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特許7295260多層吸収体を備えた極紫外線マスクブランクおよび製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】多層吸収体を備えた極紫外線マスクブランクおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/24 20120101AFI20230613BHJP
   G03F 1/58 20120101ALI20230613BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G03F1/24
G03F1/58
C23C14/06 N
C23C14/06 R
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021549735
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 US2020020034
(87)【国際公開番号】W WO2020180586
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】62/812,599
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/801,635
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャオ, ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ジンダル, ビブー
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-283322(JP,A)
【文献】国際公開第2010/113700(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0254001(US,A1)
【文献】特開2015-008283(JP,A)
【文献】国際公開第2018/022371(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 1/00~1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する方法であって、
複数の反射層対を含む反射層の多層スタックを基板上に形成することと、
反射層の前記多層スタック上にキャッピング層を形成することと、
厚さを調整することにより吸収度を調整するための調整層と吸収体層のスタックを含む吸収体を形成することであって、前記キャッピング層上に前記調整層を形成することを含み、前記調整層が調整層厚さtTLを有する、吸収体を形成することと、
前記キャッピング層上に吸収体層の前記スタックを形成することであって、吸収体層の前記スタックが、厚さtおよび屈折率nを有する第1の材料Aならびに厚さtおよび屈折率nを有する第2の材料Bの周期的二重層を含み、各二重層が、厚さt=t+tを有する周期を定め、前記第1の材料Aと前記第2の材料Bが、異なる材料であり、nとnの大きさの差が、0.01より大きく、吸収体層の前記スタックが、N個の周期を含み、前記吸収体の厚さが、tabs=N*t+tTLである、吸収体層の前記スタックを形成することと、
を含み、
abs が、30nm未満である、
方法。
【請求項2】
前記複数の反射層対が、モリブデン(Mo)含有材料およびケイ素(Si)含有材料から選択される材料から作製され、前記第1の材料Aおよび前記第2の材料Bが、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、コバルト(Co)、銅(Cu)、銀(Ag)、アクチニウム(Ac)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)、炭素(C)、ガリウム(Ga)、およびホウ素(B)、ならびにそれらの合金、炭化物、ホウ化物、窒化物、ケイ化物、および酸化物からなる群から選択される材料から作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記調整層が、前記第1の材料Aまたは前記第2の材料Bを含み、tとは異なる厚さを有し、前記厚さを調整することにより、調整可能な吸収度が前記吸収体に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の材料Aが、AgまたはSbを含み、前記第2の材料Bが、Te、Ta、またはGeを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の材料Aが、AgまたはGaSbを含み、前記第2の材料Bが、ZnTeを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
が、1nmから5nmまでの範囲にあり、tが、1nmから5nmまでの範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
Nが、1から10までの範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基板、
前記基板上の反射層の多層スタックであって、複数の反射層対を含む反射層の多層スタック、
反射層の前記多層スタック上のキャッピング層、
厚さを調整することにより吸収度を調整するための調整層および吸収体層のスタックを含む吸収体であって、前記キャッピング層上に前記調整層を形成することを含み、前記調整層が、調整層厚さtTLを有する、吸収体、ならびに
厚さtおよび屈折率nを有する第1の材料Aならびに厚さtおよび屈折率nを有する第2の材料Bの周期的二重層を含む吸収体層の前記スタックであって、各二重層が、厚さt=t+tを有する周期を定め、前記第1の材料Aと前記第2の材料Bが、異なる材料であり、nとnの大きさの差が、0.01より大きく、吸収体層の前記スタックが、N個の周期を含み、Nが、1から10までの範囲にあり、前記吸収体の厚さが、tabs=N*t+tTLである、吸収体層の前記スタック、
を備え
abs が、30nm未満である、
極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項9】
前記複数の反射層対が、モリブデン(Mo)含有材料およびケイ素(Si)含有材料から選択される材料から作製され、前記第1の材料Aおよび前記第2の材料Bが、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、コバルト(Co)、銅(Cu)、銀(Ag)、アクチニウム(Ac)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)、炭素(C)、ガリウム(Ga)、およびホウ素(B)、ならびにそれらの合金、炭化物、ホウ化物、窒化物、ケイ化物、および酸化物からなる群から選択される材料から作製される、請求項に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項10】
前記調整層が、前記第1の材料Aまたは前記第2の材料Bを含み、tとは異なる厚さを有し、前記厚さを調整することにより、調整可能な吸収度が前記吸収体に提供される、請求項に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項11】
前記第1の材料Aが、AgまたはSbを含み、前記第2の材料Bが、Te、Ta、またはGeを含む、請求項に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項12】
前記第1の材料Aが、AgまたはGaSbを含み、前記第2の材料Bが、ZnTeを含む、請求項に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項13】
が、1nmから5nmまでの範囲にあり、tが、1nmから5nmまでの範囲にあり、Nが、1から10までの範囲にある、請求項に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、極紫外線リソグラフィに関し、より具体的には、多層吸収体を備えた極紫外線マスクブランクおよび製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]軟X線投影リソグラフィとしても知られる極紫外線(EUV)リソグラフィは、0.0135ミクロン以下の最小フィーチャサイズの半導体デバイスの製造に使用できる。しかしながら、一般に5~100ナノメートルの波長範囲にある極紫外線は、事実上すべての材料に強く吸収される。そのため、極紫外線システムは、光の透過ではなく反射によって機能する。一連のミラー、すなわちレンズ要素、および非反射吸収体マスクパターンでコーティングされた反射要素、すなわちマスクブランクを使用することにより、パターニングされた化学線が、レジストコーティングされた半導体基板上へ反射される。
【0003】
[0003]極紫外線リソグラフィシステムのレンズ要素とマスクブランクは、モリブデンやケイ素などの材料の反射多層コーティングでコーティングされている。レンズ要素またはマスクブランクあたり約65%の反射値が、非常に狭い紫外線バンドパス(例えば、13.5ナノメートルの紫外線に対して12.5~14.5ナノメートルのバンドパス)内の光を強く反射する多層コーティングでコーティングされた基板を使用することによって得られた。
【0004】
[0004]図1は、マスクされていない部分でブラッグ干渉によってEUV放射を反射する、基板14上の反射多層スタック12を含むEUVマスクブランクから形成された従来のEUV反射マスク10を示している。EUV反射マスク10のマスクされた(非反射)領域16は、バッファ層18および吸収層20をエッチングすることによって形成される。吸収層は通常、51nmから77nmの範囲の厚さを有している。キャッピング層22が、反射多層スタック12上に形成され、エッチングプロセス中に多層スタック12を保護する。以下でさらに説明するように、EUVマスクブランクは、多層、キャッピング層、および吸収層でコーティングされた低熱膨張材料基板から作られ、次いで吸収層がエッチングされて、マスクされた(非反射)領域16および反射領域24を提供する。
【0005】
[0005]国際半導体技術ロードマップ(ITRS)は、ノードのオーバーレイ要件を、テクノロジの最小ハーフピッチフィーチャサイズのあるパーセンテージとして指定している。すべての反射リソグラフィシステムに固有の画像配置とオーバーレイ誤差への影響のため、EUV反射マスクは、将来の生産のためにより精密な平坦度仕様に準拠する必要がある。さらに、3次元(3D)マスク効果の低減は、多層反射体と吸収体層を備えたEUV反射マスクを使用したEUVリソグラフィでは非常に困難である。オーバーレイ誤差と3Dマスク効果の低減を可能にするEUV反射マスクとミラーを作製するために使用されるEUVマスクブランクとEUVマスクブランクを作製する方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の1つ以上の実施形態は、基板上に反射層の多層スタックを形成することであって、反射層の多層スタックは、複数の反射層対を含む、形成することと、反射層の多層スタック上にキャッピング層を形成することと、調整層と吸収体層のスタックを含む吸収体を形成することであって、キャッピング層上に調整層を形成することを含み、調整層は、調整層厚さtTLを有する、形成することと、キャッピング層上に吸収体層のスタックを形成することであって、吸収体層のスタックは、厚さtおよび屈折率nを有する第1の材料Aならびに厚さtおよび屈折率nを有する第2の材料Bの周期的二重層を含み、各二重層は、厚さt=t+tを有する周期を定め、材料AおよびBは、異なる材料であり、0.01より大きいnとnの大きさの差があり、吸収体層のスタックが、N個の周期を含み、吸収体の厚さが、tabs=N*t+tTLである、形成することと、を含む、極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する方法を対象とする。
【0007】
[0007]本開示の追加の実施形態は、基板、基板上の反射層の多層スタックであって、複数の反射層対を含む反射層の多層スタック、反射層の多層スタック上のキャッピング層、調整層と吸収体層のスタックを含む吸収体であって、キャッピング層上に調整層を形成することを含み、調整層は、調整層厚さtTLを有する、吸収体、ならびに厚さtおよび屈折率nを有する第1の材料Aならびに厚さtおよび屈折率nを有する第2の材料Bの周期的二重層を含む吸収体層のスタックであって、各二重層は、厚さt=t+tを有する周期を定め、材料AおよびBは、異なる材料であり、0.01より大きいnとnの大きさの差があり、吸収体層のスタックが、N個(Nは、1から10の範囲である)の周期を含み、吸収体の厚さが、tabs=N*t+tTLである、吸収体層のスタック、を備える極紫外線(EUV)マスクブランクを対象とする。
【0008】
[0008]本開示のさらなる実施形態は、極紫外線を生成する極紫外線光源、基板を含むレチクル、基板上の反射層の多層スタックであって、複数の反射層対を含む反射層の多層スタック、反射層の多層スタック上のキャッピング層、調整層と吸収体層のスタックを含む吸収体であって、キャッピング層上に調整層を形成することを含み、調整層は、調整層厚さtTLを有する、吸収体、ならびに厚さtおよび屈折率nを有する第1の材料Aならびに厚さtおよび屈折率nを有する第2の材料Bの周期的二重層を含む吸収体層のスタックであって、各二重層は、厚さt=t+tを有する周期を定め、材料AおよびBは、異なる材料であり、0.01より大きいnとnの大きさの差があり、吸収体層のスタックが、N個(Nは、1から10の範囲である)の周期を含み、吸収体の厚さが、tabs=N*t+tTLである、吸収体層のスタック、を備える極紫外線(EUV)リソグラフィシステムを対象とする。
【0009】
[0009]本開示の上記の特徴が詳細に理解されるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、そのいくつかが、添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではなく、本開示は、他の同等に有効な実施形態を認めることができることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来の吸収体を使用する背景技術のEUV反射マスクを概略的に示す。
図2】極紫外線リソグラフィシステムの一実施形態を概略的に示す。
図3】極紫外線反射要素製造システムの一実施形態を示す。
図4】EUVマスクブランクなどの極紫外線反射要素の一実施形態を示す。
図5】EUVマスクブランクなどの極紫外線反射要素の一実施形態を示す。
図6】マスクブランクの反射率曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0016]本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載される構造またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行することができる。
【0012】
[0017]本明細書で使用される「水平」という用語は、その向きに関係なく、マスクブランクの平面または表面に平行な平面として定義される。「垂直」という用語は、上記で定義した水平と直角な方向を指す。「~より上」、「~より下」、「底部」、「頂部」、「側部」(「側壁」のような)、「より高い」、「より低い」、「上部」、「~の上」、「~の下」などの用語は、図に示すように、水平面に対して定義される。
【0013】
[0018]「上(on)」という用語は、要素間に直接接触があることを示す。「直接上」という用語は、介在要素なしで要素間に直接接触があることを示す。
【0014】
[0019]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」などの用語は、基板表面と反応することができる任意のガス種を指すために交換可能に使用される。
【0015】
[0020]プロセス領域を説明するための「第1」および「第2」などの序数の使用は、処理チャンバ内の特定の位置、または処理チャンバ内の曝露の順序を意味しないことを、当業者は理解するであろう。
【0016】
[0021]ここで図2を参照すると、極紫外線リソグラフィシステム100の例示的な実施形態が示されている。極紫外線リソグラフィシステム100は、極紫外線112を生成する極紫外線光源102、一組の反射要素、およびターゲットウェハ110を含む。反射要素は、集光器104、EUV反射マスク106、光学縮小アセンブリ108、マスクブランク、ミラー、またはそれらの組み合わせを含む。
【0017】
[0022]極紫外線光源102は、極紫外線112を生成する。極紫外線112は、5から50ナノメートル(nm)の範囲の波長を有する電磁放射である。例えば、極紫外線光源102は、レーザー、レーザー生成プラズマ、放電生成プラズマ、自由電子レーザー、シンクロトロン放射、またはそれらの組み合わせを含む。
【0018】
[0023]極紫外線光源102は、様々な特性を有する極紫外線112を生成する。極紫外線光源102は、ある範囲の波長にわたって広帯域の極紫外線放射を生成する。例えば、極紫外線光源102は、5から50nmの範囲の波長を有する極紫外線112を生成する。
【0019】
[0024]1つ以上の実施形態では、極紫外線光源102は、狭い帯域幅を有する極紫外線112を生成する。例えば、極紫外線光源102は、13.5nmで極紫外線112を生成する。波長ピークの中心は、13.5nmである。
【0020】
[0025]集光器104は、極紫外線112を反射および集束するための光学ユニットである。集光器104は、極紫外線光源102からの極紫外線112を反射および集光して、EUV反射マスク106に当てる。
【0021】
[0026]集光器104は単一の要素として示されているが、集光器104は、極紫外線112を反射および集光するための、凹面鏡、凸面鏡、平面鏡、またはそれらの組み合わせなどの1つ以上の反射要素を含むことができることが理解される。例えば、集光器104は、単一の凹面鏡であっても、または凸面、凹面、および平面の光学要素を有する光学アセンブリであってもよい。
【0022】
[0027]EUV反射マスク106は、マスクパターン114を有する極紫外線反射要素である。EUV反射マスク106は、リソグラフィパターンを生成して、ターゲットウェハ110上に形成される回路レイアウトを形成する。EUV反射マスク106は、極紫外線112を反射する。マスクパターン114は、回路レイアウトの一部を画定する。
【0023】
[0028]光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の画像を縮小するための光学ユニットである。EUV反射マスク106からの極紫外線112の反射は、光学縮小アセンブリ108によって縮小され、ターゲットウェハ110上へ反射される。光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の画像のサイズを縮小するためにミラーおよび他の光学要素を含むことができる。例えば、光学縮小アセンブリ108は、極紫外線112を反射および集束するための凹面鏡を含むことができる。
【0024】
[0029]光学縮小アセンブリ108は、ターゲットウェハ110上でのマスクパターン114の画像のサイズを縮小する。例えば、マスクパターン114は、ターゲットウェハ110上に光学縮小アセンブリ108によって4:1の比率で画像化されて、ターゲットウェハ110上にマスクパターン114によって表される回路を形成することができる。極紫外線112は、ターゲットウェハ110と同期して反射マスク106を走査して、ターゲットウェハ110上にマスクパターン114を形成することができる。
【0025】
[0030]次に図3を参照すると、極紫外線反射要素製造システム200の実施形態が示されている。極紫外線反射要素は、EUVマスクブランク204、極紫外線(EUV)ミラー205、またはEUV反射マスク106などの他の反射要素を含む。
【0026】
[0031]極紫外線反射要素製造システム200は、マスクブランク、ミラー、または図2の極紫外線112を反射する他の要素を製造することができる。極紫外線反射要素製造システム200は、ソース基板203に薄いコーティングを適用することによって反射要素を製造する。
【0027】
[0032]EUVマスクブランク204は、図2のEUV反射マスク106を形成するための多層構造である。EUVマスクブランク204は、半導体製造技術を使用して形成することができる。EUV反射マスク106は、エッチングおよび他のプロセスによってマスクブランク204上に形成された、図2のマスクパターン114を有することができる。
【0028】
[0033]極紫外線ミラー205は、ある範囲の極紫外線を反射する多層構造である。極紫外線ミラー205は、半導体製造技術を使用して形成することができる。EUVマスクブランク204および極紫外線ミラー205は、各要素上に形成された層に関して同様の構造であり得るが、極紫外線ミラー205は、マスクパターン114を有さない。
【0029】
[0034]反射要素は、極紫外線112の効率的な反射体である。一実施形態では、EUVマスクブランク204および極紫外線ミラー205は、60%より大きい極紫外線反射率を有する。反射要素は、極紫外線112の60%より多くを反射する場合に効率的である。
【0030】
[0035]極紫外線反射要素製造システム200は、ソース基板203がロードされ、反射要素がアンロードされるウェハローディングおよびキャリアハンドリングシステム202を含む。大気ハンドリングシステム206が、ウェハハンドリング真空チャンバ208へのアクセスを提供する。ウェハローディングおよびキャリアハンドリングシステム202は、基板搬送ボックス、ロードロック、および基板を大気からシステム内の真空に移送するための他の構成要素を含むことができる。EUVマスクブランク204は、非常に小さなスケールでデバイスを形成するために使用されるので、ソース基板203およびEUVマスクブランク204は、汚染および他の欠陥を防ぐために真空システムで処理される。
【0031】
[0036]ウェハハンドリング真空チャンバ208は、2つの真空チャンバ、第1の真空チャンバ210および第2の真空チャンバ212を含むことができる。第1の真空チャンバ210は、第1のウェハハンドリングシステム214を含み、第2の真空チャンバ212は、第2のウェハハンドリングシステム216を含む。ウェハハンドリング真空チャンバ208は、2つの真空チャンバで説明されているが、システムは任意の数の真空チャンバを有することができることが理解される。
【0032】
[0037]ウェハハンドリング真空チャンバ208は、他の様々なシステムを取り付けるために、その周囲に複数のポートを有することができる。第1の真空チャンバ210は、デガスシステム218、第1の物理気相堆積システム220、第2の物理気相堆積システム222、および前洗浄システム224を有する。デガスシステム218は、基板から水分を加熱放出するためのものである。前洗浄システム224は、ウェハ、マスクブランク、ミラー、または他の光学部品の表面を洗浄するためのものである。
【0033】
[0038]第1の物理気相堆積システム220および第2の物理気相堆積システム222などの物理気相堆積システムを使用して、ソース基板203上に導電性材料の薄膜を形成することができる。例えば、物理気相堆積システムは、マグネトロンスパッタリングシステム、イオンスパッタリングシステム、パルスレーザー堆積、カソードアーク堆積、またはそれらの組み合わせなどの真空堆積システムを含むことができる。マグネトロンスパッタリングシステムなどの物理気相堆積システムは、ケイ素、金属、合金、化合物、またはそれらの組み合わせの層を含む薄層をソース基板203上に形成する。
【0034】
[0039]物理気相堆積システムは、反射層、キャッピング層、および吸収体層を形成する。例えば、物理気相堆積システムは、ケイ素、モリブデン、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、ルテニウムニオブ、クロム、タンタル、窒化物、化合物、またはそれらの組み合わせの層を形成することができる。いくつかの化合物は酸化物として記載されているが、化合物は、酸化物、二酸化物、酸素原子を有する原子混合物、またはそれらの組み合わせを含み得ることが理解される。
【0035】
[0040]第2の真空チャンバ212は、それに接続された第1のマルチカソードソース226、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、および超平滑堆積チャンバ232を有する。例えば、化学気相堆積システム228は、流動性化学気相堆積システム(FCVD)、プラズマ支援化学気相堆積システム(CVD)、エアロゾル支援CVD、ホットフィラメントCVDシステム、または同様のシステムを含むことができる。別の例では、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、および超平滑堆積チャンバ232は、極紫外線反射要素製造システム200とは別のシステムにあることができる。
【0036】
[0041]化学気相堆積システム228は、ソース基板203上に材料の薄膜を形成することができる。例えば、化学気相堆積システム228を使用して、単結晶層、多結晶層、アモルファス層、エピタキシャル層、またはそれらの組み合わせを含む材料の層を、ソース基板203上に形成することができる。化学気相堆積システム228は、ケイ素、酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、炭素、タングステン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属、合金、および化学気相堆積に適した他の材料の層を形成することができる。例えば、化学気相堆積システムは、平坦化層を形成することができる。
【0037】
[0042]第1のウェハハンドリングシステム214は、連続真空中で、大気ハンドリングシステム206と第1の真空チャンバ210の周囲の様々なシステムとの間でソース基板203を移動させることができる。第2のウェハハンドリングシステム216は、ソース基板203を連続真空中に維持しながら、ソース基板203を第2の真空チャンバ212の周りで移動させることができる。極紫外線反射要素製造システム200は、連続真空中で、第1のウェハハンドリングシステム214と第2のウェハハンドリングシステム216との間で、ソース基板203およびEUVマスクブランク204を移送することができる。
【0038】
[0043]次に図4を参照すると、極紫外線反射要素302の一実施形態が示されている。1つ以上の実施形態では、極紫外線反射要素302は、図3のEUVマスクブランク204または図3の極紫外線ミラー205である。EUVマスクブランク204および極紫外線ミラー205は、図2の極紫外線112を反射するための構造体である。EUVマスクブランク204を使用して、図2に示されるEUV反射マスク106を形成することができる。
【0039】
[0044]極紫外線反射要素302は、基板304、反射層の多層スタック306、およびキャッピング層308を含む。1つ以上の実施形態では、極紫外線ミラー205を使用して、図2の集光器104または図2の光学縮小アセンブリ108で使用するための反射構造体を形成する。
【0040】
[0045]EUVマスクブランク204であり得る極紫外線反射要素302は、基板304、反射層の多層スタック306、キャッピング層308、および吸収体層310を含む。極紫外線反射要素302は、必要とされる回路のレイアウトで吸収体層310をパターニングすることにより図2の反射マスク106を形成するために使用されるEUVマスクブランク204であり得る。
【0041】
[0046]以下のセクションでは、簡単にするために、EUVマスクブランク204の用語は、極紫外線ミラー205の用語と交換可能に使用される。1つ以上の実施形態では、マスクブランク204は、図2のマスクパターン114を形成するように吸収体層310が追加された極紫外線ミラー205の構成要素を含む。
【0042】
[0047]EUVマスクブランク204は、マスクパターン114を有する反射マスク106を形成するために使用される光学的に平坦な構造体である。1つ以上の実施形態では、EUVマスクブランク204の反射面は、図2の極紫外線112などの入射光を反射するための平坦な焦点面を形成する。
【0043】
[0048]基板304は、極紫外線反射要素302に構造的支持を提供するための要素である。1つ以上の実施形態では、基板304は、温度変化中の安定性を提供するために、低い熱膨張係数(CTE)を有する材料から作られている。1つ以上の実施形態では、基板304は、機械的サイクリング、熱的サイクリング、結晶形成、またはそれらの組み合わせに対する安定性などの特性を有する。1つ以上の実施形態による基板304は、ケイ素、ガラス、酸化物、セラミック、ガラスセラミック、またはそれらの組み合わせなどの材料から形成されている。
【0044】
[0049]多層スタック306は、極紫外線112を反射する構造体である。多層スタック306は、第1の反射層312および第2の反射層314の交互の反射層を含む。
【0045】
[0050]第1の反射層312および第2の反射層314は、図4の反射対316を形成する。非限定的な実施形態では、多層スタック306は、20~60の範囲の反射対316を含み、合計で最大120の反射層になる。
【0046】
[0051]第1の反射層312および第2の反射層314は、様々な材料から形成することができる。一実施形態では、第1の反射層312および第2の反射層314は、それぞれ、ケイ素およびモリブデンから形成される。層はケイ素およびモリブデンとして示されているが、交互の層は他の材料から形成することができる、または他の内部構造を有することができることが理解される。
【0047】
[0052]第1の反射層312および第2の反射層314は、様々な構造を有することができる。一実施形態では、第1の反射層312および第2の反射層314の両方が、単一層、複数層、分割層構造、不均一構造、またはそれらの組み合わせで形成される。
【0048】
[0053]ほとんどの材料は極紫外線波長の光を吸収するので、使用される光学要素は、他のリソグラフィシステムで使用される透過性ではなく反射性である。多層スタック306は、ブラッグ反射体またはミラーを作製するために、異なる光学特性を有する材料の交互の薄層を有することによって、反射構造体を形成する。
【0049】
[0054]一実施形態では、交互の層のそれぞれは、極紫外線112に対して異なる光学定数を有する。交互の層の厚さの周期が、極紫外線112の波長の半分である場合、交互の層は、共鳴反射率を提供する。一実施形態では、13nmの波長の極紫外線112の場合、交互の層は、約6.5nmの厚さである。提供されるサイズと寸法は、一般的な要素の通常の工学公差の範囲内であることが理解される。
【0050】
[0055]多層スタック306は、様々な方法で形成することができる。一実施形態では、第1の反射層312および第2の反射層314は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、パルスレーザー堆積、カソードアーク堆積、またはそれらの組み合わせで形成される。
【0051】
[0056]例示的な実施形態では、多層スタック306は、マグネトロンスパッタリングなどの物理気相堆積技術を使用して形成される。一実施形態では、多層スタック306の第1の反射層312および第2の反射層314は、正確な厚さ、小さい粗さ、および層間の清浄な界面を含む、マグネトロンスパッタリング技術によって形成される特性を有する。一実施形態では、多層スタック306の第1の反射層312および第2の反射層314は、正確な厚さ、小さい粗さ、および層間の清浄な界面を含む、物理気相堆積によって形成される特性を有する。
【0052】
[0057]物理気相堆積技術を使用して形成された多層スタック306の層の物理的寸法は、反射率を高めるように精密に制御することができる。一実施形態では、ケイ素の層などの第1の反射層312は、4.1nmの厚さを有する。モリブデンの層などの第2の反射層314は、2.8nmの厚さを有する。層の厚さは、極紫外線反射要素のピーク反射率波長を決定する。層の厚さが正しくない場合、目的の波長13.5nmでの反射率が低減され得る。
【0053】
[0058]一実施形態では、多層スタック306は、60%より大きい反射率を有する。一実施形態では、物理気相堆積を使用して形成された多層スタック306は、66%~67%の範囲の反射率を有する。1つ以上の実施形態では、より硬い材料で形成されたキャッピング層308を多層スタック306上に形成することにより、反射率が改善される。いくつかの実施形態では、70%より大きい反射率が、粗さの小さい層、層間の清浄な界面、改良された層材料、またはそれらの組み合わせを使用して達成される。
【0054】
[0059]1つ以上の実施形態では、キャッピング層308は、極紫外線112の透過を可能にする保護層である。一実施形態では、キャッピング層308は、多層スタック306の直接上に形成される。1つ以上の実施形態では、キャッピング層308は、多層スタック306を汚染物質および機械的損傷から保護する。一実施形態では、多層スタック306は、酸素、炭素、炭化水素、またはそれらの組み合わせによる汚染に敏感である。一実施形態によるキャッピング層308は、汚染物質と相互作用してそれらを中和する。
【0055】
[0060]1つ以上の実施形態では、キャッピング層308は、極紫外線112に対して透明である光学的に均一な構造体である。極紫外線112は、キャッピング層308を通過して、多層スタック306で反射する。1つ以上の実施形態では、キャッピング層308は、1%から2%の総反射損失を有する。1つ以上の実施形態では、異なる材料のそれぞれが、厚さに応じて異なる反射損失を有するが、それらの全てが、1%から2%の範囲にあるであろう。
【0056】
[0061]1つ以上の実施形態では、キャッピング層308は、滑らかな表面を有する。例えば、キャッピング層308の表面は、0.2nmRMS(二乗平均平方根測定)未満の粗さを有することができる。別の例では、キャッピング層308の表面は、1/100nmから1/1μmの範囲の長さに対して0.08nmRMSの粗さを有する。RMS粗さは、測定範囲によって異なる。100nmから1ミクロンの特定の範囲では、粗さは、0.08nm以下である。範囲が広いほど、粗さが大きくなる。
【0057】
[0062]キャッピング層308は、様々な方法で形成することができる。一実施形態では、キャッピング層308は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、イオンビーム堆積、電子ビーム蒸発、高周波(RF)スパッタリング、原子層堆積(ALD)、パルスレーザー堆積、カソードアーク堆積、またはそれらの組み合わせを用いて、多層スタック306上または直接上に形成される。1つ以上の実施形態では、キャッピング層308は、正確な厚さ、小さい粗さ、および層間の清浄な界面を含む、マグネトロンスパッタリング技術によって形成される物理的特性を有する。一実施形態では、キャッピング層308は、正確な厚さ、小さい粗さ、および層間の清浄な界面を含む、物理気相堆積によって形成される物理的特性を有する。
【0058】
[0063]1つ以上の実施形態では、キャッピング層308は、洗浄中の侵食に抵抗するのに十分な硬度を有する様々な材料から形成される。一実施形態では、ルテニウムは、良好なエッチング停止物であり、動作条件下で比較的不活性であるので、キャッピング層材料として使用される。しかしながら、他の材料を使用してキャッピング層308を形成することができることが理解される。特定の実施形態では、キャッピング層308は、2.5から5.0nmの範囲の厚さを有する。
【0059】
[0064]1つ以上の実施形態では、吸収体層310は、極紫外線112を吸収する層である。一実施形態では、吸収体層310は、極紫外線112を反射しない領域を提供することによって、反射マスク106上にパターンを形成するために使用される。吸収体層310は、1つ以上の実施形態によれば、約13.5nmなどの極紫外線112の特定の周波数に対して高い吸収係数を有する材料を含む。一実施形態では、吸収体層310は、キャッピング層308の直接上に形成され、吸収体層310は、フォトリソグラフィプロセスを使用してエッチングされて、反射マスク106のパターンを形成する。
【0060】
[0065]1つ以上の実施形態によれば、極紫外線ミラー205などの極紫外線反射要素302は、基板304、多層スタック306、およびキャッピング層308で形成される。極紫外線ミラー205は、光学的に平坦な表面を有し、極紫外線112を効率的かつ均一に反射することができる。
【0061】
[0066]1つ以上の実施形態によれば、EUVマスクブランク204などの極紫外線反射要素302は、基板304、多層スタック306、キャッピング層308、および吸収体層310で形成される。マスクブランク204は、光学的に平坦な表面を有し、極紫外線112を効率的かつ均一に反射することができる。一実施形態では、マスクパターン114は、マスクブランク204の吸収体層310で形成される。
【0062】
[0067]1つ以上の実施形態によれば、キャッピング層308の上に吸収体層310を形成することは、反射マスク106の信頼性を高める。キャッピング層308は、吸収体層310のエッチング停止層として機能する。図2のマスクパターン114が、吸収体層310にエッチングされるとき、吸収体層310の下のキャッピング層308が、エッチング作用を停止させて、多層スタック306を保護する。
【0063】
[0068]次に図5を参照すると、極紫外線(EUV)マスクブランク400は、基板414、基板414上の反射層412の多層スタックであって、複数の反射層対を含む反射層412の多層スタックを含むものとして示されている。EUVマスクブランク400は、反射層412の多層スタック上にキャッピング層422をさらに含み、キャッピング層422上の調整層420aと、調整層420a上の吸収体層420、420、420および420のスタックとを含む吸収体420が存在する。吸収体層のスタックは、厚さtAおよび屈折率nAを有する第1の材料Aと、厚さtBおよび屈折率nBを有する第2の材料Bとの周期的二重層を含む。各二重層は、2つの層(例えば、420bと420cまたは420dと420e)を含む。したがって、層420bおよび層420dは、第1の材料Aを含み、各層420bおよび420dは、厚さtAを有する。層420cおよび層420eは、第2の材料Bを含み、各層420cおよび420eは、厚さtBを有する。各二重層は、厚さtP=tA+tBを有する周期を定義する。したがって、周期は、層420bおよび層420cを含み、別の周期は、層420dおよび層420eを含む。1つ以上の実施形態では、材料AおよびBは、異なる材料であり、0.01より大きいnAとnBの大きさの差がある。吸収体層のスタックは、N個の周期を含む。いくつかの実施形態では、Nは、1から20、2から15、2から10、2から9、2から6、または2から5の範囲にある。吸収体の厚さtabs=N*tP+tTLである。1つ以上の実施形態によれば、「周期的」とは、周期が少なくとも1回同一に繰り返されることを指し、これは、層420bの厚さおよび組成が層420dと同一であり、層420cの厚さが層420eと同一であることを意味する。
【0064】
[0069]一実施形態では、複数の反射層対は、モリブデン(Mo)含有材料およびケイ素(Si)含有材料から選択される材料から作製され、材料Aおよび材料Bは、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、コバルト(Co)、銅(Cu)、銀(Ag)、アクチニウム(Ac)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)、炭素(C)、ガリウム(Ga)、およびホウ素(B)、ならびにそれらの合金、炭化物、ホウ化物、窒化物、ケイ化物、および酸化物からなる群から選択される材料から作製される。
【0065】
[0070]1つ以上の実施形態によれば、調整層420aは、材料Aまたは材料Bを含み、tとは異なる厚さを有し、厚さを調整することにより、調整可能な吸収度が吸収体に提供される。いくつかの実施形態では、吸収体の厚さtabsは、5nmより大きく30nm未満、25nm未満、24nm未満、23nm未満、22nm未満、21nm未満、または20nm未満である。1つ以上の実施形態では、材料Aが、AgまたはSbを含み、材料Bが、Te、Ta、またはGeを含む。1つ以上の実施形態では、材料Aが、AgまたはGaSbを含み、材料Bが、ZnTeを含む。
【0066】
[0071]1つ以上の実施形態では、tは、1nmから5nmの範囲にあり、tは、1nmから5nmの範囲にある。1つ以上の実施形態では、吸収体層420b、420c、420dおよび420eのそれぞれが、0.1nmから10nmの範囲、例えば、1nmから5nmの範囲、または1nmから3nmの範囲の厚さを有する。1つ以上の特定の実施形態では、調整層420aの厚さは、1nmから7nm、1nmから6nm、1nmから5nm、1nmから4nm、1nmから3nm、または1nmから2nmの範囲である。
【0067】
[0072]1つ以上の実施形態によれば、吸光度により、および吸収層の多層スタックからの光との相殺的干渉によって引き起こされる位相変化により、極紫外線が吸収されるように、異なる吸収体材料および吸収体層の厚さが選択される。図5に示される実施形態は、2つの吸収体層対または2つの周期、420b/420cおよび420d/420eを示しているが、本開示は、特定の数の吸収体層対または周期に限定されない。1つ以上の実施形態によれば、EUVマスクブランク400は、1から10、1から9、または5から60の範囲の吸収体層対を含むことができる。
【0068】
[0073]1つ以上の実施形態によれば、吸収体層は、2%未満の反射率および他のエッチング特性を提供する厚さを有する。供給ガスを使用して、吸収体層の材料特性をさらに変更することができ、例えば、窒素(N)ガスを使用して、上記で提供された材料の窒化物を形成することができる。1つ以上の実施形態による吸収体層の多層スタックは、EUV光が、吸光度によって吸収されるだけでなく、より良いコントラストを提供するために、下にある多層スタック反射材料からの光と相殺的に干渉する多層吸収体スタックによって引き起こされる位相変化によって吸収されるような、異なる材料の個々の厚さの反復パターンである。
【0069】
[0074]本開示の別の態様は、基板上に反射層の多層スタックを形成することであって、反射層の多層スタックは、複数の反射層対を含む、形成することと、反射層の多層スタック上にキャッピング層を形成することと、調整層と吸収体層のスタックを含む吸収体を形成することであって、キャッピング層上に調整層を形成することを含み、調整層は、調整層厚さtTLを有する、形成することと、キャッピング層上に吸収体層のスタックを形成することであって、吸収体層のスタックは、厚さtおよび屈折率nを有する第1の材料Aならびに厚さtおよび屈折率nを有する第2の材料Bの周期的二重層を含み、各二重層は、厚さt=t+tを有する周期を定め、材料AおよびBは、異なる材料であり、0.01より大きいnとnの大きさの差があり、吸収体層のスタックは、N個の周期を含み、吸収体の厚さが、tabs=N*t+tTLである、形成することと、を含む、極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する方法に関する。
【0070】
[0075]この方法のいくつかの実施形態では、複数の反射層対は、モリブデン(Mo)含有材料およびケイ素(Si)含有材料から選択される材料から作製され、材料Aおよび材料Bは、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、コバルト(Co)、銅(Cu)、銀(Ag)、アクチニウム(Ac)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)、炭素(C)、ガリウム(Ga)、およびホウ素(B)、ならびにそれらの合金、炭化物、ホウ化物、窒化物、ケイ化物、および酸化物からなる群から選択される材料から作製される。この方法のいくつかの実施形態では、調整層は、材料Aまたは材料Bを含み、tとは異なる厚さを有し、厚さを調整することにより、調整可能な吸収度が吸収体に提供される。
【0071】
[0076]この方法のいくつかの実施形態では、tabsは、30nm未満である。特定の方法の実施形態では、材料Aは、AgまたはSbを含み、材料Bは、Te、Ta、またはGeを含む。他の特定の方法の実施形態では、材料Aは、AgまたはGaSbを含み、材料Bは、ZnTeを含む。いくつかの方法の実施形態では、tは、1nmから5nmの範囲にあり、tは、1nmから5nmの範囲にある。いくつかの方法の実施形態では、Nは、1から10の範囲にある。
【0072】
[0077]別の特定の方法の実施形態では、異なる吸収体層は、第1の吸収体材料を含む第1のカソードと第2の吸収体材料を含む第2のカソードとを有する物理気相堆積チャンバ内で形成される。ここで図6を参照すると、一実施形態による、マルチカソードソースチャンバ500の上部が示されている。第1のマルチカソードチャンバ500は、上部アダプタ504が被せられた円筒形の本体部分502を備えたベース構造501を含む。上部アダプタ504は、上部アダプタ204の周りに配置された、カソードソース506、508、510、512、および514などのいくつかのカソードソースのための設備を有する。
【0073】
[0078]マルチカソードソースチャンバ500は、図3に示されるシステムの一部であり得る。一実施形態では、極紫外線(EUV)マスクブランク製造システムは、真空を生成するための基板ハンドリング真空チャンバ、基板ハンドリング真空チャンバ内にロードされた基板を真空内で搬送するための基板ハンドリングプラットフォーム、および本明細書に記載されるような、EUVマスクブランクを形成するための、基板ハンドリングプラットフォームによってアクセスされる複数のサブチャンバを含む。このシステムを使用して、図4または図5に関して示されたEUVマスクブランクであって、上記の図4または図5に関して説明されたEUVマスクブランクに関して説明された特性のいずれかを有するEUVマスクブランクを作製することができる。
【0074】
[0079]次に、吸収体の特定の非限定的な構成について説明する。第1の構成では、周期的二重層は、2.8nmの厚さを有するTeの調整層上に、3nmの厚さを有するAgを含む材料Aおよび4nmの厚さを有するTeを含む材料Bの3周期を含む。調整層ならびに3周期の材料層Aおよび材料層Bを含む吸収体は、全体の厚さが23.8nmである。13.40~13.67nmの波長範囲での最大反射率は0.9%であると確定された。
【0075】
[0080]第2の構成では、周期的二重層は、4.4nmの厚さを有するSbの調整層上に、3nmの厚さを有するSbを含む材料Aおよび4nmの厚さを有するTaを含む材料Bの3周期を含む。調整層ならびに3周期の材料層Aおよび材料層Bを含む吸収体は、全体の厚さが25.4nmである。13.40~13.67nmの波長範囲での最大反射率は1.8%であると確定された。
【0076】
[0081]第3の構成では、周期的二重層は、1.5nmの厚さを有するSbの調整層上に、3nmの厚さを有するSbを含む材料Aおよび4nmの厚さを有するGeを含む材料Bの4周期を含む。調整層ならびに4周期の材料層Aおよび材料層Bを含む吸収体は、全体の厚さが29.5nmである。13.40~13.67nmの波長範囲での最大反射率は1.9%であると確定された。
【0077】
[0082]第4の構成では、周期的二重層は、2.4nmの厚さを有するZnTeの調整層上に、3nmの厚さを有するAgを含む材料Aおよび4nmの厚さを有するZnTeを含む材料Bの3周期を含む。調整層ならびに3周期の材料層Aおよび材料層Bを含む吸収体は、全体の厚さが23.4nmである。13.40~13.67nmの波長範囲での最大反射率は1.6%であると確定された。
【0078】
[0083]第5の構成では、周期的二重層は、2.6nmの厚さを有するZnTeの調整層上に、3nmの厚さを有するGaSbを含む材料Aおよび4nmの厚さを有するZnTeを含む材料Bの3周期を含む。調整層ならびに3周期の材料層Aおよび材料層Bを含む吸収体は、全体の厚さが23.6nmである。13.40~13.67nmの波長範囲での最大反射率は1.5%であると確定された。
【0079】
[0084]上記の5つの構成のそれぞれが、13.40~13.67nmの波長範囲で7.5%の最大反射率を示した、厚さが30nmの単層TaN吸収体と比べて勝っている。TaN単層を厚くして47nmにすると、13.40~13.67nmの波長範囲で2.2%の最大反射率が得られた。2%未満の反射率を得るために、TaN単層は、48nmの厚さで作製され、これは、13.40~13.67nmの波長範囲で1.6%の最大反射率を示した。
【0080】
[0085]したがって、本開示の実施形態は、交互の吸収体材料AおよびBの周期的スタックの下の調整層の厚さを制御することによって調整することができる調整可能な吸収度を有する積み重ねられた吸収体を提供する。例えば、Sb調整層は、3.7nmから5.7nmまでの間で変化することができる。調整層の厚さを変えることにより、最大吸収度の波長を線形に調整することができる。調整層ならびに第1の材料層Aおよび第2の材料層Bの周期的二重層を含む本明細書に記載の吸収体構造は、幅広く選択された材料がEUVマスクブランクの厳しい仕様を満たすことを可能にする。詳細には、30nm未満または25nm未満の全体の厚さ(調整層の厚さプラス複数の二重層の厚さ)を有する高吸収効率の吸収体が、1つ以上の実施形態に従って提供される。
【0081】
[0086]本明細書全体を通して「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、材料、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所での「1つ以上の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」または「実施形態において」などの句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0082】
[0087]本明細書の開示は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態は、本開示の原理および適用の単なる例示であることが理解されるべきである。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に様々な修正および変形を行うことができることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内である修正および変形を含むことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6