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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】ウナギ様食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/00 20160101AFI20230606BHJP
   A23J 3/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A23L17/00 E
A23L17/00 101A
A23L17/00 Z
A23J3/00 507
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019056294
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020156325
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591219566
【氏名又は名称】青葉化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100143834
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 修二
(72)【発明者】
【氏名】古田 玲子
(72)【発明者】
【氏名】中川 真梨子
(72)【発明者】
【氏名】小澤 琢
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 光紹
(72)【発明者】
【氏名】松本 俊介
(72)【発明者】
【氏名】千葉 克則
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-082981(JP,A)
【文献】特開2019-010053(JP,A)
【文献】特許第5681315(JP,B1)
【文献】特開2015-062346(JP,A)
【文献】国際公開第2018/092685(WO,A1)
【文献】特開平09-294555(JP,A)
【文献】特開2015-223080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/、29/
A23J 3/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身層と、皮層と、を含むウナギ様食品であって、
前記身層は、たん白素材と、澱粉と、油脂とを含む層であり、
前記皮層は、90℃5分の加熱を行っても溶解しない耐熱性を持たせたゼラチンゲル層であり、
前記身層と前記皮層との間に中間層を含み、
前記中間層は、乳化した油脂をゲル化剤で固めた層であることを特徴とするウナギ様食品。
【請求項2】
請求項記載のウナギ様食品を凍結した冷凍ウナギ様食品。
【請求項3】
請求項記載のウナギ様食品を真空凍結乾燥した真空凍結乾燥ウナギ様食品。
【請求項4】
たん白素材と、澱粉と、油脂と、を混合した後、成型し、加熱し、身層を作製する身層製造工程と、
ゼラチンと、トランスグルタミナーゼと、アンモニウム塩と、を水に分散させ、酵素反応させ、耐熱性のあるゼラチンゲルである皮層を作製する皮層作製工程と、
前記身層と前記皮層を結着する結着工程と、を含むことを特徴とするウナギ様食品の製造方法。
【請求項5】
たん白素材と、澱粉と、油脂と、を混合した後、成型し、加熱し、身層を作製する身層製造工程と、
油脂を乳化した液にゲル化剤を添加しゲル化させ中間層を作製する中間層作製工程と、
ゼラチンと、トランスグルタミナーゼと、アンモニウム塩と、を水に分散させ、酵素反応させ、耐熱性のあるゼラチンゲルである皮層を作製する皮層作製工程と、
前記中間層と前記皮層、及び前記身層と前記中間層をそれぞれ結着する結着工程と、を含むことを特徴とするウナギ様食品の製造方法。
【請求項6】
請求項4または5記載の製造方法で製造した前記ウナギ様食品を凍結する凍結工程を含むことを特徴とする冷凍ウナギ様食品の製造方法。
【請求項7】
請求項4または5記載の製造方法で製造した前記ウナギ様食品を凍結する凍結工程と、前記凍結工程で凍結した前記ウナギ様食品を真空凍結乾燥する真空凍結乾燥工程と、を含むことを特徴とする真空凍結乾燥ウナギ様食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウナギ様食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウナギの減少により、ウナギの価格が上昇しており、代替としてナマズやイワシの開きを蒲焼風に加熱加工したものや魚肉すり身と魚肉を成形、加熱加工したウナギ様食品が知られている(例えば、特許文献1~2参照)が、風味も食感も満足するものではなかった。また、即席食品用のお湯戻しで復元するウナギとして、ウナギそのものを真空凍結乾燥しても、復元性が悪く、お湯戻しで復元するウナギを得ることができなかった。
【0003】
ところで、練り製品などの食品の品質改良剤として耐熱性のあるゼラチンゲルが知られているが、ウナギ様食品の皮として用いることについては記載されていない(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6237044号公報
【文献】特許第6240436号公報
【文献】特許第5674329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ウナギのような食感、風味に優れたウナギ様食品及びその製造方法を提供することを目的とする。また、当該ウナギ様食品を用いた冷凍食品用の冷凍ウナギ様食品及び湯戻し可能な即席食品用の真空凍結乾燥ウナギ様食品並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者らは、耐熱性のゼラチンゲルの利用方法について鋭意研究した結果、耐熱性のゼラチンゲルはウナギの皮用の食感を有し、ウナギの皮の代替として使用でき、凍結しても食感に影響がなく、さらには、真空凍結乾燥しても復元し、食感を維持することを見出した。そこでさらに鋭意研究した結果、本発明に至った。
【0007】
すなわち、身層と、皮層と、を含むウナギ様食品であって、前記身層は、たん白素材と、澱粉と、油脂とを含む層であり、前記皮層は、90℃5分の加熱を行っても溶解しない耐熱性を持たせたゼラチンゲル層であり、前記身層と前記皮層との間に中間層を含み、前記中間層は、乳化した油脂をゲル化剤で固めた層であることを特徴とするウナギ様食品である。
本発明において、「ウナギ様食品」とは、ウナギのかば焼きのような食感と風味を有する食品をいう。
【0008】
よりウナギらしい食味を得るために、身層と皮層との間に、乳化した油脂をゲル化剤で固めた中間層を設ける。
【0009】
また、本発明に係るウナギ様食品は、冷凍して冷凍ウナギ様食品としてもよく、真空凍結乾燥した真空凍結乾燥ウナギ様食品とすることができる。
【0010】
また、本発明に係るウナギ様食品の製造方法としては、たん白素材と、澱粉と、油脂と、を混合した後、成型し、加熱し、身層を作製する身層製造工程と、ゼラチンと、トランスグルタミナーゼと、アンモニウム塩と、を水に分散させ、酵素反応させ、耐熱性のあるゼラチンゲルである皮層を作製する皮層作製工程と、前記身層と前記皮層を結着する結着工程と、を含むことが好ましい。
【0011】
また、中間層を設ける場合の本発明に係るウナギ様食品の製造方法としては、たん白素材と、澱粉と、油脂と、を混合した後、成型し、加熱し、身層を作製する身層製造工程と、油脂を乳化した液にゲル化剤を添加しゲル化させ中間層を作製する中間層作製工程と、ゼラチンと、トランスグルタミナーゼと、アンモニウム塩と、を水に分散させ、酵素反応させ、耐熱性のあるゼラチンゲルである皮層を作製する皮層作製工程と、前記中間層と前記皮層、及び前記身層と前記中間層をそれぞれ結着する結着工程と、を含むことが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るウナギ様食品を製造した後に、凍結し、または凍結した後、真空凍結乾燥することにより、冷凍ウナギ様食品または、真空凍結乾燥ウナギ様食品を製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ウナギのような食感、風味に優れたウナギ様食品及びその製造方法を提供することができる。また、当該ウナギ様食品を用いた冷凍食品用の冷凍ウナギ様食品及び湯戻し可能な即席食品用の真空凍結乾燥ウナギ様食品並びにそれらの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る実施例1-1のウナギ様食品(左側)と比較例1-1の市販のウナギの蒲焼き(右側)の表面の写真である。
図2】本発明に係る実施例1-1のウナギ様食品(左側)と比較例1-1の市販のウナギの蒲焼き(右側)の裏面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
【0016】
1.身層
本発明に係る身層に使用する主原料としては、たん白素材、澱粉、油脂が挙げられる。たん白素材としては、ウナギの魚肉、タラやタイなどの白身魚由来の魚肉やマグロなどの赤身魚由来の魚肉やつなぎのための大豆粉、グルテン、卵白などのたん白粉、嵩増しのための粒状大豆たん白、繊維状大豆たん白などの加工たん白が挙げられる。
【0017】
本発明に係る澱粉としては、甘薯澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉及びコーンスターチ等の各種澱粉が挙げられ、これらを単独で使用しても、または混合して使用してもよい。または、澱粉は、生澱粉のみに限らず、α化澱粉やアセチル化澱粉、エーテル化澱粉及び架橋澱粉等の加工澱粉等を使用することもできる。このうち甘薯澱粉やα化コーンスターチが食感の面で好ましい。澱粉を添加する際は、粉の状態で添加してもよいが、一度水とともに加熱し糊化した状態で添加することが好ましい。
【0018】
本発明に係る油脂としては、食用の油脂であればよく、常温で液体状の油脂や、常温で半固形状または固形状の油脂を加温融解して液体状にしたものを使用してもよい。油脂の種類としては、大豆油、米白絞油、菜種油、パーム油、コーン油、オリーブ油、ひまわり油、ごま油、鶏油、魚油、ラード及び牛脂などが挙げられる。
【0019】
その他の副原料としては、砂糖、塩、グルタミンソーダ、みりんなどの調味素材や鰻エキスやフレーバーなどの風味素材、色素、酸化防止剤などを添加することができる。
【0020】
これらの素材は、サイレントカッターやニーダーにより撹拌、混合する。混合したものを型などで成形し、スチーム加熱して身層とする。作製した身層は必要によりタレを付けて炙り、焦げ目を付けたり、凍結して保管することができる。
【0021】
2. 皮層
本発明に係る皮層は、耐熱性のあるゼラチンゲル層からなる。本発明における耐熱性とは90℃5分程度のスチーム加熱(殺菌)を行ってもゼラチンゲルが溶解しないで耐えられることをいう。具体的には、特許文献3に記載された食品品質改良剤から製造することができる。すなわち、ゼラチンとトランスグルタミナーゼとアンモニウム塩を、ゼラチンゲル層の全重量に対して、ゼラチンが3~7重量%、トランスグルタミナーゼが0.001~0.020重量%、アンモニウム塩が0.005~0.10重量%となるように水に分散させ、60℃以下で加温溶解し、シート状に成型した後、必要により冷却し、酵素反応を進めてゲル化することで作製する。アンモニウム塩としては、リン酸二水素アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、炭酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムのうちの1種または2種以上の組み合わせから成ることが好ましい。
【0022】
ゼラチンゲル層には上記原料の他に、粉末セルロースや、澱粉分解物、デキストリン、油脂や鰻のパウダー、エキス、イカ墨や竹炭、色素などを添加することができる。粉末セルロースや澱粉分解物を入れることにより、皮層を火であぶった場合、凹凸のある自然な皮のような外観や焦げ目がつきやすくなり、また、後述する真空凍結乾燥ウナギ様食品では復元性が良好になる。また、油脂や鰻のパウダーやエキスを加えることにより皮自体の風味を増強することができる。
【0023】
作製したゼラチンゲルは、必要によりテンダライザーによる切り込みを入れたり、炙ったり、必要により凍結して保管することができる。
【0024】
3.中間層
本発明においては、身層と皮層との間に乳化した油脂をゲル化剤で固めた中間層を設けることがより好ましい。中間層を設けることでより一層、鰻様の食感や風味が得られる。乳化した油脂としては、乳化剤を使用して液油を乳化しても、乳化性のある粉末油脂を用いてもよい。油脂としては、ラードや鶏油を用いることが好ましい。
【0025】
ゲル化剤は、ゲル化するものであれば特に限定はなく、ジェランガム、こんにゃく粉、アルギン酸、カードラン、寒天、ジェランガム、皮層で用いた耐熱性のあるゼラチンゲルを作製する食品品質改良剤、キサンタンガムとローストビーンガムの混合剤などが挙げられる。冷凍耐性や後述する真空凍結乾燥ウナギ様食品の復元性を考えると、ゲル化剤は、ジェランガムや皮層で用いた耐熱性のあるゼラチンゲルを作製する食品品質改良剤が好ましい。
【0026】
中間層の作製方法としては、油脂と水とを乳化剤で乳化するか、乳化性のある粉末油脂を水に溶かして乳化したものを加温し、ゲル化剤を投入して溶解した後、必要により冷却しゲル化させることで作製する。油脂の量としては、中間層全体の重量に対して15~50重量%含むことが好ましい。少なすぎると風味にかけ、多すぎるとゲル化できない。
【0027】
4.結着工程
次いで、身層と皮層または、身層と中間層及び中間層と皮層を結着する。結着方法は、特に限定はなく、アルギン酸や皮層で用いた耐熱性のあるゼラチンゲルを作製する食品品質改良剤を結着面に振りかけて結着させてもよく、卵白粉や大豆たん白粉などと結着面に振りかけてスチーム等により加熱することで結着してもよい。中間層を有する場合には、身層と中間層、中間層と皮層との結着順番は問わず、一遍に層状化して結着することも可能である。また、身層の上で中間層及び皮層のゲル化を行ったり、皮層の上で中間層のゲル化を行うこともでき、この場合、結着材を使用せずに身層と中間層、中間層と皮層を結着させることもできる。結着したものはウナギ様食品としてそのまま使用しようすることもできるが、凍結し、冷凍ウナギ様食品とすることもでき、凍結後、真空凍結乾燥して、即席食品用の湯戻し可能な真空凍結乾燥ウナギ様食品とすることもできる。
【0028】
5.凍結工程
【0029】
凍結のための手段は、従来技術を適用することができる。例えば、エアブラスト式のトンネルフリーザー、スパイラルフリーザー、ワゴンフリーザーや急速凍結庫、ブライン式のフレキシブルフリーザー等が適用できる。例えば、約-30℃のプレハブ式急速凍結庫を利用して急速に行うことができる。凍結方法は特に限定しないが、中心の品温が-18℃以下となるようにしっかりと凍結する。凍結したウナギ様食品は、冷凍食品用の冷凍ウナギ様食品とすることができる。
【0030】
6.真空凍結乾燥食品
凍結したウナギ様食品は、真空乾燥機を用いて減圧下で真空凍結乾燥することで即席食品用の真空凍結乾燥ウナギ様食品とすることができる。真空凍結乾燥ウナギ様食品は、即席麺や即席スープ、即席ライスなどのお湯等で復元する即席食品の具材とすることができる。凍結乾燥条件は特に限定されず、凍結したウナギ様食品が解凍しない程度の真空度、棚加熱温度で乾燥すればよい。好ましい範囲としては真空度が1.5torr以下、棚加熱温度が80℃以下、乾燥後の水分としては1~5重量%となるように乾燥すればよい。
【0031】
7.その他
本発明において、タレに付ける工程、皮層や身層を炙る工程、皮層に切り込みを入れる工程などは、各層の製造時に行ってもよいが、各層を結着した後に行ってもよい。
【0032】
以上のように、たん白素材と、澱粉と、油脂とを含む身層と、耐熱性を持たせたゼラチンゲル層である皮層とを結合すること、身層と皮層との間にさらに油脂を乳化した中間層を設けることで、ウナギのような食感、風味に優れたウナギ様食品を提供することができる。また、当該ウナギ様食品を用いた冷凍食品用の冷凍ウナギ様食品及び湯戻し可能な即席食品用の乾燥ウナギ様食品を提供することできる。
【0033】
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。
【実施例
【0034】
<実験1>ウナギ様食品の検討
(実施例1-1)身層+皮層
スケソウダラのすり身26gと水とをフードカッターを用いて30秒間粗ずりし、塩0.5gを加えて3分間塩ずりした後、脱脂大豆粉3.9g、馬鈴薯澱粉3.7g、上白糖0.5g、トコフェロール(酸化防止剤)0.2gの粉体物、及びみりん0.8g、精製ラード12g、チキンオイル12.5g、鰻エキス1.5g、魚油0.1gの液体物を加えてさらに3分間混合し、そこにスケソウダラのほぐし身21.9g、水11g、粒状大豆たん白2gに水5.9gを加えて吸水させたもの、甘薯澱粉1.5gに水28.5gを加えて加熱糊化したものを加え、加水7.5gを徐々に加えながら手で満遍なく混ぜた後、8mm厚となるように板状に成形し、スチーマーで99℃3分間加熱し、3mm幅に切れ込みを入れて外観をウナギ様にした後、自然冷却して身層を作製した。作製した身層は、醤油41.9g、みりん31,1g、清酒9g、上白糖17.6g、カラメル色素0.4gを加熱して作製したタレを表面に満遍なく刷毛で塗った後、バーナーで焦げが付くまで炙り、-20℃のフリーザーで凍結して保存した。
【0035】
次いで、酸処理ゼラチンとアルカリ処理ゼラチンを混合したゼラチン65重量%、トランスグルタミナーゼ0.07重量%、クエン酸三ナトリウム9.37重量%、ショ糖脂肪酸エステル0.83重量%、塩化アンモニウム0.30重量%、食品素材24.43重量%からなる食品品質改良剤8gと、竹炭パウダー0.125g、クチナシ色素(青)0.0005g、セルロースパウダー3g、デキストリン3gを水85.9gに加え、45~55℃の範囲で加温しながら溶解し、ビニールシートを引いたパットの上に注ぎ、さらにシートを上から被せて厚み1mmとなるように伸ばし、30分ほど室温で放置した後、耐熱性を出すために4℃の冷蔵庫で1晩保存し、しっかりと酵素反応させ耐熱性のあるゼラチンゲル層を作製した。作製したゼラチンゲル層は、バーナーで炙って焦げ目を付けた後、テンダライザーで縦筋5mmの切り込みで縦横5mm間隔となるように筋入れし、-20℃のフリーザーで凍結して保存した。
【0036】
凍結した身層100gに対して皮層14gとなるように、間にアルギン酸粉末1gを満遍なく添加し、スチーマーで99℃4分間加熱し、冷却してウナギ様食品を作製した。
【0037】
また、作製したウナギ様食品を-20℃のフリーザーで凍結して50mm×70mmに切断し冷凍ウナギ様食品とした。また、凍結した冷凍ウナギ様食品を真空凍結乾燥機で乾燥した。乾燥条件は、真空度0.8torr以下、棚加熱温度が70℃とし、最終品温が68℃以上となるまで乾燥して、真空凍結乾燥ウナギ様食品とした。
【0038】
(実施例1-2)
実施例1-1同様に皮層となるゼラチンゲル層を作製した後、その上に乳化性のある粉末油脂44g(エマファット(登録商標)PA-80 理研ビタミン社製)、リン酸3ナトリウム0.1gを水20.1gに添加し、よく乳化させた乳化液に、実施例1-1の皮層に使用した食品品質改良剤6gを45~55℃のお湯29.8gに溶解させたゲル液を加えてよく撹拌したものを皮層14gに対して中間層が20gとなるように皮層の上に充填し、シート状にし、4℃で24時間冷蔵して中間層を作製した。作製した中間層―皮層の皮層側をバーナーで炙り、焦げ目を付けた後、テンダライザーで縦筋5mmの切り込みで縦横5mm間隔となるように筋入れし、-20℃のフリーザーで凍結して保存した。
【0039】
身層100gに対して中間層20g、皮層14gとなるように凍結した身層と中間層―皮層との間にアルギン酸粉末1gを満遍なく添加し、スチーマーで99℃4分間加熱し、冷却してウナギ様食品を作製した。
【0040】
また、作製したウナギ様食品を用いて、実施例1-1同様に冷凍ウナギ食品及び真空凍結乾燥ウナギ食品を作製した。
【0041】
(比較例1-1)
市販の蒲焼きされたウナギを比較例1-1とし、実施例1-1に記載した方法と同様に冷凍ウナギ及び真空凍結乾燥ウナギを作製した。
【0042】
(比較例1-2)
スケソウダラのすり身26gと水とをフードカッターを用いて30秒間粗ずりし、塩0.5gを加えて3分間塩ずりした後、脱脂大豆粉3.9g、馬鈴薯澱粉3.7g、上白糖0.5g、トコフェロール(酸化防止剤)0.2gの粉体物、及びみりん0.8g、精製ラード12g、チキンオイル12.5g、鰻エキス1.5g、魚油0.1gの液体物を加えてさらに3分間混合し、そこにスケソウダラのほぐし身21.9g、水11g、粒状大豆たん白2gに水5.9gを加えて吸水させたもの、甘薯澱粉1.5gに水28.5gを加えて加熱し糊化させたもの、を加え、加水7.5gを徐々に加えながら手で満遍なく混ぜて身層生地とした。
【0043】
次いで皮層としてスケソウダラのすり身31gをフードカッターを用いて30秒間粗ずりし、パームオレイン油9.5g入れ、塩0.6gを加えて3分間塩ずりした後、脱脂大豆粉4.8g、上白糖0.6g、グルタミンソーダ0.2g、鰻エキス0.6、大豆白絞油6.3g、を加えてさらに3分間混合し、そこに、トウモロコシ加工澱粉4.4g、水26.9g、竹炭パウダー0.2gを添加し、混合して皮層となる生地とした。
【0044】
身層の生地を8mm、皮層の生地を約2mmとなるように重ねて99℃で3分間スチームし、身層表面に3mm幅に切れ込みを入れて外観をウナギ様にした後、醤油41.9g、みりん31,1g、清酒9g、上白糖17.6g、カラメル色素0.4gを加熱して作製したタレを表面に満遍なく刷毛で塗った後、バーナーで焦げがつくまで表面を炙り、ウナギ様食品サンプルとした。次いで、作製したウナギ様サンプルを実施例1-1と同様に凍結または凍結後真空凍結乾燥することで、冷凍ウナギ様食品及び真空凍結乾燥ウナギ様食品サンプルを作製した。
【0045】
作製した各サンプルについて外観、風味、食感、再加熱による耐熱性、冷凍品の冷凍耐性、風味、食感、真空凍結乾燥品の復元性、風味、食感について評価を行った。評価は、5人のベテランパネラーにより、表1の基準に基づき4段階評価を行った。評価結果について表2に記載する。冷凍品は、電子レンジ500Wにて2分間調理し、真空凍結乾燥品は、紙カップに入れ、熱湯300ml入れた後、蓋をし、3分後に5片取り出し、すぐに蓋をし、5分後に残り5片を取り出し調理した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
上記表2の実施例で示す通り、耐熱性ゼラチンゲルからなる皮層を設けることにより、本物らしい外観や風味、食感を得ることができるだけでなく、真空凍結乾燥品においても復元性が良好なものを得ることができた。また、実施例1-2で示すように乳化した油脂を含むゲルからなる中間層を設けることで、油の染み出し具合やウナギの身と皮のとの間のゼラチン質な食感が加わりより良好な味、食感となった。また、冷凍品、真空凍結乾燥品についても実施例のサンプルは、食感、風味についても良好であった。
【0049】
<実験2-1>身層の検討(糊化澱粉物の添加)
【0050】
(試験例2-1-1)
実施例1-1の方法に従って身層を作製した。作製した身層は、醤油41.9g、みりん31,1g、清酒9g、上白糖17.6g、カラメル色素0.4gを加熱して作製したタレを表面に満遍なく刷毛で塗った後、バーナーで焦げがつくまで炙り、-20℃のフリーザーで凍結した後、50×70mm角に切断し、実施例1-1と同様に真空凍結乾燥することで、真空凍結乾燥した身層を作製した。
【0051】
(試験例2-1‐2)
甘薯澱粉1.5gに水28.5gを加えて加熱糊化したものを添加しない以外は、試験例2-1-1の方法で真空凍結乾燥した身層を作製した。
【0052】
(実施例2-1‐3)
甘薯澱粉の代わりに馬鈴薯澱粉とする以外は、試験例2-1-1の方法で真空凍結乾燥した身層を作製した。
【0053】
(実施例2-1‐4)
甘薯澱粉の代わりにタピオカ澱粉とする以外は、試験例2-1-1の方法で真空凍結乾燥した身層を作製した。
【0054】
(実施例2-1‐5)
甘薯澱粉の代わりにコーンスターチ澱粉とする以外は、試験例2-1-1の方法で真空凍結乾燥した身層を作製した。
【0055】
(実施例2-1‐6)
甘薯澱粉の代わりにα化コーンスターチ澱粉とする以外は、試験例2-1-1の方法で真空凍結乾燥した身層を作製した。
【0056】
作製した真空凍結乾燥した身層を紙カップに入れ、熱湯300ml入れた後、蓋をし、3分後に取り出し調理し、真空凍結乾燥ウナギ様食品の身層の食感を評価した。評価は、評価は、5人のベテランパネラーにより、表1の基準に基づき4段階評価を行った。なお、評価が中間値のものは、その上下の2つの評価で示した。評価結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
実験2-1で示すように真空凍結品の場合は、澱粉を添加した方が食感が良く、特に甘薯澱粉やコーンスターチのα化澱粉を使用した場合、復元時の食感が良好であった。データには示していないが、身層に使用している糊化した澱粉は、無くても凍結前の身層及び冷凍した身層では身層の食感として問題はないが、澱粉の種類に関わらず添加した方が食感が良好であった。
【0059】
<実験2-2>身層の検討(油脂の検討)
(試験例2-2-1)
使用しているチキンオイルをラードに代える以外は試験例2-1-1の方法で真空凍結乾燥した身層を作製した。
【0060】
(試験例2-2-2)
使用しているラードを精製パーム油に代える以外は試験例2-2-1の方法で真空凍結乾燥した身層を作製した。
【0061】
作製した真空凍結乾燥した身層を実験2-1と同様に調理し、身層の風味について評価を行った。5人のベテランパネラーにより、表1の基準に基づき4段階評価を行った。なお、評価が中間値のものは、その上下の2つの評価で示した。評価結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
身層に使用する油脂としては、植物性よりも畜肉系ラードやチキンオイル(鶏油)の方が油にコクや後味があり、ウナギ様食品としての風味が良く、特にチキンオイルが風味の付与に適していることがわかる。なお、結果には示していないが、食感については、冷凍前の身層や冷凍品についても同様であった。
【0064】
<実験3-1>皮層の検討(ゲル濃度の検討)
(試験例3-1-1)
実施例1-1に記載した食品品質改良剤5g(ゼラチンとして3.25g)、竹炭パウダー0.125gを水94.9gに44~55℃の範囲で加温しながら溶解し、ビニールシートを引いたパットの上に注ぎ、さらにシートを上から被せて厚み1mmとなるように伸ばし、30分ほど室温で放置した後、耐熱性を出すために4℃の冷蔵庫で1晩保存し、しっかりと酵素反応させ耐熱性のあるゼラチンゲル層を作製した。作製したゼラチンゲル層を-20℃のフリーザーで凍結し、50×70mm角に切断し、実施例1-1と同様の方法で真空凍結乾燥し、真空凍結乾燥した皮層を作製した。
【0065】
(試験例3-1-2)
食品品質改良剤の重量を6g(ゼラチンとして3.9g)、水の量を93.9gとする以外は、試験例3-1-1の方法に従って真空凍結乾燥した皮層を作製した。
【0066】
(試験例3-1-3)
食品品質改良剤の重量を7g(ゼラチンとして4.55g)、水の量を92.9gとする以外は、試験例3-1-1の方法に従って真空凍結乾燥した皮層を作製した。
【0067】
(試験例3-1-4)
食品品質改良剤の重量を8g(ゼラチンとして5.2g)、水の量を91.9gとする以外は、試験例3-1-1の方法に従って真空凍結乾燥した皮層を作製した。
【0068】
(試験例3-1-5)
食品品質改良剤の重量を9g(ゼラチンとして5.85g)、水の量を90.9gとする以外は、試験例3-1-1の方法に従って真空凍結乾燥した皮層を作製した。
【0069】
(試験例3-1-6)
食品品質改良剤の重量を10g(ゼラチンとして6.5g)、水の量を90.9gとする以外は、試験例3-1-1の方法に従って真空凍結乾燥した皮層を作製した。
【0070】
作製した真空凍結乾燥した皮層を紙カップに入れ、熱湯300ml入れた後、蓋をし、3分後に取り出し調理し、真空凍結乾燥ウナギ様食品の皮層の食感を評価した。評価は、評価は、5人のベテランパネラーにより、表1の基準に基づき4段階評価を行った。なお、評価が中間値のものは、その上下の2つの評価で示した。評価結果を表5に示す。
【0071】
【表5】
【0072】
真空凍結乾燥した皮層の食感としては、ゼラチン濃度として3.25~6.5重量%の範囲であれば良好であった。なお、データでは示さないが、皮層の食感は、作製直後のものや冷凍したものと真空凍結乾燥したものとで食感の評価として大きな差はなかった。
【0073】
<実験3-2>皮層の検討(外観、切れやすさの検討)
(試験例3-2-1)
試験例3-1-4の方法でゼラチンゲルを作製し、バーナーで炙り焦げ目を付けた後、-20℃のフリーザーで凍結し、50×70mm角に切断し、実施例1-1と同様の方法で真空凍結乾燥し、真空凍結乾燥した皮層を作製した。
【0074】
(試験例3-2-2)
粉末セルロース3gを入れ、水を88.9gとする以外は、試験例3-2-1の方法に従って真空凍結乾燥した皮層を作製した。
【0075】
(試験例3-2-3)
デキストリン3gを入れ、水を85.9gとする以外は、試験例3-2-2の方法に従って真空凍結乾燥した皮層を作製した。
【0076】
(試験例3-2-4)
バーナーで炙り焦げ目を付けた後、縦筋5mmの切り込みで縦横5mm間隔となるようにテンダライズする以外は、試験例3-2-3の方法に従って真空凍結乾燥した皮層を作製した。
【0077】
作製した真空凍結乾燥した皮層を紙カップに入れ、熱湯300ml入れた後、蓋をし、3分後に取り出し調理し、真空凍結乾燥ウナギ様食品の皮層の外観、食感を評価した。評価は、評価は、5人のベテランパネラーにより、表1の基準に基づき4段階評価を行った。なお、評価が中間値のものは、その上下の2つの評価で示した。評価結果を表6に示す。
【0078】
【表6】
【0079】
ゼラチンゲルのみであっても炙ることで外観が良い皮層を作製できたが、粉末セルロースを入れることで炙ったときに表面にザラツキがでて外観が良くなった。また、デキストリンを加えることで焦げ目がつきやすくなった。さらに表面をテンダライズすることにより、箸で皮層が容易に切れるようになり食べやすくなった。なお、データでは示さないが、皮層の食感は、作製直後のものや冷凍したものと真空凍結乾燥したものとで食感の評価として大きな差はなかった。
【0080】
<実験4-1>中間層の検討(ゲル化剤の検討)
(試験例4-1-1)
ショ糖脂肪酸エステル1g、菜種油50g、リン酸3ナトリウム0.1gと水42.9gをモモジナイザーで乳化し、45~55℃の範囲で加温しながら実施例1-1で使用した食品品質改良剤6gを加え溶解し、厚さ1mmとなるようにシート状にし、30分間室温で放置した後、4℃で24時間冷蔵してゲル状の中間層を作製した。作製した中間層を-20℃のフリーザーで凍結し、50×70mm角に切断し、実施例1-1と同様の方法で真空凍結乾燥し、真空凍結乾燥した中間層を作製した。
【0081】
(試験例4-1-2)
脱アシルジェランガム0.4gと水44.8gを加温溶解し、乳酸カルシウム0.1gを水3.8gに溶かした水溶液を加え、さらにショ糖脂肪酸エステル0.9g、菜種油50gを加えてホモジナイザーで撹拌、乳化し、厚さ1mmとなるようにシート状にし、室温放置させてゲル化させゲル状の中間層を作製した。作製した中間層を、試験例4-1-1と同様に凍結、真空凍結乾燥し、真空凍結乾燥した中間層を作製した。
【0082】
(試験例4-1-3)
こんにゃく粉0.9gと水44.2gを加温溶解し、水酸化カルシウム0.1gを水3.8gに溶かした後、ショ糖脂肪エステル0.9g、菜種油50gを添加してホモジナイザーで撹拌、乳化し、そこに水酸化カルシウム0.1gを水3.8gに溶解した水溶液を添加し、厚さ1mmとなるようにシート状にし、90℃の高温槽で湯浴し加熱した後、水に浸漬してゲル状の中間層を作製した。作製した中間層を、試験例4-1-1と同様に凍結、真空凍結乾燥し、真空凍結乾燥した中間層を作製した。
【0083】
(試験例4-1-4)
アルギン酸5gと水44.1gを加温溶解し、ショ糖脂肪エステル0.9g、菜種油50gを添加してホモジナイザーで撹拌、乳化し、厚さ1mmとなるようにシート状にし、室温放置させてゲル化させゲル状の中間層を作製した。作製した中間層を、試験例4-1-1と同様に凍結、真空凍結乾燥し、真空凍結乾燥した中間層を作製した。
【0084】
(試験例4-1-5)
寒天5gと水44.1gを加温溶解し、ショ糖脂肪エステル0.6g、菜種油50gを添加してホモジナイザーで撹拌、乳化し、厚さ1mmとなるようにシート状にし、室温放置させてゲル化させゲル状の中間層を作製した。作製した中間層を、試験例4-1-1と同様に凍結、真空凍結乾燥し、真空凍結乾燥した中間層を作製した。
【0085】
(試験例4-1-6)
キサンタンガム1g+ローストビーンガム0.4gを水47.1gに溶解し、ショ糖脂肪酸エステル0.9g、菜種油50gを加えてホモジナイザーで撹拌、乳化し、厚さ1mmとなるようにシート状にし、室温放置させてゲル化させゲル状の中間層を作製した。作製した中間層を、試験例4-1-1と同様に凍結、真空凍結乾燥し、真空凍結乾燥した中間層を作製した。
【0086】
作製した中間層、冷凍した中間層及び真空凍結乾燥した中間層について、実験1と同様に表1の基準に基づいて耐熱性、冷凍耐性、復元性について評価した。評価結果を下記表7に示す。
【0087】
【表7】
【0088】
中間層のゲル化剤としては、耐熱性に問題はないものの、冷凍ウナギ様食品や真空凍結乾燥ウナギ様食品とした場合は、耐熱性ゼラチンゲルや脱アシル化したジェランガムが好ましい結果となった。
【0089】
<実験4-2>油分の検討
(試験例4-2-1)
菜種油5g、水87.9gとする以外は試験例4-1-1の方法に従って、中間層、冷凍した中間層及び真空凍結乾燥した中間層を作製した。
【0090】
(試験例4-2-2)
菜種油15g、水77.9gとする以外は試験例4-1-1の方法に従って、中間層、冷凍した中間層及び真空凍結乾燥した中間層を作製した。
【0091】
(試験例4-2-3)
菜種油35g、水57.9gとする以外は試験例4-1-1の方法に従って、中間層、冷凍した中間層及び真空凍結乾燥した中間層を作製した。
【0092】
(試験例4-2-4)
菜種油65g、水27.9gとする以外は試験例4-1-1の方法に従って、中間層を作製しようと試みたがゲル化しなかった。
【0093】
作製した中間層、冷凍した中間層及び真空凍結乾燥した中間層について、表1の基準に基づいて実験1と同様に食感、風味、耐熱性、冷凍耐性、復元性について評価した。なお、食感、風味については真空凍結乾燥した中間層の結果を記載した。評価結果について下記表8に示す。
【0094】
【表8】
【0095】
中間層の油脂の量としては、15重量%以上が風味の面で好ましい結果となった。しかしながら、油脂の量が多すぎるとゲル化を妨げ、食感が弱くなるため、油脂の量としては50重量%以下が好ましい結果となった。なお、食感、風味については、作製直後のものや冷凍したものと真空凍結乾燥したものとで食感、風味の評価として大きな差はなかった。
【0096】
<実験5>層状化の検討
(実施例5-1)
アルギン酸の代わりに卵白粉を用いる以外は実施例1-1の方法に従って、身層と皮層を結着させ、真空凍結乾燥ウナギ様食品を作製した。
【0097】
(実施例5-2)
アルギン酸の代わりに実施例1-1で用いた食品品質改良剤を用いる以外は実施例1-1の方法に従って、身層と皮層を結着させ真空凍結乾燥ウナギ様食品を作製した。
【0098】
(実施例5-3)
実験1-1同様に凍結した身層を作製した後、同じく実施例1-1と同様に作製した加温したゼラチンゲル溶液を直接凍結した身層の上に厚みが1mm程度となるように塗り、4℃で1晩保存し、皮層の作製と同時に身層を結着させた。結着した皮層を実施例1-1同様にバーナーで炙り、テンダライズ処理をしてウナギ様食品を作製した。作製したウナギ様食品から実施例1-1と同様の方法により、真空凍結乾燥ウナギ様食品を作製した。
【0099】
(実施例5-4)
実施例1-1同様に凍結した身層及び皮層を作製した後、実施例1-2同様に中間層の加温溶液を作成し、身層の上に約1mmとなるように塗布した後、皮層を乗せて4℃で1晩保存し、ウナギ様食品を作製した。作製したウナギ様食品から実施例1-1と同様の方法により、真空凍結乾燥ウナギ様食品を作製した。
【0100】
作製した真空凍結乾燥ウナギ様食品の身層と皮層の結着について評価を行った。評価については、作製した真空凍結乾燥した身層を紙カップに入れ、熱湯300ml入れた後、蓋をし、3分後に取り出し、剥がれているものがないものを◎、一部角などが剥がれているが概ね結着しているものを○、1/4以上剥がれているものを△、完全に剥がれているものを×とした。実験5の評価結果を下記表9に示す。
【0101】
【表9】
【0102】
実験5で示すように結着材としては、卵白やアルギン酸が非常に効果的であった。データには示していないが、実施例1-1で使用した食品品質改良剤やアルギン酸は、スチーム工程を行わなくてもそのまま自然放置で結着した。スチーム工程は結着のためではなく、殺菌目的で行った。また、結着させたウナギ様食品や冷凍ウナギ様食品においては、各試験区ともにしっかりと各層が結着していた。
【0103】
また、実施例5-3や実施例5-4で示すようにゲル化する前の皮層や中間層に用いる耐熱性ゲル溶液を結着材として用いることができた。

図1
図2