IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱レイヨン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-中空糸膜エレメント及びその製造方法 図1
  • 特許-中空糸膜エレメント及びその製造方法 図2
  • 特許-中空糸膜エレメント及びその製造方法 図3
  • 特許-中空糸膜エレメント及びその製造方法 図4
  • 特許-中空糸膜エレメント及びその製造方法 図5
  • 特許-中空糸膜エレメント及びその製造方法 図6
  • 特許-中空糸膜エレメント及びその製造方法 図7
  • 特許-中空糸膜エレメント及びその製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】中空糸膜エレメント及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/02 20060101AFI20230613BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B01D63/02
B01D63/00 500
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020557818
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 JP2019046544
(87)【国際公開番号】W WO2020111175
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2018222747
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】糸山 靖幸
(72)【発明者】
【氏名】井手口 誠
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-205757(JP,A)
【文献】中国実用新案第202006088(CN,U)
【文献】国際公開第2009/118785(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108031294(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中空糸膜と、
前記中空糸膜の長さ方向の第1開口端部側と第2開口端部側にそれぞれ設けられた第1集水管及び第2集水管と、
両端部が前記第1集水管及び前記第2集水管に接続された管状支柱と、
を備え、
前記中空糸膜の前記第1開口端部及び前記第2開口端部は、各々の中空糸膜の端面が開口した状態でそれぞれ前記第1集水管と前記第2集水管に差し込まれ、
前記第1集水管、前記第2集水管及び前記管状支柱の少なくとも一つには、処理水を取り出す取出し口が少なくとも一か所形成され、
前記第1集水管及び前記第2集水管には、それら前記第1集水管及び前記第2集水管の内部の集水部と連通する、前記管状支柱と接続するための管状の突起が設けられ、
前記突起を囲繞する周壁部が設けられ、
前記突起が前記管状支柱の端部内に位置し、
前記突起の高さが前記周壁部の最も低い部分の高さの40%以上であり、
前記管状支柱の内部と前記第1集水管及び前記第2集水管の内部の集水部とは前記突起の内部を介して連通している、
中空糸膜エレメント。
【請求項2】
前記管状支柱と前記第1集水管及び第2集水管とが水密に封じられた状態で固定されている、請求項1に記載の中空糸膜エレメント。
【請求項3】
前記管状支柱と前記突起との隙間が水密に封じられている、請求項1又は2に記載の中空糸膜エレメント。
【請求項4】
前記突起が、前記第1集水管及び前記第2集水管の内部の集水部と連通する管状の突起部と、前記突起部に接続された管状スリーブと、から構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の中空糸膜エレメント。
【請求項5】
前記管状スリーブの前記突起部側の一部が前記突起部の内側に挿入されている、請求項4に記載の中空糸膜エレメント。
【請求項6】
前記管状スリーブの外面に、前記管状スリーブの前記突起部に挿入されない部分が前記突起部に挿入される部分よりも張り出した段差が形成されている、請求項5に記載の中空糸膜エレメント。
【請求項7】
前記突起部と前記管状スリーブとが嵌合構造を形成している、請求項5又は6に記載の中空糸膜エレメント。
【請求項8】
前記突起が先端に向かうにしたがって細くなっている、請求項4~7のいずれか一項に記載の中空糸膜エレメント。
【請求項9】
前記突起が、前記第1集水管及び前記第2集水管と一体に成形されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の中空糸膜エレメント。
【請求項10】
前記突起が、前記第1集水管及び前記第2集水管に設けられた開孔部に接続された管状スリーブから構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の中空糸膜エレメント。
【請求項11】
前記管状支柱の端部の外面がブラスト処理されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の中空糸膜エレメント。
【請求項12】
前記第1集水管に、前記中空糸膜の第1開口端部を通じて前記第1集水管の前記集水部へと流れ込んだ処理水の前記管状支柱への流れを遮る第1閉鎖部が設けられ、および/または前記第2集水管に、前記中空糸膜の第2開口端部を通じて前記第2集水管の前記集水部へと流れ込んだ処理水の前記管状支柱への流れを遮る第2閉鎖部が設けられている、請求項1~11のいずれか一項に記載の中空糸膜エレメント。
【請求項13】
請求項1に記載の中空糸膜エレメントを製造する方法であって、
前記突起を前記管状支柱の端部内に挿入する、中空糸膜エレメントの製造方法。
【請求項14】
前記管状支柱と前記第1集水管及び第2集水管とを水密に封じた状態で固定する、請求項13に記載の中空糸膜エレメントの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸膜エレメント及びその製造方法に関する。
本願は、2018年11月28日に、日本に出願された特願2018-222747号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
中空糸膜エレメントは、無菌水、飲料水、高度純水の製造等に広く用いられている。中空糸膜エレメントとしては、例えば、中空糸膜の長さ方向の両端部に集水管が設けられ、集水管と連通した状態で接続される管状支柱が設けられたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1のような中空糸膜エレメントでは、集水管の両端部に、管状支柱の端部に嵌め込まれて接続するための、集水部と連通している管状の突起が設けられている。前記中空糸膜エレメントの製造においては、例えば、突起の周囲に樹脂を注入し、管状支柱の端部を集水管の端部に差し込んでから樹脂を硬化させる。突起と管状支柱との隙間が樹脂で埋められるため、集水管と管状支柱の端部同士の接続部分の水密性に優れた中空糸膜エレメントが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国実用新案第202006088号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された中空糸膜エレメントでは、製造時に集水部内に樹脂が侵入することを抑制しつつ、突起と管状支柱の端部同士の接続部分を充分に樹脂で水密に封じるためには、樹脂の注入及び硬化を複数回に分ける必要がある。具体的には、集水管に注入した樹脂面が突起の高さを越えないように樹脂量を調整して注入後、管状支柱を差し込み、その樹脂を一旦硬化させた後、充分な樹脂量となるようにさらに樹脂を注入して硬化させる。
【0006】
このように、従来の中空糸膜エレメントは、樹脂の注入及び硬化を複数回に分けて行う必要があるため、作業が煩雑で製造効率が低く、硬化時間も増えるため製造に長時間を要し、生産性が低かった。
【0007】
本発明は、中空糸膜シート状物の幅方向の両側に管状支柱を備える、製造効率が高く、生産性に優れた中空糸膜エレメント、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来の中空糸膜エレメントにおいては、突起は、集水管に管状支柱を固定する際に固定位置の目安として設けられていた。したがって、集水管に管状支柱を設置しやすいように突起は低い方が好ましいと考えられていた。しかし、本発明者らは突起の従来の目的にとらわれず、突起を高くすることにより製造効率が上がることを見出して本発明を完成した。
具体的には、本発明は、集水管に配設された管状の突起の高さを、前記突起を囲繞する周壁部の最も低い部分の高さの40%以上とした。これにより、集水管と管状支柱とを固定するポッティング材の注入及び硬化の回数を低減でき、製造効率を高めて生産性を向上させることができた。すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
【0009】
[1] 複数の中空糸膜と、
前記中空糸膜の長さ方向の第1開口端部側と第2開口端部側にそれぞれ設けられた第1集水管及び第2集水管と、
両端部が前記第1集水管及び前記第2集水管に接続された管状支柱と、
を備え、
前記中空糸膜の前記第1開口端部及び前記第2開口端部は、各々の中空糸膜の端面が開口した状態でそれぞれ前記第1集水管と前記第2集水管に差し込まれ、
前記第1集水管、前記第2集水管及び前記管状支柱の少なくとも一つには、処理水を取り出す取出し口が少なくとも一か所形成され、
前記第1集水管及び前記第2集水管には、それら前記第1集水管及び前記第2集水管の内部の集水部と連通する、前記管状支柱と接続するための管状の突起が設けられ、
前記突起を囲繞する周壁部が設けられ、
前記突起が前記管状支柱の端部内に位置し、
前記突起の高さが前記周壁部の最も低い部分の高さの40%以上であり、
前記管状支柱の内部と前記第1集水管及び前記第2集水管の内部の集水部とは前記突起の内部を介して連通している、
中空糸膜エレメント。
[2] 前記管状支柱と前記第1集水管及び第2集水管とが水密に封じられた状態で固定されている、[1]に記載の中空糸膜エレメント。
[3] 前記管状支柱の端部内に前記突起が挿入されている挿入部分における前記管状支柱と前記突起との隙間がポッティング材で水密に封じられた状態で固定されている、[1]又は[2]に記載の中空糸膜エレメント。
[4] 前記突起が、前記第1集水管及び前記第2集水管の内部の集水部と連通する管状の突起部と、前記突起部に接続された管状スリーブと、から構成される、[1]~[3]のいずれかに記載の中空糸膜エレメント。
[5] 前記管状スリーブの前記突起部側の一部が前記突起部の内側に挿入されている、[4]に記載の中空糸膜エレメント。
[6] 前記管状スリーブの外面に、前記管状スリーブの前記突起部に挿入されない部分が前記突起部に挿入される部分よりも張り出した段差が形成されている、[5]に記載の中空糸膜エレメント。
[7] 前記突起部と前記管状スリーブとが嵌合構造を形成している、[5]又は[6]に記載の中空糸膜エレメント。
[8] 前記突起が先端に向かうにしたがって細くなっている、[1]~[7]のいずれかに記載の中空糸膜エレメント。
[9] 前記突起が、前記第1集水管及び前記第2集水管と一体に成形されている、[1]~[3]のいずれかに記載の中空糸膜エレメント。
[10] 前記突起が、前記第1集水管及び前記第2集水管に設けられた開孔部に接続された管状スリーブから構成されている、[1]~[3]のいずれかに記載の中空糸膜エレメント。
[11] 前記管状支柱の端部の外面がブラスト処理されている、[1]~[10]のいずれかに記載の中空糸膜エレメント。
[12] 前記第1集水管に、前記中空糸膜の第1開口端部を通じて前記第1集水管の前記集水部へと流れ込んだ処理水の前記管状支柱への流れを遮る第1閉鎖部が設けられ、および/または前記第2集水管に、前記中空糸膜の第2開口端部を通じて前記第2集水管の前記集水部へと流れ込んだ処理水の前記管状支柱への流れを遮る第2閉鎖部が設けられている、[1]~[11]のいずれかに記載の中空糸膜エレメント。
[13] 複数の中空糸膜と、
前記中空糸膜の前記中空糸膜の長さ方向の第1開口端部側と第2開口端部側にそれぞれ設けられた第1集水管及び第2集水管と、
両端部が前記第1集水管及び前記第2集水管に接続された管状支柱と、
を備え、
前記中空糸膜の前記第1開口端部及び前記第2開口端部は、各々の中空糸膜の端面が開口した状態でそれぞれ前記第1集水管と前記第2集水管に差し込まれ、
前記管状支柱の内部と前記第1集水管及び第2集水管の内部の集水部は連通され、
前記管状支柱と前記第1集水管及び第2集水管とが水密に封じられた状態で固定され、
前記管状支柱の端部の外面がブラスト処理されている、
中空糸膜エレメント。
[14] [1]に記載の中空糸膜エレメントを製造する方法であって、
前記突起を前記管状支柱の端部内に挿入する、中空糸膜エレメントの製造方法。
[15] 前記管状支柱と前記第1集水管及び第2集水管とを水密に封じた状態で固定する、[14]に記載の中空糸膜エレメントの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、中空糸膜シート状物の幅方向の両側に管状支柱を備える、製造効率が高く、生産性に優れた中空糸膜エレメント、及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の中空糸膜エレメントの一例を示した斜視図である。
図2図1の中空糸膜エレメントの正面図である。
図3図2の中空糸膜エレメントのA-A断面図である。
図4図1の中空糸膜エレメントのB-B断面図である。
図5図4の中空糸膜エレメント別の態様である。
図6図4の中空糸膜エレメントのさらに別の態様である。
図7図4の中空糸膜エレメントの変形例である。
図8図4の中空糸膜エレメントのC-C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[中空糸膜エレメント]
以下、本発明の中空糸膜エレメントの一例について、図を参照して説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例である。本発明は以下の説明に限定されるものではない。本発明は、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0013】
本実施形態の中空糸膜エレメント1は、図1及び図2に示すように、中空糸膜シート状物10と、第1集水管12と、第2集水管14と、管状支柱16(18)とを備えている。
【0014】
中空糸膜シート状物10は、複数の中空糸膜11がシート状に束ねられたものである。第1集水管12は、中空糸膜シート状物10の中空糸膜11の長さ方向の第1開口端部10a側に設けられている。第2集水管14は、中空糸膜シート状物10の長さ方向における第1開口端部10aと反対側の第2開口端部10b側に設けられている。
【0015】
管状支柱16は、中空糸膜シート状物10の幅方向の一方の側に設けられている。管状支柱16の第1端部17aは、第1集水管12の第1端部13aに接続されている。管状支柱16の第2端部17bは、第2集水管14の第1端部15aに接続されている。
管状支柱18は、中空糸膜シート状物10の幅方向の他方の側に設けられている。管状支柱18の第1端部19aは、第1集水管12の第2端部13bに接続されている。管状支柱18の第2端部19bは、第2集水管14の第2端部15bに接続されている。
中空糸膜エレメント1は、第1集水管12を下側、第2集水管14を上側にし、中空糸膜シート状物10の各中空糸膜11の長さ方向が鉛直方向となるように配置されている。
【0016】
中空糸膜シート状物10は、複数の中空糸膜11が互いに平行にシート状に束ねられて形成されている。中空糸膜シート状物10における中空糸膜11の本数は、特に限定されず、例えば、1000~2000本とすることができる。
この例の中空糸膜シート状物10は、複数の中空糸膜11が引き揃えられたシートが複数枚積層された積層体になっている。本発明において、中空糸膜シート状物は、このような複数枚のシートの積層体であってもよく、1枚のシートからなるものであってもよい。
【0017】
中空糸膜の材質としては、例えば、ポリスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル、セルロース誘導体、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリアクリレート等が挙げられる。また、これらの樹脂の一部に置換基を導入したものを使用してもよい。中空糸膜の材質は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0018】
例えば、複数の中空糸膜11を用い、特許第5919672号公報に記載の中空糸膜シート状物の製造方法によって中空糸膜シート状物を形成し、使用すればよい。
【0019】
第1集水管12は、第1端部13aと第2端部13bの間に長手方向に延びる開口部20dが形成されており、その開口部20dに中空糸膜シート状物10の第1開口端部10aが差し込まれるようになっている。
具体的には、この例の第1集水管12における第1端部13aと第2端部13bの間の部分は、図3に示すように、互いの面同士が対向する長尺の一対の側壁部20a,20bを備えている。この例の第1集水管12における第1端部13aと第2端部13bの間の部分は、側壁部20a,20bの一方の端部同士を繋ぐ断面半円状の底部20cを備えている。第1集水管12における底部20cと反対側には、長手方向に延びるスリット状の開口部20dが形成されている。第1集水管12の長手方向に直交する断面の形状は、U字状になっている。
【0020】
第1集水管12の開口部20dには、中空糸膜シート状物10の第1開口端部10aが、各々の中空糸膜11の端面が開口した状態で差し込まれている。第1集水管12内においては、中空糸膜シート状物10の第1開口端部10aは、各々の中空糸膜11の端面が開口した状態で、ポッティング材の硬化物からなるポッティング部22aで固定されている。そして、第1集水管12内におけるポッティング部22aよりも底部20c側が集水部20eになっている。
【0021】
第1集水管12の第1端部13aは、図4及び図8に示すように、集水部20eと連通している筒状部24aを備えている。第1集水管12の第1端部13aは、第1集水管12の開口部20d側に突き出るように位置する管状の突起29を備えている。第1集水管12の第1端部13aは、突起29の四方を囲むように位置する周壁部24cを備えている。
【0022】
周壁部24cは、管状支柱16を固定する際に、ポッティング材30が第1集水管12の開口部20dから漏れ出さないように堰き止めるためのものである。ポッティング材30は、突起29に管状支柱16を差し込み、管状支柱16の第1端部17a内に突起29が挿入されている挿入部分の周囲に供給される。
【0023】
突起29の四方を囲む4つの周壁部24cのうちの2つは、筒状部24a上の突起29の集水管の長手方向の両側に、突起29と離間して互いに対向して設けられている。4つの周壁部24cのうちの残りの2つは、筒状部24a上の突起29の集水管の短手方向の両側に、突起29と離間して互いに対向して設けられ、それぞれ側壁部20a,20bと一体の連続した壁になっている。突起部24bを囲う4つの周壁部24cのうち、第1集水管12の長手方向の中央側の上端は、側壁部20a,20bの上端に比べてわずかに低くなっている。第1集水管12の長手方向の中央側の上端は、中空糸膜シート状物10の第1開口端部10aに近い側の周壁部24cである。また、残りの3つの周壁部24c、すなわち第1集水管12の端面側の周壁部24c及び短手方向の対向する一対の周壁部24cの上端は、側壁部20a,20bの上端と同じ高さになっている。
【0024】
周壁部24cの変形例は、例えば、図7に示すような、中空糸膜シート状物10の第1開口端部10aに近い側の周壁部24cがないものである。第1集水管12の第1端部13a及び第2端部13bの端面側の周壁部24cと、側壁部20a,20bとは、一体の連続した壁である。この一体の連続した壁によって、管状支柱16を固定する際に、ポッティング材30が第1集水管12の開口部20dから漏れ出さないように堰き止めることができる。ポッティング材30は、突起29に管状支柱16を差し込み、管状支柱16の第1端部17a内に突起29が挿入されている挿入部分の周囲に供給される。
【0025】
第1集水管12の第1端部13aに位置する管状の突起29は、管状支柱16と接続するための部分である。突起29の内部は筒状部24aの内部と連通している。突起29の形状は、特に限定されず、例えば、四角筒状、円筒状等が挙げられる。
【0026】
突起29の高さDは、周壁部24cの最も低い部分の高さEの40%以上であり、55%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。突起29の高さDの上限は特に限定されないが、突起29の高さDは、周壁部24cの最も低い部分の高さの150%以下が好ましく、130%以下がより好ましく、110%以下がさらに好ましい。ここで、突起29の高さDは、突起29に管状支柱16を差し込んだ際の管状支柱16の下端から、突起29の上端までの高さである。
【0027】
周壁部24cの最も低い部分の高さEとは、突起29の高さDの下端から、最も低い部分の上面までの、垂直方向の距離である。本発明において周壁部24cの最も低い部分は、集水管の周壁部で囲われた部分の内部に保有できる液体の容量が最大になるように集水管を置き、液体を注ぎ入れたとき、最初に液体が溢れる箇所である。
【0028】
突起29の高さDが前記範囲の下限以上であると、突起と管状支柱とが接着され、完成時に剛性の高いエレメント構造を、ポッティング一回で作成しやすくなる。
突起29の高さDが前記範囲の上限以下であると集水管及び管状スリーブが成形しやすくなり、かつ管状支柱と接着されない部分が減るので、部品を無駄なく有効に使用することができる。
突起があることで、管状支柱と突起との接着面積が広くなり、接着強度が上昇する。
【0029】
突起は集水管と一体で形成されていることが好ましい。これによりプロセスを短縮でき、手間や製作時間、投資、消耗品の削減といった効果を有する。
【0030】
第1集水管12の第2端部13bの態様は、第1端部13aと同様の態様であり、管状支柱18と接続するための管状の突起29を備えており、好ましい態様も同じである。
【0031】
第2集水管14の態様は、第1集水管12と同様の態様が挙げられ、好ましい態様も同じである。中空糸膜シート状物10の第2開口端部10bは、第2集水管14のスリット状の開口部に差し込まれ、各々の中空糸膜11の端面が開口した状態でポッティング部によって固定される。また、第2集水管14の第1端部15a及び第2端部15bには、それぞれ管状支柱16及び管状支柱18と接続するための管状の突起29が備えられている。
【0032】
図4及び図8に示すように、第1集水管12の第1端部13aには、管状の突起部24bが配設されている。突起部24bは、管状支柱16と接続するための部分である。突起部24bの内部は筒状部24aの内部と連通している。突起部24bの形状は、特に限定されず、例えば、四角筒状、円筒状等が挙げられる。
【0033】
突起部24bの高さは、5~30mmが好ましく、10~20mmがより好ましい。突起部24bの高さが前記範囲の下限値以上であれば、突起部24bと管状支柱16との接続強度を高くしやすい。突起部24bの高さが前記範囲の上限値以下であれば、成形加工性がより優れる。
また、突起部24bの高さは周壁部24cの高さの50%以下が好ましい。突起部24bの高さが周壁部24cの高さの50%以下であれば、集水管及び突起部の成形性が優れている。
【0034】
第1集水管12の第2端部13bにも、第1端部13aと同様に、管状支柱18と接続するための管状の突起部が配設されている。
【0035】
第2集水管14の第1端部15a及び第2端部15bにも、第1集水管12の第1端部13a及び第2端部13bと同様に、管状支柱16(18)と接続するための管状の突起が配設されている。
突起部があることで、管状支柱と突起の接着面積が大きくなり、接着強度が向上する点で好ましい。
【0036】
第1集水管12の第1端部13aの突起29は、突起部24bと管状スリーブ26とから構成されている。突起部24bに管状スリーブ26が取り付けられた状態で、管状支柱16の第1端部17a内に挿入されている。これにより、管状支柱16の第1端部17aと第1集水管12の第1端部13aとが接続されている。管状支柱16の内部と第1集水管12の内部の集水部20eとは、突起29の内部を介して連通している。
【0037】
同様に、第1集水管12の第2端部13bの突起は、突起部に管状スリーブを取り付けた状態で、管状支柱18の第1端部19a内に挿入されている。管状支柱18の内部と第1集水管12の内部の集水部20eとは、突起の内部を介して連通している。管状支柱18の第1端部19aと第1集水管12の第2端部13bとが接続されている。
【0038】
第2集水管14の第1端部15aの突起は、突起部に管状スリーブを取り付けた状態で管状支柱16の第2端部17b内に挿入されている。管状支柱16の内部と第2集水管14の内部の集水部20fとが突起の内部を介して連通している。管状支柱16の第2端部17bと第2集水管14の第1端部15aとが接続されている。
【0039】
第2集水管14の第2端部15bの突起は、突起部に管状スリーブを取り付けた状態で管状支柱18の第2端部19b内に挿入されている。管状支柱18の内部と第2集水管14の内部の集水部20fとが突起の内部を介して連通している。管状支柱18の第2端部19bと第2集水管14の第2端部15bとが接続されている。
【0040】
突起は第1集水管、第2集水管に設けられた開孔部に接続された管状スリーブから構成されていてもよい。
突起が管状スリーブから構成されている場合、管状スリーブを集水管に接着する接着剤を塗布する際、集水管の水平面に接着剤を塗布できるため作業性が良い点で好ましい。
また、突起が管状スリーブから構成されている場合、突起の高さよりも管状スリーブの長さが10%以上長いことが好ましい。これは管状スリーブを集水管に固定する接着しろのためである。接着しろがあることで、接着面積が増加し、中空糸膜エレメントの強度が上がり、管状スリーブの位置決めが容易になる。
【0041】
第1集水管12、第2集水管14及び管状支柱16(18)の少なくとも1つには、処理水を取り出すための取出し口が形成される。取出し口は、第1集水管12及び第2集水管14の少なくとも一方の端面に形成されることが好ましい。この例の第1集水管12の第1端部13a側の端面においては、筒状部24aの開口24dが蓋部材25によって閉じられている。集水管の端面の開口は、蓋部材で閉じずに、処理水を取り出す取出し口とすることもできる。
【0042】
集水管の材質としては、優れた機械的強度及び耐久性を有するものが好ましい。例えば、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリオレフィン、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル樹脂、ABS樹脂、変成PPE(ポリフェニレンエーテル)等が挙げられる。集水管の材質は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0043】
管状支柱の形態としては、特に限定されず、例えば、四角筒状、円筒状等が挙げられる。
管状支柱の材質としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼(SUS)、等が挙げられる。
【0044】
前記ポッティング部を形成するためのポッティング材としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン系充填材及び各種ホットメルト樹脂等の樹脂、並びにポルトランドセメント及び混合セメント等の水硬性セメントが挙げられる。ポッティング材は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0045】
以下、図4及び図8に示すように、第1集水管12の第1端部13aに配設された突起29が、突起部24bに管状スリーブ26が取り付けられた状態であり、突起29が管状支柱16の第1端部17a内に挿入されている挿入部分28についてさらに詳しく説明する。
【0046】
なお、第1集水管12の第2端部13bに配設された突起は、突起部に管状スリーブが取り付けられた状態である。第2集水管14の第1端部15aに配設された突起は、突起部に管状スリーブが取り付けられた状態である。第2集水管14の第2端部15bに配設された突起は、突起部に管状スリーブが取り付けられた状態である。管状支柱18の第1端部19a内に突起が挿入されている挿入部分、管状支柱18の第2端部19bに突起が挿入されている挿入部分、及び、管状支柱18の第2端部19bに突起が挿入されている挿入部分は、以下に説明する挿入部分28と同様の態様であり、好ましい態様も同じである。
【0047】
管状スリーブ26の形状は、特に限定されず、例えば、四角筒状、円筒状等が挙げられる。この例では、管状スリーブ26の突起部24b側の一部が突起部24bの内側に挿入されることで、突起部24bに取り付けられるようになっている。
管状スリーブ26の長さは10mm以上であることが好ましい。管状スリーブ26の長さが10mm以上であれば、中空糸膜エレメント作製時に、管状スリーブ26を把持しやすくなり、管状スリーブ26を扱いやすくなる。
突起29を構成する、管状スリーブ26と突起部24bの長さの比率は、通常1:0.1~1:10、好ましくは1:0.2~1:5、より好ましくは1:0.5~1:2である。管状スリーブ26に対する突起部24bの長さが前記範囲内であることで、管状スリーブ26の設置による効果が得やすく、また、横方向の力に対して突起29の強度が担保されやすい。
【0048】
管状スリーブ26における突起部24bに挿入される部分の軸方向に垂直な断面形状は、突起部24b内に挿入される範囲であれば特に限定されない。例えば四角筒状であってもよく、円筒状であってもよい。四角筒状の突起部24b内に円筒状の管状スリーブ26の突起部24b側の一部が挿入される態様でもよい。また、円筒状の突起部24b内に四角筒状の管状スリーブ26の突起部24b側の一部が挿入される態様でもよい。
【0049】
本発明では、突起部高さの位置を正確に決めることができる点と、接着材を塗布後に支持することなく静置できる点から、この例のように管状スリーブ26の突起部24b側の一部を突起部24bに挿入して取り付けることが好ましい。
突起部24bの内側に挿入される管状スリーブの長さは、0~20mmが好ましい。また、突起部24bの内側に挿入される管状スリーブ26の長さは、管状スリーブ26の全長に対して10~50%が好ましい。
突起部24bの内側に挿入される管状スリーブ26の長さがこの範囲にあると、作業性が向上する。また、突起部24bと管状スリーブ26の接着面積が広くなり、強度を向上することができる。
【0050】
管状スリーブ26の外面には、管状スリーブ26の突起部24bに挿入されない部分が突起部24bに挿入される部分よりも張り出した段差27が形成されている。挿入部分より、管状スリーブの外側に向かって張り出している段差の高さは、管状スリーブの挿入部分の外壁より、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは1mm以上である。一方、通常5mm以下で、より好ましくは3mm以下である。これにより管状スリーブの挿入される長さを決定できる。このような段差27を形成することにより、管状スリーブ26を突起部24bに取り付けた状態において、管状スリーブ26の突起部24bに挿入される部分の長さを調節することができる。
【0051】
管状スリーブ26における突起部24bに挿入される部分の長さLは、5~30mmが好ましく、10~20mmがより好ましい。長さLが前記範囲の下限値以上であれば、突起部24bと管状スリーブ26との接続強度を高くしやすい。長さLが前記範囲の上限値以下であれば、管状スリーブの成形が容易である。
【0052】
突起部24bと管状スリーブ26とは、嵌合構造を形成してもよい。これらが嵌合構造を形成することで、突起部24bと管状スリーブ26の接続強度がより高くなる。
【0053】
本実施形態では、突起部24bと接続されている管状スリーブ26の集水部20eと反対側の先端が、突起部24bの先端よりも集水部20eと反対側に突き出ている。このように、突起部24bに管状スリーブ26を取り付けてその部分の高さをより高くすることができる。これにより、突起部24b及び管状スリーブ26の周囲にポッティング材30を注入する際に、管状スリーブ26を取り付けない場合よりもポッティング材30の注入量を多くすることができる。管状支柱16を接続する前に、第1集水管12の集水部にポッティング材30が入り込まない。そのため、挿入部分28を水密に封じるためのポッティング材30の注入及び硬化の回数を減らすことができる。
【0054】
突起部24bに管状スリーブ26が取り付けられた突起29に、管状支柱16を差し込んだ状態における、突起29の高さDは、管状支柱16の下端から管状スリーブ26の先端までの高さDである。突起29の高さDは、周壁部24cの最も低い部分の高さEの40%以上である。
突起29の高さDは、例えば、20~60mmが好ましく、30~50mmがより好ましい。突起29の高さDが周壁部24cの最も低い部分の高さEの40%以上であれば、ポッティング材30の注入及び硬化の回数を低減でき、また、突起部24bと管状支柱16との接続強度を高くしやすい。成形品である集水管や管状スリーブの成形の容易性の点からは、高さDが高すぎないことが好ましい。
【0055】
管状スリーブの材質としては、優れた機械的強度及び耐久性を有するものが好ましい。例えば、SUS304、SUS316L等の金属や、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリオレフィン、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル樹脂、ABS樹脂、変成PPE(ポリフェニレンエーテル)等が挙げられる。管状スリーブの材質は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0056】
第1集水管12の第1端部13aの周壁部24cの内側における管状支柱16の第1端部17aの周囲にはポッティング材30が充填されている。これにより、第1集水管12と管状支柱16とは、水密に封じられた状態で固定されることが好ましい。管状支柱16の第1端部17a内に突起部24b及び管状スリーブ26が挿入された挿入部分28は、その内部と外部とが隔離されるように、ポッティング材30で水密に封じられた状態で固定されることが好ましい。
集水管12と管状支柱16とが、水密に封じられた状態で固定されていると、集水管と管状支柱の接着強度が向上し、中空糸膜エレメントの構造強度が高まる。また、バックウォッシュ時の中空糸膜エレメントの寿命が向上する。
水密に封じる方法として、ポッティング、Oリング等のシール材の配置が好ましい。
【0057】
挿入部分28においては、管状支柱16と管状スリーブ26との隙間がポッティング材30で水密に封じられていることが好ましい。すなわち、挿入部分28の外側がポッティング材30で封止されるだけでなく、挿入部分28における管状支柱16と管状スリーブ26との隙間もポッティング材30で埋められていることが好ましい。これにより、挿入部分28においての管状支柱16とポッティング材30との密着性が向上し、中空糸膜エレメント1の機械的強度が向上する。
同様に、挿入部分28における管状支柱16と突起部24bとの隙間もポッティング材30で水密に封じられていることが好ましい。
【0058】
管状支柱と突起の隙間のポッティング剤の長さは突起の高さの60%以上が好ましく、より好ましくは80%以上である。ポッティング材の長さとは、管状支柱と突起との接着されている部分の長さを表す。ポッティング材の長さがこの範囲にあることで、集水管と管状支柱の接着構造強度が向上し、中空糸膜エレメントの構造強度が高まる。また、バックウォッシュ時の中空糸膜エレメントの寿命が向上する。
【0059】
第1集水管12及び第2集水管14と管状支柱16(18)とを固定するためのポッティング材30としては、例えば、硬質樹脂若しくは軟質樹脂等の樹脂、又はポルトランドセメント若しくは混合セメント等の水硬性セメントを使用できる。ポッティング材30としては、管状支柱との接着力がより高く、水密性に優れる点から、JIS C 2105:2006に準拠して測定されるショアA硬度が80以上の硬質樹脂が好ましい。ポッティング材30を硬質樹脂とする場合、ポッティング材30の部分が破損しにくい点から、ショアA硬度は99以下が好ましい。なお、ポッティング材30として、ショアA硬度が80未満の軟質樹脂を用いてもよい。
【0060】
前記硬質樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン系充填材、各種ホットメルト樹脂が挙げられる。
前記軟質樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、シリコーン系充填材、各種ホットメルト樹脂が挙げられる。
【0061】
突起29は、先端に向かうにしたがって細くなっていることが好ましい。これにより、管状支柱16を差し込みやすくなる。また、突起29の周囲に注入されたポッティング材30が管状支柱16を差し込む際に剥ぎ取られることを抑制しやすい。
【0062】
また、突起部24bは、先端に向かうにしたがって細くなっていることが好ましい。これにより、管状支柱16を差し込みやすくなる。また、突起部24bの周囲に注入されたポッティング材30が管状支柱16を差し込む際に剥ぎ取られることを抑制しやすい。また、第1集水管12を射出成形によって製造する際の脱型が容易になる。管状スリーブ26の突起部24bに挿入されていない部分も同様の理由で、先端に向かうにしたがって細くなっていることが好ましい。
【0063】
突起、突起部、管状スリーブが先端に向かって細くなっていく角度は、それぞれ1°以上が好ましく、2°以上がより好ましい。この角度の範囲にあることで管状支柱を差し込み易く、かつ完全に挿入した際には一部を嵌合構造とすることで管状支柱の固定位置を決めることができる。
突起、突起部、管状スリーブが先端に向かって細くなっていく角度は、それぞれ60°以下が好ましく、45°以下がより好ましい。角度がこの範囲にあると、管状スリーブの高さを確保できる。また、管状支柱と管状スリーブ間の摩擦よりも、管状支柱が管状スリーブと接している部分から動こうとする力のほうが大きくなる。これにより、管状支柱を管状スリーブにスムーズに挿入できる。また、角度が上限値以下だと、集水管の出口の広さを十分に確保することができ、水が通過する際の圧力損失を低くでき、水が通りやすくなる。また、管状スリーブが先端に向かって細くなっていく角度は、一定でなくてもよい。角度が一定でない場合、角度とは平均の角度である。
ここで突起、突起部、管状スリーブが先端に向かって細くなっていく角度とは、突起、突起部、管状スリーブの、孔の長さ方向の中心軸と平行な方向を0°としたとき、突起、突起部、管状スリーブの外周の、孔の長さ方向の中心軸と平行な方向を基準とした角度を示す。
【0064】
突起の集水管側の根元の太さが、管状支柱の内径より太い、又は、同じであると、突起と管状支柱の内側が密着する。これにより中空糸膜エレメント強度が向上する点で好ましい。
突起の集水管側の根本の太さが、管状支柱の内径より細いと、突起を管状支柱に挿入しやすくなり、作業性の観点から好ましい。また、集水管に管状支柱の端面が当接し、管状支柱の根本から反対側の集水管までの高さが一定となる。このため、中空糸膜エレメントの組み立て精度を担保しやすい点で好ましい。
【0065】
管状支柱16の第1端部17aの外面は、ブラスト処理されていることが好ましい。本発明では、管状支柱16及び管状支柱18の端部の外面はブラスト処理されていることが好ましい。管状支柱16及び管状支柱18の端部の外面は、それらの端部内に突起部及び管状スリーブが挿入された挿入部分を水密に封じつつ固定するポッティング材と接触する。管状支柱16(18)の端部の外面がブラスト処理されていることにより、管状支柱とポッティング材との密着性が向上し、中空糸膜エレメントの強度が向上する。
ブラスト処理を行う管状支柱の面積は、ポッティング材で固定されている管状支柱の面積のうち、70%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。ブラスト処理を行う管状支柱の面積は、通常、120%以下であり、100%以下がより好ましい。これにより、接着強度向上効果を十分に発現することができる。
ブラスト処理の方法は、特に限定されない。
【0066】
また、この例では、第1集水管12の周壁部24cの内側における、突起部24b及び管状スリーブ26が挿入されている管状支柱16の第1端部17aの長手方向の両側に、ブロック32,34が設けられている。
ブロック32,34は、周壁部24cの内側に充填されているポッティング材30に埋没した状態で設けられている。
本発明では、このように、第1集水管及び第2集水管の両端部において突起部の周囲が周壁部で囲われていることが好ましい。さらに、周壁部の内側における、突起部及び管状スリーブが挿入されている管状支柱16(18)の端部の長手方向の両側に、ブロックが設けられていることが好ましい。これにより、管状支柱に負荷がかかった場合でも、管状支柱が倒れて破損することが抑制される。
【0067】
ブロックの形態としては、特に限定されず、例えば、筒状体、柱状体等が挙げられる。
ブロックの材質としては、特に限定されず、例えば、集水管の材質として挙げたものと同じものが挙げられる。
ブロックと同等の機能を有するように集水管の一部を直方体にしたものを一体成型加工により形成してもよい。
【0068】
中空糸膜エレメント1においては、保護層33が、第1集水管12の第1端部13a及び第2端部13bにおける突起部を囲う周壁部の内側に充填されたポッティング材硬化物上を覆うように設けてもよい。保護層33が、中空糸膜シート状物の第1開口端部を固定するポッティング部上を覆うように設けてもよい。
保護層33は、軟質樹脂からなる層である。保護層33に用いる軟質樹脂としては、例えば、ポッティング材30で挙げた軟質樹脂と同じものが挙げられる。軟質樹脂からなる柔軟な保護層33を設けることで、中空糸膜シート状物10の樹脂に埋没している部分と埋没していない部分との境界で中空糸膜11が破損することを抑制しやすい。また、軟質樹脂からなる柔軟な保護層33を設けることで、管状支柱16(18)の周囲を封じるポッティング材に割れが生じることを抑制しやすい。
【0069】
第1集水管12に、中空糸膜シート状物10の第1開口端部10aを通じて第1集水管12の集水部20eへと流れ込んだ処理水の管状支柱16への流れを遮る第1閉鎖部36が設けられていることが好ましい。
第2集水管14に、中空糸膜シート状物10の第2開口端部10bを通じて第2集水管14の集水部20fへと流れ込んだ処理水の管状支柱18への流れを遮る第2閉鎖部38が設けられていることが好ましい。
第1閉鎖部36及び第2閉鎖部38により、中空糸膜シート状物10における処理に利用される部分が偏ることを抑制でき、中空糸膜シート状物10を全体的に効率良く処理に利用することができる。
【0070】
例えば、この例では、第1集水管12の長手方向における中空糸膜シート状物10の第1開口端部10aよりも第1端部13a側に第一閉鎖部36が設けられている。また、第2集水管14の長手方向における中空糸膜シート状物10の第2開口端部10bよりも第2端部15b側に、第2閉鎖部38が設けられている。そして第2集水管14の第1端部15aと第2端部15bの端面には、処理水を取り出す取出し口40a,40bが形成されている。
第1閉鎖部、第2閉鎖部はいずれか一方のみ設けられていても、両方設けられていてもよい。
【0071】
第1閉鎖部36は、中空糸膜シート状物10の第1開口端部10aを通じて集水部20eへと流れ込んだ処理水の管状支柱16への流れを遮る部分である。第2閉鎖部38は、中空糸膜シート状物10の第2開口端部10bを通じて集水部20fへと流れ込んだ処理水の管状支柱18への流れを遮る部分である。
第1閉鎖部36及び第2閉鎖部38の形態は、処理水の流れを遮ることができる範囲であれば特に制限されない。
【0072】
このような態様では、図2に示すように、中空糸膜シート状物10の各中空糸膜11の下側部分から、処理水が第1集水管12の集水部20eに集められる。処理水は、管状支柱18を通じて上側の第2集水管14の第2端部15bへと送られる。処理水は、取出し口40bから取り出される。また、処理水は、中空糸膜シート状物10の各中空糸膜11の上側部分から第2集水管14の集水部20fに集められる。処理水は、第2集水管14の第1端部15aへと送られる。処理水は、取出し口40aから取り出される。これにより、中空糸膜シート状物10を全体的に効率良く処理に利用することができる。
【0073】
なお、本発明の中空糸膜エレメントは、前記した中空糸膜エレメント1には限定されない。
例えば、突起部の先端側部分が管状スリーブ内に挿入されて、管状スリーブが突起部に取り付けられるようにしてもよい。また、取出し口の数及び位置は、前記した数及び位置には限定されず、適宜設定することができる。
中空糸膜エレメントは、中空糸膜シート状物の各中空糸膜の長さ方向が水平方向となるように配置された状態で使用されるものであってもよい。
本発明においては、管状スリーブ以外の集水管、管状支柱、中空糸膜等の部材は既存のものを使用することができる。例えば、管状支柱と接続するための管状の突起部が端部に設けられた集水管の前記突起部に合わせて管状スリーブを製造し、それらを組み合わせて本発明の中空糸膜エレメントとしてもよい。
【0074】
また、本発明の中空糸膜エレメントにおける、第1集水管12の第1端部13aに配設された突起29の別の態様は、図5に示すように、突起29が、管状スリーブを含まず、突起部24bからなるものである。第1集水管12の第2端部13b、第2集水管14の第1端部15a及び第2端部15bに配設された突起も同様のものとすることができる。
【0075】
また、本発明の中空糸膜エレメントにおける、第1集水管12の第1端部13aに配設された突起29のさらに別の態様は、図6に示すように、突起29が、突起部を含まず、管状スリーブ26からなるものである。第1集水管12の第2端部13b、第2集水管14の第1端部15a及び第2端部15bに配設された突起も同様のものとすることができる。
【0076】
[中空糸膜エレメントの製造方法]
本発明の中空糸膜エレメントの製造方法は、前記した本発明の中空糸膜エレメントを製造する方法である。以下、本発明の中空糸膜エレメントの製造方法の一例として、前記した中空糸膜エレメント1の製造方法について説明する。
【0077】
中空糸膜エレメント1の製造方法としては、以下の工程(a)~(c)を有する方法が挙げられる。
工程(a):第1集水管12の第1端部13a及び第2端部13bの突起に、それぞれ、管状支柱16及び管状支柱18を接続する。
工程(b):第2集水管14の第1端部15a及び第2端部15bの突起に、それぞれ、管状支柱16及び管状支柱18を接続する。
工程(c):第1集水管12に中空糸膜シート状物10の第1開口端部10aを差し込んでポッティング材で固定し、第2集水管14に中空糸膜シート状物10の第2開口端部10bを差し込んでポッティング材で固定する。
【0078】
(工程(a))
第1集水管12の第1端部13aに設けられた突起部24bに管状スリーブ26の一部を挿入して取り付け、突起29を設ける。次いで、第1集水管12の突起29が設けられた側を上にして、周壁部24cの内側の突起29の周囲にポッティング材30を注入する。ポッティング材30の注入量は、突起29の先端の開口からポッティング材30が侵入しない範囲で、ポッティング材30の表面が突起29の先端にできるだけ近くなるように調節する。
【0079】
次いで、管状支柱16の第1端部17a内に突起29が挿入されるように、管状支柱16の第1端部17aを第1集水管12の第1端部13aに差し込む。ポッティング材30を注入する。その後、ポッティング材30を硬化させる前に突起29の部分に管状支柱16を差し込む。これにより、挿入部分28における突起29と管状支柱16の間にもポッティング材30が入り込む。その結果、突起29と管状支柱16の隙間がポッティング材30で埋められて水密に封じられる。
【0080】
周壁部24c内の第1集水管12の長手方向における管状支柱16の両側にブロック32,34を設置する。その後、ポッティング材30を硬化する。第1集水管12の第1端部13aと管状支柱16の第1端部17aとを接続する。管状支柱16の第1端部17a内に突起29が挿入された挿入部分28をポッティング材30で水密に封じた状態で固定する。
【0081】
第1集水管12の第2端部13bにおいても第1端部13aと同様に、突起の周囲にポッティング材を注入する。管状支柱18の第1端部19aを差し込み、ブロックを配置してポッティング材を硬化させる。管状支柱18の第1端部19a内に突起が挿入された挿入部分をポッティング材で水密に封じた状態で固定する。
【0082】
(工程(b))
第2集水管14の第1端部15a及び第2端部15bのそれぞれにおいて、第1集水管12の場合と同様に、突起の周囲にポッティング材を注入する。次いで、第1集水管12と接続した管状支柱16及び管状支柱18の上下を反転した状態で、第2集水管14の第1端部15aに管状支柱16の第2端部17bを上から差し込む。さらに、第2集水管14の第2端部15bに管状支柱18の第2端部19bを上から差し込む。その後、ブロックを配置してポッティング材を硬化させる。管状支柱16の第2端部17b及び管状支柱18の第2端部19bと第2集水管14の第1端部15a及び第2端部15bとを、接続する。この際、管状支柱内に突起が挿入された挿入部分をポッティング材で水密に封じた状態で固定する。
【0083】
(工程(c))
中空糸膜シート状物10は、例えば、複数の中空糸膜11をシート状に束ね、必要に応じてそれらの両方の開口端部寄りの部分を帯状の結束部材で結束することで形成できる。
第1集水管12を下にし、第1集水管12のスリット状の開口部20dに中空糸膜シート状物10の第1開口端部10aを差し込み、各中空糸膜11の端面が開口した状態でポッティング材により固定する。次いで、上下を反転させて第2集水管14を下にし、第2集水管14のスリット状の開口部に中空糸膜シート状物10の第2開口端部10bを差し込み、各中空糸膜11の端面が開口した状態でポッティング材により固定する。
【0084】
以上説明したように、本発明においては、集水管の両端部に配設された管状の突起に管状スリーブを取り付けた状態で管状支柱の端部内に挿入し、その挿入部分をポッティング材で水密に封じた状態で固定して、集水管の端部と管状支柱の端部とを接続する。突起の高さを周壁部の最も低い部分の高さの40%以上としたことにより、管状支柱の端部内に突起が挿入されている挿入部分を水密に封じつつ固定するためのポッティング材の注入及び硬化の回数を低減できる。そのため、作業がより簡便で製造効率が高く、硬化時間がより短く生産性に優れる。
また、突起の高さを周壁部の最も低い部分の高さの40%未満である場合に比べ、突起と管状支柱とのポッティング材による接着面積を広くすることができるため、それらの接続強度をより高くすることができる。
【実施例
【0085】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
なお、例1~3は実施例に相当し、例4は比較例に相当する。
【0086】
[接着強度]
各例の挿入部分における突起部及び管状スリーブと管状支柱の端部との接着強度(耐荷重)は、中空糸膜エレメントの引き揚げ破壊試験により測定した。
引き揚げ試験は以下の方法で行った。
管状支柱が水平方向、集水管が鉛直方向となるように、管状支柱16を下側、管状支柱18を上側にして中空糸膜エレメントを立て、管状支柱16が持ち上がらないようにその長手方向の中央部を水平面に固定した。また、上側の管状支柱18の長手方向の中央部と、天井から吊るしたホイストクレーンとを、バネ秤を介して接続した。ホイストクレーンによって中空糸膜エレメントに対して上方に向かう荷重をかけた。最大荷重100kgまで10kg毎を目安に荷重を上げていきながら、管状支柱16とポッティング材との接着部分を目視で観察し、破壊が発生する荷重を接着強度として記録した。
【0087】
[例1]
ABS樹脂を用いて、図4図8に例示した第1集水管12と管状スリーブ26を射出成形によって製造した。第1集水管12の第1端部13aにおいて、突起部24bに管状スリーブ26の一部を挿入して取り付け、突起29を設けた。突起29の高さは、周壁部24cの最も低い部分の高さの87.5%であった。突起29の周囲にポッティング材30として、集水部内にポッティング材が入り込まないよう注意しながらショアA硬度90のウレタン樹脂を規定量注入した。SUS製の管状支柱16の第1端部17aを第1集水管12の第1端部13aの突起29に差し込み、突起29を管状支柱16の第1端部17a内に挿入した。第1集水管12の周壁部24cの内側における管状支柱16の第1端部17aの長手方向の両側に、ABS樹脂製のブロック32,34をそれぞれポッティング材30に埋没するように設置した。管状スリーブの端部の高さまで注入されたポッティング材30を硬化させて、突起29が管状支柱16の第1端部17a内に挿入されている挿入部分28をポッティング材30で水密に封じた状態で固定し、管状支柱16と第1集水管12とを接続した。管状支柱16の第1端部17aの外面には、第1集水管12と接続する前にブラスト処理を行った。
ウレタン樹脂の注入回数及び硬化の回数は1回であり、作業効率が高く、生産性に優れた中空糸膜エレメントが得られた。
接着強度を中空糸膜エレメントの引き揚げ破壊試験で測定した。ホイストクレーンにかけた荷重を100kgとなるまで吊り上げたが、破壊は観察されなかった。挿入部分28におけるウレタン樹脂と管状支柱16との間の接着強度は、100kg以上であった。
【0088】
[例2]
管状支柱16の外面におけるポッティング材30と接触する部分にブラスト処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして管状支柱16と第1集水管12とを、突起29を連通した状態で接続し、ウレタン樹脂を硬化させた。
ウレタン樹脂の注入回数、及び硬化回数は1回であった。
接着強度を中空糸膜エレメントの引き揚げ破壊試験で測定した。ホイストクレーンにかけた荷重を100kgとなるまで吊り上げたが、破壊は観察されなかった。挿入部分28における突起部24b及び管状スリーブ26と管状支柱16との接着強度は、100kg以上であった。
【0089】
[例3]
ABS樹脂を用いて、図4図8に例示した第1集水管12を射出成形によって製造した。突起部24bの高さは、周壁部24cの最も低い部分の高さの37.5%であった。第1集水管12の第1端部13aにおいて、その周囲にショアA硬度65のウレタン樹脂を、集水部20eに入りこまない様、規定量注入した。ウレタン樹脂注入後、SUS製の管状支柱16の第1端部17aを第1集水管12の第1端部13aの突起部24bの部分に差し込み、突起部24bを管状支柱16の第1端部17a内に挿入した。第1集水管12の周壁部24cの内側における管状支柱16の第1端部17aの長手方向の両側に、ABS樹脂製のブロック32,34をそれぞれ設置した。ブロック設置後にショアA硬度90のポッティング材30をブロックがポッティング材に埋没する様、規定量注入した。突起部の高さまで注入されたポッティング材30を硬化させて、突起部24bが管状支柱16の第1端部17a内に挿入されている挿入部分28をポッティング材30で水密に封じた状態で固定し、管状支柱16と第1集水管12とを接続した。管状支柱16の第1端部17aの外面には、第1集水管12と接続する前にブラスト処理を行った。
接着強度を中空糸膜エレメントの引き揚げ破壊試験で測定した。ホイストクレーンにかけた荷重が78kgで破壊が観察された。挿入部分28における突起部24b及び管状スリーブ26と管状支柱16との接着強度は、78kgだった。
管状スリーブを用いていないため、ウレタン樹脂の注入回数、及び硬化回数が二回であり、作業に手間がかかり生産効率は悪かったものの、ブラスト処理によって強度の高い中空糸膜エレメントが得られた。
【0090】
[例4]
ABS樹脂を用いて、図4図5に例示した第1集水管12を射出成形によって製造した。突起部24bの高さは、周壁部24cの最も低い部分の高さの37.5%であった。第1集水管12の第1端部13aにおいて、その周囲にショアA硬度65のウレタン樹脂を、集水部20eに入りこまない様、規定量注入した。ウレタン樹脂注入後、SUS製の管状支柱16の第1端部17aを第1集水管12の第1端部13aの突起部24bの部分に差し込み、突起部24bを管状支柱16の第1端部17a内に挿入した。第1集水管12の周壁部24cの内側における管状支柱16の第1端部17aの長手方向の両側に、ABS樹脂製のブロック32,34をそれぞれ設置した。ブロック設置後にショアA硬度90のポッティング材30をブロックが樹脂に埋没する様、規定量注入した。ポッティング材30を硬化させて、突起部24bが管状支柱16の第1端部17a内に挿入されている挿入部分をポッティング材30で水密に封じた状態で固定し、管状支柱16と第1集水管12とを接続した。管状支柱16の第1端部17aの外面には、ブラスト処理を行なわなかった。
ウレタン樹脂の注入回数、及び硬化回数は二回で、作業の手間がかかり生産効率が悪かった。
接着強度を中空糸膜エレメントの引き揚げ破壊試験で測定したところ、挿入部分における突起部24bと管状支柱16との接着強度は、51kgであった。
【符号の説明】
【0091】
1…中空糸膜エレメント、10…中空糸膜シート状物、10a…第1開口端部、10b…第2開口端部、11…中空糸膜、12…第1集水管、13a…第1端部、13b…第2端部、14…第2集水管、15a…第1端部、15b…第2端部、16,18…管状支柱、17a…第1端部、17b…第2端部、19a…第1端部、19b…第2端部、20a,20b…側壁部、20c…底部、20d…開口部、20e,20f…集水部、22a…ポッティング部、24a…筒状部、24b…突起部、24c…周壁部、24d…開口、25…蓋部材、26…管状スリーブ、27…段差、28…挿入部分、29…突起、30…ポッティング材、32,34…ブロック、33…保護層、36…第1閉鎖部、38…第2閉鎖部、40a,40b…取出し口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8