(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】超音波洗浄装置および洗浄具のクリーニング装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
H01L21/304 643D
H01L21/304 643A
H01L21/304 644C
H01L21/304 622Q
(21)【出願番号】P 2021145685
(22)【出願日】2021-09-07
(62)【分割の表示】P 2016043969の分割
【原出願日】2016-03-08
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】230129621
【氏名又は名称】井深 大
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】石橋 知淳
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-004072(JP,A)
【文献】特開2007-173277(JP,A)
【文献】特開2002-280348(JP,A)
【文献】特開2015-065355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液に超音波振動を与える振動部と、
超音波洗浄液を基板に供給して洗浄する供給管と、
前記供給管を基板面に対向させながら前記基板の中心付近と前記基板の外側の退避位置の間を揺動可能に保持する保持部と、を備え、
前記供給管は、前記振動部から延びた第1延在部と、その先端から下方に延びた第2延在部と、前記第2延在部の先端にある供給口と、を有し、
前記超音波洗浄液の少なくとも一部を前記基板のエッジに
供給して前記基板のベベルまたはエッジ領域が洗浄されるように構成された、超音波洗浄装置。
【請求項2】
前記基板の回転数を変更しながら洗浄する場合に、前記超音波洗浄液を前記基板の外周領域に供給する際の前記基板の回転数が、前記超音波洗浄液を前記外周領域以外の領域に供給する際の前記基板の回転数よりも少なくなるように、前記保持部の揺動位置を制御し得るように構成された制御部をさらに備えた、請求項1に記載の超音波洗浄装置。
【請求項3】
前記供給口から前記基板に前記超音波洗浄液を供給して前記基板を非接触洗浄する、請求項
1又は2に記載の超音波洗浄装置。
【請求項4】
前記第1延在部と前記第2延在部とがなす角は鋭角である、請求項
1乃至3のいずれかに記載の超音波洗浄装置。
【請求項5】
前記供給管からの前記超音波洗浄液を噴射角度が調整可能とされた、請求項1乃至4のいずれかに記載の超音波洗浄装置。
【請求項6】
前記供給管からの前記超音波洗浄液の吐出速度が変更可能とされた、請求項1乃至5のいずれかに記載の超音波洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を洗浄する基板洗浄装置および基板洗浄方法、基板洗浄装置を備える基板処理装置、ならびに、基板を乾燥させる基板乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なCMP(Chemical Mechanical Polishing)装置は、基板を研磨し、洗浄し、
乾燥させるものである。すなわち、CMP装置は、基板研磨装置、基板洗浄装置および基板乾燥装置から構成される。
【0003】
基板洗浄装置としては、例えばペン型洗浄具あるいはロール型洗浄具を用いて接触洗浄を行うもの(特許文献1)、2流体噴流により非接触洗浄を行うもの(特許文献2)、オゾン水を用いて洗浄を行うもの(特許文献3)などが知られている。基板乾燥装置としては、例えばIPA乾燥を行うもの(特許文献4)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-65379号公報
【文献】特開2015-103647号公報
【文献】特開2014-117628号公報
【文献】特開2014-204427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した基板洗浄装置は、微小なパーティクルを除去できないことがある。また、基板洗浄装置自身が汚染され、そのまま洗浄を行うと却って基板が汚染されることもある。よって、このような基板洗浄装置は必ずしも十分な性能を持っているとは言えない。また、上述した基板乾燥装置も、やはり基板乾燥装置自身が汚染されることがあり、必ずしも十分な性能を持っているとは言えない。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、より高性能な基板洗浄装置および基板乾燥装置および基板処理装置を提供すること、また、そのような基板洗浄装置を用いた基板洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、基板を保持して回転させる基板保持回転機構と、洗浄具を前記基板に接触させて前記基板を洗浄する、または、2流体噴流により前記基板を洗浄する、または、オゾン水を用いて前記基板を洗浄する第1洗浄機構と、超音波洗浄液を用いて前記基板を洗浄する第2洗浄機構と、を備える基板洗浄装置が提供される。
基板洗浄装置が第1および第2洗浄機構を備えるため、両者を併用することで洗浄力が向上し、かつ、第2洗浄機構が基板洗浄装置自身を洗浄することもできる。
【0008】
前記第1洗浄機構が前記基板を洗浄しつつ、前記第2洗浄機構が前記基板を洗浄してもよい。
第1および第2洗浄機構が同時に洗浄を行うことで、洗浄力が向上する。
【0009】
前記第1洗浄機構が前記基板を洗浄し、その後、前記第2洗浄機構が前記基板を洗浄してもよい。
第1洗浄機構が除去できなかったパーティクルがある場合でも、第2洗浄機構が仕上げ洗浄を行うことでパーティクルを除去できることもあり、洗浄力が向上する。
【0010】
前記第2洗浄機構が第1周波数の前記超音波洗浄液を用いて前記基板を洗浄し、その後、前記第1洗浄機構が前記基板を洗浄し、その後、前記第2洗浄機構が、前記第1周波数より高い第2周波数の前記超音波洗浄液を用いて前記基板を洗浄してもよい。
低周波の超音波洗浄液を用いて大きなパーティクルを予め除去しておくことで、第2洗浄機構における洗浄具が長寿命化する。そして、高周波の超音波洗浄液を用いて小さなパーティクルを除去できる。
【0011】
前記第1洗浄機構は、薬液を用いて前記基板を接触洗浄し、その後、前記第2洗浄機構は、純水に超音波振動を与えた前記超音波洗浄液を用いて前記基板を洗浄してもよい。
これにより、第2洗浄機構が洗浄を行いつつ濯ぎを行うこともできる。
【0012】
前記第2洗浄機構は、前記基板のエッジに前記超音波洗浄液を供給してもよい。
これにより、第1洗浄機構が基板のエッジを洗浄できない場合でも、第2洗浄機構が基板のエッジを洗浄できる。
【0013】
前記第2洗浄機構は、前記基板のエッジに前記超音波洗浄液の一部が滴下し、他の一部が前記基板の外側に滴下するよう、前記超音波洗浄液を供給してもよい。
これにより、基板のベベルも洗浄できる。
【0014】
前記第2洗浄機構が前記基板のエッジに前記超音波洗浄液を供給する際、前記第2洗浄機構が前記基板の内側に前記超音波洗浄液を供給する場合と比べて、前記基板保持回転機構は前記基板を低速で回転させてもよい。
【0015】
前記基板保持回転機構は、前記基板の一部を保持する保持部材を有し、前記第1洗浄機構は、前記洗浄具を前記基板に接触させて前記基板を洗浄し、前記第2洗浄機構は、前記保持部材の存在により前記洗浄具が洗浄できない領域に前記超音波洗浄液を供給してもよい。
これにより、第1洗浄機構が洗浄できない基板上の箇所を、第2洗浄機構が洗浄できる。
【0016】
前記基板保持回転機構は、前記基板の一部を保持する保持部材を有し、前記第2洗浄機構は、前記保持部材に前記超音波洗浄液を供給してもよい。
これにより、基板のみならず基板洗浄装置の保持部材も洗浄できる。
【0017】
前記基板保持回転機構、前記第1洗浄機構および前記第2洗浄機構は、筐体内にあり、前記第2洗浄機構は、前記筐体に前記超音波洗浄液を供給してもよい。
これにより、基板のみならず基板洗浄装置の筐体も洗浄できる。
【0018】
前記基板保持回転機構の外側に設けられたカップを備え、前記第2洗浄機構は、前記カップに前記超音波洗浄液を供給してもよい。
これにより、基板のみならず基板洗浄装置のカップも洗浄できる。
【0019】
前記第1洗浄機構は、前記洗浄具を前記基板に接触させて前記基板を洗浄し、前記第2洗浄機構は、前記洗浄具に前記超音波洗浄液を供給してもよい。
これにより、基板のみならず基板洗浄装置の洗浄具も洗浄できる。
【0020】
本発明の別の態様によれば、基板を研磨する基板研磨装置と、上記基板洗浄装置と、を
備える基板処理装置が提供される。
【0021】
本発明のまた別の態様によれば、洗浄具を前記基板に接触させて前記基板を洗浄する、または、2流体噴流により前記基板を洗浄する、または、オゾン水を用いて前記基板を洗浄する第1洗浄機構と、超音波洗浄液を用いて前記基板を洗浄する第2洗浄機構と、を備えた基板洗浄装置を用いて前記基板を洗浄する方法であって、前記第1洗浄機構が前記基板を洗浄しつつ、前記第2洗浄機構が前記基板を洗浄する、基板洗浄方法が提供される。
第1および第2洗浄機構が同時に洗浄を行うことで、洗浄力が向上する。
【0022】
本発明のまた別の態様によれば、洗浄具を前記基板に接触させて前記基板を洗浄する、または、2流体噴流により前記基板を洗浄する、または、オゾン水を用いて前記基板を洗浄する第1洗浄機構と、超音波洗浄液を用いて前記基板を洗浄する第2洗浄機構と、を備えた基板洗浄装置を用いて前記基板を洗浄する方法であって、前記第1洗浄機構が前記基板を洗浄し、その後、前記第2洗浄機構が前記基板を洗浄する、基板洗浄方法が提供される。
第1洗浄機構が除去できなかったパーティクルがある場合でも、第2洗浄機構が仕上げ洗浄を行うことでパーティクルを除去できることもあり、洗浄力が向上する。
【0023】
本発明のまた別の態様によれば、洗浄具を前記基板に接触させて前記基板を洗浄する、または、2流体噴流により前記基板を洗浄する、または、オゾン水を用いて前記基板を洗浄する第1洗浄機構と、超音波洗浄液を用いて前記基板を洗浄する第2洗浄機構と、を備えた基板洗浄装置を用いて前記基板を洗浄する方法であって、前記第2洗浄機構が第1周波数の前記超音波洗浄液を用いて前記基板を洗浄し、その後、前記第1洗浄機構が前記基板を洗浄し、その後、前記第2洗浄機構が、前記第1周波数より高い第2周波数の前記超音波洗浄液を用いて前記基板を洗浄する、基板洗浄方法が提供される。
低周波の超音波洗浄液を用いて大きなパーティクルを予め除去しておくことで、第2洗浄機構における洗浄具が長寿命化する。そして、高周波の超音波洗浄液を用いて小さなパーティクルを除去できる。
【0024】
本発明のまた別の態様によれば、基板を保持して回転させる基板保持回転機構と、前記基板を乾燥させる乾燥機構と、超音波洗浄液を用いて前記基板を洗浄する超音波洗浄機構と、を備えた基板乾燥装置が提供される。
基板乾燥装置が超音波洗浄機構を備えるため、基板乾燥装置自身を洗浄することもできる。
【発明の効果】
【0025】
超音波洗浄機構を備えることで、高性能な基板洗浄装置および基板乾燥装置および基板処理装置が提供される。また、そのような基板洗浄装置を用いた基板洗浄方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態に係る基板処理装置の概略上面図。
【
図2】第1の実施形態に係る基板洗浄装置4の平面図。
【
図3】第1の実施形態に係る基板洗浄装置4の側面図。
【
図5】チャック爪411が基板Wを保持する様子を示す上面図。
【
図6A】基板Wのベベルを洗浄する様子を示す上面図。
【
図6B】基板Wのベベルを洗浄する様子を示す側面図。
【
図7】チャック爪411を洗浄する様子を示す上面図。
【
図8】クリーニング装置426の概略構成を示す図。
【
図9】第2の実施形態に係る基板洗浄装置4’の平面図。
【
図10】第2の実施形態に係る基板洗浄装置4’の側面図。
【
図11】2流体ノズル452を模式的に示す断面図。
【
図12】第3の実施形態に係る基板洗浄装置4’’の平面図。
【
図13】第4の実施形態に係る基板乾燥装置5の平面図。
【
図14】第4の実施形態に係る基板乾燥装置5の斜視図。
【
図15】第5の実施形態に係る基板洗浄装置4’’’の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
図1は、一実施形態に係る基板処理装置の概略上面図である。本基板処理装置は、直径300mmあるいは450mmの半導体ウエハ、フラットパネル、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などのイメージセンサ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)における磁性膜の製造工程
において、種々の基板を処理するものである。
【0029】
基板処理装置は、略矩形状のハウジング1と、多数の基板をストックする基板カセットが載置されるロードポート2と、1または複数(
図1に示す態様では4つ)の基板研磨装置3と、1または複数(
図1に示す態様では2つ)の基板洗浄装置4と、基板乾燥装置5と、搬送機構6a~6dと、制御部7とを備えている。
【0030】
ロードポート2は、ハウジング1に隣接して配置されている。ロードポート2には、オープンカセット、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、又はFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIFポッド、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。基板としては、例えば半導体ウエハ等を挙げることができる。
【0031】
基板を研磨する基板研磨装置3、研磨後の基板を洗浄する基板洗浄装置4、洗浄後の基板を乾燥させる基板乾燥装置5は、ハウジング1内に収容されている。基板研磨装置3は、基板処理装置の長手方向に沿って配列され、基板洗浄装置4および基板乾燥装置5も基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。
【0032】
本実施形態では、基板洗浄装置4が、ペン型洗浄具を用いた接触洗浄と超音波洗浄水を用いた非接触洗浄とを行う。詳細は後述するが、ペン型洗浄具を用いた接触洗浄とは、洗浄液の存在下で、鉛直方向に延びる円柱状のペンシル型洗浄具の下端接触面を基板に接触させ、洗浄具を自転させながら一方向に向けて移動させて、基板の表面をスクラブ洗浄するものである。
【0033】
基板乾燥装置5は、水平に回転する基板に向けて、移動する噴射ノズルからIPA蒸気を噴出して基板を乾燥させ、さらに基板を高速で回転させて遠心力によって基板を乾燥させるスピン乾燥ユニットが使用され得る。
【0034】
ロードポート2、ロードポート2側に位置する基板研磨装置3および基板乾燥装置5に囲まれた領域には、搬送機構6aが配置されている。また、基板研磨装置3ならびに基板洗浄装置4および基板乾燥装置5と平行に、搬送機構6bが配置されている。搬送機構6aは、研磨前の基板をロードポート2から受け取って搬送機構6bに受け渡したり、基板乾燥装置5から取り出された乾燥後の基板を搬送機構6bから受け取ったりする。
【0035】
2つの基板洗浄装置4間に、これら基板洗浄装置4間で基板の受け渡しを行う搬送機構6cが配置され、基板洗浄装置4と基板乾燥装置5との間に、これら基板洗浄装置4と基板乾燥装置5間で基板の受け渡しを行う搬送機構6cが配置されている。
【0036】
さらに、ハウジング1の内部には、基板処理装置の各機器の動きを制御する制御部7が配置されている。本実施形態では、ハウジング1の内部に制御部7が配置されている態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、ハウジング1の外部に制御部7が配置されてもよい。
【0037】
図2および
図3は、それぞれ第1の実施形態に係る基板洗浄装置4の平面図および側面図である。基板洗浄装置4は、基板保持回転機構41と、ペン洗浄機構42と、超音波洗浄機構43とを備え、これらがシャッタ44aを有する筐体44内に収納されている。また、基板洗浄装置4内の各部は
図1の制御部7により制御される。
基板保持回転機構41は、チャック爪411と、回転駆動軸412とを有する。
【0038】
チャック爪411は、洗浄対象である基板Wの外周端部(エッジ部分)を把持して基板Wを保持するように設けられた保持部材である。本実施形態では、チャック爪411が4つ設けられており、隣り合うチャック爪411同士の間には、基板Wを搬送するロボットハンド(不図示)の動きを阻害しない間隔が設けられている。チャック爪411は、基板Wの面を水平にして保持できるように、それぞれ回転駆動軸412に接続されている。本実施形態では、基板Wの表面WAが上向きとなるように、基板Wがチャック爪411に保持される。
【0039】
回転駆動軸412は、基板Wの面に対して垂直に延びる軸線まわりに回転することができ、回転駆動軸412の軸線まわりの回転により基板Wを水平面内で回転させることができるように構成されている。回転駆動軸412の回転方向や回転数は制御部7が制御する。回転数は一定でもよいし、可変でもよい。
【0040】
また、後述する洗浄液や超音波洗浄液が飛散するのを防止するために、基板保持回転機構41(より具体的には、そのチャック爪411)の外側にあって基板Wの周囲を覆い、回転駆動軸412と同期して回転する回転カップを設けてもよい(後述する)。
【0041】
ペン洗浄機構42は、ペン型洗浄具421と、ペン型洗浄具421を支持するアーム422と、アーム422を移動させる移動機構423と、洗浄液ノズル424と、リンス液ノズル425と、クリーニング装置426とを有する。
【0042】
ペン型洗浄具421は、例えば円柱状のPVA(例えばスポンジ)製洗浄具であり、チャック爪411に保持された基板Wの上方に、軸線が基板Wと垂直になるように配設されている。ペン型洗浄具421は、その下面が基板Wを洗浄し、その上面がアーム422に支持されている。
【0043】
アーム422は平棒状の部材であり、典型的には長手方向が基板Wと平行になるように配設されている。アーム422は、一端でペン型洗浄具421をその軸線まわりに回転可能に支持しており、他端に移動機構423が接続されている。
【0044】
移動機構423は、アーム422を鉛直上下に移動させるとともに、アーム422を水平面内で揺動させる。移動機構423によるアーム422の水平方向への揺動は、アーム422の上記他端を中心として、ペン型洗浄具421の軌跡が円弧を描く態様となっている。移動機構423は、矢印Aで示すように、基板Wの中心と基板Wの外側の退避位置と
の間でペン型洗浄具421を揺動させることができる。移動機構423は制御部7によって制御される。
【0045】
洗浄液ノズル424は、ペン型洗浄具421で基板Wを洗浄する際に、薬液や純水などの洗浄液を供給する。リンス液ノズル425は純水などのリンス液を基板Wに供給する。洗浄液ノズル424およびリンス液ノズル425は、基板Wの表面WA用のもののみならず、裏面WB用のものを設けるのが望ましい。洗浄液やリンス液の供給タイミングや供給量などは、制御部7によって制御される。
【0046】
クリーニング装置426は基板Wの配置位置より外側に配置され、移動機構423はペン型洗浄具421をクリーニング装置426上に移動させることができる。クリーニング装置426はペン型洗浄具421を洗浄する。
【0047】
以上説明したペン洗浄機構42において、基板Wが回転した状態で、洗浄液ノズル424から洗浄液を基板W上に供給しつつ、ペン型洗浄具421の下面が基板Wの表面WAに接触してアーム422を揺動させることで、基板Wが物理的に接触洗浄される。
超音波洗浄機構43は、基板Wを挟んで、ペン洗浄機構42とは反対側に配置される。
【0048】
図4は、超音波洗浄機構43の側面図である。超音波洗浄機構43は、洗浄液供給部431と、振動部432と、供給管433と、保持部434と、揺動軸435と、液滴案内部436とを有する。超音波洗浄機構43は超音波が与えられた洗浄液(以下、超音波洗浄液ともいう)を用いて基板を非接触洗浄するものである。
【0049】
洗浄液供給部431は純水などの洗浄液を供給する。振動部432は洗浄液供給部431からの洗浄液に超音波振動を与える。与える超音波振動の周波数は、一定の周波数であってもよいし、複数の周波数(例えば900kHz程度の高周波と、430kHz程度の低周波)から選択できてもよい。一般的に、与える超音波の周波数が高いほど微小なパーティクルを除去するのに適しており、逆に周波数が低いほど大きなパーティクルを除去するのに適している。
【0050】
供給管433は、超音波洗浄液を案内して、先端の供給口433aから基板Wに供給する。超音波洗浄液が基板W上にスポット的に供給されることで基板Wが非接触洗浄される。保持部434は振動部432および供給管433の基端部側を保持する。揺動軸435は保持部434の底から下方に延びており、保持部434を揺動させることで、
図2の矢印Bに示すように、供給管433の供給口433aは基板Wの中心と基板Wの外側の退避位置との間で揺動する。
【0051】
洗浄液供給部431が洗浄液の供給を行うタイミングや供給量、振動部432が超音波振動を与えるタイミングや超音波の周波数、揺動軸435が供給管433を揺動させるタイミングや速度は、制御部7によって駆動制御される。
【0052】
供給管433について詳しく説明する。供給管433の材料としては、石英、ステンレスなどを用いることができる。とりわけ、石英は超音波振動を減衰させにくいため、好適である。
【0053】
供給管433は、振動部432側から延びた第1延在部433bと、その先端から下方(例えば鉛直下方)に延びた第2延在部433cとから構成され、第2延在部433cの先端に供給口433aが設けられてもよい。ここで、第1延在部433bは水平方向に延びていてもよいが、傾斜していて振動部432側ほど低く第2延在部433c側ほど高くなっているのが望ましい。言い換えると、第1延在部433bと第2延在部433cとが
なす角は鋭角であるのが望ましい。これにより、供給口433aから供給管433内に酸素などが入り込むのを抑えることができ、酸素が洗浄液に溶存することに起因する洗浄力低下を防止できる。
【0054】
また、第1延在部433bを傾斜させることで、第1延在部433bの下部に付着した液滴は振動部432側に流れ、基板Wや他の部材上に液滴が垂れることを防止できる。また、第1延在部433bに沿って延びた液滴案内部436を設けることで、第1延在部433bの下部に付着した液滴が垂れたとしても、この液滴は液滴案内部436を伝って振動部432側に案内され、基板Wや他の部材上に液滴が垂れることを防止できる。
【0055】
さらに、保持部434は、第1延在部433bを、その長手方向の軸を中心として回転可能に保持してもよい。これにより、基板に対する供給口433aの角度を調整できる。例えば、基板W上に超音波洗浄液を貯めたい場合には、基板Wの回転方向と逆側に向かって超音波洗浄液を供給するような角度で保持部434が供給管433を保持すればよい。他方、抵抗を加えることなく基板W上に超音波洗浄液を供給したい場合には、基板Wの回転方向に沿って超音波洗浄液を供給するような角度で保持部434が供給管433を保持すればよい。
【0056】
なお、保持部434によって供給管433を保持する角度は、手動で変更されてもよいし、制御部7からの信号を受けて自動で変更されてもよい。制御部7からの信号を受けて自動で変更される場合には、供給管433の保持される角度がレシピに従って順次変更されるようになってもよい。
【0057】
供給管433は、基板洗浄時には基板Wの上方で揺動し、待機時には基板Wが保持される位置の外側で待機する。なお、基板洗浄を開始する前に、待機位置において「先出し」を行うのが望ましい。「先出し」とは、振動部432を動作させることなく供給管433から所定時間洗浄液を排出することである。待機時に洗浄液に酸素が溶存することがあり、このような洗浄液は洗浄力が劣る。そのため、予めそのような洗浄液を排出した後に、供給管433を基板Wの上方に移動させ、振動部432が洗浄液に超音波振動を与えて超音波洗浄液を供給することで、効率よく洗浄を行うことができる。
【0058】
なお、本実施形態では、
図1に示す基板処理装置において、基板洗浄装置4が基板Wの表面を洗浄する前に、基板研磨装置3が基板Wの表面を研磨することを主に想定している。そのため、基板洗浄時にはある程度基板Wの表面が平坦化されており、パターン配線などのアスペクト比(パターンの線幅に対する高さの比率)がそれほど大きくない。そのため、超音波洗浄を行ってもパターン配線が倒壊することは考えにくい。
【0059】
本実施形態では、基板洗浄装置4がペン洗浄機構42および超音波洗浄機構43の両方を備える。そのため、以下のような動作が可能である。
【0060】
まず、接触洗浄と非接触洗浄との併用が可能となる。ペン洗浄機構42による接触洗浄と、超音波洗浄機構43による非接触洗浄とを同時に行ってもよい。ペン型洗浄具421による接触洗浄だけでは基板Wの微小なパーティクルを除去できないこともあるが、供給口433aから超音波洗浄液を供給することでパーティクルに振動が伝達され、ペン型洗浄具421によるパーティクル除去をアシストできる。例えば、超音波洗浄液が基板W上のある位置に供給されることでパーティクルが浮き上がり、この位置をペン型洗浄具421が摺動することでパーティクルが除去されることもある。
【0061】
また、接触洗浄と非接触洗浄とを順次に行ってもよい。一例として、まず洗浄液ノズル424からの洗浄液を用いた接触洗浄を行う。これにより、大きなパーティクルを除去で
きる。引き続いて、洗浄液ノズル424からの洗浄液供給を止め、仕上げ洗浄として超音波洗浄液を用いた非接触洗浄を行う。これにより、微小なパーティクルを除去できる。
【0062】
ペン型洗浄具421を用いた接触洗浄により、ペン型洗浄具421やスラリー(ナノシリカなど)に由来する微小な(100nm未満の)パーティクルが発生することもある。そのような場合でも、接触洗浄に引き続いて非接触洗浄を行うことで、微小なパーティクルも確実に除去できる。
【0063】
また別の例として、まず、低周波(例えば430kHz)の超音波洗浄液を用いた非接触洗浄を行い、大きなパーティクルをできる限り除去する。続いて、超音波洗浄液の供給を止め、洗浄液ノズル424からの洗浄液を用いて接触洗浄を行う。大きなパーティクルが除去された状態で接触洗浄を行うため、ペン型洗浄具421が長寿命化する。その後、高周波(例えば900kHz)の超音波洗浄液を用いて非接触洗浄を行い、微小なパーティクルを除去する。
【0064】
また、超音波洗浄液による非接触洗浄を濯ぎに適用することもできる。ペン洗浄機構42は洗浄液として薬液を用いた接触洗浄を行うこともある。この場合、次の工程に基板Wを搬送する前に濯ぎが必要となる。本実施形態では、薬液を用いた接触洗浄の後に、純水に超音波を与えた超音波洗浄液を用いた非接触洗浄を行うことで、洗浄を行いつつ濯ぎ処理を行うこともできる。
【0065】
また、超音波洗浄機構43は、供給管433が揺動可能であること(すなわち、洗浄液ノズル424から供給される洗浄液とは異なる位置に、供給管433から超音波洗浄液を供給できること)を利用し、基板を洗浄する際に、ペン型洗浄具421では洗浄が困難な位置を洗浄することもできる。
【0066】
例えば、
図5に上面図を示すように、チャック爪411が基板Wのエッジ部分を把持するため、チャック爪411の存在により、ペン型洗浄具421は基板Wのエッジを洗浄することができない。そこで、図示のように、供給管433の供給口433aが基板Wのエッジ上に位置するよう供給管433を揺動させ、基板Wのエッジ(すなわち、ペン型洗浄具421が洗浄できない領域)に超音波洗浄液を供給する。これにより、基板Wのエッジ以外の部分(ペン型洗浄具421がチャック爪411と干渉しない部分)を接触洗浄し、基板Wのエッジを非接触洗浄できる。
【0067】
また、
図6Aに上面図を、
図6Bに側面図を示すように、供給管433は、超音波洗浄液の一部が基板Wのエッジに滴下し、他の一部が基板Wの外側に滴下するよう、超音波洗浄液を供給してもよい。これにより、基板Wのベベルを洗浄できる。
【0068】
基板Wのエッジやベベルを洗浄する際、言い換えると、超音波洗浄液が基板Wの外周近辺に供給される際には、超音波洗浄液が基板Wの内側に供給される場合に比べて、回転駆動軸412は基板Wを低速で回転させるのが望ましい。なお、基板Wのエッジ、またはベベルとは、たとえば、基板Wの周縁から幅5mm程度の部分をいう。
【0069】
さらに、超音波洗浄機構43は、基板Wのみならず、基板洗浄装置4自身を洗浄してもよい。例えば、
図7に上面図を示すように、超音波洗浄機構43は供給管433からチャック爪411に超音波洗浄液を供給してチャック爪411を洗浄してもよい。また、超音波洗浄機構43は筐体44(特に、その底面)に超音波洗浄液を供給して筐体44を洗浄してもよい。さらに、基板保持回転機構41がチャック爪411の外側に設けられた回転カップを有する場合(具体的な構成は後述する)、超音波洗浄機構43は回転カップ(特に、その内面や底面)に超音波洗浄液を供給して回転カップを洗浄してもよい。また、超
音波洗浄機構43は次のようにペン型洗浄具421に超音波洗浄液を供給してペン型洗浄具421を洗浄してもよい。
【0070】
図8は、クリーニング装置426の概略構成を示す図である。クリーニング装置426は、L字状で、例えば石英のように超音波振動が減衰しにくい素材から構成された導水管4261と、洗浄カップ4262とを有する。ペン型洗浄具421の洗浄時には、供給管433が揺動することで、その供給口433aが導水管4261の上方に移動する。その際、例えば、導水管4261の径の大きさが供給口433aよりも若干大きくされていることで、供給口433aと導水管4261とを互いに連結、または係合させてもよい。そして、供給口433aから超音波洗浄液が導水管4261に供給され、導水管4261は洗浄カップ4262に超音波洗浄液を導く。また、アーム422が揺動および下降することで、ペン型洗浄具421の下部が洗浄カップ4262内に入る。これにより、洗浄カップ4262内において、ペン型洗浄具421が超音波洗浄液で洗浄される。さらに、供給管433の位置、洗浄液を噴射する際の角度が調整可能とされ、超音波洗浄液の吐出速度が変更可能とされているため、筐体44などといった部材を洗浄することも可能である。
【0071】
以上説明したように、第1の実施形態では、基板洗浄装置4がペン洗浄機構42および超音波洗浄機構43の両方を備える。そのため、両者を併用することで洗浄力を向上させることができる。また、基板洗浄の他、チャック爪411、ペン型洗浄具421、筐体44などといった基板洗浄装置4自体の洗浄も可能となる。以上から、より高性能な基板洗浄装置4が実現される。
【0072】
なお、本実施形態ではペン型洗浄具421を用いたペン洗浄機構42を説明したが、ロール型洗浄具を用いて接触洗浄を行うロール洗浄機構を適用してもよい。ロール洗浄装置は、洗浄液の存在下で、基板Wの直径のほぼ全長にわたって直線状に延びるロール洗浄部材を接触させ、基板に平行な中心軸周りに自転させながら基板の表面をスクラブ洗浄するものである。
【0073】
(第2の実施形態)
上述した第1の基板洗浄装置は、洗浄具を用いて接触洗浄を行う洗浄機構と、超音波洗浄を行う超音波洗浄機構43とを備えるものであった。これに対し、次に説明する第2の実施形態では、基板洗浄装置が、2流体噴流洗浄を行う洗浄機構と、超音波洗浄機構とを備えるものである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0074】
図9および
図10は、それぞれ第2の実施形態に係る基板洗浄装置4’の平面図および側面図である。基板洗浄装置4’は、
図2および
図3のペン洗浄機構42に代えて、2流体噴流洗浄機構45を備えている。2流体噴流洗浄機構45は、2流体噴流供給ユニット451と、基板Wの上面に2流体噴流を供給する2流体ノズル452と、この2流体ノズル452を保持するノズルアーム453と、ノズルアーム453を揺動および昇降させる移動機構454とを有する。
【0075】
2流体噴流供給ユニット451は、第1気体供給源451aと、第2気体供給源451bと、液体供給源451cとを有する。第1気体供給源451aは第1の気体を2流体ノズル452に供給する。第2気体供給源451bは、第1の気体よりも高圧の第2の気体を2流体ノズル452に供給する。第1の気体と第2の気体は、同じでもよいし、異なっていてもよい。液体供給源451cは純水などの液体を2流体ノズル452に供給する。
【0076】
図11は、2流体ノズル452を模式的に示す断面図である。2流体ノズル452には、中央に第1噴射ノズル452aが形成され、これを囲うように第2噴射ノズル452bが形成されている。第1噴射ノズル452aには、第1気体供給源451aおよび液体供
給源451cからそれぞれ第1気体および液体が供給され、これらが混合されて第1の2流体噴流となる。また、第2噴射ノズル452bには、第2気体供給源451bおよび液体供給源451cからそれぞれ高圧の第2気体および液体が供給され、これらが混合されて第2の2流体噴流となる。
【0077】
図11に示すように、第2の気体の方が高圧であるため、第1の2流体噴流と第2の2流体噴流との間には速度差がある。よって第2の2流体噴流は第1の2流体噴流との接触により集束する。このように第2の2流体噴流が集束するので、基板Wの表面に対する衝撃波の入射角が大きくなり(90度に近づき)、結果として、基板Wの表面に形成されている微小な凹部内に存在するパーティクルに衝撃波が当たり、これらパーティクルを除去できる。
【0078】
図9および
図10に戻り、ノズルアーム453の一端には2流体ノズル452が取り付けられ、他端には移動機構454が接続される。移動機構454は、矢印Aで示すように、基板Wの中心と基板Wの外側の退避位置との間で2流体ノズル452を揺動させることができる。移動機構454は制御部7によって制御される。
【0079】
以上説明した基板洗浄装置4’は、次のようにして基板Wを洗浄する。すなわち、基板保持回転機構41によって基板Wが回転している状態で、2流体ノズル452が基板Wの上方で揺動しながら、基板Wの上面に第1および第2の2流体噴流を供給する。これにより、基板Wの上面は2流体噴流によって洗浄される。特に、パターン配線の段差や表面スクラッチなどの凹部内に存在する100nm以下のサイズの微小パーティクルを除去できる。このように2流体噴流を用いた洗浄を2流体噴流洗浄、あるいは、2流体洗浄、と呼ぶ。
【0080】
本実施形態では、第1の実施形態におけるペン洗浄機構42に代えて、2流体噴流洗浄機構45を備えるが、第1の実施形態と同様に動作することができる。すなわち、2流体噴流洗浄機構45による洗浄と、超音波洗浄機構43による非接触洗浄とを同時または順次に行うことができる。また、純水に超音波振動を与えた超音波洗浄液を用いることで、超音波洗浄機構43が洗浄を行いつつ濯ぎを行うこともできる。さらに、超音波洗浄機構43が、基板Wのエッジやベベルを洗浄してもよいし、チャック爪411、筐体44、カップなどを洗浄してもよい。
【0081】
このように、第2の実施形態では、基板洗浄装置4’が2流体噴流洗浄機構45および超音波洗浄機構43の両方を備える。そのため、両者を併用することで洗浄力を向上させることができる。また、基板洗浄の他、基板洗浄装置4’自体の洗浄も可能となる。
【0082】
(第3の実施形態)
次に説明する第3の実施形態は、基板洗浄装置が、オゾン水洗浄を行うオゾン水洗浄機構と、超音波洗浄機構43とを備えるものである。
【0083】
図12は、第3の実施形態に係る基板洗浄装置4’’の平面図である。基板洗浄装置4’’は、
図9および
図10の2流体噴流洗浄機構45に代えて、オゾン水洗浄機構46を備えている。オゾン水洗浄機構46は、オゾン水供給ユニット461と、基板Wの上面にオゾン水を供給するオゾン水ノズル462と、このオゾン水ノズル462を保持するノズルアーム463と、ノズルアーム463を揺動および昇降させる移動機構464とを有する。オゾン水洗浄機構46は、
図9および
図10の2流体噴流洗浄機構45における2流体噴流供給ユニット451を、オゾン水供給ユニット461で置き換えたものと考えることができる。
【0084】
オゾン水供給ユニット461は、例えば酸素ガスを主原料として放電によりオゾンガスを発生させ、これを水に溶解させたオゾン水をオゾン水ノズル462に供給する。オゾン水供給ユニット461の具体的な構成例としては、上記特許文献4に記載のものを採用可能である。
【0085】
ノズルアーム463の一端にはオゾン水ノズル462が取り付けられ、他端には移動機構464が接続される。移動機構464は、矢印Aで示すように、基板Wの中心と基板Wの外側の退避位置との間でオゾン水ノズル462を揺動させることができる。移動機構464は制御部7によって制御される。
【0086】
基板保持回転機構41によって基板Wが回転している状態で、オゾン水ノズル462が基板Wの上方で揺動しながら、基板Wの上面にオゾン水を供給する。これにより、基板Wの上面はオゾン水によって洗浄される。
【0087】
本実施形態では、第1の実施形態におけるペン洗浄機構42や第2の実施形態における2流体噴流洗浄機構45に代えて、オゾン水洗浄機構46を備えるが、第1および第2の実施形態と同様に動作することができる。すなわち、オゾン水洗浄機構46による洗浄と、超音波洗浄機構43による非接触洗浄とを同時または順次に行うことができる。また、純水に超音波振動を与えた超音波洗浄液を用いることで、超音波洗浄機構43が洗浄を行いつつ濯ぎを行うこともできる。さらに、超音波洗浄機構43が、基板Wのエッジやベベルを洗浄してもよいし、チャック爪411、筐体44、カップなどを洗浄してもよい。
【0088】
このように、第3の実施形態では、基板洗浄装置4’’がオゾン水洗浄機構46および超音波洗浄機構43の両方を備える。そのため、両者を併用することで洗浄力を向上させることができる。また、基板洗浄の他、基板洗浄装置4’’自体の洗浄も可能となる。
【0089】
(第4の実施形態)
上述した第1~第3の実施形態は、基板洗浄装置が超音波洗浄機構を有するものであった。これに対し、次に説明する第4の実施形態は、基板乾燥装置5が超音波洗浄機構を有するものである。以下、第1~3の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0090】
図13および
図14は、それぞれ第4の実施形態に係る基板乾燥装置5の平面図および斜視図である。基板乾燥装置5は、基板洗浄装置4におけるものと同様の基板保持回転機構41と、乾燥機構51と、超音波洗浄機構43とを有する。
【0091】
乾燥機構51は、基板Wにリンス液を供給するリンス液ノズル511と、基板Wに乾燥気体を供給する乾燥気体ノズル512と、リンス液ノズル511および乾燥気体ノズル512を基板Wの面と平行に移動させる移動機構513と有する。
【0092】
移動機構513は、可動アーム513aと、可動軸513bと、駆動源513cとを含んで構成されている。可動アーム513aは、基板Wの半径よりも大きな長さを有する。その先端部分には、リンス液ノズル511及び乾燥気体ノズル512が取り付けられる。可動軸513bは、駆動源513cの動力を可動アーム513aに伝達する棒状の部材であり、その長手方向が可動アーム513aの長手方向に対して直交するようにその一端が可動アーム513aの先端部分とは反対側の端部に接続されており、その他端は駆動源513cに接続されている。駆動源513cは、可動軸513bを軸線まわりに回動させる装置である。可動軸513bは、基板Wの外側で鉛直方向に延びるように設置されている。
【0093】
可動アーム513aは、可動軸513bとの接続端の反対側に取り付けられた乾燥気体
ノズル512から吐出された乾燥気体流が、基板Wの回転中心に衝突することができるように構成されている。移動機構513は、駆動源513cが稼働されると可動軸513bを介して可動アーム513aが回転し、可動アーム513aの回転に従って、その先端部分に設けられたリンス液ノズル511および乾燥気体ノズル512は基板Wの中心から遠ざかって外周に向かう方向に移動するように構成されている。
【0094】
本実施形態では、移動機構513は、基板保持回転機構41によって回転する基板Wに対して、相対的に基板Wの中心から遠ざかるように、リンス液ノズル511を基板Wの上方で移動させるリンス液ノズル移動機構と、基板保持回転機構41によって回転する基板Wに対して、相対的に基板Wの中心から遠ざかるように乾燥気体ノズル512を基板Wの上方で移動させる乾燥気体ノズル移動機構とを兼ねている。
【0095】
リンス液ノズル511は、基板Wの表面WA上の液が液滴の状態から乾燥することに起因するウォーターマーク等の欠陥の発生を回避するために、基板Wの上面を液膜で覆うためのリンス液を、基板Wに液流(リンス液流)の状態で供給するノズル(筒状で先端の細孔から流体を噴出する装置)である。
【0096】
リンス液は、典型的には純水であるが、溶存塩類及び溶存有機物を除去した脱イオン水、炭酸ガス溶解水、(水素水や電解イオン水などの)機能水等を用いてもよい。ウォーターマーク発生の原因となる溶存塩類及び溶存有機物を排除する観点からは脱イオン水を用いるのがよい。また、基板Wの回転によるリンス液の基板W上の移動に伴う静電気の発生が異物を誘引し得るところ、リンス液の導電率を上昇させて帯電を抑制する観点からは炭酸ガス溶解水を用いるのがよい。
【0097】
乾燥気体ノズル512は、基板Wの上面を覆うリンス液の膜に対してIPA(磯プロピルアルコール)を供給するとともに、リンス液の膜を押しのける乾燥気体を、基板Wに気体流(乾燥気体流)の状態で供給するノズルである。乾燥気体は、典型的にはキャリアガスとして機能する窒素やアルゴン等の不活性ガスに対してIPAの蒸気を混合させたものであるが、IPA蒸気そのものであってもよい。
【0098】
リンス液ノズル511からのリンス液供給が継続されつつ、乾燥気体ノズル512からIPAおよび乾燥気体流が供給される。これにより、リンス液が乾燥気体流によって除去されるとともに、IPAがリンス液に溶解してリンス液の表面張力が低下し、マランゴニ力によってリンス液が除去される。以上のようにして、ウォーターマークの発生を抑えつつ、基板Wの表面を乾燥させることができる。このようにIPAを用いて基板Wを乾燥させることをIPA乾燥という。
【0099】
なお、乾燥機構51が基板Wの乾燥を行う際、超音波洗浄機構43の供給管433は、基板W上方ではなく、退避位置に退避している。
【0100】
このように、第4の実施形態では、基板乾燥装置5が乾燥機構51および超音波洗浄機構43の両方を有する。そのため、基板乾燥の他、チャック爪411や筐体44など基板乾燥装置5自体の洗浄も可能となる。本実施形態においても、例えば超音波供給装置43の供給管433の位置、洗浄液を噴射する際の角度が調整可能とされ、また、超音波洗浄液の吐出速度が変更可能とすることができるように構成することで、基板乾燥装置5自体の洗浄もより容易となる。
【0101】
また、基板Wが供給される際に基板W上に微小な粒子が付着したままといった場合では、超音波洗浄機構43を有さない一般的な基板乾燥装置では、こうした微小な粒子を十分に除去できない可能性がある。これに対して、本実施形態の基板乾燥装置5によれば、洗
浄部材が基板Wと物理的に接触することに起因して微細な粒子が発生して逆汚染してしまうといったことを防止して、基板W表面を十分に洗浄しながらリンスして、さらに乾燥までを行う基板乾燥装置5を提供することができる。
【0102】
(第5の実施形態)
次に、以下に第5の実施形態を説明する。上述した第2の実施形態では、基板洗浄装置4’が、2流体噴流洗浄機構45と、超音波洗浄機構43とを備えるものであった。これに対し、次に説明する第5の実施形態は、基板洗浄装置が、基板の周囲に配置されるカバーを更に有するものである。
【0103】
図15は、第5の実施形態に係る基板洗浄装置4’’’の側面図である。
図15に示すように、基板洗浄装置4’’’は、基板Wを保持して回転させる基板保持回転機構41と、基板Wの表面に向けて2流体ジェットを噴出させる2流体ノズル452と、基板Wの周囲に配置されるカバー63と、回転カバー63を回転させるカバー回転機構(不図示)とを備える。カバー回転機構は、例えば、基板Wと同一の回転方向にカバーを回転させるようにされている。
【0104】
基板保持回転機構41は、複数のチャック441と、これらチャックが固定される円形の台座671と、この台座671を支持するステージ672と、このステージ672を支持する中空状の支持軸673と、支持軸673を回転させるモータ602とを有する。この場合、台座671、ステージ672、支持軸673は、同軸上に配置されている。回転カバー63は、ステージ672の端部に固定され、ステージ672と回転カバー63も同軸上に配置されている。また、チャック441に保持された基板Wと回転カバー63は同軸上に位置している。
【0105】
支持軸673の外周面にはモータ602が連結され、モータ602のトルクは支持軸673に伝達され、これによりチャック441に保持された基板Wが回転する。この場合、基板Wと回転カバー63とが一体に回転し、両者の相対速度をゼロとしてもよく、若干の速度差を設けてもよい。また、基板Wと回転カバー63とをそれぞれ別の回転機構により回転させてもよい。なお、基板Wと回転カバー63とを同一の速度で回転させるとは、基板Wと回転カバー63とを同一の方向に同一の角速度で回転させることをいい、互いに逆方向に回転させることを含まない。
また、図に示すように、ステージ672には、複数の排出孔674が形成されている。排出孔674は例えば回転カバー63の周方向に延びる長孔であり、洗浄液は、キャリアガスや周囲の雰囲気のガスとともにこの排出孔674を通して排出される。本実施形態では、排気量が1~3m3/分程度とされている。さらに、回転カバー63の外側には固定
カバー675が設けられており、これは、回転しない構成とされている。このように構成することで、基板W液滴の跳ね返りを抑えることができ、液滴が基板の表面に再付着することを防止できる。
【0106】
本実施形態の二流体ノズル452は、基板Wの回転方向の上流側に向けて二流体ジェットを噴射するように所定角度で配置されてもよい。
基板洗浄装置4’’’は、次のようにして基板Wを洗浄する。すなわち、基板保持回転機構41によって基板Wが回転している状態で、2流体ノズル452が基板Wの上方で揺動しながら、基板Wの上面に第1および第2の2流体噴流を供給する。これにより、基板Wの上面は2流体噴流によって洗浄される。ただし、この2流体洗浄は、液滴の衝突後の横方向への液移動による洗浄メカニズムともいえ、基板W表面上のパターン配線の段差や表面スクラッチなどの凹部内に存在するような100nm以下のサイズの微小パーティクルを除去するために、本実施形態では、例えば、この2流体洗浄による非接触洗浄と、超音波洗浄機構43による非接触洗浄とを同時または順次に行うようにして洗浄する。さら
に、純水に超音波振動を与えた超音波洗浄液を用いることで、超音波洗浄機構43が洗浄を行いつつ濯ぎを行うこともできる。さらに、超音波洗浄機構43が、基板Wのエッジやベベルを洗浄してもよいし、チャック爪411、筐体44、回転カップ63、固定カップ675などを洗浄してもよい。
【0107】
超音波洗浄機構43における供給管433は、基板W洗浄時には基板Wの上方で揺動し、待機時には基板Wが保持される位置の外側で待機するようにされる。
【0108】
このような構成とした場合、2流体洗浄および超音波洗浄機構43による非接触洗浄の際に、基板Wの回転により発生する遠心力により基板Wの表面から液滴となって飛散したり、あるいは、2流体洗浄で発生するサイドジェットにより基板Wの表面の液滴が飛散したりして、回転カバー63に液滴が衝突しても、回転カバー63を基板Wと同一の回転方向に回転させているので、回転カバー63が回転していない場合に比べて液滴の衝突速度を低減させることができる。これにより、回転カバー63からの液滴の跳ね返りを抑えることができ、液滴が基板Wの表面に再付着するのを防ぐことができる。また、このように構成された基板洗浄装置4’’’においては、連続的に処理を行うと回転カバー63の内側が汚れてくるため、例えば、超音波洗浄機構43が、回転カバー63の内側を洗浄するようにしてもよい。
【0109】
なお、第5の実施形態に係る基板洗浄装置4’’’と同様に、第1および第3実施形態に係る基板洗浄装置4,4’’にも、基板Wの周囲にカバー(カップ)を配置するようにして、超音波洗浄機構43が、このカップに超音波洗浄液を供給するようにしてもよい。同様に、このように構成された基板洗浄装置において、連続的に処理を行うと回転カバーの内側が汚れてくるため、基板がない状態で、カップを回転させながら、超音波洗浄機構43のノズルをこのカップ内で搖動させて、回転カバー63の内側や底部を洗浄することができる。
【0110】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。例えば、基板保持機構において基板Wを縦置きに保持した状態で洗浄する基板洗浄装置とした場合においても、上述した実施形態に係わる超音波洗浄機構43を用いることができることはもちろんである。
【符号の説明】
【0111】
3 基板研磨装置
4,4’ 基板洗浄装置
41 基板保持回転機構
42 ペン洗浄機構
43 超音波洗浄機構
44 筐体
45 2流体噴流洗浄機構
46 オゾン水洗浄機構
5 基板乾燥装置
51 乾燥機構