IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友金属鉱山株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-チェーンコンベア 図1-a
  • 特許-チェーンコンベア 図1-b
  • 特許-チェーンコンベア 図1-c
  • 特許-チェーンコンベア 図2
  • 特許-チェーンコンベア 図3
  • 特許-チェーンコンベア 図4
  • 特許-チェーンコンベア 図5
  • 特許-チェーンコンベア 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】チェーンコンベア
(51)【国際特許分類】
   B65G 19/20 20060101AFI20230615BHJP
   B65G 19/14 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
B65G19/20 A
B65G19/14 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019183977
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021059411
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】武内 秀明
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-137490(JP,A)
【文献】特開2013-121596(JP,A)
【文献】特開2010-106869(JP,A)
【文献】特開昭62-56648(JP,A)
【文献】米国特許第5305872(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 19/20
B65G 19/14
F16G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱型断面のケーシング内に設置され、両側から複数のリンクプレートからなるチェーンで把持されたスクレーパ又はフライトで、前記ケーシングの底面もしくは、前記底面の上方、ケーシング内部に設けられたトラフ上にある搬送物を押して輸送する方式のスクレーパ型又はフライト型のチェーンコンベアにおいて、複数のリンクプレートが連結ピンにより連結されて構成されたチェーンの前記連結ピンを、頭部を有しない棒状ピン本体をケーシング内側から外側へ差し込む構造となすとともに、当該棒状ピン本体のケーシング内側端部には締付け用ナットを螺合するねじが形成され、該ねじと反対側のケーシング側壁側には当該棒状ピン本体と前記リンクプレートとを結合するための固定リング着脱用環状凹溝が当該棒状ピン本体の端部外周に設けられ、前記棒状ピン本体をケーシング内側よりリンクプレートに挿通した状態で、前記固定リング着脱用環状凹溝に固定リングが嵌合され、当該棒状ピン本体のケーシング内側端部に形成されたねじに締付け用ナットを螺合し締め付けることによりリンクプレートが結合される構造となしたことを特徴とするチェーンコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンコンベアに係り、より詳しくはフライトコンベアやスクレーパコンベア等のチェーンコンベアにおいて、当該コンベア補修時に任意の位置でのチェーンの切り離しの簡易迅速化を可能とするチェーンコンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フライトコンベアやスクレーパコンベア等のチェーンコンベアは、リンク(リンクプレート)の両端を連結ピン(チェーンピン)で連結して複数個のリンクを繋ぎ合わせてリング状に形成したチェーンの対を並列に配置し、その並列に配されたチェーン間に搬送物(例えば銅精鉱物等)を搬送するための複数のスクレーパ、フライト、あるいはバケット等を備えるもので、スプロケットにより駆動させる方式となしており、例えば粉体の搬送に用いる場合には、コンベア自体をケーシングにて囲繞した構造となしたものが使用される(特許文献1参照)。
【0003】
図5は前記した粉体搬送用の従来のチェーンコンベアとして、スクレーパ型又はフライト型のチェーンコンベアの一例を示す概略図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、図6はリンクプレート100-2と連結ピン100-3の結合構造を拡大して示す断面図である。
即ち、図5に示すチェーンコンベア100は、複数のリンクプレート100-2が連結ピン100-3により連結されて構成されたチェーン100-1の対が、略箱型断面のケーシング110内に並列に配置され、その並列に配置された2条のチェーン100-1の間に架け渡された多数のフライト(押し板又はスクレーパ)100-4が、ケーシング110の底面、もしくは該ケーシング内に設けられた搬送物Wに接触し、押して搬送する構造となっている。このチェーンコンベア100におけるリンクプレート100-2と連結ピン100-3の結合構造は、図5(c)及び図6に示すように、リンクプレート100-2の一方の端部に形成された二股状のナックル部100-2aに連結ピン100-3のための挿通孔100-2bが形成され、さらにリンクプレート100-2の他方の端部(二股状のナックル部と反対側端部)に形成された軸受部100-2cに連結ピン100-3のための軸受孔100-2dが形成され、前記二股状のナックル部100-2aに該二股状のナックル部と反対側端部の軸受部100-2cを重ね合わせた状態で、ケーシング110の側面側に頭部100-3aが形成された連結ピン100-3を挿通し、当該連結ピンの頭部100-3aと反対側端部に抜け止め用割ピン100-3bを差し込んで結合する構造となっている。図中、110-1はケーシング110の上蓋、110-2はケーシング110の側壁である。
【0004】
しかしながら、図5図6に示すチェーンコンベア100のリンクプレート100-2と連結ピン100-3の結合構造は、前記したように頭部付きの連結ピン100-3をケーシング110の側壁110-2側から差し込む構造となっているため、ケーシング110の側壁110-2に連結ピン脱着用の開口(点検用窓等)が設けられた場所以外では、頭部付き連結ピン100-3がケーシング110の側壁110-2に当接して当該連結ピン100-3をリンクプレート100-2から抜くことができず、チェーン100-1を切り離すことができない。そのため、スプロケットの交換作業等のコンベア補修時に、ケーシング110の側壁に連結ピン脱着用の開口部がない場所でチェーン100-1を切り離す必要が生じた場合には、ケーシング110とチェーン100-1の隙間で連結ピン100-3を切断するか、ケーシング側壁を破断して連結ピン脱着用の開口部を設ける必要があり、コンベア補修作業に長時間を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-226540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記した従来技術の問題を解消するためになされたもので、コンベアチェーンを任意の位置で簡易迅速に切り離すことができるチェーンコンベア用連結ピンを備えたチェーンコンベアを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るチェーンコンベアは、略箱型断面のケーシング内に設置され、両側から複数のリンクプレートからなるチェーンで把持されたスクレーパ又はフライトで、前記ケーシング底面もしくは、前記底面上方、ケーシング内部に設けられたトラフ上にある搬送物を押して輸送する方式のスクレーパ型又はフライト型のチェーンコンベアにおいて、複数のリンクプレートが連結ピンにより連結されて構成されたチェーンの前記連結ピンを、頭部を有しない棒状ピン本体をケーシング内側から外側へ差し込む構造となすとともに、当該棒状ピン本体のケーシング内側端部には締付け用ナットを螺合するねじが形成され、該ねじと反対側のケーシング側壁側には当該棒状ピン本体と前記リンクプレートとを結合するための固定リング着脱用環状凹溝が当該棒状ピン本体の端部外周に設けられ、前記棒状ピン本体をケーシング内側よりリンクプレートに挿通した状態で、前記固定リング着脱用環状凹溝に固定リングが嵌合され、当該棒状ピン本体のケーシング内側端部に形成されたねじに締付け用ナットを螺合し締め付けることによりリンクプレートが結合される構造となしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のチェーンコンベアは、前記したごとくコンベアチェーンを任意の位置で簡易迅速に切り離すことができる構造簡単なチェーンコンベア用連結ピンを採用したことにより、特殊な工具や構造を必要とせず、又、コンベアを囲むケーシング側壁を破断して連結ピン脱着用の開口部を設ける必要もないので、コンベア補修作業を簡易迅速にかつ低コストで実施することが可能となり、特にフライトコンベアやスクレーパコンベア等のチェーンコンベアの稼働率の向上に多大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1-a】本発明の実施の一形態に係るチェーンコンベアの要部を示す概略図の平面図である。
図1-b】本発明の実施の一形態に係るチェーンコンベアの要部を示す概略図の側面図である。
図1-c】本発明の実施の一形態に係るチェーンコンベアの要部を示す概略図の正面図である。
図2図1-cに示す本発明のチェーンコンベアの連結ピンを拡大して示す分解斜視図である。
図3図1-cに示す本発明のチェーンコンベアの連結ピンとリンクプレートの結合構造を拡大して示す断面図である。
図4図1-cに示すチェーンコンベアの連結ピンによるチェーンの切り離し手順を拡大して示す断面図である。
図5】従来のチェーンコンベアを示す概略図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図6図5に示す従来のチェーンコンベアの連結ピンとリンクプレートの結合構造を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るチェーンコンベア10は、前記した図5図6に示すものと同様の構成を有するもので、略箱型断面のケーシング11内に設置され、複数のリンクプレート10-2を連結ピン10-3で連結して構成されたチェーン10-1で両側を把持された搬送具(スクレーパ又はフライトと称する)10-4で、前記ケーシング11の底面、もしくは前記ケーシング底面上方、又は前記ケーシング内部に設けられたトラフ(図示せず)上にある搬送物Wを押して輸送する方式のスクレーパ型又はフライト型のチェーンコンベアである。
【0011】
本発明の特徴を構成するチェーンコンベア10の連結ピン10-3は、ケーシング内側から外側へ差し込む構造となしたもので、その構造は図2に示すように、頭部を有しない棒状のピン本体10-3aと、当該ピン本体のケーシング11内側端部に締付け用ナット10-3dを螺合するねじ10-3bが形成され、該ねじと反対側の側壁11-2側の端部には当該ピン本体10-3aとチェーンのリンクプレート10-2とを結合するための固定リング10-3e着脱用環状凹溝10-3cが当該ピン本体の端部外周に設けられている。なお、前記ピン本体10-3aの端部外周に設けられた環状凹溝10-3cに嵌合する固定リング10-3eは、図に示すようにリングの一部に隙間10-3e´が設けられて環状凹溝10-3cに簡単に着脱可能な構造となっている。11-1はケーシング11の上蓋である。
【0012】
次に、本発明のチェーンコンベアの連結ピン10-3とリンクプレート10-2の結合構造を図3に基づいて説明する。即ち、リンクプレート10-2の一方の端部に形成された二股状のナックル部10-2aに連結ピン10-3の挿通孔10-2bが形成され、さらにリンクプレート10-2の他方の端部(二股状のナックル部と反対側端部)に形成された軸受部10-2cに連結ピン10-3の軸受孔10-2dが形成されている。ここで、前記二股状のナックル部10-2aに該二股状のナックル部と反対側端部の軸受部10-2cを重ね合わせた状態で、前記ピン本体10-3aをケーシング11の内側よりリンクプレート10-2のそれぞれに挿通した状態で、前記固定リング着脱用環状凹溝10-3cに固定リング10-3eを嵌合し、当該ピン本体の前記固定リング10-3eと反対側端部に形成されたねじ10-3bに締付け用ナット10-3dを螺合し締め付けることによりリンクプレートが結合される構造となっている。
【0013】
続いて、前記チェーンコンベア10の連結ピン10-3によるチェーン10-1の切り離し手順を図4に基づいて説明すると、前記図3に示す連結ピン10-3とリンクプレート10-2の結合状態において、チェーン10-1を切り離す場合には、連結ピン10-3のケーシング内側端部に螺着されている締付け用ナット10-3dをねじ10-3bより離脱し、しかる後ピン本体10-3aをケーシング11の側面側にずらして固定リング10-3eを二股状のナックル部10-2aより離間させ、その状態で当該固定リング10-3eを開いて環状凹溝10-3cより離脱させて、続いて当該ピン本体10-3aをケーシング内側方向に移動させて引き抜く。このようにしてピン本体10-3aを二股状のナックル部10-2aより引き抜くと、連結ピン10-3とリンクプレート10-2の結合が解かれることによりチェーンコンベア10のチェーン10-1を簡単に切り離すことができる。
【0014】
このように本発明では、チェーンコンベアの連結ピンをケーシング内側から外側へ差し込む構造となすとともに、ピン本体をケーシング内側方向に移動させて引き抜くことによりチェーンコンベアのチェーンを簡単に切り離すことができる。このため、チェーンコンベアのチェーンの切り離しに特殊な工具や構造を必要とせず、又、コンベアを囲むケーシング側壁を破断して連結ピン脱着用の開口部を設ける必要もないので、コンベア補修作業を簡易迅速にかつ低コストで実施することが可能となる。
【符号の説明】
【0015】
10 チェーンコンベア
10-1 チェーン
10-2 リンクプレート
10-2a 二股状のナックル部
10-2b 挿通孔
10-2c 軸受部
10-2d 軸受孔
10-3 連結ピン
10-3a ピン本体
10-3b ねじ
10-3c 環状凹溝
10-3d 締付け用ナット
10-3e 固定リング
10-3e´ 隙間
10-4 搬送具
11 ケーシング
11-1 上蓋
11-2 側壁
W 搬送物
図1-a】
図1-b】
図1-c】
図2
図3
図4
図5
図6