモニア分解器は1式であるが、デュアルフューエルエンジン発電機22、23に1式ずつのアンモニア分解器が備わっていても良い。
【0056】
ここで、デュアルフューエルエンジン発電機の発電効率は41%になると知られており、デュアルフューエルエンジン発電機の価格を¥50,000/kWhとすると、前述第1の実施形態において説明した前提条件から、発電機種の組み合わせ毎の、3台の発電装置からなる船舶用発電システムのコスト比は、後述の表2に示す通りとなる。
【0057】
【0058】
表2より、基準となる、3台ともディーゼルエンジン発電機である組み合わせの場合(Case1)、および、比較例である、3台ともデュアルフューエルエンジン発電機である組み合わせの場合(Case4)と比べ、優先的に稼働させる発電装置は固体酸化物形燃料電池11であり、一時的に稼働させる第2発電装置または第3発電装置はデュアルフューエルエンジン発電機である場合の組み合わせ(Case5)は、低コストである。
Case4とCase5の比較において、Case5の装置コストはCase4に比べ約1,015,000ドル高価である一方で、Case5の年間燃料コストは、Case4に比べ約166,741ドル安価となる。したがって、装置の導入コスト差は約6年で回収することが可能となる。
【0059】
本実施形態によれば、一時的に稼働するデュアルフューエルエンジン発電機22、23に使用する燃料としてもアンモニアを活用でき、また、装置コストと、船舶の運用期間中に必要となる燃料費を含む運航コストと、を含む、船舶の運用期間中に必要となるコストを低減させることができる。さらに、バイオディーゼル燃料のタンクを小さくすることができるため、バイオディーゼル燃料のタンクに係る設備コストの低減に寄与することができる。
【0060】
<第3の実施形態>
本発明に係る船舶用発電システムの第3の実施形態について、第1の実施形態とは異なる部分を中心に説明する。本実施形態の船舶用発電システム3は、固体酸化物形燃料電池11に直列に接続された二次電池31を有する点で異なる。なお、以後の説明において、第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0061】
図3は、船舶用発電システム3の構成の一例を示す図であり、主として、固体酸化物形燃料電池11と、ディーゼルエンジン発電機12、13と、制御装置14と、二次電池31と、を有する。
【0062】
二次電池31は、固体酸化物形燃料電池11と電気的に接続されて1つの発電装置を構成し、二次電池31は固体酸化物形燃料電池11によって充電されつつ、二次電池31の放電により船舶の各設備へ電力が供給される。また、二次電池31は、リチウムイオン電池であることが望ましいが、これに限られない。なお、二次電池31と固体酸化物形燃料電池11の出力は、船舶電力需要量に応じて調整され、望ましくは二次電池31の容量が最大値となった場合、固体酸化物形燃料電池11は、固体酸化物形燃料電池11自身の備える、熱交換器、センサー、燃焼器、コンプレッサー等の補機類の稼働維持に必要となる最低限度の発電を行うよう、制御装置14により制御される。
【0063】
次に、
図7を参照して、
図3に示す船舶用発電システム3の動作について説明する。
図7は、アンモニア搭載船用発電システム3の動作を示すフローチャートである。
【0064】
制御装置14は、固体酸化物形燃料電池11を起動させる。次に、取得部14aは、船舶電力需要量の情報を取得する(ステップS201)。
【0065】
判定部14bは、船舶電力需要量が、固体酸化物形燃料電池11の定格出力を超過するか否か(ステップS203)を判定する。
【0066】
起動部14cは、船舶電力需要量が固体酸化物形燃料電池11の定格出力を超過する場合(ステップS203)、または固体酸化物形燃料電池11の稼働が不能になった場合(ステップS205)に、ディーゼルエンジン発電機12または13、またはその両方を起動させる(ステップS206)。一方で、ステップS203とステップS205のこれらの場合のいずれにも該当しない場合は、ディーゼルエンジン発電機12、13を起動させない。なお、ステップS203とステップS205の各ステップは順番が前後しても良い。
【0067】
本実施形態によれば、優先的に稼働させる発電装置から供給される電力は、二次電池31を介していることにより、固体酸化物形燃料電池11は、固体酸化物形燃料電池11自身の劣化を招く温度変化の原因となる急激な出力変動の影響を受けず、すなわち発電効率の低下を防止することができるため、船舶の燃料費増加防止に寄与することができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、一時的に稼働させる発電装置を、船舶の電力需要に合わせて適当なタイミングで稼働させることができるため、不必要な稼働を防止でき、余分な燃料消費を防ぐことができる。
【0069】
<第4の実施形態>
本発明に係る船舶用発電システムの第4の実施形態について、第3の実施形態とは異なる部分を中心に説明する。本実施形態の船舶用発電システム4は、固体酸化物形燃料電池11と並列に接続された二次電池31を有する点で異なる。なお、以後の説明において、第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0070】
図4は、船舶用発電システム4の構成の一例を示す図であり、主として、固体酸化物形燃料電池11と、ディーゼルエンジン発電機12、13と、制御装置14と、二次電池31と、を有する。
【0071】
二次電池31は、固体酸化物形燃料電池11と電気的に接続されて1つの発電装置を構成し、二次電池31は固体酸化物形燃料電池11によって充電されるが、ディーゼルエンジン発電機12、13によって充電されても良い。二次電池31への充電は、例えば、固体酸化物形燃料電池11からの出力と並行して行われる。また、二次電池31は、リチウムイオン電池であることが望ましいが、これに限られない。
【0072】
二次電池31は、制御装置14と電気的に接続されており、後述するフローに従って船舶の各設備へ電力を供給する。また、制御装置14は、切替部14dを更に備えており、切替部14dは、他の各部と同様、電気的回路によって実現される。
【0073】
次に、
図8を参照して、
図4に示すアンモニア搭載船用発電システム4の動作について説明する。
図8は、船舶用発電システム4の動作を示すフローチャートである。
【0074】
制御装置14は、固体酸化物形燃料電池11を起動させる。次に、取得部14aは、船舶電力需要量と、増減量の情報を取得する(ステップS301、S302)。
【0075】
判定部14bは、船舶電力需要量が、固体酸化物形燃料電池11の定格出力を超過するか否か(ステップS303)、および、増減量が、固体酸化物形燃料電池11の負荷変動応答性能を超過するか否か(ステップS304)を判定する。
【0076】
起動部14cは、船舶電力需要量が固体酸化物形燃料電池11の定格出力を超過する場合(ステップS303のYes)、または固体酸化物形燃料電池11の稼働が不能となった場合(ステップS305のYes)に、ディーゼルエンジン発電機12または13、またはその両方を起動させる(ステップS306)。一方で、ステップS303、およびステップS305のこれらの場合のいずれにも該当しない場合(ステップS303のNo、ステップS305のNo(不図示))は、起動部14cは、ディーゼルエンジン発電機12、13を起動させない。なお、ステップS303、ステップS304、およびステップS305の各ステップは順番が前後しても良い。
【0077】
切替部14dは、増減量が固体酸化物形燃料電池11の負荷変動応答性能を超過する場合(ステップS304のYes)に、二次電池31より船舶の各設備へ電力を供給する(ステップS307)。具体的には、二次電池31は、固体酸化物形燃料電池11から供給される電力に付加的に電力を供給するが、付加的な電力の供給の代わりに、固体酸化物形燃料電池11から切り替えて電力を供給することを行ってもよい。一方、ステップS304の判定結果がNoの場合は、切替部14dは、二次電池31からの電力の供給を行わない。
【0078】
本実施形態によれば、固体酸化物形燃料電池11が船舶の各設備へ電力を供給し、急激な出力変動が生じた際には、二次電池31が船舶の各設備へ電力を供給するため、固体酸化物形燃料電池11は、一定範囲の出力にて連続して、船舶の各設備へ電力を供給することができる。
【0079】
<第5の実施形態>
図5は、本発明に係る船舶用発電システムの第5の実施形態について、その構成の一例を示したものである。
【0080】
本実施形態によれば、優先的に稼働する固体酸化物形燃料電池11の燃料として、主機関の燃料または積荷として船舶に搭載されるアンモニアを有効に活用することができ、また、バイオディーゼル燃料のタンクを小さくすることができるため、バイオディーゼル燃料のタンクに係る設備コストの低減に寄与することができる。さらに、固体酸化物形燃料電池11の出力変動を抑制できるため、発電効率の観点で最適な出力での運転を維持することができ、船舶の燃料費低減に寄与することができる。
【0081】
<その他の実施形態>
本発明の別の態様は、上記一態様の船舶用発電方法である。本実施形態の発電方法は、上記制御ステップを、例えば上記船舶用発電システムの運転により行うことができ、その一部はオペレーターにより行われても良い。
本実施形態の方法では、装置コストと、船舶の運用期間中に必要となる燃料費を含む運航コストと、を含む、船舶の運用期間中に必要となるコストを低減させることができる。また、一時的に稼働させる第2発電装置または第3発電装置を、電力需要や増減量に合わせて適当なタイミングで稼働させることができるため、高コストなバイオディーゼル燃料の余分な燃料消費を防ぐことができる。
【0082】
また、本発明の別の態様は、上記一態様の船舶用発電システムの制御用プログラムでる。本実施形態の制御用プログラムは、例えば上記船舶用発電システムの制御装置のメモリーに格納され、コンピュータにより実行される。
本実施形態のプログラムでは、装置コストと、船舶の運用期間中に必要となる燃料費を含む運航コストと、を含む、船舶の運用期間中に必要となるコストを低減させることができる。また、一時的に稼働させる第2発電装置または第3発電装置を、電力需要や増減量に合わせて適当なタイミングで稼働させることができるため、高コストなバイオディーゼル燃料の余分な燃料消費を防ぐことができる。
【0083】
なお、上記説明した船舶用発電システムでは、固体酸化物形燃料電池11と固体酸化物形燃料電池11以外の発電装置は、いずれか一方を単独で、または両者を併用して運転することができる。また、上述の実施形態は例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0084】
また、本実施形態に登場する動作を実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納されて提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1、2、3、4、5 船舶用発電システム
6 アンモニアタンク
7、8 アンモニア分解器
11 固体酸化物形燃料電池
12、13 ディーゼルエンジン発電機
12a、13a ディーゼルエンジン
12b、13b、22b、23b 発電機
14 制御装置
14a 取得部
14b 判定部
14c 起動部
14d 切替部
22、23 デュアルフューエルエンジン発電機
22a、23a デュアルフューエルエンジン
31 二次電池
【要約】
【課題】アンモニア搭載船のアンモニアを有効活用し、装置コストと、船舶の運用期間中に必要となる燃料費を含む運航コストと、を含む、船舶の運用期間中に必要となるコストを低減させる、船舶用発電システム、船舶用発電方法、および船舶用発電システムの制御用プログラムを提供する。
【解決手段】主機関の燃料または積荷としてアンモニアを搭載するアンモニア搭載船において用いられる電力を生成する発電システムであって、アンモニアの一部の分解により生成する水素を主成分とするガスを燃料ガスとする固体酸化物形燃料電池11と、ディーゼルエンジン発電装置12、13と、電力を生成するように発電装置それぞれの稼働を制御し、発電装置のうち固体酸化物形燃料電池11を優先して稼働させるよう構成された制御装置14と、を備え、制御装置14は、取得部14aと、判定部14bと、起動部14cと、を有する。
【選択図】
図1