(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】チーズの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23C 19/068 20060101AFI20230613BHJP
A01J 25/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A23C19/068
A01J25/00
(21)【出願番号】P 2018143731
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006138
【氏名又は名称】株式会社明治
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 公実子
(72)【発明者】
【氏名】松永 典明
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/039632(WO,A1)
【文献】特開2014-166166(JP,A)
【文献】特開2015-053871(JP,A)
【文献】カマンベールチーズの作り方[online], 2014.12, [Retrieved on 2022.05.13],Retreived from the Internet:,https://web.archive.org/web/20041212001955/http://ww9.tiki.ne.jp/~scheine-12/cheese-make.htm
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C 19/068
A01J 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホエイを排出したチーズカードについて一次熟成を行う工程と、
前記一次熟成終了後、前記一次熟成とは異なる熟成条件で二次熟成を行う工程と、を有するカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法において、
前記一次熟成の間に、前記チーズカードの表面の色彩値を、CIE規格に準拠したL
*a
*b
*表色系において定義されるL
*a
*b
*によって測定し、前記b
*が4.5~10の範囲を示した時点が、前記一次熟成の終了時点であると判定することを特徴とするカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
【請求項2】
ホエイを排出したチーズカードについて一次熟成を行う工程と、
前記一次熟成終了後、前記一次熟成とは異なる熟成条件で二次熟成を行う工程と、を有するカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法において、
前記一次熟成の間に、前記チーズカードの表面の色彩値を、CIE規格に準拠したL
*a
*b
*表色系において定義されるL
*a
*b
*によって測定し、前記a
*が-0.5~2および前記b
*が4.5~10の範囲を示した時点が、前記一次熟成の終了時点であると判定することを特徴とするカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
【請求項3】
前記a
*が0~1.6および前記b
*が5.5~8の範囲を示した時点が、前記一次熟成の終了時点であることを特徴とする請求項1または2に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
【請求項4】
前記一次熟成中の異なる2つ以上の時点において、前記チーズカードの表面の色彩値を測定し、前記一次熟成の時間と前記色彩値との関係を示す関数を求め、前記関数に基づいて前記チーズカードの熟成度の進行具合を予測することにより、前記一次熟成の終了時点を予測または決定することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
【請求項5】
前記二次熟成の間に、前記チーズカードの表面の色彩値を測定し、前記色彩値の測定結果に基づいて前記チーズカードの熟成度を判定する請求項1~4のいずれか1項に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
【請求項6】
前記二次熟成の間に、前記チーズカードの熟成度を判定することによって、前記二次熟成の終了時点を決定することを特徴とする、請求項5に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
【請求項7】
前記二次熟成の間に測定したチーズカードの表面の色彩値が、CIE規格に準拠したL
*a
*b
*表色系において定義されるL
*a
*b
*によって示されることを特徴とする、請求項5または6に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
【請求項8】
前記a
*が-0.5~2および前記b
*が4.5~10の範囲を示した時点が、前記二次熟成の終了時点であることを特徴とする請求項7に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
【請求項9】
ホエイを排出したチーズカードについて一次熟成を行う工程と、
前記一次熟成終了後、前記一次熟成とは異なる熟成条件で二次熟成を行う工程と、を経てカビによる表面熟成軟質チーズを製造するに際し、
前記一次熟成の間に、前記チーズカードの表面の色彩値を、CIE規格に準拠したL
*a
*b
*表色系において定義されるL
*a
*b
*によって測定し、前記b
*が4.5~10の範囲を示した時点が、前記一次熟成の終了時点であると判定することを特徴とするカビによる表面熟成軟質チーズの熟成度の判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カビによる表面熟成軟質チーズの製造方法に関する。詳細には、色彩値で熟成度を判定する工程を含む、カビによる表面熟成軟質チーズの製造方法、その製造方法により得られるチーズ、及びチーズ群、ないしカビによる表面熟成軟質チーズの熟成度の判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本の市場において、ナチュラルチーズが定着しつつある。ナチュラルチーズには、熟成の程度により、乳成分の熟成の風味を楽しめる、いわゆる熟成型ナチュラルチーズ、および新鮮な乳風味を味わえる、いわゆる非熟成型ナチュラルチーズに分類することができる。また、ナチュラルチーズは、その硬さから、特別硬質ナチュラルチーズ、硬質ナチュラルチーズ、半硬質ナチュラルチーズ、軟質ナチュラルチーズに分類することができる。このように、ナチュラルチーズには、熟成の程度(有無)や物性(食感)の違いなどにより、多くの種類が存在する。
【0003】
例えば、熟成型ナチュラルチーズには、チェダー、ゴーダ、エダム、エメンタール、パルメザン、ブルー、カマンベール、ブリー、クロミエ、及びシュプレムなどがある。この熟成型のチーズでは主に、熟成中の酵素反応により風味が形成される。そして、この酵素反応には次のような酵素が関与している。
【0004】
(A-1)生乳に由来する酵素(生乳を殺菌しても残存している耐熱性菌などに由来する酵素)
(A-2)乳酸菌に由来する酵素(ペプチダーゼ、アミノペプチダーゼなど)
(A-3)レンネットに由来する酵素
(A-4)カビなどの乳酸菌以外の微生物に由来する酵素(カビなどを使用したチーズの場合)
【0005】
とくに、カビによる表面熟成軟質チーズの場合には、前記(A-4)のカビなどの微生物に由来する酵素が風味の生成に最も影響することが知られている(特許文献1、2等参照)。
【0006】
一方、カビによる表面熟成軟質チーズは、例えば次の(1)~(5)工程を経て製造することができる。
(1)殺菌冷却された生乳に、乳酸菌、及びレンネット等の凝固剤を加え、チーズカード(凝乳)と呼ばれる豆腐状の固体を得る。
(2)前記チーズカードからホエイ(乳清)を排出させる。
(3)前記ホエイを排出したチーズカードをモールドに投入し成形する。
(4)成形したチーズカードに対し加塩処理及び白カビ菌体の噴霧を行い、特定の温湿度の条件下で一次熟成を行う。
(5)前記一次熟成後、必要に応じて適当なサイズにカットし、必要に応じて包装を行い、一次熟成とは異なる条件下で二次熟成を行う。
前記(1)~(5)工程により、表面に生じたカビにより生成される酵素の作用によって、熟成前には硬かったチーズカードが、その外側から内側に熟成が進行していき、内部が軟らかいチーズとなる。その後は必要に応じてレトルト処理(殺菌処理)を行い、製品としてのカビによる表面熟成軟質チーズが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-221231号公報
【文献】国際公開第2008/047801号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のカビによる表面熟成軟質チーズの製造工程の前記(5)工程において、一次熟成から二次熟成への切り替え、及び二次熟成の終了は、チーズカードの熟成度に応じてそれぞれ決定される。具体的には、チーズカード表面の白カビ菌体の生育具合(例えば菌糸の密度や色合い等)を熟練者が見定めることによって行われる。熟練者であれば、積まれた経験に基づいて白カビ菌体の生育具合からチーズカードの熟成度を的確に判定することができ、一次熟成から二次熟成への切り替えを行い、あるいは二次熟成を終了させることができる。
【0009】
しかし、カビによる表面熟成軟質チーズを多量生産する場合、すべてのチーズカードについて熟練者が熟成度の判定を行うことは、事実上困難である。また、熟練者の育成には多くの時間を要する。
【0010】
したがって本発明の目的は、カビによる表面熟成軟質チーズを製造するにあたり、チーズカードの熟成度を、熟練者の技量に頼ることなく、多量生産の場合であっても、再現性よく、かつ精度良く判定することのできる、カビによる表面熟成軟質チーズの製造方法、その製造方法により得られるチーズ、及びチーズ群、ないしカビによる表面熟成軟質チーズの熟成度の判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、チーズカードの熟成度を、例えば一次熟成の間、あるいは二次熟成の間に、その表面の色彩値を測定することにより、その測定結果に基づいてチーズカードの熟成度を判定できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
【0012】
1.ホエイを排出したチーズカードについて一次熟成を行う工程と、
前記一次熟成終了後、前記一次熟成とは異なる熟成条件で二次熟成を行う工程と、
を有するカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法において、
前記一次熟成及び前記二次熟成の少なくともいずれか一方の間に、前記チーズカードの表面の色彩値を測定し、前記色彩値の測定結果に基づいて前記チーズカードの熟成度を判定する
ことを特徴とするカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
2.前記一次熟成の間に、チーズカードの熟成度を判定することによって、前記一次熟成の終了時点を予測または決定することを特徴とする、前記1に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
3.前記色彩値の測定結果が、CIE規格に準拠したL*a*b*表色系において定義されるL*a*b*によって示されることを特徴とする前記1または2に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
4.前記b*が4.5~10の範囲を示した時点が、前記一次熟成の終了時点であることを特徴とする前記3に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
5.前記a*が-0.5~2および前記b*が4.5~10の範囲を示した時点が、前記一次熟成の終了時点であることを特徴とする前記3に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
6.前記a*が0~1.6および前記b*が5.5~8の範囲を示した時点が、前記一次熟成の終了時点であることを特徴とする前記3に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
7.前記一次熟成中の異なる2つ以上の時点において、前記チーズカードの表面の色彩値を測定し、前記一次熟成の時間と前記色彩値との関係を示す関数を求め、前記関数に基づいて前記チーズカードの熟成度の進行具合を予測することにより、前記一次熟成の終了時点を予測または決定することを特徴とする前記1~6のいずれかに記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
8.前記二次熟成の間に、前記チーズカードの表面の色彩値を測定し、前記色彩値の測定結果に基づいて前記チーズカードの熟成度を判定する前記1~7のいずれかに記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
9.前記二次熟成の間に、前記チーズカードの熟成度を判定することによって、前記二次熟成の終了時点を決定することを特徴とする、前記8に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
10.前記二次熟成の間に測定したチーズカードの表面の色彩値が、CIE規格に準拠したL*a*b*表色系において定義されるL*a*b*によって示されることを特徴とする、前記8または9に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
11.前記b*が4.5~10の範囲を示した時点が、前記二次熟成の終了時点であることを特徴とする前記10に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
12.前記a*が-0.5~2および前記b*が4.5~10の範囲を示した時点が、前記二次熟成の終了時点であることを特徴とする前記10に記載のカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
13.特定範囲の色彩値を表面に有するチーズであって、
前記色彩値が、CIE規格に準拠したL*a*b*表色系において定義されるL*a*b*として、a*が-0.5~2の範囲であり、かつb*が4.5~10の範囲であることを特徴とするチーズ。
14.30個以上のチーズを含むチーズ群であって、
前記チーズ群における個々のチーズのすべてが、特定範囲の色彩値を表面に有し、
前記色彩値が、CIE規格に準拠したL*a*b*表色系において定義されるL*a*b*として、a*が-0.5~2の範囲であり、かつb*が4.5~10の範囲であることを特徴とするチーズ群。
15.ホエイを排出したチーズカードについて一次熟成を行う工程と、
前記一次熟成終了後、前記一次熟成とは異なる熟成条件で二次熟成を行う工程と、
を経てカビによる表面熟成軟質チーズを製造するに際し、
前記一次熟成の間に、前記チーズカードの表面の色彩値を測定し、前記色彩値の測定結果に基づいて前記チーズカードの熟成度を判定する
ことを特徴とするカビによる表面熟成軟質チーズの熟成度の判定方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カビによる表面熟成軟質チーズを製造するに際し、チーズカードの熟成度を、例えば一次熟成の間あるいは二次熟成の間に、その表面の色彩値を測定し、前記色彩値の測定結果に基づいて判定することを特徴としているので、チーズカードの熟成度を、熟練者の技量に頼ることなく、多量生産の場合であっても、再現性よく、かつ精度良く判定することができ、風味等に優れたカビによる表面熟成軟質チーズを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一次熟成日数と色彩値との関係を示すグラフである。
図1(a)は、一次熟成日数3~8日における表1のa
*のそれぞれの値をプロットしたグラフである。
図1(b)は、一次熟成日数3~8日における表1のb
*のそれぞれの値をプロットしたグラフである。
【
図2】
図2は、一次熟成日数3~10日における表1のpHのそれぞれの値をプロットしたグラフである。
【
図3】
図3は、実施例で行ったpH測定の方法を説明するための図であり、(a)はチーズカードの斜視図であり、(b)はA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の表面熟成軟質チーズの製造方法は、ホエイを排出したチーズカードについて一次熟成を行う工程と、前記一次熟成終了後、前記一次熟成とは異なる熟成条件で二次熟成を行う工程と、を有し、前記一次熟成及び前記二次熟成の少なくともいずれか一方の間に、前記チーズカードの表面の色彩値を測定し、前記色彩値の測定結果に基づいて前記チーズカードの熟成度を判定することを特徴としている。
以下、各工程について説明する。
【0016】
本発明の製造方法は、具体的には、例えば次の(A)~(G)工程を、この順で有することができる。
(A)殺菌冷却された生乳に、乳酸菌、及びレンネット等の凝固剤を加え、チーズカード(凝乳)と呼ばれる豆腐状の固体を得る。
(B)前記チーズカードからホエイ(乳清)を排出させる。
(C)前記ホエイを排出したチーズカードをモールドに投入し成形する。
(D)成形したチーズカードに対し、加塩処理及び白カビ菌体の噴霧を行い、特定の温湿度の条件下で一次熟成を行う。
(E)前記一次熟成の間に、前記チーズカードの表面の色彩値を測定し、前記色彩値の測定結果に基づいて前記チーズカードの熟成度を判定する。
(F)前記(E)工程の熟成度の判定結果に基づいて、この時点で一次熟成を終了し、あるいはこの時点で一次熟成の終了時点を予測し、一次熟成終了後は必要に応じて適当なサイズにカットし、必要に応じて包装を行い、一次熟成とは異なる条件下で二次熟成を行う。
(G)前記二次熟成の間に、前記チーズカードの表面の色彩値を測定し、前記色彩値の測定結果に基づいて前記チーズカードの熟成度を判定する。
前記(A)~(G)工程により、表面に生じたカビにより生成される酵素の作用によって、熟成前には硬かったチーズカードが、その外側から内側に熟成が進行していき、内部が軟らかいチーズとなる。その後は必要に応じてレトルト処理(殺菌処理)を行い、製品としてのカビによる表面熟成軟質チーズが製造される。レトルト処理(殺菌処理)を行えば、レトルト処理(殺菌処理)により酵素などが失活し、その後の熟成の進行を止めることができ、保存中の品質変化を防ぎ、賞味期限の延長をすることができる。一方で、レトルト処理(殺菌処理)を行う場合、レトルト処理(殺菌処理)後は熟成が進行しないため、レトルト処理(殺菌処理)前までの熟成(一次熟成や二次熟成など)で、良好な熟成度としておくと良い。
なお、上記(E)工程の一次熟成における、色彩値の測定による熟成度の判定と、(G)工程の二次熟成における、色彩値の測定による熟成度の判定は、少なくともいずれか一方を実施すればよい。
【0017】
本発明の製造方法は、前記(E)~(G)工程以外、従来技術の製造方法に準ずることができ、必要に応じて工程内容の省略も可能である。
例えば、本発明におけるカビによる表面熟成軟質チーズの種類としてはとくに制限されず、例えばカマンベール、ブリー、クロミエ、及びシュプレム等が挙げられる。
また、前記一次熟成は、ホエイを排出したチーズカードに白カビ菌体を例えば噴霧によって付着させ、特定の温湿度の条件下で行われる。一次熟成の条件としては、例えば、温度は5℃~18℃であり、湿度は80%RH~100%RHであり、一次熟成時間は3日間~15日間である。
また、前記二次熟成の条件としては、例えば、温度は5℃~18℃、湿度は10%RH~100%RH、二次熟成時間は3日間~15日間等が挙げられる。
【0018】
本発明の製造方法において、色彩値の測定は、公知の方法により実施することができ、とくに制限されないが、例えばL*a*b*表色系、L*c*h*表色系、L*u*v*表色系、ハンターLab表色系、XYZ(Yxy)表色系、マンセル表色系等により行うことができる。なお実施例では、各種分野で最も高頻度に使用されているCIE(国際照明委員会)規格に準拠したL*a*b*(LAB)表色系において定義されるL*a*b*値を採用した。前記L*a*b*表色系は、JIS Z8729においても採用されている。前記L*a*b*値は、市販されている色彩色差計により測定することができ、例えばコニカミノルタ株式会社製CR-410によって測定できる。なお、L*a*b*表色系を用いて測定したデータは、計算式により他の表色系に変換可能である。また、CR-410本体において、データ測定後に表色系を切り替えることにより数値を変換することも可能である。上記表色系の変換は、従来公知の方法で適宜行うことができ、例えば「CIE COLORIMETRY,THIRD EDITION.CIE 15.3:2004」の規格に沿って行うことができる。
以下、色彩値が前記L*a*b*値により示される形態について説明する。
【0019】
色彩色差計としてコニカミノルタ株式会社製CR-410を使用する場合、その測定条件は以下の通りである。
(1)観察光源の設定:C光源
(2)表色系の設定:L*a*b*表色系を選択する。
(3)色彩値測定:CR-410の測定部の中心(円形の測定部の中心)を試料の上面の中心(円柱状試料の場合、円形の上面の中心)に垂直に当て、測定ボタンを押す。
【0020】
本発明の製造方法の、「前記一次熟成の間に、前記チーズカードの表面の色彩値を測定し、前記色彩値の測定結果に基づいて前記チーズカードの熟成度を判定する」ことによって、その判定結果に基づき、この時点で一次熟成を終了し、あるいはこの時点で一次熟成の終了時点を予測し、一次熟成終了後は、続いて二次熟成に移行することができる。
【0021】
本発明は、チーズカードの熟成度と、チーズカードの表面の色彩値とが相関関係を有するという知見に基づき達成されたものである。これにより、例えば、予め熟練者により決定される一次熟成の終了時点、すなわち一次熟成を終了させるのに適したチーズカードの熟成度と、チーズカードの表面の色彩値とを関係づけることも可能となり、当該色彩値により一次熟成の終了時点を予測または決定することが可能となったものである。なお、チーズカードの表面の色彩値は、チーズ自体の表面の色彩と、その表面に生育した白カビの色彩の両方を反映するものである。チーズカードの表面の色彩値は、熟成の初期の段階のように白カビの生育が薄い段階では、チーズ自体の表面の色彩の影響を受ける割合も大きくなるが、チーズカードの表面全体が白カビ菌体に覆われる段階では、チーズ自体の表面の色彩の影響は少なくなる。
従来技術では、チーズカードの表面の白カビ菌体の生育具合(例えば菌糸の密度や色合い)を熟練者が判定することによって熟成度を把握していたが、本発明では、白カビ菌体が生育と同時にその色彩を変化させることに着目し、チーズカードの表面の色彩値を測定することにより熟成度を判定することができる。例えば、一次熟成前のチーズカード表面は淡黄色であるが熟成が進むにつれ、チーズカード表面は黄み、緑みが失われてくる。
【0022】
本発明者らの検討によれば、一次熟成の終了に適するチーズカードの表面の色彩値は、L*a*b*値において、b*が4.5~10の範囲を示した時点であることが判明した。さらに好ましくは、a*が-0.5~2およびb*が4.5~10の範囲を示した時点である。したがって前記L*a*b*値におけるa*およびb*が前記数値範囲を示した時点で、二次熟成に移行することができる。この前記L*a*b*値におけるa*およびb*の前記数値範囲は、熟練者における白カビ菌体の生育状態に基づく、一次熟成の終了時点と一致している。
一次熟成の終了に適するチーズカードの表面の色彩値は、a*が-0.5~2の範囲であることが好ましく、0~1.8の範囲であることがより好ましく、0~1.6の範囲であることがさらに好ましい。また、b*が4.5~10の範囲であることが好ましく、5~8.5の範囲であることがより好ましく、5.5~8の範囲であることがさらに好ましく、6~8の範囲であることが特に好ましい。
また、一次熟成の終了に適するチーズカードの表面の色彩値において、L*は90~94.5の範囲であることが好ましい。
【0023】
なお、本発明者らの検討によれば、チーズの熟成中(例えば一次熟成中)のある二つの時点における色差とチーズの熟成度との間にも相関関係が認められた。したがって、チーズの熟成中における任意の2つの時点におけるチーズカード表面の色彩値(色空間座標)の差(色差)を測定することによっても、チーズの熟成度を判定することができる。前記色差は下記式で示される。
ΔE*ab=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2 (式1)
(式1中、ΔL*、Δa*、及びΔb*は、それぞれ、チーズの熟成中における、ある任意の2つの時点における各色彩値(色空間座標)の差を表す。)
例えば、一次熟成開始直後の色彩値(白カビ菌体が目視で確認できる前の、白カビ菌体を含まない、あるいはほとんど含まないチーズ自体の色彩値)と、一次熟成の終了に適するチーズカード表面の色彩値との色差を測定することによって、チーズの熟成度を判定することができる。この場合、式1中、ΔL*は、L1
*-L0
*、Δa*は、a1
*-a0
*、Δb*は、b1
*-b0
*を表し、L0、a0、b0は一次熟成開始直後の色彩値(白カビ菌体が目視で確認できる前の、白カビ菌体を含まない、あるいはほとんど含まないチーズ自体の色彩値)のチーズカードの表面の色空間座標を表し、L1、a1、b1は一次熟成の終了に適する色彩値のチーズカードの表面の色空間座標を表す。この場合、ΔE*abが、例えば14以下であり、好ましくは13以下であり、より好ましくは12.5以下である。また、例えば6以上であり、好ましくは8以上であり、より好ましくは10以上である。
【0024】
さらに本発明者らの検討によれば、ある一定の温湿度条件下における一次熟成の時間と、チーズカード表面の色彩値のa*およびb*には一定の相関関係を有することが判明した。とくに、一次熟成の時間とチーズカード表面の色彩値のa*およびb*との間には線型性(一次関数)を有することが分かった。したがって、一次熟成中の異なる2つ以上の時点において、チーズカードの表面の色彩値を測定すれば、一次熟成の時間と色彩値との間の関数を求めることができ、当該関数に基づいてチーズカードの熟成度の進行具合を予測できる。そして、例えば前記L*a*b*値において、b*が4.5~10、好ましくはa*が-0.5~2およびb*が4.5~10の範囲となり得る一次熟成期間を把握することができ、その結果、一次熟成の終了時点を予測または決定することができる。
【0025】
一次熟成の終了に適するチーズカードのpHは、例えば5.5~7.0であり、好ましくは5.9~6.6であり、さらに好ましくは6.0~6.5である。pHの測定方法は実施例にて後述する。
【0026】
また、チーズカードの表面の色彩値を測定するにあたり、チーズカードのサンプリングはランダムであることができる。例えば、一次熟成中のチーズカードの全体の個数に対し、例えば0.01~5.0%、好ましくは0.05~3.0%をサンプリングすることにより、チーズカードの全体の熟成度を把握することができる。
これとは別に、本発明では色彩色差計によりチーズカードの熟成度を判定でき、熟練者を必要としないことから、一次熟成中のチーズカードのすべての色彩値を測定してもよい。一般的に、チーズの多量生産ラインにおいては、一次熟成後のチーズカードは、包装工程を経て、二次熟成を行う別の場所に移動させているが、この移動の際のチーズカードの搬送ライン上に色彩色差計をセットし、すべてのチーズカードの色彩値を測定し、所定の色彩値を示さないチーズカードに対しては二次熟成を行わないようにすることもできる。
【0027】
また本発明では、二次熟成の間に、チーズカードの表面の色彩値を測定することによって、チーズカードの熟成度を判定することができる。そして、得られた判定結果に基づき、どの時点が二次熟成の終了時点かを決定し、得られたチーズを最終製品とするかの判断が可能となる。なお、上述したように、殺菌処理後はチーズの熟成は進行せず、殺菌処理前後における色彩値はほとんど変動することはない。そのため、殺菌処理の有無とは無関係に、二次熟成の間に熟成度を判定することができる。
この場合、良好な熟成度は、前記L*a*b*値において、a*が-0.5~2の範囲であることが好ましく、0~1.8の範囲であることがより好ましく、0~1.6の範囲であることがさらに好ましい。また、b*が4.5~10の範囲であることが好ましく、5~8.5の範囲であることがより好ましく、5.5~8の範囲であることがさらに好ましい。また、L*は90~94.5の範囲であることが好ましい。
【0028】
なお、包装フィルムによる圧迫により、また殺菌処理によりチーズ表面の色彩値が変動する可能性がある。このような場合は、a*およびb*を適宜補正することが望ましい。この補正の度合いは、前記包装フィルムによる圧迫および/または殺菌処理を経た後の、熟練者が良好な熟成度と判断する白カビ菌体の生育状態と、a*およびb*との関係を予め調べておくことにより決定することができる。
チーズを包装した状態で包装フィルムの上から色彩値を測定することは、製造時に連続的に測定する場合に好ましい。
【0029】
また、二次熟成中のチーズカードについても、そのすべての色彩値を測定することができる。例えば二次熟成後、製品は最終梱包を行うために搬送されるが、この搬送ライン上に色彩色差計をセットし、すべての製品の色彩値を測定し、熟成度を判定できる。所定の色彩値を示さない製品に対しては出荷を行わないようにすることもできる。
【0030】
このように本発明の製造方法によれば、チーズの多量生産ラインにおいても、チーズカードや最終製品のすべての熟成度を判定することができる。したがって、チーズの製造単位(ロット)において、良好かつ均一な熟成度を有する同等の品質を有する多量のチーズ、及びチーズ群を製造することができる。
該ロットにおけるチーズ群のチーズ個数は、特に制限されるものではないが、例えば30個以上であり、好ましくは30~20万個であり、さらに好ましくは30~18万個である。
また、前記チーズ群における個々のチーズのすべてが、特定範囲の色彩値を表面に有し、前記色彩値が、CIE規格に準拠したL*a*b*表色系において定義されるL*a*b*として、b*が4.5~10の範囲であるのが好ましく、さらに好ましくは、a*が-0.5~2の範囲であり、かつb*が4.5~10の範囲である。
a*は-0.5~2の範囲であることが好ましく、0~1.8の範囲であることがより好ましく、0~1.6の範囲であることがさらに好ましい。b*は4.5~10の範囲であるのが好ましく、5~8.5の範囲であることがより好ましく、5.5~8の範囲であることがさらに好ましい。
【0031】
本発明のカビによる表面熟成軟質チーズの形状は、とくに制限されず、例えば柱状、円錐状、球状等が挙げられる。チーズの一部分のみにカビが極度に密集すると、表面カビがチーズ表面で産生した酵素がチーズ内部で働く際の、酵素量も局在し、その結果、熟成の度合いが不均一となる。この影響を少なくする等の理由から、凹凸のない形状が好ましく、中でも本発明の製造方法を実施した場合に奏される効果が高まるという観点から、略円柱状の形状であるのが好ましい。
【0032】
本発明により得られるチーズは、pHが6.3~6.8であることが好ましく、pHが6.4~6.7であることがより好ましい。チーズのpHが前記範囲であることは、チーズに程よい風味や食感(硬さ・とろけ具合)が得られていることを示している。pHの測定方法は実施例にて後述する。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0034】
(試験例1)カマンベールチーズの製造(一次熟成)
次の(A)~(E)工程を順次行った。製造されたチーズの合計は100個である。
(A)原料乳である生乳を75℃20秒間殺菌後、32℃に冷却し、乳酸菌スターターを添加し、原料乳のpHが6.4になった時点でレンネットを添加し、凝固させ、チーズカードを得た。
(B)凝固後、チーズカードのカッティング及びホエイ排出を行った。カッティング及びホエイ排出条件は、チーズカードの水分が52%になるように調整した。
(C)チーズカードを略円柱状の型枠(モールド)に投入した。モールドの形状は、得られるチーズの直径が7.8cm、厚さが2.0cm、質量が100gとなる形状とした。
(D)チーズカード製造の翌日、成型されたチーズカードを塩水に浸漬させ、目標塩分1.1%になるように加塩した後に、白カビ菌体の希釈液を噴霧し、16℃、85%RHの条件で一次熟成を開始した。
(E)一次熟成の所定時間経過後、チーズカードの表面の色彩値を測定し、白カビ菌体の生育状態を目視で観察し、さらにpHを測定した。なお、チーズカードのサンプリングは、一次熟成開始から3日目(例1)、7日目(例2、3)、8日目(例4)、9日目(例5)、10日目(例6)に行い、サンプリングはそれぞれランダムに3個を選んで行った(n=3)。
【0035】
白カビ菌体の生育状態は、次の段階で評価した。
5:十分生育しており良好
4:生育しているがやや薄い、あるいはやや生育しすぎているが許容
3:生育しているが薄いか、あるいは生育しすぎている
2:ごくわずかに生育しているか、あるいは前記3段階を超えて過度に生育している
1:全く生育していない
上記4および5が、一次熟成の終了に適する時点といえる。
【0036】
チーズカードの表面の色彩値は、色彩色差計としてコニカミノルタ株式会社製CR-410を使用して測定した。測定条件は以下の通りである。
(1)観察光源の設定:C光源
(2)表色系の設定:L*a*b*表色系を選択する。
(3)色彩値測定:CR-410の測定部の中心(円形の測定部の中心)を試料の上面の中心(円柱状試料の場合、円形の上面の中心)に垂直に当て、測定ボタンを押す。
【0037】
図3に示すように、pHは、以下のとおり測定した。
図3は、チーズカードの斜視図(a)およびA-A断面図(b)である。
略円柱状のチーズカード1の略中央部断面において、白カビマット層の直下の4か所(11~14)にpHメーター(Eutech社製、pH Spear)の電極を突き刺し、pHを測定した。なお、pHメーターの測定温度設定は、事前に測定したチーズ品温と同じ温度とした。
【0038】
結果を表1に示す。
なお、表1中、例1、2、4、5、及び6は同一ロット中から、一次熟成経過時間に応じてそれぞれランダムに選出したサンプルである。一方、例3は、上記例とは同一の製造条件であるが、別ロットで得られたサンプルである。
表1中、例1は一次熟成開始から3日目の測定結果、例2、3は一次熟成開始から7日目の測定結果、例4は一次熟成開始から8日目の測定結果、例5は一次熟成開始から9日目の測定結果、例6は一次熟成開始から10日目の測定結果をそれぞれ示す。
【0039】
【0040】
表1の結果から、チーズカードの表面の色彩値であるa*が-0.5~2およびb*が4.5~10の範囲を示した時点では、白カビ菌体の生育状態が良好であり、一次熟成の終了に適した時点が両者で一致している。また、チーズカードのpHを参照すると、一次熟成の終了に適した時点であることが示されている。
これに対し、前記色彩値の範囲を満たさない他の例では、白カビの生育状態が不良であり、一次熟成の終了に適した時期とはいえない。
【0041】
また、
図1(a)、(b)は、一次熟成日数3~8日における表1のa
*(
図1(a))、およびb
*(
図1(b))のそれぞれをプロットしたグラフである。
図1(a)、(b)から、a
*b
*値と一次熟成日数との間には線型性(一次関数)を有することが示された。したがって、一次熟成期間が7~8日間程度である場合、例えば一次熟成開始から3日後の色彩値と、5日後の色彩値を測定し、一次関数直線を作成すれば、所定のa
*およびb
*に到達する一次熟成時間を把握することができる。なお、前記の一次熟成中の異なる2つの時点は説明のため例示しているのであって、チーズの種類、形状、一次熟成の条件等によって、一次熟成中の異なる2つ以上の時点は適宜変更することができる。
【0042】
また、
図2は、一次熟成日数3~10日における表1各例のpHをプロットしたグラフである。熟成度は、pHもその指標となり得ることが知られており、したがってpHと前記a
*およびb
*とも相関関係を有する。
図2から、前記一次熟成日数とpHとの間にも線型性(一次関数)が確認された。
【0043】
(試験例2)カマンベールチーズの製造(二次熟成)
試験例1のうち、一次熟成開始から7日後において、例2のサンプルと同等の色彩値となった同一ロットのチーズカード88個について、下記(A)~(C)工程に従い、二次熟成を行った(いずれも一次熟成期間は7日間とした)。
(A)一次熟成終了したチーズカードに対し、包装フィルムを用いて包装し、6℃、40%RHの条件で二次熟成を行った。
(B)二次熟成を11日間行った後、殺菌処理を行わない群と、殺菌処理を行う群に分けた。殺菌処理を行う群では、二次熟成後のチーズカードを密閉容器に入れ、中心部が85℃となるように殺菌処理を行った。
(C)殺菌処理を行わない群、および殺菌処理を行う群のそれぞれの群から、ランダムに3個ずつのサンプルを選び(例7、8)、包装フィルムをはがしてチーズの表面の色彩値を測定し、白カビ菌体の生育状態を目視で観察し、さらにpHを測定した。その後、殺菌処理を行う群については5℃で保管した。白カビ菌体の生育状態(例8を除く)、チーズカードの表面の色彩値、pHは試験例1と同様に測定、評価した。
【0044】
結果を表2に示す。
なお、表2中、例7のサンプルは、例2と同一ロットのサンプルを11日間二次熟成に供し、一次熟成開始から18日を経たサンプルであり、殺菌処理を行っていないサンプルである。また、例8のサンプルは、例7と同一ロットのサンプルを殺菌処理したサンプルである。
【0045】
【0046】
また、例7の二次熟成完了時のチーズの官能評価を行った。
官能評価は、専門パネル10名で、以下のとおり採点法(絶対評価)により行った。なお、評価項目は、「うまみ・コク」、「アンモニア臭」、「風味」、「食感」、「総合評価」とした。
「風味」とは、「うまみ・コク」、「アンモニア臭」を含む全体の風味を意味し、「食感」とは、硬さ、とろけ具合を含む全体の食感を意味し、「総合評価」とは「うまみ・コク」、「アンモニア臭」、「風味」、「食感」の全体のバランスの評価を意味する。評価項目ごとにパネル10名の平均点を求めた。
【0047】
官能評価の基準は以下の通りである。各評価項目の平均が3以上であれば、良好であると評価できる。
【0048】
[うまみ・コク]
5:強い
4:やや強い
3:普通
2:やや弱い
1:弱い
専門パネルの評価結果(平均)は、4.2点であった。
【0049】
[アンモニア臭]
5:全く感じない
4:ほとんど感じない
3:わずかに感じるが許容できる
2:やや強く感じる
1:強く感じる
専門パネルの評価結果(平均)は、4.9点であった。
【0050】
[風味]
5:非常に良い
4:良い
3:許容できる
2:悪い(許容不可)
1:非常に悪い(許容不可)
専門パネルの評価結果(平均)は、4.6点であった。
【0051】
[食感]
5:非常に良い/良好な硬さ、とろけ具合
4:良い/ほぼ良好な硬さ、とろけ具合
3:許容できる/やや軟らかくとろけ感が強いが許容・やや硬くとろけ感が弱いが許容
2:悪い(許容不可)/やや軟らかくとろけすぎ(悪い)・やや硬くとろけ感が弱い(悪い)
1:非常に悪い(許容不可)/軟らかすぎてとろけ感がありすぎる(非常に悪い)・硬すぎてとろけ感が弱すぎる(非常に悪い)
専門パネルの評価結果(平均)は、4.8点であった。
【0052】
[総合評価]
5:非常に良い
4:良い
3:許容できる
2:悪い(許容不可)
1:非常に悪い(許容不可)
専門パネルの評価結果(平均)は、4.8点であった。
【0053】
以上から、本発明の製造方法に従い、適切な熟成度によって一次熟成から二次熟成に切り替えられて製造されたチーズ、あるいは二次熟成を終了したチーズは、良好な官能試験の結果を得た。
【符号の説明】
【0054】
1 チーズカード
11、12、13、14 pH測定箇所