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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】温度応答性膜
(51)【国際特許分類】
   C08F 297/00 20060101AFI20230613BHJP
   C09D 5/26 20060101ALI20230613BHJP
   C09D 153/00 20060101ALI20230613BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20230613BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20230613BHJP
   C12M 3/00 20060101ALN20230613BHJP
【FI】
C08F297/00
C09D5/26
C09D153/00
C09D201/00
C09D133/00
C12M3/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019018867
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2020023658
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2018139758
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今富 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】山田 悟
(72)【発明者】
【氏名】平床 聖也
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕美子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博之
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-087316(JP,A)
【文献】特開2017-014324(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025767(WO,A1)
【文献】特開2016-193976(JP,A)
【文献】特開2016-194054(JP,A)
【文献】特開2018-154752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 293/00 -297/08
C09D 5/26
C09D 153/00
C09D 201/00
C09D 133/00
C12M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)、(C)のブロックを含むブロック共重合体を含み、ブロック共重合体の配列が(A)-(C)-(B)であって、成分(A)の含有量が1mol%~99mol%、成分(B)の含有量が1mol%~99mol%であり、成分(A)の被覆量が0.3μg/cm以上であることを特徴とする膜。
(A)N-イソプロピルアクリルアミド重合体。
(B)2-メトキシエチルアクリレート重合体。
(C)n-ブチルアクリレート重合体。
【請求項2】
請求項1記載の膜が塗布された基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた水和速度を発現する温度応答性膜に関する。
【背景技術】
【0002】
温度や光、圧力、磁場などの様々な外部環境の変化に応じて性質の変化する材料が多く開発されている。温度変化はその中でも簡便に適用できるため注目されており、例えば温度応答性高分子であるN-イソプロピルアクリルアミド重合体は、細胞培養基材やドラックデリバリーシステムの材料などに用いられている。N-イソプロピルアクリルアミド重合体は、高温域では疎水性であるが、下限臨界溶液温度(Lower Critical Solution Temperature:LCST)である32℃よりも低温域において水和することで親水化する。
上記現象の応用例として、N-イソプロピルアクリルアミド重合体を基材表面に被覆した細胞培養基材が特許文献1に開示されている。このような基材によれば、周囲環境の温度降下で被膜表面が親水化し、細胞を剥離させ回収することができる。
上記現象の速度は、重合体の温度変化速度と、重合体の水和/脱水和速度に依存する。高分子水溶液では、重合体の運動性が高いことで水分子との接触頻度が高くなり、重合体の水和/脱水和速度が律速とならず速やかな応答性を示すが、基板に製膜した形状などでは、重合体の運動性が制限され、重合体の水和/脱水和速度が律速となり、応答性が遅い問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-211865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、優れた水和速度を発現する温度応答性膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、以上の点を鑑み、鋭意研究を重ねた結果、水に対する下限臨界溶解温度(LCST)を有する成分(A)と親水性成分(B)を含むブロック共重合体を含む膜であり、成分(A)の含有量が1mol%~99mol%、成分(B)の含有量が1mol%~99mol%であり、成分(A)の被覆量が0.3μg/cm以上である膜が、優れた水和速度を発現できることを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は以下の態様を包含する。
【0006】
<1>
下記成分(A)、(B)のブロックを含むブロック共重合体を含み、成分(A)の含有量が1mol%~99mol%、成分(B)の含有量が1mol%~99mol%であり、成分(A)の被覆量が0.3μg/cm以上であることを特徴とする膜:
(A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0℃~100℃の範囲にある温度応答性重合体;
(B)HLB値(グリフィン法)が7以上20以下の範囲にある親水性重合体。
【0007】
<2>
成分(B)のHLB値が成分(A)のHLB値よりも高くなる組合せの<1>に記載の膜。
【0008】
<3>
前記ブロック共重合体にさらに下記成分(C)を含む、<1>または<2>に記載の膜。
(C)0℃~100℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が0以上9以下の範囲にある疎水性重合体。
【0009】
<4>
ブロック共重合体の配列が(A)-(C)-(B)を含むことを特徴とする、<3>に記載の膜。
【0010】
<5>
成分(A)と成分(B)がアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を含む繰返し単位を含む重合体であることを特徴とする、<1>~<4>のいずれかに記載の膜。
【0011】
<6>
成分(A)がN-イソプロピルアクリルアミド重合体を含むことを特徴とする、<5>に記載の膜。
【0012】
<7>
成分(B)が2-メトキシエチルアクリレート重合体または2-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体を含むことを特徴とする、<5>記載の膜。
【0013】
<8>
成分(C)がビニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群より選択される1以上を含む繰返し単位を含む重合体であることを特徴とする、<1>~<7>のいずれかに記載の膜。
【0014】
<9>
成分(C)がn-ブチルアクリレート重合体および/またはn-ブチルメタクリレートを含むことを特徴とする、<8>に記載の膜。
【0015】
<10>
<1>~<9>のいずれかに記載の膜が塗布された基材。
【発明の効果】
【0016】
水に対する下限臨界溶解温度(LCST)を有するブロック(A)と親水性ブロック(B)を含むブロック共重合体を含む膜であり、成分(A)の含有量が1mol%~99mol%、成分(B)の含有量が1mol%~99mol%であり、ブロック(A)の被覆量が0.3μg/cm以上である膜は、優れた水和速度を発現できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明は、水に対する下限臨界溶解温度(LCST)を有する成分(A)と親水性成分(B)を含むブロック共重合体を含む膜であり、成分(A)の含有量が1mol%~99mol%、成分(B)の含有量が1mol%~99mol%であり、成分(A)の被覆量が0.3μg/cm以上である膜は、優れた水和速度を発現できる。
【0019】
本発明の水に対する下限臨界溶解温度(LCST)を有する成分(A)に含まれる繰返し単位は、重合が容易なことから、アクリロイル基あるいはメタクリロイル基を含む構造であることが好ましい。成分(A)に含まれる繰返し単位とその水に対するLCSTは、例えば、N-エチルアクリルアミド(LCST=72℃)、N-シクロプロピルアクリルアミド(LCST=46℃)、N-イソプロピルアクリルアミド(LCST=32℃)、N-n-プロピルメタクリルアミド(LCST=22℃)、N-テトラヒドロフルフリルアクリルアミド(LCST=28℃)、N-エトキシエチルアクリルアミド(LCST=35℃)、N,N-ジエチルアクリルアミド(LCST=32℃)、N-シクロプロピルメタクリルアミド(LCST=59℃)、N-イソプロピルメタクリルアミド(LCST=44℃)、N-n-プロピルメタクリルアミド(LCST=28℃)、N-テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド(LCST=35℃)、N-メチル-N-エチルアクリルアミド(LCST=56℃)、N-メチル-N-イソプロピルアクリルアミド(LCST=23℃)、N-メチル-N-n-プロピルアクリルアミド(LCST=20℃)、またはN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(LCST=47℃)等が例示できるが、これらに限定されない。LCSTは成分(A)水溶液の濃度で発現する温度が前後するが、これらの中では、LCST発現の濃度依存性が低いN-イソプロピルアクリルアミドがより好ましい。本発明における成分(A)は、前記繰り返し単位を1種類のみ用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また温度応答性を有するのであれば、前期温度応答性繰返し単位の他に、異なる繰返し単位を含んでもよい。
【0020】
本明細書において、HLB値(HLB;Hydrophile-Lipophile Balance)とは、W.C.Griffin, Journal of the Society of Cosmetic Chemists, 1, 311(1949).に記載の、水と油への親和性の程度を表す値であり、0から20までの値を取り、0に近いほど疎水性が高く、20に近いほど親水性が高くなる。計算によって決定する方法として、アトラス法、グリフィン法、デイビス法、川上法があるが、本発明においてはグリフィン法で計算した値を使用し、繰り返し単位中の親水部の式量と繰り返し単位の総式量を元に、下記の計算式で求めた。
HLB値=20×(親水部の式量)÷(総式量)
前述の、各ブロックの繰り返し単位中の親水部の定義として、スルホン部(-SO-)、ホスホノ基部(-PO-)、カルボキシル基部(-COOH)、エステル部(-COO-)、アミド部(-CONH-)、イミド部(-CON-)、アルデヒド基部(-CHO)、カルボニル基部(-CO-)、ヒドロキシル基部(-OH)、アミノ基部(-NH)、アセチル基部(-COCH3)、エチレンアミン部(-CHCHN-)、エチレンオキシ部(-CHCHO-)、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、ハロゲン化物イオン、酢酸イオンを例示することができる。
【0021】
繰り返し単位中の親水部の算出では、親水部を構成する原子が、他の親水部を構成する原子として重複してはならない。繰り返し単位中のHLB値の算出例を以下に記載した。例えば、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート(分子量:157.11)の場合、親水部は、エステル部が1部およびエチレンアミン部が1部であり、親水部の分子量は86.07であるから、HLB値は10.9である。n-ブチルメタクリレート(分子量:142.20)の場合、親水部は、エステル部が1部であり、親水部の分子量は44.01であるから、HLB値は6.2である。
【0022】
さらに、本発明のブロック共重合体を構成する各ブロックが、異なるモノマー(モノマー1、モノマー2・・・)からなる共重合体である場合は、それぞれのモノマーが重合して生成する繰り返し単位の共重合体中の比率(mol%)を分析し、下記の計算式で算出することができる。
【0023】
HLB値=HLB値1×比率1+HLB値2×比率2+・・・・
ここで、HLB値1はモノマー1が重合して生成する重合体のHLB値であり、組成1はモノマー1が重合して生成する繰り返し単位の共重合体中の比率(mol%)であり、HLB値2はモノマー2が重合して生成する重合体のHLB値であり、組成2はモノマー2が重合して生成する繰り返し単位の共重合体中の比率(mol%)である。
【0024】
HLB値の取扱いは、小数点以下第2位を四捨五入して表示される小数点以下第1位までの数字から7以上か未満かを判断する。
【0025】
本発明の親水性成分(B)は、HLB値(グリフィン法)が7以上20以下の範囲にある重合体であり、温度応答性ブロックの水和速度向上に寄与する。優れた水和速度を発現するために、好ましくは9以上20以下の範囲に有り、さらに好ましくは10以上20以下の範囲にある。成分(B)に含まれる繰返し単位は、重合が容易なことから、アクリロイル基あるいはメタクリロイル基を含む繰返し単位を含む構造であることが好ましい。成分(B)に含まれる繰返し単位とそのHLB値は、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(HLB値=14.2)、ポリエチレングリコールアクリレート(HLB値=15.3以上)、ポリエチレングリコールメタクリレート(HLB値=13.7以上)、2-メトキシエチルアクリレート(HLB値=13.5)、2-メトキシエチルメタクリレート(HLB値=12.2)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(HLB値=7.7)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(HLB値=7.1)等が例示できるが、これらに限定されない。HLB値が7未満である場合は、温度応答性ブロック(A)の種類によっては優れた水和速度が発現できない。本発明における成分(B)は、繰り返し単位を1種類のみ用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
本発明の成分(A)と成分(B)の組合せは、より優れた水和速度の発現のため、成分(B)のHLB値が成分(A)のHLB値よりも高くなる組合せが好ましい。成分(A)に含まれる繰返し単位のHLB値は、例えば、N-エチルアクリルアミド(HLB値=8.7)、N-シクロプロピルアクリルアミド(HLB値=7.7)、N-イソプロピルアクリルアミド(HLB値=7.6)、N-n-プロピルメタクリルアミド(HLB値=7.6)、N-テトラヒドロフルフリルアクリルアミド(HLB値=7.6)、N-エトキシエチルアクリルアミド(HLB値=12.2)、N,N-ジエチルアクリルアミド(HLB値=6.8)、N-シクロプロピルメタクリルアミド(HLB値=6.9)、N-イソプロピルメタクリルアミド(HLB値=6.8)、N-n-プロピルメタクリルアミド(HLB値=6.8)、N-テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド(HLB値=7.0)、N-メチル-N-エチルアクリルアミド(HLB値=7.6)、N-メチル-N-イソプロピルアクリルアミド(HLB値=6.8)、N-メチル-N-n-プロピルアクリルアミド(HLB値=6.8)、またはN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(HLB値=10.9)である。例えば、成分(A)として、N-イソプロピルアクリルアミド(HLB値=7.6)を選択する場合は、成分(B)として、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(HLB値=14.2)、ポリエチレングリコールアクリレート(HLB値=15.3以上)、ポリエチレングリコールメタクリレート(HLB値=13.7以上)、2-メトキシエチルアクリレート(HLB値=13.5)、2-メトキシエチルメタクリレート(HLB値=12.2)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(HLB値=7.7)等を選択することが好ましい。また成分(B)はLCSTを発現できる繰返し単位であっても良く、成分(A)として、N-イソプロピルアクリルアミド(HLB値=7.6)を選択する場合は、先述に加え、N-エチルアクリルアミド(HLB値=8.7)、N-シクロプロピルアクリルアミド(HLB値=7.7)、N-エトキシエチルアクリルアミド(HLB値=12.2)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(HLB値=10.9)等を選択しても好ましくなる。
【0027】
本発明の膜は、疎水成分(C)を更に含むと膜の安定性の面から好ましい。但し、高分子と基材表面の反応基の反応によるGrafting to法や、基材表面の反応基から重合反応するGrafting from法を用いれば、成分(C)を含まなくとも膜を安定に形成できる。
【0028】
本発明の疎水性成分(C)は、0℃~100℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が0以上9以下の範囲にある重合体であり、ブロック共重合体の基材への接着に寄与する。基材に塗布して水中で剥離しない安定な膜を得るために、好ましくは0以上8以下の範囲に有り、さらに好ましくは0以上6以下の範囲にある。成分(C)に含まれる繰返し単位は、重合が容易なことから、ビニル基あるいはアクリロイル基あるいはメタクリロイル基を含む繰返し単位を含む構造ことが好ましい。成分(C)に含まれる繰返し単位とそのHLB値は、例えば、スチレン(HLB値=0.0)やその誘導体、メチルメタクリレート(HLB値=8.8)、エチルアクリレート(HLB値=8.8)、エチルメタクリレート(HLB値=7.7)、n-プロピルアクリレート(HLB値=7.7)、n-プロピルメタクリレート(HLB値=6.9)、n-ブチルアクリレート(HLB値=6.9)、n-ブチルメタクリレート(HLB値=6.2)等のアルキル(メタ)アクリレート等を例示できるが、これらに限定されない。HLB値が9以上である場合は、基材に塗布した場合に水中で剥離しやすく安定な膜を得ることができない。
【0029】
ブロック共重合体を構成する全繰り返し単位の量に対する成分(A)を構成する繰り返し単位の量の比率は1~99mol%であり、成分(B)を構成する繰返し単位の量の比率は1~99mol%である。温度応答性の発現と水和速度の向上を両立するために、成分(A)を構成する繰り返し単位の量の比率は10~90mol%であり、成分(B)を構成する繰返し単位の量の比率は10~90mol%であることが好ましい。
成分(C)を含む場合の各繰返し単位の比率は、膜の安定性の面から、成分(C)を構成する繰返し単位の量の比率は10~60mol%であり、成分(A)を構成する繰り返し単位の量の比率は1~89mol%であり、成分(B)を構成する繰返し単位の量の比率は1~89mol%である。さらに、温度応答性の発現と水和速度の向上も並立するために、成分(C)を構成する繰返し単位の量の比率は10~60mol%であり、成分(A)を構成する繰り返し単位の量の比率は10~80mol%であり、成分(B)を構成する繰返し単位の量の比率は10~80mol%であることが好ましい。
【0030】
ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は3,000以上1,000,000以下の範囲にあり、好ましくは10,000以上1,000,000以下である。3,000未満の場合は膜の温度応答性が発現しにくい。
【0031】
ブロック共重合体の合成方法としては、特に限定はないが、株式会社エヌ・ティー・エス発行、“ラジカル重合ハンドブック”、p.161~225(2010)に記載のリビングラジカル重合技術を用いて、共重合する方法を用いることができる。
【0032】
疎水性成分(C)を組み合わせる場合のブロック共重合体の配列は、(A)-(B)-(C)または(A)-(C)-(B)であることが好ましく、より好ましくは(A)-(C)-(B)である。(B)-(A)-(C)の配列では温度応答性の発現が低下する。
【0033】
本特許記載の成分(A)と成分(B)は、先述のリビングラジカル重合技術を用いて共重合されることを含むが、共重合が容易であることから、アクリロイル基あるいはメタクリロイル基を含む繰返し単位からなる重合体であることが好ましい。
【0034】
本特許記載の成分(C)も、先述のリビングラジカル重合技術を用いて共重合されることを含むが、共重合が容易であることから、ビニル基あるいはアクリロイル基あるいはメタクリロイル基を含む繰返し単位からなる重合体であることが好ましい。
【0035】
ブロック共重合体の溶液は、膜作製のための表面処理剤として用いることができる。表面処理剤に用いる溶媒は、ブロック共重合体が溶解するものであれば特に限定はないが、コートする基板を侵食しない溶媒が好ましい。例えば、基材の材質がポリスチレンである場合はメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メトキシエタノールなどが挙げられ、さらに好ましくは、沸点が高いため高温に加温できるエタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メトキシエタノールが挙げられる。また表面処理剤の濃度は特に限定はないが、塗りムラの発生を低減できることから好ましくは0.01wt%から10wt%、より好ましくは0.03wt%から1wt%である。
【0036】
上記表面処理剤を各種基材に塗布した後、乾燥することによって得られる本発明の膜の単位面積当たりの成分(A)量は、温度応答性の発現と水和速度の向上を両立するために0.3μg/cm以上であることが好ましく、0.4μg/cm以上であることがより好ましい。上限は特に制限はないが、例えば培養基材として用いる場合には10μg/cm以下が好ましい。
【0037】
また、本発明の膜厚に特に制限はないが、例えば1nm以上であってもよく、10nm以上であってもよい。また、1μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。
【0038】
本発明の膜表面は、先述したブロック共重合体の成分組成では多種多様なミクロ相分離構造を形成する。ミクロ相分離構造としては、ラメラ、ジャイロイド、シリンダ、BCCが挙げられ、特異な表面構造の発現で、ランダム共重合やポリマーブレンドからなる膜にはない温度応答性の発現と水和速度の向上の両立が可能になる。ミクロ相分離構造のドメインサイズは特に限定はないが、1nm以上1μm以下、温度応答性の発現と水和速度の向上の両立の最適化のため、5nm以上100nm以下がより好ましい。
【0039】
本発明に用いる基材の材質は特に限定はないが、例えば、ガラス、セラミック、金属、プラスチック、木材を例示できる。また、基材の形状も特に限定はなく、板状、球状を始め、あらゆる複雑形状のものに対応できる。
【0040】
本発明における表面処理剤を基材にコートする方法としては、特に限定はないが、例えば、ドロップキャスト、はけ塗り、ディップコーティング、スピンコーティング、バーコーティング、流し塗り、スプレー塗装、ロール塗装、エアーナイフコーティング、ブレードコーティングなど通常知られている各種の方法を用いることが可能である。
【0041】
本発明における表面処理剤を加温する方法としては、特に限定はないが、コート操作時の温度変化がない恒温室や恒温装置で行うことが好ましい。
【0042】
本発明に用いる基材は、コート操作時の温度変化を低減するために、上記と同じく恒温室や恒温装置で予め加温することが好ましい。
【0043】
本発明で行うブロック共重合体コート基材の乾燥は、乾燥ムラを低減するため、上記と同じく恒温室や恒温装置で行うことが好ましい。
【0044】
本発明における温度応答性の発現とは、本発明における膜の表面濡れ性の温度変化であり、変化量が大きいほど性能が高い。表面濡れ性は、例えば、接触角で数値化することができる。時間による影響を除くため、測定温度で長時間安定させてから測定することが好ましい。
【0045】
本発明における水和速度とは、本発明における膜の表面濡れ性の時間変化であり、変化量が大きいほど性能が高い。表面濡れ性は、例えば、接触角で数値化することができる。
【実施例
【0046】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。なお、断りのない限り、試薬は市販品を用いた。
【0047】
<ブロック共重合体Iの合成>
100mL2口フラスコに成分(B)として2-メトキシエチルアクリレート(MEA,HLB値=13.5)0.650g(5mmol)を加え、さらにシアノメチルドデシルカルボナトを31.8mg(100μmol)とアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン10mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌した。
1回目の加熱撹拌後、上記に成分(C)としてn-ブチルアクリレート(BA,HLB値=6.9)3.845g(30mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン5mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌した。
2回目の加熱撹拌後、上記に成分(A)としてN-イソプロピルアクリルアミド(IPAAm,LCST=32℃、HLB値=7.6)7.355g(65mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン35mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌した。
3回目の加熱撹拌後、反応液を水で再沈精製し、減圧乾燥することで黄色固体を得た。得られた黄色固体をクロロホルムに溶解し、分液ロートを用いクロロホルム相を回収した。回収したクロロホルム相をエバポレーターで濃縮し、ヘキサンで再沈精製した。沈殿物をろ過で回収し、減圧乾燥することで、ブロック共重合体I poly(MEA-BA-IPAAm)を5.805g得た。得られたブロック共重合体の組成、Mn、およびMw/Mnを表1に示す。
【0048】
<ブロック共重合体IIの合成>
100mL2口フラスコに成分(C)としてn-ブチルアクリレート(BA,HLB値=6.9)4.486g(35mmol)を加え、さらに4-シアノ-4-[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッドを40.4mg(100μmol)とアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン15mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌した。
1回目の加熱撹拌後、上記に成分(A)としてN-イソプロピルアクリルアミド(IPAAm,LCST=32℃、HLB値=7.6)7.355g(65mmol)、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン35mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌した。
2回目の加熱撹拌後、反応液を水で再沈精製し、減圧乾燥することで黄色固体を得た。得られた黄色固体をクロロホルムに溶解し、分液ロートを用いクロロホルム相を回収した。回収したクロロホルム相をエバポレーターで濃縮し、ヘキサンで再沈精製した。沈殿物をろ過で回収し、減圧乾燥することで、ブロック共重合体II poly(MEA-BA-IPAAm)を6.544g得た。得られたブロック共重合体の組成、Mn、およびMw/Mnを表1に示す。
【0049】
<ブロック共重合体の組成>
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM-ECZ400S/LI)を用いたプロトン核磁気共鳴分光(1H-NMR)スペクトル分析より求めた。
【0050】
<ブロック共重合体の分子量、分子量分布>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置は東ソー(株)製 HLC-8320GPCを用い、カラムは東ソー製 TSKgel SuperAWM-Hを2本用い、カラム温度を40℃に設定し、溶離液は10mMトリフルオロ酢酸ナトリウムを含む2,2,2-トリフルオロエタノールを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mLで調製して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリメタクリル酸メチル(Sigma-Aldrich社製)を用いた。
【0051】
<ブロック共重合体の被覆量>
濃度が既知の表面処理剤を細胞培養基材に塗布し、室温で5分間放置した後、加えた表面処理剤をパスツールピペットで回収し、細胞培養基材上に残った表面処理剤の量を電子天秤で秤量した。表面処理剤の濃度と表面処理剤の量、および細胞培養基材への被覆面積から、ブロック共重合体の被覆量を単位μg/cmで算出した。
【0052】
<膜表面の温度応答性>
協和界面科学(株)製接触角計DM300と三態系キット、およびサーキュレーターに連結したヒーター式ステージセットを用い、40℃および15℃の水中での気泡(3μL)の接触角(θ)(°)を測定した。40℃および15℃での接触角の変化から膜表面の温度応答性を評価した。接触角の変化が3以上であれば良好とし「○」と評価、3未満であれば不良とし「×」と評価した。
【0053】
<膜表面の水和速度>
協和界面科学(株)製接触角計DM300を用い、22℃で液滴法による水(3μL)の接触角(θ)(°)を測定した。液滴接触後2秒から10秒までの接触角の変化から膜表面の水和速度を評価した。接触角の変化が3以上であれば良好とし「○」と評価、3未満であれば不良とし「×」と評価した。
【0054】
実施例1
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体I 200mgに2-メトキシエタノールを19.800g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体I の1.00wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]
IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、46mg(成分(A)被覆量として10.0μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体Iをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表1に示す。コート基材表面の温度応答性および水和速度は共に良好であった。
【0055】
実施例2
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体I 40mgに2-メトキシエタノールを19.960g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体Iの0.20wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]
IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、70mg(成分(A)被覆量として3.0μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体Iをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表1に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0056】
実施例3
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体I 12mgに2-メトキシエタノールを19.988g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体I の0.06wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]
IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、62mg(成分(A)被覆量として0.8μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体Iをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表1に示す。コート基材表面の温度応答性および水和速度は共に良好であった。
【0057】
実施例4
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体I 12mgに2-メトキシエタノールを19.988g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体I の0.06wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]
IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、31mg(成分(A)被覆量として0.4μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体Iをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表1に示す。コート基材表面の温度応答性および水和速度は共に良好であった。
【0058】
比較例1
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体I 6mgに2-メトキシエタノールを19.994g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体Iの0.03wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]
IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、31mg(成分(A)被覆量として0.2μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体Iをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表1に示す。コート基材表面の温度応答性および水和速度は共に不良であった。
【0059】
比較例2
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体II 200mgに2-メトキシエタノールを19.800g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IIの1.00wt%表面処理剤を調製した。[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、46mg(成分(A)被覆量として10.0μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IIをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表1に示す。コート基材表面の温度応答性は良好であったが、水和速度は不良であった。
【0060】
比較例3
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体II 40mgに2-メトキシエタノールを19.960g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IIの0.20wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]
IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、68mg(成分(A)被覆量として3.0μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IIをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表1に示す。コート基材表面の温度応答性は良好であったが、水和速度は不良であった。
【0061】
比較例4
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体II 12mgに2-メトキシエタノールを19.988g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IIの0.06wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]
IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、61mg(成分(A)被覆量として0.8μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IIをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表1に示す。コート基材表面の温度応答性は良好であったが、水和速度は不良であった。
【0062】
比較例5
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体II 12mgに2-メトキシエタノールを19.988g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IIの0.06wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]
IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、30mg(成分(A)被覆量として0.4μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IIをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表1に示す。コート基材表面の温度応答性は良好であったが、水和速度は不良であった。
【0063】
比較例6
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体II 6mgに2-メトキシエタノールを19.994g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IIの0.03wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]
IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、30mg(成分(A)被覆量として0.2μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IIをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表1に示す。コート基材表面の温度応答性および水和速度は共に不良であった。
【0064】
【表1】
【0065】

<ブロック共重合体IIIの合成>
100mL2口フラスコに成分(B)として2-メトキシエチルアクリレート(MEA,HLB値=13.5)0.650g(5mmol)を加え、さらにシアノメチルドデシルカルボナトを31.8mg(100μmol)とアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン10mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌した。
1回目の加熱撹拌後、上記に成分(C)としてn-ブチルアクリレート(BA,HLB値=6.9)1.923g(15mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン5mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌した。
2回目の加熱撹拌後、上記に成分(A)としてN-イソプロピルアクリルアミド(IPAAm,LCST=32℃、HLB値=7.6)9.053g(80mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン35mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌した。
3回目の加熱撹拌後、反応液を水で再沈精製し、減圧乾燥することで黄色固体を得た。得られた黄色固体をクロロホルムに溶解し、分液ロートを用いクロロホルム相を回収した。回収したクロロホルム相をエバポレーターで濃縮し、ヘキサンで再沈精製した。沈殿物をろ過で回収し、減圧乾燥することで、ブロック共重合体IIIpoly(MEA-BA-IPAAm)を5.204g得た。得られたブロック共重合体の組成、Mn、およびMw/Mnを表2に示す。
【0066】
<ブロック共重合体IVの合成>
100mL2口フラスコに成分(B)として2-メトキシエチルアクリレート(MEA,HLB値=13.5)4.555g(35mmol)を加え、さらにシアノメチルドデシルカルボナトを63.6mg(200μmol)とアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン10mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌した。
1回目の加熱撹拌後、上記に成分(C)としてn-ブチルアクリレート(BA,HLB値=6.9)3.845g(30mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン5mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌した。
2回目の加熱撹拌後、上記に成分(A)としてN-イソプロピルアクリルアミド(IPAAm,LCST=32℃、HLB値=7.6)3.961g(35mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン35mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌した。
3回目の加熱撹拌後、反応液を水で再沈精製し、減圧乾燥することで黄色固体を得た。得られた黄色固体をクロロホルムに溶解し、分液ロートを用いクロロホルム相を回収した。回収したクロロホルム相をエバポレーターで濃縮し、ヘキサンで再沈精製した。沈殿物をろ過で回収し、減圧乾燥することで、ブロック共重合体IVpoly(MEA-BA-IPAAm)を5.189g得た。得られたブロック共重合体の組成、Mn、およびMw/Mnを表2に示す。
【0067】
<ブロック共重合体Vの合成>
100mL2口フラスコに成分(B)として2-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA,HLB値=11.0)3.144g(20mmol)を加え、さらに4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸を80.8mg(200μmol)とアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン10mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌した。
1回目の加熱撹拌後、上記に成分(C)としてn-ブチルメタクリレート(BMA,HLB値=6.2)4.266g(30mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン5mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌した。
2回目の加熱撹拌後、上記に成分(A)としてN-イソプロピルアクリルアミド(IPAAm,LCST=32℃、HLB値=7.6)5.658g(50mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン35mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌した。
3回目の加熱撹拌後、反応液を水で再沈精製し、減圧乾燥することで黄色固体を得た。得られた黄色固体をクロロホルムに溶解し、分液ロートを用いクロロホルム相を回収した。回収したクロロホルム相をエバポレーターで濃縮し、ヘキサンで再沈精製した。沈殿物をろ過で回収し、減圧乾燥することで、ブロック共重合体Vpoly(DMAEMA-BMA-IPAAm)を5.002g得た。得られたブロック共重合体の組成、Mn、およびMw/Mnを表3に示す。
【0068】
実施例5
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体III 200mgに2-メトキシエタノールを19.800g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IIIの1.00wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、36mg(成分(A)被覆量として10.0μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IIIをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表2に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0069】
実施例6
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体III 40mgに2-メトキシエタノールを19.960g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IIIの0.20wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、54mg(成分(A)被覆量として3.0μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IIIをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表2に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0070】
実施例7
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体III 12mgに2-メトキシエタノールを19.988g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IIIの0.06wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、48mg(成分(A)被覆量として0.8μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IIIをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表2に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0071】
実施例8
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体III 12mgに2-メトキシエタノールを19.988g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IIIの0.06wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、24mg(成分(A)被覆量として0.4μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IIIをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表2に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0072】
比較例7
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体III 6mgに2-メトキシエタノールを19.994g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IIIの0.03wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、24mg(成分(A)被覆量として0.2μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IIIをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表2に示す。コート基材表面の温度応答性および水和速度は共に不良であった。
実施例9
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体IV 200mgに2-メトキシエタノールを19.800g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IVの1.00wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、88mg(成分(A)被覆量として10.0μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IVをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表2に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0073】
実施例10
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体IV 40mgに2-メトキシエタノールを19.960g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IVの0.20wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、132mg(成分(A)被覆量として3.0μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IVをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表2に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0074】
実施例11
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体IV 12mgに2-メトキシエタノールを19.988g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IVの0.06wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、118mg(成分(A)被覆量として0.8μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IVをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表2に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0075】
実施例12
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体IV 12mgに2-メトキシエタノールを19.988g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IVの0.06wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、59mg(成分(A)被覆量として0.4μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IVをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表2に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0076】
比較例8
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体IV 6mgに2-メトキシエタノールを19.994g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体IVの0.03wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、59mg(成分(A)被覆量として0.2μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体IVをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表2に示す。コート基材表面の温度応答性および水和速度は共に不良であった。
【0077】
【表2】
【0078】

実施例13
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体V 200mgに2-メトキシエタノールを19.800g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体Vの1.00wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、65mg(成分(A)被覆量として10.0μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体Vをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表3に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0079】
実施例14
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体V 40mgに2-メトキシエタノールを19.960g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体Vの0.20wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、98mg(成分(A)被覆量として3.0μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体Vをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表3に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0080】
実施例15
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体V 12mgに2-メトキシエタノールを19.988g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体Vの0.06wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、87mg(成分(A)被覆量として0.8μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体Vをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表3に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0081】
実施例16
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体V 12mgに2-メトキシエタノールを19.988g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体Vの0.06wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、44mg(成分(A)被覆量として0.4μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体Vをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表3に示す。コート基材表面の温度応答性および膜水和速度は共に良好であった。
【0082】
比較例9
[表面処理剤の調製]
ブロック共重合体V 6mgに2-メトキシエタノールを19.994g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体Vの0.03wt%表面処理剤を調製した。
[コート基材の調製]IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、塗布した表面処理剤の量を測定したところ、44mg(成分(A)被覆量として0.2μg/cm)であった。その後、120分間静置しディッシュ表面を乾燥させ、さらに120分間減圧乾燥することで、ブロック共重合体Vをコートした基材を調製した。
[コート基材の表面濡れ性評価]
本基材をカッターで3.0cm×1.5cmの大きさに切断し、表面濡れ性評価を行った結果を表3に示す。コート基材表面の温度応答性および水和速度は共に不良であった。
【0083】
【表3】