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  • 特許-スイッチング制御回路 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】スイッチング制御回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019206633
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021083161
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正義
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-034516(JP,A)
【文献】特開2005-198410(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0001461(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子に直流の入力電圧が印加する第1スイッチングトランジスタと、該第1スイッチングトランジスタの第2端子に第1端子が接続され第2端子が接地された第2スイッチングトランジスタと、前記第1スイッチングトランジスタの第2端子に対して第1端子がインダクタを介して接続され第2端子が出力端子に接続された第3スイッチングトランジスタと、第1端子が前記第3スイッチングトランジスタの前記第1端子に接続され第2端子が接地された第4スイッチングトランジスタのそれぞれの第3端子を、降圧モード、昇降圧モード又は昇圧モードでそれぞれ駆動し、前記出力端子から出力する出力電圧を目標電圧に制御するスイッチング制御回路において、
鋸波電圧を整形してPWM電圧を生成するPWM生成回路と、
前記出力電圧と前記目標電圧に相当する電圧の比較により生成したレベルの異なる第1誤差電圧と第2誤差電圧と第3誤差電圧を前記PWM電圧とそれぞれ比較することで、前記降圧モード用の第1PWM制御電圧と、前記昇降圧モード用の第2PWM制御電圧と、前記昇圧モード用の第3PWM制御電圧を生成するPWM制御回路と、
前記鋸波電圧を第1基準電圧と第2基準電圧で比較して第1基準デューティ電圧と第2基準デューティ電圧を生成する基準デューティ生成回路と、
前記第1基準デューティ電圧と前記第2基準デューティ電圧の論理の組み合わせに応じて前記第1乃至第3PWM制御電圧のうちの1つを選択する選択回路と、
該選択回路で選択された前記第1乃至第3PWM制御電圧のうちの1つによって前記第1乃至第4スイッチングトランジスタの第3端子を駆動する駆動回路と、
を備えることを特徴とするスイッチング制御回路。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチング制御回路において、
前記第1乃至第3誤差電圧は、前記第1PWM制御電圧が小デューティ、前記第2PWM制御電圧が中デューティ、前記第3PWM制御電圧が大デューティとなるように設定されている、
ことを特徴とするスイッチング制御回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスイッチング制御回路において、
前記選択回路は、前記第1基準デューティ電圧の立上り時に前記第1PWM制御電圧が第1論理のとき第1論理を保持し第2論理のとき第2論理を保持する第1選択電圧と、前記第2基準デューティ電圧の立上り時に前記第2PWM制御電圧が第1論理のとき第1論理を保持し第2論理のとき第2論理を保持する第2選択電圧とを生成し、
前記第1選択電圧の論理と前記第2選択電圧の論理の組み合わせにより、前記第1乃至第3PWM制御電圧のうちの1つを選択する、
ことを特徴とするスイッチング制御回路。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載のスイッチング制御回路において、
前記降圧モード時に、前記第1PWM制御電圧が選択され、前記第1スイッチングトランジスタと前記第2スイッチングトランジスタが逆相でON/OFFし、前記第3スイッチングトランジスタがONし、前記第4スイッチングトランジスタがOFFし、
前記昇降圧モード時に、前記第2PWM制御電圧が選択され、前記第1スイッチングトランジスタと前記第4スイッチングトランジスタが同相でON/OFFし、前記第2スイッチングトランジスタと前記第3スイッチングトランジスタが前記第1スイッチングトランジスタと逆相でON/OFFし、
前記昇圧モード時に、前記第3PWM制御電圧が選択され、前記第1スイッチングトランジスタがONし、前記第2スイッチングトランジスタがOFFし、前記第3スイッチングトランジスタと前記第4スイッチングトランジスタが逆相でON/OFFする、
ように制御することを特徴とするスイッチング制御回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載のスイッチング制御回路において、
前記第2スイッチングトランジスタが、アノードが接地されカソードが前記第1スイッチングトランジスタの第2端子に接続される第1ダイオードに置き換えられ、
前記第3スイッチングトランジスタが、アノードが前記第4スイッチングトランジスタの第1端子に接続されカソードが前記出力端子に接続される第2ダイオードに置き換えられ、
前記駆動回路は、前記選択回路で選択された前記第1乃至第3PWM制御電圧のうちの1つによって前記第1及び第4スイッチングトランジスタの第3端子を駆動する、
ことを特徴とするスイッチング制御回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載のスイッチング制御回路において、
前記駆動回路は、前記選択回路から出力する前記第1乃至第3PWM制御電圧のレベルを低レベルから高レベルにシフトするレベルシフト回路を含むことを特徴とするスイッチング制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電圧の変動に応じて出力電圧が変動する際に、スイッチングトランジスタの動作モードを降圧モード→昇降圧モード→昇圧モードに切り替えたり、昇圧モード→昇降圧モード→降圧モードに切り替えたりするスイッチング制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスイッチング制御回路は特許文献1に記載がある。このスイッチング制御回路では、例えば、降圧モードにおいて入力電圧が低下しスイッチングトランジスタのデューティ比が75%になって昇降圧モードに切り替えるときに、その切り替えと同時にデューティ比が75%→43%となるように鋸波電圧のバイアスを切り替えることで、その鋸波電圧の中心レベルを切り替える。また、昇降圧モードにおいて入力電圧がさらに低下しデューティ比が60%になって動作モードを切り替えるときに、その切り替えと同時にデューティ比が60%→33%になるように鋸波電圧のバイアスを切り替えることで、その鋸波電圧の中心レベルを切り替える。このように、入力電圧が徐々に低下してきたときは、降圧モード→昇降圧モード→昇圧モードに順次動作モードを切り替える。
【0003】
また、逆に、昇圧モードにおいて入力電圧が上昇しスイッチングトランジスタのデューティ比が33%になって昇降圧モードに切り替えるときに、その切り替えと同時にデューティ比が33%→60%となるように鋸波電圧のバイアスを切り替えることで、その鋸波電圧の中心レベルを切り替える。また、昇降圧モードにおいて入力電圧がさらに上昇しデューティ比が43%になって降圧モードに切り替えるときに、その切り替えと同時にデューティ比が43%→75%になるように鋸波電圧のバイアスを切り替えることで、その鋸波電圧の中心レベルを切り替える。このように、入力電圧が徐々に上昇してきたときは、昇圧モード→昇降圧モード→降圧モードに順次動作モードを切り替える。
【0004】
このように、動作モードの切り替え時に同時に、鋸波電圧の中心レベルを動作モード切り替え後のデューティ比が実現できるようなレベルに切り替えることで、切り替え後に当該のデューティ比になるまでの移行時間を短縮して、動作モードをスムースに切り替え、出力電圧のオーバーシュートを低減させている。
【0005】
また、スイッチングトランジスタのスイッチング電流の検出信号を取り込んで、電流帰還制御とスロープ補償制御が行われている。電流帰還制御では、スイッチング電流に応じて出力電圧を安定化させる制御が行われる。スロープ補償制御では、スイッチング電流に応じて鋸波電圧のスロープの傾きを修正することで、スイッチングトランジスタをON/OFFさせるPWM電圧のデューティ比が50%を超える際に発生する低調波発振(サブハーモニック発振)の発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-163447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記したスイッチング制御回路では、動作モードの切り替え時に鋸波電圧の中心レベルを切り替える必要があるので、鋸波電圧の生成のための回路の電源電圧を高くする必要がある。また、スイッチング電流の検出電圧を取り込んで処理する場合は、そのスイッチング電流にばらつきがあると、動作モード切り替え時点の精度が良くないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、鋸波電圧の生成のための電源電圧を高くする必要がなく、動作モード切り替えと動作モード毎のPWM電圧を安定して出力できるようにしたスイッチング制御回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、第1端子に直流の入力電圧が印加する第1スイッチングトランジスタと、該第1スイッチングトランジスタの第2端子に第1端子が接続され第2端子が接地された第2スイッチングトランジスタと、前記第1スイッチングトランジスタの第2端子に対して第1端子がインダクタを介して接続され第2端子が出力端子に接続された第3スイッチングトランジスタと、第1端子が前記第3スイッチングトランジスタの前記第1端子に接続され第2端子が接地された第4スイッチングトランジスタのそれぞれの第3端子を、降圧モード、昇降圧モード又は昇圧モードでそれぞれ駆動し、前記出力端子から出力する出力電圧を目標電圧に制御するスイッチング制御回路において、鋸波電圧を整形してPWM電圧を生成するPWM生成回路と、前記出力電圧と前記目標電圧に相当する電圧の比較により生成したレベルの異なる第1誤差電圧と第2誤差電圧と第3誤差電圧を前記PWM電圧とそれぞれ比較することで、前記降圧モード用の第1PWM制御電圧と、前記昇降圧モード用の第2PWM制御電圧と、前記昇圧モード用の第3PWM制御電圧を生成するPWM制御回路と、前記鋸波電圧を第1基準電圧と第2基準電圧で比較して第1基準デューティ電圧と第2基準デューティ電圧を生成する基準デューティ生成回路と、前記第1基準デューティ電圧と前記第2基準デューティ電圧の論理の組み合わせに応じて前記第1乃至第3PWM制御電圧のうちの1つを選択する選択回路と、該選択回路で選択された前記第1乃至第3PWM制御電圧のうちの1つによって前記第1乃至第4スイッチングトランジスタの第3端子を駆動する駆動回路と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のスイッチング制御回路において、前記第1乃至第3誤差電圧は、前記第1PWM制御電圧が小デューティ、前記第2PWM制御電圧が中デューティ、前記第3PWM制御電圧が大デューティとなるように設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載のスイッチング制御回路において、前記選択回路は、前記第1基準デューティ電圧の立上り時に前記第1PWM制御電圧が第1論理のとき第1論理を保持し第2論理のとき第2論理を保持する第1選択電圧と、前記第2基準デューティ電圧の立上り時に前記第2PWM制御電圧が第1論理のとき第1論理を保持し第2論理のとき第2論理を保持する第2選択電圧とを生成し、前記第1選択電圧の論理と前記第2選択電圧の論理の組み合わせにより、前記第1乃至第3PWM制御電圧のうちの1つを選択することを特徴とする。
【0012】
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれか1つに記載のスイッチング制御回路において、前記降圧モード時に、前記第1PWM制御電圧が選択され、前記第1スイッチングトランジスタと前記第2スイッチングトランジスタが逆相でON/OFFし、前記第3スイッチングトランジスタがONし、前記第4スイッチングトランジスタがOFFし、前記昇降圧モード時に、前記第2PWM制御電圧が選択され、前記第1スイッチングトランジスタと前記第4スイッチングトランジスタが同相でON/OFFし、前記第2スイッチングトランジスタと前記第3スイッチングトランジスタが前記第1スイッチングトランジスタと逆相でON/OFFし、前記昇圧モード時に、前記第3PWM制御電圧が選択され、前記第1スイッチングトランジスタがONし、前記第2スイッチングトランジスタがOFFし、前記第3スイッチングトランジスタと前記第4スイッチングトランジスタが逆相でON/OFFする、ように制御することを特徴とする。
【0013】
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のスイッチング制御回路において、前記第2スイッチングトランジスタが、アノードが接地されカソードが前記第1スイッチングトランジスタの第2端子に接続される第1ダイオードに置き換えられ、
前記第3スイッチングトランジスタが、アノードが前記第4スイッチングトランジスタの第1端子に接続されカソードが前記出力端子に接続される第2ダイオードに置き換えられ、前記駆動回路は、前記選択回路で選択された前記第1乃至第3PWM制御電圧のうちの1つによって前記第1及び第4スイッチングトランジスタの第3端子を駆動することを特徴とする。
【0014】
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれか1つに記載のスイッチング制御回路において、前記駆動回路は、前記選択回路から出力する前記第1乃至第3PWM制御電圧のレベルを低レベルから高レベルにシフトするレベルシフト回路を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基準となる鋸波電圧の波形は振幅やオフセットは変化せず一定であるので、鋸波電圧の生成のための電源電圧を高くする必要がない。また第1乃至第3誤差電圧によって降圧用、昇降圧用、昇圧用の第1乃至第3PWM制御電圧を生成するので、それらのPWM制御電圧にデューティのばらつきは発生せず、動作モード毎のPWM制御電圧を安定して出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例のスイッチング制御回路の構成を示すブロック図である。
図2図1のスイッチング制御回路のデューティ生成回路の動作波形図である。
図3図1のスイッチング制御回路の選択回路の真理値の説明図である。
図4図1のスイッチング制御回路の全体の動作波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に本発明の実施例のスイッチング制御回路100を示す。このスイッチング制御回路100は半導体集積回路で構成される。そして、そのスイッチング制御回路100によってON/OFFが個別に制御されるNMOSのスイッチングトランジスタMN1,MN2,MN3,MN4と、インダクタL1と、出力コンデンサC1と、出力電圧Voutを分圧して帰還電圧Vfbを生成する分圧抵抗Rd1,Rd2が外部接続されている。C2,C3,C4は制御回路で使用する電源の安定化用のキャパシタである。
【0018】
スイッチング制御回路100は、鋸波電圧OSCを発振する発振回路110と、その鋸波電圧OSCを取り込んで2個の基準デューティ電圧DUTY1,DUTY2を生成する基準デューティ生成回路120と、鋸波電圧OSCを取り込んでPWM基準波形電圧OSC_PWMを生成するOSCPWM生成回路130と、PWM基準波形電圧OSC_PWMと前記した帰還電圧Vfbを取り込んで3つのPWM制御電圧PWM1,PWM2,PWM3を生成するPWM制御回路140と、基準デューティ電圧DUTY1,DUTY2とPWM制御電圧PWM1,PWM2,PWM3を取り込んで、PWM制御電圧PWM1,PWM2,PWM3のうちの1つを選択して、スイッチングトランジスタMN1,MN2,MN3,MN4を個別にON/OFF制御するゲート制御電圧Vg1,Vg2,Vg3,Vg4を生成する選択回路150と、ゲート制御電圧Vg1,Vg2,Vg3,Vg4を取り込んでスイッチングトランジスタMN1,MN2,MN3,MN4のゲート駆動電圧VG1,VG2,VG3,VG4を出力する駆動回路160とを備える。なお、170は入力電圧VINからレギュラー電圧V1を生成する安定化電源回路、180は入力電圧VINから所定の高電圧V2(>V1)を生成する高電圧電源回路である。
【0019】
基準デューティ回路120は、基準電圧Vref1が設定されたコンパレータCP1と、基準電圧Vref2が設定されたコンパレータCP2を備え、鋸波電圧OSCが入力することで、コンパレータCP1から基準デューティ電圧DUTY1が出力し、コンパレータCP2から基準デューティ電圧DUTY2が出力する。基準デューティ電圧DUTY1よりも基準デューティ電圧DUTY2のデューティが大きくなるように、Vref1>Vref2に設定されている。
【0020】
PWM制御回路140は、帰還電圧Vfbが目標出力電圧相当の基準電圧Vref3より低いとき正の誤差電圧Verr1を出力する誤差増幅器OP1と、電圧Vaが印加する電流源I1及びNMOSトランジスタMN5,MN6からなるカレントミラー回路と、誤差電圧Verr1を分圧して誤差電圧Verr2,Verr3を生成する抵抗R1,R2と、OSCPWM生成回路130から出力するPWM基準波形電圧OSC_PWMを、誤差電圧Verr1,Verr2,Verr3と比較してPWM制御電圧PWM1,PWM2,PWM3を生成するコンパレータCP3,CP4,CP5を備える。PWM制御電圧PWM1は小デューティの降圧モード用、PWM制御電圧PWM2は中デューティの昇降圧モード用、PWM制御電圧PWM3は大デューティの昇圧モード用である。
【0021】
駆動回路160は、選択回路150から出力するゲート制御電圧Vg1,Vg2,Vg3,Vg4をより高電圧にレベルシフトするレベルシフト回路161,162,163,164と、レベルシフト回路161,162,163,164の出力電圧を入力してゲート駆動電圧VG1,VG2,VG3,VG4を出力するドライバ回路165,166,167,168とを備える。ゲート駆動電圧VG1はスイッチングトランジスタMN1のゲートを駆動し、ゲート駆動電圧VG2はスイッチングトランジスタMN2のゲートを駆動し、ゲート駆動電圧VG3はスイッチングトランジスタMN3のゲートを駆動し、ゲート駆動電圧VG4はスイッチングトランジスタMN4のゲートを駆動する。
【0022】
図2に基準デューティ回路120とOSCPWM生成回路130とPWM制御回路140と選択回路150の動作波形を示す。鋸波電圧OSCは、立ち下がり時点から時間t1の経過後に徐々に立ち上がる波形である。基準デューティ電圧DUTY1は、鋸波電圧OSCが基準電圧Vref1より高いときに“H”となる電圧、基準デューティ電圧DUTY2は、鋸波電圧OSCが基準電圧Vref2より高いときに“H”となる電圧である。PWM基準波形電圧OSC_PWMは鋸波電圧OSCを波形整形することで、立ち下がり時点から時間t1の経過後に電圧Vbだけ嵩上げされてから徐々に立ち上がる鋸波形の電圧として生成される。
【0023】
PWM制御電圧PWM1はPWM基準波形電圧OSC_PWMが誤差電圧Verr1より高いとき“H”となる。PWM制御電圧PWM2はPWM基準波形電圧OSC_PWMが誤差電圧Verr2より高いとき“H”となる。PWM制御電圧PWM3はPWM基準波形電圧OSC_PWMが誤差電圧Verr3より高いとき“H”となる。Verr1>Verr2>Verr3の関係にあるので、PWM制御電圧PWM1~PWM3のデューティ比は、PWM1<PWM2<PWM3の関係をもつ。
【0024】
選択電圧SW_DUTY1は、基準デューティ電圧DUTY1の立上り時にPWM制御電圧PWM1が“H”になっていると“H”が保持されるが、“L”になっていると“L”が保持される。つまり、PWM制御電圧PWM1のデューティが基準デューティ電圧DUTY1よりも小さくなると、選択電圧SW_DUTY1が“L”になる。
【0025】
また、選択電圧SW_DUTY2は、基準デューティ電圧DUTY2の立上り時にPWM制御電圧PWM2が“H”になっていると“H”が保持されるが、“L”になっていると“L”が保持される。つまり、PWM制御電圧PWM2のデューティが基準デューティ電圧DUTY2よりも小さくなると、選択電圧SW_DUTY2が“L”になる。
【0026】
図3は選択回路150において、PWM制御電圧PWM1~PWM3のうちから1つを選択する論理を示す図である。本実施例では、選択電圧SW_DUTY1,SW_DUTY2の論理の組み合わせによって、選択する。つまり、選択電圧SW_DUTY1,SW_DUTY2がともに“H”ならPWM制御電圧PWM1を選択し、選択電圧SW_DUTY1,SW_DUTY2の一方が“H”で他方が“L”ならPWM制御電圧PWM2を選択し、選択電圧SW_DUTY1,SW_DUTY2がともに“L”ならPWM制御電圧PWM2を選択する。
【0027】
図4は選択回路150から出力するゲート制御電圧Vg1,Vg2,Vg3,Vg4の切り替えの波形図である。前記したように、選択電圧SW_DUTY1,SW_DUTY2がともに“H”であれば、降圧モード用のPWM制御電圧PWM1が選択され、PWM制御電圧PWM1の反転電圧が同期整流のメインのゲート制御電圧Vg1として出力される。このときのゲート制御電圧Vg2は整流動作するためVg1の反転電圧(ただし、Vg1,Vg2の間にはデットタイムが設定されている)である。このとき、ゲート制御電圧Vg3は“H”に固定されてスイッチングトランジスタMN3はONし、ゲート制御電圧Vg4は“L”に固定されスイッチングトランジスタMN4はOFFしている。
【0028】
選択電圧SW_DUTY1が“L”でSW_DUTY2が“H”であれば、昇降圧モード用のPWM制御電圧PWM2が選択され、PWM制御電圧PWM2の反転電圧が同期整流のメインのゲート制御電圧Vg1,Vg4として出力される。このときのゲート制御電圧Vg2,Vg3は整流動作するためVg1の反転電圧(ただし、Vg1,Vg2の間、Vg3,Vg4と間にはデットタイムが設定されている)である。
【0029】
選択電圧SW_DUTY1,SW_DUTY2がともに“L”であれば、昇圧モード用のPWM制御電圧PWM3が選択され、PWM制御電圧PWM3の反転電圧が同期整流のメインのゲート制御電圧Vg4として出力される。このときのゲート制御電圧Vg3は整流動作するためVg4の反転電圧(ただし、Vg3,Vg4の間にはデットタイムが設定されている)である。このとき、ゲート制御電圧Vg1は“H”に固定されてスイッチングトランジスタMN1はONし、ゲート制御電圧Vg2は“L”に固定されスイッチングトランジスタMN2はOFFしている。
【0030】
以上のように、本実施例では、基準となる鋸波電圧OSCの波形は振幅やオフセットは変化せず一定であり、鋸波電圧の生成のための電源電圧を高くする必要がない。また3つの誤差電圧Verr1,Verr2,Verr3によって降圧用、昇降圧用、昇圧用のPWM制御電圧PWM1,PWM2,PWM3を生成するので、それらのPWM制御電圧PWM1,PWM2,PWM3にデューティのばらつきは発生せず、動作モード毎のPWM制御電圧を安定して出力できる。また、スイッチング電流の検出信号は取り込まないので、そのスイッチング電流のばらつきの影響は受けない。
【0031】
なお、本実施例では、スイッチングトランジスタMN2,MN3はダイオードに置き換えることができる。この場合は、ゲート制御電圧Vg2,Vg3、ゲート駆動電圧VG2,VG3は不要となるので、それらに関連する回路は不要となる。
【符号の説明】
【0032】
100:スイッチング制御回路
110:発振器、120:基準デューティ生成回路、130:OSCPWM生成回路、140:PWM制御回路、150:選択回路、160:駆動回路、170,180:電源回路
OSC:鋸波電圧
OSC_PWM:PWM基準波形電圧
PWM1~PWM3:PWM制御電圧
DUTY1、DUTY2:基準デューティ電圧
SW_DUTY1,SW_DUTY2:選択電圧
Vg1~Vg4:ゲート制御電圧
VG1~VG4:ゲート駆動電圧
図1
図2
図3
図4