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特許7295849タングステンバフ用途のための表面処理研削粒子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】タングステンバフ用途のための表面処理研削粒子
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230614BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20230614BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20230614BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550D
C09G1/02
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020519089
(86)(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018054079
(87)【国際公開番号】W WO2019070793
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】15/723,886
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】チー ツイ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ホーリン
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ピー.ドッカリー
(72)【発明者】
【氏名】パンカージ ケー.シン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン フン-ツォン
(72)【発明者】
【氏名】チーエン チー-シェン
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-524918(JP,A)
【文献】特開2014-051576(JP,A)
【文献】特表2017-527446(JP,A)
【文献】特表2014-532305(JP,A)
【文献】特表2005-518091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09K 3/14
C09G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨組成物であって、
(a)前記研磨組成物のpHで正に帯電していて、セリア、チタニア、ジルコニア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される研削材であって、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されているか、またはスルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されている、研削材と、
(b)酸化剤と、
(c)水と、を含み、
前記研磨組成物が約2~約5のpHを有する、化学機械研磨組成物。
【請求項2】
前記コポリマーが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸モノマー単位およびアクリル酸モノマー単位からなる、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項3】
前記研磨組成物が、2-アミノエチルホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸、α-メチルホスホノコハク酸、およびそれらの組み合わせから選択される有機ホスホン酸をさらに含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項4】
前記酸化剤が、第二鉄イオンを含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項5】
前記酸化剤が、過酸化水素をさらに含む、請求項4に記載の研磨組成物。
【請求項6】
前記研磨組成物が、アミノ酸をさらに含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項7】
前記アミノ酸が、グリシン、リジン、アルギニン、またはアラニンである、請求項6に記載の研磨組成物。
【請求項8】
化学機械研磨組成物であって、
(a)前記研磨組成物のpHで正に帯電しているアルミナ研削材であって、前記アルミナ研削材が、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されているか、または前記アルミナ研削材が、スルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されている、アルミナ研削材と、
(b)酸化剤と、
(c)有機ホスホン酸と、
(d)水と、を含み、
前記研磨組成物が約2~約5のpHを有する、化学機械研磨組成物。
【請求項9】
前記コポリマーが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸モノマー単位およびアクリル酸モノマー単位からなる、請求項8に記載の研磨組成物。
【請求項10】
前記有機ホスホン酸が、2-アミノエチルホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸、α-メチルホスホノコハク酸、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項8に記載の研磨組成物。
【請求項11】
前記酸化剤が、第二鉄イオンを含む、請求項8に記載の研磨組成物。
【請求項12】
前記酸化剤が、過酸化水素をさらに含む、請求項11に記載の研磨組成物。
【請求項13】
前記研磨組成物が、アミノ酸をさらに含む、請求項8に記載の研磨組成物。
【請求項14】
前記アミノ酸が、グリシン、リジン、アルギニン、またはアラニンである、請求項13に記載の研磨組成物。
【請求項15】
基板を化学機械研磨する方法であって、
(i)基板を提供することと、
(ii)研磨パッドを提供することと、
(iii)
(a)前記研磨組成物のpHで正に帯電していて、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される研削材であって、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されているか、またはスルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されている、研削材と、
(b)酸化剤と、
(c)水と、を含む化学機械研磨組成物を提供することであって、
前記研磨組成物が約2~約5のpHを有する、化学機械研磨組成物を提供することと、
(iv)前記基板を前記研磨パッドおよび前記化学機械研磨組成物と接触させることと、
(v)前記研磨パッドおよび前記化学機械研磨組成物を前記基板に対して動かして、前記基板の少なくとも一部を研削して、前記基板を研磨することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記コポリマーが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸モノマー単位およびアクリル酸モノマー単位からなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸モノマー単位とアクリル酸モノマー単位とのモル比の範囲が10:1~1:10である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記コポリマーが、アクリル酸エステルモノマー単位またはアリール基を含むモノマー単位を含まない、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記研磨組成物が、2-アミノエチルホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸、α-メチルホスホノコハク酸、およびそれらの組み合わせから選択される有機ホスホン酸をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記酸化剤が、第二鉄イオンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記酸化剤が、過酸化水素をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記研磨組成物が、アミノ酸をさらに含む、請求項15に記載の方法
【請求項23】
前記アミノ酸が、グリシン、リジン、アルギニン、またはアラニンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記基板が、タングステンまたはコバルトの少なくとも1つの層および酸化ケイ素の少なくとも1つの層を含み、前記タングステンまたはコバルトの少なくとも一部および前記酸化ケイ素の少なくとも一部が研削されて、前記基板を研磨する、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記基板がさらにTiNを含み、前記TiNの少なくとも一部が研削されて、前記基板を研磨する、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
化学機械研磨(CMP)組成物および基板の表面を研磨(または平坦化)する方法は、当技術分野で周知である。半導体基板上の金属層(タングステンなど)を研磨するための研磨組成物(研磨スラリー、CMPスラリー、およびCMP組成物としても知られている)には、水溶液に懸濁した研削粒子および酸化剤、キレート剤、触媒などの化学促進剤が含まれ得る。
【0002】
従来のCMP操作では、研磨される基板(ウェハ)は、キャリア(研磨ヘッド)上に取り付けられ、次にキャリアはキャリアアセンブリ上に取り付けられ、CMP装置(研磨工具)の研磨パッドと接触して配置される。キャリアアセンブリは、制御可能な圧力を基板に提供し、基板を研磨パッドに押し付ける。基板およびパッドは、外部からの駆動力によって相互に動く。基板およびパッドの相対運動により、材料の一部が研削されて基板の表面から除去され、それにより基板が研磨される。パッドおよび基板の相対運動による基板の研磨は、研磨組成物の化学的活性により(例えば、CMP組成物中に存在する酸化剤およびその他の化合物により)、および/または研磨組成物に懸濁した研削材の機械的活性によりさらに支援され得る。
【0003】
典型的なタングステンプラグおよび相互接続プロセスでは、タングステンが誘電体上および誘電体内に形成された開口部内に堆積される。誘電体層上の余分なタングステンは、その後、CMP操作中に除去され、誘電体内にタングステンプラグおよび相互接続が形成される。バルクタングステンの除去に続いて、基板表面をバフ研磨工程に供し、細片を除去することで表面に対してより均一なトポロジーを提供する。タングステンプラグおよび相互接続などの基板フィーチャ内の侵食は、フィーチャ内からの過剰な金属除去であり、非平坦性につながるため、最小限に抑えるか、より好ましくは元に戻す必要さえあるため、バフ研磨への要求は厳しい。バフ研磨工程は、タングステン、誘電体、および窒化ケイ素などのバリア材料などの2つ以上の異なる材料の研磨を伴いり、それ故、適切な表面トポグラフィを実現するには、さまざまな材料の除去速度の適切なバランスが必要である。
【0004】
したがって、侵食を最小限に抑えるかまたは元に戻す一方で、良好な表面トポグラフィおよび平坦性を提供するタングステンバフ研磨用途のための新しい研磨方法および組成物を開発する継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、(a)セリア、チタニア、ジルコニア、およびその組み合わせからなる群から選択される研削材であって、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されているか、またはスルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されている、研削材と、(b)酸化剤と、(c)水と、を含み、研磨組成物が約2~約5のpHを有する、化学機械研磨組成物を提供する。
【0006】
本発明はまた、(a)アルミナ研削材であって、アルミナが、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されているか、またはアルミナが、スルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されている、アルミナ研削材と、(b)酸化剤と、(c)有機ホスホン酸と、(d)水と、を含み、研磨組成物が約2~約5のpHを有する、化学機械研磨組成物を提供する。
【0007】
本発明はさらに、(i)基板を提供することと、(ii)研磨パッドを提供することと、(iii)(a)アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、およびその組み合わせからなる群から選択される研削材であって、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されているか、またはスルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されている、研削材と、(b)酸化剤と、(c)水と、を含む化学機械研磨組成物を提供することであって、研磨組成物が約2~約5のpHを有する、化学機械研磨組成物を提供することと、(iv)基板を研磨パッドおよび化学機械研磨組成物と接触させることと、(v)研磨パッドおよび化学機械研磨組成物を基板に対して動かして、基板の少なくとも一部を研削して、前記基板を研磨することと、を含む、基板を化学機械研磨する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態による、時間の関数としての表面被覆ジルコニアおよび過酸化水素を含む研磨組成物の粒子サイズおよびゼータ電位を示す。
図2】本発明の実施形態による、時間の関数としての表面被覆ジルコニアおよび過酸化水素を含む研磨組成物の過酸化水素レベルを示す。
図3】pHの関数としての表面被覆セリア研削材の分散液の粒子サイズとゼータ電位を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、(a)セリア、チタニア、ジルコニア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面コーティングされているか、または、スルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されている、研削材と、(b)酸化剤と、(c)水と、を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなり、研磨組成物が約2~約5のpHを有する化学機械研磨組成物を提供する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、(a)アルミナ研削材であって、アルミナが、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面コーティングされているか、または、アルミナが、スルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されている、アルミナ研削材と、(b)酸化剤と、(c)有機ホスホン酸と、(d)水と、を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなり、研磨組成物が約2~約5のpHを有する化学機械研磨組成物を提供する。
【0011】
研磨組成物は、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される研削材を含み、研削材は、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面コーティングされているか、または、研削材は、スルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されている。研削材は、任意の適切な平均サイズ(すなわち、平均粒径)を有することができる研削粒子で構成される。当業者によって理解されるように、平均粒径は、重量平均粒子サイズ(Dw)を指す。研削粒子の平均粒径が小さすぎる場合、研磨組成物は十分な除去率を示さない場合がある。対照的に、研削粒子の平均粒子サイズが大きすぎる場合、研磨組成物は、例えば、基板欠陥がひどいなどの望ましくない研磨性能を示す場合がある。したがって、研削粒子は、約10nm以上、例えば、約15nm以上、約20nm以上、約30nm以上、約40nm以上、約50nm以上、約60nm以上、約70nm以上、約80nm以上、約90nm以上、または約100nm以上の平均粒子サイズを有することができる。代替的に、または追加的に、研削粒子は、約1,000nm以下、例えば、約750nm以下、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、または約200nm以下の平均粒子サイズを有することができる。したがって、研削粒子は、前述の端点のいずれか2つで区切られた範囲の平均粒子サイズを有することができる。例えば、研削粒子は、約10nm~約1,000nm、約20nm~約750nm、約30nm~約500nm、約40nm~約400nm、約50nm~約300nm、約60nm~約300nm、約70nm~約300nm、約80nm~約300nm、約90nm~約300nm、または約100nm~約200nmの平均粒子サイズを有することができる。研削粒子の粒子サイズは、任意の適切な技術を使用して、例えばレーザー回折技術を使用して測定できる。適切な粒子サイズ測定機器は、例えば、Malvern Instruments(Malvern、英国)から入手可能である。
【0012】
研磨組成物は、任意の適切な濃度の研削材を含むことができる。本発明の研磨組成物が研削材をほとんど含まない場合、組成物は十分な除去率を示さない場合がある。対照的に、研磨組成物が過剰な研削材を含む場合、組成物は望ましくない研磨性能を示し、傷などの表面欠陥を招き、費用効果がなく、および/または安定性を欠く場合がある。研磨組成物は、約10重量%以下、例えば、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下または約5重量%以下の研削材を含むことができる。代替的に、または追加的に、研磨組成物は、約0.1重量%以上、例えば、約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、約0.4重量%以上、約0.5重量%以上、または約1重量%以上の研削材を含むことができる。したがって、研磨組成物は、前述の端点のいずれか2つによって区切られた範囲の濃度で研削材を含むことができる。例えば、研磨組成物は、約0.1重量%~約10重量%の研削材、例えば、約0.1重量%~約9重量%の研削材、約0.1重量%~約8重量%の研削材、約0.1重量%~約7重量%の研削材、約0.1重量%~約6重量%の研削材、約0.1重量%~約5重量%の研削材、約0.1重量%~約5重量%の研削材、約0.2重量%~約5重量%の研削材、約0.3重量%~約5重量%研削材、約0.4重量%~約5重量%の研削材、約0.5重量%~約5重量%の研削材、約0.6重量%~約5重量%の研削材、約0.7重量%~約5重量%の研削材、約0.8重量%~約5重量%の研削材、約0.9重量%~約5重量%の研削材、または約1重量%~約5重量%の研削材を含むことができる。
【0013】
典型的に、研削材はカチオン性研削粒子を含む。好ましくは、研削粒子は、≧4のpH、より好ましくは≧6のpHで等電点を有する。望ましくは、研削粒子は、研磨組成物のpHで正に帯電している。
【0014】
研磨組成物は、本明細書で「コポリマー」と呼ばれる、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせ、またはスルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを含むか、またはそれらからなるコポリマーを含む。好ましくは、コポリマーは、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせ、またはスルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせからなる。コポリマーは、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせ、またはスルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを含むか、またはそれらからなる任意の適切なコポリマーであり得る。適切なスルホン酸モノマー単位の非限定的な例には、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AMPS)、4-ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、3-スルホプロピルアクリレート、3-スルホプロピルメタクリレート、スチレンスルホン酸ナトリウム、および2-プロペン-1-スルホン酸、ならびにそれらの塩、それらの組み合わせなどが包含される。適切なカルボン酸モノマーの非限定的な例には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、コハク酸、テレフタル酸、アスパラギン酸、それらの組み合わせなどが包含される。適切なホスホン酸モノマーの非限定的な例には、ビニリデン-1,1-ジホスホン酸、ジメチル-p-ビニルベンジルホスホネート、ビニルホスホン酸、アンモニウムビスジエチルホスホネート(メタ)アクリレート、アクリルアミドホスホネートモノマー、それらの組み合わせなどの1つ以上の不飽和C=C結合を有するジホスホン酸またはポリホスホン酸が包含される。コポリマーは、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせ、またはスルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせの共重合により生成する必要はない。前駆体コポリマーの後重合プロセスと、それに続くコポリマーの、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位またはスルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを有するコポリマーへの転換により、適切なコポリマーを調製できることも考えられる。好ましくは、コポリマーは、アクリル酸エステルモノマー単位またはアリール基を含むモノマー単位を含まない。
【0015】
コポリマーは、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。好ましい実施形態では、コポリマーはランダムコポリマーである。
【0016】
コポリマーは、任意の適切な分子量を有し得る。コポリマーは、約500g/モル以上、例えば、約1,000g/モル以上、約2,000g/モル以上、約3,000g/モル以上、約4,000g/モル以上、約5,000g/モル以上、約6,000g/モル以上、約7,000g/モル以上、約8,000g/モル以上、約9,000g/モル以上、約10,000g/モル以上、約15,000g/モル以上、約20,000g/モル以上、約40,000/モル以上、または約50,000g/モル以上の平均分子量を有することができる。代替的に、または追加的に、コポリマーは、約100,000g/モル以下、例えば、約95,000g/モル以下、約90,000g/モル以下、約85,000g/モル以下、約80,000g/モル以下、約75,000g/モル以下、約70,000g/モル以下、約65,000g/モル以下、約60,000g/モル以下、約55,000g/モル以下、または約50,000g/モル以下の平均分子量を有することができる。したがって、コポリマーは、前述の端点のいずれか2つによって区切られた範囲の平均分子量を有することができる。例えば、コポリマーは、約1,000g/モル~約100,000g/モル、約1,000g/モル~約90,000g/モル、約1,000g/モル~約80,000g/モル、約1,000g/モル~約70,000g/モル、約1,000g/モル~約60,000g/モル、約1,000g/モル~約50,000g/モル、約2,000g/モル~約50,000g/モル、約3,000g/モル~約50,000g/モル、約4,000g/モル~約50,000g/モル、または約5,000g/モル~約50,000g/モルの平均分子量を有することができる。
【0017】
研磨組成物は、任意の適切な量のコポリマーを含む。コポリマーの量は、研磨組成物中に存在するコポリマーの全量を指す。研磨組成物は、約1ppm以上、例えば、約5ppm以上、約10ppm以上、約20ppm以上、約30ppm以上、約40ppm以上、または約50ppm以上のコポリマーを含むことができる。代替的に、または追加的に、研磨組成物は、約500ppm以下、例えば、約450ppm以下、約400ppm以下、約350ppm以下、約300ppm以下、約250ppm以下、約200ppm以下、約150ppm以下、または約100ppm以下のコポリマーを含むことができる。したがって、研磨組成物は、前述の端点のいずれか2つによって区切られた範囲の量でコポリマーを含むことができる。例えば、研磨組成物は、約1ppm~約500ppm、例えば、約5ppm~約450ppm、約10ppm~約400ppm、約10ppm~約350ppm、約10ppm~約300ppm、約10ppm~約250ppm、約10ppm~約200ppm、約10ppm~約100ppm、約10ppm~約90ppm、約10ppm~約80ppm、約10ppm~約70ppm、約10ppm~約60ppm、約10ppm~約50ppm、約10ppm~約40ppm、約20ppm~約300ppm、約20ppm~約250ppm、約20ppm~約200ppm、約20ppm~約150ppm、または約20ppm~約100ppmのコポリマーを含むことができる。
【0018】
別の実施形態では、研磨組成物は、研磨組成物中の研削材の重量に基づいた濃度でコポリマーを含む。例えば、研磨組成物は、研磨組成物中の研削材の重量に基づいて、約0.01重量%以上、例えば、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、例えば、約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、約0.4重量%以上、約0.5重量%重量に基づいて、約0.6重量%以上、約0.7重量%以上、約0.8重量%以上、約0.9重量%以上、または約1重量%以上のコポリマーを含むことができる。代替的に、または追加的に、研磨組成物は、研磨組成物中の研削材の重量に基づいて、約5重量%以下、例えば、約4.5重量%以下、約4重量%以下、約3.5重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、または約2重量%以下のコポリマーを含むことができる。したがって、研磨組成物は、前述の端点のいずれか2つによって区切られた範囲の研削材に対する重量比でコポリマーを含むことができる。例えば、研磨組成物は、研磨組成物中の研削材の重量に基づいて、約0.01重量%~約5重量%、例えば、約0.05重量%~約5重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.2重量%~約5重量%、約0.3重量%~約5重量%、約0.4重量%~約5重量%、約0.5重量%~約5重量%、約0.5重量%~約4.5重量%、約0.5重量%~約4重量%、約0.5重量%~約3.5重量%、約0.5重量%~約3重量%、約0.6重量%~約3重量%、約0.7重量%~約3重量%、約0.8重量%~約3重量%、約0.9重量%~約3重量%、または約1重量%~約3重量%のコポリマーを含むことができる。
【0019】
望ましくは、研削材はコポリマーで表面被覆されている。特定の理論に束縛されることを望まないが、研削材は、水素結合によりおよび/またはカチオン性研削粒子とコポリマーとの間の静電相互作用によりコポリマーで表面被覆されると考えられる。研削材を被覆するコポリマー表面の非限定的な一例は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸モノマー単位およびアクリル酸モノマー単位からなるコポリマーである。さらに、コポリマーは、10:1~1:10のモル比範囲で2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸モノマー単位およびアクリル酸モノマー単位を有することができるが、これらに限定されない。
【0020】
研削材は、任意の適切な方法で、コポリマーで表面被覆することができる。一実施形態では、研磨組成物に添加する前に、研削材は、任意に溶媒の存在下で、コポリマーで処理される。研削材は、別の工程で、水中で表面被覆して表面被覆研削材の分散液を形成し、得られた表面被覆研削材の分散液を研磨組成物の調製に使用することができる。いくつかの実施形態において、研削材は、溶媒の非存在下、または研磨組成物の水以外の溶媒の存在下、または研磨組成物の水と組み合わせた追加の溶媒中で表面被覆することができる。追加の溶媒は、例えば共沸蒸留により除去して、追加の溶媒を実質的に含まない水中に表面被覆研削材の分散液を提供してもよい。他の実施形態では、表面被覆研削材は、研磨組成物の調製に使用する前に、ろ過、遠心分離、噴霧乾燥、または任意の適切な技術により、実質的に乾燥した材料、すなわち、溶媒を実質的に含まないものとして分離することができる。さらに他の実施形態において、表面被覆研削材は、研削材およびコポリマーを研磨組成物に組み合わせたときにその場で形成される。好ましい実施形態では、研削材の等電点以下のpHを有する水性媒体中で研削材とコポリマーとを組み合わせて研削材およびコポリマーの水性分散液を形成することにより、表面被覆研削材を形成し、その後、研削材およびコポリマーの水性分散液を、水性分散液が完全に混合するような条件に供する。一実施形態では、水性分散液を高せん断混合に供する。
【0021】
表面被覆研削粒子は、本発明の研磨組成物中でコロイド的に安定であることが好ましい。コロイドという用語は、液体キャリア(例えば、水)中の表面被覆研削粒子の懸濁液を指す。コロイド安定性とは、その懸濁液の経時的な維持を指す。本発明の文脈において、表面被覆研削材を100mLのメスシリンダーに投入し、2時間撹拌せずに放置した際に、メスシリンダーの底部50mLの粒子の濃度(g/mLで換算した[B])と、メスシリンダーの上部50mLの粒子の濃度(g/mLで換算した[T])との差を研削材組成物の粒子の初期濃度(g/mLで換算した[C])で割った値が0.5以下(つまり、{[B]-[T]}/[C]≦0.5)であれば、表面被覆研削材はコロイド安定性であるとみなされる。より好ましくは、[B]-[T]/[C]の値は0.3以下であり、最も好ましくは0.1以下である。
【0022】
研磨組成物は酸化剤を含む。酸化剤は、任意の適切な酸化剤であり得る。特定の実施形態において、酸化剤は第二鉄イオンを含む。第二鉄イオンは、任意の適切な第二鉄イオン源によって提供され得る。いくつかの実施形態では、酸化剤は金属の塩を含むことができる。例えば、第二鉄イオンは、硝酸イオン(例えば、硝酸第二鉄)、シアン化物イオン(例えば、第二鉄アニオン)などの無機アニオンを含む第二鉄塩によって提供され得る。酸化剤はまた、酢酸塩、アセチルアセトネート、クエン酸塩、グルコン酸塩、シュウ酸塩、フタレート、およびコハク酸塩、ならびにそれらの混合物などの有機鉄(III)化合物を含むことができるが、これらに限定されない。他の実施形態では、酸化剤はオキシ含有酸化剤であり得る。適切なオキシ含有酸化剤の非限定的な例には、過硫酸塩、臭素酸過硫酸塩、ヨウ素酸過硫酸塩、過臭素酸塩過硫酸塩、過ヨウ素酸塩過硫酸塩、例えば過酢酸、オキソンなどの有機ペルオキシ化合物などが含まれる。
【0023】
研磨組成物は、任意の適切な量の酸化剤を含むことができる。研磨組成物は、約1ppm以上、例えば、約5ppm以上、約25ppm以上、約50ppm以上、約75ppm以上、または約100ppm以上の酸化剤を含むことができる。代替的に、または追加的に、研磨組成物は、約2000ppm以下、例えば、約1500ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、または約250ppm以下の酸化剤を含むことができる。
【0024】
研磨組成物は、任意に過酸化水素をさらに含む。任意の過酸化水素は、研磨組成物中に任意の適切な量で存在し得る。例えば、研磨組成物は、約0.1重量%~約10重量%、例えば約0.5重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約5重量%の過酸化水素を含むことができる。
【0025】
研磨組成物は、任意に有機ホスホン酸をさらに含む。有機ホスホン酸は、任意の適切な有機ホスホン酸であり得る。適切な有機ホスホン酸の非限定的な例には、2-アミノエチルホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、l-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸、α-メチルホスホノコハク酸、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0026】
研磨組成物は、任意の適切な量の有機ホスホン酸を含むことができる。研磨組成物は、約0.01重量%以上の有機ホスホン酸、例えば、約0.02重量%以上、約0.03重量%以上、約0.04重量%以上、約0.05重量%以上、約0.06重量%以上、約0.07重量%以上、約0.08重量%以上、約0.09重量%以上、または約0.1重量%以上の有機ホスホン酸を含むことができる。代替的に、または追加的に、研磨組成物は、約2重量%以下、例えば、約1.9重量%以下、約1.8重量%以下、約1.7重量%以下、約1.6重量%以下、約1.5重量%以下、約1.4重量%以下、約1.3重量%以下、約1.2重量%以下、約1.1重量%以下、または約1重量%以下の有機ホスホン酸を含むことができる。したがって、研磨組成物は、前述の端点のいずれか2つによって区切られた範囲の濃度で有機ホスホン酸を含むことができる。例えば、研磨組成物は、有機ホスホン酸を約0.01重量%~約2重量%、約0.01重量%~約1重量%、約0.02重量%~約1重量%、約0.03重量%~約1重量%、約0.04重量%~約1重量%、約0.05重量%~約0.5重量%、または約0.1重量%~約0.5重量%含むことができる。
【0027】
研磨組成物が表面被覆アルミナを含む場合、酸化ケイ素およびタングステンを含む基板を研磨するのに使用される場合、有機ホスホン酸は、タングステンに対する酸化ケイ素の除去率を望ましく増加させる。
【0028】
研磨組成物は、任意に、アミノ酸をさらに含む。アミノ酸は、任意の適切なアミノ酸であり得る。適切なアミノ酸の非限定的な例には、グリシン、アラニン、リジン、およびアルギニンが含まれる。
【0029】
研磨組成物は、約2~約6のpHを有する。したがって、研磨組成物は、約2以上、例えば、約2.2以上、約2.4以上、約2.6以上、約2.8以上、約3.0以上、約3.2以上、または約3.4以上のpHを有することができる。代替的に、または追加的に、研磨組成物は、約6以下、例えば、約5.8以下、約5.6以下、約5.4以下、約5.2以下、約5以下、約4.8以下、約4.6以下、約4.4以下、約4.2以下、または約4.0以下のpHを有することができる。したがって、研磨組成物は、前述の端点のいずれか2つで区切られた範囲内のpHを有することができる。例えば、研磨組成物は、約2~約6、例えば、約2.2~約6、約2.2~約5.8、約2.4~約5.8、約2.4~約5.6、約2.4~約5.4、約2.4~約5.2、約2.6~約5.0、約2.4~約4.8、約2.4~約4.6、約2.4~約4.4、約2.4~約4.2、または約2.4~約4のpHを有することができる。
【0030】
研磨組成物のpHは、任意の適切な酸または塩基を使用して調整できる。適切な酸の非限定的な例には、硝酸、硫酸、リン酸、ならびにギ酸および酢酸のような有機酸が含まれる。適切な塩基の非限定的な例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化アンモニウムが含まれる。
【0031】
研磨組成物は、任意に、緩衝剤をさらに含む。緩衝剤は、研磨組成物を本明細書に記載のpHに維持することができる任意の適切な緩衝剤であり得る。適切な緩衝剤の非限定的な例には、ギ酸、マロン酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、およびリン酸が含まれる。
【0032】
化学機械研磨組成物は、任意に、1つ以上の添加剤をさらに含む。例示的な添加剤には、調整剤、酸(例えば、スルホン酸)、錯化剤(例えば、アニオン性高分子錯化剤)、キレート剤、殺生物剤、スケール防止剤、分散剤などが含まれる。
【0033】
殺生物剤は、存在する場合、任意の適切な殺生物剤であり得、研磨組成物中に任意の適切な量で存在し得る。適切な殺生物剤は、イソチアゾリノン殺生物剤である。研磨組成物中の殺生物剤の量は、典型的に、約1ppm~約500ppm、好ましくは約10ppm~約125ppmである。
【0034】
研磨組成物は、その多くが当業者には既知である任意の好適な技術によって調製することができる。研磨組成物は、バッチプロセスまたは連続プロセスで調製することができる。一般に、研磨組成物は、その成分を任意の順序で組み合わせることにより調製することができる。本明細書で使用される場合、「成分」という用語は、個々の材料(例えば、表面被覆研削材、コポリマー、酸化剤、任意の過酸化水素、任意の有機ホスホン酸、任意のアミノ酸、任意の緩衝剤、任意のpH調整剤など)、ならびに、材料の任意の組み合わせ(例えば、表面被覆研削材、コポリマー、酸化剤、任意の過酸化水素、任意の有機ホスホン酸、任意のアミノ酸、任意の緩衝剤、オプションのpH調整剤など)を含む。
【0035】
例えば、研削材は水に分散させることができる。それから、コポリマー、酸化剤、任意の過酸化水素、任意の有機ホスホン酸、任意のアミノ酸、任意の緩衝剤、および任意のpH調整剤を、成分を研磨組成物に組み込むことができる任意の方法により、添加および混合することができる。酸化剤および/または任意の過酸化水素は、研磨組成物の調製中のいずれの時点でも添加することができる。代替的に、別個に、研削材をコポリマーで表面被覆し、表面被覆研削材を水に入れるか、または水に分散させた後、酸化剤、任意の過酸化水素、任意の有機ホスホン酸、任意のアミノ酸、任意の緩衝剤、および任意のpH調整剤を添加し、そして研磨組成物に成分を組み込むことができる任意の方法により混合することができる。研磨組成物は、使用直前に、酸化剤および/または任意の過酸化水素などの1つ以上の成分を研磨組成物に添加して使用前に調製することができる(例えば、使用前の約1分以内、または使用前の約1時間以内、または使用前の約7日以内)。研磨組成物はまた、研磨作業中に基板の表面で成分を混合することによっても調製することができる。
【0036】
研磨組成物は、表面被覆研削材、酸化剤、任意の過酸化水素、任意の有機ホスホン酸、任意のアミノ酸、任意の緩衝剤、および任意のpH調整剤ならびに水を含むワンパッケージシステムとして供給できる。別の実施形態では、研磨組成物は、研削材、コポリマー、酸化剤、任意の過酸化水素、任意の有機ホスホン酸、任意のアミノ酸、任意の緩衝剤、および任意のpH調整剤ならびに水を含むワンパッケージシステムとして供給することができる。代替的に、表面被覆研削材を第1の容器中に水中分散液として供給することができ、酸化剤、任意の過酸化水素、任意の有機ホスホン酸、任意のアミノ酸、任意の緩衝剤、および任意のpH調整剤ならびに水を第2の容器中に乾燥した形態で、または水溶液もしくは水中分散液として供給できる。代替的な実施形態において、研削材は、第1の容器中に水中分散液として供給でき、コポリマー、酸化剤、任意の過酸化水素、任意の有機ホスホン酸、任意のアミノ酸、任意の緩衝剤、および任意のpH調整剤ならびに水は、第2の容器中に乾燥した形態で、または水溶液もしくは水中分散液として供給できる。酸化剤および/または任意の過酸化水素は、望ましくは、研磨組成物の他の成分とは別個に供給され、例えば、エンドユーザーによって、使用直前に研磨組成物の他の成分と組み合わされる(例えば、使用前の1週間以内、使用前の1日以内、使用前の1時間以内、使用前の10分以内、または使用前の1分以内)。第1または第2の容器中の成分は乾燥形態であってもよく、他方の容器中の成分は水性分散液の形態であってもよい。さらに、第1および第2の容器中の成分が異なるpH値を有すること、あるいは実質的に同様の、または等しいpH値を有することも適切である。研磨組成物の成分の別の2つの容器、または3つ以上の容器の組み合わせは、当業者の知識の範囲内である。
【0037】
本発明の研磨組成物は、使用前に適切な量の水で希釈することを意図した濃縮物として提供することもできる。そのような実施形態では、研磨組成物の濃縮物は、酸化剤および/または任意の過酸化水素の有無にかかわらず、表面被覆研削材、任意の有機ホスホン酸、任意のアミノ酸、任意の緩衝剤、および任意のpH調整剤ならびに水を、濃縮物を適切な量の水で希釈した際に、過酸化水素が適切な量で既に存在していない場合、研磨組成物の各成分が、各成分について上で列挙した適切な範囲内の量で研磨組成物中に存在することになるような量で含むことができる。別の実施形態では、研磨組成物の濃縮物は、酸化剤および/または任意の過酸化水素の有無にかかわらず、研削材、コポリマー、任意の有機ホスホン酸、任意のアミノ酸、任意の緩衝剤、および任意のpH調整剤ならびに水を、濃縮物を適切な量の水で希釈した際に、過酸化水素が適切な量で既に存在していない場合、研磨組成物の各成分が、各成分について上で列挙した適切な範囲内の量で研磨組成物中に存在することになるような量で含むことができる。例えば、研削材、コポリマー、酸化剤、任意の有機ホスホン酸、任意のアミノ酸、任意の緩衝剤、および任意のpH調整剤、または表面被覆研削材、酸化剤、任意の過酸化水素、任意の有機ホスホン酸、任意のアミノ酸、任意の緩衝剤、および任意のpH調整剤は、それぞれ、適切な量の任意の過酸化水素と共に、濃縮物が等量の水で希釈された場合(例えば、2等量の水、3等量の水、または4等量の水)、各成分は、各成分について上記の範囲内の量で研磨組成物中に存在することになるように、各成分について上で列挙した濃度の約2倍(例えば、約3倍、約4倍、または約5倍)の量の濃度で存在することができる。その上、当業者には理解されるように、濃縮物は、他の成分が少なくとも部分的にまたは完全に濃縮物中に溶解することを確実にするために、最終研磨組成物中に存在する水の好適な部分を含有することができる。
【0038】
本発明はまた、基板を化学機械研磨する方法であって、(i)基板を提供することと、(ii)研磨パッドを提供することと、(iii)(a)アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、およびその組み合わせからなる群から選択される研削材であって、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されているか、またはスルホン酸モノマー単位およびホスホン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されている、研削材と、(b)酸化剤と、(c)水と、を含む化学機械研磨組成物を提供することであって、研磨組成物が約2~約5のpHを有する、化学機械研磨組成物を提供することと、(iv)基板を研磨パッドおよび化学機械研磨組成物と接触させることと、(v)研磨パッドおよび化学機械研磨組成物を基板に対して動かして、基板の少なくとも一部を研削して、基板を研磨することと、を含む、方法を提供する。好ましくは、基板は、基板の表面上にタングステンまたはコバルトの少なくとも1つの層および酸化ケイ素の少なくとも1つの層を含み、基板の表面上のタングステンまたはコバルトの少なくとも一部および基板の表面上の酸化ケイ素の少なくとも一部は研削され、それにより基板を研磨する。
【0039】
化学機械研磨組成物は、任意の適切な基板を研磨するために使用でき、タングステンまたはコバルトからなる少なくとも1つの層(典型的に、表面層)および少なくとも1つの酸化ケイ素層を含む基板の研磨に特に有用である。一実施形態では、基板は、窒化ケイ素(SiN)をさらに含む。一実施形態では、基板は窒化チタン(TiN)をさらに含み、基板の表面上のTiNの少なくとも一部を研磨し、それにより基板を研磨する。別の実施形態では、基板は、少なくとも1つのタングステン層、少なくとも1つの酸化ケイ素層、少なくとも1つのSiN層、および少なくとも1つのTiN層を含む。
【0040】
化学機械研磨組成物は、タングステンまたはコバルトおよび酸化ケイ素を含む基板の研磨後のバフ研磨工程での使用に特に適している。特定の実施形態において、基板は、例えば、シリコンウェハの表面上に酸化ケイ素層を含む基板上に表面フィーチャを形成することにより調製される。いくつかの実施形態では、表面フィーチャは、TiN(窒化チタン)などのバリア材料の層で被覆される。続いて、基板表面を、タングステンおよび/またはコバルトなどの回路形成材料の層で被覆し、タングステンおよび/またはコバルトの余剰を残して、表面フィーチャを充填する。表面の酸化ケイ素を露出するためにタングステンおよび/またはコバルトの余剰を初期研磨し、それにより酸化ケイ素の領域によって分離されたタングステンおよび/またはコバルトで充填された配線で構成された基板回路フィーチャを形成し、その後、バフ研磨工程を実行して、初期研磨工程から生じる表面欠陥を減らし、基板表面の傷や残留物を除去または減らすことができる。侵食とは、基板フィーチャ内のタングステンの過剰な除去を指し、非平坦な表面トポグラフィをもたらす。侵食を最小限に抑えるか、または減少させるために、研磨組成物は、基板表面のフィーチャからのタングステンおよび/またはコバルトの除去と、酸化ケイ素および/またはSiNおよび/またはTiNの除去とのバランスがとれて、最適化された表面トポグラフィをもたらすように最適化された材料除去率を示さなければならない。本発明の研磨組成物は、バフ研磨工程で侵食が最小限に抑えられるような、タングステンおよび/またはコバルトならびに酸化ケイ素および/またはSiNおよび/またはTiNの除去率を示す。
【0041】
同様に、酸化ケイ素は、任意の適切な酸化ケイ素であることができ、その多くの形態は当該分野で公知である。適切なタイプの酸化ケイ素には、TEOS、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)、PETEOS、熱酸化物、非ドープケイ酸塩ガラス、およびHDP酸化物が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
本発明の化学機械研磨組成物および方法は、化学機械研磨装置と共に使用するのに特に適している。典型的に、装置は、使用時に運動し、軌道運動、直線運動、または円運動から生じる速度を有するプラテン、プラテンと接触し、運動中にプラテンと共に動く研磨パッド、および基板に接触して研磨パッドの表面に対して基板を動かすことによって研磨する基板を保持するキャリアを含む。基板の研磨は、基板を、研磨パッドおよび本発明の研磨組成物と接触するように配置し、次に、研磨パッドを基板に対して動かして、基板の表面の少なくとも一部を研削して基板を研磨することによって行う。
【0043】
基板は、任意の適切な研磨パッド(例えば、研磨表面)を使用して化学機械研磨組成物で研磨することができる。好適な研磨パッドには、例えば、織布および不織布の研磨パッドが含まれる。さらに、好適な研磨パッドは、さまざまな密度、硬度、厚さ、圧縮率、圧縮時に反発する能力、および圧縮弾性率の任意の好適なポリマーを含むことができる。好適なポリマーには、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの成形製品、およびそれらの混合物を含み得る。軟質ポリウレタン研磨パッドは、本発明の研磨方法との併用において特に有用である。典型的なパッドには、SURFIN(商標)000、SURFIN(商標)SSW1、SPM3100(例えば、Eminess Technologiesから市販されている)、POLITEX(商標)、およびFujibo POLYPAS(商標)27(Fujibo H7000、H800、H600、H804などであるが、これらの例が実際に必要かどうかは確かではない)が含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
望ましくは、化学機械研磨装置は、現場で研磨の終点を検出するシステムをさらに備え、その多くは当技術分野で知られている。研磨する基板の表面から反射する光または他の放射を分析することによる研磨プロセスを検査および監視する技術は、当技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、米国特許5,196,353号、米国特許5,433,651号、米国特許5,609,511号、米国特許5,643,046号、米国特許5,658,183号、米国特許5,730,642号、米国特許5,838,447号、米国特許5,872,633号、米国特許5,893,796号、米国特許5,949,927号、および米国特許5,964,643号に開示されている。望ましくは、研磨する基板に関する研磨プロセスの進行の検査または監視により、研磨の終点の測定、すなわち特定の基板に関する研磨プロセスをいつ終了するかの決定が可能になる。
【0045】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、もちろん、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0046】
実施例1
この実施例は、本発明の実施形態に従って、表面被覆ジルコニア研削材を含み、さらに過酸化水素を含む研磨組成物の経時的なコロイド安定性を実証する。
【0047】
研磨組成物1Aは、アクリル酸-2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AA-AMPS)コポリマーで表面被覆された180nmの粒子サイズを有するジルコニアを5000ppm、マロン酸を1080ppm、硝酸第二鉄を500ppm、リジンを1000ppm、およびアルギニンを1000ppm含有し、pH3.0に調整した。研磨組成物IBは、研磨組成物1Aと同じ成分を含み、さらに1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸を含むDequest(商標)2010を0.1重量%含有していた。
【0048】
研磨組成物1Aおよび1Bに0.5重量%の過酸化水素を添加した。粒子サイズ、表面ゼータ電位、および過酸化水素の濃度は、過酸化水素濃度を過マンガン酸カリウムで滴定して測定しながら、7日間にわたって監視した。経時的な粒子サイズと表面ゼータ電位を図1にグラフで示す。過酸化水素濃度を図2にグラフで示す。
【0049】
研磨組成物1Aおよび1Bの両方について図1および図2に示される結果から明らかなように、粒子サイズ、表面ゼータ電位、および過酸化水素濃度は、7日間にわたって安定したままであった。
【0050】
実施例2
この実施例は、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されたアルミナ、ジルコニア、または酸化セリウム研削材を含む研磨組成物を用いて、タングステンでオーバーコートしたパターン化酸化ケイ素被覆ウェハのバフ研磨の侵食に対する効果を実証する。
【0051】
研磨組成物2A~2Cは、マロン酸を1080ppm、硝酸第二鉄を500ppm、リジンを1000ppm、およびアルギニンを1000ppm含有し、pH3.0に調整した。研磨組成物2A~2Cは、それぞれさらに、アクリル酸-2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AA-AMPS)コポリマーで表面被覆したアルミナ、ジルコニア、または酸化セリウムを5000ppm含んでいた。
【0052】
0.18×0.18μmのフィーチャを有する、タングステンでオーバーコートしたパターン化酸化ケイ素被覆ウェハを、Fujiboパッドを備えたMirraツールを使用して、10.3kPaのダウンフォースで、150mL/分のスラリー流量で最初に研磨した。パターン化ウェハは、タングステンの余剰を取り除いた後、30%過剰研磨まで研磨した。次に、パターン化ウェハを研磨組成物2A~2Cで30秒間バフ研磨した。侵食をバフ研磨の前後に測定し、差をデルタ侵食と呼んだ。結果を表1に示す。
【表1】
【0053】
表1に示した結果から明らかなように、AA-AMPSコポリマーで表面被覆したジルコニアを含む研磨組成物2Bは、AA-AMPSコポリマーで表面被覆したアルミナを含む研磨組成物2Bによって示されるデルタ侵食の約半分であるデルタ侵食を示した。AA-AMPSコポリマーで表面被覆した酸化セリウムを含む研磨組成物2Cは、約-6Åの負のデルタ侵食を示し、これは、研磨組成物2Cによるバフ研磨後の侵食の改善を示す。
【0054】
実施例3
この実施例は、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆されたアルミナ研削材を含む研磨組成物によって示されるTEOSおよび窒化ケイ素の除去率に対する有機ホスホン酸の効果を実証する。
【0055】
TEOSおよび窒化ケイ素(SiN)のブランケット層を含む別個の基板を、研磨組成物3Aおよび3Bで研磨した。研磨組成物3Aおよび3Bは、アクリル酸-2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AA-AMPS)コポリマーで表面被覆した、180nmの粒子サイズを有するアルミナを5000ppm、マロン酸を1080ppm、硝酸第二鉄を500ppm、リジンを1000ppm、およびアルギニンを1000ppm含有し、pH3.0に調整した。研磨組成物3Bは、さらに、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(すなわち、有機ホスホン酸)を含有するDequest(商標)2010を0.1重量%含有していた。研磨後、TEOSおよびSiNの除去率を測定した。結果を表2に示す。
【表2】
【0056】
表2に示した結果から明らかなように、有機ホスホン酸を含む研磨組成物3Bは、有機ホスホン酸を含んでいない研磨組成物3Aと比較して、TEOSについて3倍以上の除去率およびSiNについて3倍以上の除去率を示した。
【0057】
実施例4
この実施例は、アクリル酸-2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AA-AMPS)コポリマーがシリカではなくアルミナ上に表面被覆を形成することを実証する。平均粒子サイズ50nm、100nm、および120nmのコロイド状シリカの10%水性分散液を、Waring(商標)ブレンダーを使用して、24,000の分子量を有する1.6%のAA-AMPSコポリマーと高せん断で5分間混合した。各分散液の最終的なpHを3.0に調整した。得られた溶液を1時間静置した後、約80,000gの遠心力場で遠心分離した。上清をサンプリングし、残留AA-AMPSについてクロマトグラフィーにより分析した。50nm、100nm、および120nmのシリカ分散液のそれぞれについて、AA-AMPSコポリマーの100%が上清で回収された。100nmの粒子サイズを有するアルファアルミナを使用して同じ分析を行った場合、AA-AMPSの70%のみが回収され、その一方でAA-AMPSの30%がアルミナ粒子に表面結合していることがわかった。
【0058】
実施例5
この実施例は、AA-AMPSコポリマーで処理されたシリカとアルミナのコロイド安定性の比較を示す。
【0059】
50nm、100nm、および120nmの平均粒子サイズを有するコロイド状シリカの10%水性分散液、および100nmの粒子サイズを有するアルファアルミナの10%水性分散液を、実施例2に記載の24,000の分子量を有する1.6%のAA-AMPSコポリマーと5分間高せん断で混合した。分散液を、室温で7日間貯蔵した後、Malvern粒子サイズ測定器を使用して粒子サイズの変化を分析した。未処理のシリカおよびアルファアルミナの初期粒子サイズからの変化率として表される結果を表3に示す。
【表3】
【0060】
表3に示した結果から明らかなように、アルミナ粒子サイズはAA-AMPSコポリマーの存在下で完全に安定であったが、シリカは著しい粒子サイズの成長を経た。処理されたシリカ分散液はさらにコロイド不安定性を示した一方で、処理されたアルミナ分散液はコロイド不安定性を示さなかった。
【0061】
実施例6
この実施例は、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆したアルミナ研削材を含む研磨組成物を用いて、タングステンオーバーコートしたパターン化酸化ケイ素被覆ウェハのバフ研磨の侵食に対する効果を実証する。
【0062】
0.18×0.18μmのフェーチャを有する、タングステンでオーバーコートしたパターン化酸化ケイ素被覆ウェハを、Fujiboパッドを備えたMirraツールを使用してスラリー流量150mL/分で10.3kPaのダウンフォースで最初に研磨した。パターン化ウェハを、タングステンの余剰を取り除いた後、30%過剰研磨まで研磨した。次に、パターン化ウェハを、研磨組成物6Aおよび6Bで30秒間バフ研磨した。研磨組成物6Bは、l-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(すなわち、有機ホスホン酸)を含む0.1重量%のDequest(商標)2010を含む一方で、研磨組成物6Aは含んでいなかった。侵食を、バフ研磨の前後に測定し、差をデルタ侵食と呼んだ。結果を表4に示す。
【表4】
【0063】
表4に記載されていることから明らかなように、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面処理したアルミナ研削材を含み、さらに有機ホスホン酸を含む研磨組成物6Bは、有機ホスホン酸を含まない研磨組成物6Aよりも約3倍低いデルタ侵食を示した。
【0064】
実施例7
この実施例は、表面被覆したセリア研削材のみを含む研磨組成物の時間の関数としてのコロイド安定性を実証する。
【0065】
AA-AMPSコポリマーで表面被覆したセリアを2重量%含む水性混合物のpHを、1単位の増分でpH2~pH12に調整した。粒子サイズとゼータ電位を測定した。結果を図3にグラフで示す。
【0066】
図3に示す結果から明らかなように、粒子サイズはpH2~10のpH範囲でほぼ一定のままであった一方で、表面被覆研削材粒子のゼータ電位は約-5mV~0mVの範囲であった。したがって、表面被覆したセリアは、広いpH範囲で良好なコロイド安定性を示した。
【0067】
実施例8
この実施例は、スルホン酸モノマー単位およびカルボン酸モノマー単位の組み合わせを含むコポリマーで表面被覆した研削材を含む研磨組成物が示すタングステン、TEOS、窒化ケイ素、およびTiNの除去率に対する有機ホスホン酸の効果を実証する。
【0068】
タングステン、TEOS、窒化ケイ素、およびTiNのブランケット層を含む別個の基板を、研磨組成物8Aおよび8Bで研磨した。研磨組成物8Aは、アクリル酸-2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AA-AMPS)コポリマーで表面被覆した、120nmの粒子サイズを有するセリアを5000ppm、マロン酸を1080ppm、硝酸第二鉄を500ppm、リジンを1000ppm、およびアルギニンを1000ppm含有し、pH3.0に調整した。研磨組成物8Bは、表面被覆したセリアの代わりに180nmの粒子サイズを有するAA-AMPSで表面被覆したアルミナを含んでいた[確認]ことを除いて、研磨組成物8Aと同じ成分を含んでいた。
【0069】
研磨後、タングステン、TEOS、窒化ケイ素、およびTiNの除去率を測定した。結果を表5に示す。
【表5】
【0070】
表5に示した結果から明らかなように、AA-AMPSで表面被覆したセリアを含む研磨組成物8Aは、研磨組成物8Bによって示された除去率の約42%であったTiN除去率を示した。AA-AMPSで表面被覆したセリアを含む研磨組成物8Aは、AA-AMPSで表面被覆したアルミナを含む研磨組成物8Bによって示されたものよりも著しく低いTiN除去率を示した一方で、同様のTEOS除去率を維持した。
【0071】
本明細書に引用された刊行物、特許出願および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が個々にかつ具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)本発明を説明する文脈における「a」および「an」および「the」および「少なくとも1つの(at least one)」という用語および同様の指示対象の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、単数および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。1つ以上の項目の列挙に続く「少なくとも1つの」という用語(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(AまたはB)から選択される1つの項目、または列挙された項目(AおよびB)の2つ以上の任意の組み合わせを意味すると解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」および「含有する」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むがこれらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、範囲内にある各別個の値を個々に参照する簡略方法としての役割を果たすことを単に意図しており、各別個の値は本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書において提供される任意のおよびすべての例、または例示的な言葉(例えば、「~など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、別段の主張がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、本発明の実施に必須であるとして特許請求されていないすべての要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0073】
本発明を行うために本発明者らに既知の最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載される。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むことにより当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切なものとして使用することを期待しており、本発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載されたとおりではなく別の方法で実行されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての変形および同等物を含む。さらに、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、それらのすべての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせが本発明に包含される。
図1
図2
図3