IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友金属鉱山株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-充填設備 図1
  • 特許-充填設備 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】充填設備
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/28 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
B65B1/28
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019176468
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021054427
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆
(72)【発明者】
【氏名】長野 晋作
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-087407(JP,A)
【文献】特開平06-024417(JP,A)
【文献】特開昭56-004501(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0121395(KR,A)
【文献】独国特許出願公開第102005021286(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルコンテナに粉体を充填する設備であって、
フレキシブルコンテナのコンテナ部の開口に挿入され粉体をコンテナ部内に供給する充填筒と、
前記充填筒が挿入されたフレキシブルコンテナのコンテナ部の開口を覆うように、前記充填筒の周囲に設けられたカバー部と、
前記充填筒および前記カバー部内の気体を吸引する吸引部と、を備えており、
前記充填筒は、
粉体を供給する内筒と、該内筒の周囲に該内筒との間に隙間を有するように配設された外筒と、を有しており、
該充填筒には、
フレキシブルコンテナのコンテナ部の開口に挿入された状態において、前記内筒と前記外筒との間の隙間とフレキシブルコンテナのコンテナ部との間を連通する集塵開口が設けられており、
前記吸引部は、
前記内筒と前記外筒との間の空間と連通された第一吸引配管と、
前記カバー部によって囲まれた空間と連通された第二吸引配管と、
前記第一吸引配管および前記第二吸引配管と連通された集塵機と、
前記第一吸引配管に設けられ、該第一吸引配管内の気体の流れを制御する吸引流量調整部と、を備えており、
前カバー部は、
フレキシブルコンテナのコンテナ部の開口の周囲に配置される側壁を備えており、
該側壁は、
その一部に下端から上方に向かってつながる切欠きが設けられており、
該切欠きには、
該切欠きを覆うように、上端が前記側壁に取り付けられた複数枚のシート部材が設けられている
ことを特徴とする充填設備。
【請求項2】
前記吸引流量調整部は、
前記充填筒の内筒に設けられた粉体の供給を制御する粉体流量調整部の作動に合わせてその作動が制御されている
ことを特徴とする請求項1記載の充填設備。
【請求項3】
前記第一吸引配管は、
前記第二吸引配管における前記集塵機との接続位置よりも上流側の部分で前記第二吸引配管に連通されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の充填設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填設備に関する。さらに詳しくは、ニッケル粉やコバルト粉、マンガン粉などの粉体をフレキシブルコンテナバックに充填するための充填設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル粉やコバルト粉、マンガン粉を大量に搬送する際には、フレキシブルコンテナバック(以下単にフレコンという場合がある)が使用される。このフレコンは、折り畳みができる柔軟性のある材料を用いて袋状に造られたものであり、粉体を充填する袋状のコンテナ部と、このコンテナ部を吊り上げるためのつり部とを有している。なお、コンテナ部は、上部に粉体を投入するための開口と、この底部に設けられた粉体を排出するための排出口と、を有している。
【0003】
このフレコンに粉体を投入する際には、フレコンの開口から粉体が飛散することが多く、フレコンに充填される粉体のロスが生じる。また、粉体が飛散することによる作業環境の悪化が生じる可能性がある。このため、フレコンに粉体を投入する際に、開口から飛散する粉体の量を最小限にできる充填設備が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1、2には、フレコンに粉体を投入する充填用の筒(充填筒)を二重管にすることによって、粉体の漏れを防ぐ技術が開示されている。この技術では、充填筒の内筒を充填用に使用し、内筒と外筒との間の空間から空気を吸引することによって、フレコンの開口から漏れる粉体が外部に飛散しないようにしている。
【0005】
また、特許文献2には、充填筒の周囲にフレコンの開口を覆うカバーを設けて、カバー内の空気を吸引することによって、充填筒で吸引できなかった粉体が外部に飛散することを防止する技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭56-4501号公報
【文献】特開2002-87407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2の技術の場合、フレコンへの粉体の投入が終了すると、フレコン内の粉体を吸引しないように、内筒と外筒との間の空間から空気を吸引することを停止しなければならない。特許文献2の技術では、充填筒の周囲にフレコンの開口を覆うカバーを設けているものの、充填筒の外筒とカバー内とを連通する開口を設けて充填筒の外筒を通してカバー内の気体を吸引する構成となっている。このため、フレコンへの粉体の投入が終了した後では、カバー内の気体の吸引も停止しているので、フレコンの開口を閉じる際に飛散する粉体を吸引することはできない。つまり、特許文献2の技術では、フレコンへの粉体の投入後に飛散する粉体を回収することはできないので、粉体のロスや作業環境の悪化を十分に防止することができない可能性がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、フレコンに粉体を投入する作業における粉体のロスや作業環境の悪化を防止できる充填設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の充填設備は、フレキシブルコンテナに粉体を充填する設備であって、フレキシブルコンテナのコンテナ部の開口に挿入され粉体をコンテナ部内に供給する充填筒と、前記充填筒が挿入されたフレキシブルコンテナのコンテナ部の開口を覆うように、前記充填筒の周囲に設けられたカバー部と、前記充填筒および前記カバー部内の気体を吸引する吸引部と、を備えており、前記充填筒は、粉体を供給する内筒と、該内筒の周囲に該内筒との間に隙間を有するように配設された外筒と、を有しており、該充填筒には、フレキシブルコンテナのコンテナ部の開口に挿入された状態において、前記内筒と前記外筒との間の隙間とフレキシブルコンテナのコンテナ部との間を連通する集塵開口が設けられており、前記吸引部は、前記内筒と前記外筒との間の空間と連通された第一吸引配管と、前記カバー部によって囲まれた空間と連通された第二吸引配管と、前記第一吸引配管および前記第二吸引配管と連通された集塵機と、前記第一吸引配管に設けられ、該第一吸引配管内の気体の流れを制御する吸引流量調整部と、を備えており、前カバー部は、フレキシブルコンテナのコンテナ部の開口の周囲に配置される側壁を備えており、該側壁は、その一部に下端から上方に向かってつながる切欠きが設けられており、該切欠きには、該切欠きを覆うように、上端が前記側壁に取り付けられた複数枚のシート部材が設けられていることを特徴とする。
第2発明の充填設備は、第1発明において、前記吸引流量調整部は、前記充填筒の内筒に設けられた粉体の供給を制御する粉体流量調整部の作動に合わせてその作動が制御されていることを特徴とする。
第3発明の充填設備は、第1または第2発明において、前記第一吸引配管は、前記第二吸引配管における前記集塵機との接続位置よりも上流側の部分で前記第二吸引配管に連通されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、フレキシブルコンテナバックに粉体を充填する際、周囲に粉体が飛散することを防止できる。しかも、吸引流量調整部によって第一吸引配管からの気体の吸引を調整すれば、粉体の飛散防止を効果的に行いつつ、粉体のロスも防止できる。しかも、充填筒に対するフレキシブルコンテナの着脱作業が行いやすくなる。
第2発明によれば、粉体の飛散防止効果や粉体の歩留まりの悪化を防止する効果を高くすることができる。
第3発明によれば、集塵機を一つにすることができるので、設備の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の充填設備1の概略説明図であって、要部の断面を示した図である。
図2】本実施形態の充填設備1の概略外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の充填設備は、フレキシブルコンテナに粉体を充填する設備であって、粉体を充填する際に周囲への粉体の飛散を効果的に防止できるようにしたことに特徴を有している。
【0013】
本実施形態の充填設備によってフレキシブルコンテナ(以下フレコンという場合がある)に充填する粉体はとくに限定されない。本実施形態の充填設備によってフレコンに充填する粉体として、例えば、ニッケル粉やコバルト粉、マンガン粉などの粉体を挙げることができる。
【0014】
<本実施形態の充填設備1>
図1に示すように、本実施形態の充填設備1は、粉体Mが充填されるフレキシブルコンテナF(以下フレコンFという)を載せる台座2と、その台座2の上方に配置された粉体を充填する装置である充填部3と、を備えている。
【0015】
<台座2>
台座2は、フレコンFの重量を測定する機能を有している。この台座2からの信号に基づいて、充填部3はフレコンFへの粉体Mの供給と停止を制御するようになっている。つまり、台座2上にフレコンFが載せられた後、作業者が充填開始の指令を充填部3の制御部4に指示すると、制御部4によって後述する粉体流量調整部13が制御されて、充填部3からフレコンFに粉体Mが供給されるようになっている。そして、所定の重量になると台座2から充填部3の制御部4に粉体Mの供給を停止する信号が送信され、制御部4によって粉体流量調整部13が制御されて、充填部3からフレコンFへの粉体Mの供給が停止するようになっている。
【0016】
なお、台座2から充填部3の制御部4には単に重量の情報だけを送信するようにしてもよい。この場合、所定の重量になったことを充填部3の制御部4が検出すると、制御部4によって後述する粉体流量調整部13が制御されてフレコンFへの粉体Mの供給が停止される。
【0017】
また、台座2に対する充填前のフレコンFの供給や、充填後のフレコンFを台座2から搬出する作業は、両方を作業者の人力で行ってもよい。また、台座2に対する充填前のフレコンFの供給は作業者の人力で行うが、充填後のフレコンFを台座2から搬出する作業はコンベア等によって行ってもよい。
【0018】
<充填部3>
図1および図2に示すように、充填部3は、フレコンFに粉体Mを供給する充填筒10と、充填筒10の周囲に設けられたカバー部20と、充填筒10およびカバー部12内の気体を吸引する吸引部30と、を備えている。
【0019】
<充填筒10>
この充填筒10は、円筒状の内筒11と、内筒11の周囲を囲むように配置された円筒状の外筒12と、を備えている。
【0020】
なお、内筒11および外筒12の断面形状は、必ずしも円形に限られず、四角形でもよいし三角形でもよいし、とくに限定されない。
また、内筒11と外筒12とは、相似形でもよいし、異なる形状としてもよい。
【0021】
<内筒11>
内筒11は、その軸方向が略鉛直になるように配設されており、その上端は配管等を介して粉体Mを供給するホッパー等の供給装置に連通されている。つまり、内筒11の上下方向を貫通する空間11hが粉体MをフレコンFに供給する流路となっている。
【0022】
この内筒11には、空間11h内を流れる粉体Mの流量を調整する粉体流量調整部13が設けられている。そして、この粉体流量調整部13を作動させることによって、内筒11の空間11hを通してフレコンFに供給する粉体Mの流量を調整することができるようになっている。なお、粉体流量調整部13は、例えば、電磁バルブなどであり、充填部3の制御部4によってその作動が制御されている。
【0023】
<外筒12>
外筒12は、内筒11の側面を覆うように設けられており、その内筒11の外面と外筒12の内面との間に隙間12hが形成されるように設けられている。例えば、内筒11および外筒12の断面が円形の場合には、内筒11の外径が30~60mm程度であれば、外筒11の外径が50~80mm程度となるように設けられている。
【0024】
外筒12は、その上端が閉塞しており、その下端と内筒11の側面との間に集塵開口10bが形成されるように設けられている。つまり、集塵開口10bを介して内筒11の外面と外筒12の内面との間の隙間12hが外部と連通するように、外筒12は設けられている。
【0025】
なお、図1では、集塵開口10bは、外筒12の下端、つまり充填筒10の下端に設けられているが、隙間12hと外部との間を連通する集塵開口10bを設ける場所はとくに限定されない。後述するように、充填筒10をフレコンFの開口Faからコンテナ部FB内に充填筒10の下端を挿入したときに、コンテナ部FB内の気体を吸引することができる場所に集塵開口10bは設けられていればよい。
【0026】
また、外筒12には、後述する吸引部30の第一吸引配管31の一端が接続されており、隙間12h内の気体を吸引できるようになっているが、吸引部30については後述する。
【0027】
<カバー部20>
図1および図2に示すように、上述した充填筒10の周囲を囲むようにカバー部20が設けられている。このカバー部20は、充填筒10の外筒12の側面にフランジ状に設けられた天板部21と、天板部21の周辺から下方に延びる側壁22と、を有している。そして、カバー部20の側壁22が充填筒10の外筒12の周囲を囲み、充填筒10の外筒12と側壁22との間に空間20hが形成されるように設けられている。具体的には、空間20h内において作業者が充填筒10にフレコンFをセットする作業ができるように、側壁22は設けられている。例えば、充填筒10の外筒12の外径が50~80mm程度であれば、側壁22は、その内径が400~600mm程度となるように設けられている。
【0028】
しかも、カバー部20の側壁22は、その下端が、粉体Mを充填している状態におけるフレコンFの開口Faよりも下方に位置するように設けられている。例えば、カバー部20の側壁22をその下端が充填筒10の下端よりも下方に位置するように設けられていれば、上記状態を満たすことができる。
【0029】
なお、カバー部20の側壁22は、充填筒10にフレコンFの開口Faを取り付けたときに、その状態におけるフレコンFの開口Faの位置よりも下方に位置するように設けられていればよく、必ずしもその下端が充填筒10の下端よりも下方に位置していなくてもよい。しかし、カバー部20の側壁22の下端が充填筒10の下端(好ましくは内筒11の下端)よりも下方に位置するように設けられていれば、フレコンFの開口Faを充填筒10から外した際にも、フレコンFの開口Faをカバー部20の空間20h内に配置しておくことが可能になる。すると、フレコンFの開口Faを充填筒10から外した際に粉体Mが飛散しても、その粉体Mを空間20h内に留めておくことができる。
【0030】
<シート部材25>
上述したように、カバー部20の側壁22の下端が充填筒10の下端よりも下方に位置するように設けられていれば、粉体Mを空間20h内に留めておく機能を高くできる。一方、作業者がフレコンFの開口Faを充填筒10に取り付けたり取り外したりする際に、側壁22があることによって作業が行いにくくなる可能性がある。
【0031】
そこで、図2に示すように、カバー部20の側壁22の一部に切欠き22gを設けてもよい。具体的には、側壁22の下端から上方に向かってつながる切欠22gを設けてもよい。このような切欠き22gを設ければ、その切欠き22g部分から内部を視認できるし、切欠き22gからカバー部20の空間20h内に手を入れて作業を行うことができる。すると、フレコンFの開口Faを充填筒10に取り付けたり取り外したりする作業を行い易くなる。
【0032】
一方、切欠22gを設けた場合、その切欠22gから粉体Mが外部に飛散する可能性があるので、切欠22gを覆うようにシート部材26を設けることが望ましい。例えば、複数枚のシート部材26のその上端を、切欠22gよりも上方の側壁22に固定する。しかも、隣接するシート部材26の側端部同士が重なり合うように、複数枚のシート部材26を配置する。すると、複数枚のシート部材26の間から手を空間20h内に入れることができるので、切欠22gが無い場合に比べて、フレコンFの開口Faを充填筒10に取り付けたり取り外したりする作業を行い易くなる。
【0033】
なお、シート部材26はとくに限定されないが、透明な素材が望ましい。透明な素材で形成されたシート部材26を使用すれば、シート部材26を通してカバー部20の空間20hの内部が確認できるので、作業性をより一層向上させることができる。
【0034】
また、シート部材26は柔らかい素材で形成されていることが望ましい。柔らかい素材で形成されたシート部材26を使用すれば、複数枚のシート部材26の間から手をカバー部20の空間20h内に入れた際に、シート部材26を作業者の手に密着させやすくなる。すると、複数枚のシート部材26の間から手を空間20h内に入れた際に、空間20h内と外部との間を連通する隙間を小さくできるので、作業時に空間20h内から外部に粉体Mが漏れることを防止しやすくなる。
【0035】
<吸引部30>
図1および図2に示すように、吸引部30は、一端においてカバー部20の空間20hと連通された第二吸引配管32を有している。この第二吸引配管32は、その他端が集塵機35に連通されており、集塵機35が作動すると、カバー部20の空間20h内の空気や空間20h内に浮遊している粉体Mを吸引することができるようになっている。
【0036】
また、吸引部30は、一端において充填筒10の隙間12hと連通された第一吸引配管31を有している。この第一吸引配管31は、その他端が第二吸引配管32に連通されている。つまり、集塵機35が作動すると、カバー部20の空間20h内だけでなく、充填筒10の隙間12h内の空気や隙間12h内に浮遊している粉体Mを吸引することができるようになっている。
【0037】
しかも、第一吸引配管31には吸引流量調整部34が設けられている。この吸引流量調整部34は、例えば電磁バルブなどであり、制御部4によってその作動が制御されている。つまり、制御部4によって吸引流量調整部34の作動を制御することによって、第一吸引配管31を通した充填筒20の隙間12hから気体などの吸引を制御できるようになっている。
【0038】
例えば、フレコンFへの粉体Mの供給が停止するように粉体流量調整部13が作動されている状態では、吸引流量調整部34は第一吸引配管31を閉塞するように制御される。つまり、粉体流量調整部13と吸引流量調整部34とが同時に閉塞状態となるように制御される。逆に、フレコンFに粉体Mを供給するように粉体流量調整部13が作動されている状態では、吸引流量調整部34は第一吸引配管31を閉塞するように制御される。つまり、粉体流量調整部13と吸引流量調整部34とが同時に開放状態となるように制御される。しかも、吸引流量調整部34は、粉体流量調整部13を開放する若干前に第一吸引配管31を開放し、粉体流量調整部13が閉塞された若干後に第一吸引配管31を閉塞するように制御される。このように制御すれば、フレコンFに粉体Mを供給する前にフレコンFのコンテナ部FB内の気体を吸引できるのでフレコンFへの粉体Mの供給がスムースになる。また、フレコンFの開口Faを充填筒10から取り外す際に、フレコンF内で飛散している粉体Mを吸引することができる。すると、フレコンFの開口Faを充填筒10から取り外した際に、粉体MがフレコンFの開口Faから漏れて周囲に飛散する可能性を低くできる。
【0039】
なお、粉体流量調整部13および吸引流量調整部34において、閉塞状態と開放状態とを切り替えるタイミングは上述したタイミングに限られない。
また、吸引流量調整部34を設けずに、常時、充填筒10の隙間12hから気体を吸引するようにしてもよい。この場合には、吸引流量調整部34を無くすことができるので、設備の部品点数を削減することができる。
【0040】
<粉体Mを充填する作業>
上記のような充填設備1によって、フレコンFに粉体Mを充填する作業を説明する。
まず、集塵機35を作動させて、カバー部20の空間20h内から空気を吸引する状態とする。この状態では、粉体流量調整部13および吸引流量調整部34がいずれも閉塞されている。
【0041】
作業者は、フレコンFを台座2の上に載せて、フレコンFのコンテナ部FBの上部を複数の吊り下げ部材Hに取り付ける。つまり、フレコンFがある程度伸びた状態になるように、複数の吊り下げ部材HによってフレコンFのコンテナ部FBを保持する。
【0042】
複数の吊り下げ部材HによってフレコンFのコンテナ部FBが保持されると、作業者は、充填筒10の下端からコンテナ部FBの開口Faを被せる。つまり、充填筒10の下端がコンテナ部FBの開口Faからコンテナ部FB内に挿入された状態とする(図1参照)。この状態で作業者はコンテナ部FBの開口Faの周囲にバンド等の取付部材Bを配置し、コンテナ部FBの開口Faを充填筒10に固定する。
【0043】
コンテナ部FBの開口Faが充填筒10に固定されると、フレコンFへの粉体Mの供給が開始される。
【0044】
まず、吸引流量調整部34が解放され、その後、粉体流量調整部13が開放される。すると、フレコンFのコンテナ部FB内に粉体Mをスムースに供給することができる。
【0045】
粉体Mの供給が進むと、フレコンFの重量が増加し、所定の重量になったことを台座2が検出する。すると、制御部4は、まず、粉体流量調整部13を閉塞して粉体Mの供給を停止し、その少し後に吸引流量調整部34を閉塞する。
【0046】
粉体流量調整部13および吸引流量調整部34が停止されると、作業者は取付部材Bを外して、コンテナ部FBの開口Faを充填筒10から外す。このとき、フレコンFのコンテナ部FB内で飛散していた粉体Mは第一吸引配管31を介して吸引されているので、コンテナ部FBの開口Faを充填筒10から外した際に飛散する粉体Mの量を少なくできる。しかも、コンテナ部FBの開口Faは、カバー部20の空間20h内に位置しているので、コンテナ部FBの開口Faを充填筒10から外した際に粉体Mが飛散しても、その粉体Mはカバー部20の空間20hの空気とともに第二吸引配管32を通して集塵機35に吸引される。
【0047】
充填筒10から外されたコンテナ部FBの開口Faは、作業者によって閉塞されるが、この間に粉体Mが漏れても、カバー部20の空間20hの空気は常時吸引されているので、粉体Mが周囲に飛散することを防ぐことができる。
【0048】
以上のように、本実施形態の充填設備1によれば、フレコンFに粉体Mを充填する際に周囲に粉体Mが飛散することを効果的に防止できるので、作業環境の悪化を防止できる。
しかも、飛散した粉体Mを集塵機35によって回収しているので、回収した粉体Mを再度利用することが可能になり、粉体Mのロスも防止できる。
【0049】
<吸引部30について>
第一吸引配管31や第二吸引配管32を設ける数はとくに限定されない。1本でもよいし、複数本設けてもよい。とくに、第二吸引配管32をある程度間隔を空けて複数本設ければ、カバー部20の空間20hに飛散する粉体Mを回収する効率を向上することができる。
【0050】
吸引部30の第一吸引配管31の他端は、必ずしも第二吸引配管32に連結しなくてもよく、第二吸引配管32とは別の集塵機に連結してもよい。この場合には、第一吸引配管31に吸引流量調整部34は必ずしも設けなくてもよい。第一吸引配管31に連結された集塵機の作動を制御すれば、吸引流量調整部34を設けた場合と同様に機能させることができる。しかし、第一吸引配管31の他端を第二吸引配管32に連結して第一吸引配管31に吸引流量調整部34を設けるようにすれば、集塵機35を一つにすることができるので、設備の構成を簡素化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の充填設備は、ニッケル粉やコバルト粉、マンガン粉などの粉体をフレキシブルコンテナバックに充填する設備に適している。
【符号の説明】
【0052】
1 充填設備
2 台座
3 充填部
10 充填筒
10b 集塵開口
11 内筒
12 外筒
12h 隙間
13 粉体流量調整部
20 カバー部
20h 空間
30 吸引部
31 第一吸引配管
32 第二吸引配管
34 吸引流量調整部
35 集塵機
F フレコン
FB コンテナ部
Fa 開口
M 粉体
図1
図2