(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】可動コイル型ボイスコイルモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20230606BHJP
H02K 33/18 20060101ALI20230606BHJP
G01M 7/02 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K33/18 B
G01M7/02 G
(21)【出願番号】P 2019063610
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(73)【特許権者】
【識別番号】593040391
【氏名又は名称】エミック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【氏名又は名称】高石 橘馬
(74)【代理人】
【識別番号】100168206
【氏名又は名称】高石 健二
(72)【発明者】
【氏名】栗山 義彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 和哉
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-026983(JP,A)
【文献】実開平05-070185(JP,U)
【文献】特表2014-518505(JP,A)
【文献】特開2003-021589(JP,A)
【文献】特開平08-317627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
H02K 33/18
G01M 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状のセンターヨークと、
前記センターヨークの径方向に磁界を印加するよう前記センターヨークの外周面に対向して空隙部を設けて円筒状に配置された複数の永久磁石と、
前記複数の永久磁石の外周部に接続された円筒状のサイドヨークと、
前記センターヨークを前記サイドヨークに軸方向下端部で磁気的に結合するボトムヨークと、
前記空隙部に軸方向に移動可能に配置されたコイルとを有する可動コイル型ボイスコイルモータであって、
前記センターヨークの外周側及び前記複数の永久磁石の内周側に、それぞれ周方向に冷媒を流すための環状のセンターヨーク側冷却管及び永久磁石側冷却管が、軸方向に少なくとも3箇所設けられていることを特徴とする可動コイル型ボイスコイルモータ。
【請求項2】
請求項1に記載の可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、
前記複数の永久磁石は非磁性のスペーサを介して軸方向に分割されており、前記非磁性のスペーサ部分に前記永久磁石側冷却管が配置されていることを特徴とする可動コイル型ボイスコイルモータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、
前記センターヨークの外周面と、前記複数の永久磁石の内周面とには、非磁性の導電リングが固定されていることを特徴とする可動コイル型ボイスコイルモータ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、
前記環状のセンターヨーク側冷却管及び前記永久磁石側冷却管にそれぞれ独立した系統の冷媒を流すように構成したことを特徴とする可動コイル型ボイスコイルモータ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、
軸方向に少なくとも3箇所設けられた前記環状のセンターヨーク側冷却管にそれぞれ独立した系統の冷媒を流すように構成したことを特徴とする可動コイル型ボイスコイルモータ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、
軸方向に少なくとも3箇所設けられた前記永久磁石側冷却管にそれぞれ独立した系統の冷媒を流すように構成したことを特徴とする可動コイル型ボイスコイルモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却効率の改善された可動コイル型ボイスコイルモータに関する。
【背景技術】
【0002】
加振機などに使用される大型の可動コイル型ボイスコイルモータ(以下、単に「ボイスコイルモータ」又は「VCM」とも言う。)は大電流を用いて制御され、その制御電流の大きさ及び制御周波数に比例して、VCMに使用されている磁気回路に発生する渦電流も大きくなる。大きな渦電流が発生することにより、制御性に影響を及ぼすだけでなく、渦電流による発熱により磁気回路が加熱され、磁気回路が性能低下を引き起こすため、磁気回路を冷却するための様々な冷却方法が検討されている。
【0003】
磁気回路で発生する渦電流により発生した熱やコイルで発生した熱(銅損)は、磁気回路にファンを設置し空冷によって除去する方法や、ヨーク内に冷却水を循環させて水冷によって除去する方法が一般的に行われている。
【0004】
空冷による方法では、風量及び風路を確保するため、コイルが配置される磁気空隙部の間隔を大きくするなど対策を行っているが、磁気空隙を大きくしてしまうと、磁気回路の性能が低下してしまう。従って、なるべく磁気空隙は小さくし、冷却空気の流速を大きくするため静圧性能の大きいファンを用いる等の対策が行われている。しかしながら、静圧性能の大きいファンは、大出力のモータを用いるためファンが発生する騒音の問題や消費電力が大きくなるといった問題がある。さらにはこのような大きいファンを用いた場合、VCMの設置場所がある程度固定されてしまうため、工場内レイアウトの変更が容易にできない、又は使用目的にある程度制限が生じてしまう、などといった問題がある。
【0005】
空冷効率を高めた可動コイル型ボイスコイルモータとして、特開2018-26983号(特許文献1)は、円柱状のセンターヨークと、前記センターヨークの径方向に磁界を印加するよう前記センターヨークの外周面に対向して空隙部を設けて円筒状に配置された複数の永久磁石と、前記複数の永久磁石の外周に配置され、前記複数の永久磁石を固定する円筒状のサイドヨークと、前記センターヨークの軸方向端部を前記サイドヨークに磁気的に結合するボトムヨークと、前記空隙部に軸方向に移動可能に配置されたコイルとを有し、前記センターヨークの上部又は下部から取り入れた冷却風を前記コイルの内周面に直接吹き付けるために前記センターヨークに設けられた貫通孔を有することを特徴とする可動コイル型ボイスコイルモータを開示している。
【0006】
しかしながら、近年の大型のボイスコイルモータでより高い出力を得たいという要求に対しては、特許文献1に記載の構成では、ボイスコイルモータの温度上昇による性能低下を十分に防止することは困難であり、大電流を流した場合でもさらに高い効率で冷却することのできる冷却機構の開発が望まれている。
【0007】
特開平3-173333号(引用文献2)は、軸線の周りに配設された磁極と、前記磁極に対して径方向に離間して配設され、前記軸線を中心軸線とするヨークと、前記軸線と平行に移行可能に案内され,前記磁極と前記ヨークとの間に各々から離間して配設されてコイルを巻設したボビンとを有するボイスコイルモータであって、前記ヨーク内であって前記ボビンに巻設されたコイルに近い領域に、冷却用の流体を流す流路を設けたことを特徴とするヨーク冷却型ボイスコイルモータを開示している。引用文献2は、ヨークの内部に冷却用流路を設けることにより、コイルを強制的に冷却することができるとともに、その冷却効率が高いと記載している。
【0008】
しかしながら、引用文献2に記載のボイスコイルモータは、冷却用流路がヨークの内部のみに設けられているため、ヨークから離間して配設された磁極(永久磁石)を効率よく冷却することができない。そのため磁気回路の温度上昇による性能低下を十分に防止することができない。またヨークの内部に設けられた冷却用流路は、冷却用の流体がヨークの中心軸部分から外周部に循環するように設けられているため、冷却する必要のないヨーク中心部まで冷却することになり冷却効率という点で改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2018-26983号公報
【文献】特開平3-173333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、コイル部分の冷却効率を高めコイルの発熱による磁気回路の性能低下が防止された可動コイル型ボイスコイルモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、円柱状のセンターヨークと、前記センターヨークの外周面に対向して空隙部を設けて円筒状に配置された複数の永久磁石と、前記空隙部に配置されたコイルとを有する可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、前記センターヨークの外周側及び前記複数の永久磁石の内周側に、それぞれ周方向に冷媒を流すための環状のセンターヨーク側冷却管及び永久磁石側冷却管を、軸方向に少なくとも3箇所設けることにより、可動コイル型ボイスコイルモータの温度上昇を抑制することで、その性能低下を防止できることを見出し、本発明に想到した。
【0012】
すなわち、本発明の可動コイル型ボイスコイルモータは、
円柱状のセンターヨークと、
前記センターヨークの径方向に磁界を印加するよう前記センターヨークの外周面に対向して空隙部を設けて円筒状に配置された複数の永久磁石と、
前記複数の永久磁石の外周部に接続された円筒状のサイドヨークと、
前記センターヨークを前記サイドヨークに軸方向下端部で磁気的に結合するボトムヨークと、
前記空隙部に軸方向に移動可能に配置されたコイルとを有し、
前記センターヨークの外周側及び前記複数の永久磁石の内周側に、それぞれ周方向に冷媒を流すための環状のセンターヨーク側冷却管及び永久磁石側冷却管が、軸方向に少なくとも3箇所設けられていることを特徴とする。
【0013】
前記複数の永久磁石は非磁性のスペーサを介して軸方向に分割されており、前記非磁性のスペーサ部分に前記永久磁石側冷却管が配置されているのが好ましい。
【0014】
前記センターヨークの外周面と、前記複数の永久磁石の内周面とには、非磁性の導電リングが固定されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の可動コイル型ボイスコイルモータは、高い効率でコイル及び永久磁石を冷却し、磁気回路の性能低下を防止できるので、より小型で高い性能を発揮できる。そのため、加振機などに使用される可動コイル型ボイスコイルモータに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の可動コイル型ボイスコイルモータの一例を模式的に示す(a)正面図、及び(b)(a)のA-A断面図である。
【
図2】本発明の可動コイル型ボイスコイルモータの他の一例を模式的に示す断面図である。
【
図3(a)】
図1(b)に示す可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、第1のセンターヨーク側冷却管及び第1の永久磁石側冷却管を通り軸方向に直交する断面(B-B断面)を示す模式図である。
【
図3(b)】
図1(b)に示す可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、第2のセンターヨーク側冷却管及び第2の永久磁石側冷却管を通り軸方向に直交する断面(C-C断面)を示す模式図である。
【
図3(c)】
図1(b)に示す可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、第3のセンターヨーク側冷却管及び第3の永久磁石側冷却管を通り軸方向に直交する断面(D-D断面)を示す模式図である。
【
図4】本発明の可動コイル型ボイスコイルモータの冷却管部分を抜き出して模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図1(b)に示すに示す可動コイル型ボイスコイルモータにおけるE-E断面を示す模式図である。
【
図6】センターヨーク側冷却管及び永久磁石側冷却管の一例を示す模式図である。
【
図7】本発明の可動コイル型ボイスコイルモータの他の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1] 可動コイル型ボイスコイルモータ
図1に本発明の可動コイル型ボイスコイルモータ1の一例を示す。
図1(a)は正面図、
図1(b)は
図1(a)のA-A断面図である。本発明の可動コイル型ボイスコイルモータ1は、
円柱状のセンターヨーク11と、
前記センターヨーク11の径方向に磁界を印加するよう前記センターヨーク11の外周面11aに対向して空隙部20を設けて円筒状に配置された複数の永久磁石30と、
前記複数の永久磁石30の外周部に接続された円筒状のサイドヨーク12と、
前記センターヨーク11を前記サイドヨーク12に軸方向下端部で磁気的に結合するボトムヨーク13と、
前記空隙部20に軸方向に移動可能に配置されたコイル40とを有し、
前記センターヨーク11の外周側及び前記複数の永久磁石30の内周側に、それぞれ周方向に冷媒を流すための環状のセンターヨーク側冷却管51及び永久磁石側冷却管52が、軸方向に少なくとも3箇所設けられていることを特徴とする。
【0018】
(1) 冷却管
図1及び
図3(a)~
図3(c)に示す可動コイル型ボイスコイルモータ1は、センターヨーク側冷却管51及び永久磁石側冷却管52がそれぞれ上段、中段及び下段の3箇所設けられた例を示す。また
図4に
図1に示す可動コイル型ボイスコイルモータ1において、上段、中段及び下段の3箇所設けられたセンターヨーク側冷却管51及び永久磁石側冷却管52を抜き出して示す。さらに
図6にひと組のセンターヨーク側冷却管51及び永久磁石側冷却管52を抜き出して示す。なお、
図1及び
図3(a)~
図3(c)において、各冷却管の端部に配置されたコネクタ81,82(
図4及び
図6を参照)は省略し図示していない。
【0019】
センターヨーク側冷却管51は、
図6に示すように、一部が離間した環状の環状管部51aと、前記環状管部51aの両端部(離間部)から径方向内側に延びる横管部51bとを有し、さらに前記横管部51bはセンターヨーク11内を通りボトムヨーク13の下端に延出する縦管部51cに接続される。環状管部51aは、センターヨーク11の内部で外周面近くに周方向に配置される。後述するように、センターヨーク11の外周面11aに非磁性の導電リング71を設ける場合、導電リング71に接するように環状管部51aを配置するのが好ましい。横管部51bと縦管部51cとは、一本の配管によりつなぎ目がないように構成しても良いが、
図4及び
図6に示すように、コネクタ81を介して接続するのが好ましい。さらに、縦管部51cがボトムヨーク13の下端に延出する部分には、冷媒を流すための配管を接続できるようボトムヨーク13の下端にコネクタ(図示せず)を設けるのが好ましい。
【0020】
永久磁石側冷却管52は、
図6に示すように、一部が離間した環状の環状管部52aと、前記環状管部52aの両端部(離間部)から径方向外側に延びサイドヨーク12の外側に延出する横管部52bとからなる。環状管部52aは、永久磁石30の内部で内周面近くに周方向に配置される。後述するように、永久磁石30の内周面30aに非磁性の導電リング72を設ける場合、導電リング72に環状管部52aを接するように配置するのが好ましい。横管部52bがサイドヨーク12の外側に延出する部分には、冷媒を流すための配管を接続できるようコネクタ82を設けるのが好ましい。
【0021】
ここでこれらの冷却管について、
図1(b)及び
図4に示すように、軸方向上から第1のセンターヨーク側冷却管51-1(上段)、第2のセンターヨーク側冷却管51-2(中段)、及び第3のセンターヨーク側冷却管51-3(下段)、並びに第1の永久磁石側冷却管52-1(上段)、第2の永久磁石側冷却管52-2(中段)、及び第3の永久磁石側冷却管52-3(下段)と呼ぶ。
【0022】
第1の永久磁石側冷却管52-1は、永久磁石30の上端部に配置される。第1の永久磁石側冷却管52-1は、永久磁石30の上端部に溝を設けて埋め込んでも良いが、
図1(b)及び
図3(a)に示すように、永久磁石30の上端部に接触するように非磁性のスペーサ61を設けて、この非磁性のスペーサ61中に埋め込んで配置されるのが好ましい。
【0023】
第2の永久磁石側冷却管52-2は、永久磁石30の軸方向中間部に配置される。第2の永久磁石側冷却管52-2は、永久磁石30を軸方向に分割し、上部永久磁石30-1及び下部永久磁石30-2として、その接合部分に設けるのが好ましい。このとき、上部永久磁石30-1に溝を設けて埋め込んでも良いし、
図1(b)及び
図3(b)に示すように、下部永久磁石30-2に溝を設けて埋め込んでも良い。また
図2に示すように、上部永久磁石30-1と下部永久磁石30-2との間に非磁性のスペーサ63を設けて、その非磁性のスペーサ63の中に埋め込んで配置してもよい。加工の簡単さから、
図2に示すように非磁性のスペーサ63を設けて第2の永久磁石側冷却管52-2を配置する方法が好ましい。
【0024】
第3の永久磁石側冷却管52-3は、永久磁石30の下端部に配置される。第3の永久磁石側冷却管52-3は、永久磁石30の下端部に溝を設けて埋め込んでも良いが、
図1(b)及び
図3(c)に示すように、永久磁石30の下端部に接触するように非磁性のスペーサ62を設けて、この非磁性のスペーサ62中に埋め込んで配置されるのが好ましい。
【0025】
第1、第2及び第3の永久磁石側冷却管52-1,52-2,52-3の横管部52bをサイドヨーク12の外周面から延出させるために、上部永久磁石30-1、下部永久磁石30-2及び非磁性のスペーサ62の軸方向長さと対応させて、サイドヨーク12を第1のサイドヨーク部12-1、第2のサイドヨーク部12-2及び第3のサイドヨーク部12-3に分割するのが好ましい(
図1(b)を参照)。
【0026】
第1のセンターヨーク側冷却管51-1、第2のセンターヨーク側冷却管51-2、及び第3のセンターヨーク側冷却管51-3は、それぞれ空隙部20を介して、第1の永久磁石側冷却管52-1、第2の永久磁石側冷却管52-2、及び第3の永久磁石側冷却管52-3に対向する位置に設けられるのが好ましい。
【0027】
すなわち、センターヨーク11を、上段から、第1のセンターヨーク部11-1、第2のセンターヨーク部11-2、第3のセンターヨーク部11-3、及び第4のセンターヨーク部11-4からから構成し、第1のセンターヨーク側冷却管51-1が第1のセンターヨーク部11-1と第2のセンターヨーク部11-2との境界部分に設けられ、第2のセンターヨーク側冷却管51-2が第2のセンターヨーク部11-2と第3のセンターヨーク部11-3との境界部分に設けられ、第3のセンターヨーク側冷却管51-3が第3のセンターヨーク部11-3と第4のセンターヨーク部11-4との境界部分に設けられるのが好ましい。
【0028】
このとき、第1のセンターヨーク側冷却管51-1は、
図1(b)及び
図3(a)に示すように、第1のセンターヨーク部11-1に溝を設けて埋め込んでも良いし、第2のセンターヨーク部11-2に溝を設けて埋め込んでも良い。同様に、第2のセンターヨーク側冷却管51-2は第2のセンターヨーク部11-2に溝を設けて埋め込んでも良いし、
図1(b)及び
図3(b)に示すように、第3のセンターヨーク部11-3に溝を設けて埋め込んでも良い。また第3のセンターヨーク側冷却管51-3は第3のセンターヨーク部11-3に溝を設けて埋め込んでも良いし、
図1(b)及び
図3(c)に示すように、第4のセンターヨーク部11-4に溝を設けて埋め込んでも良い。
【0029】
図4は、
図1に示す可動コイル型ボイスコイルモータ1におけるセンターヨーク側冷却管51(第1、第2及び第3のセンターヨーク側冷却管51-1,51-2,51-3)及び永久磁石側冷却管52(第1、第2及び第3の永久磁石側冷却管52-1,52-2,52-3)を抜き出して示す。
【0030】
第1、第2及び第3のセンターヨーク側冷却管51-1,51-2,51-3、並びに第1、第2及び第3の永久磁石側冷却管52-1,52-2,52-3は、それぞれ独立した系統として冷媒を流すように構成しても良いし、いくつかの冷却管を直列につないで冷媒を流すように構成しても良い。例えば、第1、第2及び第3のセンターヨーク側冷却管51-1,51-2,51-3を直列につないで1つの系統とし、第1、第2及び第3の永久磁石側冷却管52-1,52-2,52-3を直列につないで別の系統として構成しても良い。又は第1のセンターヨーク側冷却管51-1と第1の永久磁石側冷却管52-1とを直列につないで第1の系統とし、第2のセンターヨーク側冷却管51-2と第2の永久磁石側冷却管52-2とを直列につないで第2の系統とし、第3のセンターヨーク側冷却管51-3と第3の永久磁石側冷却管52-3とを直列につないで第3の系統としてもよい。
【0031】
図1に示す可動コイル型ボイスコイルモータ1は、センターヨーク側冷却管51及び永久磁石側冷却管52が軸方向にそれぞれ3箇所設けられているが、これらの配管の軸方向の配置数は3箇所に限らず4箇所以上であっても良い。例えば、センターヨーク側冷却管51及び永久磁石側冷却管52を軸方向にそれぞれ4箇所設ける場合、永久磁石を軸方向に3分割した第1~第3の永久磁石で構成し、第1の永久磁石の上端部、第1及び第2の永久磁石の接合部、第2及び第3の永久磁石の接合部、並びに第3の永久磁石の下端部にそれぞれ磁石側冷却管を配置し、一方センターヨークの分割数を永久磁石に対応して分割し、磁石側冷却管に対応する位置にセンターヨーク側冷却管を軸方向に4箇所設けるようにする。5箇所以上の場合も同様である。
【0032】
冷却管の断面形状は特に限定されないが、永久磁石、ヨーク又は非磁性のスペーサに設けた溝に埋め込んだときに、永久磁石、ヨーク又は非磁性のスペーサとの接触面積を増やし冷却効率を高めるため、前記溝と同じ形状であるのが好ましい。特に加工の容易さから、四角形であるのが好ましい。また永久磁石、ヨーク又は非磁性のスペーサに設けた溝と冷却管との隙間に、冷却効率を高めるため、熱伝導率の高い充填材を充填するのが好ましい。
【0033】
(2) 永久磁石
永久磁石30(上部永久磁石30-1及び下部永久磁石30-2)は、例えばフェライト系焼結磁石からなり、円筒状に配置したときに全体としてラジアル方向に磁場を印加するリング状磁石を構成する。永久磁石30は、例えば、センターヨーク11に対向する側がN極でサイドヨーク12側がS極となるように着磁されている。永久磁石30は、前述したように軸方向に分割された上部永久磁石30-1及び下部永久磁石30-2からなることにより、それらの接合部に永久磁石側冷却管52を容易に配置することができる。さらに、上部永久磁石30-1及び下部永久磁石30-2は、非磁性のスペーサ63を介して接合するのが好ましい。
【0034】
(3) 非磁性の導電リング
本発明の可動コイル型ボイスコイルモータは、
図7に示すように、センターヨーク11の外周面11aと、それに対向する複数の永久磁石30の内周面30aとに、それぞれ非磁性の導電リング71,72が固定されているのが好ましい。これらの非磁性の導電リング71,72は、渦電流を低減する効果を発揮するものであり、必要に応じて設けられる。非磁性の導電リング71,72は、例えば銅板からなるのが好ましい。
【0035】
(4)その他の構成
センターヨーク11、サイドヨーク12、及びボトムヨーク13は、軟鉄や鋼等の強磁性体で形成されているとともに、コイル40は、永久磁石30の内周面30aとそれに対向するセンターヨーク11の外周面11aとの間の磁束と鎖交する向きに巻回されている。コイル40に交流電流を給電すると、永久磁石30の内周面30aとそれに対向するセンターヨーク11の外周面11aとの間の磁界中でコイル40が上下に振動する。このコイル40に接続された可動台(図示せず)等に被試験体(図示せず)を配置することにより、被試験体の振動試験を行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1・・・可動コイル型ボイスコイルモータ
11・・・センターヨーク
11a・・・外周面
11-1・・・第1のセンターヨーク部
11-2・・・第2のセンターヨーク部
11-3・・・第3のセンターヨーク部
11-4・・・第4のセンターヨーク部
12・・・サイドヨーク
12-1・・・第1のサイドヨーク部
12-2・・・第2のサイドヨーク部
12-3・・・第3のサイドヨーク部
13・・・ボトムヨーク
20・・・空隙部
30・・・永久磁石
30a・・・内周面
30-1・・・上部永久磁石
30-2・・・下部永久磁石
40・・・コイル
51・・・センターヨーク側冷却管
51a・・・環状管部
51b・・・横管部
51c・・・縦管部
51-1・・・第1のセンターヨーク側冷却管
51-2・・・第2のセンターヨーク側冷却管
51-3・・・第3のセンターヨーク側冷却管
52・・・永久磁石側冷却管
52a・・・環状管部
52b・・・横管部
52-1・・・第1の永久磁石側冷却管
52-2・・・第2の永久磁石側冷却管
52-3・・・第3の永久磁石側冷却管
61・・・非磁性のスペーサ
62・・・非磁性のスペーサ
63・・・非磁性のスペーサ
71,72・・・非磁性の導電リング
81,82・・・コネクタ