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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230613BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230613BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20230613BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20230613BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/50
H04N23/54
H04N23/68
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020530147
(86)(22)【出願日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2019026715
(87)【国際公開番号】W WO2020013081
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2018129621
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100142147
【弁理士】
【氏名又は名称】本木 久美子
(72)【発明者】
【氏名】下小路 章
(72)【発明者】
【氏名】西谷 裕志
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-102035(JP,A)
【文献】特開2007-256561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00-5/08
H04N 23/50
H04N 23/54
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子が配置され、移動可能に設けられた可動部と、
前記可動部を移動させる第1の駆動部と、
前記可動部の前記撮像素子が配置された面の反対の面に設けられた被係合部に係合して前記可動部の移動を制限する第1の位置と、前記被係合部に係合せず前記可動部の移動を制限しない第2の位置とで移動可能である係合部と、
前記係合部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる第2の駆動部と、
前記第2の駆動部を保持するベース板と、
前記第2の駆動部によって光軸と平行な軸線を中心として回転し、軸線方向の厚みが徐々に変化する斜面を有するカム板と、
前記斜面と当接する当接部が設けられ、前記カム板の前記回転によって前記軸線方向に進退するとともに前記係合部が設けられている移動板と、
前記移動板を、前記ベース板の側に付勢する第2弾性部材と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記第2の駆動部は、前記係合部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるアクチュエータを有し、
前記アクチュエータの少なくとも一部が、前記可動部の前記撮像素子が配置された面の反対側に位置する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
固定部を備え、
前記可動部は、前記固定部に対して移動可能に設けられ、
前記第1の駆動部は、前記固定部と前記可動部の一方に配置されたコイルと、前記固定部と前記可動部の他方に配置された磁石と、を有するボイスコイルモータである請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像素子の撮像中心に対して非対称に配置された複数の前記ボイスコイルモータを有する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記撮像素子の撮像面の垂直方向において、前記ボイスコイルモータと重ならない位置に配置された請求項3又は4に記載の撮像装置。
【請求項6】
少なくとも3つの前記係合部を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
少なくとも3つの前記係合部がそれぞれ係合される前記被係合部は、前記可動部の重心近傍から等しい位置にある請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
撮像素子が配置され、移動可能に設けられた可動部と、
前記可動部を移動させる第1の駆動部と、
前記可動部に設けられた被係合部に係合して前記可動部の移動を制限する第1の位置と、前記被係合部に係合せず前記可動部の移動を制限しない第2の位置とで移動可能に設けられた少なくとも3つの係合部と、
前記係合部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる第2の駆動部と、
前記第2の駆動部を保持するベース板と、
前記第2の駆動部によって光軸と平行な軸線を中心として回転し、軸線方向の厚みが徐々に変化する斜面を有するカム板と、
前記斜面と当接する当接部が設けられ、前記カム板の前記回転によって前記軸線方向に進退するとともに前記係合部が設けられている移動板と、
前記移動板を、前記ベース板の側に付勢する第2弾性部材と、
を備える撮像装置。
【請求項9】
少なくとも3つの前記係合部がそれぞれ係合される前記被係合部は、前記可動部の重心近傍から等しい位置にある請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
固定部を備え、
前記可動部は、前記固定部に対して移動可能に設けられ、
前記第1の駆動部は、前記固定部と前記可動部の一方に配置されたコイルと、前記固定部と前記可動部の他方に配置された磁石と、を有するボイスコイルモータである請求項8又は9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記被係合部は、複数設けられ、前記撮像素子の撮像中心から離間した位置を中心とした同一円周上に設けられている請求項8から10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記係合部が前記被係合部と当接したときに、前記係合部を前記被係合部から離れる方向に付勢する第1弾性部材を備える請求項1から11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記係合部は前記軸線を中心とした径方向の外径側に設けられ
記ベース板に対して固定されたカバー板を備える請求項1から12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
撮像素子が配置され、固定部に対して前記撮像素子の撮像面と平行な方向に移動可能に設けられた可動部と、
前記可動部の前記撮像素子が配置された面の反対の面に設けられた被係合部を、前記撮像面の垂直方向から弾性部材を介して押圧し、摩擦力により前記可動部の前記撮像面と平行な方向への移動を制限する制限部と、
前記可動部の前記撮像素子が配置された面の反対の面に設けられた被係合部に係合して前記可動部の移動を制限する第1の位置と、前記被係合部に係合せず前記可動部の移動を制限しない第2の位置とで移動可能である係合部と、
前記係合部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる第2の駆動部と、
前記第2の駆動部を保持するベース板と、
前記第2の駆動部によって光軸と平行な軸線を中心として回転し、軸線方向の厚みが徐々に変化する斜面を有するカム板と、
前記斜面と当接する当接部が設けられ、前記カム板の前記回転によって前記軸線方向に進退するとともに前記係合部が設けられている移動板と、
前記移動板を、前記ベース板の側に付勢する第2弾性部材と、
を備える撮像装置。
【請求項15】
撮像素子が配置され、固定部に対して前記撮像素子の撮像面と平行な方向に移動可能に設けられた可動部と、
前記可動部の前記撮像素子が配置された面の反対の面に設けられた被係合部を、前記撮像面と平行な方向から押さえることにより前記可動部の移動を制限する制限部と、
前記可動部の前記撮像素子が配置された面の反対の面に設けられた被係合部に係合して前記可動部の移動を制限する第1の位置と、前記被係合部に係合せず前記可動部の移動を制限しない第2の位置とで移動可能である係合部と、
前記係合部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる第2の駆動部と、
前記第2の駆動部を保持するベース板と、
前記第2の駆動部によって光軸と平行な軸線を中心として回転し、軸線方向の厚みが徐々に変化する斜面を有するカム板と、
前記斜面と当接する当接部が設けられ、前記カム板の前記回転によって前記軸線方向に進退するとともに前記係合部が設けられている移動板と、
前記移動板を、前記ベース板の側に付勢する第2弾性部材と、
を備える撮像装置。
【請求項16】
前記可動部は、前記可動部の重心近傍から等しい位置に設けられた少なくとも3つ以上の前記被係合部を有する請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記可動部と前記固定部に対して移動させる第1の駆動部を有し、
前記第1の駆動部は、前記固定部と前記可動部の一方に配置されたコイルと、前記固定部と前記可動部の他方に配置された磁石と、を有するボイスコイルモータである請求項15又は16に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記第2の駆動部は、前記制限部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるアクチュエータを有し、
前記アクチュエータの少なくとも一部が、前記可動部の前記撮像素子が配置された面の反対側に位置する請求項1に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、手ブレが検出された場合に、撮像素子を駆動することにより手ブレを補正する撮像装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。この従来の撮像装置においては、撮像素子を所定位置に保持する機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-26147号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の撮像装置は、撮像素子が配置され、移動可能に設けられた可動部と、前記可動部を移動させる第1の駆動部と、前記可動部の前記撮像素子が配置された面の反対の面に設けられた被係合部に係合して前記可動部の移動を制限する第1の位置と、前記被係合部に係合せず前記可動部の移動を制限しない第2の位置とで移動可能である係合部と、前記係合部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる第2の駆動部と、前記第2の駆動部を保持するベース板と、前記第2の駆動部によって光軸と平行な軸線を中心として回転し、軸線方向の厚みが徐々に変化する斜面を有するカム板と、前記斜面と当接する当接部が設けられ、前記カム板の前記回転によって前記軸線方向に進退するとともに前記係合部が設けられている移動板と、前記移動板を、前記ベース板の側に付勢する第2弾性部材と、を備える構成とした。
【0005】
また、本発明の撮像装置は、撮像素子が配置され、移動可能に設けられた可動部と、前記可動部を移動させる第1の駆動部と、前記可動部に設けられた被係合部に係合して前記可動部の移動を制限する第1の位置と、前記被係合部に係合せず前記可動部の移動を制限しない第2の位置とで移動可能に設けられた少なくとも3つの係合部と、前記係合部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる第2の駆動部と、前記第2の駆動部を保持するベース板と、前記第2の駆動部によって光軸と平行な軸線を中心として回転し、軸線方向の厚みが徐々に変化する斜面を有するカム板と、前記斜面と当接する当接部が設けられ、前記カム板の前記回転によって前記軸線方向に進退するとともに前記係合部が設けられている移動板と、前記移動板を、前記ベース板の側に付勢する第2弾性部材と、を備える構成とした。
【0006】
さらに、本発明の撮像装置は、撮像素子が配置され、固定部に対して前記撮像素子の撮像面と平行な方向に移動可能に設けられた可動部と、前記可動部の前記撮像素子が配置された面の反対の面に設けられた被係合部を、前記撮像面の垂直方向から弾性部材を介して押圧し、摩擦力により前記可動部の前記撮像面と平行な方向への移動を制限する制限部と、前記可動部の前記撮像素子が配置された面の反対の面に設けられた被係合部に係合して前記可動部の移動を制限する第1の位置と、前記被係合部に係合せず前記可動部の移動を制限しない第2の位置とで移動可能である係合部と、前記係合部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる第2の駆動部と、前記第2の駆動部を保持するベース板と、前記第2の駆動部によって光軸と平行な軸線を中心として回転し、軸線方向の厚みが徐々に変化する斜面を有するカム板と、前記斜面と当接する当接部が設けられ、前記カム板の前記回転によって前記軸線方向に進退するとともに前記係合部が設けられている移動板と、前記移動板を、前記ベース板の側に付勢する第2弾性部材と、を備える構成とした。
【0007】
また、本発明の撮像装置は、撮像素子が配置され、固定部に対して前記撮像素子の撮像面と平行な方向に移動可能に設けられた可動部と、前記可動部の前記撮像素子が配置された面の反対の面に設けられた被係合部を、前記撮像面と平行な方向から押さえることにより前記可動部の移動を制限する制限部と、前記可動部の前記撮像素子が配置された面の反対の面に設けられた被係合部に係合して前記可動部の移動を制限する第1の位置と、前記被係合部に係合せず前記可動部の移動を制限しない第2の位置とで移動可能である係合部と、前記係合部を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる第2の駆動部と、前記第2の駆動部を保持するベース板と、前記第2の駆動部によって光軸と平行な軸線を中心として回転し、軸線方向の厚みが徐々に変化する斜面を有するカム板と、前記斜面と当接する当接部が設けられ、前記カム板の前記回転によって前記軸線方向に進退するとともに前記係合部が設けられている移動板と、前記移動板を、前記ベース板の側に付勢する第2弾性部材と、を備える構成とした。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のカメラ1と、カメラ1に対して着脱可能な交換レンズ2とを示す概略図である。
図2】撮像ユニット20と移動制限機構40の斜め前側から見た斜視図である。
図3】撮像ユニット20と移動制限機構40の斜め後側から見た斜視図である。
図4】可動部25の背面図である。
図5】被係合部28と係合部50の拡大図である。
図6】固定部24の背面図である。
図7】移動制限機構40を前側斜めから見た斜視図である。
図8】移動制限機構40を後側斜めから見た斜視図である。
図9】カム板43の斜視図である。
図10】第2実施形態におけるカメラ1の制御部14の動作を説明するフローチャートである。
図11】第3実施形態の移動制限機構140を前斜めから見た分解斜視図である。
図12】第3実施形態の移動制限機構140を後斜めから見た分解斜視図である。
図13】第3実施形態の移動制限機構140の後面図である。
図14】第3実施形態における、被係合部28の移動を制限している第1の位置にある移動制限機構140の前面図である。
図15】第3実施形態における、被係合部28の移動を制限していない第2の位置にある移動制限機構140の前面図である。
図16】第3実施形態における、被係合部28の移動を制限している第1の状態にある移動制限機構140を前側から見た斜視図である。
図17】第3実施形態における、被係合部28の移動を制限していない第2の状態にある移動制限機構140を前側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、撮像装置の第1実施形態としてのカメラ1について説明する。図1は、第1実施形態のカメラ1と、カメラ1に対して着脱可能な交換レンズ2とを示す概略図である。なお、第1実施形態では交換レンズ2が着脱可能なカメラ1について説明するが、カメラ1は、レンズ一体型のカメラであってもよい。
【0010】
(カメラ1)
カメラ1は、撮像素子23を備える撮像ユニット20と、撮像ユニット20における撮像素子23を含む可動部25の移動を制限する移動制限機構40と、レリーズスイッチ11と、表示部12と、ブレ検出センサ13と、第1の駆動部21と、位置検出部22と、制御部14と、操作部15とを備える。
【0011】
レリーズスイッチ11は、カメラ1の撮影操作を行う部材であって、図示しないシャッタの駆動のタイミング等を操作する。
【0012】
撮像素子23は交換レンズ2の撮影光学系の予定焦点面に設けられ、制御部14の制御に基づいて、交換レンズ2の撮影光学系を介して入射した被写体像光を光電変換して信号を生成する。撮像素子23は、例えばCCD、CMOS等により構成されている。
【0013】
表示部12は、カメラ1の背面に設けられ、撮影された被写体像(静止画、ライブビュー画像を含む動画)や操作に関連した情報(メニュー)等を表示するカラー液晶ディスプレイである。
【0014】
ブレ検出センサ13は、加速度センサや角速度センサで、カメラ1の手ブレによるブレを検出する。
【0015】
制御部14は、レリーズスイッチ11の押下により撮像素子23の撮影制御を行う。また、制御部14は、撮像素子23により出力された信号に対してノイズ処理やA/D変換等の処理を行い、画像データを生成し、表示部12に表示する。さらに制御部14は、ブレ検出センサ13により検出された撮像素子23のブレ信号を基に撮像素子23の目標位置を検出する。そして制御部14は、検出された目標位置に基づき撮像素子23のブレを補正する駆動量を演算し、演算された駆動量に基づいて、第1の駆動部21を介して撮像素子23を駆動する。
【0016】
(撮像ユニット20)
図2は、撮像ユニット20と移動制限機構40の斜め前側から見た斜視図であり、図3は、撮像ユニット20と移動制限機構40の斜め後側から見た斜視図である。
以下の図において、説明と理解を容易にするために、適宜XY直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸OAを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラ1の位置(正位置)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。また、光軸OA方向被写体側を前、逆側を後、Yプラス側を上、Yマイナス側を下、後側の面を背面として説明する。
【0017】
撮像ユニット20は、固定部24と、固定部24に対してXY平面内で移動可能な可動部25と、上述した図1に示す第1の駆動部21及び位置検出部22と、を備える。
【0018】
(可動部25)
図4は可動部25の背面図である。可動部25は、撮像素子23の背面の外周部を保持する可動フレーム26を備え、可動フレーム26の前面に撮像素子23が取り付けられている。
【0019】
(可動フレーム26)
可動フレーム26における、図4で点線で外枠を示す撮像素子23のX方向プラス側には、第1の駆動部21としてのX方向駆動用のコイル211、撮像素子23のY方向マイナス側(下側)には、第1の駆動部21としてのY方向駆動用及び回転方向駆動用のコイル212,213が取り付けられている。また、可動フレーム26の前面には、ヨーク214が取り付けられている。
【0020】
(被係合部28)
可動フレーム26における、撮像素子23の背面側に位置する部分には可動側開口部26aが設けられている。可動側開口部26aの内縁の3か所から、それぞれ内側に向かって腕部27が延びている。腕部27は、可動部25の重心Gに向う方向に延び、腕部27の先端にはそれぞれ被係合部28が設けられている。
図5は、被係合部28と、後述する係合部50の拡大図であり、図示するように被係合部28は、腕部27の先端から、後側に突出し、背面に当接面28aが設けられている。
【0021】
また、図4に示すように、3つの被係合部28は、可動部25の重心Gを中心とした同一径の円周S上に配置されている。すなわち、被係合部28は、可動部25の重心Gを中心として配置されており、重心Gは撮像素子23の撮像中心である光軸OAが通過する点Aとは、ずれた位置にある。
【0022】
(固定部24)
固定部24はカメラ1の筐体に対して固定された固定フレーム30を備える。図6は固定部24の固定フレーム30及びマグネット311,312,313の背面図である。
【0023】
(固定フレーム30)
固定フレーム30には固定側開口部24aが設けられている。固定側開口部24aは可動側開口部26aの背面側に位置する。固定側開口部24aを介して図3に示すように被係合部28が後側に露出している。
固定フレーム30における、X方向プラス側には、第1の駆動部21としてのX方向駆動用のマグネット311、撮像素子23のY方向マイナス側(下側)には、第1の駆動部21としてのY方向駆動用及び回転方向駆動用の312,313が取り付けられている。
【0024】
(位置検出部22)
図1に示すように撮像ユニット20には位置検出部22が設けられている。位置検出部22は、固定部24に対する可動部25の位置を検出する。本実施形態において位置検出部22は、例えば可動部25に取り付けられたホール素子22aと、固定部24に取り付けられた位置検出用マグネット22bであるが、これに限らず発光部と受光部(PSD)であってもよい。
【0025】
(第1の駆動部21)
第1の駆動部21は、上述したように、図1及び図4に示す可動フレーム26に設けられたコイル211,212,213及びヨーク214と、図1及び図6に示す固定フレーム30に設けられたマグネット311,312,313とを備えるボイスコイルモータ(VCM)である。第1の駆動部21は、図4及び図6に示すように、撮像素子23の周囲の3か所に配置されている。
【0026】
可動部25と固定部24とは、図示しない3つのボールを介して、バネ部材で互いに近づく方向に付勢され、これにより可動フレーム26は、固定フレーム30に対してX軸方向、Y軸方向、光軸OA回りの回転方向に移動可能に支持されている。
【0027】
コイル211,212,213に電流を流すと、電流の方向がマグネット311,312,313の磁力線に対して直交するコイル211,212,213の部分に電磁力が作用し、可動部25が固定部24に対して駆動される。
コイル211,212,213に流す電流の向きを逆転させると、可動部25は逆方向に駆動される。また、コイル211,212,213に流れる電流の大きさにより、可動部25に作用する力を変えることができる。
【0028】
(移動制限機構40)
コイル211,212,213に電流が流れている状態では、可動部25のコイル211,212,213に作用する電磁力により、可動部25は所定位置に保持されている。しかし、コイル211,212,213への通電が停止されと、可動部25を保持する力がなくなる。そうすると、可動部25に外力が加わったときに、可動部25は簡単に動き、例えば、可動部25が重力によって下に落ちたり、カメラ1の持ち運び時において、可動部25が簡単に移動することにより物品同士が接触したりして、種々の部品が破損する可能性がある。
【0029】
このため、実施形態では、通電されていないときに可動部25を固定する移動制限機構40を有している。移動制限機構40は図1,2,3に記載のように、カメラ1の筐体内の撮像ユニット20の背面側のスペースに配置されている。図7は移動制限機構40を前側斜めから見た斜視図であり、図8は移動制限機構40を後側斜めから見た斜視図である。
【0030】
移動制限機構40は、後側から、ベース板41と、ギア部42と、カム板43と、押さえバネ44(第1弾性部材)を備える移動板47と、付勢バネ45(第2弾性部材)と、カバー板46と、を備える。
【0031】
(ベース板41)
ベース板41は、ギア部42とカム板43と移動板47とを保持する部材で、移動板47を保持する移動板保持軸41aと、移動板保持軸41aと同心で、移動板保持軸41aの外周に設けられたカム板保持環41bと、カム板保持環41bの外側に設けられたギア支持軸41cとが、前面から前側に向って延びている。ベース板41の下部には、移動板回転止め受け41dが同様に前面から前側に向って延びている。移動板保持軸41aは、カム板43の回転中心となる軸線G1に沿って延びている。
【0032】
また、ベース板41のギア支持軸41cが設けられている側(Xマイナス側)には、第2の駆動部であって、アクチュエータであるモータ49が固定されている。モータ49の回転軸はY方向に延び、回転軸の外周にウォームギア49aが取り付けられている。
なお、実施形態では図2,3に示すように、モータ49は全体が第1の駆動部21の背面側に位置している。しかし、これに限らずモータ49の少なくとも一部が第1の駆動部21の背面側に位置していればよい。
【0033】
(ギア部42)
ギア部42は、円板状で外周にギア歯42aが設けられており、ベース板41に設けられたギア支持軸41cに対して回転可能に取り付けられている。
【0034】
(カム板43)
図8はカム板43の斜視図である。カム板43は円環状で、ベース板41に設けられたカム板保持環41bの外周側に相対回転可能に嵌め込まれている。
カム板43は外周の一部にカムギア歯43aが形成され、ギア部42のギア歯42aと噛み合っている。カム板43の前面には、光軸OA方向の厚みを徐々に変えることによって設けられた斜面43bが、円周方向に互いに等間隔の3か所に設けられている。
【0035】
(移動板47)
移動板47は円板状で、中央に設けられた穴に、ベース板41に設けられた移動板保持軸41aが挿入され、ベース板41に対して前後移動可能に取り付けられている。
移動板47の外周側の互いに等間隔の3か所から外側に向って係合部50が形成されている。
また、移動板47の外周側の1か所から外側に向って先端がU字形の回転止め47aが延びている。回転止め47aと、ベース板41の移動板回転止め受け41dとが係合することにより、移動板47のベース板41に対する相対回転が防止されている。
移動板47の背面には、後側に突出した突起47bが、カム板43の斜面43bと同径の同一円周上の互いに等間隔の3か所に設けられている。
【0036】
(係合部50)
係合部50は、軸線G1を中心として、移動板47の外周側の互いに等間隔の3か所から外側に向って形成されている。上述の図5は、係合部50と、可動フレーム26に設けられた被係合部28との係合状態を示した図である。
係合部50は、移動板47の外周側に設けられている。移動板47の外周部において、内側に向かう方向に凹状かつ後側に向かう方向に凹状に形成された凹部51を備える。凹部51は、それぞれ、軸線G1を中心とした周方向に延びる一定長さの外周面51aと、外周面51aの周方向の両側から、径方向外側に延びる2つの内側面51bと、を有している。
【0037】
一方、可動フレーム26に設けられた被係合部28は、それぞれ、重心Gを中心とした周方向に一定長さで延びる内周面28bと、内周面28bの周方向の両側から、径方向外側に延びる2つの外側面28cと、を有している。
【0038】
ここで、2つの外側面28c間の距離、すなわち当接面28a(被係合部28)の周方向の幅は、凹部51の2つの内側面51b間の距離、すなわち凹部51の周方向の幅よりも大きい。
また、係合部50における外周面51aが形成されている円周の径は、被係合部28における内周面28bが形成されている円周の径より小さい。
【0039】
したがって、係合部50が前進して、係合部50の外周面51aと、被係合部28の内周面28bとが対向し、係合部50の内側面51bと、被係合部28の外側面28cとが対向するようにして、係合部50の凹部51の中に、被係合部28が入り込んだときに、対向する内周面28bと外周面51aとの間、及び対向する内側面51bと外側面28cとの間に隙間が生じる。
【0040】
また、凹部51には、くの字形(L字形)の板バネ部材52が取り付けられている。
板バネ部材52の両端52aは、移動板47における凹部51よりも内径側の凹部51を挟んだ両側に固定されている。
板バネ部材52のくの字形(L字形)の中央部は、凹部51の内部に入って前側に延びており、先端が折れ曲がって押圧部52bが形成されている。
【0041】
(カバー板46)
移動板47の前側には、間に付勢バネ45を挟んでカバー板46が配置されている。カバー板46はベース板41に対して固定されている。移動板47は、付勢バネ45によって後側に付勢されつつ、前後移動が可能である。
【0042】
(動作)
撮影時において、移動制限機構40の係合部50は、被係合部28から離間した第2の位置にある。このとき、係合部50は、被係合部28に係合せず可動部25の固定部24に対する移動を制限しない。
この状態で、例えば、カメラ1のメイン電源OFFが撮影者により選択されると、電源が完全にOFFになる前にベース板41に固定されたステッピングモータ49が回転する。
そうすると、モータ49の回転軸のウォームギア49aと、ギア部42のギア歯42aとが噛み合って、モータ49の回転力がギア部42に伝達されてギア部42が回転する。
【0043】
ギア部42が回転すると、カム板43のカムギア歯43aがギア部42と噛み合っているので、カム板43が回転する。
【0044】
そうすると、移動板47の突起47bと当接しているカム板43の斜面43bの高さが変わるので、移動板47が斜面43bによって押されて前進する。
【0045】
係合部50が前進すると、係合部50の外周面51aと、被係合部28の内周面28bとが対向し、係合部50の内側面51bと、被係合部28の外側面28cとが対向するようにして、係合部50の凹部51の内部に被係合部28が入り込む。
すなわち、係合部50は、可動部25の撮像素子23が配置された面の反対の面に設けられた被係合部28に係合し、係合部50の位置は、可動部25の固定部24に対する移動を制限する第1の位置となる。
【0046】
そのとき、板バネ部材52の押圧部52bが被係合部28と当接し、被係合部28、すなわち可動部25を光軸OA方向に弾性的に保持する。
ここで、係合部50の凹部51の中に、被係合部28が入り込んだときに、対向する内周面28bと外周面51aとの間、及び対向する内側面51bと外側面28cとの間に隙間があるので、被係合部28のXY平面内の移動は、板バネ部材52の摩擦力によって防止されている形であるが、摩擦力以上の力が加わった場合でも、被係合部28の移動は凹部51内に制限される。
ゆえに、被係合部28は係合部50によって過剰拘束されることなく、かつ確実に保持される。
【0047】
また、板バネ部材52の押圧部52bが被係合部28と当接し、被係合部28、すなわち可動部25を光軸OA方向に弾性的に保持することにより、可動部25の光軸OA方向への押圧を抑えた状態で可動部25の保持が可能であり、可動部25の光軸OA方向への移動を抑制することが可能となる。これにより、撮像素子23を含む可動部25のXY平面方向の移動を移動制限機構40により制限した状態における、撮像素子23の光軸OA方向の位置を高精度に保つことが可能となる。
【0048】
可動部25は、背面の3か所において被係合部28に係合部50が係合して、固定部24に対する移動が制限されるので、1か所で保持される場合と比べて、安定して保持される。
なお、実施形態では3か所で保持される形態について説明したが、3か所に限られず3以上であればよい。
【0049】
係合部50はモータ49によって前後に駆動される。ここで、モータ49の回転軸のウォームギア49aと、ギア部42のギア歯42aとでウォームギアを構成しており、また、被係合部28に係合部50が係合して可動部25の固定部24に対する移動が制限された状態において、移動板47の突起47bがカム板43の斜面43bの上死点(又は下死点)に当接している。
ゆえに、電源OFFの状態でも撮像素子23を含む可動部25が固定されるので、可動部25が重力により落下したり、持ち運びの振動により移動することがない。
したがって、電力を消費することなく、撮像素子23を含む可動部25を保持することができる。
なお、このように可動部25の移動制限動作は、メイン電源がOFFにされたときだけでなく、撮影者が操作部15より選択操作可能なようにしてもよい。また、撮影モードによって、自動的に可動部25の移動制限動作を行うようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、凹部51に板バネ部材52を備え、板バネ部材52の押圧部52bが被係合部28と当接して押圧部52bと被係合部28との間に摩擦力を発生させ、被係合部28が備えられる可動部25のXY平面内の移動を制限する構成について説明した。これとは別に、例えば、板バネ部材52の先に被係合部28と当接する非弾性部材を設ける等、板バネ等の弾性部材を被係合部28と直接当接する箇所以外の場所に設ける構成としてもよい。このような構成であっても、弾性部材がたわむことにより可動部25の光軸OA方向への押圧を抑えた状態で可動部25の保持が可能であり、可動部25の光軸OA方向への移動を抑制することが可能となる。これにより、撮像素子23を含む可動部25のXY平面方向の移動を移動制限機構40により制限した状態における、撮像素子23の光軸OA方向の位置を高精度に保つことが可能となる。
【0050】
実施形態で移動制限機構40は、撮像ユニット20の背面側のスペースに配置されているので、撮像ユニット20の背面側のスペースを有効利用することができる。したがって、カメラ1の内部空間を有効に利用することができるので、カメラ1の小型化が可能になる。
【0051】
実施形態では、保持中心と可動部の重心とが一致していない場合は、保持中心と可動部の重心との離間距離に応じて、保持時に回転モーメントが加わり、可動部25を押さえるために大きな保持力が必要となる場合がある。
しかし、実施形態では、図2及び図3に示すように、移動制限機構40の保持中心を通る軸線G1は、重心Gとほぼ一致する位置を通るように配置されている。ゆえに、可動部25の重心Gを中心とした円周上における略均等な距離の3点で可動部25を保持する。保持中心と可動部25の重心Gとが略一致しているので、可動部25を押さえるための保持力が比較的小さくてすむ。また、各部材の機械的な遊び(ガタ)による、可動部25の傾きを小さくすることが可能となる。なお、係合部50が係合される被係合部28の位置を、可動部25の重心Gを中心とした円周上としたが、厳密に重心Gを中心とする形態に限定されず、若干ずれ重心Gの近傍であってもよい。例えば撮像中心よりも重心Gに近い位置であればよい。
【0052】
撮像素子23を前側から押さえる場合、撮像面を遮ることができないので、可動部25の重心Gを中心とした複数個所を保持することが難しい。しかし、実施形態では撮像素子23の背面側から押さえるので、重心Gを中心とした複数個所を保持することが可能となった。
【0053】
なお、実施形態のボイスコイルモータは、マグネット311、312、313を固定部24、コイル211,212,213を可動部25に設けた。しかし、これに限らず、マグネットを可動部に設け、コイルを固定部に設けてもよい。
また、実施形態では、係合部50の凹部51に被係合部28が入り込む形態であったが、移動制限機構はこれに限らず、他の形態であってもよい。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同一の符号を用いる。
第2実施形態のカメラ1も、第1実施形態と同様に図1に示すように撮像素子23を備える撮像ユニット20と、撮像ユニット20における撮像素子23の移動制限機構40と、レリーズスイッチ11と、表示部12と、ブレ検出センサ13と、第1の駆動部21と、位置検出部22と、制御部14と、を備える。
【0055】
カメラ1は、加速度センサを備える。なお、加速度センサはブレ検出センサ13と共通でもよい。また、第2実施形態の移動制限機構40は、第1実施形態の移動制限機構40に限定されず、他の移動制限機構40であってもよい。移動制限機構40の係合部50が、可動部25の被係合部28と係合する個所は3カ所でなく、2カ所や1カ所であってもよく、また、係合部50は、可動部25の全面と係合する構成等であってもよい。
【0056】
図10は、第2実施形態におけるカメラ1の制御部14の動作を説明するフローチャートである。
第2実施形態において制御部14は、加速度センサで検出された加速度が、一定時間以上0Gの場合(ステップS1,YES)、自由落下であると検知する(ステップS2)。
自由落下であることが検知されると、制御部14は、移動制限機構により可動部の移動を制限する(ステップS3)。
以上、第2実施形態によると、カメラ1の落下が検知された場合に可動部の移動を制限するので可動部が他部材と衝突して破損等する可能性が低減される。
【0057】
(第3実施形態)
次に、撮像装置の第3実施形態としてのカメラについて説明する。第3実施形態のカメラは、第1実施形態のカメラ1と、移動制限機構140以外同一であるので、同一の部分の説明は省略する。
【0058】
(移動制限機構140)
第3実施形態の移動制限機構140は、第1実施形態と同様に、カメラの筐体内の撮像ユニット20の背面側のスペースに配置されている。
図11は移動制限機構140を前斜めから見た分解斜視図である。図12は移動制限機構140を後斜めから見た分解斜視図である。図13は移動制限機構140の後面図である。図14は、被係合部28の移動(可動部25の固定部24に対する移動)を制限している第1の位置にある移動制限機構140の前面図である。図15は、被係合部28の移動を制限していない第2の位置にある移動制限機構140の前面図である。図16は、被係合部28の移動を制限している第1の状態にある移動制限機構140を前側から見た斜視図である。図17は、被係合部28の移動を制限していない第2の状態にある移動制限機構140を前側から見た斜視図である。
【0059】
移動制限機構140は、ベース板141と、ベース板141の後側に配置された回転板143と、ベース板141の側部に配置されたギア部142と、ベース板141の前面に配置された保持部材144とを備える。
【0060】
(ベース板141)
ベース板141は略矩形の板状で、図12,13に示すように後面に円形の回転板保持凹部141bと、回転板保持凹部141bの中心から後方に延びる回転板保持軸141aと、回転板保持凹部141bの外側に設けられたギア保持凹部141dと、ギア保持凹部141dから後方に延びるギア支持軸141cとが設けられている。回転板保持軸141aは軸線G1に沿って延び、軸線G1は、可動部25の重心Gとほぼ一致する位置を通るように配置されている。
【0061】
回転板保持凹部141bの底面には軸線G1を中心とした円周上の互いに等間隔な3か所に、ピン挿入長孔141eが貫通して設けられている。
さらに、回転板保持凹部141bの底面における、3つのピン挿入長孔141eよりも外周側には、軸線G1を中心とした円周上の互いに等間隔な3か所に、爪挿入長孔141fが貫通して設けられている。
【0062】
図11,14から図17に示すように、ベース板141の前面には、軸線G1を中心とした円周上の互いに等間隔な3か所に、前方に延びる爪保持軸141iが設けられている。
さらに、軸線G1を中心とした円周上の互いに等間隔な3か所に、バネ保持突起141gが設けられている。バネ保持突起141gには、それぞれコイルばね141hが挿入されている。
さらに、ベース板141の前面には、第2の駆動部であって、アクチュエータであるモータ149が固定されている。モータ149の回転軸はY方向に延び、回転軸の外周にウォームギア149aが取り付けられている。
【0063】
(ギア部142)
ギア部142は、外周の後方側に第1ギア歯142a、外周の前方側に第2ギア歯142bが設けられている。また、ギア部142は円板状で、中心がベース板141に設けられたギア支持軸141cに対して回転可能に取り付けられている。第2ギア歯142bには、モータ149のウォームギア149aが噛み合っている。
【0064】
(回転板143)
回転板143は円環状で、中心に設けられた挿通孔143aが、ベース板141の回転板保持軸141aに挿入されてベース板141の回転板保持凹部141bの内部に、相対回転可能に保持されている。
回転板143は外周の一部にギア歯143bが形成され、ギア部142の第1ギア歯142aと噛み合っている。
回転板143の外周の互いに等間隔な3か所から、径方向外側に延びる第1保持爪143cが設けられている。第1保持爪143cは、径方向に延びる第1保持面143dを備える。
第1保持爪143cは、ベース板141に設けられた爪挿入長孔141f内に挿入され、回転板143の回転によって、爪挿入長孔141f内を周方向に移動する。また、回転板143の前面の軸線G1を中心とした円周上の互いに等間隔な3か所から前方にピン部材143eが延びている。
【0065】
(保持部材144)
保持部材144は、3つ設けられ、互いに同形である。それぞれの保持部材144は軸線G1を中心とした円周に沿って互いに等間隔に配置されている。
保持部材144は、回転中心孔144aと、回転中心孔144aが設けられている部分から周方向に延びる腕部144bと、腕部144bの先端から径方向外側に延びる第2保持爪144cと、を備える。
回転中心孔144aには、ベース板141の爪保持軸141iが挿入され、保持部材144は爪保持軸141iを中心として回転可能である。
また、腕部144bの径方向内側の面はカム面144eとなっている。回転板143に設けられたピン部材143eはベース板141のピン挿入長孔141eを貫通してカム面144eに当接している。
さらに腕部144bにおける回転中心孔144aと逆側の部分には、バネ係合部144fが設けられている。バネ係合部144fには、ベース板141のバネ保持突起141gに取り付けられたコイルばね141hの一端が当接し、保持部材144は、コイルばね141hによって回転中心孔144aを中心とした図15における反時計回りに付勢されている。
第2保持爪144cには、回転中心孔144a側を向いた第2保持面144dが設けられている。
保持部材144が爪保持軸141iを中心として回転すると、第2保持面144dは爪挿入長孔141fの前側から退避した位置と、爪挿入長孔141fの前側に侵入した状態とで移動する。
【0066】
(動作)
(第2の位置)
撮影時において、移動制限機構140は、図13図15及び図17に示すように、第1実施形態で説明した被係合部28の移動を制限していない第2の位置にある。
【0067】
(第1保持面143dの位置)
図13に示す第2の位置において第1保持面143dは、爪挿入長孔141fの背面から退避した位置にある。
【0068】
(第2保持面144dの位置)
図15図17に示すようにピン部材143eは、保持部材144におけるカム面144eの回転中心孔144a側に位置する。
バネ係合部144fは、コイルばね141hによって付勢され、回転中心孔144a(爪保持軸141i)を中心として図中反時計回り、すなわちカム面144eの先端が軸線1Gに近づく方向に付勢されている。
このため第2保持面144dは、爪挿入長孔141fから退避した、すなわち被係合部28から離れた第2の位置に存在する。
【0069】
(第1の位置)
(第1保持面143dの位置)
例えば、カメラのメイン電源OFFが撮影者により選択されると、電源が完全にOFFになる前にベース板141に固定されたモータ149が回転する。
そうすると、モータ149の回転軸のウォームギア149aとギア部142の第1ギア歯142aとが噛み合って、モータ149の回転力がギア部142に伝達されてギア部142が図13に示す矢印A1の方向に回転する。
ギア部142がA1方向に回転すると、第1ギア歯142aとギア歯143bとの噛み合いにより回転板143が図13に示す矢印A2方向に回転する。
回転板143がA2方向に回転すると、第1保持面143dも回転板保持軸141a(G1)を中心として図13図14図15に示す矢印A2方向に移動する。
【0070】
(第2保持面144dの位置)
また、回転板143が回転すると、ピン部材143eも回転板保持軸141a(G1)を中心として図14,15に矢印A2で示す周方向に移動する。そうすると、ピン部材143eによってカム面144eが移動され、保持部材144が、コイルばね141hの力に抗して回転中心孔144a(爪保持軸141i)を中心として回転する。
保持部材144が回転すると、第2保持面144dも回転中心孔144a(爪保持軸141i)を中心として図15に示す矢印A3の方向に移動する。
これにより、第2保持面144dと第1保持面143dとがXY平面で互いに近づく方向に移動し、第2保持面144dと第1保持面143dとの間に被係合部28を挟持した図14の状態となる。
【0071】
第1実施形態においては板バネ部材52の押圧部52bが被係合部28と当接し、被係合部28、すなわち可動部25を光軸OA方向に弾性的に保持していた。しかし、第3実施形態においては被係合部28、すなわち可動部25を、光軸OAと直交するXY平面の方向から保持部材144により押さえる。したがって、可動部25を光軸OA方向から押圧することなく保持が可能であり、可動部25の光軸OA方向への移動を抑制することが可能となる。これにより、撮像素子23を含む可動部25のXY平面方向の移動を移動制限機構140により制限した状態における、撮像素子23の光軸OA方向の位置を高精度に保つことが可能となる。
【0072】
さらに、第1実施形態と同様に、電源OFFの状態でも撮像素子23を含む可動部25が固定されるので、可動部25が重力により落下したり、持ち運びの振動により移動することがない。したがって、電力を消費することなく、撮像素子23を含む可動部25を保持することができる。
【0073】
第1実施形態と同様に、第3実施形態で説明した移動制限機構140は、撮像ユニット20の背面側のスペースに配置されているので、撮像ユニット20の背面側のスペースを有効利用することができる。したがって、カメラ1の内部空間を有効に利用することができるので、カメラ1の小型化が可能になる。
【0074】
第1実施形態と同様に、第3実施形態では、保持中心と可動部25の重心Gとが略一致しているので、可動部25を押さえるための保持力が比較的小さくてすむ。また、各部材の機械的な遊び(ガタ)による、可動部25の傾きを小さくすることが可能となる。
【0075】
第1実施形態と同様に、撮像素子23を前側から押さえる場合、撮像面を遮ることができないので、可動部25の重心Gを中心とした複数個所を保持することが難しい。しかし、第3実施形態では撮像素子23の背面側から押さえるので、重心Gを中心とした複数個所を保持することが可能となった。
【0076】
上述した第3実施形態では、イスコイルモータは、マグネット311、312、313を固定部24、コイル211,212,213を可動部25に設けた。しかし、これに限らず、マグネットを可動部に設け、コイルを固定部に設けてもよい。
【0077】
また、上述した第3実施形態では、可動部25が3つの被係合部28を備え、3つの被係合部28をそれぞれ光軸OAと直交するXY平面の方向から保持部材144により保持する構成について説明した。これとは別に、可動部25が1つの被係合部28を備え、1つの被係合部28をXY平面の方向から保持部材144により保持する構成としてもよい。このような構成であっても、可動部25を光軸OA方向に押圧することなく可動部25を保持することが可能であり、可動部25の光軸OA方向への移動を抑制することが可能となる。これにより、撮像素子23の光軸OA方向の位置を高精度に保つことが可能となる。
【0078】
また、上述した第3実施形態では、可動部25に設けられた被係合部28を保持部材144により挟持して保持する構成について説明した。これとは別に、例えば、可動部25に、凸状の被係合部でなく凹状の被係合部を設け、この凹状の被係合部を内側から保持部材によりXY平面内で力を加えて押さえる構成としてもよい。このような構成であっても、可動部25を光軸OA方向に押圧することなく可動部25を保持することが可能であり、可動部25の光軸OA方向への移動を抑制することが可能となる。これにより、撮像素子23の光軸OA方向の位置を高精度に保つことが可能となる。
【0079】
以上、好適な実施形態について説明したが、これらの実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
G:重心、G1:軸線、OA:光軸、1:カメラ、13:ブレ検出センサ、14:制御部、20:撮像ユニット、21:第1の駆動部、22:位置検出部、22a:ホール素子、22b:位置検出用マグネット、23:撮像素子、24:固定部、24a:固定側開口部、25:可動部、26:可動フレーム、26a:可動側開口部、27:腕部、28:被係合部、28a:当接面、28b:内周面、28c:外側面、30:固定フレーム、40:移動制限機構、41:ベース板、41a:移動板保持軸、41b:カム板保持環、41c:ギア支持軸、41d:受け、42:ギア部、42a:ギア歯、43:カム板、43a:カムギア歯、43b:斜面、44:バネ、45:付勢バネ、46:カバー板、46b:突起、47:移動板、47a:回転止め、49:モータ、49a:ねじ部、50:係合部、51:凹部、51a:外周面、51b:内側面、52:板バネ部材、52a:両端、52b:押圧部、211:コイル、212:コイル、213:コイル、214:ヨーク、311:マグネット、312:マグネット、313:マグネット
140:移動制限機構、141:ベース板、141a:回転板保持軸、141b:回転板保持凹部、141c:ギア支持軸、141d:ギア保持凹部、141e:ピン挿入長孔、141f:爪挿入長孔、141g:バネ保持突起、141h:コイルばね、141i:爪保持軸、142:ギア部、142a:第1ギア歯、142b:第2ギア歯、143:回転板、143a:挿通孔、143b:ギア歯、143c:第1保持爪、143d:第1保持面、143e:ピン部材、144:保持部材、144a:回転中心孔、144b:腕部、144c:第2保持爪部、144d:第2保持面、144e:カム面、144f:バネ係合部、149:モータ、149a:ウォームギア
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