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特許7290634リアクタの処理バッチサイズを増加させるための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】リアクタの処理バッチサイズを増加させるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230606BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230606BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/44 J
H05H1/46 A
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020522906
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018058164
(87)【国際公開番号】W WO2019089555
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】15/799,679
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アガワル・プルキット
(72)【発明者】
【氏名】クマル・プルショッタム
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ラボワ・アドリアン
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0040536(US,A1)
【文献】特開2014-086730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/44
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバのバッチサイズを増加させる方法であって、
(a)前記反応チャンバ内においてウエハのバッチの一部を処理し、前記処理は、前記反応チャンバの内側表面に少なくともいくらかの材料の標的外の堆積をもたらし、
(b)前記反応チャンバの内側表面に蓄積した前記標的外の堆積材料を安定化するためにバッチ間反応チャンバ処理を実行し、
(c)前記反応チャンバ内において前記ウエハのバッチの別の部分を処理すること
を備え、
(b)は、前記材料が規定の厚さまで前記反応チャンバの前記内側表面に蓄積した後、蓄積した前記材料をプラズマに曝露することを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、さらに、
前記ウエハのバッチの処理が完了するまで(b)~(c)を繰り返すことを備える、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記反応チャンバのバッチサイズは、反応チャンバ洗浄サイクルの間に前記反応チャンバにおいて処理可能なウエハの数である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、さらに、
前記反応チャンバ内におけるバッチ処理の前に、前記反応チャンバの前記内側表面をシーズニングすることを備える、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記反応チャンバの前記内側表面のシーズニングは、(a)または(c)の最中に前記ウエハのバッチ上への堆積に使用される材料と同じ材料のコーティングを施すことを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
(a)または(c)は、前記ウエハのバッチ内の1枚のウエハ上に材料を堆積することを含む、方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法において、
前記シーズニングは、前記反応チャンバにウエハが存在しない間に、原子層堆積(ALD)によって前記反応チャンバの内側表面にコーティングを施すことを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、さらに、
(d)(c)の完了後に前記反応チャンバの内側表面を洗浄することを備える、方法。
【請求項9】
請求項2に記載の方法において、さらに、
(d)前記ウエハのバッチの処理が完了した後に前記反応チャンバの内側表面を洗浄することを備える、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
(b)は、前記ウエハのバッチの総バッチ蓄積限界に対して規定の間隔で実行される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記総バッチ蓄積限界は、さらなる処理を行う前に前記反応チャンバの洗浄が要求され、処理が阻害される、前記反応チャンバの内側表面に蓄積した材料の厚さである、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、
前記規定の間隔は、経験的に決定される、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法において、
前記規定の間隔は、前記チャンバの内側表面への材料の蓄積が、前記材料のフレーキングならびにウエハ欠陥の発生および/または粒子の発生をもたらす弊害レベルとなる前に生じる、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、
(b)は、前記反応チャンバの前記内側表面に蓄積した前記材料に結合する膜を堆積することを含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記膜の圧縮性は、無線周波数(RF)電力レベル、反応チャンバ圧力、またはRF処理時間からなる群から選択される1つまたは複数を調整することによって強化される、方法。
【請求項16】
請求項に記載の方法において、
プラズマ曝露は、前記反応チャンバの前記内側表面に堆積された膜へのプラズマ拡散を促進するために、1Torr~10Torrの範囲内の圧力で実行される、方法。
【請求項17】
請求項に記載の方法において、
前記プラズマは、前記反応チャンバ内のシャワーヘッドのフェースプレート上で点火される、方法。
【請求項18】
請求項に記載の方法において、さらに、
前記プラズマが前記反応チャンバ全体に均一に消散することを許容するために、パージを停止することを備える、方法。
【請求項19】
請求項に記載の方法において、
前記プラズマは、水素、ヘリウム、アルゴン、または窒素含有源からなる群から選択されるいずれか1つに由来する、方法。
【請求項20】
請求項に記載の方法において、
前記プラズマへの曝露によって、前記反応チャンバの前記内側表面に蓄積した前記材料上に200Å未満の膜を堆積する、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
前記堆積された膜は、前記反応チャンバの前記内側表面上の前記材料を安定化する、方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法において、
前記プラズマへの前記曝露によって、前記堆積された膜を緻密化し、前記反応チャンバの前記内側表面上の前記材料を安定化する、方法。
【請求項23】
請求項15に記載の方法において、
前記膜の圧縮性は、2kw~7kwの範囲の無線周波数(RF)電力の利用、2torr~10torrの範囲の高圧の利用、または0.2秒~から10秒のRFプラズマ時間の使用からなる群から選択される方法によって増加される、方法。
【請求項24】
請求項15に記載の方法において、さらに、
(d)前記反応チャンバを接地することを備える、方法。
【請求項25】
請求項9に記載の方法において、
(d)を実行するために使用されるプラズマは、リモートプラズマ洗浄ユニットによって供給される、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、
前記リモートプラズマ洗浄ユニットは、前記反応チャンバと共に搭載される、方法。
【請求項27】
請求項に記載の方法において、
前記プラズマは、400kHzの周波数を有する、方法。
【請求項28】
基板を処理するためのプラズマ処理装置であって、
反応チャンバであって、
チャンバの内側表面、
前記反応チャンバ内で基板を支持するための基板支持体、
前記反応チャンバから材料を除去するための排気ポート
を備える反応チャンバと、
リモートプラズマチャンバであって、
前記リモートプラズマチャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ発生器、
前記リモートプラズマチャンバにガスを供給するための入口、
前記リモートプラズマチャンバで生成されたプラズマを前記反応チャンバに供給するための出口、
コントローラであって、
(a)前記反応チャンバ内でウエハのバッチの一部を処理し、前記処理は、前記反応チャンバの内側表面に少なくともいくらかの材料の標的外の堆積をもたらし、
(b)前記反応チャンバの内側表面に蓄積した前記標的外の堆積材料を安定化するためにバッチ間反応チャンバ処理を実行し、(b)は、前記材料が規定の厚さまで前記反応チャンバの前記内側表面に蓄積した後、蓄積した前記材料をプラズマに曝露することを含み、
(c)前記反応チャンバ内において前記ウエハのバッチの別の部分を処理する
ための命令を実行するように構成されているコントローラ
を備えるリモートプラズマチャンバと
を備える、プラズマ処理装置。
【請求項29】
請求項28に記載のプラズマ処理装置において、
前記リモートプラズマチャンバは、前記反応チャンバから離れている、プラズマ処理装置。
【請求項30】
請求項28に記載のプラズマ処理装置において、
前記コントローラは、さらに、
(d)(c)の完了後に前記反応チャンバの前記内側表面を洗浄する
ための命令を実行するように構成されている、プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、出願の開示全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる、2017年10月31日に出願された、名称を「METHODS AND APPARATUSES FOR INCREASING REACTOR PROCESSING BATCH SIZE」とする米国特許出願第15/799,679号に基づく優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理は、典型的には、最適化され、効率的なスループットの達成がしばしば望まれる特殊な処理装置で行われる。そのような装置は、処理中にウエハのバッチを収容する反応チャンバを含み得る。反応チャンバは、また、半導体製作で使用される各種機器(例えば、基板支持部品、シャワーヘッドなど)を含むことができる。場合によって、反応チャンバは、基板の処理に使用される前に、処理またはシーズニングされ得る。反応チャンバの処理は、多数の異なる形態をとることができ、種々の理由で実施されることがある。さらに、場合によっては、反応チャンバの様々な内部構成要素上に堆積された標的外の膜の蓄積に起因して、洗浄のために処理を停止してチャンバをシャットダウンする必要があることから、反応チャンバによって処理可能なウエハの総数が制限される可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書の特定の実施形態は、反応チャンバのバッチサイズを増加させる方法に関し、この方法は、(a)反応チャンバ内においてウエハのバッチの一部を処理し、この処理は、反応チャンバの内側表面に少なくともいくらかの材料の標的外の堆積をもたらし、(b)前記反応チャンバの内側表面に蓄積した標的外の堆積材料を安定化するためにバッチ間反応チャンバ処理を行い、(c)反応チャンバ内においてウエハのバッチの別の部分を処理することを備える。
【0004】
方法はさらに、ウエハのバッチの処理が完了するまで(b)~(c)を繰り返すことをさらに備えてもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、反応チャンバのバッチサイズは、反応チャンバ洗浄サイクルの間に反応チャンバにおいて処理可能なウエハの数である。
【0006】
方法はさらに、反応チャンバ内におけるバッチ処理の前に、反応チャンバの内側表面をシーズニングすることを備えてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、反応チャンバの内側表面のシーズニングは、(a)または(c)の最中にウエハのバッチ上への堆積に使用される材料と同じ材料のコーティングを施すことを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、(a)または(c)は、ウエハのバッチ内の1枚のウエハ上に材料を堆積することを含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、シーズニングは、反応チャンバにウエハが存在しない間に、原子層堆積(ALD)によって反応チャンバの内側表面にコーティングを施すことを含む。
【0010】
方法はさらに、(c)の完了後に反応チャンバの内側表面を洗浄することを備えてもよい。
【0011】
方法はさらに、(d)ウエハのバッチの処理が完了した後に反応チャンバの内側表面を洗浄することを備えてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、(b)は、ウエハのバッチの総バッチ蓄積限界に対して規定の間隔で行われる。さらに、規定の間隔は、経験的に決定されてもよい。また、規定の間隔は、チャンバの内側表面への材料の蓄積が、材料のフレーキングならびにウエハ欠陥の発生および/または粒子の発生をもたらす弊害レベルとなる生じる得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、総バッチ蓄積限界は、さらなる処理を行う前に反応チャンバの洗浄が要求され、処理が阻害される、反応チャンバの内側表面に蓄積した材料の厚さである。
【0014】
いくつかの実施形態では、(b)は、反応チャンバの内側表面に蓄積した材料に結合する膜を堆積することを含む。さらに、堆積された膜の圧縮性は、無線周波数(RF)電力レベル、反応チャンバ圧力、またはRF処理時間からなる群から選択される1つまたは複数を調整することによって強化されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、(b)は、材料が規定の厚さまで反応チャンバの内側表面に蓄積した後、蓄積した材料をプラズマに曝露することを含む。さらに、プラズマ曝露は、反応チャンバの内側表面に堆積された膜へのプラズマ拡散を促進するために、2Torr~10Torrの範囲内の圧力で実行されてもよい。また、プラズマは、反応チャンバ内のシャワーヘッドのフェースプレート上で点火されてもよい。さらにまた、プラズマは、水素、ヘリウム、アルゴン、または窒素含有源からなる群から選択されるいずれか1つに由来してもよい。またさらに、プラズマへの曝露によって、反応チャンバの内側表面に蓄積した材料上におよそ200Åの膜を堆積してもよい。また、プラズマが反応チャンバ全体に均一に消散することを許容するために、パージを非活性化しても良い。いくつかの実施形態では、プラズマは、400kHzの周波数を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、堆積された膜は、反応チャンバの内側表面上の材料を安定化する。さらに、プラズマへの曝露によって、堆積された膜を緻密化し、反応チャンバの内側表面上の材料を安定化してもよい。また、膜の圧縮性を2kw~7kwの範囲の無線周波数(RF)電力の利用、2torr~10torrの範囲の高圧の利用、または0.2秒~10秒のRFプラズマ時間の使用からなる群から選択される方法によって増加させてもよい。
【0017】
方法は、(d)反応チャンバを接地することをさらに含んでもよい。さらに、接地された反応チャンバは、反応チャンバの外部へのプラズマ拡散を促進してもよい。いくつかの実施形態では、堆積ガスをウエハのバッチに供給するように構成され得るシャワーヘッドに電力が供給される。また、いくつかの実施形態では、ウエハのバッチを支持するように構成された台座に電力が供給される。さらに、(d)を実行するために使用されるプラズマは、リモートプラズマ洗浄ユニットによって供給されてもよい。リモートプラズマ洗浄ユニットは、反応チャンバと共に搭載されてもよい。
【0018】
別の態様は、基板を処理するためのプラズマ処理装置に関係する。装置は、反応チャンバであって、チャンバの内側表面、反応チャンバ内で基板を支持するための基板支持体、および反応チャンバから材料を除去するための排気ポートを備える反応チャンバと、リモートプラズマチャンバであって、リモートプラズマチャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ発生器、リモートプラズマチャンバにガスを供給するための入口、リモートプラズマチャンバで生成されたプラズマを反応チャンバに供給するための出口、コントローラであって、反応チャンバ内でウエハのバッチの一部を処理し、バッチ処理の結果として反応チャンバの内側表面上に蓄積した材料を安定化するためにバッチ間反応チャンバ処理を行い、チャンバ内においてウエハのバッチの別の部分を処理するための命令を実行するように構成されているコントローラを備えるリモートプラズマチャンバとをさらに含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理装置が、反応チャンバから離れている。
【0020】
いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、(c)の完了後に反応チャンバの内側表面を洗浄するための命令を実行するようにさらに構成されている。
【0021】
これらおよび他の態様は、図面を参照して以下でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、リモートプラズマ源から供給されるプラズマを使用して基板を処理するための反応チャンバの簡略図である。
【0023】
図2図2は、図1の反応チャンバにおいてコーティングがチャンバの内側表面を覆っている状態を示す図である。
【0024】
図3図3は、開示の実施形態による方法の工程を図示するプロセスフロー図である。
【0025】
図4A図4Aは、開示の実施形態による方法の工程を図示するプロセスフロー図である。
図4B図4Bは、開示の実施形態による方法の工程を図示するプロセスフロー図である。
【0026】
図5A図5Aは、開示の実施形態による方法のサンプル工程条件を表す例示的な表である。
図5B図5Bは、開示の実施形態による方法のサンプル工程条件を表す例示的な表である。
【0027】
図6図6は、開示の実施形態による方法のサンプル工程条件を表す例示的な表である。
【0028】
図7図7は、特定の開示の実施形態を実施するための例示的なプロセスツールの概略図である。
【0029】
図8図8は、特定の開示の実施形態を実施するための別の例示的なプロセスツールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明では、提示される実施形態への十分な理解を提供するために多くの具体的な詳細が記載される。本明細書に開示される実施形態は、これらの具体的な詳細のいくつかまたは全てなしに実施されてもよい。他の例では、本開示の実施形態を不必要に曖昧にしないように、周知のプロセス動作は詳細に説明されていない。さらに、本開示の実施形態が具体的な実施形態と併せて説明されるが、そのような具体的な実施形態に本開示の実施形態を限定する意図はないことを理解されたい。
【0031】
本出願では、「ウエハ」および「基板」という用語は同義で使用される。半導体デバイス産業で使用されるウエハまたは基板は、一般的には、200mm、300mm、または450mmの直径を有する。特に明記しない限り、本明細書に記載されている処理の詳細(例えば、流量、電力レベルなど)は、直径300mmの基板の処理、または直径300mmの基板を処理するように構成されるチャンバの処理に関連し、他のサイズの基板またはチャンバに応じて適切にスケーリングすることができる。本明細書で説明されるチャンバは、様々な形状、サイズ、および材料であり得るワークピースを処理するために使用され得る。半導体ウエハに加えて、特定の実施形態に従って準備されたチャンバで処理され得る他のワークピースには、プリント回路基板、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子、マイクロメカニカルデバイスなどの様々な物品が挙げられる。
【0032】
(序論)
効率的な反応チャンバの生産性を達成することは、半導体製作において望ましいことである。ウエハのバッチは、従来、反応チャンバに供給され、反応チャンバ内でウエハ上に処理(例えば、堆積)が施される。しかし、材料が標的を外れた標的外、すなわち、チャンバの様々な内側表面(例えば、反応チャンバの側壁)に意図せず堆積すると、例えばチャンバ内で処理中のウエハ上にそのような材料が剥がれ落ちる(フレーキングを起こす)ことによって、最終的な粒子生成に影響を及ぼす可能性がある。そのような標的外の材料のフレーキングは、処理中のウエハを汚染し、処理されたウエハのバッチの全体的な品質を低下させる可能性があるため、望ましくない。
【0033】
従来、反応チャンバのバッチサイズ(すなわち、チャンバ内に蓄積した標的外の堆積に起因する粒子生成が処理中のウエハを汚染する可能性が相当高くなる前に、反応チャンバ内で処理可能なウエハの最大数)に達すると、反応チャンバの内部の完全な洗浄が必要であった。そのような洗浄を行うには、処理のため反応チャンバ内に保持されている内容物を外に取り出して反応チャンバを空にする必要があり、そのため、スループットが低下し、指定時間内により大量のバッチのウエハを処理することが防げられる可能性がある。
【0034】
反応チャンバのバッチサイズを大きくすると、必要な洗浄サイクルと洗浄サイクルの間に反応チャンバ内でさらにウエハを処理することが可能になり、生産性(またはスループット)が向上する。そのような増加は、本明細書に開示される方法の1つまたは複数、すなわちバッチ増加蓄積シーケンス(Batch Increase Accumulation Sequence:BIAS)関連プロセスの適用によって実現することができる。ここに説明されるプロセスでは、反応チャンバの内部構成要素(例えば、チャンバの内部側壁)上に堆積された標的外の材料を安定化するための中間(すなわち、バッチ間)チャンバ処理によって、通常のウエハ処理を一時的に中断し、そのような材料がフレーキングを起こしたり、またはその他の形で粒子を生成したりして処理中のウエハを汚染することを防いでいる。
【0035】
本明細書および本開示全体の他の場所で使用されるフレーキングとは、反応チャンバ内側表面の標的外の堆積材料が反応チャンバ内で処理中のウエハのバッチ上に部分的または完全に崩壊することによる粒子生成の一形態を指し得る。フレーキングは望ましくない状況であり、欠陥および/または他の粒子をウエハに導入することによって、処理されたバッチの品質を損なう可能性がある。フレーキングに加えて、「剥離(ピーリング)」が観察される場合がある。剥離(ピーリング)とは、特定のタイプのフレーキングであり、標的外の堆積物材料の上部露出面が、付着していた内壁から均一に剥がれて、処理中のウエハ上に落下することを表す。
【0036】
(反応チャンバ)
図1は、本開示によるプロセスおよび装置を実施可能とする反応チャンバまたは処理チャンバを例示する簡略図を提示する。処理チャンバ102は、チャンバ壁103と、チャンバ床104と、チャンバ天井105とを含む。処理チャンバ102内には、基板107を載置する基板支持体106が位置決めされる。処理チャンバ102はまた、入口108と、排気出口109とを含む。いくつかの実施形態では、リモートプラズマ源110が処理チャンバ102の上方に設けられる。リモートプラズマ源110は、リモートプラズマ源内でプラズマを生成するためのプラズマ発生器(図示せず)を含む。プラズマ発生器は、プラズマを発生するための機器(例えば、コイル、電極など)を含んでいる。ここで言うプラズマは、誘導結合プラズマ(ICP)、容量結合プラズマ(CCP)、またはマイクロ波生成プラズマなどでもよい。リモートプラズマ源110は、複数のシャワーヘッド穴112を有するシャワーヘッド111によって処理チャンバ102から分離されている。リモートプラズマ源110は、リモートプラズマの発生に使用されるガスを供給するための入口113を有する。
【0037】
一般的な状況では、ウエハの集合(例えば、1枚、2~4枚のウエハ)が処理チャンバ102内で順次処理される(例えば、堆積がウエハ上に実施される)。例えば、4枚のウエハは処理チャンバ102に入り、処理され、その後、取り出される。次に、4枚の追加の未処理のウエハを、処理のために処理チャンバ102に搬入することができる。必要なチャンバ洗浄サイクルと洗浄サイクルの間の総目標量または総目標「バッチ」に達するまでこのようにウエハの集合を搬送することを、「バッチ処理」と呼ぶことがある。ウエハは、反応チャンバのバッチサイズ(例えば、限界)に達するまで、1つまたは複数のステーション(例えば、1つ、2つまたは4つのステーション)で順次処理される。BIASの適用は、標的外の堆積材料が後続のウエハ処理を阻害することを防ぐための中間処理により、反応チャンバのバッチサイズを拡大する。したがって、BIASの適用により、標的外の堆積によって反応チャンバの内側表面に蓄積した残留物を処理または洗浄して除去するためにウエハ処理を一時的に中断する前に、かなりの数のウエハが処理され得る。
【0038】
図2は、以下でさらに説明するように、図1に示す装置において内部構成要素の表面がコーティングされた後の状態、例えば、コーティング220などのアンダーコート(UCT)を施す(アンダーコートで被覆する)ことによって「シーズニング」された後の状態を示す。一般に、「シーズニング」とは、反応チャンバ内でウエハを処理するために反応チャンバの内側表面を準備するプロセスを指す。いくつかの実施形態では、シーズニングは、酸化シリコン(SiO2)のコーティングまたはUCTを内側表面に施すことを含むことがある。他の実施形態では、酸化シリコン(SiOX)、窒化物、タングステン、または誘電体材料などの他の適切な材料を、反応チャンバ内で堆積されるものに応じてシーズニングに使用することができる。
【0039】
図示のコーティング220は、反応チャンバ内でウエハの処理中に蓄積する標的外の材料の堆積も表し得る。ここで用いられる、および本開示の他の場所で用いられる「蓄積」という用語は、一般に、標的外の堆積材料が反応チャンバの内側表面に積層することを表す。同様に、「通常の蓄積」という用語は、反応チャンバ内でのウエハのバッチの処理中に生じる従来の蓄積過程を表しており、反応チャンバの最大バッチサイズに達すると、反応チャンバの洗浄が行われる。基板107(例えば、ウエハ)は、この図には示されておらず、コーティング220は、例示の目的で厚さが誇張されている。さらに、コーティング220は、シャワーヘッド穴112の内側表面のように、図2では見えない領域に存在してもよい。いくつかの実施形態では、処理チャンバ102の内側にある表面のみを、低再結合材料コーティング220で覆っている。
【0040】
基板107(例えば、半導体ウエハ)の処理は、原子層堆積(ALD)などの種々のプロセスによる基板107上への堆積を伴い得る。ウエハ処理中、指定量のウエハ(例えば、1枚、2枚または4枚のウエハ)を、処理チャンバ102内で処理し、その後、周期的に搬出して、新しい未処理のウエハの搬入を可能にすることができる。ある量のウエハの処理に一定の時間が費やされた後、ウエハ上に堆積されるべき材料が、チャンバ壁103上などの意図しない場所に蓄積し始める場合がある。最終的に、そのような標的外の堆積材料は、粒子(例えば、フレーク)を生成し始め、チャンバ壁103から落下するか、またはその他の方法で基板107上に移動してウエハ処理を汚染し得る。
【0041】
したがって、図4および図5A図5Bでさらに説明されるプロセスの実施により、そのような標的外の堆積材料をチャンバ壁に固定または安定化することができる。標的外の堆積材料をそのように安定化することにより、標的外の堆積材料を抽出して処分するためにチャンバ壁103の最終的な洗浄サイクルを行わなければならなくなるまで、基板107の進行中の追加の処理を続けることが可能になり得る。一般に、洗浄サイクルとは、不要な標的外の堆積材料を、リアクタの様々な内部構成要素(側壁など)から除去することを指す。通常、反応チャンバは、反応チャンバ内でのウエハ処理の再開が可能となるよう洗浄される。チャンバ洗浄は、液相化学反応による湿式洗浄であってもよいし、または例えばプラズマによる乾式洗浄であってもよい。また、チャンバ洗浄は、内側表面の標的外の堆積材料を洗浄するため、プラズマを反応チャンバに供給することによって実行されても良い(「プラズマ洗浄」と呼ばれることも多い)。プラズマ洗浄は、in-situプラズマまたはリモートプラズマを使用して実行され得る。
【0042】
図3は、ウエハのバッチ処理中に反応チャンバの内側表面への標的外の堆積によって引き起こされる問題に対処するための例示的なプロセスフロー300を示す。プロセス300は、1枚または複数枚のウエハを図1に示したようなプロセスチャンバなどの反応チャンバに提供することを伴う、工程302で始まる。
【0043】
いくつかの実施形態では、複数枚のウエハは、マルチステーションの順次処理のための反応チャンバに搬入され、その後、処理完了時に反応チャンバから取り出され得る。他の実施形態では、チャンバは、一度に1枚のウエハを処理するように構成されてもよい。複数枚のウエハの処理は、「バッチ処理」と総称されることがある。ここで、ウエハの「バッチ」は、リアクタを完全に洗浄するためにシャットダウンが必要となる前に、反応チャンバの洗浄サイクルと洗浄サイクルの間に反応チャンバ内で処理可能なウエハの総数を指す。リアクタのこのようなシャットダウンと完全洗浄は、反応チャンバ内におけるウエハの処理によってリアクタの内部構成要素(特に側壁)に蓄積した標的外の材料堆積のフレーキングなどの粒子生成によるプロセスドリフトおよび/またはウエハ汚染のリスクを伴うことなくウエハの処理を続けるために必要である。粒子生成(例えば、反応チャンバ内での過去のウエハ処理によってリアクタの内部構成要素、特に側壁、に蓄積した標的外の堆積材料のフレーキング)による汚染のリスクを伴うことなくウエハの処理を続ける前に完全な洗浄を行うため、一般に、洗浄サイクルは、反応チャンバの完全な停止を含んでいる。
【0044】
一般的なバッチ処理手順の下では、ウエハのバッチの処理中に反応チャンバの内側表面に標的外の材料が蓄積し続けるため、所望のプロセススループットが制限される可能性がある。ウエハのバッチの一部の初期処理後に行われる工程306は、例えば、反応チャンバの側壁に堆積された標的外の材料を安定化するためのバッチ間反応チャンバ処理を行うことによって標的外の堆積に対処する。バッチ間処理による不要な汚染を回避するために、反応チャンバ内のあらゆるウエハは、工程306におけるバッチ間処理の開始前に反応チャンバから取り出される。いくつかの実施形態では、バッチ間処理は、図4A図4Bでさらに説明される1つまたは複数の別個のプロセス変形例を伴い得る。工程306における反応チャンバのバッチ間処理の完了後、工程310でプロセス300を終了する前に、ウエハのバッチの別の部分を工程308において反応チャンバ内で処理することができる。
【0045】
したがって、工程306におけるバッチ間反応チャンバ処理の実施により、必要な洗浄サイクル間隔において反応チャンバ内で処理可能なウエハの総数を増加させることが可能であり、よって、処理されるウエハのバッチサイズを効果的に増加する。このように、バッチ増加蓄積シーケンス(BIAS)とも呼ばれる工程306を含むプロセス300は、必要な洗浄サイクル間隔(例えば、反応チャンバの側壁に付着している、蓄積した標的外の堆積材料を除去する洗浄サイクル)における反応チャンバの有用性、または寿命を延長することによって、所与の反応チャンバにおいて処理されるウエハの総工程スループットを向上するために望ましい。
【0046】
図4Aは、図4を参照して説明された一般的なプロセス内の1つの特定の実施形態によるBIASを説明する包括的なプロセスフロー400を示す。図4Bは、図4Aに関連して説明および記載され、例えば、プロセスフロー300の工程306、および同様にプロセスフロー400の工程412で行われるいくつかの特定のタイプのバッチ間反応チャンバ処理を示す。工程402において開始後、当業者は、従来の堆積方法または原子層堆積(ALD)法のいずれかによる薄膜の堆積によって、反応チャンバの内側表面を準備またはシーズニングすることができることを理解するであろう。シーズニング工程404において堆積された膜は、「プレコート」または「アンダーコート」(UCT)と呼ばれることがあり、いくつかの実施形態では、酸化シリコン(SiO2)、または堆積に適した他の酸化物などの誘電体を含むことができる。さらに、酸化シリコンは、堆積された膜の厚さを制御するため、比較的短時間のALDによって(例えば、膜厚が最小100Å~最大2,000Åの範囲、通常は、700Å~1,400Å以内であり、ALDサイクルが500サイクル~1,200サイクル)、UCTとして堆積されてもよい。
【0047】
ALDは、膜厚をデジタル的に細かく変化させる名目上自己制限的なステップによって構成される周期的なプロセスである。このプロセスは、滑らかさおよび共形性によって特徴付けられる。「ALDサイクル」の概念は、本明細書の様々な実施形態の説明に関連している。一般に、ALDサイクルは、表面堆積反応を1回実施するために使用される工程の最小セットである。1サイクルの結果、ケイ素含有膜の層が少なくとも部分的に、例えば、基板表面に形成される。典型的には、ALDサイクルは、少なくとも1つの反応剤を基板表面に供給して吸着させ、次に吸着された反応剤を1つまたは複数の反応剤と反応させて部分的に膜の層を形成する工程を含む。このサイクルは、反応剤または副生成物の1つを一掃すること、および/または堆積されたままの部分的な膜を処理することなどの特定の補助的な工程を含み得る。一般に、サイクルは、一連の特有の工程を含む。一例として、ALDサイクルは、以下の工程を含み得る。(i)ケイ素含有前駆体の供給/吸着、(ii)チャンバからのケイ素含有前駆体のパージ、(iii)第2の反応剤およびプラズマの供給、および(iv)チャンバからのプラズマのパージ。ALDによる様々なタイプのUCTの生成およびそれによる被覆に適した前駆体、プロセスガスおよび/または試薬について、様々な流量の範囲を、図5Aに「UCT」の列ラベルで示す。UCTによる被覆に使用されるALDプロセスの流量(標準立方センチメートル/分(sccm))、ならびに追加の様々なバッチ間処理コーティングは、図5Aに示す特定の範囲を含み得る。例えば、BTBAS(ビス-tert-ブチルアミノシラン)、BDEAS(ビスジエチルアミノシラン)((Et2N)2SiH2)、またはDIPAS(ジイソプロピルアミノシラン)から選択された前駆体を体積流量500~3,000sccmで反応チャンバに流し込み、例えば、ケイ酸塩ガラスなどの酸化シリコン(SiO2)のUCTを生成して反応チャンバの内側表面に施すことができる。ケイ素含有UCTを生成するために使用される他の適切な例示的な前駆体または反応剤は、アルキル基が1から6つの炭素基を含み得る様々な他のビスアルキルアミノシランを含むことができる。また、各アミン基は、別々に、アルキル基で一置換または二置換されてもよい。さらに、特定の実施形態では、ケイ素含有UCTを生成するために使用される前駆体または反応剤として、様々な種類のアルケニルおよびアルキニルを用いることができる。場合によっては、または構成によっては、異なるアルキル基を分子上で用いることができる(例えば、1つまたは複数のアミンをメチル基で置換し、1つまたは複数の他のアミンをエチル基で置換することができる)。特定の実施形態では、1つまたは複数のアルキル基は、シランコアの立体障害をもたらし得る。同様に、UCTを生成するために必要に応じて、アルゴン(Ar)ガスなどのキャリアガスを反応チャンバに流し込んでもよい。
【0048】
次に、上述のようにUCTを施すために工程404で反応チャンバをシーズニングした後、反応チャンバ内における処理のためにウエハのバッチの一部が反応チャンバに供給される。プロセスフロー300に関して先に説明したように、バッチは、必要なチャンバ洗浄サイクル間に反応チャンバによって処理可能なウエハの最大量を指すことができる。そのバッチの一部は、バッチの全体よりも少ない任意の数にすることができる。いくつかの実施形態では、バッチを均等に(例えば、バッチの2分の1、3分の1、4分の1など)分割してもよく、これらの分割部分を、チャンバ内に蓄積した標的外の堆積に起因する粒子生成が処理中のウエハを汚染する可能性が相当高い蓄積限界の直前と経験的に相関させてもよい。1つの特定の例では、バッチは、各分割部分の処理の完了により、バッチが25%、50%、75%、および100%完了する4つの分割部分に分割されてもよい。工程408は、ウエハのバッチの一部の処理を伴い、前述のように、処理のために反応チャンバに周期的に出し入れされる複数群のウエハ(例えば、1枚、2~4枚ずつ)の順次処理を伴い得る。いくつかの実施形態では、工程408での処理は、ウエハのバッチの一部に対して実施される1つまたは複数の技術(ALDプロセスによる堆積を含む)を伴い得る。
【0049】
ウエハのバッチの一部の処理は、反応チャンバから処理済みウエハを取り出した後、工程412で一時的に中断され、反応チャンバのバッチ間処理を行う。バッチ間処理は、工程408におけるウエハのバッチの一部の処理中に反応チャンバの内側表面に意図せず堆積された標的外の材料を安定化する。
【0050】
BIASの利点の1つは、必須の洗浄サイクル間に反応チャンバで処理可能な最大バッチサイズを増加させることによって、反応チャンバの正味のスループットを向上させることである。バッチサイズが比較的大きいということは、チャンバ洗浄などの包括的なオーバーヘッド工程を完了するために頻繁に処理を中断することなく、反応チャンバ内におけるウエハの処理のためのより多くの反応チャンバ時間が得られることを意味する。したがって、BIASの実施は、スループットの向上に加えて、バッチで観察される不良率(例えば、反応チャンバの洗浄のため頻繁に処理を中断することに起因しうる不良)の低下に寄与する。
【0051】
図4Bは、工程412において実行され得る特定のタイプの処理のいくつかの変形例を示す。例えば、反応チャンバの側壁に付着した標的外の堆積材料は、変形例Aによって所定の位置に固定または封止されてもよく、例えば、標的外の堆積材料が付着している表面(例えば、側壁および/または反応チャンバの他の内部構成要素)にその標的外の堆積材料を結合させる高圧縮性膜を施す(例えば、堆積させる)ことによって、ウエハのバッチの処理を妨害し得る標的外の堆積材料の将来のフレーキングまたは分解を防ぐ。
【0052】
そのような膜は、バッチ処理中の一組の予め規定された間隔、例えば、総バッチ限界の25%、50%または75%、で堆積されてもよく、この間隔は経験的に決定することができる。あるいは、バッチ間処理は、定期的な時間間隔で、例えば、処理の開始から経過した単位時間ごとに、行われてもよい。さらに、標的外の材料が、直近の洗浄サイクル以降に反応チャンバ内で処理されたウエハの数に比例して反応チャンバの内側表面に蓄積する傾向にある場合、バッチ間チャンバコーティングを施し得る間隔は、標的外の材料の蓄積の測定を受けて選択され得る。そのような測定は、総バッチ限界が規定の割合になった時に、バッチ間チャンバコーティングを施すことに加えて、またはその代わりに行うことができる。
【0053】
工程412のサブセットである変形例Aでのバッチ間処理によって標的外の堆積材料を結合するために施される膜またはコーティングの圧縮性を高めるための典型的な方法は、(これに限定されないが)2kW~7kWの高無線周波数(RF)電力、2T~10Tの高圧、より長いRF時間(0.2秒~10秒)で行われるALD、または当業者に明らかな他の方法により膜を施すことを含む。さらに、特定の実施形態では、膜の圧縮性を高めるために、言及された技術の1つまたは複数を必要に応じて任意の組み合わせで組み合わせられ得る。
【0054】
例示的なプロセス条件を、図5Aの見出し「バッチ間-1/2」により包括的に列挙する。例えば、総バッチ蓄積限界の例えば50%で圧縮性膜コーティングを施すための適切なバッチ間処理条件は、前駆体を体積流量500~3,000sccmで流すことを伴い得る。酸化シリコンコーティングの形成およびそれによる被覆に適した前駆体は、BTBAS(ビス-tert-ブチルアミノシラン)、BDEAS(ビスジエチルアミノシラン)((Et2N)2SiH2)、またはDIPAS(ジイソプロピルアミノシラン)を含む群から選択されるケイ素含有種を含み、これらを体積流量500~3,000sccmで反応チャンバに流し込み、例えば、ケイ酸塩ガラスなどの酸化シリコン(SiO2)のUCTを生成して反応チャンバの内側表面に施す(内側表面を被覆する)ことができる。ケイ素含有UCTを生成するために使用される他の適切な例示的な前駆体または反応剤は、アルキル基が1から6つの炭素基を含み得る様々な他のビスアルキルアミノシランを含むことができる。また、各アミン基は、別々に、アルキル基で一置換または二置換されてもよい。さらに、特定の実施形態では、ケイ素含有UCTを生成するために使用される前駆体または反応剤として、様々な種類のアルケニルおよびアルキニルを用いることができる。場合によっては、または構成によっては、異なるアルキル基を分子上で用いることができる(例えば、1つまたは複数のアミンをメチル基で置換し、1つまたは複数の他のアミンをエチル基で置換することができる)。特定の実施形態では、1つまたは複数のアルキル基は、シランコアの立体障害をもたらし得る。UCTを生成するために必要に応じて、アルゴン(Ar)ガスなどのキャリアガスが反応チャンバに流し込まれてもよい。また、特定の実施形態では、酸素含有種が亜酸化窒素(N2O)ガスおよび/または酸素(O2)ガスを含む群から選択され、反応チャンバに流し込まれてもよい。
【0055】
反応チャンバからプロセス試薬を排出するため、必要に応じて、例えば5,000~50,000sccmの範囲で窒素(N2)ガスによる後続パージ構成が用いられてもよい。特定の実施形態では、第2のパージ工程は、第1のパージと同様の流量範囲で実行されてもよい。総反応チャンバ圧力は、堆積(例えば、ALD)およびパージ工程中、1T~10Tの間で維持され得る。
【0056】
同様に、堆積および関連するパージ工程のステップタイミングが、おおよその流量範囲の下に示される。投与タイミングは、前駆体投与時間を秒単位で示し、PDPは、反応チャンバ内のウエハ反応ゾーンから堆積前駆体を除去するための(例えば、不活性ガス流パージ時間の)投与後パージ時間(Post Dose Purge Time)を示し、RF時間は、堆積工程中に反応剤が存在する状態で無線周波数(RF)プラズマ電力がオンになっている期間を指し、RFパージ時間は、RFプラズマ駆動の堆積後に反応剤またはプラズマ電力無しで行われるパージの持続時間を指す。ALDおよびパージ工程中に調整に利用可能な追加の反応チャンバプロセスパラメータは、チャンバ温度および電力設定を含む。例えば、アンプル温度は、反応剤がチャンバに入るときの反応剤の温度を指し、20℃~80℃の範囲であり得、ガスライン温度は、プロセスガスがガスラインを通って反応チャンバに供給される温度を指し、20℃~85℃の範囲であり得、台座(「ped」)温度は、処理すべきウエハを保持する台座の温度を指し、プロセス用途および堆積膜の要件に応じて20℃~550℃の範囲であり得、チャンバ温度は、ALDおよび関連するパージプロセス中の反応チャンバの内部温度を指し、20℃~85℃の範囲で設定され得、天板温度は、20℃~85℃の範囲で設定され得る。
【0057】
許容可能な電力設定は、シャワーヘッド(「SHD」)および台座(「ped」)など、様々な反応チャンバ構成要素について、特定の範囲で図5Aに示す設定を含み、いずれも図示されている周波数範囲で提供され得る。さらに、特定の実施形態では、後処理プロセスは、図5Aのバッチ間-1/2の処理で示すALDおよび関連するパージプロセスと、図示されるおおよその電力レベル、反応チャンバに流入するガス種、周波数および時間間隔にて、組み合わせて適用され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、標的外の堆積材料を上述のようにコーティングおよび封止するために圧縮性膜を適用する代わりに、反応チャンバの内側表面に蓄積した標的外の堆積材料を、例えば、変形例Bによって示すようにプラズマに曝露してもよい。プラズマ曝露は、例えば、標的外の堆積材料へのプラズマの容易な拡散を許容し、そのような材料を所定の位置で安定化させ、処理中のウエハのバッチ上に落下しないようにするために、低圧で、総バッチ蓄積限界の所望の間隔(例えば25%、50%または75%)にて実行され得る。例えば、変形例Bに適した反応チャンバのプロセス条件は、任意の後処理を伴う、図5Bの「バッチ間-3」に示す通りであり得る。プラズマは、図5Aの「プロセス」列に示される、堆積のための方法と同じ方法で生成され得、電力の供給を受けてもよいシャワーヘッドと接地されてもよい台座との間のプロセスチャンバに供給され得る。さらに、特定の実施形態では、上述のように生成されたプラズマは拡散し、処理中にウエハを保持するために反応チャンバ内に配置され得るキャリアリング上に堆積される材料の品質を改善し得る。キャリアリングは、接地された台座にプラズマ電力を集中させるように配向または構成された高インピーダンスセラミックから作製され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、変形例Bに記載のプラズマ処理の後、変形例Cに示すように、反応チャンバの内側表面に存在するプラズマ処理済みの標的外の堆積材料上に、例えば、200Å未満の薄膜が堆積されてもよい。また、変形例Cは、低圧での非投与の酸化プラズマ処理を最初に行ってもよい。非投与とは、例えば、反応性前駆体または堆積試薬を流さないことである。さらに、標的外の堆積材料を最初に安定化するために提供されるプラズマは、アルゴンガス(Ar)またはアルゴンガスと酸素ガス(O2)の混合ガスから生成され得、図1および図2に示すシャワーヘッド111の後方の位置から点火することができる。したがって、変形例Cは、標的外の堆積材料をプラズマ処理した後にALDにより薄膜を堆積するために、図5Aのバッチ間-1/2列に先に示す特定のプロセスパラメータを選択し、適用しすることによって達成され得る。そのようなALDプロセスは、より薄い膜(例えば、200Å未満)を堆積するために短い反応剤フロー時間を伴い得る。
【0060】
変形例Cの従来の処理シーケンスでは、基板107への堆積に使用される反応性種などの化学物質がシャワーヘッド111から流出する可能性がある。変形例Cに使用されるプラズマを生成するために使用される不活性ガスは、通常、点火が困難である。そこで、シャワーヘッド111のフェースプレート上で不活性ガスを点火するため、電力が供給されてもよい。さらに、そのような状況では、プラズマが外向きかつ均一に処理チャンバ全体に消散できるように、二次パージ(例えば、反応チャンバからガスおよび/または他の種をパージするためのパージ)がオフされる。
【0061】
次に、標的外の堆積材料を上述のようにプラズマに曝露した後、薄膜、例えば、200Å未満、がその上に堆積させ、標的外の堆積材料を所定の位置に保持または固化させることができる。そのようなコーティングは、酸化シリコンまたは別の適切な酸化物を含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、アニーリングまたはプラズマ処理など、薄膜堆積後の追加処理が実行され得る。
【0062】
図5Bに示す変形例Dは、変形例A、BおよびCのいずれかと併せて実行され得、反応チャンバ内で点火されたプラズマが最終的に反応チャンバの外側領域に(例えば、側壁に向かって)拡散するように、反応チャンバを接地させることを伴う。従来、基板、図1および図2に示す基板107など、を保持する台座または支持体は接地されており、一方、基板上に堆積させるための種を基板に向けて供給するシャワーヘッドには電力が供給される。ここで、変形例Dによれば、従来の構成とは対照的に、シャワーヘッドが接地されている一方で、台座に電力が供給される。例えば、図5Bの「バッチ間-4」の列に示すパラメータは、反応チャンバの接地を行うために選択的に適用されてもよく、例えば、台座は、500W~7kWの範囲の電力レベルで動作され得る。変形例Dによりもたらされる構成は、プラズマの活性化、照射の方向性、および衝撃のために、反応チャンバ内の領域に、例えば、標的外の材料が堆積された反応チャンバの側壁に向けて、狙いを定めることを支援し得る。次に、そのようなプラズマは、チャンバ側壁および他のチャンバ構成要素上の標的外の堆積材料を処理または処置するために、使用後に反応チャンバの外側領域に向かって拡散し得る。
【0063】
工程412のバッチ間反応チャンバ処理を集合的に構成する変形例A~Dの1つまたは複数および/または変形例A~Dに関する1つまたは複数の組み合わせが正常に完了した後、工程414においてウエハのバッチの別の部分を反応チャンバが挿入され、工程416において反応チャンバ内でその部分が処理される。決定工程420は、ウエハのバッチの最初および任意の追加の部分の処理のための工程408および416中に反応チャンバのバッチサイズ限界に達したか否かを決定する。例えば、決定の結果が「NO(418)」である場合、プロセスワークフロー400は、ウエハのバッチの追加の部分を処理するために、追加のバッチ間処理および堆積のための工程412に戻る。したがって、当業者は、プロセスワークフロー400の工程412でBIASおよびバッチ間処理を用いることにより、必須の反応チャンバ洗浄サイクル間に追加のウエハの処理を許容するバッチサイズの拡大がもたらされることを理解するであろう。
【0064】
最終的に、そして潜在的に、バッチ間反応チャンバ処理工程412を複数回実行した後、工程420で、反応チャンバの内側表面に堆積された標的外の材料が閾値量となる(または閾値量を超える場合もある)総バッチ蓄積限界に達すると、工程420の結果が「YES」となる。したがって、プロセスワークフロー00は、チャンバ洗浄が行われる終了工程422に向かって進む。
【0065】
図5Aおよび図5Bは、先に言及したように、様々なウエハ処理およびバッチ間反応チャンバ処理工程に対応する様々な例示的なプロセスパラメータデータ値を提供する表を示す。これらの表に示される値は、上述の様々なBIAS関連のプロセスで使用されるパラメータを代表することを意図しているが、全てを網羅しているわけではなく、限定する意図はない。特定のウエハ処理スループット目標を達成するために、プロセス値および/またはプロセスパラメータを必要に応じて調整することができる。
【0066】
図5A図5Bの両方の「パラメータ」列には、様々な個々のパラメータが縦に列挙されている。先に紹介したように、流量は、前駆体、反応剤、および/または反応チャンバに出入りする不活性パージ種の体積流量がsccmにて提供される。図5Aおよび図5Bに示すステップタイミング(例えば、投与時間など)は、前述のとおりである。同様に、温度、電力レベル、および任意の後処理設定に含まれる残りのパラメータも前述のとおりであり、例えば、UCTによる被覆の1つまたは複数、または変形例A~Dの1つまたは複数によるバッチ間処理、に対応する。
【0067】
また、図5Aの「プロセス」列の下には、ウエハのバッチの処理に適したおおよそのパラメータ設定範囲が示されている。バッチの処理は、前述のALD技術を使用して所望の厚さの膜を堆積することによって行うことができ、表に示されている量および/または組み合わせで前駆体および試薬種を流すことを含めることができる。
【0068】
残りの列、すなわち、UCT、バッチ間-1/2、バッチ間-3、およびバッチ間-4は、それぞれ反応チャンバの前処理シーズニング中のアンダーコートによる被覆、および変形例A~Dを表す。すなわち、列ヘッダ「UCT」は、前処理シーズニングのアンダーコートを生成して反応チャンバの内側表面に施す(内側表面を被覆する)ための工程条件、すなわち設定を示す。同様に、特定の実施形態では、列ヘッダ「バッチ間-1/2」は変形例Aの設定を示し、列ヘッダ「バッチ間-3」は変形例Bの設定を示し、列ヘッダ「バッチ間-4」は変形例Dの設定を示す。変形例Cは、列ヘッダ「バッチ間-1/2」および「バッチ間-3」で提供される設定範囲を選択的に組み合わせることによって行うことができる。
【0069】
図6は、例えば、プロセスワークフロー400が工程422で終了する時に、反応チャンバのリモート洗浄を行うために使用され得るリモート洗浄レシピのための例示的なプロセスパラメータを示す別の表である。頭字語HPおよびLPは、それぞれ「高圧」および「低圧」を示す(図6に示すそれぞれの圧力範囲にも反映されている)。洗浄に用いられるプラズマを生成するために使用される種の様々なレシピを使用することができる。洗浄サイクルの完了によって、反応チャンバの内側表面から標的外の堆積材料を正常に除去した後、プロセスワークフロー300、または400によって示すBIASプロセスを再度開始し、所望に応じてウエハの追加のバッチを処理することができる。
【0070】
(装置)
図7は、プロセスチャンバ702を有する原子層堆積(ALD)プロセスステーション700の一実施形態の概略図である。プロセスステーション700は、特定の開示の実施形態を実施するために使用することができる。例えば、プロセスステーション700は、典型的には、原子層堆積(ALD)によって膜を基板上に堆積するために使用され得るが、特定の構成では、プロセスステーション700を、例えば、原子層エッチング(ALE)または原子層洗浄(ALC)を行い、パターニングスキームにおいて炭素含有材料をそれぞれエッチングまたは洗浄するために使用され得る。いくつかの実施形態では、プロセスステーション700は、ALE、ALCおよびALDに使用されても良い。あるいは、いくつかの実施形態では、マルチステーションツールのいくつかのプロセスステーションは、真空を破ることなくALCステーションとALDステーションとの間で基板が搬送され得るように、ALEまたはALCのステーションと、ALDのステーションとを含み得る。
【0071】
プロセスチャンバ702は、低圧環境を維持するために使用されてもよい。複数のプロセスステーションは、1つの共通の低圧プロセスツール環境に含まれ得る。例えば、図8は、マルチステーション処理ツール800の一実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、以下で詳細に説明されるものを含むプロセスステーション700の1つまたは複数のハードウェアパラメータは、1つまたは複数のコンピュータコントローラ750によってプログラム的に調整され得る。
【0072】
プロセスステーション700は、プロセスガスを分配シャワーヘッド706に供給するために、反応剤供給システム701aと流体的に連通している。反応剤供給システム701aは、シャワーヘッド706に供給する酸素含有ガス、または不活性ガスなどのプロセスガスをブレンドおよび/または調整するための混合容器704を含む。1つまたは複数の混合容器入口弁720は、混合容器704へのプロセスガスの導入を制御し得る。
【0073】
一例として、図7の実施形態は、混合容器704に供給される液体反応剤を気化させるための気化ポイント703を含む。いくつかの実施形態では、堆積化学物質を、気化した液体反応剤として供給され得る。パターニングされた炭素含有材料上にALDによって共形膜が堆積され得るように、パターニングされた炭素含有材料を形成するために、プロセスチャンバ702におけるALEまたはALCを実施した後に堆積化学物質が用いられ得る。いくつかの実施形態では、気化ポイント703は、加熱気化器であってもよい。そのような気化器から生成された飽和反応剤蒸気は、下流の供給配管内で凝縮し得る。凝縮した反応剤に不適合ガスが曝露されると、小粒子が形成されることがある。これらの小粒子は、配管を詰まらせ、弁の動作を妨げ、基板を汚染するなどの恐れがある。これらの問題に対処するためのいくつかのアプローチは、残留反応剤を除去するために供給配管をパージおよび/または排気することを伴う。しかし、供給配管をパージすると、プロセスステーションのサイクル時間が増加し、プロセスステーションのスループットが低下する可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、気化ポイント703の下流の供給配管をヒートトレースしてもよい。いくつかの例では、混合容器704もヒートトレースしてもよい。1つの非限定的な例では、気化ポイント703の下流の配管は、混合容器704でおよそ100℃からおよそ150℃に及ぶ昇温プロファイルを有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、液体前駆体または液体反応剤は、液体注入器(図7には図示せず)で気化されてもよい。例えば、液体注入器は、液体反応剤をパルス状に混合容器704の上流のキャリアガス流に注入することができる。一実施形態では、液体注入器は、液体を高圧から低圧に勢いよく流すことによって反応剤を気化させることができる。別の例では、液体注入器は、液体を分散微小液滴に霧化してから、加熱された供給パイプ内でその微小液滴を気化させてもよい。小さな液滴は、大きな液滴よりも速く気化することができ、液体注入と完全気化との間の遅延が減少する。気化が速くなるほど、気化ポイント703から下流の配管までの長さを短くすることができる。1つのシナリオでは、液体注入器は混合容器704に直接取り付けられても良い。別のシナリオでは、液体注入器はシャワーヘッド706に直接取り付けられ得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、気化およびプロセスチャンバ702への供給のための液体の質量流量を制御するために、液体流コントローラ(LFC)が気化ポイント703の上流に備えられ得る。例えば、LFCは、LFCの下流に位置される熱質量流量計(MFM)を含み得る。LFCのプランジャ弁は、MFMと電気的に通信する比例積分微分(PID)コントローラによって提供されるフィードバック制御信号に応答して調整され得る。しかし、フィードバック制御を使用して液体の流れを安定化するには1秒以上かかる場合がある。これは、液体反応剤の供給時間を延長する可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えられ得る。いくつかの実施形態では、これは、LFCの感知管およびPIDコントローラを無効にすることによって実施され得る。
【0076】
シャワーヘッド706は、プロセスガスを基板712に向けて分配する。図7に示す実施形態では、基板712は、シャワーヘッド706の下方に位置し、チャックまたは台座708上に載置された状態で示されている。シャワーヘッド706によって基板712に向けて供給または分散されるイオンについて望ましいレベルの方向性を達成するため、シャワーヘッド706は、50ミル(19.05ミリ)(0.35インチ)~700ミル(17.78ミリ)(0.7インチ)の距離に配置され得る。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド706から分散されるイオンの方向性を保つため、シャワーヘッド706と基板712との間のギャップをより低く、またはより小さくしてもよい。しかし、低圧条件(例えば、10mT未満、すなわち0.01Torr未満)では、イオン化プラズマをシャワーヘッド706から安定的に分散させるために、より高い、またはより大きなギャップが必要になることがある。いくつかの実施形態では、チャンバは、複数のチャックまたは台座を含み得る。シャワーヘッド706は、任意の適切な形状とすることができ、プロセスガスを基板712に分配するためポートを任意の適切な数、任意の適切な配置で有することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、台座08は、基板712を基板712とシャワーヘッド706との間の体積に曝露するために上下され得る。いくつかの実施形態では、台座708は、ヒータ710を介して温度制御されてもよい。台座708は、様々な開示の実施形態を実施するための動作中、約25℃~約650℃、または約35℃~約100℃などの任意の適切な温度に設定され得る。いくつかの実施形態では、台座の高さは、適切なコンピュータコントローラ750によってプログラム的に調整されてもよいことが理解されよう。
【0078】
別のシナリオでは、台座708の高さを調整することにより、いくつかの開示の実施形態で実施されるプラズマ活性化中にプラズマ密度を変化させることが可能となり得る。例えば、コア材料が酸素含有ガスに曝露された後、改質されたコア材料を除去するために、不活性ガスがシャワーヘッド706を介して基板712に流されると、プラズマが点火され得る。プロセス段階の終わりに、別の基板搬送段階中に台座708を下げ、台座708からの基板712の除去を可能にすることができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、基板712とシャワーヘッド706との間の体積を変化させるために、シャワーヘッド706の位置は台座708に対して調整され得る。さらに、台座708および/またはシャワーヘッド706の垂直位置は、本開示の範囲内の任意の適切な機構によって変更されてもよいことが理解されよう。いくつかの実施形態では、台座708は、基板712の向きを回転させるための回転軸を含み得る。いくつかの実施形態では、これらの例示的な調整の1つまたは複数は、1つまたは複数の適切なコンピュータコントローラ750によってプログラム的に実施され得ることが理解されよう。コンピュータコントローラ750は、図7のコントローラ750に関して以下で説明される特徴のいずれかを含み得る。
【0080】
プラズマが上述のように使用され得るいくつかの実施形態では、シャワーヘッド706および台座708は、プラズマに電力を供給するための無線周波数(RF)電源714および整合ネットワーク716と電気的に通信する。いくつかの実施形態では、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングの1つまたは複数を制御することによって、プラズマエネルギーを制御され得る。例えば、RF電源714および整合ネットワーク716は、ラジカル種の所望の組成を有するプラズマを形成するために任意の適切な電力で動作され得る。同様に、RF電源714は、任意の適切な周波数のRF電力を提供し得る。いくつかの実施形態では、RF電源714は、高周波RF電源および低周波RF電源を互いに独立して制御するように構成され得る。例示的な低周波RF周波数は、0kHz~500kHzの周波数を含み得るが、これに限定されない。例示的な高周波RF周波数は、1.8MHz~2.45GHz、または約13.56MHzを超える、または27MHzを超える、または40MHzを超える、または60MHzを超える周波数を含んでもよいが、これに限定されない。表面反応のためのプラズマエネルギーを提供するために、任意の適切なパラメータが離散的または連続的に調整されてもよいことが理解されよう。
【0081】
いくつかの実施形態では、プラズマは、1つまたは複数のプラズマモニタによってin-situで監視され得る。1つのシナリオでは、プラズマ電力は、1つまたは複数の電圧センサ、電流センサ(例えば、VIプローブ)によって監視することができる。別のシナリオでは、プラズマ密度および/またはプロセスガス濃度は、1つまたは複数の発光分光センサ(OES)によって測定されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータは、そのようなin-situのプラズマモニタからの測定値に基づいてプログラム的に調整され得る。例えば、OESセンサは、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループで使用されてもよい。いくつかの実施形態では、OESセンサを使用して、特定の開示の実施形態を使用して特定の時間後にエッチングを停止するようにエンドポイントを設定することができる。いくつかの実施形態では、プラズマおよび他のプロセス特性を監視するために他のモニタが使用されてもよいことが理解されよう。このようなモニタとしては、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力トランスデューサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
いくつかの実施形態では、コントローラ750に対する命令は、入力/出力制御(IOC)シーケンス命令を介して提供され得る。一例では、プロセス段階の条件を設定するための命令は、プロセスレシピの対応するレシピ段階に含めることができる。場合によっては、プロセスレシピ段階が順次配置されてもよく、それによりプロセス段階の全ての命令がそのプロセス段階と同時に実行される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のリアクタパラメータを設定するための命令を、レシピ段階に含めてもよい。例えば、第1のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応剤ガス(例えば、酸素含有ガス)の流量を設定するための命令、キャリアガス(アルゴンなど)の流量を設定するための命令、ならびに第1のレシピ段階の時間遅延命令を含み得る。続く第2のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応剤ガスの流量を調整または停止するための命令、ならびにキャリアガスまたはパージガスの流量を調整するための命令、および第2のレシピ段階の時間遅延命令を含み得る。第3のレシピ段階は、アルゴンなどの第2のガスの流量を調整するための命令、キャリアガスまたはパージガスの流量を調整するための命令、4ステーション処理ツールについて約250W~約750Wの低プラズマ電力でプラズマを点火するための命令、および第3のレシピ段階の時間遅延命令を含み得る。続く第4のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応剤ガスの流量を調整または停止するための命令、ならびにキャリアガスまたはパージガスの流量を調整するための命令、および第のレシピ段階の時間遅延命令を含み得る。このようなレシピを使用して、基板上のコア材料などの炭素含有材料をエッチングし、下層のエッチング対象層の表面に約90°±5°の点で接する垂直側壁を生成することができる。この後に追加のレシピを続けて、ALDによってパターニングされたコア材料上に共形膜を堆積するために使用してもよい。例えば、パターニングされたコア材料の上に酸化シリコンの共形膜を堆積する場合、1つの追加のレシピ段階は、ケイ素含有前駆体の流量を設定するための命令を含み得、別の追加のレシピ段階は、酸素含有反応剤の流量を設定するための命令および追加のレシピ段階の時間遅延命令を含み得る。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内で、任意の適切な方法でさらに細分化および/または反復されてもよいことが理解されよう。
【0083】
さらに、いくつかの実施形態では、プロセスステーション700の圧力制御は、バタフライ弁718によって提供されてもよい。図7の実施形態に示すように、バタフライ弁718は、下流の真空ポンプ(図7には図示せず)によって提供される真空を絞る。しかし、いくつかの実施形態では、プロセスステーション700の圧力制御は、プロセスステーション700に導入される1つまたは複数のガスの流量を変化させることによって調整することもできる。
【0084】
上述のように、マルチステーション処理ツールには1つ以上のプロセスステーションが含まれ得る。図8は、インバウンドロードロック802およびアウトバウンドロードロック804備え、これらのいずれかまたは両方がリモートプラズマ源(図8には図示せず)を含み得るマルチステーション処理ツール800の一実施形態の概略図を示す。ロボット806は、大気圧において、ポッド808を通してロードされたカセットから、大気圧ポート810を介してインバウンドロードロック802にウエハを移動させるように構成される。ウエハ(図8には図示せず)は、ロボット806によって、インバウンドロードロック802の台座812上に載置され、大気圧ポート810が閉じられ、インバウンドロードロック802がポンプダウンされる。インバウンドロードロック802がリモートプラズマ源を含む場合、ウエハは、処理チャンバ814に導入される前にインバウンドロードロック802においてリモートプラズマ処理を受けてもよい。さらに、ウエハはまた、例えば、水分および吸着したガスを除去するためにインバウンドロードロック802においても加熱されてよい。次に、処理チャンバ814へのチャンバ搬送ポート816が開かれ、別のロボット(図示せず)が、ウエハをリアクタ内に移動させ、リアクタ内に示す第1のステーションの台座上に処理のために載置する。なお、図8に図示される実施形態はロードロックを含んでいるが、いくつかの実施形態では、プロセスステーションにウエハを直接進入させてもよいことが理解されよう。
【0085】
図示の処理チャンバ814は、図8に示す実施形態において1から4まで番号が付けられた4つのプロセスステーションを含む。各ステーションは、加熱台座(ステーション1に対して818で示す)と、ガスライン入口とを有する。いくつかの実施形態では、各プロセスステーションは、異なる目的または複数の目的を有し得ることが理解されよう。例えば、いくつかの実施形態では、プロセスステーションは、ALCプロセスモード、ALDプロセスモード、およびプラズマ強化ALDプロセスモードの間で切り替え可能であり得る。いくつかの実施形態では、堆積前駆体への曝露ならびに第2の反応剤およびプラズマへの曝露は、同じステーションで実行される。これに加えて、またはこれに代えて、いくつかの実施形態では、処理チャンバ814は、ALDプロセスステーションとプラズマ強化ALDプロセスステーションの対応するペアを1つまたは複数含み得る。図示の処理チャンバ814は4つのステーションを含むが、本開示による処理チャンバは、任意の適切な数のステーションを有してもよいことが理解されよう。例えば、いくつかの実施形態では、処理チャンバは、5つ以上のステーションを有してもよく、他の実施形態では、処理チャンバは、3つ以下のステーションを有してもよい。
【0086】
図8は、処理チャンバ814内でウエハを搬送するためのウエハハンドリングシステム890の一実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、ウエハハンドリングシステム890は、様々なプロセスステーション間および/またはプロセスステーションとロードロックとの間でウエハを搬送し得る。任意の適切なウエハハンドリングシステムが用いられてもよいことが理解されよう。非限定的な例として、ウエハカルーセルおよびウエハハンドリングロボットが挙げられる。図8はまた、プロセスツール800のプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために用いられるシステムコントローラ850の一実施形態を図示する。システムコントローラ850は、1つまたは複数のメモリデバイス856と、1つまたは複数の大容量記憶デバイス854と、1つまたは複数のプロセッサ852とを含むことができる。プロセッサ852は、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッピングモータコントローラボードなどを含み得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850は、プロセスツール800の活動の全てを制御する。システムコントローラ850は、大容量記憶デバイス854に記憶され、メモリデバイス856にロードされ、プロセッサ852で実施されるシステム制御ソフトウェア858を実行する。あるいは、制御論理がコントローラ850においてハードコード化されてもよい。これらの目的のために、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理デバイス(例えば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、FPGA)などを使用することができる。以下の説明では、「ソフトウェア」または「コード」が使用されている場合は常に、機能的に同等のハードコード化された論理を代わりに使用することができる。システム制御ソフトウェア858は、タイミング、ガスの混合、ガス流量、チャンバ圧力および/またはステーション圧力、チャンバ温度および/またはステーション温度、ウエハ温度、ターゲット電力レベル、RF電力レベル、基板台座、チャック位置および/またはサセプタ位置、ならびにプロセスツール800によって実施される特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令を含み得る。システム制御ソフトウェア858は、任意の適切な方法で構成され得る。例えば、様々なプロセスツール構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトは、様々なプロセスツールプロセスを実施するために使用されるプロセスツール構成要素の動作を制御するために書かれてもよい。システム制御ソフトウェア858は、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化され得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、システム制御ソフトウェア858は、上述の様々なパラメータを制御するための入力/出力制御(IOC)シーケンス命令を含み得る。いくつかの実施形態では、システムコントローラ850に関連する大容量記憶デバイス854および/またはメモリデバイス856に記憶された他のコンピュータソフトウェアおよび/またはプログラムが用いられてもよい。この目的のためのプログラムの例またはプログラムのセクションの例は、基板位置決めプログラム、プロセスガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、およびプラズマ制御プログラムを含む。
【0089】
基板位置決めプログラムは、基板を台座818上にロードし、基板とプロセスツール800の他の部分との間隔を制御するために使用されるプロセスツール構成要素のプログラムコードを含み得る。
【0090】
プロセスガス制御プログラムは、プロセスステーションの圧力を安定化するために、ガス組成(例えば、本明細書で説明されるケイ素含有ガス、酸素含有ガス、およびパージガス)と流量を制御するためのコード、および任意で堆積前にガスを1つまたは複数のプロセスステーションに流すためのコードを含み得る。圧力制御プログラムは、例えば、プロセスステーションの排気システムのスロットル弁、プロセスステーションへのガス流などを調節することによってプロセスステーションの圧力を制御するためのコードを含み得る。
【0091】
ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含み得る。あるいは、ヒータ制御プログラムは、基板への熱伝達ガス(ヘリウムなど)の供給を制御することができる。
【0092】
プラズマ制御プログラムは、本明細書の実施形態に従って1つまたは複数のプロセスステーションのプロセス電極に供給されるRF電力レベルを設定するためのコードを含み得る。
【0093】
圧力制御プログラムは、本明細書の実施形態に従って反応チャンバの圧力を維持するためのコードを含み得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850に関連するユーザインターフェースが存在してもよい。ユーザインターフェースは、ディスプレイ画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、ならびにポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザ入力デバイスを含み得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850によって調整されたパラメータは、プロセス条件に関係するものであってもよい。非限定的な例として、プロセスガス組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(RFバイアス電力レベルなど)などが挙げられる。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供されてもよく、ユーザインターフェースを利用して入力することができる。
【0096】
プロセスを監視するための信号は、様々なプロセスツールセンサからシステムコントローラ850のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてもよい。プロセスを制御するための信号は、プロセスツール800のアナログおよびデジタル出力接続で出力することができる。監視することができるプロセスツールセンサの非限定的な例は、マスフローコントローラ、圧力センサ(圧力計など)、熱電対などを含む。適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムをこれらのセンサからのデータと共に使用して、プロセス条件を維持することができる。
【0097】
システムコントローラ850は、上述の堆積プロセスを実行するためのプログラム命令を提供することができる。プログラム命令は、DC電力レベル、RFバイアス電力レベル、圧力、温度など、種々のプロセスパラメータを制御することができる。命令は、本明細書で説明される様々な実施形態に従って、積層膜のin-situ堆積を実施するようにパラメータを制御し得る。
【0098】
システムコントローラ850は、通常、開示の実施形態による方法を装置が実施するように、命令を実施するように構成された1つまたは複数のメモリデバイスおよび1つまたは複数のプロセッサを含む。開示の実施形態に従ってプロセス工程を制御するための命令を含む機械可読媒体は、システムコントローラ850に結合されてもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ850は、上述した例の一部であり得るシステムの一部である。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステム動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。システムコントローラ850は、処理条件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ツールに対するウエハの搬入および搬出、特定のシステムに接続または連動する他の搬送ツールおよび/またはロードロックに対するウエハの搬入および搬出が含まれる。
【0100】
広義には、システムコントローラ850は、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器を指す。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でシステムコントローラ850に通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0101】
システムコントローラ850は、いくつかの実施態様では、システムと統合または結合されるか、その他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であってもよく、またはそのようなコンピュータに結合されてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、システムコントローラ850は、「クラウド」内にあってもよいし、ファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作工程の現在の進捗状況を監視し、過去の製作工程の履歴を検討し、複数の製作工程から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供することができる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、システムコントローラ850は命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実施される各処理ステップのためのパラメータを特定するものである。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびシステムコントローラ850が連動または制御するように構成されるツールのタイプに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、システムコントローラ850は、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明されるプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを含むことによって分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられるであろう。
【0102】
限定はしないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、ALDチャンバまたはモジュール、原子層洗浄(ALC)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか使用されてもよい任意の他の半導体処理システムを含んでもよい。
【0103】
上述のように、ツールによって実施される1つまたは複数のプロセスステップに応じて、システムコントローラ850は、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場においてツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
【0104】
本明細書に開示される方法を実施するための適切な装置は、2011年4月11日に出願された名称を「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL FILM DEPOSITION」とする米国特許出願第13/084,399号(現在は米国特許第8,728,956号)、および、2011年4月11日に出願された名称を「SILICON NITRIDE FILMS AND METHODS」とする米国特許出願第13/084,305号、にさらに説明および記載されており、各々の出願の全体が本明細書に組み込まれる。
【0105】
本明細書で説明される装置/プロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽光パネルなどの製作または製造のために、リソグラフィパターニングツールまたはプロセスと併せて使用されてもよい。一般的には、必須ではないが、そのようなツール/プロセスは、共通の製作施設で共に使用または実施される。膜のリソグラフィパターニングは、一般的には、以下の操作のいくつかまたは全てを含み、各操作が使用可能な多くのツールを用いて可能にされる:(1)スピンオンツールまたはスプレーオンツールを使用して、ワークピース(すなわち、基板)にフォトレジストを塗布する操作、(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを使用してフォトレジストを硬化する操作、(3)ウエハステッパなどのツールを用いて可視光またはUV光またはX線光でフォトレジストを露光する操作、(4)ウェットベンチなどのツールを使用して、レジストを現像してレジストを選択的に除去し、それによってレジストをパターニングする操作、(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを使用することによって、下層の膜またはワークピースにレジストパターンを転写する操作、および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを使用してレジストを除去する操作。
【0106】
(結論)
前述の実施形態は、明確な理解のために多少詳しく説明されてきたが、一定の変更および修正が添付の特許請求の範囲の範囲内で実施されてもよいことは明らかであろう。本実施形態のプロセス、システム、および装置の実施には多くの別の方法があることに注意されたい。したがって、本実施形態は、限定ではなく例示と見なされるべきであり、それらの実施形態は本明細書に述べられる詳細に限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8