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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/533 20060101AFI20230608BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20230608BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A61F13/533 200
A61F13/472
A61F13/532 200
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020102490
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021194231
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑中 歩夢
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸亨
(72)【発明者】
【氏名】山本 千裕
(72)【発明者】
【氏名】田村 竜也
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-198088(JP,A)
【文献】特開2019-118487(JP,A)
【文献】登録実用新案第3222875(JP,U)
【文献】特開2016-002097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/533
A61F 13/472
A61F 13/532
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する長手方向及び幅方向と、
吸収材料を有する吸収コアと、
少なくとも前記吸収コアを厚み方向に圧縮したコア圧搾部が設けられたコア圧搾領域と、を有する吸収性物品であって、
前記コア圧搾領域は、前記吸収コアの前記長手方向の一方側の端部に配置された第1圧搾領域と、前記吸収コアの前記長手方向の他方側の端部に配置された第2圧搾領域と、を有し、
前記第1圧搾領域と前記第2圧搾領域の間には、前記コア圧搾部が設けられていない非圧搾領域が設けられており、
前記第1圧搾領域の前記長手方向の内端辺の形状は、前記第2圧搾領域の前記長手方向の内端辺の形状と異なり、
前記コア圧搾領域は、前記長手方向に沿って前記長手方向の内側に向かって延びる膨らむ圧搾膨出部を有し、
前記圧搾膨出部は、前記第1圧搾領域及び前記第2圧搾領域のうち前記第1圧搾領域のみに設けられており、
前記第1圧搾領域は、前記吸収コアの前記長手方向の外端縁に設けられている、吸収性物品。
【請求項2】
前記圧搾膨出部は、前記幅方向に間隔を空けて配置され、
前記圧搾膨出部間には、前記非圧搾領域が設けられている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1圧搾領域は、前記吸収コアの後端部に配置されている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
少なくとも、前記吸収コアと、前記吸収コアの肌面側に配置されたトップシートと、を厚み方向に圧縮した本体圧搾部を有し、
前記本体圧搾部は、前記圧搾膨出部の一部と重なる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記本体圧搾部は、前記吸収性物品の長手方向の中心よりも前記第1圧搾領域側に配置された第1本体圧搾部と、前記吸収性物品の長手方向の中心よりも前記第2圧搾領域側に配置された第2本体圧搾部と、を有し、
前記第1本体圧搾部の形状と、前記第2本体圧搾部の形状と、は異なる、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収コアは、前記吸収コアの前記長手方向の端部に設けられた高坪量領域と、前記高坪量領域よりも前記長手方向の内側に位置し、前記高坪量領域よりも吸収材料の坪量が低い低坪量領域と、を有し、
前記高坪量領域は、前記圧搾膨出部と重なる領域に設けられており、
前記低坪量領域は、前記圧搾膨出部間の非圧搾領域と重なる領域に設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
互いに直交する長手方向及び幅方向と、
吸収材料を有する吸収コアと、
少なくとも前記吸収コアを厚み方向に圧縮したコア圧搾部が設けられたコア圧搾領域と、を有する吸収性物品であって、
前記コア圧搾領域は、前記吸収コアの前記長手方向の一方側の端部に配置された第1圧搾領域と、前記吸収コアの前記長手方向の他方側の端部に配置された第2圧搾領域と、を有し、
前記第1圧搾領域と前記第2圧搾領域の間には、前記コア圧搾部が設けられていない非圧搾領域が設けられており、
前記第1圧搾領域の前記長手方向の内端辺の形状は、前記第2圧搾領域の前記長手方向の内端辺の形状と異なり、
前記吸収コアは、前記吸収コアの前記長手方向の端部に設けられた高坪量領域と、前記高坪量領域よりも前記長手方向の内側に位置し、前記高坪量領域よりも吸収材料の坪量が低い低坪量領域と、を有し、
前記高坪量領域は、前記第1圧搾領域の少なくとも一部が重なる第1高坪量領域と、前記第2圧搾領域の少なくとも一部が重なる第2高坪量領域と、を有し、
前記第1高坪量領域の面積は、前記第2高坪量領域の面積よりも大きい、吸収性物品。
【請求項8】
前記第1圧搾領域の面積は、前記第2圧搾領域の面積よりも大きい、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収コアにコア圧搾部が設けられた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸収コアにコア圧搾部が設けられた吸収性物品が開示されている。特許文献1のコア圧搾部は、点状又は線状であり、長手方向及び幅方向に間隔を空けて配置されている。コア圧搾部は、吸収コアの略全域に亘って配置されている(特許文献1の図1及び図6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-68745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吸収性物品によれば、吸収コアの略全域に亘って吸収コアの剛性を高めることができる。しかし、吸収コアの略全域の剛性が高いため、着用者は、吸収コアを硬く感じ、装着感の低下につながるおそれがあった。そのため、コア圧搾部を設ける範囲を狭めることが考えられる。しかし、コア圧搾部を設ける範囲を狭めると、製造時の不具合が生じるおそれがあった。より詳細には、吸収性物品の製造時においては、一般的に、吸収コアを長手方向に沿って搬送し、吸収性物品を連続的に搬送する。当該吸収コアの搬送は、高速で行われるため、コア圧搾部を設ける範囲を狭めることにより、吸収コアの剛性が低下し、搬送時に吸収コアがめくれたり、吸収コアがよれたりして、吸収コアを適切に搬送できないおそれがあった。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、吸収コアの剛性に起因する装着感の低下を抑制しつつ吸収コアを適切に搬送できる吸収性物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する長手方向及び幅方向と、吸収材料を有する吸収コアと、少なくとも前記吸収コアを厚み方向に圧縮したコア圧搾部が設けられたコア圧搾領域と、を有する。前記コア圧搾領域は、前記吸収コアの長手方向の一方側の端部に配置された第1圧搾領域と、前記吸収コアの前記長手方向の他方側の端部に配置された第2圧搾領域と、を有する。前記第1圧搾領域と前記第2圧搾領域の間には、前記コア圧搾部が設けられていない非圧搾領域が設けられている。前記第1圧搾領域の前記長手方向の内端辺の形状は、前記第2圧搾領域の前記長手方向の内端辺の形状と異なる。
【0007】
他態様に係る吸収性物品は、互いに直交する長手方向及び幅方向と、吸収材料を有する吸収コアと、少なくとも前記吸収コアを厚み方向に圧縮したコア圧搾部と、を有する。吸収性物品は、前記吸収コアの長手方向の端部において前記コア圧搾部が設けられたコア圧搾領域と、前記コア圧搾領域よりも前記長手方向の内側において前記コア圧搾部が設けられていない非圧搾領域と、を有する。前記コア圧搾領域における吸収材料の坪量は、前記非圧搾領域のうち前記コア圧搾領域に隣接する隣接領域における吸収材料の坪量よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る吸収性物品の肌面側から見た平面図である。
図2図2は、実施形態に係る吸収コアの肌面側から見た平面図であり、コア圧搾領域を示している。
図3図3は、実施形態に係る吸収コアの肌面側から見た平面図であり、吸収材料の坪量が異なる領域を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する長手方向及び幅方向と、吸収材料を有する吸収コアと、少なくとも前記吸収コアを厚み方向に圧縮したコア圧搾部が設けられたコア圧搾領域と、を有する。前記コア圧搾領域は、前記吸収コアの長手方向の一方側の端部に配置された第1圧搾領域と、前記吸収コアの前記長手方向の他方側の端部に配置された第2圧搾領域と、を有する。前記第1圧搾領域と前記第2圧搾領域の間には、前記コア圧搾部が設けられていない非圧搾領域が設けられている。前記第1圧搾領域の前記長手方向の内端辺の形状は、前記第2圧搾領域の前記長手方向の内端辺の形状と異なる。本態様によれば、第1圧搾領域及び第2圧搾領域を設けることにより、吸収コアの長手方向の端部の剛性を高めることができる。吸収コアの長手方向の端部の剛性を高めることにより、搬送時の不具合を抑制し、吸収コアを適切に搬送できる。また、第1圧搾領域の内端辺の形状と第2圧搾領域の内端辺の形状とが異なっており、第1圧搾領域及び第2圧搾領域のうち一方の剛性が他方の剛性よりも高くなる。比較的剛性が高い側を搬送方向の下流側に配置することで、搬送時の不具合をより抑制できる。加えて、第1圧搾領域及び第2圧搾領域の両方において同じように剛性を高める構成と比較して、吸収コア全体の剛性を抑えることができる。また、コア圧搾領域よりも長手方向の内側には、非圧搾領域が設けられている。非圧搾領域において吸収コアの剛性を低減でき、装着感の低下を抑制できる。加えて、第1圧搾領域の内端辺の形状と第2圧搾領域の内端辺の形状が異なるため、形状の違いによって使用者が適切な前後向きに装着したときに装着感を向上できる。
【0010】
他態様に係る吸収性物品は、互いに直交する長手方向及び幅方向と、吸収材料を有する吸収コアと、少なくとも前記吸収コアを厚み方向に圧縮したコア圧搾部と、を有する。吸収性物品は、前記吸収コアの長手方向の端部において前記コア圧搾部が設けられたコア圧搾領域と、前記コア圧搾領域よりも前記長手方向の内側において前記コア圧搾部が設けられていない非圧搾領域と、を有する。前記コア圧搾領域における前記吸収材料の坪量は、前記非圧搾領域のうち前記コア圧搾領域に隣接する隣接領域における前記吸収材料の坪量よりも高い。本態様によれば、吸収コアの長手方向の端部は、コア圧搾領域によって剛性が高められ、かつ比較的坪量が高いことによって剛性が高められる。吸収コアの長手方向の端部の剛性を高めることにより、搬送時の不具合を抑制し、吸収コアを適切に搬送できる。また、コア圧搾領域よりも長手方向の内側には、コア圧搾部が設けられてなく、かつ吸収材料の坪量が低い隣接領域が設けられている。隣接領域において吸収コアの剛性を低減でき、装着感の低下を抑制できる。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記コア圧搾領域は、前記長手方向の一方側に配置された第1圧搾領域と、前記長手方向の他方側に配置された第2圧搾領域と、を有する。前記第1圧搾領域の前記長手方向の内端辺の形状は、前記第2圧搾領域の前記長手方向の内端辺の形状と異なる。本態様によれば、第1圧搾領域の内端辺の形状と第2圧搾領域の内端辺の形状とが異なっており、第1圧搾領域及び第2圧搾領域のうち一方の剛性が他方の剛性よりも高くなる。比較的剛性が高い側を搬送方向の下流側に配置することで、搬送時の不具合をより抑制できる。加えて、第1圧搾領域及び第2圧搾領域の両方において同じように剛性を高める構成と比較して、吸収コア全体の剛性を抑えることができる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記第1圧搾領域の面積は、前記第2圧搾領域の面積よりも大きい。本態様によれば、第1圧搾領域の面積が大きく、第1圧搾領域の剛性が高くなる。比較的剛性が高い第1圧搾領域側を搬送方向の下流側に配置することで、搬送時の不具合をより抑制できる。加えて、第1圧搾領域及び第2圧搾領域の両方において同じように剛性を高める構成と比較して、吸収コア全体の剛性を抑えることができる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記コア圧搾領域は、前記長手方向に沿って前記長手方向の内側に向かって延びる膨らむ圧搾膨出部を有する。前記圧搾膨出部は、前記第1圧搾領域及び前記第2圧搾領域のうち前記第1圧搾領域のみに設けられている。本態様によれば、圧搾膨出部を設けることにより、第1圧搾領域において長手方向の広い範囲で吸収コアの剛性を高めることができる。また、第2圧搾領域側に圧搾膨出部が設けられていないため、吸収コア全体の剛性を抑え、装着感の低下を抑制できる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記圧搾膨出部は、前記幅方向に間隔を空けて配置されている。前記圧搾膨出部間には、前記非圧搾領域が設けられている。圧搾膨出部を幅方向に間隔を空けて設けることにより、圧搾膨出部によって吸収コアの剛性を高めつつ、圧搾膨出部間の非圧搾領域によって柔軟性を確保し、装着感の悪化を抑制できる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記第1圧搾領域は、前記吸収コアの後端部に配置されている。吸収性物品の後端部は、座位時等に臀部からの圧力を受けてよれやすい。後側域に、第1圧搾領域及び圧搾膨出部を設けることで、後側域の剛性を高め、着用者の圧力による変形を抑制できる。また、圧搾膨出部が長手方向に沿って長手方向の内側に向かって延びるため、後側域には、長手方向に延びる変形基点が形成される。よって、後側域は、幅方向に延びる身体の断面において臀部の膨らみ等による身体の凹凸に沿い易くなる。後側域のフィット性を高め、装着時の違和感や漏れを抑制できる。
【0016】
好ましい一態様によれば、少なくとも、前記吸収コアと、前記吸収コアの肌面側に配置されたトップシートと、を厚み方向に圧縮した本体圧搾部を有する。前記本体圧搾部は、前記圧搾膨出部の一部と重なる。本態様によれば、体圧を横から受けた際に、本体圧搾部を基点として吸収性物品が変形する。このとき、本体圧搾部が圧搾膨出部の一部と重なるため、本体圧搾部と連動して圧搾膨出部も起点となって、吸収性物品の変形を誘導し易くなり、体の形状や動きに追従しやすい。また、本体圧搾部が圧搾膨出部の一部と重なり、本体圧搾部が圧搾膨出部の全体と重なっていないため、吸収性物品の剛性が局所的に高くなり過ぎることを抑制し、吸収性物品全体の柔軟性を確保できる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記本体圧搾部は、前記吸収性物品の長手方向の中心よりも前記第1圧搾領域側に配置された第1本体圧搾部と、前記吸収性物品の長手方向の中心よりも前記第2圧搾領域側に配置された第2本体圧搾部と、を有する。前記第1本体圧搾部の形状と、前記第2本体圧搾部の形状と、は異なる。本態様によれば、当該構成によれば、一方側の剛性を高めつつ他方側の剛性を抑え、吸収性物品全体としての剛性を抑える等、吸収性物品全体としてバランス良く設計できる。加えて、第1本体圧搾部の形状と第2本体圧搾部の形状が異なるため、使用者が形状の違いによって吸収性物品の前後を判別でき、装着時の操作性を向上できる。更に、吸収性物品の前後向きを適切に装着できるので、吸収性物品を確実に体にフィットさせて装着時の違和感や漏れを抑制できる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアは、前記吸収コアの長手方向の端部に設けられた高坪量領域と、前記高坪量領域よりも前記長手方向の内側に位置し、前記高坪量領域よりも吸収材料の坪量が低い低坪量領域と、を有する。前記高坪量領域は、前記第1圧搾領域の少なくとも一部が重なる前記第1高坪量領域と、前記第2圧搾領域の少なくとも一部が重なる前記第2高坪量領域と、を有する。前記第1高坪量領域の面積は、前記第2高坪量領域の面積よりも大きい。第1高坪量領域の面積が大きく、第1圧搾領域側の剛性が高くなる。比較的剛性が高い第1圧搾領域側を搬送方向の下流側に配置することで、搬送時の不具合をより抑制できる。加えて、第1圧搾領域及び第2圧搾領域の両方において同じように剛性を高める構成と比較して、吸収コア全体の剛性を抑えることができる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアは、前記吸収コアの長手方向の端部に設けられた高坪量領域と、前記高坪量領域よりも前記長手方向の内側に位置し、前記高坪量領域よりも吸収材料の坪量が低い低坪量領域と、を有する。前記高坪量領域は、前記圧搾膨出部と重なる領域に設けられている。前記低坪量領域は、前記圧搾膨出部間の非圧搾領域と重なる領域に設けられている。本態様によれば、圧搾膨出部が設けられた領域の剛性を、高坪量領域によってより高めることができる。また、非圧搾領域に低坪量領域が設けられているため、非圧搾領域の柔軟性を確保し、装着感の低下を抑制できる。
【0020】
(2)吸収性物品の全体概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、本発明における長さや位置関係を比較する際は、特段の言及がない限り、伸縮部材による皺が形成されない状態まで吸収性物品を伸長させた伸長状態の吸収性物品を用いる。
【0021】
図1は、実施形態に係る吸収性物品1の肌面側から見た平面図である。吸収性物品1は、生理用ナプキンである。なお、本発明に係る吸収性物品1は、下着等の着用物品に装着して使用する吸収性物品1であってよく、例えば、軽失禁パッドであってもよいし、パンティライナーであってもよい。図2は、吸収コア30のコア圧搾部85を示した平面図である。図3は、吸収材料の坪量が異なる領域を示した平面図である。ここで、「肌面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。
【0022】
吸収性物品1は、長手方向L及び幅方向Wを有する。長手方向Lは、着用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は着用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、長手方向Lと直交する方向である。吸収性物品1は、着用者の肌面側と非肌面側に延びる厚み方向を有する。吸収性物品1は、前側域S1と、後側域S2と、股下域S3と、を含む。股下域S3は、吸収性物品の長手方向Lの中心を跨いで配置されており、着用者の排泄口(例えば膣口)に対向する排泄口当接部を含む。吸収性物品1が下着に装着されたときに、股下域S3は、下着の股下部に位置し、着用者の股下、すなわち着用者の両足の間に配置される領域である。前側域S1は、股下域S3よりも前側に位置する。前側域S1の前端縁は、吸収性物品1の前端縁を規定する。後側域S2は、股下域S3よりも後側に位置する。後側域S2の後端縁は、吸収性物品1の後端縁を規定する。
【0023】
吸収性物品は、ウイング3を有してよい。ウイング3は、股下域S3に設けられていてよい。ウイング3の前端縁は、ウイング3の付け根によって規定されており、最も幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、前側に位置する部分に相当する。ウイング3の前端縁は、股下域S3と前側域S1との境界を規定していてもよい。ウイング3の後端縁は、ウイング3の付け根によって規定されており、最も幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、後側に位置する部分に相当する。ウイング3の後端縁は、股下域S3と後側域S2との境界を規定していてもよい。
【0024】
吸収性物品1は、体液を吸収する吸収コア30と、吸収コア30よりも肌面側に配置された液透過性のトップシート10と、吸収コア30よりも非肌面側に配置され、液不透過性のバックシート(図示せず)と、を含む。トップシート10は、着用者の肌に向けられ、バックシートは、着用者の肌とは反対側に向けられる。吸収コア30は、トップシート10とバックシートとの間に設けられる。
【0025】
トップシート10は、幅方向Wにおける吸収コア30の中央部を少なくとも覆ってよい。トップシート10は、前側域S1から後側域S2まで長手方向Lに延びていてよい。トップシート10は、例えば不織布や開孔プラスチックフィルムのような液透過性のシートによって構成されていてよい。トップシート10は、複数のシートが積層されて構成されてもよいし、セカンドシートを有してもよい。バックシートは、液不透過性のシートである。バックシートは、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。吸収コア30は、少なくとも股下域S3に配置される。また、吸収コア30は、股下域S3から前側域S1まで延びていてもよい。吸収コア30は、液体を吸収する吸収材料としてのパルプを少なくとも有する。吸収コア30は、コアラップによって包まれていてもよい。吸収コア30を構成する吸収材料は、例えば、パルプ及び高吸水性ポリマー(SAP)から形成できる。コアラップは、例えば不織布やティッシュシートから構成することができる。図2に示すように、吸収コア30には、吸収コア30を厚み方向に圧縮したコア圧搾部85が設けられている。吸収コア30の構成については、後述にて詳細に説明する。吸収性物品1は、少なくとも、吸収コア30とトップシート10を厚み方向に圧縮した本体圧搾部80を有してよい。本体圧搾部80は、点状であり、間隔を空けて複数配置されている。
【0026】
本実施の形態の吸収性物品1は、吸収コア30の剛性に起因する装着感の低下を抑制しつつ吸収コア30を適切に搬送できるように構成されている。次いで、装着感の低下を抑制しつつ吸収コア30を適切に搬送するための構成について詳細に説明する。まず、吸収コア30について詳細に説明する。吸収性物品1は、吸収コア30にコア圧搾部85が設けられたコア圧搾領域(第1圧搾領域31及び第2圧搾領域32)を有する。図2は、吸収コア30の肌面側から見た平面図であり、コア圧搾領域を示している。コア圧搾領域は、吸収コアの長手方向Lの端部においてコア圧搾部85が設けられた領域である。コア圧搾領域は、吸収コア30の長手方向Lの一方側の端部に配置された第1圧搾領域31と、吸収コア30の長手方向Lの他方側の端部に配置された第2圧搾領域32と、を有する。本実施の形態では、長手方向Lの一方側は、後側であり、長手方向Lの他方側は、前側である。よって、第1圧搾領域31は、吸収コア30の後端縁30Rにおいてコア圧搾部85が設けられた領域である。本実施の形態の第1圧搾領域31は、吸収コア30の後端縁30Rに沿って配置され、幅方向Wに延びる領域である。また、第2圧搾領域32は、吸収コア30の前端縁30Fにおいてコア圧搾部85が設けられた領域である。本実施の形態の第2圧搾領域32は、吸収コア30の前端縁30Fに沿って配置され、幅方向Wに延びる領域である。また、吸収コア30は、コア圧搾領域に加えて、長手圧搾領域33が設けられてよい。長手圧搾領域33は、コア圧搾部85が設けられた領域であり、第1圧搾領域31と第2圧搾領域32の間に配置されている。本実施の形態の長手圧搾領域33は、吸収コア30の外側縁30Eに沿って配置され、長手方向Lに延びる領域である。第1圧搾領域31、第2圧搾領域32及び長手圧搾領域33は、互いに連なっており、吸収コア30の外縁に沿う環状に配置されている。
【0027】
第1圧搾領域31と第2圧搾領域32の間には、コア圧搾部85が設けられていない非圧搾領域35が設けられている。非圧搾領域35は、左右の長手圧搾領域33の間に配置されている。非圧搾領域35は、吸収コア30において、第1圧搾領域31、第2圧搾領域32及び長手圧搾領域33以外の領域である。コア圧搾領域は、コア圧搾部85が亘って形成された領域のみならず、一定のパターンでコア圧搾部85が形成された形態においては、当該パターン内においてコア圧搾部85が形成されていない領域も含む概念である。具体的には、本実施の形態のように、正六角形を組み合わせたハニカム形状においては、正六角形を構成する側辺の内部は、コア圧搾部85が形成されていないが、コア圧搾領域を構成する。また、複数のドットの形状のコア圧搾部85が設けられた形態にあっては、ドット間の領域は、コア圧搾部85が形成されていないが、コア圧搾領域を構成する。本実施の形態のコア圧搾領域及び長手圧搾領域33は、吸収コア30の外縁(前端縁、後端縁、及び外側縁を含む)に沿って配置されており、非圧搾領域35は、コア圧搾領域及び長手圧搾領域33よりも平面視にて内側(長手方向Lの内側、及び幅方向Wの内側)に配置されている。
【0028】
第1圧搾領域31の長手方向Lの内端辺である第1内端辺31Sの形状は、第2圧搾領域32の長手方向Lの内端辺である第2内端辺32Sの形状と異なっている。第1内端辺31Sは、第1圧搾領域31と非圧搾領域35の境界によって構成される。本実施の形態の第1内端辺31Sは、第1圧搾領域31の前端縁を含み、幅方向Wに延びる部分と、後述する圧搾膨出部において長手方向Lに延びる部分と、を含む。第2内端辺32Sは、第2圧搾領域32と非圧搾領域35の境界によって構成される。本実施の形態の第2内端辺32Sは、第2圧搾領域32の後端縁を含み、幅方向Wに延びる辺であり、円弧状である。第1内端辺31Sの長さは、第2内端辺32Sの長さと異なってよい。
【0029】
第1圧搾領域31及び第2圧搾領域32を設けることにより、吸収コア30の長手方向Lの端部の剛性を高めることができる。一般的に、製造時に吸収コア30を搬送する際は、吸収コア30を長手方向Lに沿って高速で搬送する。このとき、搬送方向の下流側に位置する吸収コア30の長手方向Lの端部において、吸収コア30のめくれやヨレが発生し易い。また、吸収コア30を搬送するコンベヤ等の搬送機構どうしの間に隙間がある場合に、吸収コア30の剛性が低く、吸収コア30が変形してしまうと、吸収コア30を円滑に受け渡せないおそれがあった。吸収コア30の長手方向Lの端部の剛性を高めることにより、搬送時の不具合を抑制し、吸収コア30を適切に搬送できる。また、第1内端辺31Sの形状と第2内端辺32Sの形状とが異なっており、第1圧搾領域31及び第2圧搾領域32のうち一方の剛性が他方の剛性よりも高くなる。比較的剛性が高い側を搬送方向の下流側に配置することで、搬送時の不具合をより抑制できる。加えて、第1圧搾領域31及び第2圧搾領域32の両方において同じように剛性を高める構成と比較して、吸収コア30全体の剛性を抑えることができる。また、コア圧搾領域よりも長手方向Lの内側には、非圧搾領域35が設けられている。非圧搾領域35において吸収コア30の剛性を低減でき、装着感の低下を抑制できる。加えて、第1圧搾領域31の第1内端辺31Sの形状と第2圧搾領域32の第2内端辺32Sの形状が異なるため、形状の違いによって使用者が適切な前後向きに装着したときに装着感を向上できる。
【0030】
第1圧搾領域31の面積は、第2圧搾領域32の面積よりも大きくてよい。第1圧搾領域31の面積が大きく、第1圧搾領域31の剛性が高くなる。比較的剛性が高い第1圧搾領域31側を搬送方向の下流側に配置することで、搬送時の不具合をより抑制できる。加えて、第1圧搾領域31及び第2圧搾領域32の両方において同じように剛性を高める構成と比較して、吸収コア30全体の剛性を抑えることができる。また、第1内端辺31Sの長さは、第2内端辺32Sの長さよりも長くてよい。比較的剛性が高い第1圧搾領域31側を搬送方向の下流側に配置することで、搬送時の不具合をより抑制できる。また、コア圧搾領域及び長手圧搾領域33は、吸収コア30の外縁の少なくとも一部に設けられてよい。吸収コア30の外縁は、搬送時に空気がより強く当たり易い。当該吸収コア30の外縁にコア圧搾部85を設けることにより、吸収コア30の搬送時の不具合をより抑制できる。
【0031】
コア圧搾領域は、長手方向Lに沿って長手方向Lの内側に向かって延びる膨らむ圧搾膨出部36を有してよい。圧搾膨出部36は、長手方向Lに平行に延びる直線部分を有してよい。圧搾膨出部36は、第1圧搾領域31及び第2圧搾領域32のうち第1圧搾領域31のみに設けられてよい。すなわち、圧搾膨出部36は、第1圧搾領域31に設けられ、第2圧搾領域32に設けられていない。圧搾膨出部36を設けることにより、第1圧搾領域31において長手方向Lの広い範囲で吸収コア30の剛性を高めることができる。また、第2圧搾領域32側に圧搾膨出部36が設けられていないため、吸収コア30全体の剛性を抑え、装着感の低下を抑制できる。
【0032】
圧搾膨出部36は、幅方向Wに間隔を空けて配置されてよい。圧搾膨出部36間には、非圧搾領域35が設けられてよい。本実施の形態の圧搾膨出部36は、吸収コア30の幅方向Wの中心を挟んだ両側に一対で設けられている。圧搾膨出部36を幅方向Wに間隔を空けて設けることにより、圧搾膨出部36によって吸収コア30の剛性を高めつつ、圧搾膨出部36間の非圧搾領域35によって柔軟性を確保し、装着感の悪化を抑制できる。圧搾膨出部36間に位置する非圧搾領域35の幅方向の長さは、各圧搾膨出部36の幅方向の長さW36よりも長くてよい。非圧搾領域35による柔軟性をより確保し易くなる。
【0033】
第1圧搾領域31は、吸収コア30の後端部に配置されてよい。吸収コア30の後端部は、吸収コア30の後端縁を含み、当該後端部から前側に延びる一定範囲(例えば、長手方向の長さが10mm)の領域である。吸収性物品1の後端部は、座位時等に臀部からの圧力を受けてよれやすい。後側域S2に、圧搾膨出部36を含む第1圧搾領域31を設けることで、後側域S2の剛性を高め、着用者の圧力による変形を抑制できる。また、圧搾膨出部36が長手方向Lに沿って長手方向Lの内側に向かって延びるため、後側域S2には、長手方向Lに延びる変形基点が形成される。よって、後側域S2は、幅方向Wに延びる身体の断面において臀部の膨らみ等によって形成される身体の凹凸に沿い易くなる。後側域S2のフィット性を高め、装着時の違和感や漏れを抑制できる。なお、本実施の形態では、第1圧搾領域31が吸収コア30の後端部に配置され、第2圧搾領域32が吸収コア30の前端部に配置されているが、変形例において、第1圧搾領域31が吸収コア30の前端部に配置され、第2圧搾領域32が吸収コア30の後端部に配置されていてもよい。吸収コア30の前端部が搬送方向の下流側になるように吸収コアを搬送してよい。
【0034】
コア圧搾部85は、正六角形を組み合わせたハニカム形状であってよい。正六角形を構成する辺851が多方向に延びているため、柔軟に変形し易い。また、コア圧搾部85は、正六角形の内側において正六角形の辺851と離間した点状部分852を有する。当該点状部分を有するため、正六角形の内側の剛性を高め、ハニカム形状によって柔軟に変形しつつ、部分的に剛性を高め、吸収コア30のよれを抑制できる。
【0035】
圧搾膨出部36は、第1圧搾領域31の外側縁どうしを繋いだ仮想線FLよりも長手方向Lの内側に延びてよい。当該構成によれば、吸収コア30の後端縁に沿って配置された第1圧搾領域31よりも長手方向Lの内側の領域の剛性を高め、吸収コア30の後端部のみならず、後端部から長手方向Lの内側に延びる広い範囲に亘って吸収コア30のめくれを抑制できる。また、圧搾膨出部36の幅方向Wの長さW36は、長手圧搾領域33の幅方向Wの長さW33よりも長くてよい。圧搾膨出部36の幅方向Wの長さW36が比較的長いため、吸収コア30の幅方向Wの広い範囲にわたって吸収コア30のめくれを抑制できる。また、長手圧搾領域33の幅方向Wの長さW33が比較的短いため、吸収コア30の外側縁30Eが硬くなりすぎることを抑制し、脚に吸収コア30の外側縁30Eが当たった際の違和感を抑制できる。なお、圧搾膨出部36の幅方向Wの長さW36及び長手圧搾領域33の幅方向Wの長さW33が変化する形態にあっては、最大幅で比較してよい。
【0036】
第1内端辺31Sは、第1内端辺31Sの外側縁から幅方向Wの内側に向かって長手方向Lの外側に延びる側部31S1と、側部31S1の内側縁から幅方向Wの内側に向かって長手方向Lの内側に延びる内部31S2と、を有してよい。内部31S2は、第1圧搾領域31の外側縁どうしを繋いだ仮想線FLよりも長手方向Lの内側に延びてよい。内部31S2は、長手方向Lに延びる直線状であってよい。このような構成によれば、吸収コア30の後端部から長手方向Lの内側に延びる広い範囲に亘って吸収コア30のめくれを抑制できる。
【0037】
本体圧搾部80は、圧搾膨出部36の一部と重なってよい。本体圧搾部80と圧搾膨出部36が重なる領域では、コア圧搾部85と本体圧搾部80が形成されており、吸収コア30は、複数回に亘って圧縮されている。本実施の形態の本体圧搾部80は、点状である。複数の点状の本体圧搾部80が、圧搾膨出部36に重なっている。吸収性物品は、装着時に横から体圧を受けた際に、本体圧搾部80を基点として変形する。このとき、本体圧搾部80が圧搾膨出部36の一部と重なるため、本体圧搾部80と連動して圧搾膨出部36も起点となって、吸収性物品1の変形を誘導し易くなり、体の形状や動きに追従しやすい。また、本体圧搾部80が圧搾膨出部36の一部と重なり、本体圧搾部80が圧搾膨出部36の全体と重なっていないため、吸収性物品1の剛性が局所的に高くなり過ぎることを抑制し、吸収性物品1全体の柔軟性を確保できる。
【0038】
本体圧搾部80は、吸収性物品の長手方向Lの中心である物品長手中心1CLよりも第1圧搾領域31側に配置された第1本体圧搾部81と、物品長手中心1CLよりも第2圧搾領域32側に配置された第2本体圧搾部82と、を有する。本実施の形態の第1本体圧搾部81は、物品長手中心1CLよりも後側に位置する本体圧搾部80であり、第2本体圧搾部82は、物品長手中心1CLより前側に位置する本体圧搾部80である。第1本体圧搾部81は、圧搾膨出部36に重なっている。そのため、圧搾膨出部36を有する第1圧搾領域31側における吸収コア30の剛性を高めつつ、第1圧搾領域31側において圧搾膨出部36による変形基点を設け、身体に対するフィット性を向上できる。
【0039】
第1本体圧搾部81の形状と、第2本体圧搾部82の形状と、は異なってよい。当該構成によれば、一方側の剛性を高めつつ他方側の剛性を抑え、吸収性物品1全体としての剛性を抑える等、吸収性物品1全体としてバランス良く設計できる。加えて、第1本体圧搾部81の形状と第2本体圧搾部82の形状が異なるため、使用者は、形状の違いによって吸収性物品1の前後を判別でき、装着時の操作性を向上できる。更に、吸収性物品の前後向きを適切に装着できるので、吸収性物品を確実に体にフィットさせて装着時の違和感や漏れを抑制できる。本実施の形態では、第2本体圧搾部82の面積が第1本体圧搾部81の面積よりも大きく、第1圧搾領域31の面積が第2圧搾領域32の面積よりも大きい。そのため、第1圧搾領域31によって吸収コア30の後端部の剛性を高めつつ、第2本体圧搾部82によって吸収コア30の前端部の剛性を高めることができ、吸収性物品全体としてバランス良く剛性を高めることができる。
【0040】
第1本体圧搾部81の面積は、第2本体圧搾部82の面積よりも小さくてよい。第1圧搾領域31の面積が第2圧搾領域32の面積よりも大きく、第1本体圧搾部81の面積が第2本体圧搾部82の面積よりも小さいため、コア圧搾領域によって吸収コアの後端部の剛性を高くしつつ、本体圧搾部80によって吸収性物品の前端部の剛性を高めることができる。そのため、吸収コアの搬送時の不具合を抑制しつつ、吸収性物品全体の剛性をバランスよく設計できる。そのため、装着時に、吸収性物品の前端部又は後端部が局所的に硬い又は柔らかい等の不具合を抑制できる。
【0041】
吸収コア30は、吸収材料の坪量が異なる領域を有してよい。図3は、吸収コア30の肌面側から見た平面図であり、吸収材料の坪量が異なる領域を示している。吸収材料の坪量が異なる領域は、吸収コア30の長手方向Lの端部に設けられた第1領域R1と、第1領域R1に隣接し、かつ第1領域R1よりも長手方向Lの内側に位置する第2領域R2と、第2領域R2よりも長手方向Lの内側に位置し、かつ吸収コア30の幅方向Wの中央に位置する第3領域R3と、第2領域R2よりも長手方向Lの内側に位置し、かつ吸収コア30の幅方向Wの側方に位置する第4領域R4と、を有する。第3領域R3は、左右の第4領域R4に挟まれている。図3において、第1領域R1から第4領域R4に異なる斜線を付している。第1領域R1から第4領域R4は、吸収材料の坪量が異なる。本実施の形態では、第1領域R1の坪量は、250g/m2であり、第2領域R2の坪量は、200g/m2であり、第3領域R3の坪量は、600g/m2であり、第4領域R4の坪量は、280g/m2である。第2領域R2の坪量<第1領域R1の坪量<第4領域R4の坪量<第3領域R3の坪量である。
【0042】
ここで、本明細書における「吸収コアの坪量」の測定は、以下の方法によって測定できる。複数の吸収性物品がパッケージに収容された形態にあっては、同じパッケージから5つの吸収性物品を取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。個包装シート等によって包装された吸収性物品においては包装体を開封し、折り畳まれた吸収性物品を展開して、坪量を測定する部分を吸収性物品から切り出し、切り出した部分の重量を測定する。次いで、切り出した部分から吸収コアを取り除き、トップシート及び裏面シート等、吸収コア以外の重量を測定する。なお、吸収コアが接着剤等で残っている場合には、トルエン等ですべて取り除き、24時間常温で乾燥させた後に測定する。切り出した部分の重量から吸収コア以外の重量を除き、坪量を測定する部分の面積に基づいて坪量を算出する。なお、吸収コアの坪量を測定する領域が複数あり、当該複数の領域が同一のシート(トップシート、コアラップ等)によって覆われている場合には、当該シートの坪量が同じであるとみなすことができるため、坪量を測定する部分を吸収性物品から切り出した後、シートを剥がさずに吸収コアの坪量を測定してもよい。
【0043】
第1領域R1の吸収材料の坪量は、第2領域R2の吸収材料の坪量よりも低い。第1領域R1は、本発明の「高坪量領域」を構成し、第2領域R2は、本発明の「低坪量領域」を構成する。本発明の「高坪量領域」は、隣接領域よりも坪量が高ければよく、隣接領域よりも長手方向の内側に位置する領域(第3領域及び第4領域)よりも坪量が低くてもよい。高坪量領域としての第1領域R1は、第1圧搾領域31の少なくとも一部が重なる第1高坪量領域R11と、第2圧搾領域32の少なくとも一部が重なる第2高坪量領域R12と、を有する。第1高坪量領域R11は、第1圧搾領域31の少なくとも一部に重なっていればよく、第1圧搾領域31の全域に重なっていてもよい。本実施の形態の第1高坪量領域R11は、第1圧搾領域31の範囲と一致してよい。また、第2高坪量領域R12は、第2圧搾領域32の少なくとも一部に重なっていればよく、第2圧搾領域32の全域に重なっていてよい。本実施の形態の第2高坪量領域R12は、第2圧搾領域32の範囲と一致してよい。本実施の形態の第1高坪量領域R11は、吸収コア30の後端部に配置され、第2高坪量領域R12は、吸収コア30の前端部に配置されている。そのため、コア圧搾領域(第1圧搾領域31及び第2圧搾領域)における吸収材料の坪量は、非圧搾領域35のうちコア圧搾領域に隣接する隣接領域における吸収材料の坪量よりも高い。第1高坪量領域R11及び第2高坪量領域R12を有することにより、コア圧搾部85が設けられた領域の剛性をより高めることができ、吸収コア30の端部の剛性をより高めることができる。なお、第1圧搾領域31及び第2圧搾領域32の少なくとも一方の吸収材料の坪量が、隣接領域における吸収材料の坪量よりも高ければよい。穂実施の形態では、第1圧搾領域31及び第2圧搾領域32の両方の吸収材料の坪量が、隣接領域における吸収材料の坪量よりも高い。
【0044】
第1高坪量領域R11の面積は、第2高坪量領域R12の面積よりも大きくてよい。第1高坪量領域R11の面積が大きく、第1圧搾領域31側の剛性が高くなる。比較的剛性が高い第1圧搾領域31側を搬送方向の下流側に配置することで、搬送時の不具合をより抑制できる。加えて、第1圧搾領域31及び第2圧搾領域32の両方において同じように剛性を高める構成と比較して、吸収コア30全体の剛性を抑えることができる。
【0045】
高坪量領域としての第1領域R1は、圧搾膨出部36と重なる領域に設けられてよい。第1領域R1は、圧搾膨出部36の少なくとも一部と重なっていればよく、圧搾膨出部36の全域と重なっていてもよい。圧搾膨出部36が設けられた領域の剛性を、高坪量領域によってより高めることができる。低坪量領域としての第2領域R2は、圧搾膨出部36間の非圧搾領域35と重なる領域に設けられてよい。第2領域R2は、非圧搾領域35の少なくとも一部と重なっていればよく、非圧搾領域35の全域と重なっていてもよい。非圧搾領域35に低坪量領域が設けられているため、非圧搾領域35の柔軟性を確保し、装着感の低下を抑制できる。
【0046】
第1圧搾領域31における吸収材料の坪量は、非圧搾領域35のうち第1圧搾領域31に隣接する隣接領域における吸収材料の坪量よりも高く、第2圧搾領域32における吸収材料の坪量は、非圧搾領域35のうち第2圧搾領域32に隣接する隣接領域における吸収材料の坪量よりも高くてよい。本実施の形態では、第1領域R1の範囲と第1圧搾領域の範囲が一致し、かつ第1領域R1の範囲と第2圧搾領域32の範囲が一致しており、第1圧搾領域31及び第2圧搾領域32における吸収材料の坪量は、第1領域R1の吸収材料の坪量となる。本実施の形態における第2領域は、第1領域に隣接しており、本発明の「隣接領域」を構成する。吸収コア30の長手方向Lの端部は、第1圧搾領域31及び第2圧搾領域32によって剛性が高められ、かつ比較的坪量が高いことによって剛性が高められる。吸収コア30の長手方向Lの端部の剛性を高めることにより、搬送時の不具合を抑制し、吸収コア30を適切に搬送できる。また、第1圧搾領域31及び第2圧搾領域32よりも長手方向Lの内側には、コア圧搾部85が設けられてなく、かつ吸収材料の坪量が低い。当該隣接領域において吸収コア30の剛性を低減でき、装着感の低下を抑制できる。
【0047】
高坪量領域としての第1領域R1は、長手方向Lに沿って長手方向Lの内側に向かって延びる膨らむ坪量膨出部R5を有している。坪量膨出部R5は、第1高坪量領域R11及び第2高坪量領域R12のうち第1高坪量領域R11のみに設けられてよい。すなわち、坪量膨出部R5は、第1高坪量領域R11に設けられ、第2高坪量領域R12に設けられていない。坪量膨出部R5を設けることにより、第1高坪量領域R11において長手方向Lの広い範囲で吸収コア30の剛性を高めることができる。また、第2高坪量領域R12に坪量膨出部R5が設けられていないため、吸収コア30全体の剛性を抑え、装着感の低下を抑制できる。
【0048】
坪量膨出部R5は、幅方向Wに間隔を空けて配置されてよい。坪量膨出部R5間には、低坪量領域としての第2領域R2が設けられてよい。本実施の形態の坪量膨出部R5は、圧搾膨出部36の範囲と一致し、低坪量領域としての第2領域R2は、非圧搾領域35に配置されている。坪量膨出部R5を幅方向Wに間隔を空けて設けることにより、坪量膨出部R5によって吸収コア30の剛性を高めつつ、坪量膨出部R5間の低坪量領域(第2領域)によって柔軟性を確保し、装着感の悪化を抑制できる。
【0049】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0050】
1 :吸収性物品
30 :吸収コア
31 :第1圧搾領域(コア圧搾領域)
31S :第1内端辺
32 :第2圧搾領域(コア圧搾領域)
32S :第2内端辺
35 :非圧搾領域
36 :圧搾膨出部
80 :本体圧搾部
81 :第1本体圧搾部
82 :第2本体圧搾部
85 :コア圧搾部
FL :仮想線
R1 :第1領域(高坪量領域)
R11 :第1高坪量領域
R12 :第2高坪量領域
R2 :第2領域(隣接領域、低坪量領域)
R3 :第3領域
R4 :第4領域
R5 :坪量膨出部
S1 :前側域
S2 :後側域
S3 :股下域
L :長手方向
W :幅方向
図1
図2
図3