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特許7293615マウント、レンズ鏡筒、撮像装置および撮像システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】マウント、レンズ鏡筒、撮像装置および撮像システム
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/14 20210101AFI20230613BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20230613BHJP
【FI】
G03B17/14
G02B7/02 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018210758
(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公開番号】P2020076889
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-09-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年8月2日掲載のhttps://events.imaging.nikon.com/live/jp/(「Nikon|New Products Global Launch Event」)(発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書A(以下、証明書A)を参照) 平成30年8月23日掲載のhttp://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_7/(「Z7概要|ミラーレスカメラ|ニコンイメージング」)、http://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_6/(「Z6概要|ミラーレスカメラ|ニコンイメージング」)、http://www.nikon-image.com/products/mirrorless/common2/pdf/Z7Z6.pdf(「Z7Z6.pdf」)、http://www.nikon-image.com/products/mirrorless/common2/pdf/Z_series_Content.pdf(「Z_series_Content.pdf」)、http://www.nikon-image.com/sp/mirrorless_z/#products(「フルサイズミラーレスZ スペシャルコンテンツ|ニコンイメージング」)、https://www.youtube.com/watch?v=fo2UFfEbtvY(ニコンイメージングジャパン公式チャンネル「Nikon Z7:Product Tour」)(証明書Aを参照) 平成30年9月26日掲載のhttps://www.youtube.com/watch?time_continue=5&v=cDT9DQgNdMA(ニコンイメージングジャパン公式チャンネル「Zシリーズ デザインコンセプトムービー」)、https://www.youtube.com/watch?v=G46Y3degCM8(ニコンイメージングジャパン公式チャンネル「Zシリーズ エンジニアインタビュームービー(マウント編)」)(証明書Aを参照) 平成30年8月23日(日本、アメリカ合衆国)、平成30年8月28日(大韓民国)、および平成30年9月5日(中華人民共和国)で開催のフルサイズミラーレスカメラ「Z7」「Z
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 Z6」の発表会(発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書B(以下、証明書B)を参照) 平成30年9月1日開催のNikon Fan Meeting 2018(証明書Bを参照) 平成30年9月1日配布のNikon Zマウントシステム小冊子(平成30年8月23日掲載のhttp://www.nikon-image.com/products/mirrorless/common2/pdf/Z_series_Content.pdf(「Z_series_Content.pdf」)の紙版)(証明書Bを参照) 平成30年9月14日開催の先行展示(証明書Bを参照) 平成30年9月26日開催のフォトキナ(証明書Bを参照) 平成30年9月28日、日本国内で販売(発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書C(以下、証明書C)を参照) 平成30年9月、10月、世界各国で販売(証明書Cを参照)
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】勝田 治
(72)【発明者】
【氏名】長岡 弘仁
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-157248(JP,A)
【文献】実開昭63-150937(JP,U)
【文献】実開昭54-068833(JP,U)
【文献】特開2010-271418(JP,A)
【文献】実開昭59-128634(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
G02B 7/02-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面と交差する方向に設けられた円筒部と、前記円筒部から放射方向に突出したレンズ側突出部とを備えるレンズ鏡筒を装着可能なカメラボディのマウントであって、
前記レンズ鏡筒を前記カメラボディに装着すると前記第1面が接触する円環状の円環部と、
前記レンズ鏡筒を前記カメラボディに装着すると前記レンズ側突出部に接触する、前記円環部の内周から内側に向かって突出したボディ側突出部と、
前記円環部を前記カメラボディに固定する固定部材と、を備え、
前記ボディ側突出部は、前記レンズ鏡筒を前記カメラボディに装着すると前記レンズ側突出部に接触する第1部分と、前記レンズ側突出部に接触しない第2部分とを有し、
前記固定部材と前記第1部分との距離は、前記固定部材と前記第2部分との距離より大きく、
前記ボディ側突出部および前記固定部材は、前記円環部の周方向に沿って複数配置され、
全ての前記ボディ側突出部では、前記周方向に沿って、前記第2部分、前記第1部分が順に配置され、
全ての前記ボディ側突出部において、前記固定部材と前記第1部分との距離は、前記固定部材と前記第2部分との距離より大きいマウント。
【請求項2】
レンズ鏡筒が着脱可能なカメラボディのマウントであって、
円環形状の円環部と、
前記円環部を前記カメラボディに固定する固定部材と、
前記円環部の内周から内側に向かって突出したボディ側突出部と、を備え、
前記ボディ側突出部は、前記内周の周方向に沿って、第1部分と、前記円環部の中心軸に沿った方向における厚さが前記第1部分より小さい第2部分と、を有し、
前記固定部材と前記第1部分との距離は、前記固定部材と前記第2部分との距離より大きく、
前記ボディ側突出部および前記固定部材は、前記円環部の周方向に沿って複数配置され、
全ての前記ボディ側突出部では、前記周方向に沿って、前記第2部分、前記第1部分が順に配置され、
全ての前記ボディ側突出部において、前記固定部材と前記第1部分との距離は、前記固定部材と前記第2部分との距離より大きいマウント。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマウントであって、
全ての前記ボディ側突出部において、外周側に前記固定部材が配置されるマウント。
【請求項4】
請求項3に記載のマウントであって、
全ての前記ボディ側突出部において、それぞれの前記ボディ側突出部の前記周方向における中心位置より一端側に前記固定部材が配置されるマウント。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のマウントであって、
前記レンズ鏡筒が前記カメラボディに装着されると、前記第1部分は前記レンズ鏡筒に接触し、前記第2部分は前記レンズ鏡筒に接触せず、
前記レンズ鏡筒が前記カメラボディに装着されている際に前記レンズ鏡筒と前記カメラボディの少なくとも一方に前記円環部の中心軸と交差する方向から外力が加わった場合に、前記第2部分は前記レンズ鏡筒に接触可能である、
マウント。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のマウントであって、
前記円環部の中心を通る中心軸に沿った方向における前記第1部分の厚さは略一定であり、
前記中心軸に沿った方向における前記第2部分の厚さは前記第1部分の厚さより小さいマウント。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のマウントであって、
前記固定部材は前記円環部の周方向に沿って複数配置され、
隣り合う前記固定部材同士の周方向における中心位置と第2部分との距離は、前記中心位置と第1部分との距離より大きいマウント。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のマウントであって、
前記ボディ側突出部は、前記レンズ鏡筒を前記カメラボディに対して所定方向に回転することにより、前記レンズ鏡筒と接触し、
前記所定方向に沿って、前記第2部分、前記第1部分、の順に配置されるマウント。
【請求項9】
請求項8に記載のマウントであって、
前記ボディ側突出部は、前記第2部分の前記所定方向の後端側において、前記円環部の中心を通る中心軸と交差する方向に沿って傾斜した傾斜部を有するマウント。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のマウントであって、
前記第1部分と前記第2部分との間に設けられた弾性体を備え、
前記弾性体は、前記レンズ鏡筒を前記カメラボディに装着すると、前記レンズ鏡筒に接触して弾性力を与えるマウント。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のマウントであって、
前記ボディ側突出部は、前記円環部の周方向に沿って複数備えられ、
前記固定部材は、それぞれの前記ボディ側突出部において、前記第2部分の外周側に配置されるマウント。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のマウントを有する撮像装置。
【請求項13】
レンズ鏡筒と、
請求項12に記載の撮像装置と、
を有する撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウント、レンズ鏡筒、撮像装置および撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラボディに対する交換レンズの着脱方式としては爪同士を回転により係合するバヨネットマウント方式が広く用いられている(たとえば、下記特許文献1を参照)。しかしながら、カメラボディと交換レンズとの装着の耐衝撃性をより向上させることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-060076号公報
【発明の概要】
【0004】
本願において開示される第1のマウントは、第1面と、前記第1面と交差する方向に設けられた円筒部と、前記円筒部から放射方向に突出したレンズ側突出部とを備えるレンズ鏡筒を装着可能なカメラボディのマウントであって、前記レンズ鏡筒を前記カメラボディに装着すると前記第1面が接触する円環状の円環部と、前記レンズ鏡筒を前記カメラボディに装着すると前記レンズ側突出部に接触する、前記円環部の内周から内側に向かって突出したボディ側突出部と、前記円環部を前記カメラボディに固定する固定部材と、を備え、前記ボディ側突出部は、前記レンズ鏡筒を前記カメラボディに装着すると前記レンズ側突出部に接触する第1部分と、前記レンズ側突出部に接触しない第2部分とを有し、前記固定部材と前記第1部分との距離は、前記固定部材と前記第2部分との距離より大きく、前記ボディ側突出部および前記固定部材は、前記円環部の周方向に沿って複数配置され、全ての前記ボディ側突出部では、前記周方向に沿って、前記第2部分、前記第1部分が順に配置され、全ての前記ボディ側突出部において、前記固定部材と前記第1部分との距離は、前記固定部材と前記第2部分との距離より大きい。
【0005】
本願において開示される第2のマウントは、レンズ鏡筒が着脱可能なカメラボディのマウントであって、円環形状の円環部と、前記円環部を前記カメラボディに固定する固定部材と、前記円環部の内周から内側に向かって突出したボディ側突出部と、を備え、前記ボディ側突出部は、前記内周の周方向に沿って、第1部分と、前記円環部の中心軸に沿った方向における厚さが前記第1部分より小さい第2部分と、を有し、前記固定部材と前記第1部分との距離は、前記固定部材と前記第2部分との距離より大きく、前記ボディ側突出部および前記固定部材は、前記円環部の周方向に沿って複数配置され、全ての前記ボディ側突出部では、前記周方向に沿って、前記第2部分、前記第1部分が順に配置され、全ての前記ボディ側突出部において、前記固定部材と前記第1部分との距離は、前記固定部材と前記第2部分との距離より大きい。
【0006】
本願において開示される第3のマウントは、第1面と前記第1面に沿って設けられたボディ側突出部とを備えるカメラボディに装着可能なレンズ鏡筒のマウントであって、少なくとも一つのレンズを内部に有する本体部と、前記本体部の一端部に配置され、前記カメラボディに装着されると前記第1面に接触する第2面と、前記第2面を前記本体部に固定する固定部材と、前記カメラボディに装着されると前記ボディ側突出部と対向するレンズ側突出部と、を備え、前記レンズ側突出部は、前記レンズ鏡筒を前記カメラボディに装着すると前記ボディ側突出部と接触する第1部分と、前記ボディ側突出部と離れた第2部分とを有し、前記第1部分は前記第2部分に比べて前記固定部材から離れている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施例1にかかる撮像システムの外観図である。
図2図2は、実施例1にかかるカメラ側マウントの外観図である。
図3図3は、実施例1にかかる第2円環部における板バネの支持状態を示す説明図である。
図4図4は、実施例1にかかるレンズ鏡筒の分解斜視図である。
図5図5は、実施例1にかかるレンズ側マウントの外観図である。
図6図6は、実施例1にかかるカメラ側マウントの部分拡大図である。
図7図7は、実施例1にかかるレンズ側マウントのカメラ側マウントへの装着例を示す説明図である。
図8図8は、レンズ側マウントのカメラ側マウントへの装着状態を示す平面図である。
図9図9は、実施例2にかかるレンズ側マウントの部分拡大図である。
図10図10は、実施例2にかかるレンズ側マウントのカメラ側マウントへの装着例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
<撮像システムの外観>
図1は、実施例1にかかる撮像システム1の外観図である。なお、説明と理解とを容易にするために、XYZの直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者がZ方向となる光軸OAを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラ位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。
【0009】
また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、正位置において被写体に向かう方向をZプラス方向とする。また、Zマイナス方向は、レンズ鏡筒20をカメラボディ10へ装着する際に近づける方向であり、Zプラス方向は、レンズ鏡筒20をカメラボディ10から取り外す際に遠ざける方向である。
【0010】
図1において、撮像システム1は、カメラボディ10と、レンズ鏡筒20と、を備える。カメラボディ10は、たとえば、レンズ鏡筒20により形成された被写体像を撮像する撮像部(イメージセンサ)を備えたデジタルカメラである。
【0011】
カメラボディ10は、カメラ側マウント30を備える。カメラ側マウント30は、レンズ鏡筒20が着脱自在に装着されるカメラボディ10のマウントである。カメラ側マウント30は、カメラボディ10内の撮像部を表出させる開口100と、開口100の開口縁に形成されたカメラ側爪部33と、を有する。カメラボディ10は、金属または樹脂製である。カメラ側マウント30も金属または樹脂製であり、カメラボディ10と同じ材質でも異なる材質でも構わない。
【0012】
レンズ鏡筒20は、鏡筒本体21と、レンズ22と、レンズ側マウント40と、を備える。鏡筒本体21は、内部にレンズ22を収容した筒状の筐体である。レンズ22は、被写体光を屈折して被写体像を形成する光学部材である。レンズ側マウント40は、カメラ側マウント30と機械的に結合するレンズ鏡筒20のマウントである。レンズ側マウント40は、鏡筒本体21の光軸OA(すなわちZ方向マイナス側)における端部に設けられている。レンズ側マウント40は、カメラ側爪部33をはめ込むためのレンズ側爪部43および溝部44を有する。
【0013】
カメラ側マウント30とレンズ側マウント40とは、バヨネットマウント方式のマウント構造を構成する。ここで、さらに、図2および図3を用いて、カメラ側マウント30について説明する。レンズ側マウント40の詳細は、図4および図5で後述する。
【0014】
<カメラ側マウント>
図2は、実施例1にかかるカメラ側マウント30の外観図である。具体的には、図2の(A)は、カメラ側マウント30の分解斜視図であり、図2の(B)は、カメラ側マウント30の正面図である。カメラ側マウント30は、第1円環部30Aと、第2円環部30Bと、により構成される。第1円環部30Aは、カメラボディ10の前面10aの開口100の外周の領域である。
【0015】
第1円環部30AのZプラス方向の表面31には、ビス孔35Aが設けられる。ビス孔35Aは、たとえば、第1円環部30Aの表面31の周方向において略均等に4箇所設けられている。
【0016】
第1円環部30Aの表面31には、Zマイナス方向に凹んだ凹部201が設けられる。凹部201は、たとえば、第1円環部30Aの表面31の周方向においてビス孔35Aの一端側に4箇所設けられている。凹部201は、第1円環部30Aの表面31において、開口100の周方向に沿って湾曲して形成される。凹部201には、Zマイナス方向に向けた付勢力を有する板バネ202が配置される。また、凹部201においてビス孔35A側の一端には、板バネ202の一端の位置を固定するための突出片201aが設けられる。凹部201においてビス孔35A側の他端には、板バネ202の他端の径方向の位置を固定するための突出片201bが設けられる。
【0017】
板バネ202は、開口100の接線方向に沿った長尺な弾性体である。板バネ202は、Zマイナス方向に向かって凸形状に湾曲した弾性体であり、後述するレンズ側爪部43をZマイナス方向へ付勢する。板バネ202の一端には、突出片201aが係合する孔202aが形成されている。孔202aは、Z方向から見て円形である。また、板バネ202の他端には、突出片201bの他端が係合する孔202bが形成されている。孔202bは、Z方向から見てU字形状の溝部である。板バネ202のZ方向の位置は第1円環部30Aと第2円環部30Bとに挟み込まれて固定される。
【0018】
第2円環部30BのZプラス方向の表面は、カメラ側マウント基準面32である。カメラ側マウント基準面32は、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に装着した状態において、レンズ鏡筒20のレンズ側マウント基準面41aと当接(面接触)する部分である。カメラ側マウント基準面32は、略円環状の平面である。
【0019】
第2円環部30Bは、その内周縁にカメラ側爪部33を有する。カメラ側爪部33は、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に装着した状態において、レンズ鏡筒20のレンズ側マウント40に設けられたレンズ側爪部43と対向する部分である。カメラ側爪部33は、Z方向に所定の厚さを有し、略板状に形成されている。カメラ側爪部33の厚さについては、図6で後述する。
【0020】
カメラ側爪部33は、カメラ側マウント30の内周から径方向の内側に向かって突出する。カメラ側爪部33は、カメラ側マウント30の内周縁に沿って所定の長さに形成されている。カメラ側爪部33は、カメラ側マウント30の内周縁に沿って4箇所設けられている。それぞれのカメラ側爪部33は、カメラ側マウント30の内周縁に沿って等間隔で設けられている。それぞれのカメラ側爪部33の周方向の長さは適宜変更可能であり、カメラ側爪部33同士の周方向の間隔も適宜変更可能である。
【0021】
図3は、実施例1にかかる第2円環部30Bにおける板バネ202の配置状態を示す説明図である。第2円環部30Bの裏面300において、カメラ側爪部33には収容部301が設けられる。収容部301は、たとえば、第1円環部30Aの表面31に形成された凹部201に対向して、第2円環部30Bの裏面300に4箇所設けられている。収容部301は、第2円環部30Bの裏面300において、開口100の周方向に沿って形成される。
【0022】
収容部301には、板バネ202が収容される。具体的には、たとえば、板バネ202がZプラス方向に向けて付勢されると、板バネ202の孔202bに係合している端部は、突出片201bに係合しながら開口100の周方向において延び、板バネ202の端部が開口100の周方向に存在する収容部301の壁に当接する。また、板バネ202の孔202aは、突出片201aに係合して位置を固定されている。これにより、板バネ202の両端は、収容部301において開口100の周方向に伸縮しながらZ方向の位置を移動しないように支持される。板バネ202の中途部は、第1円環部30Aの表面31に向かって湾曲しているため、収容部301と非接触である。
【0023】
レンズ側爪部43がカメラ側爪部33と対向する位置に進入して板バネ202に当接すると、板バネ202の湾曲した中途部がその付勢力に抗して第2円環部30Bに向かって押し込まれる。これにより、凹部201の突出片201a、201bが板バネ202の孔202a、202bに対して相対移動して、板バネ202は弾性変形する。
【0024】
一方、レンズ側爪部43が板バネ202と非接触状態になると、板バネ202の中途部がその付勢力により第1円環部30Aの表面31に向かって復帰する。これにより、凹部201の突出片201a、201bが板バネ202の孔202a、202bに対して相対移動して、板バネ202は弾性変形する。
【0025】
第2円環部30Bのカメラ側マウント基準面32には、ビス孔35A対応する位置に孔35Bが設けられる。孔35Bは、ビス孔35Aへ挿入されるビス36を貫通可能な形状である。ビス36を孔35Bを貫通させてビス孔36Aへねじ止めすることにより、第2円環部30Bが第1円環部30Aを介してカメラボディ10にネジ止めされる。
【0026】
開口100は、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に装着した状態において、レンズ側マウント40の一部を収容する円形状の孔である。開口100は、第2円環部30Bの内径で形成され、カメラ側マウント30の内周側に設けられている。
【0027】
また、図1および図2において、カメラ側マウント30は、ビス36と、マウント位置決めピン37と、を有する。カメラ側マウント30は、孔35Bを貫通してビス孔35Aに挿入されたビス36により、カメラボディ10にネジ止めされている。
【0028】
マウント位置決めピン37は、カメラ側マウント基準面32に対し突出または収容されるピンである。マウント位置決めピン37は、Zプラス方向の先端がカメラ側マウント基準面32から突出した突出位置と、Zプラス方向の先端がカメラ側マウント基準面32よりZマイナス方向側に収容された収容位置との間を移動可能に構成されている。
【0029】
また、図1に示したように、カメラボディ10の前面10a(被写体側)のカメラ側マウント30の近傍には、ロック解除ボタン38が設けられている。ロック解除ボタン38は、マウント位置決めピン37を突出位置から収容位置に移動させるためのボタンである。
【0030】
また、図2の(A)に示したように、マウント位置決めピン37は、カメラボディ10の内部に設けられたスプリング37aにより、突出位置に付勢されている。マウント位置決めピン37は、ロック解除ボタン38を押し込むことにより、スプリング37aの付勢力に抗して収容位置に移動する。また、マウント位置決めピン37は、ロック解除ボタン38の押し込みを解除すると、スプリング37aの付勢力により突出位置に移動する。
【0031】
<レンズ側マウント>
つぎに、レンズ側マウント40について、図4および図5を用いて詳細に説明する。
【0032】
図4は、実施例1にかかるレンズ側マウント40の分解斜視図である。図5は、実施例1にかかるレンズ側マウント40の外観図である。レンズ側マウント40は、ベース部材40Aと、円環部材40Bと、により構成される。図5の(A)は、ベース部材40Aのみの正面図を示す。円環部材40Bは、ベース部材40Aに取り付けられる。図5の(B)は、Zプラス方向からみたレンズ鏡筒20の正面図を示す。
【0033】
ベース部材40Aは、フランジ41とレンズ側マウント筒部42とを有する。フランジ41は、レンズ側マウント筒部42の鏡筒本体21側端部に設けられ、ビス46の挿入により、鏡筒本体21にネジ止めされる。フランジ41のZマイナス方向側の面は、レンズ側マウント基準面41aである。
【0034】
レンズ側マウント基準面41aは、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に装着した状態において、カメラボディ10のカメラ側マウント基準面32と当接する部分である。レンズ側マウント基準面41aは、カメラ側マウント基準面32と同じく、略円環状である。
【0035】
レンズ側マウント筒部42は、レンズ側マウント基準面41aの内周側に設けられている。レンズ側マウント筒部42は、レンズ側マウント基準面41aの内周側から所定長さZマイナス方向に突出している。レンズ側マウント筒部42の中心軸は、レンズ鏡筒20の光軸と略一致する。レンズ側マウント筒部42は、その外周面にレンズ側爪部43と溝部44とを有する。
【0036】
レンズ側爪部43は、レンズ側マウント筒部42のZマイナス方向端部に設けられている。レンズ側爪部43は、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に装着した状態において、カメラボディ10のカメラ側マウント30に設けられたカメラ側爪部33と対向する部分である。
【0037】
レンズ側爪部43は、Z方向に所定の厚さを有し、略板状に形成されている。レンズ側爪部43は、レンズ側マウント筒部42外周側において、径方向の外側に突出する。レンズ側爪部43は、レンズ側マウント筒部42の外周縁に沿って所定の長さに形成されている。レンズ側爪部43は、レンズ側マウント筒部42の外周縁に沿って4箇所設けられている。それぞれのレンズ側爪部43の周方向の長さはカメラ側爪部33との着脱可能な範囲で適宜変更可能であり、レンズ側爪部43同士の周方向の間隔もカメラ側爪部33との着脱可能な範囲で適宜変更可能である。
【0038】
Z方向において、レンズ側マウント基準面41aとレンズ側爪部43との間には、溝部44が形成されている。溝部44は、レンズ側マウント基準面41aとレンズ側爪部43との間における空隙およびレンズ側マウント筒部42の外周面により構成される。溝部44は、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に着脱する際に、カメラ側マウント30のカメラ側爪部33が周方向に相対移動する部分である。
【0039】
フランジ41は、ビス孔45を有する。ビス孔45は、たとえば、レンズ側マウント基準面41aの周方向において略均等に4箇所設けられている。ベース部材40Aは、ビス孔45に挿入されたビス46により、レンズ鏡筒20にネジ止めされる。
【0040】
また、フランジ41は、マウント位置決めピン穴47を有する。マウント位置決めピン穴47は、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に装着した状態において、カメラ側マウント30のマウント位置決めピン37がZプラス方向に突出して嵌合する穴である。
【0041】
<レンズ鏡筒20の装着例>
つぎに、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に装着する例について、図6および図7を用いて説明する。
【0042】
図6は、実施例1にかかるカメラ側マウント30の部分拡大図である。図6は、カメラ側マウント30の内周側から外周側に向かってカメラ側爪部33をみた図である。カメラ側爪部33の内周縁は、周方向に沿って順に、面取り33c、一端33a、収容部301、他端33bが形成されている。カメラ側爪部33の一端33aは、板バネ202の一端(孔202aが形成されている端部)が設けられる方の端部である。カメラ側爪部33の他端33bは、板バネ202の他端(孔202bが形成されている端部)が設けられる方の端部である。面取り33cは、Z方向において傾斜した面を有する傾斜部である。
【0043】
カメラ側爪部33の一端33aのカメラ側マウント基準面32からZマイナス方向に向かう厚さ(第2円環部30Bの中心を通る中心軸(たとえば、光軸OA)に沿った方向の厚さ)をD1、カメラ側爪部33の他端33bのカメラ側マウント基準面32からZマイナス方向に向かう厚さをD2とする。この場合、D2>D1となるように、カメラ側爪部33が形成される。D1とD2との段差をD3(=D2-D1)とする。段差D3は、たとえば、厚さD1の1~3%程度であり、好ましくは約1.5~2.0%である。段差D3は、たとえば、厚さD1または厚さD2の公差より大きいのが好ましい。実施例1では、厚さD1または厚さD2の公差は、たとえば1%程度である。
【0044】
図7は、実施例1にかかるレンズ側マウント40のカメラ側マウント30への装着例を示す説明図である。図7も、図6と同様、カメラ側マウント30の内周側から外周側に向かってカメラ側爪部33およびレンズ側爪部43をみた図である。図7では、4つのレンズ側爪部43のうち2つを示し、レンズ側爪部43の左側のレンズ側爪部43をレンズ側爪部43Lとし、レンズ側爪部43の右側のレンズ側爪部43をレンズ側爪部43Rとする。
【0045】
溝部44も同様に、溝部44L、44Rとする。また、レンズ鏡筒20は、カメラボディ10に装着する際、図7中、左から右方向に回転するものとする(図6も同様)。レンズ鏡筒20をカメラボディ10に装着する工程を図7(A)から図7(F)で示す。なお、レンズ側爪部43Rの動きについては、レンズ側爪部43Lと同一であるため説明を省略する。
【0046】
図7(A) レンズ鏡筒20をカメラボディ10に対してZマイナス方向に相対移動させる。つまり、レンズ側マウント40をカメラ側マウント30に対してZマイナス方向に移動させる。この移動により、レンズ側爪部43Lは、カメラ側マウント30の周方向におけるカメラ側爪部33同士の間の空間に挿入され、カメラ側爪部33よりZマイナス方向側(撮像面側)に相対移動していく。
【0047】
図7(B) 図7(A)の移動により、周方向において、2つのレンズ側爪部43の間の空間に、カメラ側爪部33が挿入される。これにより、カメラ側マウント30のカメラ側マウント基準面32と、レンズ側マウント40のレンズ側マウント基準面41aとが当接する。そして、レンズ鏡筒20の撮像面に対するZ方向の距離が決まる。
【0048】
図7(C) 図7(B)の基準面当接後、レンズ鏡筒20のカメラボディ10に対する相対回転により、レンズ側爪部43Lは、カメラ側爪部33の一端33a側に向かって移動する。レンズ側爪部43Lの回転方向の先端部は、カメラ側爪部33の一端33aと対向する位置に到達する。このとき、レンズ側爪部43Lの回転方向の先端部は、カメラ側爪部33の一端33aと非接触である。
【0049】
図7(D) 図7(C)からさらにレンズ鏡筒20をカメラボディ10に対して相対回転させると、レンズ側爪部43Lの回転方向の先端部が板バネ202の中途部に接触する。これにより、レンズ側爪部43と板バネ202との接触位置で装着トルクが発生し始める。
【0050】
図7(E) 図7(D)からさらにレンズ鏡筒20をカメラボディ10に対して相対回転させると、レンズ側爪部43Lの回転方向の先端部が板バネ202を越えてカメラ側爪部33の他端33bに到達する。このとき、板バネ202は、レンズ側爪部43Lに押圧されて弾性変形し、レンズ側爪部43LをZマイナス方向に付勢する。レンズ側爪部43と板バネ202との接触位置の変化により、装着トルクが増加する。
【0051】
図7(F) 図7(E)からさらにレンズ鏡筒20をカメラボディ10に対して相対回転させると、レンズ側爪部43Lは、ほぼカメラ側爪部33に対向する位置に位置決めされる。このとき、図7(E)と同様、板バネ202は、レンズ側爪部43LをZマイナス方向に付勢したままである。
【0052】
この状態で、カメラ側マウント30のマウント位置決めピン37が、レンズ側マウント40のマウント位置決めピン穴47と嵌合し、装着が完了する。その結果、レンズ鏡筒20のカメラボディ10に対する相対回転が禁止される。これにより、カメラ側マウント30のカメラ側マウント基準面32と、レンズ側マウント40のレンズ側マウント基準面41aとが面接触して、光軸OAを中心とした周方向において位置決めされる。また、カメラ側爪部33がレンズ側爪部43とレンズ側マウント基準面41aとの間で位置決めされて、レンズ側マウント40とカメラ側マウント30とがZマイナス方向において位置決めされる。このように、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に装着した状態において、レンズ鏡筒20は、カメラボディ10に対する光軸OAの方向および光軸OA回りの方向における移動が規制される。
【0053】
図8は、レンズ側マウント40のカメラ側マウント30への装着状態を示す平面図である。図8では、カメラ側爪部33の一端33a、他端33bと、ビス36と、の位置関係を示す。本実施例では、周方向において、カメラ側爪部33の周方向端部とレンズ側爪部43の周方向端部とが一致していないが、適宜変更可能である。各カメラ側爪部33において、他端33bは、一端33aよりもビス36から離れた位置に位置決めされる。
【0054】
つぎに、カメラ側マウント30とレンズ側マウント40との結合を解除する場合について説明する。ユーザは、カメラボディ10に設けられたロック解除ボタン38を押し込み、マウント位置決めピン37を収容状態とする。これにより、マウント位置決めピン37とマウント位置決めピン穴47との嵌合が解除される。
【0055】
そして、レンズ側マウント40は、カメラ側マウント30に対して回転可能な状態となる。このあとは、図7に示した(A)⇒(F)の操作手順とは逆の操作手順(F)⇒(A)で操作することで、カメラ側マウント30とレンズ側マウント40との結合が解除される。これにより、レンズ鏡筒20をカメラボディ10から取り外すことができる。
【0056】
ここで、カメラボディ10にレンズ鏡筒20を装着している際に、たとえば、カメラボディ10を構えたままレンズ鏡筒20にのみたとえば上下方向の衝撃が加わると、その衝撃はレンズ鏡筒20のレンズ側マウント40からカメラ側マウント30を経由してカメラボディ10に伝達する。衝撃が大きいと、カメラ側マウント30のビス36が外れてしまい、レンズ鏡筒20がカメラ側マウント30ごと外れてしまうという問題があった。つまり、レンズ鏡筒20が着脱可能な撮像システム1において、レンズ鏡筒20またはカメラボディ10の少なくとも一方に光軸と交差する方向から外力が加わった場合に、マウント部分が本体から外れてしまうという問題があった。
【0057】
しかしながら、本実施例では、カメラ側爪部33の一端33aがレンズ側爪部43に接触しないように段差D3を設け、かつ、他端33bの位置を一端33aよりもビス36から離して配置した。カメラ側爪部33の一端33aは、衝撃の加わっていない時にはレンズ側爪部43に接触しないが、上述の衝撃が加わった場合には、たとえばカメラ側マウント30の変形などにより、レンズ側爪部43に接触して衝撃を受けることが可能である。
【0058】
これにより、レンズ鏡筒20に加わった衝撃が、レンズ側爪部43、カメラ側爪部33の他端33b、カメラ側爪部33の一端33a、ビス36の順に伝達し、衝撃の分散性が向上する。衝撃の分散性が向上することにより、カメラボディ10からカメラ側マウント30が外れてしまうということを効果的に抑制する。
【0059】
また、レンズ側爪部43のカメラ側爪部33の一端33aに対向する位置の外周にビス46を配置した。つまり、レンズ側爪部43のカメラ側爪部33の一端33aに対向する位置とビス46との距離は、レンズ側爪部43のカメラ側爪部33の他端33bに対向する位置とビス46との距離より小さい。従って、レンズ側爪部43でも、レンズ鏡筒20に加わった衝撃を、レンズ側爪部43、カメラ側爪部33の他端33b、カメラ側爪部33の一端33a、ビス46の順に伝達させ、衝撃の分散性を向上させて、レンズ鏡筒20からレンズ側マウント40が外れてしまうということを効果的に抑制する。
【0060】
また、カメラ側爪部33の面取り33c、一端33a、他端33bの周方向における長さは、他端33b、一端33a、面取り33cの順に短い。他端33bの周方向における長さを長くとることにより、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に装着している間は、カメラ側爪部33とレンズ側爪部43との接触面積を大きくして安定して装着させることができる。
【0061】
特に、カメラ側爪部33またはレンズ側爪部43の外周側に、それぞれ少なくとも一つずつビス36を配置すれば、いずれの爪部でも分散性を向上させることができる。
【0062】
また、装着時の回転方向に沿って、カメラ側爪部33の一端33a、カメラ側爪部33の他端33bを配置したので、溝部44に進入するカメラ側爪部33の厚みを段階的に大きくすることができ、装着性も向上させることができる。なお、本実施例では、カメラ側爪部33の一端33aの端部に面取り33cを形成して傾斜面とすることにより、装着性をより向上させている。
【実施例2】
【0063】
実施例2は、形状変形例を示す。実施例1では、レンズ側爪部43の各々についてZ方向の厚さが均一であったが、実施例2では、レンズ側爪部430の各々についてZ方向の厚さが異なる。一方、実施例1では、カメラ側爪部33の各々についてZ方向の厚さが異なっていたが、実施例2では、カメラ側爪部33の各々についてZ方向の厚さが均一(D1=D2)である。なお、実施例2では、実施例1との相違点を中心に説明するため、実施例1との共通箇所については、同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
図9は、実施例2にかかるレンズ側マウント40の部分拡大図である。図9は、レンズ側マウント40の内周側から外周側に向かってレンズ側爪部430をみた図である。レンズ側爪部430のZマイナス方向側の面430c(レンズ側マウント基準面41aと対向しない方の面)を厚さの基準面とする。レンズ側爪部430の回転方向の一端430aの厚さをd1、他端430bの厚さをd2(<d1)、厚さd1と厚さd2との差分を段差d3(=d1-d2)とする。厚さd2は、カメラ側マウント30との結合時に、板バネ202が他端430bと接触する厚さとする。段差d3は、たとえば、厚さd2の1~3%程度であり、好ましくは約1.5~2.0%である。段差d3は、厚さd1または厚さd2の公差より大きいのが好ましい。実施例2では、厚さd1または厚さd2の公差は、たとえば1%程度である。
【0065】
また、レンズ側爪部430の装着時の回転方向における一端430aの長さをL1、他端430bの長さをL2(>L1)とする。長さL2は、カメラ側マウント30との結合時に、板バネ202の孔202aが形成されている一端が、一端430aと他端430bとの境界に到達する程度の長さとする。
【0066】
図10は、実施例2にかかるレンズ側マウント40のカメラ側マウント30への装着例を示す説明図である。
【0067】
図10(A) レンズ鏡筒20をカメラボディ10に対してZマイナス方向に相対移動させる。つまり、レンズ側マウント40をカメラ側マウント30に対してZマイナス方向に移動させる。この移動により、レンズ側爪部430Lは、カメラ側マウント30の周方向におけるカメラ側爪部33同士の間の空間に挿入され、カメラ側爪部33よりZマイナス方向側(撮像面側)に相対移動していく。
【0068】
図10(B) 図10(A)の移動により、周方向において、2つのレンズ側爪部430の間の空間に、カメラ側爪部33が挿入される。これにより、カメラ側マウント30のカメラ側マウント基準面32と、レンズ側マウント40のレンズ側マウント基準面41aとが当接する。そして、レンズ鏡筒20と撮像面に対するZ方向の距離が決まる。
【0069】
図10(C) 図10(B)の基準面当接後、レンズ鏡筒20のカメラボディ10に対する相対回転により、レンズ側爪部430Lは、カメラ側爪部33の一端33a側に向かって移動する。レンズ側爪部430Lの回転方向の先端となる他端430bは、カメラ側爪部33の一端33aと対向する位置に到達する。このとき、レンズ側爪部430Lの他端430bは、カメラ側爪部33の一端33aと非接触である。
【0070】
図10(D) 図10(C)からさらにレンズ鏡筒20をカメラボディ10に対して相対回転させると、レンズ側爪部430Lの他端430bが板バネ202の中途部に接触する。これにより、レンズ側爪部43と板バネ202との接触位置で装着トルクが発生し始める。
【0071】
図10(E) 図10(D)からさらにレンズ鏡筒20をカメラボディ10に対して相対回転させると、レンズ側爪部430Lの他端430bが板バネ202を越えてカメラ側爪部33の他端33bに到達する。このとき、板バネ202は、レンズ側爪部430Lに押圧されて弾性変形し、レンズ側爪部430LをZマイナス方向に付勢する。レンズ側爪部43と板バネ202との接触位置の変化により、装着トルクが増加する。
【0072】
図10(F) 図10(E)からさらにレンズ鏡筒20をカメラボディ10に対して相対回転させると、レンズ側爪部430Lは、ほぼカメラ側爪部33に対向する位置に位置決めされる。このとき、図10(E)と同様、板バネ202は、レンズ側爪部430LをZ方向に付勢したままである。
【0073】
この状態で、カメラ側マウント30のマウント位置決めピン37が、レンズ側マウント40のマウント位置決めピン穴47と嵌合し、装着が完了する。その結果、レンズ鏡筒20のカメラボディ10に対する相対回転が禁止される。これにより、カメラ側マウント30のカメラ側マウント基準面32と、レンズ側マウント40のレンズ側マウント基準面41aとが面接触して、光軸OAを中心とした周方向において位置決めされる。また、カメラ側爪部33がレンズ側爪部430とレンズ側マウント基準面41aとの間で位置決めされて、レンズ側マウント40とカメラ側マウント30とがZマイナス方向において位置決めされる。
【0074】
また、レンズ鏡筒20は、マウント位置決めピン穴47に嵌合したマウント位置決めピン37により、光軸OA回りの方向に位置決めされる。このように、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に装着した状態において、レンズ鏡筒20は、カメラボディ10に対する光軸OAの方向および光軸OA回りの方向における移動が規制される。
【0075】
一方、カメラ側マウント30とレンズ側マウント40との結合を解除するには、ユーザは、カメラボディ10に設けられたロック解除ボタン38を押し込み、マウント位置決めピン37を収容状態とする。これにより、マウント位置決めピン37とマウント位置決めピン穴47との嵌合が解除される。
【0076】
そして、レンズ側マウント40は、カメラ側マウント30に対して回転可能な状態となる。このあとは、図10に示した(A)⇒(F)の操作手順とは逆の操作手順(F)⇒(A)で操作することで、カメラ側マウント30とレンズ側マウント40との結合が解除される。これにより、レンズ鏡筒20をカメラボディ10から取り外すことができる。
【0077】
このように、実施例2においても、段差d3を設け、かつ、一端430aの位置を他端430bよりもビス46から離して配置した。レンズ側爪部430の他端430bは、衝撃の加わっていない時にはカメラ側爪部33に接触しないが、上述の衝撃が加わった場合には、たとえばレンズ側マウント40の変形などにより、カメラ側爪部33に接触して衝撃を受けることが可能である。
【0078】
これにより、レンズ鏡筒20に加わった衝撃が、レンズ側爪部430の一端430a、レンズ側爪部430の他端430b、カメラ側爪部33、ビス46の順に伝達し、衝撃の分散性が向上する。衝撃の分散性が向上することにより、カメラボディ10からカメラ側マウント30が外れてしまうということを効果的に抑制する。
【0079】
また、レンズ側爪部430の一端430aの周方向における長さは、レンズ側爪部430の他端430bの周方向における長さより短い。他端430bの周方向における長さを長くとることにより、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に装着している間は、カメラ側爪部33とレンズ側爪部430との接触面積を大きくして安定して装着させることができる。
【0080】
特に、レンズ側爪部430の外周側に、それぞれ少なくとも一つずつビス46を配置すれば、いずれの爪部でも分散性を向上させることができる。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態によれば、カメラ側爪部33,レンズ側爪部430に段差D3,段差d3を設け、一端33a,他端43bよりも他端33b,一端43aから離れた位置にカメラ側マウント30,レンズ側マウント40を締結するビス36,46が配置される。
【0082】
したがって、板バネ202のみならず、カメラ側マウント30,レンズ側マウント40自身をバネ部材として扱うことができる。これにより、レンズ鏡筒20に加わった衝撃の分散性が向上し、耐衝撃性が向上する。また、カメラ側マウント30,レンズ側マウント40の構成が簡易なため、カメラボディ10の光軸とレンズ22の光軸との角度精度を高精度に維持することができる。
【0083】
上記の実施例1および実施例2では、一端33aと他端33bとの間に板バネ202を配置したが、一端33aと他端33bとの境界は適宜変更可能である。また、実施例1において一端33aと他端33bとの間に1つの段差D3を設けるだけでなく、複数の段差を設けても良く、傾斜を付けることとしてもよい。
【0084】
また、実施例1ではカメラ側爪部33に段差D3を設け、実施例2ではレンズ側爪部430に段差d3を設けたが、カメラ側爪部33とレンズ側爪部430の双方に段差や傾斜を設けてもよい。
【0085】
また、実施例1および実施例2では、固定部材としてのビス36,46はカメラ側爪部33またはレンズ側爪部43、430の外周側に配置したが、適宜変更可能である。光軸OA周りの周方向において、爪部の一端と固定部材との距離が、爪部の他端と固定部材との距離より小さければよい。また、ビス36,46の数と爪部の数と等しくしたが、ビスの数を爪部の数より多くしてより耐衝撃性を上げてもよい。
【0086】
なお、本発明は上記の内容に限定されるものではなく、これらを任意に組み合わせたものであってもよい。また、本発明の技術的思想の範囲で考えられるその他の態様も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1 撮像システム、10 カメラボディ、20 レンズ鏡筒、30 カメラ側マウント、32 カメラ側マウント基準面、33 カメラ側爪部、33a 一端、33b 他端、36 ビス、40 レンズ側マウント、41a レンズ側マウント基準面、42 レンズ側マウント筒部、43,430 レンズ側爪部、43a,430a 一端、43b,430b 他端、46 ビス、202 板バネ、D3 段差、d3 段差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10