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特許7290988アライメント装置、成膜装置、アライメント方法、成膜方法および電子デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】アライメント装置、成膜装置、アライメント方法、成膜方法および電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20230607BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20230607BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230607BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H05B33/10
H05B33/14 A
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019086391
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020183546
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 康信
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/110953(WO,A1)
【文献】特開2008-007819(JP,A)
【文献】特開2006-176809(JP,A)
【文献】特開2004-303559(JP,A)
【文献】登録実用新案第3195992(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0170785(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
H05B 33/10
H10K 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とマスクの位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記基板を支持する基板支持手段と、
前記基板支持手段と接続されており、前記基板支持手段に支持された前記基板を並進または回転させるアライメントステージと、
前記アライメントステージを駆動する制御部と、
前記基板に設けられた基板アライメントマークを検出して位置情報を取得する位置取得手段と、
を有し、
前記制御部は、
前記アライメントステージの中心であるステージ中心位置を中心として所定の角度前記アライメントステージを回転させつつ、前記位置取得手段に記基板アライメントマークの位置情報を複数回取得させ
取得された少なくとも3つの前記位置情報に対応する点を通る円の中心点の位置情報として算出された前記ステージ中心位置の情報に基づいて、前記基板または前記基板とは別の第2の基板の中心である基板中心位置が、前記ステージ中心位置を通る前記アライメントステージの回転軸上に来るように、前記基板または前記第2の基板を前記基板支持手段に対して相対的に移動させる
ことを特徴とするアライメント装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記基板または前記第2の基板が前記回転軸上に来た状態で、前記アライメントステージを駆動して前記基板と前記マスクの位置合わせを行う
ことを特徴とする請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項3】
前記アライメントステージに接続されており、前記マスクを支持するマスク支持手段をさらに有し、
前記制御部は、前記マスクの中心であるマスク中心位置が前記回転軸上に来るように前記マスクを移動させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のアライメント装置。
【請求項4】
前記ステージ中心位置の情報を記憶する記憶部をさらに有し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記ステージ中心位置の情報に基づいて、前記基板支持手段が前記第2の基板を支持するときの位置関係を決定する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記アライメントステージが備えるアクチュエータに制御信号を送信することにより、前記アライメントステージによる前記基板の移動を制御する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項6】
前記位置取得手段は、前記基板アライメントマークを光学撮像するカメラを備える
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記アライメントステージの中心であるステージ中心位置を中心として前記所定の角度前記アライメントステージを回転させつつ、前記位置取得手段に前記基板アライメントマークの位置情報を少なくとも3回取得させ、
前記位置取得手段が取得した少なくとも3つの前記基板アライメントマークの位置情報に基づいて前記ステージ中心位置の情報を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載のアライメント装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記位置取得手段が取得した少なくとも3つの前記基板アライメントマークの位置情報に基づいて算出された少なくとも3つの点を通る円弧を含む円の中心の位置情報を前記ステージ中心位置の情報として算出する
ことを特徴とする請求項7に記載のアライメント装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記アライメントステージの中心であるステージ中心位置を中心として前記所定の角度前記アライメントステージを回転させつつ、前記位置取得手段に前記基板アライメントマークのうち前記基板の一隅にある第1の基板アライメントマークと対角にある第2の基板アライメントマークの位置情報と前記第1の基板アライメントマークの位置情報を少なくとも2回取得させ、
前記制御部は、前記位置取得手段が取得した少なくとも2つの前記第1の基板アライメントマークの位置情報と少なくとも2つの前記第2の基板アライメントマークの位置情報に基づいて前記ステージ中心位置の情報を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載のアライメント装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記カメラが第1のタイミングで取得した前記第1の基板アライメントマークと前記第2の基板アライメントマークを結ぶ直線と、前記カメラが第2のタイミングで取得した前記第1の基板アライメントマークと前記第2の基板アライメントマークを結ぶ直線と、の交点の位置情報を前記ステージ中心位置の情報として算出する
ことを特徴とする請求項9に記載のアライメント装置。
【請求項11】
基板とマスクの位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記マスクを支持するマスク支持手段と、
前記マスク支持手段と接続されており、前記マスク支持手段に支持された前記マスクを並進または回転させるアライメントステージと、
前記アライメントステージを駆動する制御部と、
前記マスクに設けられたマスクアライメントマークを検出して位置情報を取得する位置
取得手段と、
を有し、
前記制御部は、
前記アライメントステージの中心であるステージ中心位置を中心として所定の角度前記アライメントステージを回転させつつ、前記位置取得手段に記マスクアライメントマークの位置情報を複数回取得させ
取得された少なくとも3つの前記位置情報に対応する点を通る円の中心点の位置情報として算出された前記ステージ中心位置の情報に基づいて記マスクの中心であるマスク中心位置が、前記ステージ中心位置を通る前記アライメントステージの回転軸上に来るように、前記マスクを前記マスク支持手段に対して相対的に移動させる
ことを特徴とするアライメント装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記マスクが前記回転軸上に来た状態で、前記アライメントステージを駆動して前記基板と前記マスクの位置合わせを行う
ことを特徴とする請求項11に記載のアライメント装置。
【請求項13】
前記アライメントステージに接続されており、前記基板を支持する基板支持手段をさらに有し、
前記制御部は、前記基板の中心である基板中心位置が、前記マスク中心位置とともに前記回転軸上に来るように前記基板を移動させる
ことを特徴とする請求項11または12に記載のアライメント装置。
【請求項14】
前記ステージ中心位置の情報を記憶する記憶部をさらに有し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記ステージ中心位置の情報に基づいて、前記マスク支持手段が前記ステージ中心位置の取得に用いたマスクとは別のマスクを支持するときの、前記マスク支持手段と前記別のマスクの位置関係を決定する
ことを特徴とする請求項1113のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記アライメントステージが備えるアクチュエータに制御信号を送信することにより、前記アライメントステージによる前記マスクの移動を制御する
ことを特徴とする請求項1114のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項16】
前記位置取得手段は、前記マスクアライメントマークを光学撮像するカメラを備える
ことを特徴とする請求項1115のいずれか1項に記載のアライメント装置。
【請求項17】
前記制御部は、
前記アライメントステージの中心であるステージ中心位置を中心として前記所定の角度前記アライメントステージを回転させつつ、前記位置取得手段に前記マスクアライメントマークの位置情報を少なくとも3回取得させ、
前記位置取得手段が取得した少なくとも3つの前記マスクアライメントマークの位置情報に基づいて前記ステージ中心位置の情報を算出する
ことを特徴とする請求項16に記載のアライメント装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記位置取得手段が取得した少なくとも3つの前記マスクアライメントマークの位置情報に基づいて算出された少なくとも3つの点を通る円弧を含む円の中心の位置情報を前記ステージ中心位置の情報として算出する
ことを特徴とする請求項17に記載のアライメント装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記アライメントステージの中心であるステージ中心位置を中心として前記所定の角
度前記アライメントステージを回転させつつ、前記位置取得手段に前記マスクアライメントマークのうち前記マスクの一隅にある第1のマスクアライメントマークと対角にある第2のマスクアライメントマークの位置情報と前記第1のマスクアライメントマークの位置情報を少なくとも2回取得させ、
前記制御部は、前記位置取得手段が取得した少なくとも2つの前記第1のマスクアライメントマークの位置情報と少なくとも2つの前記第2のマスクアライメントマークの位置情報に基づいて前記ステージ中心位置の情報を算出する
ことを特徴とする請求項16に記載のアライメント装置。
【請求項20】
前記制御部は、前記カメラが第1のタイミングで取得した前記第1のマスクアライメントマークと前記第2のマスクアライメントマークを結ぶ直線と、前記カメラが第2のタイミングで取得した前記第1のマスクアライメントマークと前記第2のマスクアライメントマークを結ぶ直線と、の交点の位置情報を前記ステージ中心位置の情報として算出する
ことを特徴とする請求項19に記載のアライメント装置。
【請求項21】
基板およびマスクが内部に配置されるチャンバと、前記マスクを介して前記基板に蒸着材料を蒸着させる蒸発源と、アライメント装置と、を備える成膜装置であって、
前記アライメント装置は、請求項1~20のいずれか1項に記載のアライメント装置であることを特徴とする成膜装置。
【請求項22】
基板を支持する基板支持手段と、前記基板支持手段に支持された前記基板を並進または回転させるアライメントステージと、前記アライメントステージを駆動する制御部と、前記基板に設けられた基板アライメントマークを検出して位置情報を取得する位置取得手段と、を有するアライメント装置において、基板とマスクの位置合わせを行うアライメント方法であって、
前記制御部が前記アライメントステージの中心であるステージ中心位置を中心として所定の角度前記アライメントステージを回転させる間に、前記位置取得手段が、前記基板アライメントマークの位置情報を複数回取得するステップと、
前記制御部が、取得された少なくとも3つの前記位置情報に対応する点を通る円の中心点の位置情報として算出された前記ステージ中心位置の情報に基づいて、前記基板または前記基板とは別の第2の基板の中心である基板中心位置が、前記ステージ中心位置を通る前記アライメントステージの回転軸上に来るように、前記基板または前記第2の基板を前記基板支持手段に対して相対的に移動させるステップと、
を有することを特徴とするアライメント方法。
【請求項23】
マスクを支持するマスク支持手段と、前記マスク支持手段に支持された前記マスクを並進または回転させるアライメントステージと、前記アライメントステージを駆動する制御部と、前記マスクに設けられたマスクアライメントマークを検出して位置情報を取得する位置取得手段と、を有するアライメント装置において、基板とマスクの位置合わせを行うアライメント方法であって、
前記制御部が前記アライメントステージの中心であるステージ中心位置を中心として所定の角度前記アライメントステージを回転させる間に、前記位置取得手段が、前記マスクアライメントマークの位置情報を複数回取得するステップと、
前記制御部が、取得された少なくとも3つの前記位置情報に対応する点を通る円の中心点の位置情報として算出された前記ステージ中心位置の情報に基づいて、前記マスクの中心であるマスク中心位置が、前記ステージ中心位置を通る前記アライメントステージの回転軸上に来るように、前記マスクを前記マスク支持手段に対して相対的に移動させるステップと、
を有することを特徴とするアライメント方法。
【請求項24】
基板およびマスクが内部に配置されるチャンバと、前記マスクを介して前記基板に蒸着材料を蒸着させる蒸発源と、アライメント装置と、を備える成膜装置を用いた成膜方法であって、
前記アライメント装置は、請求項22または23に記載のアライメント方法によってアライメントを行うものであり、
前記蒸発源が前記蒸着材料の蒸着を行うステップをさらに有する
ことを特徴とする成膜方法。
【請求項25】
基板に蒸着材料が成膜された電子デバイスの製造方法であって、
基板およびマスクが内部に配置されるチャンバと、前記マスクを介して前記基板に蒸着材料を蒸着させる蒸発源と、アライメント装置と、を備える電子デバイスの製造装置を用いるものであり、
前記アライメント装置は、請求項22または23に記載のアライメント方法によってアライメントを行うものであり、
前記蒸発源が前記蒸着材料の蒸着を行うステップをさらに有する
ことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメント装置、成膜装置、アライメント方法、成膜方法および電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置に用いられるディスプレイには液晶ディスプレイなど様々な種類がある。中でも有機電界発光ディスプレイは、応答速度、視野角、薄型化などの特性が優れており、近年ではモニター、テレビ、スマートフォンなどに利用分野が広がっている。
【0003】
有機電界発光ディスプレイは、互いに対向するカソード電極とアノード電極の間に有機物層が形成された基本構造を有する。有機電界発光ディスプレイの有機物層や、電極となる金属層を形成するために、成膜装置は、真空チャンバ内において、所定のパターンが形成されたマスクを介して、蒸発源からの蒸着材料を基板に蒸着させる。このとき、蒸着物質を基板上の所望の位置に付着させるためには、マスクと基板の相対位置関係を精度良く固定する必要がある。そこで、成膜装置は、アライメント装置を用いて、蒸着開始前にマスクと基板をアライメントすることによって、マスクと基板を精度良く位置決めする。
【0004】
特許文献1(特開2006-176809号公報)は、アライメントステージを備えるアライメント装置を用いた基板とマスクのアライメント方法を開示する。特許文献1のアライメント装置では、基板とマスクそれぞれに配置されたマークをCCDカメラにより撮像して得られた画像データを解析する。そして、基板とマスクのマーク間の位置関係に基づいて、基板とマスクの相対位置が許容範囲内かどうかを判定する。許容範囲外である場合は、アライメント装置がアライメントステージを駆動して、フック部材に支持された基板を、XY方向に移動させたり、XY平面に直交するZ軸周り(θ方向)に回転させたりすることで、基板とマスクの相対位置を調整する。その後、基板とマスクを固定することにより、所望の位置にマスクパターン通りの成膜をできるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-176809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、発明者らが鋭意検討した結果、アライメント装置が基板またはマスクをθ回転させるときに、アライメントステージの中心位置と基板の中心位置との間にズレが生じていると、アライメント精度が低下することが分かった。この原因の一つとして、アライメントステージをステージ中心位置から離れた位置を中心としてθ回転させると、回転中心位置がステージ中心位置から遠くなるほど、アライメントステージの駆動精度が低下することが考えられる。例えば、ステージ中心位置と基板中心位置がずれているときに、基板中心位置を中心として(あるいはステージ中心位置を中心として)基板をθ回転させようとしても、回転運動だけでなく並進運動も生じてしまう。
【0007】
しかしながら特許文献1の技術では、ステージ中心位置と基板中心位置を合わせることに関する記載がなく、アライメント精度が低下するおそれがある。また、基板の代わりに、または基板と共にマスクの位置も調整するようなアライメント装置を用いる場合に、マスク中心位置とステージ中心位置がずれているときにも、同様のアライメント精度低下が
起こる。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、成膜装置においてアライメントステージを用いて基板とマスクをアライメントする際のアライメント精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
基板とマスクの位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記基板を支持する基板支持手段と、
前記基板支持手段と接続されており、前記基板支持手段に支持された前記基板を並進または回転させるアライメントステージと、
前記アライメントステージを駆動する制御部と、
前記基板に設けられた基板アライメントマークを検出して位置情報を取得する位置取得手段と、
を有し、
前記制御部は、
前記アライメントステージの中心であるステージ中心位置を中心として所定の角度前記アライメントステージを回転させつつ、前記位置取得手段に記基板アライメントマークの位置情報を複数回取得させ
取得された少なくとも3つの前記位置情報に対応する点を通る円の中心点の位置情報として算出された前記ステージ中心位置の情報に基づいて、前記基板または前記基板とは別の第2の基板の中心である基板中心位置が、前記ステージ中心位置を通る前記アライメントステージの回転軸上に来るように、前記基板または前記第2の基板を前記基板支持手段に対して相対的に移動させる
ことを特徴とするアライメント装置である。
【0010】
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
基板とマスクの位置合わせを行うアライメント装置であって、
前記マスクを支持するマスク支持手段と、
前記マスク支持手段と接続されており、前記マスク支持手段に支持された前記マスクを並進または回転させるアライメントステージと、
前記アライメントステージを駆動する制御部と、
前記マスクに設けられたマスクアライメントマークを検出して位置情報を取得する位置取得手段と、
を有し、
前記制御部は、
前記アライメントステージの中心であるステージ中心位置を中心として所定の角度前記アライメントステージを回転させつつ、前記位置取得手段に記マスクアライメントマークの位置情報を複数回取得させ
取得された少なくとも3つの前記位置情報に対応する点を通る円の中心点の位置情報として算出された前記ステージ中心位置の情報に基づいて、前記マスクの中心であるマスク中心位置が、前記ステージ中心位置を通る前記アライメントステージの回転軸上に来るように、前記マスクを前記マスク支持手段に対して相対的に移動させる
ことを特徴とするアライメント装置である。
【0011】
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
基板を支持する基板支持手段と、前記基板支持手段に支持された前記基板を並進または回転させるアライメントステージと、前記アライメントステージを駆動する制御部と、前記基板に設けられた基板アライメントマークを検出して位置情報を取得する位置取得手段と、を有するアライメント装置において、基板とマスクの位置合わせを行うアライメント方法であって、
前記制御部が前記アライメントステージの中心であるステージ中心位置を中心として所定の角度前記アライメントステージを回転させる間に、前記位置取得手段が、前記基板アライメントマークの位置情報を複数回取得するステップと、
前記制御部が、取得された少なくとも3つの前記位置情報に対応する点を通る円の中心点の位置情報として算出された前記ステージ中心位置の情報に基づいて、前記基板または前記基板とは別の第2の基板の中心である基板中心位置が、前記ステージ中心位置を通る前記アライメントステージの回転軸上に来るように、前記基板または前記第2の基板を前記基板支持手段に対して相対的に移動させるステップと、
を有することを特徴とするアライメント方法である。
【0012】
本発明は、また以下の構成を採用する。すなわち、
マスクを支持するマスク支持手段と、前記マスク支持手段に支持された前記マスクを並進または回転させるアライメントステージと、前記アライメントステージを駆動する制御部と、前記マスクに設けられたマスクアライメントマークを検出して位置情報を取得する
位置取得手段と、を有するアライメント装置において、基板とマスクの位置合わせを行うアライメント方法であって、
前記制御部が前記アライメントステージの中心であるステージ中心位置を中心として所定の角度前記アライメントステージを回転させる間に、前記位置取得手段が、前記マスクアライメントマークの位置情報を複数回取得するステップと、
前記制御部が、取得された少なくとも3つの前記位置情報に対応する点を通る円の中心点の位置情報として算出された前記ステージ中心位置の情報に基づいて、前記マスクの中心であるマスク中心位置が、前記ステージ中心位置を通る前記アライメントステージの回転軸上に来るように、前記マスクを前記マスク支持手段に対して相対的に移動させるステップと、
を有することを特徴とするアライメント方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、成膜装置においてアライメントステージを用いて基板とマスクをアライメントする際のアライメント精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電子デバイスの製造装置全体の構成を示す平面図。
図2】成膜装置の構成を示す断面図。
図3】基板支持機構の構成を示す図。
図4】アライメント装置に関連する構成のブロック図。
図5】カメラによる撮像領域と座標系を説明する図。
図6】実施形態1の処理について説明するフロー図。
図7】アライメントステージの中心座標を取得する方法を説明する図。
図8】基板中心位置とステージ中心位置を合わせる方法を説明する図。
図9】基板とマスクのアライメントについて説明する図。
図10】実施形態2の処理について説明するフロー図。
図11】実施形態3の成膜装置の構成を示す断面図。
図12】実施形態3の処理について説明するフロー図。
図13】マスク中心位置とステージ中心位置を合わせる方法を説明する図。
図14】有機EL素子の一般的な層構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は本発明
の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範囲をそれらの構成に限定されない。また、以下の説明における、装置のハードウェア構成およびソフトウェア構成、処理フロー、製造条件、寸法、材質、形状などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0016】
本発明は、基板等の成膜対象物に蒸着膜、特に有機膜を形成するために好適である。本発明は、アライメント装置、成膜装置、それを備える蒸着装置およびその制御方法としても捉えられる。本発明はまた、アライメント方法や成膜方法としても捉えられる。本発明はまた、電子デバイスの製造装置や電子デバイスの製造方法としても捉えられる。本発明はまた、制御方法をコンピュータに実行させるプログラムや、当該プログラムを格納した記憶媒体としても捉えられる。記憶媒体は、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体であってもよい。
【0017】
[実施形態1]
図面を参照して、実施形態1のアライメント装置の基本的な構成について説明する。アライメント装置は、典型的には成膜装置の一部として構成される。成膜装置は、半導体デバイス、磁気デバイス、電子部品などの各種電子デバイスや、光学部品などの製造において、基板または基板上に積層体が形成されているもの(以下、「基板等」とも呼ぶ)の上に薄膜を堆積形成するために用いられる。より具体的には、成膜装置は、発光素子や光電変換素子、タッチパネルなどの電子デバイスの製造において好ましく用いられる。成膜装置は、例えば、有機EL(ErectroLuminescence)素子などの有機発光素子や、有機薄膜太陽電池などの有機光電変換素子の製造に好ましく用いられる。電子デバイスとしては、発光素子を備えた表示装置(例えば有機EL表示装置)や照明装置(例えば有機EL照明装置)、光電変換素子を備えたセンサ(例えば有機CMOSイメージセンサ)などが挙げられる。
【0018】
(基板に形成される膜)
図14は、有機EL素子の一般的な層構成を模式的に示している。図14に示す一般的な有機EL素子は、基板10に陽極1001、正孔注入層1002、正孔輸送層1003、有機発光層1004、電子輸送層1005、電子注入層1006、陰極1007の各機能層や電極層が順番に成膜された構成である。成膜装置は、基板10上または基板10上に形成された層の上に、蒸着やスパッタリングによって、各機能層や電極層を成膜する際に好適に用いられる。
【0019】
基板等に何らかの所望の形状を持つ膜を形成する際には、形成される膜の形状に適したマスクパターンを有するマスクを用いる。これにより、成膜される各層を任意に構成できる。このとき、基板上の所望の位置に膜を形成するために、基板等とマスクの相対位置を精度良くアライメントする必要がある。
【0020】
(電子デバイスの製造ライン)
図1は、電子デバイスの製造ラインの構成の一部を模式的に示す上視図である。本製造ラインは、例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルの製造に用いられる。スマートフォン用の表示パネルを製造する場合、例えば、約1800mm×約1500mmや約900mm×約1500mmのサイズの基板に有機ELの成膜を行った後、該基板をカットして、複数の小サイズのパネルとする。有機EL表示装置の製造ラインの成膜クラスタ1は、一般的に図1に示すように、基板10に対する成膜等の処理が行われる複数の成膜室110と、使用前後のマスクが収納されるマスクストックチャンバ120と、その中央に配置される搬送室130を有する。
【0021】
搬送室130内に設置された搬送ロボット140は、基板10やマスクの搬送室130
への搬出入を行う。搬送ロボット140は、例えば、多関節アームに、基板10またはマスクを保持するロボットハンドが取り付けられた構造を有するロボットである。
【0022】
成膜クラスタ1には、基板10の流れ方向において上流側からの基板10を成膜クラスタ1に搬送するパス室150と、該成膜クラスタ1で成膜処理が完了した基板10を下流側の他の成膜クラスタに搬送するためのバッファ室160が連結される。搬送室130の搬送ロボット140は、上流側のパス室150から基板10を受け取って、当該成膜クラスタ1内の成膜室110の一つに搬送する。また、搬送ロボット140は、当該成膜クラスタ1での成膜処理が完了した基板10を複数の成膜室110の一つから受け取って、下流側に連結されたバッファ室160に搬送する。バッファ室160と更に下流側のパス室150との間には、基板10の方向を変える旋回室170が設けられる。これにより、上流側成膜クラスタと下流側成膜クラスタで基板の方向が同一になって、基板処理が容易になる。
【0023】
マスクストックチャンバ120には、成膜室110での成膜工程に使用される未使用マスクと、成膜を終えた後の使用済みマスクが、2つのカセットに分かれて収納される。搬送ロボット140は、使用済みマスクを成膜室110からマスクストックチャンバ120のカセットに搬送し、マスクストックチャンバ120の他のカセットに収納された新しいマスクを成膜室110に搬送する。成膜室110、マスクストックチャンバ120、搬送室130、バッファ室160、旋回室170などの各チャンバは、有機EL表示パネルの製造過程で、高真空状態に維持される。
【0024】
(成膜装置)
各成膜室110にはそれぞれ成膜装置108(蒸着装置とも呼ぶ)が設けられている。搬送ロボット140との基板10の受け渡し、基板10とマスクの相対位置の調整(アライメント)、マスク上への基板10の固定、成膜(蒸着)などの一連の成膜プロセスは、成膜装置の各構成要素によって行われる。
【0025】
図2は、成膜装置の構成を模式的に示す断面図である。以下の説明においては、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を用いる。XYZ直交座標系において、成膜時に基板が水平面(XY平面)と平行となるよう固定された場合、基板の短手方向(短辺に平行な方向)をX方向、長手方向(長辺に平行な方向)をY方向とする。また、Z軸まわりの回転角をθで表す。
【0026】
各成膜室の成膜装置は、蒸発源の違いやマスクの違いなど細かい点で相違する部分はあるものの、基本的な構成(特に基板の搬送やアライメントに関わる構成)はほぼ共通している。以下、各成膜室の成膜装置の共通構成について説明する。なお、以下の説明では、成膜時に基板の成膜面が重力方向下方を向いた状態で成膜されるデポアップの構成について説明するが、これに限定はされず、成膜時に基板の成膜面が重力方向上方を向いた状態で成膜されるデポダウンの構成であってもよい。また、基板が垂直に立てられて成膜面が重力方向と略平行な状態で成膜が行われる、サイドデポの構成でもよい。
【0027】
成膜装置は、真空チャンバ200を有する。真空チャンバ200の内部は、真空雰囲気、または、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に維持されている。真空チャンバ200の内部には、基板支持ユニット210、マスク220、マスク台221、冷却板230、および蒸発源240が設けられる。
【0028】
基板支持手段としての基板支持ユニット210は、搬送ロボット140から受け取った基板10を支持するホルダである。マスク220は、基板10上に形成する薄膜パターンに対応する開口パターンをもつマスクであり、マスク220を支持するマスク支持ユニッ
トである枠状のマスク台221の上に固定されている。マスク220としては例えばメタルマスクを利用できる。本実施形態の構成では、マスク220の上に基板10が位置決めされて載置されたのち、成膜が行われる。したがって、マスク220は基板10を載置する載置体としての役割も担う。
【0029】
冷却板230は、成膜時には、基板10の、マスク220と接触する面とは反対側の面に接触し、成膜時の基板10の温度上昇を抑える板状部材である。これにより、有機材料の変質や劣化が抑制される。冷却板230は、マグネット板を兼ねていてもよい。マグネット板とは、磁力によってマスク220を引き付けることで、成膜時の基板10とマスク220の密着性を高める部材である。マグネット板は冷却板230と別体で設けられていてもよく、その場合は冷却板230とマグネット板と独立して駆動できるようにしておいてもおい。なお、基板10とマスク220の密着性を高めるために、基板支持ユニット210が基板10とマスク220を両方とも保持して、アクチュエータ等により密着させても良い。
【0030】
蒸発源240は、蒸着材料を収容する容器(ルツボ)、ヒータ、シャッタ、駆動機構、蒸発レートモニタなどから構成される。なお、成膜源は蒸発源240には限定されない。本実施形態の成膜装置は、成膜源としてスパッタリングターゲットを用いるスパッタリング装置であってもよい。
【0031】
真空チャンバ200の外側上部には、基板Zアクチュエータ250、クランプZアクチュエータ251、冷却板Zアクチュエータ252が設けられる。各アクチュエータは例えば、モータとボールねじ、モータとリニアガイドなどで構成される。真空チャンバ200の外側上部にはさらに、アライメントステージ280が設けられている。
基板Zアクチュエータ250は、基板支持ユニット210全体をZ軸方向に昇降させる駆動手段である。クランプZアクチュエータ251は、基板支持ユニット210の挟持機構(後述)を開閉させる駆動手段である。冷却板Zアクチュエータ252は、冷却板230を昇降させる駆動手段である。
【0032】
(アライメントのための構成)
本実施形態のアライメントステージ280は、基板10をXY方向移動させ、またθ方向回転させてマスク220との位置を変化させる、アライメント装置である。アライメントステージ280は、真空チャンバ200に接続されて固定されるチャンバ固定部281、XYθ移動を行うためのアクチュエータ部282、基板支持ユニット210と接続される接続部283を備える。なお、アライメントステージ280と基板支持ユニット210を合わせて、基板をマスクに対してアライメントするアライメント装置だと考えてもよい。また、アライメンドステージ280と基板支持ユニット210に、さらに制御部270を加えてアライメント装置だと考えても良い。
【0033】
アクチュエータ部282としては、Xアクチュエータ、Yアクチュエータおよびθアクチュエータを積み重ねられたアクチュエータを用いてもよい。また、複数のアクチュエータが協働するUVW方式のアクチュエータを用いてもよい。いずれの方式のアクチュエータ部282であっても、制御部270から送信される制御信号に従って駆動し、基板10をX方向およびY方向に移動させ、θ方向に回転させる。制御信号は、積み重ね方式のアクチュエータであればXYθ各アクチュエータの動作量を示し、UVW方式のアクチュエータであればUVW各アクチュエータの動作量を示す。
【0034】
アライメントステージ280は、基板支持ユニット210及び/又は冷却板230を、XYθ移動させる。なお、本実施形態では基板10の位置を調整する構成としたが、マスク220の位置を調整する構成や、基板10とマスク220の両者の位置を調整する構成
を採用しても構わない。
【0035】
真空チャンバ200の外側上部には、光学撮像を行って画像データを生成するカメラ261が設けられている。カメラ261は、真空チャンバ200に設けられた窓を通して撮像を行う。カメラ261の設置場所は、当該カメラの撮像領域内に、基板上の基板アライメントマーク104とマスク上のマスクアライメントマーク224が含まれるような場所が好ましい。これにより、制御部270が撮像画像データを解析して基板アライメントマーク104とマスクアライメントマーク224の位置情報を取得可能となる。その結果、基板アライメントマーク104とマスクアライメントマーク224の相対位置関係(距離や角度など)を算出可能になる。カメラ261のことを、基板アライメントマーク104およびマスクアライメントマーク224の位置情報を取得する位置取得手段だと考えてもよい。また、カメラ261およびカメラ画像を処理する制御部270の構成を合わせて、位置取得手段だと考えても良い。
【0036】
本実施形態では、同じ種類のカメラ261を複数台配置している。ここでは、基板10及びマスク220各々の四隅に1つずつ、合計4つのアライメントマークが配置されており、それらのマークを4台のカメラ261で測定する構成について説明する。ただし、アライメントマークの数および設置場所、ならびに、カメラの数、設置場所および種類は、この例に限定されない。例えば、カメラは2台としてもよいし、真空チャンバ200の外側下部に設けてもよい。二段階アライメントを行う場合、低解像だが広視野のラフアライメント用のカメラと、狭視野だが高解像のファインアライメント用のカメラの2種類のカメラを設置してもよい。また、ラフアライメント用のマークを四隅部に、ファインアライメント用のマークを辺の中央部に配置するなどしてもよい。
【0037】
典型的には、基板アライメントマーク104はフォトリソグラフィーによって基板上に形成され、マスクアライメントマーク224は機械加工によりマスク上に形成される。ただし、マークの形成方法はこれらに限られない。また、マークの形状やサイズは、カメラの性能や画像解析の能力に応じて任意に設定できる。
【0038】
制御部270は、アクチュエータ部282の各アクチュエータの動作制御、カメラ261の撮影制御および画像データ解析、基板10およびマスク220の搬出入制御およびアライメント制御、蒸発源の制御、成膜の制御、その他様々な制御を行う。制御部270は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、I/Oなどを有するコンピュータにより構成可能である。この場合、制御部270の機能は、メモリ又はストレージに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。コンピュータとしては、汎用のパーソナルコンピュータを用いてもよいし、組込型のコンピュータ又はPLC(programmable logic controller)を用いてもよい。あるいは、制御部270の機能の一部又は全部をASICやFPGAのような回路で構成してもよい。なお、成膜装置ごとに制御部270が設けられていてもよいし、1つの制御部270が複数の成膜装置を制御してもよい。
【0039】
(アライメントに関する機能ブロック)
図4は、実施形態に係る装置を用いた制御の流れを説明するためのブロック図であり、アライメント装置に関連する構成要素を示している。制御部270は、機能ブロックとして、画像処理部272、演算部274、コントローラ部276、記憶部278を有している。これらの機能ブロックは物理的に実現されてもよいし、プログラムモジュールとして仮想的に実現されても良い。
【0040】
画像処理部272は、カメラ261が光学撮像した画像データを解析して、画像中からパターンマッチング処理等により基板アライメントマーク104およびマスクアライメン
トマーク224を検出する。
演算部274は、画像データに基づいて各種の演算を行う。通常のアライメント時には、画像処理部が検出したアライメントマークの位置ずれに基づいて基板のXYθ方向の移動量を算出する。また、本発明に特有な処理として、アライメントステージ280が基板10を回転させる途中で取得された複数の画像データに基づいて、アライメントステージ280の中心位置を取得する。そして、アライメントステージ280の中心位置と基板10の中心位置のずれ量に基づいて、基板10の移動量を算出する。
コントローラ部276は、演算部により算出された基板等の移動量を、アライメントステージ280の各アクチュエータが備えるステッピングモータやサーボモータ等の駆動量に変換し、該駆動量を実現するための制御信号を生成する。また、必要に応じて、アライメントステージ280からのセンサ信号を受信してフィードバック制御を行う。
【0041】
カメラ261は、上述したようにチャンバ天井の窓を介して下方を光学的に撮像する。チャンバ内の気密を保持するために、窓としては真空用の封止窓などを用いる。カメラ261は、撮像領域内に基板およびマスクのマークが来るような位置に設置される。
【0042】
カメラ261の位置がチャンバ外側上部に固定されているため、カメラ261による撮像領域も、チャンバ内の特定の領域に対応している。図5は、真空チャンバ200内の特定の領域200dを、Z方向上方から見た平面図である。ここでは、領域200dに、X軸(XCAM)とY軸(YCAM)で表現される、カメラ座標系を設定する。なお、本実施形態ではカメラ座標系のX方向及びY方向が、装置のX方向及びY方向と一致しているが、これには限定されない。
【0043】
装置は、4つのカメラ261a~261dを備えており、それぞれのカメラは撮像領域263a~263dを撮像する。このとき、カメラ座標系において各撮像領域の座標範囲は固定されているため、各カメラが取得した画像データ中の任意の位置をカメラ座標系における座標に変換することができる。よって、各画像データ中に存在するアライメントマークの位置等を座標値として取得できる。
【0044】
(基板支持ユニット)
図3の斜視図を参照して、基板支持ユニット210の構成を説明する。基板支持ユニット210は、基板10の周縁を挟持することにより基板10を保持する。アライメントステージ280が、基板10を保持した状態の基板支持ユニット210に駆動力を伝達することにより、基板10のマスク220に対する相対位置が微調整される。具体的には、基板支持ユニット210は、基板10の各辺を下から支持する複数の支持具300が設けられた支持枠体301と、各支持具300との間で基板10を挟み込む複数の押圧具302が設けられたクランプ部材303とを有する。一対の支持具300と押圧具302が1つの挟持機構を構成する。図では、基板10の長辺に沿って6つの挟持機構が配置されており、2つの長辺を挟持する。また、短辺に沿って3つの支持具300が配置されている。
【0045】
ただし、挟持機構の構成は図3の例に限られず、処理対象となる基板サイズや形状、成膜条件などに合わせて、挟持機構の数や配置を適宜変更してもよい。また、挟持方式ではなく、基板を支持具に載置する方式でも良い。
【0046】
搬送ロボット140から基板支持ユニット210への基板10の受け渡し時には、まず、クランプZアクチュエータ251によりクランプ部材303を上昇させ、押圧具302を支持具300から離隔させることで、挟持機構を解放状態にする。搬送ロボット140によって支持具300と押圧具302との間に基板10を導入した後、クランプZアクチュエータ251によってクランプ部材303を下降させ、押圧具302を所定の押圧力で支持具300に押し当てる。これにより、押圧具302と支持具300との間で基板10
が挟持された、基板支持状態となる。
【0047】
基板支持状態では、Z方向移動やXYθ移動が行われても基板10が安定的に保持される。Z方向移動においては、基板Zアクチュエータ250が駆動して基板支持ユニット210を移動させ、基板10を昇降させる。これにより、基板10とマスク220が接近または離間する。XYθ移動においては、アライメントステージ280が基板10をXY方向に並進移動、またはθ方向に回転移動させる。アライメント時に基板10が移動するのは、基板が配置されたXY平面内であり、当該平面はマスクが配置された平面と略平行である。すなわち、基板10のXYθ移動のときには基板10とマスク220のZ方向の距離は変化せず、XY平面内において基板10の位置が変化する。これにより、基板10とマスク220が面内で位置合わせされる。なお、基板と基板支持手段の位置合わせは、相対的なものである。すなわち、基板支持手段の側が移動することによって位置合わせを行っても良い。
【0048】
ここで、図3の符号104は、基板10の四隅に付された基板アライメントマークを示す。基板アライメントマーク104は、アライメント時の基板側の目印となる。なお、アライメント制御を、大まかに位置合わせを行うラフアライメントと、高精度に位置合わせを行うファインアライメントの2段階に渡って行うことも好ましい。その場合、ラフアライメント用マークとファインアライメント用マークを別々に設けてもよい。
【0049】
(処理フロー)
図面を参照しつつ、本実施形態の処理の流れを説明する。図6のフローでは、基板10とマスク220のアライメントの前に基板中心をアライメントステージ中心と合わせる。
【0050】
(ステップS101)搬送ロボット140が真空チャンバ内にマスク220を搬入する。搬入されたマスク220はマスク台221に支持される。
(ステップS102)搬送ロボット140が真空チャンバ内に基板10を搬入し、基板支持ユニット210が基板10を支持する。基板支持ユニット210に基板10が設置されるときの位置精度は、搬送ロボット140や基板支持ユニット210の構成や性能、あるいは基板10の加工精度等に依存する。そのため、基板中心位置がステージ中心位置に合うように搬送ロボット140および基板支持ユニット210を制御したとしても、必ずしも基板中心位置がステージ中心位置に合うとは限らない。そこで、本フローで示すような処理を行う。
【0051】
(ステップS103)制御部270が、アライメントステージ280とカメラ261を制御して、基板10を基板支持ユニット210ごとθ回転させつつ、基板10を複数回光学撮影する。
(ステップS104)制御部270が、カメラ261により取得された複数の画像データに基づいてアライメントステージ280の中心位置の座標(ステージ中心座標Cst)を求める。
【0052】
ここで、S103~S104におけるステージ中心座標の取得方法を説明する。
図7(a)は、取得方法の一例を説明する図であり、基板10がアライメントステージ280によって所定の角度だけθ回転する様子を示している。たとえば、マーク位置を複数回取得し、画像を解析することによって中心座標を取得できる。
【0053】
図7(a)では、回転開始時(タイミングta1)、回転途中(タイミングta2)、回転終了時(タイミングta3)における基板10の様子を、符号10(ta1)、符号10(ta2)、符号10(ta3)で示す。また、基板上のある一隅に配置された基板アライメントマーク104について、タイミングta1における位置を符号104(ta
1)、タイミングta2における位置を符号104(ta2)、タイミングta3における位置を符号104(ta3)で示す。
【0054】
また、タイミングta1における基板中心位置を符号Csub(ta1)、タイミングta3における基板中心位置を符号Csub(ta3)で示す。すると、図7(a)に示されるように、基板中心位置とステージ中心位置が合っていないため、基板中心位置はθ回転の進行に連れて移動してしまう。これを解消するためには基板中心位置をステージ中心位置と合わせる必要があるが、制御部270は、必ずしもカメラ座標系におけるステージ中心位置を把握しているとは限らない。そこで本実施形態では、基板とステージの中心を合わせるために、制御部270がまずステージ中心座標を取得する。
【0055】
具体的には、制御部270は、タイミングta1~タイミングta3のそれぞれで、アライメントステージ280を駆動しつつ、カメラ261を用いて光学撮像を行って画像データを取得する(ステップS103)。これにより、各タイミングにおける基板アライメントマーク104の座標を示す3つの点が算出可能となる。これにより、当該3点を通る円弧(符号TSubM)および、円弧TSubMを含む円の座標情報が取得可能になる。その結果、円の中心座標を基板中心位置として取得できる。なお、図7(a)では理解を容易にするためにθ回転の角度を大きくしているが、実際には、どのタイミングでも基板アライメントマーク104がカメラ261の撮像領域内に収まるような回転角を設定する。続いて、制御部270は、円の中心点の座標を算出してステージ中心座標Cstとする(ステップS104)。
【0056】
次に、図7(b)を参照して、ステージ中心座標の取得方法の別の例を説明する。回転開始時(タイミングtb1)、回転終了時(タイミングtb2)における基板10の様子を、符号10(tb1)、符号10(tb2)で示す。
【0057】
この例ではまず、タイミングtb1において、カメラ261が、基板10の一隅にある第1の基板アライメントマーク(符号104tb1_1)と、その対角にある第2の基板アライメントマーク(符号104tb2_1)を撮像する。そして、アライメントステージ280の駆動後、タイミングtb2において、カメラ261が再度撮像を行い、第1の基板アライメントマーク(符号104tb1_2)と、第2の基板アライメントマーク(符号104tb2_2)の像を含む画像データを取得する(ステップS103)。なお、この例では、一隅とその対角にある基板アライメントマークを結ぶ直線上にアライメントステージ280の中心が来るように、基板10が支持されていることを前提とする。
【0058】
そして、制御部270は、タイミングtb1における基板アライメントマーク104tb1_1および104tb2_1を結ぶ直線と、タイミングtb2における基板アライメントマーク104tb1_2および104tb2_2を結ぶ直線との交点の座標を算出して、ステージ中心座標Cstとする(ステップS104)。
【0059】
なお、上記いずれか以外の方法であっても、アライメントステージ280を回転させつつ基板10のアライメントマーク104を撮像し、ステージ中心座標を取得できるのであれば、どのような方法を用いてもよい。
【0060】
フローに戻って説明を続ける。
(ステップS105)制御部270は、基板中心位置がステージ中心位置に合うように基板10を移動させる。すなわち、アライメントステージ280の回転軸が、ステージ中心位置を通り、かつアライメントステージ280に垂直な方向の直線であるときに、基板中心位置が回転軸上に来るように、基板10を移動させる。以下には具体例として、図8を参照しつつ、基板支持ユニット210が基板10を保持し直して中心位置合わせする方
法を述べる。
【0061】
(105_a)カメラ261a~dは、それぞれの撮像領域263a~dにて光学撮像を行って、画像データを生成する。制御部270は画像データを解析し、カメラ座標系における基板アライメントマーク104a~dの座標を算出する。
(105_b)制御部270は、基板アライメントマーク座標に基づいて、現時点での実際の基板中心位置の座標Csubを算出する。
【0062】
(105_c)一方で制御部270は、ステップS104で取得したステージ中心座標Cstに基づいて、基板中心位置とステージ中心位置が一致していると仮定したときに、各基板アライメントマーク104a~dが来るべき座標を算出する。これらの座標を、理想の基板アライメントマーク座標106a~106dと呼ぶ。
【0063】
(105_d)制御部270は、(a)で算出した現在の基板アライメントマーク104a~dの座標と、(c)で算出した理想の基板アライメントマーク座標106a~106dとのずれ量に基づいて、基板10の位置をずらす量を算出する。例えば図8の場合、基板中心座標Csubがステージ中心座標Cstよりも、紙面上で左側に距離fだけずれているため、基板10は紙面上で右側に距離fだけずれた位置で保持されることになる。
(105_e)そこで、基板支持ユニット210が、基板中心座標とステージ中心座標が一致するように基板10を保持し直す。
【0064】
(ステップS106)制御部270がアライメントステージ280を駆動して、基板10を基板支持ユニット210ごとXYθ移動させて、基板とマスクを相対的に位置合わせする。以下には具体例として、図9を参照しつつ位置合わせ手順を述べる。
【0065】
図9(a)は、S105が終わった段階でカメラ261a~261dにより得られた、撮像領域263a~263dの画像データである。便宜上、基板アライメントマークを結ぶ一点鎖線と、マスクアライメントマークを結ぶ破線を記入している。また図9(b)は、マスク220と基板10の位置関係が正しく設定された場合に、撮像領域263a~263dで得られるべき画像データである。
【0066】
制御部270は、図9(a)の状態で基板アライメントマーク104a~104dとマスクアライメントマーク224a~224dの位置関係を解析し、図9(b)の状態を実現するためのアライメントステージ280の制御量を決定して制御信号を生成する。
図示例では、制御部270は基板10を回転する角度θaを決定し、アライメントステージを駆動して基板10を角度θaだけ回転させる。このとき、基板10とアライメントステージ280の中心が略一致しているため、回転の精度は高い。制御部270はさらに、基板10をXY方向に並進移動させる。
【0067】
以上のように、本実施形態のアライメント装置を備える成膜装置においては、基板10とアライメントステージ280の中心位置が揃った状態でアライメント制御が行われるため、精度の良好なアライメントが可能になる。その結果、蒸着装置を用いて蒸着を行ったときの成膜パターンの精度も向上するため、品質の良い電子デバイスを製造できる。
【0068】
[実施形態2]
実施形態2の構成と制御について説明する。実施形態1と同じ構成や処理については同じ符号を付し、説明を簡略化する。
【0069】
図10は、本実施形態の処理の流れを説明するフロー図である。本フローには、ステージ中心座標記憶工程(第1工程)と、各基板に成膜を行うごとに実施される位置合わせ工
程(第2工程)が含まれる。すなわち、ステージ中心位置の情報を取得するために用いられる基板(第1の基板とも呼ぶ)は別の基板(第2の基板とも呼ぶ)のアライメントに、第1の基板で取得した情報を利用する。
【0070】
<第1工程>
第1工程には、ステップS101、S103、S104およびS201が含まれる。
(ステップS101、S103、S104)これらのステップについては、実施形態1と同様の処理が行われる。すなわち、搬送ロボット140によって成膜装置内に搬入された基板10に対する光学撮像の結果に基づいて、アライメントステージ中心座標Cstが取得される。
(ステップS201)制御部270は、S104で取得したアライメントステージの中心位置の座標を記憶部278に保存する。
【0071】
<第2工程>
(ステップS201)搬送ロボット140が真空チャンバ内にマスク220を搬入する。搬入されたマスク220はマスク台221に載置され支持される。
(ステップS202)搬送ロボット140が真空チャンバ内に基板10を搬入し、基板支持ユニット210が基板10を支持する。このとき、制御部270は、記憶部278からステージ中心座標を読み出す。そして、搬入される基板10の中心座標と読み出したステージ中心座標が一致するように、基板支持ユニット210に基板10を保持させる。中心座標を一致させる際の制御については、実施形態1のステップS105と同様に行う。
(ステップS203)制御部270がアライメントステージ280を駆動して、基板10を基板支持ユニット210ごとXYθ移動させて、基板とマスクを位置合わせする。このときの制御は、実施形態1のステップS106と同様に行う。
【0072】
以上のように、本実施形態のアライメント装置を備える成膜装置においても実施形態1と同様に、基板10とアライメントステージ280の中心位置が揃った状態でアライメント制御が行われるため、精度の良好なアライメントが可能になる。さらに本実施形態では、1枚目の基板についてのみステージ中心座標を算出すれば良いため、成膜のタクトタイムが改善する。
【0073】
なお、上述のフローでは第1工程に引き続いて第2工程を行っていたが、第1工程のみを「ステージ中心座標検出モード」として実行してもよい。装置セットアップ時やメンテナンス時に、当該ステージ中心座標検出モードを行って座標値を保存しておくことにより、アライメント精度の向上とタクトタイム改善を両立させることができる。
【0074】
[実施形態3]
図11は、本実施形態の成膜装置108の構成を模式的に示す断面図である。本実施形態のアライメントステージ280は、基板10だけでなく、マスク220をXYθ移動させることが可能である。そのために本実施形態の成膜装置は、マスク支持ユニット295およびマスクZアクチュエータ290を備えている。マスク支持ユニット295は、爪状の部材でマスク端部を支持する。マスク220が支持された状態で制御部270がマスクZアクチュエータ290を駆動することで、マスクがZ方向に昇降する。
【0075】
なお、本実施形態の構成では、一つのアライメントステージ280がマスク支持ユニット295と基板支持ユニット210の両方を駆動する。そのため、基板10のみの位置を調整したい場合は、予めマスク220をマスク台221に載置しておく。一方、マスク220と基板10がいずれも支持された状態でアライメントステージ280を駆動することで、両者を同時にXYθ移動させることも可能である。
本実施形態では、アライメントステージ280と基板支持ユニット210にマスク支持
ユニット295を合わせて、基板とマスクをアライメントするアライメント装置だと考えてもよい。また、アライメント装置は、さらに制御部270を有していても良い。
【0076】
本実施形態の処理フローを、図12を参照しつつ説明する。なお、ステップS301~S304の処理は、実施形態1のステップS101~S104と同様である。
(ステップS301)搬送ロボット140が真空チャンバ内にマスク220を搬入する。搬入されたマスク220はマスク台221に支持される。
(ステップS302)搬送ロボット140が真空チャンバ内に基板10を搬入し、基板支持ユニット210が基板10を支持する。
(ステップS303)制御部270が、アライメントステージ280とカメラ261を制御して、基板を基板支持ユニット210ごとθ回転させつつ、基板10を複数回光学撮影する。
(ステップS304)制御部270が、カメラ261により取得された複数の画像データに基づいてアライメントステージ280の中心位置の座標(ステージ中心座標Cst)を求める。
【0077】
(ステップS305)続いて、制御部270は、マスク中心座標がステージ中心座標に合うようにマスク220を移動させる。本ステップの処理は、実施形態1のS105における基板10を、マスク220に置き換えたものである。
【0078】
ステップS305の処理について、図13を参照しつつ、実施形態1と対比しながら説明する。本実施形態ではマスクアライメントマーク224を基準として中心位置合わせが行われる。まず、カメラ261a~dが、撮像領域263a~dの画像データを生成する。次に、制御部270が、マスクアライメントマーク座標に基づいてマスク中心座標Cを算出する。
一方で制御部270は、マスク中心座標Cと基づいて理想のマスクアライメントマーク座標226a~226dを算出する。そして、マスクアライメントマーク224a~224dと理想のマスクアライメントマーク座標226a~226dの相対位置関係に基づき、マスク220をXYθ移動させるときの制御量を決定する。図示例では、マスク220が距離gだけ紙面上右側に移動するように制御値を決定する。これにより、マスク中心座標Cとステージ中心座標Cstを合わせることができる。
【0079】
(ステップS306)制御部270は、マスクZアクチュエータ290を制御してマスク220をマスク台221に載置する。これにより、アライメントステージ280が基板10のみを位置調整できるようになる。
【0080】
(ステップS307)制御部270は、アライメントステージ280を駆動して、基板10を基板支持ユニット210ごとXYθ移動させて、基板とマスクを位置合わせする。
【0081】
以上のように、本実施形態のアライメント装置を備える成膜装置においては、マスク220とアライメントステージ280の中心位置が揃った状態でアライメント制御が行われるため、精度の良好なアライメントが可能になる。その結果、蒸着装置を用いて蒸着を行ったときの成膜パターンの精度も向上するため、品質の良い電子デバイスを製造できる。
【0082】
[実施形態4]
上記実施形態3では、マスク中心位置とステージ中心位置との位置合わせのみを行っていた。しかしながら、図11の構成を備える成膜装置においては、マスク中心位置、基板中心位置およびステージ中心位置の3つを位置合わせすることも可能である。この場合、ステップS305の前または後に、図6のステップS105と同様の方法で基板中心位置とステージ中心位置を合わせればよい。
本実施形態を実施形態1または3と比較すると、基板とマスクの両方を位置合わせする時間が掛かるものの、アライメント精度をさらに向上させることができる。
【0083】
[実施形態5]
実施形態3のステップS303、S304では、基板10を複数回光学撮像して得られた画像データに基づいてステージ中心座標を取得している。しかし、図11のようにマスク220の位置制御が可能な構成であれば、基板10ではなくマスク220の画像データを用いてステージ中心座標を取得することもできる。この場合でも、ステージ中心座標を保存しておき、基板中心位置とステージ中心位置の位置合わせや、マスク中心位置とステージ中心位置の位置合わせに用いることで、アライメント精度を向上させられる。
【0084】
[実施形態6]
実施形態3のステップS305~S307では、まずマスク中心とステージ中心を一致させ、次にマスク220をマスク台221に載置したのち、アライメントステージ280が基板支持ユニット210に支持された基板10の位置を調整してアライメントを行っていた。しかし、この処理においてマスク220と基板10を入れ替えても良い。すなわち、まず基板中心とステージ中心を一致させ、次に基板を一時的にアライメントステージ280と連動しない支持機構に退避させたのち、アライメントステージ280がマスク220の位置を調整してアライメントを行う。本実施形態によっても、上記実施形態と同様にアライメント精度が向上する。
【符号の説明】
【0085】
10:基板、210:基板支持ユニット、220:マスク、261:カメラ、270:制御部、280:アライメントステージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図12
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