(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】交換可能なエンドエフェクタ接触パッド、エンドエフェクタ、及びメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2021549587
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(86)【国際出願番号】 US2020019982
(87)【国際公開番号】W WO2020176674
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】201941007622
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クローツ, ホイットニー
(72)【発明者】
【氏名】コックス, デイモン キース
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフォフスキ, レオン
(72)【発明者】
【氏名】ハジェンズ, ジェフリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】ムルガラジャ, バラムラリ
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07293811(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2017/0040205(US,A1)
【文献】特表2012-514873(JP,A)
【文献】特開2012-199282(JP,A)
【文献】特開2008-282870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するよう構成されたエンドエフェクタであって、
エンドエフェクタ本体であって、上面及び底面と、前記底面から前記エンドエフェクタ本体内へと延在する凹部と、前記エンドエフェクタ本体に形成され、かつ前記上面と前記凹部との間に延在する開孔とを有する、エンドエフェクタ本体、
前記エンドエフェクタ本体に配置された接触パッドであって、前記基板と接触するよう構成された接触面を有する接触パッドヘッドと、前記接触パッドヘッドに連結されたシャフトであって、前記開孔内に受容され、かつ前記凹部内へと延在するシャフトとを更に備え、前記シャフトは、前記接触パッドヘッドの下面とシャフト端部との間に形成されたシャフト窪みを含む、接触パッド、及び
前記接触パッドを前記エンドエフェクタ本体に固定するために、前記シャフトの周囲に受容され、かつ前記シャフト窪み内に載置される、円形固定部材、を備え
、
前記円形固定部材は、前記接触パッドヘッドの前記下面を前記エンドエフェクタ本体の前記上面に固定クランプすることを可能にする固定力を提供するように構成される
、
エンドエフェクタ。
【請求項2】
前記接触面が、8mm~20mmの曲率半径を有するドーム形状を含む、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項3】
前記接触面が、ASME
_B46.1により、45μインチRa~約65μインチRaの表面粗さを有する、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記接触パッドが導電性材料を含む、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項5】
前記接触パッドが、金属がドープされたセラミック、炭化ケイ素、ステンレス鋼、アルミニウム、及びニッケルメッキされたアルミニウム、からなる群から選ばれた導電性材料を含む、請求項4に記載のエンドエフェクタ。
【請求項6】
Tiがドープされたアルミナの3つの接触パッドから実質的になる、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項7】
前記シャフト窪みが環状溝を含む、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項8】
前記環状溝が、共通の底部半径を有する表面輪郭を含む、請求項7に記載のエンドエフェクタ。
【請求項9】
前記円形固定部材が前記シャフト窪み内に載置されると、前記円形固定部材は前記凹部の載置面と接触する、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項10】
前記円形固定部材が前記載置面に押し付けられる、請求項9に記載のエンドエフェクタ。
【請求項11】
前記円形固定部材が、エラストマOリング、ペルフルオロエラストマ、切り欠き金属リング、コイルばね、又は円錐形コイルばね、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項12】
前記円形固定部材が、前記シャフトの外径よりも小さな内径、又は前記シャフト窪みの最小直径よりも小さな内径、を備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項13】
前記上面が、前記エンドエフェクタ本体の下方平面から隆起したスポット面を含む、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項14】
エンドエフェクタのエンドエフェクタ本体に固定されるよう適合した接触パッドであって、
基板と接触するよう構成された接触面を有する接触パッドヘッドと、
前記接触パッドヘッドに連結されたシャフトであって、前記接触パッドヘッドの下面とシャフト端部との間に形成されたシャフト窪みを含む、シャフトと、
前記シャフトの周囲に受容され、かつ前記シャフト窪み内に載置される円形固定部材であって、前記接触パッドを前記エンドエフェクタ本体に固定するよう構成された円形固定部材と、を備え
、
前記円形固定部材は、前記接触パッドヘッドの前記下面を前記エンドエフェクタ本体の上面に固定クランプすることを可能にする固定力を提供するように構成される
、
接触パッド。
【請求項15】
電子デバイス製造において基板を搬送するよう適合したエンドエフェクタをメンテナンスする方法であって、
前記エンドエフェクタのエンドエフェクタ本体を提供することであって、前記エンドエフェクタ本体が、上面及び底面と、前記底面から前記エンドエフェクタ本体内へと延在する凹部と、前記上面と前記凹部との間に延在する開孔とを有する、エンドエフェクタ本体を提供することと、
接触パッドを提供することであって、前記接触パッドが、前記基板と接触し、かつ前記基板を支持するよう構成された接触面を有する接触パッドヘッドと、前記接触パッドヘッドに連結されたシャフトであって、前記接触パッドヘッドの下面とシャフト端部との間に形成されたシャフト窪みを含むシャフトとを有する、接触パッドを提供することと、
円形固定部材を提供することと、
前記開孔を通して前記凹部内へと、前記シャフトを挿入することと、
前記接触パッドを前記エンドエフェクタ本体に固定するために、前記円形固定部材を、前記シャフト窪み内に載置されるように前記シャフトの周囲に固定することと、を含
み、
前記円形固定部材は、前記接触パッドヘッドの前記下面を前記エンドエフェクタ本体の前記上面に固定クランプすることを可能にする固定力を提供するように構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、電子デバイス製造に関し、より具体的には、エンドエフェクタ装置及び基板を搬送する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]電子デバイス製造において、基板(例えば、シリコン含有ウエハやシリコン含有プレート)は、製造施設を回るように、更に製造機器ツール内で、ロボットによって動かされうる。このロボットは、一又は複数のエンドエフェクタが連結されたロボットアームを含んでよく、かかるエンドエフェクタは、上記のような搬送中に、基板に接触し、基板を支持しうる。エンドエフェクタは、(通常3つの)接触パッドを含み、かかる接触パッドは、基板を支持する隆起した接触面を提供する。
【発明の概要】
【0003】
[0003]第1の態様では、エンドエフェクタが提供される。エンドエフェクタは、基板を支持するよう構成されており、かつエンドエフェクタ本体であって、上面及び底面と、底面から本体内へと延在する凹部と、本体に形成され、かつ上面と凹部との間に延在する開孔とを有する、エンドエフェクタ本体、エンドエフェクタ本体に配置された接触パッドであって、基板と接触するよう構成された接触面を有する接触パッドヘッドと、接触パッドヘッドに連結されたシャフトであって、開孔内に受容され、かつ凹部内へと延在するシャフトとを更に備え、このシャフトが、接触パッドヘッドの下面とシャフト端部との間に形成されたシャフト窪み(indent)を含む、接触パッド、及び接触パッドをエンドエフェクタ本体に固定するために、シャフトの周囲に受容され、かつシャフト窪み内に載置される、円形固定部材、を含む。
【0004】
[0004]別の態様では、エンドエフェクタのエンドエフェクタ本体に固定されるよう適合した接触パッドが提供される。この接触パッドは、基板と接触するよう構成された接触面を有する接触パッドヘッドと、接触パッドヘッドに連結されたシャフトであって、接触パッドヘッド108Hの下面とシャフト端部との間に形成されたシャフト窪みを含む、シャフトと、シャフトの周囲に受容され、かつシャフト窪み内に載置される円形固定部材であって、接触パッドをエンドエフェクタ本体に固定するよう構成された円形固定部材と、を含む。
【0005】
[0005]方法の態様では、電子デバイス製造において基板を搬送するよう適合したエンドエフェクタを、メンテナンスする方法が提供される。この方法は、エンドエフェクタのエンドエフェクタ本体を提供することであって、エンドエフェクタ本体が、上面及び底面と、底面からエンドエフェクタ本体内へと延在する凹部と、上面と凹部との間に延在する開孔とを有する、エンドエフェクタ本体を提供することと、接触パッドを提供することであって、接触パッドが、基板と接触し、基板を支持するよう構成された接触面を有する接触パッドヘッドと、接触パッドヘッドに連結されたシャフトであって、接触パッドヘッドの下面とシャフト端部との間に形成されたシャフト窪みを含むシャフトとを有する、接触パッドを提供することと、円形固定部材を提供することと、開孔を通して凹部内へと、シャフトを挿入することと、接触パッドをエンドエフェクタ本体に固定するために、円形固定部材を、シャフト窪み内に載置されるようにシャフトの周囲に固定することと、を含む。
【0006】
[0006]以下の詳細説明、付随する特許請求の範囲、及び添付図面から、本開示の他の特徴及び態様が、より網羅的に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0007]本開示の実施形態にしたがって提供される、一又は複数の交換可能な接触パッドを含むエンドエフェクタの一例の斜視図を示す。
【
図2A】[0008]本開示の実施形態の一部による、交換可能な接触パッドを含むエンドエフェクタの一部分を
図1の2A-2Aに沿って切った、部分断面図を示す。
【
図2B】[0009]本開示の実施形態による、
図2Aのエンドエフェクタの一部分の底面図であり、交換可能な接触パッドを内部に受容するよう構成された凹部及び開孔を示している(図解のために、交換可能な接触パッドは除去された状態である)。
【
図2C】[0010]本開示の実施形態による、
図2Aのエンドエフェクタの一部分の底面図であり、凹部及び開孔の中に設置され、かつ円形固定部材で固定された交換可能な接触パッドを示している。
【
図2D】[0011]本開示の実施形態の一部による、交換可能な接触パッドの例示的な接触パッド本体の側方断面図を示す。
【
図3A】[0012]本開示の実施形態の一部による、Oリングを含む
図2Aの円形固定部材の上面図を示す。
【
図3B】[0013]本開示の実施形態の一部による、
図3Aの3B-3Bに沿って切った、交換可能な接触パッドのOリングを含む
図3Aの円形固定部材の側方断面図を示す。
【
図4A】[0014]本開示の代替的な一実施形態による、320℃を上回る高温工程に適合した例示的な交換可能な接触パッドを含むエンドエフェクタの一部分の側方断面図を示す。
【
図4B】[0015]本開示のこの代替的な実施形態による、
図4Aの円形切り欠き金属リングを含む円形固定部材の上面図を示す。
【
図4C】[0016]本開示のこの代替的な実施形態による、
図4Bの4C-4Cに沿って切った、交換可能な接触パッドの円形切り欠き金属リングを含む円形固定部材の側方断面図を示す。
【
図5A】[0017]本開示の代替的な一実施形態による、320℃を上回る高温工程に適合した例示的な交換可能な接触パッドを含むエンドエフェクタの一部分の側方断面図を示す。
【
図5B】[0018]本開示の代替的な実施形態による、
図5Aの円錐コイルばねを含む円形固定部材の側面図を示す。
【
図6】[0019]本開示の一又は複数の実施形態により提供される、交換可能な接触パッドを含むエンドエフェクタを有する移送ロボットを含む電子デバイス製造装置の上面概略図を示す。
【
図7】[0020]本開示の一又は複数の実施形態により提供される、エンドエフェクタをメンテナンスする方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0021]電子デバイス製造のプロセスでは、電子部品(電子チップ又はその電子サブコンポーネントなど)を作製するよう構成された基板(例えばシリコンウエハやシリコン含有プレートなど)は、多くの場合一又は複数のロボットを使用することにより、いくつかの製造ステップを通るように動かされる。ロボットは、かかる移動中に基板を支持するエンドエフェクタを含む。基板を非常に迅速に移動させることで、スループットを増大させることが可能であり、その結果、作製される電子部品の製造コストが削減されうる。
【0009】
[0022]しかし、搬送中に基板がロボットのエンドエフェクタの接触面上で摺動すると(この場合に限定するわけではないが)、急速な動きにより粒子が発生しうる。ゆえに、エンドエフェクタ上での基板の摺動を最小化することが好ましい。従来型のエンドエフェクタは、基板の摺動を低減するために、一体的に機械加工された接触パッドを含んでいる。詳細には、一体的に機械加工された接触パッドは、基板と接触して基板を支持すると共に低い摺動傾向を提供するという表面特性を有する、ドーム型接触面を含んでいる。一体的に機械加工された接触パッドの各々は、特定のドーム型外形及び表面粗さを有する機械加工された接触面を有することがあり、これにより、この接触面上で基板が摺動する可能性が低減されうる。しかし、一体的に機械加工されたエンドエフェクタ接触パッドが摩耗すること、及びシリコン粒子/ダストによりそれが汚染されることにより、接触パッド上で基板が摺動する傾向が増大することがあり、ひいては、エンドエフェクタの耐用寿命が限定されうる。基板の摺動を防止するために、エンドエフェクタ全体が定期的に交換される。
【0010】
[0023]本開示の実施形態によると、摩耗すれば迅速に代替及び交換されうる、交換可能な接触パッドが提供される。ゆえに、低摺動のエンドエフェクタを継続的に提供する全体的なコストが、劇的に削減される。
【0011】
[0024]交換可能な接触パッドを有するエンドエフェクタ、交換可能な接触パッド、及びエンドエフェクタをメンテナンスする方法の、上記の実施形態及びその他の実施形態について、以下で
図1から
図7を参照しつつ説明する。
【0012】
[0025]
図1は、基板101(その一部分を点線で示している)を支持するよう構成されたエフェクタ100であって、交換可能な一又は複数の接触パッド108を含むエンドエフェクタ100の、第1の例示的な実施形態を示している。図示している実施形態では、エンドエフェクタ100は、実質的に3つの接触パッド108からなる。しかし、他の実施形態は、それ以外の数の接触パッド108を含むこともある。
【0013】
[0026]エンドエフェクタ100は、上面102T(
図2A参照)及び底面102Bを有するエンドエフェクタ本体102で構成されている。上面102Tは、3つのスポット面であって、その下方にあるエンドエフェクタ本体102の平面102PSの上方に隆起している3つのスポット面を包含する、平面を含みうる。エンドエフェクタ本体102は、その内側端部104Iで、ロボットの構成要素に(例えば、
図6に記載のロボットリストなどの第3アーム653に)連結するか又は相互接続するよう構成される。連結は、ボア105を通って受容され、ひいてはエンドエフェクタ100を第3アーム653(例えばリスト部材)に連結する、ファスナ(図示せず)によるものでありうる。連結は、第3アーム653と直接行われることも、エンドエフェクタ100がセラミック材料又はガラス材料から作られている場合にはその亀裂を低減するために、米国特許第10,090,188号に記載しているように、装着プレート654(
図6参照)といった中間構成要素を通じて行われることもある。
【0014】
[0027]エンドエフェクタ本体102の外側端部104Oは、第1分岐端(fork)107A及び第2分岐端107Bを含んでよく、分岐端の各々は、接触パッド108を受容し、支持するよう構成されうる。外側端部104Oの2つの接触パッド108と、内側端部104Iの近位の第3の接触パッド108とは、その上に基板101を支持する、安定した3点接触を提供しうる(
図1及び
図2には基板101の一部分のみを図示している)。基板101は、内側棚部109Iと外側棚部109Oとの間で、エンドエフェクタ100の接触パッド108上に支持されることが可能であり、内側棚部109Iは、基板101とほぼ同じ半径の弓形段部でありうる。内側棚部109Iと外側棚部109Oのそれぞれの間の間隔は、基板101よりも若干(例えば数mm)大きいものであってよく、例えば、寸法111は、基板101の300mm直径若しくは450mm直径又はその他の寸法よりも、若干大きな直径である。図示しているもの以外の、エンドエフェクタ本体102のその他の構成も使用されうる。
【0015】
[0028]
図2Aから
図2Cに最もよく示しているように、エンドエフェクタ本体102の底面102Bは、そこに形成された凹部214を含む。凹部114は、円形であってよく、底面102Bから深さHRまで、エンドエフェクタ本体102内に延在しうる。開孔215が、エンドエフェクタ本体102に形成され、上面102Tと凹部214との間に延在する。凹部214は、例えば、5mm~10mmの凹部直径DRと、1.1mm~2.0mmの凹部高さHRとを有しうる。開孔215は、例えば、2.8mm~4.8mmの開孔直径DAと、0.85mm~1.1mmの開孔高さHAとを有しうる。その他の直径、並びに高さ及び深さが使用されることもある。各寸法は、450mm直径の基板と共に使用されるように、もっと大きいこともある。
【0016】
[0029]エンドエフェクタ本体102は、剛性材料(ガラス、セラミック、又は金属の材料など)から製造されうる。例えば、セラミック(アルミナなど)、又は金属がドープされたセラミック(金属がドープされたアルミナなど)が使用されうる。Tiがドープされたアルミナは、エンドエフェクタ本体102の導電性が望まれる、320℃を上回る高温応用では、良好な選択肢であることが分かっている。しかし、より低い温度では、ガラス又はセラミックの材料も使用されうる。一部の実施形態では、エンドエフェクタ100は、250℃と650℃との間の温度で、又は、一部の実施形態では320℃を上回る温度でも、使用されうる。オプションで、エンドエフェクタ本体102は、例えば、金属(ステンレス鋼又はアルミニウムなど)でありうる。その他の好適な金属又は合金も使用されうる。
【0017】
[0030]代表的な接触パッド108について、以下でより詳細に説明する。ここで
図2A及び
図2Cから
図3Bを参照するに、エンドエフェクタ本体102に配置される接触パッド108が図示されている。接触パッド108は、基板101に接触するよう構成されている接触面210を有する、接触パッドヘッド208Hを含む。接触面210は、例えば、8mm~20mmの曲率半径210R(
図2D参照)を有する、ドーム形状を含みうる。接触面210は、ASMEB46.1(2009)による、45μインチRa~65μインチRaの表面粗さを有しうる。接触パッドヘッド208Hは、例えば、1.0mm~2.0mmの接触パッド高さHPを有しうる。接触パッドヘッド208Hは、例えば、6.0mm~12.0mmの接触パッド径DPを有しうる。その他の好適な接触面寸法、外形、半径、及び表面粗さが使用されることもある。
【0018】
[0031]接触パッド108は、接触パッドヘッド208Hに連結されたシャフト212を更に含み、シャフト212は、開孔215内に受容される。接触パッドヘッド208Hとシャフト212とは、ワンピース構成要素として一体的に形成されうる。シャフト212は更に、接触パッドヘッド208Hの下面213から凹部214内へと、距離DSだけ延在しうる。シャフト212は、シャフト212に形成されたシャフト窪み216を含む。シャフト212は、基板の位置付けに干渉しないように、エンドエフェクタ本体102の底面102Bの下方へと延在するべきではない。シャフト窪み216は、溝(例えば環状溝)の形態で設けられてよく、かつ、シャフト212の。接触パッドヘッド208Hの下面213とシャフト112のシャフト端部212Eとの間のある箇所に形成されうる。
【0019】
[0032]シャフト窪み216は、共通の底部半径RIの弓形底部(
図2D参照)を有する表面輪郭を含みうる。シャフト212の最小寸法222(例えば最小直径)は、接触パッドヘッド208Hの下面213から距離DIのところに位置付けられうる。半径RIは、例えば、0.59mm~1.2mmでありうる。距離DIは、例えば、1.2mm~1.9mmでありうる。半径中心は、例えば、1.7mmから2.9mmの距離DRのところに位置付けられうる。使用される円形固定部材218のサイズに応じて、半径RI、距離DI、及び距離DRとしてその他の寸法が使用されることもある。
【0020】
[0033]接触パッド108をエンドエフェクタ本体102に固定するために、円形固定部材218が、シャフト212の周囲に受容され、かつシャフト窪み216内に載置される。円形固定部材218は、シャフト窪み216内に載置されると、凹部214の載置面214Sに接触し、かつシャフト窪み216の少なくとも一部とも接触する。図示している実施形態では、円形固定部材218は、Oリングであって、設置された状態では載置面214Sに押し付けられる、Oリングを含む。Oリングは、エラストマ材料(例えば、DUPONT PERFORMANCE ELASTOMERSからKALREZ(登録商標)として入手可能なペルフルオロエラストマ、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)とフッ化ビニリデン(VDF又はVF2)とのコポリマー、及びThe Chemours CompanyからVITON(登録商標)として入手可能なもの)、又はその他の任意の好適な高温エラストマ、から製造されうる。エラストマのOリングは、最高で約316℃で使用可能である。
【0021】
[0034]窪み半径RIによって決まるシャフト窪み216のサイズ、距離DIによって決まるシャフト窪み216の場所、及び円形固定部材218のサイズは、接触パッドヘッド208Hの下面213を上面102Tに固定クランプすることを可能にする固定力が提供されるように選択されうる。例えば、0.5ポンド~5.0ポンドの、又はそれ以上のクランプ力が実現されうる。円形固定部材218は、シャフト212の外径220(
図2D参照)よりも小さな内側寸法218I(例えば内径)を備えてよく、これにより、円形固定部材218がシャフト212のシャフト窪み216内に保持されうる。更に、円形固定部材218は、シャフト窪み216内に安定的に嵌合するよう、シャフト窪み216の最小直径222よりも小さな内側寸法218I(例えば内径)を備えうる。シャフト212の外径220は、例えば、2.9mm~5.7mmでありうる。シャフト窪み216の最小直径222は、例えば、2.2mm~4.5mmでありうる。外径220及び最小直径222として、その他の寸法も使用されうる。
【0022】
[0035]一部の実施形態では、接触パッド108は、導電性材料(導電性のセラミック若しくは金属など)で構成されうるか、又はかかる導電性材料を含みうる。例えば、接触パッド108は、導電性セラミック材料から製造されうる。導電性が求められる場合、金属がドープされたセラミックが使用されることもある。任意の好適な金属がドープされたセラミック(Tiがドープされたアルミナなど)は、導電性が求められる高温応用では良好な選択肢でありうる。炭化ケイ素又はドープされた炭化ケイ素が使用されることもある。
【0023】
[0036]オプションで、接触パッド108は、金属(ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルめっきされたアルミニウムなど)、又はその他の低導電性セラミック(例えばジルコニアやアルミナなど)から作製されうる。導電性が求められる場合、接触パッド108の導電性は、接触パッド108上に支持される基板101上に静電荷があればそれを接地させるために、エンドエフェクタ本体102を通る接地経路の一部として作用するのに十分なものであるべきである。
【0024】
[0037]
図2Aに示しているように、上面102Tは、エンドエフェクタ本体102の下方平面102PSから隆起したスポット面を含む。スポット面は、平面であって、その上に接触パッド108が載置される平面を提供する。スポット面は、円形であってよく、そのサイズは、接触パッドヘッド108Hの接触パッド径DPと同程度であっても、それを上回るものであってもよい。その他の形状及びサイズも使用されうる。図示している実施形態では、上面102Tは、下方平面102PSから、隆起した距離DFだけ離間していてよい。距離DFは、例えば、1.92mm~3.8mmでありうる。隆起した距離DFは、接触パッド108を支持するのに十分な量の材料を提供可能であり、この距離DFにより、かかる材料の亀裂が回避されうる。その他の距離DFが使用されることもある。
【0025】
[0038]
図4Aから
図4Cは、基板101を支持するよう適合したエンドエフェクタ400であって、一又は複数の交換可能な接触パッド408を含むエンドエフェクタ400の、代替的な一実施形態を示している。例えば、3つの接触パッド408が、接触パッド108と同様に、エンドエフェクタ本体102に付加されうる。詳細には、エンドエフェクタ本体102は本書で前述したものと同じであるが、
図4Aから
図4Cに示している接触パッド408は、高温用途(例えば250℃と650℃との間、又は320℃を上回るもの)向けに構成されている。エンドエフェクタ400のこの実施形態は、前述したように、基板101を支持するよう構成されており、かつ、エンドエフェクタ本体102であって、上面102T及び底面102Bと、底面102Bからエンドエフェクタ本体102内へと延在する凹部214と、エンドエフェクタ本体102に形成され、かつ上面102Tと凹部214との間に延在する開孔215とを有する、エンドエフェクタ本体102を備える。
【0026】
[0039]エンドエフェクタ本体102に配置された接触パッド408は、本書で前述したように基板101に接触するよう構成された接触面210を有する接触パッドヘッド208Hと、接触パッドヘッド208Hに連結されたシャフト412であって、開孔215内に受容され、かつ凹部214内へと延在するシャフト412と、を備える。シャフト412は、接触パッドヘッド208Hの下面213とシャフト端412Eとの間に形成されたシャフト窪み416を含む。シャフト窪み416は、任意の好適な形状(例えば、図示しているすり鉢状の側部と円筒状の底部とを含む形状)を含みうる。
【0027】
[0040]接触パッド408をエンドエフェクタ本体102に固定するために、円形固定部材418が、シャフト412の周囲に受容され、かつシャフト窪み416内に載置される。
図4B及び
図4Cに示しているように、円形固定部材418は、切り欠き418C(図示している径方向の切り欠きなど)を有する円形本体418Bを含みうる。円形本体418Bは、剛性材料(金属など)から製造されうる。詳細には、この材料は、例えば、250℃を上回る温度での、320℃を上回る温度での、又は250℃~650℃の温度であっても、持続される工程に耐えうる金属であるべきである。円形固定部材418は、少なくとも部分的に、ばねとして作用しうるので、引張強度が非常に高い材料(ミュージックワイヤ又は17-4PH鋼など)から作製されうる。円形本体418Bの内径418Iは、シャフト412の外径220よりも小さい。円形固定部材418の内径418I及び最大寸法418Dは、円形固定部材418と接触パッドヘッド208Hの下面213との間にクランプ力を発生させるよう選択されうる。ゆえに、円形固定部材418は、設置される際には、窪み416内に載置された拡張状態で、すなわち、切り欠き418Cが、
図4Bに示しているその
自由状態(
free condition)よりも大きくなっている状態で、提供されうる。
【0028】
[0041]
図5A及び5Bは、一又は複数の交換可能な接触パッド508を含むエンドエフェクタ500の別の実施形態を示しており、接触パッド508は、高温用途(例えば、250℃を上回る温度、250℃~650℃の温度、又は320℃さえ上回る温度で持続される工程など)に耐えるよう構成されている。
図4Aの実施形態と
図5Aの実施形態との間の唯一の違いは、円形固定部材518の構成である。この実施形態では、円形固定部材518はコイルばね(図示している円錐形コイルばねなど)を含む。円形固定部材518は、複数のコイル518C(図示している螺旋コイルなど)を含みうる。円錐形コイルばねの場合、コイル518Cは、小直径と大直径の両方のコイルを含みうる。最小内径518Iを有する最底部のコイルは、シャフト212の最大外径220よりも小さい。ゆえに、コイルばねを含む円形固定部材518は、設置される際には、圧縮状態で提供され、これにより、クランプ力が作用して、接触パッドヘッド108Hの下面213を、上面102Tに安定的にクランプ係合させる。コイルばねを含む円形固定部材518のばね定数は、特定のクランプ力(例えば0.5ポンド以上、例としては0.5ポンド~5ポンド又はそれ以上)を実現するよう選択されうる。
【0029】
[0042]シャフト212に様々な円形固定部材218、418、518を設置するために、例えば好適な組立ツールの助けを借りて、円形固定部材の小さな内側寸法が、それよりも大きなシャフト端部212Eの外径220に被さるようにスナップ嵌めされうる。それぞれの場合において、円形固定部材218、418、518の可撓性により、小さな内側寸法218I、418I、518Iがそれよりも大きな寸法に被さるように拡張してから、円形固定部材218、418、518がそれぞれのシャフト窪み216、416(例えば溝)に載置されることが、可能になる。
図4A及び
図5Aに示しているように、シャフト端部212Eは、円形固定部材218、418、518をシャフト212にスナップ嵌めするのを支援するために、アール(radius)又はテーパを含みうる。
【0030】
[0043]
図6は、基板101(図解のために点線で示している)を支持するエンドエフェクタ100を有する移送チャンバロボット650を含む、電子デバイス製造装置600の例示的な一実施形態を示しており、基板101は、本書に記載の交換可能な接触パッド上に支持されている。電子デバイス製造装置600は、移送チャンバ648に連結されたいくつかの処理チャンバ655(点線で示している)を含みうる。移送チャンバ648は、移送チャンバ(TC)ロボット650を収納していることがある。TCロボット650は、第1アーム651、第2アーム652、及び第3アーム653(例えば、ロボットリスト)を有しうる。エンドエフェクタ100は、例えば装着プレート654を通じて、第3アーム653に連結される。エンドエフェクタ100は、その上の基板101(例えば半導体ウエハやガラスプレートなど)に接触し、その上に基板101を支持しうる。
【0031】
[0044]処理ツール600の移送チャンバ648は、一又は複数のロードロックチャンバ656を介して、ファクトリインターフェース662に接続されうる。ファクトリインターフェース662は、ファクトリインターフェース(FI)ロボット661を収納していることがある。FIロボット661は、エンドエフェクタ(図示していないが、エンドエフェクタ100と実質的に同一である)を含んでよく、このエンドエフェクタは、本書に記載の交換可能な接触パッド108、408、508のいずれかを有しうる。
【0032】
[0045]基板キャリア664が、ファクトリインターフェース662の前面壁に取り外し可能に接続されてよく、基板キャリア664内の基板101は、基板キャリア664と一又は複数のロードロックチャンバ656との間で、FIロボット661によって動かされうる。
【0033】
[0046]処理ツール600は、コントローラ665に連結されうる。コントローラ665は、基板101の移動及び処理を制御しうる。コントローラ665は、例えば、中央処理装置(CPU)、サポート回路、及びメモリを含みうる。稼働中、TCロボット650は、コントローラ665からのコマンドを受けて、例えば様々なプロセスチャンバ655とロードロックチャンバ656との間、又は種々のプロセスチャンバ655同士の間で基板101を移動させるよう、操作されうる。
【0034】
[0047]製造プロセスが進行する際に、連動して動作するFIロボット661とTCロボット650とが、基板キャリア664と処理チャンバ655との間で基板101を移動させうる。様々な電子デバイス製造プロセス(例えば、酸化、薄膜堆積、エッチング、熱処理、ガス抜き、冷却などといった半導体デバイス製造プロセスなど)が、プロセスチャンバ655内で行われうる。
【0035】
[0048]製造プロセスを高速化し、結果として製造コストを削減するためには、基板101を可能な限り迅速に移動させることが望ましいことがあるので、運動、位置付け、位置ずれ補正などによって、接触パッド108、408、508にいくらかの磨耗が生じうる。ゆえに、時には、例えば数時間の使用の後に、又はその他の基準で、メンテナンス工程においてエンドエフェクタ100、400、500を交換することが望ましい場合がある。
【0036】
[0049]
図7は、(例えば電子デバイス製造装置600などにおける)電子デバイス製造において、基板(例えば基板101)を搬送するよう適合しているエンドエフェクタ(例えばエンドエフェクタ100、400、500など)をメンテナンスする方法の、フロー図を示している。方法700は、ブロック702において、エンドエフェクタ(例えばエンドエフェクタ100、400、500など)のエンドエフェクタ本体(例えばエンドエフェクタ本体102)であって、上面(例えば上面102T)及び底面(例えば底面102B)と、底面(例えば底面102B)からエンドエフェクタ本体(例えばエンドエフェクタ本体102)内へと延在する凹部(例えば凹部214)と、上面(例えば上面102T)と凹部(例えば凹部214)との間に延在する開孔(例えば開孔215)とを有する、エンドエフェクタ本体を提供することを含む。
【0037】
[0050]方法700は、ブロック704において、接触パッド(例えば接触パッド108、408、508など)であって、基板(例えば基板101など)と接触し、かつこの基板を支持するよう構成された接触面(例えば接触面210)を有する接触パッドヘッド(例えば接触パッドヘッド208H)と、接触パッドヘッド(例えば接触パッドヘッド208H)に連結されたシャフト(例えばシャフト212)であって、接触パッドヘッド(例えば接触パッドヘッド208H)の下面(例えば下面213)とシャフト端部(例えばシャフト端部212E)との間に形成されたシャフト窪み(例えばシャフト窪み216)を含むシャフト(例えばシャフト212)とを有する、接触パッドを提供することを、更に含む。
【0038】
[0051]方法700は、ブロック706において、円形固定部材(例えば円形固定部材218、418、518など)を提供することと、ブロック708において、開孔(例えば開孔215)を通して凹部(例えば凹部214)内へとシャフト(例えばシャフト212)を挿入することと、ブロック710において、接触パッド(例えば接触パッド108、408、508)をエンドエフェクタ本体(例えばエンドエフェクタ本体102)に固定するために、円形固定部材(例えば円形固定部材218、418、518など)を、シャフト窪み(例えばシャフト窪み216)内に載置されるようにシャフト(例えばシャフト212)の周囲に固定することと、を更に含む。
【0039】
[0052]上述の説明は、本開示の例示的な実施形態について開示している。この開示の範囲に含まれる、上記で開示した接触パッド装置、エンドエフェクタ、及びメンテナンス方法の修正例も、当業者には容易に自明となろう。したがって、他の実施形態も、以下の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲に含まれうると、理解されるべきである。