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特許7290726傾斜イオンビームを使用した一方向の孔伸長のための技術及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】傾斜イオンビームを使用した一方向の孔伸長のための技術及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230606BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 201B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021532887
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 US2019064689
(87)【国際公開番号】W WO2020123253
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】62/779,757
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/676,857
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アングリン, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ラッフェル, シモン
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0263460(US,A1)
【文献】特開2007-041599(JP,A)
【文献】特表2018-523922(JP,A)
【文献】特表2018-521509(JP,A)
【文献】特開2000-150479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/302
H01L 21/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をパターニングする方法であって、
前記基板に配置された層に空洞を設けることであって、前記空洞は、第1の方向に沿って第1の長さ及び前記第1の方向に垂直な第2の方向に沿って第1の幅を有し、前記層は前記第1の方向及び前記第2の方向に垂直な第3の方向に沿って第1の高さを有する、前記基板に配置された層に空洞を設けることと、
第1の堆積手順において、前記空洞上に犠牲層を堆積させることと、
第1の暴露において、傾斜イオンを前記空洞に方向づけすることであって、前記空洞がエッチングされ、前記第1の暴露後に、前記空洞が前記第1の方向に沿って前記第1の長さよりも長い第2の長さを有し、かつ前記空洞が前記第2の方向に沿って前記第1の幅以下の第2の幅を有前記第1の暴露後に、前記犠牲層が前記基板に配置された前記層の上面に保持される、第1の暴露において、傾斜イオンを前記空洞に方向づけすることと
を含む方法。
【請求項2】
前記基板に配置された前記層が、前記第1の暴露後に、前記第1の高さを保持する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の堆積手順において、前記空洞上に第2の犠牲層を堆積させることと、
第2の暴露において、第2の傾斜イオンを前記空洞に方向づけすることであって、前記空洞がエッチングされ、前記第2の暴露後に、前記空洞が前記第1の方向に沿って前記第2の長さよりも長い第3の長さを有し、かつ前記空洞が前記第2の方向に沿って前記第1の幅以下の第3の幅を有する、第2の暴露において、第2の傾斜イオンを前記空洞に方向づけすることと
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記傾斜イオンは、第1の傾斜イオンであり、前記第1の傾斜イオンは、第1の反応性環境の存在下で、前記基板の平面に対する垂線に対して第1の非ゼロの入射角で第1の軌道に沿って方向づけされ、前記第1の軌道は前記第1の方向に位置合わせされている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記傾斜イオンが第1の反応性環境の存在下で方向づけされ、前記傾斜イオンが、
前記基板の平面に対する垂線に対して第1の非ゼロの入射角で、第1の軌道を有する第1の傾斜イオンビームと、
前記基板の平面に対する垂線に対して第2の非ゼロの入射角で、第2の軌道を有する第2の傾斜イオンビームであって、前記第1の軌道と前記第2の軌道が前記第1の方向に互いに対向するように位置合わせされる、第2の軌道を有する第2の傾斜イオンビームと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の傾斜イオンビーム及び前記第2の傾斜イオンビームは、それぞれ、第1のリボンビーム及び第2のリボンビームを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記犠牲層を堆積させることが、
プラズマチャンバで堆積種を含むプラズマを生成することと、
前記プラズマチャンバの側面に沿って抽出開孔を設けることであって、前記堆積種は、前記抽出開孔を通って前記基板に拡散する、前記プラズマチャンバの側面に沿って抽出開孔を設けることと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の暴露において傾斜イオンを前記空洞に方向づけすることが、前記傾斜イオンを前記抽出開孔を通して方向づけすることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
基板をパターニングする方法であって、
前記基板に配置された第1の層に空洞を設けることであって、前記空洞は、第1の方向に沿って第1の長さ及び前記第1の方向に垂直な第2の方向に沿って第1の幅を有し、前記第1の層は前記第1の方向及び前記第2の方向に垂直な第3の方向に沿って第1の高さを有する、基板に配置された第1の層に空洞を設けることと、
第1の堆積手順において、前記空洞上に犠牲層を堆積させることと、
第1の暴露において、傾斜イオンを前記空洞に方向づけすることであって、
前記傾斜イオンが、
前記空洞の第1の側壁に方向付けされる、第1の軌道を有する第1の傾斜イオンビームと、
前記空洞の前記第1の側壁に対向する第2の側壁に方向付けされる、第2の軌道を有する第2の傾斜イオンビームと
を含み、
前記空洞がエッチングされ、前記第1の暴露後に、前記空洞が前記第1の方向に沿って前記第1の長さよりも長い第2の長さを有し、かつ前記空洞が前記第2の方向に沿って前記第1の幅以下の第2の幅を有前記第1の暴露後に、前記犠牲層が前記第1の層の上面に保持される、第1の暴露において、傾斜イオンを前記空洞に方向づけすることと
を含む方法。
【請求項10】
前記第1の層は、前記第1の暴露後に、前記第1の高さを保持する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の層がハードマスク層を含み、前記犠牲層がポリマー層を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記犠牲層を堆積させることと、前記傾斜イオンを方向付けすることが、第1のエッチングサイクルを構成し、前記方法は、複数のエッチングサイクルにおいて前記第1のエッチングサイクルを少なくとも1回繰り返すことを含み、
前記複数のエッチングサイクルの後に、前記空洞が、前記第1の方向に沿って前記第2の長さよりも長い第3の長さを有し、前記空洞が、前記第2の方向に沿って前記第1の幅以下の第3の幅を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の暴露中に前記第1の方向に沿って前記基板を走査することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
装置であって、
基板を受け入れるためのロードロックと、
前記ロードロックに結合され、真空下で前記基板を移送するように配置された移送チャンバと、
基板平面に対する法線に対して非ゼロの入射角で傾斜反応性イオンビームを前記基板に方向づけするために、前記移送チャンバに結合された傾斜イオンビームエッチングステーションと、
前記基板にポリマー層を堆積させるように配置された、前記移送チャンバに結合されたポリマー堆積チャンバと、
複数のエッチングサイクルにわたって前記基板を循環させるために、前記ポリマー堆積チャンバ、前記移送チャンバ、及び前記傾斜イオンビームエッチングステーションに結合されたコントローラであって、所与のエッチングサイクルは、前記ポリマー堆積チャンバにおける前記ポリマー層の堆積、前記傾斜イオンビームエッチングステーションにおける前記基板のエッチング、及び前記移送チャンバを介した前記ポリマー堆積チャンバと前記傾斜イオンビームエッチングステーションとの間での前記基板の輸送を含む、コントローラと
を備え、最初のエッチングサイクル後に、前記ポリマー層が前記基板の上面に保持される、装置。
【請求項15】
前記傾斜イオンビームエッチングステーションが、
内部でプラズマを生成するためのプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバの側面に沿って配置され、前記傾斜反応性イオンビームを前記基板に方向づけするための抽出開孔を含む抽出プレートと、
第1の方向に沿って前記傾斜反応性イオンビームに対して前記基板を走査するように配置された基板ステージと
を含む、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]この出願は、2018年12月14日に出願された「傾斜イオンビームを使用した一方向の孔延長のための技術及び装置」と題し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第62/779,757号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0002]本実施形態は、トランジスタ処理技術、より具体的には、パターニング装置のエッチング処理に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]半導体装置がより小さい寸法に縮小し続けるにつれ、特徴をパターニングする能力はますます困難になる。
【0004】
[0004]具体的な課題の1つは、現在の技術で、空洞がナノメートル又は数十ナノメートルの規模のわずかな距離だけ離れている空洞等の小さい特徴を印刷することである。一例として、装置構造の全体的なピッチが縮小し続けるにつれ、適切な先端間距離で隣接する線形トレンチ又は孔を印刷することがますます困難になる。特に、小さな空洞を小さなピッチでリソグラフィ印刷することは、オーバーレイの問題のために確実性に乏しい場合がある。言い換えると、小さい空洞のわずかな分離を実現するには、複数のマスクが必要になる場合があり、マスク間のオーバーレイエラーにより、空洞の重なりや空洞間の過度に広い分離が発生する可能性がある。
【0005】
[0005]単一のマスク層を使用して所与の層にそのようなパターンを生成するための1つの可能な戦略は、一連の空洞をリソグラフィでパターニングし、次に空洞をエッチングして空洞を拡大することである。特に、所与の層の空洞をエッチングすることの欠点は、エッチング中に層の厚さが失われることである。
【0006】
[0006]これら及び他の考慮事項に関し、本改善は有用であり得る。
【発明の概要】
【0007】
[0007]一実施形態では、基板をパターニングする方法が提供される。本方法は、基板に配置された層に空洞を設けることを含み得、空洞は、第1の方向に沿って第1の長さ及び第1の方向に垂直な第2の方向に沿って第1の幅を有し、層は第1の方向及び第2の方向に垂直な第3の方向に沿って第1の高さを有する。本方法は、第1の堆積手順において、空洞上に犠牲層を堆積させることと、第1の露光において、傾斜イオンを空洞に方向づけすることとを含み得、空洞がエッチングされ、第1の露光後に、空洞が第1の方向に沿って第1の長さよりも長い第2の長さを有し、空洞が第2の方向に沿って第1の幅以下の第2の幅を有する。
【0008】
[0008]別の実施形態では、基板をパターニングする方法は、基板に配置された第1の層に空洞を設けることを含み得、空洞は、第1の方向に沿って第1の長さ及び第1の方向に垂直な第2の方向に沿って第1の幅を有し、層は第1の方向及び第2の方向に垂直な第3の方向に沿って第1の高さを有する。本方法は、第1の堆積手順において、空洞上に犠牲層を堆積させることと、第1の露光において、傾斜イオンを空洞に方向づけすることとを含み得る。傾斜イオンは、空洞の第1の側壁に方向付けされる、第1の軌道を有する第1の傾斜イオンビームと、空洞の第1の側壁に対向する第2の側壁に方向付けされる、第2の軌道を有する第2の傾斜イオンビームとを含み得る。したがって、空洞がエッチングされ、第1の露光後に、空洞が第1の方向に沿って第1の長さよりも長い第2の長さを有し、空洞が第2の方向に沿って第1の幅以下の第2の幅を有する。
【0009】
[0009]更なる実施形態では、装置が提供される。本装置は、基板を受け入れるためのロードロックと、ロードロックに結合され、真空下で基板を移送するように配置された移送チャンバとを含み得る。本装置は、基板平面に対する法線に対して非ゼロの入射角で傾斜反応性イオンビームを基板に方向づけするために、移送チャンバに結合された傾斜イオンビームエッチングステーションを含み得る。本装置は、基板にポリマー層を堆積させるように配置された、移送チャンバに結合されたポリマー堆積チャンバと、ポリマー堆積チャンバ、移送チャンバ、及び傾斜イオンビームエッチングステーションに結合されたコントローラとを含み得る。コントローラは、複数のエッチングサイクルにわたって基板を循環させるように配置され得、所与のエッチングサイクルは、ポリマー堆積チャンバにおけるポリマー層の堆積、傾斜イオンビームエッチングステーションにおける基板のエッチング、及び移送チャンバを介したポリマー堆積チャンバと傾斜イオンビームエッチングステーションとの間での基板の輸送を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A-E】本開示の実施形態に係る、基板の処理の様々な段階を示す側面図である。
図1F-J】それぞれの図1Aから図1Eに対応する段階を示す上面図である。
図2A】本開示の幾つかの実施形態に係る、空洞の選択的伸長の実験結果を示す図である。
図2B】本開示の他の実施形態に係る、空洞の選択的伸長の更なる実験結果を示す図である。
図2C】本開示の他の実施形態に係る、空洞の選択的伸長の更なる実験結果を示す図である。
図3A-E】本開示の他の実施形態に係る、基板の処理の様々な段階を示す側面図である。
図3F-J】それぞれの図3Aから図3Eに対応する段階を示す上面図である。
図4A】本開示の更なる実施形態に係る、別の処理装置を示すブロック図である。
図4B】本開示の更なる実施形態に係る、図3Aの処理装置の抽出形状を示す上面図である。
図4C】本開示の更なる実施形態に係る、別の処理装置を示すブロック図である。
図5】本開示の追加の実施形態に係る、別の処理装置を示す図である。
図6】一実施形態に係る、例示的なプロセスフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0022]ここで本実施形態を、幾つかの実施形態を示す添付の図面を参照しながら、以下により完全に説明する。本開示の主題は、多くの異なる形態で具体化することが可能であり、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に主題の範囲を完全に伝えるように提供される。図面において、同様の番号は全体を通して同様の要素を指すものである。
【0012】
[0023]本実施形態は、基板をパターニングするための新規の技術及び装置、特に、設計された方向に沿って、基板に配置された空洞をエッチングするための新規の技術を提供するものである。上記処理は、ビア又はトレンチ等の特徴が初期の形状及びサイズを有するように形成され得、その後、一連のエッチング工程を使用して設計された方向に沿って伸長され得る、伸長パターニングと見なされ得る。設計された方向は、基板の平面内の水平方向に対応し得る。様々な実施形態によれば、特徴の伸長は、設計された方向(第1の方向)に沿って起こり得るが、空洞は、拡大されない又は、基板の平面の設計された方向に垂直な方向(第2の方向)に沿ってしか拡大されない。このように、空洞は、一方向のみに沿って選択的に伸長され得、本明細書に開示するように、基板をパターニングするための様々な付随する利点を提供する。
【0013】
[0024]特定の実施形態では、所与の層内の一方向の空洞の伸長は、新規の堆積及びエッチング工程を使用して達成される。一方向の空洞の伸長は、デカルト座標系のY軸に沿って等の選択された方向に沿った空洞(又は孔)の寸法の選択的な伸長を指していてよく、伸長は、X軸に沿って及びZ軸に沿って等、直交する方向に沿っては起きない。幾つかの実施形態では、空洞は、空洞を含む層の(Z方向に沿った)元の厚さは維持され得るが、他の方向ではなく一方向のみに沿って層の平面内で空洞がエッチングされるように、処理され得る。
【0014】
[0025]特定の実施形態では、空洞は、空洞が第1の方向に沿って第1の長さを有するように、層に設けられる。第1の工程では、第1の堆積手順において、空洞上に犠牲層を堆積させることを含み、第2の工程は、空洞がエッチングされる第1の露光において、傾斜イオンを空洞に方向づけすることを含む。第1の露光後、空洞は、第1の方向に沿って第1の長さよりも長い第2の長さに達することができ、空洞は第2の幅又は第1の幅以下の第2の方向に沿って最終的な幅を有する。場合によっては、最終的な幅は第1の幅と同じである。
【0015】
[0026]図1Aから図1Eは、本開示の実施形態に係る、基板の処理の様々な段階を示す側面図である。図1Fから図1Jは、それぞれの図1Aから図1Cに対応する段階を示す上面図である。
【0016】
[0027]本開示の幾つかの実施形態に係る、基板100における基板パターンの実装中の一連の例を示す図1A図1Eを参照する。様々な実施形態によれば、堆積工程とエッチング工程の組み合わせが、順次に実行される。背景として、基板100は、特徴のアレイを含んでいてよく、空洞110として示す1つの特徴のみが図示されている。例えば、特徴の横方向の寸法は、場合によっては30nm、20nm、10nm、5nm、又は3nmの規模であり得るが、特徴間の設計分離は、同様の値を有し得る。上記特徴を正確に生成するために、堆積及びエッチング工程の新規の組み合わせが提供され、トレンチ又はビア等の特徴のサイズが選択的に変更される。特に、トレンチ又はビアは、対象の方向に沿って選択的に伸長され、トレンチ又はビアの設計された形状及びサイズが生成され、同時に、設計された分離を達成するためにトレンチ間の分離が調整され得る。同時に、対象の方向に直交する方向への特徴の望ましくない拡大を回避しながら、特徴を含む層の層厚が維持され得る。
【0017】
[0028]図1A及び図1Fに、堆積種を方向づけするだけでなく、種を基板100にエッチングするための抽出システム120を示す。抽出システム120は、幾つかの実施形態では、プラズマベースのツールに実装され得る。他の実施形態では、抽出システム120は省略されてもよい。図1Aに示すように、プラズマ122が生成される。プラズマ122は、幾つかの実施形態では、ポリマータイプの膜を堆積させるための堆積種を生成し得る。CHF又はCH等のガス状種又は他の既知のポリマー形成化学種が提供され、プラズマ122中で反応し、抽出開孔128を通って抽出システム120を出ていくことができる。これらの種は、反応性堆積種132を形成することができ、この種は、基板100に衝突する。この例では、空洞110は、層116に形成され、層116は、保存されるべきハードマスク層、ソフトマスク層、又はデバイス層であり得る。したがって、空洞110は、図示したデカルト座標系のY軸に沿ったL1、Z軸に沿ったH1、及びX軸に沿ったW1を含む、異なる方向に沿った寸法によって画定され得る。反応性堆積種は、図1A及び図1Fに示すように、空洞110の側壁114A、側壁114C、及び側壁114Bを含む層116に堆積し得る。幾つかの実施形態では、基板100は、プラズマ122に対して、例えば、-200V、-100V、-50V、又は-20Vで負にバイアスされ得る。実施形態は、この文脈に限定されない。したがって、ポリマー層は、基板100に堆積する傾向があり、図1B及び図1Gに示す犠牲層115が形成される。堆積プロセスは、プラズマ122から来るラジカル種及び中性種(反応性堆積種132によって表される)のフラックスの立体角が高いため、垂直面(側壁)よりも上部水平面に、又は空洞110内に、より厚いポリマーを有利に堆積させ得る。
【0018】
[0029]図1B及び図1Gに続いて、方向性反応性イオンエッチング工程が、犠牲層115の堆積の完了後に実行され、Y軸に沿って空洞を伸長する。図1Bの段階では、犠牲層115が、第1の側壁114A及び第2の側壁114Cと同様に、層116の上面をコーティングする。反応性イオンエッチング化学は、層116、ならびにポリマー層、犠牲層115の性質に従って選択される既知のエッチング化学であり得る。例えば、層116がSiON層である場合、エッチング化学は、基板ベース層118等の他の材料に対してSiONを選択的にエッチングするように選択され得る。エッチング工程は、プラズマ142を形成し、基板130の平面に対する垂線134に対して非ゼロの入射角(θ)で斜反応性イオンビーム150を方向づけすることを含み、この平面は、ウエハの上部主面を表し得る。適切な反応性種152が反応性環境に存在していてよく、既知の反応性イオンビームエッチングレシピのように、傾斜反応性イオンビーム150を伴い得る。幾つかの実施形態では、エッチング工程は、図1Aの堆積工程と同じ装置及び同じチャンバで実行することができ、傾斜反応性イオンビーム150が、抽出部分126と抽出部分124との間の抽出開孔128を通してプラズマ142から抽出される。図1Eに示すように、異なる非限定的な実施形態において、抽出開孔128が、X方向に沿ったサイズがY方向に沿ったサイズの3倍、5倍、10倍、20倍、又は50倍になるように、X方向に沿って伸長され得る。
【0019】
[0030]幾つかの非限定的な実施形態では、この入射角の値は、15度から75度の範囲であり得る。そのため、水平面と垂直面の両方がイオンに暴露され得、エッチングされ得る。ここで、層116の上面125に配置された保護ポリマー(犠牲層115)があるため、このエッチングは結果的に、パターンが伸長されるときの層116の厚さ損失の減少(又は層116の垂直エッチングの減少)をもたらす。側壁にもいくらかのポリマー堆積があることを考えると、横方向のエッチング速度も低下する可能性がある。
【0020】
[0031]図1Bのエッチング工程の更なる段階での基板100の構造を示す図1C及び図1Hを参照する。この段階において、傾斜反応性イオンビーム150によって、材料が水平面に沿って犠牲層115の上面から除去されており、犠牲層115は、第1の側壁114Aから完全に除去されている。
【0021】
[0032]図1Cのエッチング工程の更なる段階での基板100の構造(明確にするために傾斜反応性イオンビーム150が取り除かれている)を示す図1D及び図1Iを参照する。この段階において、傾斜反応性イオンビーム150によって、より多くの材料が犠牲層115の上面から除去されており、犠牲層115は、第1の側壁114Aから完全に除去されている。図示したように、犠牲層115の角は、傾斜イオンのエッチングのために丸くなり得、一方、層116は、上面で保護されたままである。空洞110は、Y軸に沿って第1の側壁114Aの一部を長さL2にエッチングすることによって伸長され、空洞110の幅はW1の値のままであり、層116の厚さはH1のままである。
【0022】
[0033]図1Dのエッチング工程の完了後の基板100の構造を示す図1E及び図1Jを参照する。空洞110は、Y軸に沿って長さL3まで伸長されているが、空洞110の幅は、W1の値のままであり、層116の厚さは、H1のままである。より具体的には、図1Eの段階では、空洞110は、傾斜反応性イオンビーム150によって第1の側壁114Aをエッチングすることによって更に伸長されている。続いて、傾斜反応性イオンビーム150を使用するエッチングの完了時に、犠牲層115の一部が残り得、その残りは、例えば、層116の材料に対してポリマー材料を優先的にエッチングするように設計された適切なウェットエッチング又はドライエッチングによって除去され得る。したがって、ポリマー層の除去後、空洞110の角は、犠牲層115を使用しない場合に発生するよりも少ない丸みを示し得る。
【0023】
[0034]上記の例に示すように、本アプローチは、空洞を含む層の厚さを維持しながら、空洞が一方向のみに沿って拡大される方法で、空洞110等の構造のエッチングを容易にする。図1Aの工程で堆積されたポリマーの正確な量及び図1Bのエッチング工程の持続時間に応じて、一方向エッチングの程度が調整され得る。CF/Oプラズマベースの1kVイオンビームにおけるエッチング時間の関数としての空洞の寸法の相対的変化を示す図2Aを参照する。イオンビームは、上記のように、本実施形態に係る傾斜イオンを形成する。寸法は、基板の絶縁層に形成された空洞のアレイ内の空洞に対するものであり、空洞は、50nmの規模の初期厚さを有する層内に形成された、25nmの規模の初期横方向寸法を有する。この例では、エッチングの前に、エッチングプロセスの前にポリマー層が堆積される。ポリマー層は、CHFによって生成されたプラズマから空洞に堆積され、基板とプラズマチャンバとの間にゼロバイアスが適用される。ポリマー層は空洞のアレイの水平面で(Z方向に)10nmをわずかに上回る厚さを有するが、側壁に堆積されたポリマーの幅は、水平面のポリマー層の厚さの約半分であった。したがって、初期の空洞の幅と長さは、エッチングの前に減少した。曲線170は、空洞を含む元の層の厚さHを表し、曲線172は、Y軸に沿った長さを表し、曲線174は、Z軸に沿った幅を表す。この例では、空洞の長さLは1.8分のエッチング時間後に約25%増加するが、幅Wはまったく増加しない。Hにおける総厚さの損失は10nm未満である。ポリマー層は、エッチングの最後に消費され、空洞を含む元の層の数nmも消費された。
【0024】
[0035]図2Bは、図2Aの例と同様の寸法を有する空洞のアレイのエッチングのデータを提示するものである。この例では、曲線180は、空洞を含む元の層の厚さHを表し、曲線182は、Y軸に沿った長さを表し、曲線184は、Z軸に沿った幅を表す。エッチングする前に、15nmをわずかに上回るポリマー層が空洞のアレイに堆積される。余分な厚さのポリマーを堆積させれば、1.8分間のエッチング後に元の層の厚さが実際上失われない。同様に、幅Wの変化は観察されないが、長さLは約20%増加する。
【0025】
[0036]図2A及び図2Bの結果は、堆積及び傾斜反応性イオンビームエッチングの組み合わせが、一方向エッチングを最適化するように調整され得ることを示している。特に、本発明者らは、図1Bのように、ポリマー層が空洞に堆積されず、選択的伸長エッチングが所与の方向に沿って実行される場合、一方向エッチングが初期期間後に停止することを観察した。つまり、エッチングは最初はY軸に沿って進行するが、数分等の誘導期間の後にエッチングがX軸に沿っても進行し、設計された拡大方向に直交する方向に空洞の望ましくない拡大がもたらされる。初期期間の長さは、エッチングされる膜スタックと使用されるエッチング化学に依存し得る。
【0026】
[0037]この現象を説明するために、図1A及び図1Bの工程が、空洞の直交エッチングが始まる前に、空洞上のポリマーコーティングを補充する方法で周期的に繰り返され得る。図2Cは、更なる実施形態に係る、傾斜イオンを使用するCF/Oプラズマベースのイオンビームにおけるエッチング時間の関数としての空洞の寸法の相対的変化を示すデータを提示するものである。この場合、初期空洞条件は、図2Aの例と同じであり、エッチング前に、厚さ10nmよりわずかに大きい(Z方向に)第1のポリマー層が空洞に堆積される。特に、約1.8分のエッチング持続時間の後、第2のポリマー層が同様の厚さで堆積され、続いて第2のエッチング又は約1.8分の持続時間が続く。続いて、第3のポリマー堆積が実行されて、他の堆積と同様の厚さのポリマー層が形成され、第3のエッチングが更に1.8分間実行される。図示したように、曲線190は、空洞を含む元の層の厚さHを表し、曲線192は、Y軸に沿った長さを表し、曲線194は、Z軸に沿った幅を表す。この例では、空洞の長さLは1.8分のエッチング時間後に約70%増加するが、幅Wはまったく増加しない。Hにおける総厚さの損失は10%未満である。工程が3サイクルの周期で行われたため、直交エッチング(X軸に沿って)が開始する前に各サイクルにおいてエッチングを停止させた。したがって、合計5.4分のエッチング後、直交エッチングは観察されなかった。これは、空洞がX軸に沿って拡大されなかったことを意味する。様々な実験で、16nmまでの空洞の伸長が観察された。 しかしながら、図2Cの結果を拡張して、単により多くのサイクルを実行することによって、より大きな伸長を生じさせることができる。同様に、図2Bに反映されるように、ポリマー堆積プロセスを調整し、適切なエッチング時間を選択することにより、原則として、空洞を含む層の厚さを失うことなくY軸が伸長される一方向エッチングを実現することができ、空洞はX軸に沿っては伸長されない。比較として、図1Bに概して示すようなイオンビームを使用して、薄いポリマー層の事前の堆積なしで方向性エッチングが実行される場合、直交エッチングが、初期のエッチング期間の後に開始する。曲線196は、エッチング前にポリマー層が堆積されていない条件下で、図2Cの他のデータのように一般的に配置された空洞に対して実行されるエッチングのエッチング時間の関数としてのX軸に沿った空洞の幅の変化を示す。曲線196に示すように、初期の2分間は、X軸に沿った幅は変化しないが、2.5分後は、エッチング時間の増加とともに幅が増加する。したがって、薄いポリマー層の堆積がない場合、一方向エッチングは、エッチングの初期期間を超えて保持されない。
【0027】
[0038]図3Aから図3Eは、本開示の実施形態に係る、基板の処理の様々な段階を示す側面図である。図3Fから図3Jは、それぞれの図3Aから図3Eに対応する段階を示す上面図である。図3Aから図3Jの工程は、一般に、図1A図1Jに示すものと同様であるが、1つの違いは、第1の軌道に沿った傾斜反応性イオンビーム150Aと、第1の軌道に対向する第2の軌道に沿った傾斜反応性イオンビーム150Bの提供である。この構成は、2つの傾斜リボンイオンビームを画定するために、第1の抽出開孔128A及び第2の抽出開孔128Bを画定するためのビームブロッカ129を配設することによって達成され得る。これらのリボンビームは、第1の側壁114A、第2の側壁114Cとして示す空洞の対向する表面に衝突し得、その結果、ポリマーは、図3E及び図3Jに示すように、両方の側壁から等しく除去され、空洞が対称的に伸長される。
【0028】
[0039]図3A及び図3Fに、堆積種、ならびにエッチング種を基板100に方向づけするための抽出システム120Aを示す。抽出システム120Aは、幾つかの実施形態では、プラズマベースのツールに実装され得る。他の実施形態では、抽出システム120Aは省略されてもよい。図3Aに示すように、プラズマ122が生成される。プラズマ122は、幾つかの実施形態においてポリマータイプの膜を堆積させるための堆積種を生成し得る。CHF又はCH等のガス状種又は他の既知のポリマー形成化学種が提供され、プラズマ122中で反応し、抽出開孔128A及び抽出開孔128Bを通って抽出システム120Aを出ていくことができる。これらの種は、反応性堆積種132を形成し得、この種が、基板100に衝突する。この例では、空洞110が層116に形成され、層116は、保存されるべきハードマスク層、ソフトマスク層、又はデバイス層であり得る。したがって、空洞110は、図示したデカルト座標系のY軸に沿ったL1、Z軸に沿ったH1、及びX軸に沿ったW1を含む、異なる方向に沿った寸法によって画定され得る。反応性堆積種は、図3B及び図3Gに示すように、空洞110の第1の側壁114A及び第2の側壁114Cを含む層116に堆積され得る。幾つかの実施形態では、基板100は、プラズマ122に対して、例えば、-200V、-100V、-50V、又は-20Vで負にバイアスされ得る。実施形態は、この文脈に限定されない。したがって、ポリマー層は、基板100に堆積する傾向があり、図3B及び図3Gに示す犠牲層115が形成される。堆積プロセスは、プラズマ122から来るラジカル種及び中性種(反応性堆積種132によって表される)のフラックスの立体角が高いため、垂直面(側壁)よりも上部水平面に、又は空洞110内に、より厚いポリマーを有利に堆積させ得る。
【0029】
[0040]図3B及び図3Gに続いて、方向性反応性イオンエッチング工程が、犠牲層115の堆積の完了後に実行され、Y軸に沿って空洞が伸長される。図3Bの段階では、犠牲層115が、第1の側壁114A及び第2の側壁114Cと同様に、層116の上面をコーティングする。反応性イオンエッチング化学は、層116、ならびにポリマー層、犠牲層115の性質に従って選択される既知のエッチング化学であり得る。例えば、層116がSiON層である場合、エッチング化学は、基板ベース層118等の他の材料に対してSiONを選択的にエッチングするように選択され得る。エッチング工程は、基板130の平面に対する垂線に対して非ゼロの入射角(θ)で一対の傾斜反応性イオンビームを方向づけすることを含み、この平面は、ウエハの上部主面を表し得る。これらの傾斜反応性イオンビームは、第1の軌道に沿って方向づけされた傾斜反応性イオンビーム150A、及び第2の軌道に沿って方向づけされた傾斜反応性イオンビーム150Bとして示されている。前述のように、この構成は、2つの傾斜リボンイオンビームを画定するために、抽出開孔12A及び抽出開孔128Bとして示す第1の開孔及び第2の開孔を画定するビームブロッカを配設することによって達成され得る。
【0030】
[0041]適切な反応種152は、既知の反応性イオンビームエッチングレシピのように、傾斜反応性イオンビームを伴い得る。幾つかの実施形態では、エッチング工程は、図3Aの堆積工程と同じ装置及び同じチャンバで実行され得、傾斜反応性イオンビーム150A及び傾斜反応性イオンビーム150Bが、抽出部分126Aと抽出部分124Aとの間にある抽出開孔128A及び抽出開孔128Bを通して抽出される。図3Gに示すように、抽出開孔128A及び抽出開孔128Bは、X方向に沿ったサイズが異なる非限定的な実施形態におけるY方向に沿ったサイズの3倍、5倍、10倍、20倍、又は50倍であるように、X方向に沿って伸長され得る。
【0031】
[0042]幾つかの非限定的な実施形態では、傾斜イオン152A及び傾斜イオン152Bの入射角の値は、15度から75度の範囲であり得る。そのため、水平面と垂直面の両方がイオンに暴露され得、エッチングされ得る。この時点で、保護ポリマー(犠牲層115)が層116の上面125に配置されているため、パターンが伸長されるときの、このエッチングによる層116の厚さ損失が減少(又は層116の垂直エッチングが減少)する。側壁にもいくらかのポリマー堆積があることを考えると、横方向のエッチング速度も低下する可能性がある。
【0032】
[0043]図3Bのエッチング工程の更なる段階での基板100の構造を示す図3C及び図3Hを参照する。この段階で、材料が犠牲層115の上面から除去され、犠牲層115が、傾斜反応性イオンビーム150Aによって第1の側壁114Aから完全に除去され、犠牲層115が、傾斜反応性イオンビーム150Bによって第2の側壁114Cから完全に除去されている。犠牲層115は依然として層116の上部に沿って残る。
【0033】
[0044]図3Cのエッチング工程の更なる段階での基板100の構造を示す(明確にするために、傾斜反応性イオンビーム150A及び傾斜反応性イオンビーム150Bが除去されている)図3D及び図3Iを参照する。この段階で、犠牲層115の上面からより多くの材料が除去され、第1の側壁114A及び第2の側壁114Cが、L1よりも長い空洞110の長さL4が生じるように伸長されている。図示したように、犠牲層115の角は、傾斜イオンのエッチングのために丸くなり得、層116は、上面で保護されたままである。空洞110の幅はW1の値のままであり、層116の厚さはH1のままであるが、空洞110は伸長されている。特に、図3Dの構造は、傾斜反応性イオンビーム150A及び傾斜反応性イオンビーム150Bを使用してエッチングが完了した後の空洞110を表し得る。
【0034】
[0045]例えば、層116の材料に対してポリマー材料を優先的にエッチングするように設計された、適切なウェットエッチング又はドライエッチングによって犠牲層115を除去した後の基板100の構造を示す図3E及び図3Jを参照する。したがって、ポリマー層の除去後、空洞110の角は、犠牲層115を使用しない場合に生じるよりも少ない丸みを呈し得る。
【0035】
[0046]ここで、概略形態で描かれた処理装置200を示す図4Aを参照する。処理装置200は、空洞を選択的にさせる等、基板の一部を選択的にエッチングするための処理装置を表す。処理装置200は、当技術分野で周知の任意の便利な方法によってプラズマ204を生成するためのプラズマチャンバ202を有するプラズマベースの処理システムであり得る。電源230は、例えば、プラズマ204を生成するためのRF電源であり得る。図示したように、側壁層を選択的に除去するために選択的エッチングが実行され得る、抽出開孔208を有する抽出プレート206が設けられ得る。図1Bに示す前述の構造を有する基板100等の基板が、プロセスチャンバ222に配置される。基板100の基板平面は、図示したデカルト座標系のX-Y面によって表され、基板100の平面に対する垂線は、Z軸(Z方向)に沿っている。
【0036】
[0047]指向性エッチング工程中、傾斜イオンビーム210が、図示したように、抽出開孔208を通して抽出される。一実施形態では、傾斜イオンビーム210は、上記の傾斜反応性イオンビーム150を表し得る。既知のシステムのように、プラズマチャンバ202と基板100との間にバイアス電源220を使用して電圧差が印加されると、傾斜イオンビーム210が抽出され得る。バイアス電源220は、例えば、プロセスチャンバ222と基板100とが同じ電位に保持されている、プロセスチャンバ222に結合され得る。様々な実施形態では、傾斜イオンビーム210は、既知のシステムのように、連続ビーム又はパルスイオンビームとして抽出され得る。例えば、バイアス電源220は、プラズマチャンバ202とプロセスチャンバ122との間の電圧差をパルスDC電圧として供給するように構成され得、パルス電圧の電圧、パルス周波数、及びデューティサイクルは、互いに独立して調整され得る。
【0037】
[0048]抽出開孔208に対して、したがって傾斜イオンビーム210に対して、走査方向216に沿って、基板100を含む基板ステージ210を走査することによって、傾斜イオンビーム210が、図4Bに更に示すように、空洞110等の構造の標的面が例えば走査方向216に対して垂直に配向されている場合、上記構造をエッチングし得る。様々な実施形態では、例えば、傾斜イオンビーム210は、図4Bに示すデカルト座標系のX方向に沿って延びる長軸を有するリボンイオンビームとして提供され得る。基板100は、例えば、空洞110の1組の側壁(第1の側壁114Aを参照)が傾斜イオンビーム210に暴露されるように配置され得る。こうすれば、図4Aに示すように、(基板平面に対する法線の)Z軸に対して非ゼロの入射角を形成する傾斜イオンビーム210が、注記したように、XZ平面に沿って配向された側壁に衝突し得る。この形状は、Y-Z側壁をエッチングせずに、X-Z側壁の反応性イオンエッチングを容易にし、したがって、図1C又は図1Fに示すように、空洞110を選択的に伸長させて、空洞110の細長い構造を生成する。様々な実施形態では、非ゼロの入射角の値は、10度から75度まで変化し得、一方、幾つかの実施形態では、値は、20度から60度の間の範囲であり得る。実施形態は、この文脈に限定されない。傾斜イオンビーム210は、不活性ガス、反応性ガスを含む任意の便利なガス混合物から構成され得、幾つかの実施形態では、他のガス種と組み合わせて提供され得る。ガスは、ガス源224から提供され得、ガス源224は、プラズマチャンバ202に複数の異なるガスを提供するように結合されたガスマニホールドであり得る。特定の実施形態では、傾斜イオンビーム210及び他の反応種は、基板100のパターニング層の標的側壁の指向性反応性イオンエッチングを実行するために、エッチングレシピとして基板100に提供され得る。上記のように、エッチングレシピは、基板ベース層118をエッチングせずに、又は、基板ベース層118をより少ない程度でエッチングして、ポリマー層(犠牲層115)及び層116の材料を除去するように、基板ベース層118の材料に対して選択的であり得る。
【0038】
[0049]図4Bの例では、傾斜イオンビーム210は、X方向に沿ったビーム幅に延びるリボンイオンビームとして提供され、ビーム幅は、X方向に沿った最も広いところでも、基板100の全幅を暴露するのに十分である。例示的なビーム幅は、10cm、20cm、30cm、又はそれ以上の範囲であり得るが、Y方向に沿った例示的なビーム長は、3mm、5mm、10mm、又は20mmの範囲であり得る。実施形態は、この文脈に限定されない。
【0039】
[0050]図4Bにも示すように、基板100は、走査方向216に走査され得、走査方向216は、Y方向に沿って等、X-Y平面にある。特に、走査方向216は、Y方向に沿った2つの対向する(180度)方向での基板100の走査、又は単に左への走査又は右への走査を表し得る。図3Bに示すように、傾斜イオンビーム210の長軸は、走査方向216に垂直に、X方向に沿って延びる。したがって、基板100の走査が、図4Bに示すように、基板100の左側から右側への適切な長さまで走査方向216に沿って行われるとき、基板100全体が傾斜イオンビーム210に暴露され得る。
【0040】
[0051]ここで、概略形態で描かれた別の処理装置240を示す図4Cを参照する。処理装置240は、基板の傾斜イオン処理を実行するための処理装置を表し、以下で説明する違いを除いて、処理装置200と実質的に同じであり得る。特に、処理装置240は、抽出開孔208に隣接して配置されたビームブロッカ232を含む。ビームブロッカ232は、第1の開孔208A及び第2の開孔208Bを画定するようにサイズ設定及び配置され、第1の開孔208Aは第1の傾斜イオンビーム210Aを形成し、第2の開孔208Bは第2の傾斜イオンビーム210Bを形成する。2つの傾斜イオンビームは、垂線226に対して、大きさが等しく、方向が反対の入射角を画定し得る。一実施形態では、第1の傾斜イオンビーム210Aは、傾斜反応性イオンビーム150Aを表し得、第2の傾斜イオンビーム210Bは、傾斜反応性イオンビーム150を表す。抽出プレート206に対してZ軸に沿ってオフセットされたビームブロッカは、傾斜イオンビームの角度を画定するのに役立ち得る。したがって、第1の傾斜イオンビーム210A及び第2の傾斜イオンビーム210Bは、図4Cにおおよそ示すように、半導体フィンの対向する側壁を同様に同時に処理し得る。図4Bのようにリボンビームの形状に構成された場合、これらの傾斜イオンビームは、図示したように基板プラテン214を走査することによって、基板100全体を、基板100全体のデバイスに分散された空洞110の反応性イオンエッチングに暴露し得る。この構成では、空洞110の対向する側壁を同時にエッチングすることができ、1回の走査工程で空洞110をY軸に沿って2つの対向する方向に伸長させる。
【0041】
[0052]本開示の様々な実施形態によれば、処理装置200又は処理装置240はまた、上で詳述したように、ポリマー膜を堆積させるように配置され得る。したがって、エッチング工程が開始される前に、Ch3F等の適切な種がプラズマチャンバに提供され、基板100にポリマー層が堆積され得る。堆積後、ガス化学を切り替えて、場合によっては、傾斜イオンビーム210又は傾斜イオンビーム(210A、210B)を使用して傾斜反応性イオンビームエッチングが実行され得る。
【0042】
[0053]他の実施形態では、上で詳述した堆積及びエッチング工程は、クラスタツールの別々のステーションで実行され得る。図5は、本開示の実施形態に係る、システム300として示す例示的なシステムの上面図(X-Y平面)を提示するものである。システム300は、本明細書に開示の実施形態に係る、傾斜イオンエッチング工程、ならびに垂直入射エッチング工程を実行するために使用され得る。システム300は、基板100を様々な処理チャンバ間で輸送するためのロードロック302及び移送チャンバ304を含むクラスタツールとして構成され得る。移送チャンバ304及び処理チャンバは、真空条件下、又は制御された周囲条件下で、移送チャンバ304及び以下に説明する他の処理チャンバを維持するための既知のポンプシステム(図示せず)等の排気装置に結合され得る。したがって、基板100は、周囲に暴露されることなく、様々な処理チャンバと移送チャンバ304との間で輸送され得る。システム300は、移送チャンバ304に結合された傾斜イオンビームエッチングステーション306を含み得、基板100は、基板平面の法線に対して非ゼロの入射角で方向づけされ、図1A図1C又は図3A図3Cにおおよそ示す形状と一致するイオンに暴露される。傾斜イオンビームエッチングステーション306は、概して上述したプラズマチャンバ及び抽出プレートを構成し得る、又は上記のプラズマチャンバ、抽出プレート、ならびにプロセスチャンバを構成し得る。システム300は、移送チャンバ304に結合され、薄いポリマー層の堆積を実行するように配置されたポリマー堆積チャンバ308を更に含み得る。したがって、図1A図1Eに示す一連の工程を実行するために、基板100は、工程間で真空が破壊されることなく、傾斜イオンビームエッチングステーション306とポリマー堆積チャンバ308との間で順に輸送され得る。図5の構成の利点は、同じプロセスが特定の専用チャンバで繰り返され得ることで、図1A図1Eのプロセスがサイクルで繰り返され、所定のチャンバ内の化学を変更する必要なく、空洞110上の薄いポリマー層を定期的に補充することによって一方向エッチングが維持され得ることである。指向性イオンビームチャンバでエッチングされている空洞上に犠牲ポリマー層を迅速に補充する能力により、層116等のエッチングされる主層のエッチングを一方向のみに沿って進行させることができ、その一方で、ポリマー層が繰り返し補充されるため、層116の上部はエッチングされない。この繰り返しの補充により、例えば、層116に生じる角の丸みが防止され得る又は最小限に抑えられ得る。
【0043】
[0054]図6は、例示的なプロセスフロー400を示す図である。ブロック402において、空洞が、基板に配置された少なくとも1つの層内に設けられる。幾つかの実施形態では、所与の層内に空洞が形成され得る。幾つかの実施形態では、空洞は、第1の方向に沿った第1の長さ、及び第1の方向に垂直な第2の方向に沿った第1の幅によって特徴付けられ得る。層は、第1の高さによって特徴付けられ得る。ブロック404において、犠牲層が堆積される。幾つかの実施形態では、犠牲層は薄いポリマー層であり得る。犠牲層は、空洞の上の水平面により厚い層を形成し、空洞の垂直面に比較的薄い層を形成するように堆積され得る。
【0044】
[0055]ブロック406において、空洞は、空洞が第1の方向に沿って第2の長さまで伸長されるが、空洞は第2の方向に沿って第1の幅以下の第2の幅を有するような反応性イオンエッチング工程等において、傾斜イオンに暴露される。
【0045】
[0056]ブロック408において、第2の犠牲層が堆積される。幾つかの実施形態では、第2の犠牲層は、薄いポリマー層であり得る。第2の犠牲層は、空洞の上の水平面により厚い層を形成し、空洞の垂直面に比較的薄い層を形成するように堆積され得る。
【0046】
[0057]ブロック410において、空洞は、空洞が第1の方向に沿って第2の長さよりも長い第3の長さまで伸長されるが、空洞は第2の方向に沿って第1の幅以下の第3の幅を有するような反応性イオンエッチング工程等において、傾斜イオンに暴露される。
【0047】
[0058]本実施形態は、基板の特徴を画定するために、従来の処理に勝る様々な利点を提供する。1つの利点は、第1の方向に垂直な第2の方向に沿った空洞の寸法を維持しながら、一方向のみに沿って空洞を選択的に伸長させる能力にある。別の利点は、既知のリソグラフィプロセスによって達成される間隔を下回るように空洞を縮小する能力である。この能力の例は、接触トレンチ等の隣接するトレンチ間のチップ間分離の減少である。本実施形態によって提供される別の利点は、ハードマスクの過度の厚さ損失を防止し、ハードマスク層に形成された空洞の角の丸みを低減する一方で、標的方向に沿って空洞を選択的に伸長させる能力である。更なる利点は、特徴のパターンを生成するために使用されるマスクの数を減らす能力であり、特徴は、単一のマスクによって達成可能な閾値分離よりも短い距離に分離され得る。このマスクの数を減らすことは、特徴のパターンの印刷におけるオーバーレイエラーを減らすという更に有利な効果を有する。
【0048】
[0059]本開示は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されたものに加えて、本開示の他の様々な実施形態及び修正は、前述の説明及び添付の図面から当業者には明らかであろう。したがって、そのような他の実施形態及び修正は、本開示の範囲内に入る傾向がある。更に、本開示は、特定の目的のための特定の環境における特定の実装態様の文脈で本明細書に記載されているが、当業者は、有用性がそれに限定されず、本開示が任意の数の目的のための任意の数の環境において有益に実装され得ることを認識するであろう。したがって、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書に記載される本開示の全幅及び主旨を考慮して解釈されるべきである。
図1A-E】
図1F-J】
図2A
図2B
図2C
図3A-E】
図3F-J】
図4A
図4B
図4C
図5
図6